説明

低高周波共用漏洩アンテナ、およびそれを用いた基地局装置並びに近距離検知システム

【課題】信頼性および保守性および設営性に富む、高周波・低周波両用無線位置検出・情報伝送システムを提供する。
【解決手段】漏洩同軸内導体と平行設置された導体線路を終端短絡し、漏洩同軸単体動作と内導体・導体線路ループ動作を両立させ、同ループにより導体線路近傍に局在する磁界を用いたタグのID通信を行い、閉領域の電磁波による周囲環境の影響を受けにくい無線位置検出と情報通信を開放型線路によって実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を用いて対象物が存在するか否かを検出する低高周波共用漏洩アンテナ、およびそれを用いた基地局装置並びに近距離検知システムに係り、特に、検出すべき対象物の存在領域が限定的で、該限定領域内での検出精度を向上させ、該限定領域外での誤検出確率低減に好適な、低高周波共用漏洩アンテナ、およびそれを用いた基地局装置並びに検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFIDに関する技術として、二つの異なる周波数帯域の電磁波を用いて、遠方に小電力で到達可能な電磁波を用いて、電池等の電源を有する端末局の電源のスイッチをオン・オフし、通信に使用する端末局の電源の消費を極力抑えようという、セミアクティブRFIDなる技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、同じ領域に存在する対象物の有無のみならず、位置を特定しようとする場合に、RF帯の電波を用いる技術が、特許文献1に開示されている。さらに、特許文献2には、漏洩同軸ケーブルを無線タグのアンテナとして使用すると共に、漏洩同軸ケーブルを分岐構造状に敷設する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−199967号公報
【特許文献2】特開2007−243821号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】V. Nataran et al, “Security for energy constrained RFID system” Automatic Identification Advanced Technologies, 2005,Fourth IEEE Workshop on 17-18 Oct. 2005 pp181-186
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電磁波を用いることにより、非接触で遠隔の通信が可能となる。この通信機能を用いて、遠隔で対象物の有無を検知する技術が広く知られている。近年、半導体技術の進歩とも相まって、RFIDと呼ばれるシステムが広く社会に浸透しつつある。RFIDは通常の無線システムと同様、基地局と端末局で構成されるが、端末局が自ら電源を持つ場合と持たない場合があり、前者はアクティブRFID、後者はパッシブRFIDと呼ばれている。前者は端末局が高出力の電磁波を放射できるため、数メートルから十メートル遠距離の通信が可能となるが電源となる電池の寿命が現行技術では、数日から数週間単位で短く端末局で電池の交換が必要となる利便性の低下と、システム使用状態での電池容量の不足によるシステム運用中断の可能性による長時間運用に対する信頼性低下の問題がある。後者は端末局が電源を持たないために高い信頼性を持って長時間運用が可能となるが、端末局に対して基地局が外部から電源を供給する必要があるため、現行の半導体技術とりわけ整流素子の特性限界より数センチメートルの通信距離しか現状安定的に確保できない。
【0006】
これらの問題を解決するために、セミアクティブRFIDという技術が提唱されている。これは、二つの異なる周波数帯域の電磁波を用いて、遠方に小電力で到達可能な電磁波を用いて、電池等の電源を有する端末局の電源のスイッチをオン・オフし、通信に使用する端末局の電源の消費を極力抑えようというものである。端末局と基地局の情報の伝送は主に高い周波数の電磁波を用いて多量の情報量をやり取りする。高い周波数の電磁波は高速の情報量伝送が可能である一方、電磁波の空間伝送特性は低下する。前者の伝送量は周波数に比例し、後者の減衰量は周波数の二乗分の一の関係で増加する。この技術については、非特許文献1に述べられている。
【0007】
端末局の電源をオン・オフする動作は少ない情報量で可能であり、反射波等の到来位相差が半波長近傍の複数の波の干渉による所謂伝播の不感地帯を発生させず、なるべく小電力で遠方までこの情報を伝達させるために、使用する電磁波の周波数は低いほうが望ましく、LF帯と呼ばれる数百kHzの電磁波が便利である。数百kHzの電磁波は波長が通常の無線機器の寸法に比べて桁違いに大きい(数十メートル)ので、前記到来位相差が半波長近傍の複数の波の干渉を考慮する必要はないが、アンテナとして良好な感度を確保するための数分の一波長を確保することができない。そのため、電磁波の成分のうちの誘導電磁界を使用する必要があり、通常はLF帯の電波を送受信する領域を取囲むループ構造のアンテナを使用するという制限がある。
【0008】
一方、情報のやり取りをする周波数は、無線システムが取り扱うべき情報量の増加に伴い、現行数Mbps以上が通常であり、電磁波としては数百MHz帯以上の周波数を有するRF帯の電波が使用される。この周波数帯のアンテナは電磁波の波長の数分の一の寸法が数センチメートルから数十センチメートルとなるので、容易にダイポール等のループ構造を有しない小型のアンテナで実現可能である。セミアクティブRFIDでは、これら低い周波数と高い周波数の二つの異なる周波数をやり取りする必要がある。端末局は小型の寸法で実現しなければならないので、寸法重視で効率を犠牲にしたアンテナを実装する必要がある。このため、基地局はいずれの周波数帯においても高効率のアンテナを実現する必要があり、一般には、低周波帯のアンテナはループ構造のアンテナ、高周波帯のアンテナはダイポール等の二種のアンテナを別設置する必要があり、システム構成が複雑化する問題がある。
【0009】
このようなLF帯の電波を送受信する領域を取囲むループアンテナを使用するシステムでは、ループアンテナの感度が同領域の内部で良好な値を示すため、同領域に存在する対象物の有無のみならず、位置を特定しようとする場合、RF帯の電波を用いる技術が、たとえば特許文献1などにより知られている。電磁波は波長オーダーでその存在領域を特定できるので、RF帯の電波を用いることで、数メートルから数十センチメートルの分解能で対象物との特定が原理的に可能である。
【0010】
特許文献1などにより知られている通常の技術では、複数のRF帯の電波の波長以上の距離で異なる場所に無線受信局を設置し、対象物から送られて来る対象物からの電波を同時に受信し、三角測量の原理で場所を計算により特定する。この方法では、周囲にRF帯の電波を反射する物体があると、同物体による反射波により三角測量実現の仮定であるラインオブサイトである直接波受信が成り立たなくなるために、場所の特定に誤りを生じる問題がある。また、3局以上の複数の無線局をシステム内に具備する必要があり、該反射に対する検出位置誤りを低減させるためには4以上の無線基地局が必要となり、システムの構成が複雑になる。且つ、高価な無線局の設置によりシステム設置・運営コストが大幅に向上する問題が生じる。
【0011】
また、特許文献2に開示されている技術は、正規の状態では特定の無線タグが漏洩同軸ケーブル近傍の特定の位置あるいはエリアに存在することを前提としたシステムであり、無線タグの検知やデータ通信に特定の周波数が使用される。特許文献2の発明は、高い周波数と低い周波数を併用し、対象物の位置検知を実現するシステムに関するものではなく、漏洩同軸ケーブル近傍の特定の位置あるいはエリアに自由に出入りする不特定の無線タグの位置検出を行う手段については言及されていない。
【0012】
さらに、低周波帯のループアンテナは、ループが構成する閉領域で高感度を有するため、対象物を検知する空間が該ループ内に制限されるという問題のみならず、該ループで対象物が物理的に隔離されるため対象物の制限領域内の出入りが原理的に不可能であるという問題もある。
【0013】
本発明の課題は、高い周波数と低い周波数を併用し対象物の検知を実現するものにおいて、周囲の環境の影響によって生じる同電波の反射波等により、高い周波数の電波を用いた対象物の位置特定における位置特定誤りを低減する、低高周波共用漏洩アンテナ、およびそれを用いた基地局装置並びに近距離検知システムを提供することにある。
本発明の他の課題は、高い周波数と低い周波数を併用し、対象物の検知を実現するものにおいて、高い周波数の電波を用いた対象物の位置特定に必要な無線局の複数設置を不要とする低高周波共用漏洩アンテナ、およびそれを用いた基地局装置並びに近距離検知システムを提供することにある。
本発明の他の課題は、高い周波数と低い周波数を併用し、対象物の検知を実現するものにおいて、対象物を物理的に隔離するループを用いず、これら二つの周波数の電磁波に対して良好な感度を有する一体の構造のアンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の代表的なものの一例を示せば以下の通りである。
【0015】
すなわち、本発明の低高周波共用漏洩アンテナは、内導体と外導体とを有する高周波漏洩同軸ケーブルと、前記高周波漏洩同軸ケーブルの一端で前記内導体と前記外導体とをインピーダンス終端させる終端回路と、前記高周波漏洩同軸ケーブルに平行して近接配置され低周波信号の通信を行う導体線路のループ構造とを備え、前記高周波漏洩同軸ケーブルにより前記低周波信号よりも周波数の高い高周波数信号の通信を行い、前記ループ構造により前記低周波信号の有効感度領域の感度を低下させ、該低周波信号の電磁波を該ループ構造の周囲に局在させることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の特徴によれば、前記低高周波共用漏洩アンテナが、前記内導体と前記外導体で形成される前記高周波漏洩同軸ケーブルと前記第一の導体線路からなる三導体構造を有している。
【0017】
また、本発明の近距離検知システムは、高周波送信回路および低周波送信回路に信号が重畳される通信機器と前記低高周波共用漏洩アンテナとを備えた基地局装置と、前記高周波信号と前記低周波信号に感度を有するアンテナおよび高周波受信回路と低周波受信回路を具備した無線タグからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、一体の終端構造とループ構造とを持つ低高周波共用漏洩アンテナで、該アンテナに接近した対象物に付加された無線タグと基地局の間でLF帯の低い周波数およびRF帯の高い周波数の電波を用いて、該タグに付与されたIDを用いた通信が実現できる。これにより、無線タグを用いた対象物の位置検出と情報通信を、高価な無線受信局を別に設置することなしに、実現可能である。1つのアンテナで、低い周波数と高い周波数の電磁波に対して良好な感度を実現できる。そのため、低い周波数と高い周波数の電磁波を用いる、2種類の電磁波を利用した遠隔対象物検知システムを、開領域において一つの線状アンテナで実現できる。そのため、同遠隔対象物検知システムの設営自由度向上、システムハードウエアの簡略化・小型化に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明の第一の実施例になる、低高周波共用漏洩アンテナを備えた基地局装置の構成図である。
【図1B】図1AのB−B‘断面を示す図である。
【図2A】本発明の低高周波共用漏洩アンテナの動作原理の説明図である。
【図2B】本発明の低高周波共用漏洩アンテナの動作原理の説明図である。
【図2C】本発明の低高周波共用漏洩アンテナの動作原理の説明図である。
【図2D】本発明の低高周波共用漏洩アンテナの動作原理の説明図である。
【図3A】本発明の低高周波共用漏洩アンテナを備えた基地局装置の効果を説明する図である。
【図3B】図3Aに対する比較例の説明図である。
【図4A】本発明の第二の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを有する低高周波共用漏洩アンテナを備えた基地局装置の構成図である。
【図4B】図4AのB−B‘断面を示す図である。
【図5】本発明の第三の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを備えた基地局装置の構成図である。
【図6】本発明の第四の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを備えた基地局装置の構成図である。
【図7】本発明の第五の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを備えた基地局装置の構成図である。
【図8】本発明の他の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを用いた近距離検知システムの構成図である。
【図9】本発明の他の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを用いた近距離検知システムの構成図である。
【図10】本発明の他の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを用いた近距離検知システムの構成図である。
【図11】本発明の他の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを用いた近距離検知システムの構成図である。
【図12】本発明の他の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを用いた近距離検知システムの敷設図である。
【図13】本発明の他の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを用いた近距離検知システムの構成図である。
【図14】本発明の他の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを用いた近距離検知システムの構成図である。
【図15】本発明の他の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを用いた近距離検知システムの構成図である。
【図16】図15の実施例における、タグの構成例を示す図である。
【図17A】図15の実施例における、集中管理装置の構成図である。
【図17B】図15の実施例における、ID付きLF/RF送受信機の構成例を示す図である。
【図18】図15の実施例における、集中管理装置のID記憶装置のデータ構造の一例である。
【図19】図15の実施例における、無線タグの処理のフローチャートである。
【図20】図15の実施例における、集中管理装置の処理のフローチャートである。
【図21】図15の実施例における、無線タグと基地局と集中管理装置の処理のタイムチャート例である。
【図22】本発明の他の実施例になる、低高周波漏洩同軸ケーブルを用いた近距離検知システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記本発明の課題は、低い周波数(例えばLF帯の低周波)の信号と高い周波数(例えばRF帯の高周波)の信号を用いる限定領域内部に存在する対象物の認知および位置検出システムにおいて、LF帯とRF帯を共用する漏洩同軸ケーブルを用いて対象物に付加した無線タグの情報を伝送し、LF帯の有効感度領域の感度を敢えて低下させ、LF帯の電波を用いて該タグのIDを伝送することにより解決される。LF帯の有効感度領域の感度を低下させることにより、LF帯の電磁波はLF/RF共用漏洩同軸ケーブルの周囲にのみ電磁エネルギを局在させることができる。この時、該漏洩同軸ケーブル近傍領域に存在する電磁エネルギは圧倒的に誘導電磁界成分が大きいために、同エネルギは放射界として外部に伝搬せず、漏洩同軸ケーブルの近傍から離れないので、周囲環境による放射電磁界の反射波の影響は削除される。対象物は漏洩同軸ケーブルの近傍に存在する場合にのみ自身の持つIDを送信するので、少なくとも対象物の位置は該漏洩同軸ケーブル近傍であると特定される。
この位置特定は該漏洩同軸ケーブルの本数により多次元化が可能であり、たとえば、メッシュ状に複数の本発明の漏洩同軸ケーブルを配置すれば、二次元的な場所の特定が可能となる。
【0021】
なお、本発明において、送受信機および閉ループ構造を介して送受される低い周波信号の周波数は、超長波(VLF、3KHz〜30KHz)から中波(MF、300KHz〜3MHz)までの範囲とする。一方、漏洩同軸ケーブルを介して送受される高い周波信号の周波数は、短波(HF、3MHz〜30MHz)からマイクロ波(SHF、3GHz〜30GHz)までの範囲とする。用途によって、この最適の周波数帯域は異なる。一例として、工場内の製造ラインに適用する場合、低い周波数の信号には長波(LF)の周波数帯域、高い周波数の信号には超短波(VHF)または極超短波(UHF)の範囲の周波数帯域を採用するのが望ましい。本発明において、低い周波数の信号は主として対象物の位置検出、高い周波数の信号は主として情報通信に用いられる。本願明細書では、相対的に低い周波数をLF、相対的に高い周波数をRFとして説明する。
【0022】
さらに詳細な対象物の位置特定を行う場合は、LF帯の信号を該漏洩同軸ケーブルを介して通信を行う基地局から、対象物に付加されたタグに送信要求を送り、該タグより返信されたIDの到達時間の遅延により、該漏洩同軸ケーブルのどの部分に該対象物が接近しているかの特定が可能となる。位置特定以外の、基地局とタグとの情報の伝送は大容量の情報伝送が可能なRF帯の電波を用いて実行される。
このように、漏洩同軸ケーブルを有する低高周波共用漏洩アンテナと、高い周波数と低い周波数を併用した通信方式により、対象物の位置特定と該対象物との大容量の情報通信が両立できる。この技術を実用的なレベルで実現するためには、低い周波数(例えばLF帯の低周波)帯の有効感度領域の感度を低下させる手段の実現が新たな課題となる。
【0023】
上記新たな課題を解決する為に、本発明では、高い周波数に感度を有する漏洩同軸ケーブルを用い、この漏洩同軸ケーブルの伸長方向に平行に閉ループ構造を構成する導体線路を併置して、一体の三導体線路を形成する。そして、この三導体線路の終端部において、漏洩同軸ケーブルの内導体と外導体とを抵抗終端し、内導体あるいは外導体と導体線路とを短絡する。
【0024】
そして、三導体線路の入力として、高い周波数の電磁波を内導体と外導体の間に印加し、低い周波数の電磁波を漏洩同軸ケーブルの内外いずれかの導体と併置される導体線路との間に印加する。高い周波数の電磁波は通常の漏洩同軸ケーブルの動作原理に則り外部空間に放射される。電磁波の双対性により外部に存在する高い周波数の電磁波エネルギは漏洩同軸ケーブルに捕獲される。低い周波数の電磁波エネルギは、平行する二つの導体に沿って進行方向逆に電流として存在する。ファラデーの法則に則って、該平行する二つの線路の進行方向の直角方向且つ該二線路を含む面に垂直な面内に強い磁界を発生させる。この原理については、後で、図2A〜図2Dを用いて説明する。このため、本発明の三導体線路によって、高い周波数の電磁波と低い周波数の電磁波に対し感度を有する一体型のアンテナが実現できる。
低い周波数の電磁波のエネルギを該三導体線路であるアンテナに効率よく伝送させるために、アンテナの入力に平行する二導体のインダクタンスを軽減するためには、該アンテナの低い周波数の電磁波に対する入力に容量素子を並列に挿入することが効果的である。該アンテナの長さが長い場合は、該インダクタンスが大きくなるので、該アンテナの低い周波数の電磁波に対する終端部に容量素子を有することにより、アンテナ入力部の容量値増加による基地局寸法の増大を抑えることができる。該終端部の容量をキャパシタとインダクタからなる共振回路で実現すれば、小さい回路素子値で大きな容量値を実現でき、回路の小型化に効果がある。該アンテナからの低い周波数の電磁波の放出を該アンテナの進行方向に対して垂直な面内に一様にさせるには、併置される導体線路を該低い周波数の電磁波に対して減衰特性を持つ磁性体で被覆することが効果的である。
【0025】
また、本発明のLF/RF共用漏洩同軸ケーブルは三導体線路構造であり本質的に閉領域を形成しない開構造であるから、分岐構造を形成することができる。この場合、分岐構造のすべての枝に同等の電磁エネルギを分配することが、本システムの安定動作上肝要である。分岐構造を幹構造に枝構造が接続したものと考えれば、該幹構造から任意の比率で、枝構造に電磁エネルギに関する電力を分配することが必要となる。この分配の比率は、幹構造と枝構造の接続点すなわち分岐点においてこの点から見込んだインピーダンスの実部の比となる。この比を任意の値に調整するためには、各枝構造を形成する本技術の三導体線路を可変抵抗により終端し、同可変抵抗の値を調整することにより、該分岐点からみたインピーダンスの実部を所望の値とすることができる。LF帯については、その波長が事実上極めて長く(数キロ〜数十キロ)、位相を考慮する必要はないが、RF帯については、該分岐点における位相の整合、即ちリアクタンスの整合を考慮する必要がある。
【0026】
インピーダンスZLを終端した伝送線路の入力インピーダンスZinは、次式(1)で与えられる。
【0027】
【数1】

このため、RF帯については可変抵抗に可変リアクタンスを並列あるいは直列接続し同可変リアクタンスを同可変抵抗とともに調整することで、RF帯の電磁エネルギも任意の値で分配可能となる。
【0028】
本発明の低高周波共用漏洩アンテナは、内導体を有する高周波漏洩同軸ケーブルと、その高周波漏洩同軸ケーブルに平行して形成された導体線路と、高周波漏洩同軸ケーブルの一端にて、高周波漏洩同軸ケーブルの内導体と導体線路とを短絡する終端抵抗とを備えて構成される。本発明の1つの特徴は、高周波漏洩同軸ケーブルの他端にて、導体線路と内導体との間に容量と第一の内部抵抗とを有する低周波送信回路が接続されると共に、内導体と導体線路との間に第二の内部抵抗を有する高周波送信回路が接続される点にある。
【0029】
本発明の低高周波共用漏洩アンテナにおいては、高周波漏洩同軸ケーブルに平行して導体線路を形成し、ケーブルの一端において、漏洩同軸ケーブルの外導体と導体線路とを短絡し、漏洩同軸ケーブルの内導体と該導体線路とを終端抵抗を介して短絡し、ケーブルの他端において、該導体線路と該内導体との間に容量と第一の内部抵抗とを有する低周波送信回路を結合し、該内導体と該外導体との間に第二の内部抵抗を有する高周波送信回路を結合してもよい。
【0030】
また、高周波漏洩同軸ケーブルに平行して導体線路を形成し、ケーブルの一端において、漏洩同軸ケーブルの内導体と導体線路とを容量とインダクタにより形成される共振回路を介して短絡し、漏洩同軸ケーブルの内導体と外導体とを終端抵抗を介して短絡し、ケーブルの他端において、導体線路と内導体との間に容量と第一の内部抵抗を有する低周波送信回路を結合し、内導体と外導体との間に第二の内部抵抗を有する高周波送信回路を結合してもよい。
【0031】
また、高周波漏洩同軸ケーブルに平行して導体線路を形成し、ケーブルの一端において、漏洩同軸ケーブルの外導体と導体線路とを容量とインダクタにより形成される共振回路を介して短絡し、漏洩同軸ケーブルの内導体と外導体とを終端抵抗を介して短絡し、ケーブルの他端において、導体線路と内導体との間に容量と第一の内部抵抗とを有する低周波送信回路を結合し、内導体と外導体との間に第二の内部抵抗を有する高周波送信回路を結合してもよい。
【0032】
以上の構成においては、漏洩同軸ケーブルに平行して形成される導体線路が磁性体によって被覆されるように構成すれば好適である。
【0033】
一方、本発明の近距離検知システムは、高周波送信回路および低周波送信回路に信号が重畳される基地局装置と、漏洩同軸ケーブルを含み前記基地局装置に接続された低高周波共用漏洩アンテナと、上記高周波信号と上記低周波信号に感度を有するアンテナおよび高周波受信回路と低周波受信回路とを具備した無線タグからなる。
【0034】
本発明の近距離検知システムは、上記高周波送信回路が高周波受信回路に置換され、低周波発振回路に信号が重畳される基地局装置と、漏洩同軸ケーブルを含み前記基地局装置に接続された低高周波共用漏洩アンテナと、上記高周波信号と上記低周波信号に感度を有するアンテナおよび高周波送信回路と低周波受信回路を具備した無線タグからなるように構成するのが好適である。
【0035】
また、本発明の近距離検知システムは、上記低周波送信回路が低周波受信回路に置換され、低周波発振回路に信号が重畳される基地局装置と、漏洩同軸ケーブルを含み前記基地局装置に接続された低高周波共用漏洩アンテナと、上記高周波信号と上記低周波信号に感度を有するアンテナおよび高周波受信回路と低周波送信回路を具備した無線タグからなるように構成しても好適である。
【0036】
以上の構成において、無線機が受信した信号に重畳される情報に基づいて送信信号に変調を施し、情報を漏洩同軸ケーブルに伝送する構成とすればさらに好適である。
【0037】
本発明の近距離検知システムにおいては、漏洩同軸ケーブルが直線状に敷設されるように構成しても好適であるし、あるいは、漏洩同軸ケーブルが開ループ状に敷設されるように構成しても好適である。また、漏洩同軸ケーブルが、支持柱により、床面より上方に設置されるようにしても好適である。
【0038】
以下、図を参照しつつ、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0039】
まず、図1A〜図3Bを参照しつつ、本発明の第一の実施例を詳細に説明する。
図1Aは、本発明の第一の実施例になる、低高周波共用漏洩アンテナを備えた基地局装置の構成図である。図1Bは、図1AのB−B‘断面を示す図である。
第一の実施例の基地局装置は、低高周波共用漏洩アンテナ30と基地局100とを備えている。基地局100は送受信機33を含んでいる。なお、基地局の構成については後の実施例で詳細に述べる。低高周波共用漏洩アンテナ30は、漏洩同軸内導体1と漏洩同軸外導体2とを有する高周波漏洩同軸ケーブルと、この高周波漏洩同軸ケーブルの一端で内導体と外導体とを接続する終端回路32と、高周波漏洩同軸ケーブルに平行して近接配置され、低周波の信号の通信を行う導体線路のループ構造4(第一の導体線路4A、第二の導体線路4B)と、整合回路31とを備えている。そして、ループ構造4により、低周波信号帯の有効感度領域の感度を低下させ、この低周波信号帯の電磁波を低高周波共用漏洩アンテナ30の周囲に局在させ、高周波漏洩同軸ケーブルにより、低周波の信号の周波数よりも高い周波数の信号の通信を行う。
【0040】
漏洩同軸内導体1と漏洩同軸外導体2との間にはポリエチレンなどの絶縁材が配置されている。この絶縁材に代えて、エアギャップを形成するためのスペーサを配置し、漏洩同軸内導体1と漏洩同軸外導体2との間の絶縁を確保するようにしてもよい。漏洩同軸外部導体2には、例えば銅線を編んだ編組線が使用される。また、漏洩同軸外導体2の外周には、使用周波数に応じた間隔で円周方向にスロット(切れ目)3が形成されている。このスロット3の長さがλ/2に近いほど、放射される電磁波が強くなるが、実際の長さはλ/2よりはるかに短いので、電磁波の漏洩を生ずる。これにより、漏洩同軸ケーブルからその伸長方向に均一な電磁波が輻射される。
【0041】
高周波漏洩同軸ケーブルと導体線路4の伸長方向(軸方向)長さは略等しい。漏洩同軸ケーブル(1、2)と閉ループ構造の導体線路4A、4Bとは、それらを覆う誘電体90で一体化されている(図1B参照)。
【0042】
終端回路32は、漏洩同軸ケーブルの一端で、この高周波漏洩同軸ケーブルの内導体1と外導体2とを終端回路32の終端抵抗13にてインピーダンス終端させると共に、低周波信号が印加される第一の導体線路4Aと第二の導体線路4Bとを終端回路32の短絡路15によりインピーダンス短絡して閉ループ構造を形成する。これにより、漏洩同軸ケーブルのほぼ全長にわたり、電磁波が一様に放射される。
【0043】
送受信機33は、低周波送受信回路と高周波送受信回路を有している。低周波送受信回路は、例えば、第一の送信回路5と第三の受信回路8とを含み、高周波送受信回路は、例えば、第二の送信回路6と、第四の受信回路9とを含んでいる。送受信機33は、必ずしもこれら低周波送受信回路と高周波送受信回路の全ての組み合わせを具備する必要は無い。後の実施例でも述べるように、基地局の用途に応じて、基地局が具備する送受信機33すなわち低周波用通信機器や高周波用通信機器の構成は、適宜変更可能である。
【0044】
整合回路31は、第一のインピーダンス整合回路と、第二のインピーダンス整合回路とを有する。例えば、第一の送信回路5を有する低周波送受信回路と、閉ループ構造の導体線路4(4A、4B)との間で、例えば容量7と第一の内部抵抗11を有する第一のインピーダンス整合回路を介して、所定の周波数帯域の信号の送受信がなされる。また、例えば第二の送信回路6を有する高周波送受信回路と漏洩同軸ケーブルの内導体1と外導体2との間で、第二の内部抵抗12を有する二のインピーダンス整合回路を介して、高い周波数帯域の信号の送受信がなされる。整合回路31の構成も、実施例に記載の構成に限定されるものではなく、送受信機33の構成等に応じて適宜変更される。
【0045】
図1Bに示したように、漏洩同軸ケーブルと導体線路4(4A、4B)との間隔Ga,Gbは漏洩同軸ケーブルの軸方向に各々一定である。後の実施例で述べるように、漏洩同軸内導体1と漏洩同軸外導体2のいずれか一方を、導体線路4Aまたは4Bのいずれか一方と兼用して閉ループ構造とすることもできる。この場合、上記間隔Ga+Gb(=G)は、Ga,Gbのいずれか一方が零となる。
【0046】
上記間隔G(=Ga+Gb)は、低周波の信号の周波数に応じて変る。低高周波共用漏洩アンテナの構成の一例を挙げると、漏洩同軸ケーブルと導体線路4の1セットの伸長方向(軸方向)長さが20m、上記間隔Gが1cm〜50cm程度である。この漏洩同軸ケーブルと導体線路4のセットを、例えば5セット接続して、全長100m程度の低高周波共用漏洩アンテナとして使用することができる。
【0047】
高い周波数の電磁波は、通常の漏洩同軸ケーブルの動作原理に則り外部空間に放射される。電磁波の双対性により外部に存在する高い周波数の電磁波エネルギはこの漏洩同軸ケーブルに捕獲される。低い周波数の電磁波エネルギは、閉ループ構造の平行する二つの導体に沿って進行方向逆に電流として存在する。ファラデーの法則に則って、該平行する二つの線路の進行方向の直角方向且つ該二線路を含む面に垂直な面内に強い磁界を発生させる。
【0048】
この原理を、図2A〜図2Dを用いて説明する。まず、図2Aに示すように、互いに逆方向に電流が流れる平行二線4A、4Bの断面には、これら平行二線間に、太い矢印で示したように、強い磁界成分が形成される。一方、細い矢印で示したように、平行二線4A、4Bを取囲む外部空間に生じる磁界分布は低減される。
【0049】
図2B〜図2Dに示すように、閉ループ構造を構成する二線4A、4Bに低周波の電流が流れると、二線4A、4Bを取囲むように低い周波数の信号の磁界が存在する電磁波エネルギ領域(磁界領域)400が形成される。この電磁波エネルギ領域(磁界領域)400の中には、電磁波エネルギ(磁界)がより一様でかつ安定した有効電磁エネルギ領域40A、40Bが存在する。
【0050】
このように、二線4A、4Bに逆向きに低周波の電流を流すことで低周波信号帯の有効感度領域400の感度を敢えて低下させ、低周波信号帯の電磁波による電磁エネルギを低高周波共用漏洩アンテナ30の周囲にのみ局在させることができる。この時、低高周波共用漏洩アンテナ30の近傍領域に存在する電磁エネルギは圧倒的に誘導電磁界成分が大きいために、同エネルギは放射界として外部に伝搬せず、漏洩同軸ケーブルの近傍から離れないので、周囲環境による放射電磁界の反射波の影響は削除される。
【0051】
また、図2B〜図2Dに示すように、低高周波共用漏洩アンテナ30の平行二線4A、4Bの間隔Gを広げるほどこの平行二線近傍の電磁波エネルギ400内に局在する、基地局とタグの通信に必要な電磁エネルギを確保できる有効電磁エネルギ領域40A、40Bの範囲は広がる。この電磁エネルギは平行二線に流れる電流Iに比例して強度が増える。そのため、平行二線間の間隔Gと電流値Iによって、電磁波は波長オーダーで電磁エネルギを偏在させる基地局とタグの通信に必要な電磁エネルギを確保できる有効電磁エネルギ領域40A、40Bを、任意に調整することができる。なお、電磁波エネルギ領域400における電磁波エネルギの強度は連続的に変化しており、図2B〜図2Dにおける有効電磁エネルギ領域40A、40Bの範囲はあくまでも実用的な領域の一例を概念的に示すものであることは言うまでも無い。
【0052】
このため、本発明の四導体線路または兼用タイプの三導体線路で構成される一体型の低高周波共用漏洩アンテナは、高い周波数の電磁波と低い周波数の電磁波に対し共に優れた感度を有する。前記した通り、本発明において、低周波信号(磁界)は主として対象物の位置検出、高周波信号(電波)は主として情報通信に用いられる。
【0053】
図3Aは、基地局が閉ループ構造を構成する二線間に低周波の電流を流す方式を採用した、本発明の低高周波共用漏洩アンテナの効果を説明する図である。閉ループ構造を構成する二線4A、4Bに低周波の電流を流すことで、基地局100の周囲に、高周波の信号通信領域500よりも範囲の狭い、電磁波エネルギ400、さらにはより安定した有効電磁エネルギ領域40A、40Bが形成される。すなわち、低周波信号と高周波信号を用いる限定領域内部に存在する対象物の認知および位置検出システムにおいて、低周波信号帯の有効感度領域の感度を敢えて低下させ、低周波信号帯の電磁波による電磁エネルギを低高周波共用漏洩アンテナの漏洩同軸ケーブルの周囲にのみ局在させることができる。この時、低高周波共用漏洩アンテナの近傍領域に存在する電磁エネルギは圧倒的に誘導電磁界成分が大きいために、同エネルギは放射界として外部に伝搬せず、漏洩同軸ケーブルの近傍から離れないので、周囲環境による放射電磁界の反射波の影響は削除される。
【0054】
無線タグを保有する対象物は、漏洩同軸ケーブルの近傍に存在する場合にのみ自身の持つIDを送信するので、少なくとも対象物の位置は該漏洩同軸ケーブル近傍であると特定される。そして、低周波信号帯の電波を用いてタグのIDを伝送する。したがって、1個の基地局100が、低周波の信号で基地局100の近傍の有効電磁エネルギ領域40A、40Bに位置する対象物50Aの位置検出を容易に行い、その結果に基づき、基地局と対象物50Aとの間で高周波の信号により情報通信を行うことができる。なお、有効電磁エネルギ領域の外にある対象物50Bの位置検出はおこなわない。このように、本発明の低高周波共用漏洩アンテナは、高い周波数の電磁波と低い周波数の電磁波に対し共に優れた感度を有する。
【0055】
図3Bに、比較例として、従来例方式の、アンテナを構成する漏洩同軸ケーブルが閉ループ構造を持たない例を示す。この比較例では、低周波信号帯の電磁波による電磁エネルギを漏洩同軸ケーブルの周囲にのみ局在させる機能が無いため、高周波の信号通信領域500よりも広い範囲にわたり、低い周波数の電磁波エネルギの領域400が形成される。この場合、1個の基地局100だけは、対象物50Aや50Bの位置検出を正確に行うことができず、有効な情報通信もできない。そのため、前記したように、高価な無線受信局を複数用いた三角測量が必要になる。
【0056】
本発明によれば、四導体線路または兼用タイプの三導体線路で構成される、一体型の低高周波共用漏洩アンテナを採用することにより、図3Aに示した如く、アンテナに接近した対象物に付加された無線タグと基地局の間で低い周波数および高い周波数の電波を用いて、無線タグに付与されたIDを用いた通信が実現できる。そのため、無線タグを用いた対象物の位置検出と情報通信を、三角測量なしに、換言すると高価な無線受信局を別に設置することなく、実現可能である。本発明の低高周波共用漏洩アンテナで、低い周波数と高い周波数の電磁波に対して良好な感度を実現できるので、低い周波数と高い周波数の電磁波を用いる、電磁波を利用した遠隔対象物検知システムを、開領域において一つの線状アンテナで実現できる。
【実施例2】
【0057】
次に、本発明の第二の実施例を説明する。図4Aは、本発明の開放型低高周波漏洩同軸ケーブルを有する低高周波共用漏洩アンテナを備えた基地局装置の、第二の実施例の構成を示す図である。図4Bは、図4AのB−B‘断面を示す図である。
【0058】
高周波漏洩同軸ケーブルは、漏洩同軸内導体1と、スロット3が形成された漏洩同軸外導体2からなる。漏洩同軸ケーブルとその進行方向平行に併置された導体線路4とは、軸方向の間隔Gが一定、すなわち、両者が平行に形成されている。本実施例では、図1Aの導体線路4Bを漏洩同軸内導体1と兼用して閉ループ構造としている。すなわち、低高周波共用漏洩アンテナが一体の三導体線路で構成されている。
【0059】
終端回路32は、漏洩同軸ケーブルの一端で、この漏洩同軸ケーブルの内導体1と外導体2とが終端抵抗13にてインピーダンス終端され、ループ構造を形成する。また、この三導体線路の終端である一つの端部において、導体線路4と内導体1とが短絡路15でインピーダンス短絡される。
【0060】
三導体線路の入力端である他の一端において、導体線路4と内導体1とが、整合回路31の第一のインピーダンス整合回路、ここでは容量7と第一の内部抵抗11を介して、基地局100の低周波送受信回路である第一の送信回路5に接続される。また、内導体1と外導体2とが、第二のインピーダンス整合回路、ここでは第二の内部抵抗12を介して、基地局100の高周波送受信回路である第二の送信回路6に接続される。第一の送信回路5の送信周波数は第二の送信回路6の送信周波数よりも小さく設定されている。低い周波数をもつ第一の送信回路5の電力は、導体線路4と内導体1で形成される帯状ループ構造によって、三導体線路の進行方向に垂直且つ導体線路4と内導体1を包含する平面に垂直な面内で強い磁界を発生させる。
【0061】
第一のインピーダンス整合回路の容量7は、導体線路4と内導体1のインダクタンス成分を補償することにより、低い周波数をもつ第一の送信回路5と導体線路4と内導体1で形成される帯状ループのインピーダンス整合を良好に保ち、有効電磁エネルギ領域の磁界の発生効率を向上させる。高い周波数をもつ第二の送信回路6の電力は、内導体1と外導体2で形成される漏洩同軸ケーブルによって、スロット3より放射される。従って、一体となった三導体線路構造のアンテナにおいて、低い周波数と高い周波数の電磁波に対して良好な感度を開領域において実現できる。
【0062】
このように、本実施例によれば、一体の終端構造を持つ三導体線路構造を有する低高周漏洩同軸アンテナで、低い周波数と高い周波数の電磁波に対して良好な感度を実現できる。すなわち、本実施例によれば、三導体線路で構成される一体型の低高周波共用漏洩アンテナを備えた基地局を提供することができる。本発明の低高周波共用漏洩アンテナを採用すれば、アンテナに接近した対象物に付加された無線タグと基地局の間で低い周波数および高い周波数の電波を用いて、無線タグに付与されたIDを用いた通信が実現できる。そのため、無線タグを用いた対象物の位置検出と情報通信を、三角測量なしに、換言すると高価な無線受信局を別に設置することなく、実現可能である。本発明の低高周波共用漏洩アンテナで、低い周波数と高い周波数の電磁波に対して良好な感度を実現できるので、低い周波数と高い周波数の電磁波を用いる、電磁波を利用した遠隔対象物検知システムを、開領域において一つの線状アンテナで実現できる。
【実施例3】
【0063】
図5は、本発明の開放型低高周波漏洩同軸ケーブルを備えた基地局装置の、第三の実施例の構成を示す図である。本実施例では、導体線路4が一本であり、第一の実施例における漏洩同軸ケーブルの外導体1を導体線路の他の一方と兼用して閉ループ構造としたものである。すなわち、低高周波共用漏洩アンテナが一体の三導体線路で構成されている。その他の構成は、実施例2と同じである。本実施例によれば、実施例2と比べて、低い周波数の電磁波を放射する導体の総表面積が増えるので、低い周波数の電磁波を放射する電流に対する抵抗が減り、第一の送信回路で発生する電力の外部空間への放射効率が上昇する。他方、実施例2と比べて導体線路4と外導体2で形成される帯状ループの幅が狭まるので、該三導体構造からなるアンテナが効率よく磁界を発生できる領域が減少する。
【実施例4】
【0064】
図6は、本発明の開放型低高周波漏洩同軸ケーブルを有する低高周波共用漏洩アンテナを備えた基地局装置の、第四の実施例の構成を示す図である。実施例2と異なる点は、導体線路4と内導体1が、三導体線路からなるアンテナの終端部で、短絡路15に代えてLCを含む共振回路14にて終端される点である。本実施例によれば、共振回路14に用いる小さい回路素子値で大きな容量値を実現でき、導体線路4のL成分を相殺できるので、該アンテナに結合する回路の小型化に効果がある。
【実施例5】
【0065】
図7は、本発明の開放型低高周波漏洩同軸ケーブルを有する低高周波共用漏洩アンテナを備えた基地局装置の、第五の実施例の構成を示す図である。実施例2と異なる点は、導体線路4が磁性体10により被覆されている点である。本実施例によれば、導体線路4が発生させる磁界のエネルギを該磁性体10にて吸収するので、内導体1から放射される磁界は、該内導体1の進行方向垂直面内において一様に放射される。このため、低高周波共用漏洩アンテナの低い周波数の電磁波に対する検知範囲を拡大する効果がある。
【実施例6】
【0066】
図8は、本発明の第六の実施例として、上記各実施例の開放型低高周波漏洩同軸ケーブルを有する低高周波共用漏洩アンテナを用いた、近距離検知システムの一構成例を示すものである。本実施例では、漏洩同軸ケーブルを形成する内導体1と外導体2と、この漏洩同軸ケーブルに平行に併置された導体線路4とによって形成される三導体構造アンテナが、一直線状に敷設されている。三導体構造アンテナの終端は終端回路32にて終端されている。三導体構造アンテナの他端は、整合回路31を介して、近距離検知システムの基地局100の送受信機、すなわち、低い周波数の電磁波を発生する第一の送信回路5と高い周波数の電磁波を発生する第二の送信回路6、に接続されている。この三導体構造アンテナの他端が送受信機の信号で励振される。
【0067】
三導体線路の入力として、第二の送信回路6から高い周波数の電磁波を内導体と外導体の間に印加し、第一の送信回路5から低い周波数の電磁波を漏洩同軸ケーブルの内外いずれかの導体1、2とこれに併置される閉導体線4との間に印加する。高い周波数の電磁波は通常の漏洩同軸ケーブルの動作原理に則り外部空間に放射される。電磁波の双対性により外部に存在する高い周波数の電磁波エネルギは漏洩同軸ケーブルに捕獲される。低い周波数の電磁波エネルギは、閉導体線を構成する平行する二つの導体に沿って進行方向逆に電流として存在する。ファラデーの法則に則って、平行する二つの線路の進行方向の直角方向且つ二線路を含む面に垂直な面内に強い磁界を発生させる。
【0068】
このアンテナから放射される低周波の磁界および高周波の電磁界は、アンテナ30の近傍領域400(特に有効電磁エネルギ領域40A、40B)に局在し、この近傍領域400内に存在する、低い周波数の電磁波を検出する第一の受信回路25と高い周波数の電磁波を検出する第二の受信回路26を具備する端末局20のみが、第一の送信回路5および第二の送信回路6の信号を受信可能である。端末局(無線タグ)20を所持する対象物は、検知した第一の送信回路5および第二の送信回路6の信号により自己の存在位置を把握可能である。
【0069】
本実施例によれば、三導体線路で構成される一体型の低高周波共用漏洩アンテナを備えた基地局を提供することができる。本発明の低高周波共用漏洩アンテナを採用すれば、アンテナに接近した対象物に付加された無線タグと基地局の間で低い周波数および高い周波数の電波を用いて、無線タグに付与されたIDを用いた通信が実現できる。そのため、無線タグを用いた対象物の位置検出と情報通信を、三角測量なしに、換言すると高価な無線受信局を別に設置することなく、実現可能である。本発明の低高周波共用漏洩アンテナで、低い周波数と高い周波数の電磁波に対して良好な感度を実現できるので、低い周波数と高い周波数の電磁波を用いる、電磁波を利用した遠隔対象物検知システムを、開領域において一つの線状アンテナで実現できる。
【実施例7】
【0070】
図9は、本発明の第七の実施例として、上記各実施例の開放型低高周波漏洩同軸ケーブルを有する低高周波共用漏洩アンテナを用いた、近距離検知システムの他の構成例を示す図である。図8の実施例と異なる点は、基地局100の高い周波数の電磁波を発生させる第二の送信回路6が、同電磁波を検出する第四の受信回路9に置き換わり、端末局20の高い周波数の電磁波を検出する第二の受信回路26が、同電磁波を発生する第四の送信回路28に置き換わることである。
【0071】
本実施例によれば、端末局は基地局が発生させる低周波の電磁波情報を用いて、同基地局に対して高周波信号を送出できるので、低い周波数を用いて少ない電力で遠方に存在する端末局に命令を出し、端末局は同命令に呼応して、高い電力で多くの情報量を基地局に伝送するシステムを実現できる。このシステムは、情報を送る頻度が低い場合、同情報を伝送しない間、高周波回路の電力消費を抑制できるので、端末局の消費電力を全体として低減でき、端末局の長寿命動作を実現でき、システム全体の信頼性向上に効果がある。
【実施例8】
【0072】
図10は、本発明の第八の実施例として、上記各実施例の開放型低高周波漏洩同軸ケーブルを有する低高周波共用漏洩アンテナを用いた、近距離検知システムの構成例を示す図である。図8の実施例と異なる点は、基地局の低い周波数の電磁波を発生させる第一の送信回路5が、同電磁波を検出する第三の受信回路8に置き換わり、端末局20の低い周波数の電磁波を検出する第二の受信回路25が、同電磁波を発生する第三の送信回路29に置き換わることである。
【0073】
本実施例によれば、基地局100は端末局20が発生させる低周波の電磁波情報を用いて、その端末局に対して高周波信号を送出できる。したがって、端末局20が低い周波数を用いて少ない電力で遠方に存在する基地局100に命令を出し、基地局は同命令に呼応して、高い電力で多くの情報量を端末局に伝送するシステムを実現できる。このシステムは、基地局が端末局に対して多量の情報を送る放送形態のシステムにおいて、基地局がサービス対象としている端末局の数量を把握し、同数量を配信する放送コンテンツに反映するサービスを、端末が自らの存在を基地局に認知させる手段を低周波回路で実現できるので、同端末局の送信回路の消費電力を低減でき、端末局の長寿命動作を実現でき、システム全体の信頼性向上に効果がある。
【実施例9】
【0074】
図11は、本発明の開放型低高周波漏洩同軸ケーブルを有する低高周波共用漏洩アンテナを用いた近距離検知システムの、他の一実施例の構成を示す図である。図10の実施例と異なる点は、内導体1と外導体2で形成される漏洩同軸ケーブルと導体線路4からなる三導体構造のアンテナが開ループ形状で敷設されていることである。この例でも、漏洩同軸ケーブルに平行に導体線路4が併置されている。すなわち、漏洩同軸ケーブルと導体線路4とは、微分幾何の意味で平行の関係にある。
【0075】
本実施例によれば該アンテナが低い周波数の電磁波および高い周波数の電磁波を効率よくやり取りできる領域が、閉ループ構造の内部領域41と、同閉ループ構造に沿った帯状外部領域42となる。そのため、ある閉空間に検知すべき端末局20を閉じ込めておき、該端末局20が該内部領域41から抜け出す動作を、図9の実施例の動作を用いて有効に検知できる効果がある。本実施例によれば、実効的に閉領域である検知領域を物理的に開領域の装置群で実現可能であり、該装置群の設置容易性および同装置のメインテナンスを、同装置群を解体することなく同閉領域内部に立ち入って実現できる。そのため、閉領域を対象とする対象物検知システムの設置容易性向上および非解体メインテナンスの実現によるシステム信頼性向上に効果がある。
【実施例10】
【0076】
図12は、本発明の開放型低高周波漏洩同軸ケーブルを有する低高周波共用漏洩アンテナを用いた近距離検知システムの、基地局装置敷設の一実施例を示す図である。基地局100と結合した、内導体1と外導体2で形成される漏洩同軸ケーブルと導体線路4からなる三導体構造のアンテナ110が、被検知対象の対象物が存在する内部領域41を取囲む複数の支持ポール101によって、立体的に敷設される。本実施例によれば、近距離検知システムを任意形状の内部領域を形成できるように、且つ、支持ポールを立てて、該支持ポールに該三導体構造のアンテナを吊下げるという容易な敷設行為によって実現できるので、近距離検知システムの敷設性向上、保守向上、また同システムの設置コスト低減に効果がある。
【実施例11】
【0077】
図13は、本発明の低高周波共用漏洩アンテナを用いた近距離検知システムの他の一実施例を示す図である。本実施例では、三導体構造のアンテナが分岐構造を有することを特徴とする。第一の三導体構造アンテナ111と、第二の三導体構造アンテナ112と、第三の三導体構造アンテナ113が分波器51によって、各3アンテナの対応する三導体が互いに結合される。本実施例では第一および第三の三導体構造アンテナ111と113が幹構造を実現し、第二の三導体構造アンテナ112が枝構造を実現している。第二の三導体構造アンテナ112は、LF帯の電波を伝送する漏洩同軸外導体と導体線路が第二の可変抵抗55により終端され、RF電波を転送する漏洩同軸が第一の可変抵抗54と可変リアクタンス53の直列回路により終端される機能を有する分配調整終端52により終端される。
【0078】
第一の可変抵抗54および第二の可変抵抗55と可変リアクタンス53によって、分波器51において、幹構造と枝構造のLF帯およびRF帯において良好なインピーダンス整合と所望の電力分配比が実現できる。LF帯については、その波長が事実上極めて長く(数キロ〜数十キロ)、位相を考慮する必要はないが、RF帯については、該分岐点における位相の整合、即ちリアクタンスの整合を考慮する必要がある。
【0079】
インピーダンスZLを終端した伝送線路の入力インピーダンスZinは、次式(2)で与えられる。
【0080】
【数2】

このため、RF帯については可変抵抗Rに可変リアクタンスXを並列あるいは直列接続しこの可変リアクタンスXを可変抵抗Rとともに調整することで、RF帯の電磁エネルギも任意の値で分配可能となる。このように、幹構造の三導体構造のアンテナから枝構造の三導体構造のアンテナへの所望の電磁エネルギを分配することができる。
【実施例12】
【0081】
図14は、本発明の低高周波共用漏洩アンテナを用いた近距離検知システムの他の一実施例を示す図である。本実施例では、分岐構造を有する三導体構造のアンテナを用いたシステム構成を示している。LF/RF送受信機33に分波器51を分岐点に具備する枝構造三導体構造アンテナ114が結合し、該枝構造三導体構造アンテナ114の各枝構造は分配調整終端52により終端される。枝構造三導体構造アンテナ114に沿って、無線タグ50と基地局であるLF/RF送受信機33とがLF帯およびRF帯の電波で通信できる近傍領域40が枝状に配置される。本実施例によれば、対象物に付加された無線タグと基地局とのLF帯およびRF帯での無線通信を可能にする領域が面状に拡大するので、近距離検知システムのサービスエリア拡大、敷設性向上に効果がある。
【実施例13】
【0082】
図15〜図21は、本発明の低高周波共用漏洩アンテナを用いた近距離検知システムの他の一実施例を示す図である。本実施例では、分岐構造を有する三導体構造のアンテナを用いたシステム構成を示している。
図15において、基地局ID付きLF/RF送受信機34(34a〜34n)に終端回路32(32a〜32n)で終端された三導体構造アンテナが三式(110a〜110n)並設されている。集中管理装置70若しくは各送受信機34は、所定の間隔Gを有し三導体構造アンテナ110のループ構造を構成する二線間に供給される低周波信号の電流値Iを制御することで、各送受信機34と無線タグ50との低周波信号による通信に必要な電磁エネルギを確保できる近傍領域400,401,402を適宜調整する機能を有する。
【0083】
三つの基地局ID付きLF/RF送受信機34は、個別のローカルバス72を介して、コンピュータやプログラムを備えた集中管理装置70に結合する基幹バス71に、無線タグ50と基地局ID付きLF/RF送受信機34が、LF帯およびRF帯の電波で通信できる近傍領域400,401,402にある無線タグの情報を、固有の基地局IDを付与して伝達する。
【0084】
本システムでは、低高周波共用漏洩アンテナ110を介して、固有のIDを持つ無線タグ50と高周波信号および低周波信号の交信を行う基地局34(34a〜34n)とが複数存在し、また、これら複数の基地局が其々固有のIDを持つ。そして、単一のデータバス71を通じて、基地局34が自己の固有IDを付加して、固有のIDを持つ無線タグ50からの受信信号を該無線タグ50の固有IDとともに、単一の集中管理装置70に伝送する。なお、集中管理装置70が無線タグ50に対して、該無線タグの固有ID送信命令を低周波信号を用いて送信する際に、無線タグ50の固有ID信号を重畳する。無線タグ50は受信した同固有ID送信命令に重畳されたID信号が自己の固有IDと一致した場合にのみ、自己の固有IDを低周波信号を用いて返信する。一例として、工場内の製造ラインを想定すると、各送受信機34が2〜3m間隔で配置され、各三導体構造アンテナ110の全長は100mである。
【0085】
集中管理装置70では、基地局IDによって識別される近傍領域40と無線タグ固有のIDによって識別される対象物を同時に特定できるために、三導体構造アンテナ110に接近する対象物の位置を検出可能となる。また、基地局ID付きLF/RF送受信機34に、無線タグからの応答遅延時間を計測する機能を具備させ、同応答時間を集中管理装置に伝達することにより、集中管理装置70は三導体構造アンテナ近傍に存在する対象物のより詳細な位置を検出することも可能となる。
【0086】
図16は、本発明の近距離検知システムに使用される無線タグ50の一実施例を示す図である。ここでは、図8乃至図11に示される端末局20と基地局100の送受信回路とに対応した無線タグ50のハードウェア構成を示す。
無線タグ50は、中央処理装置60で制御される一対の周波数シンセサイザ回路69、RF送信回路65、RF受信回路67、RF分波器63、RFアンテナ61、LF送信回路66、LF受信回路68、LF分波器64、LFアンテナ62および固有ID記憶回路59によって構成されている。なお、電源回路については省略した。
【0087】
無線タグ50のLF送信信号は、固有ID記憶回路59に格納される当該タグの固有IDを重畳し周波数シンセサイザ回路69を発振器とするLF送信回路66で生成され、LF分波器64を介しLFアンテナ62から空中に放射される。LF受信信号は無線タグ50のLFアンテナ62によって空気中から取り込まれ、LF分波器64を介し周波数シンセサイザ回路69をローカルオシレータとするLF受信回路68によって復調され、中央処理回路60に供給される。同様に、RF送信信号は、周波数シンセサイザ回路69を発振器とするRF送信回路65で生成されRF分波器63を介しRFアンテナ61から空中に放射される。RF受信信号はRFアンテナ61によって空気中から取り込まれRF分波器63を介し周波数シンセサイザ回路69をローカルオシレータとするRF受信回路67によって復調され、中央処理回路60に供給される。
【0088】
アクティブタグでは、RF信号は放射電磁界を用いて遠方まで伝送されるので、RFアンテナ61はモノポール等の電波に感度を有するアンテナが好適である。一方、LFアンテナ62は磁界に対して感度を高くする必要があるので、コイルあるいはループアンテナが好適である。本実施例の無線タグは、固有ID記憶回路59によって固有のIDを保持できるから、自己の送信する信号を他の無線タグが送信する信号と識別可能であり、逆に自己の受信する信号を自己に対して送信された信号であるかどうかを識別することが可能となる。本実施例の回路構造を採用することにより、無線タグはRF信号とLF信号を共に送受信可能となり、本発明の低高周波共用漏洩アンテナを用いた近距離検知システムに適用可能となる。
【0089】
次に、図17Aは、近距離検知システムの集中管理装置70の一実施例を示す図である。本実施例の集中管理装置70は、タイマ81、CPU82、命令送信装置83、ID記憶装置84および命令受信装置85によって構成されている。集中管理装置70に結合する基幹バス71に、無線タグ50と基地局のID付きLF/RF送受信機34がLF帯およびRF帯の電波で通信できる近傍領域40にある無線タグの情報を、固有の基地局IDを付与して伝達する。CPU82はタイマ81を用いて、命令送信装置83および命令受信装置85を制御し、ID記憶装置84内に無線タグ50の固有IDと基地局の固有IDの情報を蓄え、各IDに対応した命令返答時間遅延を計算し、無線タグ50の詳細な位置を推定する。
【0090】
図17Bは、基地局すなわち、ID付きLF/RF送受信機34の構成例を示す図である。ID付きLF/RF送受信機34は、LF/RFの各送受信機(5,6,8,9)に接続された制御装置(CNT)341と、CPU342と、送受信機34の自己のIDを保持する記憶装置343とを備えている。ID付きLF/RF送受信機34の動作については、図21のタイムチャートで説明する。なお、実施例1、実施例6等の前記各実施例における基地局100は、このIDを保持する記憶装置343が無い以外は、ID付きLF/RF送受信機34と同じ構成である。もちろん、前記各実施例における基地局100としてID付きLF/RF送受信機34を採用してもよいことは言うまでも無い。
【0091】
図18に、ID記憶装置84のフォーマットの一例を示す。ID記憶装置84には、アドレス、各無線タグ50の固有のID、基地局(ID付きLF/RF送受信機34)の固有のID、測定フラグの状態、及び返信遅延時間が記録される。
【0092】
図19は、無線タグ50の動作を示すフローチャートである。無線タグ50は、起動後、所定の周波数のLF電波を定期的に出力する。また、無線タグ50は、低高周波共用漏洩アンテナ30に近づくと、LF電波を受信する(S190)。受信した電波を復調してその信号に集中管理装置70からのタグID送信要求が含まれるかどうかを確認する(S191)。集中管理装置からのタグID送信要求にはタグのIDが含まれているので、タグ50は同IDと自己の固有IDを比較し(S192)、両者が一致したときにのみ自己の固有IDをLF電波を用いて送信する(S193)。受信したLF電波に集中管理装置70からのタグID送信要求が含まれていない場合は、集中管理装置70が最初に当該タグを認識することになるので、タグ50は、自己の固有IDを接続開始信号とともに、LF電波を用いて送信する(S194)。
【0093】
図20のフローチャートで、本実施例における集中管理装置70の動作を示す。
集中管理装置70は、(1)有効電磁エネルギ領域40A、40Bに位置するタグ50の検出、及び、(2)検出されたタグ50の詳細な位置情報の取得、の2つの機能を有している。集中管理装置70は、まず、有効電磁エネルギ領域40A、40Bに位置するタグ50の検出のために、基地局34の固有IDおよびタグ固有のIDを付与されたタグ50からの送信信号を受信、解読する(S201)。受信信号の中に図19のフローで示したタグの接続開始信号が含まれていれば(S202)、本発明の低高周波共用漏洩アンテナ30を用いた近距離検知システムによって新たに検知されたタグであると認識して、ID記憶装置84の中に、該基地局固有IDおよびタグ固有IDを書込む(S204)。受信信号の中にタグの接続開始信号が含まれていなくても、ID記憶装置84の情報と比較して新たに検知されたタグと判定された場合(S203)、同様に、S204以下の処理を行う。
【0094】
次に、集中管理装置70は、検出されたタグの詳細な位置情報を得るために、そのタグに対してID記憶装置の中に蓄えられた基地局およびタグ自身の固有IDを付与してタグにID送信要求命令を送出し(S209)、同要求中であることを示すために、ID記憶装置84の中に固有ID毎に設定された測定フラグにONを書き込み、タイマの示す時間をID記憶装置の中に固有ID毎に設定された返信遅延時間に書き込む。
【0095】
そして、集中管理装置70は、測定フラグがONとなっている対象タグの固有IDと関連した基地局IDを用いて、該ID送信要求命令に呼応した、所望タグからの返信を待つ(S205)。同様のID確認動作により、所望タグからの該ID送信要求命令に対する返信が確認された場合、その時点でのタイマの示す時間と当該IDに設定された返信遅延時間との差分を該返信遅延時間に上書きし、当該IDに設定された測定フラグをIDleとする(S207)。S205で測定フラグがONとなっていない場合、基地局およびタグ自身の固有IDを記憶し(S206)、当該タグの詳細な位置情報を得る必要がある場合、測定フラグをONとし(S208)、該タグに対してID記憶装置の中に蓄えられた基地局およびタグ自身の固有IDを付与してタグにID送信要求命令を送出する(S209)。
【0096】
図21に、図19、図20に示した一連の動作のタイムチャートを示す。集中管理装置70に、無線タグ50と基地局ID付き送受信機34がLF帯およびRF帯の電波で通信できる近傍領域40にある無線タグの情報を、固有の基地局IDを付与して伝達する。集中管理装置70では、これらの情報を「ID記憶装置関連処理」としてID記憶装置84のフォーマットにより管理する。すなわち、集中管理装置70は、低高周波共用漏洩アンテナを用いた近距離検知システムに結合する個々のタグの固有IDと、同タグが交信を行っている基地局の固有IDと、集中管理装置より該基地局を経由してタグに到達し再び該基地局を経由して集中管理装置に戻ってくるまでの交信遅延時間を記録している。そのため、あらかじめ低高周波共用漏洩アンテナの地理的設置情報を得ていれば、これら交信遅延時間と同ケーブル設置地理情報により、当該タグの位置検出をケーブル毎の単位よりもより精度よく、該ケーブルの分割された部分の単位で実現することができる。これにより、無線タグを付与された対象物の位置検出の精度向上に効果がある。
【0097】
本実施例によれば、複数の線状に分布する領域に存在する、対象物の位置検出と情報通信が可能となるので、製造ライン等のライン上での物品管理、作業者管理を実現する効果がある。
【実施例14】
【0098】
図22は、本発明の低高周波共用漏洩アンテナを用いた近距離検知システムの他の実施例を示す図である。本実施例では、図15のシステムを二次元に拡張したものである。基地局ID付きLF/RF送受信機34(34a〜34n)に終端回路32(32a〜32n)で終端された三導体構造アンテナ110(110a〜110n)が縦方向に三式、横方向に四式二次元状に並設されるほかは、図15の実施例と同様の構成である。本実施例では、無線タグ50と基地局ID付きLF/RF送受信機34がLF帯およびRF帯の電波で通信できる近傍領域40(401〜403,410〜440)にあらかじめ、二進系列のIDを付与しておき、縦方向に配置されるLF/RF送受信機34のIDと横方向に配置されるLF/RF送受信機34のIDの和によって、三導体構造アンテナ近傍に存在する対象物の二次元的存在位置を検出する。
【0099】
本実施例によれば、実施例13と異なり、基地局ID付きLF/RF送受信機34に、無線タグからの応答遅延時間を計測する機能を具備させる必要が無い。また、ID記憶装置84のフォーマットにおける返信遅延時間の記録も不要となる。そのため、簡易に対象物の二次元位置の検出が可能となるので、システムの設置コスト低減に効果がある。
【符号の説明】
【0100】
1…漏洩同軸内導体、2…漏洩同軸外導体、3…スロット、4…導体線路、5…第一の送信回路、6…第二の送信回路、7…容量、8…第三の受信回路、9…第四の受信回路、10…磁性体、11…第一の内部抵抗、12…第二の内部抵抗、13…終端抵抗、20…端末局、25…第一の受信回路、26…第二の受信回路、28…四の送信回路、29…三の送信回路、31…整合回路、32…終端回路、33…LF/RF送受信機、34…基地局ID付きLF/RF送受信機、40…近傍領域、41…内部領域、42…帯状外部領域、50…無線タグ、51…分波器、52…分配調整終端、53…可変リアクタンス、54…第一の可変抵抗、55…第二の可変抵抗、59…固有ID記憶回路、60…中央処理装置、61…RFアンテナ、62…LFアンテナ、63…RF分波器、64…LF分波器、65…RF送信回路、66…LF送信回路、67…RF受信回路、68…LF受信回路、69…周波数シンセサイザ、70…集中管理装置、71…基幹バス、72…ローカルバス、81…タイマ、82…CPU、83…命令送信装置、84…ID記憶装置、85…命令受信装置、100…基地局、101…支持ポール、110…三導体構造アンテナ、111…第一の三導体構造アンテナ、112…第二の三導体構造アンテナ、113…第三の三導体構造アンテナ、114…分岐構造三導体構造アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内導体と外導体とを有する高周波漏洩同軸ケーブルと、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの一端で前記内導体と前記外導体とをインピーダンス終端させる終端回路と、
前記高周波漏洩同軸ケーブルに平行して近接配置され、低周波信号の通信を行う導体線路のループ構造とを備え、
前記高周波漏洩同軸ケーブルにより、前記低周波信号よりも周波数の高い高周波数信号の通信を行い、
前記ループ構造により、前記低周波信号の有効感度領域の感度を低下させ、該低周波信号の電磁波を該ループ構造の周囲に局在させる
ことを特徴とする低高周波共用漏洩アンテナ。
【請求項2】
請求項1において、
前記ループ構造は、前記高周波漏洩同軸ケーブルに平行して近接配置された第一、第二の導体線路により形成され、
前記第一の導体線路の一端と前記第二の導体線路の一端とを短絡させるインピーダンス短絡回路を有している
ことを特徴とする低高周波共用漏洩アンテナ。
【請求項3】
請求項1において、
前記ループ構造は、前記高周波漏洩同軸ケーブルに平行して近接配置された導体線路と、前記高周波漏洩同軸ケーブルの前記内導体とによって構成されており、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの一端に対応する位置で、前記内導体と前記導体線路とをインピーダンス短絡して前記ループ構造を形成する短絡路と、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの前記内導体と前記外導体とをインピーダンス終端させる終端抵抗とを備え、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの他端において、前記内導体と前記導体線路との間に、低い周波数帯域の信号の通信を行う低周波用通信機器を接続するための第一のインピーダンス整合回路が接続され、
前記内導体と前記外導体との間に、前記低周波用通信機器の周波数帯域よりも高い周波数帯域の信号の通信を行う高周波用通信機器を接続するための第二のインピーダンス整合回路が接続される
ことを特徴とする低高周波共用漏洩アンテナ。
【請求項4】
請求項1において、
前記ループ構造は、前記高周波漏洩同軸ケーブルに平行して近接配置された導体線路と、前記高周波漏洩同軸ケーブルの前記外導体とによって構成されており、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの一端に対応する位置で、前記外導体と前記導体線路とをインピーダンス短絡して前記ループ構造を形成する短絡路と、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの前記内導体と前記外導体とをインピーダンス終端させる終端抵抗とを備え、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの他端において、前記外導体と前記導体線路との間に、低い周波数帯域の信号の通信を行う低周波用通信機器を接続するための第一のインピーダンス整合回路が接続され、
前記内導体と前記外導体との間に、前記低周波用通信機器の周波数帯域よりも高い周波数帯域の信号の通信を行う高周波用通信機器を接続するための第二のインピーダンス整合回路が接続される
ことを特徴とする低高周波共用漏洩アンテナ。
【請求項5】
請求項3において、
前記第一のインピーダンス整合回路は容量と第一の内部抵抗で構成され、前記第二のインピーダンス整合回路は第二の内部抵抗で構成されている
ことを特徴とする低高周波共用漏洩アンテナ。
【請求項6】
請求項3において、
前記内導体と前記導体線路とを短絡して前記ループ構造を形成する短絡路に共振回路が接続されている
ことを特徴とする低高周波共用漏洩アンテナ。
【請求項7】
請求項3において、
前記高周波漏洩同軸ケーブルに平行して配置される前記導体線路が磁性体によって被覆されている
ことを特徴とする低高周波共用漏洩アンテナ。
【請求項8】
請求項3において、
前記内導体と前記外導体で形成される前記高周波漏洩同軸ケーブルと前記導体線路からなる三導体構造の前記低高周波共用漏洩アンテナが閉ループ形状で敷設されている
ことを特徴とする低高周波共用漏洩アンテナ。
【請求項9】
請求項8において、
前記三導体線路構造が、幹構造と枝構造とで構成される前記漏洩同軸ケーブルの分岐構造を含んでいる
ことを特徴とする低高周波共用漏洩アンテナ。
【請求項10】
通信機器と低高周波共用漏洩アンテナとを備えた基地局装置であって、
前記低高周波共用漏洩アンテナは、
内導体と外導体とを有する高周波漏洩同軸ケーブルと、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの一端で前記内導体と前記外導体とをインピーダンス終端させる終端回路と、
前記高周波漏洩同軸ケーブルに平行して近接配置され、前記通信機器により低周波信号の通信を行う導体線路のループ構造とを備えており、
前記高周波漏洩同軸ケーブルを介して前記通信機器により、前記低周波信号よりも周波数の高い高周波数信号の通信を行い、
前記ループ構造により、前記低周波信号の有効感度領域の感度を低下させ、該低周波信号の電磁波を該ループ構造の周囲に局在させる
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記ループ構造は、前記高周波漏洩同軸ケーブルに平行して近接配置された導体線路と、前記高周波漏洩同軸ケーブルの前記内導体とによって構成されており、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの一端に対応する位置で、前記内導体と前記導体線路とをインピーダンス短絡して前記ループ構造を形成する短絡路と、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの前記内導体と前記外導体とをインピーダンス終端させる終端抵抗とを備え、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの他端において、前記内導体と前記導体線路と前記通信機器との間に第一のインピーダンス整合回路が接続されると共に、前記内導体と前記外導体と前記通信機器との間に第二のインピーダンス整合回路が接続される
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項12】
請求項10において、
前記ループ構造は、前記高周波漏洩同軸ケーブルに平行して近接配置された第一、第二の導体線路により形成され、
前記ループ構造の前記第二の導体線路が、前記高周波漏洩同軸ケーブルの前記外導体と兼用されており、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの一端に対応する位置で、前記外導体と前記第一の導体線路とを短絡して前記ループ構造を形成する短絡路と、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの前記内導体と前記外導体とをインピーダンス終端させる終端抵抗とを備え、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの他端において、前記外導体と前記第一の導体線路と前記通信機器との間に第一のインピーダンス整合回路が接続されると共に、前記内導体と前記外導体と前記通信機器との間に第二のインピーダンス整合回路が接続される
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項13】
請求項10において、
前記低周波の信号を主として対象物の位置検出、前記高周波の信号を主として情報通信に用いる
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項14】
請求項10において、
前記高周波漏洩同軸ケーブルが、幹構造と枝構造からなる分岐構造状に敷設されており、
該枝構造に相当する該高周波漏洩同軸ケーブルの終端に、前記高周波の信号に対しては可変リアクタンス回路と可変抵抗の直列接続が結合し、前記低周波の信号に対しては可変抵抗が結合する
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項15】
請求項10において、
前記高周波漏洩同軸ケーブルが、幹構造と枝構造からなる分岐構造状に敷設されており、
該枝構造に相当する該高周波漏洩同軸ケーブルの終端に、前記高周波の信号に対しては可変リアクタンス回路と可変抵抗の並列接続が結合し、前記低周波の信号に対しては可変抵抗が結合する
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項16】
通信機器と低高周波共用漏洩アンテナとを有する基地局装置と、集中管理装置と、無線タグとを備えた近距離検知システムであって、
前記通信機器は、低い周波数信号の通信を行う低周波用通信機器と、前記低周波用通信機器の周波数よりも周波数の高い高周波信号の通信を行う高周波用通信機器とを備えており、
前記低高周波共用漏洩アンテナは、
内導体と外導体とを有する高周波漏洩同軸ケーブルと、
前記高周波漏洩同軸ケーブルの一端で前記内導体と前記外導体とをインピーダンス終端させる終端回路と、
前記高周波漏洩同軸ケーブルに平行して近接配置された導体線路により形成されるループ構造とを備えており、
該ループ構造の一部が前記高周波漏洩同軸ケーブルの前記内導体もしくは前記外導体と兼用されており、前記低高周波共用漏洩アンテナが、前記高周波漏洩同軸ケーブルと前記ループ構造の導体線路からなる三導体構造を有しており、
前記無線タグは、前記高周波の信号と前記低周波の信号に感度を有するアンテナおよび高周波受信回路と低周波受信回路を具備しており、
前記集中管理装置は、
前記低高周波共用漏洩アンテナのループ構造により、前記低周波信号の有効感度領域の感度を低下させ、該低周波信号の電磁波を該低高周波共用漏洩アンテナの周囲に局在させ、
前記通信機器の低周波の信号により、前記低高周波共用漏洩アンテナ近傍の前記無線タグの位置検出を行い、前記高周波の信号により前記無線タグとの情報通信を行う
ことを特徴とする近距離検知システム。
【請求項17】
請求項16において、
前記無線タグが固有のIDを持ち、前記低周波の信号の電磁波の磁界成分を用いて該無線タグが該固有のIDを通信することにより、前記基地局装置が前記無線タグの位置検出を行う
ことを特徴とする近距離検知システム。
【請求項18】
請求項17において、
前記固有のIDを持つ前記無線タグと前記基地局装置とが複数存在し、
前記各基地局装置が其々固有のIDを持ち、
単一のデータバスを通じて、前記各基地局装置が自己の固有IDを付加して、前記固有のIDを持つ前記無線タグからの受信信号を該無線タグの固有IDとともに、単一の前記集中管理装置に伝送する
ことを特徴とする近距離検知システム。
【請求項19】
請求項17において、
前記集中管理装置がID記憶装置を具備し、
該集中管理装置は、前記無線タグに対して該無線タグの固有ID送信命令を、前記低周波信号を用いて送信し、
該無線タグは該固有ID送信命令に呼応して、前記自己の固有IDを、前記低周波信号を用いて返信し、
前記基地局装置は、該無線タグの送信信号を受信し、該受信信号に該記基地局装置固有のIDを重畳して前記集中管理装置に再送信し、
該集中管理装置は該無線タグからの返信信号を受信するまでの遅延時間を計測する手段を具備する
ことを特徴とする近距離検知システム。
【請求項20】
請求項17において、
前記低高周波共用漏洩アンテナが平行して直線状に配置される前記近距離検知システムを二組具備し、
該二組の近距離検知システムを二次元状直交して配置し、
それらの制御を同一の前記集中管理装置で行う
ことを特徴とする近距離検知システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−182380(P2011−182380A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183564(P2010−183564)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】