説明

低BTU燃料噴射システム

【課題】ガスタービンエンジンにおける低BTU燃料噴射システムを提供すること。
【解決手段】システム(10)は、ガスタービン圧縮機(24)の周縁部の周りに配置された複数の半径方向突出部(44、46)を有するガスタービン圧縮機(24)を含む。
各半径方向の突出部(44、46)は、ガスタービン圧縮機(24)にガス燃料(38)を噴射させるように構成された複数のガス燃料噴射オリフィス(92、94、96、98、114、116、118、120)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低BTU燃料噴射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、燃料と空気の混合物を燃焼させて高温燃焼ガスを生成する。ガスタービンエンジンでは、一般に、天然ガスなどの英国熱量単位(BTU)の高い燃料が使用される。低BTU燃料は、低価格で利用可能であることが多く、それでも、これらの燃料は、ガスタービンエンジン内では簡単には使用可能ではない。この低エネルギー/容積では、ガスタービンエンジンの燃焼、エミッション及び性能に関して問題が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6666027号明細書
【発明の概要】
【0004】
本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明の幾つかの実施形態について要約する。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明の可能な形態を簡単にまとめたものである。実際、本発明は、以下に記載する実施形態と同様のものだけでなく、異なる様々な実施形態を包含する。
【0005】
第1の実施形態では、システムは、上流側段及び下流側段を有するガスタービン圧縮機を含む。システムはまた、上流側段及び下流側段と流体連通しているガス燃料再循環組立体を含む。ガス燃料再循環組立体は、ガス燃料を上流側段に噴射させ、下流側段から燃料空気混合物を抽出して、該燃料空気混合物を上流側段に再噴射させるように構成される。
【0006】
第2の実施形態では、システムは、ガスタービン圧縮機の周縁部の周りに配置された、複数の半径方向の突出部を有するガスタービン圧縮機を含む。各半径方向突出部は、ガス燃料をガスタービン圧縮機に噴射させるように構成された複数のガス燃料噴射オリフィスを含む。
【0007】
第3の実施形態では、システムは、ガスタービン圧縮機の周縁部の周りに配置された空気入口を有するガスタービン圧縮機を含む。本システムはまた、空気入口から下流側にあるガスタービン圧縮機内に配置された複数のガス燃料噴射オリフィスを含む。各ガス燃料噴射オリフィスは、ガス燃料をガスタービン圧縮機に噴射させるように構成される。
【0008】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができるであろう。図面を通して、同様の部材には同様の符号を付した。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の特定の実施形態による、低BTU燃料をガスタービン圧縮機に噴射させるタービンシステムのブロック図。
【図2】本発明の特定の実施形態による、図1に示すタービンシステムの切欠き側面図。
【図3】本発明の特定の実施形態によるガス燃料再循環組立体を示す、図2の線3−3で囲まれた圧縮機セクションの切欠き側面図。
【図4】本発明の特定の実施形態による、圧縮機ケーシング及び圧縮機ハブを介したガス燃料噴射を示す図2の線3−3で囲まれた圧縮機セクションの切欠き側面図。
【図5】本発明の特定の実施形態による、図4の線5−5で囲まれた圧縮機ケーシングの切欠き側面図。
【図6】本発明の特定の実施形態による圧縮機固定ブレードを介したガス燃料噴射を示す、図2の線3−3で囲まれた圧縮機セクションの切欠き側面図。
【図7】本発明の特定の実施形態による複数のガス燃料噴射オリフィスを含む例示的な圧縮機固定ブレードの斜視図。
【図8】本発明の特定の実施形態による圧縮機回転ブレードを介したガス燃料噴射を示す、図2の線3−3で囲まれた圧縮機セクションの切欠き側面図。
【図9】本発明の特定の実施形態による複数のガス燃料噴射オリフィスを含む例示的な圧縮機回転ブレードの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の1以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するため、現実の実施に際してのあらゆる特徴について本明細書に記載しないこともある。実施化に向けての開発に際して、あらゆるエンジニアリング又は設計プロジェクトの場合と同様に、実施毎に異なる開発者の特定の目標(システム及び業務に関連した制約に従うことなど)を達成すべく、実施に特有の多くの決定を行う必要があることは明らかであろう。さらに、かかる開発努力は複雑で時間を要することもあるが、本明細書の開示内容に接した当業者にとっては日常的な設計、組立及び製造にすぎないことも明らかである。
【0011】
本発明の様々な実施形態の構成要素について紹介する際、単数形で記載したものは、その構成要素が1以上存在することを意味する。「含む」、「備える」及び「有する」という用語は内包的なものであり、記載した構成要素以外の追加の要素が存在していてもよいことを意味する。
【0012】
以下で詳細に論じるように、開示する種々の実施形態は、少なくとも部分的にはガスタービンエンジンのガスタービン圧縮機を介して低BTU燃料を加圧する。ガスタービン圧縮機の使用はまた、低BTU燃料の一部を加圧するように構成された別個の圧縮機を追加することができる。このようにすると、低BTU燃料加圧用のガスタービン圧縮機の使用により、低BTU燃料圧縮機により利用される出力を実質的に低減又は排除することができ、その結果、タービンシステムの効率が向上する。具体的には、低BTUガス燃料をガスタービン圧縮機に噴射させることができる。このような構成においては、ガスタービン圧縮機は、燃焼器への噴射前に燃料及び空気を加圧及び混合する役目を果たし、その結果、直接的な燃焼器への燃料噴射が低減又は排除される。その結果として、より小型/低出力の燃料圧縮機を利用することができ、場合によっては、燃料圧縮機を省略することができる。以下で詳細に論じるように、ガスタービン圧縮機は、燃料及び空気の混合を高めるように構成される特定の特徴部を含み、その結果、タービンシステムの効率が向上し、規制対象の排気生成物のエミッションが低減され、圧縮機内での自己点火の可能性が実質的に低減又は排除される。一実施形態では、圧縮機は、ガスタービン圧縮機の上流側段に燃料を噴射させるように構成されたガス燃料再循環組立体を含む。また、再循環組立体は、燃料/空気混合物を下流側圧縮機段から抽出して、混合物を上流側段に再噴射させるように構成される。この構成は、圧縮機内の燃料及び空気の混合を増大させることができ、更にタービンシステムの性能が向上する。
【0013】
更なる実施形態では、ガスタービン圧縮機は、ガスタービン圧縮機の周縁部の周りに配置された、複数の半径方向の突出部を含むことができる。各半径方向の突出部は、圧縮機に低BTU燃料を噴射させるように構成された複数のガス燃料噴射オリフィスを含むことができる。特定の構成においては、半径方向の突出部は、圧縮機にガス燃料を噴射させるように特に構成されたベーン又はブレードである。他の実施形態では、圧縮機は、空気入口から下流側に配置されたガス燃料噴射オリフィスを含む。空気入口から下流側に燃料を噴射させることにより、圧縮機内の高速多方向空気流パターンに起因して、圧縮機内での燃料及び空気の混合の改善を可能にすることができる。燃料及び空気の混合の増大により、燃料が圧縮機入口で噴射される実施形態と比較して、タービンシステムの効率を向上させることができる。更に、混合の改善により自己点火の可能性が低減されるので、更なる燃料を圧縮機に供給することができ、その結果、燃料圧縮機により利用される出力が大幅に低減又は排除される。
【0014】
次に図面に移り、最初に図1を参照すると、ガスタービンシステム10の実施形態のブロック図が示されている。タービンシステム10は、燃料ノズル12、低BTU燃料供給源14及び燃焼器16を含む。例示するように、燃料供給源14は、燃焼器16へのノズル12を介してタービンシステム10に、コークス炉ガス(COG)、高炉ガス(BFG)、ガス化バイオマス(例えば、エタノール)又は希釈高BTU燃料(例えば、空気で希釈された天然ガス)などの低BTU燃料を供給する。理解されるように、燃料のエネルギー特性を定義するために発熱量を用いることができる。例えば、燃料の発熱量は、指定量の燃料を燃焼させることにより放出された熱量と定義することができる。詳細には、低位発熱量(LHV)は、指定量の燃料(例えば、初めに25℃又は別の基準状態にある)を燃焼させて、ターゲット温度(例えば、150℃)まで燃焼生成物の温度を戻すことにより放出された熱量と定義することができる。LHVの1つの例示的な測定単位は、標準立方フィート(scf)当たりの英国熱量単位(BTU)(例えば、BTU/scf)である。標準立方フィート(scf)は、華氏60度での1立方フィートの容積、及び14.696ポンド/平方インチ(1気圧)又は14.73PSI(30inHg)の圧力に等しいガスの量の尺度と定義することができる。以下の検討において、LHV及び/又はBTUレベル(例えば、低又は高)を用いて、様々な燃料の発熱量を示すことができるが、いかなる点においても限定を意図するものではない。開示する種々の実施形態の範囲内で任意の他の値を用いて、燃料のエネルギー及び/又は熱出力を特徴づけることができる。この実施形態では、低BTU燃料は、25、50、100、150、200、250、300、350、400、450又は500BTU/scf未満のLHVを有することができる。更なる実施例として、低BTU燃料のLHVは、およそ、25〜500、50〜400又は約75〜350BTU/scfの間とすることができる。代替の実施形態では、燃料供給源は、およそ600〜1500、700〜1350又は約800〜1200BTU/scfのLHVを有する天然ガスなどの高BTU燃料を、以下で説明するタービンシステム構成部品に供給することができる。
【0015】
以下で論じるように、燃焼器16は、加圧空気と燃料を混合するように構成される。燃焼器16は、燃料空気混合物を点火及び燃焼させて、その後、高温加圧排気ガスをタービン18に移動させる。非秋ガスは、タービン18内のタービンブレードを通過させ、これによりタービン18を駆動して回転させる。タービン18及びシャフト20内のブレード間の結合により、図示するようにタービンシステム10全体を通して幾つかの構成部品にも結合されたシャフト20の回転が引き起こされる。最終的には、燃焼プロセスの排気は、排気出口22を介してタービンシステム10から出ることができる。
【0016】
タービンシステム10の実施形態では、圧縮機ブレードは、圧縮機24の構成部品として含まれる。圧縮機24内のブレードは、シャフト20に結合することができ、シャフト20がタービン18によりを回転駆動されるにつれて回転することになる。圧縮機24は、吸気口26を介してタービンシステム10に空気を取り込むことができる。更に、シャフト20は、シャフト20の回転により動力を供給することができる負荷28に結合することができる。理解されるように、負荷28は、発電プラント又は外部機械負荷など、タービンシステム10の回転出力により出力を生成することができる任意の好適な装置とすることができる。例えば、負荷28は、発電機、航空機のプロペラ、その他を含むことができる。吸気口26は、冷間吸気口など好適な機構によってタービンシステム10に空気30を取り込む。空気30は、その後、圧縮機24のブレードを通過し、圧縮機24は、燃焼器16に加圧空気32を供給する。詳細には、加圧空気32及び燃料14は、混合及び燃焼のため燃焼器16に直接噴射される。
【0017】
図示するように、低BTU燃料14は、ノズル12及び圧縮機24の両方に供給される。理解されるように、低BTUガス燃料は、燃焼器16への噴射前に加圧され、燃料のエネルギー密度を増大させることができ、その結果、燃焼プロセスが向上する。従って、燃料圧縮機34は、低BTU燃料14を加圧してノズル12に加圧燃料流36を供給する。更に、非加圧の低BTU燃料38は、圧縮機24に直接供給される。以下で詳細に論じるように、ポンプを設置し、燃圧が圧縮機24内の空気圧を上回るように燃料流38の圧力を増大させることができる。
【0018】
低BTU燃料は、圧縮機ケーシング、圧縮機ハブ、及び/又は固定ベーン又は回転ブレードなどの半径方向の突出部を介して圧縮機24に噴射させることができる。更に、低BTU燃料は、圧縮機入口から下流側で噴射させることができる。このような構成は、低BTU燃料が圧縮機入口にて噴射される構成と比較して、圧縮機24内の燃料及び空気の混合の改善を可能にすることができる。以下で詳細に論じるように。混合の改善により、自己点火の可能性を低減させることができ、その結果、最大許容燃料濃度が増大する。従って、燃料/空気混合物の自己点火の可能性を制限しながら、より多くの量の燃料を圧縮機24を介して噴射することができる。
【0019】
更に混合を可能にするために、ガス燃料再循環組立体40を圧縮機24に結合することができる。この組立体40は、燃料/空気混合物を下流側圧縮機段から抽出し、混合物を上流側圧縮機段に再噴射する。このようなシステムは、燃料及び空気の混合を増大させることができ、その結果、自己点火の可能性が低下すると共に圧縮機への最大許容燃料流量が増大する。理解されるように、圧縮機24に低BTU燃料を噴射させると、ノズル12に対して圧縮機34により供給される燃料36の量を低減又は排除することができる。例えば、本実施形態は、より小型/低出力の圧縮機34を利用して、燃料ノズル12への供給前に燃料を加圧することができる。その結果、圧縮機34を駆動させる消費エネルギーを少なくすることができ、これによりタービンシステム10の全体の出力が増大する。特定の実施形態では、圧縮機34は、サイズ及び/又は出力要件において少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80又は90%を上回って低減することができる。
【0020】
理解されるように、低BTU燃料でガスタービンシステム10を運転すると、圧力比は、圧縮機24の限界値に接近する場合がある。例えば、圧縮機圧力比(例えば、圧縮機24を出る空気圧24と圧縮機24に入る空気圧の比)は、タービン全体にわたる圧力比(例えば、タービン18に入る高温ガス圧とタービン18を出る高温ガス圧の比)よりも小さくなる可能性がある。圧縮機24に圧力比保護を提供する(例えば、圧縮機24失速の可能性を低減する)ために、圧縮機24から排出される空気は、機外ブリード空気管路37を介して抽気することができる。
【0021】
圧縮機24から抽気される空気量は、周囲条件及びガスタービン出力の関数とすることができる。更に具体的には、抽気される空気量は、周囲温度低下及びガスタービン負荷が低くなると共に増大することができる。更に、上述のように、低BTUガス燃料14を利用するガスタービン用途においては、燃料14の流量は、一般に、同等の天然ガス燃料用途の場合よりもはるかに高くなる。これは、主として、同等の加熱又は所望の燃焼温度を達成するためにより多くの低BTU燃料を使用できることに起因する。この点を踏まえると、更なる背圧が圧縮機24に加わる可能性がある。これらの用途においては、圧縮機24から排出された空気を抽気し、背圧を低減して、圧縮機24の失速マージン(例えば、失速を阻止する設計誤差のマージン)を向上させることもできる。
【0022】
圧縮機24から排出された空気を抽気すると、タービンシステム10の正味効率が低下する可能性があり、この理由は、圧縮機24内の空気の圧力を高めるために消費されたエネルギーが、燃焼室16及びタービン18によって回収されないことによる。しかしながら、圧縮機24に低BTU燃料を噴射させることにより、本実施形態は、管路37を介した抽気を大幅に低減又は排除することができる。具体的には、噴射燃料38が圧縮機24内の空気の一部と置き換わるので、燃焼器16に供給される空気が少なくなる。その結果として、抽気又はブリード空気の量を大幅に低減しなくても、所望の圧力比を圧縮機24内で確立することができる。燃料が圧縮機24内に噴射されない構成と比較して、圧縮機24から抽出される空気が少なくなるので、空気抽出に伴う効率損失を大幅に低減又は排除することができる。
【0023】
図2は、タービンシステム10の1つの実施形態の切欠き側面図を示す。図示するように、本実施形態は、燃焼器16の環状アレイ(例えば、6、8、10又は12個の燃焼器16)に結合されている圧縮機24を含む。各燃焼器16は、各燃焼器16内に位置する燃焼ゾーンに燃料空気混合物を供給する少なくとも1つの燃料ノズル12(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、あるいはそれより多い)を含む。燃焼器16内の燃料空気混合物の燃焼により、タービン18内のベーン又はブレードが、排出ガスがエミッション出口22に向けて通るときに回転する。以下で詳細に論じるように。圧縮機24の特定の実施形態は、圧縮機24内での空気及び燃料(例えば、低BTU燃料)の混合の改善を可能にする様々な固有の特徴部を含み、その結果、タービンシステム10の効率が向上し、規制対象の排気生成物のエミッションが低減され、圧縮機内での自己点火の可能性が大幅に低減又は排除される。更に、混合の改善は、圧縮機24への燃料流の増大を可能にすることができ、その結果、燃料圧縮機34に作用する負荷が低減され、抽出空気の量が減少する。
【0024】
図3は、図2の線3−3で囲まれた圧縮機24の一部の詳細断面図である。空気は圧縮機入口41を介して圧縮機24に入り、軸線方向42に沿って下流方向43に流れる。空気は、その後、1以上の圧縮機段を通過する。圧縮機24は、例えば、1〜25、5〜20、10〜20又は14〜18の圧縮機段を含むことができる。各圧縮機段は、半径方向48に沿ってハブ47から外方に延在するベーン44及びブレード46を含む。特定の構成において、ベーン44及びブレード46は、圧縮機24周りに円周方向50に実質的に等間隔に配置される。ベーン44は、圧縮機24に堅固に取り付けられており、ブレード46に向けて空気を配向するように構成されている。ブレード46は、シャフトにより20を回転駆動される。空気が各圧縮機段を通過すると、空気圧が増加し、その結果、適切な燃焼に十分な空気が燃焼器16に供給される。
【0025】
先に論じたように、ポンプ52は、圧縮機24に低BTU燃料14を供給するのに利用される。具体的には、ポンプ52は、出力燃圧が噴射時点で圧縮機24内の空気圧を上回るように低BTUガス燃料の圧力を増大させる。理解されるように、圧縮機24内の空気圧は、各段を通って増代する。従って、下流側段(すなわち、下流側方向43に沿って位置付けられる段)の圧力は、上流側段(すなわち、上流方向45に沿って位置付けられる段)の圧力よりも大きい。図示するように、低BTUガス燃料は、圧縮機24の第1の段内で噴射される。従って、ポンプ52は、第1の段内の空気圧を上回る圧力を供給することができる。同様に、低BTUガス燃料が下流側段に供給された場合、ポンプ52は、下流側段に燃料を噴射させるのに十分なよりも高い燃圧を供給することができる。理解されるように、ポンプ容量を低減するために、燃料噴射は、特定の実施形態では圧縮機24の上流側段に制限される場合がある。
【0026】
非圧縮の低BTU燃料38は、導管54を通ってポンプ52から圧縮機24に流れる。例示するように、本実施形態は、燃料/空気混合物を下流側圧縮機段から抽出して、混合物を上流側段に再噴射するように構成されるガス燃料再循環組立体40を含む。具体的には、導管56は、下流側圧縮機段から導管54に延在する。上流側段で噴射された低BTU燃料は圧縮機24内で空気24と混合されるので、燃料/空気混合物58は下流側圧縮機段に存在する。燃料/空気混合物58は、導管56を通って燃料導管54に流れ、非圧縮の低BTUで燃料38と混合する。特定の構成においては、ガス燃料再循環組立体40は、圧縮機24への再噴射の前に燃料及び空気を更に混合するよう構成された混合装置60を含む。理解されるように、混合装置60は、旋回ベーン、蛇行路、衝突流構成又は燃料及び空気を混合するように構成された他の構造体など、様々な構造体を含むことができる。
【0027】
その後、燃料/空気混合物58は、燃料導管54に流れ、ここで低BTU燃料供給源14からの更なる燃料38と混合する。例示するように、その後、燃料リッチ混合物62は、圧縮機24のケーシング64を通過して上流側の圧縮機段に入る。このプロセスは、圧縮機24に低BTU燃料を供給しながら、燃料と空気の間の混合を高めるために連続的に繰り返えされる。理解されるように、わずかな燃料だけが下流側段から抽出されるので、残りの燃料は圧縮機24を通過して空気と共に加圧される。次いで、加圧燃料/空気混合物は、燃焼器16に入り、点火前にノズルからの更なる燃料12と混合する。特定の構成においては、別個の燃料圧縮機(例えば、圧縮機34)からノズル12を介して追加の燃料が噴射されることがないように、十分な燃料が圧縮機24に噴射される。このような構成は、燃料圧縮機34を省略することができるので、タービンシステム10の効率を増大させることができる。その結果、噴射前に低BTU燃料を加圧するために追加のエネルギーが消費されることがなく、その結果、タービンシステム10の全体出力が増大する。燃料が燃料圧縮機34により燃焼器16に供給される実施形態では、圧縮機24への燃料の噴射により、圧縮機34のサイズ及び/又は電力消費量の低減を可能にすることができ、
その結果、タービンシステム10の効率が向上することは理解されるであろう。上述したように、圧縮機24に燃料を供給することにより、一般に低BTU燃料の燃焼に関連した抽出を大幅に低減することもできる。
【0028】
更に、圧縮機24及び/又は混合装置60内で燃料/空気混合物を混合することにより、燃料/空気分布の改善に起因して、他の排気エミッションの中でもとりわけ、窒素酸化物(NOx)、硫黄(SOx)酸化物及び/又は一酸化(CO)炭素など、規制対象の排気生成物のエミッションを低減することができる。混合の強化により、燃料及び空気が単独で燃焼器16及び/又はノズル12内で混合される構成と比較して、タービンシステム10の効率を向上させることもできる。理解されるように、混合の改善により燃焼プロセス中に空気と反応する燃料の量を増大させることができ、その結果、燃料からのエネルギー放出が向上する。更に、燃料/空気混合の改善により、タービンシステム10から出る未燃燃料を大幅に低減又は排除することができる。
【0029】
加えて、燃料混合物が圧縮機入口41から下流側にて噴射されるので、ベーン44及びブレード46からの循環空気流は、圧縮機24内で均一に燃料を分配する役割を果たすことができる。理解されるように、燃料がタービン入口41を介して噴射される構成では、高い燃料流量にて圧縮機24内での自己点火又は燃料/空気混合物の点火を生じる可能性がある。具体的には、特定の濃度の燃料及び空気が熱源に曝されたときに、燃料/空気混合物が点火する可能性がある。加圧空気に関連した熱に起因して、燃料が圧縮機24内で点火するのを防止するために、燃料の濃度は、自己点火点を下回るレベルに制限することができる。燃料が圧縮機入口41を介して噴射される実施形態では、燃料及び空気の効果的ではない混合に起因して、高燃料濃度の局所領域が確立される可能性がある。その結果として、全体の燃料濃度は、約20%未満に制限される可能性がある。これとは対照的に、圧縮機入口41から下流側で燃料を噴射させることに関連した混合の強化に起因して、全体の燃料濃度は、少なくとも約25%〜50%、30%〜45%、35%〜40%、又は、本実施形態では約35%とすることができる。具体的には、混合の強化により、自己点火限界を上回る燃料濃度を有する局所領域を形成する可能性を低減することができる。圧縮機24に噴射させることができる燃料の量が増えるので、燃料圧縮機34内で加圧される燃料を少なくすることができ、その結果、タービンシステム10の効率が向上する。加えて、圧縮機24を通過する燃料流量が大きいほど、空気抽出の低減を可能にすることができ、その結果、タービンシステムの効率が向上する。
【0030】
燃料導管54は、本実施形態では第1段ベーン44と第1段ブレード46との間で燃料を噴射させるように位置決めされているが、代替の実施形態は、圧縮機24の他の領域内で燃料を噴射させるように構成された燃料導管54を含むことができる。例えば、燃料は、第1段ベーン44の上流側及び/又は第1段ブレード46から下流側で噴射させることができる。更に、燃料は、段1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など、任意の1以上の下流側圧縮機段内で噴射させることができる。しかしながら、燃料が噴射される場所に関係なく、再循環組立体40は、燃料/空気混合物を下流側圧縮機段から抽出し、混合物を上流側段に再噴射させることができる。特定の実施形態では、燃料が最初に噴射される段は、燃料/空気混合物が再噴射される段に対応していない。例えば、一実施形態では、燃料は、第1段に噴射させることができ、燃料/空気混合物は、第3段から抽出することができ、燃料/空気混合物は、第2段に再噴射することができる。このような構成により、燃料及び空気の混合を強化することができる。
【0031】
図4は、圧縮機ケーシング64及び圧縮機ハブ47を介したガス燃料噴射を示す、図2の線3−3で囲まれた圧縮機セクションの切欠き側面図である。図示するように、低BTU燃料38は、マニホールド66から圧縮機ケーシング64内に延在する個々の導管68に流れる。本構成においては、第1の導管68は、第1段ベーン44から上流側の領域に(すなわち、上流方向45に沿って)延在し、第2の導管68は、第1段ベーン44と第1段ブレード46との間の領域に延在し、第3の導管68は、第1段ブレード46と第2段ベーン44との間の領域に延在し、第4の導管68は、第2の段階ベーン44と第2の段階ブレード46との間の領域に延在する。理解されるように、代替の実施形態では、より多くの又はより少ない導管68を利用することができる。例えば、特定の実施形態は、軸線方向42に沿って種々の領域に延在する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、又はそれよりも多くの導管68を含むことができる。更に、導管68は、円周方向50に沿って圧縮機24の周りに延在することができる。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、又はそれよりも多くの導管68を、各軸線方向の場所にて圧縮機24の周縁部の周りに配置することができる。加えて、導管68は、本実施形態ではベーン44とブレード46との間の領域に延在するが、代替の実施形態では、ベーン44又はブレード46の近接位置にてケーシング内部と交差する導管68を含むことができる。
【0032】
本実施形態はまた、圧縮機ハブ47を介したガス燃料噴射を可能にする。ケーシング64を通じた噴射と同様に、低BTUガス燃料は、マニホールド70を通り、圧縮機24の軸線方向42に沿って位置決めされた複数の導管72に流れる。例示するように、第1の導管72は、第1段ベーン44から上流側の領域に延在し(すなわち、上流方向45に沿って)、第2の導管72は、第1段ベーン44と第1段ブレード46との間の領域に延在し、第3の導管72は、第1段ブレード46と第2段ベーン44との間の領域に延在し、第4の導管72は、第2段ベーン44と第2段ブレード46との間の領域に延在する。理解されるように、代替の実施形態では、より多くの又はより少ない導管72を利用することができる。例えば、特定の実施形態は、軸線方向42に沿って様々な領域に延在する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、又はそれよりも多くの導管72を含むことができる。更に、導管72は、円周方向50に沿って圧縮機24周りに延在することができる。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個又はそれよりも多くの導管72を、各軸線方向の場所にて圧縮機24の周縁部の周りに配置することができる。加えて、導管72は、本実施形態ではベーン44とブレード46との間の領域に延在するが、代替の実施形態は、ベーン44又はブレード46の近接位置にてケーシング内部と交差する導管72を含むことができる。更に、圧縮機24を通るマニホールド70及び導管72の経路は、圧縮機の構成に基づいて変わる場合があることは理解されるであろう。理解されるように、圧縮機24は、様々な可動部を含む。マニホールド70及び導管72の経路は、マニホールド70及び導管72が圧縮機24の作動を妨げないように当該可動部を回避するように選択することができる。
【0033】
更に、特定の実施形態では、ハブ47及びケーシング64の両方から低BTUガス燃料を噴射させるように構成することができ、一方、他の実施形態では、ハブ47又はケーシング64を介して燃料のみを噴射させることができる。いずれの構成においても、ガス燃料は、圧縮機入口41から下流側で(すなわち、下流方向43に沿って)噴射される。上述したように、圧縮機入口41から下流側での低BTU燃料の噴射は、燃料及び空気の混合の改善を可能にすることができ、その結果、自己点火をもたらす可能性がある高燃料濃度の局所領域が大幅に低減又は排除される。このようにすると、燃料が圧縮機入口41を介して噴射される構成と比較して、圧縮機24内により多くの量の燃料を噴射させることができる。更に、混合の改善により、規制対象の排気生成物のエミッションを減少させることができ、タービンシステム効率を向上させることができる。
【0034】
図5は、図4の線5−5で囲まれた圧縮機ケーシング64の切欠き側面図である。図示するように、導管68は、圧縮機ケーシング64の内面に対して角度が付けられている。
具体的には、導管68は、半径方向48に沿って延在するライン76に対して角度74を成す。この構成においては、低BTUガス燃料78は、軸線方向42及び半径方向48に沿って噴射させることができる。理解されるように、角度74は、他の要因の中でも圧縮機構成及び燃料組成に基づいて選択することができる。例えば、特定の実施形態では、角度74は、およそ、0〜90、10〜80、20〜70、30〜60、40〜50の間、又は約45度とすることができる。更なる実施形態では、導管68は、上流方向45に向かって角度を付けることができ、下流側方向43の空気流が燃料流に衝突するようになる。このような構成により、燃料及び空気の混合の向上を可能にすることができる。更に、代替の構成では、圧縮機24内で燃料の旋回流を確立するために、導管68を円周方向50で角度を付けることができる。図5はケーシング64内の導管68を示すが、ハブ47内の導管72もまた、軸線方向42、半径方向48及び/又は円周方向50で同様に角度を付けることができる点は理解されるであろう。このような構成は、燃料及び空気の混合の強化が促進され、これによってガスタービンシステム10のエミッション低減及び効率の向上が可能になる。加えて、更なる混合により、圧縮機24への燃料流の増大が可能になり、その結果、燃料圧縮機34にかかる負荷が大幅に低減又は排除され、圧縮機24からの空気抽出が大幅に低減又は排除される。
【0035】
図6は、固定圧縮機ベーン44を介したガス燃料噴射を示す図2の線3−3で囲まれた圧縮機セクションの切欠き側面図である。例示するように、本実施形態は、図4に関して先に説明した構成と同様に燃料マニホールド70及び導管72を含む。しかしながら、圧縮機24に燃料を直接噴射するのではなく、導管72は、圧縮機ベーン44内のマニホールド80又は圧縮機24内に延在する他の半径方向の突出部に延在する。ベーン44内の通路82は、マニホールド80からベーン44の下流側に延在し、その結果、圧縮機24内への低BTU燃料の流れが可能になる。例示するように、最初の3つの圧縮機段のベーン44は、圧縮機24に燃料を噴射するように構成される。代替の構成においては、第1段ベーン44及び/又は第2段ベーン44のみが、圧縮機24に燃料を噴射するよう構成することができる。更なる実施形態では、下流側ベーン44は、圧縮機24内に燃料を噴射するように構成することができる。更に、代替の実施形態では、燃料は、ケーシング64を通過するマニホールド66及び導管68によりベーン44又は他の半径方向の突出部に供給することができる。更に別の実施形態では、燃料は、ケーシング64を貫通する通路68及びハブ47を貫通する通路72によりベーン44に供給することができる。
【0036】
例示の実施形態では通路82は軸線方向42に延在するが、代替の実施形態では、半径方向48及び/又は円周方向50に延在する通路82を利用することができる。更に、以下で詳細に論じるように。各ベーン44に内により多くの又はより少ない通路82が存在することができる。加えて、圧縮機24内に燃料を噴射するように構成されたベーン44の形状は、従来のベーン設計から変わる場合がある。例えば、ベーン44は、マニホールド80及び通路82を収容するために従来の構成よりも広くすることができる。先に論じたように、ベーン44は、圧縮機24の周りに円周方向の配列で配置される。ベーン44の数は、他の要因の中でも、圧縮機24の直径及び圧縮機24の容量に基づいて選択することができる。本実施形態では、一部のベーン44のみがマニホールド80及び通路82を含むことができる。例えば、2、4、6、8、10、12、14個又はそれよりも多くのベーン44を圧縮機24内に燃料を噴射させるように構成することができる。代替の実施形態では、各ベーン44は、圧縮機24内への燃料噴射用にマニホールド80及び通路82を含むことができる。
【0037】
更なる実施形態では、特定のベーン44は、圧縮機24内に燃料を噴射させるように構成された他の半径方向の突出部と置き換えることができる。例えば、2、4、6、8、10、12、14個、又はそれよりも多くの個々のベーン44は、円周方向50に沿って圧縮機24の周りに配置された半径方向の突出部と置き換えることができる。特定の構成においては、突出部は、圧縮機24に燃料の均一な分配を行うために、周縁部周りで均等に間隔を置いて配置することができる。突出部の形状は、マニホールド80及び通路82を収容すると共に空気抵抗を低減するように選択することができる。例えば、突出部は、翼形状、円筒形、楕円形とすることができ、又は、抗力を制限するよう構成することができ、その結果、圧縮機24の効率的な作動をもたらす。
【0038】
図7は、複数のガス燃料噴射オリフィスを含む、例示的な固定圧縮機ベーン44の斜視図である。理解されるように、各ベーン44は、上流端に(すなわち、上流方向45に沿って)配置された前縁84と、下流端に(すなわち、下流方向43に沿って)配置された後縁86と、正圧面88と、負圧面90とを含む。本実施形態では、ガス噴射オリフィス92は前縁84上に配置され、ガス噴射オリフィス94は後縁86上に配置され、ガス噴射オリフィス96は正圧面88上に配置され、ガス噴射オリフィス98は負圧面90上に配置されている。作動時には、低BTUガス燃料はマニホールド80を介してベーン44に入り、通路82を流れて、関連のオリフィス92、94、96又は98から出ることができる。特定の実施形態は、前縁84、後縁86、正圧面88又は負圧面9上のオリフィスのみを含むことができる。更なる実施形態は、上記の面の何れかの組み合わせ上のオリフィスを含むことができる。例えば、特定の実施形態は、正圧面88上のオリフィス96、後縁86上のオリフィス94及び負圧面90上のオリフィス98を含むことができる。
【0039】
更に、各面のオリフィスの数は、代替の構成においては変わる場合がある。例えば、正圧面88は半径方向48に沿って延在する縦2列のオリフィス96を含むが、代替の実施形態では、より多くの又はより少ない縦列を含むことができる。例えば、特定の実施形態は、1、2、3、4、5、6、7、8、又はそれよりも多くの縦列のオリフィス96を含むことができる。更なる実施形態では、オリフィス96は、他の構成の中でも、横列、同心円、螺旋パターン又はランダムパターンなど代替の構成で配列することができる。理解されるように、オリフィス96のサイズは、圧縮機24内に入る燃料の所望の流量及び流速を達成するように特に選択することができる。同様に、オリフィス96の総数は、所望の燃料流量を提供し、圧縮機24全体を通る燃料流量を均一に分配するよう選択することができる。更に、縦1列のオリフィス98が負圧面90上に配置されているが、代替の実施形態では、正圧面88を参照して説明したものと類似のオリフィス構成を利用してもよい。加えて、前縁84上のオリフィス92及び後縁86上のオリフィス94の数及びサイズは、圧縮機24内への低BTUガス燃料の適切な流量及び分配を提供するよう選択することができる。
【0040】
図8は、回転圧縮機ブレード46を介したガス燃料噴射を示す、図2の線3−3で囲まれた圧縮機セクションの切欠き側面図である。理解されるように、圧縮機ブレード46が圧縮機24内で回転するように構成されるので、燃料供給システムは、このような回転に対応するように構成することができる。具体的には、燃料導管100は、シャフトから延在し、ブレード46が回転するにつれて回転することができる。例えば、特定の構成においては、燃料は、シャフト内の通路を介して、該シャフトに堅固に結合された導管100に供給することができる。次に、導管100は、各ブレード46内のマニホールド102に低BTUガス燃料を伝達することができる。次いで、マニホールド102は、ブレード46内の通路104に燃料を供給する。このようにすると、低BTUガス燃料は、ブレード46の回転にもかかわらず、ブレード46を介して圧縮機24に噴射することができる。例示するように、最初の3つの圧縮機段のブレード46は、圧縮機24内に燃料を噴射させるように構成されている。代替の実施形態では、第1段ブレード46及び/又は第2段ブレード46のみが、圧縮機24内に燃料を噴射させるように構成することができる。更なる実施形態では、下流側ブレード46は、圧縮機24内に燃料を噴射させるように構成することができる。
【0041】
例示する実施形態では、通路104は軸線方向42に延在するが、代替の実施形態では、半径方向48及び/又は円周方向50に延在する通路104を利用することができる。更に、以下で詳細に論じるように、より多くの又はより少ない数の通路104が各ブレード46内に存在することができる。加えて、圧縮機24内に燃料を噴射させるように構成されたブレード46の形状は、従来のブレード設計と異なる場合がある。例えば、ブレード46は、マニホールド102及び通路104を収容するために、従来の構成よりも広くすることができる。先に論じたように、ブレード46は、圧縮機24周りに円周方向の配列で配置される。ブレード46の数は、他の要因の中でも、圧縮機24の直径及び圧縮機24の容量に基づいて選択することができる。本実施形態では、一部のブレード46のみがマニホールド102及び通路104を含むことができる。例えば、2、4、6、8、10、12、14個又はそれよりも多くのブレード46が、圧縮機24内に燃料を噴射させるように構成することができる。各ブレード46は、圧縮機24内への燃料噴射用のマニホールド102及び通路104を含むことができる。
【0042】
更なる実施形態では、ブレード46は、圧縮機24内に燃料を噴射させるように構成された他の半径方向の突出部と置き換えることができる。例えば、2、4、6、8、10、12、14個、又はそれよりも多くの個々のブレード46を、円周方向50に沿って圧縮機24の周りに配置された半径方向の突出部と置き換えることができる。特定の構成においては、突出部は、圧縮機24に燃料の均一な分配を行うために、周縁部の周りで均一に間隔を置いて配置することができる。突出部の形状は、マニホールド102及び通路104を収容すると共に空気抵抗を低減するように選択することができる。例えば、突出部は、翼形部形、円筒形、楕円形とすることができ、又は、抗力を制限するように構成することができ、その結果、圧縮機24の効率的な作動をもたらす。理解されるように、回転突出部又はブレード46は、固定突出部又はベーン44を介した噴射と比較して、混合を強化することができる。具体的には、燃料噴射オリフィスの回転運動は、圧縮機24内でより均一に燃料を分配させる役割を果たすことができる。先に論じたように、混合の強化は、タービンシステムエミッションの減少、効率の向上、及び圧縮機24内への燃料噴射の増大を可能にすることができる。従って、ブレード46を介した燃料噴射を含む実施形態は、回転部分への燃料の供給に関連して更に複雑になるにもかかわらず利用することができる。
【0043】
図9は、複数のガス燃料噴射オリフィスを含む例示的な回転圧縮機ブレード46の斜視図である。ベーン44と同様に、各ブレード46は、上流端に(すなわち、上流方向45に沿って)配置された前縁106と、下流端に(すなわち、下流方向43に沿って)配置された後縁108と、正圧面110と、負圧面112とを含む。本実施形態では、ガス噴射オリフィス114は前縁106上に配置され、ガス噴射オリフィス116は後縁108上に配置され、ガス噴射オリフィス118は正圧面110上に配置され、ガス噴射オリフィス120は負圧面112上に配置されている。作動時には、低BTUガス燃料は、マニホールド102を介してブレード46に入り、通路104を流れて、関連のオリフィス114、116、118又は120から出ることができる。特定の実施形態は、前縁106、後縁108、正圧面110又は負圧面112上のオリフィスのみを含むことができる。更なる実施形態は、上記の面の何れかの組み合わせ上のオリフィスを含むことができる。例えば、特定の実施形態は、正圧面110上のオリフィス118、後縁108上のオリフィス116及び負圧面112上のオリフィス120を含むことができる。
【0044】
更に、各表面のオリフィスの数は、代替の構成において変わる場合がある。例えば、正圧面110は半径方向48に沿って延在する縦2列のオリフィス118を含むが、代替の実施形態は、より多くの又はより少ない縦列を含むことができる。例えば、特定の実施形態は、1、2、3、4、5、6、7、8又はそれよりも多くの縦列のオリフィス118を含むことができる。更なる実施形態では、オリフィス118は、他の構成の中でも、横列、同心円、螺旋パターン又はランダムパターンなど代替の構成で配列することができる。理解されるように、オリフィス118のサイズは、圧縮機24内に入る燃料の所望の流量及び流速を達成するように特に選択することができる。同様に、オリフィス118の総数は、所望の燃料流量を提供し、圧縮機24全体を通る燃料流量を均一に分配するよう選択することができる。更に、縦1列のオリフィス120が負圧面112上に配置されているが、代替の実施形態では、正圧面110を参照して説明したものと類似のオリフィス構成を利用してもよい。加えて、前縁106上のオリフィス114及び後縁108上のオリフィス116の数及びサイズは、圧縮機24内への低BTUガス燃料の適切な流量及び分配を提供するよう選択することができる。
【0045】
更なる実施形態は、様々な燃料噴射構成の組み合わせを利用することができる。例えば、特定の実施形態は、圧縮機24内に燃料を噴射させるように構成されたベーン44及びブレード46の両方を利用することができる。更なる一例として、特定の実施形態は、ハブ47、ケーシング64、ベーン44、ブレード46、固定半径方向突出部、回転半径方向突出部、又はこれらの任意の組み合わせを介して燃料を噴射するよう構成された燃料噴射組立体を含むことができる。特定の構成は、圧縮機24内の燃料及び空気の混合の改善を可能にするように選択することができ、その結果、規制対象の排気生成物のエミッションが減少し、タービンシステムの効率が向上し、圧縮機内での自己点火の可能性が大幅に低下又は排除される。特定の構成に関係なく、圧縮機内の低BTUガス燃料を噴射させることにより、燃料圧縮機34による消費出力を大幅に低減又は排除することができ、圧縮機24からの空気抽出を大幅に低減又は排除することができ、その結果、タービンシステム10の効率全体が向上する。
【0046】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0047】
10 ガスタービンシステム
12 燃料ノズル
14 低BTU燃料供給装置
16 燃焼器
18 タービン
20 シャフト
22 エミッション出口
24 圧縮機
26 吸気口
28 負荷
30 空気
32 加圧空気
34 燃料圧縮機
36 加圧燃料流
37 機外ブリード空気管路
38 未圧縮低BTU燃料
40 ガス燃料再循環組立体
41 圧縮機入口
42 軸線方向
43 下流方向
44 圧縮機ベーン
45 上流方向
46 圧縮機ブレード
47 ハブ
48 半径方向
50 円周方向
52 ポンプ
54 導管
56 導管
58 燃料/空気混合物
60 混合装置
62 燃料リッチ混合物
64 圧縮機ケーシング
66 マニホールド
68 導管
70 マニホールド
72 導管
74 角度
76 半径方向に沿って延在する管路
78 低BTUガス燃料
80 マニホールド
82 通路
84 圧縮機ブレードの前縁
86 圧縮機ブレードの後縁
88 圧縮機ブレードの正圧面
90 圧縮機ブレードの負圧面
92 前縁ガス噴射オリフィス
94 後縁ガス噴射オリフィス
96 正圧面ガス噴射オリフィス
98 負圧面ガス噴射オリフィス
100 燃料導管
102 マニホールド
104 通路
106 圧縮機ブレードの前縁
108 圧縮機ブレードの後縁
110 圧縮機ブレードの正圧面
112 圧縮機ブレードの負圧面
114 前縁ガス噴射オリフィス
116 後縁ガス噴射オリフィス
118 正圧面ガス噴射オリフィス
120 負圧面ガス噴射オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側段及び下流側段を含むガスタービン圧縮機(24)と、
前記上流側段及び前記下流側段と流体連通しているガス燃料再循環組立体(40)と
を備えるシステムであって、
前記ガス燃料再循環組立体(40)が、ガス燃料(38)を前記上流側段に噴射させ、前記下流側段から燃料/空気混合物(58)を抽出して、該燃料/空気混合物(62)を前記上流側段に再噴射するよう構成されている、システム(10)。
【請求項2】
前記ガス燃料再循環組立体(40)が、前記上流側段への再噴射の前に前記燃料/空気混合物(58)を混合するために、前記ガスタービン圧縮機(24)の外部に混合装置(60)を含む、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記ガス燃料(38)が、標準立方フィート(scf)当たりにおよそ50BTUから400BTUの間の低位発熱量(LHV)を有する低英国熱量単位(BTU)燃料を含む、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記上流側段が、複数のガス燃料噴射オリフィス(92、94、96、98)を各々有する複数の固定ベーン(44)を含み、各固定ベーン(44)が、前記ガス燃料再循環組立体(40)と流体連通しており、前記各固定ベーン(44)が、ガス燃料(38)、前記燃料/空気混合物(62)、又はこれらの組み合わせを前記上流側段に噴射させるように構成される、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記上流側段が、複数のガス燃料噴射オリフィス(114、116、118、120)を各々有する複数の回転ブレード(46)を含み、各回転ブレード(46)が、前記ガス燃料再循環組立体(40)と流体連通しており、前記各回転ブレード(46)が、ガス燃料(38)、前記燃料/空気混合物(62)、又はこれらの組み合わせを前記上流側段に噴射させるように構成される、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記ガスタービン圧縮機(24)が、前記上流側段及び前記下流側段の周りに配置されたケーシング(64)を含み、前記ケーシング(64)が、前記ガス燃料再循環組立体(40)と各々流体連通している複数のガス燃料噴射オリフィスを含み、該各オリフィスが、ガス燃料(38)、前記燃料/空気混合物(62)、又はこれらの組み合わせを前記上流側段に噴射させるように構成される、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記ガスタービン圧縮機(24)が、前記上流側段及び前記下流側段に結合されたハブ(47)を含み、前記ハブ(47)が、前記ガス燃料再循環組立体(40)と各々流体連通している複数のガス燃料噴射オリフィスを含み、該各オリフィスが、ガス燃料(38)、前記燃料/空気混合物(62)、又はこれらの組み合わせを前記上流側段に噴射させるように構成される、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記ガス燃料再循環組立体(40)と流体連通しているガス燃料ポンプ(52)を備え、前記ガス燃料ポンプ(52)が、前記ガスタービン圧縮機(24)の上流側段内の圧力を上回る圧力でガス燃料(38)を前記ガス燃料再循環組立体(40)に供給するように構成される、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記ガスタービン圧縮機(24)を含むガスタービンエンジンを備えた、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項10】
ガスタービン圧縮機(24)の周縁部の周りに配置された複数の半径方向突出部(44、46)を含むガスタービン圧縮機(24)を備え、前記各半径方向の突出部(44、46)が、ガス燃料(38)を前記ガスタービン圧縮機(24)に噴射させるように構成された複数のガス燃料噴射オリフィス(92、94、96、98、114、116、118、120)を含む、システム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−80749(P2011−80749A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224448(P2010−224448)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】