体積測定装置及び体積変化測定方法
【課題】より正確に体積変化を測定することが可能な体積測定装置を提供すること。
【解決手段】熱硬化性樹脂の熱硬化における体積を測定する体積測定装置であって、熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で形成された、熱硬化性樹脂が載置される載置部13と、加熱用台座部を加熱するヒーター16と、加熱用台座部の温度を測定する熱電対17と、熱電対によって測定された温度に基づいてヒーターを温度制御する温調器19と、各温度における、載置部13に載置された熱硬化性樹脂の体積を測定するレーザー変位計20とを備え、加熱用台座部は、加熱ステージ10と、加熱ステージの上面に配置されたフッ化炭素樹脂板11とを有し、フッ化炭素樹脂板に載置部13が形成されている、体積測定装置である。
【解決手段】熱硬化性樹脂の熱硬化における体積を測定する体積測定装置であって、熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で形成された、熱硬化性樹脂が載置される載置部13と、加熱用台座部を加熱するヒーター16と、加熱用台座部の温度を測定する熱電対17と、熱電対によって測定された温度に基づいてヒーターを温度制御する温調器19と、各温度における、載置部13に載置された熱硬化性樹脂の体積を測定するレーザー変位計20とを備え、加熱用台座部は、加熱ステージ10と、加熱ステージの上面に配置されたフッ化炭素樹脂板11とを有し、フッ化炭素樹脂板に載置部13が形成されている、体積測定装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂の物性を評価する技術に関するものであり、例えば、熱硬化性樹脂の加熱による膨張とそれに続く硬化による収縮、および硬化終了後の冷却に伴う収縮を測定する体積測定装置及び体積変化測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に半導体素子がフリップチップ接続された半導体装置における保護材料としては、基板と半導体素子の間隙を充填し、熱硬化させるアンダーフィル材料が用いられている。
【0003】
このアンダーフィル材料としては、半導体装置の使用上発生する熱応力を緩和するために、より低い弾性率のものが要求され、熱硬化の際にその化学反応による体積収縮が小さいものがさらに好ましく使用される。なぜなら、熱硬化による化学反応収縮が大きいと、半導体素子表面や、回路基板表面あるいは、それらの接続部として使用されているバンプ接続部あるいは金属ワイヤなどと密着しながら収縮することとなり、それ自体が半導体装置内での応力発生要因となるからである。
【0004】
一般的にはアンダーフィル材料を始めとした樹脂材料中に無機充填フィラーなどを含有し、硬化や冷却による収縮量を小さくすることが行われるが、収縮を完全になくすことはできない。
【0005】
そこで、樹脂硬化物を含むこれら基材の線膨張係数や弾性率、ガラス転移温度を別途公知の方法で測定し、それらの値から半導体装置内の各所におけるひずみ量を計算し、発生する場所と応力の大きさが求めることが可能である。
【0006】
しかしながら、熱硬化性樹脂の加熱時の化学反応による重合にともなう硬化収縮量を測定し、その値を考慮に入れないと、ひずみ量を完全に計算することができない。
【0007】
そこで、熱硬化性樹脂の硬化に伴う収縮量を測定する硬化収縮測定装置として、例えば、特許文献1に示された装置の中の、硬化進行度を測定する部位を使用することが可能であると思われる。図11は、この硬化進行度を測定する部位を用いた収縮量を測定する装置の構成図である。図11に示す装置では、加熱可能な測定ステージ101上に塗料102を塗膜として塗布し、加熱による硬化に伴う塗料の塗膜の厚みの変化がレーザー変位計103で、測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−038533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような硬化収縮測定装置では、アンダーフィルなどの高温で低粘度となる材料の測定では、次に挙げるような問題が生じる。
【0010】
第一に、アンダーフィル材料は高温で低粘度となるために、測定ステージ上において、加熱時に液体が大きく広がってしまい、広がることによる塗膜の厚み変化と、膨張や収縮による塗膜の厚み変化を区別することができないので、正確に膨張量や収縮量を測定できない。
【0011】
第二に、アンダーフィル材料は密着性が大きい材料であるので、硬化の過程で測定ステージとアンダーフィルが密着してしまい、アンダーフィルの中でも密着による拘束を受ける部分と、空気に接触し密着による拘束を受けない部分が生じ、正確な体積変化の測定が難しい。
【0012】
本発明は、従来の硬化収縮測定装置の課題を考慮し、より正確に体積変化を測定することが可能な体積測定装置及び体積変化測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
熱硬化性樹脂の熱硬化における体積を測定する体積測定装置であって、
前記熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、
前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部と、
前記加熱用台座部を加熱する加熱部と、
前記加熱用台座部の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部によって測定された温度に基づいて前記加熱部を温度制御する温調部と、
各温度における、前記載置部に載置された前記熱硬化性樹脂の体積を測定する体積測定部とを備えた、体積測定装置である。
【0014】
第2の本発明は、
熱硬化性樹脂の熱硬化における体積を測定する体積測定装置であって、
前記熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、
前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面はフッ化炭素樹脂によって形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部と、
前記加熱用台座部を加熱する加熱部と、
前記加熱用台座部の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部によって測定された温度に基づいて前記加熱部を温度制御する温調部と、
各温度における、前記載置部に載置された前記熱硬化性樹脂の体積を測定する体積測定部とを備えた、体積測定装置である。
【0015】
第3の本発明は、
前記体積測定部は、前記測定された体積に基づいて体積変化を演算する、第1又は2の本発明の体積測定装置である。
【0016】
第4の本発明は、
前記体積測定部は、非接触式3次元形状測定部を利用して測定した前記載置部のくぼみ部分の体積を用いて、前記熱硬化性樹脂の体積を測定する、第1又は2の本発明の体積測定装置である。
【0017】
第5の本発明は、
前記加熱用台座部を密閉するチャンバーを備えた、第1〜4のいずれかの本発明の体積測定装置である。
【0018】
第6の本発明は、
前記チャンバーは、
前記非接触式3次元形状測定部から前記載置部に向かって照射される光が透過するガラス窓を有している、第5の本発明の体積測定装置である。
【0019】
第7の本発明は、
前記チャンバーは、排気口を有し、
前記排気口に、その減圧口が接続された減圧ポンプを更に備え、
前記減圧ポンプの動作により、前記チャンバー内が減圧される、第5又は6の本発明の体積測定装置である。
【0020】
第8の本発明は、
前記載置部の形状は、
平面視において、その縁の形状が線対称または点対称であり、
前記加熱用台座部の上面と平行な断面形状は、前記載置部の縁の形状と相似であり、
前記断面形状の対称線又は対称点の位置が、前記縁の形状の対称線又は対称点の位置と一致している、第1〜7のいずれかの本発明の体積測定装置である。
【0021】
第9の本発明は、
前記載置部の内表面の構成分子が、微細な凹凸を有するフラクタル構造を形成しており、
前記凹凸の幅及び高さは、10nmより大きく、800μmより小さい、第1〜8のいずれかの本発明の体積測定装置である。
【0022】
第10の本発明は、
前記フラクタル構造は、ポリフッ化アルキル化合物の膜によって形成されている、第9の本発明の体積測定装置である。
【0023】
第11の本発明は、
前記加熱用台座部は、
加熱ステージと、
前記加熱ステージの上面に配置されたフッ化炭素樹脂板とを有し、
前記フッ化炭素樹脂板に前記載置部が形成されている、第1〜10のいずれかの本発明の体積測定装置である。
【0024】
第12の本発明は、
前記加熱用台座部は、フッ化炭素樹脂によって形成されている、第1〜10のいずれかの本発明の体積測定装置である。
【0025】
第13の本発明は、
熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部とを有する体積測定装置を用いて、前記熱硬化性樹脂の熱硬化における体積変化を測定する体積変化測定方法であって、
前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記載置部のくぼみ部分の体積変化を測定演算する載置部体積変化測定演算工程と、
前記載置部に前記熱硬化性樹脂を載置する載置工程と、
前記載置部体積変化測定演算工程で得られた体積変化データを用いて、前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記熱硬化性樹脂の体積変化を測定演算する熱硬化性樹脂体積変化測定演算工程とを備えた、体積変化測定方法である。
【0026】
第14の本発明は、
熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面はフッ化炭素樹脂によって形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部とを有する体積測定装置を用いて、前記熱硬化性樹脂の熱硬化における体積変化を測定する体積変化測定方法であって、
前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記載置部のくぼみ部分の体積変化を測定演算する載置部体積変化測定演算工程と、
前記載置部に前記熱硬化性樹脂を載置する載置工程と、
前記載置部体積変化測定演算工程で得られた体積変化データを用いて、前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記熱硬化性樹脂の体積変化を測定演算する熱硬化性樹脂体積変化測定演算工程とを備えた、体積変化測定方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、より正確な体積変化を測定することが可能な体積測定装置及び体積変化測定方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における体積測定装置の構成図
【図2】(a)本発明にかかる実施の形態1における体積測定装置のフッ化樹脂板の正断面構成図、(b)本発明にかかる実施の形態1における体積測定装置のフッ化樹脂板の平面構成図
【図3】本発明にかかる実施の形態1における体積変化測定方法の工程を示す図
【図4】本発明にかかる実施の形態1における体積変化測定方法の際の熱硬化性樹脂の状態を説明するための載置部近傍の断面構成図
【図5】本発明にかかる実施の形態2における体積測定装置の構成図
【図6】本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の体積測定装置の部分構成図
【図7】(a)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の平面構成図、(b)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の断面構成図
【図8】(a)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の平面構成図、(b)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の断面構成図
【図9】(a)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の平面構成図、(b)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の断面構成図
【図10】本発明にかかる実施の形態3における体積測定装置においてポリフッ化アルキル化合物膜上に形成された微細な凹凸の凸の部分と熱硬化性樹脂が接触していることを示した部分拡大構成図
【図11】従来の体積測定装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明にかかる実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明にかかる実施の形態1における体積測定装置の構成図であり、チャンバー内は断面図として示されている。尚、図1において、紙面に向かって、鉛直下向きの矢印A方向が、重力がかかる方向を表示している。
【0031】
本実施の形態1の体積測定装置では、加熱ステージ10と、加熱ステージ10に装着されたフッ化炭素樹脂板11と、フッ化炭素樹脂板11が装着された加熱ステージ10を密閉するチャンバー12とを備えている。この際、フッ化炭素樹脂板11と加熱ステージ10の間には、加熱ステージ10から伝わる熱の熱抵抗低減を目的として、公知の熱伝導性シリコーングリースが塗布されていても良い。尚、図1にはシリコーングリースは図示されていない。
【0032】
図2(a)は、フッ化炭素樹脂板11の断面構成図であり、図2(b)は、フッ化炭素樹脂板11の平面構成図である。詳しくは後述するが、フッ化炭素樹脂板11には、その上面11aに、本発明の熱硬化性樹脂の一例に対応するアンダーフィル材料18が載置されるくぼみ状の載置部13が形成されている。この載置部13に載置されたアンダーフィル材料18の体積を測定するレーザー変位計20が、図1に示すように、載置部13の上方であって、チャンバー12の外側に設けられている。このレーザー変位計20は、非接触式の三次元表面形状計測が可能な公知のものであり、レーザーヘッド及びCCDカメラなどを有している。そして、レーザー変位計20のレーザーヘッドから載置部13へ向けて照射される光を透過させるガラス窓15が、載置部13と対向したチャンバー12の上面の一部に形成されている。このガラス窓15は、フッ化炭素樹脂板11の上面11aに対して垂直な方向から載置部13を見ることができるように取り付けられている。
【0033】
チャンバー12の開閉箇所としては特に限定するものではないが、後述するアンダーフィル材料の液滴の配置の際の作業性の良さから、ガラス窓15を含む壁が上蓋として機能する方が好ましい。さらに、例えばその上蓋の4隅が、チャンバーの上蓋以外のチャンバーの特定の箇所に固定された形状となっており、その固定された箇所を軸として回動自在に構成されておれば、操作し易いため、より好ましい。
【0034】
加熱ステージ10には、ヒーター16及び熱電対17が挿入されており、これらの導通線は、チャンバー12の少なくとも1箇所以上に形成された適当な孔22を通って配置されており、チャンバー12の外部に設けられている温調器19に繋がっている。この孔22の内側は、ヒーター16および熱電対17に接続されている導通線と密着している。
【0035】
またチャンバー12には、排気口21が設けられており、その排気口21に減圧ポンプ14の吸気口14aが直接接続されており、チャンバー12内に密閉された気体を減圧吸引することができる。また、レーザー変位計20によって計測された体積データと、熱電対17による温度データに基づいて、各温度におけるアンダーフィル材料の体積データを取得する制御部26が設けられている。
【0036】
尚、本発明の加熱用台座部の一例は、本実施の形態の加熱ステージ10及びフッ化炭素樹脂板11に対応し、本発明の加熱部の一例は、本実施の形態のヒーター16に対応する。又、本発明の温度測定部の一例は、本実施の形態の熱電対17に対応し、本発明の温調部の一例は、本実施の形態の温調器19に対応する。又、本発明の非接触3次元形状測定部の一例は、本実施の形態のレーザー変位計20に対応し、本発明の体積測定部の一例は、本実施の形態のレーザー変位計20及び制御部26に対応する。尚、ヒーター16、熱電対17、温調器19、及び減圧ポンプ14は公知のものを使用することが出来る。
【0037】
本構成における加熱ステージ10に装着されたフッ化炭素樹脂板11、およびその表面に形成されたくぼみ形状の載置部13は本発明の重要な部位であり、その詳細を以下に述べる。
【0038】
まずフッ化炭素樹脂板11としては、特に限定するものではないが、例えばポリテトラフルオロエチレンが挙げられ、デュポン社製のテフロン(登録商標)が好適に使用される。ポリテトラフルオロエチレンの界面張力エネルギーは18.5mN/mであるのに対し、アンダーフィルの主原料であるエポキシ樹脂の一般的な界面張力エネルギーは46〜47mN/mであり、この界面張力エネルギー差、およびフッ化炭素樹脂の化学的な安定性に起因し、アンダーフィルのフッ化炭素樹脂に対する密着は低減される。このような観点から界面張力エネルギーが20mN/mのシリコーン樹脂もまた加熱ステージ10に装着される樹脂板として好適に使用できる。尚、前記くぼみ状の内表面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で構成されることが好ましい。界面張力エネルギーが15mN/mより小さいと熱硬化性樹脂の下に空隙を巻き込むことが多くなり、正確な体積変化の測定がやや困難となる。また30mN/mより大きいと、熱硬化性樹脂との密着力が強くなり、正確な体積変化の測定がやや困難となる。
【0039】
このようなフッ化炭素樹脂板11の厚みとしては、特に限定するものではないが、1mmより厚く、5mmより薄いことが望ましい。1mmより薄いと、強度が小さくなり、フッ化炭素樹脂板自体の加熱時における熱変形が大きくなり、測定の不正確さの原因となる。また5mmより厚いと、加熱ステージからの熱が十分にアンダーフィル材料18に伝わらず、均一な温度上昇が難しくなるという点で好ましくない。
【0040】
フッ化炭素樹脂板11に形成された載置部13は、そこに配置されたアンダーフィル材料18の液滴が測定中に三次元表面形状計測が可能な公知のレーザー変位計20の移動によって発生するわずかな振動あるいは、チャンバー12が可動ステージなどに設置されている場合に、それらの可動に伴って発生するわずかな振動などで、その位置を変えないために設けられている。
【0041】
載置部13のくぼみの形状としては、特に限定するものではないが、アンダーフィル材料18を配置した際に、くぼみの最下部とアンダーフィル材料18の間に空隙が発生しないようにする必要がある。くぼみの最下部とアンダーフィル材料18の間に空隙が存在すると、加熱による温度上昇で空隙内の空気が膨張し、アンダーフィル材料の体積変化を正確に測定することができなくなるからである。
【0042】
また載置部13のくぼみの縁25(図2(a)、(b)参照)の形状としては、特に限定するものではないが、アンダーフィル材料の液滴の対称性が維持され、より正確な測定を行い易いという観点から、線対称又は点対称である形状が望ましく、円または楕円形がさらに望ましい。尚、図2(b)では、縁25は円形状に形成されている。また同様の観点から、平面視において、くぼみを任意の深さで、フッ化炭素樹脂板11の上面11aに平行な面で切断した形状は、くぼみの縁25の形状と相似形であり、その対称線および対称中心点の位置が、フッ化炭素樹脂板11の表面を垂直に見下ろした際に、くぼみの縁形状の対称線および対称中心と一致していることが望ましい。本実施の形態1では、図2(a)、(b)に示すように、くぼみの断面を紡錘形としている。
【0043】
本実施の形態1の体積測定装置は、以上のような構成となっている。
【0044】
次に、本実施の形態1の体積変化測定方法について説明する。
【0045】
はじめに、アンダーフィル材料の体積変化測定方法の概略について説明する。一定の昇温条件で加熱していくと、アンダーフィル材料は加熱による液体の膨張を経て、一定温度を超えると硬化反応の開始とともに収縮し始める。そして、硬化反応開始温度を超える一定温度で一定時間放置することで収縮が終了する。更に、加熱を停止し、自然放置の状態で冷却すると、今度は温度の低下に伴う収縮をすることになる。
【0046】
この加熱冷却過程において、公知のレーザー変位計20におけるレーザーヘッドおよびCCDカメラで、ガラス窓15を通してアンダーフィル材料18の形状変化を一定温度上昇間隔、例えば5℃上昇ごとに測定することで、アンダーフィルの体積の温度依存性が測定結果として得られることとなる。
【0047】
ここで、加熱冷却過程としては、25℃から1分間に5℃の昇温速さで175℃まで加熱し、熱硬化反応による収縮が終了するまで175℃を維持し、その後、加熱および温度維持機能を停止し、自然に冷却する過程とすることが出来る。
【0048】
次に、図を用いてより詳しく説明する。加熱冷却過程におけるアンダーフィル材料の体積変化の測定方法としては、例えば次のような測定方法が可能である。
【0049】
図3は、本発明にかかる実施の形態1における体積変化測定方法の工程を示す図である。
【0050】
まず、図3のステップS1に示すように、25℃から1分間に5℃の昇温速さで175℃まで加熱し、フッ化炭素樹脂板11の表面に形成されたくぼみ形状の載置部13の体積データが、レーザー変位計20によって、ガラス窓15を通して測定される。この測定は、5℃毎に行われる。各温度において、載置部13の各位置の高さデータが制御部26へと送られ、制御部26が体積データに演算する。レーザー変位計20は、対象物までの距離を測定することが出来るため、これによって上面11aから下側のくぼみ部分の空間の体積を測定演算される。
【0051】
次に、ステップS2において、175℃で一定時間維持され、所定時間毎に載置部13のくぼみ形状の体積データが取得される。ここで、制御部26はタイマー(図示せず)を有しており、温度が175℃に達した時点からタイマーを動作させ、所定時間毎に、載置部13の各位置の高さデータが測定され、体積データが演算される。又、一定時間とは、アンダーフィル材料18が熱硬化するために十分な時間のことであり、例えば、120分である。また、測定時間の間隔は、5分とすることが出来る。
【0052】
続いて、一定時間が経過すると、ステップS3において、ヒーター16が停止され、175℃から25℃まで自然冷却され、制御部26は、5℃毎に載置部13の各位置の高さデータを取得し、体積データを演算する。
【0053】
これらの工程により、上記加熱冷却過程での、載置部13のくぼみ部分の体積変化を測定することが出来る。尚、本発明の載置部体積変化測定工程の一例は、本実施の形態のステップS1、S2、S3に対応する。
【0054】
その後、ステップS4に示すように、再び温度を25℃に設定し、チャンバー12の蓋部分を取り外し、アンダーフィル材料18の液滴が、フッ化炭素樹脂板11の表面の加熱冷却過程における形状変化を測定した載置部13の範囲内におさまるように滴下される。このステップS4が、本発明の載置工程の一例に対応する。
【0055】
このとき、アンダーフィル材料18の液滴の径は、その界面張力を利用し、可能な限り対称性が高くなるように滴下することが望ましい。この観点から、特に限定するものではないが、ガラス窓15を通して見た場合の最長径が、2mm以上5mm以下であることが望ましい。最長径が2mmより小さいと、体積変化量も小さくなり、測定のばらつきが大きくなる。また5mm以上であると、液滴の自重により、液滴の変形や広がりが大きくなり、正確な体積を測定することが困難となるためである。
【0056】
このようにフッ化炭素樹脂板11の載置部13にアンダーフィル材料18の液滴を滴下した状態で、チャンバー12の蓋を閉めて密閉し、減圧ポンプ14を作動させ、チャンバー内を大気圧より低い気圧とする。
【0057】
このとき、チャンバー12内の気圧は、特に限定するものではないが、アンダーフィル材料18からの揮発分を効率よく吸引するという観点から、5.6kPaとすることができる。この状態で、公知の温調器19とヒーター16、熱電対17で、上記加熱冷却過程を再現し、例えば、5℃上昇ごとにアンダーフィル材料18のフッ化炭素樹脂板11と接触していない表面の形状を、非接触式の例えば三次元表面形状計測が可能な公知のレーザー変位計20で、ガラス窓15を通して測定する。
【0058】
より詳しく説明すると、ステップS5において、減圧された状態でステップS1と同様に、25℃から1分間に5℃の昇温速さで175℃まで加熱し、その際の載置部13に載置されているアンダーフィル材料18の表面の各位置における高さデータが、レーザー変位計20によって、ガラス窓15を通して5℃毎に測定される。そして、各アンダーフィル材料18の表面の水平方向における各位置での高さデータが制御部26へと送られ、制御部26において体積データに演算される。
【0059】
そして、ステップS6において、減圧された状態でステップS2と同様に、温度が175℃に達した時点から、制御部26はタイマーを動作させ、所定時間毎に、アンダーフィル材料18の表面の各位置における高さデータを取得し、体積データを演算する。
【0060】
続いて、ステップS7において、減圧された状態でステップS3と同様に、ヒーター16が停止され、175℃から25℃まで自然冷却され、制御部26によって、5℃毎にアンダーフィル材料18の表面の各位置における高さデータが取得され、その位置データから体積データが演算される。
【0061】
これらステップS5、S6、S7における測定では、レーザー変位計20は、対象物体までの距離を測定することが出来るため、載置部13の、フッ化炭素樹脂板11の上面11aの縁25よりも上側のアンダーフィル材料18の体積が測定演算されることになる。尚、本発明の熱硬化性樹脂体積変化測定演算工程は、本実施の形態のステップS5、S6、S7に対応する。
【0062】
図4は、アンダーフィル材料18が載置部13に載置された状態を示す断面構成図である。図4に示すように、アンダーフィル材料18とフッ化炭素樹脂と空気が同時に接触する縁25よりも上側のアンダーフィル材料18の部分を上部23とし、縁25よりも下側のアンダーフィル材料18の部分を下部24とする。この下部24は、上部23とその縁を共有し、空気と接触していない。なお、図4における破線は、アンダーフィル材料の上部と下部を区別するための図内における便宜上の線である。
【0063】
すなわち、上記測定では、上記加熱冷却過程での各測定温度における上部23の体積が測定されたことになる。
【0064】
そして、ステップS8において、制御部26が、先にステップS1、S2、S3で測定した上記加熱冷却過程での各測定温度における載置部13のくぼみ部分の体積を、アンダーフィル材料18の下部24の体積と同一として、各温度における上部23の体積と載置部13のくぼみ部分の体積を足し合わせて、各温度におけるアンダーフィル材料18の体積とすることが出来る。尚、ステップS3、S6における体積については、測定タイミングごとに上部23の体積と載置部13のくぼみ部分の体積が足し合わされる。
【0065】
以上のように、上の操作により、アンダーフィル材料の加熱による膨張量、熱硬化による収縮量、及び熱硬化終了後の冷却による収縮量を測定することが出来、それぞれの体積変化を得ることができる。
【0066】
又、硬化性樹脂として、硬化前のアンダーフィル材料18を用意し、アンダーフィル材料18をくぼみ状の載置部13上に配置する。アンダーフィル材料18がアンダーフィルとぬれ性の悪いフッ化炭素樹脂板上でかつ、くぼみ部に配置されることにより、アンダーフィル材料18はフッ化炭素樹脂板11と硬化時に密着せず、粘度が低くても広がらずかつその位置を変えることがない。
【0067】
上記構成のもとで、アンダーフィル材料18が配置されているので、アンダーフィル材料18は加熱冷却工程の過程でフッ化炭素樹脂板上に密着することもなく、その位置を変えることもない。
【0068】
このように、本実施の形態1の体積測定装置では、特許文献1に示す装置と比較して、熱硬化性樹脂と測定ステージとの密着や、昇温時の低粘度化による液体の広がりによる体積変化測定の不確定さを軽減することができる。
【0069】
又、従来の特許文献1に記載の体積測定装置では、密閉されておらず、大気と接触した状態において行われるため、アンダーフィル材料の表面からの放熱によって、アンダーフィル材料内において、空気に近い部分とそうでない部分の温度の不均一性を制御することができなかった。そのため、アンダーフィル材料の相内において均一な加熱がなされず、硬化も不均一となってしまうので、正確な体積変化の測定が難しいという問題があった。しかしながら、本実施の形態1では、チャンバー12内に密閉されていることにより、アンダーフィル材料18はその液滴内において均一な温度上昇、温度下降をたどることとなる。そのため、特許文献1に示す装置と比較して、より正確に熱硬化性樹脂の体積変化を測定することが可能である。
【0070】
又、上記加熱冷却過程において、終始減圧ポンプ14を作動させ、排気口21から減圧排気することにより、アンダーフィル材料からの低分子量揮発分は、チャンバー内に一定濃度を超えてとどまることなく、従ってガラス窓は曇ることがないため測定値に誤差が生じにくい。
【0071】
尚、本実施の形態では、ステップS1、S2、S3の工程において、チャンバー12内を減圧していないが、ステップS5、S6、S7の時と同様に減圧を行っても良い。
【0072】
又、ステップS3においても、ステップS6と同じ時間測定を行っているが、載置部13の形状が変化しない場合、ステップS6よりも短時間で終了させてよい。
【0073】
又、本実施の形態の体積測定装置では、制御部26において、各温度におけるアンダーフィル材料18の体積が求められているが、制御部26において、更に得られた体積から体積変化率を演算してもよい。例えば、加熱による膨張過程、硬化による収縮過程、及び冷却による収縮過程のぞれぞれの過程における体積変化率を演算することが出来る。
【0074】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2における体積測定装置について説明する。本実施の形態2の体積測定装置は、実施の形態1と基本的な構成は同じであるが、加熱ステージの構成が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。
【0075】
図5は、本発明にかかる実施の形態2に係る体積測定装置の構造を示す断面図であり、チャンバー内は断面図として示されている。尚、図5において、紙面に向かって、鉛直下向きの矢印Aが重力方向を表示しているものとする。
【0076】
本実施の形態2の体積測定装置では、フッ化炭素樹脂製の加熱ステージ110を備え、加熱ステージ110はチャンバー12内に密閉されている。
【0077】
フッ化炭素樹脂で形成された加熱ステージ110上には、前述したくぼみ状の載置部13が形成され、載置部13は、本発明の実施の形態1の場合と同様の役割を果たす。
【0078】
チャンバー12内の減圧ポンプ14による排気口21を通しての減圧や、レーザー変位計20、温調器19、載置部13のくぼみ形状および測定方法などについては、本発明の実施の形態1と同様とすることができる。
【0079】
この本実施の形態2の場合、本発明の実施の形態1と異なり、加熱部分はフッ化炭素樹脂の一相であるので、装置を簡素化でき、上記実施の形態1の様に金属製のステージにフッ化炭素樹脂板を固定した場合の、フッ化炭素樹脂板の熱変形による不正確さをさらに軽減することができる。
【0080】
尚、本発明の加熱用台座部の一例は、上記実施の形態1では、加熱ステージ10及びフッ化炭素樹脂板11に対応し、本実施の形態2では加熱ステージ110に対応する。そして、上記実施の形態1では、加熱ステージ10の上にフッ化炭素樹脂板11が配置され、そのフッ化炭素樹脂板11に載置部13が形成されており、本実施の形態2では、フッ化炭素樹脂によって形成された加熱ステージ110に載置部13が形成されているが、少なくとも載置部13の内側の面がフッ化炭素樹脂によって形成されておりさえすればよい。図6は、このような構成の加熱ステージ111の部分断面構成図である。図6に示すように、本発明の加熱用台座部の一例に対応する加熱ステージ111には、実施の形態1、2と同様の載置部13が形成されており、その載置部13の内表面がフッ化炭素樹脂27によって形成されている。
【0081】
又、上記実施の形態1、2では、くぼみ形状の載置部13が1つしか形成されていないが、複数個形成されていても良い。
【0082】
又、上記実施の形態1、2における載置部13の形状は、平面視において、円形状であり、断面は紡錘形となっているが、これに限らず種々の形状が可能であるが、上述したように、平面視において、載置部を任意の深さで、フッ化炭素樹脂板11の上面11aに平行な面で切断した形状は、載置部の縁25の形状と相似形であり、その対称線および対称中心点の位置が、フッ化炭素樹脂板11の上面11aを垂直に見下ろした際に、載置部の縁形状の対称線および対称中心と一致していることが望ましい。
【0083】
図7(a)は、平面視楕円形状の縁251の載置部131の平面構成図であり、図7(b)は、載置部131の断面構成図である。図7(a)、(b)に示すように、載置部131の縁251の形状は、点131aを対称点とする点対称であり、載置部131を任意の深さで上面11aに平行な面で切断した形状は、縁251の形状と相似形であり、その対称点の位置が、点131aと一致する。
【0084】
又、図8(a)は、平面視菱形形状の縁252の載置部132の平面構成図であり、図8(b)は、載置部132の断面構成図である。この載置部132の縁252の菱形形状は、点132aを対称点とする点対称である。そして、載置部132を任意の深さで上面11aに平行な面で切断した形状は、縁252の形状と相似形であり、その対称点の位置が、点132aと一致する。
【0085】
又、図9(a)は、平面視三角形状の縁253の載置部133の平面構成図であり、図9(b)は、載置部133の断面構成図である。この載置部133の縁253の三角形状は、線133Sを対称線とする線対称である。そして、載置部133を任意の深さで上面11aに平行な面で切断した形状は、縁253の形状と相似形であり、その対称線は、線133Sと一致する。
【0086】
(実施の形態3)
次に、本発明にかかる実施の形態3における体積測定装置について説明する。本実施の形態3の体積測定装置では、載置部13の内表面が、ポリフッ化アルキル化合物で構成されたフラクタル構造となっている。
【0087】
ポリフッ化アルキル化合物としては、フッ素含有疎水基を有するポリマーであれば、特に限定するものではないが、例えば、特開2008−189705号公報に示されたように、アルキル基またはアルケニル基において、水素原子の少なくとも一部をフッ素原子に置換した、フッ素含有成分を用いることができる。
【0088】
ポリフッ化アルキル化合物は、アンダーフィル材料とぬれ性が悪いため、図10に示したように、これらポリフッ化アルキル化合物の表面がフラクタル構造となっていることで、アンダーフィル材料18との接触面積を通常のフッ化炭素樹脂よりもさらに小さくすることができる。
【0089】
従って、アンダーフィル材料18との密着性が小さくなり、密着による拘束に起因した測定の不正確さをさらに小さくすることができる。
【0090】
フラクタル構造の、幅および高さの範囲は、特に限定するものではないが、10nmより大きく、800μmより小さい微細な凹凸となっていることが望ましい。10nmより小さいと、その表面が平面に近くなり、凹凸形状でなくなり、800μmより大きいと、凹の部分にアンダーフィルがその自重により入りこみ、接触面積を十分小さくすることができなくなるためである。
【0091】
尚、フラクタル構造を形成する一つ一つの凹凸の形状は限定するものではなく、鱗片状、角柱状、円柱状、角錐状、円錐状、針状といった形状のいずれであってもよく、またこれらが混在していてもよい。ポリフッ化アルキル化合物による表面のフラクタル構造の形成としては、上記文献(特開2008−189705号公報)に記載されたように、ポリフッ化アルキルピロール膜により形成することができる。チャンバー12内の減圧ポンプ14による排気口21を通しての減圧や、レーザー変位計20、温調器19、載置部13のくぼみの形状および測定方法などについては、本実施の形態1と同様とすることができる。
【0092】
以上のように、上記実施の形態1〜3の体積測定装置では、アンダーフィルのように低粘度かつ金属などの基材に対して密着力の強い熱硬化性樹脂に対して、密着による測定の不正確さを発生させずに加熱による体積膨張、硬化による体積収縮、硬化後の冷却による体積収縮の過程において、各温度での体積の変化量を精度よく測定することができる。
【0093】
そのため、上記実施の形態1〜3の体積測定装置で測定した値を元に、例えば半導体パッケージへの樹脂充填硬化過程において、半導体装置内に発生する応力を正確に予測可能に計算することが可能となり、それに基づき設計された半導体装置を、発生する内部応力を少なくした信頼性の高いものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の体積測定装置及び体積変化測定方法によれば、より正確に体積変化を測定することが可能となり、熱硬化性樹脂の体積変化を測定する体積測定装置及び体積変化測定方法等として有用である。
【符号の説明】
【0095】
10、110、111 加熱ステージ
11 フッ化炭素樹脂板
12 チャンバー
13、131、132、133 載置部
14 減圧ポンプ
15 ガラス窓
16 ヒーター
17 熱電対
18 アンダーフィル材料
19 温調器
20 レーザー変位計
21 排気口
22 孔
23 ポリフッ化アルキル化合物膜
24 凹凸
25、251、252、253 縁
26 制御部
27 フッ化炭素樹脂
101 測定ステージ
102 塗料
103 レーザー変位計
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂の物性を評価する技術に関するものであり、例えば、熱硬化性樹脂の加熱による膨張とそれに続く硬化による収縮、および硬化終了後の冷却に伴う収縮を測定する体積測定装置及び体積変化測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に半導体素子がフリップチップ接続された半導体装置における保護材料としては、基板と半導体素子の間隙を充填し、熱硬化させるアンダーフィル材料が用いられている。
【0003】
このアンダーフィル材料としては、半導体装置の使用上発生する熱応力を緩和するために、より低い弾性率のものが要求され、熱硬化の際にその化学反応による体積収縮が小さいものがさらに好ましく使用される。なぜなら、熱硬化による化学反応収縮が大きいと、半導体素子表面や、回路基板表面あるいは、それらの接続部として使用されているバンプ接続部あるいは金属ワイヤなどと密着しながら収縮することとなり、それ自体が半導体装置内での応力発生要因となるからである。
【0004】
一般的にはアンダーフィル材料を始めとした樹脂材料中に無機充填フィラーなどを含有し、硬化や冷却による収縮量を小さくすることが行われるが、収縮を完全になくすことはできない。
【0005】
そこで、樹脂硬化物を含むこれら基材の線膨張係数や弾性率、ガラス転移温度を別途公知の方法で測定し、それらの値から半導体装置内の各所におけるひずみ量を計算し、発生する場所と応力の大きさが求めることが可能である。
【0006】
しかしながら、熱硬化性樹脂の加熱時の化学反応による重合にともなう硬化収縮量を測定し、その値を考慮に入れないと、ひずみ量を完全に計算することができない。
【0007】
そこで、熱硬化性樹脂の硬化に伴う収縮量を測定する硬化収縮測定装置として、例えば、特許文献1に示された装置の中の、硬化進行度を測定する部位を使用することが可能であると思われる。図11は、この硬化進行度を測定する部位を用いた収縮量を測定する装置の構成図である。図11に示す装置では、加熱可能な測定ステージ101上に塗料102を塗膜として塗布し、加熱による硬化に伴う塗料の塗膜の厚みの変化がレーザー変位計103で、測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−038533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような硬化収縮測定装置では、アンダーフィルなどの高温で低粘度となる材料の測定では、次に挙げるような問題が生じる。
【0010】
第一に、アンダーフィル材料は高温で低粘度となるために、測定ステージ上において、加熱時に液体が大きく広がってしまい、広がることによる塗膜の厚み変化と、膨張や収縮による塗膜の厚み変化を区別することができないので、正確に膨張量や収縮量を測定できない。
【0011】
第二に、アンダーフィル材料は密着性が大きい材料であるので、硬化の過程で測定ステージとアンダーフィルが密着してしまい、アンダーフィルの中でも密着による拘束を受ける部分と、空気に接触し密着による拘束を受けない部分が生じ、正確な体積変化の測定が難しい。
【0012】
本発明は、従来の硬化収縮測定装置の課題を考慮し、より正確に体積変化を測定することが可能な体積測定装置及び体積変化測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
熱硬化性樹脂の熱硬化における体積を測定する体積測定装置であって、
前記熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、
前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部と、
前記加熱用台座部を加熱する加熱部と、
前記加熱用台座部の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部によって測定された温度に基づいて前記加熱部を温度制御する温調部と、
各温度における、前記載置部に載置された前記熱硬化性樹脂の体積を測定する体積測定部とを備えた、体積測定装置である。
【0014】
第2の本発明は、
熱硬化性樹脂の熱硬化における体積を測定する体積測定装置であって、
前記熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、
前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面はフッ化炭素樹脂によって形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部と、
前記加熱用台座部を加熱する加熱部と、
前記加熱用台座部の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部によって測定された温度に基づいて前記加熱部を温度制御する温調部と、
各温度における、前記載置部に載置された前記熱硬化性樹脂の体積を測定する体積測定部とを備えた、体積測定装置である。
【0015】
第3の本発明は、
前記体積測定部は、前記測定された体積に基づいて体積変化を演算する、第1又は2の本発明の体積測定装置である。
【0016】
第4の本発明は、
前記体積測定部は、非接触式3次元形状測定部を利用して測定した前記載置部のくぼみ部分の体積を用いて、前記熱硬化性樹脂の体積を測定する、第1又は2の本発明の体積測定装置である。
【0017】
第5の本発明は、
前記加熱用台座部を密閉するチャンバーを備えた、第1〜4のいずれかの本発明の体積測定装置である。
【0018】
第6の本発明は、
前記チャンバーは、
前記非接触式3次元形状測定部から前記載置部に向かって照射される光が透過するガラス窓を有している、第5の本発明の体積測定装置である。
【0019】
第7の本発明は、
前記チャンバーは、排気口を有し、
前記排気口に、その減圧口が接続された減圧ポンプを更に備え、
前記減圧ポンプの動作により、前記チャンバー内が減圧される、第5又は6の本発明の体積測定装置である。
【0020】
第8の本発明は、
前記載置部の形状は、
平面視において、その縁の形状が線対称または点対称であり、
前記加熱用台座部の上面と平行な断面形状は、前記載置部の縁の形状と相似であり、
前記断面形状の対称線又は対称点の位置が、前記縁の形状の対称線又は対称点の位置と一致している、第1〜7のいずれかの本発明の体積測定装置である。
【0021】
第9の本発明は、
前記載置部の内表面の構成分子が、微細な凹凸を有するフラクタル構造を形成しており、
前記凹凸の幅及び高さは、10nmより大きく、800μmより小さい、第1〜8のいずれかの本発明の体積測定装置である。
【0022】
第10の本発明は、
前記フラクタル構造は、ポリフッ化アルキル化合物の膜によって形成されている、第9の本発明の体積測定装置である。
【0023】
第11の本発明は、
前記加熱用台座部は、
加熱ステージと、
前記加熱ステージの上面に配置されたフッ化炭素樹脂板とを有し、
前記フッ化炭素樹脂板に前記載置部が形成されている、第1〜10のいずれかの本発明の体積測定装置である。
【0024】
第12の本発明は、
前記加熱用台座部は、フッ化炭素樹脂によって形成されている、第1〜10のいずれかの本発明の体積測定装置である。
【0025】
第13の本発明は、
熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部とを有する体積測定装置を用いて、前記熱硬化性樹脂の熱硬化における体積変化を測定する体積変化測定方法であって、
前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記載置部のくぼみ部分の体積変化を測定演算する載置部体積変化測定演算工程と、
前記載置部に前記熱硬化性樹脂を載置する載置工程と、
前記載置部体積変化測定演算工程で得られた体積変化データを用いて、前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記熱硬化性樹脂の体積変化を測定演算する熱硬化性樹脂体積変化測定演算工程とを備えた、体積変化測定方法である。
【0026】
第14の本発明は、
熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面はフッ化炭素樹脂によって形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部とを有する体積測定装置を用いて、前記熱硬化性樹脂の熱硬化における体積変化を測定する体積変化測定方法であって、
前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記載置部のくぼみ部分の体積変化を測定演算する載置部体積変化測定演算工程と、
前記載置部に前記熱硬化性樹脂を載置する載置工程と、
前記載置部体積変化測定演算工程で得られた体積変化データを用いて、前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記熱硬化性樹脂の体積変化を測定演算する熱硬化性樹脂体積変化測定演算工程とを備えた、体積変化測定方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、より正確な体積変化を測定することが可能な体積測定装置及び体積変化測定方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における体積測定装置の構成図
【図2】(a)本発明にかかる実施の形態1における体積測定装置のフッ化樹脂板の正断面構成図、(b)本発明にかかる実施の形態1における体積測定装置のフッ化樹脂板の平面構成図
【図3】本発明にかかる実施の形態1における体積変化測定方法の工程を示す図
【図4】本発明にかかる実施の形態1における体積変化測定方法の際の熱硬化性樹脂の状態を説明するための載置部近傍の断面構成図
【図5】本発明にかかる実施の形態2における体積測定装置の構成図
【図6】本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の体積測定装置の部分構成図
【図7】(a)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の平面構成図、(b)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の断面構成図
【図8】(a)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の平面構成図、(b)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の断面構成図
【図9】(a)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の平面構成図、(b)本発明にかかる実施の形態1、2の変形例の載置部の断面構成図
【図10】本発明にかかる実施の形態3における体積測定装置においてポリフッ化アルキル化合物膜上に形成された微細な凹凸の凸の部分と熱硬化性樹脂が接触していることを示した部分拡大構成図
【図11】従来の体積測定装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明にかかる実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明にかかる実施の形態1における体積測定装置の構成図であり、チャンバー内は断面図として示されている。尚、図1において、紙面に向かって、鉛直下向きの矢印A方向が、重力がかかる方向を表示している。
【0031】
本実施の形態1の体積測定装置では、加熱ステージ10と、加熱ステージ10に装着されたフッ化炭素樹脂板11と、フッ化炭素樹脂板11が装着された加熱ステージ10を密閉するチャンバー12とを備えている。この際、フッ化炭素樹脂板11と加熱ステージ10の間には、加熱ステージ10から伝わる熱の熱抵抗低減を目的として、公知の熱伝導性シリコーングリースが塗布されていても良い。尚、図1にはシリコーングリースは図示されていない。
【0032】
図2(a)は、フッ化炭素樹脂板11の断面構成図であり、図2(b)は、フッ化炭素樹脂板11の平面構成図である。詳しくは後述するが、フッ化炭素樹脂板11には、その上面11aに、本発明の熱硬化性樹脂の一例に対応するアンダーフィル材料18が載置されるくぼみ状の載置部13が形成されている。この載置部13に載置されたアンダーフィル材料18の体積を測定するレーザー変位計20が、図1に示すように、載置部13の上方であって、チャンバー12の外側に設けられている。このレーザー変位計20は、非接触式の三次元表面形状計測が可能な公知のものであり、レーザーヘッド及びCCDカメラなどを有している。そして、レーザー変位計20のレーザーヘッドから載置部13へ向けて照射される光を透過させるガラス窓15が、載置部13と対向したチャンバー12の上面の一部に形成されている。このガラス窓15は、フッ化炭素樹脂板11の上面11aに対して垂直な方向から載置部13を見ることができるように取り付けられている。
【0033】
チャンバー12の開閉箇所としては特に限定するものではないが、後述するアンダーフィル材料の液滴の配置の際の作業性の良さから、ガラス窓15を含む壁が上蓋として機能する方が好ましい。さらに、例えばその上蓋の4隅が、チャンバーの上蓋以外のチャンバーの特定の箇所に固定された形状となっており、その固定された箇所を軸として回動自在に構成されておれば、操作し易いため、より好ましい。
【0034】
加熱ステージ10には、ヒーター16及び熱電対17が挿入されており、これらの導通線は、チャンバー12の少なくとも1箇所以上に形成された適当な孔22を通って配置されており、チャンバー12の外部に設けられている温調器19に繋がっている。この孔22の内側は、ヒーター16および熱電対17に接続されている導通線と密着している。
【0035】
またチャンバー12には、排気口21が設けられており、その排気口21に減圧ポンプ14の吸気口14aが直接接続されており、チャンバー12内に密閉された気体を減圧吸引することができる。また、レーザー変位計20によって計測された体積データと、熱電対17による温度データに基づいて、各温度におけるアンダーフィル材料の体積データを取得する制御部26が設けられている。
【0036】
尚、本発明の加熱用台座部の一例は、本実施の形態の加熱ステージ10及びフッ化炭素樹脂板11に対応し、本発明の加熱部の一例は、本実施の形態のヒーター16に対応する。又、本発明の温度測定部の一例は、本実施の形態の熱電対17に対応し、本発明の温調部の一例は、本実施の形態の温調器19に対応する。又、本発明の非接触3次元形状測定部の一例は、本実施の形態のレーザー変位計20に対応し、本発明の体積測定部の一例は、本実施の形態のレーザー変位計20及び制御部26に対応する。尚、ヒーター16、熱電対17、温調器19、及び減圧ポンプ14は公知のものを使用することが出来る。
【0037】
本構成における加熱ステージ10に装着されたフッ化炭素樹脂板11、およびその表面に形成されたくぼみ形状の載置部13は本発明の重要な部位であり、その詳細を以下に述べる。
【0038】
まずフッ化炭素樹脂板11としては、特に限定するものではないが、例えばポリテトラフルオロエチレンが挙げられ、デュポン社製のテフロン(登録商標)が好適に使用される。ポリテトラフルオロエチレンの界面張力エネルギーは18.5mN/mであるのに対し、アンダーフィルの主原料であるエポキシ樹脂の一般的な界面張力エネルギーは46〜47mN/mであり、この界面張力エネルギー差、およびフッ化炭素樹脂の化学的な安定性に起因し、アンダーフィルのフッ化炭素樹脂に対する密着は低減される。このような観点から界面張力エネルギーが20mN/mのシリコーン樹脂もまた加熱ステージ10に装着される樹脂板として好適に使用できる。尚、前記くぼみ状の内表面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で構成されることが好ましい。界面張力エネルギーが15mN/mより小さいと熱硬化性樹脂の下に空隙を巻き込むことが多くなり、正確な体積変化の測定がやや困難となる。また30mN/mより大きいと、熱硬化性樹脂との密着力が強くなり、正確な体積変化の測定がやや困難となる。
【0039】
このようなフッ化炭素樹脂板11の厚みとしては、特に限定するものではないが、1mmより厚く、5mmより薄いことが望ましい。1mmより薄いと、強度が小さくなり、フッ化炭素樹脂板自体の加熱時における熱変形が大きくなり、測定の不正確さの原因となる。また5mmより厚いと、加熱ステージからの熱が十分にアンダーフィル材料18に伝わらず、均一な温度上昇が難しくなるという点で好ましくない。
【0040】
フッ化炭素樹脂板11に形成された載置部13は、そこに配置されたアンダーフィル材料18の液滴が測定中に三次元表面形状計測が可能な公知のレーザー変位計20の移動によって発生するわずかな振動あるいは、チャンバー12が可動ステージなどに設置されている場合に、それらの可動に伴って発生するわずかな振動などで、その位置を変えないために設けられている。
【0041】
載置部13のくぼみの形状としては、特に限定するものではないが、アンダーフィル材料18を配置した際に、くぼみの最下部とアンダーフィル材料18の間に空隙が発生しないようにする必要がある。くぼみの最下部とアンダーフィル材料18の間に空隙が存在すると、加熱による温度上昇で空隙内の空気が膨張し、アンダーフィル材料の体積変化を正確に測定することができなくなるからである。
【0042】
また載置部13のくぼみの縁25(図2(a)、(b)参照)の形状としては、特に限定するものではないが、アンダーフィル材料の液滴の対称性が維持され、より正確な測定を行い易いという観点から、線対称又は点対称である形状が望ましく、円または楕円形がさらに望ましい。尚、図2(b)では、縁25は円形状に形成されている。また同様の観点から、平面視において、くぼみを任意の深さで、フッ化炭素樹脂板11の上面11aに平行な面で切断した形状は、くぼみの縁25の形状と相似形であり、その対称線および対称中心点の位置が、フッ化炭素樹脂板11の表面を垂直に見下ろした際に、くぼみの縁形状の対称線および対称中心と一致していることが望ましい。本実施の形態1では、図2(a)、(b)に示すように、くぼみの断面を紡錘形としている。
【0043】
本実施の形態1の体積測定装置は、以上のような構成となっている。
【0044】
次に、本実施の形態1の体積変化測定方法について説明する。
【0045】
はじめに、アンダーフィル材料の体積変化測定方法の概略について説明する。一定の昇温条件で加熱していくと、アンダーフィル材料は加熱による液体の膨張を経て、一定温度を超えると硬化反応の開始とともに収縮し始める。そして、硬化反応開始温度を超える一定温度で一定時間放置することで収縮が終了する。更に、加熱を停止し、自然放置の状態で冷却すると、今度は温度の低下に伴う収縮をすることになる。
【0046】
この加熱冷却過程において、公知のレーザー変位計20におけるレーザーヘッドおよびCCDカメラで、ガラス窓15を通してアンダーフィル材料18の形状変化を一定温度上昇間隔、例えば5℃上昇ごとに測定することで、アンダーフィルの体積の温度依存性が測定結果として得られることとなる。
【0047】
ここで、加熱冷却過程としては、25℃から1分間に5℃の昇温速さで175℃まで加熱し、熱硬化反応による収縮が終了するまで175℃を維持し、その後、加熱および温度維持機能を停止し、自然に冷却する過程とすることが出来る。
【0048】
次に、図を用いてより詳しく説明する。加熱冷却過程におけるアンダーフィル材料の体積変化の測定方法としては、例えば次のような測定方法が可能である。
【0049】
図3は、本発明にかかる実施の形態1における体積変化測定方法の工程を示す図である。
【0050】
まず、図3のステップS1に示すように、25℃から1分間に5℃の昇温速さで175℃まで加熱し、フッ化炭素樹脂板11の表面に形成されたくぼみ形状の載置部13の体積データが、レーザー変位計20によって、ガラス窓15を通して測定される。この測定は、5℃毎に行われる。各温度において、載置部13の各位置の高さデータが制御部26へと送られ、制御部26が体積データに演算する。レーザー変位計20は、対象物までの距離を測定することが出来るため、これによって上面11aから下側のくぼみ部分の空間の体積を測定演算される。
【0051】
次に、ステップS2において、175℃で一定時間維持され、所定時間毎に載置部13のくぼみ形状の体積データが取得される。ここで、制御部26はタイマー(図示せず)を有しており、温度が175℃に達した時点からタイマーを動作させ、所定時間毎に、載置部13の各位置の高さデータが測定され、体積データが演算される。又、一定時間とは、アンダーフィル材料18が熱硬化するために十分な時間のことであり、例えば、120分である。また、測定時間の間隔は、5分とすることが出来る。
【0052】
続いて、一定時間が経過すると、ステップS3において、ヒーター16が停止され、175℃から25℃まで自然冷却され、制御部26は、5℃毎に載置部13の各位置の高さデータを取得し、体積データを演算する。
【0053】
これらの工程により、上記加熱冷却過程での、載置部13のくぼみ部分の体積変化を測定することが出来る。尚、本発明の載置部体積変化測定工程の一例は、本実施の形態のステップS1、S2、S3に対応する。
【0054】
その後、ステップS4に示すように、再び温度を25℃に設定し、チャンバー12の蓋部分を取り外し、アンダーフィル材料18の液滴が、フッ化炭素樹脂板11の表面の加熱冷却過程における形状変化を測定した載置部13の範囲内におさまるように滴下される。このステップS4が、本発明の載置工程の一例に対応する。
【0055】
このとき、アンダーフィル材料18の液滴の径は、その界面張力を利用し、可能な限り対称性が高くなるように滴下することが望ましい。この観点から、特に限定するものではないが、ガラス窓15を通して見た場合の最長径が、2mm以上5mm以下であることが望ましい。最長径が2mmより小さいと、体積変化量も小さくなり、測定のばらつきが大きくなる。また5mm以上であると、液滴の自重により、液滴の変形や広がりが大きくなり、正確な体積を測定することが困難となるためである。
【0056】
このようにフッ化炭素樹脂板11の載置部13にアンダーフィル材料18の液滴を滴下した状態で、チャンバー12の蓋を閉めて密閉し、減圧ポンプ14を作動させ、チャンバー内を大気圧より低い気圧とする。
【0057】
このとき、チャンバー12内の気圧は、特に限定するものではないが、アンダーフィル材料18からの揮発分を効率よく吸引するという観点から、5.6kPaとすることができる。この状態で、公知の温調器19とヒーター16、熱電対17で、上記加熱冷却過程を再現し、例えば、5℃上昇ごとにアンダーフィル材料18のフッ化炭素樹脂板11と接触していない表面の形状を、非接触式の例えば三次元表面形状計測が可能な公知のレーザー変位計20で、ガラス窓15を通して測定する。
【0058】
より詳しく説明すると、ステップS5において、減圧された状態でステップS1と同様に、25℃から1分間に5℃の昇温速さで175℃まで加熱し、その際の載置部13に載置されているアンダーフィル材料18の表面の各位置における高さデータが、レーザー変位計20によって、ガラス窓15を通して5℃毎に測定される。そして、各アンダーフィル材料18の表面の水平方向における各位置での高さデータが制御部26へと送られ、制御部26において体積データに演算される。
【0059】
そして、ステップS6において、減圧された状態でステップS2と同様に、温度が175℃に達した時点から、制御部26はタイマーを動作させ、所定時間毎に、アンダーフィル材料18の表面の各位置における高さデータを取得し、体積データを演算する。
【0060】
続いて、ステップS7において、減圧された状態でステップS3と同様に、ヒーター16が停止され、175℃から25℃まで自然冷却され、制御部26によって、5℃毎にアンダーフィル材料18の表面の各位置における高さデータが取得され、その位置データから体積データが演算される。
【0061】
これらステップS5、S6、S7における測定では、レーザー変位計20は、対象物体までの距離を測定することが出来るため、載置部13の、フッ化炭素樹脂板11の上面11aの縁25よりも上側のアンダーフィル材料18の体積が測定演算されることになる。尚、本発明の熱硬化性樹脂体積変化測定演算工程は、本実施の形態のステップS5、S6、S7に対応する。
【0062】
図4は、アンダーフィル材料18が載置部13に載置された状態を示す断面構成図である。図4に示すように、アンダーフィル材料18とフッ化炭素樹脂と空気が同時に接触する縁25よりも上側のアンダーフィル材料18の部分を上部23とし、縁25よりも下側のアンダーフィル材料18の部分を下部24とする。この下部24は、上部23とその縁を共有し、空気と接触していない。なお、図4における破線は、アンダーフィル材料の上部と下部を区別するための図内における便宜上の線である。
【0063】
すなわち、上記測定では、上記加熱冷却過程での各測定温度における上部23の体積が測定されたことになる。
【0064】
そして、ステップS8において、制御部26が、先にステップS1、S2、S3で測定した上記加熱冷却過程での各測定温度における載置部13のくぼみ部分の体積を、アンダーフィル材料18の下部24の体積と同一として、各温度における上部23の体積と載置部13のくぼみ部分の体積を足し合わせて、各温度におけるアンダーフィル材料18の体積とすることが出来る。尚、ステップS3、S6における体積については、測定タイミングごとに上部23の体積と載置部13のくぼみ部分の体積が足し合わされる。
【0065】
以上のように、上の操作により、アンダーフィル材料の加熱による膨張量、熱硬化による収縮量、及び熱硬化終了後の冷却による収縮量を測定することが出来、それぞれの体積変化を得ることができる。
【0066】
又、硬化性樹脂として、硬化前のアンダーフィル材料18を用意し、アンダーフィル材料18をくぼみ状の載置部13上に配置する。アンダーフィル材料18がアンダーフィルとぬれ性の悪いフッ化炭素樹脂板上でかつ、くぼみ部に配置されることにより、アンダーフィル材料18はフッ化炭素樹脂板11と硬化時に密着せず、粘度が低くても広がらずかつその位置を変えることがない。
【0067】
上記構成のもとで、アンダーフィル材料18が配置されているので、アンダーフィル材料18は加熱冷却工程の過程でフッ化炭素樹脂板上に密着することもなく、その位置を変えることもない。
【0068】
このように、本実施の形態1の体積測定装置では、特許文献1に示す装置と比較して、熱硬化性樹脂と測定ステージとの密着や、昇温時の低粘度化による液体の広がりによる体積変化測定の不確定さを軽減することができる。
【0069】
又、従来の特許文献1に記載の体積測定装置では、密閉されておらず、大気と接触した状態において行われるため、アンダーフィル材料の表面からの放熱によって、アンダーフィル材料内において、空気に近い部分とそうでない部分の温度の不均一性を制御することができなかった。そのため、アンダーフィル材料の相内において均一な加熱がなされず、硬化も不均一となってしまうので、正確な体積変化の測定が難しいという問題があった。しかしながら、本実施の形態1では、チャンバー12内に密閉されていることにより、アンダーフィル材料18はその液滴内において均一な温度上昇、温度下降をたどることとなる。そのため、特許文献1に示す装置と比較して、より正確に熱硬化性樹脂の体積変化を測定することが可能である。
【0070】
又、上記加熱冷却過程において、終始減圧ポンプ14を作動させ、排気口21から減圧排気することにより、アンダーフィル材料からの低分子量揮発分は、チャンバー内に一定濃度を超えてとどまることなく、従ってガラス窓は曇ることがないため測定値に誤差が生じにくい。
【0071】
尚、本実施の形態では、ステップS1、S2、S3の工程において、チャンバー12内を減圧していないが、ステップS5、S6、S7の時と同様に減圧を行っても良い。
【0072】
又、ステップS3においても、ステップS6と同じ時間測定を行っているが、載置部13の形状が変化しない場合、ステップS6よりも短時間で終了させてよい。
【0073】
又、本実施の形態の体積測定装置では、制御部26において、各温度におけるアンダーフィル材料18の体積が求められているが、制御部26において、更に得られた体積から体積変化率を演算してもよい。例えば、加熱による膨張過程、硬化による収縮過程、及び冷却による収縮過程のぞれぞれの過程における体積変化率を演算することが出来る。
【0074】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2における体積測定装置について説明する。本実施の形態2の体積測定装置は、実施の形態1と基本的な構成は同じであるが、加熱ステージの構成が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。
【0075】
図5は、本発明にかかる実施の形態2に係る体積測定装置の構造を示す断面図であり、チャンバー内は断面図として示されている。尚、図5において、紙面に向かって、鉛直下向きの矢印Aが重力方向を表示しているものとする。
【0076】
本実施の形態2の体積測定装置では、フッ化炭素樹脂製の加熱ステージ110を備え、加熱ステージ110はチャンバー12内に密閉されている。
【0077】
フッ化炭素樹脂で形成された加熱ステージ110上には、前述したくぼみ状の載置部13が形成され、載置部13は、本発明の実施の形態1の場合と同様の役割を果たす。
【0078】
チャンバー12内の減圧ポンプ14による排気口21を通しての減圧や、レーザー変位計20、温調器19、載置部13のくぼみ形状および測定方法などについては、本発明の実施の形態1と同様とすることができる。
【0079】
この本実施の形態2の場合、本発明の実施の形態1と異なり、加熱部分はフッ化炭素樹脂の一相であるので、装置を簡素化でき、上記実施の形態1の様に金属製のステージにフッ化炭素樹脂板を固定した場合の、フッ化炭素樹脂板の熱変形による不正確さをさらに軽減することができる。
【0080】
尚、本発明の加熱用台座部の一例は、上記実施の形態1では、加熱ステージ10及びフッ化炭素樹脂板11に対応し、本実施の形態2では加熱ステージ110に対応する。そして、上記実施の形態1では、加熱ステージ10の上にフッ化炭素樹脂板11が配置され、そのフッ化炭素樹脂板11に載置部13が形成されており、本実施の形態2では、フッ化炭素樹脂によって形成された加熱ステージ110に載置部13が形成されているが、少なくとも載置部13の内側の面がフッ化炭素樹脂によって形成されておりさえすればよい。図6は、このような構成の加熱ステージ111の部分断面構成図である。図6に示すように、本発明の加熱用台座部の一例に対応する加熱ステージ111には、実施の形態1、2と同様の載置部13が形成されており、その載置部13の内表面がフッ化炭素樹脂27によって形成されている。
【0081】
又、上記実施の形態1、2では、くぼみ形状の載置部13が1つしか形成されていないが、複数個形成されていても良い。
【0082】
又、上記実施の形態1、2における載置部13の形状は、平面視において、円形状であり、断面は紡錘形となっているが、これに限らず種々の形状が可能であるが、上述したように、平面視において、載置部を任意の深さで、フッ化炭素樹脂板11の上面11aに平行な面で切断した形状は、載置部の縁25の形状と相似形であり、その対称線および対称中心点の位置が、フッ化炭素樹脂板11の上面11aを垂直に見下ろした際に、載置部の縁形状の対称線および対称中心と一致していることが望ましい。
【0083】
図7(a)は、平面視楕円形状の縁251の載置部131の平面構成図であり、図7(b)は、載置部131の断面構成図である。図7(a)、(b)に示すように、載置部131の縁251の形状は、点131aを対称点とする点対称であり、載置部131を任意の深さで上面11aに平行な面で切断した形状は、縁251の形状と相似形であり、その対称点の位置が、点131aと一致する。
【0084】
又、図8(a)は、平面視菱形形状の縁252の載置部132の平面構成図であり、図8(b)は、載置部132の断面構成図である。この載置部132の縁252の菱形形状は、点132aを対称点とする点対称である。そして、載置部132を任意の深さで上面11aに平行な面で切断した形状は、縁252の形状と相似形であり、その対称点の位置が、点132aと一致する。
【0085】
又、図9(a)は、平面視三角形状の縁253の載置部133の平面構成図であり、図9(b)は、載置部133の断面構成図である。この載置部133の縁253の三角形状は、線133Sを対称線とする線対称である。そして、載置部133を任意の深さで上面11aに平行な面で切断した形状は、縁253の形状と相似形であり、その対称線は、線133Sと一致する。
【0086】
(実施の形態3)
次に、本発明にかかる実施の形態3における体積測定装置について説明する。本実施の形態3の体積測定装置では、載置部13の内表面が、ポリフッ化アルキル化合物で構成されたフラクタル構造となっている。
【0087】
ポリフッ化アルキル化合物としては、フッ素含有疎水基を有するポリマーであれば、特に限定するものではないが、例えば、特開2008−189705号公報に示されたように、アルキル基またはアルケニル基において、水素原子の少なくとも一部をフッ素原子に置換した、フッ素含有成分を用いることができる。
【0088】
ポリフッ化アルキル化合物は、アンダーフィル材料とぬれ性が悪いため、図10に示したように、これらポリフッ化アルキル化合物の表面がフラクタル構造となっていることで、アンダーフィル材料18との接触面積を通常のフッ化炭素樹脂よりもさらに小さくすることができる。
【0089】
従って、アンダーフィル材料18との密着性が小さくなり、密着による拘束に起因した測定の不正確さをさらに小さくすることができる。
【0090】
フラクタル構造の、幅および高さの範囲は、特に限定するものではないが、10nmより大きく、800μmより小さい微細な凹凸となっていることが望ましい。10nmより小さいと、その表面が平面に近くなり、凹凸形状でなくなり、800μmより大きいと、凹の部分にアンダーフィルがその自重により入りこみ、接触面積を十分小さくすることができなくなるためである。
【0091】
尚、フラクタル構造を形成する一つ一つの凹凸の形状は限定するものではなく、鱗片状、角柱状、円柱状、角錐状、円錐状、針状といった形状のいずれであってもよく、またこれらが混在していてもよい。ポリフッ化アルキル化合物による表面のフラクタル構造の形成としては、上記文献(特開2008−189705号公報)に記載されたように、ポリフッ化アルキルピロール膜により形成することができる。チャンバー12内の減圧ポンプ14による排気口21を通しての減圧や、レーザー変位計20、温調器19、載置部13のくぼみの形状および測定方法などについては、本実施の形態1と同様とすることができる。
【0092】
以上のように、上記実施の形態1〜3の体積測定装置では、アンダーフィルのように低粘度かつ金属などの基材に対して密着力の強い熱硬化性樹脂に対して、密着による測定の不正確さを発生させずに加熱による体積膨張、硬化による体積収縮、硬化後の冷却による体積収縮の過程において、各温度での体積の変化量を精度よく測定することができる。
【0093】
そのため、上記実施の形態1〜3の体積測定装置で測定した値を元に、例えば半導体パッケージへの樹脂充填硬化過程において、半導体装置内に発生する応力を正確に予測可能に計算することが可能となり、それに基づき設計された半導体装置を、発生する内部応力を少なくした信頼性の高いものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の体積測定装置及び体積変化測定方法によれば、より正確に体積変化を測定することが可能となり、熱硬化性樹脂の体積変化を測定する体積測定装置及び体積変化測定方法等として有用である。
【符号の説明】
【0095】
10、110、111 加熱ステージ
11 フッ化炭素樹脂板
12 チャンバー
13、131、132、133 載置部
14 減圧ポンプ
15 ガラス窓
16 ヒーター
17 熱電対
18 アンダーフィル材料
19 温調器
20 レーザー変位計
21 排気口
22 孔
23 ポリフッ化アルキル化合物膜
24 凹凸
25、251、252、253 縁
26 制御部
27 フッ化炭素樹脂
101 測定ステージ
102 塗料
103 レーザー変位計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂の熱硬化における体積を測定する体積測定装置であって、
前記熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、
前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部と、
前記加熱用台座部を加熱する加熱部と、
前記加熱用台座部の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部によって測定された温度に基づいて前記加熱部を温度制御する温調部と、
各温度における、前記載置部に載置された前記熱硬化性樹脂の体積を測定する体積測定部とを備えた、体積測定装置。
【請求項2】
熱硬化性樹脂の熱硬化における体積を測定する体積測定装置であって、
前記熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、
前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面はフッ化炭素樹脂によって形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部と、
前記加熱用台座部を加熱する加熱部と、
前記加熱用台座部の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部によって測定された温度に基づいて前記加熱部を温度制御する温調部と、
各温度における、前記載置部に載置された前記熱硬化性樹脂の体積を測定する体積測定部とを備えた、体積測定装置。
【請求項3】
前記体積測定部は、前記測定された体積に基づいて体積変化を演算する、請求項1又は2記載の体積測定装置。
【請求項4】
前記体積測定部は、非接触式3次元形状測定部を利用して測定した前記載置部のくぼみ部分の体積を用いて、前記熱硬化性樹脂の体積を測定する、請求項1又は2記載の体積測定装置。
【請求項5】
前記加熱用台座部を密閉するチャンバーを備えた、請求項1〜4のいずれかに記載の体積測定装置。
【請求項6】
前記チャンバーは、
前記非接触式3次元形状測定部から前記載置部に向かって照射される光が透過するガラス窓を有している、請求項5記載の体積測定装置。
【請求項7】
前記チャンバーは、排気口を有し、
前記排気口に、その減圧口が接続された減圧ポンプを更に備え、
前記減圧ポンプの動作により、前記チャンバー内が減圧される、請求項5又は6に記載の体積測定装置。
【請求項8】
前記載置部の形状は、
平面視において、その縁の形状が線対称または点対称であり、
前記加熱用台座部の上面と平行な断面形状は、前記載置部の縁の形状と相似であり、
前記断面形状の対称線又は対称点の位置が、前記縁の形状の対称線又は対称点の位置と一致している、請求項1〜7のいずれかに記載の体積測定装置。
【請求項9】
前記載置部の内表面の構成分子が、微細な凹凸を有するフラクタル構造を形成しており、
前記凹凸の幅及び高さは、10nmより大きく、800μmより小さい、請求項1〜8のいずれかに記載の体積測定装置。
【請求項10】
前記フラクタル構造は、ポリフッ化アルキル化合物の膜によって形成されている、請求項9記載の体積測定装置。
【請求項11】
前記加熱用台座部は、
加熱ステージと、
前記加熱ステージの上面に配置されたフッ化炭素樹脂板とを有し、
前記フッ化炭素樹脂板に前記載置部が形成されている、請求項1〜10のいずれかに記載の体積測定装置。
【請求項12】
前記加熱用台座部は、フッ化炭素樹脂によって形成されている、請求項1〜10のいずれかに記載の体積測定装置。
【請求項13】
熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部とを有する体積測定装置を用いて、前記熱硬化性樹脂の熱硬化における体積変化を測定する体積変化測定方法であって、
前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記載置部のくぼみ部分の体積変化を測定演算する載置部体積変化測定演算工程と、
前記載置部に前記熱硬化性樹脂を載置する載置工程と、
前記載置部体積変化測定演算工程で得られた体積変化データを用いて、前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記熱硬化性樹脂の体積変化を測定演算する熱硬化性樹脂体積変化測定演算工程とを備えた、体積変化測定方法。
【請求項14】
熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面はフッ化炭素樹脂によって形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部とを有する体積測定装置を用いて、前記熱硬化性樹脂の熱硬化における体積変化を測定する体積変化測定方法であって、
前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記載置部のくぼみ部分の体積変化を測定演算する載置部体積変化測定演算工程と、
前記載置部に前記熱硬化性樹脂を載置する載置工程と、
前記載置部体積変化測定演算工程で得られた体積変化データを用いて、前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記熱硬化性樹脂の体積変化を測定演算する熱硬化性樹脂体積変化測定演算工程とを備えた、体積変化測定方法。
【請求項1】
熱硬化性樹脂の熱硬化における体積を測定する体積測定装置であって、
前記熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、
前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部と、
前記加熱用台座部を加熱する加熱部と、
前記加熱用台座部の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部によって測定された温度に基づいて前記加熱部を温度制御する温調部と、
各温度における、前記載置部に載置された前記熱硬化性樹脂の体積を測定する体積測定部とを備えた、体積測定装置。
【請求項2】
熱硬化性樹脂の熱硬化における体積を測定する体積測定装置であって、
前記熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、
前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面はフッ化炭素樹脂によって形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部と、
前記加熱用台座部を加熱する加熱部と、
前記加熱用台座部の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部によって測定された温度に基づいて前記加熱部を温度制御する温調部と、
各温度における、前記載置部に載置された前記熱硬化性樹脂の体積を測定する体積測定部とを備えた、体積測定装置。
【請求項3】
前記体積測定部は、前記測定された体積に基づいて体積変化を演算する、請求項1又は2記載の体積測定装置。
【請求項4】
前記体積測定部は、非接触式3次元形状測定部を利用して測定した前記載置部のくぼみ部分の体積を用いて、前記熱硬化性樹脂の体積を測定する、請求項1又は2記載の体積測定装置。
【請求項5】
前記加熱用台座部を密閉するチャンバーを備えた、請求項1〜4のいずれかに記載の体積測定装置。
【請求項6】
前記チャンバーは、
前記非接触式3次元形状測定部から前記載置部に向かって照射される光が透過するガラス窓を有している、請求項5記載の体積測定装置。
【請求項7】
前記チャンバーは、排気口を有し、
前記排気口に、その減圧口が接続された減圧ポンプを更に備え、
前記減圧ポンプの動作により、前記チャンバー内が減圧される、請求項5又は6に記載の体積測定装置。
【請求項8】
前記載置部の形状は、
平面視において、その縁の形状が線対称または点対称であり、
前記加熱用台座部の上面と平行な断面形状は、前記載置部の縁の形状と相似であり、
前記断面形状の対称線又は対称点の位置が、前記縁の形状の対称線又は対称点の位置と一致している、請求項1〜7のいずれかに記載の体積測定装置。
【請求項9】
前記載置部の内表面の構成分子が、微細な凹凸を有するフラクタル構造を形成しており、
前記凹凸の幅及び高さは、10nmより大きく、800μmより小さい、請求項1〜8のいずれかに記載の体積測定装置。
【請求項10】
前記フラクタル構造は、ポリフッ化アルキル化合物の膜によって形成されている、請求項9記載の体積測定装置。
【請求項11】
前記加熱用台座部は、
加熱ステージと、
前記加熱ステージの上面に配置されたフッ化炭素樹脂板とを有し、
前記フッ化炭素樹脂板に前記載置部が形成されている、請求項1〜10のいずれかに記載の体積測定装置。
【請求項12】
前記加熱用台座部は、フッ化炭素樹脂によって形成されている、請求項1〜10のいずれかに記載の体積測定装置。
【請求項13】
熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面は界面張力エネルギーが15mN/mより大きく30mN/mより小さい素材で形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部とを有する体積測定装置を用いて、前記熱硬化性樹脂の熱硬化における体積変化を測定する体積変化測定方法であって、
前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記載置部のくぼみ部分の体積変化を測定演算する載置部体積変化測定演算工程と、
前記載置部に前記熱硬化性樹脂を載置する載置工程と、
前記載置部体積変化測定演算工程で得られた体積変化データを用いて、前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記熱硬化性樹脂の体積変化を測定演算する熱硬化性樹脂体積変化測定演算工程とを備えた、体積変化測定方法。
【請求項14】
熱硬化性樹脂の加熱を行う加熱用台座部と、前記加熱用台座部の上面にくぼみ状に形成され、少なくともくぼみ状の内表面はフッ化炭素樹脂によって形成された、前記熱硬化性樹脂が載置される載置部とを有する体積測定装置を用いて、前記熱硬化性樹脂の熱硬化における体積変化を測定する体積変化測定方法であって、
前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記載置部のくぼみ部分の体積変化を測定演算する載置部体積変化測定演算工程と、
前記載置部に前記熱硬化性樹脂を載置する載置工程と、
前記載置部体積変化測定演算工程で得られた体積変化データを用いて、前記熱硬化性樹脂を硬化させるような温度制御を行い、前記熱硬化性樹脂の体積変化を測定演算する熱硬化性樹脂体積変化測定演算工程とを備えた、体積変化測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−2866(P2013−2866A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132009(P2011−132009)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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