作業車の排気装置
【課題】排気ガス浄化装置にて排気ガスを浄化できるものでありながら、高温の排気ガスに起因する作業環境の悪化を回避することが可能となる作業車の排気装置を提供する。
【解決手段】排気ガス浄化装置30が原動部5における機体後部側箇所に位置する状態で配備され、排気ガス浄化装置30から排出される排気ガスが通流する排気管31の先端部に径方向に重なり合う状態で、排気管31から排出される排気ガスにより外気を吸引しかつ排気ガスと吸引する外気とを混合させて排出口32から外部に排出させる排気管31よりも大径で筒状の排気混合管33が備えられ、排気混合管33が、排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、原動部5における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備されている。
【解決手段】排気ガス浄化装置30が原動部5における機体後部側箇所に位置する状態で配備され、排気ガス浄化装置30から排出される排気ガスが通流する排気管31の先端部に径方向に重なり合う状態で、排気管31から排出される排気ガスにより外気を吸引しかつ排気ガスと吸引する外気とを混合させて排出口32から外部に排出させる排気管31よりも大径で筒状の排気混合管33が備えられ、排気混合管33が、排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、原動部5における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭乗運転部の機体前部側に位置する原動部に、エンジン及びそのエンジンの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置が備えられた作業車の排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車の排気装置の従来構成として、例えば、前記排気ガス浄化装置から排出された排気ガスは上下方向に長いパイプ部材を介して、搭乗運転部を覆うキャビンの前部側のフレームに沿わせて高い位置にまで案内され、そのパイプ部材の上端開口からそのまま排気ガスを外部に排出させる構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−116001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排気ガス浄化装置は、排気ガスに含まれる煤等の粒子状物質を捕集除去するためのものであるが、このような排気ガス浄化装置では、捕集した粒子状物質が堆積することによる捕集機能の低下を防止するために、例えばヒータ等の加熱手段により捕集した粒子状物質を加熱して燃焼除去する再生処理を行うように構成されている。その結果、再生処理時において排気ガス浄化装置から排出される排気ガスは通常の排気ガスよりも高温になる。
【0005】
そこで、従来の排気装置では、上記したような搭乗運転部にキャビンを備える作業車であれば、パイプ部材の上端開口からそのまま排気ガスを外部に排出させるようにしても、キャビンの内部にいる運転者は排気ガスによる影響を受けることはないが、その作業車の近くにいる補助作業者に対して高温の排気ガスによる悪影響を受けることがある。
又、キャビンを備えない作業車であれば、補助作業者だけでなく、搭乗運転部にいる運転者に対しても高温の排気ガスにより悪影響を受けることがある。
【0006】
従って、従来の排気装置では、排気ガス浄化装置によって排気ガス中の煤等は除去されるものの、排気ガス浄化装置から排出される高温の排気ガスがパイプ部材の上端開口からそのまま排出されるものであるから、高温の排気ガスに起因して作業環境を悪化させる不利があった。
【0007】
本発明の目的は、排気ガス浄化装置を備えて排気ガスを浄化できるものでありながら、高温の排気ガスに起因して生じる作業環境の悪化を回避することが可能となる作業車の排気装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る作業車の排気装置は、搭乗運転部の機体前部側に位置する原動部に、エンジン及びそのエンジンの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置が備えられたものであって、その第1特徴構成は、
前記排気ガス浄化装置が、前記原動部における機体後部側箇所に位置する状態で配備され、
前記排気ガス浄化装置から排出される排気ガスが通流する排気管の先端部に径方向に重なり合う状態で、前記排気管から排出される排気ガスにより外気を吸引しかつ前記排気ガスと吸引する外気とを混合させて排出口から外部に排出させる前記排気管よりも大径で筒状の排気混合管が備えられ、
前記排気混合管が、軸芯方向が機体前後方向に沿う姿勢で、且つ、前記排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、前記原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備されている点にある。
【0009】
第1特徴構成によれば、排気ガス浄化装置から排出される排気ガスは排気管を通して通流して、その先端部から排出されるが、その排気管の先端部には、径方向に重なり合う状態で排気管よりも大径で筒状の排気混合管が備えられる。そして、この排気混合管は、排気管から排出される排気ガスにより外気を吸引しかつ排気ガスと吸引する外気とを混合させて排出口から外部に排出させる。
排気混合管が筒状に形成されるから、排気ガスと外気との混合が促進され、排出口から排出されるときは、排気ガス浄化装置から排出されるときよりも大幅に温度が低下した状態で外部に排出されることになる。
【0010】
排気混合管は、軸芯方向が機体前後方向に沿う姿勢で、且つ、排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備されるので、原動部内の他の装置の配置に制約を与えるおそれの少ない状態で排気混合管を備えさせることができ、しかも、排出される排気ガスは、搭乗運転部から遠ざかる方向に向けて排出されることになり、運転者は排気ガスによる影響を受けるおそれが少ないものとなる。
【0011】
従って、排気ガス浄化装置を備えて排気ガスを浄化できるものでありながら、高温の排気ガスに起因して生じる作業環境の悪化を回避することが可能となる作業車の排気装置を提供できるに至った。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、前記排気管が、前記排気ガス浄化装置における機体横幅方向他方側の端部に接続されるとともに、機体横幅方向一方側に向けて延出され、前記排気混合管に径方向に重なり合う状態で設けられている点にある。
【0013】
第2特徴構成によれば、排気管は、排気ガス浄化装置における機体横幅方向他方側の端部に接続され、機体横幅方向一方側に向けて延出されるのであり、原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備されている排気混合管に向けて排気ガスを通流させることになる。
【0014】
このように排気管は、機体横幅方向他方側の端部から機体横幅方向一方側に向けて長く延出されるので、排気ガス浄化装置から排出される高温の排気ガスが、この長い排気管の内部を通流することにより、排気管を通して熱が外部に放出されるので、排気ガスの温度を低下させることができる。
【0015】
すなわち、原動部における機体後部側箇所に配備される排気ガス浄化装置と、原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備される排気混合管とを接続するために長く設けられる排気管を有効利用して、排気ガスの温度を低下させることが可能となる。
【0016】
本発明の第3特徴構成は、前記排気混合管における前記排気管が重なり合う箇所よりもガス通流方向下手側箇所であってかつ前記排出口よりもガス通流方向上手側箇所に、その排気管を通流する排気ガスにより外気を吸引する外気吸引口が形成され、
前記排出口の断面積が、前記排気管の先端部が重なり合う箇所における外気取り入れ口の断面積と前記外気吸引口における断面積とを加算した断面積よりも大に設定されている点にある。
【0017】
第3特徴構成によれば、排気混合管における排気管が重なり合う箇所では、小径の排気管とそれよりも大径の排気混合管との間に形成される外気取り入れ口から外気が吸引される。又、外気吸引口が形成される箇所においても外気が吸引されることになる。
つまり、排気ガスは外気取り入れ口より吸引した外気と混合されて温度が低下したのちに、外気吸引口より吸引した外気と混合されることによりさらに温度が低下することになる。
【0018】
そして、排出口の断面積が、外気取り入れ口の断面積と外気吸引口における断面積とを加算した断面積よりも大に設定されているから、外気取り入れ口と外気吸引口との夫々から外気を吸引するようにしても、排出口において滞ることなく排気ガスが外部に排出されることになる。
【0019】
その結果、外気取り入れ口や外気吸引口からの外気の取り入れが良好に行われることになって、排気ガス浄化装置から排出される高温の排気ガスを充分に温度低下させた状態で排出口から外部に排出させることができる。
【0020】
本発明の第4特徴構成は、前記排気混合管が、操向操作自在な前輪を支持する前車軸ケースの上方に位置する状態で配備されている点にある。
【0021】
第4特徴構成によれば、排気混合管が前車軸ケースの上方に位置する状態で配備されるから、排気混合管を大径に構成するようにしても、前輪を最大揺動角度まで操向操作させることがあっても、前輪が排気混合管に干渉するおそれが少ないものとなる。
従って、排気混合管が操向操作される前輪との干渉により損傷を受けるおそれがなく、長期にわたり良好に使用できるものとなる。
【0022】
本発明の第5特徴構成は、前記排気管の先端部には、それよりもガス通流方向上流側箇所における横幅方向での幅を幅狭とした断面形状を縦長状とする絞り部が備えられている点にある。
【0023】
第5特徴構成によれば、排気管の先端部に備えられた絞り部によって、排気管から排出される排気ガスの流速を上げることができる。よって、排気管から排出されて排気混合管に供給される排気ガスによって、より大きな吸引力を発揮することができ、排気混合管により多くの外気を吸引することができる。したがって、排気混合管の長さを短くしても、より多くの外気を排気ガスに混合させて、排ガスの温度を十分に低下させることができるので、排気混合管の小型化を図ることができる。しかも、絞り部は、縦長状であるので、排気混合管の横幅方向での大きさを小さくすることができる。よって、排気混合管により多くの外気を取り込むことができながら、原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所での限られたスペースに排気管及び排気混合管を適切に配置することができる。
【0024】
本発明の第6特徴構成は、前記排気混合管が、操向操作自在な前輪よりも機体前方側に配備されている点にある。
【0025】
第6特徴構成によれば、前輪よりも機体前方側に配備された排気混合管から排気ガスを排出するので、搭乗運転部の運転者や機体から遠ざかるように排気ガスを排出することができる。これにより、排気ガスの熱による影響が、搭乗運転部の運転者や機体に及ぶのを低減することができる。また、排気混合管から機体前方に排気ガスを排出するに当たり、前輪が邪魔になることなく、その排気ガスの排出方向の選択の自由度が増す。
【0026】
本発明の第7特徴構成は、前記排気混合管は、前記排気ガスを機体前方における機体横幅方向の外側で斜め下方側に向けて排出させるように構成されている点にある。
【0027】
例えば、トラクタ等の作業車では、機体の前方にフロントローダを連結する場合に、機体横幅方向で排気混合管の外側にフロントローダを連結するための連結部材等が配備されることになる。よって、例えば、排気混合管から機体横幅方向の外側に排気ガスを排出すると、その連結部材等に向けて排気ガスを排出してしまうことになる。また、例えば、排気混合管から排気ガスを下方に向けて排出させた場合には、砂埃が生じる等の問題がある。
【0028】
そこで、第7特徴構成では、排気混合管から排気ガスを排出する方向を、機体前方における機体横幅方向の外側で斜め下方側としている。これにより、フロントローダを連結するための連結部材等に向けて排気ガスを排出することなく、砂埃が生じる等の問題の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】原動部の側面図である。
【図3】原動部の平面図である。
【図4】原動部の正面図である。
【図5】上手側の外気取り込み部の断面図である。
【図6】上手側の外気取り込み部の斜視図である。
【図7】排気混合管の断面図である。
【図8】下手側の外気取り込み部の斜視図である。
【図9】外気取り込み部や排出口の断面積を示す図である。
【図10】ボンネットの側面図である。
【図11】原動部の側面図である。
【図12】排気管及び排気混合管の斜視図である。
【図13】排気管及び排気混合管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明に係る作業車の排気装置を作業車としてのトラクタに適用した場合について説明する。
図1に示すように、このトラクタは、操向操作及び駆動自在な左右一対の前輪1と、駆動自在な左右一対の後輪2とを走行車体3に備えた四輪駆動仕様に構成されている。走行車体3の前部に、エンジン4等が内装された原動部5を備え、走行車体3の後部に、ステアリングハンドル6、運転座席7等を備えた搭乗運転部8が備えられている。又、このトラクタでは、搭乗運転部8にキャビンCが備えられている。
【0031】
エンジン4の後部には、クラッチハウジング9と、板金構造のハウジングフレーム10と、静油圧式無段変速装置(HST)からなる主変速装置11と、ミッションケース12と、デフケース13とが縦列状に順次連結された構造になっており、デフケース13に左右の後輪2が軸支されている。エンジン4の下部から前方に前部フレーム14が延出されており、この前部フレーム14に前輪1を装着する前車軸ケース17が支持されている。
【0032】
原動部5の上方を覆うボンネット15は、左右のサイドカバー15aと、通気可能なフロントカバー15bと、ヘッドライトを備えた上部カバー15cとを備えて構成されており、サイドカバー15a及びフロントカバー15bが前部フレーム14及びセンターフレーム16に固定支持され、上部カバー15cが上方に揺動開放可能に支持されている。
【0033】
図2及び図3に示すように、エンジン4は、水冷式の縦型ディーゼルエンジンに構成されており、その機体前部側にラジエータ20が立設配備されて、エンジン4の冷却水がエンジン4内の冷却水ジャケット(図示せず)とラジエータ20との間で循環流動されるようになっている。エンジン4の前面下部に設けられた出力軸(図示せず)に備えられたプーリ22と、エンジン4の前面上部に軸支配備された冷却ファン24の入力プーリ25と、発電機26の入力プーリ26aとに亘って伝動ベルト27が巻回張設されている。フロントカバー15bを通してエンジンルームR内に導入した外気を冷却ファン24によってラジエータ20に供給するよう構成されている。
【0034】
原動部5には、エンジン4の排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置30が備えられている。この排気ガス浄化装置30は、排気ガス中に含まれるカーボンを主成分とする粒子状物質を捕集して除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を用いて構成されている。この排気ガス浄化装置30は、図示はしないが、捕集した粒子状物質が堆積することによる捕集機能の低下を防止するために、例えばヒータ等の加熱手段により捕集した粒子状物質を加熱して燃焼除去する再生処理を行うように構成されている。その結果、エンジン4の回転数の高低にかかわらず、再生処理時において排出される排気ガスの温度が一般的なエンジンの排気に比べて高温になっている。
【0035】
そこで、このトラクタでは、排気ガス浄化装置30から排出される排気ガスの温度を低下させた状態で外部に排出させるための構成を備えている。
【0036】
すなわち、排気ガス浄化装置30から排出される排気ガスが通流する排気管31の先端部に径方向に重なり合う状態で、排気管31から排出される排気ガスにより外気を吸引しかつ排気ガスと吸引する外気とを混合させて排出口32から外部に排出させる排気管31よりも大径で筒状の排気混合管33が備えられ、この排気混合管33が、軸芯方向が機体前後方向に沿う姿勢で、且つ、排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、原動部5における機体横幅方向一方側としての機体横幅方向左側の下方側箇所に配備されている。
又、排気管31が、排気ガス浄化装置30における機体横幅方向他方側としての機体横幅方向右側端部に接続されるとともに、機体横幅方向左側に向けて延出され、排気混合管33に径方向に重なり合う状態で設けられている。
【0037】
以下、図2〜図4を参照しながら、具体的な配置構成について説明する。
図2に示すように、排気ガス浄化装置30は、原動部5における機体後部側箇所であって且つエンジン4の上部側箇所に配備されている。
又、排気ガス浄化装置30は、軸芯方向に長尺の円筒形状に形成され、軸芯方向が機体横幅方向に向く横向き姿勢でエンジン4の上部側箇所に配備されている。そして、排気ガス浄化装置30の機体横幅方向左側端部に設けられたガス導入管34が、エンジン4の左側に設けられた排気マニホールド35にフランジ接続によって連通接続されている。
【0038】
図3及び図4に示すように、排気ガス浄化装置30の機体横幅方向右側端部に設けられたガス排出管36に対して、フランジ接続によって排気管31のガス通流方向上手側端部が連通接続されている。排気管31は、ガス排出管36との接続箇所から下方側に向けて延びる下方側延設部分31Aと、その下方側延設部分31Aの下方側端部から略くの字状に屈曲して機体横幅方向左側に向けて延びる横向き延設部分31Bと、その横向き延設部分31Bの機体横幅方向左側端部から略くの字状に屈曲して機体前方下方側に向けて延びる前後向き延設部分31Cとを備えて構成されている。
【0039】
図2及び図3に示すように、排気管31における前後向き延設部分31Cの前端部(先端部)に、径方向に重なり合う状態で排気混合管33が配備されている。この排気混合管33は排気管31よりも大径で筒状に形成されており、その軸芯方向が機体前後方向に沿う姿勢で、且つ、排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、原動部5における機体横幅方向左側の下方側箇所に配備されている。
【0040】
この排気混合管33の機体後部側端部、すなわち、ガス通流方向上手側端部は、全面が大きく開口されており、この開口部分に排気管31が径方向に重なり合うように入りこむ構成となっている。又、機体前部側の端部、すなわち、ガス通流方向下手側の端部は、全面が大きく開口されて、排気ガスを前部側外方に向けて排出させるための排出口32が形成されている。
【0041】
排気管31と排気混合管33とが重なり合う箇所において、それらが周方向に間隔をあけて3箇所に備えられた連結ステー37にて連結固定されている。又、排気混合管33は、外周側に連結された支持ステー38により前部フレーム14の横側部に連結固定して支持する構成となっている。
【0042】
排気管31と排気混合管33とが重なり合う箇所における排気管31と排気混合管33との間は、3個の連結ステー37同士の間は空間になっており、排気管31と排気混合管33との間に形成される空間により外気を取り入れるための外気取り入れ口39が形成されている。このように外気取り入れ口39が形成されることによって、排気管31の先端部から排気ガスが勢いよく排出されると、エジェクタ作用により、この外気取り入れ口39を通して外気が吸入されるように構成されている。
【0043】
排気混合管33は、前部フレーム14の横側に位置するとともに、前車軸ケース17の上方に位置する状態で配備されている。このように前車軸ケース17の上方に位置することで、前輪1を最大操向角に至るまで大きく操向操作しても、前輪1が排気混合管33に干渉して損傷することがないようにしている。
【0044】
排気管31における排気混合管33と重なり合う箇所よりもガス通流方向上手側箇所に、その排気管31を通流する排気ガスにより外気を吸引するための上手側の外気取り込み部40が形成されている。
【0045】
すなわち、図5及び図6に示すように、排気管31の周方向の一部に切り込みを入れて、その切り込み部分よりもガス通流方向上手側部分の管周壁を管内方側へ凹入させることにより案内壁部40aが形成され、その凹入形成された案内壁部40aのガス通流方向下手側端部と排気管31の円弧状の周壁との間に上手側の外気吸引口40bを形成することによって、上手側の外気取り込み部40が形成されている。この上手側の外気取り込み部40は周方向に等間隔をあけて3箇所に形成されている。
【0046】
又、排気混合管33における排気管31が重なり合う箇所よりもガス通流方向下手側箇所であってかつ排出口32よりもガス通流方向上手側箇所に、その排気管31を通流する排気ガスにより外気を吸引する下手側の外気取り込み部41が形成されている。
【0047】
すなわち、図7及び図8に示すように、上手側の外気取り込み部40と同様に、排気混合管33の周方向の一部に切り込みを入れ、その切り込み部分よりもガス通流方向上手側部分の管周壁を管内方側へ凹入させることにより案内壁部41aが形成され、その凹入形成された案内壁部41aのガス通流方向下手側端部と排気混合管33の円弧状の周壁との間に下手側の外気吸引口41bを形成することによって、下手側の外気取り込み部41が形成されている。この下手側の外気取り込み部41は周方向に等間隔をあけて3箇所に形成されている。
【0048】
そして、排気混合管33の排出口32の断面積Sd(図9(a)の斜線部分)が、上手側の外気吸引口40bの断面積Sa(図9(b)の斜線部分)の3箇所の総和、外気取り入れ口39の断面積Sb(図9(c)の斜線部分)、及び、下手側の外気吸引口41bの断面積Sc(図9(d)の斜線部分)の3箇所の総和を夫々加算した断面積よりも大に設定されている。
【0049】
このように構成することで、排気管31を通して通流する排気ガス、上手側の外気吸引口40bを通して吸入された外気、外気取り入れ口39を通して吸入された外気、及び、下手側の外気吸引口41bを通して吸入された外気の夫々が混合された状態の排気ガスが、排気混合管33の排出口32において滞ることなく外部に排出されるので、外気の取り入れが良好に行われることになる。
【0050】
その結果、排気ガス浄化装置30から排出される高温の排気ガスが、上手側の外気吸引口40b、外気取り入れ口39、下手側の外気吸引口41bの夫々を通して吸入された外気が混合することにより、充分に温度低下した状態で外部に排出させることができる。
【0051】
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、上記第1実施形態において、排気管及び排気混合管についての別実施形態を示すものであり、その他の構成については上記第1実施形態と同様である。そこで、以下、図10〜図13に基づいて、排気管51及び排気混合管52について説明し、その他の構成については同符号を記す等によりその説明を省略する。図10は、ボンネットの側面図であり、図11は、原動部の側面図である。図12は、排気管及び排気混合管を示す斜視図であり、図13は、排気管及び排気混合管の断面図である。
【0052】
排気管51は、図10及び図11に示すように、上記第1実施形態と同様に、下方側延設部分51Aと横向き延設部分51Bと前後向き延設部分51Cとを備えている。これにより、排気管51は、排気ガス浄化装置50における機体横幅方向右側端部(機体横幅方向他方側)に接続され、機体横幅方向左側に向けて延出され、排気混合管52に径方向に重なり合う状態で設けられている。
【0053】
排気管51における前後向き延設部分31Cの前端部(先端部)には、図12に示すように、それよりもガス通流方向上流側箇所における横幅方向での幅を幅狭とした断面形状を縦長状とする絞り部53が備えられている。排気管51は、断面形状が円形状の管にて構成されており、その管の断面形状を加工することで、排気管51の先端部に絞り部53を備えている。排気管51の先端部以外の部分については、円形状の断面形状を維持し、排気管51の先端部のみを、円形状の断面形状から横幅方向での幅を幅狭とする縦長状の断面形状に加工している。
【0054】
排気混合管52は、上記第1実施形態と同様に、前部フレーム14の横側に配置されている。排気混合管52は、図12及び図13に示すように、排気管51の先端部と同様に、横幅方向での幅を幅狭とする縦長状の断面形状に構成されており、排気管51の外周部と排気混合管52の内周部との間に間隙を形成するように設けられている。排気管51の断面の中央部と排気混合管52の断面の中央部とが同一位置となるように、排気管51と排気混合管52が備えられている(図13参照)。これにより、排気管51の外周部と排気混合管52の内周部との間にその周方向の全周に亘って間隙が形成されている。この間隙が、外気を取り入れる外気取り入れ口54として構成されている。
【0055】
このように、排気管51の先端部に絞り部53を備えることで、排気管51から排気される排気ガスの流速を上げることができる。これにより、排気管51から排出されて排気混合管52に供給される排気ガスのエジェクタ効果によって、より大きな吸引力を発揮して、より多くの外気を外気取り入れ口54から排気混合管52に取り入れることができる。しかも、外気取り入れ口54は、排気管51の外周部と排気混合管52の内周部との間にその周方向の全周に亘って形成されているので、より多くの外気を排気混合管52に取り入れることができる。その結果、排気混合管52により多くの外気を取り込み、その外気によって排気ガスを十分に冷却することができるので、排気混合管52の長さを短くすることができる。しかも、絞り部53は、縦長状に形成されているので、排気管51及び排気混合管52の横幅方向での大きさを小さくできる。よって、前部フレーム14の横側という限られたスペースであっても、より多くの外気を排気混合管52に取り込むことができながら、排気管51及び排気混合管52を適切に配置することができる。
【0056】
機体前後方向での排気混合管52の配置位置について説明する。
排気混合管52は、図10に示すように、機体前後方向において、排気ガスを排出する排出口55が前輪1よりも機体前方側に突出させた位置となるように配置されている。そして、排気混合管52は、その全体が前車軸ケース17よりも機体前方側に位置するように配置されている。このようにして、排気混合管52は、操向操作自在な前輪1よりも機体前方側に配備されている。したがって、前輪1を操向操作させる場合に、排気混合管52によって前輪1の操向操作を邪魔することがない。しかも、排気混合管52の排出口55が、前輪1よりも機体前方側に位置することになるので、排出口55から排出される排気ガスが前輪1に向けて排出されることもない。
【0057】
排気管51の支持構成について説明すると、排気管51は、図11及び図12に示すように、前部フレーム14の横側部に連結固定された第1支持体56により支持されている。第1支持体56は、その基端部が前部フレーム14に連結固定されており、その連結固定箇所から下方側に延び、その下端部を前部フレーム14の外側に折り曲げた形状に構成されている。そして、第1支持体56において、その折り曲げた部位の先端部に排気管51が連結されている。
【0058】
排気混合管52の支持構成について説明すると、排気混合管52は、図12に示すように、前部フレーム14の横側部に連結固定された第2支持体57により支持されている。第2支持体57は、前部フレーム14から外側に延びる形状に構成されており、排気混合管52の前端部に連結されているもの(図示省略)と排気混合管52の後端部に連結されているものとが設けられている。
【0059】
排気混合管52における排出口55から排出される排気ガスの排出方向について説明する。
排気混合管52は、図12に示すように、縦長状の断面形状の管にて構成されており、その管の中間部位にて前部フレーム14の外側で斜め下方側に折り曲げるように構成されている。これにより、排気混合管52において、折り曲げた部位よりも機体前方側部位は、その軸心方向が、機体前後方向では前方側に向いており、機体横幅方向では外側に向いており、上下方向では下方側に向いている傾斜部位52aにて構成されている。排出口55は、傾斜部位52aの前端部に形成されており、機体前方における機体横幅方向の外側で斜め下方側に向けて排気ガスを排出させるように構成されている。排出口55の開口自体は、機体横幅方向の外側に対して開口するように形成されており、排気混合管52の傾斜部位52aによって排気ガスを案内することで、機体前方における機体横幅方向の外側で斜め下方側に向けて排気ガスを排出させるようにしている。
【0060】
排気混合管52では、このような方向に排気ガスを排出することで、砂埃が生じることがない。また、機体の前方にフロントローダを連結した場合に、機体横幅方向で排気混合管52の外側にフロントローダを連結するための連結部材等が配備されても、その連結部材等に向けて排気混合管52から排気ガスを排出してしまうという問題の発生を防止することができる。
【0061】
図10〜図13では、上記第1実施形態における上手側の外気吸引口40b及び下手側の外気吸引口41bについて図示していないが、これらの外気吸引口40b、41bを設けることもできる。このように、外気吸引口40b、41bを設けた場合には、上記第1実施形態と同様に、排気混合管52の排出口55の断面積を、上手側の外気吸引口40bの断面積、外気取り入れ口54の断面積、及び、下手側の外気吸引口41bの断面積を夫々加算した断面積よりも大に設定することができる。
【0062】
また、第2実施形態において、上記第1実施形態における下手側の外気吸引口41bのみを設けることもできる。この場合には、排気混合管52の排出口55の断面積を、外気取り入れ口54の断面積、及び、下手側の外気吸引口41bの断面積を夫々加算した断面積よりも大に設定することができる。
【0063】
〔別実施形態〕
(1)上記第1及び第2実施形態では、排気混合管33、52が機体横幅方向左側の下方側箇所に配備されるものを示したが、排気混合管33、52が機体横幅方向右側の下方側箇所に配備されるものでもよい。
【0064】
(2)上記第1実施形態では、排気混合管33が前車軸ケース17の上方に位置する状態で配備されるものを示したが、排気混合管33が前車軸ケース17の上方箇所とは異なる箇所に配備されるものでもよい。
また、上記第2実施形態では、排気混合管52が前輪1よりも機体前方側に配備されているものを示したが、例えば、排気混合管52を前車軸ケース17の上方に位置する状態に配備することもでき、排気混合管52の配置位置については適宜変更することができる。
【0065】
(3)上記第1実施形態では、排気管31に上手側の外気吸引口40bが形成されるものを示したが、このような上手側の外気吸引口40bが形成されない構成としてもよい。又、この場合、排気混合管33の排出口32の断面積Sdが、外気取り入れ口39の断面積Sbと下手側の外気吸引口41bの断面積Scを夫々加算した断面積よりも大に設定されることになる。
【0066】
(4)上記第1実施形態では、排気混合管33に下手側の外気吸引口41bが形成されるものを示したが、このような下手側の外気吸引口41bが形成されない構成としてもよい。
【0067】
(5)上記第1及び第2実施形態では、キャビンCを備えた作業車を示したが、キャビンCを備えない作業車であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、排気ガス浄化装置が備えられた作業車の排気装置に適用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 前輪
4 エンジン
5 原動部
8 搭乗運転部
17 前車軸ケース
30 排気ガス浄化装置
31、51 排気管
32 排出口
33、52 排気混合管
39、54 外気取り入れ口
41b 外気吸引口
53 絞り部
Sb,Sc,Sd 断面積
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭乗運転部の機体前部側に位置する原動部に、エンジン及びそのエンジンの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置が備えられた作業車の排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車の排気装置の従来構成として、例えば、前記排気ガス浄化装置から排出された排気ガスは上下方向に長いパイプ部材を介して、搭乗運転部を覆うキャビンの前部側のフレームに沿わせて高い位置にまで案内され、そのパイプ部材の上端開口からそのまま排気ガスを外部に排出させる構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−116001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排気ガス浄化装置は、排気ガスに含まれる煤等の粒子状物質を捕集除去するためのものであるが、このような排気ガス浄化装置では、捕集した粒子状物質が堆積することによる捕集機能の低下を防止するために、例えばヒータ等の加熱手段により捕集した粒子状物質を加熱して燃焼除去する再生処理を行うように構成されている。その結果、再生処理時において排気ガス浄化装置から排出される排気ガスは通常の排気ガスよりも高温になる。
【0005】
そこで、従来の排気装置では、上記したような搭乗運転部にキャビンを備える作業車であれば、パイプ部材の上端開口からそのまま排気ガスを外部に排出させるようにしても、キャビンの内部にいる運転者は排気ガスによる影響を受けることはないが、その作業車の近くにいる補助作業者に対して高温の排気ガスによる悪影響を受けることがある。
又、キャビンを備えない作業車であれば、補助作業者だけでなく、搭乗運転部にいる運転者に対しても高温の排気ガスにより悪影響を受けることがある。
【0006】
従って、従来の排気装置では、排気ガス浄化装置によって排気ガス中の煤等は除去されるものの、排気ガス浄化装置から排出される高温の排気ガスがパイプ部材の上端開口からそのまま排出されるものであるから、高温の排気ガスに起因して作業環境を悪化させる不利があった。
【0007】
本発明の目的は、排気ガス浄化装置を備えて排気ガスを浄化できるものでありながら、高温の排気ガスに起因して生じる作業環境の悪化を回避することが可能となる作業車の排気装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る作業車の排気装置は、搭乗運転部の機体前部側に位置する原動部に、エンジン及びそのエンジンの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置が備えられたものであって、その第1特徴構成は、
前記排気ガス浄化装置が、前記原動部における機体後部側箇所に位置する状態で配備され、
前記排気ガス浄化装置から排出される排気ガスが通流する排気管の先端部に径方向に重なり合う状態で、前記排気管から排出される排気ガスにより外気を吸引しかつ前記排気ガスと吸引する外気とを混合させて排出口から外部に排出させる前記排気管よりも大径で筒状の排気混合管が備えられ、
前記排気混合管が、軸芯方向が機体前後方向に沿う姿勢で、且つ、前記排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、前記原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備されている点にある。
【0009】
第1特徴構成によれば、排気ガス浄化装置から排出される排気ガスは排気管を通して通流して、その先端部から排出されるが、その排気管の先端部には、径方向に重なり合う状態で排気管よりも大径で筒状の排気混合管が備えられる。そして、この排気混合管は、排気管から排出される排気ガスにより外気を吸引しかつ排気ガスと吸引する外気とを混合させて排出口から外部に排出させる。
排気混合管が筒状に形成されるから、排気ガスと外気との混合が促進され、排出口から排出されるときは、排気ガス浄化装置から排出されるときよりも大幅に温度が低下した状態で外部に排出されることになる。
【0010】
排気混合管は、軸芯方向が機体前後方向に沿う姿勢で、且つ、排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備されるので、原動部内の他の装置の配置に制約を与えるおそれの少ない状態で排気混合管を備えさせることができ、しかも、排出される排気ガスは、搭乗運転部から遠ざかる方向に向けて排出されることになり、運転者は排気ガスによる影響を受けるおそれが少ないものとなる。
【0011】
従って、排気ガス浄化装置を備えて排気ガスを浄化できるものでありながら、高温の排気ガスに起因して生じる作業環境の悪化を回避することが可能となる作業車の排気装置を提供できるに至った。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、前記排気管が、前記排気ガス浄化装置における機体横幅方向他方側の端部に接続されるとともに、機体横幅方向一方側に向けて延出され、前記排気混合管に径方向に重なり合う状態で設けられている点にある。
【0013】
第2特徴構成によれば、排気管は、排気ガス浄化装置における機体横幅方向他方側の端部に接続され、機体横幅方向一方側に向けて延出されるのであり、原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備されている排気混合管に向けて排気ガスを通流させることになる。
【0014】
このように排気管は、機体横幅方向他方側の端部から機体横幅方向一方側に向けて長く延出されるので、排気ガス浄化装置から排出される高温の排気ガスが、この長い排気管の内部を通流することにより、排気管を通して熱が外部に放出されるので、排気ガスの温度を低下させることができる。
【0015】
すなわち、原動部における機体後部側箇所に配備される排気ガス浄化装置と、原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備される排気混合管とを接続するために長く設けられる排気管を有効利用して、排気ガスの温度を低下させることが可能となる。
【0016】
本発明の第3特徴構成は、前記排気混合管における前記排気管が重なり合う箇所よりもガス通流方向下手側箇所であってかつ前記排出口よりもガス通流方向上手側箇所に、その排気管を通流する排気ガスにより外気を吸引する外気吸引口が形成され、
前記排出口の断面積が、前記排気管の先端部が重なり合う箇所における外気取り入れ口の断面積と前記外気吸引口における断面積とを加算した断面積よりも大に設定されている点にある。
【0017】
第3特徴構成によれば、排気混合管における排気管が重なり合う箇所では、小径の排気管とそれよりも大径の排気混合管との間に形成される外気取り入れ口から外気が吸引される。又、外気吸引口が形成される箇所においても外気が吸引されることになる。
つまり、排気ガスは外気取り入れ口より吸引した外気と混合されて温度が低下したのちに、外気吸引口より吸引した外気と混合されることによりさらに温度が低下することになる。
【0018】
そして、排出口の断面積が、外気取り入れ口の断面積と外気吸引口における断面積とを加算した断面積よりも大に設定されているから、外気取り入れ口と外気吸引口との夫々から外気を吸引するようにしても、排出口において滞ることなく排気ガスが外部に排出されることになる。
【0019】
その結果、外気取り入れ口や外気吸引口からの外気の取り入れが良好に行われることになって、排気ガス浄化装置から排出される高温の排気ガスを充分に温度低下させた状態で排出口から外部に排出させることができる。
【0020】
本発明の第4特徴構成は、前記排気混合管が、操向操作自在な前輪を支持する前車軸ケースの上方に位置する状態で配備されている点にある。
【0021】
第4特徴構成によれば、排気混合管が前車軸ケースの上方に位置する状態で配備されるから、排気混合管を大径に構成するようにしても、前輪を最大揺動角度まで操向操作させることがあっても、前輪が排気混合管に干渉するおそれが少ないものとなる。
従って、排気混合管が操向操作される前輪との干渉により損傷を受けるおそれがなく、長期にわたり良好に使用できるものとなる。
【0022】
本発明の第5特徴構成は、前記排気管の先端部には、それよりもガス通流方向上流側箇所における横幅方向での幅を幅狭とした断面形状を縦長状とする絞り部が備えられている点にある。
【0023】
第5特徴構成によれば、排気管の先端部に備えられた絞り部によって、排気管から排出される排気ガスの流速を上げることができる。よって、排気管から排出されて排気混合管に供給される排気ガスによって、より大きな吸引力を発揮することができ、排気混合管により多くの外気を吸引することができる。したがって、排気混合管の長さを短くしても、より多くの外気を排気ガスに混合させて、排ガスの温度を十分に低下させることができるので、排気混合管の小型化を図ることができる。しかも、絞り部は、縦長状であるので、排気混合管の横幅方向での大きさを小さくすることができる。よって、排気混合管により多くの外気を取り込むことができながら、原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所での限られたスペースに排気管及び排気混合管を適切に配置することができる。
【0024】
本発明の第6特徴構成は、前記排気混合管が、操向操作自在な前輪よりも機体前方側に配備されている点にある。
【0025】
第6特徴構成によれば、前輪よりも機体前方側に配備された排気混合管から排気ガスを排出するので、搭乗運転部の運転者や機体から遠ざかるように排気ガスを排出することができる。これにより、排気ガスの熱による影響が、搭乗運転部の運転者や機体に及ぶのを低減することができる。また、排気混合管から機体前方に排気ガスを排出するに当たり、前輪が邪魔になることなく、その排気ガスの排出方向の選択の自由度が増す。
【0026】
本発明の第7特徴構成は、前記排気混合管は、前記排気ガスを機体前方における機体横幅方向の外側で斜め下方側に向けて排出させるように構成されている点にある。
【0027】
例えば、トラクタ等の作業車では、機体の前方にフロントローダを連結する場合に、機体横幅方向で排気混合管の外側にフロントローダを連結するための連結部材等が配備されることになる。よって、例えば、排気混合管から機体横幅方向の外側に排気ガスを排出すると、その連結部材等に向けて排気ガスを排出してしまうことになる。また、例えば、排気混合管から排気ガスを下方に向けて排出させた場合には、砂埃が生じる等の問題がある。
【0028】
そこで、第7特徴構成では、排気混合管から排気ガスを排出する方向を、機体前方における機体横幅方向の外側で斜め下方側としている。これにより、フロントローダを連結するための連結部材等に向けて排気ガスを排出することなく、砂埃が生じる等の問題の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】原動部の側面図である。
【図3】原動部の平面図である。
【図4】原動部の正面図である。
【図5】上手側の外気取り込み部の断面図である。
【図6】上手側の外気取り込み部の斜視図である。
【図7】排気混合管の断面図である。
【図8】下手側の外気取り込み部の斜視図である。
【図9】外気取り込み部や排出口の断面積を示す図である。
【図10】ボンネットの側面図である。
【図11】原動部の側面図である。
【図12】排気管及び排気混合管の斜視図である。
【図13】排気管及び排気混合管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明に係る作業車の排気装置を作業車としてのトラクタに適用した場合について説明する。
図1に示すように、このトラクタは、操向操作及び駆動自在な左右一対の前輪1と、駆動自在な左右一対の後輪2とを走行車体3に備えた四輪駆動仕様に構成されている。走行車体3の前部に、エンジン4等が内装された原動部5を備え、走行車体3の後部に、ステアリングハンドル6、運転座席7等を備えた搭乗運転部8が備えられている。又、このトラクタでは、搭乗運転部8にキャビンCが備えられている。
【0031】
エンジン4の後部には、クラッチハウジング9と、板金構造のハウジングフレーム10と、静油圧式無段変速装置(HST)からなる主変速装置11と、ミッションケース12と、デフケース13とが縦列状に順次連結された構造になっており、デフケース13に左右の後輪2が軸支されている。エンジン4の下部から前方に前部フレーム14が延出されており、この前部フレーム14に前輪1を装着する前車軸ケース17が支持されている。
【0032】
原動部5の上方を覆うボンネット15は、左右のサイドカバー15aと、通気可能なフロントカバー15bと、ヘッドライトを備えた上部カバー15cとを備えて構成されており、サイドカバー15a及びフロントカバー15bが前部フレーム14及びセンターフレーム16に固定支持され、上部カバー15cが上方に揺動開放可能に支持されている。
【0033】
図2及び図3に示すように、エンジン4は、水冷式の縦型ディーゼルエンジンに構成されており、その機体前部側にラジエータ20が立設配備されて、エンジン4の冷却水がエンジン4内の冷却水ジャケット(図示せず)とラジエータ20との間で循環流動されるようになっている。エンジン4の前面下部に設けられた出力軸(図示せず)に備えられたプーリ22と、エンジン4の前面上部に軸支配備された冷却ファン24の入力プーリ25と、発電機26の入力プーリ26aとに亘って伝動ベルト27が巻回張設されている。フロントカバー15bを通してエンジンルームR内に導入した外気を冷却ファン24によってラジエータ20に供給するよう構成されている。
【0034】
原動部5には、エンジン4の排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置30が備えられている。この排気ガス浄化装置30は、排気ガス中に含まれるカーボンを主成分とする粒子状物質を捕集して除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を用いて構成されている。この排気ガス浄化装置30は、図示はしないが、捕集した粒子状物質が堆積することによる捕集機能の低下を防止するために、例えばヒータ等の加熱手段により捕集した粒子状物質を加熱して燃焼除去する再生処理を行うように構成されている。その結果、エンジン4の回転数の高低にかかわらず、再生処理時において排出される排気ガスの温度が一般的なエンジンの排気に比べて高温になっている。
【0035】
そこで、このトラクタでは、排気ガス浄化装置30から排出される排気ガスの温度を低下させた状態で外部に排出させるための構成を備えている。
【0036】
すなわち、排気ガス浄化装置30から排出される排気ガスが通流する排気管31の先端部に径方向に重なり合う状態で、排気管31から排出される排気ガスにより外気を吸引しかつ排気ガスと吸引する外気とを混合させて排出口32から外部に排出させる排気管31よりも大径で筒状の排気混合管33が備えられ、この排気混合管33が、軸芯方向が機体前後方向に沿う姿勢で、且つ、排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、原動部5における機体横幅方向一方側としての機体横幅方向左側の下方側箇所に配備されている。
又、排気管31が、排気ガス浄化装置30における機体横幅方向他方側としての機体横幅方向右側端部に接続されるとともに、機体横幅方向左側に向けて延出され、排気混合管33に径方向に重なり合う状態で設けられている。
【0037】
以下、図2〜図4を参照しながら、具体的な配置構成について説明する。
図2に示すように、排気ガス浄化装置30は、原動部5における機体後部側箇所であって且つエンジン4の上部側箇所に配備されている。
又、排気ガス浄化装置30は、軸芯方向に長尺の円筒形状に形成され、軸芯方向が機体横幅方向に向く横向き姿勢でエンジン4の上部側箇所に配備されている。そして、排気ガス浄化装置30の機体横幅方向左側端部に設けられたガス導入管34が、エンジン4の左側に設けられた排気マニホールド35にフランジ接続によって連通接続されている。
【0038】
図3及び図4に示すように、排気ガス浄化装置30の機体横幅方向右側端部に設けられたガス排出管36に対して、フランジ接続によって排気管31のガス通流方向上手側端部が連通接続されている。排気管31は、ガス排出管36との接続箇所から下方側に向けて延びる下方側延設部分31Aと、その下方側延設部分31Aの下方側端部から略くの字状に屈曲して機体横幅方向左側に向けて延びる横向き延設部分31Bと、その横向き延設部分31Bの機体横幅方向左側端部から略くの字状に屈曲して機体前方下方側に向けて延びる前後向き延設部分31Cとを備えて構成されている。
【0039】
図2及び図3に示すように、排気管31における前後向き延設部分31Cの前端部(先端部)に、径方向に重なり合う状態で排気混合管33が配備されている。この排気混合管33は排気管31よりも大径で筒状に形成されており、その軸芯方向が機体前後方向に沿う姿勢で、且つ、排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、原動部5における機体横幅方向左側の下方側箇所に配備されている。
【0040】
この排気混合管33の機体後部側端部、すなわち、ガス通流方向上手側端部は、全面が大きく開口されており、この開口部分に排気管31が径方向に重なり合うように入りこむ構成となっている。又、機体前部側の端部、すなわち、ガス通流方向下手側の端部は、全面が大きく開口されて、排気ガスを前部側外方に向けて排出させるための排出口32が形成されている。
【0041】
排気管31と排気混合管33とが重なり合う箇所において、それらが周方向に間隔をあけて3箇所に備えられた連結ステー37にて連結固定されている。又、排気混合管33は、外周側に連結された支持ステー38により前部フレーム14の横側部に連結固定して支持する構成となっている。
【0042】
排気管31と排気混合管33とが重なり合う箇所における排気管31と排気混合管33との間は、3個の連結ステー37同士の間は空間になっており、排気管31と排気混合管33との間に形成される空間により外気を取り入れるための外気取り入れ口39が形成されている。このように外気取り入れ口39が形成されることによって、排気管31の先端部から排気ガスが勢いよく排出されると、エジェクタ作用により、この外気取り入れ口39を通して外気が吸入されるように構成されている。
【0043】
排気混合管33は、前部フレーム14の横側に位置するとともに、前車軸ケース17の上方に位置する状態で配備されている。このように前車軸ケース17の上方に位置することで、前輪1を最大操向角に至るまで大きく操向操作しても、前輪1が排気混合管33に干渉して損傷することがないようにしている。
【0044】
排気管31における排気混合管33と重なり合う箇所よりもガス通流方向上手側箇所に、その排気管31を通流する排気ガスにより外気を吸引するための上手側の外気取り込み部40が形成されている。
【0045】
すなわち、図5及び図6に示すように、排気管31の周方向の一部に切り込みを入れて、その切り込み部分よりもガス通流方向上手側部分の管周壁を管内方側へ凹入させることにより案内壁部40aが形成され、その凹入形成された案内壁部40aのガス通流方向下手側端部と排気管31の円弧状の周壁との間に上手側の外気吸引口40bを形成することによって、上手側の外気取り込み部40が形成されている。この上手側の外気取り込み部40は周方向に等間隔をあけて3箇所に形成されている。
【0046】
又、排気混合管33における排気管31が重なり合う箇所よりもガス通流方向下手側箇所であってかつ排出口32よりもガス通流方向上手側箇所に、その排気管31を通流する排気ガスにより外気を吸引する下手側の外気取り込み部41が形成されている。
【0047】
すなわち、図7及び図8に示すように、上手側の外気取り込み部40と同様に、排気混合管33の周方向の一部に切り込みを入れ、その切り込み部分よりもガス通流方向上手側部分の管周壁を管内方側へ凹入させることにより案内壁部41aが形成され、その凹入形成された案内壁部41aのガス通流方向下手側端部と排気混合管33の円弧状の周壁との間に下手側の外気吸引口41bを形成することによって、下手側の外気取り込み部41が形成されている。この下手側の外気取り込み部41は周方向に等間隔をあけて3箇所に形成されている。
【0048】
そして、排気混合管33の排出口32の断面積Sd(図9(a)の斜線部分)が、上手側の外気吸引口40bの断面積Sa(図9(b)の斜線部分)の3箇所の総和、外気取り入れ口39の断面積Sb(図9(c)の斜線部分)、及び、下手側の外気吸引口41bの断面積Sc(図9(d)の斜線部分)の3箇所の総和を夫々加算した断面積よりも大に設定されている。
【0049】
このように構成することで、排気管31を通して通流する排気ガス、上手側の外気吸引口40bを通して吸入された外気、外気取り入れ口39を通して吸入された外気、及び、下手側の外気吸引口41bを通して吸入された外気の夫々が混合された状態の排気ガスが、排気混合管33の排出口32において滞ることなく外部に排出されるので、外気の取り入れが良好に行われることになる。
【0050】
その結果、排気ガス浄化装置30から排出される高温の排気ガスが、上手側の外気吸引口40b、外気取り入れ口39、下手側の外気吸引口41bの夫々を通して吸入された外気が混合することにより、充分に温度低下した状態で外部に排出させることができる。
【0051】
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、上記第1実施形態において、排気管及び排気混合管についての別実施形態を示すものであり、その他の構成については上記第1実施形態と同様である。そこで、以下、図10〜図13に基づいて、排気管51及び排気混合管52について説明し、その他の構成については同符号を記す等によりその説明を省略する。図10は、ボンネットの側面図であり、図11は、原動部の側面図である。図12は、排気管及び排気混合管を示す斜視図であり、図13は、排気管及び排気混合管の断面図である。
【0052】
排気管51は、図10及び図11に示すように、上記第1実施形態と同様に、下方側延設部分51Aと横向き延設部分51Bと前後向き延設部分51Cとを備えている。これにより、排気管51は、排気ガス浄化装置50における機体横幅方向右側端部(機体横幅方向他方側)に接続され、機体横幅方向左側に向けて延出され、排気混合管52に径方向に重なり合う状態で設けられている。
【0053】
排気管51における前後向き延設部分31Cの前端部(先端部)には、図12に示すように、それよりもガス通流方向上流側箇所における横幅方向での幅を幅狭とした断面形状を縦長状とする絞り部53が備えられている。排気管51は、断面形状が円形状の管にて構成されており、その管の断面形状を加工することで、排気管51の先端部に絞り部53を備えている。排気管51の先端部以外の部分については、円形状の断面形状を維持し、排気管51の先端部のみを、円形状の断面形状から横幅方向での幅を幅狭とする縦長状の断面形状に加工している。
【0054】
排気混合管52は、上記第1実施形態と同様に、前部フレーム14の横側に配置されている。排気混合管52は、図12及び図13に示すように、排気管51の先端部と同様に、横幅方向での幅を幅狭とする縦長状の断面形状に構成されており、排気管51の外周部と排気混合管52の内周部との間に間隙を形成するように設けられている。排気管51の断面の中央部と排気混合管52の断面の中央部とが同一位置となるように、排気管51と排気混合管52が備えられている(図13参照)。これにより、排気管51の外周部と排気混合管52の内周部との間にその周方向の全周に亘って間隙が形成されている。この間隙が、外気を取り入れる外気取り入れ口54として構成されている。
【0055】
このように、排気管51の先端部に絞り部53を備えることで、排気管51から排気される排気ガスの流速を上げることができる。これにより、排気管51から排出されて排気混合管52に供給される排気ガスのエジェクタ効果によって、より大きな吸引力を発揮して、より多くの外気を外気取り入れ口54から排気混合管52に取り入れることができる。しかも、外気取り入れ口54は、排気管51の外周部と排気混合管52の内周部との間にその周方向の全周に亘って形成されているので、より多くの外気を排気混合管52に取り入れることができる。その結果、排気混合管52により多くの外気を取り込み、その外気によって排気ガスを十分に冷却することができるので、排気混合管52の長さを短くすることができる。しかも、絞り部53は、縦長状に形成されているので、排気管51及び排気混合管52の横幅方向での大きさを小さくできる。よって、前部フレーム14の横側という限られたスペースであっても、より多くの外気を排気混合管52に取り込むことができながら、排気管51及び排気混合管52を適切に配置することができる。
【0056】
機体前後方向での排気混合管52の配置位置について説明する。
排気混合管52は、図10に示すように、機体前後方向において、排気ガスを排出する排出口55が前輪1よりも機体前方側に突出させた位置となるように配置されている。そして、排気混合管52は、その全体が前車軸ケース17よりも機体前方側に位置するように配置されている。このようにして、排気混合管52は、操向操作自在な前輪1よりも機体前方側に配備されている。したがって、前輪1を操向操作させる場合に、排気混合管52によって前輪1の操向操作を邪魔することがない。しかも、排気混合管52の排出口55が、前輪1よりも機体前方側に位置することになるので、排出口55から排出される排気ガスが前輪1に向けて排出されることもない。
【0057】
排気管51の支持構成について説明すると、排気管51は、図11及び図12に示すように、前部フレーム14の横側部に連結固定された第1支持体56により支持されている。第1支持体56は、その基端部が前部フレーム14に連結固定されており、その連結固定箇所から下方側に延び、その下端部を前部フレーム14の外側に折り曲げた形状に構成されている。そして、第1支持体56において、その折り曲げた部位の先端部に排気管51が連結されている。
【0058】
排気混合管52の支持構成について説明すると、排気混合管52は、図12に示すように、前部フレーム14の横側部に連結固定された第2支持体57により支持されている。第2支持体57は、前部フレーム14から外側に延びる形状に構成されており、排気混合管52の前端部に連結されているもの(図示省略)と排気混合管52の後端部に連結されているものとが設けられている。
【0059】
排気混合管52における排出口55から排出される排気ガスの排出方向について説明する。
排気混合管52は、図12に示すように、縦長状の断面形状の管にて構成されており、その管の中間部位にて前部フレーム14の外側で斜め下方側に折り曲げるように構成されている。これにより、排気混合管52において、折り曲げた部位よりも機体前方側部位は、その軸心方向が、機体前後方向では前方側に向いており、機体横幅方向では外側に向いており、上下方向では下方側に向いている傾斜部位52aにて構成されている。排出口55は、傾斜部位52aの前端部に形成されており、機体前方における機体横幅方向の外側で斜め下方側に向けて排気ガスを排出させるように構成されている。排出口55の開口自体は、機体横幅方向の外側に対して開口するように形成されており、排気混合管52の傾斜部位52aによって排気ガスを案内することで、機体前方における機体横幅方向の外側で斜め下方側に向けて排気ガスを排出させるようにしている。
【0060】
排気混合管52では、このような方向に排気ガスを排出することで、砂埃が生じることがない。また、機体の前方にフロントローダを連結した場合に、機体横幅方向で排気混合管52の外側にフロントローダを連結するための連結部材等が配備されても、その連結部材等に向けて排気混合管52から排気ガスを排出してしまうという問題の発生を防止することができる。
【0061】
図10〜図13では、上記第1実施形態における上手側の外気吸引口40b及び下手側の外気吸引口41bについて図示していないが、これらの外気吸引口40b、41bを設けることもできる。このように、外気吸引口40b、41bを設けた場合には、上記第1実施形態と同様に、排気混合管52の排出口55の断面積を、上手側の外気吸引口40bの断面積、外気取り入れ口54の断面積、及び、下手側の外気吸引口41bの断面積を夫々加算した断面積よりも大に設定することができる。
【0062】
また、第2実施形態において、上記第1実施形態における下手側の外気吸引口41bのみを設けることもできる。この場合には、排気混合管52の排出口55の断面積を、外気取り入れ口54の断面積、及び、下手側の外気吸引口41bの断面積を夫々加算した断面積よりも大に設定することができる。
【0063】
〔別実施形態〕
(1)上記第1及び第2実施形態では、排気混合管33、52が機体横幅方向左側の下方側箇所に配備されるものを示したが、排気混合管33、52が機体横幅方向右側の下方側箇所に配備されるものでもよい。
【0064】
(2)上記第1実施形態では、排気混合管33が前車軸ケース17の上方に位置する状態で配備されるものを示したが、排気混合管33が前車軸ケース17の上方箇所とは異なる箇所に配備されるものでもよい。
また、上記第2実施形態では、排気混合管52が前輪1よりも機体前方側に配備されているものを示したが、例えば、排気混合管52を前車軸ケース17の上方に位置する状態に配備することもでき、排気混合管52の配置位置については適宜変更することができる。
【0065】
(3)上記第1実施形態では、排気管31に上手側の外気吸引口40bが形成されるものを示したが、このような上手側の外気吸引口40bが形成されない構成としてもよい。又、この場合、排気混合管33の排出口32の断面積Sdが、外気取り入れ口39の断面積Sbと下手側の外気吸引口41bの断面積Scを夫々加算した断面積よりも大に設定されることになる。
【0066】
(4)上記第1実施形態では、排気混合管33に下手側の外気吸引口41bが形成されるものを示したが、このような下手側の外気吸引口41bが形成されない構成としてもよい。
【0067】
(5)上記第1及び第2実施形態では、キャビンCを備えた作業車を示したが、キャビンCを備えない作業車であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、排気ガス浄化装置が備えられた作業車の排気装置に適用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 前輪
4 エンジン
5 原動部
8 搭乗運転部
17 前車軸ケース
30 排気ガス浄化装置
31、51 排気管
32 排出口
33、52 排気混合管
39、54 外気取り入れ口
41b 外気吸引口
53 絞り部
Sb,Sc,Sd 断面積
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗運転部の機体前部側に位置する原動部に、エンジン及びそのエンジンの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置が備えられた作業車の排気装置であって、
前記排気ガス浄化装置が、前記原動部における機体後部側箇所に位置する状態で配備され、
前記排気ガス浄化装置から排出される排気ガスが通流する排気管の先端部に径方向に重なり合う状態で、前記排気管から排出される排気ガスにより外気を吸引しかつ前記排気ガスと吸引する外気とを混合させて排出口から外部に排出させる前記排気管よりも大径で筒状の排気混合管が備えられ、
前記排気混合管が、軸芯方向が機体前後方向に沿う姿勢で、且つ、前記排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、前記原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備されている作業車の排気装置。
【請求項2】
前記排気管が、前記排気ガス浄化装置における機体横幅方向他方側の端部に接続されるとともに、機体横幅方向一方側に向けて延出され、前記排気混合管に径方向に重なり合う状態で設けられている請求項1記載の作業車の排気装置。
【請求項3】
前記排気混合管における前記排気管が重なり合う箇所よりもガス通流方向下手側箇所であってかつ前記排出口よりもガス通流方向上手側箇所に、その排気管を通流する排気ガスにより外気を吸引する外気吸引口が形成され、
前記排出口の断面積が、前記排気管の先端部が重なり合う箇所における外気取り入れ口の断面積と前記外気吸引口における断面積とを加算した断面積よりも大に設定されている請求項1又は2に記載の作業車の排気装置。
【請求項4】
前記排気混合管が、操向操作自在な前輪を支持する前車軸ケースの上方に位置する状態で配備されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車の排気装置。
【請求項5】
前記排気管の先端部には、それよりもガス通流方向上流側箇所における横幅方向での幅を幅狭とした断面形状を縦長状とする絞り部が備えられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車の排気装置。
【請求項6】
前記排気混合管が、操向操作自在な前輪よりも機体前方側に配備されている請求項5に記載の作業車の排気装置。
【請求項7】
前記排気混合管は、前記排気ガスを機体前方における機体横幅方向の外側で斜め下方側に向けて排出させるように構成されている請求項6に記載の作業車の排気装置。
【請求項1】
搭乗運転部の機体前部側に位置する原動部に、エンジン及びそのエンジンの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置が備えられた作業車の排気装置であって、
前記排気ガス浄化装置が、前記原動部における機体後部側箇所に位置する状態で配備され、
前記排気ガス浄化装置から排出される排気ガスが通流する排気管の先端部に径方向に重なり合う状態で、前記排気管から排出される排気ガスにより外気を吸引しかつ前記排気ガスと吸引する外気とを混合させて排出口から外部に排出させる前記排気管よりも大径で筒状の排気混合管が備えられ、
前記排気混合管が、軸芯方向が機体前後方向に沿う姿勢で、且つ、前記排気ガスを機体前方に向けて排出させる状態で、前記原動部における機体横幅方向一方側の下方側箇所に配備されている作業車の排気装置。
【請求項2】
前記排気管が、前記排気ガス浄化装置における機体横幅方向他方側の端部に接続されるとともに、機体横幅方向一方側に向けて延出され、前記排気混合管に径方向に重なり合う状態で設けられている請求項1記載の作業車の排気装置。
【請求項3】
前記排気混合管における前記排気管が重なり合う箇所よりもガス通流方向下手側箇所であってかつ前記排出口よりもガス通流方向上手側箇所に、その排気管を通流する排気ガスにより外気を吸引する外気吸引口が形成され、
前記排出口の断面積が、前記排気管の先端部が重なり合う箇所における外気取り入れ口の断面積と前記外気吸引口における断面積とを加算した断面積よりも大に設定されている請求項1又は2に記載の作業車の排気装置。
【請求項4】
前記排気混合管が、操向操作自在な前輪を支持する前車軸ケースの上方に位置する状態で配備されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車の排気装置。
【請求項5】
前記排気管の先端部には、それよりもガス通流方向上流側箇所における横幅方向での幅を幅狭とした断面形状を縦長状とする絞り部が備えられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車の排気装置。
【請求項6】
前記排気混合管が、操向操作自在な前輪よりも機体前方側に配備されている請求項5に記載の作業車の排気装置。
【請求項7】
前記排気混合管は、前記排気ガスを機体前方における機体横幅方向の外側で斜め下方側に向けて排出させるように構成されている請求項6に記載の作業車の排気装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−49405(P2013−49405A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133126(P2012−133126)
【出願日】平成24年6月12日(2012.6.12)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月12日(2012.6.12)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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