説明

作業車両

【課題】旋回時のエンジン回転数の低下および牽引性能の低下を抑えることができる作業車両を提供する。
【解決手段】本発明に係る作業車両では、制御部は、エンジン回転数とエンジン出力トルクとの関係を示すエンジンパワーカーブに基づいてエンジンを制御する。そして、制御部は、油圧ポンプの吸収馬力であるステアリング吸収馬力Lpを算出し、ステアリング吸収馬力Lpに基づいてエンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両、特に、油圧操向方式(Hydrostatic Steering System)の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両には、エンジンの動力をトルクコンバータ、トランスミッションなどを有する第1動力伝達機構によって左右の走行輪に伝達することにより走行を行うものがある。このような作業車両のうち油圧操向方式のものは、エンジンにより駆動される油圧ポンプと、油圧ポンプからの圧油によって駆動される油圧モータと、油圧モータの駆動力を左右の駆動輪に伝達する第2動力伝達機構とを備えており、油圧モータの駆動力によって左右の駆動輪の回転速度を異ならせることによって車両を旋回させる。
【0003】
このような油圧操向方式の作業車両では、エンジン出力トルクのうちの一部が車両を旋回させるための油圧ポンプの吸収トルクとして用いられ、残りのエンジン出力トルクが車両を走行させるためのトルクコンバータの吸収トルクとして用いられる。このため、旋回負荷の増大により油圧ポンプの吸収トルクが大きくなると、トルクコンバータの吸収トルクが低下して牽引性能が低下する恐れがある。また、エンジンへの負荷が大きくなることにより、エンジンの回転数が低下する恐れもある。
【0004】
そこで、従来の油圧操向方式の作業車両では、トルクコンバータの速度比に基づいて油圧ポンプの吸収トルクを制御するものがある(特許文献1参照)。トルクコンバータの速度比は、走行負荷の増加、減少に伴って減少、増加するため、このような作業車両では、走行負荷が比較的小さい場合は旋回性能を優先的に確保するように油圧ポンプの吸収トルクを制御することができる。また、走行負荷が比較的大きい場合でも所要の旋回性能を確保するように油圧ポンプの吸収トルクを制御することができる。
【特許文献1】特開2005−273902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような従来の作業車両であっても、旋回負荷が大きい場合には、油圧ポンプの吸収トルクが大きくなることにより、エンジン回転数の低下や牽引性能の低下が生じることがある。
【0006】
本発明の課題は、旋回時のエンジン回転数の低下および牽引性能の低下を抑えることができる作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の作業車両は、エンジンと、左駆動輪および右駆動輪と、第1動力伝達機構と、油圧ポンプと、旋回機構と、制御部とを備える。左駆動輪および右駆動輪は、エンジンからの駆動力によって駆動される。第1動力伝達機構は、エンジンからの駆動力を左駆動輪および右駆動輪に伝達する。油圧ポンプは、エンジンからの駆動力によって駆動される。旋回機構は、油圧ポンプからの圧油によって駆動される油圧モータと、油圧モータの駆動力を右駆動輪および左駆動輪に伝達する第2動力伝達機構とを有し、右駆動輪および左駆動輪の回転速度を異ならせることによって車両を旋回させる。制御部は、エンジン回転数とエンジン出力トルクとの関係を示すエンジンパワーカーブに基づいてエンジンを制御する。そして、制御部は、油圧ポンプの吸収馬力であるステアリング吸収馬力を算出し、ステアリング吸収馬力に基づいてエンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブを変更する。
【0008】
この作業車両では、ステアリング吸収馬力に基づいてエンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブが変更される。すなわち、ステアリング吸収馬力に基づいてエンジン出力トルクを変更することができる。ステアリング吸収馬力は、旋回負荷に応じて変化するため、この作業車両では、旋回負荷に応じて適切にエンジン出力トルクを制御することができる。これにより、旋回時のエンジン回転数の低下および牽引性能の低下を抑えることができる。
【0009】
第2発明の作業車両は、第1発明の作業車両であって、制御部は、ステアリング吸収馬力が増大した場合、エンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブを高トルクのエンジンパワーカーブに変更する。
【0010】
この作業車両では、制御部は、ステアリング吸収馬力の増大に応じて、エンジンパワーカーブを高トルクのものに変更してエンジンの制御を行う。ステアリング吸収馬力は、旋回負荷の増大に応じて増大するため、上記のようにエンジントルクカーブが高トルクのものに変更されることによって、旋回負荷の増大に応じてエンジンの出力馬力を増大させることができる。これにより、この作業車両では、旋回負荷が増大した場合のエンジン回転数の低下および牽引性能の低下を抑えることができる。
【0011】
第3発明の作業車両は、第2発明の作業車両であって、制御部は、高エンジン出力を目的とする第1制御モードと低エンジン出力を目的とする第2制御モードとを選択的に実行可能である。そして、制御部は、第1制御モードが選択されている場合には、エンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブを所定の第1範囲内で変更可能であり、第2制御モードが選択されている場合には、エンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブを第1範囲より低トルク側の第2範囲内で変更可能である。
【0012】
この作業車両では、高エンジン出力を目的とする第1制御モードでは比較的エンジン出力トルクの大きい第1範囲内のエンジントルクカーブでエンジンが制御される。これにより、作業性能や走行性能を向上させたパワフルな運転を行うことができる。また、ステアリング吸収馬力に基づいて、第1範囲内でエンジントルクカーブが変更されるため、旋回負荷に応じて適切にエンジン出力トルクを制御することができ、旋回時のエンジン回転数の低下および牽引性能の低下を抑えることができる。また、低エンジン出力を目的とする第2制御モードでは比較的エンジン出力トルクの小さい第2範囲内のエンジントルクカーブでエンジンが制御される。これにより、作業車両の燃料消費を低減させた燃費のよい運転を行うことができる。また、ステアリング吸収馬力に基づいて、第2範囲内でエンジントルクカーブが変更されるため、低エンジン出力を目的とする第2制御モードの実行中であっても、旋回負荷に応じて適切にエンジン出力トルクを制御することができ、旋回時のエンジン回転数の低下および牽引性能の低下を抑えることができる。
【0013】
第4発明の作業車両は、第1発明から第3発明のいずれかの作業車両であって、第1動力伝達機構は、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータを有する。そして、制御部は、ロックアップクラッチが係合状態である場合に、ステアリング吸収馬力に基づいてエンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブを変更する。
【0014】
トルクコンバータのロックアップクラッチが係合状態である場合には、エンジンの出力軸とトルクコンバータの出力側とが直結された状態にあるため、トルクコンバータの出力側の負荷がエンジンに伝わることによって、特にエンジンの回転数が低下し易い。
【0015】
しかし、この作業車両では、ロックアップクラッチが係合状態である場合に、ステアリング吸収馬力に基づくエンジンパワーカーブの変更が行われるため、エンジンの回転数の低下を抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る作業車両では、ステアリング吸収馬力に基づいてエンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブが変更される。すなわち、ステアリング吸収馬力に基づいてエンジン出力トルクを変更することができる。ステアリング吸収馬力は、旋回負荷に応じて変化するため、この作業車両では、旋回負荷に応じて適切にエンジン出力トルクを制御することができる。これにより、旋回時のエンジン回転数の低下および牽引性能の低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<構成>
本発明の一実施形態に係る作業車両1の概略システム構成図を図1に示す。この作業車両1は、例えばブルドーザであり、エンジン2、第1動力伝達機構3、一対の走行装置4a,4b、第1油圧ポンプ5、旋回機構6、作業機7、冷却機構8、操作部9、各種センサ、制御部10などを備えている。
【0018】
〔エンジン2〕
エンジン2は、ディーゼルエンジンであり、燃料噴射ポンプ(図示せず)からの燃料の噴射量が調整されることにより、エンジン2の出力が制御される。燃料噴射量の調整は、燃料噴射ポンプに付設されたガバナ11が制御部10によって制御されることで行われる。ガバナ11としては、一般的にオールスピード制御方式のガバナが用いられ、実際のエンジン回転数が制御部10によって設定されたエンジン回転数になるように、負荷に応じてエンジン回転数と燃料噴射量とを調整する。
【0019】
エンジン2からの駆動力は、図示しない動力取出装置を介して第1動力伝達機構3、第1油圧ポンプ5および後述する第2油圧ポンプ12に分配される。
【0020】
〔第1動力伝達機構3〕
第1動力伝達機構3は、エンジン2からの駆動力を一対の走行装置4a,4bに伝達する機構であり、トルクコンバータ13、トランスミッション14、ベベルギヤ15、横軸16、一対の遊星歯車機構17a,17b、一対のブレーキ装置18a,18b、一対の終減速装置19a,19bなどを有する。
【0021】
トルクコンバータ13は、エンジン2の出力軸に連結されている。このトルクコンバータ13は、トルクコンバータ13の入力側と出力側とを直結するロックアップクラッチ20を有しており、ロックアップクラッチ20は、図示しない油圧ポンプから供給される圧油によってオン状態とオフ状態とに切り換えられる。このロックアップクラッチ20への圧油の供給は、制御部10からの指令信号によって制御されるトルクコンバータ操作弁21によって制御される。なお、オン状態とはクラッチが係合した状態であり、オフ状態とは、クラッチが係合していない状態を意味する。
【0022】
トランスミッション14は、前進用油圧クラッチ22および後進用油圧クラッチ23を有しており、前進用油圧クラッチ22、後進用油圧クラッチ23のいずれかが選択されてオン状態にされることにより、前進走行あるいは後進走行が行われる。前進用油圧クラッチ22および後進用油圧クラッチ23は、図示しない油圧ポンプから供給される圧油によってオン状態とオフ状態とに切り換えられる。
【0023】
また、このトランスミッション14は、第1速用油圧クラッチ24、第2速用油圧クラッチ25、第3速用油圧クラッチ26を有し、これらの変速用クラッチのうちのいずれかが選択されてオン状態とされることにより、速度段の切替が行われる。第1速用油圧クラッチ24、第2速用油圧クラッチ25、第3速用油圧クラッチ26は、図示しない油圧ポンプから供給される圧油によって駆動され、オン状態とオフ状態とに切り換えられる。
【0024】
なお、前進用油圧クラッチ22、後進用油圧クラッチ23、第1速用油圧クラッチ24、第2速用油圧クラッチ25、第3速用油圧クラッチ26への圧油の供給は、トランスミッション操作弁27によって制御される。トランスミッション操作弁27は、制御部10からの指令信号によって制御される。
【0025】
トランスミッション14から出力されるエンジン2の駆動力は、ベベルギヤ15および横軸16を介して一対の遊星歯車機構17a,17bに伝達される。
【0026】
一対の遊星歯車機構17a,17bのうち左遊星歯車機構17bの遊星キャリアに固定される出力軸は、左ブレーキ装置18bおよび左終減速装置19bを介して後述する左スプロケット28b(左駆動輪)に連結されている。また、右遊星歯車機構17aの遊星キャリアに固定される出力軸は、右ブレーキ装置18aおよび右終減速装置19aを介して後述する右スプロケット28a(右駆動輪)に連結されている。横軸16から遊星歯車機構17a,17bの各リングギヤに伝達された駆動力は、遊星歯車機構17a,17bの各遊星キャリアから各終減速装置19a,19bを介して各走行装置4a,4bのスプロケット28a,28bに伝達される。
【0027】
〔一対の走行装置4a,4b〕
走行装置4a,4bは、左スプロケット28bおよび右スプロケット28aと、各スプロケット28a,28bに巻回される履帯29a,29bとを有している。上述したように、エンジン2から第1動力伝達機構3を介して駆動力がスプロケット28a,28bに伝達され、スプロケット28a,28bが回転駆動されると、スプロケット28a,28bに巻回された履帯29a,29bが駆動され、これにより作業車両1が走行する。このように、エンジン2の馬力の一部は、作業車両1を走行させるために消費される。
【0028】
〔第1油圧ポンプ5〕
第1油圧ポンプ5は、エンジン2からの駆動力によって駆動され、後述する作業機7の油圧シリンダ31や旋回機構6の油圧モータ32を駆動するための圧油を吐出する。第1油圧ポンプ5は、斜板角を制御することにより吐出容量を制御可能な可変容量型の油圧ポンプである。第1油圧ポンプ5には、斜板角を制御するための斜板角制御機構33および第1油圧ポンプ5のトルク制限用の制御弁34(以下、「第1油圧ポンプ制御弁34」と呼ぶ)が付設されている。第1油圧ポンプ制御弁34は電磁比例制御弁であり、制御部10は、第1油圧ポンプ制御弁34への指令信号を制御することにより、第1油圧ポンプ5の吐出容量を制御し、第1油圧ポンプ5の吸収トルクの上限値を制御することができる。
【0029】
〔旋回機構6〕
旋回機構6は、右スプロケット28aおよび左スプロケット28bの回転速度を異ならせることによって作業車両1を旋回させる機構であり、油圧モータ32と第2動力伝達機構35とを有する。
【0030】
油圧モータ32は、第1油圧ポンプ5からの圧油によって駆動される。
【0031】
第2動力伝達機構35は、所要の歯車列によって構成されており、油圧モータ32の出力軸に固定されるギヤと、左遊星歯車機構17bのサンギヤに一体に固定されるギヤと、右遊星歯車機構17aのサンギヤに一体に固定されるギヤとに噛合している。第2動力伝達機構35は、油圧モータ32の駆動力を左右の遊星歯車機構17a,17bの各サンギヤから各遊星キャリアおよび各終減速装置19a,19bを介して左右のスプロケット28a,28bに伝達し、左右のスプロケット28a,28bの回転速度を異ならせることで作業車両1を左右に旋回させることができる。
【0032】
また、第1油圧ポンプ5と油圧モータ32とを繋ぐ油圧回路には、圧油の流量の制御および流路の切換を行うことができる制御弁36(以下、「流量制御弁36」と呼ぶ)が設けられている。流量制御弁36は、制御部10からの指令信号に基づいて、油圧モータ32への圧油の供給量と供給方向を制御する。これにより、油圧モータ32の出力軸の回転速度と回転方向が制御され、作業車両1の旋回半径と旋回方向の切換が行われる。
【0033】
〔作業機7〕
作業機7は、図示しないブレードと、ブレードを駆動するための油圧シリンダ31とを有する。ブレードは、作業車両1の前部に設けられており、土押し等の作業を行うための部材である。油圧シリンダ31は、第1油圧ポンプ5からの圧油によって駆動される。また、油圧シリンダ31と第1油圧ポンプ5とを繋ぐ油圧回路には、制御部10からの指令信号に基づいて第1油圧ポンプ5から油圧シリンダ31に供給される圧油を制御する作業機操作弁37が設けられている。なお、この作業車両1では、リフト、アングルおよびチルト用の複数の油圧シリンダ31が設けられているが、図1では1つの油圧シリンダ31のみを図示して他は省略している。作業機操作弁37は、制御部10からの指令信号を受けて油圧シリンダ31への圧油の供給量と供給方向を切り換える。これにより、リフト、アングルおよびチルトなどのブレードの動作が行われる。
【0034】
〔冷却機構8〕
冷却機構8は、エンジン2からの駆動力によって駆動される第2油圧ポンプ12と、第2油圧ポンプ12から供給される圧油によって駆動される油圧モータ38と、油圧モータ38によって駆動される冷却ファン39を有する。冷却機構8は、冷却ファン39によって空気の流れを生成することにより、エンジン2の冷却水や圧油を冷却する。なお、油圧モータ38と第2油圧ポンプ12との間には、冷却ファン操作弁41が設けられており、制御部10からの指令信号によって冷却ファン操作弁41が制御されることによって、油圧モータ32へ供給される圧油の流れの方向を切り換えることができる。これにより油圧モータ32すなわち冷却ファン39の回転方向を制御することができる。また、第2油圧ポンプ12には、制御部10からの指令信号に基づいて第2油圧ポンプ12の吐出容量を制御する第2油圧ポンプ制御弁42が付設されており、第2油圧ポンプ制御弁42が制御されることによって、冷却ファンの回転速度を制御することができる。
【0035】
〔操作部9および各種センサ〕
操作部9は、図示しない運転室に内装されており、オペレータによって操作されることにより作業車両1に各種の動作を行わせることができる。また、操作部9による操作内容は、操作信号として制御部10へ送られる。操作部9は、シフトスイッチ43、走行・旋回操作レバー44、スロットル指示装置45、デセル指示装置46、作業機レバー47、制御モード切替装置48などを有する。
【0036】
シフトスイッチ43は、トランスミッション14の速度段を切り換えるためのものである。この作業車両1では、第1速から第3速までのトランスミッション14の速度段の切替が可能であり、オペレータがシフトスイッチ43を操作することにより、手動で速度段の切替を行うことができる。
【0037】
走行・旋回操作レバー44は、作業車両1の前進・後退の切り換え、直進・旋回の切換をよび、旋回方向の切換を指示するための部材である。オペレータは、走行・旋回操作レバー44を操作することによりトランスミッション14を前進状態、後進状態、中立状態に切り換えることができる。また、オペレータは、走行・旋回操作レバー44を操作することにより、作業車両1の直進・旋回の切換、旋回方向の切換、旋回速度の調整を行うことができる。
【0038】
スロットル指示装置45は、エンジン回転数を変更するためのものである。スロットル指示装置45によって指定されたエンジン回転数は制御部10に入力され、制御部10はエンジン回転数が指定された回転数になるようにエンジン2を制御する。
【0039】
デセル指示装置46は、エンジン回転数を低減させるためのものであり、制御部10から出力されるエンジン2へのエンジン回転数の指令値を通常値から低減させる。
【0040】
作業機レバー47は、作業機7を操作するためのものであり、作業機レバー47の操作内容に応じてリフト、アングルおよびチルトなどのブレードの動作が行われる。
【0041】
制御モード切替装置48は、高エンジン出力を目的とする第1制御モードと低エンジン出力を目的とする第2制御モードとのいずれかをオペレータが選択するためのものである。これらの制御モードの内容については後述する。
【0042】
各種のセンサには、第1ポンプ吐出圧センサS1、エンジン回転数センサS2、トランスミッション回転数センサS3などがある。第1ポンプ吐出圧センサS1は、第1油圧ポンプ5の吐出圧を検出する。エンジン回転数センサS2は、エンジン2の実際のエンジン回転数を検出する。トランスミッション回転数センサS3は、トランスミッション14の出力軸の回転数を検出する。また、これらのセンサS1−S3によって検出された各種の情報は検出信号として制御部10に入力される。
【0043】
〔制御部10〕
制御部10は、マイクロコンピュータや数値演算プロセッサ等の演算処理装置を主体にして構成されており、制御データ等を記憶している。制御部10は、操作部9からの操作信号、各種のセンサ−からの検出信号、制御部10に記憶されている制御データなどに基づいて、エンジン2、第1動力伝達機構3、旋回機構6、作業機7、冷却機構8などの制御を行う。制御部10は、主として、第1動力伝達機構3、旋回機構6、作業機7、冷却機構8の制御を行う第1制御部51と、主としてエンジン2の制御を行う第2制御部52とを有する。
【0044】
第1制御部51は、車速やエンジン回転数に基づいて、トルクコンバータ13のロックアップクラッチ20の切換、変速用クラッチ24〜26の切換を行うことにより、車速やエンジン回転数に適した速度段を選択する。例えば、第1制御部51は、エンジン回転数の増大に伴ってトランスミッション14を低速度段から高速度段へ切り換える。また、第1制御部51は、トランスミッション14が同じ速度段であっても、エンジン回転数に応じてロックアップクラッチ20の切換を行う。例えば、トランスミッション14の速度段が第1速であり、且つ、エンジン回転数が所定値以上である場合はロックアップクラッチ20がオン状態とされる。また、トランスミッション14の速度段が第1速であっても、エンジン回転数が所定値より小さくなった場合には、ロックアップクラッチ20がオフ状態とされる。これにより、作業車両1の走行燃費を向上させることができる。
【0045】
また、第1制御部51は、シフトスイッチ43や走行・旋回操作レバー44の操作に応じて、トランスミッション14の前進用油圧クラッチ22および後進用油圧クラッチ23の切換や変速用クラッチ24〜26の切換を行う。これにより、オペレータは手動で前進・後退の切換および速度段の切換を行うことができる。また、第1制御部51は、走行・旋回操作レバー44の操作に応じて流量制御弁36を制御することにより、油圧モータ32の回転速度を制御して旋回速度を制御することができる。
【0046】
なお、ロックアップクラッチ20の係合状態は、トルクコンバータ操作弁21からの状態信号として第1制御部51に入力される。また、トランスミッション14の各クラッチ22〜26の係合状態は、トランスミッション操作弁27からの状態信号として第1制御部51に入力される。
【0047】
第2制御部52には、図2に示すようなエンジン回転数とエンジン出力トルクとの関係を示すエンジンパワーカーブが記憶されており、第2制御部52は、エンジンパワーカーブに基づいてエンジン2を制御する。この作業車両1では、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブを複数のエンジンパワーカーブカーブに変更することができ、状況に応じてエンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブが決定される。このエンジンパワーカーブによるエンジン出力制御については後に詳細に説明する。
【0048】
<第1油圧ポンプ5の吸収トルク制御>
この作業車両1では、第1制御部51は、トルクコンバータ13の速度比およびエンジン回転数に基づいて第1油圧ポンプ制御弁34を制御することにより、走行負荷に応じて第1油圧ポンプ5の吸収トルクを制御することができる。以下、この第1油圧ポンプ5の吸収トルク制御について説明する。
【0049】
まず、第1制御部51は、トランスミッション操作弁27からの状態信号および走行・旋回操作レバー44の操作信号に基づいて、トランスミッション14において選択されている速度段や前進・後退の別を判別し、その判別結果に基づいて、トランスミッション14の現在の減速比を算出する。そして、第1制御部51は、トランスミッション14の現在の減速比と、エンジン回転数センサS2によって検出されたエンジン回転数と、トランスミッション回転数センサS3によって検出されたトランスミッション14の出力軸の実回転数とに基づいて、以下の式(1)によりトルクコンバータ13の速度比eを算出する。
【0050】
e=Nt×i/Ne・・・(1)
なお、
Nt:トランスミッション14の出力軸の実回転数
i:トランスミッション14の現在の減速比
Ne:エンジン回転数
である。
【0051】
次に、第1制御部51は、トルクコンバータ13の速度比と、エンジン回転数とに基づいて、第1油圧ポンプ制御弁34への指令信号値を決定する。ここで、第1制御部51は、図3に示すように、トルクコンバータ13の速度比e≦e1(e1は定数)である場合には、エンジン回転数と第1油圧ポンプ制御弁34への指令信号値との関係を示す特性ラインLaに基づいて、エンジン回転数センサS2が検出したエンジン回転数から第1油圧ポンプ制御弁34への指令信号値を決定する。なお、第1油圧ポンプ制御弁34への指令信号値は、第1油圧ポンプ5の吸収トルクの制限値と対応しており、第1油圧ポンプ制御弁34への指令信号値が小さいほど第1油圧ポンプ5の吸収トルクの制限値は大きくなる。トルクコンバータ13の速度比e≧e2(e2はe1より大きい定数)である場合には、第1制御部51は、特性ラインLbに基づいて、第1油圧ポンプ制御弁34への指令信号値を決定する。また、図3には図示されていないが、トルクコンバータ13の速度比e=e3(e1<e3<e2)である場合には、トルクコンバータ13の速度比eの大きさに応じて決定される特性ラインLaとLbとの間の特性ラインに基づいて第1油圧ポンプ制御弁34への指令信号値が決定される。なお、エンジン2が駆動されているが、エンジン回転数センサS2が故障している場合には、所定の指令信号値が選択される(図3の特性ラインLc参照)。
【0052】
以上のように、第1制御部51は、トルクコンバータ13の速度比eが比較的小さい場合、つまり走行負荷が比較的大きい場合には、第1油圧ポンプ制御弁34への指令信号値を大きくして、第1油圧ポンプ5の吸収トルクの制限値を低める。これにより、トルクコンバータ13がエンジン2から吸収する馬力を増大させることができる。また、トルクコンバータ13の速度比eが比較的大きい場合、つまり走行負荷が比較的小さい場合には、第1油圧ポンプ制御弁34への指令信号値を小さくして、第1油圧ポンプ5の吸収トルクの制限値を高める。これにより、第1油圧ポンプ5がエンジン2から吸収する馬力を増大させることができる。これにより、走行負荷に応じて第1油圧ポンプ5の吸収トルクの制限値を制御することができる。
【0053】
<エンジン出力制御>
この作業車両1では、上記のような走行負荷に応じた第1油圧ポンプ5の吸収トルクの制限値の制御だけではなく、第1油圧ポンプ5の吸収馬力(以下「ステアリング吸収馬力」と呼ぶ)に基づいてエンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブを変更するエンジン出力制御が行われる。例えば、図2に示すように、エンジン出力トルクが最大となる最大エンジンパワーカーブLmaxに対してエンジン出力トルクを低減させた複数のエンジンパワーカーブL1〜L5に変更することができる。以下、これらのエンジンパワーカーブL1〜L5について、エンジン出力トルクの大きい順に、第1エンジンパワーカーブL1〜第5エンジンパワーカーブL5と名称を付けることとする。
【0054】
まず、第1制御部51は、第1油圧ポンプ5の吐出圧(以下、「第1吐出圧」と呼ぶ)と、第1油圧ポンプ5のポンプ容量(以下、「第1ポンプ容量」と呼ぶ)と、第1油圧ポンプ5の回転数(以下、「第1ポンプ回転数」と呼ぶ)とに基づいて、以下の式(2)により、ステアリング吸収馬力を算出する。
【0055】
Lp=β×Ps×qs×Np・・・(1)
ここで、
Lp:ステアリング吸収馬力
β:所定の係数
Ps:第1吐出圧
qs:第1ポンプ容量
Np:第1ポンプ回転数
である。
【0056】
なお、第1吐出圧Psは、第1ポンプ吐出圧センサS1が検出したものである。第1ポンプ容量qsは、流量制御弁36への指令値から算出した値が用いられる。具体的には、第1制御部51は、図4に示すような第1ポンプ容量qsと流量制御弁36への指令値isとの関係を示すマップを記憶しており、このマップを参照することにより、流量制御弁36への指令値isから第1ポンプ容量qsを求める。なお、流量制御弁36への指令値isは、走行・旋回操作レバー44からの操作信号に基づいて第1制御部51が流量制御弁36に送る指令信号の値である。第1ポンプ回転数Npは、エンジン回転数センサS2が検出したエンジン回転数に基づいて、以下の式(2)により求められる。
【0057】
Np=γ×Ne・・・(2)
ここで、
γ:所定の係数
Ne:エンジン回転数
である。
【0058】
次に、第1制御部51は、算出したステアリング吸収馬力Lpの大きさに基づいて、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブを決定する。ここで、決定されるエンジンパワーカーブは、図5の表に示すように、ロックアップクラッチ20の状態や第1制御モードおよび第2制御モードの選択によって異なる。
【0059】
まず、ロックアップクラッチ20がオン状態(図5の「L/Cオン」参照)であり、且つ、第1制御モードが選択されている場合について説明する。ステアリング吸収馬力Lpが所定の第1基準値α1より小さい場合、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブが第3エンジンパワーカーブL3(図2参照)に決定される。ステアリング吸収馬力Lpが第1基準値α1以上であり且つ第2基準値α2(α2>α1)以下である場合、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブが第2エンジンパワーカーブL2に決定される。また、ステアリング吸収馬力Lpが第2基準値α2より大きい場合、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブが第1エンジンパワーカーブL1に決定される。このように、ステアリング吸収馬力Lpが増大すると、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブはより高トルクのエンジンパワーカーブに変更される。なお、ステアリング吸収馬力Lpが第1基準値α1より小さい場合は、旋回負荷が小さい場合を示しており、作業車両1が直進している場合も含む。また、ステアリング吸収馬力Lpが大きい場合は、旋回負荷が大きいことを示している。
【0060】
次に、ロックアップクラッチ20がオン状態であり、且つ、第2制御モードが選択されている場合について説明する。ステアリング吸収馬力Lpが第1基準値α1より小さい場合には、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブが第5エンジンパワーカーブL5に決定される。ステアリング吸収馬力Lpが第1基準値α1以上であり且つ第2基準値α2以下である場合には、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブが第4エンジンパワーカーブL4に決定される。また、ステアリング吸収馬力Lpが第2基準値α2より大きい場合には、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブが第3エンジンパワーカーブL3に決定される。よって、この場合も上記の第1制御モードが選択されている場合と同様に、ステアリング吸収馬力Lpが増大すると、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブはより高トルクのエンジンパワーカーブに変更される。ただし、第1制御モードが選択されている場合には、第3エンジンパワーカーブL3から第1エンジンパワーカーブL1までの比較的高トルクの第1範囲(図2における第3エンジンパワーカーブL3から第1エンジンパワーカーブL1までの範囲)内でエンジンパワーカーブの変更が可能である。また、第2制御モードが選択されている場合には、第5エンジンパワーカーブから第3エンジンパワーカーブL3までの比較的低トルクの第2範囲(図2における第5エンジンパワーカーブL5から第3エンジンパワーカーブL3までの範囲)内でエンジンパワーカーブの変更が可能となっている。
【0061】
なお、ロックアップクラッチ20がオフ状態(図5の「L/Cオフ」参照)であり、且つ、第1制御モードが選択されている場合には、ステアリング吸収馬力Lpの大きさに関わらず、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブが第1エンジンパワーカーブL1に決定される。また、ロックアップクラッチ20がオフ状態であり、且つ、第2制御モードが選択されている場合には、ステアリング吸収馬力Lpの大きさに関わらず、エンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブが第3エンジンパワーカーブL3に決定される。
【0062】
<特徴>
この作業車両1では、ステアリング吸収馬力に基づいてエンジン2の制御に用いるエンジンパワーカーブが変更され、これにより、エンジン出力トルクが変更される。ステアリング吸収馬力は、旋回負荷の大きさに応じて変化するため、この作業車両1では、旋回負荷が大きい場合には、エンジン出力トルクが増大するようにエンジン2が制御される。このため、旋回機構6において消費される馬力が大きくなっても、走行装置4a,4bにおいて消費される馬力の低下を抑えることができ、牽引性能の低下を抑えることができる。また、エンジン回転数の低下も抑えることができる。
【0063】
なお、作業車両1では、走行装置4a,4bおよび旋回機構6以外にも作業機7や冷却機構8によってエンジン2の馬力が消費されるが、これらの消費馬力は走行装置4a,4bや旋回機構6において消費される馬力と比較して小さいものである。従って、上記の制御に与える影響は少ない。
【0064】
また、上記の実施形態では、ロックアップクラッチ20がオフ状態である場合には、ステアリング吸収馬力に基づくエンジンパワーカーブの変更が行われていないが、この場合は、トルクコンバータ13によってエンジン2からの駆動力の伝達が行われているため、ロックアップクラッチ20がオン状態である場合と比べてエンジン回転数の低下が生じ難くなっている。これに対して、ロックアップクラッチ20がオン状態である場合は、エンジン2の出力軸とトランスミッション14の入力軸とが直結されているため、エンジン回転数の低下が生じ易い状況となるが、上記のようにステアリング吸収馬力に基づくエンジンパワーカーブの変更が行われることによって、エンジン回転数の低下が抑えられる。
【0065】
<他の実施形態>
(a)
本発明においてエンジン2の制御に用いられるエンジンパワーカーブは、上記のものに限られず、より多くのエンジンパワーカーブへの変更が可能であってもよい。また、変更可能なエンジンパワーカーブの数が上記のものより少なくてもよい。
【0066】
(b)
上記の実施形態では、ステアリング吸収馬力が3つの範囲のいずれに属するかの判定が行われているが、判定に用いられるステアリング吸収馬力の範囲は上記のものに限られない。また、複数の範囲ごとに段階的にエンジンパワーカーブが変更されるのではなく、ステアリング吸収馬力の大きさに応じてエンジン2の制御に用いられるエンジンパワーカーブが連続的に変化してもよい。
【0067】
(c)
上記の実施形態では、エンジン回転数とトルクコンバータ13の速度比に基づいて第1油圧ポンプ5の吸収トルクの制限値が決定されているが、他の方法により第1油圧ポンプ5の吸収トルクの制限値が決定されてもよい。
【0068】
(d)
上記の実施形態では、ロックアップクラッチ20がオフ状態である場合には、ステアリング吸収馬力に基づくエンジンパワーカーブの変更が行われていないが、ロックアップクラッチ20がオフ状態であっても、ステアリング吸収馬力に基づくエンジンパワーカーブの変更が行われてもよい。
【0069】
(e)
上記の実施形態では、作業車両としてブルドーザが例示されているが、他の作業車両にも本発明を適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、旋回時のエンジン回転数の低下および牽引性能の低下を抑えることができる効果を有し、作業車両として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】作業車両の構成を示す概略図。
【図2】エンジンパワーカーブの例を示す図。
【図3】エンジン回転数と第1油圧ポンプ制御弁への指令信号値との関係を示すグラフ。
【図4】流量制御弁への指令値と第1ポンプ容量との関係を示すグラフ。
【図5】ステアリング吸収馬力に応じたエンジンパワーカーブの変更を示す表。
【符号の説明】
【0072】
1 作業車両
2 エンジン
3 第1動力伝達機構
5 第1油圧ポンプ(油圧ポンプ)
6 旋回機構
10 制御部
13 トルクコンバータ
20 ロックアップクラッチ
28a 右スプロケット(右駆動輪)
28b 左スプロケット(左駆動輪)
32 油圧モータ
35 第2動力伝達機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンからの駆動力によって駆動される左駆動輪および右駆動輪と、
前記エンジンからの駆動力を前記左駆動輪および前記右駆動輪に伝達する第1動力伝達機構と、
前記エンジンからの駆動力によって駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプからの圧油によって駆動される油圧モータと、前記油圧モータの駆動力を前記右駆動輪および前記左駆動輪に伝達する第2動力伝達機構とを有し、前記右駆動輪および前記左駆動輪の回転速度を異ならせることによって車両を旋回させる旋回機構と、
エンジン回転数とエンジン出力トルクとの関係を示すエンジンパワーカーブに基づいて前記エンジンを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記油圧ポンプの吸収馬力であるステアリング吸収馬力を算出し、前記ステアリング吸収馬力に基づいて前記エンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブを変更する、
作業車両。
【請求項2】
前記制御部は、前記ステアリング吸収馬力が増大した場合、前記エンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブを高トルクのエンジンパワーカーブに変更する、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記制御部は、高エンジン出力を目的とする第1制御モードと低エンジン出力を目的とする第2制御モードとを選択的に実行可能であり、第1制御モードが選択されている場合には、前記エンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブを所定の第1範囲内で変更可能であり、前記第2制御モードが選択されている場合には、前記エンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブを前記第1範囲より低トルク側の第2範囲内で変更可能である、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記第1動力伝達機構は、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータを有し、
前記制御部は、前記ロックアップクラッチが係合状態である場合に、前記ステアリング吸収馬力に基づいて前記エンジンの制御に用いるエンジンパワーカーブを変更する、
請求項1から3のいずれかに記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−30575(P2009−30575A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197677(P2007−197677)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】