説明

停車判定装置

【課題】取り付ける車両によらず適切な停車判定を行うことが可能となる停車判定装置を提供する。
【解決手段】フラッシュメモリ28に閾値が設定されていなければ、ROM16bから初期値の閾値を読み出し、ジャイロセンサ12および加速度センサ13の各軸について検出された動き量が読み出された閾値以下の状態が所定時間継続した場合、停車していると判定し、検出された動き量に基づき閾値を決定し、決定された閾値をフラッシュメモリ28に更新記憶させ、次回はフラッシュメモリ28から閾値を読み出して停車判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停車判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載用ナビゲーション装置においては、ジャイロセンサ、加速度センサの出力を補正するため、または、エコドライブ評価などのために、車両が停車したか否かを判定している(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ここでは、従来の車載用ナビゲーション装置による停車判定方法の一例について説明する。図1に、従来の車載用ナビゲーション装置の概略構成を示す。車載用ナビゲーション装置10は、GPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波等に基づいて車両の現在地(自車位置)を特定し、自車位置とともにその付近の地図が示されたナビゲーション画面を表示して、誘導経路に沿って車両を目的地まで誘導することを主たる機能としている。
【0004】
車載用ナビゲーション装置10は、GPS部11と、ジャイロセンサ12と、加速度センサ13と、信号処理部14と、信号処理部15と、制御部16と、記録媒体17と、ドライブ部18と、描画部19と、表示制御部20と、表示部21と、音源回路部22と、スピーカ23と、インターフェース部24と、ハードキー25と、タッチパネル26と、位置検出部27と、フラッシュメモリ28と、を備えている。
【0005】
GPS部11は、受信アンテナおよびチューナ等で構成されており、GPS衛星から受信した電波を処理して測位用データを取り出す。取り出された測位用データは、制御部16に送られる。制御部16は、GPS部11から送られた測位用データに基づいて自車位置を特定する。
【0006】
車載用ナビゲーション装置10は、いわゆるハイブリッド方式を採用しており、車両の角速度を検出するためのジャイロセンサ12と、車両の加速度を検出するための加速度センサ13を備える。ジャイロセンサ12が出力する角速度信号は信号処理部14により処理され、加速度センサ13が出力する加速度信号は信号処理部15により処理される。そして、信号処理部14および信号処理部15の出力に基づき、制御部16は、車両の位置、速度などを計算する。信号処理部14および信号処理部15の詳細については後述する。
【0007】
制御部16は、車載用ナビゲーション装置10の制御を統括的に行うとともに、車両位置の特定や経路探索等の各種処理を実行する。制御部16は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、CPU16a、ROM16b、RAM16cなどを含んでいる。
【0008】
記録媒体17には、ハードディスク、メモリーカード、光ディスク等を採用できる。記録媒体17には、ナビゲーション画面の表示や経路探索などに必要となる地図データベースと、車載用ナビゲーション装置10の各種動作を記述したプログラムとが格納されている。そして、制御部16は、記録媒体17からドライブ部18を介してこのプログラムを読み出して実行する。
【0009】
地図データベースには、地図データ、地図データに基づいてナビゲーション画面を描画する際に参照される描画パラメータ、各種検索にて参照される索引データ、経路誘導用やその他の用途の音声の生成に使用される音声データ等が含まれている。そして、制御部16は、実行する動作に必要なデータを地図データベースから部分的に取り出して参照する。
【0010】
描画部19は、描画専用のCPU等を含むICチップであって、制御部16からの指示に基づいて、ナビゲーション画面の画像データや操作画面の画像データ等を作成する。描画部19で作成された画像データは、表示制御部20に送られ、表示制御部20が有するRAMに記憶される。表示制御部20は、記憶した画像データに基づいて表示部21に画像表示用の信号を送り、表示部21の表示領域に画像データに係る画面を表示させる。表示部21には、LCDや有機ELディスプレイなどが用いられる。
【0011】
音源回路部22は、制御部16から送られた音声データに基づいて、経路誘導用やその他の用途のアナログ音声信号を生成する。生成されたアナログ音声信号は、スピーカ23で再生される。
【0012】
ハードキー25は、電源のオン/オフをする電源キーや音量調整用のキー等を含んでいる。ハードキー25を構成するキーの1つが押下されると、そのキーの押下を通知する信号がインターフェース部24を介して制御部16に送られる。
【0013】
タッチパネル26は、例えば、格子状に配置された透明な電極を有する感圧式のパネルであって、表示部21の表示領域上に配設される。タッチパネル26が押下されると、位置検出部27は、タッチパネル26から送られた電圧信号に基づいて、押下された位置の座標情報を通知する信号を生成する。この信号は、インターフェース部24を介して制御部16に送られる。
【0014】
また、フラッシュメモリ28は、電源を切ってもデータが維持される記憶装置である。
【0015】
ここで、図2に、信号処理部14の詳細な構成を示し、図3に、信号処理部15の詳細な構成を示す。
【0016】
ジャイロセンサ12は、ヨー軸周りの角速度およびピッチ軸周りの角速度を検出し、それぞれの角速度信号を信号処理部14に出力する。ここで、ヨー軸とは、車体の左右方向回転の軸であり、ピッチ軸とは、車体の上下方向回転の軸であり、ヨー軸とピッチ軸は直交する。
【0017】
また、加速度センサ13は、車体の進行方向の軸であるX軸、車体の左右方向の軸であるY軸、車体の上下方向の軸であるZ軸、それぞれの軸方向の加速度を検出し、それぞれの加速度信号を信号処理部15に出力する。X軸、Y軸、Z軸は互いに直交する。
【0018】
信号処理部14は、ノイズフィルタ14aと、A/D部14bと、ハイパスフィルタ14cと、ローパスフィルタ14dと、動き検出部14eと、ローパスフィルタ14fと、ノイズフィルタ14gと、A/D部14hと、ハイパスフィルタ14iと、ローパスフィルタ14jと、動き検出部14kと、ローパスフィルタ14lと、を有している。
【0019】
また、信号処理部15は、ノイズフィルタ15aと、A/D部15bと、ハイパスフィルタ15cと、ローパスフィルタ15dと、動き検出部15eと、ローパスフィルタ15fと、ノイズフィルタ15gと、A/D部15hと、ハイパスフィルタ15iと、ローパスフィルタ15jと、動き検出部15kと、ローパスフィルタ15lと、ノイズフィルタ15mと、A/D部15nと、ハイパスフィルタ15oと、ローパスフィルタ15pと、動き検出部15qと、ローパスフィルタ15rと、を有している。
【0020】
ジャイロセンサ12が出力するヨー軸周りの角速度信号は、ノイズフィルタ14aによりノイズが除去され、A/D部14bによりA/D変換され、ローパスフィルタ14fにより低周波数成分が抽出され、制御部16に入力される。また、ジャイロセンサ12が出力するピッチ軸周りの角速度信号は、ノイズフィルタ14gによりノイズが除去され、A/D部14hによりA/D変換され、ローパスフィルタ14lにより低周波数成分が抽出され、制御部16に入力される。
【0021】
また、加速度センサ13が出力するX軸方向の加速度信号は、ノイズフィルタ15aによりノイズが除去され、A/D部15bによりA/D変換され、ローパスフィルタ15fにより低周波数成分が抽出され、制御部16に入力される。また、加速度センサ13が出力するY軸方向の加速度信号は、ノイズフィルタ15gによりノイズが除去され、A/D部15hによりA/D変換され、ローパスフィルタ15lにより低周波数成分が抽出され、制御部16に入力される。また、加速度センサ13が出力するZ軸方向の加速度信号は、ノイズフィルタ15mによりノイズが除去され、A/D部15nによりA/D変換され、ローパスフィルタ15rにより低周波数成分が抽出され、制御部16に入力される。
【0022】
ローパスフィルタ14f、ローパスフィルタ14l、ローパスフィルタ15f、ローパスフィルタ15l並びにローパスフィルタ15rの出力に基づき、制御部16は、車両の位置などを計算する。
【0023】
また、ジャイロセンサ12が出力するヨー軸周りの角速度信号は、ノイズフィルタ14aによりノイズが除去され、A/D部14bによりA/D変換され、ハイパスフィルタ14cにより直流成分が遮断され、ローパスフィルタ14dにより低周波数成分が抽出され、動き検出部14eに入力される。また、ジャイロセンサ12が出力するピッチ軸周りの角速度信号は、ノイズフィルタ14gによりノイズが除去され、A/D部14hによりA/D変換され、ハイパスフィルタ14iにより直流成分が遮断され、ローパスフィルタ14jにより低周波数成分が抽出され、動き検出部14kに入力される。
【0024】
また、加速度センサ13が出力するX軸方向の加速度信号は、ノイズフィルタ15aによりノイズが除去され、A/D部15bによりA/D変換され、ハイパスフィルタ15cにより直流成分が遮断され、ローパスフィルタ15dにより低周波数成分が抽出され、動き検出部15eに入力される。また、加速度センサ13が出力するY軸方向の加速度信号は、ノイズフィルタ15gによりノイズが除去され、A/D部15hによりA/D変換され、ハイパスフィルタ15iにより直流成分が遮断され、ローパスフィルタ15jにより低周波数成分が抽出され、動き検出部15kに入力される。また、加速度センサ13が出力するZ軸方向の加速度信号は、ノイズフィルタ15mによりノイズが除去され、A/D部15nによりA/D変換され、ハイパスフィルタ15oにより直流成分が遮断され、ローパスフィルタ15pにより低周波数成分が抽出され、動き検出部15qに入力される。
【0025】
各動き検出部14e、14k、15e、15k、15qは、各ローパスフィルタ14d、14j、15d、15j、15pから入力される信号の100ms、1000ms並びに3000msの各単位時間における動き量(変化量)を検出する。
【0026】
そして、制御部16は、各動き検出部14e、14k、15e、15k、15qが検出する動き量を監視し、各動き検出部14e、14k、15e、15k、15qが検出した100ms毎、1000ms毎、並びに3000msにおける各動き量が3秒間において全て閾値以下となれば、車両は停車していると判定する。3秒間において100msの動き量は30回、1000msの動き量は3回、3000msの動き量は1回検出されることになる。また、各動き検出部について、100ms、1000ms並びに3000msのそれぞれについて異なる閾値を用いており、制御部16は計15個の閾値を有している。
【0027】
また、制御部16は、動き量を監視中に、少なくともいずれかの動き検出部が検出した動き量が閾値より大きくなれば、その時点で車両は停車していないと判定する。
【0028】
以上のような方法で、従来の車載用ナビゲーション装置10では停車判定が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2008−111797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
ここで、図4Aに、従来の車載用ナビゲーション装置10をトラックに取り付けた場合の、停車中におけるピッチ軸周りの角速度信号に対応するハイパスフィルタ14iの出力信号の周波数スペクトルを示す。トラックはエンジンを搭載しており、停車時にエンジンがアイドリング状態となり車体が振動するので、図4Aに示すように、アイドリング周波数の成分の振幅が顕著に大きくなり、また、低周波数成分の振幅もある程度大きくなる。
【0031】
また、図4Bに、従来の車載用ナビゲーション装置10を電気自動車またはハイブリッド自動車に取り付けた場合の、低速走行中におけるピッチ軸周りの角速度信号に対応するハイパスフィルタ14iの出力信号の周波数スペクトルを示す。電気自動車はエンジンを搭載しておらず常にモータで走行する。ハイブリッド自動車はエンジンとモータが搭載され、低速走行時にはモータの駆動により走行する。そのため、電気自動車またはハイブリッド自動車の低速走行時には車体の振動が小さく、図4Bに示すように、低周波数成分の振幅が抑えられる。なお、電気自動車またはハイブリッド自動車の停車時は、図4Bに示すよりもさらに低周波数成分の振幅は抑えられる。
【0032】
その結果、ローパスフィルタ14jで抽出される低周波数成分の振幅が、トラックの停車時は、電気自動車またはハイブリッド自動車の低速走行時と比べて同等、またはそれ以上となっていた。この傾向は、ヨー軸周りの角速度、およびX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の加速度についても言えることである。
【0033】
これにより、停車判定に用いる閾値をトラック用に合わせると、電気自動車またはハイブリッド自動車の低速走行時に停車していると誤判定されてしまう。また、逆に閾値を電気自動車またはハイブリッド自動車用に合わせると、閾値が低めとなり、トラックが停車していることを判定できない。
【0034】
上記問題点を鑑み、本発明は、取り付ける車両によらず適切な停車判定を行うことが可能となる停車判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0035】
上記目的を達成するために本発明の停車判定装置は、軸周りの角速度を検出する角速度検出部、及び/又は、軸方向の加速度を検出する加速度検出部を備えた、車両に取り付け可能な停車判定装置において、
前記角速度検出部が出力する角速度信号、及び/又は、前記加速度検出部が出力する加速度信号を処理し、単位時間における動き量を検出する信号処理部と、
記憶部に閾値が設定されている場合、その閾値を選択し、前記記憶部に閾値が設定されていない場合、予め規定された閾値を選択する閾値選択部と、
前記信号処理部が検出した前記単位時間の動き量が、前記閾値選択部により選択された閾値以下である状態が所定時間継続した場合、車両が停車していると判定し、そうでない場合は、車両が停車していないと判定する停車判定部と、
前記停車判定部により車両が停車していると判定されたときに、前記所定時間において検出された動き量に基づき閾値を決定し、決定された閾値を前記記憶部に設定させる閾値設定部と、をさらに備えた構成とした。
【0036】
このような構成によれば、停車時の振動状態が異なる車両に取り付けた場合でも、車両に応じて適切な閾値が設定され、取り付ける車両によらず適切な停車判定を行うことが可能となる。
【0037】
また、上記構成において、前記閾値設定部は、前記所定時間において検出された動き量に基づく値に、正の所定値を加算することで閾値を決定する構成としてもよい。
【0038】
このような構成によれば、閾値判定が厳しくなり、車両が停車しているにもかかわらず停車していないと誤判定されることを防ぐことができる。
【0039】
また、上記いずれかの構成において、前記停車判定部により車両が停車していないと判定された場合に、車両が停車しているか否かを判定する第2の停車判定部と、
前記第2の停車判定部により車両が停車していると判定されると、前記記憶部に設定された閾値を削除する削除部と、を備えた構成としてもよい。
【0040】
このような構成によれば、停車時に振動の小さな車両から停車時に振動の大きな車両へ停車判定装置を載せ変えた場合に、記憶部に設定された適切でない閾値が削除され、適切な閾値を新たに設定することができる。
【0041】
また、前記第2の停車判定部は、GPS部の出力に基づき計算される車両位置に基づき停車判定を行うようにしてもよい。
【0042】
また、上記いずれかの構成において、操作部における所定の操作により、前記記憶部に設定された閾値を削除する削除部を備えた構成としてもよい。
【0043】
このような構成によれば、停車時に振動の小さな車両から停車時に振動の大きな車両へ停車判定装置を載せ変えた場合に、ユーザが所定の操作を行うことで、記憶部に設定された適切でない閾値が削除され、適切な閾値を新たに設定することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の停車判定装置によれば、取り付ける車両によらず適切な停車判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】従来および本発明の車載用ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】ジャイロセンサ用の信号処理部の詳細構成を示す図である。
【図3】加速度センサ用の信号処理部の詳細構成を示す図である。
【図4】図4(A)は、ピッチ軸周りの角速度信号に対応するハイパスフィルタの出力の周波数スペクトルの一例を示す図であり、(B)は、ピッチ軸周りの角速度信号に対応するハイパスフィルタの出力の周波数スペクトルの一例を示す図である。
【図5】本発明に係る停車判定処理に関するフローチャートである。
【図6】本発明に係る停車判定処理の別実施形態に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0047】
本発明に係る車載用ナビゲーション装置は、構成自体は上述した従来の車載用ナビゲーション装置10と同様であるので、構成の説明は省き、ここでは本発明に係る停車判定処理について説明する。
【0048】
図5に、本発明に係る停車判定処理に関するフローチャートを示す。なお、本フローチャートの処理は、車載用ナビゲーション装置10が起動後、常時繰り返し行われるものとする。
【0049】
まず、ステップS1で、制御部16は、フラッシュメモリ28に閾値が設定されているか否かを判定する。なお、初期はフラッシュメモリ28に閾値は設定されておらず、動き量検出の単位時間である100ms、1000ms、並びに3000msのそれぞれについて異なる閾値が各動き検出部14e、14k、15e、15k、15qについてROM16bに初期値として予め記憶されている(即ち、計15個の閾値が記憶されている)。
【0050】
もしフラッシュメモリ28に閾値が設定されていれば(ステップS1のY)、ステップS2に進み、制御部16は、フラッシュメモリ28から閾値を読み出す。また、フラッシュメモリ28に閾値が設定されていなければ(ステップS1のN)、ステップS3に進み、制御部16は、ROM16bから初期値の閾値を読み出す。
【0051】
ステップS2、S3の後、ステップS4で、制御部16は、各動き検出部14e、14k、15e、15k、15qが検出する動き量を監視し、各動き検出部14e、14k、15e、15k、15qが検出した100ms毎、1000ms毎、並びに3000msにおける各動き量が3秒間において全て、読み出された閾値以下となった場合(ステップS4のY)、ステップS5で、制御部16は、車両が停車していると判定する。
【0052】
ステップS5の後、ステップS7で、制御部16は、ステップS4の3秒間に検出された動き量に基づき、各動き検出部14e、14k、15e、15k、15qについての3つの閾値を決定し、決定された計15個の閾値をフラッシュメモリ28に更新記憶させる。
【0053】
具体的には、例えば、3秒間における100ms毎の動き量(即ち、30個の動き量)の平均値を算出し、算出された平均値に正の所定値を加算して、100ms用の閾値を決定する。また、1000ms、3000msについても同様とする。なお、平均値ではなく、最小値や最大値に正の所定値を加算して閾値を決定するようにしてもよい。また、正の所定値を加算しているのは、停車判定が厳しくなり、停車しているにもかかわらず停車していないと誤判定されることを防ぐためである。
【0054】
ステップS7の後、処理は完了する(エンド)。
【0055】
また、ステップS4で、制御部16は、動き量を監視中に、3秒経過するまでに少なくともいずれかの動き検出部が検出した動き量が閾値より大きくなれば(ステップS4のN)、その時点でステップS6に進み、車両は停車していないと判定する。そして、処理は完了となる(エンド)。
【0056】
このような停車判定方法によれば、車載用ナビゲーション装置を取り付ける車両(トラック、電気自動車、ハイブリッド自動車など)ごとに適切な閾値が設定され、車両によらず適切な停車判定を行うことが可能となる。
【0057】
また、図6に、本発明に係る停車判定処理の別実施形態について示す。これは先に説明した図5の処理に、ステップS8、S9を追加したものである。
【0058】
ステップS6で、停車していないと判定されると、ステップS8に進む。ここで、制御部16は、GPS部11の出力に基づき計算される車両位置が所定時間ほぼ動かないことを検出すると、明らかに停車していると判定し(ステップS8のY)、ステップS9に進み、制御部16は、フラッシュメモリ28に設定された閾値を削除し、処理が完了する(エンド)。
【0059】
また、制御部16が、GPS部11の出力に基づき計算される車両位置が所定時間経過するまでに動いたことを検出すると、停車はしていないと判定し(ステップS8のN)、処理は完了となる(エンド)。
【0060】
このような実施形態によれば、電気自動車やハイブリッド自動車に車載用ナビゲーション装置を取り付けているときに閾値が低めにフラッシュメモリ28に設定され、その状態で車載用ナビゲーション装置をトラックへ載せ変えた場合、トラックは停車時の振動が大きいので動き量が閾値を超えてしまい、ステップS6で停車していると誤判定されるが、ステップS8により明らかに停車していると判定されるので、ステップS9によりフラッシュメモリ28から閾値が削除される。そして、ステップS3によりROM16bから初期値の閾値が読み出されるので、ステップS5で停車していると正しく判定され、ステップS7により適切な閾値が設定されることになる。
【0061】
さらに、別の実施形態としては、図5または図6の処理を行う車載用ナビゲーション装置において、ハードキー25やタッチパネル26における所定の操作により、制御部16が、フラッシュメモリ28に設定された閾値を削除するようにしてもよい。これにより、電気自動車やハイブリッド自動車からトラックへ載せ変えた際に、ユーザが所定の操作を行えば、フラッシュメモリ28に設定された閾値が削除され、ステップS3によりROM16bから初期値の閾値が読み出されるので、ステップS7により適切な閾値が設定されることとなる。
【0062】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は様々に変更可能である。
【0063】
例えば、ジャイロセンサはヨー軸、ピッチ軸に加えてロール軸周りの角速度を検出し、この角速度信号に対応する動き検出部を設け、この動き検出部が検出する動き量を停車判定に用いてもよい。また、ジャイロセンサの3軸および加速度センサの3軸のうち、少なくとも1つを停車判定に用いればよい。
【0064】
また、上記実施形態では、動き量検出の単位時間として3種類の単位時間としたが、1種類以上の単位時間とすればよい。
【0065】
また、閾値の設定先については、フラッシュメモリに限らず、SRAM、FRAM(登録商標)などの再書込み可能な記憶装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 車載用ナビゲーション装置
11 GPS部
12 ジャイロセンサ
13 加速度センサ
14 信号処理部
14a ノイズフィルタ
14b A/D部
14c ハイパスフィルタ
14d ローパスフィルタ
14e 動き検出部
14f ローパスフィルタ
14g ノイズフィルタ
14h A/D部
14i ハイパスフィルタ
14j ローパスフィルタ
14k 動き検出部
14l ローパスフィルタ
15 信号処理部
15a ノイズフィルタ
15b A/D部
15c ハイパスフィルタ
15d ローパスフィルタ
15e 動き検出部
15f ローパスフィルタ
15g ノイズフィルタ
15h A/D部
15i ハイパスフィルタ
15j ローパスフィルタ
15k 動き検出部
15l ローパスフィルタ
15m ノイズフィルタ
15n A/D部
15o ハイパスフィルタ
15p ローパスフィルタ
15q 動き検出部
15r ローパスフィルタ
16 制御部
16b ROM
28 フラッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸周りの角速度を検出する角速度検出部、及び/又は、軸方向の加速度を検出する加速度検出部を備えた、車両に取り付け可能な停車判定装置において、
前記角速度検出部が出力する角速度信号、及び/又は、前記加速度検出部が出力する加速度信号を処理し、単位時間における動き量を検出する信号処理部と、
記憶部に閾値が設定されている場合、その閾値を選択し、前記記憶部に閾値が設定されていない場合、予め規定された閾値を選択する閾値選択部と、
前記信号処理部が検出した前記単位時間の動き量が、前記閾値選択部により選択された閾値以下である状態が所定時間継続した場合、車両が停車していると判定し、そうでない場合は、車両が停車していないと判定する停車判定部と、
前記停車判定部により車両が停車していると判定されたときに、前記所定時間において検出された動き量に基づき閾値を決定し、決定された閾値を前記記憶部に設定させる閾値設定部と、をさらに備えたことを特徴とする停車判定装置。
【請求項2】
前記閾値設定部は、前記所定時間において検出された動き量に基づく値に、正の所定値を加算することで閾値を決定することを特徴とする請求項1に記載の停車判定装置。
【請求項3】
前記停車判定部により車両が停車していないと判定された場合に、車両が停車しているか否かを判定する第2の停車判定部と、
前記第2の停車判定部により車両が停車していると判定されると、前記記憶部に設定された閾値を削除する削除部と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の停車判定装置。
【請求項4】
前記第2の停車判定部は、GPS部の出力に基づき計算される車両位置に基づき停車判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の停車判定装置。
【請求項5】
操作部における所定の操作により、前記記憶部に設定された閾値を削除する削除部を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の停車判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−112551(P2011−112551A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270308(P2009−270308)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】