備品の取り付け構造、及び内装品の取り付け構造
【課題】パネルに開設された取付穴を利用してこのパネルに各種の備品を取り付けるための最適の構造を提供する。
【解決手段】備品Gに組み合わされると共にパネルPの取付穴Paへの挿入部10を備えたベース1と、このベース1内に移動可能に納められたロック部材2と、このベース1にスライド移動可能に組み合わされた操作部材3とを備えている。ベース1の挿入部10の側部10bには開放部10cが形成されていると共に、ロック部材2と操作部材3とには、操作部材3の押し込みに伴ってロック部材2を所定位置に移動させるカム手段4が備えられている。ロック部材2が所定位置まで移動されると前記開放部10cからロック部材2の一部が突き出されてパネルPの取付穴Paからのベース1の抜け出しを阻止する。
【解決手段】備品Gに組み合わされると共にパネルPの取付穴Paへの挿入部10を備えたベース1と、このベース1内に移動可能に納められたロック部材2と、このベース1にスライド移動可能に組み合わされた操作部材3とを備えている。ベース1の挿入部10の側部10bには開放部10cが形成されていると共に、ロック部材2と操作部材3とには、操作部材3の押し込みに伴ってロック部材2を所定位置に移動させるカム手段4が備えられている。ロック部材2が所定位置まで移動されると前記開放部10cからロック部材2の一部が突き出されてパネルPの取付穴Paからのベース1の抜け出しを阻止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パネルに開設された取付穴を利用してこのパネルに各種の備品を取り付けるために用いられる取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体パネルに設けた係止穴を利用してこのパネルに備品を取り付ける構造として、車体パネルの係止孔に一部を挿入されるベース部材に、金属製のクリップを組み合わせて、このクリップを介して車体パネルにベース部材を取り付け、このように取り付けられるベース部材を介して車体パネルにアシストグリップを取り付けるようにしたものがある。(特許文献1参照)
【0003】
しかるに、前記車体パネルは金属製であるため、特許文献1のものにあってはクリップも金属製とすることが最適とされるところ、ベース部材側と異なる材質でクリップを構成させることは部品コストの低廉化を期し難くすると共に、リサイクルの観点からも最適ではない。また、このようにした場合、車体パネルの係止穴への挿入時には金属同士が摺り合って異音を生じさせてしまう不都合があると共に、車体パネルからのアシシトグリップを取り外す際にはベース部材の一部を係止孔から抜き外した後に係止孔とクリップとの掛合を解いてクリップを取り外す必要があり、この取り外し作業は必ずしも容易でない。(特許文献1の段落番号0027)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4106307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、パネルに開設された取付穴を利用してこのパネルに各種の備品を取り付けるための最適の構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、第一の観点から、備品の取り付け構造を、以下の(1)〜(7)の構成を備えたものとした。
(1)パネルに開設された取付穴を利用してこのパネルに備品を取り付ける構造であって、
(2)備品の一部をなすか又は備品に組み合わされると共に、パネルの取付穴への挿入部を備えたベースと、
(3)このベース内に移動可能に納められたロック部材と、
(4)このベースにスライド移動可能に組み合わされた操作部材とを備えており、
(5)ベースの挿入部の側部には開放部が形成されていると共に、
(6)ロック部材と操作部材とには、操作部材の押し込みに伴ってロック部材を所定位置に移動させるカム手段が備えられており、
(7)ロック部材が所定位置まで移動されると前記開放部からロック部材の一部が突き出されてパネルの取付穴からのベースの抜け出しが阻止されるようにした。
【0007】
また、この発明にあっては、第二の観点から、内装品の取り付け構造を、上記備品の取り付け構造における備品を自動車の内装品としてなるものとした。
【0008】
かかる取り付け構造にあっては、ベースの挿入部をパネルの取付穴に挿入させた後の操作部材の押し込み操作によりロック部材を所定位置まで移動させてこの取付穴からの挿入部の抜け出しを阻止することで備品ないしは内装品のパネルへの取り付けをなすことができる。かかる抜け出しの阻止はロック部材の移動によりなされることから、ベースの挿入部を取付穴に強固に嵌め入れる必要はなく、この挿入部に別途の金属クリップなどを外装させる必要もない。したがって、パネルの取付穴へのベースの挿入部の挿入は容易であり、またこの挿入時に異音などを生じさせることもなく、さらにかかるベース、操作部材、ロック部材をいずれも合成樹脂から不都合なく構成させることができることからリサイクル性の向上にも資する。 また、所定位置にあるロック部材を移動前の位置に戻すことで、パネルから備品なし内装品を容易に取り外すことができ、取り外し後の再度の取り付けもまた支障なく行うことができる。
【0009】
前記ロック部材をベースに回動可能に支持させておくと共に、前記カム手段を、ロック部材の回動中心を巡る向きに続くカム面部と、操作部材の押し込みによりこのカム面部に当接される当接部とからなるものとし、このカム面部及び当接部の一方をロック部材に備えさせ、かつ、他方を操作部材に備えさせておけば、前記操作部材の押し込みによりロック部材を前記所定位置まで回動させることができる。
【0010】
また、前記ベースの挿入部の一部を、弾性変形してこのパネルの取付穴への挿入部の挿入を許容させると共に、挿入終了位置での弾性復帰によりこの取付穴の穴縁に掛合されるように構成させておけば、パネルの取付穴にベースの挿入部を挿入することで、操作部材の押し込みに先立ち、かかるパネルにベースを仮に留め付けることができる。
【0011】
また、前記操作部材をベースに取り外し可能に組み合わさせておくと共に、ロック部材に所定位置まで回動されたこのロック部材の工具を用いた回動前位置への回し戻しを可能とさせるこの工具に対する掛合部を形成させておけば、ベースから操作部材を取り外した後、この掛合部に工具を掛合させることで、この工具を利用してロック部材を回動前位置に回し戻してロック部材の一部を挿入部内に引き込ませることができ、ロック部材によりパネルの取付穴からのベースの抜け出しを阻止させた状態を容易に解除させることができる。
【0012】
また、前記ベースと操作部材とに、この操作部材の押し込み前の位置と押し込み後の位置とにおいてそれぞれ掛合し合う掛合部を形成させておけば、かかる前記掛合を解く力で操作部材を押圧しない限りロック部材が所定位置に移動さないようにすることができ、また、ロック部材が所定位置にある状態を前記押し込み後の位置での前記掛合により安定的に維持させることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ベース部材、ロック部材、操作部材をいずれも合成樹脂により支障なく構成させることができることから、部品コストの低廉化、リサイクル性の向上に資すると共に、パネルの取付穴への取り付けの際に異音を生じさせたりすることはなく、また、パネルからの取り外しもロック部材の操作により容易にこれをなすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は備品の取り付け構造を構成する各部品と備品とを分離して示した斜視構成図である。
【図2】図2は取付穴に取り付け構造を構成するベースの挿入部を挿入した状態を示した斜視構成図である。
【図3】図3は図2の状態から取り付け構造を構成するロック部材を捻回させた取り付け完了状態を示した斜視構成図である。
【図4】図4はアッセンブリーされたベースとロック部材と操作部材とを示した正面図である。
【図5】図5はアッセンブリーされたベースとロック部材と操作部材とを示した側面図である。
【図6】図6はアッセンブリーされたベースとロック部材と操作部材とを示した底面図である。
【図7】図7は図6におけるB−B線位置での断面図である。
【図8】図8は図4におけるA−A線位置での断面図であり、パネルを同時に表している。
【図9】図9は図8の状態から操作部材を押し込んで取り付け完了状態に至ったときの断面図である。
【図10】図10はロック部材の斜視図(図10(a)及び(b))、及び正面図(図10(c))である。
【図11】図11は操作部材の斜視図である。
【図12】図12は操作部材の記載を省略してベースの要部を示した要部破断斜視構成図である。
【図13】図13はベースの要部を示した要部破断斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜図13に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。なお、図1は備品Gを内装品としてのアシストグリップGaとしたときの取り付け構造Sの部品構成を示しており、図2および図8はパネルPにベース1を仮止めさせた様子を、図3および図9はパネルPに対しベース1側を本止め(最終取り付け状態)させた様子を、それぞれ示している。また、図7においては、操作部材3の押し込みにより所定位置まで捻回されたときのロック部材2の翼片22の輪郭を想像線で表している。
【0016】
この実施の形態にかかる備品Gの取り付け構造Sは、パネルPに開設された取付穴Paを利用してこのパネルPに各種の備品Gを取り付けるために用いられるものである。図示の例では、かかる備品Gを自動車の内装品として、この内装品を自動車を構成する金属製のパネルPに貫通状態に設けた取付穴Paを利用して、自動車の室内に備えさせるための構造を示している。より具体的には、図示の例では、自動車の室内の典型的には天井側に備えられる内装品としてのアシストグリップGaをこの天井側を構成する金属製のパネルPに設けた取付穴Paを利用して、この天井側に備えさせるための構造を示している。かかるアシストグリップGaは、棒状のグリップ主体Gbの両端部に回動組み合わせ部Gcを形成させてなり、後述するベース1の取付穴Paに入り込まない非挿入部11に水平軸Gdをもってこの両端部をそれぞれ回動可能に組み合わされて自動車の室内に備えられるようになっている。すなわち、図示の例では、一つのアシストグリップGaの両端部をそれぞれ実施の形態にかかる取り付け構造Sを構成するベース1を利用してパネルPに取り付けるようにしている。図示の例では、アシストグリップGaの両端部の一方では水平軸Gdの中間部がロータリーダンパGeに通されるようになっていると共に、この両端部の他方では水平軸GdがねじりコイルバネGfの巻回部Ggに通されるようになっており、このバネGfの力でアシストグリップGaは不使用時には前記天井の内面に押しつけられた伏倒位置に位置づけられ、アシストグリップGaを握るときにはこのバネGfの付勢力に抗して前記水平軸Gdを回動中心として起立回動されるようになっている。また、握りを解くとバネGfの付勢力で伏倒位置に回動復帰されると共に、前記ロータリーダンパGeの作用によってこの回動復帰がゆっくりとなされるようにしてある。この実施の形態にかかる取り付け構造Sによれば、後述のベース1の挿入部10をパネルPの取付穴Paに挿入させた後の操作部材3の押し込み操作によりロック部材2を所定位置まで移動させてこの取付穴Paからの挿入部10の抜け出しを阻止することで内装品のパネルPへの取り付けをなすことができる。かかる抜け出しの阻止はロック部材2の移動によりなされることから、ベース1の挿入部10を取付穴Paに強固に嵌め入れる必要はなく、この挿入部10に別途の金属クリップなどを外装させる必要もない。したがって、金属製のパネルPの取付穴Paへのベース1の挿入部10の挿入は容易であり、またこの挿入時に異音などを生じさせることもなく、さらにかかるベース1、後述する操作部材3、ロック部材2をいずれも合成樹脂から不都合なく構成させることができることから自動車のリサイクル性の向上にも資する。また、所定位置にあるロック部材2を移動前の位置に戻すことで、パネルPから備品Gなし内装品を容易に取り外すことができ、取り外し後の再度の取り付けもまた支障なく行うことができる。
【0017】
かかる取り付け構造Sは、ベース1と、ロック部材2と、操作部材3とを備えてなる。
【0018】
ベース1は、備品Gの一部をなすか又は備品Gに組み合わされると共に、パネルPの取付穴Paへの挿入部10を備えている。図示の例では、かかるベース1は備品GとしてのアシストグリップGaの端部に前記水平軸Gdにより組み合わされるようになっており、ベース1は備品Gの一部とはなっていない。
【0019】
図示の例では、かかるベース1は、パネルPの取付穴PaにこのパネルPの一面側から挿入される挿入部10と、この取付穴Paに入り込まない大きさを備えた非挿入部11とを有している。図示の例では、かかる取付穴Paはその穴縁を略長方形状とする角穴状をなすように構成されている。ベース1の挿入部10は、その挿入方向xに直交する直交方向yの断面外郭形状を、この取付穴Paに倣ってこの取付穴Paと略同じ大きさの略長方形状としている。また、かかる挿入部10は中空の角筒状をなし、筒一端側において非挿入部11に連接されて、この非挿入部11に内部空間を連通させている。一方、ベース1の非挿入部11は、鍔状部11aを有し、この鍔状部11aを挟んだ一方側で前記挿入部10に連接されている。また、かかる非挿入部11は鍔状部11aを挟んだ他方側に、箱状部11bを備えている。かかる箱状部11bは、鍔状部11aの側と反対の側を開放させて箱口11cとしている。また、かかる箱状部11bは、前記直交方向yの断面内外郭形状を共に略長方形状とするように構成されている。
【0020】
前記直交方向yの断面において、かかる箱状部11bの内部空間は前記挿入部10の内部空間より広く、箱状部11bの箱底11dの中央には挿入部10の内部空間に倣った略長方形状の連通開口11gが形成されている。より詳細には、図示の例では、箱状部11bの箱底11dには、後述するロック部材2の円柱状頭部20の前記直交方向yの断面形状に倣った円形の軸受け凹所11eが形成されており、前記連通開口11gはこの軸受け凹所11eの底に形成されている。
【0021】
また、箱状部11bの内部には弾性変形可能な一対の壁板11h、11hが箱底11dから箱口11cに向けて立ち上がり状に形成されている。一対の壁板11h、11h間に、この壁板11hの板面に連通開口11gの幅側の開口縁を沿わせるようにして、連通開口11gが形成されている。また、一対の壁板11h、11hの外面とこの外面に向き合う箱状部11bの側壁との間には前記弾性変形を許容する隙間11iが形成されている。また、一対の壁板11h、11hにはそれぞれ後述するロック部材2の円柱状頭部20の側面に形成された突起20aが入り込む窓穴11jが形成されている。
【0022】
また、箱状部11bにおける前記壁板11hの面に向き合った側壁にはそれぞれ、後述する操作部材3の掛合爪31aにそれぞれ掛合される掛合窓11fが前記挿入方向xにおいて間隔を開けて二箇所に設けられている。
【0023】
また、挿入部10の筒他端には、後述するロック部材2の軸状脚部21の先端(後述の他端21a)の納まる軸受け穴10aが形成されている。また、挿入部10の四つの側部10b…10bのうち、長さ側となる二つの側部10b’、10b’にはそれぞれ、後述するロック部材2の翼片22をこのロック部材2の所定位置への回動により突き出させる開放部10cが形成されている。また、この開放部10cと軸受け穴10aとの間には、長さ側となる二つの側部10b’、10b’においてそれぞれ、後述するロック部材2の軸状脚部21に形成された段差面21cに突き当たって前記所定位置以上のロック部材2の回動を規制する規制部10dが形成されている。(図13)
【0024】
また、挿入部10の四つの側部10b…10bのうち、幅側となる二つの側部10b”、10b”にはそれぞれ、弾性変形して前記パネルPの取付穴Paへのこの挿入部10の挿入を許容させると共に、挿入終了位置での弾性復帰によりこの取付穴Paの穴縁に掛合される仮止め部10eが形成されている。この仮止め部10eは、挿入部10の幅側となる二つの側部10b”、10b”を挿入部10の筒一端側でのみ前記鍔状部11a側に連接された弾性片10fにより構成すると共に、この弾性片10fの外側に隆起部10gを形成させることで構成されている。一対の弾性片10f、10fの隆起部10g間の距離は、前記取付穴Paの長さ方向の間隔よりもやや大きく、また、前記鍔状部11aと隆起部10gとの間にパネルPが納まるようになっている。これによりかかる取付穴Paへの挿入部10の前記挿入の許容と挿入終了位置でのこの取付穴Paの穴縁への掛合とがなされるようになっている。すなわち、この例にあっては、パネルPの取付穴Paにベース1の挿入部10を挿入することで、操作部材3の押し込みに先立ち、かかるパネルPにベース1を仮に留め付けることができるようになっている。
【0025】
また、図示の例では、箱状部11bを構成する側壁の一つの外側に前記水平軸Gdの通し孔11mを備えたブラケット部11kが形成されており、このブラケット部11kを利用してベース1にアシストグリップGaを組み合わせるようにしてある。
【0026】
ロック部材2は、前記ベース1内に移動可能に納められている。この実施の形態にあっては、かかるロック部材2は、ベース1に回動可能に支持されている。
【0027】
図示の例では、かかるロック部材2は、円柱状頭部20と、軸状脚部21と、翼片22とを備えている。円柱状頭部20の一方端面であって、その中央に軸状脚部21の一端が一体に連接されている。また、翼片22は、軸状脚部21の他端21aとの間にやや間隔を開けて、この軸状脚部21から前記直交方向yに沿って突き出している。かかる翼片22は、前記直交方向yの断面外郭形状を、同じ向きでのベース1の挿入部10の断面内郭形状に倣うように構成されて、ロック部材2の回動前位置においてこの挿入部10内に納まる大きさの略長方形の板状体22aの長さ方向略中央位置において、この板状体22aと軸状脚部21とを一体に連接させることで、この軸状脚部21の直径方向両側にそれぞれ備えられている。
【0028】
ロック部材2は、前記挿入方向xに前記円柱状頭部20と軸状脚部21の軸中心線を沿わせるようにして、ベース1内に納められ、後述の操作部材3の押し込みにより所定位置まで回動されると挿入部10の二箇所の開放部10cからそれぞれ翼片22を外方に突き出させるようになっている。
【0029】
図示の例では、円柱状頭部20は、前記挿入方向xに沿った長さを同じ向きでのベース1の箱状部11bの深さよりも小さくすると共に、この箱状部11bの箱底11dに形成された軸受け凹所11eの凹所周面に軸状脚部21との連接側の外周面を摺接させるようにこの連接側を軸受け凹所11eに納めてベース1に回動可能に支持されている。(図8)
【0030】
また、軸状脚部21はベース1の連通開口11gを通じて挿入部10内に位置されている。軸状脚部21の他端21aは、挿入部10に形成された前記軸受け穴10aに納められてこの軸受け穴10aに回動可能に支持されている。
【0031】
この軸状脚部21におけるその他端21aと翼片22との間には、この軸状脚部21の軸中心を巡る方向において一定の範囲でこの軸状脚部21を太くさせる肉増し部21bが形成されており、この肉増し部21bにより軸状脚部21は二箇所の段差面21c、21cを有している。そして、この二箇所の段差面21c、21cの一方がベース1の前記規制部10dの一方に突き当たる位置において挿入部10の長さ方向に翼片22を構成させる前記板状体22aの長さ方向が略沿わされて、開放部10cから翼片22は突き出されないようになっている。(図8/ロック部材2の回動前位置)この状態からロック部材2は、前記二箇所の段差面21c、21cの他方がベース1の前記規制部10dの他方に突き当たる位置まで回動できるようになっており、この位置において二箇所の開放部10cのそれぞれから外方に翼片22が突き出されるようになっている。(図9、図13/所定位置)すなわち、これにより、ロック部材2が所定位置まで移動されたときに、前記開放部10cからロック部材2の一部としての翼片22を突き出させて前記パネルPの取付穴Paからのベース1の抜け出しを阻止している。この所定位置においてロック部材2の翼片22の鍔状部11a側に向けられた面は、前記仮止め部10eと略同じ位置に位置される。
【0032】
また、図示の例では、かかるロック部材2の回動時には、円柱状頭部20の側面にその軸中心を巡る方向において間隔を開けて四箇所に設けられた突起20a…20aが設けられている。そして、ロック部材2の回動前位置ではベース1の前記壁板11hの窓穴11jにこれらの一つが入り込み、ロック部材2を回動させると壁板11hを弾性変形させながらこの突起20aが抜け出すと共に、その後は別の突起20aの一つが壁板11hを弾性変形させながら乗り越えて前記所定位置において前記壁板11hの窓穴11jに入り込むようになっている。(図12)
【0033】
また、この実施の形態にあっては、ロック部材2の円柱状頭部20におけるベース1の箱状部11bの箱口11c側を向いた他方端面の中央に、前記所定位置まで回動されたロック部材2の工具を用いた回動前位置への回し戻しを可能とさせるこの工具に対する掛合部20bが形成されている。図示の例では、かかる掛合部20bは六角ナットの端部が遊びなく差し込まれる六角形状の穴として構成されている。これにより、この実施の形態にあっては、後述するようにベース1から操作部材3を取り外した後、この掛合部20bに工具を掛合させることで、この工具を利用してロック部材2を回動前位置に回し戻してロック部材2の一部(図示の例では翼片22)を挿入部10内に引き込ませることができ、ロック部材2によりパネルPの取付穴Paからのベース1の抜け出しを阻止させた状態を容易に解除できるようになっている。
【0034】
また、この実施の形態にあっては、ロック部材2の他方端面には、かかる工具に対する掛合部20bを挟んだ両側にそれぞれ、この掛合部20bを中心とした仮想の円の円弧に沿って延びるカム溝20cが形成されている。このカム溝20cは溝一端20d側から溝他端20e側に向かうに連れて次第に深くなるように形成されており、溝底20fを傾斜させている。また、両カム溝20c、20c共に、ロック部材2の所定位置に向けた回動方向zにおいて、その回動手前側から先側に向けて次第に深くなるように形成されている。(図10(a))
【0035】
操作部材3は、前記ベース1にスライド移動可能に組み合わされている。図示の例では、かかる操作部材3は、操作板部30と、ベース1の非挿入部11の箱状部11bへの入れ込み部31と、押し込み脚32とを備えている。
【0036】
入れ込み部31は、ベース1の箱状部11bの前記直交方向yの断面内郭形状に同じ向きでの断面外郭形状を倣わせるように構成された角筒状をなすように構成されている。前記挿入方向xでの入れ込み部31の寸法はこの挿入方向xの箱状部11bの寸法よりも小さくなっている。入れ込み部31の幅側の側板にはそれぞれ、掛合爪31aが形成されている。この掛合爪31aは、かかる幅側の側板に入れ込み部31の箱状部11bへの入れ込み先側に位置される筒一端において溝端を開放させて前記挿入方向xに沿って続く二条の割溝31b、31bを設けて形成させた弾性片31cの自由端側の外側に突出部31dを形成させることで、入れ込み部31の幅側の側板にそれぞれ設けられている。そして、図示の例では、ロック部材2が前記回動前位置にある状態において、箱状部11bに形成された二箇所の掛合窓11f、11fのうち、箱口11c側にある掛合窓11fにこの掛合爪31aを内側から入り込ませた状態で、ベース1と操作部材3とが組み合わされている。(図5)操作部材3はこの状態から、箱状部11bに形成された二箇所の掛合窓11f、11fのうち、箱底11d側にある掛合窓11fに掛合爪31aを掛合させる位置までベース1内に押し込めるようになっている。すなわち、この実施の形態にあっては、かかる掛合窓11fと掛合爪31aとが、操作部材3の押し込み前の位置と押し込み後の位置とにおいてそれぞれ掛合し合う掛合部として機能するようになっている。押し込み前の位置から操作部材3を押圧すると、掛合爪31aが掛合窓11fから弾性変形して抜け出し操作部材3の押し込みが許容される。操作部材3が押し込みきられると、もう一つの掛合窓11fに掛合爪31aは弾発して入り込む。これにより、図示の例では、前記掛合を解く力で操作部材3を押圧しない限りロック部材2が所定位置に移動されず、また、ロック部材2が所定位置にある状態を前記押し込み後の位置での前記掛合により安定的に維持できるようになっている。
【0037】
操作板部30は、入れ込み部31の筒他端を塞ぐ板状をなすように構成されている。この操作板部30の外縁30aは入れ込み部31の外郭より外側に位置されており、この操作板部30の外縁30a側を利用して操作部材3を所定の力で引っ張ることで前記掛合爪31aの掛合を解いてベース1内から操作部材3の入れ込み部31を抜き出すことができるようになっている。
【0038】
押し込み脚32は、操作板部30の内面から前記挿入方向xに沿って突き出すように形成されていると共に、脚端32aを入れ込み部31の開放された筒一端よりも先に位置させている。また、押し込み脚32は入れ込み部31の内方に二箇所設けられていると共に、前記押し込み前位置において、一方の押し込み脚32の脚端32aは前記回動前位置にあるロック部材2の一方のカム溝20cの溝一端20d側に位置され、かつ、他方の押し込み脚32の脚端32aはかかるロック部材2の他方のカム溝20cの溝一端20d側に位置されるようになっている。かかるカム溝20cは前記のようにその溝一端20d側から溝他端20e側に向けて次第に深くなるように形成されていると共に、ロック部材2の回動方向zに沿うように形成されていることから、前記押し込み前位置から操作部材3を押し込むと、回動前位置からロック部材2は所定位置まで回動される。
【0039】
すなわち、この実施の形態にあっては、ロック部材2と操作部材3とに、操作部材3の押し込みに伴ってロック部材2を所定位置に移動させるカム手段4が備えられている。そして、かかるカム手段4を、ロック部材2の回動中心を巡る向きに続くカム面部40と、操作部材3の押し込みによりこのカム面部40に当接される当接部41とから構成させている。図示の例では、前記カム溝20cの溝底20fがかかるカム面部40として機能し、押し込み脚32の脚端32aがかかる当接部41として機能するようになっている。
【0040】
以上に説明した取り付け構造Sを構成するベース1及び操作部材3における弾性変形特性を備えるべき部分へのこの特性の付与は、これらを合成樹脂製の成形品とすることで、容易に確保させることができる。
【符号の説明】
【0041】
P パネル
Pa 取付穴
G 備品
1 ベース
10 挿入部
10b 側部
10c 開放部
2 ロック部材
3 操作部材
4 カム手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、パネルに開設された取付穴を利用してこのパネルに各種の備品を取り付けるために用いられる取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体パネルに設けた係止穴を利用してこのパネルに備品を取り付ける構造として、車体パネルの係止孔に一部を挿入されるベース部材に、金属製のクリップを組み合わせて、このクリップを介して車体パネルにベース部材を取り付け、このように取り付けられるベース部材を介して車体パネルにアシストグリップを取り付けるようにしたものがある。(特許文献1参照)
【0003】
しかるに、前記車体パネルは金属製であるため、特許文献1のものにあってはクリップも金属製とすることが最適とされるところ、ベース部材側と異なる材質でクリップを構成させることは部品コストの低廉化を期し難くすると共に、リサイクルの観点からも最適ではない。また、このようにした場合、車体パネルの係止穴への挿入時には金属同士が摺り合って異音を生じさせてしまう不都合があると共に、車体パネルからのアシシトグリップを取り外す際にはベース部材の一部を係止孔から抜き外した後に係止孔とクリップとの掛合を解いてクリップを取り外す必要があり、この取り外し作業は必ずしも容易でない。(特許文献1の段落番号0027)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4106307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、パネルに開設された取付穴を利用してこのパネルに各種の備品を取り付けるための最適の構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、第一の観点から、備品の取り付け構造を、以下の(1)〜(7)の構成を備えたものとした。
(1)パネルに開設された取付穴を利用してこのパネルに備品を取り付ける構造であって、
(2)備品の一部をなすか又は備品に組み合わされると共に、パネルの取付穴への挿入部を備えたベースと、
(3)このベース内に移動可能に納められたロック部材と、
(4)このベースにスライド移動可能に組み合わされた操作部材とを備えており、
(5)ベースの挿入部の側部には開放部が形成されていると共に、
(6)ロック部材と操作部材とには、操作部材の押し込みに伴ってロック部材を所定位置に移動させるカム手段が備えられており、
(7)ロック部材が所定位置まで移動されると前記開放部からロック部材の一部が突き出されてパネルの取付穴からのベースの抜け出しが阻止されるようにした。
【0007】
また、この発明にあっては、第二の観点から、内装品の取り付け構造を、上記備品の取り付け構造における備品を自動車の内装品としてなるものとした。
【0008】
かかる取り付け構造にあっては、ベースの挿入部をパネルの取付穴に挿入させた後の操作部材の押し込み操作によりロック部材を所定位置まで移動させてこの取付穴からの挿入部の抜け出しを阻止することで備品ないしは内装品のパネルへの取り付けをなすことができる。かかる抜け出しの阻止はロック部材の移動によりなされることから、ベースの挿入部を取付穴に強固に嵌め入れる必要はなく、この挿入部に別途の金属クリップなどを外装させる必要もない。したがって、パネルの取付穴へのベースの挿入部の挿入は容易であり、またこの挿入時に異音などを生じさせることもなく、さらにかかるベース、操作部材、ロック部材をいずれも合成樹脂から不都合なく構成させることができることからリサイクル性の向上にも資する。 また、所定位置にあるロック部材を移動前の位置に戻すことで、パネルから備品なし内装品を容易に取り外すことができ、取り外し後の再度の取り付けもまた支障なく行うことができる。
【0009】
前記ロック部材をベースに回動可能に支持させておくと共に、前記カム手段を、ロック部材の回動中心を巡る向きに続くカム面部と、操作部材の押し込みによりこのカム面部に当接される当接部とからなるものとし、このカム面部及び当接部の一方をロック部材に備えさせ、かつ、他方を操作部材に備えさせておけば、前記操作部材の押し込みによりロック部材を前記所定位置まで回動させることができる。
【0010】
また、前記ベースの挿入部の一部を、弾性変形してこのパネルの取付穴への挿入部の挿入を許容させると共に、挿入終了位置での弾性復帰によりこの取付穴の穴縁に掛合されるように構成させておけば、パネルの取付穴にベースの挿入部を挿入することで、操作部材の押し込みに先立ち、かかるパネルにベースを仮に留め付けることができる。
【0011】
また、前記操作部材をベースに取り外し可能に組み合わさせておくと共に、ロック部材に所定位置まで回動されたこのロック部材の工具を用いた回動前位置への回し戻しを可能とさせるこの工具に対する掛合部を形成させておけば、ベースから操作部材を取り外した後、この掛合部に工具を掛合させることで、この工具を利用してロック部材を回動前位置に回し戻してロック部材の一部を挿入部内に引き込ませることができ、ロック部材によりパネルの取付穴からのベースの抜け出しを阻止させた状態を容易に解除させることができる。
【0012】
また、前記ベースと操作部材とに、この操作部材の押し込み前の位置と押し込み後の位置とにおいてそれぞれ掛合し合う掛合部を形成させておけば、かかる前記掛合を解く力で操作部材を押圧しない限りロック部材が所定位置に移動さないようにすることができ、また、ロック部材が所定位置にある状態を前記押し込み後の位置での前記掛合により安定的に維持させることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ベース部材、ロック部材、操作部材をいずれも合成樹脂により支障なく構成させることができることから、部品コストの低廉化、リサイクル性の向上に資すると共に、パネルの取付穴への取り付けの際に異音を生じさせたりすることはなく、また、パネルからの取り外しもロック部材の操作により容易にこれをなすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は備品の取り付け構造を構成する各部品と備品とを分離して示した斜視構成図である。
【図2】図2は取付穴に取り付け構造を構成するベースの挿入部を挿入した状態を示した斜視構成図である。
【図3】図3は図2の状態から取り付け構造を構成するロック部材を捻回させた取り付け完了状態を示した斜視構成図である。
【図4】図4はアッセンブリーされたベースとロック部材と操作部材とを示した正面図である。
【図5】図5はアッセンブリーされたベースとロック部材と操作部材とを示した側面図である。
【図6】図6はアッセンブリーされたベースとロック部材と操作部材とを示した底面図である。
【図7】図7は図6におけるB−B線位置での断面図である。
【図8】図8は図4におけるA−A線位置での断面図であり、パネルを同時に表している。
【図9】図9は図8の状態から操作部材を押し込んで取り付け完了状態に至ったときの断面図である。
【図10】図10はロック部材の斜視図(図10(a)及び(b))、及び正面図(図10(c))である。
【図11】図11は操作部材の斜視図である。
【図12】図12は操作部材の記載を省略してベースの要部を示した要部破断斜視構成図である。
【図13】図13はベースの要部を示した要部破断斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜図13に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。なお、図1は備品Gを内装品としてのアシストグリップGaとしたときの取り付け構造Sの部品構成を示しており、図2および図8はパネルPにベース1を仮止めさせた様子を、図3および図9はパネルPに対しベース1側を本止め(最終取り付け状態)させた様子を、それぞれ示している。また、図7においては、操作部材3の押し込みにより所定位置まで捻回されたときのロック部材2の翼片22の輪郭を想像線で表している。
【0016】
この実施の形態にかかる備品Gの取り付け構造Sは、パネルPに開設された取付穴Paを利用してこのパネルPに各種の備品Gを取り付けるために用いられるものである。図示の例では、かかる備品Gを自動車の内装品として、この内装品を自動車を構成する金属製のパネルPに貫通状態に設けた取付穴Paを利用して、自動車の室内に備えさせるための構造を示している。より具体的には、図示の例では、自動車の室内の典型的には天井側に備えられる内装品としてのアシストグリップGaをこの天井側を構成する金属製のパネルPに設けた取付穴Paを利用して、この天井側に備えさせるための構造を示している。かかるアシストグリップGaは、棒状のグリップ主体Gbの両端部に回動組み合わせ部Gcを形成させてなり、後述するベース1の取付穴Paに入り込まない非挿入部11に水平軸Gdをもってこの両端部をそれぞれ回動可能に組み合わされて自動車の室内に備えられるようになっている。すなわち、図示の例では、一つのアシストグリップGaの両端部をそれぞれ実施の形態にかかる取り付け構造Sを構成するベース1を利用してパネルPに取り付けるようにしている。図示の例では、アシストグリップGaの両端部の一方では水平軸Gdの中間部がロータリーダンパGeに通されるようになっていると共に、この両端部の他方では水平軸GdがねじりコイルバネGfの巻回部Ggに通されるようになっており、このバネGfの力でアシストグリップGaは不使用時には前記天井の内面に押しつけられた伏倒位置に位置づけられ、アシストグリップGaを握るときにはこのバネGfの付勢力に抗して前記水平軸Gdを回動中心として起立回動されるようになっている。また、握りを解くとバネGfの付勢力で伏倒位置に回動復帰されると共に、前記ロータリーダンパGeの作用によってこの回動復帰がゆっくりとなされるようにしてある。この実施の形態にかかる取り付け構造Sによれば、後述のベース1の挿入部10をパネルPの取付穴Paに挿入させた後の操作部材3の押し込み操作によりロック部材2を所定位置まで移動させてこの取付穴Paからの挿入部10の抜け出しを阻止することで内装品のパネルPへの取り付けをなすことができる。かかる抜け出しの阻止はロック部材2の移動によりなされることから、ベース1の挿入部10を取付穴Paに強固に嵌め入れる必要はなく、この挿入部10に別途の金属クリップなどを外装させる必要もない。したがって、金属製のパネルPの取付穴Paへのベース1の挿入部10の挿入は容易であり、またこの挿入時に異音などを生じさせることもなく、さらにかかるベース1、後述する操作部材3、ロック部材2をいずれも合成樹脂から不都合なく構成させることができることから自動車のリサイクル性の向上にも資する。また、所定位置にあるロック部材2を移動前の位置に戻すことで、パネルPから備品Gなし内装品を容易に取り外すことができ、取り外し後の再度の取り付けもまた支障なく行うことができる。
【0017】
かかる取り付け構造Sは、ベース1と、ロック部材2と、操作部材3とを備えてなる。
【0018】
ベース1は、備品Gの一部をなすか又は備品Gに組み合わされると共に、パネルPの取付穴Paへの挿入部10を備えている。図示の例では、かかるベース1は備品GとしてのアシストグリップGaの端部に前記水平軸Gdにより組み合わされるようになっており、ベース1は備品Gの一部とはなっていない。
【0019】
図示の例では、かかるベース1は、パネルPの取付穴PaにこのパネルPの一面側から挿入される挿入部10と、この取付穴Paに入り込まない大きさを備えた非挿入部11とを有している。図示の例では、かかる取付穴Paはその穴縁を略長方形状とする角穴状をなすように構成されている。ベース1の挿入部10は、その挿入方向xに直交する直交方向yの断面外郭形状を、この取付穴Paに倣ってこの取付穴Paと略同じ大きさの略長方形状としている。また、かかる挿入部10は中空の角筒状をなし、筒一端側において非挿入部11に連接されて、この非挿入部11に内部空間を連通させている。一方、ベース1の非挿入部11は、鍔状部11aを有し、この鍔状部11aを挟んだ一方側で前記挿入部10に連接されている。また、かかる非挿入部11は鍔状部11aを挟んだ他方側に、箱状部11bを備えている。かかる箱状部11bは、鍔状部11aの側と反対の側を開放させて箱口11cとしている。また、かかる箱状部11bは、前記直交方向yの断面内外郭形状を共に略長方形状とするように構成されている。
【0020】
前記直交方向yの断面において、かかる箱状部11bの内部空間は前記挿入部10の内部空間より広く、箱状部11bの箱底11dの中央には挿入部10の内部空間に倣った略長方形状の連通開口11gが形成されている。より詳細には、図示の例では、箱状部11bの箱底11dには、後述するロック部材2の円柱状頭部20の前記直交方向yの断面形状に倣った円形の軸受け凹所11eが形成されており、前記連通開口11gはこの軸受け凹所11eの底に形成されている。
【0021】
また、箱状部11bの内部には弾性変形可能な一対の壁板11h、11hが箱底11dから箱口11cに向けて立ち上がり状に形成されている。一対の壁板11h、11h間に、この壁板11hの板面に連通開口11gの幅側の開口縁を沿わせるようにして、連通開口11gが形成されている。また、一対の壁板11h、11hの外面とこの外面に向き合う箱状部11bの側壁との間には前記弾性変形を許容する隙間11iが形成されている。また、一対の壁板11h、11hにはそれぞれ後述するロック部材2の円柱状頭部20の側面に形成された突起20aが入り込む窓穴11jが形成されている。
【0022】
また、箱状部11bにおける前記壁板11hの面に向き合った側壁にはそれぞれ、後述する操作部材3の掛合爪31aにそれぞれ掛合される掛合窓11fが前記挿入方向xにおいて間隔を開けて二箇所に設けられている。
【0023】
また、挿入部10の筒他端には、後述するロック部材2の軸状脚部21の先端(後述の他端21a)の納まる軸受け穴10aが形成されている。また、挿入部10の四つの側部10b…10bのうち、長さ側となる二つの側部10b’、10b’にはそれぞれ、後述するロック部材2の翼片22をこのロック部材2の所定位置への回動により突き出させる開放部10cが形成されている。また、この開放部10cと軸受け穴10aとの間には、長さ側となる二つの側部10b’、10b’においてそれぞれ、後述するロック部材2の軸状脚部21に形成された段差面21cに突き当たって前記所定位置以上のロック部材2の回動を規制する規制部10dが形成されている。(図13)
【0024】
また、挿入部10の四つの側部10b…10bのうち、幅側となる二つの側部10b”、10b”にはそれぞれ、弾性変形して前記パネルPの取付穴Paへのこの挿入部10の挿入を許容させると共に、挿入終了位置での弾性復帰によりこの取付穴Paの穴縁に掛合される仮止め部10eが形成されている。この仮止め部10eは、挿入部10の幅側となる二つの側部10b”、10b”を挿入部10の筒一端側でのみ前記鍔状部11a側に連接された弾性片10fにより構成すると共に、この弾性片10fの外側に隆起部10gを形成させることで構成されている。一対の弾性片10f、10fの隆起部10g間の距離は、前記取付穴Paの長さ方向の間隔よりもやや大きく、また、前記鍔状部11aと隆起部10gとの間にパネルPが納まるようになっている。これによりかかる取付穴Paへの挿入部10の前記挿入の許容と挿入終了位置でのこの取付穴Paの穴縁への掛合とがなされるようになっている。すなわち、この例にあっては、パネルPの取付穴Paにベース1の挿入部10を挿入することで、操作部材3の押し込みに先立ち、かかるパネルPにベース1を仮に留め付けることができるようになっている。
【0025】
また、図示の例では、箱状部11bを構成する側壁の一つの外側に前記水平軸Gdの通し孔11mを備えたブラケット部11kが形成されており、このブラケット部11kを利用してベース1にアシストグリップGaを組み合わせるようにしてある。
【0026】
ロック部材2は、前記ベース1内に移動可能に納められている。この実施の形態にあっては、かかるロック部材2は、ベース1に回動可能に支持されている。
【0027】
図示の例では、かかるロック部材2は、円柱状頭部20と、軸状脚部21と、翼片22とを備えている。円柱状頭部20の一方端面であって、その中央に軸状脚部21の一端が一体に連接されている。また、翼片22は、軸状脚部21の他端21aとの間にやや間隔を開けて、この軸状脚部21から前記直交方向yに沿って突き出している。かかる翼片22は、前記直交方向yの断面外郭形状を、同じ向きでのベース1の挿入部10の断面内郭形状に倣うように構成されて、ロック部材2の回動前位置においてこの挿入部10内に納まる大きさの略長方形の板状体22aの長さ方向略中央位置において、この板状体22aと軸状脚部21とを一体に連接させることで、この軸状脚部21の直径方向両側にそれぞれ備えられている。
【0028】
ロック部材2は、前記挿入方向xに前記円柱状頭部20と軸状脚部21の軸中心線を沿わせるようにして、ベース1内に納められ、後述の操作部材3の押し込みにより所定位置まで回動されると挿入部10の二箇所の開放部10cからそれぞれ翼片22を外方に突き出させるようになっている。
【0029】
図示の例では、円柱状頭部20は、前記挿入方向xに沿った長さを同じ向きでのベース1の箱状部11bの深さよりも小さくすると共に、この箱状部11bの箱底11dに形成された軸受け凹所11eの凹所周面に軸状脚部21との連接側の外周面を摺接させるようにこの連接側を軸受け凹所11eに納めてベース1に回動可能に支持されている。(図8)
【0030】
また、軸状脚部21はベース1の連通開口11gを通じて挿入部10内に位置されている。軸状脚部21の他端21aは、挿入部10に形成された前記軸受け穴10aに納められてこの軸受け穴10aに回動可能に支持されている。
【0031】
この軸状脚部21におけるその他端21aと翼片22との間には、この軸状脚部21の軸中心を巡る方向において一定の範囲でこの軸状脚部21を太くさせる肉増し部21bが形成されており、この肉増し部21bにより軸状脚部21は二箇所の段差面21c、21cを有している。そして、この二箇所の段差面21c、21cの一方がベース1の前記規制部10dの一方に突き当たる位置において挿入部10の長さ方向に翼片22を構成させる前記板状体22aの長さ方向が略沿わされて、開放部10cから翼片22は突き出されないようになっている。(図8/ロック部材2の回動前位置)この状態からロック部材2は、前記二箇所の段差面21c、21cの他方がベース1の前記規制部10dの他方に突き当たる位置まで回動できるようになっており、この位置において二箇所の開放部10cのそれぞれから外方に翼片22が突き出されるようになっている。(図9、図13/所定位置)すなわち、これにより、ロック部材2が所定位置まで移動されたときに、前記開放部10cからロック部材2の一部としての翼片22を突き出させて前記パネルPの取付穴Paからのベース1の抜け出しを阻止している。この所定位置においてロック部材2の翼片22の鍔状部11a側に向けられた面は、前記仮止め部10eと略同じ位置に位置される。
【0032】
また、図示の例では、かかるロック部材2の回動時には、円柱状頭部20の側面にその軸中心を巡る方向において間隔を開けて四箇所に設けられた突起20a…20aが設けられている。そして、ロック部材2の回動前位置ではベース1の前記壁板11hの窓穴11jにこれらの一つが入り込み、ロック部材2を回動させると壁板11hを弾性変形させながらこの突起20aが抜け出すと共に、その後は別の突起20aの一つが壁板11hを弾性変形させながら乗り越えて前記所定位置において前記壁板11hの窓穴11jに入り込むようになっている。(図12)
【0033】
また、この実施の形態にあっては、ロック部材2の円柱状頭部20におけるベース1の箱状部11bの箱口11c側を向いた他方端面の中央に、前記所定位置まで回動されたロック部材2の工具を用いた回動前位置への回し戻しを可能とさせるこの工具に対する掛合部20bが形成されている。図示の例では、かかる掛合部20bは六角ナットの端部が遊びなく差し込まれる六角形状の穴として構成されている。これにより、この実施の形態にあっては、後述するようにベース1から操作部材3を取り外した後、この掛合部20bに工具を掛合させることで、この工具を利用してロック部材2を回動前位置に回し戻してロック部材2の一部(図示の例では翼片22)を挿入部10内に引き込ませることができ、ロック部材2によりパネルPの取付穴Paからのベース1の抜け出しを阻止させた状態を容易に解除できるようになっている。
【0034】
また、この実施の形態にあっては、ロック部材2の他方端面には、かかる工具に対する掛合部20bを挟んだ両側にそれぞれ、この掛合部20bを中心とした仮想の円の円弧に沿って延びるカム溝20cが形成されている。このカム溝20cは溝一端20d側から溝他端20e側に向かうに連れて次第に深くなるように形成されており、溝底20fを傾斜させている。また、両カム溝20c、20c共に、ロック部材2の所定位置に向けた回動方向zにおいて、その回動手前側から先側に向けて次第に深くなるように形成されている。(図10(a))
【0035】
操作部材3は、前記ベース1にスライド移動可能に組み合わされている。図示の例では、かかる操作部材3は、操作板部30と、ベース1の非挿入部11の箱状部11bへの入れ込み部31と、押し込み脚32とを備えている。
【0036】
入れ込み部31は、ベース1の箱状部11bの前記直交方向yの断面内郭形状に同じ向きでの断面外郭形状を倣わせるように構成された角筒状をなすように構成されている。前記挿入方向xでの入れ込み部31の寸法はこの挿入方向xの箱状部11bの寸法よりも小さくなっている。入れ込み部31の幅側の側板にはそれぞれ、掛合爪31aが形成されている。この掛合爪31aは、かかる幅側の側板に入れ込み部31の箱状部11bへの入れ込み先側に位置される筒一端において溝端を開放させて前記挿入方向xに沿って続く二条の割溝31b、31bを設けて形成させた弾性片31cの自由端側の外側に突出部31dを形成させることで、入れ込み部31の幅側の側板にそれぞれ設けられている。そして、図示の例では、ロック部材2が前記回動前位置にある状態において、箱状部11bに形成された二箇所の掛合窓11f、11fのうち、箱口11c側にある掛合窓11fにこの掛合爪31aを内側から入り込ませた状態で、ベース1と操作部材3とが組み合わされている。(図5)操作部材3はこの状態から、箱状部11bに形成された二箇所の掛合窓11f、11fのうち、箱底11d側にある掛合窓11fに掛合爪31aを掛合させる位置までベース1内に押し込めるようになっている。すなわち、この実施の形態にあっては、かかる掛合窓11fと掛合爪31aとが、操作部材3の押し込み前の位置と押し込み後の位置とにおいてそれぞれ掛合し合う掛合部として機能するようになっている。押し込み前の位置から操作部材3を押圧すると、掛合爪31aが掛合窓11fから弾性変形して抜け出し操作部材3の押し込みが許容される。操作部材3が押し込みきられると、もう一つの掛合窓11fに掛合爪31aは弾発して入り込む。これにより、図示の例では、前記掛合を解く力で操作部材3を押圧しない限りロック部材2が所定位置に移動されず、また、ロック部材2が所定位置にある状態を前記押し込み後の位置での前記掛合により安定的に維持できるようになっている。
【0037】
操作板部30は、入れ込み部31の筒他端を塞ぐ板状をなすように構成されている。この操作板部30の外縁30aは入れ込み部31の外郭より外側に位置されており、この操作板部30の外縁30a側を利用して操作部材3を所定の力で引っ張ることで前記掛合爪31aの掛合を解いてベース1内から操作部材3の入れ込み部31を抜き出すことができるようになっている。
【0038】
押し込み脚32は、操作板部30の内面から前記挿入方向xに沿って突き出すように形成されていると共に、脚端32aを入れ込み部31の開放された筒一端よりも先に位置させている。また、押し込み脚32は入れ込み部31の内方に二箇所設けられていると共に、前記押し込み前位置において、一方の押し込み脚32の脚端32aは前記回動前位置にあるロック部材2の一方のカム溝20cの溝一端20d側に位置され、かつ、他方の押し込み脚32の脚端32aはかかるロック部材2の他方のカム溝20cの溝一端20d側に位置されるようになっている。かかるカム溝20cは前記のようにその溝一端20d側から溝他端20e側に向けて次第に深くなるように形成されていると共に、ロック部材2の回動方向zに沿うように形成されていることから、前記押し込み前位置から操作部材3を押し込むと、回動前位置からロック部材2は所定位置まで回動される。
【0039】
すなわち、この実施の形態にあっては、ロック部材2と操作部材3とに、操作部材3の押し込みに伴ってロック部材2を所定位置に移動させるカム手段4が備えられている。そして、かかるカム手段4を、ロック部材2の回動中心を巡る向きに続くカム面部40と、操作部材3の押し込みによりこのカム面部40に当接される当接部41とから構成させている。図示の例では、前記カム溝20cの溝底20fがかかるカム面部40として機能し、押し込み脚32の脚端32aがかかる当接部41として機能するようになっている。
【0040】
以上に説明した取り付け構造Sを構成するベース1及び操作部材3における弾性変形特性を備えるべき部分へのこの特性の付与は、これらを合成樹脂製の成形品とすることで、容易に確保させることができる。
【符号の説明】
【0041】
P パネル
Pa 取付穴
G 備品
1 ベース
10 挿入部
10b 側部
10c 開放部
2 ロック部材
3 操作部材
4 カム手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに開設された取付穴を利用してこのパネルに備品を取り付ける構造であって、
備品の一部をなすか又は備品に組み合わされると共に、パネルの取付穴への挿入部を備えたベースと、
このベース内に移動可能に納められたロック部材と、
このベースにスライド移動可能に組み合わされた操作部材とを備えており、
ベースの挿入部の側部には開放部が形成されていると共に、
ロック部材と操作部材とには、操作部材の押し込みに伴ってロック部材を所定位置に移動させるカム手段が備えられており、
ロック部材が所定位置まで移動されると前記開放部からロック部材の一部が突き出されてパネルの取付穴からのベースの抜け出しが阻止されるようにしたことを特徴とする備品の取り付け構造。
【請求項2】
ロック部材はベースに回動可能に支持されていると共に、
カム手段は、ロック部材の回動中心を巡る向きに続くカム面部と、操作部材の押し込みによりこのカム面部に当接される当接部とからなり、
このカム面部及び当接部の一方をロック部材に備えさせ、かつ、他方を操作部材に備えさせてなることを特徴とする請求項1に記載の備品の取り付け構造。
【請求項3】
ベースの挿入部の一部が、弾性変形してこのパネルの取付穴への挿入部の挿入を許容させると共に、挿入終了位置での弾性復帰によりこの取付穴の穴縁に掛合されるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の備品の取り付け構造。
【請求項4】
操作部材がベースに取り外し可能に組み合わされていると共に、
ロック部材に所定位置まで回動されたこのロック部材の工具を用いた回動前位置への回し戻しを可能とさせるこの工具に対する掛合部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の備品の取り付け構造。
【請求項5】
ベースと操作部材とに、この操作部材の押し込み前の位置と押し込み後の位置とにおいてそれぞれ掛合し合う掛合部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の備品の取り付け構造。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の取り付け構造における備品を自動車の内装品としてなることを特徴とする内装品の取り付け構造。
【請求項1】
パネルに開設された取付穴を利用してこのパネルに備品を取り付ける構造であって、
備品の一部をなすか又は備品に組み合わされると共に、パネルの取付穴への挿入部を備えたベースと、
このベース内に移動可能に納められたロック部材と、
このベースにスライド移動可能に組み合わされた操作部材とを備えており、
ベースの挿入部の側部には開放部が形成されていると共に、
ロック部材と操作部材とには、操作部材の押し込みに伴ってロック部材を所定位置に移動させるカム手段が備えられており、
ロック部材が所定位置まで移動されると前記開放部からロック部材の一部が突き出されてパネルの取付穴からのベースの抜け出しが阻止されるようにしたことを特徴とする備品の取り付け構造。
【請求項2】
ロック部材はベースに回動可能に支持されていると共に、
カム手段は、ロック部材の回動中心を巡る向きに続くカム面部と、操作部材の押し込みによりこのカム面部に当接される当接部とからなり、
このカム面部及び当接部の一方をロック部材に備えさせ、かつ、他方を操作部材に備えさせてなることを特徴とする請求項1に記載の備品の取り付け構造。
【請求項3】
ベースの挿入部の一部が、弾性変形してこのパネルの取付穴への挿入部の挿入を許容させると共に、挿入終了位置での弾性復帰によりこの取付穴の穴縁に掛合されるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の備品の取り付け構造。
【請求項4】
操作部材がベースに取り外し可能に組み合わされていると共に、
ロック部材に所定位置まで回動されたこのロック部材の工具を用いた回動前位置への回し戻しを可能とさせるこの工具に対する掛合部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の備品の取り付け構造。
【請求項5】
ベースと操作部材とに、この操作部材の押し込み前の位置と押し込み後の位置とにおいてそれぞれ掛合し合う掛合部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の備品の取り付け構造。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の取り付け構造における備品を自動車の内装品としてなることを特徴とする内装品の取り付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−235008(P2010−235008A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86487(P2009−86487)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
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