像加熱装置
【課題】抵抗発熱体を像加熱装置のニップ部の外側にはみ出させた構成にした際に、セラミックス基板が急激に高温になり、セラミックス基板が割れるという可能性を抑制する。
【解決手段】加熱体は電気的に直列に接続された2本以上の抵抗発熱体を有し、ニップ部の内側に位置する抵抗発熱体の温度を制御する温度制御系を備え、ニップ部の外側に位置する抵抗発熱体が負の抵抗温度特性を有する。
【解決手段】加熱体は電気的に直列に接続された2本以上の抵抗発熱体を有し、ニップ部の内側に位置する抵抗発熱体の温度を制御する温度制御系を備え、ニップ部の外側に位置する抵抗発熱体が負の抵抗温度特性を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やLBP等、電子写真方式・静電記録方式等の作像プロセスを採用した画像形成装置に使用される像加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば画像の加熱定着等のための記録材の像加熱装置には、所定の温度に維持された加熱ローラと、前記加熱ローラに圧接する加圧ローラとによって被加熱材としての記録材を挟持搬送しつつ加熱する熱ローラ方式が多用されている。また、このほかにもフラッシュ加熱方式、オープン加熱方式、熱板加熱方式等種々の方式、構成のものが知られており、実用されている。
【0003】
最近では、このような方式に代わって、加熱体と、加熱体の支持体(以下ではステーと記す)と、加熱体に対向圧接しつつ搬送される可撓性部材を備える方式がある。即ち、可撓性部材を介して被加熱材としての記録材を加熱体に密着させる加圧ローラを有し、加熱体の熱を可撓性部材を介して記録材へ付与することで記録材面に形成担持されている未定着画像を記録材面に加熱定着させる可撓性部材加熱方式である。
【0004】
この加熱装置の加熱体としては、セラミックス基板上に抵抗発熱体を形成し、給電により抵抗発熱体を発熱させ、記録材を加熱する構成が一般的である。加熱体の温度は温度制御系により、加熱体に当接あるいは接着されたサーミスタ等の検温素子で検知され、その検知温度を基に所定の温度になるようにCPUで温度制御されている。このような可撓性部材加熱方式の像加熱加熱装置においては、加熱体として低熱容量の加熱体を用いることができる。このため、従来の接触加熱方式である熱ローラ方式、ベルト加熱方式等の装置に比べ、省電力及びウェイトタイムの短縮化(クイックスタート)が可能になる。
【0005】
ここで、可撓性部材加熱方式の像加熱装置においては、記録材の加熱時に、記録材中の水分が水蒸気となり、記録材の印字面から噴き出すときに記録材上の未定着トナーを飛ばしてしまい、画像が乱れることがある。即ち、「尾引き」という可撓性部材加熱方式特有の現象が発生することがある。尾引きは、記録材の水分量が多い場合や像加熱装置のニップ部の内側でトナーを加圧ローラ側へ電気的に引き付ける力が弱い場合等に発生し易い。
【0006】
このような尾引きを防止するため、抵抗発熱体を像加熱装置のニップ上流側にはみ出させ、はみ出させた抵抗発熱体の熱によってニップ進入前の未定着画像を事前に加熱し、仮定着させるという構成が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−186911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、抵抗発熱体が像加熱装置のニップ外にはみ出していると、はみ出した部分は記録材や加圧ローラに熱を奪われることがないため、急激に高温になる。これにより、例えばアルミナのような熱伝導率が20W/mK、熱膨張率が7.2×10−6/℃程度のセラミックス基板では、はみ出させたその一部分だけ膨張して熱応力が加わり、セラミックス基板が割れるという可能性があった。
【0009】
本発明の目的は、尾引き現象を低減させるために前加熱(プレヒート)を与えるように抵抗発熱体を像加熱装置のニップ部の外側にはみ出させる構成にすると共に、基板の割れを簡便に抑制できる像加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明に係わる像加熱装置の代表的な構成は、加熱体と、一面を加熱体と接触摺動し他面を画像を担持した記録材と接触する可撓性部材を有し、前記可撓性部材と圧接する加圧体との間にニップ部を形成し、前記加熱体に対し前記可撓性部材と前記記録材が移動することで前記加熱体の熱を前記可撓性部材を介して前記記録材へ伝達する像加熱装置において、前記加熱体は、基板に2本以上の抵抗発熱体を備え、前記抵抗発熱体のうち少なくとも1本が前記ニップ部の内側に位置し、前記抵抗発熱体のうち少なくとも1本の全体またはその一部が前記ニップ部の上流側で前記記録材を前加熱するために前記ニップ部の外側に位置し、前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体と前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体とが電気的に直列に接続され、且つ、前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が負の抵抗温度特性を備え、前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体の温度を制御する温度制御系を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、尾引き現象を低減させるために前加熱(プレヒート)を与えることが可能であり、かつ基板割れの恐れのあるニップ部の外側の過剰な発熱を簡便に抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る像加熱装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る像加熱装置を搭載したレーザービームプリンタの要部を示す概略構成図である。
【図3】第1の実施形態における加熱体の平面模型図である。
【図4】第1の実施形態における抵抗発熱体の抵抗温度特性の概略図である。
【図5】第1の実施形態と比較例における加熱体幅方向の温度分布の概念図である。
【図6】第1の実施形態と比較例における加熱体幅方向の熱応力分布の概念図である。
【図7】比較例における加熱体の平面模型図である。
【図8】比較例における抵抗発熱体の抵抗温度特性の概略図である。
【図9】第2の実施形態における加熱体の平面模型図である。
【図10】第2の実施形態における抵抗発熱体の抵抗温度特性の概略図である。
【図11】第2の実施形態と比較例における加熱体幅方向の温度分布の概念図である。
【図12】第2の実施形態と比較例における加熱体幅方向の熱応力分布の概念図である。
【図13】抵抗発熱体が3本で構成される場合の図である。
【図14】(A)はニップ部の外側の抵抗発熱体がニップ部下流側に設けられる場合の図、(B)はニップ部下流側に設けられる抵抗発熱体が一部ニップ部からはみ出ている場合の図である。
【図15】上流側、下流側の抵抗発熱体が基板の上方側に設けられる場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。
【0014】
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
本発明の実施形態に係る像加熱装置を搭載する画像形成装置の一例の概略構成図を図2に示す。この画像形成装置は電子写真方式を用いたレーザービームプリンタである。図2において、101は像担持体としての有機感光ドラム、102は帯電部材としての帯電ローラ、103はレーザー露光装置である。104は現像スリーブ及び現像ブレード並びに1成分磁性トナー等から成る現像装置、105はクリーニングブレード、106は転写ローラ、107は加熱定着を行う像加熱装置である。ドラム101は、帯電ローラ102によって一様に負の電荷に帯電され、露光装置103からのレーザービームによってドラム101に静電潜像が形成される。
【0015】
次に、現像装置104の中で帯電したトナーがドラム101上の静電潜像に付着して可視像となり、転写ローラ106上で記録材である紙に転写され、像加熱装置107で定着される。クリーニングブレード105は、ドラム101上に残ったトナーを除去する。以上の各ユニットの働きにより、画像が形成される。
【0016】
(像加熱装置)
図1は本実施形態における像加熱装置(可撓性部材加熱方式)の一例の概略構成図である。この像加熱装置は、可撓性部材2としてエンドレスベルト状若しくは円筒状のものを用い、可撓性部材2の周長の少なくとも一部は常にテンションフリー(テンションが加わらない状態)とする。この可撓性部材2は加圧体としての加圧ローラ4の回転駆動力で回転駆動されるよう、加熱体3を含むようにして可撓性部材のガイド部材であるステー1に外嵌させてある。
【0017】
即ち、可撓性部材2は一面を加熱体3と接触摺動し、他面を画像を担持した記録材Pと接触し、加熱体3に対し可撓性部材2と記録材Pが移動することで、加熱体3の熱を可撓性部材2を介して記録材Pへ伝達する。このエンドレスの可撓性部材2の内周長と加熱体3を含むステー1の外周長に関し、可撓性部材2の方を例えば3mm程度大きくしてあり、可撓性部材2が周長に余裕を持って外嵌しているものとする。本実施形態では、可撓性部材2の外径は18mmとした。
【0018】
加圧ローラ4は加熱体3との間に可撓性部材2を挟んでニップ部Nを形成し、且つ、可撓性部材2を回転駆動させる可撓性部材外面接触駆動手段としての加圧部材である。加圧ローラ4と可撓性部材2の外面との摩擦力と、加圧ローラ4の回転駆動により、可撓性部材2に回転力が作用する。可撓性部材2の駆動ローラを兼ねる加圧ローラ4は、芯金4aと弾性体層4bと最外層の離形層4cから成る。そして、不図示の軸受け手段、付勢手段により所定の押圧力をもって可撓性部材2を挟ませて加熱体3の表面に圧接するように配設してある。
【0019】
本実施形態では、芯金4aは鉄芯金を、弾性体層4bはシリコーンゴムを、離形層4cはPFAをコーティングしたものを用いた。加圧ローラ4の外径は20mm、弾性体層4bの厚さは3mmとした。
【0020】
ステー1はポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PPS、液晶ポリマー等の高耐熱性樹脂や、これらの樹脂とセラミックス、金属、ガラス等との複合材料等で構成している。本実施形態では液晶ポリマーを用いた。
【0021】
可撓性部材2は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、可撓性部材膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性のあるPTFE、PFA、FEP等の単層可撓性部材を使用できる。或いはポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等の可撓性部材の外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層可撓性部材を使用できる。この他に、膜厚30μm以下のステンレス製の可撓性部材の外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層可撓性部材も使用できる。本実施形態では、膜厚約50μmのポリイミド可撓性部材の外周表面にPTFEをコーティングしたものを用いた。
【0022】
(直列配置の抵抗発熱体を含む加熱体)
加熱体3は、可撓性部材2および記録材Pの搬送方向aに対して直角方向を長手方向とする細長い形状で耐熱性、絶縁性、良熱伝導性の加熱体基板31、および基板31の表面側の長手方向に沿って形成具備させた抵抗発熱体6、7を備える。そして、この2本の抵抗発熱体である、ニップ部の上流側に配置される上流側の抵抗発熱体6と、ニップ部の内側に位置される下流側の抵抗発熱体7は、2本折り返して電気的に直列に接続される。
【0023】
加熱体3は、抵抗発熱体6、7を形成具備させた基板31の表面(可撓性部材摺動面であるニップ部に対面する面)側を下向きに露呈させてステー1の下面側に保持させて固定配設されている。更に、この抵抗発熱体を形成した加熱体表面を保護させた耐熱性オーバーコート層34(図3)、抵抗発熱体32の給電用電極21、22(図1)を備え、全体として低熱容量の加熱体とされている。
【0024】
図1、図3で交流電源26に接続されるトライアック(双方向サイリスタ)25は、相補的な2個のサイリスタを逆並列に接続する構成をとることで、双方向に電流を流すことを可能とし、直流だけでなく交流でも使えるようにしたものである。なお、サイリスタとは、主にゲートからカソードへゲートを流すことにより、アノードとカソード間を導通させることが出来る3端子のである。
【0025】
加熱体3の裏面(非可撓性部材摺動面)には検温素子5がニップ部の内側に対応する位置に設けられ、CPU24と共に構成される温度制御系によって、ニップ部の内側に位置する下流側の抵抗発熱体7の温度が所定範囲内となるように制御される。
【0026】
加熱体3は、抵抗発熱体の長手端部の給電用電極21、22に対する給電により抵抗発熱体が長手全長に亘って発熱することで昇温する。その昇温が検温素子5で検知され、検温素子5の出力をA/D変換してCPU24に取り込み、その情報に基づいてトライアック25により抵抗発熱体に通電する電力を位相、波数制御等により制御して、加熱体3の温度制御がなされる。即ち、検温素子5の検知温度が所定の設定温度より低いと加熱体3が昇温するように、設定温度より高いと降温するように通電を制御することで、加熱体3は定着時一定温度に保たれる。
【0027】
加熱体3の基板31は、セラミックスとして例えば、アルミナや窒化アルミニウム等の材料が用いられる。本実施形態では、厚さ1mm、幅6.4mm、長さ270mmのアルミナ基板を使用している。給電用電極21、22は銀パラジウムのスクリーン印刷パターン層を用いた。オーバーコート層34は約50μm厚の耐熱性ガラス層を用いた。
【0028】
抵抗発熱体は、例えば、酸化ルテニウム、カーボン、シリコンカーバイト等の負の抵抗温度特性を有する電気抵抗材料をスクリーン印刷等により、線状若しくは線帯状に塗工して形成したものである。本実施形態では、酸化ルテニウムとガラスを混合したものをスクリーン印刷により、上下流とも厚み約10μm、幅1.1mm、全長220mmに塗工して形成した。
【0029】
抵抗発熱体の基板幅方向における位置に関し、上流側の抵抗発熱体6の中心から基板中心までの距離と、下流側の抵抗発熱体7の中心から基板中心までの距離とが等しくなるように配置した。具体的には、各抵抗発熱体中心から基板中心までの距離を1.9mmとした。基板幅方向の基板両端部から抵抗発熱体6、7までの距離はそれぞれ0.7mmとした。
【0030】
加熱体3の温度が所定温度に立ち上がり、且つ、加圧ローラ4の回転による可撓性部材2の回転周速度が定常化した状態において、可撓性部材2を挟んで加熱体3と加圧ローラ4とで形成されるニップ部Nに記録材Pが画像形成部(転写部)より導入される。そして、記録材Pが可撓性部材2と一緒にニップ部Nを挟持搬送されることにより、加熱体3の熱が可撓性部材2を介して記録材Pに付与され、記録材P上の未定着顕画像(トナー画像)Tが記録材P面に加熱定着される。圧接ニップ部Nを通った記録材Pは、可撓性部材2の面から分離されて搬送される。
【0031】
図1に示すように、本実施形態では加熱体がニップ部の上流側に2mmはみ出した構成をしており、加熱体の上流側の抵抗発熱体6の全体がニップ部の外側である上流側に位置している。本実施形態では上流側の抵抗発熱体6の全体がニップ部の上流側に位置しているが、その一部がニップ部の内側に入っていて、他の部分がニップ部の外側にはみ出ている配置でも、ニップ部の外側の部分にて同様の効果が期待出来る。図1において、下流側の抵抗発熱体7はニップ部の内側に位置している。
【0032】
本実施形態では、検温素子5はニップ部の内側に位置し、紙が通紙された際のニップ部の内側の温度変化を検知している。したがって、上下流の抵抗発熱体に流れる電流Iの電流値は、ニップ部の内側の温調温度に必要な発熱量W2を満たす量となり、その結果、良好な定着性を得ることができた。
【0033】
検温素子5をニップ部の外側に位置させた場合、検温素子5は上流側抵抗発熱体の温度を検知する。そのため、上流側抵抗発熱体の急激な温度上昇を抑制することができるようになるものの、ニップ部の内側に紙が通紙された際に生じる温度変化を検知することができなくなってしまう。その結果、紙の通紙に合わせて上下流の抵抗発熱体に流れる電流Iを制御することができなくなり、ニップ部の内側の温調温度と同等の温度にするために必要な発熱量W2を得ることができず、定着不良が発生した。
【0034】
図4に本実施形態における上流側の抵抗発熱体6と下流側の抵抗発熱体7の抵抗温度特性の概略図を示す。図4において実線が上流側の抵抗発熱体6の抵抗温度特性を、破線が下流側の抵抗発熱体7の抵抗温度特性をそれぞれ示す。下流側では抵抗発熱体7の抵抗値が温度上昇に係らず、ほぼ一定(僅かに小さくなる)一方、上流側では抵抗発熱体6の抵抗値が温度上昇と共に小さくなる(負の抵抗温度特性)。
【0035】
検温素子5およびCPU24を備える下流側(ニップ部)の温度制御系により、直列配置される抵抗発熱体にかかる電流が制御される関係上、ニップ部の上流側で抵抗発熱体6の抵抗値が温度上昇と共に小さくなると、発熱量を小さく抑えられる。本実施形態では、上流側抵抗発熱体6の抵抗変化率を−5000ppm/℃、下流側抵抗発熱体7の抵抗変化率を−300ppm/℃とした。なお、本実施形態では上流側抵抗発熱体6、下流側抵抗発熱体7の夫々について酸化ルテニウムとガラスを混合したものを用いたが、混合比を変えることで上記抵抗変化率を変えた。
【0036】
以下の表1に抵抗値の温度変化及び上下流の発熱比率を示す。上流側の抵抗発熱体6の抵抗値をR1、下流側の抵抗発熱体7の抵抗値をR2とすると、両者の抵抗発熱体に流れる電流Iは共通であるから、上流側の発熱量W1、下流側の発熱量W2はそれぞれ、W1=I2×R1、W2=I2×R2となる。したがって上下流の抵抗発熱体の発熱比率は、上下流の抵抗発熱体の抵抗値比率と同じである。
【0037】
本実施形態のように、上流側抵抗発熱体R1がニップ部の外側に位置しているとき、R1が負の抵抗温度係数をもつ場合、温度の上昇とともにR1が減少し、それにつれてW1も減少するため、上流側発熱体の温度上昇が抑えられる。そして、セラミックス基板内の温度差が広がることがなくなるので、セラミックス基板の割れを抑制することができる。逆に、R1が正の抵抗温度係数をもつ場合では、温度の上昇とともにR1が増大し、それにつれてW1も増大するため、ニップ部の内側のW2との発熱比が大きくなり、セラミックス基板内に大きな温度差が生じるため、セラミックス基板の割れが発生する恐れがある。
【0038】
【表1】
【0039】
ニップ部の内側にある下流側抵抗発熱体7が200℃で温調されているとき、発熱体の総電力は約500Wであった。このときニップ部の外側にある上流側抵抗発熱体6では総電力の約1/5の約100Wの電力が消費された。ニップ部の外側の抵抗発熱体は約100Wの電力では過剰に昇温することができないため、検温素子で温調しなくても、ニップ部の内側と同じ約200℃で飽和し、図5に示すように、加熱体幅方向において温度分布が対称的になった。その結果、図6に示すように、基板内の温度差によって生じる熱応力が、セラミックス基板の割れが発生する最低熱応力を上回ることがなかったため、セラミックス基板の割れは発生しなかった。
(比較例)
図7に比較例の正面図及び通電制御を行う回路を表す図を示す。抵抗発熱体の長さ、幅、厚さ、基板上における位置は第1の実施形態と同じであり、図7に示す通り2本の抵抗発熱体は電気的に直列に接続されている。比較例では抵抗発熱体8の材料として上下流とも銀パラジウムとガラスの混合物を用いている。比較例の抵抗発熱体の抵抗値は、図8に示すように常温(25℃)で上下流とも8.0Ω(総抵抗値16.0Ω)であり、抵抗変化率は上下流とも500ppm/℃程度である。比較例の加熱体以外の像加熱装置の構成は第1の実施形態と同じである。
【0040】
図6に示すように、比較例では、熱を奪われないニップ部の外側(上流側)の抵抗発熱体の発熱量がニップ部の内側(下流側)のそれに比べて大きくなるため、ニップ部の外側のセラミックス基板の温度の方がニップ部の内側よりも高くなっている。その結果、図6に示すように、比較例で発生した熱応力は、セラミックス基板が割れる最低熱応力を上回り、セラミックス基板が割れてしまった。
【0041】
《第2の実施形態》
図9に本実施形態における加熱体の正面図及び通電制御を行う回路を示す。抵抗発熱体の長さ、幅、厚さ、基板上における位置は第1の実施形態と同じである。その他の像加熱装置及び画像形成装置の構成は第1の実施形態と同じである。
【0042】
本実施形態では、上流側抵抗発熱体9が負の抵抗温度特性である点は第1の実施形態と同じであるが、下流側抵抗発熱体10が正の抵抗温度特性で第1の実施形態と異なる。本実施形態では、上流側抵抗発熱体9の抵抗変化率を−4000ppm/℃、下流側抵抗発熱体10の抵抗変化率を比較例と同じ500ppm/℃とした。
【0043】
本実施形態では、上流側抵抗発熱体9は第1の実施形態と同じく酸化ルテニウムとガラスの混合物を、下流側抵抗発熱体10は比較例と同じく銀パラジウムとガラスを混合物を、スクリーン印刷によりアルミナ基板上に塗工して形成した。
【0044】
図10に本実施形態における上流側抵抗発熱体9と下流側抵抗発熱体10の抵抗温度特性の概略図を示す。図10において実線が上流側抵抗発熱体9の抵抗温度特性を、破線が下流側抵抗発熱体10の抵抗温度特性をそれぞれ示す。
【0045】
以下の表2に抵抗値の温度変化及び上下流の発熱比率を示す。
【0046】
【表2】
【0047】
第1の実施形態と同じく、ニップ部の内側にある下流側の抵抗発熱体が200℃で温調されているとき、発熱体の総電力は約500Wであった。このときニップ部の外側にある上流側の抵抗発熱体では総電力の約1/5の約90Wの電力が消費され、ニップ部の外側の抵抗発熱体は、約190℃となった。加熱体幅方向の温度分布は図11に示すように、本実施形態では、加熱体幅方向においてほぼ対称的な温度分布となった。その結果、図12に示すように、熱応力はセラミックス基板が割れる最低熱応力を上回ることがなかったため、セラミックス基板は割れなかった。
【0048】
(変形例)
上述した実施形態においては、電気的に直列に接続された2本の抵抗発熱体について記載したが、本発明はこれに限らず電気的に直列に接続された2本以上の抵抗発熱体であれば良い。即ち、抵抗発熱体のうち少なくとも1本がニップ部Nの内側に位置し、抵抗発熱体のうち少なくとも1本の全体またはその一部がニップ部Nの上流側で記録材Pを前加熱(プレヒート)するためにニップ部Nの外側に位置するようにする。
【0049】
例えば図13に示すように、ニップ部Nの内側に抵抗発熱体Gを設け、ニップ部Nの外側にニップ部上流側に向かって抵抗発熱体F(一部がニップ部Nよりはみ出している)、抵抗発熱体E(全部がニップ部Nよりはみ出している)を設けても良い。そして、この場合、下流側の抵抗発熱体Gが、上流側の抵抗発熱体(ここでは抵抗発熱体F、Eとして複数本の前記抵抗発熱体を電気的に並列に配置)と電気的に直列に接続される関係となれば良い。ここで、抵抗発熱体Fと抵抗発熱体Eとは互いに電気的に並列に配置される他、直列に配置されても良い。
【0050】
抵抗発熱体Fと抵抗発熱体Eとが互いに電気的に並列に配置されるものとして、例えば、図13で抵抗発熱体Fと抵抗発熱体Gとが並列に配置され、抵抗発熱体Gを自己温度制御型の抵抗発熱体、Fを低抵抗とすることができる。自己温度制御型の抵抗発熱体は、キュリー温度(自己温度制御温度)で抵抗値が急に大きくなる抵抗発熱体で代表的にはチタン酸バリウムからなる。このような自己温度制御型の抵抗発熱体を用いることで、温度上昇と共に抵抗発熱体Gの抵抗値が急に大きくなり電流が抵抗発熱体Fの方だけに流れてもFの抵抗値が小さいため、発熱量は小さく抑えられる。
【0051】
同様に、下流側の抵抗発熱体が複数本の前記抵抗発熱体を電気的に並列に配置したものを含み、上流側の抵抗発熱体が少なくとも1本であって下流側の抵抗発熱体と電気的に直列に配置されるものであっても良い。また上流側、下流側のいずれもが複数本の前記抵抗発熱体を電気的に並列に配置したものを含み、上流側と下流側の抵抗発熱体が電気的に直列に配置されるものであっても良い。
【0052】
また上述した実施形態においては、ニップ部Nの外側に設けられる抵抗発熱体に関し、ニップ部Nの上流側に設けていたが、本発明はこれに限らず、図14(A)に示すようにニップ部Nの下流側に設けても良い。図14(A)で、ニップ部Nの内側に抵抗発熱体Jを設け、ニップ部Nの外側としてニップ部下流側に抵抗発熱体Kを設ける。
【0053】
ニップ部Nの下流側の抵抗発熱体Kで加熱された可撓性部材F(位置Yで加熱)の部分は、コンパクト化のために全周の長さが短くされるという前提で、ほぼ一周して、ニップ部Nの上流側の位置Xに至る。位置Yから位置Xに至る経過時間が可撓性部材Fの内部を伝達する時間にほぼ等しく、かつ位置Xで記録材Pが前加熱(プレヒート)されるように記録材Pの搬送系が組まれていれば、尾引きの発生を抑えることができる。
【0054】
ニップ部下流側の抵抗発熱体Kに関しては、図14(A)に示すように全体がニップ部Nからはみ出していても良く、あるいは図14(B)に示すように一部がニップ部Nからはみ出していても良い。ニップ部上流側には抵抗発熱体を設けても良いが、図14(A)では抵抗発熱体の替わりに可撓性部材Fを外挿させる支持部材Lを構成している。
【0055】
なお、上述した実施形態においては、抵抗発熱体を基板31の下方側(ニップ部Nに対面する側)に設けたが、図15に示すように基板31の上方側(ニップ部Nに対面する側と反対側)に設けても良い。図15で、11は基板31の上方側に形成された下流側の抵抗発熱体7、10と検温素子5との間の耐電圧を満足するために設けたガラスコート、フッ素樹脂層等の保護層である。
【0056】
また、上述した実施形態においては、2本以上の抵抗発熱体を配置する基板31をセラミックスとしたが、熱伝導性など同様の性質を備える材質であればセラミックス以外の材質を用いても良い。
【0057】
なお、第1の実施形態、第2の実施形態、変形例で記載した事項を本発明の範囲内として適宜組み合わせる構成を採っても良い。
【符号の説明】
【0058】
1・・ステー、2・・可撓性部材、3・・加熱体、4・・加圧ローラ、4a・・芯金、4b・・弾性体層、4c・・離形層、5・・検温素子、6・・上流側の抵抗発熱体、7・・下流側の抵抗発熱体、21、22・・給電用電極、24・・CPU、25・・トライアック、26・・AC電源、N・・ニップ部、P・・記録材、T・・トナー、a・・記録材搬送方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やLBP等、電子写真方式・静電記録方式等の作像プロセスを採用した画像形成装置に使用される像加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば画像の加熱定着等のための記録材の像加熱装置には、所定の温度に維持された加熱ローラと、前記加熱ローラに圧接する加圧ローラとによって被加熱材としての記録材を挟持搬送しつつ加熱する熱ローラ方式が多用されている。また、このほかにもフラッシュ加熱方式、オープン加熱方式、熱板加熱方式等種々の方式、構成のものが知られており、実用されている。
【0003】
最近では、このような方式に代わって、加熱体と、加熱体の支持体(以下ではステーと記す)と、加熱体に対向圧接しつつ搬送される可撓性部材を備える方式がある。即ち、可撓性部材を介して被加熱材としての記録材を加熱体に密着させる加圧ローラを有し、加熱体の熱を可撓性部材を介して記録材へ付与することで記録材面に形成担持されている未定着画像を記録材面に加熱定着させる可撓性部材加熱方式である。
【0004】
この加熱装置の加熱体としては、セラミックス基板上に抵抗発熱体を形成し、給電により抵抗発熱体を発熱させ、記録材を加熱する構成が一般的である。加熱体の温度は温度制御系により、加熱体に当接あるいは接着されたサーミスタ等の検温素子で検知され、その検知温度を基に所定の温度になるようにCPUで温度制御されている。このような可撓性部材加熱方式の像加熱加熱装置においては、加熱体として低熱容量の加熱体を用いることができる。このため、従来の接触加熱方式である熱ローラ方式、ベルト加熱方式等の装置に比べ、省電力及びウェイトタイムの短縮化(クイックスタート)が可能になる。
【0005】
ここで、可撓性部材加熱方式の像加熱装置においては、記録材の加熱時に、記録材中の水分が水蒸気となり、記録材の印字面から噴き出すときに記録材上の未定着トナーを飛ばしてしまい、画像が乱れることがある。即ち、「尾引き」という可撓性部材加熱方式特有の現象が発生することがある。尾引きは、記録材の水分量が多い場合や像加熱装置のニップ部の内側でトナーを加圧ローラ側へ電気的に引き付ける力が弱い場合等に発生し易い。
【0006】
このような尾引きを防止するため、抵抗発熱体を像加熱装置のニップ上流側にはみ出させ、はみ出させた抵抗発熱体の熱によってニップ進入前の未定着画像を事前に加熱し、仮定着させるという構成が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−186911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、抵抗発熱体が像加熱装置のニップ外にはみ出していると、はみ出した部分は記録材や加圧ローラに熱を奪われることがないため、急激に高温になる。これにより、例えばアルミナのような熱伝導率が20W/mK、熱膨張率が7.2×10−6/℃程度のセラミックス基板では、はみ出させたその一部分だけ膨張して熱応力が加わり、セラミックス基板が割れるという可能性があった。
【0009】
本発明の目的は、尾引き現象を低減させるために前加熱(プレヒート)を与えるように抵抗発熱体を像加熱装置のニップ部の外側にはみ出させる構成にすると共に、基板の割れを簡便に抑制できる像加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明に係わる像加熱装置の代表的な構成は、加熱体と、一面を加熱体と接触摺動し他面を画像を担持した記録材と接触する可撓性部材を有し、前記可撓性部材と圧接する加圧体との間にニップ部を形成し、前記加熱体に対し前記可撓性部材と前記記録材が移動することで前記加熱体の熱を前記可撓性部材を介して前記記録材へ伝達する像加熱装置において、前記加熱体は、基板に2本以上の抵抗発熱体を備え、前記抵抗発熱体のうち少なくとも1本が前記ニップ部の内側に位置し、前記抵抗発熱体のうち少なくとも1本の全体またはその一部が前記ニップ部の上流側で前記記録材を前加熱するために前記ニップ部の外側に位置し、前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体と前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体とが電気的に直列に接続され、且つ、前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が負の抵抗温度特性を備え、前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体の温度を制御する温度制御系を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、尾引き現象を低減させるために前加熱(プレヒート)を与えることが可能であり、かつ基板割れの恐れのあるニップ部の外側の過剰な発熱を簡便に抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る像加熱装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る像加熱装置を搭載したレーザービームプリンタの要部を示す概略構成図である。
【図3】第1の実施形態における加熱体の平面模型図である。
【図4】第1の実施形態における抵抗発熱体の抵抗温度特性の概略図である。
【図5】第1の実施形態と比較例における加熱体幅方向の温度分布の概念図である。
【図6】第1の実施形態と比較例における加熱体幅方向の熱応力分布の概念図である。
【図7】比較例における加熱体の平面模型図である。
【図8】比較例における抵抗発熱体の抵抗温度特性の概略図である。
【図9】第2の実施形態における加熱体の平面模型図である。
【図10】第2の実施形態における抵抗発熱体の抵抗温度特性の概略図である。
【図11】第2の実施形態と比較例における加熱体幅方向の温度分布の概念図である。
【図12】第2の実施形態と比較例における加熱体幅方向の熱応力分布の概念図である。
【図13】抵抗発熱体が3本で構成される場合の図である。
【図14】(A)はニップ部の外側の抵抗発熱体がニップ部下流側に設けられる場合の図、(B)はニップ部下流側に設けられる抵抗発熱体が一部ニップ部からはみ出ている場合の図である。
【図15】上流側、下流側の抵抗発熱体が基板の上方側に設けられる場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。
【0014】
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
本発明の実施形態に係る像加熱装置を搭載する画像形成装置の一例の概略構成図を図2に示す。この画像形成装置は電子写真方式を用いたレーザービームプリンタである。図2において、101は像担持体としての有機感光ドラム、102は帯電部材としての帯電ローラ、103はレーザー露光装置である。104は現像スリーブ及び現像ブレード並びに1成分磁性トナー等から成る現像装置、105はクリーニングブレード、106は転写ローラ、107は加熱定着を行う像加熱装置である。ドラム101は、帯電ローラ102によって一様に負の電荷に帯電され、露光装置103からのレーザービームによってドラム101に静電潜像が形成される。
【0015】
次に、現像装置104の中で帯電したトナーがドラム101上の静電潜像に付着して可視像となり、転写ローラ106上で記録材である紙に転写され、像加熱装置107で定着される。クリーニングブレード105は、ドラム101上に残ったトナーを除去する。以上の各ユニットの働きにより、画像が形成される。
【0016】
(像加熱装置)
図1は本実施形態における像加熱装置(可撓性部材加熱方式)の一例の概略構成図である。この像加熱装置は、可撓性部材2としてエンドレスベルト状若しくは円筒状のものを用い、可撓性部材2の周長の少なくとも一部は常にテンションフリー(テンションが加わらない状態)とする。この可撓性部材2は加圧体としての加圧ローラ4の回転駆動力で回転駆動されるよう、加熱体3を含むようにして可撓性部材のガイド部材であるステー1に外嵌させてある。
【0017】
即ち、可撓性部材2は一面を加熱体3と接触摺動し、他面を画像を担持した記録材Pと接触し、加熱体3に対し可撓性部材2と記録材Pが移動することで、加熱体3の熱を可撓性部材2を介して記録材Pへ伝達する。このエンドレスの可撓性部材2の内周長と加熱体3を含むステー1の外周長に関し、可撓性部材2の方を例えば3mm程度大きくしてあり、可撓性部材2が周長に余裕を持って外嵌しているものとする。本実施形態では、可撓性部材2の外径は18mmとした。
【0018】
加圧ローラ4は加熱体3との間に可撓性部材2を挟んでニップ部Nを形成し、且つ、可撓性部材2を回転駆動させる可撓性部材外面接触駆動手段としての加圧部材である。加圧ローラ4と可撓性部材2の外面との摩擦力と、加圧ローラ4の回転駆動により、可撓性部材2に回転力が作用する。可撓性部材2の駆動ローラを兼ねる加圧ローラ4は、芯金4aと弾性体層4bと最外層の離形層4cから成る。そして、不図示の軸受け手段、付勢手段により所定の押圧力をもって可撓性部材2を挟ませて加熱体3の表面に圧接するように配設してある。
【0019】
本実施形態では、芯金4aは鉄芯金を、弾性体層4bはシリコーンゴムを、離形層4cはPFAをコーティングしたものを用いた。加圧ローラ4の外径は20mm、弾性体層4bの厚さは3mmとした。
【0020】
ステー1はポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PPS、液晶ポリマー等の高耐熱性樹脂や、これらの樹脂とセラミックス、金属、ガラス等との複合材料等で構成している。本実施形態では液晶ポリマーを用いた。
【0021】
可撓性部材2は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、可撓性部材膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性のあるPTFE、PFA、FEP等の単層可撓性部材を使用できる。或いはポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等の可撓性部材の外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層可撓性部材を使用できる。この他に、膜厚30μm以下のステンレス製の可撓性部材の外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層可撓性部材も使用できる。本実施形態では、膜厚約50μmのポリイミド可撓性部材の外周表面にPTFEをコーティングしたものを用いた。
【0022】
(直列配置の抵抗発熱体を含む加熱体)
加熱体3は、可撓性部材2および記録材Pの搬送方向aに対して直角方向を長手方向とする細長い形状で耐熱性、絶縁性、良熱伝導性の加熱体基板31、および基板31の表面側の長手方向に沿って形成具備させた抵抗発熱体6、7を備える。そして、この2本の抵抗発熱体である、ニップ部の上流側に配置される上流側の抵抗発熱体6と、ニップ部の内側に位置される下流側の抵抗発熱体7は、2本折り返して電気的に直列に接続される。
【0023】
加熱体3は、抵抗発熱体6、7を形成具備させた基板31の表面(可撓性部材摺動面であるニップ部に対面する面)側を下向きに露呈させてステー1の下面側に保持させて固定配設されている。更に、この抵抗発熱体を形成した加熱体表面を保護させた耐熱性オーバーコート層34(図3)、抵抗発熱体32の給電用電極21、22(図1)を備え、全体として低熱容量の加熱体とされている。
【0024】
図1、図3で交流電源26に接続されるトライアック(双方向サイリスタ)25は、相補的な2個のサイリスタを逆並列に接続する構成をとることで、双方向に電流を流すことを可能とし、直流だけでなく交流でも使えるようにしたものである。なお、サイリスタとは、主にゲートからカソードへゲートを流すことにより、アノードとカソード間を導通させることが出来る3端子のである。
【0025】
加熱体3の裏面(非可撓性部材摺動面)には検温素子5がニップ部の内側に対応する位置に設けられ、CPU24と共に構成される温度制御系によって、ニップ部の内側に位置する下流側の抵抗発熱体7の温度が所定範囲内となるように制御される。
【0026】
加熱体3は、抵抗発熱体の長手端部の給電用電極21、22に対する給電により抵抗発熱体が長手全長に亘って発熱することで昇温する。その昇温が検温素子5で検知され、検温素子5の出力をA/D変換してCPU24に取り込み、その情報に基づいてトライアック25により抵抗発熱体に通電する電力を位相、波数制御等により制御して、加熱体3の温度制御がなされる。即ち、検温素子5の検知温度が所定の設定温度より低いと加熱体3が昇温するように、設定温度より高いと降温するように通電を制御することで、加熱体3は定着時一定温度に保たれる。
【0027】
加熱体3の基板31は、セラミックスとして例えば、アルミナや窒化アルミニウム等の材料が用いられる。本実施形態では、厚さ1mm、幅6.4mm、長さ270mmのアルミナ基板を使用している。給電用電極21、22は銀パラジウムのスクリーン印刷パターン層を用いた。オーバーコート層34は約50μm厚の耐熱性ガラス層を用いた。
【0028】
抵抗発熱体は、例えば、酸化ルテニウム、カーボン、シリコンカーバイト等の負の抵抗温度特性を有する電気抵抗材料をスクリーン印刷等により、線状若しくは線帯状に塗工して形成したものである。本実施形態では、酸化ルテニウムとガラスを混合したものをスクリーン印刷により、上下流とも厚み約10μm、幅1.1mm、全長220mmに塗工して形成した。
【0029】
抵抗発熱体の基板幅方向における位置に関し、上流側の抵抗発熱体6の中心から基板中心までの距離と、下流側の抵抗発熱体7の中心から基板中心までの距離とが等しくなるように配置した。具体的には、各抵抗発熱体中心から基板中心までの距離を1.9mmとした。基板幅方向の基板両端部から抵抗発熱体6、7までの距離はそれぞれ0.7mmとした。
【0030】
加熱体3の温度が所定温度に立ち上がり、且つ、加圧ローラ4の回転による可撓性部材2の回転周速度が定常化した状態において、可撓性部材2を挟んで加熱体3と加圧ローラ4とで形成されるニップ部Nに記録材Pが画像形成部(転写部)より導入される。そして、記録材Pが可撓性部材2と一緒にニップ部Nを挟持搬送されることにより、加熱体3の熱が可撓性部材2を介して記録材Pに付与され、記録材P上の未定着顕画像(トナー画像)Tが記録材P面に加熱定着される。圧接ニップ部Nを通った記録材Pは、可撓性部材2の面から分離されて搬送される。
【0031】
図1に示すように、本実施形態では加熱体がニップ部の上流側に2mmはみ出した構成をしており、加熱体の上流側の抵抗発熱体6の全体がニップ部の外側である上流側に位置している。本実施形態では上流側の抵抗発熱体6の全体がニップ部の上流側に位置しているが、その一部がニップ部の内側に入っていて、他の部分がニップ部の外側にはみ出ている配置でも、ニップ部の外側の部分にて同様の効果が期待出来る。図1において、下流側の抵抗発熱体7はニップ部の内側に位置している。
【0032】
本実施形態では、検温素子5はニップ部の内側に位置し、紙が通紙された際のニップ部の内側の温度変化を検知している。したがって、上下流の抵抗発熱体に流れる電流Iの電流値は、ニップ部の内側の温調温度に必要な発熱量W2を満たす量となり、その結果、良好な定着性を得ることができた。
【0033】
検温素子5をニップ部の外側に位置させた場合、検温素子5は上流側抵抗発熱体の温度を検知する。そのため、上流側抵抗発熱体の急激な温度上昇を抑制することができるようになるものの、ニップ部の内側に紙が通紙された際に生じる温度変化を検知することができなくなってしまう。その結果、紙の通紙に合わせて上下流の抵抗発熱体に流れる電流Iを制御することができなくなり、ニップ部の内側の温調温度と同等の温度にするために必要な発熱量W2を得ることができず、定着不良が発生した。
【0034】
図4に本実施形態における上流側の抵抗発熱体6と下流側の抵抗発熱体7の抵抗温度特性の概略図を示す。図4において実線が上流側の抵抗発熱体6の抵抗温度特性を、破線が下流側の抵抗発熱体7の抵抗温度特性をそれぞれ示す。下流側では抵抗発熱体7の抵抗値が温度上昇に係らず、ほぼ一定(僅かに小さくなる)一方、上流側では抵抗発熱体6の抵抗値が温度上昇と共に小さくなる(負の抵抗温度特性)。
【0035】
検温素子5およびCPU24を備える下流側(ニップ部)の温度制御系により、直列配置される抵抗発熱体にかかる電流が制御される関係上、ニップ部の上流側で抵抗発熱体6の抵抗値が温度上昇と共に小さくなると、発熱量を小さく抑えられる。本実施形態では、上流側抵抗発熱体6の抵抗変化率を−5000ppm/℃、下流側抵抗発熱体7の抵抗変化率を−300ppm/℃とした。なお、本実施形態では上流側抵抗発熱体6、下流側抵抗発熱体7の夫々について酸化ルテニウムとガラスを混合したものを用いたが、混合比を変えることで上記抵抗変化率を変えた。
【0036】
以下の表1に抵抗値の温度変化及び上下流の発熱比率を示す。上流側の抵抗発熱体6の抵抗値をR1、下流側の抵抗発熱体7の抵抗値をR2とすると、両者の抵抗発熱体に流れる電流Iは共通であるから、上流側の発熱量W1、下流側の発熱量W2はそれぞれ、W1=I2×R1、W2=I2×R2となる。したがって上下流の抵抗発熱体の発熱比率は、上下流の抵抗発熱体の抵抗値比率と同じである。
【0037】
本実施形態のように、上流側抵抗発熱体R1がニップ部の外側に位置しているとき、R1が負の抵抗温度係数をもつ場合、温度の上昇とともにR1が減少し、それにつれてW1も減少するため、上流側発熱体の温度上昇が抑えられる。そして、セラミックス基板内の温度差が広がることがなくなるので、セラミックス基板の割れを抑制することができる。逆に、R1が正の抵抗温度係数をもつ場合では、温度の上昇とともにR1が増大し、それにつれてW1も増大するため、ニップ部の内側のW2との発熱比が大きくなり、セラミックス基板内に大きな温度差が生じるため、セラミックス基板の割れが発生する恐れがある。
【0038】
【表1】
【0039】
ニップ部の内側にある下流側抵抗発熱体7が200℃で温調されているとき、発熱体の総電力は約500Wであった。このときニップ部の外側にある上流側抵抗発熱体6では総電力の約1/5の約100Wの電力が消費された。ニップ部の外側の抵抗発熱体は約100Wの電力では過剰に昇温することができないため、検温素子で温調しなくても、ニップ部の内側と同じ約200℃で飽和し、図5に示すように、加熱体幅方向において温度分布が対称的になった。その結果、図6に示すように、基板内の温度差によって生じる熱応力が、セラミックス基板の割れが発生する最低熱応力を上回ることがなかったため、セラミックス基板の割れは発生しなかった。
(比較例)
図7に比較例の正面図及び通電制御を行う回路を表す図を示す。抵抗発熱体の長さ、幅、厚さ、基板上における位置は第1の実施形態と同じであり、図7に示す通り2本の抵抗発熱体は電気的に直列に接続されている。比較例では抵抗発熱体8の材料として上下流とも銀パラジウムとガラスの混合物を用いている。比較例の抵抗発熱体の抵抗値は、図8に示すように常温(25℃)で上下流とも8.0Ω(総抵抗値16.0Ω)であり、抵抗変化率は上下流とも500ppm/℃程度である。比較例の加熱体以外の像加熱装置の構成は第1の実施形態と同じである。
【0040】
図6に示すように、比較例では、熱を奪われないニップ部の外側(上流側)の抵抗発熱体の発熱量がニップ部の内側(下流側)のそれに比べて大きくなるため、ニップ部の外側のセラミックス基板の温度の方がニップ部の内側よりも高くなっている。その結果、図6に示すように、比較例で発生した熱応力は、セラミックス基板が割れる最低熱応力を上回り、セラミックス基板が割れてしまった。
【0041】
《第2の実施形態》
図9に本実施形態における加熱体の正面図及び通電制御を行う回路を示す。抵抗発熱体の長さ、幅、厚さ、基板上における位置は第1の実施形態と同じである。その他の像加熱装置及び画像形成装置の構成は第1の実施形態と同じである。
【0042】
本実施形態では、上流側抵抗発熱体9が負の抵抗温度特性である点は第1の実施形態と同じであるが、下流側抵抗発熱体10が正の抵抗温度特性で第1の実施形態と異なる。本実施形態では、上流側抵抗発熱体9の抵抗変化率を−4000ppm/℃、下流側抵抗発熱体10の抵抗変化率を比較例と同じ500ppm/℃とした。
【0043】
本実施形態では、上流側抵抗発熱体9は第1の実施形態と同じく酸化ルテニウムとガラスの混合物を、下流側抵抗発熱体10は比較例と同じく銀パラジウムとガラスを混合物を、スクリーン印刷によりアルミナ基板上に塗工して形成した。
【0044】
図10に本実施形態における上流側抵抗発熱体9と下流側抵抗発熱体10の抵抗温度特性の概略図を示す。図10において実線が上流側抵抗発熱体9の抵抗温度特性を、破線が下流側抵抗発熱体10の抵抗温度特性をそれぞれ示す。
【0045】
以下の表2に抵抗値の温度変化及び上下流の発熱比率を示す。
【0046】
【表2】
【0047】
第1の実施形態と同じく、ニップ部の内側にある下流側の抵抗発熱体が200℃で温調されているとき、発熱体の総電力は約500Wであった。このときニップ部の外側にある上流側の抵抗発熱体では総電力の約1/5の約90Wの電力が消費され、ニップ部の外側の抵抗発熱体は、約190℃となった。加熱体幅方向の温度分布は図11に示すように、本実施形態では、加熱体幅方向においてほぼ対称的な温度分布となった。その結果、図12に示すように、熱応力はセラミックス基板が割れる最低熱応力を上回ることがなかったため、セラミックス基板は割れなかった。
【0048】
(変形例)
上述した実施形態においては、電気的に直列に接続された2本の抵抗発熱体について記載したが、本発明はこれに限らず電気的に直列に接続された2本以上の抵抗発熱体であれば良い。即ち、抵抗発熱体のうち少なくとも1本がニップ部Nの内側に位置し、抵抗発熱体のうち少なくとも1本の全体またはその一部がニップ部Nの上流側で記録材Pを前加熱(プレヒート)するためにニップ部Nの外側に位置するようにする。
【0049】
例えば図13に示すように、ニップ部Nの内側に抵抗発熱体Gを設け、ニップ部Nの外側にニップ部上流側に向かって抵抗発熱体F(一部がニップ部Nよりはみ出している)、抵抗発熱体E(全部がニップ部Nよりはみ出している)を設けても良い。そして、この場合、下流側の抵抗発熱体Gが、上流側の抵抗発熱体(ここでは抵抗発熱体F、Eとして複数本の前記抵抗発熱体を電気的に並列に配置)と電気的に直列に接続される関係となれば良い。ここで、抵抗発熱体Fと抵抗発熱体Eとは互いに電気的に並列に配置される他、直列に配置されても良い。
【0050】
抵抗発熱体Fと抵抗発熱体Eとが互いに電気的に並列に配置されるものとして、例えば、図13で抵抗発熱体Fと抵抗発熱体Gとが並列に配置され、抵抗発熱体Gを自己温度制御型の抵抗発熱体、Fを低抵抗とすることができる。自己温度制御型の抵抗発熱体は、キュリー温度(自己温度制御温度)で抵抗値が急に大きくなる抵抗発熱体で代表的にはチタン酸バリウムからなる。このような自己温度制御型の抵抗発熱体を用いることで、温度上昇と共に抵抗発熱体Gの抵抗値が急に大きくなり電流が抵抗発熱体Fの方だけに流れてもFの抵抗値が小さいため、発熱量は小さく抑えられる。
【0051】
同様に、下流側の抵抗発熱体が複数本の前記抵抗発熱体を電気的に並列に配置したものを含み、上流側の抵抗発熱体が少なくとも1本であって下流側の抵抗発熱体と電気的に直列に配置されるものであっても良い。また上流側、下流側のいずれもが複数本の前記抵抗発熱体を電気的に並列に配置したものを含み、上流側と下流側の抵抗発熱体が電気的に直列に配置されるものであっても良い。
【0052】
また上述した実施形態においては、ニップ部Nの外側に設けられる抵抗発熱体に関し、ニップ部Nの上流側に設けていたが、本発明はこれに限らず、図14(A)に示すようにニップ部Nの下流側に設けても良い。図14(A)で、ニップ部Nの内側に抵抗発熱体Jを設け、ニップ部Nの外側としてニップ部下流側に抵抗発熱体Kを設ける。
【0053】
ニップ部Nの下流側の抵抗発熱体Kで加熱された可撓性部材F(位置Yで加熱)の部分は、コンパクト化のために全周の長さが短くされるという前提で、ほぼ一周して、ニップ部Nの上流側の位置Xに至る。位置Yから位置Xに至る経過時間が可撓性部材Fの内部を伝達する時間にほぼ等しく、かつ位置Xで記録材Pが前加熱(プレヒート)されるように記録材Pの搬送系が組まれていれば、尾引きの発生を抑えることができる。
【0054】
ニップ部下流側の抵抗発熱体Kに関しては、図14(A)に示すように全体がニップ部Nからはみ出していても良く、あるいは図14(B)に示すように一部がニップ部Nからはみ出していても良い。ニップ部上流側には抵抗発熱体を設けても良いが、図14(A)では抵抗発熱体の替わりに可撓性部材Fを外挿させる支持部材Lを構成している。
【0055】
なお、上述した実施形態においては、抵抗発熱体を基板31の下方側(ニップ部Nに対面する側)に設けたが、図15に示すように基板31の上方側(ニップ部Nに対面する側と反対側)に設けても良い。図15で、11は基板31の上方側に形成された下流側の抵抗発熱体7、10と検温素子5との間の耐電圧を満足するために設けたガラスコート、フッ素樹脂層等の保護層である。
【0056】
また、上述した実施形態においては、2本以上の抵抗発熱体を配置する基板31をセラミックスとしたが、熱伝導性など同様の性質を備える材質であればセラミックス以外の材質を用いても良い。
【0057】
なお、第1の実施形態、第2の実施形態、変形例で記載した事項を本発明の範囲内として適宜組み合わせる構成を採っても良い。
【符号の説明】
【0058】
1・・ステー、2・・可撓性部材、3・・加熱体、4・・加圧ローラ、4a・・芯金、4b・・弾性体層、4c・・離形層、5・・検温素子、6・・上流側の抵抗発熱体、7・・下流側の抵抗発熱体、21、22・・給電用電極、24・・CPU、25・・トライアック、26・・AC電源、N・・ニップ部、P・・記録材、T・・トナー、a・・記録材搬送方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱体と、一面を加熱体と接触摺動し他面を画像を担持した記録材と接触する可撓性部材を有し、前記可撓性部材と圧接する加圧体との間にニップ部を形成し、前記加熱体に対し前記可撓性部材と前記記録材が移動することで前記加熱体の熱を前記可撓性部材を介して前記記録材へ伝達する像加熱装置において、
前記加熱体は、
基板に2本以上の抵抗発熱体を備え、
前記抵抗発熱体のうち少なくとも1本が前記ニップ部の内側に位置し、
前記抵抗発熱体のうち少なくとも1本の全体またはその一部が前記ニップ部の上流側で前記記録材を前加熱するために前記ニップ部の外側に位置し、
前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体と前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体とが電気的に直列に接続され、
且つ、前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が負の抵抗温度特性を備え、前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体の温度を制御する温度制御系を有することを特徴とする像加熱装置。
【請求項2】
前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体が負の抵抗温度特性を備えることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項3】
前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体が正の抵抗温度特性を有することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項4】
前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が、酸化ルテニウム、カーボン、シリコンカーバイトの内、少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項5】
前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が自己温度制御型を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項6】
前記ニップ部の外側に位置する前記自己温度制御型の抵抗発熱体がチタン酸バリウムからなることを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
【請求項7】
前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が、前記記録材の搬送方向に対して上流側に位置することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項8】
前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が、前記記録材の搬送方向に対して下流側に位置することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項9】
前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体と前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体の少なくとも一方が、電気的に並列に配置した複数本の前記抵抗発熱体を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項10】
前記2本以上の抵抗発熱体が前記基板の前記ニップ部に対面する側に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項11】
前記2本以上の抵抗発熱体が前記基板の前記ニップ部に対面する側と反対側に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項12】
前記基板がセラミックス基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項1】
加熱体と、一面を加熱体と接触摺動し他面を画像を担持した記録材と接触する可撓性部材を有し、前記可撓性部材と圧接する加圧体との間にニップ部を形成し、前記加熱体に対し前記可撓性部材と前記記録材が移動することで前記加熱体の熱を前記可撓性部材を介して前記記録材へ伝達する像加熱装置において、
前記加熱体は、
基板に2本以上の抵抗発熱体を備え、
前記抵抗発熱体のうち少なくとも1本が前記ニップ部の内側に位置し、
前記抵抗発熱体のうち少なくとも1本の全体またはその一部が前記ニップ部の上流側で前記記録材を前加熱するために前記ニップ部の外側に位置し、
前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体と前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体とが電気的に直列に接続され、
且つ、前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が負の抵抗温度特性を備え、前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体の温度を制御する温度制御系を有することを特徴とする像加熱装置。
【請求項2】
前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体が負の抵抗温度特性を備えることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項3】
前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体が正の抵抗温度特性を有することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項4】
前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が、酸化ルテニウム、カーボン、シリコンカーバイトの内、少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項5】
前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が自己温度制御型を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項6】
前記ニップ部の外側に位置する前記自己温度制御型の抵抗発熱体がチタン酸バリウムからなることを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
【請求項7】
前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が、前記記録材の搬送方向に対して上流側に位置することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項8】
前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体が、前記記録材の搬送方向に対して下流側に位置することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項9】
前記ニップ部の内側に位置する前記抵抗発熱体と前記ニップ部の外側に位置する前記抵抗発熱体の少なくとも一方が、電気的に並列に配置した複数本の前記抵抗発熱体を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項10】
前記2本以上の抵抗発熱体が前記基板の前記ニップ部に対面する側に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項11】
前記2本以上の抵抗発熱体が前記基板の前記ニップ部に対面する側と反対側に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項12】
前記基板がセラミックス基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−78631(P2012−78631A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224667(P2010−224667)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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