説明

充填容器、現像剤充填容器、その現像剤充填容器を備えた画像形成装置、並びに、現像剤充填容器の製造方法

【課題】透明度の低い充填容器であっても、また、暗い場所に設置されている場合であっても、容器内部の収容物の残量が明瞭に視認でき、且つ、製造コストが低廉な充填容器、現像剤充填容器、その現像剤充填容器を備えた画像形成装置、並びに、現像剤充填容器の製造方法を提供すること。
【解決手段】 出荷搬送時の振動により収容物が飛散したり漏出したりすることを防止するため、画像形成装置本体1aとは別体に形成されて気体を除く流体からなる収容物(新規現像剤N)を収容し、移送先において搬送後の画像形成装置(複写機1)にセットされ、収容物を画像形成装置内の他の装置(現像装置42)に充填するための充填容器(現像剤ボトル10)において、容器本体11の外表面に前記収容物を照らすために発光する発光部材(蓄光性樹脂層13)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の電子写真プロセスを利用した画像形成装置に備えられ、収容する流体収容物を自重で他の装置に少しずつ充填する充填容器に関し、より詳しくは、画像形成装置に備えられた現像装置に着脱可能に取り付けられて現像剤を充填する現像剤充填容器、その現像剤充填容器を備えた画像形成装置、並びに、現像剤充填容器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、新品の画像形成装置を工場から発送・運搬する時には、振動により現像剤などの収容物が飛散したり漏出したりすることを防止するために、現像装置などには現像剤を充填しない状態で出荷し、搬入先に到着してから現像剤を現像装置に充填するようにした画像形成装置が提案されている。また、充填する現像剤を画像形成装置内に予め装置本体内に備えることは装置の小型化の要請と反するため、現像剤充填容器を別途用意して、サービススタッフが搬入先で設置(セットアップ)作業終了後に装置本体外部から現像装置に充填することが行われている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
また、このような現像剤充填容器などの気体を除く流体からなる収容物(粉体、粒状体、ゾル、液体などの自重で落下して充填可能なものを指す、以下同じ)を他の容器に自重で少しずつ充填する充填容器は、PP樹脂(ポリプロピレン樹脂)やPE樹脂(ポリエチレン樹脂)等の半透明の樹脂からブロー成型されているのが一般的である。しかし、例えば、画像形成装置内に設置された現像装置(現像ユニット)に粉体状のトナーを含有する現像剤を充填する際には、現像剤充填容器の中が見え難いため、現像剤充填容器内に現像剤が残っているかどうか視認できずに、現像剤が残ったままの状態で現像剤充填容器を現像装置から外してしまうことにより、現像剤が周囲に飛散して汚れてしまうという問題があった。そして、現像装置が他の装置の陰になって光が届き難い位置にある場合には、特に問題となっていた。
【0004】
このような問題を解決する方法として、充填容器の透明度を上げることが考えられるが、樹脂容器の透明度を上げるには、原料樹脂の製造方法から変更したり、製造ラインを大幅に変更したりするなどしなければならず、コストが非常に掛かってしまうという問題があった。また、せっかく充填容器の透明度を上げたとしても、粉体の収容物が容器の内面に付着してしまうことで、結局内部が視認できなくなってしまうという問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、前記問題点を解決することができ、透明度の低い充填容器であっても、また、暗い場所に設置されている場合であっても、容器内部の収容物の残量が明瞭に視認でき、且つ、製造コストが低廉な充填容器、現像剤充填容器、その現像剤充填容器を備えた画像形成装置、並びに、現像剤充填容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、出荷搬送時の振動により収容物が飛散したり漏出したりすることを防止するため、画像形成装置本体とは別体に形成されて気体を除く流体からなる収容物を収容し、移送先において搬送後の画像形成装置にセットされ、前記収容物を画像形成装置内の他の装置に充填するための充填容器であって、前記収容物を照らすために発光する発光部材を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載発明は、出荷搬送時の振動により現像剤が飛散したり漏出したりすることを防止するため、画像形成装置本体とは別体に形成されて粉体状のトナーを含有する現像剤を収容し、移送先において搬送後の画像形成装置にセットされ、前記現像剤を画像形成装置内の現像装置に充填するための現像剤充填容器であって、前記現像剤を照らすために発光する発光部材を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の現像剤充填容器において、発光部材は、容器本体が画像形成装置にセットされた状態で、充填作業を行う作業者から見て容器本体の奥側に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載発明は、請求項2又は3に記載の現像剤充填容器において、発光部材は、蓄光性樹脂層であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の現像剤充填容器において、蓄光性樹脂層は、容器本体の外表面に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載発明は、請求項5に記載の現像剤充填容器において、蓄光性樹脂層は、透明又は半透明のシール材の表面に蓄光性塗料が塗布され、該シール材が容器本体の外表面に蓄光性塗料ごと貼着されることにより、容器本体の外表面に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の画像形成装置の発明は、請求項2ないし6のいずれかに記載の現像剤充填容器を装着し、現像剤充填容器から現像剤が充填可能なことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、画像形成装置本体には、上部からの光を遮光する遮光部材が設けられ、現像剤充填容器は、前記遮光部材の下方にセットされて現像剤が充填されることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、遮光部材は、画像形成装置本体に突設された庇であることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、出荷搬送時の振動により粉体状のトナーを含有する現像剤が飛散したり漏出したりすることを防止するため、画像形成装置本体とは別体に形成されて、移送先において搬送後の画像形成装置にセットされ、画像形成装置内の現像装置に現像剤を充填するための現像剤充填容器の製造方法であって、透明又は半透明のシール材の表面に蓄光性塗料を塗布する工程と、該蓄光性塗料硬化後に前記シール材を透明又は半透明の樹脂からなる容器本体の外表面に貼着する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明は、前記のようであって、請求項1の発明によれば、出荷搬送時の振動により収容物が飛散したり漏出したりすることを防止するため、画像形成装置本体とは別体に形成されて気体を除く流体からなる収容物を収容し、移送先において搬送後の画像形成装置にセットされ、前記収容物を画像形成装置内の他の装置に充填するための充填容器であって、前記収容物を照らすために発光する発光部材を有するので、発光部材が発光することにより容器内部の収容物の残量が見易くなり視認性が向上する。そのため、容器内部の収容物の残量が明瞭に視認でき、誤って充填が完了する前に当該容器を他の装置から取り外して収容物をこぼしてしまうような不具合を防ぐことができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、出荷搬送時の振動により現像剤が飛散したり漏出したりすることを防止するため、画像形成装置本体とは別体に形成されて粉体状のトナーを含有する現像剤を収容し、移送先において搬送後の画像形成装置にセットされ、前記現像剤を画像形成装置内の現像装置に充填するための現像剤充填容器であって、前記現像剤を照らすために発光する発光部材を有するので、つまり、粉体状のトナーは、飛散し易く、静電気の作用により容器内面に付着し易いものであるため、容器本体が透明又は半透明で外部からの視認性が良い場合であっても、現像剤の残量が視認しにくくなってしまうという不具合があるが、発光部材が発光することにより容器内部の現像剤の残量が見易くなり視認性が向上する。そのため、容器内部の現像剤の残量が明瞭に視認でき、誤って充填が完了する前に当該容器を現像装置から取り外して現像剤が飛散して周囲を汚してしまうようなことを防ぐことができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、請求項2に記載の現像剤充填容器において、発光部材は、容器本体が画像形成装置にセットされた状態で、充填作業を行う作業者から見て容器本体の奥側に設けられているので、前記効果に加え、発光部材から透過光が作業者の目に直接入るので、反射光により現像剤の残量を確認できるほど光量がなくても、現像剤が残っている部分が影となり残量を視認することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項2又は3に記載の現像剤充填容器において、発光部材は、蓄光性樹脂層であるので、発光部材を発光させる電力や動力等が必要なく、安価な構成により容器内部の現像剤の残量の視認性を向上させることができ、前記効果を達成することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、請求項4に記載の現像剤充填容器において、蓄光性樹脂層は、容器本体の外表面に形成されているので、外部からの光を蓄光性樹脂層が蓄光し易くなり通常のオフィス環境の光で前記効果を達成することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、請求項5に記載の現像剤充填容器において、蓄光性樹脂層は、透明又は半透明のシール材の表面に蓄光性塗料が塗布され、該シール材が容器本体の外表面に蓄光性塗料ごと貼着されることにより、容器本体の外表面に形成されているので、蓄光性塗料を塗布・乾燥させる工程を容器本体製造と別工程として、容器本体にシール材を貼着するだけで蓄光性樹脂層を形成することができ、全体として現像剤充填容器の製造時間を短縮することができるため、更に、製造コストを下げて前記効果を達成することができる。
【0022】
請求項7の画像形成装置の発明によれば、請求項2ないし6のいずれかに記載の現像剤充填容器を装着し、現像剤充填容器から現像剤が充填可能なので、前記効果を画像形成装置において達成することができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、請求項7に記載の画像形成装置において、画像形成装置本体には、上部からの光を遮光する遮光部材が設けられ、現像剤充填容器は、前記遮光部材の下方にセットされて現像剤が充填されるので、上部からの邪魔な光を遮光部材で遮り、発光部材からの透過光を視認し易くすることができ、更に、容器内の現像剤の残量を視認し易くすることができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、請求項8に記載の画像形成装置において、遮光部材は、画像形成装置本体に突設された庇であるので、安価な構成により、前記効果を達成することができる。
【0025】
請求項10の発明によれば、出荷搬送時の振動により粉体状のトナーを含有する現像剤が飛散したり漏出したりすることを防止するため、画像形成装置本体とは別体に形成されて、移送先において搬送後の画像形成装置にセットされ、画像形成装置内の現像装置に現像剤を充填するための現像剤充填容器の製造方法であって、透明又は半透明のシール材の表面に蓄光性塗料を塗布する工程と、該蓄光性塗料硬化後に前記シール材を透明又は半透明の樹脂からなる容器本体の外表面に貼着する工程とを有するので、蓄光性塗料を塗布する工程と容器本体製造工程とを別工程として、容器本体にシール材を貼着するだけで現像剤充填容器に発光する蓄光性樹脂層を形成することができ、製造コストを下げて現像剤充填容器の視認性を向上させることができる。そのため、製造コストが比較的安い透明度の低い現像剤充填容器であっても、また、暗い場所に設置されている場合であっても、更に、現像剤が容器内で飛散して現像剤で容器内面が曇っている場合であっても、容器内部の収容物の残量を明瞭に視認することができ、現像剤充填容器を現像装置の充填途中で引き抜いてトナーが飛散して周囲を汚してしまう不具合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を正面から見た状態で示す構成説明図である。
【図2】実施の形態に係る現像装置の外観を右側面方向から見た状態で示す斜視図である。
【図3】図2の現像装置の現像剤受入口を拡大して示す斜視図である。
【図4】正面パネルから各現像装置の現像剤受入口が突出している状況を示す左方向から見た部分拡大斜視図である。
【図5】図1の画像形成装置の現像剤受入口付近を拡大して示す部分拡大右側面図である。
【図6】現像剤充填ボトルを現像装置の現像剤受入口に装着した状態で示す左方向から見た斜視図である。
【図7】図5において現像剤充填ボトルを現像剤受入口に装着した状態で示す部分拡大右側面図。
【図8】現像剤充填ボトルを現像剤受入口に装着した状態で示す鉛直面断面図。
【図9】シール材の断面を模式的に拡大して示す鉛直面断面図。(A)は実施例、(B)は、変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0028】
(画像形成装置の実施の形態)
先ず、本発明に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施の形態として例示するカラー複写機の概略構成を正面から見た状態(フロントドア側を正面として見た状態)で示す構成説明図である。図示するカラー複写機1は、装置全体の筐体である装置本体1aと、この装置本体1aの最上部に配置され、原稿画像を読取るスキャナ(画像読取装置)である画像読取部2と、この画像読取部2の直下に配置され、後述の感光体ドラム上に静電潜像を書き込む露光装置である光学ユニット3と、この光学ユニット3の直下に配置され、画像を形成する画像形成部4と、この画像形成部4の直下に配置され、画像形成部で形成されたトナー像をシート材に転写する転写装置である転写部5と、この転写部5のシート材搬送方向下流側となる装置本体1aの一側寄りに配置され、トナー像をシート材に定着する定着装置である定着部6と、装置本体1aの最下部に配置され、シート材を給送する給紙装置である給紙部7と、装置本体1aの一側面の外側に配置され、手差しのシート材を給送する手差し用給紙装置である手差し部8と、この手差し部8と反対側の装置本体1aの一側面の外側に配置され、画像が定着したシート材を積層載置する排紙部9と、から主に構成されている。
【0029】
画像読取部2は、原稿を載置する透明なコンタクトガラス20と、このコンタクトガラス20を通して原稿を読み取る光学読取装置21と、コンタクトガラス20を被って開閉自在に設けられ、コンタクトガラス20上に原稿を自動搬送する自動原稿搬送装置22(ADF:オートドキュメントフィーダ)などから主に構成され、この光学読取装置21は、移動する露光ランプなどの光源、この光源と共に移動するミラーなどの移動光学系を有し、光源から原稿に光を照射し、反射光をミラー、結像レンズなどを介してCCDなどの画像読み取り素子に結像させて画像を読み取る画像読取装置である。そして、画像読取部2は、ユーザがコンタクトガラス20上にセットするか、又は自動原稿搬送装置22からコンタクトガラス20上に送致される原稿の画像を光学読取装置21で自動的に読み取り、読み取った画像情報を電気信号に変換して図示しない書き込み用の制御手段へ送信する。
【0030】
光学ユニット3は、特に図示していないが、LD(レーザダイオード)等の光源と、走査用の回転多面鏡であるポリゴンミラー、それらを走査するポリゴンモータ、fθレンズ、ミラー等の走査光学系などから主に構成され、光源から後述の感光体ドラムの表面にレーザ光を照射して選択的に露光させ、静電潜像を書き込む露光装置(書き込み装置)である。
【0031】
画像形成部4は、色材三原色と黒色であるイエロー,マゼンダ,シアン,ブラックに対応した4つの作像ユニット40Y,40M,40C,40Kからなり、これらの4つの作像ユニット40(40Y,40M,40C,40K)は、トナーの色が相違するだけで略同じ構成となっており(以下、どの作像ユニットであるかを示す添え字Y,M,C,Kを省略して表記する場合は、いずれかの作像ユニットを例示して説明するものとする。)、図示するように、後述の中間転写ベルト50の上面に沿って、中間転写ベルト50の外周表面の移動方向上流側からイエロー,マゼンダ,シアン,ブラックの順番に並んで配置されている。勿論、4つの作像ユニットの配列順番は、この順番に限られるものではなく、用途や使用するトナーの形状、種類等からトナーの混色の問題を勘案して適宜変更可能である。各作像ユニット40は、それぞれドラム形状の潜像担持体である感光体ドラムY,M,C,Kを備え、この感光体ドラムY,M,C,Kを中心に、その外周に沿って帯電装置41(41Y,41M,41C,41K、)、現像装置42(42Y,42M,42C,42K)、クリーニング装置43(43Y,43M,43C,43K)がそれぞれ配設されており、それぞれ各色の単色トナー像を作像する作像装置である。
【0032】
転写部5は、中間転写体として弾性樹脂製の無端状ベルトからなる中間転写ベルト50と、この中間転写ベルト50を張架し、いずれかが駆動ローラとなって回転駆動する複数の張架ローラ51,52,53と、中間転写ベルト50に適度な張力を付与するテンションローラ54と、中間転写ベルト50の内側、且つ、4つの感光体ドラムY,M,C,Kと対向する位置にそれぞれ設けられ、1次転写バイアスを印加可能な4つの1次転写ローラ55Y,55M,55C,55Kと、張架ローラ52の外周面上で中間転写ベルト50と圧接し、2次転写バイアスを印加可能な2次転写ユニット56と、中間転写ベルト50上の転写残トナーをクリーニングするクリーニングユニット57と、から主に構成されており、中間転写ベルト50と2次転写ユニット56とが、張架ローラ52をバックアップローラとして圧接する2次転写ニップにおいて、中間転写ベルト50上に形成された重畳カラートナー像をシート材に転写する転写装置である。なお、2次転写ユニット56は、駆動ローラと従動ローラとに張架されて回転駆動する搬送ベルト56aを有し、シート材の搬送手段も兼ねている。
【0033】
定着部6は、内部にハロゲンヒータなどの発熱手段が設けられた定着ローラ60と、この定着ローラに付勢手段で付勢されて圧接し、定着ニップを形成する加圧ローラ61と、から主に構成され、この定着ニップで未定着のトナー像を担持したシート材に、熱と圧力を加えて未定着のトナー像をシート材に定着する定着装置である。また、この定着部6は、樹脂などの断熱性を有する材質からなるハウジング等で装置本体1a内の他の部位と区画され、熱が他の部分に伝播して悪影響を及ぼすのを低減するように構成されている。
【0034】
給紙部7は、それぞれ所定の大きさの複数枚のシート材P(シート材の束)を収容可能な4段の給紙トレイ7a,7b,7c,7dと、各給紙トレイにそれぞれ設けられたシート材分離装置70a,70b,70c,70dと、を備え、これらの給紙トレイ、シート材分離装置は、2次転写ニップへ続く搬送路10で連結され、各給紙トレイに収容されたシート材を各シート材分離装置で1枚ずつに分離し、搬送路10を通じて2次転写ニップに給送する給紙装置である。また、搬送路10には、所定間隔毎に設けられた複数の搬送ローラ対11や、中間転写ベルト50上の画像の位置とシート材の先端位置との関係が所定の位置関係となるようにタイミングを調整して搬送するレジストローラ対12なども設けられている。
【0035】
手差し部8は、ユーザが任意のシート材を手差し給紙するための載置台である手差しトレイ8aと、シート材分離装置80aとからなり、前述の搬送路10に連結し、手差ししたシート材を、この搬送路10を通じて2次転写ニップに給送する手差し用の給紙装置である。
【0036】
排紙部9は、定着部6を通過して画像が定着されたシート材を装置本体1aから排出する排紙ローラ対90と、この排紙ローラ対90から排紙されたシート材を積載・載置して収容する排紙トレイ91とから、主に構成され、画像形成・定着後のシート材を載置してストックしておく部位である。
【0037】
(画像形成装置の作像プロセス及び動作)
次に、図1を用いてカラー複写機1の作像プロセスについて説明する。
先ず、各作像ユニット40では、各帯電装置41で各感光体ドラム(Y,M,C,K)の外周表面を一様に帯電させて初期化する。そして、画像読取部2で読み取った画像情報やパソコンなど他の装置から図示しない制御手段に送られてきた各色に色分解された画像情報を基に、各光学ユニット3により感光体ドラムの一様に帯電した外周表面を選択的に露光して帯電電位を低下させることにより静電潜像を形成する。次に、この静電潜像に、各現像装置42により現像バイアスを印加することで各色のトナーを転移させて各色の単色トナー像に可視化して現像する。この単色トナー像は、各1次転写ローラ55により1次転写バイアスが印加され、イエロー,マゼンダ,シアン,ブラックの順番に中間転写ベルト50上に転写されて行き、この中間転写ベルト50上で重畳されてフルカラーのトナー画像となる。
【0038】
一方、給紙部7では、図示しない装置本体の制御手段により選択された給紙トレイ7a,7b,7c,7d、又は手差しトレイ8aのいずれかのトレイから各シート材分離装置(70a,70b,70c,70d,80a)によりシート材が一枚ずつ分離されて送り出される。そして、一枚ずつ給紙されたシート材は、搬送ローラ対11によりが搬送され、搬送路10を通ってレジストローラ対12に到達して一旦停止する。そして、前記フルカラーのトナー画像が担持されている中間転写ベルト50上の位置とシート材の先端位置との関係が所定の位置関係になると、レジストローラ対12が回転駆動して2次転写ニップに向けてシート材が給紙される。
【0039】
2次転写ニップでは、2次転写ユニット56により2次転写バイアスが印加され、中間転写ベルト50の外周面からシート材の一面に静電気力によりフルカラーのトナー画像が転写される。このフルカラーのトナー画像が転写されたシート材は、2次転写ユニット56の搬送ベルト56aにより定着部6に搬送される。次に、定着部6では、定着ニップにおいて、この未定着のフルカラーのトナー画像を担持するシート材に熱と圧力が加えられ、溶融したトナーをシート材に浸透圧着させて定着する。画像が定着されたシート材は、排紙ローラ対90により排紙トレイ91に排紙されてスタックされる。また、2次転写後も中間転写ベルト50上に残留・付着する転写残トナーは、クリーニングユニット57によりクリーングされ、次の画像形成に備えられる。
【実施例】
【0040】
(現像剤充填容器)
次に、本発明に係る現像剤充填容器の実施例である現像剤充填ボトルについて図2〜図9を用いて説明する。
図2に示すように、本発明の実施の形態に係る現像装置42は、ユニットケース本体42a内に現像ユニットとして一体化されており、装置本体1a(作像ユニット40)に対して脱着可能に構成されている。また、このユニットケース本体42aは、現像剤搬送路及び搬送スクリューなどの現像剤搬送手段(図示せず)が軸方向の一方向に延伸されたケース延伸部42bを有しており、このケース延伸部42bには、図3に示すように、現像剤充填ボトル10(図8等参照)又はトナーボトル(図示せず)から供給される新規現像剤又は新規トナー(正確には、トナーが多めに配合されたプレミックス現像剤)を受け入れる現像剤受入口42cが上方に向け開口されている。
【0041】
そして、このケース延伸部42b及び現像剤受入口42cは、図4及び図5に示すように、現像装置42が装置本体1aに装着され、補給ユニット(図示せず)が取り外された状態では、装置本体1aの正面パネルから突出するように構成されている。なお、補給ユニットは、新品の複写機1を設置(セットアップ)して、後述のように、現像剤充填ボトル10により新規現像剤を充填した後、通常の画像形成動作を繰り返し、トナーが消費され、現像装置42内のトナー濃度が減少した場合に、新規トナーが収容されたトナーボトルから新規トナーを現像装置42へ補給するためのユニットであるが、公知のものであるので説明を省略する(特許文献2の補給ユニット600、図11等参照)。
【0042】
本発明に係る現像剤充填容器の実施例である現像剤充填ボトル10は、輸送時の現像剤の飛散・漏出を防止するため、複写機1の設置作業終了後に(又は現像剤の劣化による交換時に現像装置42内の劣化した現像剤を一旦全て排出してから)初期現像剤を現像装置42に充填するためのものであり、主に、初期現像剤を収容する容器本体11と、この容器本体11を確実に現像剤受入口42cに取り付けるための取付け部材12と、から構成されている。図6及び図7に示すように、この取付け部材12でケース延伸部42bの現像剤受入口42cに容器本体11を取り付けて、現像剤搬送手段を駆動させることにより、現像剤充填ボトル10内に収容された初期現像剤を現像装置42に簡単に充填することができるようになっている。このため、装置本体1aの外部から現像剤充填ボトル10を容易に装着して、周囲や作業者(サービススタッフ又はユーザ)の手を汚すことなく、新規現像剤を現像装置42に充填することができる。
【0043】
この容器本体11は、PP樹脂(ポリプロピレン樹脂)やPE樹脂(ポリエチレン樹脂)等の成型容易な透明又は半透明の樹脂を原料とし、図6〜図8に示す口を下にした逆ボトル形状にブロー成型されており、最下端が、取付け部材12で現像装置42に装着した際に現像剤受入口42cと密着して現像装置42内に連通する初期現像剤供給のための供給口11aとなっている。この供給口11aには、2つ折にされた樹脂フィルムからなる封止シール11bが熱融着(ヒートシール)されており、ケース延伸部42bの現像剤受入口42cへ装着した後に、この封止シール11bの一端を引張って、引き抜くことで、供給口11aと現像剤受入口42cとが連通し、容器本体11内に収容されている初期現像剤Nが現像装置42へ充填可能となる仕組みとなっている。このため、現像剤充填ボトル10の輸送中にも現像剤が飛散したり、漏出したりするおそれがない。
【0044】
ここで、初期現像剤Nとは、搬送のため空にしてあった現像装置42に充填されて、トナーが供給されなくてもそのまま現像に使用することができる現像剤のことを指しており、本実施例の初期現像剤Nは、トナーが7[w%]、キャリアが93[w%]のトナー濃度に調節されている。
【0045】
そして、本実施例に係る現像剤充填ボトル10には、図7及び図8に示すように、容器本体11に現像剤Nの残量を視認し易くするために発光して容器内部を照らす発光部材としての蓄光性樹脂層13が形成されている。ここで、蓄光性とは、可視光を受けて、そのエネルギーにより光が消えた後も一定時間可視光を出す性質(狭義の蓄光性)、紫外線等の可視光以外の電磁波の照射によって可視光を出す性質(いわゆる蛍光性)、の両方の性質を含むものを指している。この蓄光性樹脂層13は、図示実施例では、容器本体11の背面、即ち複写機1側の外表面に形成されているが、容器本体11の内面に沿って形成されていてもよい。但し、外表面に形成されていた方が、容器本体11を通過した透過光ではなく、外部からの光を直接蓄光できるため蓄光の効率が良く好ましい。
【0046】
また、充填作業を行う作業者(サービススタッフ)から見て容器本体11の奥側、即ち背面側に発光する蓄光性樹脂層13が形成されていることにより、蓄光性樹脂層13が発する光が、容器本体11を透過した透過光として作業者の目に直接入り、現像剤が残っている部分が影となって視認できるため、少ない光量で容易に現像剤の残量を確認することができる。
【0047】
更に、図7(図5)に示すように、現像剤充填ボトル10の装着位置の上方には、上部からの光を遮光する遮光部材として庇1bが装置本体1aの正面パネルから水平方向へ突設されている。このため、オフィスの照明などの邪魔な光を遮光することができ、蓄光性樹脂層13が発する光が透過する部分と、容器内に残っている現像剤により遮蔽される部分とがはっきり視認し易くなり、更に視認性が向上する。本実施例では、この庇1bの上面が、複写機1の全体の操作を行う操作パネルとなっており、スペースの有効活用ができ、レイアウト上有利となっている。
【0048】
なお、装置本体1aの正面パネル側に現像剤充填ボトル10を装着する場合で説明したが、側面パネル側や背面パネル側に現像剤受入口42cが突設されて装着可能となっていても構わない、但し、ユーザやサービススタッフの利便性を考えると正面パネル側にあった方が好ましい。
【0049】
本実施例に係る蓄光性樹脂層13は、グローペイントやコスミックグローなどの一般に市場で入手可能な蓄光性塗料(蓄光性顔料を溶剤で希釈したもの)を塗布するなどして形成すればよいが、特に形成方法が限定されるものではなく、何らかの方法で蓄光性の樹脂層が形成されていれば良い。蓄光性塗料に含まれる蓄光性顔料としては、酸化物系蓄光性顔料、特にアルカリ土類金属の酸化物と酸化アルミニウムを母結晶とし、賦活剤として希土類金属原子を含有してなる蓄光性顔料等を用いることができる。
【0050】
(現像剤充填容器の製造方法)
次に、現像剤充填容器の製造方法について、特に、蓄光性樹脂層13の形成方法について図9を用いて説明する。
本実施例に係る現像剤充填ボトル10の製造方法は、容器本体11の製造工程については、ブロー成型やインジェクション成型などを組み合わせた公知の製造方法で製造されているので説明を省略するが、特徴的な工程としては、蓄光性樹脂層13を形成する工程が、図9(A)に示すように、透明又は半透明のフィルム材14’を基体とし、片面に接着剤層15が形成された多数枚のシール材14の表面14a(接着剤層15が形成されていない面)に前記蓄光性塗料を塗布・乾燥して、蓄光性樹脂層13が形成されたシール材14を多数枚一度に作成し、そして、別工程の公知の製造方法で容器本体11を製造・成型した後、容器本体11の背面となる所定位置(図8参照)に前記シール材14(及び蓄光性樹脂層13)を貼着することで蓄光性樹脂層13を容器本体11の外表面上に形成する点である(図9(a)参照)。
【0051】
なお、図9(B)に示すように、フィルム材14’の裏面14b(内面:容器本体11側となる面)、即ち貼着面側に前記蓄光性塗料を塗布・乾燥させて蓄光性樹脂層13を形成し、その後、接着剤を塗布してシール材14を作成し、容器本体11に貼着することも可能である。この場合、容器本体11を通して蓄光可能なので、フィルム材14’を透明又は半透明としなくても構わない。しかし、前記のように、接着剤層15が形成されていない面14a(図9(a)参照)に蓄光性塗料を塗布した方が、市販のシール材をそのまま使用することができ、コスト面で有利である。
【0052】
このように、本実施例に係る現像剤充填容器の製造方法によれば、蓄光性樹脂層の形成工程を容器本体の製造工程と別工程とすることで容器ごとに蓄光性塗料を塗布・乾燥させる時間を省くことができ、貼着するという短時間作業だけで周囲の明りを蓄光して発光し、現像剤充填容器を照らす蓄光性樹脂層を形成することができるので、全体として現像剤充填ボトルの製造時間を短縮して製造コストを下げることができる。このため、透明度の低い低廉な原料を使用しつつ、充填時に容器内部の現像剤の残量が明瞭に視認できる現像剤充填容器を低コストで提供することができる。
【0053】
以上のように、この発明の実施の形態に係る画像形成装置として複合機であるカラー複写機を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限られず、例えば、カラー用のプリンタやモノクロ用のFAXなどにも本発明を適用することができる。要するに、出荷搬送時の振動により収容物が飛散したり漏出したりすることを防止するため、画像形成装置本体とは別体に充填容器を備え、この充填容器を移送後に装着して収容物を画像形成装置内の他の装置に充填するものには適用することができる。
【0054】
そして、発明の詳細な説明における光学読取装置、自動原稿搬送装置、光学ユニット、画像形成部、転写部、定着部、給紙部、手差し部、排紙部等は、あくまでも一例を示したものであって、他の公知の装置・手段などの構成を採用することができる。その場合でも、前記課題に対して同様の作用効果を奏することは明らかである。また、図面で示した各構成部材の形状や構造等も、あくまでも好ましい一例を示すものであり、特許請求の範囲内で適宜設計変更可能であることは云うまでもない。特に、充填容器として現像剤充填容器を例に挙げて説明したが、充填容器の収容物は、現像剤に限られず、自重で落下して充填可能な気体を除く流体(粉粒体、ゾル、液体などを含む)であれば適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 複写機(画像形成装置)
1a 装置本体(筐体)
1b 庇(遮光部材)
10 現像剤充填ボトル(現像剤充填容器,充填容器)
11 容器本体
13 蓄光性樹脂層
14 シール材
14’ フィルム材
14a 表面(外部側の面)
14b 裏面(容器本体側の面)
15 接着剤層
42 現像装置(現像ユニット)
42a ユニットケース本体
42b ケース延伸部
42c 現像剤受入口
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2009−086626号公報
【特許文献2】特開2009−103937号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出荷搬送時の振動により収容物が飛散したり漏出したりすることを防止するため、画像形成装置本体とは別体に形成されて気体を除く流体からなる収容物を収容し、移送先において搬送後の画像形成装置にセットされ、前記収容物を画像形成装置内の他の装置に充填するための充填容器であって、前記収容物を照らすために発光する発光部材を有することを特徴とする充填容器。
【請求項2】
出荷搬送時の振動により現像剤が飛散したり漏出したりすることを防止するため、画像形成装置本体とは別体に形成されて粉体状のトナーを含有する現像剤を収容し、移送先において搬送後の画像形成装置にセットされ、前記現像剤を画像形成装置内の現像装置に充填するための現像剤充填容器であって、前記現像剤を照らすために発光する発光部材を有することを特徴とする現像剤充填容器。
【請求項3】
請求項2に記載の現像剤充填容器において、前記発光部材は、容器本体が画像形成装置にセットされた状態で、充填作業を行う作業者から見て容器本体の奥側に設けられていることを特徴とする現像剤充填容器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の現像剤充填容器において、前記発光部材は、蓄光性樹脂層であることを特徴とする現像剤充填容器。
【請求項5】
請求項4に記載の現像剤充填容器において、前記蓄光性樹脂層は、容器本体の外表面に形成されていることを特徴とする現像剤充填容器。
【請求項6】
請求項5に記載の現像剤充填容器において、前記蓄光性樹脂層は、透明又は半透明のシール材の表面に蓄光性塗料が塗布され、該シール材が容器本体の外表面に蓄光性塗料ごと貼着されることにより、容器本体の外表面に形成されていることを特徴とする現像剤充填容器。
【請求項7】
請求項2ないし6のいずれかに記載の現像剤充填容器を装着し、現像剤充填容器から現像剤が充填可能なことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、画像形成装置本体には、上部からの光を遮光する遮光部材が設けられ、前記現像剤充填容器は、前記遮光部材の下方にセットされて現像剤が充填されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、前記遮光部材は、画像形成装置本体に突設された庇であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
出荷搬送時の振動により粉体状のトナーを含有する現像剤が飛散したり漏出したりすることを防止するため、画像形成装置本体とは別体に形成されて、移送先において搬送後の画像形成装置にセットされ、画像形成装置内の現像装置に現像剤を充填するための現像剤充填容器の製造方法であって、
透明又は半透明のシール材の表面に蓄光性塗料を塗布する工程と、該蓄光性塗料硬化後に前記シール材を透明又は半透明の樹脂からなる容器本体の外表面に貼着する工程とを有することを特徴とする現像剤充填容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−8106(P2011−8106A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152701(P2009−152701)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】