説明

充填筒装置

【課題】充填筒を装置内に設置した状態で、容易に、かつ、短時間で充填剤を排出したり、充填したりすることができ、しかも安全性の向上が図れ、充填剤等を大気に暴露させずに排出、充填することも可能な充填筒装置を提供する。
【解決手段】充填筒12の上部に充填剤充填口16及び充填用排気口17を、下部に充填剤排出口18を備え、充填剤充填口16を充填経路26を介してガス流入部を有する充填剤供給源(容器22)に、排気口側吸引経路29及び排出口側吸引経路30を吸引手段23に接続し、排気口側吸引経路を充填用排気口に、排出口側吸引経路を充填剤排出口に接続し、充填剤排出口から吸引手段に至る経路の途中に充填剤分離手段24を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填筒装置に関し、詳しくは、筒内に除害剤、吸着剤、乾燥剤、触媒等の粒状充填剤を充填して各種ガス処理を行う充填筒における充填剤の充填、排出、交換を行う機能を備えた充填筒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種ガスや液体を処理する充填剤を充填した充填筒装置は、様々な分野で広く使用されている。例えば、半導体製造装置からの排ガスを無害化する排ガス処理装置として、粒状の除害剤を充填した充填筒を有する排ガス処理装置が知られている。このような排ガス処理装置では、定期的に除害剤を交換するメンテナンスが行われており、通常は、充填筒を装置から取り外して除害剤を筒内から抜き取り、新しい除害剤を筒内に充填した後、再び装置に取り付ける作業を行っていた。
【0003】
しかし、上述のような充填剤の交換方法では、充填筒が大型の場合は、ガス処理装置に対する着脱や運搬が困難であり、また、クリーンルームに設置されている排ガス処理装置の場合は、充填筒をクリーンルームから運び出して別の場所で作業を行う必要があり、多大な手間を要していた。さらに、充填筒に充填する充填剤の種類によっては、充填剤や充填筒の内面を長時間にわたって大気に暴露できないものもある。また、毒性ガスを処理した後の充填剤(除害剤)を充填筒から排出する場合には、安全性が極めて重要な問題となる。
【0004】
このようなことから、充填剤をガス流れに同伴させてホッパーから充填筒に移送する方法や装置が各種提案されており、例えば、触媒の供給先である反応容器より上方位置に常時設置したホッパーから自然落下を利用して触媒を反応容器内に供給する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平5−221531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載されたシステムのように、筒内や容器内に粉粒体を充填する方法、装置は数多く提案されているものの、充填筒内に充填されている充填剤の交換、すなわち、充填筒内からの充填剤の排出と、充填剤排出後の充填筒内への充填剤の充填との関連については、特に充填剤の排出についてはほとんど言及されていない。
【0006】
そこで本発明は、充填筒を装置内に設置した状態で、容易に、かつ、短時間で充填剤を排出したり、充填したりすることができ、しかも安全性の向上が図れ、充填剤等を大気に暴露させずに排出、充填することも可能な充填筒装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の充填筒装置は、内部に粒状の充填剤を充填した充填筒を備え、該充填筒の一端部から導入される流体を前記充填剤に接触させて他端部から導出する充填筒装置において、前記充填筒は、該充填筒の上部に充填剤充填口及び充填用排気口を、下部に充填剤排出口をそれぞれ備え、前記充填剤充填口を充填経路を介してガス流入部を有する充填剤供給源に接続し、排気口側吸引経路と排出口側吸引経路とをそれぞれ吸引手段に接続し、前記排気口側吸引経路を前記充填用排気口に、前記排出口側吸引経路を前記充填剤排出口にそれぞれ接続するとともに、前記充填剤排出口から前記吸引手段に至る経路の途中に充填剤分離手段を設けたことを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明の充填筒装置は、前記充填剤充填口及び前記充填用排気口が、各口を通るガスの流れ方向をガイドするためのガイド筒をそれぞれ備え、前記充填用排気口のガイド筒の軸線における充填筒内部方向の延長線は、前記充填剤充填口のガイド筒の軸線における充填筒内部方向の延長線に対して平行又は離間する方向に向けられていることを特徴としている。
【0009】
また、前記充填剤充填口が、該充填剤充填口から充填筒内に投入される充填剤の投入方向をガイドするためのガイド筒を備えており、該ガイド筒の軸線における充填筒内部方向の延長線と、充填筒の鉛直方向の中心線とが充填剤の充填範囲内で交差していること、さらに、該ガイド筒が充填剤の投入方向が調整可能に形成されていることを特徴としている。
【0010】
さらに、前記充填剤排出口が該充填剤排出口から充填筒の側方に突出する排出筒を備えており、該排出筒の突出端の開口下縁が、前記充填剤排出口の上縁よりも上方位置に設けられていることを特徴とし、また、前記充填剤排出口が充填筒の側面に開口し、該充填剤排出口に対向する前記充填筒の側面に、充填剤排出口から充填剤を排出するときに充填筒内の充填剤を充填剤排出口方向に向けて移動させるガスを噴出する移動ガス噴出口を備えていることを特徴としている。
【0011】
前記充填筒は、充填筒内下部にガスが流通可能な充填剤支持部材を備えており、前記充填剤排出口が充填筒の側面で前記充填剤支持部材の直上に開口するとともに、前記充填剤支持部材の下方に、充填剤排出口から充填剤を排出するときに外部から充填筒内にガスを導入するガス吸入部が設けられていることを特徴としている。
【0012】
また、前記充填剤分離手段は、充填剤をガスから分離して捕捉する充填剤分離部と、該充填剤分離部の充填筒側経路に接続される入口部と、吸引手段側経路に接続される出口部とを有していること、あるいは、充填剤をガスから分離して捕捉する充填剤分離部が前記吸引手段の吸引側に一体的に設けられていることを特徴としている。
【0013】
さらに、前記吸引手段に接続した吸引経路を経路切換手段を介して分岐し、分岐した各経路を前記排気口側吸引経路と排出口側吸引経路とにそれぞれ接続したことを特徴としている。また、前記充填剤充填口、前記充填用排気口及び前記充填剤排出口と、前記充填経路、前記排気口側吸引経路及び前記排出口側吸引経路とは、それぞれ着脱可能に形成され、各経路を構成する機材、前記充填剤供給源、前記吸引手段及び前記充填剤分離手段が一体的に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の充填筒装置によれば、ガス処理装置に組み込まれた充填筒を装置から取り外すことなく、筒内からの充填剤の排出や筒内への充填剤の充填を簡単に効率よく行うことができる。これにより、充填剤の交換等における作業性を大幅に向上させることができ、ガス処理装置のメンテナンス時間の短縮も図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の一形態例を示す充填筒装置の系統図である。この充填筒装置は、内部に充填剤11を充填した充填筒12と、該充填筒12内の充填剤を交換するための充填剤交換装置13とを備えている。充填筒12は、下部に設けられた通気性を有する充填剤支持部材14によって上下に区画されており、この充填剤支持部材14上に充填剤11が支持されて所定高さに充填されている。
【0016】
充填筒12の上部には、半導体製造装置からの排ガス等が導入されるガス入口管15と、充填剤11を筒内に投入充填するための充填剤充填口16と、充填剤11を筒内に充填するときに筒内ガスを真空吸引するための充填用排気口17とが設けられている。
【0017】
また、充填筒12の下部には、充填剤支持部材14の直上位置に、充填剤11を筒内から排出するための充填剤排出口18と、充填剤11を筒内から排出するときに充填剤11を充填剤排出口18の方向へ移動させるガスを噴出するための移動ガス噴出口19とが設けられ、充填剤支持部材14の下方には、充填剤11で処理したガスを導出する処理ガス出口管20と、充填剤排出口18から充填剤11を排出する際に筒内にガスを導入するためのガス吸入部21とが設けられている。
【0018】
充填剤交換装置13は、充填筒12内に充填する充填剤11を貯留する容器部にガス流入部22aを設けた充填剤供給容器22と、筒内ガスを吸引するための吸引手段23と、筒内から排出した充填剤11を吸引手段23に吸引されるガスから分離する充填剤分離手段24とを備えており、充填剤供給容器22と充填剤充填口16とが充填弁25を有する充填経路26によって接続され、吸引手段23と充填剤分離手段24とが吸引経路27によって接続され、さらに、充填剤分離手段24と充填用排気口17及び充填剤排出口18とは、経路切換手段28を介して排気口側吸引経路29と排出口側吸引経路30とでそれぞれ接続されている。
【0019】
また、前記移動ガス噴出口19には、ガス噴出弁31を有する移動ガス噴出経路32を介して圧縮ガスを貯留する圧縮ガスタンク33が接続されており、この圧縮ガスタンク33には、圧縮ガス供給弁34と圧力計35とを備えた圧縮ガス供給経路36が設けられている。
【0020】
通常のガス処理を行う際には、ガス入口管15のガス入口弁37及び処理ガス出口管20のガス出口弁38のみを開き、他の弁は全て閉じた状態で、充填剤11で処理するガスをガス入口管15から充填筒12内に導入し、充填剤11で処理したガスを処理ガス出口管20から導出する。このとき、充填剤交換装置13は停止状態となっている。
【0021】
充填筒12内の充填剤11の交換は、次の手順で行われる。まず、充填筒12内に大気や窒素ガス等を導入して充填筒12内を安全な雰囲気とした後、経路切換手段28の排出口側吸引経路30側を開き、吸引手段23によって充填筒12内のガスを充填剤排出口18から排出口側吸引経路30、経路切換手段28、充填剤分離手段24、吸引経路27を通して吸引できる状態とする。また、ガス吸入部21の吸入弁39を開くとともに、圧縮ガス供給弁34を開閉して圧縮ガスタンク33内に圧縮ガスを充填しておく。
【0022】
この状態で吸引手段23を運転すると、充填筒12内の充填剤11は、充填剤排出口18から吸引手段23に吸引されるガスに同伴されて排出口側吸引経路30、経路切換手段28を経て充填剤分離手段24に吸引され、充填剤分離手段24でガスから分離されて充填剤分離手段24の充填剤回収部24aに回収される。このとき、充填筒12内には、下方のガス吸入部21からガスが流入し、充填剤支持部材14を通過して上方にガスが吹き上がる状態になるので、充填筒12内の充填剤11を流動状態として充填剤排出口18からの充填剤11の排出を効率よく行えるようにしている。なお、筒上部の充填剤充填口16等から適量のガスを流入させるようにしてもよい。
【0023】
また、ガス噴出弁31を適宜開いて圧縮ガスタンク33内の圧縮ガスを移動ガス噴出口19から噴出し、噴出した圧縮ガスの流れで充填剤支持部材14上の充填剤11を充填剤排出口18の方向に移動させることにより、充填剤排出口18からの充填剤11の排出を確実に行うことができる。これにより、充填剤支持部材14の充填剤11の残留量を低減することができ、充填筒12内の充填剤11を効率よく排出することができる。
【0024】
さらに、前記移動ガス噴出口19を、図2の概略水平断面図に示すように、充填剤排出口18の対向位置に複数箇所、例えば4箇所に設けておき、これらの移動ガス噴出口19から圧縮ガスを噴出させることにより、充填剤11をより確実に充填剤排出口18の方向に移動させて排出することができる。なお、前記移動ガス噴出口19の配置や噴出口(ノズル)の形状は、充填筒12の断面積や充填剤11の性状に応じて適宜に選択することができる。移動ガス噴出口19からの圧縮ガスの噴出量は、ガス吸入部21に逆流を生じないように、吸引手段23の吸引ガス量未満に設定する。
【0025】
また、移動ガス噴出口19からのガスの噴出は、充填剤排出操作開始から連続的に行ってもよいが、充填筒12内の充填剤量が少なくなったとき、例えば、充填高さが1/10以下になったときや、充填剤量が10g/cm以下になったときにガスを導入することにより、充填剤11の排出効率を高めることができる。
【0026】
加えて、図3の要部縦断面図に示すように、充填剤支持部材14の周囲に、筒内周側に向かって下方に傾斜した傾斜面を上面に形成したガイド部材40を設けておくことにより、筒周壁と充填剤支持部材14との隅部に充填剤11が残留することを防止できる。さらに、ガス吸入部21の吸入弁39を間欠的に開閉し、筒内に導入するガスに脈動を発生させることにより、充填剤支持部材14の通気部に捕捉された微小粉を充填剤支持部材14から除去して排出することができ、充填剤支持部材14の通気性能を回復させることができる。また、充填剤支持部材14に充填剤排出口18方向に向かう下り勾配を設けることも可能である。
【0027】
充填剤分離手段24では、充填剤11の性状や量に応じた適宜な分離手段、例えば、サイクロン、フィルタ等を使用したり、充填剤11の自重により、充填剤11をガス流から分離する。分離して充填剤回収部24aに回収された充填剤11は、充填剤回収部24aを充填剤分離手段24の本体となる充填剤分離部24bから取り外し可能で、かつ、密閉可能な容器や袋としておくことにより、所定の再生工場や処理場に容易に搬送することができ、密閉して搬送することにより、大気中の酸素や水分等との接触も最小限に抑えることができるとともに、毒性ガスを処理した除害剤の処理における安全性も高めることができる。
【0028】
また、充填剤11が毒性ガスを処理した除害剤の場合は、吸引手段23からガスを排出する排気管41を除害装置に接続し、除害処理を行ってから大気中に放出すればよい。さらに、充填剤11や充填筒12の内面を長時間にわたって大気に暴露できない場合は、ガス吸入部21及び移動ガス噴出口19から筒内に導入するガスを窒素等の不活性ガスにすればよい。
【0029】
充填剤11の排出終了は、時間を設定して行ってもよく、充填筒12に設けた監視窓から内部の状態を観察して判断してもよく、充填剤分離手段24における充填剤11の回収量で判断してもよい。
【0030】
このようにして充填筒12内から古い充填剤11を排出した後、新しい充填剤11を充填筒12内に充填する。まず、充填剤供給容器22に新しい充填剤11を用意し、経路切換手段28の排気口側吸引経路29側を開くとともに、充填弁25を開く(他の弁は全て閉)。この状態で吸引手段23を運転すると、充填筒12内のガスが充填用排気口17から排気口側吸引経路29、経路切換手段28、充填剤分離手段24、吸引経路27を通して吸引手段23に吸引されるため、充填筒12内が負圧になって充填経路26に充填剤供給容器22から充填経路26及び充填剤充填口16を通って充填筒12に向かうガスの流れが発生し、このガスの流れに充填剤供給容器22内の新しい充填剤11が同伴され、充填筒12内に搬送されて充填される。
【0031】
このとき、充填剤供給容器22には、ガス流入部22aを通って外気が流入するが、大気との接触が好ましくない充填剤11の場合や、充填筒12内への大気の流入が好ましくない場合は、ガス流入部22aから窒素等の不活性ガスを充填剤供給容器22内に導入すればよい。
【0032】
また、充填用排気口17を吸引手段23に直接接続することもできるが、充填剤分離手段24を介在させることにより、充填用排気口17から吸引した微粉体等が吸引手段23に悪影響を与えることを回避できる。
【0033】
さらに、充填筒12内への充填剤11の充填を効率よく行うため、充填剤充填口16及び充填用排気口17の位置や軸線を適切に設定することが好ましい。例えば、充填剤充填口16及び充填用排気口17にガイド筒16a,17aをそれぞれ設けておき、各ガイド筒16a,17aの軸線16b,17bの方向を、互いに平行な方向、あるいは、充填筒内部方向の延長線が離間する方向に向けたりすることにより、ガイド筒16aから筒内に投入された充填剤11がガイド筒17aに吸入されるのを抑制することができ、充填筒12内への充填剤11の充填効率を向上させることができる。
【0034】
また、ガイド筒16aの軸線16bは、充填筒12の鉛直方向の中心線と、充填剤11の充填範囲内、特に、充填高さの1/2付近の位置で交差するように設定することが好ましく、軸線16bの方向を充填剤11の状態等に応じて調整できるように形成しておくこともできる。例えば、図5に示すように、充填筒12の直径(内径)が260mm、充填剤支持部材14から充填剤充填口16までの高さが450mmで、充填剤充填口16を内周面から50mm内側に設け、充填剤11の充填高さを300mmとした場合は、充填剤充填口16の軸線16bの角度を、軸線16bが中心線Cの最下端と交差する約80度から、中心線Cの充填高さ最高部で交差する約60度までの範囲に設定することが好ましい。このように、充填剤充填口16に設けたガイド筒16aの軸線16bの方向を特定の方向に向けることにより、充填剤11の充填面の高低差を小さくすることができる。
【0035】
充填剤11を搬送するガスの流速は任意に設定できるが、早すぎると充填剤11が擦れ合って充填剤11や配管、ホース等が損傷するおそれがあり、また、充填用排気口17から流出するガスに充填剤11が同伴されてしまうこともあるため、充填経路26を構成する配管やホースの径を含めて適当な範囲の流速に設定することが好ましい。特に、充填剤充填後に充填剤充填口16から充填筒12内に高速でガスのみが噴出すると、充填後の充填剤11の表面部分がガス流れによって吹き飛ばされ、充填剤11に高低差を発生させることがあるので、充填剤11の重量等を考慮して適切な流速に設定する必要がある。また、充填状態に応じて流速を変化させてもよく、充填剤充填後は、吸引手段23を速やかに停止させることが好ましい。
【0036】
このような充填剤交換装置13は、充填筒12に一体化させた状態としておくこともできるが、複数の充填筒12における充填剤11の交換に対応させることもできる。すなわち、充填剤充填口16、充填用排気口17及び充填剤排出口18と、充填経路26、排気口側吸引経路29及び排出口側吸引経路30とを、適宜な連結手段で着脱可能に形成し、各経路を構成する配管やホース等の機材、充填剤供給源となる充填剤供給容器22、吸引手段23及び充填剤分離手段24を一体的に形成し、例えばキャスター付きの筐体内に収納しておくことにより、充填剤11の交換を行う充填筒12の各口16,17,18に各経路26,29,30を連結した状態で前述のような充填剤交換操作を行い、充填剤交換後は、この充填筒12と充填剤交換装置13との連結状態を解除し、別の充填筒や別のガス処理装置の充填筒と充填剤交換装置13とを連結して同様の充填剤交換操作を行うことができ、一つの充填剤交換装置13で複数の充填筒12の充填剤交換に対応することができる。
【0037】
このとき、各経路26,29,30の少なくとも一部を柔軟なフレキシブルホースで形成しておくことにより、各口16,17,18への各経路26,29,30の着脱作業を容易に行うことができる。また、充填剤排出口18の外側に排出筒18aを突設し、この排出筒18aの突出端の開口下縁を、充填筒12の側面に開口した充填剤排出口18の上縁よりも上方に位置させておくことにより、充填剤11が充填された状態で排出口側吸引経路30を取り外しても、筒内の充填剤11が排出筒18aからこぼれ落ちることを防止できる。この排出筒18aは、充填筒12の周壁に直管を斜めに接合してもよいが、エルボのような曲管を用いることもできる。
【0038】
なお、各経路を構成する配管、ホースには、帯電が防止されたものを使用することが好ましく、その他の機器についても、静電気の発生を防止するため、充填剤交換装置13の運転中は接地しておくことが好ましい。また、充填剤供給容器22はホッパー状のものであってもよく、吸引手段23と充填剤分離手段24は、真空掃除機のように一体化することも可能である。
【0039】
排気口側吸引経路29と排出口側吸引経路30は、経路切換手段28を持たない1本の経路とし、充填剤の排出時と充填時とで充填用排気口17と充填剤排出口18とに付け替えるようにしてもよく、各経路を取り外した各口には、適宜な閉塞手段を装着して密閉しておけばよい。このように各経路を着脱する場合は、吸着剤の排出、充填に必要な口に経路を接続し、他の口は閉塞しておくことにより、各経路の弁を省略することも可能である。
【0040】
各口や経路の口径は、充填剤の大きさに応じて設定されるものであって、屈曲部等での詰まりを防止するため、通常は、充填剤の大きさの5倍以上の口径とすることが好ましいが、口径を大きくし過ぎると充填剤11の搬送に大量のガスを高速で流す必要が生じ、コスト増ともなるので、最大でも50mm程度の口径とすることが望ましい。
【0041】
また、充填剤支持部材14を持たずに、処理ガス出口管20の開口に充填剤の流出を防止するフィルター等を設けた充填筒の場合は、充填剤排出口18を充填筒12の底部鏡板に開口させることができる。この場合、ガス吸入部21は、処理ガス出口管20に接続してもよく、底部鏡板等に設けてもよい。
【実施例1】
【0042】
内径約260mm、内側高さ約635mmの充填筒に、直径4mm、重量30mmg(密度0.8kg/L)で略球形の粒状充填剤を11.7kg充填し、充填高さ約300mmとした充填筒の充填剤を交換する実験を行った。充填剤充填口、充填用排気口、充填剤排出口及びガス吸入部の口径はそれぞれ30mmとし、充填剤排出口には45度の上昇角を有する排出筒を設けた。充填剤充填口は、水平面に対する仰角を70度とし、外周から48.77mm内側に設けた。各口に接続する各経路には口径32mmで長さ3mのゴム製のホースをそれぞれ使用し、吸引手段には、最大風量3m/min、到達圧力610Torrの吸引機を使用した。また、充填筒は床面から60cmの位置に、充填剤分離手段及び充填剤供給容器は床面にそれぞれ設置した。
【0043】
まず、充填筒内から充填剤を排出するため、充填剤充填口及び充填用排気口を閉止した状態で吸引手段を起動し、ガス吸入部から大気を導入しながら充填剤排出口から充填剤を吸引して充填剤分離手段に回収した。移動ガス噴出口からのガスの噴出は行わずに90秒後に吸引手段を停止し、充填筒内に残留した充填剤の重量を測定した。その結果、充填剤残留量は303.7gであり、排出効率は97.4%であった。また、90秒後経過後に4箇所の移動ガス噴出口(口径2mm)から0.3MPa(ゲージ圧)に圧縮した空気を60秒間導入して充填剤を回収したところ、充填剤残留量は94gとなり、排出効率は99.2%となった。
【0044】
一方、比較として、充填筒をガス処理装置から取り外して外部に搬出し、充填筒の蓋を開いて充填剤を排出する従来法の場合は、充填剤残留量は30g以下となったが、装置からの取り外しや搬送時間を含めて40分以上を要し、本実施例で使用した比較的小型の充填筒であっても作業を2人以上で行わなければならず、これより大型の充填筒の場合には、リフト等の機器を使用する必要があることがわかった。
【0045】
また、内径約160mm、内側高さ約730mmで、充填剤充填口の仰角を水平面から80度とした充填筒に、同じ充填剤を7.2kg充填した充填筒(各口の口径等は同じ)についても同様の排出操作を行ったところ、移動ガスを使用しない場合で、充填剤残留量は290g、排出効率は96.0%であり、2箇所に設けた移動ガス噴出口(口径2mm)から0.3MPa(ゲージ圧)に圧縮した空気を60秒間導入した場合は、充填剤残留量が10g、排出効率が99.9%になった。
【0046】
このようにして充填剤を排出した充填筒に新しい充填剤を充填した。充填剤供給容器に11.7kgの充填剤を用意し、吸引手段を起動して充填剤の充填を行い、充填剤供給容器内の充填剤が無くなった時点で吸引手段を停止させて充填操作を終了した。要した時間は60秒であり、充填用排気口からは微小粉のみが吸引されて充填剤は吸引されなかった。また、充填高さは300mmとなり、充填面の高低差も20mm程度であった。
【0047】
さらに、内径約160mm、内側高さ約730mmの充填筒に7.2kgの充填剤を充填するのに要した時間は40秒であった。また、充填筒の蓋を開いて充填剤を充填する従来法では、10分以上を要してしまい、充填筒の搬送やガス処理装置への取り付けを含めると合計で40分以上を必要とした。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一形態例を示す充填筒装置の系統図である。
【図2】充填筒の概略水平断面図である。
【図3】充填筒下部の要部縦断面図である。
【図4】充填筒上部の要部縦断面図である。
【図5】ガイド筒の軸線の方向を説明するための図である。
【符号の説明】
【0049】
11…充填剤、12…充填筒、13…充填剤交換装置、14…充填剤支持部材、15…ガス入口管、16…充填剤充填口、16a,17a…ガイド筒、17…充填用排気口、18…充填剤排出口、18a…排出筒、19…移動ガス噴出口、20…処理ガス出口管、21…ガス吸入部、22…充填剤供給容器、22a…ガス流入部、23…吸引手段、24…充填剤分離手段、24a…充填剤回収部、24b…充填剤分離部、25…充填弁、26…充填経路、27…吸引経路、28…経路切換手段、29…排気口側吸引経路、30…排出口側吸引経路、31…ガス噴出弁、32…移動ガス噴出経路、33…圧縮ガスタンク、34…圧縮ガス供給弁、35…圧力計、36…圧縮ガス供給経路、37…ガス入口弁、38…ガス出口弁、39…吸入弁、40…ガイド部材、41…排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に粒状の充填剤を充填した充填筒を備え、該充填筒の一端部から導入される流体を前記充填剤に接触させて他端部から導出する充填筒装置において、前記充填筒は、該充填筒の上部に充填剤充填口及び充填用排気口を、下部に充填剤排出口をそれぞれ備え、前記充填剤充填口を充填経路を介してガス流入部を有する充填剤供給源に接続し、排気口側吸引経路と排出口側吸引経路とをそれぞれ吸引手段に接続し、前記排気口側吸引経路を前記充填用排気口に、前記排出口側吸引経路を前記充填剤排出口にそれぞれ接続するとともに、前記充填剤排出口から前記吸引手段に至る経路の途中に充填剤分離手段を設けたことを特徴とする充填筒装置。
【請求項2】
前記充填剤充填口及び前記充填用排気口は、各口を通るガスの流れ方向をガイドするためのガイド筒をそれぞれ備え、前記充填用排気口のガイド筒の軸線における充填筒内部方向の延長線は、前記充填剤充填口のガイド筒の軸線における充填筒内部方向の延長線に対して平行又は離間する方向に向けられていることを特徴とする請求項1記載の充填筒装置。
【請求項3】
前記充填剤充填口は、該充填剤充填口から充填筒内に投入される充填剤の投入方向をガイドするためのガイド筒を備えており、該ガイド筒の軸線における充填筒内部方向の延長線と、充填筒の鉛直方向の中心線とが充填剤の充填範囲内で交差していることを特徴とする請求項1又は2項記載の充填筒装置。
【請求項4】
前記充填剤充填口は、該充填剤充填口から充填筒内に投入される充填剤の投入方向をガイドするためのガイド筒を備えており、該ガイド筒は、充填剤の投入方向が調整可能に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の充填筒装置。
【請求項5】
前記充填剤排出口は、該充填剤排出口から充填筒の側方に突出する排出筒を備えており、該排出筒の突出端の開口下縁が、前記充填剤排出口の上縁よりも上方位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の充填筒装置。
【請求項6】
前記充填剤排出口が充填筒の側面に開口し、該充填剤排出口に対向する前記充填筒の側面に、充填剤排出口から充填剤を排出するときに充填筒内の充填剤を充填剤排出口方向に向けて移動させるガスを噴出する移動ガス噴出口を備えていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の充填筒装置。
【請求項7】
前記充填筒は、充填筒内下部に、ガスが流通可能な充填剤支持部材を備えており、前記充填剤排出口が充填筒の側面で前記充填剤支持部材の直上に開口するとともに、前記充填剤支持部材の下方に、充填剤排出口から充填剤を排出するときに外部から充填筒内にガスを導入するガス吸入部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の充填筒装置。
【請求項8】
前記充填剤分離手段は、充填剤をガスから分離して捕捉する充填剤分離部と、該充填剤分離部の充填筒側経路に接続される入口部と、吸引手段側経路に接続される出口部とを有していることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の充填筒装置。
【請求項9】
前記充填剤分離手段は、充填剤をガスから分離して捕捉する充填剤分離部が前記吸引手段の吸引側に一体的に設けられていることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の充填筒装置。
【請求項10】
前記吸引手段に接続した吸引経路を経路切換手段を介して分岐し、分岐した各経路を前記排気口側吸引経路と排出口側吸引経路とにそれぞれ接続したことを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載の充填筒装置。
【請求項11】
前記充填剤充填口、前記充填用排気口及び前記充填剤排出口と、前記充填経路、前記排気口側吸引経路及び前記排出口側吸引経路とは、それぞれ着脱可能に形成され、各経路を構成する機材、前記充填剤供給源、前記吸引手段及び前記充填剤分離手段が一体的に設けられていることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の充填筒装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−283251(P2007−283251A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115677(P2006−115677)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】