説明

充電プラグ保持装置

【課題】充電プラグを着脱する作業を容易にしつつ、保持した充電プラグの出っ張り量を低減した充電プラグ保持装置を提供する。
【解決手段】充電器1は、二次電池を備えた電気機器の受電用ソケットに接続されて、外部電源から電気機器に給電するための充電プラグ10を、非充電時に保持する。充電プラグ10には、受電用ソケットとの接続状態を保持するためのロック爪12が設けられている。充電器1の装置本体20には、充電プラグ10の一部を納める収納凹部21が前面に設けられている。この収納凹部21には、充電プラグ10の充電接続部11が挿入される筒状のプラグ保持体22が設けられ、このプラグ保持体22には充電プラグ10のロック爪12に係合する突起25が設けられている。プラグ保持体22は、充電接続部11が挿入された充電プラグ10を、施工状態における前方へ突出する状態と斜め下方に突出する状態との間で回転自在に保持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電プラグ保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、蓄電池式電気自動車やプラグインハイブリッド車など、電動機を動力源とする電気自動車が実用化されつつある。このような電気自動車は、電動機を駆動するための駆動源である二次電池と、二次電池を充電する充電回路を備えている。また電気自動車には、外部電源に接続するための受電用ソケットが設けられ、例えば商用100V交流電源などの外部電源に接続された充電プラグを受電用ソケットに接続して、二次電池の充電を行うようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一般家庭では自宅の車庫に電気自動車を停めている間に電気自動車を充電すると考えられるが、非充電時に充電プラグが地面に置かれていると、充電プラグが車に踏まれたり、水がかかったりする可能性があった。そこで、図10(a)に示すように、電気自動車からなる電気機器100の受電用ソケット101に接続される充電プラグ10を着脱自在に保持できる充電器1を車庫に設置し、非充電時には図10(b)に示すように充電器1に充電プラグ10を保持させたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−166756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した充電器1では、充電プラグ10を保持する機構が固定的に設けられていた。ここで、充電プラグ10の着脱作業を容易にするため、充電プラグ10の着脱方向が装置本体20の側面と略直交するように充電プラグ10の保持機構が設けられていると、保持機構に充電プラグ10を保持させた際の出っ張り量が大きくなるという問題があった。一方、充電プラグ10の出っ張り量を小さくするために、充電プラグ10の着脱方向が装置本体20の側面に対して斜めになるように保持機構が設けられた場合、保持機構に対して充電プラグ10を着脱する作業がやりにくくなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、充電プラグを着脱する作業を容易にしつつ、保持した充電プラグの出っ張り量を低減した充電プラグ保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の充電プラグ保持装置は、二次電池を備えた電気機器の受電用ソケットに接続されて、外部電源から電気機器に給電するための充電プラグを、非充電時に保持する充電プラグ保持装置であって、受電用ソケットとの接続状態を保持するために充電プラグに設けられたラッチ部と係合することで充電プラグを保持する係合保持部材が、施工状態において装置本体から前方へ突出する状態と斜め下方に突出する状態との間で回転自在に設けられたことを特徴とする。
【0008】
この充電プラグ保持装置において、受電用ソケットに差込接続される充電プラグの充電接続部が挿入される筒体から係合保持部材が構成されたことも好ましい。
【0009】
この充電プラグ保持装置において、係合保持部材を斜め下方に突出する状態から前方へ突出する状態へと回転させる付勢力を係合保持部材に付与する付勢部材を備えることも好ましい。
【0010】
この充電プラグ保持装置において、付勢部材が、係合保持部材に取り付けられて自重により付勢力を発生させる重りで構成されることも好ましい。
【0011】
この充電プラグ保持装置において、付勢部材が弾性部材で構成されることも好ましい。
【0012】
この充電プラグ保持装置において、係合保持部材が斜め下方に突出した状態で、充電プラグの充電接続部が挿入される係合保持部材の下部開口には、下側に行くほど開口寸法が大きくなるような傾斜面が形成されることも好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、係合保持部材は、施工状態において装置本体から前方へ突出する状態と斜め下方に突出する状態との間で回転自在に設けられている。したがって、係合保持部材に充電プラグを保持した状態では充電プラグを斜め下方に突出させることで、充電プラグの出っ張り量を低減できる。また、充電プラグの着脱時には係合保持部を装置本体から前方に突出させることで、係合保持部材に充電プラグを取り付ける作業や充電プラグを取り外す作業が容易に行えるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)〜(c)は実施形態1の充電器に充電プラグを着脱する作業を説明する要部の断面図である。
【図2】同上の充電器を示し、(a)は外観斜視図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図3】同上の充電器を示し、(a)は要部の正面図、(b)は要部の断面図である。
【図4】同上の充電器の他例を示し、(a)(b)は充電器に充電プラグを着脱する作業を説明する要部の断面図である。
【図5】同上の充電器の概略的な回路図である。
【図6】実施形態2の充電器を示し、(a)は要部の断面図、(b)(c)は充電器に充電プラグを着脱する作業を説明する要部の断面図である。
【図7】(a)〜(d)は実施形態3の充電器に充電プラグを着脱する作業を説明する要部の断面図である。
【図8】(a)〜(d)は実施形態4の充電器に充電プラグを着脱する作業を説明する要部の断面図である。
【図9】(a)(b)は充電プラグ保持装置の他の形態を説明する説明図である。
【図10】(a)(b)は従来の充電プラグ保持装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(実施形態1)
本発明に係る充電プラグ保持装置を、例えば電気自動車や非常用バッテリ(電気機器)が備える充電回路への給電を制御する壁取り付け型の充電器に適用した実施形態1について図1〜図6を参照して説明する。
【0017】
図5は充電器1の概略構成を示す回路図である。この充電器1は、制御回路2と、表示部3と、操作入力部4と、リレー5と、零相変流器(ZCT)6と、電源スイッチ7と、端子台TB1,TB2を主要な構成として備え、これらを装置本体20に収納して構成される。端子台TB1には、外部電源からの電源ケーブルCB1が接続される。また端子台TB2には給電ケーブルCB2の一端側が接続されており、給電ケーブルCB2の他端側には、電気機器100の受電用ソケット101に着脱自在に接続される充電プラグ10が接続されている。ここで、電源ケーブルCB1は、電圧極の2本の電線L1,L2と、接地線L3とで構成される。また、給電ケーブルCB2は、上述した電線L1,L2及び接地線L3と、電気機器100が備えるバッテリ(二次電池)103の充電回路102(例えば電気自動車の車載充電器)との間で信号を授受するための電線L4とで構成される。
【0018】
電源スイッチ7は、電圧極の電線(例えば電線L2)に接続される内部導電路の途中に接続されており、この電源スイッチ7によって制御回路2への給電がオン/オフされる。
【0019】
リレー5は、電圧極の電線L1,L2に接続される内部の導電路にリレー接点が挿入されており、制御回路2によってリレー接点のオン/オフが制御される。
【0020】
零相変流器6は、漏電時に電圧極の電線L1,L2に流れる不平衡電流を検出するために用いられる。
【0021】
制御回路2は、電気機器100側の充電回路102から電線L4を介して入力される制御信号に基づいて、リレー5を開極又は閉極させることで、電気機器100への電力供給をオン/オフする。また制御回路2は、零相変流器6に流れる不平衡電流を検出すると、リレー5を開極させて、電気機器100への給電を遮断する。
【0022】
次に、図2及び図3を参照して充電器1の構造を説明する。尚、以下の説明では特に断りがないかぎり、図2(b)に示す向き(壁への取り付け状態)において上下左右の方向を規定し、図2(b)の正面を前面として説明を行うこととし、この場合、図2(c)の右側は後側となる。
【0023】
この充電器1の装置本体20は縦長の直方体状に形成された樹脂成形品からなり、壁などに取り付けられて使用される。装置本体20には、前面と下面との角部に開口が設けられ、この開口に臨んで充電プラグ10の少なくとも一部が挿入される収納凹部21が設けられている。
【0024】
充電プラグ10は、図1及び図2に示すように、受電用ソケット101に差込接続される円筒状の充電接続部11を先端側に備えるとともに、受電用ソケット101に設けられた凹所に係合するロック爪12(ラッチ部)を備えている。充電プラグ10の後部には手で把持するための取っ手13が設けられている。また充電接続部11には、受電用ソケット101側に設けられた端子(図示せず)に電気的に接続される接続端子(図示せず)が設けられている。
【0025】
収納凹部21には、充電プラグ10の充電接続部11を保持するプラグ保持体22(係合保持部材)が設けられている。プラグ保持体22は合成樹脂成形品であって、一端側(上側)が閉塞され、内部に充電接続部11が挿入される筒体で構成される。プラグ保持体22の外周面には、充電プラグ10のロック爪12が係止する突起25が前面側に設けられている。プラグ保持体22の他端側の開口部には、先端側にいくほど大径となるような傾斜面26,26が、ロック爪12の挿入される位置を避けて、左右両側に設けられている。
【0026】
またプラグ保持体22の一端側を閉塞する底壁22aには回転軸23が設けられ、プラグ保持体22は回転軸23と一体的に回動する。回転軸23は、装置本体20に設けられた軸受部(図示せず)によって回動自在に支持されており、弾性部材としてのバネ24によって回転軸23(すなわちプラグ保持体22)を図1中の右回りに回転させる方向の力が、回転軸23に付与される。したがって、プラグ保持体22に充電プラグ10が装着されていない状態では、バネ24のばね力によってプラグ保持体22が図1中右回りに回転し、図1(a)に示すようにプラグ保持体22の開口部が前方に突出した状態となる。なお、この状態ではプラグ保持体22が、装置本体20に設けられたストッパ(図示せず)に当接することで、図1中の右回りにそれ以上回転しないようになっている。一方、プラグ保持体22に充電プラグ10が装着されると、充電プラグ10の自重によってプラグ保持体22が図1中左回りに回転し、図1(c)に示すようにプラグ保持体22の開口部(すなわち充電プラグ10)が斜め下方に突出した状態となる。なお、この状態でもプラグ保持体22が、装置本体20に設けられた別のストッパ(図示せず)に当接することで、図1中の左回りにそれ以上回転しないようになっている。
【0027】
また装置本体20の前面には、収納凹部21よりも上側に、上述した表示部3を構成する複数個の発光ダイオードLD1〜LD3や、操作入力部4を構成する複数個の押釦スイッチSW1,SW2が配置されている。
【0028】
充電器1は上記のような構成を有しており、電気機器100を充電しない場合には、充電プラグ10がプラグ保持体22に装着されている。上述のように、充電プラグ10がプラグ保持体22に装着されていない状態では、プラグ保持体22が装置本体20から前方(施工状態における前方)に突出しているので、ユーザが充電プラグ10の充電接続部11をプラグ保持体22に差し込む作業がやりやすくなっている。ユーザが充電プラグ10の取っ手13を持って、充電接続部11をプラグ保持体22に挿入すると、ロック爪12が突起25に係合することによって、充電プラグ10がプラグ保持体22に保持される(図1(b)参照)。この状態でユーザが取っ手13から手を離すと、充電プラグ10の重みがプラグ保持体22に加わって、プラグ保持体22が図1中の左回りに回転し、プラグ保持体22が斜め下方に突出した状態で停止する(図1(c)参照)。
【0029】
このように、プラグ保持体22は、充電プラグ10のロック爪12に突起25を係合させることで充電プラグ10を保持し、施工状態において装置本体20から前方へ突出する状態と斜め下方に突出する状態との間で回転自在に設けられている。そして、充電プラグ10が装着されていない状態では、プラグ保持体22が前方に突出しているので、プラグ保持体22に充電プラグ10を差し込む作業を容易に行うことができる。また充電プラグ10が装着されると、プラグ保持体22は斜め下方に突出した状態となるので、プラグ保持体22が前方に突出している状態に比べて、充電プラグ10の出っ張り量を小さくでき、充電プラグ10が邪魔になるのを抑制できる。また非充電時に充電プラグ10を装置本体20に保持させることで、充電プラグ10が車などに誤って踏まれる可能性を低減できる。
【0030】
またプラグ保持体22は、充電プラグ10の充電接続部11が挿入される筒体で構成されている。而して、充電プラグ10は、開口を下向きにしたプラグ保持体22の筒内に充電接続部11を下側から挿入した状態で保持されるので、充電部である充電接続部11に水滴がかかりにくくなる。
【0031】
またプラグ保持体22の開口部には傾斜面26が形成され、充電接続部11をプラグ保持体22に挿入する際には、充電接続部11が傾斜面26に当接することで、プラグ保持体22の筒内に案内されるから、充電プラグ10を接続する作業がさらに容易に行える。
【0032】
また装置本体20の前面には、収納凹部21の上側周縁に前方に向かって突出する張出部20aが設けられており、この張出部20aが雨除けになって、プラグ保持体22に装着された充電プラグ10に雨水がかかりにくくなる。
【0033】
ところで、本実施形態では回転軸23に取り付けられたバネ24によって、施工状態における前方へ突出する状態にプラグ保持体22を回転させる回転力を付与しているが、プラグ保持体22に回転力を付与する構成は上記のものに限定されるものではない。例えば図4(a)(b)に示すように、プラグ保持体22の底壁22aの下端側に回転軸23を設けて、回転軸23を中心にして回転自在にプラグ保持体22を支持する。さらに、底壁22aの上端側にコイルばね28の一端を接続するとともに、コイルばね28の他端を装置本体20に設けた支持片20bに接続する。
【0034】
この充電器1においても、充電プラグ10が接続されていない状態ではコイルばね28の引張力でプラグ保持体22の上側部が後側に引っ張られることによって、プラグ保持体22が回転軸23を中心に図4中の右回りに回転する。そして、装置本体20に設けたストッパ(図示せず)にプラグ保持体22が当接することによって、施工状態における前方にプラグ保持体22が突出した状態でプラグ保持体22が保持される(図4(a)参照)。このように、充電プラグ10が保持されていない状態ではプラグ保持体22が前方に突出した状態で保持されるので、充電プラグ10の充電接続部11をプラグ保持体22に装着させる作業が容易に行える。
【0035】
そして、ユーザが充電プラグ10の取っ手13を持ち、充電接続部11をプラグ保持体22に装着した後、取っ手13から手を離すと、コイルばね28のばね力よりも充電プラグ10が重いため、プラグ保持体22が回転軸23を中心として図4中左回りに回転する。この時、装置本体20に設けたストッパ(図示せず)にプラグ保持体22が当接することによって、図4(b)に示すようにプラグ保持体22が斜め下方に突出した状態で保持される。このように充電プラグ10がプラグ保持体22に保持された状態では、充電プラグ10が斜め下方に突出しているので、プラグ保持体22が前方に突出している状態に比べて、充電プラグ10の出っ張り量を小さくでき、充電プラグ10が邪魔になるのを抑制できる。
【0036】
また、プラグ保持体22に保持された充電プラグ10を取り外す際に、充電プラグ10の取っ手13を手で握ると、手の動きに合わせてプラグ保持体22が回転軸23を中心として回転し、プラグ保持体22は図4(a)の状態から上側を向いた状態で停止する。このように、手の動きに合わせ、充電プラグ10を抜きやすい位置にくるまでプラグ保持体22が上側に回転するので、ロック爪12による係合状態を解除させた後、充電プラグ10の取り外しを容易に行うことができる。
【0037】
そして、充電プラグ10をプラグ保持体22から取り外すと、充電プラグ10の重みがなくなるので、コイルばね28のばね力によって、プラグ保持体22は図4中の右回りに回転する。この時、プラグ保持体22は図示しないストッパに当接することによって、前方に突出した状態で止まるので、その後、充電プラグ10を保持させる作業を容易に行うことができる。
【0038】
このように本実施形態では、装置本体20に対してプラグ保持体22を回転自在に支持する回転軸23を備えている。また、プラグ保持体22を斜め下方に突出する状態から前方に突出する状態へと回転させるばね力(付勢力)をプラグ保持体22に付与する弾性部材(バネ24,コイルばね28)を備えている。
【0039】
これにより、プラグ保持体22に充電プラグ10が保持されていない状態では、弾性部材のばね力によってプラグ保持体22が前方に突出した状態で保持されるから、プラグ保持体22に充電プラグ10を装着させる作業が容易に行える。しかも、プラグ保持体22に充電プラグ10を保持させた状態では、プラグ保持体22が斜め下方に突出した状態となるから、プラグ保持体22に保持された充電プラグ10の出っ張り量を低減でき、充電プラグ10が邪魔になるのを抑制できる。
【0040】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図6に基づいて説明する。尚、充電プラグ10を保持する構造を除いては実施形態1と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付して、図示及び説明は省略する。
【0041】
上述の実施形態2ではプラグ保持体22が円筒形状に形成されているが、図6(a)〜(c)に示すように板状のプラグ保持体27でもよい。プラグ保持体27は回転軸23を介して装置本体20に対して回転自在に支持されており、図示しないバネによって図6中の右回りに回転する方向の力が付与されている。プラグ保持体27は充電接続部11とロック爪12の間の隙間に挿入され、ロック爪12側の面にはロック爪12に係合する突起25が設けられている。
【0042】
ここで、プラグ保持体27に充電プラグ10が装着されていない状態では、図示しないバネのばね力によってプラグ保持体27が図6中右回りに回転し、図6(a)に示すようにプラグ保持体27が前方に突出した状態となる。なお、この状態ではプラグ保持体27が、装置本体20に設けられたストッパ(図示せず)に当接することで、図6中の右回りにそれ以上回転しないようになっている。一方、図6(b)に示すようにプラグ保持体27に充電プラグ10を保持させた状態で、充電プラグ10を持つ手を離すと、充電プラグ10の自重によってプラグ保持体27が図6中左回りに回転する。この時、プラグ保持体27が、装置本体20に設けられた別のストッパ(図示せず)に当接するまで、図6中の左回りに回転し、図6(c)に示すようにプラグ保持体27(すなわち充電プラグ10)が斜め下方に突出した状態となる。
【0043】
このように、プラグ保持体27は、充電プラグ10を装着した状態で充電プラグ10のロック爪12に突起25を係合させるとともに、充電プラグ10を施工状態における前方へ突出させる状態と斜め下方に突出させる状態との間で回転自在に保持している。そして、充電プラグ10が装着されていない状態では、プラグ保持体27が前方に突出しているので、プラグ保持体27に充電プラグ10を差し込む作業を容易に行うことができる。また充電プラグ10が装着されると、プラグ保持体27が斜め下方に突出した状態となり、充電プラグ10は斜め下方に突出した状態で保持される。したがって、プラグ保持体27が前方に突出している状態に比べて、充電プラグ10の出っ張り量を小さくでき、充電プラグ10が邪魔になるのを抑制できる。
【0044】
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図7に基づいて説明する。尚、充電プラグ10を保持する構造を除いては実施形態1と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付して、図示及び説明は省略する。
【0045】
上述の実施形態1,2では、プラグ保持体22,27を斜め下方に突出する状態から前方に突出する状態へと付勢する付勢部材を弾性部材で構成している。それに対して、本実施形態では、プラグ保持体22に取り付けたウェイト(重り)29で付勢部材を構成している。
【0046】
プラグ保持体22は、一端側を底壁22aで閉塞した略円筒状に形成されており、図7(a)に示すように底壁22aの下端側に回転軸23を設けることによって、プラグ保持体22は回転軸23を中心にして回転自在に支持されている。底壁22aの上端側からはアーム22bが後方に突出し、アーム22bの先端にウェイト29が取り付けられている。ここで、図7(a)に示すようにプラグ保持体22を前方に突出させた状態で、プラグ保持体22の重心が、回転軸23を通る鉛直線L10よりも図中右側に位置するようにウェイト29の重さが設定されている。而して、プラグ保持体22が前方に突出する位置まで回転すると、ウェイト29の重みでプラグ保持体22を図中右回りに回転させる力が加わり、装置本体20に設けられたストッパ30に底壁22aが当接することで、プラグ保持体22はその位置で保持される。
【0047】
上述のように、充電プラグ10の非接続時には、図7(a)に示すようにウェイト29の重さでプラグ保持体22が前方に突出する状態に位置しているから、充電プラグ10の充電接続部11をプラグ保持体22に挿入する作業が容易に行える。
【0048】
そして、ユーザが充電プラグ10の取っ手13を持ち、充電接続部11をプラグ保持体22に装着した後(図7(b)参照)、取っ手13から手を離すと、ウェイト29よりも充電プラグ10が重いため、プラグ保持体22が回転軸23を中心として図7中左回りに回転する。この時、図7(c)に示すようにプラグ保持体22が装置本体20に設けられたストッパ31に当接することによって、プラグ保持体22は斜め下方に突出した状態で停止する。したがって、プラグ保持体22が前方に突出している状態に比べて、充電プラグ10の出っ張り量を小さくでき、充電プラグ10が邪魔になるのを抑制できる。
【0049】
一方、プラグ保持体22に保持された充電プラグ10を取り外す際には、充電プラグ10の取っ手13を手で握ると、手の動きに合わせてプラグ保持体22が回転軸23を中心として回転し、図7(c)に示す位置から上方へ回転移動する(図7(d)参照)。このように、手の動きに合わせ、充電プラグ10を抜きやすい位置にくるまでプラグ保持体22が回転するので、ロック爪12による係合状態を解除させた後、充電プラグ10の取り外しを容易に行うことができる。
【0050】
そして、ロック爪12による係合状態を解除させた後、充電プラグ10をプラグ保持体22から取り外すと、充電プラグ10の重みがなくなり、ウェイト29の重みによってプラグ保持体22が前方に突出した状態で保持される。したがって、充電プラグ10を取り外すと、プラグ保持体22は前方に突出した状態で保持されるから、その後、充電プラグ10を装着する作業を容易に行うことができる。
【0051】
このように本実施形態では、装置本体20に対して筒体からなるプラグ保持体22を回転自在に支持する回転軸23を備えている。プラグ保持体22には、プラグ保持体22を斜め下方に突出する状態から前方へ突出する状態へと回転させる付勢力を自重により発生させるウェイト29が取り付けられている。
【0052】
これにより、プラグ保持体22に充電プラグ10が保持されていない状態では、ウェイト29の重みによってプラグ保持体22が前方に突出した状態で保持されるから、プラグ保持体22に充電プラグ10を装着させる作業が容易に行える。しかも、プラグ保持体22に充電プラグ10を保持させた状態では、プラグ保持体22が斜め下方に突出した状態となるから、プラグ保持体22に保持された充電プラグ10の出っ張り量を低減でき、充電プラグ10が邪魔になるのを抑制できる。
【0053】
(実施形態4)
本発明の実施形態4を図8に基づいて説明する。尚、充電プラグ10を保持する構造を除いては実施形態1と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付して、図示及び説明は省略する。
【0054】
上述の実施形態1〜3では、充電プラグ10の非接続時に、バネやウェイトによってプラグ保持体22が前方へ突出する位置に戻るように構成されているが、本実施形態ではプラグ保持体22を前方へ突出する位置に戻すためのバネやウェイトを無くしている。プラグ保持体22は、一端側が底壁22aで閉塞された略筒状に形成されており、底壁22aの下端側に設けられた回転軸23を中心として回転自在に支持されている。そして、プラグ保持体22の他端側の内周面には、先端に行くほど開口径が大きくなるように傾斜する傾斜面22cが形成されている。
【0055】
上述のようにプラグ保持体22は回転軸23を中心として回転自在に支持されており、装置本体20に設けたストッパ32に当接することで、図8中左周りに回転する回転範囲が規制される。プラグ保持体22は、ストッパ32に当接することでそれ以上左周りに回転できないようになっており、斜め下方に突出する状態と前方に突出する状態の間で少なくとも回転可能となっている。
【0056】
充電プラグ10が保持されていない状態では、図8(a)に示すように、プラグ保持体22は斜め下方に突出した状態で保持されている。この状態で充電プラグ10を保持させるために、ユーザが充電プラグ10の取っ手13を持ち、充電接続部11をプラグ保持体22に前方から近付けると、充電接続部11の先端が傾斜面22cに当接する(図8(b)参照)。この時、充電接続部11が傾斜面22cを押す力によって、プラグ保持体22が充電プラグ10の位置に合わせて回転し、充電接続部11がプラグ保持体22の内部に挿入される(図8(c)参照)。このように、充電接続部11で傾斜面22cが押されることによって、プラグ保持体22が充電プラグ10を差し込みやすい位置まで回転するから、充電プラグ10を下側から差し込む場合に比べて、充電プラグ10を保持させる作業が容易に行える。
【0057】
その後、ユーザが充電プラグ10の取っ手13から手を離すと、充電プラグ10の自重によってプラグ保持体22が回転軸23を中心として図8中左回りに回転する。この時、図8(d)に示すようにプラグ保持体22がストッパ32に当接することによって、プラグ保持体22は斜め下方に突出した状態で停止する。したがって、プラグ保持体22が前方に突出している状態に比べて、充電プラグ10の出っ張り量を小さくでき、充電プラグ10が邪魔になるのを抑制できる。
【0058】
一方、プラグ保持体22に保持された充電プラグ10を取り外す際には、充電プラグ10の取っ手13を手で握ると、手の動きに合わせてプラグ保持体22が回転軸23を中心として回転し、図8(d)に示す位置から上方へ回転移動する。このように、手の動きに合わせ、充電プラグ10を抜きやすい位置にくるまでプラグ保持体22が回転するので、ロック爪12による係合状態を解除して、充電プラグ10の取り外しを容易に行うことができる。
【0059】
充電プラグ10が取り外されると、プラグ保持体22が自重により回転軸23を中心として図8中左回りに回転し、ストッパ32に当接することによって、プラグ保持体22は斜め下方に突出した状態で保持される(図8(a)参照)。
【0060】
このように、本実施形態では、プラグ保持体22が斜め下方に突出した状態で、充電プラグ10の充電接続部11が挿入されるプラグ保持体22の下部開口には、下側に行くほど開口寸法が大きくなるような傾斜面22c,22cが形成されている。
【0061】
これにより、充電プラグ10を接続する際に、プラグ保持体22の開口部に設けた傾斜面22cに充電接続部11が当接することで、プラグ保持体22が前方に突出する状態に移動するから、充電プラグ10を装着させる作業が容易に行える。しかも、プラグ保持体22に充電プラグ10を保持させた状態では、プラグ保持体22が斜め下方に突出した状態となるから、プラグ保持体22に保持された充電プラグ10の出っ張り量を低減でき、充電プラグ10が邪魔になるのを抑制できる。
【0062】
ところで、以上説明した各実施形態では、本発明の技術思想を給電制御の回路を内蔵した充電器に適用した例について説明しているが、給電制御の回路を内蔵していない充電プラグ保持装置でもよい。
【0063】
例えば図9(a)に示すように、図5の回路を器体51内部に収納した壁掛け型の給電制御装置50を、充電プラグ10を保持する構造を装置本体20に備えた充電プラグ保持装置40とは別体に設けてもよい。充電プラグ保持装置40の装置本体20からは、先端に充電プラグ10が接続された給電ケーブルCB2が導出されている。また装置本体20からは、給電ケーブルCB2に電気的に接続された給電ケーブルCB3も導出されており、給電ケーブルCB3,CB2を介して給電制御装置50から充電プラグ10に電力が送られている。
【0064】
また、図9(a)に示す例では装置本体20から導出された給電ケーブルCB2の先端に充電プラグ10が接続されているが、図9(b)に示すように充電プラグ保持装置40とは別に設けた給電制御装置60の充電プラグ62を保持するようにしてもよい。この充電プラグ保持装置40は、装置本体20の下側に設けられた収納凹部21に、充電プラグ62が着脱自在に接続されるプラグ保持体22が設けられている。一方、給電制御装置60の本体61は持ち運び可能な大きさに形成されており、この本体61の内部に図5の回路を内蔵してある。また、本体61の長手方向一端側から導出されたケーブルの先端には充電プラグ62が接続され、長手方向他端側から導出されたケーブルには電源コンセントに接続するための電源プラグ63が接続されている。図9(b)に示す充電プラグ保持装置40は、それ自体に充電プラグを備えておらず、充電プラグ保持装置40とは別体に形成された給電制御装置60の充電プラグ62を充電プラグ保持装置40に保持させている。
【0065】
なお、図9(a)(b)に示す充電プラグ保持装置40において、充電プラグ10,62を保持する構造は、実施形態1〜5で説明した構造の何れかを採用すればよく、その説明は省略する。
【符号の説明】
【0066】
1 充電器(充電プラグ保持装置)
10 充電プラグ
11 充電接続部
12 ロック爪(ラッチ部)
20 装置本体
21 収納凹部
22 プラグ保持体(係合保持部材)
23 回転軸
24 バネ
25 突起
100 電気機器
101 受電用ソケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を備えた電気機器の受電用ソケットに接続されて、外部電源から前記電気機器に給電するための充電プラグを、非充電時に保持する充電プラグ保持装置であって、前記受電用ソケットとの接続状態を保持するために前記充電プラグに設けられたラッチ部と係合することで前記充電プラグを保持する係合保持部材が、施工状態において装置本体から前方へ突出する状態と斜め下方に突出する状態との間で回転自在に設けられたことを特徴とする充電プラグ保持装置。
【請求項2】
前記受電用ソケットに差込接続される前記充電プラグの充電接続部が挿入される筒体から前記係合保持部材が構成されたことを特徴とする請求項1記載の充電プラグ保持装置。
【請求項3】
前記係合保持部材を斜め下方に突出する状態から前方へ突出する状態へと回転させる付勢力を前記係合保持部材に付与する付勢部材を備えたことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の充電プラグ保持装置。
【請求項4】
前記付勢部材が、前記係合保持部材に取り付けられて自重により前記付勢力を発生させる重りで構成されたことを特徴とする請求項3記載の充電プラグ保持装置。
【請求項5】
前記付勢部材が弾性部材で構成されたことを特徴とする請求項3記載の充電プラグ保持装置。
【請求項6】
前記係合保持部材が斜め下方に突出した状態で、前記充電プラグの充電接続部が挿入される前記係合保持部材の下部開口には、下側に行くほど開口寸法が大きくなるような傾斜面が形成されたことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の充電プラグ保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−69293(P2012−69293A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211317(P2010−211317)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】