説明

光を使用した神経組織の刺激の適用

本発明は、光源と、前記光源に結合された埋め込み可能な光伝導導線と、埋込み可能な光放出器とを備える、目標組織を刺激するためのシステムおよび方法を備える。光源、導線、放出器は、目標組織に光刺激を供給するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(相互参照)
本出願は、その全体において参照によって本明細書に組み込まれる、第60/628,258号に対する優先権を請求する。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般に、神経系の刺激のための方法に関する。
【0003】
(参照による組込み)
本明細書に言及されるすべての出版物や特許出願は、あたかも各々の出版物または特許出願が参照によって組み込まれるために特別におよび個別に示されるかのように、同じ程度で参照によって本明細書に組み込まれる。特に、以下の出願参考文献、特許参考文献、非特許参考文献が、すべての目的のために参照によって本明細書に組み込まれる:米国特許公開第20030208245号、第20040215286号、第20020183817号、第20040214790号、第20030144709号、第20030181960号;米国特許第6921413号、第5716377号;さらにH.G.Sachs他、「Retinal Replacement−the Development of Microelectronic Retinal Prostheses−Experience with Subretinal Implants and New Aspects」,Graefe’s Arch Clin Exp Ophthalmol 242(2004)717−723、J.A.Turner他、「Spinal Cord Stimulation for Patients With Failed Back Surgery Syndrome or Complex regional Pain Syndrome:A Systematic Review of Effectiveness and Complications」,Pain 108(2004)137−147、A.M.Kuncel他、「Selection of Stimulus Parameters for Deep Brain Stimulation」,Clinical Neurophysiology 115(2004)2431−2441、M.Capecci MD他、「Chronic Bilateral Subthalamic Deep Brain Stimulation in a Patient with Homozygous Deletion in the Parkin Gene」,Movements Disorders Vol.9(12)(2004)1450−1452、およびK.H.Sipson他、「A Randomized,Double−Blind,Crossover Study of the Use of Transcutaneous Spinal Electoanalgenia in Patients with Pain from Chronic Critical Limb Ischemia」Journal of Pain and Symptom Management Vol,28(5)(2004)511−516。
【背景技術】
【0004】
従来技術は、電気を使用して神経組織を刺激する多くの方法を開示している。最近では、レーザーを使用して実験プレパラート内の末梢神経を直接刺激する手段をも開示している。本発明は、光または光学エネルギーを使用して目標組織を刺激するための方法の適用を開示している。
【0005】
米国出願第6921413号、本発明のいくつかの態様がそれに基づいて拡張される、に開示されているように神経組織を刺激するために様々な方法を使用することができる。従来の刺激の方法のいくつかは、電気的、機械的、熱的、化学的な方法を含む。刺激を加えた後、ニューロンが電気インパルスを伝搬させる。このような刺激を加える最も一般的な形は、電極を通って印加される過度電流または過度電圧パルスを形成することである。電気的刺激は、機械的刺激や化学的刺激と同様に、多くの制限を有する。2、3例を挙げると、このような方法による刺激は、ニューロンの非特異刺激またはニューロンへの損傷を結果として生じさせることがある。刺激によって生じる電気的な人為影響のため、ニューロンによる電気的活動を記録することに困難が存在する。1つまたは2、3のニューロンだけを刺激するために、脆弱な微小電極が形成され、かつ刺激される予定の組織内に注意深く挿入される必要がある。このような技術は、神経組織の長期間の刺激のために使用される埋込み可能な電極のために容易には役立たない。
【0006】
Forkは、低エネルギー・レーザー光を使用した神経線維の直接刺激を報告した最初の者であった(Fork,R.,「Laser stimulation of nerve cells in Aplysia」,Science,March(5):p.907−8,1971)。Fork他によると、(488nm、515nm、1006nm)でのレーザー放射が、いくつかの光感受特性を所有するアメフラシ(Aplysia Californica)の腹部の神経節に印加される。著者は、488nmの光が、ある場合でオンにされ、かつ他の場合でオフにされたとき、細胞が発火することを観察した。別の研究では、ラット神経線維の束が、XeClレーザーを使用して刺激される(Allegre,G.,S.Avrillier,and D.Albe−Fessard,「Stimulation in the rat of a nerve fiber bundle by a short UV pulse from an excimer laser」,Neuroscience Letter,180(2):p.261−4,1994)。光ファイバを通じて送信されるレーザー・パルスを使用して刺激されたとき、電気的刺激で得られる応答と同様の応答が観察された。0.9J/cm2の閾値刺激レベルが、光刺激に対して報告された。同じ著者による他の報告は今までに刊行されていない。このようにして、光エネルギーが、神経線維を刺激するために使用できる。光子エネルギーが人間や動物体内の神経組織に影響を与えるという十分な証拠があるが、このような組織を損傷させること、または人為影響を生じさせることなしに、神経組織を刺激するために使用できる方法に対する必要性が残存している。さらに、このような発明が研究と臨床の両方の用途で有用であるために、潜在的に有害な色素の追加なしで、または有用な期間にわたってニューロンに対して破壊的でない強度で、エネルギーの移送によってニューロン内の活動を生成すべきである。最後に、組織を穿孔することなく、光エネルギーによって個々のニューロンを正確に刺激する方法に対する必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
神経組織の刺激のための光エネルギーを供給する1つの一般的な方法は、レーザーを使用することである。レーザーは、その波長とエネルギー・レベルによって特徴付けられる。古典的に、レーザーは組織切除のための生物学的用途に使用されてきた。しかし、低出力レーザーは、組織切除以外の使用のために使用可能である。多数のニューロンの刺激のために必要とされるエネルギーは、極めて小さく、個々のニューロンを刺激するために必要とされるエネルギーは、極めて小さい。刺激の強度、継続時間、周波数の操作は、ニューロンが発火するかどうかを決定するキー・パラメータである。このようなパラメータは、パルス化された、光エネルギーによって調節可能であり、かつ神経組織の刺激のために許容可能な範囲に調節される。また、レーザー・エネルギー移送の精度は、組織を穿孔する必要なく、個々のニューロンを、または多数のニューロン内の様々な神経線維を選択的に刺激する新規な方法を容易に提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光エネルギーによって神経組織を刺激するための方法を提供する。この点における神経組織の刺激は、光刺激を加えた後の、1つまたは複数のニューロン内での電気インパルスの発生と伝搬を含むが、それに限定されない。また、組織に損傷を生じさせないニューロン内の人為影響のない応答を作成するための独自な基礎科学と臨床的な必要性がある。
【0009】
本発明の1つの利点は、本明細書に記載された神経組織を刺激する方法が、個々の神経線維または神経線維の小グループに極めて特有であるように企図されることである。電気的刺激の強度が増加すると、徐々に多くの数のニューロンが活性化される。これは、電場のサイズの増加に付随する物理的な特性である。しかし、光エネルギーは、事前決定された、移送されるエネルギーとは無関係である物理的な「スポット」・サイズに制限される。この物理的な特性は、光技術が、個々のすなわち選択されたニューロンの刺激において独自である。本発明の別の利点は、体内での神経組織の刺激の方法の使用である。他方では、体外での刺激方法は、体内方法の使用に役立たない。
【0010】
本発明のさらに別の利点は、神経組織の光刺激が、電気的刺激の人為影響を伴わないことである。したがって、光エネルギーによって刺激された個々のまたは複数のニューロンを光学的に刺激しているとき、電気的刺激の人為影響は存在しない。
【0011】
本方法のさらに別の利点は、低エネルギーのレーザー刺激の使用が、組織接触なしで正確な位置決めを可能にし、その結果高い特異性を生じさせることである。このような特異性は、神経刺激が、切断された神経の手術修復中の末梢神経線維の部分集合の識別のような診断用途のために使用されるとき、臨床的に有用である。また、このような技術は、複数の、合焦されたレーザー刺激が、神経ネットワークの機能的なマッピングやそれらの相互接続を提供するために使用されることを可能にする。この利点はまた、疼痛管理のための神経調整、運動障害の制御、発作抑制などの治療状況で適用されてもよい。
【0012】
一実施態様は、本発明は、刺激パルスを供給するための光源と、対象内の所定の部位の刺激のために構成された前記光源に結合された埋め込み可能な光伝導導線とを備える、目標組織を刺激するためのシステムに関する。一態様では、光伝導導線は光ファイバである。別の態様では、光源はレーザーである。一態様では、光源は埋め込み可能である。
【0013】
一実施態様は、本発明は、光放出器が体の神経系内の少なくとも1つの所定の部位と連通するように、光源に結合された少なくとも1つの光放出器を埋め込むステップと、少なくとも1つの光放出器を使用して、体の神経系内の少なくとも1つの所定の部位を刺激するステップとを含む、疾患を治療するための方法に関する。本発明の一態様では、治療されている疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、うつ病、またはてんかんである。本発明の一態様では、上記の方法は、刺激するステップの少なくとも1つのパラメータを調整するステップをさらに含む。少なくとも1つのパラメータは、パルス幅、パルス周波数、パルス振幅から成る群から選択される。
【0014】
一実施態様では、本発明は、光源とその光源を動作させる信号発生源に結合されている光放出器を患者の脳内に外科的に埋め込むステップと、脳内の所定の治療部位を刺激するように信号発生器を動作させるステップとを含む、患者内の疾患を治療するための方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
A.定義
【0016】
本明細書で使用されるような、脳深部刺激法(DBS:Deep brain stimulation)は、従来型の電気刺激方法、または本明細書で開示されるような光刺激方法のいずれかを使用した神経組織の刺激を称する。
【0017】
本明細書で使用されるような、光は、光エネルギーまたは電磁放射を称する。この光エネルギーは、より長い、およびより短い波長を有するエネルギーの同様な可視光を含む、いずれの波長を有してもよい。この光はレーザー光を含む。
【0018】
本明細書で使用されるような、光源、信号発生器は、光、電磁放射または光エネルギーの発生源を称する。この発生源は、目標組織が光エネルギーによって活性化または非活性化されるように、このエネルギーが目標組織へ伝搬されるために、エネルギーを作成するために使用される。光源は、パルス化または変調された光を生成する。光源は、より長いマクロパルス(たとえば、0.1〜1000マイクロ秒)内でトレインに形成された短いマイクロパルス(たとえば、0.1〜1000ピコ秒)を提供し、さらにトレイン内でまたはその他の一時的なパターン内で制御される。光源は、レーザー光源またはその他の光源である。光源は、パターン、または信号が存在していることを判定するマイクロプロセッサ、コンピュータまたはコンピュータ・プログラムによって制御される。光源、マイクロプロセッサ、電源、生体適合性の保護ケーシング、導線、関連するハードウェアの中のいずれかが、対象内に埋め込まれてもよい。
【0019】
本明細書で使用されるような、光放出器は、電磁放射が放出される、たとえば電磁放射が目標組織に当たるような放出点である。光放出器は、光を使用した目標組織の刺激器として使用される。光放出器は、光または光エネルギーを目標組織内へ伝搬させることによって、光または光エネルギーを使用して目標組織を刺激する。たとえば、光放出器は、目標組織に隣接し、かつそれを通って光が伝導される光ファイバの端部にある。図1、25にその例が示されている。
【0020】
本明細書で使用されるような、光導体は、光ファイバを含むがそれに限定されない、ある位置から別の位置へ光または光エネルギーを伝導するための手段である。
【0021】
本明細書で使用されるような、ニューロモアナトミカル・テキスト(neuromoanatomical texts)は、Scott W.,Md.AtlasによるFundamental Neuroanatomy by Nauta and Feirtag,and in the Co−Planar Steriotaxic Atlas of the Human Brain by Jean Talariach and Pierre Tournoux,Magnetic Resonance Imaging of the Brain and Spine(2 Volume set)を含むがそれに限定されない、本発明の目標組織として使用されることができる脳の構造を記載している様々なテキストのいずれかである。
【0022】
本明細書で使用されるような、ニューロモジュレータまたはニューロモジュレタリ物質は、脳の1つまたは複数の局所化された領域内の活動または感応性を変更することができる化合物を称する。ニューロモジュレータの例は、オピオイド、神経ペプチド、アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン、その他の生物アミンなどを含むがそれに限定されない。モルヒネ、カフェイン、プロザックなどの多くの薬理剤は、これらのニューロモジュレタリ物質の外生模倣物である。
【0023】
本明細書で使用されるような、ニューロモジュレタリ中枢は、神経系の他の部分内の感応性を調整または変更する働きをする、脳または神経系の領域を称する。例は、カテコールアミン、アセチルコリン、その他の生物アミン、神経ペプチド、セロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミン、アドレナリンなどのニューロモジュレタリ伝達物質を解放するニューロンを含む領域を含む。これらの中枢、およびそれらのモジュレーションによって生成される作用が、神経解剖学テキストやThe Biochemical Basis of Neuropharmacology,Cooper,Bloom and Rothに記載されている。例は、大縫線核、黒質(緻密部および網様部)、側座核、中脳中心灰白質、青斑核、基底核、赤核、側座核を含むがそれに限定されない。これらの領域は、目標組織として働く。
【0024】
本明細書で使用されるような、光ファイバは、光が連続的な内部反射によって送信される、ガラスまたはプラスチックで通常作製された、可撓性の、ほぼ光学的に透過性であるファイバである。また、本発明は、光源から正確な空間的位置へ光を伝達するための他の手段を、光ファイバの代わりに使用することができることを開示する。
【0025】
本明細書で使用されるような、薬理学的治療は、いずれかのタイプの薬物または薬剤の投与を意味する。
【0026】
本明細書で使用されるような、関心領域またはROIまたは関心ボリュームは、対象の体、神経系または脳の特定の1つまたは複数のボクセルを意味する。関心領域が、2次元(領域)または3次元(ボリューム)であってもよいため、ROIは、関心領域または関心ボリュームと、称されることもある。しばしば、関心領域内の脳活動を監視、制御および/または変更することが、本発明の方法の目的である。たとえば、所与の状態に関連する脳の1つまたは複数の関心領域が、その状態に対する関心領域として識別される。ある変形形態では、本発明によって目的とされる関心領域が、脳の表面に対して内部にある。
【0027】
本明細書で使用されるような、報酬中枢または快楽中枢は、活動しているとき、快楽的なまたは報酬的な体験または感覚を作成する脳の領域を意味する。これらは、ある辺縁系、側座核、青斑核、中隔核などを含むがそれに限定されない。これらはまた、常習行為に関連付けられた領域を含む。これらは、目標組織として働いてもよい。
【0028】
本明細書で使用されるような、単点は、直径0.01、0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、50、100mmのボリュームである、そこから生理学的測定が行われる単一の小さい幾何学的部位などの、個々の幾何学的部位すなわち小領域のボリュームを意味する。単点から測定を行うデバイスは、多くの単点から成る全ボリュームから走査測定を行うデバイスと対比される。
【0029】
本明細書で使用されるような、空間アレイは、単点、領域またはボリュームの連続的なまたは非連続的な集合を意味する。空間アレイは、その場合にアレイの要素が領域である2次元であってもよく、その場合にアレイの要素がボリュームである3次元であってもよい。
【0030】
本明細書で使用されるような、空間パターン、または空間活動パターン、またはベクトル化された空間パターンは、2次元または3次元空間アレイを形成する単点の集合の活動を意味する。3次元空間アレイ内の各点に対する値を含むベクトルは、空間パターンの一例であり、時間内の各瞬間での各点に対する値を含むベクトルは、空間パターンの別の例である。
【0031】
本明細書で使用されるような、対象は、本発明の方法を行うことに相俟ってその活動が制御される目標を意味する。目標は、本発明の方法によって治療されている状態を有する人であってよいことに注意されたい。対象は、動物の対象、または動物または人から採取した目標組織を称してもよい。
【0032】
本明細書で使用されるような、組織または目標組織は、本発明が適用される生物学的組織を意味する。これらの組織は、興奮可能な組織、中枢神経系、末梢または脳神経のいずれかの中の組織、自律神経組織、平滑筋または横紋筋組織、血管組織を含むがそれに限定されない。これらの目標組織は、人または動物の体内にある。これらの目標組織は、生体内(すなわち対象の体内)に固定されているか、(たとえば、海馬の研究またはその他のスライス・プレパレーションなどのために、神経系から隔離された組織内での使用のために)対象から取り外されるかのいずれかであってもよい。
【0033】
図1を参照すると、好ましい実施形態に従って作製されたシステムまたはデバイス10が、患者の皮膚の下に埋め込まれる。導線22Aが、脳(B)内の特定の部位を刺激するために配置される。この刺激は、神経活動の刺激を含んでいる。デバイス10は、修正された信号発生器の形態などである。導線22Aは、脳を刺激するために、光ファイバを含む光導体の形態であり、光導体22によってデバイス10に結合される。
【0034】
導線22Aの遠端部は、たとえば従来通りの定位固定外科技術によって神経系の一部分の中に埋め込まれた刺激器群115として一般に示されている、1つまたは複数の刺激光放出器25を終点とする。しかし、2、3、4、5、6〜10、10〜20、20〜30、30〜50、50〜100、100〜200、200〜1000、1000〜5000または5000〜10000個などの他の数の光放出器25が、様々な用途のために使用されることがあり、またはいくつかの実施形態では、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の光放出器が使用される。光放出器25のそれぞれは、導線22Aや光導体22によってデバイス10と個々に接続されている。導線22Aは、頭蓋123内の孔を通って外科的に埋め込まれ、光導体22は、図1に示されているように、頭蓋と地肌125の間に埋め込まれている。この点で、導線は、1つまたは複数の光ファイバを含む、光を伝達する装置である。光導体22は、図示した方式で埋め込み式デバイス10に結合される。図2を参照すると、デバイス10は、図示した位置で人体120内に埋め込まれる。体120は、腕122、123を備える。別法として、デバイス10は、腹部に埋め込まれてもよく、放出器25は、末梢または脳神経131に隣接して、または横紋筋または平滑筋の中またはその近くに配置されるであろう。
【0035】
光導体22は、図示のように両側に埋め込まれている2つの導線22A、22Bに分割されることもある。別法として、導線22Bが、別の導体と信号発生器から刺激パルスを供給されてもよい。導線22A、22Bは、1)互いの影響を増強する2つの別個の核内の2つの光放出器25、または2)対向する力を通じて応答を微調整するために使用される、刺激による反対の影響を有する核であってよい。
【0036】
光放出器25は、光放出器の近くに配置された視認デバイス32と接続された腹腔鏡などのカメラを使用して対象の内部の組織を視認することによって位置決めされてもよい。また、光導体22は、両方向に光を伝導するので、対象の内部構造を視認し、次に光刺激をするために代わりに使用されてもよい。また、流体、気体、ほぼ光透過性の媒体35、または薬物または薬理剤などのその他の薬剤が、光放出器、刺激器の近くのカテーテル34を通じて対象内に入れられてもよい。
【0037】
センサ130が、運動応答または運動挙動などの治療される障害の症状を検知するために適した患者の体の一部分の中に取り付けられる、または埋め込まれる。センサ130は、制御される予定の症状の、または重要な関連する症状の特性を感知するように構成される。腕122などの腕の、異常な運動を結果として生じさせる運動障害に対しては、センサ130は、図示のように腕122内に埋め込まれた運動検知器である。たとえば、センサ130は、加速度計などによって、3次元または2次元運動(線形回転または関節運動)を感知してもよい。本発明での使用のために適したこのようなセンサの1つが、米国特許第5,293,879号(Vonk)に記載されている。別の適切な加速度計は、Medtronic,Inc.によって製造されたペースメーカーで見出され、James SikorskiとLarry R,Larsonの名で1995年3月8日に提出された、「Package Integrated Accelerometer」という題名の特許出願整理番号第08/399,072号に記載されている。センサ130はまた、治療されている運動障害の結果生じる異常な運動を検知するために、デバイス10内に配置されてもよい。
【0038】
また、センサ130は、重力方向を検知するか、または埋め込まれているか、近くに固定されているかのいずれかである、ある対象(たとえば磁石)に対する運動を検知することが可能である。センサ130はまた、筋肉内のまたは関節での力、または圧力を検知することが可能なデバイスの形態をとってもよい。
【0039】
センサ130は、1つ、2つまたはそれ以上の筋肉内の、またはある関節での相互の筋肉内の筋肉EMG(筋電図)を検知してもよい。このような検知に対して、センサ130は、当該筋肉内に挿入される記録電極の形態をとってもよい。
【0040】
単一のニューロン記録またはEEG(たとえば特定の筋肉群を制御する運動ニューロン上で記録される運動皮質電位)を含む脳神経生理学的信号も、センサ130によって検知できる。
【0041】
センサ130のさらに別の形態は、神経複合動作電位(たとえば、筋肉または皮膚受容器からの求心性感覚情報か、当該筋肉を制御する遠心性運動電位のいずれか)を検知することが可能なデバイスを含む。
【0042】
あるタイプの患者に対して、センサ130は、患者の体位を検知するデバイスの形態をとる。センサ130はまた、症状の原因の経路に関連する、または症状によって誘発される感覚を反映する神経細胞または軸索活動を検知することが可能なデバイスの形態をとってもよい。このようなセンサは、脳内の深部に配置される。このような検知のために、センサ130は、脳内に挿入される電極の形態をとってもよい。センサによって受信される信号は、デバイス10内に含まれる回路への送信の前に増幅される。
【0043】
センサ130は、腹側視床などの脳の領域の間質空間内に見出される、特定の伝達物質またはその破壊副産物の量を直接送信することが可能である、イオン選択性の被覆が付着された電極から成るトランスデューサの形態でもよい。間質伝達物質のレベルは、脳領域の相対的な活動のインジケータである。このタイプのトランスデューサの例が、Neuroscience Letters,120(1990),249−252で発表された、論文Craig G.van Horne,Spencer Bernent Barry J.Hoffer,およびGreg A.Gerhardtによる「Multichannel semiconductor−based electrodes for in vivo electrochemical and electrophysiological studies in rat CNS」に記載されている。
【0044】
振せんに対して、関節または手足の相対運動または筋肉EMGが感知されてもよい。運動回路の様々な位置でニューロンの電気的活動を感知することも有用である。視床または小脳での電気的活動を記録することは、振せんが存在するとき特徴的に振動する電気的活動を表す。
【0045】
バリスム、片側バリスムまたは振せんに対しては、センサ130が、関節や手足の相対運動または筋肉EMGを検知する加速度計の形態をとる。
【0046】
ジストニーに対しては、センサ130が、関節または手足の相対運動または筋肉EMGを検知するデバイスの形態をとる。
【0047】
図2、3を参照すると、センサ130の出力が、導体134、135を備えるケーブル132によって、デバイス10内のアナログ・デジタル変換器206の入力に結合される。別法として、外部センサの出力が、遠隔通信ダウン・リンクを通じて埋め込み式パルス発生器と連絡する。
【0048】
目標領域内で適切なレベルの活動を確立させるために必要とされる最小レベルまでパラメータ値を減少させることが、望ましい。図4では、ステップ410から415が、刺激の結果を検知するフィードバック機構を使用して刺激パラメータをモジュレーションするための方法を構成している。パラメータが変更されたとき、ステップ415で、タイマがリセットされる。タイマがカウント・アウトする前に刺激パラメータを変更する必要がない場合、パラメータ値を減少させ、かつ目標で、または目標によって影響される下流プロセスで適切なレベルの活動をまだ維持するように、活動を変更しようとすることが可能である。プログラミングされた時間間隔の終わりで、デバイス10が、ステップ413で、制御が維持されるかどうか判定するためにパラメータを減少させようと試みる。そうである場合、様々なパラメータ値が、それらを増加させる必要性をセンサ値が再び示すような時まで、徐々に減少される。図4のアルゴリズムは、示されたパラメータ選択の順序を追従しているが、他の手順が、臨床医によってプログラミングされてもよい。
【0049】
デバイス10内のマイクロプロセッサ200は、所望の刺激が、ここに記載された特定の脳部位に投与されるようにプログラミングされてもよい。別法として、センサ130は、図4に関連して説明されるように、運動障害症状を軽減するために必要な刺激のタイプを自動的に決定するために、閉ループ・フィードバック・システムとともに使用されてもよい。
【0050】
マイクロプロセッサ200は、刺激に閉ループ・フィードバック制御を与えるためにアルゴリズムを実行する。刺激デバイス10が埋め込まれると、臨床医が、遠隔通信を介して埋め込み式デバイスのメモリ内に、あるキー・パラメータをプログラミングする。これらのパラメータは、必要に応じて後で更新されてもよい。図4のステップ400は、刺激部位の神経活動が遮断されるか助長されるか(ステップ400(1))、センサ位置がその位置での神経活動の増加が、刺激目標での神経活動の増加に等しいものであるかまたはその逆であるか(ステップ400(2))を最初に選択するプロセスを示している。次に、臨床医は、デバイス10が治療を最適化するのに使用される、パルス幅(ステップ400(3))、振幅(ステップ400(4))、周波数(ステップ400(5))に対する値の範囲をプログラミングしなければならない。臨床医はまた、パラメータ変更が行われる順序を選択することもできる(ステップ400(6))。別法として、臨床医は、デフォルト値を使用することを選んでもよい。
【0051】
パラメータを選択するためのアルゴリズムは、臨床医が、刺激目標での神経活動を遮断するように選択したか、神経活動を助長するように選択したかに応じて異なる。図4は、パラメータ変更を行うためのアルゴリズムのステップを詳細に示している。
【0052】
アルゴリズムは、刺激光放出器25の特定の位置のニューロンが、どちらのパラメータ選択アルゴリズムのパスを追従するかを決定するために、視床下核での神経活動を減少させるために助長されるか、遮断されるかに関する臨床医にプログラミングされた命令を使用する。
【0053】
パラメータ値を、視床下核内で適切なレベルの神経活動を確立するのに必要な最小レベルにまで減少させることが望ましい。いま説明したアルゴリズムに、できる限り下方へすべてのパラメータ・レベルを再モジュレーションするために、追加のアルゴリズムが重ねられる。図4では、ステップ410から415が、このことを行う方法を構成している。パラメータが変更されたとき、ステップ415で、タイマがリセットされる。タイマがカウント・アウトする前に刺激パラメータを変更する必要がない場合、パラメータ値を減少させ、かつ目標で、または目標によって影響される下流プロセスで適切なレベルの活動をまだ維持するように、活動を変更しようとすることが可能である。プログラミングされた時間間隔の終わりで、デバイス10が、ステップ413で、制御が維持されるかどうか判定するためにパラメータを減少させようと試みる。そうである場合、様々なパラメータ値が、センサ値がそれらを増加させる必要性を再び示すような時まで、徐々に減少される。図4のアルゴリズムは、示されたパラメータ選択の順序を追従しているが、他の手順が、臨床医によってプログラミングされてもよい。
【0054】
変換器140の出力を読み取り、かつ適切な解析を行う図4に示されたコンピュータ・アルゴリズムに基づいて、適切な刺激パルスがデバイス10によって発生されてもよい。
【0055】
いくつかのタイプの状態に対して、マイクロプロセッサやアナログ・デジタル変換器が不要になる。センサ130からの出力が、デバイス10のための制御信号を供給するために適切な電子フィルタによってフィルタリングされる。
【0056】
デバイス10によって脳に投与される刺激のタイプは、導線22Aの刺激器群115が外科的に埋め込まれる特定の位置に依存する。導線22Aがそこを終点とする大脳基底核または視床の部分に対する適切な刺激が、多動障害に対する脳の部分への刺激の結果とともに与えられる。
【0057】
図5は、光を生成し、かつそれを目標組織へ直接に、または光ファイバ540を通じて目標組織へ送信する光源530を駆動することが可能であるバッテリ520などの電源を含む、埋込み式の容器510を使用する本発明の例を示しており、ここで光は、レンズを通じて目標組織上に光学的に合焦される。図示した例では、目標組織は心臓560であり、したがって、デバイスは、心房組織を活性化させることによってペースメーカーとして機能することができる。また、光ファイバは血管の内腔を通される。
【0058】
刺激源が光エネルギーである、目標組織を刺激することの適用のための方法が提供される。本発明は、US6921413に開示された、この基本原理の適用例を開示する。方法のある実施形態では、自由電子レーザーが、光エネルギーの発生源として使用される。適切な波長、パルス、エネルギー・レベルを発生させることが可能である自由電子レーザー以外の発生源を使用することが可能である。
【0059】
埋め込み可能な光源
本発明を使用して、刺激のために使用される光源が、図1に示されているように埋込み可能である。埋め込み可能な光源10を、心臓ペーシング、脊髄刺激、脳深部刺激、脳神経または末梢神経刺激、迷走神経刺激を含むがそれに限定されない、長期にわたる長期的な刺激用途のために電子刺激器の代替として使用可能である。埋め込み可能な光源の代わりに、バッテリと、レーザーなどの光源が、光源を備える生体適合性の保護容器の内部に配置されてもよい。光源は、ダイオード・レーザーであってもよい。バッテリと光源の埋め込み可能な製造のための方法が、たとえば、米国特許第6,925,328号−MRI−Compatible Implantable Deviceに記載のように適用されてもよい。現在開示されている発明では、特許第6,925,328号とは違って、光が電気信号に変換され、その電気信号が次に組織を刺激するために使用されるのではなく、光が目標組織の直接刺激のために使用される。
【0060】
埋込み可能な導線
本発明で使用するための導線22は、図1に示されているように光導体を備えてもよい。本発明で使用するための導線は、光ファイバであってもよい。本発明で使用するための導線は、光ファイバ束であってもよい。前に開示された電気的刺激法では、導線は通常電線である。ここで、埋め込み可能な導線が、光によって目標組織を直接刺激するために光を伝達する導線によって代替されることが開示される。一実施形態では、本発明で使用される光導線は、埋込み可能かつ生体適合性である。別の実施形態では、導線は、体の外部の光源またはレーザーを体の内部の刺激位置と接続する、経皮的なものであってよい。電気的刺激で使用される導線電線の経皮的通過のための方法と装置が、光導体の経皮的通過のために使用されてもよい。
【0061】
埋め込み可能な光放出器
一実施形態では、本発明で使用される光放出器25は、図1に示されているように埋込み可能かつ生体適合性である。このことは、電気的刺激が、光刺激では存在しない組織壊死または電解反応に至ることがあるので、電気的刺激電極に対して利点を有する。光放出器25は、光ファイバの裸の端部を備えるか、生体適合性のレンズを備えるか、それを通って光が与えられる生体適合性の窓23を備えるかのいずれかであってよい。
【0062】

刺激が、図1に示されているようなシールを形成する働きをする窓23を通して付与される。このことは、刺激が感染のリスクを最小にすることを可能にする。窓23は、刺激エネルギーに対してほぼ透過性である材料で構成される。窓23は、生物材料などの障害物の光路への付着を防止するように被覆されてもよい。この窓23は、それを皮膚に、骨にまたは接続組織に固定する器具によって位置を保持されてもよい。このことは、対象の身体の境界を無傷に維持しながら、対象の内部の領域への光刺激を可能にする。
【0063】
伝導媒体、腹腔鏡検査
また、方法は、光放出器25と目標組織の間に伝導媒体を設けるために使用されてもよい。媒体には、図1に示されているようなカテーテル34が通される。この伝導媒体は、水、刺激エネルギーに対してほぼ透過性である溶液、または気体を含んでもよい。一実施形態では、光を使用した刺激が他の内部器官または流体によって遮られずに行われることができるように、内部器官または流体に置き換えるために気体または透過性の溶液を体の中へ移送するための方法が、提供される。たとえば、光導体と平行して配置されたカテーテルが、透過性の流体を対象の体の中へ通すために使用される。このようにして、対象の体の内部の様子が、たとえば腹腔鏡を使用して、光導体を通じて可視化される。また、ほぼ透過性の流体または気体35を体の中へ入れると、これが、光を、光放出器から目標組織へ通過させるために使用される。この透過性の流体は、対象の、より透過性の小さい器官または体液に代わってもよい。ここで提供された本発明の態様は、たとえば、Cuschieri A.「Laparoscopic surgery:current status,issues and future development.」Surgeon.2005 June3(3):125−30,132−3,135−8で議論されるような、従来の腹腔鏡方法と相俟って完成されもよい。たとえば、目標組織の光刺激が、1つまたは複数の光放出器の腹腔鏡配置や、光導体32を通した可視化を使用して行われる。
【0064】
(刺激と対照的な)神経不活性化
開示されたデバイスは、目標の不活性化のためにも使用することができる。たとえば、高周波数パルスを使用することが、神経組織を不活性化するために使用される。周波数は、100〜1000Hz、1000〜5000Hz、5〜10kHz、10〜20kHz、20〜50kHz、50〜500kHzまたはそれ以上である。各光パルスの長い(>1秒)トレインを印加することによって、目標組織が、疲労される、習慣化される、またはそうでない場合不活性化される。
【0065】
神経画像診断、Fmri、実時間Fmriを使用する、誘発された活性化の監視
このデバイスを使用した刺激による活性化の結果が、生物学的な組織活性化を測定するためのいかなる方法と組み合わせて使用されてもよい。一実施形態では、本発明は、光を使用して神経を刺激し、かつ神経の電気的刺激を使用する当技術分野で一般的であるが前の方法を追従して記録電極を使用して結果としての活性化を記録することを通じて、神経伝導の調査を行うことができる。この方法は、人体内の神経伝導調査のためにも使用できる。この方法は、末梢または脳神経のいずれかを使用した神経伝導調査を可能にする。また、このデバイスは、神経活動の測定値としてのfMRI、または実時間fMRIとともに使用されてもよい。
【0066】
血管内埋込み
一実施形態では、光放出器と導線が、図5に示されているように、血管内に埋め込まれてもよい。この埋込みは、光ファイバ導線と光放出器を電線導線に代替させるまたはそれに追加する、電線導線の血管内埋込みのための、当業者に公知の方法を直接適用するようにしてもよい。一実施形態では、刺激が、心筋組織またはその他の血管組織などの、血管系の内部の目標組織へのものである。別の実施形態では、刺激が、血管壁を越えて目標組織を刺激するために、光を使用して血管壁を横切って行われてもよい。別の実施形態では、血管系が、次に血管系の外の目標組織を刺激するために血管壁を通って血管系を出る、光放出器と導線を配置するための導管として使用されてもよい。
【0067】
光源とパラメータ
本発明は、目標組織内の活動を刺激するために十分な、いかなる形態の放射エネルギーを採用してもよい。
【0068】
一実施形態では、自由電子レーザーおよび移送光学系が、光、または光エネルギーを発生させ、操作するために使用されてもよい。光エネルギー移送システムは、ほぼ真空下で維持される。光エネルギーは、レンズ(たとえばVi凸レンズ、f=300mm)を使用して、たとえば400マイクロメートルのスポット・サイズで目標神経組織上に合焦される。光刺激は、300〜600マイクロメートルのスポット・サイズでの0.2mJから5mJの範囲のエネルギーを有するレーザー・パルスを使用して行われる(0.2J/cm2から約10J/cm2までの様々なフルエンス値)。US6921413に記載されているような、カエルの神経プレパラートを刺激するために必要とされる最小エネルギー、およびしたがってフルエンスは、4から4.5マイクロメートルの間で最小(0.6J/cm2)である。レーザー・パルスは、両凸使レンズを使用して坐骨神経上に合焦されてもよい。レーザー・パルス・エネルギーは、偏光子を使用して変更されてもよい。
【0069】
FELが、ここに提供された方法とともに使用するために赤外線スペクトラム内の様々な波長を提供する柔軟性を与える。他の発生源が、必要な波長を発生させるために使用される。赤外線部分内の波長のスペクトルを発生させることができるいずれかの発生源に加えて、発生源は、LEDやLCDを備えてもよい。FELは、それぞれ約1ピコ秒の継続時間であり、かつ約3GHzの反復率を有するマイクロパルスを追加で供給してもよい。このパルス・トレインの包絡線は、約3〜6マイクロ秒のマクロパルスを形成し、かつ30Hz以上までの速度で移送されてもよい。上記で述べたように、末梢神経の光刺激は、約500マイクロメートルのスポット・サイズでの0.2mJから5mJの範囲のパルス・エネルギーを採用してもよい。
【0070】
刺激調査は、紫外線、可視光線、赤外線の波長に対してYAGレーザーなどの他の発生源を使用して行うこともできる。また、4マイクロメートルの周囲の波長を使用することが望まれる場合、鉛塩レーザー、または光学パラメトリック発信器(または増幅器)を使用することもできる。
【0071】
2マイクロメートルから6.45マイクロメートルまでの様々な光波長が、神経組織を刺激するために使用されてもよい。6.45マイクロメートルのFEL波長が、おそらくは蛋白質のアミドII振動バンドのため、効果的であろう(Edward他、Nature,371(6496):416−419,1994)。6.45マイクロメートルの波長を使用している間、0.5mmに近い測定スポット・サイズを有する、4.5〜5.0mJ/パルスのパルス・エネルギーでの神経刺激が生じる。
【0072】
水の吸収ピークの2.94マイクロメートルの近くの波長のない光エネルギーが、光刺激のために使用されてもよい。また、3.1マイクロメートルおよび3.3マイクロメートルの波長を使用することは、神経応答を提供するが、しかし、これらの波長は、神経組織に損傷を生じさせる、より大きな電位を有することがある。
【0073】
3.8マイクロメートルから5.5マイクロメートルの範囲の波長を使用することによって、水吸収に対する谷、光アブレーション(photo-ablation)の影響を最小にすることができる。4マイクロメートルの周囲の波長が、他の試験された波長と比較して、神経応答の誘発においてより効果的であることがある。
【0074】
FELが連続的なレーザー・パルスを放出するため、電子機械的シャッターが、パルス・トレインから単一のパルスを選択するために使用されてもよい。Melles Griot(アーヴィン、カリフォルニア州)電子シャッターが、パルス・トレインから単一のパルスを得るためにレーザー・パルスをゲーティングするために使用される。シャッター・コントローラが、レーザーからのトリガ・パルスを使用してトリガ起動されてもよい。
【0075】
光エネルギーは、1〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜500、500〜1000、1000〜5000、5000〜10000、10000〜100000マイクロメートルの範囲の空間領域内に合焦される。また、目標神経組織が、刺激効果を与えるために必要な時間量の間、光エネルギーを受信してもよい。光源はパルス化されてもよい。一実施形態では、各エネルギー・パルスは、1ピコ秒から10ピコ秒マイクロパルス、および1から10マイクロ秒マイクロパルスの範囲にある。使用される波長は、神経組織の水吸収に対する谷に近似的に対応する波長であってよい。このような水吸収の谷は、0.9マイクロメートルから2.7マイクロメートル、および3.8マイクロメートルから5.5マイクロメートルの波長範囲にある。また、使用される波長は、約4.5マイクロメートル、約2.2マイクロメートルまたは約1,23マイクロメートルでもよい。他の実施形態では、波長は、4.4マイクロメートルであり、エネルギー出力は1,5mJであり、光エネルギーは、600マイクロメートルの領域内で生じる。他の実施形態では、マイクロパルスは、0.1〜1、1〜10、10〜100、100〜1,000、1,000〜10,000、10,000〜100,000ピコ秒の範囲、または1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、0.0005マイクロ秒未満である。マクロパルスは、1〜10、10〜100、100〜1,000、1,000〜10,000、10,000〜100,000マイクロ秒または1、5、10、50、100、500、10,000、50,000または100,000マイクロ秒を超えるものであってよい。
【0076】
これらのパラメータに加えて、本発明は、活動を生成するための刺激光の光源、光伝送方法、波長、パルス幅、パルス振幅、パルス継続時間を調整し、かつ次に本明細書で提供されるようなさらなる刺激のために、選択されたパラメータを使用する可能性を提供する。また、光刺激のさらなる研究が、最適化された光源、光伝送方法、パラメータ・セットを生成するので、それらは、本発明と共に使用されてもよい。
【0077】
ハードウェア
複数の光放出器115の群が、別個の光導体22を通過するように個々に制御され、各光導体が異なる目標位置に配置されてもよい。このようにして、各光導体を通して光を差動的に当てることによって、神経組織の位置の異なる組合せを活性化させる活性化の空間的なパターンが示される。また、このマルチ・チャネル刺激構成は、図1に示されているように、空間パターンが作成されるように、デバイス10内のコンピュータを使用してコンピュータ制御されてもよい。このことは、デバイス10内での光スイッチング技術を使用して完成されてもよい。コンピュータ・コントローラが、どの光導体が、光パルスを受信するか、および正確な時間、継続時間、刺激の強度を選択することができる。このようにして、刺激の複雑な空間時間的パターンを、目標神経組織上で作成することができる。このことは、図9でも見られる。このことは、異なる神経要素が、空間と時間内で任意のパターンで刺激されることを可能にする。
【0078】
以下の構成要素が、本発明と組み合わせて使用されてもよい。フリー・スペース・ビーム、グリン・レンズ、チューナブル・レーザー、空洞の長さを変更する干渉計によって整調可能な固体レーザー、化学レーザー。
【0079】
刺激パラメータ
電極内で、「電子ターゲッティング」を、電場の広がりを制御することによって、および神経要素を選択的に活性化させることによって、神経の活性化を制御するために使用することができる(Kuncell他、2004)。同様に、光刺激を使用して、どの神経要素が刺激されるのかを特定するために使用される刺激パラメータを選択することが可能である。
【0080】
正確に配置された電極とともに、DBSの成功は、パルス幅、周波数、振幅を含む、適切に設定された刺激パラメータに依存する(Su他、2003)。電気的刺激を使用した典型的なDBSパラメータ設定は、1〜3.5V、60〜210ms、130〜185Hzの範囲の電圧、パルス幅、周波数を含む(Moro他、2002、O‘Suilleabhain他、2003、Rizzone他、2001、Volkmann他、2002)。GPiとSTN DBSの有効性を比較する研究では、PD症状を治療するために使用される最終的な平均刺激パラメータ設定は、STN DBSに対して3V、82ms、152Hzで、GPi DBSに対して3.2V、125ms、162Hz、であった(Obeso他、2001)。同様に、パルス幅、周波数、振幅が、神経組織の光刺激のために正確に選択されなければならない。光刺激の継続時間と周波数は、電気刺激において成功したとわかったものに基づいてもよい。光刺激パラメータは、周囲の組織内のどの神経要素が励起されるかを選択的に制御するために使用されてもよい。刺激パラメータはまた、励起される神経要素の空間的な範囲を制御してもよい。
【0081】
光刺激を使用した刺激周波数は、電気的刺激を使用するものとほぼ同様であってもよい。パルス幅は、かなり小さくてもよい。
【0082】
適切なパルス幅と振幅を選択するために、最小量のエネルギーを堆積させながら、すなわち最小の組織損傷を誘発しながら、目標組織内の活動の変更をうまく作成するパルス幅と振幅の最適な組合せを決定するために刺激応答が測定される一方で、これら2つのパラメータのそれぞれが独立に変更されてもよい。次に、このパルス幅と振幅の組合せが、目標領域の活動を刺激または阻害するために、適切な反復周波数で使用される。最適な組合せは、症状を最も良く低減させ、副作用を最小化し、かつ電力消費を最小化させる。低い電力消費が、バッテリ寿命を増加させ、かつ組織損傷のリスクを減少させる。短いパルス幅が、電荷継続時間関係によって説明されるように、電気的刺激内の電荷を最小にする。減少された電荷は、組織損傷を誘発する可能性を最小にする。理論的な研究が、短いパルス継続時間が、異なる直径の神経線維の間の(GormanおよびMortimer、1983)および電極から異なる距離にある神経線維の活性化の間の(GrillおよびMortimer、1995)閾値差を増加させることを示している。経験的に、短いパルス幅が、治療ウィンドウとも称される、臨床的な便益と悪い副作用の間のダイナミック・レンジを増加させることが見出される。Rizzone他(2001)他は、PDを有する患者の手首の硬直の減少に対する、および副作用の開始に対するパルス幅/刺激強度関係を測定した。パルス幅が減少すると、臨床的なかなりの改善を誘発するために必要とされる刺激強度が増加する。このことは、強度−継続時間関係によって説明できる。副作用を生じさせる刺激強度は、パルス幅が減少するにつれ減少するが、2つの振幅の間の差、治療ウィンドウのサイズは、パルス幅が減少するにつれて増加することがある。累積的に、これらの結果が、DBSデバイスが、可能な限り最短のパルス継続時間でプログラミングされること、および未来の世代の刺激器が、より低いパルス幅の範囲を含むことを示唆している。同様に、光刺激のために最も適切なパルス幅が、導出されてもよい。より短いパルスが、組織損傷を減少させるために選択されてもよい。高周波数による刺激は、より多くの電力を必要とし、したがってバッテリ寿命を減少させることがある。DBSは、50Hzを超える周波数で振戦、運動不能、硬直の減少のために効果的であるが、より大きな刺激振幅が低い周波数で必要とされることがある(Benabid他、1991;Limousin他、1995)。最低の電流での振せんの抑制は、150から1000Hzの間で行われ、必要とされる最低の刺激強度は約2mAであろう(Benabid他、1991)。1000Hzを超えるとおそらく神経の不応性の結果として、振せんの抑制の効率が減少する。運動不能と硬直に対するSTN刺激の臨床的な効果が、同様の結果を伴って調査される(Limousin他、1995)。神経要素を活性化させるために必要とされる刺激振幅は、電極または光放出器と神経線維の間の空間的な関係に依存する(McNeal、1976)。活動接触と神経要素の間の距離が増加すると、神経要素を刺激するために必要とされる刺激振幅が非線形に増加する。DBS研究は、臨床的な利益がある値以上を満たすことを示した。
【0083】
刺激パターン
いくつかの実施形態では、複数の刺激源から発する刺激の空間パターンを使用することが好ましい。1つの例では、複数の刺激接触が、各刺激接触が異なる位置にあるように神経組織内に挿入される。これらの位置は、脳核、皮質領域、または脊柱の一部、末梢神経または筋肉組織などの中のわずかに異なる位置など、異なる神経要素にわたる。次に、刺激接触のそれぞれからの刺激の量とタイミングが、最大の組織刺激が達成されるように、個々に調節される。刺激接触のそれぞれからの刺激の量とタイミングが、同様の刺激結果または阻害を有して組織損傷を最小にするように個々に調節される。刺激接触のそれぞれからの刺激の量とタイミングはまた、繰り返される刺激に対する刺激の長期間の効果(たとえば習慣性を減少させること)を最大化するように個々に調節される。また、異なる部位への刺激の空間時間的パターンが、異なる空間位置が異なる時間に刺激されるように制御されてもよい。このことは、目標組織内に正確にタイミングされた刺激の結果パターンを作成することにおいて重要である。たとえば、筋肉組織内で、個々の筋肉が、調整された運動を生成するための正確な空間時間的パターンで異なる時間に刺激される。同様に、異なる神経要素が、神経活性化または阻害の所望のパターンを達成または模倣するために、空間時間的パターンで刺激される。これらの空間時間的パターンは、感覚、運動などの所望の応答を最適化するために、または対象内の症状を低減させるために、各構成要素刺激部位で刺激のタイミングまたは強度を調節することによって調節されてもよい。このことは、これらのパターンの結果を吟味するために使用されることができる実験的な調製で正確に制御された刺激パターンを作成するために使用される。
【0084】
刺激位置
また、ここに開示された本発明は、以下の神経構造を、これらの構造の内部かそれに隣接する刺激器の短期にまたは長期に配置することによって刺激するために使用することができる。光が、光導体を通じてその位置に送られ、カニューレ、チューブまたはその他の移送方法によって、さらに送られる。刺激することができる構造は、脊髄、硬膜、後角、前角、神経、脳神経#1〜12、末梢神経、神経根を含むが、それに限定されない。刺激位置は、図6〜8に示されたものを含むが、それに限定されない。追加の組織目標や刺激位置を、神経解剖学テキストで見出すことができる。
【0085】
脊髄刺激
本発明を使用すると、電気的脊髄刺激の結果を代替してまたは補足して脊髄121を刺激することができる。これは、慢性的な疼痛の治療など、脊髄の電気的刺激が必要とされるところに使用される。光刺激は、神経組織に対して直接与えてもよい。適切な波長と刺激パラメータが使用可能である場合、刺激は、介在組織を通じて行われてもよい。
【0086】
脊髄刺激は、脊髄の神経要素を刺激または阻害し、それによってそれらの生理学的機能に影響を与える方法である。本発明を使用すると、電気的刺激を使用した従前のアプローチではなく、またはそれに加えて光を使用して、脊髄刺激を与えることができる。
【0087】
脊髄刺激に対するいくつかの臨床的な適応は、
血管痛:難治性狭心症と末梢血管疾患(PVD)。
脊柱痛:術後症候群(FBSS)、変性腰脚痛(LBLP)、脊柱管狭窄、神経根剥離、不完全脊柱病変。
慢性局所疼痛症候群(CRPS)タイプIおよびタイプII。
神経障害性会陰部痛:
【0088】
泌尿器疾患:間質性膀胱炎、急迫性尿失禁
である。
【0089】
脳深部刺激
本発明は、図1に示されているような光を使用した脳深部刺激が可能である。脳深部刺激の目標は、脳Bの内部の脳領域である。脳深部刺激のための光は、光導体22を使用して目標組織へ伝達される。脳深部刺激は、埋込み可能なデバイス10を使用してもよい。
【0090】
DBSによる治療の成功は、正確に配置された電極または光放出器に依存する。解剖学的な目標設定は、どの神経要素、細胞または繊維が励起のために目標とされるかに基づいて、刺激器をどこに配置するか、および電流をどこへ方向付けるかを決定することを含む。STN(視床下核)が、パーキンソン病(PD)の治療のための一般的な目標であり、かつPDの治療のためにSTNを目標設定することは、臨床的に効果的な結果を生じさせる(Krause他、2001、Kumar他、1998、Limousin他、1995)。STNは、不確帯(ZI)とフォレル野(FF)を含むいくつかの大きな繊維区域によって包囲された小さい核である。
【0091】
STNと周囲の繊維区域内に配置された光放出器が、同様の臨床的な改善を導き出す(Hamel他、2003、Saint−Cyr他、2002、Voges他、2002、Yelnik他、2003)。しかし、Saint−Cyr他(2002)は、電極接触が前背側STN内および/またはそれに背側から隣接するFF/ZI内に配置されているときに、最良の効果で最小の悪い副作用が、最も一般的に生じることを見出した。Hamel他(2003)が、STNと、ZI、FF、STN突起を含む領域との間に位置する活性接触は硬直を緩和するのに最小の電圧しか必要としないことを見出した。Voges他(2002)は、同様の臨床的な改善に対して、繊維区域内に位置する接触は、STN内に配置されたものよりも低い刺激電力(ここでは電力1/4(振幅£パルス幅£周波数)2/インピーダンス)しか必要としないことを見出した。同様に、STNを超えてFF/ZI内へ延長された視床下部処置(subthalamotomy)が、STNを超えて延長されない損傷よりもPD患者の治療により効果的であることがある(Patel他、2003)。その治療がSTN DBSによって影響される、STNの周囲の繊維区域は、STN DBSの運動効果を仲介する役割をする(Vogal他、2002)。以前の動物研究によると、カソードから5mmまでの神経要素が、DBS内で使用される刺激振幅(3mA)を使用した刺激によって影響される(Ranck、1975)。
【0092】
したがって、STN内の刺激が、周囲の繊維区域へ拡大されてもよい(Vogal他、2002)。淡蒼球(GP)、すなわち淡蒼球が、PDのDBS治療のための別の目標である。GPiと外部淡蒼球(GPe)から成るGPの刺激は、GPiまたはGPe内に配置された電極で異なる臨床的な結果を生じさせる(Bejjani他、1997、Krack他、1998、Yelnik他、2000)。GPeまたは被殻とGPの間の領域に付与されるDBS(14接触のうち13)は、上肢の運動不能の改善を結果として生じるが、一方、GPiに加えられる刺激(12接触のうち11)は、上肢の運動不能の悪化を結果として生じる。GPeとGPiの境界に位置する接触は、混合された臨床的影響を有することがある。硬直は、被殻とGPの間の領域、GPe内、GPeとGPiの間の領域内、Gpi内を含むGP全体にわたって位置する接触に対して改善される。
【0093】
ここに開示された本発明は、脳深部構造の正確に配置された刺激を提供するために使用することができる。光が、脳核などの脳深部構造に加えられてもよく、それによって所望の目標領域が光によって刺激されるが、一方他のまたは周囲の領域がほとんどまたは全然刺激されない。
【0094】
脳または皮質組織の刺激
一実施形態では、本発明が、図1に示されている、脳B内の大脳皮質の組織を刺激するために使用することができる。大脳皮質の多くの構造は、皮質表面上の様々な点が、視覚空間内の点、体表面上の点または可聴周波数などの様々な特徴に対応するように「マッピング」される。したがって、本発明は、皮質組織内の1つまたは複数の点で選択された強度レベルの刺激による皮質組織内での活動のパターンの作成を可能にする。刺激パターンを適用することによって、このパターンが、脳組織内の電気的活動で表される情報を模擬するためにも使用できる。たとえば、主視覚野では、脳内の各点が、視覚空間内の位置に対応し、かつ各点の刺激が、視覚空間内のその点の画像の認識を作成する。したがって、対象の視覚野内の点のパターンを刺激することによって、対象によって視認される画像の対象の皮質による表現を模擬することが可能である。
【0095】
本方法はまた、皮質または脳組織のマッピングも提供する。光刺激は、目標位置に与えられ、結果を、たとえば、結果としての認識、運動または、言語などの認知機能の混乱を対象が有するかどうかを決定することによって観察できる。この手順を繰り返すことを通じて、様々な脳領域の機能のマップを形成することが可能である。このマップは、侵襲的手術中に重要な脳領域を回避するために使用できる。
【0096】
本発明は、脳組織などの目標組織の刺激が、目標組織内の複数の点を照射するために配置されている複数の光放出器を通じて行われることを提案する。
【0097】
また、本発明は、脳組織などの目標組織の刺激が、光スポットが組織を横切って走査されるように、単一の光源によって作成される光スポットを移動させることによって行われることを提案する。組織内の各点での刺激の強度は、目標組織内の位置のパターンに光スポットを迅速に走査し、かつ各位置が異なる刺激強度を受信することができるように、光の強度、パルス幅または他のパラメータを選択することによって調節される。脳組織の刺激は、脳組織の露出中、たとえば手術中に行われてもよい。このことは、たとえば、刺激の効果を観察することによって、または対象に刺激の結果を報告させることによって、刺激されている目標組織の機能を決定するために使用することができる。脳組織の刺激はまた、埋込み式の刺激装置を使用して行われてもよい。したがって、このことは、光を使用した長期間のすなわち長期的な脳または皮質組織の刺激を可能にする。
【0098】
脳核の刺激
別の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の脳核を刺激するために使用できる。このことは、これから刺激される脳核内にまたはそれに隣接して1つまたは複数の光放出器を配置することによって行われてもよい。
【0099】
カニューレを介した複数の導線の配置
別の実施形態では、複数の光刺激導線と光放出器が、目標組織内の異なる空間位置に配置される。例が図9に示されている。この例では、ガイド・カニューレ1010、たとえば18ゲージ・カテーテルが目標組織領域1020内に、たとえばSTNなどの脳核内に挿入される。複数の光刺激導線1030が、目標組織内に通される。これらの複数の導線は、目標組織に入るようにカニューレ1010によって目標組織内に通されてもよい。各導線が、目標組織内の異なる位置に入ることが望ましいことがある。導線の、またはそれに取り付けられた支持要素の引張り特性は、導線が、それらの先端が目標最終位置に到達するように、特定の方向で目標構造に入る、または所望の最終形状を達成するという効果を生むように設計される。たとえば、各導線が、異なる円半径で曲がり、かつ異なる角度でカニューレから出るように設計されている場合、各導線の先端、および光放出器が、異なる最終目標位置に到達し、目標位置がカニューレの先端を包囲するという効果を生むであろう。このことは、各導線が、目標組織内の異なる位置を刺激する可能性を提供する。
【0100】
複数の導線を通しての刺激のレベルを、刺激される目標組織内に領域にわたって空間的な制御を提供するように個々に制御することができる。各導線の終端での光放出器による刺激のレベルが、個々に制御される。各個々の光放出器の刺激の結果が、その刺激の結果に関して評価されてもよい。たとえば、パーキンソン病の患者のSTN内に配置された導線に隣接する組織を刺激することでは、刺激強度またはタイミング・パターンなどの異なる刺激パラメータがその導線によって使用されるとき、振せんなどの患者症状に対する結果が評価される。次に、いったん患者症状に所望の効果を作成するために適した刺激レベルが決定された後、このレベルまたはレベルの一部分が、同様の方式で決定されたパラメータを使用した他の導線を通しての刺激と組み合わせて、この導線を通しての未来の刺激のために使用されてもよい。また、いくつかの不適切な導線1040が、目標組織領域内にない領域に入ることがある。導線を通しての刺激が、振せんの減少などの所望の結果を作成しないこと、または患者の筋肉の痙攣などの望まれない結果を作成することを判定することによって、導線が所望の目標位置にないこと、およびしたがって不適切な導線であることを判定することが可能である。不適切な導線を通しての刺激は、後で回避されることができる。このようにして、目標領域内にない不適切な導線を最小にできる。この方法は、目標組織内の空間領域の光を使用した刺激を可能にする。
【0101】
配置をガイドするために光導体を使用する
光導体32、光ファイバまたは光ファイバ束を、図1に示されているような本発明による刺激光放出器の配置をガイドするために使用できる。光ファイバの遠端部が対象の体の中に入れられ、かつ近端部が、光モニタまたはカメラと接続される場合、対象の体の中の光ファイバの遠端部の位置近くで観察を行うために、光ファイバを使用することが可能である。光ファイバを通して目標組織を視認するための方法は、腹腔鏡の分野でよく開発されており、当業者に公知である。カテーテル、ガイド・ワイヤを使用する配置の方法または可視化の方法が、文献によく記載されている。これらの方法を、本発明で開示される光放出器の配置に使用できる。このようにして、目標組織内に埋め込まれつつある光放出器などの刺激要素の配置の位置を可視化することが可能である。目標組織の照射のための光が、近端部から遠端部へ光を伝達することによって、光ファイバのうちの1つまたは複数によって供給される、または光が、異なる発生源を通して供給されてもよい。
【0102】
遊離された神経組織の実験的な刺激
対象からの組織が対象から取り外され、かつ本発明を使用して刺激されてもよい。たとえば、Schmits,D.,Frerking,M.,およびNicoll,R.A:Synaptic activation of presynaptic kainate receptors of hippocampal mossy fiber synapses.Neuron 27:327−338(2000)などに記載されているような、技術分野で公知の方法によって、たとえば、海馬のスライス・プレパラートが、ラットまたは他の実験動物から取り出され、その生理学的機能を維持するために実験装置内に配置される。次に、これを、ここに開示された方法を使用した刺激のために目標組織として使用できる。遊離された神経組織は、1つまたは複数の刺激電極でしばしば刺激されるが、本発明は、1つまたは複数の光放出器によるこの組織の刺激を可能にする。光放出器は、刺激の人為影響を生成しないため、結果としての神経活動の優れた電気生理学的記録が達成される。また、本発明は、極めて正確な空間的、時間的パターンが発生され、かつ結果として生理学的な変化を測定することが可能である。たとえば、光刺激が、海馬スライスなどの隔離された神経組織のセクション内の多数の位置に加えられ、かつ結果としての神経活動が測定される。目標として使用される隔離された神経組織は、培養されたニューロン、器官培養、維持された神経組織の他の形態を含んでもよい。使用される刺激は、正確な刺激の空間パターンを提供するために神経組織上の複数の点に対して走査される。たとえば、単一のニューロンが、ニューロンの軸索、樹状突起、細胞体上の、またはニューロン上に入射するファイバ上の異なる点に当たる光を制御することによって刺激される。
【0103】
MRI適合性
本発明は、組織のMRI適合性刺激を与えるために使用できる。本発明は、MRI適合性でない金属の導線電線の埋込みを必要としない。光は、MRI適合性の光ファイバによって光放出器に伝達されてもよい。また、光放出器の配置が、MRI、CTまたは蛍光透視によってガイドされてもよい。また、MRI受信コイルを、埋込み式光放出器またはその配置で使用されるガイド・ワイヤと隣接して配置すること、およびMRIスキャナを使用してこのMRI受信コイルからMRI測定を実施することによって、埋込みの位置と周囲の組織を正確に可視化することが可能である。
【0104】
部位障害に対する網膜刺激
ここに開示された方法は、視覚系の刺激を達成するために使用できる。この刺激は、網膜のレベル、または視神経、視索、視交叉、外側レフ状体核、主視覚野、またはより高度な視覚野領域を含む視覚系のより高いレベルで行うことができる。このことは、たとえば、視覚障害者の部位の部分的な回復のために人工的な効果を達成するために使用できる。たとえば、パルス化されたレーザー励起を使用することによって、網膜または視神経の神経組織を活性化してもよい。これは、視覚回復を作成するために患者内で使用できる。網膜の刺激は、網膜上の画像の形成による眼の瞳孔を通して加えられてもよい。視覚系の電気的な刺激が採用されている場合、本発明を使用した光学的刺激が代わりに採用されてもよい。たとえば、その方法は、視覚系人工器官に対して、SachおよびGabel’Retinal replacement−the development of microelectronic retinal prostheses−experience with subretinal implants’,2004で開示されている。記載されているような電気的刺激を使用するのではなく、本発明を使用した光学的刺激が、視覚系の対応する点に加えられてもよい。一実施形態では、人工網膜が、網膜上にある位置に対してそれぞれ配置された複数の光放出器のアレイを使用して構成される。刺激は、網膜上への刺激の正確な位置、時間、強度が正確に制御されるように、コンピュータ制御される。また、網膜(またはその他の神経構造)上の異なる位置が迅速に連続刺激されるように、一連の刺激を採用する。
【0105】
仮想網膜ディスプレイ内での使用
また、刺激は、網膜上の異なる位置に対してレーザー照射スポットを迅速に連続して走査することによって達成されてもよい。各位置でのレーザー・パルス強度を、それが到達するときに調整することによって、異なるレベルの刺激を各位置で達成することができる。このことは、たとえば黄斑変性、緑内障、またはその他の視覚障害において、視覚活性化を達成するために使用できる。この走査と調整のプロセスが、パルス化されたレーザーとともに使用できる。各パルスの目標点が、たとえば、矩形の格子などの網膜上の様々な点に対して走査され、またレーザー・パルスが、その点に加えられている画像の強度レベルに対応する各点で加えられてもよい。このことは、画像を形成するためにCRTモニタ上の異なる位置に対してビームを走査することに使用されるアナログ・プロセスと類似している。しかし、この場合、網膜または視覚系構造の刺激が、光受容体細胞内の光色素を通しての光伝達のプロセスによってではなく、目標組織に対する光の直接の作用によって行われる。このようにして、目標組織の直接刺激が、光伝達が通常操作可能でない場合にも可能になる。形成される画像は、ビデオなどの装置を使用して実時間で捕捉される。これによって、光強度の空間的かつ時間的パターンまたは目標組織上の各点に加えられる光パルスとして目標組織に加えるための、ビデオ、または高速連続画像を提供する。また、レーザー・パルスを網膜上に正確に合焦させるために、レンズが使用できる、またはコンタクト・レンズが眼の上に配置されてもよい。仮想的な網膜ディスプレイの従来の方法が、たとえば、Virre E,Pryor H,Nagata S,Furness TA「The virtual retinal display:a new technology for virtual reality and augmented vision in medicine」,Stud Helth Technol Inform.1998;59:252−7およびwww.cs.nps.navy.,mil/people/faculty/capps/4473/projects/fiambolis/vrd/vrd_full.htmlで示されている「Virtual Retinal Display(VRD)Technology」に記載されている。これらの方法では、本発明が、仮想網膜ディスプレイによって示されるレーザー光が、光伝達に加えて、直接の神経刺激のために使用できることを開示している。
【0106】
疾患状態および適応
開示された発明は、神経系に関連する様々な疾患の治療に使用できる。特に、神経系の電気的刺激が加えられるいずれの場合でも、光刺激を代わりに適用することができる。光刺激はまた、追加的に適用されることもある。たとえば、パーキンソン病に対する視床下核の脳深部刺激が、脳内のほぼ同様の位置での光刺激を使用して代替される。光ファイバまたは光ファイバ束を対応する位置へ通し、かつ神経組織のパルス化された刺激を加えることによってそれを達成できる。この刺激は、刺激窓23を通して行われてもよい。
【0107】
様々な状態のいずれも、電気的または磁気的刺激の代替として本発明を使用して治療することができる。特に、ここで引用された付録資料に記載されているような、従来型の電極を使用した神経組織の電気的刺激が記載されている様々な状態で、神経組織の光学的刺激がここに開示されたように代替として使用できる。これらは、図6〜8に示したものを含むが、それに限定されない。
【0108】
活動の測定
本発明は、対象から生理学的活動を測定するための様々な方法と共に使用できる。測定技術の例は、EEG、単一ニューロン記録、EMG、ECG、神経電位記録、機能的磁気共鳴映像(fMRI)、PET、SPECT、磁気共鳴血管映像(MRA)、拡散テンソル画像(DTI)、超音波、ドプラー・シフト超音波を含むが、それに限定されない。好ましくはほぼ実時間で、局所化された領域からの活動の測定を可能にする将来の技術が開発されることが予想される。いったん開発された後、これらの技術もまた、本発明とともに使用できる。これの測定技術はまた、組み合わせて使用することができ、さらにEEG、EKG、神経記録、局所場電位記録、超音波、酸素測定、末梢パルソキシメトリー、近赤外線分光分析、血圧記録、インピーダンス測定、中枢と末梢反射の測定、血液ガスまたは化学組成の測定、温度の測定、放出放射の測定、吸収放射の測定、分光学的測定、中枢と末梢反射の測定、さらにはX線/CT、超音波などを含む解剖学的方法などの他の測定技術と組み合わせても使用できる。
【0109】
脳、神経系、または記載されたような生理学的監視装置(または考案されることがあるその他の生理学的監視装置)を使用して測定される、体の他の部分の中のいかなる局所化された領域も、本方法の目標として使用できる。たとえば、測定装置が、末梢神経節などの末梢神経系の一部分の中の活動の監視のために使用される場合、その末梢神経節の活動の調整のために対象が刺激されてもよい。また、監視される点が下流であってもよい、または刺激されている領域によって影響されてもよい。たとえば、神経が刺激される場合、測定は、神経によって刺激されるまたは活性化される遠位の筋肉または作働器官で行われてもよい。
【0110】
実験プレパラートの例
本発明の使用の一例は、その適用例として働く目標組織のために、US 6921413に記載のように、カエルの隔離された神経プレパラートに対してラットの坐骨神経を使用することである。ラットの坐骨神経を露出させるために必要な外科的手順の差を当業者なら理解されよう。ラットの坐骨神経の刺激に関して、4.4マイクロメートルの波長、4,7mJのエネルギー、619マイクロメートルのスポット・サイズ、FELを使用した2Hzのパルス周波数が使用できる。光学的刺激は、39mJ、1,78mJ、2.39mJのエネルギーを使用してもよい。
【0111】
ここで説明された本発明は、光エネルギーによって目標組織を刺激する方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、200マイクロジュールから5ミリ・ジュールの範囲のエネルギー出力で、3マイクロメートルから6マイクロメートルの範囲の波長を有する光エネルギーを発生させることが可能な発生源を用意し、目標神経組織を用意し、かつ目標神経組織が電気インパルスを伝播させるように、光エネルギーを目標神経組織上に合焦させることによって神経組織を刺激する方法を提供する。使用できる光エネルギーの発生源は、自由電子レーザーである。目標神経組織の例は、哺乳類の神経、ヒトの神経、モデル・システム内のヒョウガエル由来の坐骨神経を含む。
【0112】
光エネルギー刺激に対する坐骨神経の応答を、複合神経活動電位記録のために坐骨神経の下に配置されたステンレス鋼の針電極を使用して感知する。また、坐骨神経からの電気応答を、下流の神経および刺激されるハムストリングス筋内に配置された電極を記録することによって監視してもよい。坐骨神経が電気インパルスを伝導する場合、小さい電気信号が神経から検知され、かつずっと大きな電気信号が筋肉から検知される。信号は、複合型電気刺激記録ユニットであるBiopac Systems(カリフォルニア州サンタ・バーバラ)によるMP100システムを使用して記録できる。比較の目的のために、Grass Instruments、Quincy、MassによるS44Grass電気刺激器を使用して、神経を電気的に刺激する。様々なフルエンスで、個々の神経線維の直径と励起閾値が小さな増分だけ変化する。
【0113】
ここで説明された本発明は、150マイクロジュールから5ミリ・ジュールの範囲のエネルギー出力で、1マイクロメートルから8マイクロメートルの範囲の波長を有する光エネルギーを発生させることが可能な光源を用意し、目標神経線維を用意し、さらに目標神経線維が刺激されるように、光エネルギーを目標神経線維上に合焦させることによって神経線維を刺激する方法を提供する。目標神経線維の例は、哺乳類の神経線維、ヒトの神経線維、モデル・システム内のヒョウガエル由来の坐骨神経線維を含む。合焦している間、目標神経線維は、刺激効果を与えるために必要なある長さの時間の間光エネルギーを受信する。光源は、パルス化されてもよい。光源がパルス化される場合、パルスは、1ピコ秒から10ピコ秒マイクロパルス、1マイクロ秒から10マイクロ秒マクロパルス、の範囲を有する。また、光エネルギーを合焦は、50マイクロメートルから600マイクロメートルの範囲内の領域で行われる。
【0114】
ある実施形態では、本発明は、(a)100マイクロジュールから5ミリ・ジュールの範囲のエネルギー出力で2マイクロメートルから9マイクロメートルの範囲の波長を有し、50マイクロメートルから600マイクロメートルの範囲の領域を有するレーザー・ビームを発生するレーザーを用意し、(b)目標組織を用意し、(c)目標神経組織が神経信号を伝導するように、レーザー・ビームを目標神経組織上に合焦させるて、目標組織を励起させる方法を提供する。光源をパルス化させることが望まれる。他のパルス幅と継続時間が使用できるが、パルス1ピコ秒から10ピコ秒マイクロパルスか、1マイクロ秒から10マイクロ秒マクロパルスを有することができる。
【0115】
本発明はまた、神経組織を損傷させることなく、神経組織を刺激するために使用できるシステムを開示している。本発明は、神経組織の水吸収に対する谷に近似的に対応する波長を有する放射のビームを発生させるための光源を用意し、神経組織を用意し、放射ビームを刺激される神経組織に方向付けることによって、神経組織を刺激する方法を開示している。また、0.07J/cm2から25J/cm2の範囲のフルエンスで0.9マイクロメートルから6マイクロメートルの範囲の波長を有する光エネルギー発生させることが可能な光源を用意し、目標神経組織を用意し、および活動電位が伝播されるように、光エネルギーを目標神経組織上に合焦させることによって、目標組織を刺激する方法もまた開示されている。この方法の間、発生源はパルス化されてもよい。また、目標神経組織は、哺乳類の神経組織またはヒトの神経組織であることができる。
【0116】
ここに開示された方法は、神経組織を損傷させない。神経組織は、サブ・アブレーション・フルエンスで、0.84J/cm2のフルエンスで4.5マイクロメートルの波長で放射されてもよい。認識できる損傷はこのフルエンスで生じることはない。神経内に明確な電位を誘導することができる約0.84J/cm2のフルエンス・レベルで、光学顕微鏡検査下で観測されるような熱的損傷はない。
【0117】
エネルギーは、組織に対して3つの影響を有することが一般に知られている。神経組織への光熱的および光化学的影響が広く研究されているが、第3のタイプの影響、つまり光機械的影響は、神経組織に関して演じる役割は小さいように見える。したがって、パルス・パラメータに対す調整が、神経組織による光熱的および光化学的応答に対する調整を識別するために使用できる。
【0118】
レーザー・ビームのスポット・サイズは、サイズを減少してもよい。そうすることによって、目標組織の小さい部分を、目標組織の他の要素を邪魔することなく、選択的に刺激することができる。そうすることによって、これによって、目標組織の機能の識別を行う調査者にとって効果的な方法となる。たとえば、研究者が、脳核または皮質領域の様々な部分を、それらが刺激する特定の筋肉組織、またはそれらが作成する特定の症状結果に対してマッピングする能力を有する。臨床医に対して、これによって、神経内の損傷の点を選択的に識別する、または神経の小区分をマッピングするためのツールとして役に立つであろう。
【0119】
目標とされる脳領域の調整
本発明の一態様は、脳領域の選択に関する。述べられてきたように、脳は、異なる機能と異なる解剖学的位置を有する、数千の個別に名付けられた構造を含む。また、脳の領域を不適切に機能させることを含む数百の状態がある。結果として、特定の状態に対して不適切に機能する脳の領域をそれぞれ含む、数十万の潜在的な治療目標がある。
【0120】
開示されてきたように、本発明は、それらの状態に関連する特定の状態の治療で使用するために、個々の脳領域を調整する。したがって、特定の状態に基づいた関心領域を最初に選択することによって、様々な方法が、その関心領域、およびしたがってそれに関連する特定の状態を調整する。たとえば、特定の状態に関連する1つまたは複数の関心領域の活動を測定することができる、および測定された脳活動を取得し、かつ本発明を使用した組織の刺激で使用するためのパラメータを決定するコンピュータ実行可能なロジックを採用する方法が、提供される。本発明による他の様々な方法は、いかなる関心領域にも方向付けられ、したがって特定の関心領域に関連する状態に適用できることを認識されたい。
【0121】
本発明のさらなる態様は、特定の状態の治療で使用するための特定の脳領域の局所化に関する。これらの脳領域を知ることによって、デバイス・オペレータまたは対象が、関心領域を選択し、かつ局所化することができる。
【0122】
図6〜8は、列でラベル付けされた領域と座標系内に特に示されているように、刺激と調整のための関心領域として使用できる脳領域の特定の例を提供している。図6〜8に示した構造と座標系が、いずれかの半球内でのこれらの構造と位置の片側の例、または両半球に含まれるこれらの構造の両側の例のいずれかを含むように理解されるべきであることが記されている。また、所与の神経領域の刺激のための効果的な方法は、解剖学的目標を刺激のための関心領域として使用して、その位置自体ではなく、図示された領域の1つのいわゆる解剖学的目標を調節するための刺激である。したがって、図6〜8に記載された領域のいわゆる解剖学的な目標が、位置自体というより、むしろ位置自体に加えて、指示された目的のための刺激で使用できる。
【0123】
デバイス・オペレータはまたは、図6〜8で提供された座標を、関心領域の中心として使用することができる。これらの座標は、標準的なタライラッハ空間で示されている。したがって、関心領域の選択の前に、これらの座標が、刺激されている対象の座標枠に変換される。その後、本発明が、選択された領域の調整のために使用できる。
【0124】
図6〜8に示された領域は、ここに開示された本発明の実施形態のいずれの関心領域として使用できる。特に、これらの領域は、脳刺激のための目標として使用できる。また、対象を横切る構造の位置に、あるバラツキがあることを当業者なら理解されよう。示された位置は、ここに開示された本発明の実施形態のいずれの関心領域として、これらの関心領域を含む位置として、記載された位置から1、2、5、10cm内の位置などの近くの位置として使用できる。
【0125】
いったん1つまたは複数の関心領域が、特定の対象に対して識別され、かつ局所化され、例示的な挙動および/または刺激が、特定の対象について1つまたは複数の関心領域を刺激するために使用するように識別された後、1つまたは複数の関心領域の刺激が、本発明によって行われることができる。
【0126】
特定の状態の治療のための目標脳領域の調整
図6〜8に列挙されたものなどの、刺激のための目標として使用できる多数の脳領域に加えて、脳の領域の不適切な機能を含む数百の状態もある。
【0127】
所与の状態を特定の脳領域と関連させることによって、次いで本発明によってその特定の脳領域を刺激することによって、状態の治療が達成される。さらに、いくつかの状態は、所与の脳領域に対する傷または損傷(発作によるものなど)に関連する。傷または損傷の位置を知ること、損傷組織の領に隣接する所など、傷または損傷に関する関心領域を局所化することによって、領域の刺激が行われる。たとえば、一実施形態では、状態を有する対象を取得するステップと、これらの1つまたは複数の領域が、状態に関して対象に役立つ1つまたは複数の関心領域を識別するステップと、本発明による方法に従って1つまたは複数の領域を刺激するステップとを含む方法が、本発明によって提供される。特定の状態とそれに関連する関心領域の例が、図6〜8に提供されている。
【0128】
図6〜8は、当該脳領域の組合せを示しており、これらの関心領域に対する特定の状態が、刺激で適切に使用できる。対象が識別され、かつ特定の状態を有する者がスクリーニングされたとき、対象の状態に対して適切である1つまたは複数の関心領域が、図6〜8から選択され、かつ、1つまたは複数の関心領域の刺激が、本発明によって行われる。いくつかの関心領域が2つ以上の状態に関連することに気づかれるであろう。たとえば、基底核は、大脳皮質のコリン作動性神経支配を提供し、したがってこれは、通常の学習と柔軟性に関連し、かつ、アルツハイマー病で見出されるコリン作動性機能の低下に随伴する記憶の損失にも関連する。同様に、黒質は、ドーパミン作動性モジュレーションの主な源であり、これは、パーキンソン病や統合失調症の両方に関連することが数十年にわたって繰り返し示されている。別の例として、前側帯状皮質、および/または前側帯状皮質吻側部の刺激が、長期的な疼痛の治療で使用できる。
【0129】
別の例としては、アルツハイマー病を有する対象が、一部ニューロンの退化による、マイネルト基底核内の活動の減少を有する。この基底核内の活動の減少は、記憶と認知障害を結果として生じさせる、大脳皮質のコリン作動活性化の減少に至ると当技術分野で理解されている。再び、従来技術は、アルツハイマー病のある影響を克服する手段として基底核の電気的刺激を記載している。本発明を使用する1つの例は、アルツハイマー病を有するこれらの対象を、基底核内での活動の増加を可能にする刺激によって治療することである。これによって、基底核に、アセチルコリンを疾患状態で見出される減少したレベルよりも高いレベルで皮質内のニューロン上へ解放させることになる。
【0130】
別の例として、うつ病を有する対象は、セロトニン作動性の核、および前頭葉領域を含むある皮質ゾーン内の両方で、活性化が減少している。うつ病と対人恐怖などの他の精神的疾患を有する対象を、セロトニン作動性の核の刺激によって治療することができる。これらの核は、セロトニンを解放し、かつ疾患状態で見出される減少したレベルよりも高いレベルへそのレベルを増加させ、それと同時に、前頭皮質領域などのセロトニン作動性のモジュレーションの、ある目標領域の活動レベルを増加させる。うつ病は、ここで提供された方法を使用した帯状膝下部の刺激によって対処されてもよい。
【0131】
別の例として、長期的な疼痛を有する対象を、図6〜8に提供されているような、脳のある抗侵害性領域の制御によって治療することができる。中脳水道周囲灰白質、大縫線核、島、帯状皮質、体性感覚皮質、視床内側核、脊柱の後角を含む、これらの領域の活性化は、経験された疼痛の減少に至ることができる。対象は、これらの領域のうちの1つまたは複数を目標組織として使用して刺激されてもよい。
【0132】
別の例として、てんかんを有する対象は、過度の活性化が発作に至った脳の領域を有する。本方法は、てんかん発作を中断または防止するために、てんかん性の組織内の、またはそれに隣接して刺激する。発作活動は、脳の電気的活動の測定によって監視され、発作の存在または予徴を決定するために数値計算が行われる。本方法は、てんかん性組織へ、隣接する組織へ、または発作を遮断、防止または減衰させる関連する組織へ刺激を与えるために使用される。
【0133】
ニューロモジュレタリ作用のための目標とされた脳領域の調整
オピオイド、神経ペプチド、アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン、その他の生物アミンやその他のものなどのニューロモジュレタリ薬剤を解放する主な役割をする脳内の多様な領域がある。これらの化合物の多くは、外生投与された薬理剤によって模倣された化合物である。特定の脳領域の刺激が、これらの領域が活性化したときに解放される特定のニューロモジュレタリ薬剤の解放を刺激するために使用できる。たとえば、一実施形態では、対象に対してニューロモジュレタリ薬剤を解放する1つまたは複数の関心領域を識別するステップ、関心領域によって解放されるニューロモジュレタリ物質の量が変更、好ましくは増加されるように、本発明による方法に従って1つまたは複数の領域を刺激するステップとを含む方法が、本発明によって提供される。関心領域を解放する特定の解放ニューロモジュレタリ薬剤の例が、図6〜8に提供されている。
【0134】
所与の条件をニューロモジュレータと関連付け、次に本発明によってその特定の脳領域を刺激することによって、そのニューロモジュレータの解放を達成することができる。図6〜8は、脳の関心領域の組合せ、およびそのためにこれらの関心領域が刺激において適切に使用されるための特定のニューロモジュレータを示している。対象が識別され、かつ特定のニューロモジュレタリ物質の投与から、またはそのニューロモジュレタリ物質を模倣するように設計された薬理剤から利益を受けると期待される者がスクリーニングされたとき、1つまたは複数の関心領域が、図6〜8から、またはそのニューロモジュレタリ物質に対して適切である他の脳領域から選択され、かつ、1つまたは複数の関心領域の刺激が、本発明によって行われる。次に、ニューロモジュレタリ物質の解放が、文献に記載されている末梢または中枢レベルのニューロモジュレータを監視するための方法を使用して、または挙動または症状測定を使用して監視される。PETなどの走査法が、解放された中枢ニューロモジュレータのレベルを測定するために使用できる。
【0135】
ニューロモジュレタリ中枢のサブ領域もまた、すべての目標が、単一のニューロモジュレタリ中枢であっても同じレベルの活性化の増加を受けないように、本発明によって制御されることができることに注意されたい。これによって、ずっと大きいことがある内部解放の生成のある程度の特異性を許す。組み合わされた効果を生み出すために、複数のニューロモジュレタリ領域を一緒に制御することもまた可能である。
【0136】
一例として、シタロプラム、フルオキセチン、フルオキサミン、パロキセチン、セルトラリンなどのセロトリニン作動薬の使用から恩恵を受ける対象を、図6〜8に記載されているような、セロトニンを内生的に解放する脳領域を活性化するために刺激することができる。特に、対象が縫線核を活性化させるために刺激される場合、このことがセロトニンの解放に至る。
【0137】
柔軟性と学習のための目標とされた脳領域の調整
本発明はまた、ニューロンの柔軟性と学習を強化するために使用できる。たとえば、一実施形態では、対象に対してニューロンの柔軟性と学習に関連する1つまたは複数の関心領域を識別するステップと、対象に対するニューロンの柔軟性と学習が改善されるように本発明による方法に従って1つまたは複数の領域を刺激するステップとを含む方法が、本発明によって提供される。特定のニューロンの柔軟性と学習の関心領域の例が図6〜8に提供されている。
【0138】
たとえば、図6〜8に列挙されているものを含む、脳内のいくつかの領域が、一般に柔軟性の制御に関連することが知られている。このような領域が、選択され、局所化され、たとえば、選択と局所化はセクション4で説明されたように実行され、対象が選択される。対象の選択は、セクション2で説明したように、強化された柔軟性または特定の課題の学習、または特定の知識利益を受ける対象を選択することである。追加の資料が対象の学習をガイドするために対象に示される。本発明は次に、図6〜8に示した領域を刺激するために使用できる。本発明はまた、その追加の領域の刺激とモジュレーションを改善する目的で、強化された柔軟性に関連する領域の調整中に追加の関心領域を刺激するために、使用できる。複数の領域を刺激することによって、相乗効果が達成される。また、脳または目標の複数の領域を繰り返し刺激することによって、領域に対するそれらの活性化が、シナプスの柔軟性によってより強く結合される。
【0139】
柔軟性と学習に関連する領域が、それらが活性化されたとき柔軟性と学習を増加させることに至ることが示されている。柔軟性と学習に関連するとして図6〜8に示された領域のうちの1つまたは複数の中の活性化のレベルを増加させることによって柔軟性と学習を強化するための方法が、提供される。この領域は、刺激のための関心領域として選択されてもよい。これによって、柔軟性と学習に関連する1つまたは複数の領域の活動を増加させることを構成することができる。
【0140】
他の発明と組み合わせた使用
本発明に記載された方法は、ここで説明されるように、いくつかの異なる追加の方法と組み合わせて使用できる。
【0141】
薬理学と組み合わせた使用
本発明による様々な方法が、このような方法をより効果的にすることができる薬理学的な介在と組み合わせて行われてもよいことが認識される。
【0142】
薬理剤によって作成されるものと同様の脳活性化を作成する
刺激が、薬理剤によって提供される活動を複製するために使用できる。これによって、薬剤使用の中止と、薬剤投与量の減少を可能にするであろう。本変形形態によると、選択された領域内の脳活動が、薬理剤とともにおよび薬理剤なしで測定され、かつ関心領域がこれら2つの状態の間の活性化の選択的な差を有する領域として定義される。次に、これらの識別された関心領域が、本発明によって刺激されるべき目標とされる。これはまた、薬理剤の投与と組み合わせて行われてもよく、これによって、薬理剤の効果を増加させる、または必要投与量を減少させることができる。
【0143】
パーキンソン病の例示的な場合では、パーキンソン病の症状を改善するいかなる薬理剤が使用できる。特定の例は、L−ドーパ、ペルゴライド、ブロモクリプチン、プロミペキソール、ロピニロールを含むが、それに限定されない。患者がこれらの薬剤のうちの1つを投与され、かつ症状の改善を示したとき、脳活動が、脳の全部または一部で測定される。この測定は、fMRIまたはPETなどの脳画像を使用して行われる。この活動が、薬剤のないときのすなわち症状が悪化したときの活動と比較される。これらの薬剤の1つによる成功した治療の間に測定された活動パターン、または成功した治療の間や成功した治療のないときに測定されたパターンの間の差が、刺激のための目標活動パターンとして使用できる。
【0144】
デバイスまたは薬理学的試験と組み合わせた使用
本発明が、薬理学的治療の長期の成功の結果の可能性を決定するために、またはこの治療のための適切な投与量を設定するために、または刺激の効果を試験するために使用できることが想像される。
【0145】
ここで使用される対象は人間ではなく、試験で使用されることになるマウス、ウサギ、ネコ、イヌ、サル、羊、豚、または牛などの別の動物であることにこのセクションに関して注意されたい。このような動物は、命令を受信しかつ処理するためのヒトの認知能力を有さないため、使用される挙動に対する刺激または命令が、動物が実行するように効果的に求められる、または動物が行うようにさせらる行動のための刺激または命令に、必然的に限定されることを認識されたい。たとえば、刺激は、動物に加えられる、音、におい、明るい光または侵害刺激などの外部刺激である。
【0146】
薬理剤を試験するために、ここに提供された方法が、異なる濃度の薬理剤が存在しているとき、または薬理剤のないとき、目標組織を刺激するために使用され、生理学的な応答が比較される。たとえば、海馬のスライス・プレパレートで、ここに開示された方法が、グルタミン酸作動性のシナプス繊維を含む、その活性化が電気的に測定される一群のニューロン上にシナプス対合している繊維を刺激するために使用できる。本方法を使用した繊維の光刺激の結果として生じる、目標細胞または細胞の集合内での電位が、記録される。次に、電位グルタミン酸拮抗剤などの薬剤が、カテーテル34を通って流体35内に加えられる。電位が、薬剤の効果を決定するために、薬剤の存在するときとないときで、比較される。同様に、方法が、体内での光刺激を使用して誘発された生理学的応答に対する薬剤の効果を監視するために使用できる。
【0147】
特に神経手術のためのニューロン機能の局所化
本発明はまた、ある生理学的または神経学的機能の相関を脳内に局所化するために使用できる。たとえば、刺激によって、特定の心理的または神経的な機能の根拠をなす領域を決定することが可能である。選択された生理学的基準が、特定の行動結果と相関のある刺激である場合、刺激中に固定される脳領域とその作業の性能が決定される。これは、どこに領域が配置されるかを決定するための方法として使用できる。これは、言語に関連する領域または半球、および運動制御に関連する領域を取っておくためなどに、神経手術で有用である。
【0148】
3次元光パターン
光刺激が、3次元パターンを作成するように形成される。これは、レンズ、所与の位置に収束する複数のビーム、またはホログラフィによって達成される。1つまたは複数のレンズが、目標位置上に光を合焦させ、それによって刺激位置の特異性を達成するために使用できる。ホログラフィの場合、ホログラムによって決められた位置の3次元アレイでレーザー刺激を作成するホログラムが、使用できる。たとえば、神経構造の画像に対応するホログラムが作成され、このホログラムが加えられたレーザー光とともに使用され、これによって、レーザー光を、意図された神経構造の領域内での最大の活性化を有するようにすることを可能にする。
【0149】
光源のタイプ
すでに説明された光源のタイプに加えて、本発明と組み合わせて使用される光源は、図10に要約されたものを含むが、それに限定されない。
【0150】
神経カフ光放出器
一実施形態では、光放出器が、図11に示されているように、カフを形成するために神経線維または神経束の周囲に配置されるように形成される。本方法は、米国特許第5,824,027号に提供されているような、神経カフ電気刺激方法を適応してもよい。神経刺激のために使用される電極が、神経刺激のための光放出器によって代替される。電気的刺激を使用する神経カフの使用と同様に、本発明は、複数の角度から組織を刺激するように、組織の要素を包囲する光放出器を用意する。光放出器は、刺激されている組織に隣接する複数の位置で、および組織の長さに沿った複数の点で、たとえば神経に沿った複数の点で、光を供給してもよい。一実施形態では、末梢神経または脳神経内のニューロンの別個のグループなどの目標組織の別個の要素が、目標組織の要素にそれぞれ隣接する複数の刺激光放出器を個々に制御することによって、個々に制御されてもよい。
【0151】
図11Aと11Bは、本発明のさらなる代替形態による神経カフ1110を示している。神経カフ1110は、孔を有する環状の神経カフを形成するために軸1115の周りに自分自身に巻き付くように偏倚されたセルフ・カーリング・シート1111を備える。神経が、シート1111を伸ばし、次にシート1111が制御された方式で神経の周りに巻き付くことを許すことによって孔を通って挿入されることができる。この一般的なタイプの神経カフは、Naples他、米国特許第4,602,604号に記載されている。複数の丸みを帯びた隆起1130が、シート1111に沿ってほぼ長手方向に延びている。
【0152】
神経カフ1110が、図11Bに示されているように、巻き上げられた形状にあるとき、隆起1130が孔内に突き出している。神経刺激および/または記録のために適した1つまたは複数の光放出器1120が、隆起1130の間のシート1111に設けられてもよい、代替形態では、チューブなどの流体伝導手段が、孔の内外へ流体を伝導させるために設けられてもよい。
【0153】
迷走神経刺激
一実施形態では、光刺激が、電気刺激を代替して、迷走神経を刺激するために使用できる。迷走神経刺激は、てんかん、うつ病を含む迷走神経刺激に対するすべての公知の、および潜在的な将来の使用で、電気的刺激の代替として使用できる。迷走神経刺激は、Schachter SC.「Vagus nerve stimulation:current status and clinical applications」Expert Opin Investig Drugs.1997 Oct;6(10):1327−1325に記載されており、その中で参照されている。
【0154】
組織測定
本発明で提供される光導体が、組織活動の光学的測定のために使用できる。たとえば、対象内の血中添加反応が、光導体によって観測された光のスペクトルの測定値によって測定される。神経とニューロンの活性化もまた、光導体による光学測定を使用して測定されてもよい。
【0155】
脳領域の特徴化
本発明の追加の例は、未知のまたは部分的にしか知られていない機能の脳領域の特徴化に関する。本発明の使用によって、局所化された脳の関心領域の機能を特徴付けることが可能である。この例では特徴付けられる脳領域は関心領域として選択される。手順が、脳の関心領域の刺激のために示されている。脳領域の特徴についてのこの知識が、様々な目的のために使用できる。たとえば、この新しい知識が、特徴付けられた脳の関心領域に関連する治療を設計するために使用できる。これらの治療は、薬理学的治療、外科的治療、電気刺激治療などの治療を含む。脳領域の特徴付けについての知識が、診断目的のためにも同様に使用できる。たとえば、脳の関心領域が、疾患などの状態に関係していることが決定された場合、その脳領域に係合するために決定される刺激または挙動を使用して、対象がその状態を有するかどうか、および状態の程度または重大性の判断として、使用できる。脳領域を固定するために決定される刺激または挙動が、薬理学的治療の存在および不在に関する脳の関心領域内で観測される活性化についての薬理学的治療の効果を決定するための手段として薬理学的治療と共に使用できる。これは、薬理学的治療を評価するための手段として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の好ましい実施形態による脳内に埋め込まれた光放出器および光放出器に結合された信号発生器の概略図である。
【図2】運動センサ、信号発生器および光放出器25の好ましい形態がその中に埋め込まれている、人体の神経系の一部分の概略図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態で使用されるマイクロプロセッサおよび関連する回路の概略ブロック図である。
【図4】脳に投与される刺激パルスを発生させるためのマイクロプロセッサ・プログラムの好ましい形態を示すフロー・チャートである。
【図5】刺激器の埋込み、および血管系内での使用の図である。
【図6】関連する結果とともに、刺激のための目標領域の例を示す図である。
【図7】関連する結果とともに、刺激のための目標領域の例を示す図である。
【図8】関連する結果とともに、刺激のための目標領域の例を示す図である。
【図9】複数の光放出器の配置の例を示す図である。
【図10】光源のタイプの追加の例を示す図である。
【図11】本明細書の方法で使用されるような例示的な神経カフを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺激パルスを供給するための光源と、
対象内の所定の部位の刺激のために構成された前記光源に結合された埋め込み可能な光伝導導線と
を備える、目標組織を刺激するためのシステム。
【請求項2】
前記光伝導導線が光ファイバである請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光源がレーザーである請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記光源が埋込み可能である請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
光放出器が体の神経系内の少なくとも1つの所定の部位と連通するように、光源に結合された少なくとも1つの光放出器を埋め込むステップと、
前記少なくとも1つの光放出器を使用して、前記体の前記神経系内の前記少なくとも1つの所定の部位を刺激するステップとを含む
疾患を治療するための方法。
【請求項6】
前記疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、うつ病、またはてんかんである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記刺激するステップの少なくとも1つのパラメータを調整するステップであって、前記少なくとも1つのパラメータが、パルス幅、パルス周波数、パルス振幅から成る群から選択されるステップをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
光放出器を患者の脳内に外科的に埋め込み、前記光放出器が光源および前記光源を動作させる信号発生源に結合されているステップと、
前記脳内の所定の治療部位を刺激するように前記信号発生器を動作させるステップとを含む、
患者内の疾患を治療するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−520280(P2008−520280A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541447(P2007−541447)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/041431
【国際公開番号】WO2006/055582
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507158570)
【Fターム(参考)】