説明

光ディスク記録再生装置のフォーカス制御方法

【課題】 光学式ピックアップより照射されるレーザー光によって光ディスクに信号を記録する光ディスク記録再生装置のフォーカス制御方法を提供する。
【解決手段】 光学式ピックアップ2に組み込まれているレーザーダイオード3から照射されるレーザー光にて長さの異なる複数のピットを光ディスク1に形成することによって信号を記録するように構成された光ディスク記録再生装置のフォーカス制御方法であり、光ディスク1に記録されている長さの異なるピットを再生して得られるRF信号のレベルを比較することによってレーザー光の信号トラックに対するスポット形状の検出動作をデフォーカス値を変更させる毎に行い、トラック方向に対するトラック上のスポット径が最小となるデフォーカス値をフォーカス動作を行うデフォーカス値として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式ピックアップに組み込まれているレーザーダイオードから照射されるレーザー光にて光ディスクに信号の記録動作を行う光ディスク記録再生装置のフォーカス制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーダイオードから照射されるレーザー光によって光ディスクへの信号の記録動作を行う光ディスク記録再生装置が普及している。光ディスク記録再生装置としては、CDと呼ばれる光ディスクを使用するものやDVDと呼ばれる光ディスクを使用するものが一般的である。
【0003】
光ディスクへの信号の記録動作は、レーザー光にてピットを光ディスクに設けられているトラック上に形成することによって行われるが、斯かるピットの長さは、CDディスクでは、3T、4T…11Tと規定され、DVDディスクでは、3T、4T…14Tと規定されている。
【0004】
そして、光ディスクへの記録動作は、レーザーダイオードに記録信号に対応した駆動パルス、即ち図4に示すようなパルス信号を供給することによって行われるが、斯かる駆動パルスの間隔等は、光ディスクの記録特性に応じて設定されている記録ストラテジに基いて設定される。
【0005】
斯かる記録ストラテジは、光学式ピックアップより照射されるレーザー光のスポットの形状が真円やトラックの接線方向、即ちタンジェンシャル方向の径が一定であるとして設定されている。しかしながら、レーザー光のスポットの方向は、一定ではなく光学式ピックアップ毎に相違する。
【0006】
また、光ディスクへの記録動作は、レーザー出力を光ディスクの記録特性に適した値に設定することによって行われるが、記録特性の良否の判定は、例えば記録された信号を再生して得られるRF信号からβ値を検出することによって行われる。
【0007】
図3は、光ディスクに記録されている信号を再生した信号の波形図であり、A1及びA2は、高周波信号のプラス側のピークレベル及びマイナス側のピークレベルである。斯かる条件において、β値は、β=(A1+A2)/(A1−A2)と表され、このβ値が所定の値のとき、最適なレーザー出力にて信号が記録されると規定されている。
【0008】
斯かる記録特性の条件もレーザー光のスポットの形状が真円やトラックの接線方向、即ちタンジェンシャル方向の径が一定であるとして設定されている。しかしながら、前述したようにレーザー光のスポットの方向は、一定ではなく光学式ピックアップ毎に相違するので、最適な記録動作が行われることにはならない。
【0009】
斯かる点を改良するためにレーザー光のスポット方向を光ディスク上のトラックに対して調整する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
また、光ディスクへの信号の記録動作を正確に行うためには、レーザーダイオードから照射されるレーザー光を信号面に合焦させる必要があり、斯かる合焦動作を行うためにフォーカスオフセット信号のレベルを設定する技術が開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平8−63777号公報
【特許文献2】特開2004−119013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載されている技術は、光学式ピックアップの製造時に正確に調整する必要があるため、製造コストの高騰を招くという問題がある。また、このように調整された光学式ピックアップを使用しても光ディスク記録再生装置へ組み込まれた場合においては、取付位置のズレやフォーカス制御動作に伴うスポット形状の変化によりトラックに対するスポット形状との関係を一定にすることは困難である。
【0012】
このように光ディスク上のトラックとレーザー光のスポット形状との関係が一定でないため、光ディスクの記録特性に合わせて前もって設定されている記録ストラテジでは、該光ディスクへの記録動作を最適な状態にて行うことが出来ないという問題がある。
【0013】
また、特許文献2に記載されている技術は、フォーカスオフセット信号のレベル設定をトラッキングエラー信号を利用して行うようにされているが、スポットの形状を考慮したものでないため、記録動作に適したフォーカス制御動作を行うことが出来ないという問題がある。
【0014】
本発明は、斯かる問題を解決することが出来るフォーカス制御方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、光学式ピックアップに組み込まれているレーザーダイオードから照射されるレーザー光にて長さの異なる複数のピットを光ディスクに形成することによって信号を光ディスクに記録するように構成された光ディスク記録再生装置において、光ディスクに記録されている長さの異なるピットを再生して得られるRF信号のレベルを比較することによってレーザー光の信号トラックに対するスポット形状の検出動作をデフォーカス値を変更させる毎に行い、トラック方向に対するトラック上のスポット径が最小となるデフォーカス値をフォーカス動作を行うデフォーカス値として設定するように構成されている。
【0016】
また、本発明は、レベル比較動作を光ディスクに記録されている最短ピットと最長ピットを再生して得られるRF信号にて行うように構成されている。
【0017】
そして、本発明は、RF信号のレベルを比較して得られる比較値に対応した記録ストラテジが複数記憶された記録ストラテジメモリー回路を設け、該記録ストラテジメモリー回路に記憶されている記録ストラテジを比較値及びデフォーカス値に基いて選択することにより記録ストラテジを設定するように構成されている。
【0018】
更に、本発明は、光ディスクに設けられている試し書き領域に記録されている信号を再生して得られるRF信号のレベルを比較するように構成されている。
【0019】
また、本発明は、試し書き領域に最短ピットと最長ピットの信号のみを記録し、該記録信号を再生して得られるRF信号のレベルを比較するように構成されている。
【0020】
そして、本発明は、試し書き領域に最短ピットと最長ピットの信号を繰り返し記録するように構成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、光ディスクに記録されている長さの異なるピットを再生して得られるRF信号のレベルを比較することによってレーザー光の信号トラックに対するスポット形状の検出動作をデフォーカス値を変更させる毎に行い、トラック方向に対するトラック上のスポット径が最小となるデフォーカス値をフォーカス動作を行うデフォーカス値として設定するようにしたので、フォーカス制御動作を正確に行うことが出来る。
光ディスクへの信号の記録動作を正確に行う
また、本発明は、レベル比較動作を光ディスクに記録されている最短ピットと最長ピットを再生して得られるRF信号にて行うようにしたので、即ち、比較するレベル差が最も大きくなるピットより得られるRF信号のレベルを比較するようにしたので、スポット形状の検出動作を正確に行うことが出来、その結果デフォーカス値の設定動作を正確に行うことが出来る。
【0022】
そして、本発明は、RF信号のレベルを比較して得られる比較値に対応した記録ストラテジが複数記憶された記録ストラテジメモリー回路を設け、該記録ストラテジメモリー回路に記憶されている記録ストラテジを比較値に基いて選択することにより記録ストラテジを設定するようにしたので、光ディスクへの信号の記録動作を正確に行うことが出来る。
【0023】
また、本発明は、光ディスクに設けられている試し書き領域に記録されている信号を再生して得られるRF信号のレベルを比較するようにしたので、記録動作を行う前に行われるレーザー出力の設定動作と組み合わせて行うことが出来る。
【0024】
そして、本発明は、試し書き領域に最短ピットと最長ピットの信号のみを記録し、該記録信号を再生して得られるRF信号のレベルを比較するようにしたので、比較対象となるRF信号の選択動作を正確に行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、光ディスクに長さの異なるピットにて記録されている信号を再生することによって得られるRF信号のレベルを比較することによってレーザー光のスポット形状を検出するようにされている。
【実施例】
【0026】
図1は本発明に係る光ディスク記録再生装置の一実施例を示すブロック回路図、図2は本発明に係る光ディスクの信号トラックとレーザー光のスポットとの関係を示す説明図である。
【0027】
図1において、1はスピンドルモーター(図示せず)によって回転駆動される光ディスクであり、例えば線速度一定になるように回転制御されるように構成されている。2はレーザー光を照射するレーザーダイオード3が組み込まれている光学式ピックアップであり、レーザーダイオード3から照射されるレーザー光を光ディスク1の記録層に合焦させる対物レンズ4、光ディスク1から反射されるレーザー光を受光し電気信号に変換するとともに4分割センサー等にて構成される光検出器5、対物レンズ4を光ディスク1の径方向に変位させるトラッキングコイル6、対物レンズ4を光ディスク1の信号面に対して垂直方向に変位させるフォーカシングコイル7が組み込まれている。
【0028】
斯かる構成において、光学式ピックアップ2の本体は、ピックアップ送り用モーター(図示せず)によって光ディスク1の径方向に変位せしめられるように構成されている。斯かる駆動機構は周知の機構を利用すればよいので、その説明は省略する。
【0029】
8は前記光検出器5から得られる電気信号が光信号として入力される光出力信号処理回路であり、レーザー光の信号トラックに対するズレを示すトラッキングエラー信号、レーザー光の記録層に対するフォーカスズレを示すフォーカスエラー信号、光ディスク1に記録されている信号の読み出し信号であるRF信号及び再生信号を2値化した信号を生成するように構成されている。斯かる光出力信号処理回路8による各種の信号生成動作は周知の回路にて行われるので、その説明は省略する。
【0030】
9は前記光出力信号処理回路8によって生成されて出力されるトラッキングエラー信号が入力されるトラッキングサーボ回路であり、入力されるトラッキングエラー信号に基くトラッキングコイル駆動信号を前記トラッキングコイル6に供給することによってトラッキング制御動作を行うように構成されている。10は前記光出力信号処理回路8によって生成されて出力されるフォーカスエラー信号が入力されるフォーカスサーボ回路であり、入力されるフォーカスエラー信号に基くフォーカシングコイル駆動信号を前記フォーカシングコイル7に供給することによってフォーカス制御動作を行うように構成されている。
【0031】
前記フォーカスサーボ回路10からフォーカシングコイル7に供給されるフォーカシングコイル駆動信号は、対物レンズ4を光ディスク1の記録層に合焦させる位置である動作位置に変位させる直流電圧と光ディスク1の面振動に伴うフォーカスズレを補正するために対物レンズ4を高速で変位させる高周波信号とより構成されているが、斯かる信号は周知であるので説明は省略する。
【0032】
11は前記光出力信号処理回路8内に設けられている2値化回路によって2値化された再生信号が入力されるとともにデジタル信号処理を行うデジタル信号処理回路であり、光ディスク1に記録されている同期信号、位置情報データ及び記録信号等の各種の信号を復調するように構成されている。12は光ディスク記録再生装置の各動作を制御するシステム制御回路であり、前記デジタル信号処理回路11より生成される同期信号を利用してスピンドルモーターによる光ディスク1の回転制御動作や再生信号及び記録信号の処理動作、そして外部に設けられているパーソナルコンピューター等のホスト機器との信号の送受信動作を制御するように構成されている。斯かるシステム制御回路12は、マイクロコンピューターにて構成されており、内部に設けられているフラッシユROM等に記憶されているプログラムソフトに基いて各種の制御動作を行うように構成されている。
【0033】
13は前記光出力信号処理回路8から出力されるRF信号が入力されるとともに該信号のレベルを検出するRF信号レベル検出回路であり、光ディスク1に記録されている最短ピット、例えば3Tの信号及び最長ピット、例えば14Tの信号より得られるRF信号のレベルを検出するように構成されている。斯かるRF信号レベル検出回路13によるレベル検出動作は、デジタル信号処理回路11によって得られる信号から3Tの信号及び14Tの信号が認識されたとき、該システム制御回路12から出力されるレベル検出動作制御信号に基づいて行われる。
【0034】
14は前記システム制御回路12によって動作が制御される第1レベルメモリー回路であり、前記RF信号レベル検出回路13によって検出される3Tに対応したRF信号のレベルL1が記憶されるように構成されている。15は前記システム制御回路12によって動作が制御される第2レベルメモリー回路であり、前記RF信号レベル検出回路13によって検出される14Tに対応したRF信号のレベルL2が記憶されるように構成されている。
【0035】
前記システム制御回路12は、前記第1レベルメモリー回路14及び第2レベルメモリー回路15にRF信号のレベルL1及びL2が記憶されると、その比率RをL2/L1から演算するように構成されている。
【0036】
16はパーソナルコンピューター等から入力される記録信号やシステム制御回路12にて生成されるテスト信号が入力される信号記録用回路であり、光ディスク1の規格に合わせて記録信号をインターリーブ等のエンコード処理する作用を有している。斯かる信号記録用回路16によるエンコード処理は、周知であるのでその説明は省略する。
【0037】
17は前記信号記録用回路16によってエンコード処理された記録信号が入力されるレーザー駆動信号生成回路であり、記録信号に対応して3T、4T…14Tのピットを形成するために適した駆動信号、即ち図4に示すようなパルス信号を生成するように構成されている。18は前記レーザー駆動信号生成回路17より生成出力される駆動信号に応じてレーザーダイオード3を駆動する信号を出力するレーザー駆動回路である。
【0038】
19は前記フォーカスサーボ回路10によるサーボ動作を行う場合にデフォーカス値を設定するデフォーカス設定回路であり、前記システム制御回路12による制御動作によって前記フォーカスサーボ回路10に設定するデフォーカス値の変更動作及び設定動作を行うように構成されている。
【0039】
20は前記システム制御回路12によって動作が制御さされる記録ストラテジメモリー回路であり、前記RF信号レベル検出回路13によって検出された3T及び14Tのピットに対応したレベルL1及びL2に基いて演算される比率Rの値及びデフォーカス値に応じたストラテジデータがテーブルデータとして記憶されている。
【0040】
前記レーザー駆動信号生成回路17に対する記録パルス信号の生成制御動作は、前記記録ストラテジメモリー回路20より得られるテーブルデータに基いて行われる。即ち、レーザー駆動信号生成回路17からレーザー駆動回路18に供給される駆動信号は、図4に示すようなパルス信号であり、3Tのピットを形成する場合には、先頭パルスP1のみの信号、4Tのピットを形成する場合には、先頭パルスP1及びP2よりなる信号、そして5Tのピットを形成する場合には、先頭パルスP1、P2及びP3より成る駆動信号をレーザー駆動回路18に対して出力するように行われ、パルスP1、P2、P3の幅や各パルス間の間隔を前記記録ストラテジメモリー回路20より得られるテーブルデータに基いて変更設定するように構成されている。
【0041】
斯かる構成において、RF信号のレベル検出動作は、例えば光ディスク1の内周側にレーザー出力の設定動作を行うために設けられている試し書き領域に例えば3T及び14Tのテスト信号を記録し、その記録された信号を再生することによって行うように構成されている。また、記録用の光ディスク1には、プリグルーブと呼ばれる溝が形成されており、このプリグルーブから得られるウォブル信号を復調して得られる同期信号や位置情報データに基いて光ディスク1の回転駆動動作や光学式ピックアップ2の変位動作等を制御するように構成されている。
【0042】
以上に説明したように本発明に係る光ディスク記録再生装置は構成されているが、次に動作について説明する。光ディスク1に記録されている信号の再生動作を行う場合には、スピンドルモーターの回転制御動作が行われ、光ディスク1は所定の線速度にて回転駆動されることになる。斯かる線速度を一定にするための制御動作は、光ディスク1から読み出される同期信号とシステム制御回路12により制御されるべく接続されている同期信号生成回路(図示せず)から生成される同期信号とを同期させることによって行われるが、斯かる動作は周知であるのでその説明は省略する。
【0043】
光ディスク1に記録されている信号を再生するためにレーザーダイオード3に供給される駆動信号は、再生動作を行うために必要なレーザー出力が得られる値になるように設定
されている。レーザーダイオード3から照射されるレーザー光は、対物レンズ4によって集光されて光ディスク1の信号面に合焦されることになるが、斯かる合焦動作は、フォーカスサーボ回路10によるサーボ動作によって行われる。
【0044】
前記フォーカスサーボ回路10によるフォーカス制御動作は、光ディスク1の信号面から反射されるレーザー光が照射される光検出器5より得られる信号を利用して行われる。前記光検出器5より得られる信号は、光出力信号処理回路8に入力され、その信号に基いてフォーカスエラー信号が生成され、そのフォーカスエラー信号はフォーカスサーボ回路10に入力される。斯かるフォーカスエラー信号がフォーカスサーボ回路10に入力されると、該フォーカスサーボ回路10からフォーカシングコイル7に対してフォーカスエラー信号のレベルを小さくする方向に対物レンズ4を変位させる駆動信号が供給される。斯かる駆動信号がフォーカシングコイル7に供給される結果、レーザー光を光ディスク1の信号面に合焦させる動作、即ちフォーカス制御動作を行うことが出来る。
【0045】
このようにフォーカスサーボ回路10によるフォーカスサーボ動作は行われるが、斯かるフォーカスサーボ動作は、後述する動作に基いてデフォーカス設定回路19によって設定されるデフォーカス値に基いて行われる。
【0046】
前述したようにフォーカス制御動作は行われるが、トラッキング制御動作も同様に行うことが出来る。即ち、レーザーダイオード3から照射されるレーザー光のスポットが光ディスク1上の信号トラックより外れると、その外れの大きさに対応したレベルのトラッキングエラー信号が光出力信号処理回路8から出力される。斯かるトラッキングエラー信号がトラッキングサーボ回路9に入力されると、該トラッキングサーボ回路9からトラッキングコイル6に対してトラッキングエラー信号のレベルを小さくする方向に対物レンズ4を変位させる駆動信号が供給される。斯かる駆動信号がトラッキングコイル6に供給される結果、レーザー光を光ディスク1の信号面に設けられている信号トラックに追従させる動作、即ちトラッキング制御動作を行うことが出来る。
【0047】
前述したフォーカス制御動作及びトラッキング制御動作が行われる結果、光ディスク1の信号トラック上に記録されている信号の読み取り動作を行うことが出来る。光ディスク1の信号トラックには、長さの異なる複数のピットにより信号が記録されており、斯かるピットの長さに応じたRF信号が光出力信号処理回路8にて生成されるとともに2値化された信号が出力される。
【0048】
前記光出力信号処理回路8より出力される2値化信号は、デジタル信号処理回路11に入力され、該デジタル信号処理回路11によって復調動作が行われる。前記デジタル信号処理回路11によって復調されたデータ信号は、システム制御回路12を介してパーソナルコンピューター等へ出力されることになる。
【0049】
以上に説明したように本実施例における再生動作は行われるが、次に記録動作について説明する。記録動作時におけるスピンドルモーターによる光ディスク1の回転制御動作、トラッキングサーボ回路9によるトラッキング制御動作及びフォーカスサーボ回路10によるフォーカス制御動作は前述した再生動作時と同様に行われる。
【0050】
パーソナルコンピューターより出力される記録信号は、信号記録用回路16に入力されるとともに該信号記録用回路16によってエンコード処理される。前記信号記録用回路16によってエンコード処理された記録信号は、レーザー駆動信号生成回路17に入力されるので、該レーザー駆動信号生成回路17は、入力される記録信号に応じた長さのピットを光ディスク1の信号トラックに形成するための駆動信号をレーザー駆動回路18に対して出力する。
【0051】
斯かる場合にレーザー駆動回路18に供給される駆動信号のパルス波形は、記録ストラテジメモリー回路20から選択されたストラテジデータに基いて生成されることになる。このようにして生成制御されたパルス波形の駆動信号がレーザー駆動回路18に供給されると、そのパルス波形に対応した駆動信号が該レーザー駆動回路18からレーザーダイオード3に対して供給される。
【0052】
斯かる駆動信号がレーザーダイオード3に供給されると、該レーザーダイオード3からパルスに応じたレーザー光が照射され、光ディスク1の信号トラックにピットが形成されることになる。斯かる動作によって形成されるピットの長さは、光ディスク1の信号規格に対応した3T、4T…14Tとなる。
【0053】
以上に説明したように本実施例における記録動作は行われるが、次に本発明の要旨について説明する。
【0054】
図2は、光ディスク1の信号トラックに形成されているピットPとレーザー光のスポットSとの関係を示すものである。図2(A)は、スポットSの形状が楕円であり、トラック方向と長径方向が一致している場合、図2(B)は、スポットSの形状が楕円であり、トラック方向に対して長径方向が直角にある場合、図2(C)は、スポットSの形状が楕円であり、トラック方向に対して長径方向が45度程度傾いた状態にある場合である。
【0055】
光ディスク1にピットPを形成するために作用するレーザー光のスポットSは、図2において、ピットPと重なっている部分であり、各状態より明らかなようにピットPの長さ方向、即ちタンジェンシャル方向の長さである有効長Lが相違することになる。
【0056】
本発明は、スポットSの形状の相違に起因する有効長Lの相違による記録特性の変化を改善するものであり、特にフォーカスサーボ動作を行うデフォーカス値の設定動作を行うとともに有効長Lに応じて記録ストラテジを変更するようにしたものである。
【0057】
次に有効長Lを相違させる原因となるスポットSの形状を検出する動作について説明する。光ディスク1に設けられている試し書き領域にレーザー出力の調整時に記録されるテスト信号を再生する動作を行うと、前述したように光出力信号処理回路8からRF信号及び2値化信号が出力される。
【0058】
前記光出力信号処理回路8から出力されるRF信号は、RF信号レベル検出回路13に入力された状態にあり、該RF信号レベル検出回路13は、入力されるRF信号のレベルを検出する動作を行う状態にある。また、斯かる状態にあるとき、前記光出力信号処理回路8から出力される2値化信号は、デジタル信号処理回路11に入力されるので、入力される信号の中から3T信号及び14T信号の検出動作を行うことが出来る。
【0059】
3T信号が検出されると、システム制御回路12による制御動作が行われ、そのときRF信号レベル検出回路13にて検出されたRF信号のレベルL1を第1レベルメモリー回路14に記憶させる動作が行われる。同様に14T信号が検出されると、システム制御回路12による制御動作が行われ、そのときRF信号レベル検出回路13にて検出されたRF信号のレベルL2を第2レベルメモリー回路15に記憶させる動作が行われる。
【0060】
前記第1レベルメモリー回路14へのレベルL1の記憶動作及び第2レベルメモリー回路15へのレベルL2の記憶動作が行われると、システム制御回路12による演算処理動作によってRF信号のレベル比RがL2/L1にて求められる。
【0061】
光出力信号処理回路8から出力されるRF信号のレベルは、最短ピット長である3T信号から得られるレベルL1が最も小さく、最長ピット長である14Tから得られるレベルL2が最も大きくなる。また、RF信号のレベルは、スポットSのピットPに対する有効長Lに対応して変化することになる。即ち、有効長Lの長さが短くなるほど大きな反射光の変化を得ることが出来るので、RF信号のレベルは大きくなる。
【0062】
一方、ピットPの長さに対するスポットSの有効長Lの比率は、有効長Lの大きさに応じて変化するが、ピットの長さは、光ディスク1の記録規格によって規定されているので、3T及び14Tの長さは一定となる。その結果、3T及び14Tのピットから得られるRF信号のレベルは、スポットSの有効長Lによって変化することになるとともにその変化率も相違することになる。
【0063】
スポットSの有効長Lの長さがLAの場合におけるL1の値をLA1、L2の値をLA2とすると、比率RAはLA2/LA1となり、スポットSの有効長Lの長さがLBの場合におけるL1の値をLB1、L2の値をLB2とすると、比率RBはLB2/LB1ととなる。そして、このようにして得られる比率RA及びRBは、スポットSの有効長Lの相違に伴って相違することになる。
【0064】
ピットの長さが一定で3T及び14Tから得られるRF信号のレベルの比が求められると、ピットに対するレーザー光のスポットSの有効長Lを検出することが出来る。また、光学式ピックアップ2におけるレーザー光のスポットSの形状は、光学式ピックアップ2の製造時に決定されているので、前記有効長Lを検出することによってレーザー光の信号トラックに対するスポットSの形状を認識することが出来る。
【0065】
このようにして信号トラックに対するスポットSの形状を認識することが出来るので、有効長Lを認識することが出来ることになる。従って、光ディスク記録再生装置の製造時に各有効長Lの値に最適な記録用パルスを生成するために必要な記録ストラテジのデータを記録ストラテジメモリー回路20にテーブルデータとして記憶させておくとともにそのデータを選択して使用することによって記録動作を行うために適したレーザーダイオード3の駆動信号をレーザー駆動信号生成回路17から生成させることが出来る。
【0066】
前述したように信号トラックに対するスポットSの有効長Lを認識することが出来るが、本発明では、斯かる認識動作をフォーカスサーボ回路10のデフォーカス値を変更させる毎に行うように構成されている。即ち、フォーカスサーボのデフォーカス値を変更させると、トラック上のスポットSの大きさが大から小へ、また小から大へと変化する。
【0067】
例えば、デフォーカス値を基準値に対して+15%から−15%まで変化させると、スポットSの大きさが大から小へまた小から大へと変化するが、デフォーカス値の値を基準値に対して例えば5%ずつ変更しながら前述したスポットSの形状認識動作を行うことによって有効長Lを検出する動作を行う。即ち、システム制御回路12によるデフォーカス設定回路19に対する制御動作を行い、フォーカスサーボ回路10のデフォーカス値を基準値に対して、+15%、+10%、+5%、0%、−5%、−10%及び−15%変更するとともに各デフォーカス値の状態で有効長Lを検出する動作を行う。
【0068】
斯かる動作を行うと検出される有効長Lが大から小、そして小から大へと変化することになり、その検出された有効長Lが最小となるデフォーカス値がデフォーカスの最適値として例えば記録ストラテジメモリー回路20に記憶される。そして、検出された有効長Lの値に最適な記録用パルスを生成するために必要な記録ストラテジのデータを記録ストラテジメモリー回路20から読み出し、そのデータを選択して使用することによって記録動作を行うために適したレーザーダイオード3の駆動信号をレーザー駆動信号生成回路17
から生成させることが出来る。
【0069】
前述した有効長Lと記録特性の良否を表すβ値との関係を実験的に求めた結果、有効長Lが最小となるデフォーカス値にサーボ回路10のデフォーカス値を設定して記録動作を行った場合のβ値が記録特性として最も良いことが判明した。従って、有効長Lが最小となるデフォーカス値をサーボ動作を行うために最適なデフォーカス値として設定することによって記録特性を最良にすることが出来る。
【0070】
更に、測定設定されたデフォーカス値と有効長Lに基いて選択される記録ストラテジを使用して記録用駆動信号のパルスを生成することによって光ディスク1の記録特性に最適な状態にて記録動作を行うことが出来る。
【0071】
尚、本実施例では、光ディスク1に設けられている試し書き領域に記録されている信号を再生して得られるRF信号のレベルを検出するようにしたが、信号の記録領域に記録されている信号を再生して得られるRF信号のレベルを検出するようにすることも出来る。また、光ディスク1に記録されている最短ピットと最長ピットを再生して得られるRF信号のレベルを検出するようにしたが、その他のピットを利用することは勿論可能である。
【0072】
また、試し書き領域に記録されている信号から得られるRF信号のレベルを検出する場合には、該試し書き領域に検出対象となる最短ピット及び最長ピットの信号のみを記録するようにすると、検出動作を容易に行うことが出来る。更に、斯かる検出対象となるピットの信号を繰り返し記録するようにすると、レベル検出動作を正確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る光ディスク記録再生装置の一実施例を示すブロック回路図である。
【図2】光ディスクの信号トラックに形成されているピットとレーザー光のスポットとの関係を示す説明図である。
【図3】本発明の動作を説明するための信号波形図である。
【図4】本発明の動作を説明するための信号波形図である。
【符号の説明】
【0074】
1 光ディスク
2 光学式ピックアップ
3 レーザーダイオード
5 光検出器
7 フォーカシングコイル
8 光出力信号処理回路
10 フォーカスサーボ回路
11 デジタル信号処理回路
12 システム制御回路
13 RF信号レベル検出回路
14 第1レベルメモリー回路
15 第2レベルメモリー回路
16 信号記録用回路
17 レーザー駆動信号生成回路
18 レーザー駆動回路
19 デフォーカス設定回路
20 記録ストラテジメモリー回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式ピックアップに組み込まれているレーザーダイオードから照射されるレーザー光にて長さの異なる複数のピットを光ディスクに形成することによって信号を光ディスクに記録するように構成された光ディスク記録再生装置のフォーカス制御方法であり、光ディスクに記録されている長さの異なるピットを再生して得られるRF信号のレベルを比較することによってレーザー光の信号トラックに対するスポット形状の検出動作をデフォーカス値を変更させる毎に行い、トラック方向に対するトラック上のスポット径が最小となるデフォーカス値をフォーカス動作を行うデフォーカス値として設定するようにしたことを特徴とする光ディスク記録再生装置のフォーカス制御方法。
【請求項2】
レベル比較動作を光ディスクに記録されている最短ピットと最長ピットを再生して得られるRF信号にて行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフォーカス制御方法。
【請求項3】
RF信号のレベルを比較して得られる比較値に対応した記録ストラテジが複数記憶された記録ストラテジメモリー回路を設け、該記録ストラテジメモリー回路に記憶されている記録ストラテジを比較値及びデフォーカス値に基いて選択することにより記録ストラテジを設定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフォーカス制御方法。
【請求項4】
光ディスクに設けられている試し書き領域に記録されている信号を再生して得られるRF信号のレベルを比較するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフォーカス制御方法。
【請求項5】
試し書き領域に最短ピットと最長ピットの信号のみを記録し、該記録信号を再生して得られるRF信号のレベルを比較するようにしたことを特徴とする請求項4に記載のフォーカス制御方法。
【請求項6】
最短ピットと最長ピットの信号を繰り返し記録するようにしたことを特徴とする請求項5に記載のフォーカス制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−107632(P2006−107632A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293398(P2004−293398)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】