光デバイス測定装置および光デバイス測定治具
【課題】被検査デバイスの特性を比較的精度よく低コストで測定する。
【解決手段】測定治具50と測定部(端子接続のための各種部材や回路等)とを有する。測定治具50は、被検査デバイス(DUT10)に照射する光を出射する発光素子151、一部が開口する反射部材154、および、発光素子151から出力し反射部材154の開口154Aを通るモニタ光を受光し受光量に応じた出力を発生する受光デバイス(モニタPD22)を有する。測定部は、DUT10の特性を測定し、モニタPD22の出力に基づいて測定結果を校正することと、測定時におけるDUT10への電源供給制御の少なくとも一方を行う。
【解決手段】測定治具50と測定部(端子接続のための各種部材や回路等)とを有する。測定治具50は、被検査デバイス(DUT10)に照射する光を出射する発光素子151、一部が開口する反射部材154、および、発光素子151から出力し反射部材154の開口154Aを通るモニタ光を受光し受光量に応じた出力を発生する受光デバイス(モニタPD22)を有する。測定部は、DUT10の特性を測定し、モニタPD22の出力に基づいて測定結果を校正することと、測定時におけるDUT10への電源供給制御の少なくとも一方を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光デバイス等の被検査デバイスに光を照射して、その特性を測定する光デバイス測定装置と光デバイス測定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
受光デバイスは、組み立て後の最終製品の形態で、所定の光を照射したときの光学的特性(受光特性)を保証する必要がある。
ところが、半導体ウェハ状態の受光デバイスについて、その電気的特性(消費電流、暗電流等)を半導体ウェハ検査装置で測定し、電気的特性のみの良否を判定し、組立後の製品段階で受光特性(出力直流電圧、入射光電力等)を測定すると、電気的特性では良品と判定されたものが受光特性では不良品と判定されることがある。
このような、不良デバイスを組み立てることは、部材および工数のロスになるからコスト的に不利であり、また、開発段階の試作時には組立後に測定しなければ改善点が明確にならないことから、このことが開発期間を長くする要因となる。
【0003】
半導体ウェハ状態で受光デバイスに光を照射し、その受光特性を測定する装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載されているデバイス測定装置は、図1に示すように、ウェハ保持のためのステージ81に設置された半導体ウェハ83について、その1つの受光デバイス83Aの受光面に光ファイバー82を通して光を照射し、受光デバイス83Aの電極に金属接触針(プローブ)84を接触させて受光特性を測定するものである。
【特許文献1】特公平1−17251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているデバイス測定装置は、光ファイバー82を用いるために、そのファイバーを曲げる角度とレーザ波長によっては、光パワーの一部が光ファイバー82の外部にもれることがある。この場合、光ファイバー82内の屈折率はレーザ波長によって変化することから光学的損失(光パワーのロス)が発生し、光パワーを入射し素子の出力レベルを測定する受光感度特性などを正確に測定できない。
また、外来光を遮断しないため、使用場所の環境により暗電流など測定値が変化しやすい。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、受光デバイスまたは受光部を有する被検査デバイスの光学特性(受光特性)の測定を比較的精度よく低コストで実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光デバイス測定装置は、被検査デバイスに照射する光を出射する発光素子、前記発光素子の前記被検査デバイスと反対側に設けられ一部が開口する反射部材、および、前記発光素子から出力し前記反射部材の前記開口を通るモニタ光を受光し当該モニタ光の受光量に応じた出力を発生する受光デバイスが固定されている測定治具と、前記被検査デバイスの特性を測定し、前記受光デバイスからの出力に基づいて、当該測定結果を校正することと、前記測定時における前記被検査デバイスへの電源供給を制御することとの少なくとも一方を行う測定部と、を有する。
本発明では好適に、前記測定部は、前記発光素子に供給する駆動電流にAC信号を重畳する高周波重畳回路と、前記AC信号の周波数を変更して前記特性を測定するテスタと、を含む。
本発明では好適に、前記測定治具は、前記発光素子、前記反射部材および前記受光デバイスを覆う遮光カバーを有し、前記遮光カバーを前記測定治具から取り外すことに連動して前記発光素子への電流供給が停止可能になっている。
さらに好適に、前記発光素子に電流を供給するためのケーブルのコネクタが、前記遮光カバーが固定される前記測定治具の基板に設けられ、かつ、当該コネクタが前記遮光カバーの固定手段を兼用する。
【0008】
本発明に係る光デバイス測定治具は、被検査デバイスに照射する光を出射する発光素子と、前記発光素子の前記被検査デバイスと反対側に設けられ一部が開口する反射部材と、前記発光素子から出力し前記反射部材の前記開口を通るモニタ光を受光し当該モニタ光の受光量に応じた出力を発生する受光デバイスとをベース基板に固定して形成されている。
【0009】
本発明によれば、被検査デバイス(光デバイス)に光を照射する光源として発光デバイスが設けられ、その被検査デバイスと反対の側に反射部材が設けられている。反射部材は、発光デバイスからの光を反射するため、効率よく被検査デバイスに光が入射する。
また反射部材の一部が開口し、それに対応して受光デバイスが設けられている。受光デバイスは光のモニタ用であり、測定部は、この受光デバイスからの光により発光デバイスの被検査デバイスへの入射光量をモニタ可能である。このとき受光デバイスの出力が、測定結果の校正、被検査デバイスへの入力パワー制御に用いられる。
この場合、被検査デバイスへの光照射と光量モニタを単一の光源で行うことができるが、そのとき光を被検査対象に向う向き以外に曲げる必要が無い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被検査デバイスの光学特性(受光特性)の測定を比較的精度よく低コストで実現できるという利点がある。また、装置の小型化が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図2に、半導体ウェハ状態で受光デバイスを測定する光デバイス測定装置の構成概略を示す。
図解した光デバイス測定装置は、LSIテスタ1とプローバ装置5を有する。プローバ装置5内に、プローブを装備したプローブカード基板4、プローブカード基板4の多数のピンと電気的に接続されている測定回路が形成されているウェハ測定ボード2、ウェハ測定ボード2とプローブカード基板4とを接続するためのコンタクトリング8、および、ウェハ保持のためのステージ7を備える。ステージ7に、被検査デバイス(以下、「DUT(Device Under Test)」と称する)を有する半導体ウェハ6が載置されている。LSIテスタ1とウェハ測定ボード2とは、インターフェースとしてのケーブル3aおよびコネクタ3bを介して電気的に接続されている。
【0013】
図3に、ウェハ測定ボード2とプローブカード基板4との組み立て図を示す。
ウェハ測定ボード2とプローブカード基板4間は、コンタクトリング8に形成されている複数のソケット(不図示)とピン4Aにて電気的に接続され、それらの固定はネジ4Bによって行われる。プローブカード基板4がウェハ測定ボード2と一体となっていない理由は、プローブの寿命を考慮し、プローブカード基板4を交換する必要があるからである。
なお、ウェハ測定ボード2には、DUTを測定するための測定回路を構成する部品として、リレー、コンデンサ、抵抗など様々な電気部品が実装されている。ウェハ測定ボード2の先端部のカードエッジ2Bは、LSIテスタ1と電気的に接続するために、コネクタ3b(図1参照)に差し込まれる部分である。
【0014】
図4は、光デバイス測定装置のプローブカード基板4を中心とした部分を示す断面図である。半導体ウェハ6の1ペレットがDUT10であり、図4は、そのDUT10にプローブカード基板4のプローブを接触させている状態を示している。
図4において、プローブカード基板4は、DUT10の電極パッド(不図示)に各々接触しているプローブ11と、プローブ11を保持し、これをプローブカード基板4に固定するためのプローブ保持台12とを備える。なお、図4において、図2および図3に示すウェハ測定ボード2、および、ウェハ測定ボード2とプローブカード基板4とを多数のピン4Aにより電気的に接続するためのコンタクトリング8は図示を省略している。
【0015】
プローブカード基板4のプローブ11が固定された面と反対側に、後述する測定治具50のベースとなる補助基板13が設けられている。補助基板13は、位置決めピン14aおよび14bによってプローブカード基板4の所定の位置に対して位置決めされている。なお、実際には、プローブカード基板4と補助基板13との間に、コンタクトリング8およびウェハ測定ボード2が介在する。
コンタクトリング8およびウェハ測定ボード2を介して行われる補助基板13とプローブカード基板4との固定は、図4では省略しているネジなどによって行われる。つまり、まず、図3に示し既に説明したように、ウェハ測定ボード2に固定されているコンタクトリング8に対して、ネジによりプローブカード基板4を固定する。つぎに、ウェハ測定ボード2に対して、別のネジ(不図示)によって補助基板13を固定する。このため、補助基板13とプローブカード基板4は何れも、ウェハ測定ボード2に対して取り外し可能となっている。
【0016】
プローブカード基板4上に測定治具50が固定されている。
測定治具50は、DUT10の光源としてのLED15、および、LED15の光パワーをモニタする受光デバイス、たとえばフォトディテクタ(以下、「モニタPD」という)22を保持するためのものである。測定治具50は、補助基板13に多くの部材を固定することによって組み立てられている。
詳細は後述するが、測定治具50はプローブカード基板4等に対して着脱でき、これによって受光デバイス測定機能を、一般的なプローブカードに付加することを可能にしている。
【0017】
図5に、本実施形態で好適な反射型のLED15を示す。
反射型LEDとは、発光素子から放射された殆どの光を一旦後方にある反射面で受け、その反射面にて反射された後、その光を外部へ放射することが出来る構造を持つため、高い外部放射効率を得ることができるLEDである。
本実施形態では、反射面を備える反射型のLED15を用いることが望ましいが、弾丸型のLEDと反射部材を組み合わせて用いることも可能である。砲弾型LEDは、発光素子から放射された光の内、直接前方にある樹脂レンズに到達した光のみを外部へ放射するので、実質、発光素子から放射された光の1/3程度しか利用できないので効率が悪い。ただし、発光素子からの光の一部を側面や後方にも放射可能なLED構造とし、そこに反射部材を設けてモニタ光量を高めることができる。
【0018】
具体的に図5に示す反射型のLED15は、内部の発光素子151に電力を供給する1対のリード152a,152bのうち、一方のリード152bの面に導電性接着剤を介して発光素子151をマウントし、他方のリード152aと発光素子2とをワイヤ153でボンディングして電気的接続を行っている。また、LED15は、例えばアルミ板をプレス加工して形成される凹面状の反射部材154を、発光素子151の一方の側を半球状にほぼ覆うように取り付けている。そして、発光素子151、リード152a,152b、ワイヤ153および反射部材154を、透明エポキシ樹脂155で封止している。同時に、発光素子151の背面側(反射部材154が取り付けられた側と反対側)において透明エポキシ樹脂155の一部が平板形状になっており、これにより放射部材156が形成されている。
【0019】
なおLED15は、本発明の趣旨に逸脱しないかぎりどのような仕様(構造、形状、材質等)でも良い。
図5に示す反射型のLED15に組み入れている反射部材154に開口部154Aが形成されている。開口部154Aは発光素子151からの光の一部をモニタ光として外部に出射するためのもので、その役割が果たせる位置、大きさを有する。例えばリード152bにマウントされている発光素子151のほぼ真上に開口部154Aが形成されている。このことは砲弾型LEDの場合でも同様であり、そのLEDに対して固定される反射部材に、同じ役割を果たす開口部を形成する必要がある。
開口部154Aの数は、受光デバイス(モニタPD22)の数、その受光部の数、位置関係に合わせて複数としてもよい。ただし、本実施形態ではモニタPD22の受光部は単一であるため開口部154Aも1つ形成している。
【0020】
図4に示すように、LED15は補助基板13の開口部13Aの周辺に、その放射部材156を開口部に位置させて固定されている。なお、実際にはLED15は不図示のハウジングを介して補助基板13に固定されている。
また、補助基板13に形成されている一方の電源供給配線(不図示)に対しリード152aがワイヤ24aによって電気的に接続され、他方の電源供給配線(不図示)に対しリード152bがワイヤ24bによって電気的に接続されている。ただし、これも電気的接続関係を示すもので、実際には不図示のハウジングの接続リード等を介して電気的接続が行われる。
ここで、補助基板13はLED15から放射された光が、開口部154A以外から回り込みによりモニタPD22に入らないように遮光機能も兼ねている。
【0021】
LED15の取り付け位置周囲に、補助基板13から立設した立設部20が設けられ、立設部20に受光デバイスとしてのモニタPD22を保持するPD配線基板23が固定されている。
モニタPD22は、ウェハ状態のDUT10と同じ品種等の受光デバイスを透明樹脂(もしくはガラス)によってパッケージングしたものであり、LED15の光パワーをモニタするためにPD配線基板23の下面に実装されている。PD配線基板23は、モニタPD22の端子に接続する内部配線(不図示)を有し、当該内部配線からケーブル24cが引き出されて、これがコネクタ(不図示)を介して補助基板13に接続されている。
【0022】
モニタPD22は、LED15から開口部154Aを介して透過するする光のパワーをモニタするために、その受光部22Aの位置精度に多少の許容度を得るため、受光部22Aの受光面は透過窓の大きさに対し十分広いことが望ましい。
具体的には、開口部154Aが小さすぎると通過する光パワーが小さく、このためにモニタ出力電圧が小さく測定精度が低下する可能性がある。また開口部154Aが大きすぎるとDUT10へ照射する光パワーがそれだけ小さくなり好ましくないことから、開口部154Aの大きさは、開口部154Aを通過する光パワーが、発光素子151が放射する全光パワーの凡そ10分の1から5分の1程度になるように設定するとよい。
【0023】
ここで、全放射光パワーはいったん凹面状の反射面の面で受けてその後反射するので、パワーの面内分布強度がLED15の放射(光パワー)レベルに対して変化しないと仮定すると、全放射光パワーに対し、開口部154Aの面積に応じた光パワーの相対比は一定となる。
従って、モニタ用受光デバイスの出力を測定することにより、DUTへ照射される光パワーを算出することができる。
【0024】
PD配線基板23の実装面に符号“29”により示す部品が実装されている。この部品29は、モニタPD22は電流出力なので電圧出力とするための電流電圧変換回路を含む。
補助基板13の実装面に符号“R2”により示す部品が実装されている。この部品R2は、インピーダンスマッチングのための部品(抵抗)である。
【0025】
このように配置されているLED15およびモニタPD22と、ウェハ測定ボード2(不図示)とは、ケーブル25および31によって接続される。DUT10は、プローブ11等を介してケーブル32によりウェハ測定ボード2と電気的に接続される。
本例では、これらケーブルのコネクタとしてはSMA(Subminiature A)コネクタを用いている。より詳細には、補助基板13にSMAオス側のコネクタ26と27が実装され、プローブカード基板4にSMAオス側のコネクタ41が実装されている。そして、コネクタ26に同軸ケーブル25が、コネクタ27に同軸ケーブル31が、コネクタ41に同軸ケーブル32が、各ケーブルの一端に設けられているSMAメス側のコネクタ25A,31A,32Aを介して接続されている。同軸ケーブル25,31,32の図示していない他端も同様に、それぞれSMAコネクタ対によってウェハ測定ボード2(不図示)に接続されている。
このうち同軸ケーブル25は、LED15を駆動する電流を供給するためのラインである。同軸ケーブル31は、モニタPD22の出力のためのラインである。また、同軸ケーブル32は、DUT10の出力のためのラインである。
【0026】
補助基板13からは、さらに電源電圧Vcc、基準電圧Veeおよび接地電圧GNDを供給する電源供給ケーブル28が引き出されている。電源供給ケーブル28の先端にコネクタ(オス側)28Aが設けられている。なお、ウェハ測定ボード2にコネクタ(メス側)を設け、電源供給ケーブル28を補助基板13から取り外せるようにしてもよい。
【0027】
図6に遮光カバー30の上面図を、図7に遮光カバー30の組み付け図を示す。
図6に示すように、遮光カバー30の開放面(下面)端部に、その側面に対して外側に突出するフランジ部フランジ部30Aを備えている。フランジ部30Aの対抗する2箇所に耳部40aおよび40bが設けられている。耳部40aおよび40bは、それぞれSMAコネクタ(オス側)を通すための円形の穴を備える。
【0028】
図7に示すように、耳部40aおよび40bは、それぞれ同軸ケーブル25,31に対応したSMAオス側のコネクタ26,27に通され、その上から、同軸ケーブル25,31のSMAメス側のコネクタ25A,31Aで締め付けられる。これにより、遮光カバー30および同軸ケーブル25,31を同時に、補助基板13に固定することができる。
【0029】
同軸ケーブル25,31の先端に設けられているSMAメス側のコネクタ25A,31Aを締め付け時とは逆に回すことによって、同軸ケーブル25,31を補助基板13から外すことができる。これによって、遮光カバー30の固定(圧着)が解除され、遮光カバー30を補助基板13から外すことができる。
この遮光カバー30の取り付け構造によって、遮光カバー30を外すと必ず同軸ケーブル25が補助基板13から離れて駆動電流がLED15に流れなくなり、発光が止まる。このため遮光カバー30を外した時、LED15の発光が停止することから、安全上好ましい。
【0030】
なお、本実施の形態では、この遮光カバー30と同軸ケーブル25との同時着脱のための取り付け構造は望ましいが、必須ではない。この場合、別途安全上遮光カバー30を外した時、LEDが発光を停止するような対策を施すことが好ましい。
また、補助基板13とウェハ測定ボード2(不図示)の接続に各種同軸ケーブル25,31,32を用い、また、電源供給ケーブル28にもコネクタを使用したが、そのことも必須ではない。たとえば、補助基板13とウェハ測定ボード2との接続を、両者を連結するコネクタとピンにより実現してもよい。
【0031】
図8に、検査状態における光デバイス測定装置の電気的回路図を示す。
LSIテスタ1内に、定電流源51、AC信号源52およびその等価出力抵抗R1(たとえば50オーム)、出力リレースイッチS1、電圧源53,54,55,56、ならびに、AC/DCレベル測定のための電圧計(AC/DC電圧計)57,58が装備されている。定電流源51と電圧源53,54,55,56の電圧値、および、AC信号源52の周波数と出力振幅レベルは、LSIテスタ1の仕様の範囲内において任意に設定できる。
【0032】
ウェハ測定ボード2と接続されているプローブカード基板4に、測定治具50およびプローブ11が装備されている。プローブ11は、DUT10の電極パッド(図示せず)とコンタクトしている。
【0033】
本例におけるDUT10は、入射された光のパワーレベルに比例した電流が流れるフォトダイオード70と、その電流を適切な電圧に変換する電流電圧変換回路71とをチャンネル数分(本例では1チャンネル)内蔵している。
このフォトダイオード70とその電流電圧変換回路71からなる回路ブロックのチャンネル数は、ここでは1チャンネルとしているが、光の放射角度が比較的広いタイプ(広指向性)のLEDを使用すれば複数チャンネル内蔵の受光デバイスにも対応できる。またフォトダイオード70単体の構成でも測定が可能で、その場合、電流電圧変換回路71は省略される。
【0034】
本例における電流電圧変換回路71は、差動アンプ72と帰還抵抗R3を有する。差動アンプ72の反転入力「−」と接地電圧との間にフォトダイオード70が接続され、差動アンプ72の反転入力「−」と出力との間に帰還抵抗R3が接続されている。差動アンプ72に電源電圧Vccと基準電圧Veeが供給され、その非反転入力「+」は接地されている。
差動アンプ72の出力はプローブ11からDUT10の外部に取り出され、さらに同軸ケーブル32および62を介してLSIテスタ1のAC/DC電圧計57に接続されている。電源電圧Vccおよび基準電圧Veeは、それぞれプローブ11を介し、LSIテスタ1内の可変電圧源55,56から供給される。フォトダイオード70への入射光パワーは測定治具50内のLED15から付与される。
【0035】
測定治具50内に、光パワーを供給するLED15と、インピーダンスマッチングのための抵抗R2とが内蔵されている。なお、図8において参照符号「S2」により示すスイッチは、測定治具50の遮光カバー30を外すと(図5参照)、駆動電流を供給している同軸ケーブル25が治具から離れて駆動電流の供給が停止し発光が止まることから、この作用を等価的なスイッチで表現したものである。
これら等価スイッチS2、抵抗R2およびLED15は、同軸ケーブル25のコネクタ対26,25Aと接地電圧との間に縦続接続されている。
【0036】
モニタPD22は、ここではDUT10と同様の品種を使用していることから回路構成がDUT10と同一であり、フォトダイオード70、差動アンプ72および帰還抵抗R3を含む。
差動アンプ72の出力はコネクタ対27,31Aを通って同軸ケーブル31および63を介してLSIテスタ1のAC/DCレベル測定のための電圧計58に接続されている。電源電圧Vccおよび基準電圧Veeは電源供給ケーブル28、コネクタ28A、ケーブル64を介し、LSIテスタ1内の可変電圧源53,54から供給される。
【0037】
ウェハ測定ボード2内でLEDの電源供給のための同軸ケーブル25に高周波重畳回路61が接続されている。高周波重畳回路61は、LSIテスタ1からのLED駆動のための定電流にAC信号を重畳させる回路である。
高周波重畳回路61のDC入力と、LSIテスタ1内の源電圧Vddの供給線との間に定電流源51が接続されている。高周波重畳回路61のAC入力と、LSIテスタ1内の接地電圧の供給線との間に、出力リレースイッチS1、等価出力抵抗R1およびAC信号源52が接続されている。
【0038】
図9に、高周波重畳回路61のDC入力ノードNa、AC入力ノードNb、出力ノードNcのライン構成を示す。これらの全てのノードに接続されるケーブルとして、信号線の周囲を接地電圧のラインでシールドした同軸ケーブルが用いられている。
【0039】
図10に、高周波重畳回路61の回路例を示す。
高周波重畳回路61は、ノイズ除去のためのコンデンサC1、DCカットのためのカップリングコンデンサC2およびチョークコイルL1を有する。チョークコイルL1がDC入力ノードNaと出力ノードNcとの間に接続され、コンデンサC1がDC入力ノードNaと接地電圧との間に接続され、カップリングコンデンサC2がAC入力ノードNbと出力ノードNcとの間に接続されている。
【0040】
出力リレースイッチS1がオフのときは、LSIテスタ1内の定電流源51からの定電流がDC入力ノードNaから高周波重畳回路61内に供給され、チョークコイルL1をスルーしてそのまま出力ノードNcから出力される。このDC的な動作では、チョークコイルL1のインピーダンス(DC抵抗)は、ほぼゼロであることから、LSIテスタ1からのLED駆動電流のための定電流はそのまま(すなわち、殆ど損失することなく)チョークコイルL1をスルーし、LED15に供給される。
【0041】
出力リレースイッチS1がオンすると、AC信号はLSIテスタ1内のAC信号源52から、等価出力抵抗R1、オン状態の出力リレースイッチS1を通ってAC入力ノードNbに供給される。そして、DC入力ノードNa点から供給されている定電流に、カップリングコンデンサC2を介してAC信号が重畳される。このAC動作では、チョークコイルL1のインピーダンスがほぼ無限大となることから、LED15の動作電圧値を一定と仮定した場合、AC信号源52からのAC信号(AC電流)は、等価出力抵抗R1および抵抗R2、およびLED15を通って、接地電圧のラインに流れる。よって高周波重畳されるAC電流は、AC信号源52の振幅を、等価出力抵抗R1と抵抗R2の抵抗値の和で割った値となる。つまり、AC電流の重畳レベルは、これらの抵抗値とAC信号の振幅に応じて決められる。なお、抵抗R2はインピーダンスマッチング用で、LEDの駆動電流ラインのインピーダンスを同軸ケーブル25のインピーダンスに合わせるために設けられている。
【0042】
以上のように構成されている光デバイス測定装置を用いて具体的テスト方法を、主に図8を用いて説明する。
モニタPD22を測定治具50に装着する前の事前準備として、モニタPD22に予め基準光パワーを入力し、この光パワーレベルも必要に応じ複数のレベルで変化しながら、モニタPD22のDC出力データを繰り返し測定する。この測定結果から、モニタPD22のDC受光感度特性、すなわち出力DC電圧と入射光パワーとの関係を求め、これを校正用として記録する。
同様に、高周波重畳された基準用光パワーを照射し、このときの周波数も必要に応じ複数の値で変化しながら、そのAC出力データを繰り返し測定し、同様にモニタPD22のAC受光感度特性を求め、これを校正用として記録する。
【0043】
次に、予め別の手段で評価され、校正の取れているチップを有している基準ウェハをセットし、そのチップをDUTとする。
LED15に駆動電流を流し、上記DUTの受光面に光を照射する。そして、その受光面に照射されている光パワーがあるパワーレベル(例えば100[μW])となるように、DUTのDC出力電圧(電圧計57の測定値)を測定しながら、駆動電流を調整する。より詳細には、上記で予め求めておいたモニタPD22のDC受光感度特性から、その受光面に入射される光パワーの絶対量を、モニタPD22の出力から知ることができ、この光パワーが上記パワーレベルになる出力が得られるように、駆動電流を調整する。
所定のパワーレベルとなった時、モニタ用受光デバイス22の出力電圧を、AC/DC電圧計58を介して測定する。これを校正用データとして記録する。
必要に応じ、光パワーを何点か変え、同様にして校正用データとして記録する。
【0044】
次に高周波重畳された光を照射し、同時に周波数も必要に応じ何点か変え、そのAC出力データを測定し、周波数特性を求めこれを校正用データとして記録する。このとき同様にして、予め求めておいたモニタPD22のAC受光感度特性から光パワーの絶対量を知ることができ、その絶対量が所定の値となるように周波数や電流量を調整し校正を行う。
以上の校正後、DUT10を含む測定対象のウェハをセットし、以下の項目を順次測定する。
【0045】
<受光感度特性の測定>
ステップ1:DUT10にプローブ11を接触させる。この状態で、所定の駆動電流を、LSIテスタ1からウェハ測定ボード2の同軸ケーブル25を介してLED15に流す。
このとき出力リレースイッチS1はオフとしておく。このためAC信号源52からのAC信号は高周波重畳回路61に入力されず、駆動電流に対し高周波重畳が行われない。
所定の駆動電流が流れるとLED15が発光し、DUT10とモニタPD22とにそれぞれ所定の割合(例えばDUT10の受光パワーはモニタPD22のそれの数倍〜十数倍)で光が入射する。
このDUT10の出力をLSIテスタ1内のAC/DC電圧計57で測定し、記録する。
【0046】
ステップ2:モニタPD22の出力をLSIテスタ1内のAC/DC電圧計58で測定し、記録する。
【0047】
必要に応じ上記ステップ1と2を、光パワーを何点か変えながら繰り返す。
以上の測定の結果を、記録されている校正用データと照合して校正することによって、正確なDC受光感度特性を求める。
【0048】
<周波数特性の測定>
ステップ1:所定の駆動電流をLSIテスタ1の定電流源51から高周波重畳回路61に流す。また、記録されている校正用データと照合して校正することによって、正確なDC出力リレースイッチS1をオンし、AC信号源52からAC信号を高周波重畳回路61に与え、そのAC信号を定電流源51から駆動電流に重畳させる。そして、AC信号が重畳された駆動電流を、ウェハ測定ボード2の同軸ケーブル25を介して、測定治具50内のLED15に流す。
所定の駆動電流が流れるとLED15が発光し、DUT10とモニタPD22とにそれぞれ所定の割合(例えばDUT10の受光パワーはモニタPD22のそれの数倍〜十数倍)で光が入射する。
このDUT10の出力をLSIテスタ1内のAC/DC電圧計57で測定し、記録する。
【0049】
ステップ2:モニタPD22の出力をLSIテスタ1内のAC/DC電圧計58で測定し、記録する。
【0050】
必要に応じ上記ステップ1と2を、周波数及び/又は光パワーを何点か変えながら繰り返す。
以上の測定の結果を、記録されている校正用データと照合して校正することによって、正確なAC受光感度特性を求める。
【0051】
本実施の形態では、AC重畳時の受光感度特性を測定可能な構成と、その測定方法を説明したが、なお周波数特性を測定する必要がない場合、高周波重畳回路61は不要となる。
また光源としてLEDの代わりに半導体レーザを使用することもできる。その場合、半導体レーザに供給する駆動電流を閾値以下に設定すれば、LED光となるので、上記測定方法がそのまま適用できる。
【0052】
[第2実施形態]
本実施形態が上記第1実施形態と異なる点は、検査対象を半導体ウェハではなく組立て品(チップをパッケージに収納した光デバイス)としたことである。
【0053】
図11は、第2実施形態における光デバイス測定装置の要部を示す断面図である。
図11を図4と比較すると明らかなように、この光デバイス測定装置は、パッケージに収容された組み立て品(DUT10)を保持する検査治具90と、検査治具90上に補助基板13および測定治具50を保持するための保持台91とを備えている。この検査治具90は、図3および図4に示すプローブカード基板4を含むウェハ測定ボード2の機能を全て併せ持つものである。検査治具90と測定治具50との接続は、同軸ケーブル25,31および電源供給ケーブル28により達成されている。なお、図4に示す同軸ケーブル32の役割、すなわちDUT10と検査治具90との接続は、検査治具90内の内部配線(不図示)により達成されている。
図11と図4の比較において、上記以外の構成は前述した図4の場合と同じであり、同一符号を付して、その構成の説明を省略する。
【0054】
図11においては、光デバイス測定装置を構成するハンドラ、テストヘッド、DUTと検査治具と電気的に接続するコンタクトプローブ、および、機械的に固定するソケット、LEDのハウジングなどは図示していない。
図1に示す光デバイス測定装置を本実施形態に適用する場合、ウェハ測定ボード2、プローブカード基板4、半導体ウェハ6、ステージ7およびコンタクトリング8は省略され、図11に示す検査治具90がコネクタ3bに差し込まれて用いられる。このため、プローバ装置5の構成を簡素化し、小型化することができる。
なお、具体的テスト方法の例については、第1実施形態と共通であることから、その説明は省略する。
【0055】
なお、本発明の実施形態における測定治具50の構成、とくに光源である反射型LEDは、放射(照明)性能低下の検出付きLED照明装置として、例えばLEDパネル向けのバックライトや一般用照明灯、さらには、高輝度白色LEDを内蔵させて自動車のヘッドライトなどにも使用できる。
【0056】
本実施形態の光デバイス測定装置および測定方法は、以下の利点がある。
第1に、モニタPD22により常時光パワーをモニタしているので、DUT10について精度の良い測定ができる。
第2に、レンズなど光学系部材を必要としないので、測定システムのローコスト化、小型化が可能である。
第3に、光源にLEDを使用しているので、測定システムのローコスト化が可能である。また、LEDの交換も容易であり、メンテナンス性も高い。
【0057】
更に、以下の利点もある。
遮光カバー30を外した時、LEDが発光停止することから安全である。
遮光カバー30および補助基板13により、モニタPD22に入射する光において、LED15からの光以外の外来光を遮断することから、使用場所の環境により測定値が変化するのを防ぐことができる。
なお、本実施形態の光デバイス測定装置および測定方法は、半導体ウェハの測定システムだけでなく、組み立て品の測定システムにも適用できる。また、LED15に代えて、半導体レーザでも使用できる。
また、光源は照明性能低下の検出付きLED照明装置として、例えばLEDパネル用バックライトや一般用照明灯、さらには自動車用ヘッドライトなどにも使用できる。
【0058】
とくにLEDの場合、発光素子(チップ)自体の放射特性は長期使用しても殆ど低下しないが、チップを封止している樹脂などの材料が温度や光の放射エネルギーによって劣化する。よって所定の駆動電流を流しているにもかかわらず、光の透過率が低下し、光放射(照明)性能の低下が生じやすい。
従って本実施形態では、モニタPD22によって光パワーそのものをモニタすることから、劣化の度合いを把握できるため、上記性能低下による不利益、すなわち測定精度の低下がない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】特許文献1に記載されている光デバイス測定装置の構成図である。
【図2】第1実施形態の光デバイス測定装置の構成図である。
【図3】ウェハ測定ボードとプローブカード基板との組み立て図である。
【図4】第1実施形態の光デバイス測定装置の要部断面図である。
【図5】反射型LED部分の拡大図である。
【図6】遮光カバーの上面図である。
【図7】測定治具における遮光カバーの組み付け図である。
【図8】検査状態における光デバイス測定装置の電気的回路図である。
【図9】高周波重畳回路の入出力ラインの構成を示す図である。
【図10】高周波重畳回路の回路図である。
【図11】第2実施形態の光デバイス測定装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1…LSIテスタ、2…ウェハ測定ボード、4…プローブカード基板、5…プローバ装置、6…半導体ウェハ、7…ステージ、8…コンタクトリング、10…DUT、11…プローブ、12…プローブ保持台、13…補助基板、15…LED、151…発光素子、152a,152b…リード、153…ワイヤ、154…反射部材、154A…開口部、155…透明エポキシ樹脂、156…放射部材、22…モニタPD、22A…受光部、23…PD配線基板、24a,24b…ワイヤ、24c…ケーブル、25,31,32…同軸ケーブル、26,27,41…SMAオス側のコネクタ、28…電源供給ケーブル、30…遮光カバー、51…定電流源、52…AC信号源、53〜56…電圧源、57,58…AC/DC電圧計、61…高周波重畳回路、70…フォトダイオード、71…電流電圧変換回路、72…差動アンプ、R2…インピーダンスマッチング用の抵抗、R3…帰還抵抗、S1…出力リレースイッチ、S2…等価スイッチ、A…アノード、K…カソード、Vcc…電源電圧、Vee…基準電圧
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光デバイス等の被検査デバイスに光を照射して、その特性を測定する光デバイス測定装置と光デバイス測定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
受光デバイスは、組み立て後の最終製品の形態で、所定の光を照射したときの光学的特性(受光特性)を保証する必要がある。
ところが、半導体ウェハ状態の受光デバイスについて、その電気的特性(消費電流、暗電流等)を半導体ウェハ検査装置で測定し、電気的特性のみの良否を判定し、組立後の製品段階で受光特性(出力直流電圧、入射光電力等)を測定すると、電気的特性では良品と判定されたものが受光特性では不良品と判定されることがある。
このような、不良デバイスを組み立てることは、部材および工数のロスになるからコスト的に不利であり、また、開発段階の試作時には組立後に測定しなければ改善点が明確にならないことから、このことが開発期間を長くする要因となる。
【0003】
半導体ウェハ状態で受光デバイスに光を照射し、その受光特性を測定する装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載されているデバイス測定装置は、図1に示すように、ウェハ保持のためのステージ81に設置された半導体ウェハ83について、その1つの受光デバイス83Aの受光面に光ファイバー82を通して光を照射し、受光デバイス83Aの電極に金属接触針(プローブ)84を接触させて受光特性を測定するものである。
【特許文献1】特公平1−17251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているデバイス測定装置は、光ファイバー82を用いるために、そのファイバーを曲げる角度とレーザ波長によっては、光パワーの一部が光ファイバー82の外部にもれることがある。この場合、光ファイバー82内の屈折率はレーザ波長によって変化することから光学的損失(光パワーのロス)が発生し、光パワーを入射し素子の出力レベルを測定する受光感度特性などを正確に測定できない。
また、外来光を遮断しないため、使用場所の環境により暗電流など測定値が変化しやすい。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、受光デバイスまたは受光部を有する被検査デバイスの光学特性(受光特性)の測定を比較的精度よく低コストで実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光デバイス測定装置は、被検査デバイスに照射する光を出射する発光素子、前記発光素子の前記被検査デバイスと反対側に設けられ一部が開口する反射部材、および、前記発光素子から出力し前記反射部材の前記開口を通るモニタ光を受光し当該モニタ光の受光量に応じた出力を発生する受光デバイスが固定されている測定治具と、前記被検査デバイスの特性を測定し、前記受光デバイスからの出力に基づいて、当該測定結果を校正することと、前記測定時における前記被検査デバイスへの電源供給を制御することとの少なくとも一方を行う測定部と、を有する。
本発明では好適に、前記測定部は、前記発光素子に供給する駆動電流にAC信号を重畳する高周波重畳回路と、前記AC信号の周波数を変更して前記特性を測定するテスタと、を含む。
本発明では好適に、前記測定治具は、前記発光素子、前記反射部材および前記受光デバイスを覆う遮光カバーを有し、前記遮光カバーを前記測定治具から取り外すことに連動して前記発光素子への電流供給が停止可能になっている。
さらに好適に、前記発光素子に電流を供給するためのケーブルのコネクタが、前記遮光カバーが固定される前記測定治具の基板に設けられ、かつ、当該コネクタが前記遮光カバーの固定手段を兼用する。
【0008】
本発明に係る光デバイス測定治具は、被検査デバイスに照射する光を出射する発光素子と、前記発光素子の前記被検査デバイスと反対側に設けられ一部が開口する反射部材と、前記発光素子から出力し前記反射部材の前記開口を通るモニタ光を受光し当該モニタ光の受光量に応じた出力を発生する受光デバイスとをベース基板に固定して形成されている。
【0009】
本発明によれば、被検査デバイス(光デバイス)に光を照射する光源として発光デバイスが設けられ、その被検査デバイスと反対の側に反射部材が設けられている。反射部材は、発光デバイスからの光を反射するため、効率よく被検査デバイスに光が入射する。
また反射部材の一部が開口し、それに対応して受光デバイスが設けられている。受光デバイスは光のモニタ用であり、測定部は、この受光デバイスからの光により発光デバイスの被検査デバイスへの入射光量をモニタ可能である。このとき受光デバイスの出力が、測定結果の校正、被検査デバイスへの入力パワー制御に用いられる。
この場合、被検査デバイスへの光照射と光量モニタを単一の光源で行うことができるが、そのとき光を被検査対象に向う向き以外に曲げる必要が無い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被検査デバイスの光学特性(受光特性)の測定を比較的精度よく低コストで実現できるという利点がある。また、装置の小型化が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図2に、半導体ウェハ状態で受光デバイスを測定する光デバイス測定装置の構成概略を示す。
図解した光デバイス測定装置は、LSIテスタ1とプローバ装置5を有する。プローバ装置5内に、プローブを装備したプローブカード基板4、プローブカード基板4の多数のピンと電気的に接続されている測定回路が形成されているウェハ測定ボード2、ウェハ測定ボード2とプローブカード基板4とを接続するためのコンタクトリング8、および、ウェハ保持のためのステージ7を備える。ステージ7に、被検査デバイス(以下、「DUT(Device Under Test)」と称する)を有する半導体ウェハ6が載置されている。LSIテスタ1とウェハ測定ボード2とは、インターフェースとしてのケーブル3aおよびコネクタ3bを介して電気的に接続されている。
【0013】
図3に、ウェハ測定ボード2とプローブカード基板4との組み立て図を示す。
ウェハ測定ボード2とプローブカード基板4間は、コンタクトリング8に形成されている複数のソケット(不図示)とピン4Aにて電気的に接続され、それらの固定はネジ4Bによって行われる。プローブカード基板4がウェハ測定ボード2と一体となっていない理由は、プローブの寿命を考慮し、プローブカード基板4を交換する必要があるからである。
なお、ウェハ測定ボード2には、DUTを測定するための測定回路を構成する部品として、リレー、コンデンサ、抵抗など様々な電気部品が実装されている。ウェハ測定ボード2の先端部のカードエッジ2Bは、LSIテスタ1と電気的に接続するために、コネクタ3b(図1参照)に差し込まれる部分である。
【0014】
図4は、光デバイス測定装置のプローブカード基板4を中心とした部分を示す断面図である。半導体ウェハ6の1ペレットがDUT10であり、図4は、そのDUT10にプローブカード基板4のプローブを接触させている状態を示している。
図4において、プローブカード基板4は、DUT10の電極パッド(不図示)に各々接触しているプローブ11と、プローブ11を保持し、これをプローブカード基板4に固定するためのプローブ保持台12とを備える。なお、図4において、図2および図3に示すウェハ測定ボード2、および、ウェハ測定ボード2とプローブカード基板4とを多数のピン4Aにより電気的に接続するためのコンタクトリング8は図示を省略している。
【0015】
プローブカード基板4のプローブ11が固定された面と反対側に、後述する測定治具50のベースとなる補助基板13が設けられている。補助基板13は、位置決めピン14aおよび14bによってプローブカード基板4の所定の位置に対して位置決めされている。なお、実際には、プローブカード基板4と補助基板13との間に、コンタクトリング8およびウェハ測定ボード2が介在する。
コンタクトリング8およびウェハ測定ボード2を介して行われる補助基板13とプローブカード基板4との固定は、図4では省略しているネジなどによって行われる。つまり、まず、図3に示し既に説明したように、ウェハ測定ボード2に固定されているコンタクトリング8に対して、ネジによりプローブカード基板4を固定する。つぎに、ウェハ測定ボード2に対して、別のネジ(不図示)によって補助基板13を固定する。このため、補助基板13とプローブカード基板4は何れも、ウェハ測定ボード2に対して取り外し可能となっている。
【0016】
プローブカード基板4上に測定治具50が固定されている。
測定治具50は、DUT10の光源としてのLED15、および、LED15の光パワーをモニタする受光デバイス、たとえばフォトディテクタ(以下、「モニタPD」という)22を保持するためのものである。測定治具50は、補助基板13に多くの部材を固定することによって組み立てられている。
詳細は後述するが、測定治具50はプローブカード基板4等に対して着脱でき、これによって受光デバイス測定機能を、一般的なプローブカードに付加することを可能にしている。
【0017】
図5に、本実施形態で好適な反射型のLED15を示す。
反射型LEDとは、発光素子から放射された殆どの光を一旦後方にある反射面で受け、その反射面にて反射された後、その光を外部へ放射することが出来る構造を持つため、高い外部放射効率を得ることができるLEDである。
本実施形態では、反射面を備える反射型のLED15を用いることが望ましいが、弾丸型のLEDと反射部材を組み合わせて用いることも可能である。砲弾型LEDは、発光素子から放射された光の内、直接前方にある樹脂レンズに到達した光のみを外部へ放射するので、実質、発光素子から放射された光の1/3程度しか利用できないので効率が悪い。ただし、発光素子からの光の一部を側面や後方にも放射可能なLED構造とし、そこに反射部材を設けてモニタ光量を高めることができる。
【0018】
具体的に図5に示す反射型のLED15は、内部の発光素子151に電力を供給する1対のリード152a,152bのうち、一方のリード152bの面に導電性接着剤を介して発光素子151をマウントし、他方のリード152aと発光素子2とをワイヤ153でボンディングして電気的接続を行っている。また、LED15は、例えばアルミ板をプレス加工して形成される凹面状の反射部材154を、発光素子151の一方の側を半球状にほぼ覆うように取り付けている。そして、発光素子151、リード152a,152b、ワイヤ153および反射部材154を、透明エポキシ樹脂155で封止している。同時に、発光素子151の背面側(反射部材154が取り付けられた側と反対側)において透明エポキシ樹脂155の一部が平板形状になっており、これにより放射部材156が形成されている。
【0019】
なおLED15は、本発明の趣旨に逸脱しないかぎりどのような仕様(構造、形状、材質等)でも良い。
図5に示す反射型のLED15に組み入れている反射部材154に開口部154Aが形成されている。開口部154Aは発光素子151からの光の一部をモニタ光として外部に出射するためのもので、その役割が果たせる位置、大きさを有する。例えばリード152bにマウントされている発光素子151のほぼ真上に開口部154Aが形成されている。このことは砲弾型LEDの場合でも同様であり、そのLEDに対して固定される反射部材に、同じ役割を果たす開口部を形成する必要がある。
開口部154Aの数は、受光デバイス(モニタPD22)の数、その受光部の数、位置関係に合わせて複数としてもよい。ただし、本実施形態ではモニタPD22の受光部は単一であるため開口部154Aも1つ形成している。
【0020】
図4に示すように、LED15は補助基板13の開口部13Aの周辺に、その放射部材156を開口部に位置させて固定されている。なお、実際にはLED15は不図示のハウジングを介して補助基板13に固定されている。
また、補助基板13に形成されている一方の電源供給配線(不図示)に対しリード152aがワイヤ24aによって電気的に接続され、他方の電源供給配線(不図示)に対しリード152bがワイヤ24bによって電気的に接続されている。ただし、これも電気的接続関係を示すもので、実際には不図示のハウジングの接続リード等を介して電気的接続が行われる。
ここで、補助基板13はLED15から放射された光が、開口部154A以外から回り込みによりモニタPD22に入らないように遮光機能も兼ねている。
【0021】
LED15の取り付け位置周囲に、補助基板13から立設した立設部20が設けられ、立設部20に受光デバイスとしてのモニタPD22を保持するPD配線基板23が固定されている。
モニタPD22は、ウェハ状態のDUT10と同じ品種等の受光デバイスを透明樹脂(もしくはガラス)によってパッケージングしたものであり、LED15の光パワーをモニタするためにPD配線基板23の下面に実装されている。PD配線基板23は、モニタPD22の端子に接続する内部配線(不図示)を有し、当該内部配線からケーブル24cが引き出されて、これがコネクタ(不図示)を介して補助基板13に接続されている。
【0022】
モニタPD22は、LED15から開口部154Aを介して透過するする光のパワーをモニタするために、その受光部22Aの位置精度に多少の許容度を得るため、受光部22Aの受光面は透過窓の大きさに対し十分広いことが望ましい。
具体的には、開口部154Aが小さすぎると通過する光パワーが小さく、このためにモニタ出力電圧が小さく測定精度が低下する可能性がある。また開口部154Aが大きすぎるとDUT10へ照射する光パワーがそれだけ小さくなり好ましくないことから、開口部154Aの大きさは、開口部154Aを通過する光パワーが、発光素子151が放射する全光パワーの凡そ10分の1から5分の1程度になるように設定するとよい。
【0023】
ここで、全放射光パワーはいったん凹面状の反射面の面で受けてその後反射するので、パワーの面内分布強度がLED15の放射(光パワー)レベルに対して変化しないと仮定すると、全放射光パワーに対し、開口部154Aの面積に応じた光パワーの相対比は一定となる。
従って、モニタ用受光デバイスの出力を測定することにより、DUTへ照射される光パワーを算出することができる。
【0024】
PD配線基板23の実装面に符号“29”により示す部品が実装されている。この部品29は、モニタPD22は電流出力なので電圧出力とするための電流電圧変換回路を含む。
補助基板13の実装面に符号“R2”により示す部品が実装されている。この部品R2は、インピーダンスマッチングのための部品(抵抗)である。
【0025】
このように配置されているLED15およびモニタPD22と、ウェハ測定ボード2(不図示)とは、ケーブル25および31によって接続される。DUT10は、プローブ11等を介してケーブル32によりウェハ測定ボード2と電気的に接続される。
本例では、これらケーブルのコネクタとしてはSMA(Subminiature A)コネクタを用いている。より詳細には、補助基板13にSMAオス側のコネクタ26と27が実装され、プローブカード基板4にSMAオス側のコネクタ41が実装されている。そして、コネクタ26に同軸ケーブル25が、コネクタ27に同軸ケーブル31が、コネクタ41に同軸ケーブル32が、各ケーブルの一端に設けられているSMAメス側のコネクタ25A,31A,32Aを介して接続されている。同軸ケーブル25,31,32の図示していない他端も同様に、それぞれSMAコネクタ対によってウェハ測定ボード2(不図示)に接続されている。
このうち同軸ケーブル25は、LED15を駆動する電流を供給するためのラインである。同軸ケーブル31は、モニタPD22の出力のためのラインである。また、同軸ケーブル32は、DUT10の出力のためのラインである。
【0026】
補助基板13からは、さらに電源電圧Vcc、基準電圧Veeおよび接地電圧GNDを供給する電源供給ケーブル28が引き出されている。電源供給ケーブル28の先端にコネクタ(オス側)28Aが設けられている。なお、ウェハ測定ボード2にコネクタ(メス側)を設け、電源供給ケーブル28を補助基板13から取り外せるようにしてもよい。
【0027】
図6に遮光カバー30の上面図を、図7に遮光カバー30の組み付け図を示す。
図6に示すように、遮光カバー30の開放面(下面)端部に、その側面に対して外側に突出するフランジ部フランジ部30Aを備えている。フランジ部30Aの対抗する2箇所に耳部40aおよび40bが設けられている。耳部40aおよび40bは、それぞれSMAコネクタ(オス側)を通すための円形の穴を備える。
【0028】
図7に示すように、耳部40aおよび40bは、それぞれ同軸ケーブル25,31に対応したSMAオス側のコネクタ26,27に通され、その上から、同軸ケーブル25,31のSMAメス側のコネクタ25A,31Aで締め付けられる。これにより、遮光カバー30および同軸ケーブル25,31を同時に、補助基板13に固定することができる。
【0029】
同軸ケーブル25,31の先端に設けられているSMAメス側のコネクタ25A,31Aを締め付け時とは逆に回すことによって、同軸ケーブル25,31を補助基板13から外すことができる。これによって、遮光カバー30の固定(圧着)が解除され、遮光カバー30を補助基板13から外すことができる。
この遮光カバー30の取り付け構造によって、遮光カバー30を外すと必ず同軸ケーブル25が補助基板13から離れて駆動電流がLED15に流れなくなり、発光が止まる。このため遮光カバー30を外した時、LED15の発光が停止することから、安全上好ましい。
【0030】
なお、本実施の形態では、この遮光カバー30と同軸ケーブル25との同時着脱のための取り付け構造は望ましいが、必須ではない。この場合、別途安全上遮光カバー30を外した時、LEDが発光を停止するような対策を施すことが好ましい。
また、補助基板13とウェハ測定ボード2(不図示)の接続に各種同軸ケーブル25,31,32を用い、また、電源供給ケーブル28にもコネクタを使用したが、そのことも必須ではない。たとえば、補助基板13とウェハ測定ボード2との接続を、両者を連結するコネクタとピンにより実現してもよい。
【0031】
図8に、検査状態における光デバイス測定装置の電気的回路図を示す。
LSIテスタ1内に、定電流源51、AC信号源52およびその等価出力抵抗R1(たとえば50オーム)、出力リレースイッチS1、電圧源53,54,55,56、ならびに、AC/DCレベル測定のための電圧計(AC/DC電圧計)57,58が装備されている。定電流源51と電圧源53,54,55,56の電圧値、および、AC信号源52の周波数と出力振幅レベルは、LSIテスタ1の仕様の範囲内において任意に設定できる。
【0032】
ウェハ測定ボード2と接続されているプローブカード基板4に、測定治具50およびプローブ11が装備されている。プローブ11は、DUT10の電極パッド(図示せず)とコンタクトしている。
【0033】
本例におけるDUT10は、入射された光のパワーレベルに比例した電流が流れるフォトダイオード70と、その電流を適切な電圧に変換する電流電圧変換回路71とをチャンネル数分(本例では1チャンネル)内蔵している。
このフォトダイオード70とその電流電圧変換回路71からなる回路ブロックのチャンネル数は、ここでは1チャンネルとしているが、光の放射角度が比較的広いタイプ(広指向性)のLEDを使用すれば複数チャンネル内蔵の受光デバイスにも対応できる。またフォトダイオード70単体の構成でも測定が可能で、その場合、電流電圧変換回路71は省略される。
【0034】
本例における電流電圧変換回路71は、差動アンプ72と帰還抵抗R3を有する。差動アンプ72の反転入力「−」と接地電圧との間にフォトダイオード70が接続され、差動アンプ72の反転入力「−」と出力との間に帰還抵抗R3が接続されている。差動アンプ72に電源電圧Vccと基準電圧Veeが供給され、その非反転入力「+」は接地されている。
差動アンプ72の出力はプローブ11からDUT10の外部に取り出され、さらに同軸ケーブル32および62を介してLSIテスタ1のAC/DC電圧計57に接続されている。電源電圧Vccおよび基準電圧Veeは、それぞれプローブ11を介し、LSIテスタ1内の可変電圧源55,56から供給される。フォトダイオード70への入射光パワーは測定治具50内のLED15から付与される。
【0035】
測定治具50内に、光パワーを供給するLED15と、インピーダンスマッチングのための抵抗R2とが内蔵されている。なお、図8において参照符号「S2」により示すスイッチは、測定治具50の遮光カバー30を外すと(図5参照)、駆動電流を供給している同軸ケーブル25が治具から離れて駆動電流の供給が停止し発光が止まることから、この作用を等価的なスイッチで表現したものである。
これら等価スイッチS2、抵抗R2およびLED15は、同軸ケーブル25のコネクタ対26,25Aと接地電圧との間に縦続接続されている。
【0036】
モニタPD22は、ここではDUT10と同様の品種を使用していることから回路構成がDUT10と同一であり、フォトダイオード70、差動アンプ72および帰還抵抗R3を含む。
差動アンプ72の出力はコネクタ対27,31Aを通って同軸ケーブル31および63を介してLSIテスタ1のAC/DCレベル測定のための電圧計58に接続されている。電源電圧Vccおよび基準電圧Veeは電源供給ケーブル28、コネクタ28A、ケーブル64を介し、LSIテスタ1内の可変電圧源53,54から供給される。
【0037】
ウェハ測定ボード2内でLEDの電源供給のための同軸ケーブル25に高周波重畳回路61が接続されている。高周波重畳回路61は、LSIテスタ1からのLED駆動のための定電流にAC信号を重畳させる回路である。
高周波重畳回路61のDC入力と、LSIテスタ1内の源電圧Vddの供給線との間に定電流源51が接続されている。高周波重畳回路61のAC入力と、LSIテスタ1内の接地電圧の供給線との間に、出力リレースイッチS1、等価出力抵抗R1およびAC信号源52が接続されている。
【0038】
図9に、高周波重畳回路61のDC入力ノードNa、AC入力ノードNb、出力ノードNcのライン構成を示す。これらの全てのノードに接続されるケーブルとして、信号線の周囲を接地電圧のラインでシールドした同軸ケーブルが用いられている。
【0039】
図10に、高周波重畳回路61の回路例を示す。
高周波重畳回路61は、ノイズ除去のためのコンデンサC1、DCカットのためのカップリングコンデンサC2およびチョークコイルL1を有する。チョークコイルL1がDC入力ノードNaと出力ノードNcとの間に接続され、コンデンサC1がDC入力ノードNaと接地電圧との間に接続され、カップリングコンデンサC2がAC入力ノードNbと出力ノードNcとの間に接続されている。
【0040】
出力リレースイッチS1がオフのときは、LSIテスタ1内の定電流源51からの定電流がDC入力ノードNaから高周波重畳回路61内に供給され、チョークコイルL1をスルーしてそのまま出力ノードNcから出力される。このDC的な動作では、チョークコイルL1のインピーダンス(DC抵抗)は、ほぼゼロであることから、LSIテスタ1からのLED駆動電流のための定電流はそのまま(すなわち、殆ど損失することなく)チョークコイルL1をスルーし、LED15に供給される。
【0041】
出力リレースイッチS1がオンすると、AC信号はLSIテスタ1内のAC信号源52から、等価出力抵抗R1、オン状態の出力リレースイッチS1を通ってAC入力ノードNbに供給される。そして、DC入力ノードNa点から供給されている定電流に、カップリングコンデンサC2を介してAC信号が重畳される。このAC動作では、チョークコイルL1のインピーダンスがほぼ無限大となることから、LED15の動作電圧値を一定と仮定した場合、AC信号源52からのAC信号(AC電流)は、等価出力抵抗R1および抵抗R2、およびLED15を通って、接地電圧のラインに流れる。よって高周波重畳されるAC電流は、AC信号源52の振幅を、等価出力抵抗R1と抵抗R2の抵抗値の和で割った値となる。つまり、AC電流の重畳レベルは、これらの抵抗値とAC信号の振幅に応じて決められる。なお、抵抗R2はインピーダンスマッチング用で、LEDの駆動電流ラインのインピーダンスを同軸ケーブル25のインピーダンスに合わせるために設けられている。
【0042】
以上のように構成されている光デバイス測定装置を用いて具体的テスト方法を、主に図8を用いて説明する。
モニタPD22を測定治具50に装着する前の事前準備として、モニタPD22に予め基準光パワーを入力し、この光パワーレベルも必要に応じ複数のレベルで変化しながら、モニタPD22のDC出力データを繰り返し測定する。この測定結果から、モニタPD22のDC受光感度特性、すなわち出力DC電圧と入射光パワーとの関係を求め、これを校正用として記録する。
同様に、高周波重畳された基準用光パワーを照射し、このときの周波数も必要に応じ複数の値で変化しながら、そのAC出力データを繰り返し測定し、同様にモニタPD22のAC受光感度特性を求め、これを校正用として記録する。
【0043】
次に、予め別の手段で評価され、校正の取れているチップを有している基準ウェハをセットし、そのチップをDUTとする。
LED15に駆動電流を流し、上記DUTの受光面に光を照射する。そして、その受光面に照射されている光パワーがあるパワーレベル(例えば100[μW])となるように、DUTのDC出力電圧(電圧計57の測定値)を測定しながら、駆動電流を調整する。より詳細には、上記で予め求めておいたモニタPD22のDC受光感度特性から、その受光面に入射される光パワーの絶対量を、モニタPD22の出力から知ることができ、この光パワーが上記パワーレベルになる出力が得られるように、駆動電流を調整する。
所定のパワーレベルとなった時、モニタ用受光デバイス22の出力電圧を、AC/DC電圧計58を介して測定する。これを校正用データとして記録する。
必要に応じ、光パワーを何点か変え、同様にして校正用データとして記録する。
【0044】
次に高周波重畳された光を照射し、同時に周波数も必要に応じ何点か変え、そのAC出力データを測定し、周波数特性を求めこれを校正用データとして記録する。このとき同様にして、予め求めておいたモニタPD22のAC受光感度特性から光パワーの絶対量を知ることができ、その絶対量が所定の値となるように周波数や電流量を調整し校正を行う。
以上の校正後、DUT10を含む測定対象のウェハをセットし、以下の項目を順次測定する。
【0045】
<受光感度特性の測定>
ステップ1:DUT10にプローブ11を接触させる。この状態で、所定の駆動電流を、LSIテスタ1からウェハ測定ボード2の同軸ケーブル25を介してLED15に流す。
このとき出力リレースイッチS1はオフとしておく。このためAC信号源52からのAC信号は高周波重畳回路61に入力されず、駆動電流に対し高周波重畳が行われない。
所定の駆動電流が流れるとLED15が発光し、DUT10とモニタPD22とにそれぞれ所定の割合(例えばDUT10の受光パワーはモニタPD22のそれの数倍〜十数倍)で光が入射する。
このDUT10の出力をLSIテスタ1内のAC/DC電圧計57で測定し、記録する。
【0046】
ステップ2:モニタPD22の出力をLSIテスタ1内のAC/DC電圧計58で測定し、記録する。
【0047】
必要に応じ上記ステップ1と2を、光パワーを何点か変えながら繰り返す。
以上の測定の結果を、記録されている校正用データと照合して校正することによって、正確なDC受光感度特性を求める。
【0048】
<周波数特性の測定>
ステップ1:所定の駆動電流をLSIテスタ1の定電流源51から高周波重畳回路61に流す。また、記録されている校正用データと照合して校正することによって、正確なDC出力リレースイッチS1をオンし、AC信号源52からAC信号を高周波重畳回路61に与え、そのAC信号を定電流源51から駆動電流に重畳させる。そして、AC信号が重畳された駆動電流を、ウェハ測定ボード2の同軸ケーブル25を介して、測定治具50内のLED15に流す。
所定の駆動電流が流れるとLED15が発光し、DUT10とモニタPD22とにそれぞれ所定の割合(例えばDUT10の受光パワーはモニタPD22のそれの数倍〜十数倍)で光が入射する。
このDUT10の出力をLSIテスタ1内のAC/DC電圧計57で測定し、記録する。
【0049】
ステップ2:モニタPD22の出力をLSIテスタ1内のAC/DC電圧計58で測定し、記録する。
【0050】
必要に応じ上記ステップ1と2を、周波数及び/又は光パワーを何点か変えながら繰り返す。
以上の測定の結果を、記録されている校正用データと照合して校正することによって、正確なAC受光感度特性を求める。
【0051】
本実施の形態では、AC重畳時の受光感度特性を測定可能な構成と、その測定方法を説明したが、なお周波数特性を測定する必要がない場合、高周波重畳回路61は不要となる。
また光源としてLEDの代わりに半導体レーザを使用することもできる。その場合、半導体レーザに供給する駆動電流を閾値以下に設定すれば、LED光となるので、上記測定方法がそのまま適用できる。
【0052】
[第2実施形態]
本実施形態が上記第1実施形態と異なる点は、検査対象を半導体ウェハではなく組立て品(チップをパッケージに収納した光デバイス)としたことである。
【0053】
図11は、第2実施形態における光デバイス測定装置の要部を示す断面図である。
図11を図4と比較すると明らかなように、この光デバイス測定装置は、パッケージに収容された組み立て品(DUT10)を保持する検査治具90と、検査治具90上に補助基板13および測定治具50を保持するための保持台91とを備えている。この検査治具90は、図3および図4に示すプローブカード基板4を含むウェハ測定ボード2の機能を全て併せ持つものである。検査治具90と測定治具50との接続は、同軸ケーブル25,31および電源供給ケーブル28により達成されている。なお、図4に示す同軸ケーブル32の役割、すなわちDUT10と検査治具90との接続は、検査治具90内の内部配線(不図示)により達成されている。
図11と図4の比較において、上記以外の構成は前述した図4の場合と同じであり、同一符号を付して、その構成の説明を省略する。
【0054】
図11においては、光デバイス測定装置を構成するハンドラ、テストヘッド、DUTと検査治具と電気的に接続するコンタクトプローブ、および、機械的に固定するソケット、LEDのハウジングなどは図示していない。
図1に示す光デバイス測定装置を本実施形態に適用する場合、ウェハ測定ボード2、プローブカード基板4、半導体ウェハ6、ステージ7およびコンタクトリング8は省略され、図11に示す検査治具90がコネクタ3bに差し込まれて用いられる。このため、プローバ装置5の構成を簡素化し、小型化することができる。
なお、具体的テスト方法の例については、第1実施形態と共通であることから、その説明は省略する。
【0055】
なお、本発明の実施形態における測定治具50の構成、とくに光源である反射型LEDは、放射(照明)性能低下の検出付きLED照明装置として、例えばLEDパネル向けのバックライトや一般用照明灯、さらには、高輝度白色LEDを内蔵させて自動車のヘッドライトなどにも使用できる。
【0056】
本実施形態の光デバイス測定装置および測定方法は、以下の利点がある。
第1に、モニタPD22により常時光パワーをモニタしているので、DUT10について精度の良い測定ができる。
第2に、レンズなど光学系部材を必要としないので、測定システムのローコスト化、小型化が可能である。
第3に、光源にLEDを使用しているので、測定システムのローコスト化が可能である。また、LEDの交換も容易であり、メンテナンス性も高い。
【0057】
更に、以下の利点もある。
遮光カバー30を外した時、LEDが発光停止することから安全である。
遮光カバー30および補助基板13により、モニタPD22に入射する光において、LED15からの光以外の外来光を遮断することから、使用場所の環境により測定値が変化するのを防ぐことができる。
なお、本実施形態の光デバイス測定装置および測定方法は、半導体ウェハの測定システムだけでなく、組み立て品の測定システムにも適用できる。また、LED15に代えて、半導体レーザでも使用できる。
また、光源は照明性能低下の検出付きLED照明装置として、例えばLEDパネル用バックライトや一般用照明灯、さらには自動車用ヘッドライトなどにも使用できる。
【0058】
とくにLEDの場合、発光素子(チップ)自体の放射特性は長期使用しても殆ど低下しないが、チップを封止している樹脂などの材料が温度や光の放射エネルギーによって劣化する。よって所定の駆動電流を流しているにもかかわらず、光の透過率が低下し、光放射(照明)性能の低下が生じやすい。
従って本実施形態では、モニタPD22によって光パワーそのものをモニタすることから、劣化の度合いを把握できるため、上記性能低下による不利益、すなわち測定精度の低下がない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】特許文献1に記載されている光デバイス測定装置の構成図である。
【図2】第1実施形態の光デバイス測定装置の構成図である。
【図3】ウェハ測定ボードとプローブカード基板との組み立て図である。
【図4】第1実施形態の光デバイス測定装置の要部断面図である。
【図5】反射型LED部分の拡大図である。
【図6】遮光カバーの上面図である。
【図7】測定治具における遮光カバーの組み付け図である。
【図8】検査状態における光デバイス測定装置の電気的回路図である。
【図9】高周波重畳回路の入出力ラインの構成を示す図である。
【図10】高周波重畳回路の回路図である。
【図11】第2実施形態の光デバイス測定装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1…LSIテスタ、2…ウェハ測定ボード、4…プローブカード基板、5…プローバ装置、6…半導体ウェハ、7…ステージ、8…コンタクトリング、10…DUT、11…プローブ、12…プローブ保持台、13…補助基板、15…LED、151…発光素子、152a,152b…リード、153…ワイヤ、154…反射部材、154A…開口部、155…透明エポキシ樹脂、156…放射部材、22…モニタPD、22A…受光部、23…PD配線基板、24a,24b…ワイヤ、24c…ケーブル、25,31,32…同軸ケーブル、26,27,41…SMAオス側のコネクタ、28…電源供給ケーブル、30…遮光カバー、51…定電流源、52…AC信号源、53〜56…電圧源、57,58…AC/DC電圧計、61…高周波重畳回路、70…フォトダイオード、71…電流電圧変換回路、72…差動アンプ、R2…インピーダンスマッチング用の抵抗、R3…帰還抵抗、S1…出力リレースイッチ、S2…等価スイッチ、A…アノード、K…カソード、Vcc…電源電圧、Vee…基準電圧
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査デバイスに照射する光を出射する発光素子、前記発光素子の前記被検査デバイスと反対側に設けられ一部が開口する反射部材、および、前記発光素子から出力し前記反射部材の前記開口を通るモニタ光を受光し当該モニタ光の受光量に応じた出力を発生する受光デバイスが固定されている測定治具と、
前記被検査デバイスの特性を測定し、前記受光デバイスからの出力に基づいて、当該測定結果を校正することと、前記測定時における前記被検査デバイスへの電源供給を制御することとの少なくとも一方を行う測定部と、
を有する光デバイス測定装置。
【請求項2】
前記測定部は、
前記発光素子に供給する駆動電流にAC信号を重畳する高周波重畳回路と、
前記AC信号の周波数を変更して前記特性を測定するテスタと、
を含む
請求項1に記載の光デバイス測定装置。
【請求項3】
前記測定治具は、前記発光素子、前記反射部材および前記受光デバイスを覆う遮光カバーを有し、
前記遮光カバーを前記測定治具から取り外すことに連動して前記発光素子への電流供給が停止可能になっている
請求項1に記載の光デバイス測定装置。
【請求項4】
前記発光素子に電流を供給するためのケーブルのコネクタが、前記遮光カバーが固定される前記測定治具の基板に設けられ、かつ、当該コネクタが前記遮光カバーの固定手段を兼用する
請求項3に記載の光デバイス測定装置。
【請求項5】
被検査デバイスに照射する光を出射する発光素子と、
前記発光素子の前記被検査デバイスと反対側に設けられ一部が開口する反射部材と、
前記発光素子から出力し前記反射部材の前記開口を通るモニタ光を受光し当該モニタ光の受光量に応じた出力を発生する受光デバイスと
をベース基板に固定して形成されている
光デバイス測定治具。
【請求項1】
被検査デバイスに照射する光を出射する発光素子、前記発光素子の前記被検査デバイスと反対側に設けられ一部が開口する反射部材、および、前記発光素子から出力し前記反射部材の前記開口を通るモニタ光を受光し当該モニタ光の受光量に応じた出力を発生する受光デバイスが固定されている測定治具と、
前記被検査デバイスの特性を測定し、前記受光デバイスからの出力に基づいて、当該測定結果を校正することと、前記測定時における前記被検査デバイスへの電源供給を制御することとの少なくとも一方を行う測定部と、
を有する光デバイス測定装置。
【請求項2】
前記測定部は、
前記発光素子に供給する駆動電流にAC信号を重畳する高周波重畳回路と、
前記AC信号の周波数を変更して前記特性を測定するテスタと、
を含む
請求項1に記載の光デバイス測定装置。
【請求項3】
前記測定治具は、前記発光素子、前記反射部材および前記受光デバイスを覆う遮光カバーを有し、
前記遮光カバーを前記測定治具から取り外すことに連動して前記発光素子への電流供給が停止可能になっている
請求項1に記載の光デバイス測定装置。
【請求項4】
前記発光素子に電流を供給するためのケーブルのコネクタが、前記遮光カバーが固定される前記測定治具の基板に設けられ、かつ、当該コネクタが前記遮光カバーの固定手段を兼用する
請求項3に記載の光デバイス測定装置。
【請求項5】
被検査デバイスに照射する光を出射する発光素子と、
前記発光素子の前記被検査デバイスと反対側に設けられ一部が開口する反射部材と、
前記発光素子から出力し前記反射部材の前記開口を通るモニタ光を受光し当該モニタ光の受光量に応じた出力を発生する受光デバイスと
をベース基板に固定して形成されている
光デバイス測定治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−335651(P2007−335651A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166052(P2006−166052)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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