説明

光ピックアップ並びに記録及び/又は再生装置

【課題】 情報信号の記録時に光ディスクと光ディスクに集光する光ビームとのチルトに起因するコマ収差を補正し、記録した情報信号の再生特性を最適にするとともに、チルト調整の時間を短縮する。
【解決手段】 所定の波長の光ビームを出射する光源31と、光源31から出射された光ビームを光ディスク上に集光する対物レンズ32と、対物レンズ32により集光される光ビームの光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段と、光ディスクで反射された戻り光を検出する光検出器34と、光検出器34で検出された戻り光の光量により、補正手段を制御する制御部とを備え、制御部は、光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように補正手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光磁気ディスク、相変化型の光ディスク等の光学的に情報の記録及び/又は再生が行われる光ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップ並びに記録及び/又は再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクに対して光ピックアップにより情報信号の記録及び再生を行う際に、光ビームをこれら光ディスクの信号記録面に対して垂直に入射する必要がある。
【0003】
しかしながら、光ディスクの形状変化や光ディスクの傾きによって、光ビームが光ディスクの信号記録面に対して垂直に入射しない場合がある。光ピックアップにより光ディスクに対する信号の再生を行う際、光ディスクの信号記録面に対して入射された光ビームが、この光ディスクの信号記録面に対して垂直方向に反射されずに、反射した光ビームにコマ収差が発生してしまい情報信号の読み取り精度が低下してしまう。
【0004】
また、特に、光ピックアップにより光ディスクに対する情報信号の記録を行う際には、このコマ収差を補正すること、すなわち、光ディスクのチルト調整が必要である。このような光ピックアップの記録を行う際の最適なチルト調整を行うにあたって、記録中におけるチルトの調整状況を確認することができないため下記のように措置がとられていた。
【0005】
実際の記録動作を行う前に、あらかじめこれから記録する部分、又は、近接した部分の再生を行い、FE信号(フォーカスエラー信号)、RF信号(戻り光量総和信号)、PP(Push Pull)信号、DPP(Differential Push Pull)信号の振幅が最大となる点、又は、再生アドレスエラー値が最小となるチルトの最適点を測定しておき記録時にその値を使用する。
【0006】
しかし、このような光ピックアップにおいては、記録時と再生時における最適なチルト値が一致しない等の問題があった。
【0007】
また、あらかじめ実際の記録を開始する前にチルトを変化させながら試し記録を行い、それを再生して、RF信号、PP信号、DPP信号等の振幅が最大となるように、又は、再生ジッタ値、再生アドレスエラー値が最小となるように、チルト調整を行ってから、情報信号の記録を行う光ピックアップがある。
【0008】
しかし、このような光ピックアップにおいては、試し記録を行った後に、再度試し記録を行った領域を読み出す手順が必要となり、チルト調整に時間がかかってしまう等の問題があった。
【0009】
【特許文献1】特開2004−22126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、情報信号の記録時に光ディスクと光ディスクに集光する光ビームとのチルトを制御することで記録した情報信号の再生特性を最適にするとともに、光ディスクと光ビームとのチルトを最適にするためのチルト調整の時間を短縮することを可能とする光ピックアップ並びに記録及び/又は再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、本発明に係る光ピックアップは、所定の波長の光ビームを出射する光源と、光源から出射された光ビームを光ディスク上に集光する対物レンズと、対物レンズにより集光される光ビームの光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段と、光ディスクで反射された戻り光を検出する光検出器と、光検出器で検出された戻り光の光量により、補正手段を制御する制御部とを備え、制御部は、光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように補正手段を制御することを特徴とする。
【0012】
また、この光ピックアップにおいて、光源、対物レンズ及び光検出器が、光ディスクの直交方向に対して傾斜する方向に可動自在とされた可動部に配置され、補正手段が、可動部を光ディスクの直交方向に対して傾斜させることにより、対物レンズにより集光される光ビームの光軸を光ディスクの直交方向に一致させるようにしてもよい。
【0013】
さらに、この光ピックアップは、補正手段が、光ディスクの直交方向に対する上記可動部の傾斜角度を調整可能とし、補正手段が可動部の傾斜角度を変化させることにより変化する光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように、制御部が補正手段を制御するようにして好適である。
【0014】
また、上述の光ピックアップにおいて、補正手段が、対物レンズを光ディスクの直交方向に対して傾斜させることにより、対物レンズにより集光される光ビームの光軸を光ディスクの直交方向に一致させるようにしてもよい。
【0015】
さらに、この光ピックアップは、補正手段が、光ディスクの直交方向に対する上記対物レンズの傾斜角度を調整可能とし、補正手段が対物レンズの傾斜角度を変化させることにより変化する光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように、制御部が補正手段を制御するようにして好適である。
【0016】
また、上述の光ピックアップにおいて、補正手段が、光源と対物レンズとの間に配置され、屈折力を可変することにより、光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する液晶光学素子であってもよい。
【0017】
さらに、この光ピックアップは、補正手段が、光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差の補正量を調整可能とし、補正手段がコマ収差の補正量を変化させることにより変化する光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように、制御部が補正手段を制御するようにして好適である。
【0018】
また、この目的を達成するため、本発明に係る記録及び/又は再生装置は、光ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップと、光ディスクを保持するとともに回転するディスク回転駆動手段とを備える記録及び/又は再生装置において、光ピックアップは、所定の波長の光ビームを出射する光源と、光源から出射された光ビームを光ディスク上に集光する対物レンズと、対物レンズにより集光される光ビームの光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段と、光ディスクで反射された戻り光を検出する光検出器と、光検出器で検出された戻り光の光量により、補正手段を制御する制御部とを備え、制御部は、光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように補正手段を制御することを特徴とする。
【0019】
また、この記録及び/又は再生装置において、補正手段が、回転駆動手段により保持される光ディスクを対物レンズにより集光される光ビームの光軸に対して傾斜させることにより、対物レンズにより集光される光ビームの光軸を光ディスクの直交方向に一致させるようにしてもよい。
【0020】
さらに、この記録及び/又は再生装置は、補正手段が、対物レンズにより集光される光ビームの光軸に対する回転駆動手段により保持される光ディスクの傾斜角度を調整可能とし、補正手段が回転駆動手段により保持される光ディスクの傾斜角度を変化させることにより変化する光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように、制御部が補正手段を制御するようにして好適である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の光ピックアップによれば、光ディスクと対物レンズにより集光される光ビームとの傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段により、情報信号の記録時に光ディスクと光ビームとのチルト調整を行うことができ、記録した情報信号の再生特性を最適とすることができるとともに、チルト調整の時間を短縮することができる。
【0022】
また、本発明の光ピックアップによれば、光検出器で検出された戻り光により補正手段を制御する制御部を有し、補正手段が補正量を変化させることにより変化する戻り光の光量が最小となるように、この制御部が補正手段を制御する構成により、記録動作を行いながらチルト調整を短時間で確実に行うことができ、また、記録動作中におけるチルトをリアルタイムで調整することを可能とする。
【0023】
本発明の記録及び/又は再生装置によれば、光ディスクと対物レンズにより集光される光ビームとの傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段により、情報信号の記録時に光ディスクと光ビームとのチルト調整を行うことができ、記録した情報信号の再生特性を最適とすることができるとともに、チルト調整の時間を短縮することができるので、利便性を高めるとともに良好な記録特性及び再生特性を実現できる。
【0024】
また、本発明の記録及び/又は再生装置によれば、光検出器で検出された戻り光により補正手段を制御する制御部を有し、補正手段が補正量を変化させることにより変化する戻り光の光量が最小となるように、この制御部が補正手段を制御する構成により、記録動作を行いながらチルト調整を短時間で確実に行うことができ、また、記録動作中におけるチルトをリアルタイムで調整することを可能とするので、利便性を高めるとともに良好な記録特性及び再生特性を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を適用した光ピックアップを用いた記録再生装置について、図面を参照して説明する。
【0026】
本発明が適用された光ピックアップを備えた記録再生装置1は、図1に示すように、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、情報の追記が可能とされるCD−R(Recordable)及びDVD−R(Recordable)、情報の書換えが可能とされるCD−RW(ReWritable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)等の光ディスクや、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能な光ディスクや、光磁気ディスク等の光ディスク2に対して情報の記録及び/又は再生(以下では記録再生と記述する。)を行うことができるようにされている。
【0027】
具体的に、この記録再生装置10は、図1に示すように、光ディスク11を保持するとともに回転するスピンドルモータ12と、スピンドルモータ12を制御するモータ制御回路13と、スピンドルモータ12により回転される光ディスク11に光ビームを照射し光ディスク11で反射した戻りの光ビームを検出する光ピックアップ1と、光ピックアップ1から出力された電気信号を増幅するRFアンプ15と、対物レンズのフォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成するサーボ回路16と、サブコードデータを抽出するサブコード抽出回路17とを備える。
【0028】
また、この記録再生装置10は、記録系として、パーソナルコンピュータ等のホスト機器に接続され、記録すべきデータが入力される入力端子18と、入力端子18に入力された記録データに対してエラー訂正符号化処理を施すエラー訂正符号化回路19と、エラー訂正符号化処理が施されたデータを変調する変調回路20と、変調された記録データに対して記録処理を施す記録処理回路21とを備える。
【0029】
更に、記録再生装置10は、再生系として、光ディスク11より読み出した再生データに対して復調する復調回路22と、復調された再生データに対してエラー訂正復号処理を施すエラー訂正復号化回路23と、エラー訂正復号処理されたデータを出力する出力端子24とを備える。更に、記録再生装置10は、装置に対して操作信号を入力する操作部25と、各種制御データ等を格納するメモリ26と、全体の動作を制御する制御回路27とを備える。
【0030】
スピンドルモータ12は、スピンドルに光ディスク11が装着されて保持されるディスクテーブルが設けられており、ディスクテーブルに装着されている光ディスク11を回転する。モータ制御回路13は、光ディスクをCLV(Constant Linear Velocity)で回転することができるようにスピンドルモータ12を駆動制御する。具体的に、モータ制御回路13は、水晶発振器からの基準クロックとPLL回路からのクロックとに基づいて光ディスク11の回転速度が線速一定となるようにスピンドルモータ12を駆動制御する。なお、光ディスク11は、CAV(Cnstant Angular Velocity)やCLVとCAVとを組み合わせた制御で回転するようにしてもよい。
【0031】
光ピックアップ1は、所定の波長の光ビームを出射する光学系を有する光ピックアップであり、光ディスクの信号記録面に対して所定の波長の光ビームを出射する半導体レーザ等の光源と、この光源より出射された光ビームを集束する光ディスク11の種類に対応した開口数の対物レンズ、光ディスク11で反射された戻りの光ビームを検出する光検出器等を備える。光ピックアップ1は、光ディスク11に記録されているデータを読み出すとき、半導体レーザの出力を標準レベルに設定し、半導体レーザよりレーザ光である光ビームを出射する。また、光ピックアップ1は、記録データを光ディスク11に記録するとき、半導体レーザの出力を、再生時の標準レベルより高い記録レベルにして、半導体レーザよりレーザ光である光ビームを出射する。光ピックアップ1は、記録再生時、光ディスク11に光ビームを照射し、信号記録面で反射した戻りの光ビームを光検出器で検出し、光電変換する。また、対物レンズは、2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動機構に保持され、フォーカシングサーボ信号に基づいて対物レンズの光軸と平行なフォーカシング方向に駆動変位され、また、トラッキングサーボ信号に基づいて対物レンズの光軸に直交するトラッキング方向に駆動変位される。なお、半導体レーザ、対物レンズ及び光検出器等の光学系の構成については後に詳述する。
【0032】
RFアンプ15は、光ピックアップ1を構成する光検出器からの電気信号に基づいて、RF信号、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する。例えばフォーカシングエラー信号は、非点収差法により生成され、トラッキングエラー信号は、3ビーム法やプッシュプル法により生成される。そして、RFアンプ15は、再生時、RF信号を復調回路22に出力し、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ回路16に出力する。
【0033】
サーボ回路16は、光ディスク11を再生する際のサーボ信号を生成する。具体的に、サーボ回路16は、RFアンプ15から入力されたフォーカシングエラー信号に基づき、このフォーカシングエラー信号が0となるように、フォーカシングサーボ信号を生成し、また、RFアンプ15から入力されたトラッキングエラー信号に基づき、このトラッキングエラー信号が0となるように、トラッキングサーボ信号を生成する。そして、サーボ回路16は、フォーカシングサーボ信号及びトラッキングサーボ信号を光ピックアップ1を構成する対物レンズ駆動機構の駆動回路に出力する。この駆動回路は、フォーカシングサーボ信号に基づき2軸アクチュエータを駆動し、対物レンズを対物レンズの光軸と平行なフォーカシング方向に駆動変位させ、トラッキングサーボ信号に基づき2軸アクチュエータを駆動し、対物レンズの光軸に直交するトラッキング方向に対物レンズを駆動変位させる。
【0034】
サブコード抽出回路17は、RFアンプ15より出力されたRF信号よりサブコードデータを抽出し、抽出したサブコードデータを制御回路27に出力し、制御回路27がアドレスデータ等を特定できるようにする。
【0035】
入力端子18は、パーソナルコンピュータ等のホスト機器のSCSI(Small Computer System Interface)、ATAPI(Advanced Techonology Attachment Packet Interface)、USB(Universal Serial Bus)、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394等のインタフェースに電気的に接続され、ホスト機器よりオーディオデータ、映画データ、コンピュータプログラム、コンピュータで処理された処理データ等の記録データが入力され、入力された記録データをエラー訂正符号化回路19に出力する。
【0036】
エラー訂正符号化回路19は、例えば、クロスインターリーブ・リード・ソロモン符号化(Cross Interleave Reed-solomon Code;CIRC)、リードソロモン積符号化等のエラー訂正符号化処理を行い、エラー訂正符号化処理した記録データを変調回路20に出力する。変調回路20は、8−14変調、8−16変調等の変換テーブルを有しており、入力された8ビットの記録データを14ビット又は16ビットに変換して、記録処理回路21に出力する。記録処理回路21は、変調回路20から入力された記録データに対してNRZ(Non Return to Zoro)、NRZI(Non Return to Zoro Inverted)等の処理や記録補償処理をを行い、光ピックアップ1に出力する。
【0037】
復調回路22は、変調回路20と同様な変換テーブルを有しており、RFアンプ15から入力されたRF信号を14ビット又は16ビットから8ビットに変換し、変換した8ビットの再生データをエラー訂正復号化回路23に出力する。エラー訂正復号化回路23は、復調回路22から入力されたデータに対してエラー訂正復号処理を行い、出力端子24に出力する。出力端子24は、上述したホスト機器のインタフェースに電気的に接続されている。出力端子24より出力された再生データは、ホスト機器に接続されたモニタに表示され、また、スピーカで再生音に変換されて出力される。
【0038】
操作部25は、記録再生装置10を操作するための各種操作信号を生成し、生成した各種操作信号を制御回路27に出力する。具体的に、この操作部25は、記録再生装置10に設けられたイジェクト釦25aの他、ディスクテーブルに装着された光ディスク11に対して記録データの記録を開始する記録釦25bや光ディスク11に記録されているデータの再生を開始する再生釦25cや記録再生動作を停止する停止釦25dを備える。記録釦25b、再生釦25c、停止釦25d等は、必ずしも記録再生装置10にイジェクト釦25aと共に設けられている必要は無く、例えばホスト機器のキーボード、マウス等を操作することにより、ホスト機器よりインタフェースを介して記録開始信号、再生開始信号、停止信号等を制御回路27に入力するようにしてもよい。
【0039】
メモリ26は、例えばEP−ROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)等のメモリであり、制御回路27が行う各種制御データやプログラムが格納されている。具体的に、このメモリ26には、光ピックアップ1をディスクテーブルに装着された光ディスク11の径方向に送り操作する際の駆動源となるスレッドモータ28の光ディスク11の種類に応じた各種制御データが格納されている。
【0040】
制御回路27は、マイクロコンピュータ、CPU等で構成されており操作部25からの操作信号に応じて装置全体の動作を制御する。
【0041】
次に、本発明が適用された上述した光ピックアップ1について説明する。
【0042】
本発明を適用した光ピックアップ1は、図2に示すように、所定の波長の光ビームを出射する半導体レーザ等の光源31と、この光源31から出射された光ビームを光ディスク11の信号記録面に集光させる対物レンズ32と、光ディスク11で反射された戻りの光ビームの光路を光源31から出射された光ビームの光路から分離する光路分離手段としてビームスプリッタ33と、ビームスプリッタ33で光路分離された戻りの光ビームを検出するフォトディテクタ等の光検出器34とを備える。
【0043】
また、この光ピックアップ1は、光源31とビームスプリッタ33との間に配置され、光源31から出射された光ビームの発散角を変換し平行光とするコリメータレンズ35と、ビームスプリッタ33と対物レンズ32との間に配置され、通過する光ビームの偏光状態を変える1/4波長板36と、ビームスプリッタ33と光検出器34との間に配置され、戻り光を光検出器34に収束させるマルチレンズ37とが設けられる。1/4波長板36は、通過する往路光を円偏光に変換し、光ディスク11で反射された戻り光を往路光と異なる偏光方向の直線偏光に変換する。
【0044】
光源31は、所定の波長のレーザ光を出射する半導体レーザが用いられる。対物レンズ32は、入射した光ビームを光ディスク11の信号記録面上に集光させる。この対物レンズ32は、図示しない2軸アクチュエータによって移動自在に支持されている。そして、この対物レンズ32は、光検出器34で検出された光ディスク11からの戻り光のRF信号により生成されたトラッキングエラー信号及びフォーカシングエラー信号に基づいて、2軸アクチュエータにより移動操作されることにより、光ディスク11に近接離間する方向及び光ディスク11の径方向の2軸方向へ移動される。そして、対物レンズ32は、光源31から出射される光ビームが光ディスク11の信号記録面上で常に焦点が合うように、この光ビームを集束するとともに、この集束された光ビームを光ディスク11の信号記録面上に形成された記録トラックに追従させる。
【0045】
ビームスプリッタ33は、光源31から出射された往路側の光ビームを反射させて光軸を90°変化させ、対物レンズ32側に導くとともに、光ディスク11で反射された復路側の光ビームを透過させて往路側の光ビームの光路から分離させて光検出器34側に導くハーフミラー面33aを有する。
【0046】
このハーフミラー面33aは、入射したレーザ光の一部を反射し、残りの一部を透過する。すなわち、光源31から出射される光ビームのP偏光は、略全光量がハーフミラー面33aを透過し、S偏光は、略全光量がハーフミラー面33aで反射するような特性の光学薄膜が形成されている。
【0047】
この光ピックアップ1は、対物レンズ32により集光される光ビームの光軸と光ディスク11の直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段として、チルト調整機構42を備える。
【0048】
この補正手段となるチルト調整機構42は、光ディスク11のトラッキング方向に対して傾斜する方向R1に可動とされた光ピックアップ1を機械的に傾斜させることができる。すなわち、光源31、対物レンズ32、ビームスプリッタ33、光検出器34、コリメータレンズ35、1/4波長板36、マルチレンズ37等の光学部品は、可動部39となる同一部材上に配置され、この可動部39が、チルト調整機構42により光ディスク11に対するR1方向の傾斜角度を変化される。このチルト調整機構42は、可動部39を機械的にR1方向に傾斜させて、光ビームの光軸と光ディスク11の直交方向との傾斜量、すなわちチルトを変化させることにより、光ビームと光ディスクとのチルトに起因するコマ収差を調整することができる。したがって、このチルト調整機構42は、光ビームと光ディスクとのチルトを調整して、光ビームの光軸を光ディスク11の直交方向に一致させることにより、集光する光ビームと光ディスク11の直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正することができる。
【0049】
光ピックアップ1は、制御部27に制御され、光検出器34で検出された戻り光の光量の総和に基づいて、チルト補正量成分を生成するチルト調整機構制御回路43と備える。そして、チルト調整機構42は、チルト調整機構制御回路43で生成されたチルト補正量成分により、集光する光ビームと光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差がゼロとなるように、可動部39をR1方向に回転操作して、光ビームと光ディスクとのチルトがゼロ、すなわち、チルトに起因するコマ収差がゼロとなる位置に移動させる。
【0050】
ここで、本発明を適用した光ピックアップ1を用いた具体的なチルト調整方法の説明に先立ち、記録動作中にチルト、又は、チルトに起因するコマ収差を補正する原理について説明する。
【0051】
光ピックアップにより、例えば、有機色素を使用した光ディスクに対して情報信号を記録するときのピット生成は、光ビームによる加熱によってピットを形成する所望の領域の反射率を変化させることにより、情報信号が記録される。このようなピット生成中の光ディスクで反射された戻り光の光量は、光検出器により、図3に示すような波形となる。
【0052】
図3に示すように、記録処理の開始直後においては、ピットが生成されていないため、この部分は、高い反射率を有しており、L1のようにピークレベル(Peak Level)となる。記録処理を開始してから所定の時間T1が経過したとき、ピットが生成されることによって反射率が低下し、戻り光の光量が一定となる。以下、この戻り光の光量が一定となったときの光量をピットレベル(Pit Level)L2という。したがって、この戻り光の光量が一定となった箇所の光量を示すピットレベルL2を測定することによってピットが生成されている状態を把握することができる。
【0053】
尚、再生時においては、光源の出力が低下されるので、戻り光の光量もピットレベルL2より低下したリードレベル(Read Level)L3となる。
【0054】
この記録処理がなされた光ディスクの再生動作時には、ピットが生成された部分と、ピットが生成されていない部分との戻り光の光量の差が大きい程、読みとり特性は有利となるので、ピットが生成された部分の戻り光の光量は小さい方が望ましい。
【0055】
したがって、記録時におけるピットレベルが低下した状態、すなわち、反射率が十分に下がるように、チルトを制御することによって、記録時のチルト特性を調整することが可能となる。
【0056】
次に、本発明を適用した光ピックアップ1を備える記録再生装置10によるチルト調整方法について具体的に説明する。
【0057】
まず、記録釦25bが押されると、記録開始前に最適パワーを設定するため、記録パワーを設定するための試し書きを行うための領域である光ディスクのキャリブレーション領域(PCA:Power Calibration Area)を使用してパワーキャリブレーション、すなわち、レーザ強度の最適化(OPC:Optical Power Calibration)を行う。
【0058】
このパワーキャリブレーションを行う際に、補正手段であるチルト調整機構42により可動部39をR1方向に傾斜させて、光ビームと光ディスク11とのチルトを変化させながら試し書きを行う。
【0059】
この試し書きを行うと同時に、図4に示すように、チルト補正量を変化させたときの戻り光の光量の総和の変化を光検出器34で検出して、この戻り光の光量のピットレベルを検出し、このピットレベルが最小値Pとなるチルト補正量Tを記録開始時のチルト補正量とする。
【0060】
以上のように、本発明を適用した光ピックアップ1は、光ディスク11の直交方向に対する光ピックアップ1の可動部39の傾きをチルト調整機構42により調整することにより、情報信号の記録時に光ディスクと光ビームとのチルトの調整を可能とし、記録した情報信号の再生特性を最適とすることができるとともに、チルト調整の時間を短縮することができる。
【0061】
尚、上述したチルト調整方法は、記録を行う前のレーザ強度の最適化の段階で、チルトを変化させながら記録を行い、ピットレベルが最小となるチルト量にて記録を行うことでチルト調整を行うように構成したが、これに限られるものではなく、実際の記録エリアにあらかじめテスト記録を行い、この記録エリアで得られたチルト補正量を用いて記録を行うように構成してもよい。
【0062】
実際の記録エリアでチルト調整を行うチルト調整方法では、記録釦25bが押されると、あらかじめ設定された所定のチルトから補正手段であるチルト調整機構42により可動部39をR1方向に傾斜させて、光ビームと光ディスク11とのチルトを変化させながら記録を行う。
【0063】
チルトを変化させながら記録を行うと同時に、図4に示すように、チルト補正量を変化させたときの戻り光の光量の総和の変化を光検出器34で検出するとともに、この戻り光の光量のピットレベルを検出し、このピットレベルが最小値Pとなるチルト補正量Tをこのチルト調整後のチルト補正量とする。
【0064】
以上のように、本発明を適用した光ピックアップ1は、チルト調整機構42が光ピックアップの可動部39の傾斜角度を変化させることにより変化する戻り光の光量を最小となるように、制御部27がチルト調整機構制御回路43を制御してチルト調整機構42によるチルト補正量を変化させる構成により、記録した情報信号の再生特性を記録中に最適となるようにチルト補正量を制御することができるので、記録動作を行いながらチルト調整を短時間で確実に行うことを可能とする。
【0065】
また、チルト調整方法は、実際の記録動作中にピットレベルを光検出部で検出し、ピットレベルを制御することで、リアルタイムのチルト調整の制御を行うように構成してもよい。
【0066】
リアルタイムでチルト調整の制御を行うチルト調整方法では、記録釦25bが押されると、チルトの初期調整として、あらかじめ設定された所定のチルトから補正手段によりチルトを変化させながら記録を行う。すなわち、補正手段であるチルト調整機構42により可動部39をR1方向に傾斜させて、光ビームと光ディスク11とのチルトを変化させながら記録を行う。
【0067】
チルトを変化させながら記録を行うと同時に、図4に示すように、チルト補正量を変化させたときの戻り光の光量の総和の変化を光検出器34で検出するとともに、この戻り光の光量のピットレベルを検出し、このピットレベルが最小値Pとなるチルト補正量Tをこのチルトの初期調整後のチルト補正量とする。
【0068】
また、チルトの初期調整が終了し、記録動作が行われている最中においても、図5に示すように、光検出器34でピットレベルを検出し続け、最小値Pより所定の値だけ大きくなったPときは、チルトを調整して最適なチルトTとなるように制御する。
【0069】
以上のように、本発明を適用した光ピックアップ1は、チルト調整機構42が光ピックアップの可動部39の傾斜角度を変化させることにより変化する戻り光の光量を最小となるように、制御部27がチルト調整機構制御回路43を制御してチルト調整機構42によるチルト補正量を変化させる構成により、記録動作中にリアルタイムにチルト調整の結果を確認することができ、記録動作を行いながらチルト調整後のフィードバックを得て調整することができるので、記録動作中におけるチルトをリアルタイムで調整することを可能とする。
【0070】
次に、この光ピックアップ1における、光源から出射された光ビームの光路について説明する。
【0071】
図2に示すように、光源31から出射された光ビームは、コリメータレンズ35を通って平行光とされ、ビームスプリッタ33のハーフミラー面33aでそのS偏光成分が反射される。このとき、ハーフミラー面33aを透過したP偏光成分は、後の工程には影響を及ぼさない。
【0072】
ハーフミラー面33aで反射された光ビームは、1/4波長板36で円偏光に変換され、対物レンズ32により光ディスク11の信号記録面上に集光される。光ディスク11に集光された光ビームは、光ディスク11で反射され、対物レンズ32を透過して、1/4波長板36でP偏光に変換され、再びビームスプリッタ33に入射する。
【0073】
ビームスプリッタ33に入射した戻りの光ビームは、ハーフミラー面33aを透過する。この戻りの光ビームは、S偏光であるので、略全量ハーフミラー面33aを透過される。このビームスプリッタ33から出射される戻りの光ビームは、その光路が光源31から出射された光ビームの光路から分離され、光検出器34側に向けて射出される。
【0074】
ビームスプリッタ33を透過された戻りの光ビームは、マルチレンズ37により収束されて、光検出器34の受光面上に集光される。
【0075】
本発明を適用した光ピックアップ1は、チルト調整機構が光ピックアップの傾斜角度を変化させることにより変化する戻り光の光量を最小となるように、この制御部27がチルト調整機構42を制御する構成により、記録動作を行いながらチルト調整を短時間で確実に行うことができ、また、記録動作中におけるチルトをリアルタイムで調整することを可能とする。
【0076】
次に、光ディスク11へ記録データを記録するときの記録動作について説明する。
【0077】
操作部25を構成する記録釦25bがユーザにより操作されて入力端子18より記録データが入力されると、この記録データは、エラー訂正符号化回路19で光ディスク11の種類に応じたエラー訂正符号化処理がされ、次いで、変調回路20で光ディスク11の種類に応じた変調処理がされ、次いで、記録処理回路21で記録処理がされた後、光ピックアップ1に入力される。すると、光ピックアップ1は、半導体レーザより所定の波長の光ビームを照射し、光ディスク11の記録層に照射すると共に、光ディスク11の反射層で反射された戻りの光ビームを光検出器34で検出し、これを光電変換しRFアンプ15に出力する。RFアンプ15は、フォーカシングエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号を生成する。サーボ回路16は、RFアンプ15から入力されたフォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいてフォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、これらの信号を光ピックアップ1の対物レンズ駆動機構の駆動回路に出力する。これにより、対物レンズ駆動機構に保持された対物レンズは、フォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号に基づいて、対物レンズの光軸と平行なフォーカシング方向及び対物レンズの光軸に直交するトラッキング方向に駆動変位される。
【0078】
更に、モータ制御回路13は、アドレス用のピットより生成したクロックが水晶発振器からの基準クロックと同期するように回転サーボ信号を生成し、これに基づき、スピンドルモータ12を駆動し、光ディスク11をCLVで回転する。更に、サブコード抽出回路17は、RF信号からピットパターン等からリードインエリアのアドレスデータを抽出し、制御回路27に出力する。光ピックアップ1は、制御回路27の制御に基づいて、記録処理回路21で記録処理されたデータを記録するため、この抽出されたアドレスデータに基づいて所定のアドレスにアクセスし、半導体レーザを記録レベルで駆動し、光ビームを光ディスク11の記録層に照射しデータの記録を行う。光ピックアップ1は、記録データを記録するに従って、順次スレッドモータ28によってステップ送りされ、光ディスク11の内外周に亘って記録データを記録する。
【0079】
次に、光ディスク11に記録されている記録データを再生するときの再生動作について説明する。
【0080】
操作部25を構成する再生釦25cがユーザにより操作されると、光ピックアップ1は、記録動作のときと同様に、半導体レーザより所定の波長の光ビームを光ディスク11の記録層に照射すると共に、光ディスク11の反射層で反射された戻りの光ビームを光検出器で検出し、これを光電変換しRFアンプ15に出力する。RFアンプ15は、フォーカシングエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号を生成する。サーボ回路16は、RFアンプ15から入力されたフォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいてフォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、これらの信号に基づいて対物レンズのフォーカシング制御やトラッキング制御を行う。更に、モータ制御回路13は、同期信号より生成したクロックが水晶発振器からの基準クロックと同期するように回転サーボ信号を生成し、これに基づき、スピンドルモータ12を駆動し、光ディスク11をCLVで回転する。更に、サブコード抽出回路17は、RF信号からサブコードデータを抽出し、抽出したサブコードデータを制御回路27に出力する。光ピックアップ1は、所定のデータを読み出すため、この抽出されたサブコードデータに含まれるアドレスデータに基づいて所定のアドレスにアクセスし、半導体レーザを再生レベルで駆動し、光ビームを光ディスク11の記録層に照射し反射層で反射された戻りの光ビームを検出することによって光ディスク11に記録されている記録データの読み出しを行う。光ピックアップ1は、記録データを読み出すに従って、順次スレッドモータ28によってステップ送りされ、光ディスク11の内外周に亘って記録されている記録データの読み出しを行う。
【0081】
RFアンプ15で生成されたRF信号は、復調回路22で記録時の変調方式に応じて復調処理がされ、次いで、エラー訂正復号化回路21でエラー訂正復号処理がされ、出力端子24より出力される。この後、出力端子24より出力されたデータは、そのままディジタル出力されるか又は例えばD/Aコンバータによりディジタル信号からアナログ信号に変換され、スピーカ、モニタ等に出力される。
【0082】
本発明を適用した記録再生装置10は、光ディスク11の直交方向に対する光ピックアップ1の可動部39の傾きをチルト調整機構42により調整することにより、情報信号の記録時に光ディスクと光ビームとのチルト調整を行うことができ、記録した情報信号の再生特性を最適とすることができるとともに、チルト調整の時間を短縮することができるので、利便性を向上させることを可能とするとともに記録特性及び再生特性を向上させることを可能とする。
【0083】
尚、この記録再生装置10を構成する光ピックアップ1において、対物レンズ32により集光される光ビームの光軸と光ディスク11の直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段として、光源31、対物レンズ32、ビームスプリッタ33、光検出器34、コリメータレンズ35、1/4波長板36、マルチレンズ37等の光学部品が配置された可動部39を光ディスク11に対して傾斜させるチルト調整機構42を備えるように構成したが、対物レンズ等の光学部品を傾斜させるチルト調整機構を補正手段として備えるように構成してもよい。
【0084】
次に、対物レンズを傾斜させるチルト調整機構により、光ビームの光軸と光ディスクとの傾きに起因するコマ収差を補正する光ピックアップ50について説明する。尚、以下の説明において、上述した光ピックアップ1と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0085】
本発明を適用した光ピックアップ50は、図6に示すように、所定の波長の光ビームを出射する半導体レーザ等の光源31と、この光源31から出射された光ビームを光ディスク11の信号記録面に集光させる対物レンズ32と、光ディスク11で反射された戻りの光ビームの光路を光源31から出射された光ビームの光路から分離する光路分離手段としてビームスプリッタ33と、ビームスプリッタ33で光路分離された戻りの光ビームを検出するフォトディテクタ等の光検出器34とを備える。
【0086】
また、この光ピックアップ50は、光源31とビームスプリッタ33との間に配置され、光源31から出射された光ビームを平行光とするコリメータレンズ35と、ビームスプリッタ33と対物レンズ32との間に配置され、通過する光ビームの偏光状態を変える1/4波長板36と、ビームスプリッタ33と光検出器34との間に配置され、戻り光を光検出器34に収束させるマルチレンズ37とが設けられる。
【0087】
この光ピックアップ50は、対物レンズ32により集光される光ビームの光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段として、チルト調整機構52を備える。
【0088】
この補正手段となるチルト調整機構52は、光ディスク11のトラッキング方向に対して傾斜するR2方向に可動とされた対物レンズ32を機械的に傾斜させることができる。すなわち、対物レンズ32は、チルト調整機構52により光ディスク11に対するR2方向の傾斜角度を変化される。このチルト調整機構52は、例えば、対物レンズ32を支持する移動ガイド軸を機械的にR2方向に傾斜させる。チルト調整機構52は、対物レンズ32をR2方向に傾斜させて、光ビームの光軸と光ディスク11の直交方向との傾斜量、すなわちチルトを変化させることにより、光ビームと光ディスクとのチルトに起因するコマ収差を調整することができる。したがって、このチルト調整機構52は、光ビームと光ディスクとのチルトを調整して、光ビームの光軸を光ディスク11の直交方向に一致させることにより、集光する光ビームと光ディスク11の直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する。
【0089】
光ピックアップ50は、制御部27に制御され、光検出器34で検出された戻り光の光量の総和に基づいて、チルト補正量成分を生成するチルト調整機構制御回路53と備える。そして、チルト調整機構52は、チルト調整機構制御回路53で生成されたチルト補正量成分により、集光する光ビームと光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差がゼロとなるように、対物レンズ32をR2方向に回転操作して、光ビームと光ディスクとのチルトがゼロ、すなわち、チルトに起因するコマ収差がゼロとなる位置に移動させる。
【0090】
尚、ここでは、対物レンズ32をトラッキングエラー信号及びフォーカシングエラー信号に基づいて移動操作される図示しない2軸アクチュエータと、光ビームと光ディスクとのチルトを調整するチルト調整機構52とを別個に設けるように構成したが、例えば、3軸アクチュエータ等により一体に形成してもよい。この場合、3軸アクチュエータは、トラッキング方向及びフォーカシング方向に対物レンズを駆動するとともに、光ディスクのトラッキング方向に対して対物レンズを傾斜する方向に駆動するように構成する。
【0091】
本発明を適用した光ピックアップ50によるチルト調整方法については、補正手段としてチルト調整機構52が対物レンズ32をR2方向に傾斜させることを除いて、光ピックアップ1によるチルト調整方法と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0092】
また、光ピックアップ50における、光源から出射された光ビームの光路は、光ピックアップ1のときと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0093】
以上にように、本発明を適用した光ピックアップ50は、光ディスク11に対する対物レンズ32の傾きをチルト調整機構52により調整することにより、情報信号の記録時に光ディスクと光ビームとのチルトの調整を可能とし、記録した情報信号の再生特性を最適とすることができるとともに、チルト調整の時間を短縮することができる。
【0094】
また、光ピックアップ50は、チルト調整機構52が対物レンズ32の傾斜角度を変化させることにより変化する戻り光の光量を最小となるように、制御部27がチルト調整機構52を制御する構成により、記録動作を行いながらチルト調整を短時間で確実に行うことができ、また、記録動作中におけるチルトをリアルタイムで調整することを可能とする。
【0095】
尚、この記録再生装置10において、対物レンズ32により集光される光ビームの光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段として、可動部39又は対物レンズ32を光ディスクに対して傾斜させるチルト調整機構42,52を備えるように構成したが、光ディスクを傾斜するチルト調整機構を備えるように構成してもよい。
【0096】
次に、光ディスクを傾斜させるチルト調整機構により、光ビームの光軸と光ディスクとの傾きに起因するコマ収差を補正する光ピックアップ61を備えた記録再生装置60について説明する。尚、以下の説明において、上述した光ピックアップ1及び記録再生装置10と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0097】
記録再生装置60は、図1に示すように、光ディスク11を保持するとともに回転するスピンドルモータ12と、スピンドルモータ12を制御するモータ制御回路13と、スピンドルモータ12により回転される光ディスク11に光ビームを照射し光ディスク11で反射した戻りの光ビームを検出する光ピックアップ61と、光ピックアップ61から出力された電気信号を増幅するRFアンプ15と、対物レンズのフォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成するサーボ回路16と、サブコードデータを抽出するサブコード抽出回路17とを備える。
【0098】
また、この記録再生装置60は、記録系として、パーソナルコンピュータ等のホスト機器に接続され、記録すべきデータが入力される入力端子18と、入力端子18に入力された記録データに対してエラー訂正符号化処理を施すエラー訂正符号化回路19と、エラー訂正符号化処理が施されたデータを変調する変調回路20と、変調された記録データに対して記録処理を施す記録処理回路21とを備える。
【0099】
更に、記録再生装置60は、再生系として、光ディスク11より読み出した再生データに対して復調する復調回路22と、復調された再生データに対してエラー訂正復号処理を施すエラー訂正復号化回路23と、エラー訂正復号処理されたデータを出力する出力端子24とを備える。更に、記録再生装置10は、装置に対して操作信号を入力する操作部25と、各種制御データ等を格納するメモリ26と、全体の動作を制御する制御回路27とを備える。
【0100】
記録再生装置60の光ピックアップ61は、図7に示すように、所定の波長の光ビームを出射する半導体レーザ等の光源31と、この光源31から出射された光ビームを光ディスク11の信号記録面に集光させる対物レンズ32と、光ディスク11で反射された戻りの光ビームの光路を光源31から出射された光ビームの光路から分離する光路分離手段としてビームスプリッタ33と、ビームスプリッタ33で光路分離された戻りの光ビームを検出するフォトディテクタ等の光検出器34とを備える。
【0101】
また、この光ピックアップ61は、光源31とビームスプリッタ33との間に配置され、光源31から出射された光ビームの発散角を変換し平行光とするコリメータレンズ35と、ビームスプリッタ33と対物レンズ32との間に配置され、通過する光ビームの偏光状態を変える1/4波長板36と、ビームスプリッタ33と光検出器34との間に配置され、戻り光を光検出器34に収束させるマルチレンズ37とが設けられる。1/4波長板36は、通過する往路光を円偏光に変換し、光ディスク11で反射された戻り光を往路光と異なる偏光方向の直線偏光に変換する。
【0102】
記録再生装置60は、対物レンズ32により集光される光ビームの光軸と光ディスク11の直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段として、チルト調整機構62を備える。
【0103】
この補正手段となるチルト調整機構62は、光ピックアップ61の対物レンズ32により集光される光ビームの光軸に対して光ディスク11のトラッキング方向が傾斜する方向R3に可動とされた光ディスク11を保持したスピンドルモータ12を機械的に傾斜させることができる。すなわち、スピンドルモータ12に保持された光ディスク11は、チルト調整機構62により、光ピックアップ61に対してR3方向の傾斜角度を変化される。このチルト調整機構62は、スピンドルモータ12及び光ディスク11を機械的にR3方向に傾斜させて、光ビームの光軸と光ディスク11の直交方向との傾斜量、すなわちチルトを変化させることにより、光ビームと光ディスクとのチルトに起因するコマ収差を調整することができる。したがって、このチルト調整機構62は、光ビームと光ディスク11とのチルトを調整して、光ビームの光軸を光ディスク11の直交方向に一致させることにより、集光する光ビームと光ディスク11の直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する。
【0104】
また、記録再生装置60は、制御部27に制御され、光検出器34で検出された戻り光の光量の総和に基づいて、チルト補正量成分を生成するチルト調整機構制御回路63と備える。そして、チルト調整機構62は、チルト調整機構制御回路63で生成されたチルト補正量成分により、集光する光ビームと光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差がゼロとなるように、スピンドルモータ12及び光ディスク11をR3方向に回転操作して、光ビームと光ディスクとのチルトがゼロ、すなわち、チルトに起因するコマ収差がゼロとなる位置に移動させる。
【0105】
本発明を適用した記録再生装置60によるチルト調整方法については、補正手段としてチルト調整機構62がスピンドルモータ12及び光ディスク11をR3方向に傾斜させることを除いて、光ピックアップ1を有する記録再生装置10によるチルト調整方法と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0106】
また、記録再生装置60の光ピックアップ61における、光源から出射された光ビームの光路は、光ピックアップ1のときと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0107】
また、光ディスク11へ記録データを記録するときの記録動作、及び、記録されている記録データを再生するときの再生動作は、記録再生装置10のときと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0108】
本発明を適用した記録再生装置60は、光ピックアップ61に対する光ディスク11の傾きをチルト調整機構62により調整することにより、情報信号の記録時に光ディスクと光ビームとのチルト調整を行うことができ、記録した情報信号の再生特性を最適とすることができるとともに、チルト調整の時間を短縮することができるので、利便性を向上させることが可能とするとともに記録特性及び再生特性を向上させることを可能とする。
【0109】
また、記録再生装置60は、チルト調整機構62が、光ピックアップ61に対する光ディスク11の傾きを変化させることにより変化する戻り光の光量を最小となるように、制御部27がチルト調整機構62を制御する構成により、記録動作を行いながらチルト調整を短時間で確実に行うことができ、また、記録動作中におけるチルトをリアルタイムで調整することができるので、利便性を向上させるとともに記録特性及び再生特性を向上させることを可能とする。
【0110】
また、記録再生装置10を構成する光ピックアップ1及び光ピックアップ50においては、対物レンズ32により集光される光ビームの光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段として、可動部39又は対物レンズ32を光ディスクに対して傾斜させるチルト調整機構42,52を備えるように構成したが、光ビームの光軸と光ディスクとの傾きに起因するコマ収差を補正する液晶光学素子を補正手段として備えるように構成してもよい。
【0111】
次に、コマ収差を補正する液晶光学素子により、光ビームの光軸と光ディスクとの傾きに起因するコマ収差を補正する光ピックアップ70について説明する。尚、以下の説明において、上述した光ピックアップ1と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0112】
本発明を適用した光ピックアップ70は、図8に示すように、所定の波長の光ビームを出射する半導体レーザ等の光源31と、この光源31から出射された光ビームを光ディスク11の信号記録面に集光させる対物レンズ32と、光ディスク11で反射された戻りの光ビームの光路を光源31から出射された光ビームの光路から分離する光路分離手段としてビームスプリッタ33と、ビームスプリッタ33で光路分離された戻りの光ビームを検出するフォトディテクタ等の光検出器34とを備える。
【0113】
また、この光ピックアップ70は、光源31とビームスプリッタ33との間に配置され、光源から出射された光ビームを平行光とするコリメータレンズ35と、ビームスプリッタ33と対物レンズ32との間に配置され、通過する光ビームの偏光状態を変える1/4波長板36と、ビームスプリッタ33と光検出器34との間に配置され、戻り光を光検出器34に収束させるマルチレンズ37とが設けられる。
【0114】
この光ピックアップ70は、対物レンズ32により集光される光ビームの光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段として、コリメータレンズ35とビームスプリッタ33との間に、コマ収差の補正量を調整可能な液晶光学素子71を備える。
【0115】
この補正手段となる液晶光学素子71は、透明電極が形成された2枚のガラス基板によって液晶分子を挟んで形成されている。また、液晶光学素子71は、所定の電極パターンを有しており、この電極パターンに印加する電圧を制御すると、印加された電圧による電界に従って液晶分子の配向が偏倚され、電極パターンに応じて屈折力を可変することにより、コマ収差の補正量を調整することができる。したがって、この液晶光学素子71は、コマ収差の補正量を調整させることにより、光ビームと光ディスクとの傾きに起因するコマ収差を補正する。
【0116】
光ピックアップ70は、制御部27に制御され、光検出器34で検出された戻り光の光量の総和に基づいて、対物レンズ32により集光される光ビームの光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正するための収差量を生成する収差補正回路73と備える。そして、液晶光学素子71は、収差補正回路73で生成されたコマ収差補正量成分により、集光する光ビームと光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差がゼロとなるように、液晶光学素子71の電極パターンに印加する電圧を制御して屈折力が可変される。
【0117】
尚、光ピックアップ70においては、液晶光学素子71は、コリメータレンズ35とビームスプリッタ33との間に配置されたが、これに限られるものではなく、例えば、ビームスプリッタ33と対物レンズ32との間に配置されてもよい。
【0118】
次に、本発明を適用した光ピックアップ70を備える記録再生装置10によるチルト
に起因するコマ収差の調整方法について具体的に説明する。
【0119】
まず、記録釦25bが押されると、記録開始前に最適パワーを設定するため、記録パワーを設定するための試し書きを行うための領域である光ディスクのキャリブレーション領域(PCA:Power Calibration Area)を使用してパワーキャリブレーション、すなわち、レーザ強度の最適化(OPC:Optical Power Calibration)を行う。
【0120】
このパワーキャリブレーションを行う際に、補正手段である液晶光学素子71の各電極パターンに印可する電圧が制御されて、補正するコマ収差の収差量を変化させながら試し書きを行う。
【0121】
この試し書きを行うと同時に、図4に示すように、液晶光学素子71により補正する収差量、すなわち、コマ収差を補正することにより得られるチルト補正量を変化させたときの戻り光の光量の総和の変化を光検出器34で検出して、この戻り光の光量のピットレベルを検出し、このピットレベルが最小値Pとなるコマ収差補正量Tを記録開始時のコマ収差補正量(チルト補正量)とする。
【0122】
以上のように、本発明を適用した光ピックアップ70は、液晶光学素子71によるコマ収差補正量を調整することにより、情報信号の記録時に光ディスクと光ビームとのチルトに起因するコマ収差の調整を可能とし、記録した情報信号の再生特性を最適とすることができるとともに、チルトに起因するコマ収差を調整するための時間を短縮することができる。
【0123】
尚、上述したチルトに起因するコマ収差の調整方法は、記録を行う前のレーザ強度の最適化の段階で、液晶光学素子71により補正するコマ収差の収差量を変化させながら記録を行い、ピットレベルが最小となるコマ収差補正量(チルト補正量)にて記録を行うことでコマ収差補正量の調整(チルト調整)を行うように構成したが、これに限られるものではなく、実際の記録エリアにあらかじめテスト記録を行い、この記録エリアで得られたコマ収差補正量(チルト補正量)を用いて記録を行うように構成してもよい。
【0124】
実際の記録エリアでチルトに起因するコマ収差の調整方法では、記録釦25bが押されると、補正手段である液晶光学素子71によるコマ収差補正量をあらかじめ設定された所定のコマ収差補正量から変化させながら記録を行う。
【0125】
コマ収差補正量を変化させながら記録を行うと同時に、図4に示すように、コマ収差補正量を変化させたときの戻り光の光量の総和の変化を光検出器34で検出するとともに、この戻り光の光量のピットレベルを検出し、このピットレベルが最小値Pとなるコマ収差補正量Tをこのチルトに起因するコマ収差の調整後のコマ収差補正量(チルト補正量)とする。
【0126】
以上のように、本発明を適用した光ピックアップ70は、液晶光学素子71によるコマ収差補正量を変化させることにより変化する戻り光の光量を最小となるように、制御部27が収差補正回路73を制御して液晶光学素子71のコマ収差補正量を変化させる構成により、記録した情報信号の再生特性を記録中に最適となるようにコマ収差補正量を制御することができるので、記録動作を行いながらチルトに起因するコマ収差の調整を短時間で確実に行うことを可能とする。
【0127】
また、チルトに起因するコマ収差の調整方法は、実際の記録動作中にピットレベルを光検出部で検出し、ピットレベルを制御することで、リアルタイムのチルトに起因するコマ収差の調整の制御を行うように構成してもよい。
【0128】
リアルタイムでチルトに起因するコマ収差の調整の制御を行うコマ収差の調整方法では、記録釦25bが押されると、補正手段である液晶光学素子71をあらかじめ設定された所定のコマ収差補正量から変化させながら記録を行う。
【0129】
コマ収差補正量を変化させながら記録を行うと同時に、図4に示すように、コマ収差補正量を変化させたときの戻り光の光量の総和の変化を光検出器34で検出するとともに、この戻り光の光量のピットレベルを検出し、このピットレベルが最小値Pとなるコマ収差補正量Tをこのチルトに起因するコマ収差の初期調整後のコマ収差補正量とする。
【0130】
また、コマ収差の初期調整が終了し、記録動作が行われている最中においても、図5に示すように、光検出器34でピットレベルを検出し続け、最小値Pより所定の値が大きくなったPときは、コマ収差補正量を調整して最適なコマ収差補正量(チルト補正量)Tとなるように制御する。
【0131】
以上のように、本発明を適用した光ピックアップ70は、液晶光学素子71がコマ収差補正量を変化させることにより変化する戻り光の光量を最小となるように、制御部27が
収差補正回路73を制御して液晶光学素子71のコマ収差補正量を変化させる構成により、記録動作中にリアルタイムにチルト調整の結果を確認することができ、記録動作を行いながらチルト調整後のフィードバックを得て調整することができるので、記録動作中におけるチルトに起因するコマ収差をリアルタイムで調整することを可能とする。
【0132】
本発明を適用した光ピックアップ70において、光源31から出射された光ビームの光路は、コリメータレンズ35により平行光とされた光ビームが液晶光学素子71によりコマ収差を補正されてビームスプリッタ33に入射することを除き、光ピックアップ1のときと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0133】
以上に説明した光ピックアップ70は、集光される光ビームの光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を液晶光学素子71により調整することにより、情報信号の記録時に光ディスクと光ビームとのチルトに起因するコマ収差の調整を可能とし、記録した情報信号の再生特性を最適とすることができるとともに、コマ収差、すなわち、チルト調整の時間を短縮することができる。
【0134】
また、光ピックアップ70は、液晶光学素子71によるコマ収差補正量を変化させることにより変化する戻り光の光量を最小となるように、制御部27が液晶光学素子71を制御する構成により、記録動作を行いながらチルト調整を短時間で確実に行うことができ、また、記録動作中におけるチルトをリアルタイムで調整することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明を適用した記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した光ピックアップの光学系の構成を示す図である。
【図3】光ピックアップを用いた記録動作中に、チルトを補正する原理を説明するための戻り光の光量の波形と、光源の出力との波形を説明する図である。
【図4】本発明を適用した光ピックアップのチルト補正におけるチルト補正量と、戻り光の光量を示すピットレベルとの関係を説明する図である。
【図5】本発明を適用した光ピックアップのリアルタイムのチルト調整の制御を行うようにしたときの、チルト補正量と、戻り光の光量を示すピットレベルとの関係を説明する図である。
【図6】本発明を適用した光ピックアップの他の光学系の構成を示す図である。
【図7】本発明を適用した記録再生装置の他の例の光ピックアップの光学系の構成を示す図である。
【図8】チルトに起因するコマ収差を補正する液晶光学素子を有する光ピックアップの光学系の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0136】
1 ピックアップ、 10 記録再生装置、11 光ディスク、 12 スピンドルモータ、 31 光源、 32 対物レンズ、 33 ビームスプリッタ、 34 光検出器、 35 コリメータレンズ、 36 1/4波長板、 37 マルチレンズ、 39 可動部、 42 チルト調整機構、43 チルト調整機構制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長の光ビームを出射する光源と、
上記光源から出射された光ビームを光ディスク上に集光する対物レンズと、
上記対物レンズにより集光される光ビームの光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段と、
上記光ディスクで反射された戻り光を検出する光検出器と、
上記光検出器で検出された戻り光の光量により、上記補正手段を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、上記光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように上記補正手段を制御する光ピックアップ。
【請求項2】
上記光源、上記対物レンズ及び上記光検出器は、光ディスクの直交方向に対して傾斜する方向に可動自在とされた可動部に配置され、
上記補正手段は、上記可動部を光ディスクの直交方向に対して傾斜させることにより、上記対物レンズにより集光される光ビームの光軸を光ディスクの直交方向に一致させることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
【請求項3】
上記補正手段は、光ディスクの直交方向に対する上記可動部の傾斜角度を調整可能とし、
上記制御部は、上記補正手段が上記可動部の傾斜角度を変化させることにより変化する上記光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように上記補正手段を制御することを特徴とする請求項2記載の光ピックアップ。
【請求項4】
上記補正手段は、上記対物レンズを光ディスクの直交方向に対して傾斜させることにより、上記対物レンズにより集光される光ビームの光軸を光ディスクの直交方向に一致させることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
【請求項5】
上記補正手段は、光ディスクの直交方向に対する上記対物レンズの傾斜角度を調整可能とし、
上記制御部は、上記補正手段が上記対物レンズの傾斜角度を変化させることにより変化する上記光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように上記補正手段を制御することを特徴とする請求項4記載の光ピックアップ。
【請求項6】
上記補正手段は、上記光源と上記対物レンズとの間に配置され、屈折力を可変することにより、上記光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する液晶光学素子であることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
【請求項7】
上記補正手段は、上記光軸と光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差の補正量を調整可能とし、
上記制御部は、上記補正手段が上記コマ収差の補正量を変化させることにより変化する上記光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように上記補正手段を制御することを特徴とする請求項6記載の光ピックアップ。
【請求項8】
光ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップと、上記光ディスクを保持するとともに回転するディスク回転駆動手段とを備える記録及び/又は再生装置において、
上記光ピックアップは、所定の波長の光ビームを出射する光源と、
上記光源から出射された光ビームを上記光ディスク上に集光する対物レンズと、
上記対物レンズにより集光される光ビームの光軸と上記光ディスクの直交方向との傾きに起因するコマ収差を補正する補正手段と、
上記光ディスクで反射された戻り光を検出する光検出器と、
上記光検出器で検出された戻り光の光量により、上記補正手段を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、上記光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように上記補正手段を制御することを特徴とする記録及び/又は再生装置。
【請求項9】
上記補正手段は、上記回転駆動手段により保持される光ディスクを上記対物レンズにより集光される光ビームの光軸に対して傾斜させることにより、上記対物レンズにより集光される光ビームの光軸を光ディスクの直交方向に一致させることを特徴とする請求項8記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項10】
上記補正手段は、上記対物レンズにより集光される光ビームの光軸に対する上記回転駆動手段により保持される光ディスクの傾斜角度を調整可能とし、
上記制御部は、上記補正手段が上記回転駆動手段により保持される光ディスクの傾斜角度を変化させることにより変化する上記光検出器で検出される戻り光の光量が最小となるように上記補正手段を制御することを特徴とする請求項9記載の記録及び/又は再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−48831(P2006−48831A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228622(P2004−228622)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】