説明

光ピックアップ装置およびドライブ装置

【課題】 球面収差を補正するカップリングレンズ7を短時間で最適位置に移動させることができ、2つの対物レンズを光ディスクのトラック方向に配列することができ、2層光ディスクのうちの一方の層の信号を検出する場合に、他方側の層からの迷光がノイズとなることを防止することができる光ピックアップ装置およびドライブ装置を提供する。
【解決手段】偏光ホログラムに、光検出器に照射して球面収差を検出するための電気信号を生成する光ビームを導く領域と、光検出器に照射してトラックエラー信号のオフセットを補正する電気信号を生成する光ビームを導く領域とを形成し、トラックエラー信号部を避けてトラックエラー信号のオフセット補正用信号を得る領域30c,30d,40cおよび40dが設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムに球面収差を検出する信号、トラックエラー信号のオフセットを補正する信号およびフォーカスサーボ信号を生成するための領域を設けた光ピックアップ装置および当該光ピックアップ装置を備えたドライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
BD(Blu-ray disc)用光ピックアップにおいては、カップリングレンズを動かして球面収差を補正する。カップリングレンズは、光ディスクの信号記録面からの信号に基づいて動かされる。カップリング移動後の信号記録面からの信号を確認して、必要であれば再びカップリングレンズは動かされる。このように、カップリングレンズの移動と信号記録面からの信号の確認とを繰り返すことによって、カップリングレンズの最適位置が求められる。
【0003】
BD,DVD(Digital versatile disc)およびCD(Compact disc)の記録および再生を行う光ピックアップにおいては、それぞれ青レーザ、赤レーザおよび赤外レーザの3種類のレーザ光が使用される。1つの対物レンズで3種類のレーザ光を集光すると、ディスクから対物レンズまでの距離が短くなりすぎ、あるいは光の損失が大きくなるという問題が発生するので、BDに用いられる対物レンズとDVDおよびCDに用いられる対物レンズとの2種類の対物レンズが使用される。
【0004】
該2種類の対物レンズは、ディスクのトラック方向に配列されるものと、トラック方向と直交する半径方向に配列されるものとがある。スリムドライブ方式の場合には半径方向のサイズ的な制約が大きいために、対物レンズはトラック方向に配列される方式が主流になっている。
【0005】
図9は従来のドライブ装置51の構成を模式的に示す図であり、図10は従来の光ピックアップ装置52の構成を示す平面図である。2つの対物レンズ60a,60bは、記録媒体である光ディスク62のトラック方向に配設される。対物レンズ60a,60bが搭載される光ピックアップ装置52は、光ディスク62の半径方向に摺動するので、光ディスク62のトラック方向に配設される2つの対物レンズ60a,60bは光ディスク62の半径方向に移動する。2つの対物レンズ60a,60bのうちの一方の対物レンズ60aは光ディスク62の中心を通る直線上を光ディスク62の半径方向に移動するとともに、他方側の対物レンズ60bは、光ディスク62の中心を通らず、光ディスク62の中心66を通る直線と平行な直線上を移動する。
【0006】
集積化ユニット53は、半導体レーザ54、光検出器55、偏光ホログラム56を含む。偏光ホログラム56は、偏光方向によって光を透過させ、または光を回折させる作用を選択的に行う素子であり往路光と復路光とを分岐する役割も兼ねている。半導体レーザ54から出射された光はカップリングレンズ57によって概並行光とされる。概並行光とされた光は、45度ミラー58で光ディスク62の情報記録面と直交する方向に曲げられた後に、対物レンズ60a、60bによって光ディスク62の情報記録面に集光される。
【0007】
ホルダー61に固定される対物レンズ60a,60bは、2層光ディスク62の第1の情報記録層62bの目標トラックまたは第2の情報記録層62cの目標トラックに光を集光するために、光検出器55で検出されたフォーカス誤差信号によって光ディスク62の情報記録面と直交する方向に駆動され、トラック誤差信号によって、光ディスク62のトラック方向と直交する方向に駆動される。
【0008】
半導体レーザ54から出射された直線偏光は、1/4波長板63によって偏光方向が直線偏光から円偏光に変換された後に、2層光ディスクの光透過層62aを透過して第1の情報記録層62bに集光される。この直線偏光は、1/4波長板63によって、直線偏光に変換される。第1の情報記録面62bからの反射光は、半導体レーザ54から出射される直線偏光の方向ではなく半導体レーザ54から出射される直線偏光の方向と直交する方向の直線偏光であるので、偏光方向の違いによって偏光ホログラム56で回折され、光検出器55に落射する。
【0009】
特許文献1は、光ピックアップ装置において、球面収差装置を備えた光ピックアップ装置を提案する。光磁気ディスクから反射され集光光学系を通過しホログラムの各領域に入射した光ビームは、回折されてそれぞれ光検出器の各受光部に導かれる。光検出器は、いずれも受光した光を電気信号に変換し、光検出器で得られた電気信号を用いて集光光学系における対物レンズおよびソリッド・イマージョンレンズの移動調整が行われる。
【0010】
特許文献2は、多層光ディスクの記録再生において、記録外層からの反射光の影響をなくして球面収差の補正をすることを提案する。補助受光領域の長さを主受光領域の長さよりも短くすることによって、記録外層からの反射光が、補助受光領域のみに照射されることを防ぎ、記録外層からの反射光のノイズをなくする。特許文献3には、任意の規格の記録媒体から情報を再生する際に、記録媒体の規格に拘わりなく再生信号を得るための光ディスク装置が提案されている。
【0011】
【特許文献1】特開2000−171346号公報
【特許文献2】特開2006−139872号公報
【特許文献3】特開2007−80466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
BD用光ピックアップで、球面収差を検出する信号がないピックアップにおいては、信号記録面からの信号を比較することを繰り返してカップリングレンズを移動して球面収差を補正するので、球面収差の補正に長い時間を要する。
【0013】
2つの対物レンズがディスクのトラック方向に配列される場合に、一方の対物レンズをディスクの中心を通る直線上に配置すると、他方の対物レンズはディスクの中心を通らずディスクの中心を通る直線と平行な直線上を移動するので、他方側の対物レンズは、ディスクの内周と外周とではトラックの角度の差が大きくなる。トラックに対して高い精度で前記3種類のレーザ光の角度を合わせる必要がある3ビームDPP(Differential push-
pull)法においてトラックエラー信号の検出ができない。
【0014】
BDの2層ディスクのうちの一方の層の信号を検出する場合に、他方側の層からの迷光がフォーカスエラー信号、トラックエラー信号および球面収差検出信号等に対してノイズとなる。
【0015】
特許文献1〜3は、トラックエラー信号のオフセット補正、および、記録媒体の集光層とは異なる層からの迷光を避けた、ホログラムパターン、受光素子の受光パターンとする構成については提案していない。
【0016】
本発明の目的は、球面収差を補正するカップリングレンズを短時間で最適位置に移動させることができ、2つの対物レンズをディスクのトラック方向に配列することができ、2層ディスクのうちの一方の層の信号を検出する場合に、他方側の層からの迷光がノイズとなることを防止することができる光ピックアップ装置およびドライブ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、記録媒体によって反射された後、光ビームを受光して電気信号を生成する光検出器と、前記光ビームを前記光検出器へ導くホログラムとを備える光ピックアップ装置において、
前記ホログラムには、入射した前記光ビームから前記光検出器が受光して球面収差を検出するための光ビームを取り出すための第1の領域と、入射した前記光ビームから前記光検出器が受光してトラックエラー信号のオフセットを補正するための光ビームを取り出すための第2の領域とが形成されることを特徴とする光ピックアップ装置である。
また本発明は、前記光ピックアップ装置を備えたドライブ装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ホログラムには、入射した光ビームから光検出器が受光して球面収差を検出するための光ビームを取り出すための第1の領域と、入射した光ビームから光検出器が受光してトラックエラー信号のオフセットを補正するための光ビームを取り出すための第2の領域とが形成され、第1の領域を使用して、球面収差信号を作成し、この球面収差信号を見て、球面収差を補正するので、カップリングレンズを短時間で最適位置に移動させることができ、トラックエラー信号のオフセットを補正する電気信号を使用して1ビームのDPP信号を作成することによって、2つの対物レンズをトラック方向に配置することができ、2層ディスクのうちの一方の層の信号を検出する場合に、他方側の層からの反射光がノイズとなることを防止することができる。
【0019】
また本発明によれば、前記光ピックアップ装置を備えているので、球面収差を補正するカップリングレンズを短時間で最適位置に移動させることができ、2つの対物レンズをディスクのトラック方向に配列することができ、2層ディスクのうちの一方の層の信号を検出する場合に、他方側の層からの反射光がノイズとならないドライブ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の実施の第1の形態である受光素子の受光パターンを説明する図である。偏光ホログラム20は、トラック方向と直交し光ビームの光軸を通る直線(以下分割線という)と光ビームの光軸を中心とする第1の円と第1の円より大きい半径を有する第2の円とによって囲まれる領域20aと、分割線を基準として領域20aと同じ側にあり分割線と第1の円とによって囲まれる領域20bと、分割線を基準として領域20aおよび20bとは他方側にある分割線と平行な直線と第2の円とによって囲まれる領域をトラック方向に2等分に分割した領域20cおよび20dの各領域を有する。ここで第2の円は偏向ホログラム上を通過する、光の外周である。第1の領域は、領域20aと領域20bとから成り、第2の領域は、領域20cと領域20dとから成る。
【0021】
領域20a〜20cおよび20dの各領域に入射した反射光は、それぞれ異なる方向に回折される。偏光ホログラム20で回折された光は、光検出器の受光部で受光される。偏光ホログラムの領域20aで回折された光は、受光部21eと21fの境界付近に落射する。偏光ホログラムの20bの領域で回折された光は、受光部21gと21hの境界付近に落射する。偏光ホログラムの20cの領域で回折された光は、受光部21iに落射する。偏光ホログラムの20dの領域で回折された光は、受光部21jに落射する。
【0022】
受光素子21a〜21jの各受光素子が受光する受光量に基づいた出力信号をS1a〜S1jとするとフォーカスエラー信号FESは(S1e−S1f)+(S1g−S1h)、トラックエラー信号TESは(S1a+S1d)−(S1b+S1c)−k(S1j−S1i),球面収差誤差信号SASは、(S1e+S1f)−α(S1g+S1h)の演算を行うことで求められる。ここでαは係数である。再生信号であるRF信号はS1a+S1b+S1c+S1dの演算を行うことによって求められる。
【0023】
球面収差補正は、カップリングレンズをレーザ光の進行方向に移動させることにより行なわれるが、球面収差補正は球面収差信号を確認した後に行うことによって、球面収差補正に要する時間を短縮することができる。
【0024】
図2は、半導体レーザ46および光検出器47の周辺の構成を示す図である。往路の光と復路の光とは偏向ビームスプリッタ45で分離され、光検出器47に導かれる。
【0025】
図3は、本発明の実施の第2の形態である受光素子の受光パターンを説明する図である。本実施形態においては、球面収差を検出する信号を生成するための光を分離する偏光ホログラムに、トラックエラー信号のオフセットを補正する信号を生成するための光を分離する領域を設けている。偏光ホログラム30は、分割線と光ビームの光軸を中心とする第1の円と光ビームの光軸を中心とし第1の円より大きい半径を有する第2の円とによって囲まれる領域30aと、分割線を基準として領域30aとは他方側にある分割線と第1の円とによって囲まれる領域30bと、領域30bの外側に設けられる分割線と平行な直線と第2の円とによって囲まれる領域をトラック方向に2等分に分割した領域30cおよび30dを有する。第1の領域は、領域30aと領域30bとから成り、第2の領域は、領域30cと領域30dとから成る。
【0026】
領域30a〜30dの各領域に入射した反射光は、それぞれ異なる方向に回折され、回折された光は、光検出器の受光部31にて受光される。偏光ホログラムの30aの領域で回折された光は、受光部31eと31fの境界付近に集光する。偏光ホログラムの30bの領域で回折された光は、受光部31gと31hの境界付近に集光する。偏光ホログラムの30cの領域で回折された光は、受光部31iに落射する。偏光ホログラムの30dの領域で回折された光は、受光部31jに落射する。偏光ホログラムで回折されない0次光は、受光部31a〜31dに落射する。
【0027】
各受光部31a〜31jの受光量に基づいた出力信号をS3a〜S3jとすると、フォーカスエラー信号FESは(S3e−S3f)−(S3g−S3h)、トラックエラー信号TESは(S3a+S3d)−(S3b+S3c)−k(S3j−S3i)である。
【0028】
トラックエラー信号は(S3a+S3d)−(S3b+S3c)で求めることができるが、偏芯による対物レンズの移動に伴うオフセット補正のために、偏光ホログラムで分離した(S3j−S3i)の信号を使用する。ここでkは係数である。球面収差誤差信号SASは、(S3e+S3f)−α(S3g+S3h)の演算を行うことで求めることができる。ここでαは係数である。RF信号(再生信号)はS3a+S3b+S3c+S3dの演算を行うことで求めることができる。
【0029】
領域30aおよび領域30bの光を使用して、球面収差量を検出するための信号を生成するとともに、ナイフエッジ方式でフォーカス信号を得ることもできる。
【0030】
領域30aおよび領域30bを分割線を基準として、領域30aを一方に配置し領域30bを他方側に配置することによって、偏光ホログラムがトラック方向と垂直な方向に変位した場合にフォーカス信号のオフセットをキャンセルすることができる。フォーカス信号、球面収差補正、トラックエラー信号、トラックエラー信号のオフセットを補正する信号を1ビームで作成することができる。1ビーム法は、3ビーム法と比較して、トラックの角度変動に対しての特性変動が少ない。この為、ピックアップがディスクの内周、外周を移動する場合、3ビーム法の場合は、ディスクの回転中心を通る線上の位置を対物レンズが移動するよう配置する必要があるが、1ビームの場合は、ディスクの回転中心を通る線から平行な線上の位置を移動するよう配置でき、2つの対物レンズをトラック方向に配置することができる。
【0031】
図4は、本発明の実施の第3の形態である受光素子の受光パターンを説明する図である。偏光ホログラム40は、分割線と光ビームの光軸を中心とする第1の円と光ビームの光軸を中心とし第1の円より大きい半径を有する第2の円とによって囲まれる領域40aと、分割線を基準として領域40aと同じ側にあり分割線と第1の円とによって囲まれる領域40bとを有する。分割線に対して領域40aおよび領域40bとは他方側にある半円は、トラック方向に平行な直線によって2等分に分割され、分割された各領域から偏光ホログラムのボールパターン部が除かれた後の領域40cおよび領域40dが形成される。第1の領域は、領域40aと領域40bとから成り、第2の領域は、領域40cと領域40dとから成る。ボールパターン部については図5および図6において説明する。
【0032】
図4に示す偏光ホログラム40は40a〜40dに領域が分割されており、光ディスクからの反射光をそれぞれ異なる方向に回折させる。偏光ホログラム40で回折された光は、光検出器47の受光部において受光される。偏光ホログラムの領域40aで回折された光は、受光部41eと41fの境界付近に集光させる。偏光ホログラムの領域40bで回折された光は、受光部41gと41hの境界付近に集光させる。偏光ホログラムの領域40cで回折された光は、受光部41iに落射する。偏光ホログラムの領域40dで回折された光は、受光部41jに落射する。
【0033】
偏光ホログラムで回折されない0次光は、受光部41a〜41dに落射する。受光部41a〜41jでの受光量に基づいた出力信号をS4a〜S4jとするとフォーカスエラー信号FESは(S4e−S4f)−(S4h−S4g)、トラックエラー信号TESは(S4a+S4d)−(S4b+S4c)−k(S4j−S4i)である。ここでkは係数である。
【0034】
トラックエラー信号は(S4a+S4d)−(S4b+S4c)で求めることができるが、偏芯による対物レンズ10a,10bの移動に伴うオフセット補正のために、偏光ホログラムで分離した(S4j−S4i)の信号を使用する。球面収差誤差信号SASは、(S4e+S4f)−α(S4g+S4h)の演算を行うことで求めることができる。ここでαは係数である。RF信号(再生信号)はS4a+S4b+S4c+S4dと、ビーム全体においての演算を行うことで求めることができる。
【0035】
本実施の形態においては、トラックエラー信号のオフセットを補正する信号の領域である領域40cおよび40dを広くすることができる。フォーカスサーボ信号は領域40aおよび領域40bの光を使用して得られるが、領域40aおよび領域40bは、分割線に対して同じ側にあるので、偏光ホログラムがトラック方向と垂直な方向に変位する場合のオフセットはキャンセルすることができない。
【0036】
図5および図6は、偏光ホログラムのトラックエラー信号部を示す図である。図5は、第2の実施形態において使用される偏光ホログラムを示し、図6は、第3の実施形態において使用される偏光ホログラムを示す。30x,30y,40xおよび40yは、偏向ホログラム上を通過する反射光で、トラックの位置により明暗が変る部分であり、この部分の光により、トラックエラー信号は作成される。第2の実施形態において使用される偏光ホログラムおよび第3の実施形態において使用される偏光ホログラムはともにトラックエラー信号部を避けてトラックエラー信号のオフセット補正用信号を得る領域30c,30d,40cおよび40dが設定される。トラックエラー信号のオフセット補正用信号を得る領域にトラックエラー信号が現れないので、トラックエラー信号が演算によって小さくなることを防止することができる。
【0037】
図7および図8は、記録媒体の集光層とは異なる層からの迷光を避けた受光パターンの説明する図である。集光層とは異なる層からの迷光は、図7に示す、迷光が集光する領域である迷光エリア30zおよび図8に示す迷光エリア40zに集光する。迷光エリア30zおよび40zは、共に偏光ホログラムに入射する光ビームの光軸を中心とする円である。フォーカスエラー信号と、球面収差信号用の領域30a,30b,40a,40bおよびトラックエラー信号のオフセット補正信号の領域30c,30d,40c,40dは、迷光エリア30zおよび40zを含まないので、集光層とは異なる層からの迷光が、フォーカスエラー信号と球面収差信号用との領域30a,30b,40a,40bおよびトラックエラー信号のオフセット補正信号の領域30c,30d,40c,40dに入射することを防ぐことができる。図7に示す第1の領域は、領域30aと領域30bとから成り、第2の領域は、領域30cと領域30dとから成る。図8に示す第1の領域は、領域40aと領域40bとから成り、第2の領域は、領域40cと領域40dとから成る。これによって、光ディスクの集光層とは異なる層からの迷光がフォーカスエラー信号、トラックエラー信号および球面収差検出信号などに対してノイズとなることを防止することができる。
【0038】
このように、偏光ホログラムには、入射した光ビームから光検出器が受光して球面収差を検出するための光ビームを取り出すための第1の領域と、入射した光ビームから光検出器が受光してトラックエラー信号のオフセットを補正するための光ビームを取り出すための第2の領域とが形成されるので、球面収差を補正するカップリングレンズを短時間で最適位置に移動させることができ、トラックエラー信号のオフセットを補正する電気信号を使用して1ビームのDPP信号を作成することによって、2つの対物レンズをトラック方向に配置することができる。
【0039】
さらに、球面収差を検出するための電気信号を生成する光検出器に光ビームを導く偏光ホログラムに形成される偏光ホログラムのパターンは、分割線と光ビームの光軸を中心とする第1の円と光ビームの光軸を中心とし第1の円より大きい半径を有する第2の円とによって囲まれる領域30aと、分割線を基準として領域30aとは他方側にある分割線と第1の円とによって囲まれる領域30bを有するので、偏光ホログラム6がトラック方向と垂直な方向に変位した場合にオフセットをキャンセルすることができる。
【0040】
さらに、球面収差を検出するための電気信号を生成する光検出器に光ビームを導く偏光ホログラム40は、分割線と光ビームの光軸を中心とする第1の円と光ビームの光軸を中心とし第1の円より大きい半径を有する第2の円とによって囲まれる領域40aと、分割線を基準として領域40aと同じ側にあり分割線と第1の円とによって囲まれる領域40bとを有するので、トラックエラー信号のオフセットを補正する信号の領域である領域40cおよび40dを広くすることができる。
【0041】
さらに、光検出器31,41に照射してトラックエラー信号のオフセットを補正する電気信号を生成する光ビームを導く領域は、トラックエラー信号部を含まないので、トラックエラー信号が演算によって小さくなることを防止することができる。
【0042】
さらに、光検出器に照射して、フォーカスエラー信号と、球面収差信号用の領域30a,30b,40a,40bおよびトラックエラー信号のオフセット補正信号の領域30c,30d,40c,40dは、光ディスクの集光層とは異なる層からの迷光が集光する迷光エリア30z,40zを含まないので、光ディスクの集光層とは異なる層からの迷光がフォーカスエラー信号、トラックエラー信号および球面収差検出信号などに対してノイズとなることを防止することができる。
【0043】
さらに、1ビームのDPP信号を作成することができるので、2つの対物レンズのうちの1つは、光ディスクの回転中心を含む半径方向の直線上を移動し、残余の対物レンズは前記直線と平行であって光ディスクの回転中心を含まない直線上を移動することができる。
【0044】
上記のために、2つの対物レンズを光ディスクのトラック方向に配置することができる。
さらに、光ピックアップ装置52を備えたドライブ装置51を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の第1の形態である受光素子の受光パターンを説明する図である。
【図2】半導体レーザ46および光検出器47の周辺の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の第2の形態である受光素子の受光パターンを説明する図である。
【図4】本発明の実施の第3の形態である受光素子の受光パターンを説明する図である。
【図5】偏光ホログラムのトラックエラー信号部を示す図である。
【図6】偏光ホログラムのトラックエラー信号部を示す図である。
【図7】記録媒体の集光層とは異なる層からの迷光を避けた受光パターンの説明する図である。
【図8】記録媒体の集光層とは異なる層からの迷光を避けた受光パターンの説明する図である。
【図9】従来のドライブ装置51の構成を模式的に示す図である。
【図10】従来のピックアップ装置52の平面図である。
【符号の説明】
【0046】
20,30,40,56 偏光ホログラム
20a〜20d,30a〜30d,40a〜40d 偏光ホログラムのパターン
21,31,41,47,55 光検出器
21a〜21f,31a〜31j,41a〜41j 光検出器の受光部
30x,30y,40x,40y トラックエラー信号部
30z,40z 迷光エリア
45 偏向ビームスプリッタ
46,54 半導体レーザ
51 ドライブ装置
52 光ピックアップ装置
53 集積化ユニット
57 カップリングレンズ
58 45度ミラー
59 スピンドルモータ
60a,60b 対物レンズ
62 光ディスク
62a 2層光ディスクの光透過層
62b 第1の情報記録層
62c 第2の情報記録層
63 1/4波長板
65 ガラス基板
67 アクチュエータ
68 開口絞り
69 球面収差補正ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体によって反射された光ビームを受光して電気信号を生成する光検出器と、前記光ビームを前記光検出器へ導くホログラムとを備える光ピックアップ装置において、
前記ホログラムには、入射した前記光ビームから前記光検出器が受光して球面収差を検出するための光ビームを取り出すための第1の領域と、入射した前記光ビームから前記光検出器が受光してトラックエラー信号のオフセットを補正するための光ビームを取り出すための第2の領域とが形成されることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記光ビームの光軸と直交し、かつ記録媒体のトラック方向に垂直な直線と、前記光軸を中心とする第1の円と、前記光軸を中心とし前記第1の円よりも大きい半径を有する第2の円とによって囲まれる領域と、
前記直線を基準にして前記の領域の他方側に形成される前記直線と前記第1の円とによって囲まれる領域を第1の領域とすることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記光ビームの光軸と直交し、かつ記録媒体のトラック方向に垂直な直線と、前記光軸を中心とする第1の円と、前記光軸を中心とし前記第1の円よりも大きい半径を有する第2の円とによって囲まれる領域と、
前記直線を基準にして前記の領域と同じの側に形成される前記直線と前記第1の円とによって囲まれる領域を第1の領域とすることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記第2の領域は、前記光検出器に照射してトラックエラー信号を生成する光ビームを導く領域を含まないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記第1の領域は、記録媒体の集光層とは異なる層からの迷光が集光する領域を含まないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
前記迷光が集光する領域は、前記光ビームの光軸を含んだ前記ホログラムの中心部に形成されることを特徴とする請求項5に記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
前記光ピックアップ装置は対物レンズを少なくとも2つ備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
前記対物レンズは、前記記録媒体のトラック方向に配列されることを特徴とする請求項7に記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
前記対物レンズのうちの1つは、前記記録媒体の回転中心を含む半径方向の直線上を移動し、残余の対物レンズは前記直線と平行であって前記記録媒体の回転中心を含まない直線上を移動することを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置を備えたドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−97656(P2010−97656A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267984(P2008−267984)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】