説明

光ファイバの特性評価方法および光ファイバ心線の対照方法

【課題】任意の光ファイバにおいて特定の波長で実効的な単一モード条件が満たされていることを確認する方法を提供することにある。
【解決手段】対象となる光ファイバ23の一方の端部23aに、波長λaの光パルスを出射し、後方散乱光を測定する光パルス試験器21を配置すると共に、光ファイバ23と光パルス試験器21との間に、波長λaの伝搬モードLP01を高次モードLP11に変換するモード変換器24を配置して、光ファイバ23中のLP11の損失α11を測定し、光ファイバ23の一方の端部23aに光パルス試験器21を接続して配置して、光ファイバ23中のLP01の損失α01を測定し、LP11の損失α11と前記LP01の損失α01の損失比k=α11−α01(dB)を演算し、前記損失比kが設定した閾値Q(dB)の値以上であるとき前記光ファイバが単一モード伝送であると判定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの特性評価方法および心線対照方法に関し、詳細には、光ファイバ通信網を構築する各種の光ファイバが、ある特定波長の光に対して単一モード伝送することが可能かどうかを判定する、もしくは各種の光ファイバの実効遮断波長を測定評価する方法、および接続などの作業場所において目標とする光ファイバ心線を判別するための心線対照方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバにおいて、単一モード伝送が可能な波長領域(単一モード波長域)は、一般にコア径や、コアとクラッド間の比屈折率差により決定される。単一モード波長域では高次のモードが光ファイバ中を伝搬しないため、多モード分散による信号劣化が生じず、高速での信号伝送が可能となる。
【0003】
従って、単一モード波長域を規定するパラメータとしての遮断波長(カットオフ波長)、およびその測定評価方法は重要である。遮断波長は、大別して、1.理論遮断波長λcと、2.実効遮断波長λceの2つがあり、理論遮断波長λc以上の波長では基本伝搬モードLP01だけしか存在しない。一方、実効遮断波長λce以上であっても、理論遮断波長λc未満の波長であれば、光ファイバ中に1次の高次モードLP11が存在し得る。しかし、上記の波長域では、LP11の曲げ損失が大きく、LP11モードの光パワーはほとんど光ファイバの終端には到達しないため、実効的にはLP01だけの単一モード伝送が実現できる。従って、ファイバ長と実効遮断波長λceとの関係を示すグラフである図14に示すように、実効遮断波長λceは光ファイバ長依存性を持ち、ファイバ長を0としたときのλceの極限値が、理論遮断波長λcに対応すると考えられる。
【0004】
従来、実効遮断波長λceの測定方法としては、例えば非特許文献1に記載があるように、曲げ損失法(従来技術1)とマルチモード励振法(従来技術2)が知られている。
【0005】
これらの方法に用いる測定系を図15および図16に示す。曲げ損失法による実効遮断波長の測定系では、図15に示すように、白色光源101と受光器102との間に被測定光ファイバ103が配置される。被測定光ファイバ103の一方の端部103aが分光器105に接続され、分光器105が白色光源101に接続される。被測定光ファイバ103の他方の端部103bが受光器102に接続される。受光器102と分光器105に計算機106が接続される。この測定系では、被測定光ファイバ103には第1の曲げ部103cと第2の曲げ部103dが付与されている。第1,第2の曲げ部103c,103dの直径はそれぞれ280mm,60mmである。
【0006】
他方、マルチモード励振法による実効遮断波長の測定系では、図16に示すように、白色光源201と受光器202との間に多モードファイバ203と被測定光ファイバ204が配置される。多モードファイバ203と被測定光ファイバ204とは直列に配置されており、多モードファイバ203の一方の端部203bと被測定光ファイバ204の一方の端部204aとが接続される。多モードファイバの他方の端部203aが分光器205に接続され、分光器205が白色光源201に接続される。被測定光ファイバ204の他方の端部204bが受光器202に接続される。受光器202と分光器205に計算機206が接続される。この測定系では、被測定光ファイバ204には曲げ部204cが付与されている。曲げ部204cの直径は280mmである。
【0007】
図15および図16中のファイバ曲げ径と被測定光ファイバ長(2m)はITU−T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)において標準化規定されている値である。図15に示す曲げ損失法は、伝搬モードLP01と1次の高次モードLP11の曲げ損失の差を利用したものであり、図16に示すマルチモード励振法は被測定ファイバ204の伝搬光強度が多モードから単一モードに変化する波長領域で大きく変化することを利用している。なお、曲げ損失法で被測定ファイバ長を22mとして測定した際の実効遮断波長の値も、ケーブル遮断波長として広く用いられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】松本弘一編著、「光測定器ガイド 全面改訂版」、オプトロニクス社、2004年6月、pp.176-178
【非特許文献2】松井隆、戸毛邦弘、倉嶋利雄、冨田茂、清水正利、「チャープ型グレーティングを用いた心線対照技術に関する検討」、2009年 電子情報通信学会総合大会、B-13-13、p.501
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、近年、ドーパント分布の工夫や空孔の付与によって、曲げ損失が非常に小さな光ファイバなどの研究開発が進められており、このような光ファイバでは1次の高次モードLP11の曲げ損失も従来の光ファイバよりも小さいため曲げ損失法による測定は非常に困難である。また、マルチモード励振法もマルチモードファイバでのモードの励振状態や、マルチモードファイバと被測定光ファイバとの接続状態、さらには被測定光ファイバの損失特性、例えばOH基吸収損失(1400nm付近)が大きい場合などでは、誤差が生じやすい。
【0010】
さらに図15および図16に示したように、従来技術1,2では被測定光ファイバの長さを指定して、すなわち、事前に被測定光ファイバの長さを調整して、あくまで、その長さに対応する値(図15および図16では2m)として、実効遮断波長λceを決定する必要があり、使用するファイバ長を考慮した上で、図14に示したようなλceのファイバ長依存性を求めるには、測定するファイバ長を変えて、複数回の測定を行う必要が生じ、多大な稼働を要する。
【0011】
一方、現実的な対応方法としては、シングルモード光ファイバ(SMF)や分散シフト光ファイバ(DSF)などの通常の光ファイバでは、仮に遮断波長の具体的な値を各種の方法によって決定しなくても、仮に、ある波長λaで、対象の光ファイバが実効的な単一モード条件を満たしていることを保証できれば、λa以上の波長では、当該の光ファイバにおいては単一モード伝送が可能と見なすことができ、伝送信号波長の最短波長をλa以上に設定すれば問題を回避できる。このような確認を簡易に行うことが可能になれば、例えば既に敷設された光ファイバ伝送路の使用波長領域を短波長側に拡大していくといったことが可能になると考えられる。
【0012】
一方、近年、急速に研究開発が進んでいる空孔型の光ファイバの一種であるフォトニック結晶ファイバ(PCF)では、その構造によっては、全波長域で単一モード、あるいは、全波長域で2モード以下といった特性が実現可能なため、遮断波長が実際に存在しないことがありうる。
【0013】
従って、以上のような状況を考慮すると、ある波長λaで、対象の光ファイバが単一モード動作していることを確認できれば、非常に有用であるといえる。
【0014】
しかしながら、簡易な測定系によって、極端に曲げ損失の小さな、もしくは大きな光ファイバの実効遮断波長λceを評価する方法や、λceのファイバ長依存性を評価する方法や、ある波長λaで実効的な単一モード条件が満たされていることを確認する方法はこれまで存在しなかった。
【0015】
一方、曲げ損失が非常に小さな光ファイバの導入が進むにつれて、作業者が敷設や接続作業場所において目標とする心線を複数の心線の中から見分ける必要が生じる。この際に、従来用いられている、曲げを心線に加えて伝搬モードLP01を漏洩させる方法は、LP01の曲げ損失が小さすぎるため適用できない。そこで、目標とする心線に周期的な応力を付与することで光ファイバ長周期グレーティングを形成し、LP01モード光を高次モード光に変換した後、心線から漏洩させる方法が提案され、その有効性が実証されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0016】
しかしながら、この方法においても、ユーザ宅や通信センタビル内で用いられている光ファイバコードなどに対しては、コードの被覆が厚いために、必要な応力をコード中の心線に付与することができず、光が漏洩しないため目標の心線を見分けることが困難である。
【0017】
以上のことから、本発明は前述した課題を解決するために為されたものであって、極端に曲げ損失の小さな、もしくは大きな光ファイバの実効遮断波長λceを評価する方法、λceのファイバ長依存性を評価する方法、任意の光ファイバにおいて特定の波長で実効的な単一モード条件が満たされていることを確認する方法、さらには極端に曲げ損失の小さな光ファイバ心線を用いた光ファイバコードを簡易に心線対照する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明では、対象とする光ファイバの片端側に、特定波長の光パルスを入射するための光パルス試験器(OTDR)と、前記波長の伝搬モードLP01を高次モードLP11に変換するモード変換手段とを使用する。これによって、測定時に適切なファイバ長を設定すれば、OTDRの測定波形から特定波長におけるLP11の伝送損失α11と、その長さ依存性を高い精度で得ることができる。またLP01の伝送損失α01と、その長さ依存性は従来のOTDR測定によって容易に得ることができる。これによって、実効的な単一モード条件の確認、遮断波長の評価が可能となる。
【0019】
また、高次モードLP11の曲げ損失は、基本伝搬モードLP01よりも一般に大きいので、適切な波長と適切な曲げ径を付与することで、曲げに強い光ファイバであっても、LP11モード光の曲げ損失をOTDR波形から検知し、光ファイバ心線の対照に利用することが可能となる。
【0020】
すなわち、上述した課題を解決する第1の発明に係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法は、
対象となる光ファイバの片端に、波長λaの光パルスを出射し、後方散乱光を測定する光パルス試験器を配置すると共に、前記光ファイバと前記光パルス試験器との間に、波長λaの伝搬モードLP01を高次モードLP11に変換するモード変換手段を配置して、前記光ファイバ中のLP11の損失α11を測定し、
前記光ファイバの片端に光パルス試験器を接続して配置して、前記光ファイバ中のLP01の損失α01を測定し、
前記LP11の損失α11と前記LP01の損失α01の損失比k=α11−α01(dB)を演算し、
前記損失比kが設定した閾値Q(dB)の値以上であるとき前記光ファイバが単一モード伝送であると判定した
ことを特徴とする。
【0021】
上述した課題を解決する第2の発明に係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法は、
第1の発明に係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法であって、
LP01の損失α01の測定評価時に、対象となる光ファイバに直径60mmで1回の曲げを付与する
ことを特徴とする。
【0022】
上述した課題を解決する第3の発明に係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法は、
第1または第2の発明に係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法であって、
前記モード変換手段として、長周期グレーティングを用いる
ことを特徴とする。
【0023】
上述した課題を解決する第4の発明に係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法は、
第1乃至第3の発明の何れか一つに係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法であって、
前記閾値Qを16.3dB以上22.3dB以下とする
ことを特徴とする。
【0024】
上述した課題を解決する第5の発明に係る光ファイバの遮断波長の測定方法は、
対象となる光ファイバの片端側に配置され、波長がλ1からλnの範囲にて異なる光パルスを出射し、後方散乱光を測定する光パルス試験器と、
λ1からλnの範囲にて異なる波長の伝搬モードLP01を高次モードLP11に変換するモード変換手段として複数の異なるグレーティング周期を有する長周期グレーティングを用い、
各波長における当該光ファイバ中でのLP11の損失α11とLP01の損失α01との比k=α11−α01(dB)の値の大きさが、設定した閾値Q(dB)の値と一致する波長λmをLP11モードの遮断波長として決定する
ことを特徴とする。
【0025】
上述した課題を解決する第6の発明に係る光ファイバの遮断波長の測定方法は、
第5の発明に係る光ファイバの遮断波長の測定方法であって、
LP01の損失α01の測定評価時に、対象となる光ファイバに直径60mmで1回の曲げを付与する
ことを特徴とする。
【0026】
上述した課題を解決する第7の発明に係る光ファイバの遮断波長の測定方法は、
第5または第6の発明に係る光ファイバの遮断波長の測定方法であって、
前記閾値Qを16.3dB以上22.3dB以下とする
ことを特徴とする。
【0027】
上述した課題を解決する第8の発明に係る光ファイバ心線の対照方法は、
複数の光ファイバ心線から目的とする光ファイバ心線を特定する光ファイバ心線の対照方法であって、
対象となる光ファイバの片端側に配置され、波長λbの光パルスを出射し、後方散乱光を測定する光パルス試験器と波長λbの伝搬モードLP01を高次モードLP11に変換するモード変換手段とを具備し、
前記光ファイバに一定条件での曲げを与え、前記光パルス試験器のモニタ波形から読み取れる曲げ損失値の値が設定した閾値T(dB)の値以上であるときに前記光ファイバが目的とする光ファイバであると特定する
ことを特徴とする。
【0028】
上述した課題を解決する第9の発明に係る光ファイバ心線の対照方法は、
第8の発明に係る光ファイバ心線の対照方法であって、
波長λaの伝搬モードLP01を高次モードLP11に変換するモード変換手段として光ファイバに長周期グレーティングを付与した光ファイバコードを用いる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、単一波長の光パルス試験器(OTDR)を用いて、LP01とLP11モードの損失値を評価することで、特定波長における実効的な単一モード条件の確認を実現できる。また、複数波長または広波長域の光を発振する光パルス試験器を用いることで、実効遮断波長を評価することができる。また、単一波長の光パルス試験器から発振されたLP01モードとLP11モード、心線へ適切な曲げを付与することで、目標心線を作業者が確認する心線対照を行うことができる。
【0030】
また、これらの効果は、光パルス試験器と、LP01モードを高次モードLP11に変換するモード変換手段のみ、という非常に単純な構成によって実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】曲げ損失法による実効遮断波長λceの測定系を説明するための図であり、図1(a)にその概略構成を示し、図1(b)にその評価結果の一例を示す。
【図2】本発明の第1の実施例に係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法を説明するための図であって、図2(a)にLP11の損失α11を測定する場合を示し、図2(b)に伝搬モードLP01の損失α01を測定する場合を示す。
【図3】光パルス試験器による測定波形の一例を示す図である。
【図4】長周期光ファイバグレーティング(LPG)のコア屈折率の変調構造の一例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法を説明するための図であって、図5(a)に周期Λの応力付与型LPGの構造の一例を示し、図5(b)に周期Λ1から周期ΛNの応力付与型LPGの構造の一例を示す。
【図6】本発明の第3の実施例に係る光ファイバの実効単一モード条件の確認方法を説明するための図である。
【図7】光パルス試験器による測定波形の一例を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施例に係る光ファイバの実効遮断波長の測定方法を説明するための図であって、図8(a)にLP11の損失α11を測定する場合を示し、図8(b)に伝搬モードLP01の損失α01を測定する場合を示す。
【図9】波長λと(α11−α01)との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第5の実施例に係る光ファイバ心線の対照方法を説明するための図である。
【図11】LP01モードとLP11モードの伝送損失の波長依存性の一例を示す図である。
【図12】LP01モードとLP11モードの曲げ損失の曲げ半径R依存性の一例を示す図である。
【図13】3種類の曲げ半径での曲げを与えた時の光パルス試験器による測定波形の一例を示す図である。
【図14】実効遮断波長λce(μm)のファイバ長依存性の一例を示す図である。
【図15】従来の曲げ損失法による実効遮断波長の測定系を説明するための構成図である。
【図16】従来のマルチモード励振法による実効遮断波長の測定系を説明するための構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法、遮断波長の測定方法および光ファイバ心線の対照方法について、各実施例にて詳細に説明する。
【実施例1】
【0033】
本発明の第1の実施例に係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法について、図1〜図3を参照して具体的に説明する。
図1(b)にて、横軸に波長(μm)を示し、縦軸に光損失(dB)を示す。ここで、光損失(dB)は、標準的な方法である、LP11モード成分を完全に減衰させ、LP01モード成分に影響を与えない条件として、半径R=60mmφで1巻きとする場合における、Rの曲げを与える前後での透過パワーの比10log(P(λ)/Pr(λ))を表す。
【0034】
まず、本発明と従来方法である曲げ損失法(図15)との原理的な対応関係を述べ、本方法によって、波長λaにおいて光ファイバの単一モード伝送の確認、つまり、実効的な単一モード条件を満たしているかどうかの確認が高い確度で可能であることを示す。
【0035】
曲げ損失法による実効遮断波長の測定系では、図1(a)に示すように、白色光源11と受光器12との間に被測定光ファイバ13が配置される。被測定光ファイバ13の一方の端部13aが白色光源11に接続される。被測定光ファイバ13の他方の端部13bが受光器12に接続される。必要に応じて、被測定光ファイバ13には半径Rの曲げ部13cが付与される。
【0036】
実効遮断波長λceは以下に示す式(1)を満たす波長として定義される。ここで、P(λ)はファイバに曲げを与える前の透過光パワー、Pr(λ)は半径Rの曲げを与えた際の透過光パワーである。式(1)を変形することで、以下に示す式(2)が得られる。式(2)が半径Rの曲げを与えることで、P(λce)に含まれていたLP11成分が完全に減衰した結果を表す式であると理解することができる。
【0037】
【数1】

【0038】
【数2】

【0039】
従って、光ファイバの入力端での光のモード状態においてLP01成分をP01(mW)、LP11成分をP11(mW)とし、半径Rの曲げが加わった状態でLP11成分が完全に減衰したと仮定すると、波長λceでの、全ファイバ長Lでの、LP01とLP11モードの伝送損失(dB)をそれぞれα01、α11とすると式(2)から、以下の関係式(3),(4)が成立する。ここで、近似としてモード変換とモード結合の影響を無視しているが、Lが数km程度の範囲では妥当である。
【0040】
【数3】

【0041】
【数4】

【0042】
光源からのファイバ入力の際の励振条件によってP11/P01の値は変動するが、通常の実験条件では、1付近の値であり、各種要因によるばらつきを考慮しても0.25<P11/P01<4程度の範囲の値となる。従って、曲げ損失法によって得られる実効遮断波長λceにおいて、LP01とLP11モード伝送損失の比(α11−α01)の値は、平均としては16.3dB程度、最大としては、22.3dB程度になっているといえる。
【0043】
以上の考察から、全長Lの光ファイバが特定の波長λaにおいて実効的な単一モード条件を満たしているかどうかを確認するには、LP01とLP11モードのそれぞれの伝送損失を測定し、両者の比である(α11−α01)の値がしきい値Q(dB)以上かどうかを確認すればよく、Qの値としては、16.3dBあるいは22.3dBとすれば良い。例えば、平均的な判断基準としてはQ=16.3dBとすればよく、厳密な最悪値の評価を行いたいときはQ=22.3dBとすれば良い。
【0044】
従って、本発明において、波長λaにおける光ファイバの単一モード伝送の確認を行うには図2に示す構成が好適となり、本構成により、上記の原理の確認(LP01モードとLP11モードの伝送損失の測定)が可能になる。
【0045】
すなわち、本実施例の光ファイバにおける単一モード伝送の確認方法にあっては、図2に示すように、被測定光ファイバ23の一方の端部23a側に光パルス試験器(OTDR)21およびモード変換器(モード変換手段)24が配置される。光ファイバ23の一方の端部23aとモード変換器24とが接続され、モード変換器24と光パルス試験器21とが接続される。光パルス試験器21は波長λaのパルスを出射し、後方散乱光を測定する機器である。モード変換器24は波長λaの伝搬モードLP01を高次モードLP11へ変換する機器である。従って、モード変換器24は、図2(a)に示すように、LP11の損失α11を測定する時にだけ使用する。図2(b)に示すように、伝搬モードLP01の損失α01を測定する時には、通常の光コネクタや融着、通常の単一モード光ファイバコードなどを用いて光パルス試験器21と被測定光ファイバ23を接続すれば良い。この際にLP11モードの発生が懸念される場合には、これを除去するために、図2(b)に示すように、適切な曲げ、例えば、直径60mmでの1回の曲げである曲げ部23bを与えることでLP11モードだけを減衰させることができ、α01を高い精度で測定することが可能になる。
【0046】
ここで、図3に、上述した図2に示す構成で測定した光パルス試験器による測定波形の一例を示す。図3では、横軸に位置Z(m)を示し、縦軸に後方散乱光パワー(dB)を示す。α01とα11の評価はノイズレベルより上の十分なダイナミックレンジが得られている範囲の測定点で、同じ区間長(=ファイバ長L1)の両端の後方散乱光(dB)のレベル差から、それぞれ見積もることができる。これによって、長さL1におけるα01とα11の値が得られ、(α11−α01)の値がしきい値Q(dB)以上かどうかで、長さL1において実効的な単一モード条件を満たしているかを判断することができる。L1は測定評価が可能な範囲で必要に応じて設定すれば良いが、例えばL1を2mとすれば、図15、図16に示した従来技術(標準的方法)との整合をとることができる。また、L1を22mとすればケーブル状態における標準的方法(ケーブル遮断波長)との整合をとることができる。
【0047】
また、ダイナミックレンジが小さい時や反射光ノイズなどの影響が大きいと考えられる時は、これらの影響が及ばないファイバ長さL2の区間を選び、その区間での波形傾きS01とS11を求め、α11−α01=(S11−S01)×L2より、(α11−α01)の値を決定しても良い。S01とS11の見積もりにあたっては、複数の測定点を、最小2乗法などを用いて一次式でフィッティングすることで決定すれば良い。実際の測定では、LP01モードからLP11モードへの変換効率は100%程度ではないため、波形傾きが選ぶ区間によって変化することがあるが、直線で良好に近似できる適切な区間を選び、S11を決定すれば良い。この場合、ファイバ長さL2は任意の値に設定できるが、例えば、L2を2mとすれば、図15、図16に示した従来技術(標準的方法)との整合をとることができる。また、L2を22mとすればケーブル状態における標準的方法(ケーブル遮断波長)との整合をとることができる。
【実施例2】
【0048】
本発明の第2の実施例に係る光ファイバの単一モード伝送の確認方法について、図4および図5を参照して説明する。
本実施例では、上述した第1の実施例に記載の伝搬モードLP01を高次モードLP11へ変換するモード変換器の一例として、屈折率の周期的な変動を利用した長周期光ファイバグレーティングを用いた。
【0049】
伝搬モードLP01を高次モードLP11へ変換するモード変換器として、長周期光ファイバグレーティング(LPG)を用いることができる。長周期光ファイバグレーティングは、図4に示すように、軸心にあるコア領域31と、コア領域31を包囲するクラッド部32とを有し、コア領域31に、ファイバ長手方向にて周期Λで屈折率を変化させたグレーティング部31aが複数形成されている。すなわち、光ファイバのコア領域31の長手方向に屈折率の変調構造を与えたものである。例えば、非特許文献2に記載があるように、図5(a)に示すように、周期Λの凹凸を有する金属板である応力付与型LPG40を、対象の光ファイバ45へ押し当てることで実現できる。応力付与型LPG40は、被測定光ファイバ45が固定される固定台41と、複数の突起部43が設けられ、隣接する突起部43の先端部43aが周期Λで配置された応力付与具(金属板)42と具備する。固定台41に被測定光ファイバ45を配置し、この被測定光ファイバ45に複数の突起部43が接するように配置し、上方から応力付与具42に対して荷重Fを加えることで、被測定光ファイバ45に対して周期Λで長周期光ファイバグレーティングを実現できる。このようなLPG40は、応力付与具42の脱着によって、取り付け、取り外しを容易に実現できるので、図5(a)において、α11の測定時は応力付与具43を被測定ファイバ45に取り付け、α01の測定時は応力付与具43を被測定光ファイバ45から取り外すことで、上述した第1の実施例に記載のモード変換器として用いることができる(応力付与型LPG)。また、紫外線の照射によってコアにこのような変調構造を恒久的に付与した一般的な光ファイバコード型のLPG(一般型LPG)をα11の測定時にだけモード変換器として用いることもできる。この場合、モード変換器と被測定ファイバ45との接続にあたっては、各種の光ファイバコネクタや融着接続を用いることができる。
【0050】
上記のLPGが特定の波長λaで動作するためには、以下に示す式(5)を満たすような屈折率の変調周期Λを持つ必要がある。ここでn01、n11は、それぞれLP01モードとLP11モードの実効屈折率である。
【0051】
【数5】

【0052】
周期Λは個々の光ファイバに対しては一意的に決まるので、一般型LPGをモード変換器として用いる際は、式(5)によって周期Λを最適値に設定した一般型LPG(光ファイバコード)を用いれば良い。
【0053】
しかしながら、例えば、同一種類の光ファイバ、例えばSMF(1.3ミクロン帯ゼロ分散単一モードファイバ)であっても、光ファイバの微妙な構造的ばらつきなどがあるため、n01、n11が微妙に異なり、最適な周期Λの値も光ファイバごとに微妙に異なる。従って、応力付与型LPGをモード変換器として用いる際は、適用する被測定光ファイバの種別に応じて、周期Λの値が長手方向に変化するチャープ構造のLPG、例えば、図5(b)に示すように、周期Λ1〜ΛNの凹凸を有する金属板である応力付与型LPG50を用いることが好適となる。応力付与型LPG50は、被測定光ファイバ55が固定される固定台51と、複数の突起部53が設けられ、隣接する突起部53の先端部53aが一方の端部52bで周期Λ1であり他方の端部52cで周期ΛN(>Λ1)となるように徐々に大きくなるように配置された応力付与具(金属板)52と具備する。固定台51に被測定光ファイバ55を配置し、この被測定光ファイバ55に複数の突起部53が接するように配置し、上方から応力付与具52に対して荷重Fを加えることで、被測定光ファイバ55に対して周期Λ1〜ΛNの範囲で長周期光ファイバグレーティングを実現できる。
【0054】
一方、OTDR波形からα11を見積もる際のダイナミックレンジを確保するためには、理想的にはLP01→LP11の変換効率が90%程度以上であることが望ましいが、これはLPGの全長を長くするか、周期的に配置した屈折率を高くする必要があるが、仮に90%以下であっても、OTDR波形見積もりに支障がない程度の変換効率のものを用いれば、問題は生じない。
【実施例3】
【0055】
本発明の第3の実施例に係る光ファイバの実効的な単一モード条件の確認方法について、図6および図7を参照して説明する。
本実施例では、伝搬モードLP01を高次モードLP11へ変換するモード変換器として、長周期光ファイバグレーティングLPGを用いた。
【0056】
実効的な単一モード条件の確認にあたっては、一例として、図6に示すように、被測定光ファイバ63の一方の端部63a側に配置される、光パルス試験器(OTDR)61とモード変換器(モード変換手段)64とを具備する構成を用いることができる。被測定光ファイバ63の一方の端部63aにモード変換器64が接続され、モード変換器64に光パルス試験器61が接続される。ここでは、被測定ファイバ63をファイバ長L=2mにおける、実効遮断波長が1500nm付近の純石英コア光ファイバとし、OTDR波長λaを1490nmとし、モード変換器64としては、上述した第2の実施例で述べた応力付与型LPGを用いた。
【0057】
測定結果を図7に示す。応力付与型LPG位置の直後から、波形傾きが急峻となり、その後、また緩やかになる。これはLPGによってモード変換されたLP11成分は、波形傾きが急峻な部分で損失して、ほとんど無くなってしまったことを意味し、その後の波形傾きが緩やかな部分でモード変換されずに残っていたLP01成分が損失していることを意味する。従って、波形傾きが急峻な部分の傾きがS11=2.9dB/mに相当する。またLPGを用いない時の測定波形傾きがS01=0.2dB/km=0.0002dB/mに相当する。
【0058】
従って、標準的な測定法におけるファイバ長L=2m(ファイバ遮断波長の評価時)、22m(ケーブル遮断波長の評価時)に換算すると、それぞれ(α11−α01)の値は5.8dB(2m)、63.8dB(22m)となる。従って、閾値Q=22.3dBとすると、Qとの大小関係から、ファイバ長2mでは実効的な単一モード条件が満たされていないが、ファイバ長22mでは実効的な単一モード条件が満たされていると判定することができる。
【実施例4】
【0059】
本発明の第4の実施例に係る実効遮断波長の測定方法について、図8および図9を参照して説明する。
本実施例では、伝搬モードLP01を高次モードLP11へ変換するモード変換器として、長周期光ファイバグレーティングを用いた。
【0060】
本実施例の実効遮断波長の測定方法にあっては、図8に示した構成例が好適となり、光ファイバ73の一方の端部73a側に光パルス試験器(OTDR)71およびモード変換器(モード変換手段)74が配置される。光ファイバ73の一方の端部73aにモード変換器74が接続され、モード変換器74に光パルス試験器71が接続される。光パルス試験器71は、異なる波長λ1からλnの光パルス、あるいはλ1からλnの連続的な広波長幅の光パルスを発振でき、後方散乱光を測定する機器である。モード変換器74は掃引したλ1からλnそれぞれの波長において、伝搬モードLP01を高次モードLP11へ変換することが可能な機器である。モード変換器74としては、例えば、上述した第2の実施例で述べたような、λ1からλnのそれぞれの波長で動作する一般型LPGや応力付与型LPGを複数、多段に縦列配置したものを用いても良いし、周期Λの値が一定の範囲で変化するチャープ構造の一般型LPGや応力付与型LPGを用いても良い。
【0061】
そして、上述した第1の実施例で述べた手順によって、一定のファイバ長Lにおいて、前記の各波長でλ1からλnでの(α11−α01)の値を求めると、(α11−α01)と波長λとの関係は図9に図示される黒丸印のように変化する。このn個の測定点を多項式などでフィッティングし、(α11−α01)=Q(閾値)を満たす波長λmを求めれば、この波長λmが実効遮断波長λceに相当する。図より、測定波長λ1からλnの波長範囲は広い方が、波長数は多い方が、評価精度を上げるためには望ましい。ただし、λceの前後で(α11−α01)の値は急激に変化するので、必要とする評価精度を考慮しながら、測定波長範囲と波長数を決定すれば良い。またQの値としては、16.3dBあるいは22.3dBとすれば良い。
【実施例5】
【0062】
本発明の第5の実施例に係る光ファイバ心線の対照方法について、図10および図11を参照して説明する。
本実施例では、波長λbの光パルスを発振する光パルス試験器(OTDR)と伝搬モードLP01を高次モードLP11へ変換するモード変換器を用いた。
【0063】
本実施例の光ファイバ心線の対照方法にあっては、図10に示した構成が好適となり、極端に曲げ損失の小さな光ファイバ心線83の一方の端部83a側に光パルス試験器81およびモード変換器(モード変換手段)84が配置される。光ファイバ心線83の一方の端部83aにモード変換器84が接続され、モード変換器84に光パルス試験器81が接続される。光パルス試験器81は波長λbの光パルスを発振でき、後方散乱光を測定する機器である。モード変換器84は波長λbにおいて、伝搬モードLP01を高次モードLP11へ変換することが可能な機器である。モード変換器84としては、例えば、上述した第2の実施例で述べたような、λbで動作する一般型LPGや応力付与型LPGを用いれば良い。
【0064】
ここで、図11にLP01モードとLP11モードの伝送損失A01(dB/km)、A11(dB/km)の波長依存性の一例を示す。一般的に、実効遮断波長λceの近傍でA11(dB/km)の値は急増するため、本実施例において、使用波長λbをλceのごく近傍の波長にするとLP11モードは急激に減衰して、半径Rの曲げを付与する対照作業位置まで到達せず、対照作業が実施できない可能性がある。従って、光パルス試験器81から対照作業位置83bまでの距離を考慮する必要はあるが、典型的には、λbはファイバ長2mにおけるλceよりも0.1〜0.3μm程度以上短い波長に設定すれば良い。
【0065】
曲げ半径Rの値に関しては、伝搬モードLP01の曲げ損失が生じない範囲にすることを考慮する必要があるが、既に、半径10mm程度でも、LP01モードの曲げ損失が無視できる程度の光ファイバが既に実用化されている。
【0066】
具体的には、図12に一例を示したように、対照する光ファイバコード中に使用されている光ファイバと同種の光ファイバの曲げ損失値を事前に評価しておき、LP01モードの曲げ損失が十分小さく、LP11モードの損失が、対照判定の閾値となるT(dB)に到達する曲げ半径をRとすれば良い。また閾値T(dB)の値としては、OTDR波形のノイズレベルより十分に大きければ良く、例えば、1dBなどとすれば良い。
【0067】
光ファイバの特性のばらつきも考慮して、Rの値を複数変えて、対象作業を行っても良い。一例として、図13にR1、R2、R3(R1<R2<R3)の3種類の曲げ半径での曲げを与えた時のOTDR波形の変化を示す。なお、曲げ形状としては、円柱などへの1回または複数回転巻きとしても良いし、従来の心線対照器に利用されているようなU字曲げ(半円巻き)としても良い。
【0068】
対照作業時には、対照作業者とOTDRをモニタする者が電話などで連絡を取りながら、作業者が曲げを付与したときに、T(dB)を超える波形変化が生じるかどうかで、対照判定を行えば良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、非常に単純な構成によって、特定波長における実効的な単一モード条件の確認を実現できると共に、実効遮断波長を評価することができることに加えて、心線対照を行うことができるため、光通信業界にとって有用である。
【符号の説明】
【0070】
11 白色光源
12 受光器
13 被測定光ファイバ
21 光パルス試験器
23 被測定光ファイバ
24 モード変換器
30 長周期光ファイバグレーティング
40,50 応力付与型LPG
43,53 突起部
61 光パルス試験器
63 被測定光ファイバ
64 モード変換器
71 光パルス試験器
73 被測定光ファイバ
74 モード変換器
81 光パルス試験器
83 被測定光ファイバ
84 モード変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象となる光ファイバの片端に、波長λaの光パルスを出射し、後方散乱光を測定する光パルス試験器を配置すると共に、前記光ファイバと前記光パルス試験器との間に、波長λaの伝搬モードLP01を高次モードLP11に変換するモード変換手段を配置して、前記光ファイバ中のLP11の損失α11を測定し、
前記光ファイバの片端に光パルス試験器を接続して配置して、前記光ファイバ中のLP01の損失α01を測定し、
前記LP11の損失α11と前記LP01の損失α01の損失比k=α11−α01(dB)を演算し、
前記損失比kが設定した閾値Q(dB)の値以上であるとき前記光ファイバが単一モード伝送であると判定した
ことを特徴とする光ファイバの単一モード伝送の確認方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバの単一モード伝送の確認方法であって、
LP01の損失α01の測定評価時に、対象となる光ファイバに直径60mmで1回の曲げを付与する
ことを特徴とする光ファイバの単一モード伝送の確認方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光ファイバの単一モード伝送の確認方法であって、
前記モード変換手段として、長周期グレーティングを用いる
ことを特徴とする光ファイバの単一モード伝送の確認方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の光ファイバの単一モード伝送の確認方法であって、
前記閾値Qを16.3dB以上22.3dB以下とする
ことを特徴とする光ファイバの単一モード伝送の確認方法。
【請求項5】
対象となる光ファイバの片端側に配置され、波長がλ1からλnの範囲にて異なる光パルスを出射し、後方散乱光を測定する光パルス試験器と、
λ1からλnの範囲にて異なる波長の伝搬モードLP01を高次モードLP11に変換するモード変換手段として複数の異なるグレーティング周期を有する長周期グレーティングを用い、
各波長における当該光ファイバ中でのLP11の損失α11とLP01の損失α01との比k=α11−α01(dB)の値の大きさが、設定した閾値Q(dB)の値と一致する波長λmをLP11モードの遮断波長として決定する
ことを特徴とする光ファイバの遮断波長の測定方法。
【請求項6】
請求項5に記載の光ファイバの遮断波長の測定方法であって、
LP01の損失α01の測定評価時に、対象となる光ファイバに直径60mmで1回の曲げを付与する
ことを特徴とする光ファイバの遮断波長の測定方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の光ファイバの遮断波長の測定方法であって、
前記閾値Qを16.3dB以上22.3dB以下とする
ことを特徴とする光ファイバの遮断波長の測定方法。
【請求項8】
複数の光ファイバ心線から目的とする光ファイバ心線を特定する光ファイバ心線の対照方法であって、
対象となる光ファイバの片端側に配置され、波長λbの光パルスを出射し、後方散乱光を測定する光パルス試験器と波長λbの伝搬モードLP01を高次モードLP11に変換するモード変換手段とを具備し、
前記光ファイバに一定条件での曲げを与え、前記光パルス試験器のモニタ波形から読み取れる曲げ損失値の値が設定した閾値T(dB)の値以上であるときに前記光ファイバが目的とする光ファイバであると特定する
ことを特徴とする光ファイバ心線の対照方法。
【請求項9】
請求項8に記載の光ファイバ心線の対照方法であって、
波長λaの伝搬モードLP01を高次モードLP11に変換するモード変換手段として光ファイバに長周期グレーティングを付与した光ファイバコードを用いる
ことを特徴とする光ファイバ心線の対照方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−38907(P2011−38907A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186952(P2009−186952)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】