説明

光ファイバ型コンバイナ及びその製造方法

【課題】数本の個々のファイバの出力を1本のプロセスファイバに結合する光ファイバ型コンバイナ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、光ファイバ型コンバイナ及びその製造方法に関するものである。前記コンバイナは、複数のキャピラリ孔を備えるテーパー状の支持プリフォームと、コアと前記コアの周囲にクラッドを備え、前記支持プリフォームのキャピラリ孔と平行に配置される複数の入力ファイバと、前記入力ファイバとの光接続で前記支持プリフォームのテーパー端部と結合した出力ファイバを備える。本発明によれば、前記入力ファイバの少なくとも1本のクラッド厚のコア厚に対する比率は、前記支持プリフォームの領域で減少する。本発明は、光学的に高品質なファイバ型コンバイナを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー及び光ファイバに関するものであり、特にファイバ結合型レーザー及びファイバレーザーに関するものである。本発明の方法において、複数のファイバからの光放射は、1本のファイバに結合される。本発明はまた、ファイバ型光部品にも関するものでもあり、以下ファイバ型コンバイナと呼ばれ、それは数本の個々のファイバレーザー及び/又は数個のファイバ結合型レーザーからの光放射を、1本の出力ファイバ又はいわゆるプロセスファイバに結合するのに使用される。
【背景技術】
【0002】
ファイバレーザーは、様々な工業的応用に適した多くの魅力的特性を有する。このような特性は、良好なビーム質、容易な熱管理、小型、及び良好な効率性を備える。そのためファイバレーザーは、固体レーザー及びガスレーザーなどの、より従来型のレーザーから市場シェアを継続的に獲得している。ファイバレーザーは、KW域で優れたビーム質を備えた光出力を生成することができる。従ってこれらのレーザーは、金属の溶接及び切断のようなマクロ的機械加工の適用に使用できる。しかし、1本のファイバレーザーがいわゆるシングルモード方式、すなわち実質的に回折限界のビーム質で動作することによって提供された光出力は、多くの場合約1KWに限定される。しかし多くの工業的応用では、レーザー出力の回折限界性能を維持する必要はないが、さらなるレーザー出力は要求される。言い換えれば、さらなるレーザー出力が得られれば、ビーム質を犠牲にできる。このように、数本の個々のファイバレーザーの出力を1本のプロセスファイバに結合すること、従ってたった1本だけのファイバレーザーを単独で使用することによって可能になるよりも、1本のプロセスファイバからさらなる出力を得ることは好ましい。数本のファイバレーザーの出力を結合するこの過程でのビーム質は、それぞれの個々のファイバレーザーのビーム質と比較して必然的に劣化する。しかし上記のように、前記劣化は理論的に達成することが可能なビーム質と比較して、あまり劇的な違いでないならば、これは多くの場合許容される。
【0003】
数個のファイバ型光カプラは、主としてポンプ光をファイバレーザーにおけるアクティブダブルクラッドファイバに結合するために設計された先行技術に存在する。このような例は、例えば、米国特許番号第5864644号、米国特許番号第7272956号、国際特許公開番号第2004/83921号に記載されている。これらの設計は、1本のファイバへのハイパワービーム質のレーザー光の低損失結合にはあまり適さない。
【0004】
米国特許公開番号第2005/105854号において、一束のファイバは、中央のファイバの周囲に形成され、最初に共に溶融される。次にその束は、出力ファイバに直接接合される。この種の溶融と関連した問題は、光がカプラを通過するときに輝度が大幅に減少することである。
【0005】
国際特許公開番号第2007/107163号は、数本の入力ファイバから1本の出力ファイバへ光を結合するためのカプラを記載している。そのカプラは、出力ファイバに中央凹部を備え、その凹部へ、ファイバ束での複数の入力ファイバは、次にお互いに充填される。出力ファイバは、テーパー状にされる。
【0006】
国際特許公開番号第2007/045082号は、入力ファイバがキャピラリ管の多数孔に挿入される光ファイバカプラを記載している。通常ポリマー被覆は、孔に入力ファイバを挿入する前にファイバから除去される。ファイバを挿入したキャピラリは次に延伸され、キャピラリとファイバの径を減少させ、そこに腰部を形成する。その過程でファイバは、キャピラリと溶融され、キャピラリは腰部領域から切断され、別のファイバと接合される。別の実施例ではキャピラリ管は、最初にテーパー状にされ、次に入力ファイバは、その孔を通じて挿入される。第1実施例の欠点は、ファイバ、特にそのファイバのコアがその過程で徐々に小さくなることである。高出力カプラでは入力ファイバのコアは、KW域で光パワーを導くことがある。従って、コア径を減少させることは、コア材が、減少した径では光の破壊限界に達するかもしれないので、避けた方がよい。例えば、コア径を1/2倍に減じることは、コア材に関する光パワーの光損傷の限界値を1/4倍に減じることになる。これは実施中に取りたくないリスクである。国際特許公開番号第2007/045082号で開示された他の実施例でもまた現欠点は、コア充填率、すなわちコアの全断面積とガラスプリフォームの全断面積との比率は、標準ファイバのクラッド断面積のコア断面積に対する比率が約100なので、非常に悪いことである。従って輝度は、このカプラでは大幅に減少される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、数本のファイバレーザー源から1本のファイバへ放射を結合するための改良方法及び装置を提供することである。
【0008】
特に本発明の目的は、本カプラを通じて伝達した光の輝度が、低光学損失を維持して既知のカプラにおける輝度よりも減少が少ない設計を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、入力ファイバのマイクロベンドにより悪化している信号質を発生させるリスクを減らす解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下支持プリフォーム又はキャピラリ管と呼ばれるテーパー状のコネクタ片のキャピラリ孔に、入力ファイバを差し込む前に、複数の入力ファイバのうち少なくとも1本の外径を減らすという考え方に基づいている。特に本発明は、受入れられるファイバの径よりも大幅に小さいコネクタ内の入力ファイバの径を作成するために、ファイバコア上のクラッド材の除去に基づいている。従って、少なくとも1本の入力ファイバのクラッド径のコア径に対する比率は、支持プリフォームの領域で実質的に減らされる。同様の処置は、2本以上の入力ファイバ、好ましくは入力ファイバすべてに対して実行できる。
【0011】
従って本発明のファイバ型コンバイナは、テーパー状の支持プリフォームを備え、複数本の入力ファイバは、コアと前記コアの周囲にクラッドを備え、及び支持プリフォームの前記キャピラリ孔と平行に配置され、出力ファイバは、前記入力ファイバとの光接続で前記支持プリフォームのテーパー端部と結合したものである。前記入力ファイバの少なくとも1本のクラッド厚は、前記支持プリフォームの領域で減少する。
【0012】
本発明の方法においてクラッド材は、前記入力ファイバを前記キャピラリ孔に挿入する前に、前記プリフォームのそれぞれの前記キャピラリ孔の最小内径に対応するレベルまでその厚みを減らすために、少なくとも1本の入力ファイバから除去される。前記入力ファイバを挿入後、前記プリフォームと前記入力ファイバは、前記プリフォームの腰部領域内で共に溶融され、その形成された複合構造を切断し、前記出力ファイバと接合することができるようにする。
【0013】
本発明は、プリフォーム内の放射密度に対し、既知のファイバ型コンバイナと比較して増加することができるようにしている。それは、光ファイバの全断面積の、標準的には少なくとも90%、通常98%以上形成しているが、光を伝搬しないそのクラッド材の量が結合域で減少し、従って個々のファイバのコアが互いにより近づくようになるからである。しかしこれらの減少は最適輝度のためにはそれだけでは十分ではないことが分かった。さらに好ましくは、入力ファイバのコアが入力ファイバにおいてマイクロベンドのない又はわずかなマイクロベンドを備えたカプラを通じて、大きさ及び形状を維持することである。この目標は、本発明を使用することで達成され、その結果カプラを通じて信号としてファイバのコアに移動している光放射の開口数は、実質的に不変であり、光損失を最小にする。言い換えれば本発明のカプラは、マイクロベンドすることによって引き起こされる悪影響を防ぎ、前記カプラを通じて結合したレーザー放射の輝度を適度に減らすだけである。
【0014】
一実施例によれば、前記入力ファイバのコア径は、前記支持プリフォームの領域で実質的に一定である。すなわちファイバの全体径の減少は、クラッドでのみ起こる。
【0015】
一実施例によれば、前記支持プリフォームのテーパー端部でのクラッド厚は、前記ファイバ型コンバイナに受入れられる前記入力ファイバのクラッド厚よりも、少なくとも20%、好ましくは40−95%、特に好ましくは60−90%小さい。絶対数で、コア径20ミクロンを有する標準径の125ミクロンファイバ(クラッド厚は、105ミクロンである)の場合、その結果のクラッド厚は、85ミクロン未満であり、又はさらにもっと小さく、10ミクロンと小さい。すなわちコア材の割合は、例えば、全ファイバ断面積の10−50%のレベルまで著しく上昇する。
【0016】
好ましい実施例によれば、クラッドは、ファイバコアとプリフォームとの直接的接触を避けるために、完全に除去されるわけではない。
【0017】
一実施例によれば、クラッド厚は、エッチングによって削減される。エッチングは、堅実で精度の高い方法であることがわかった。従って、プリフォームの孔にぴったりと嵌めることのできるファイバを提供できる。これは、プリフォーム内でのファイバのバックラッシュを軽減し、従って、常に質の高い光路を維持し、ファイバのマイクロベンドするリスクを最小限に抑える。
【0018】
一実施例によれば、前記支持プリフォームの孔は、前記プリフォームの外形と共にテーパー状である。好ましくは、孔径のプリフォーム径に対する比率は、プリフォーム全長に沿って実質的に一定である。これは、プリフォームを熱で一定幅延伸することによって達成できる。最初に、プリフォームは内径約100−150ミクロンの孔を有し、孔間の肉厚約20−40ミクロンで分離することができる。延伸中に、2つの孔径及びその分離肉厚は、例えば1/3−1/5倍に両方とも縮小される。
【0019】
一実施例によれば、前記支持プリフォームのテーパー端部における入力ファイバのすべてのコアを囲んでいる円の径は、前記出力ファイバのコア径よりも小さい。この配置により、入力ファイバからの全光は、出力ファイバのコアに向けられることが保証される。
【0020】
一実施例によれば、前記入力ファイバは、ファイバレーザーのファイバである。別の実施例によれば、入力ファイバは、半導体レーザー又は固体レーザーなどの、ネオジウムヤグ(Nd−Yag)レーザーのような、他種類のレーザー光源と接続する。一実施例によれば、本発明のファイバ型コンバイナは、様々な2種類以上のレーザー光源からの放射、特に数個のファイバレーザー及び、ダイオードレーザーなどの数個の非ファイバレーザーからの放射を、1本のファイバへ結合するために使用される。
【0021】
好適実施例によれば、前記支持プリフォームは、ガラスプリフォームである。
【0022】
一実施例によれば、前記支持プリフォームのキャピラリ孔、すなわち前記入力ファイバは、すべて同じ大きさである。他実施例によれば、前記ファイバ型コンバイナは、ハイブリッドコンバイナであり、前記支持プリフォームは少なくとも2つの異なる大きさのキャピラリ孔を備えるということである。好ましくは、前記プリフォームの中央部分の孔は、前記プリフォームの縁領域の孔よりも径が小さい。後半のほうの実施例は、例えばレーザー溶接に適用される。
【0023】
従って、カプラの入力ファイバは、ファイバ結合型レーザー及び/又はファイバレーザーのどの出力ファイバとも接続できる。入力ファイバと接続した異なる種類のレーザー光源を使用することでさえも可能である。例えば、さらに詳細に後で説明するように、コンバイナは、多くのファイバ結合型半導体レーザーダイオード及びファイバレーザーから1本の出力ファイバへ、レーザー放射を導くことに使用できる。
【0024】
好ましい実施例によれば、カプラは、全ガラス型溶融部品であり、自由空間の光部品は前記カプラを作製する必要はない、ということである。光放射は常にカプラを透明ガラス内に伝播するので、光放射は、温度変動、機械的振動、汚れなどの外的作用に影響されないか、又は邪魔されない。さらに、自由空間光通信を使用することでカプラの実施に標準的に要求される複雑な位置決め方法は必要がなくなる。
【0025】
前記出力ファイバのコアは、前記入力ファイバの結合と前記コンバイナの使用目的に応じて、平坦な、又は平坦でない屈折率プロファイルを持つことができる。特に、数個のファイバレーザー、及びダイオードレーザーなどの数個の非ファイバレーザーから1本のファイバへ光が結合する場合、出力ファイバ内に所望の光分布を保持するために、出力ファイバの屈折率プロファイルを入力光の特徴に適応させる方が好ましい。
【0026】
後の参照のために、プロセスファイバに関連したさらなる用語又は概念は、以下で簡単に説明される。
【0027】
スプライシングは、当技術分野では既知の用語である。それは、ガラスを柔らかくするために、接合部分の近くでガラス部分を高温に加熱することで、少なくとも2つのガラス部分を接合し、次にそのガラス部分を互いに物理的接触するように押し込むことである。従って密接で透明な接触部は、2つのガラス部間に形成される。スプライシングの熱源は、例えば電気アーク、熱フィラメント、あるいはCOレーザーであることができる。
【0028】
クリービングは、平面に形成されるようにガラス部分を切断することを意味する。光ファイバにおいて切断面は、通常ファイバの光軸と実質的に垂直に存在する(垂直切断)。また実質的に垂直でないものも存在できる(角度切断)。特に指定のない限り本書でのクリービングは、垂直切断を作り出すことを意味する。ファイバの先端に平面を得る等価手段は、より困難ではあるが、機械研磨である。クリービングは、硬質材料で作製された鋭利な刃でファイバを傷つけ、ファイバに張力を加えて切断する、又はレーザーによって切断する機械的手段によって実行できる。光ファイバの良好な切断は、高品質なスプライシングを可能にする。
【0029】
本書での縮径は、柔らかくして、表面張力及び/又は断片の内外領域間の圧力差によって縮径するために、キャピラリ管などの中空状の断片を加熱することである。加熱は、スプライシングと同じ方法で実行できる。
【0030】
光ファイバのクラッド層と被覆層との間の区別をつけなければならない。「クラッド」は、ファイバの不可欠な部分であり、より高い屈折率のコア材料との密接な接触(連邦規格1037C(Federal Standard 1037C)及びミル規格188(MIL-STD-188)で定義)において、コアより低い屈折率の材料を有する1つ以上の層のことである。例えば、国際特許公開番号第2007/045082号に開示したように、被覆は、機械的にファイバを保護するためのファイバ上の通常ポリマー層のことであり、このような光学機能を何も持っていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1は、多孔キャピラリ管11の断面を示している。キャピラリ管11は、透明ガラス材料で作製され、好ましくは溶融シリカ、溶融石英、又はそれらの添加形で作製される。前記透明ガラス材料は、熱膨張係数の点では、光ファイバと完全に整合される。最も一般的な光ファイバは、溶融シリカに基づいているので、前記キャピラリ管の材料に溶融シリカを選択することは自然なことである。1個以上の孔、又は長手方向の孔12は、キャピラリ管11の長手方向の軸と平行に、キャピラリ管に貫通している。図1の例で7個の孔は、同一径である。この場合キャピラリ管11は、7個のレーザー光を1本の出力ファイバに結合するのに使用できる。
【0032】
図2は、多孔キャピラリ管21の別例を示す。図のように異径孔22、22’は、前記キャピラリ管と同一の多孔キャピラリ管21に実施できる。この例においてキャピラリ管21は、異なる2種類の入力ファイバからの光放射を1本の出力ファイバに結合するのに使用できる。
【0033】
図1、2などの多孔キャピラリ管11、21は、本カプラの基本的構成単位を形成する。多孔キャピラリ管11、21の孔12、22、22’は、チャンネルを形成し、それらの孔を通じて本カプラの入力光ファイバは挿入される。
【0034】
本カプラの製造方法は、一実施例に従って、図3に示すように、多孔キャピラリ管31に対してテーパー部を形成することから開始する。テーパー部の形成は、好ましくは、周知のガラス材の延伸方法によって実行される。このような延伸方法は、テーパー部分の断面積及び断面形状を、少なくとも十分近似的に維持しながら延伸するものである。この場合、キャピラリ管の外径と孔内径との比率がテーパー部全体にわたって一定のままであることを意味する。キャピラリ管31の当初外径はD1であり、テーパー部から腰部33の径はDである。前記腰部の長さはLであり、一般的にはわずか数ミリから数センチである。キャピラリ管31は、腰部領域33に実質的に一定の外径を有する。注目すべきことは、テーパーキャピラリ管の実際の実施形状は、図3のものとは異なるテーパー形状を有し、テーパー部の実質的特徴をただ示すだけのことである。
【0035】
図4は、キャピラリ管の孔32に挿入された多数の入力ファイバ310を示す。孔32の内側に入っているファイバは、点線で表される。入力ファイバ径は、キャピラリ管31の腰部33の内側の孔内径と実質的に整合される。これは、少なくとも腰部位置での入力ファイバ径が腰部33での孔内径よりわずかに小さいことを意味する。ここでのわずかは、孔内径に応じて最大数ミクロンまでを意味している。この整合を達成するための2つの戦略がある。1つは、特定のファイバが腰部位置で通り抜けるように、孔内径を設計することである。そうでなければもう1つの方法は、ファイバのコアが原形を保つように、腰部位置で、ある特定の孔寸法に適合するために、入力ファイバのクラッド部分をエッチングすることである。孔に対するファイバの整合方法を問わず、故に最終的には、入力ファイバ又はより正確に言えば少なくともコアは、テーパー部の腰部領域33を通過している、という結果になる。また図4は、キャピラリ管31の腰部領域33内の、長さLの網掛け領域34も示す。この領域内ではキャピラリ管31が、入力ファイバ上まで縮径される。従って入力ファイバとキャピラリ孔との間の境界面は、前記網掛け領域34内では実質的になくなるので、この縮径は結果的に均質ガラス領域を引き起こす。キャピラリ管31は次に、縮径領域34内のある位置で切断できることは、当業者にとっては明白である。
【0036】
図5は、テーパー形の、縮径され、切断されたキャピラリ管31を示す。クリービングは、腰部33の長さLのわずかな縮径部分が、キャピラリ管31に残るように実行される。切断面35は次に、出力プロセスファイバの切断端と直接接合できる。
【0037】
図6は、切断平面35まで延伸する入力ファイバ310のコアを備えたテーパー型の、縮径され、切断されたキャピラリ管31を示す。その切断平面35に、出力ファイバ311の切断端が、接合されたものである。
【0038】
本カプラ構造の寸法は、縮径領域34の内部、すなわち切断平面35の入力ファイバのコアが、出力ファイバのコアの周囲より内側に位置するように設計される。図7aは、切断平面35の位置で取り上げられた断面例を示す。実線は、印のついた7本の入力ファイバ310のコア(番号72)を備えたキャピラリ管31の縮径端部(番号71)を示す。点線は、出力ファイバの外周及びコアの周囲を示す。図のように入力ファイバのコアは、出力ファイバのコアの周囲より内側に位置する。したがって、入力ファイバのコアから出力ファイバのコアへの光の低損失結合が可能となる。さらに光学的損失を最小に抑えるために、入力ファイバの開口数は、出力ファイバの開口数に等しいか、又は小さい必要がある。出力ファイバの屈折率プロファイルは、図7bに示される。
【0039】
腰部領域33の内部の入力ファイバは、前記くびれ領域でのキャピラリ孔に十分整合されるので、領域34内の縮径処置は、キャピラリに最小変形、すなわち寸法変化又は形状変化を生んでいる。したがって、入力ファイバのコアの寸法又は形状は、同様に実質的には不変である。これは、入力ファイバのコア内に移動している光放射は、縮径領域により影響されることがほとんどないことを意味する。したがって縮径領域は、光放射のビーム質を維持する。次に出力ファイバのコアでの放射の光輝度を決定するのは、入力ファイバのコア内での光の開口数(NA)と、出力ファイバのコア径と、それと連結した光パワーである。最後にこれは、出力ファイバでの輝度を最大にするために、コア充填率、すなわち入力ファイバのコアの全断面積と、出力ファイバのコアの断面積との比率を最大にする必要があるという点に達する。したがって、入力ファイバのコアをできるだけ密集したキャピラリ孔を有し、上記の幾何学的制限を備えた出力ファイバコア径を最小に抑えたい、と考える。
【0040】
図8は、別の可能なファイバ配置を示す。この例では、様々な2種類の径が異なる入力ファイバが使用される。内側ファイバ82は、好ましくはファイバレーザー、又は固体レーザーなどの強力なレーザー光源と結合し、外側ファイバ82’は、好ましくは半導体レーザー(例えば、ダイオードレーザー)などの、前記レーザー光源より強度の弱いレーザー光源と結合する。この光の焦点が中心にあるこのような配置は、金属溶接での利点を有する。例えば、ファイバレーザーからの放射は、共に金属を効率的に接合するために第一に熱源を形成する一方、ダイオードレーザーからの放射は、結合部周囲の金属を融解させるための熱源を提供して、そこに追加材料を供給することができる。この種の過程は、現在使用されているハイブリッド溶接方法、すなわちレーザーと非レーザーによる同時溶接方法を、純粋なレーザーによる溶接方法、あるいはさらに正確に言えば、ハイブリッドレーザー溶接方法と置き換えることができる。本発明の方法は、この種の結合ハイブリッドレーザー光源もまた効率的に生成する強固な方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の多孔キャピラリ管の断面を示す。
【図2】本発明の多孔キャピラリ管の別例を示す。
【図3】本発明の一実施例の製造の第一段階でのファイバ配置の側面図を示す。
【図4】本発明の一実施例の製造のさらに進んだ段階でのファイバ配置の側面図を示す。
【図5】本発明の一実施例の製造のさらにもっと進んだ段階でのファイバ配置の側面図を示す。
【図6】本発明の一実施例の製造の最終段階でのファイバ配置の側面図を示す。
【図7a】本発明のスプライシング面の位置で取り上げられた典型的断面例を示す。
【図7b】本発明の図7aのファイバの屈折率プロファイルを示す。
【図8a】本発明のスプライシング面の位置で取り上げられた別の典型的断面例を示す。
【図8b】本発明の図8aのファイバの屈折率プロファイルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキャピラリ孔を備えるテーパー状の支持プリフォームと、
コアと前記コアの周囲にクラッドを備え、前記支持プリフォームのキャピラリ孔と平行に配置される複数の入力ファイバと、
前記入力ファイバとの光接続で前記支持プリフォームのテーパー端部と結合した出力ファイバと、
を備える光ファイバ型コンバイナにおいて、
前記入力ファイバの少なくとも1本のクラッド厚のコア厚に対する比率は、前記支持プリフォームの領域で減少することを特徴とする光ファイバ型コンバイナ。
【請求項2】
少なくとも1本の前記入力ファイバのコア径は、前記支持プリフォームの領域で実質的に一定であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項3】
前記支持プリフォームのテーパー端部での少なくとも1本の前記入力ファイバのクラッド厚は、前記ファイバ型コンバイナに受入れられる少なくとも1本の前記入力ファイバのクラッド厚よりも、少なくとも20%、好ましくは40−95%、特に好ましくは60−90%小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項4】
前記支持プリフォームの孔もまた、テーパー状であって、前記プリフォームの孔径とプリフォーム径との比率は、好ましくは、実質的に一定であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項5】
前記支持プリフォームのテーパー端部の径は、前記出力ファイバの径よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項6】
前記入力ファイバは、ファイバレーザーのファイバであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項7】
前記支持プリフォームは、ガラスプリフォームであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項8】
少なくとも1本の前記入力ファイバのクラッド厚は、前記入力ファイバを前記支持プリフォームに挿入する前に、エッチングによって削減されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項9】
前記支持プリフォームのキャピラリ孔は、すべて同じ大きさであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項10】
前記支持プリフォームは、少なくとも2つの異なる大きさのキャピラリ孔を備え、好ましくは前記プリフォームの中央部分の孔は、前記プリフォームの縁領域の孔よりも径が小さいことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項11】
少なくとも1本の前記入力ファイバのクラッドは、前記支持プリフォームのテーパー端部で、前記支持プリフォームの内壁と溶融されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項12】
前記光ファイバ型コンバイナは、全ガラス型溶融部品であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項13】
前記出力ファイバのコアは、実質的に平坦な屈折率プロファイルを有することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項14】
前記出力ファイバのコアは、平坦でない屈折率プロファイルを有することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナ。
【請求項15】
入力ファイバを支持するプリフォームを使って、複数の前記入力ファイバから1本の出力ファイバへ放射を結合するための光カプラの製造方法において、前記プリフォームは複数のキャピラリ孔を備え、
コアと前記コアの周囲にクラッドを有する複数の入力ファイバを提供する方法、
前記キャピラリ孔に前記入力ファイバを挿入する方法、
前記支持プリフォーム内の前記入力ファイバの端部を、前記出力ファイバへ光学的に接続する方法、
を備え、
キャピラリ孔に前記入力ファイバを挿入する前に、その厚みを減らすために、前記入力ファイバのうちの少なくとも1本からクラッド材を除去することを特徴とする製造方法。
【請求項16】
前記支持プリフォームは、
実質的に一定の径の複数のキャピラリ孔を有する支持プリフォームを提供すること、
前記プリフォームの外径と孔径の両方とも局所的に減少するように、前記プリフォームを加熱、延伸することによって、前記支持プリフォームにテーパー部を形成すること、
によって製造されたテーパー状の支持プリフォームであることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記クラッド材の除去は、少なくとも1本の前記入力ファイバのコアが実質的に原形を保つように実行されることを特徴とする請求項15又は16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記クラッド材は、エッチングによって除去されることを特徴とする請求項15ないし17のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項19】
前記入力ファイバの当初クラッド厚に比べて、少なくとも20%、好ましくは40−95%、特に好ましくは60−90%まで前記クラッド厚を削減することを特徴とする請求項15ないし18のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項20】
前記支持プリフォームとしてガラスプリフォームを使用することを特徴とする請求項15ないし19のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項21】
少なくとも1本の前記入力ファイバを前記キャピラリ孔へ挿入後、前記支持プリフォームは、前記入力ファイバと密接に接触するために、少なくとも局所的に縮径されることを特徴とする請求項15ないし20のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項22】
前記入力ファイバを収容している前記支持プリフォームは、切断端部を形成するために切断され、
前記支持プリフォームの前記切断端部は、前記光接続を形成するために前記出力ファイバの端部と接合される、
ことを特徴とする請求項15ないし21のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項23】
前記支持プリフォームは、ガラスプリフォームの腰部を形成するために、熱で局所的に延伸され、
前記入力ファイバは、前記腰部を貫通するように、前記支持プリフォームの孔に挿入され、
前記腰部は、縮径され、
縮径された前記腰部は、前記入力ファイバに垂直な面で切断され、
もう1つの光学素子は、前記プリフォームの縮径端部と接合される、
ことを特徴とする請求項15ないし22のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項24】
前記支持プリフォーム内の前記入力ファイバの端部を、前記出力ファイバと光学的に接続する前に、前記入力ファイバは、前記支持プリフォームのキャピラリ孔の内壁と溶融されることを特徴とする請求項15ないし23のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項25】
数本のファイバレーザーからの光を、1本のファイバに結合する請求項1ないし14のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナの使用法、又は請求項15ないし24のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項26】
数本の非ファイバレーザーからの光を、1本のファイバに結合する請求項1ないし14のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナの使用法、又は請求項15ないし24のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項27】
数本のファイバレーザー及び、ダイオードレーザーなどの数本の非ファイバレーザーからの光を、1本のファイバに結合する請求項1ないし14のいずれか1つに記載の光ファイバ型コンバイナの使用法、又は請求項15ないし24のいずれか1つに記載の製造方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【公開番号】特開2009−145888(P2009−145888A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−313734(P2008−313734)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(507348746)
【Fターム(参考)】