説明

光信号を生体内測定するための光学プローブ

本発明は、入射光を案内する第1光ファイバと、入射光をサンプルに向けて合焦するとともに、サンプルからの変化光を集光するレンズと、変化光を案内する第2光ファイバと、入射光の強度の変動を測定する光ロギング装置とを備える、光信号を測定するための光学プローブにおいて、光ロギング装置は、第1光ファイバの後に位置付けられ、それによって光ロギング装置は、第1ファイバからの入射光の一部を受光することを特徴とする光学プローブに関する。この光学プローブは通常、光信号を生体内測定するために適用され、その第1の用途は、光学分光測定の分野であり、当該プローブによって測定された光信号は、例えば、ラマン、蛍光、燐光の吸収、拡散、及び透過に関する研究において、光信号をそのスペクトル成分に対して分析する装置と組み合わせて利用できる。本発明は、特に、ラマン分光法の領域に関するとともに、当該領域に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を生体内測定するための光学プローブに関する。本発明は、光学分光測定の分野に適用することができ、当該プローブによって測定された光信号は、例えば、ラマン、蛍光、燐光の吸収、拡散、及び透過に関する研究において、光信号をそのスペクトル成分に対して分析する装置と組み合わせて利用できる。本発明は、特に、ラマン分光法の領域に関するとともに、当該領域に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
分光法は、光を利用して分子スケールに関する情報を得る方法である。この情報は、検査した分子の回転状態、振動状態、及び/又は電子状態、並びに解離エネルギー等に関連付けることができる。ある分子の回転スペクトル及び/又は振動スペクトルは、当該分子に固有のものである。その結果、分子スペクトルは、ある特定の分子に関係付けられた「指紋」と称されることも多い。従って、分子の、特に回転状態、振動状態、及び/又は電子状態に関する情報は、多くの未知の分子成分を含むサンプルを分析することによってそのサンプルに含まれる分子成分に関する知識を得るために使用することができる。
【0003】
分光の構成は基本的に、サンプルを照射するために使用される光源、例えばレーザを有する。光源からの光(入射光)は、サンプルと相互作用し、多くの場合、サンプルを透過する光、サンプルから発光する光、サンプルによって反射される光、及び/又はサンプルによって散乱する光の変化をもたらす。この変化光を集光しそのスペクトル分布を分析することによって、入射光と分子サンプルとの間の相互作用に関する情報が得られ、よって、分子成分に関する情報が得られる。
【0004】
スペクトル分布は一般的に、分光器を使用して測定される。分光器は、向けられた光線を異なる周波数成分に分割して動作し、次いでそれらの成分の強度をCCD検出器や、CCDアレイ、フォトダイオード等を用いて測定する光学装置である。
【0005】
入射光と分子サンプルとの間の相互作用を反映する変化光は通常、発光又は散乱のいずれかとして特徴付けられる。発光信号は、通常非常に狭いスペクトル線を示す散乱光信号と比べて、比較的広いスペクトルプロファイルをもつ。一方のプロセスが他方に対して支配的であることもあるが、両プロセスは、同時に起こり得、また多くの場合同時に起こる。発光した光の強度対散乱光の強度は、中でも、入射光の周波数及びパワー、サンプル内の測定点における入射光の強度、及び、サンプル内の分子成分に依存する。
【0006】
発光とは、分子が、光源、例えばレーザからの光を吸収し、その後、再び光を発するプロセスを示す。発光した光は通常、入射光と比べて異なるスペクトル分布を有することを特徴とし、分子の電子状態の異なる回転及び/又は振動状態を反映した比較的広いスペクトル分布を有する。発光プロセスの大半は、蛍光又は燐光のいずれかとして特徴付けることができ、光の吸収及び発光に係る分子の電子状態のスピンが、蛍光プロセスでは同じだが、燐光プロセスでは異なる。一般的に、電子状態スピンの変換及び変化に基づき、蛍光は、分光可能なプロセスとして特徴付けることができる一方、燐光は、分光不可能なプロセスである。その結果、燐光信号の強度は通常、蛍光信号よりも非常に弱い。
【0007】
散乱光は、弾性的又は非弾性的のいずれかに分類することができ、分光学的に非常に狭い信号として特徴付けられる。弾性的な散乱は、レイリー散乱と称され、この散乱では周波数シフトがない、つまり、レイリー散乱は入射光と同じ周波数を有する。
【0008】
非弾性的な散乱の最も広く知られている例としては、ラマン散乱があり、この散乱では、分子と入射光のフォトンとの間でエネルギーの交換が行われる。ラマン散乱光の周波数、すなわち、スペクトル分布は、入射光とのそれとは異なり、分子のある特定の振動レベルを一意に反映しているため、指紋スペクトルである。このことは、検査した物質の分子組成及び/又は物質の特定の分子の濃度を特定するのに使用することができる。
【0009】
ラマン散乱は、レイリー散乱や蛍光と比べて、比較的弱いプロセスである。従って、ラマン散乱光を集光する際には、これら他のプロセスからの影響を減らすことが望ましい。また、ラマン散乱光の強度は、入射光の周波数及び強度に大きく依存する。従って、集光したラマン散乱光の分析に基づき、異なるサンプル及び/又はサンプルスポットにおける分子成分の分布に関する信頼に足る情報を得ようとする場合には、入射光のパワー変動を監視することが必須である。発光スペクトルに基づき、サンプル及び/又は異なるサンプルスポットにおける分子成分を分析する場合についても、同じことがいえる。
【0010】
変化光を集光し、その後の分析用の装置、例えば分光器にその変化光を向けるためには、光学プローブが必要である。これは通常、レンズ、ミラー、及びファイバといった様々な光学部品の組み合わせからなり、入射光用レッグと、変化光用レッグとを有することを特徴とする。
【0011】
マイクロスコープは、光学プローブとして使用又はその一部として組み込むことができる。マイクロスコープのマイクロスコープ対物レンズによって、入射光をサンプル上に合焦し、変化光を集光する。あるいは、第2のマイクロスコープ対物レンズを使用して変化光を集光してもよい。マイクロスコープ型光学プローブは、可動体ではないため、このようなプローブを用いて研究されるサンプルは、入射光の方向及びマイクロスコープ対物レンズの位置に応じて、マイクロスコープ内に挿入するか、マイクロスコープの頂部に載置する必要がある。体外採取されて例えばカバーガラスや他の種類の薄板上に載置されたサンプルが好ましく、またマイクロスコープで作業し易い。患者から血液サンプルを提供してもらうことで、患者の血糖値等を測定することができる。しかし、患者から血液サンプルを採取するためには、教育を受けた人が必要であり、その作業自体、患者にとって不快なものとなり得る。この体外方法の代替法として、患者が、自身の腕を、マイクロスコープのマイクロスコープ対物レンズの直下又は上に挿入し、血糖値の生体内測定を行うというものがある。残念ながら、これは、ほとんどのマイクロスコープでは、不可能ではないにしても煩雑である。
【0012】
マイクロスコープ全体ではなく、例えばテーブルに別体で搭載されたマイクロスコープ対物レンズのみを採用する光学プローブによって、プローブとサンプルとの間のアクセスがより容易になる。それほど苦労せずに患者の腕又は指をマイクロスコープ対物レンズの前に載置することが可能になるため、患者の血糖値の生体内測定がより便利になる。しかし、選択されたサンプルが脚の場合、マイクロスコープ対物レンズの前に適切に載置することがより難しい場合がある。さらに、子宮頸部の皮膚異常の生体内診断、すなわち、子宮頸癌の潜在的リスクの検査は、テーブル等に搭載されたマイクロスコープ対物レンズを用いて行うことはできない。
【0013】
その結果、光信号を生体内測定するために、可動性とともに可撓性を有する光学プローブが必要となる。これを解決する1つの方法は、プローブ内に、及び/又は、プローブから外部に、光を案内するためのファイバを採用することである。このような方法の様々な例は、文献にて見出すことができる。
【0014】
特許文献1に記載の光学プローブは、第一に、例えば癌による皮膚異常の診断の分野に適用することができ、サンプルに対して入射光を向けるとともにサンプルからの変化光を集光するためのファイバを基本的に有する。入射光は、サンプルに到達する前に広帯域フィルタを通過し、サンプルからの変化光は、マルチコアファイバに集光される。入射光用レッグ及び変化光集光用レッグは、互いに平行に配列され、どの光学部品も共有していない。
【0015】
特許文献2にある光学プローブは、入射光用レッグと、変化光集光用レッグとを備え、これら2つのレッグは、互いに平行に配列され、サンプルに光を合焦するとともにサンプルからの変化光を集光するための同一のレンズを共有している。レンズの前方に45°の角度で設置された光学フィルタによって、入射光を通過させる一方、サンプルからの変化光を反射することによって、2つの光学レッグを分離している。
【0016】
非特許文献1には、幾つかの異なる光学プローブが記載されている。これらのプローブは、光学合焦手段を有さないマルチコア・ファイバ・プローブである。これらのプローブの多くは、入射光用レッグと、変化光集光用レッグとを備え、これら2つのレッグは、互いに平行に配列されている。
【0017】
特許文献1、特許文献2、及び非特許文献1の全てには、可撓性及び可動性を有する光学プローブが記載されている。しかし、これらのプローブのいずれも、入射光の強度のばらつきを正確に考慮に入れていない。
【0018】
レーザ光をファイバに結合するプロセスは、レーザ光をファイバに対して合焦する角度、及び、レーザをファイバに対して合焦するレンズの焦点とファイバ自身との間の距離に対して非常に敏感である。ファイバから出射する光の強度のばらつきは、レーザ光をファイバに結合する際の効率によって変化する。その結果、サンプルからの変化光の強度の変化は、入射光の強度のばらつき及びサンプル内部のばらつきの両方を反映している。従って、単にサンプルのばらつきを反映する強度のバラツキパターンを得るためには、光がサンプルに合焦される直前に入射光の強度を正確に検知するための手段が必須である。特許文献1、特許文献2、及び非特許文献1に記載の光学プローブに共通していることは、いずれの文献もこの手段を提供していないことである。
【0019】
また、入射光がサンプルに合焦されると、変化光は、入射光の焦点からだけではなく、当該焦点の上方及び下方両方の円錐状領域からも出射する。従って、特許文献1、特許文献2、及び非特許文献1に記載のプローブで測定可能な光信号には、追加的な、そして多くの場合望ましくない、焦点の外側のサンプル領域からの影響が含まれることになる。ある種のアパーチャを採用する共焦点撮像が、焦点の上方及び下方のサンプルからの影響を受けることなく焦点でのスペクトル成分に関する正確な情報を得る1つの方法である。
【0020】
非特許文献2にある論文には、皮膚内の水分プロファイルを第一に生体測定するための光学プローブが記載されている。サンプルからの変化光を集光するためのレッグが、光ファイバを備えており、光をファイバに結合することによって、ファイバの小さいアパーチャ状の直径によって共焦点像を集光する手段を設けている。プローブは、入射光を発することが可能で、どちらもマイクロスコープ対物レンズによって皮膚に合焦される2つのレーザを備えている。入射光のための2本の線がファイバを使用しないため、マイクロスコープ対物レンズは、固定位置に搭載する必要がある。その結果、この検査構成を用いて検査することのできるサンプルスポット、すなわち皮膚領域へのアクセス性が減少する。なかでも、子宮頸部の皮膚異常の生体内診断、すなわち、子宮頸癌の潜在的リスクの検査は、この光学プローブを用いて行うことはできない。
【0021】
従って、可撓性を有し、ポータブルで、且つ入射光及びサンプルの焦点の外側からの望ましくない光信号の両方のばらつきを正確に考慮に入れることのできる、光信号を生体内測定するための光学プローブが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第5,842,995号
【特許文献2】米国特許第5,112,227号
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】In Journal of Biomedical Optics vol. 8, page 221−147 (2003)
【非特許文献2】Biophysical Journal vol. 85, page 572−580 (2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は、上記問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、入射光を案内する第1光ファイバと、入射光をサンプルに向けて(すなわち、サンプル内に、又はサンプル上に)合焦するとともに、サンプルからの変化光(例えば、散乱光及び/又は発光した光)を集光するレンズと、変化光を案内する第2光ファイバと、入射光の強度の変動を測定する光ロギング装置とを備える、光信号を測定するための光学プローブにおいて、光ロギング装置は、第1光ファイバの後に位置付けられ、それによって光ロギング装置は、第1ファイバからの入射光の一部を受光することを特徴とする光学プローブに関する。
【0026】
光学プローブ内において、光ロギング装置は通常、ダイクロイックミラーの後に位置付けられ、これにより、入射光のごく一部が、光ロギング装置上に、ダイクロイックミラーを通過するか、光ロギング装置上に、ダイクロイックミラーによって反射される。
【0027】
あるいは、分光器を、第1ファイバとダイクロイックミラーとの間に位置付けて、この分光器が入射光のごく一部を光ロギング装置上に反射させるようにしてもよい。
【0028】
光ロギング装置を使用することの1つの利点は、これによって、入射光の強度のばらつきの正確な測定が常に可能となることである。これによって確実に、変化光の強度のばらつきを、入射光のばらつきを反映せずサンプルのばらつきのみを反映したものとすることができる。
【0029】
本発明の一実施例において、サンプルに向けて入射光を合焦するレンズは、測定中レンズがサンプル(213)に直接接触するように光学プローブの表面に配置されている。
【0030】
測定中に直接接触するレンズを有することの利点は、サンプル侵入深さ及びそれによる光学プローブからサンプルの焦点への距離が、レンズの焦点距離によって決まるため、確実に知ることができることである。
【0031】
本発明の他の実施例において、光学プローブは窓をさらに備え、この窓は、測定中窓がサンプルに直接接触するようにレンズとサンプルとの間に位置付けられ、窓の厚さが、レンズの焦点距離よりも小さい。
【0032】
窓をレンズとサンプルとの間に挿入することの利点は、洗浄に対して敏感な壊れ易いレンズを使用する際に、光学プローブの洗浄が容易になることである。
【0033】
窓をレンズとサンプルとの間に挿入することの他の利点は、窓の厚さに応じて侵入深さを変更することができることである。これにより、適用する窓がレンズの焦点距離と比較できると、プローブを皮膚異常の測定に適用することができる。
【0034】
本発明に係る光学プローブは、第1光ファイバの後に位置付けられたダイクロイックミラーをさらに備え、ダイクロイックミラーは、入射光のうち、re_in=0〜100パーセントを反射するとともにtr_in=0〜100パーセントを透過し、ここで、re_in+tr_in=100パーセントであり、変化光のうち、re_se=0〜100パーセントを反射するとともにtr_se=0〜100パーセントを透過し、ここで、re_se+tr_se=100パーセントである。
【0035】
このダイクロイックミラーは、通常、第1光ファイバからの入射光の伝播方向に対して、45°の角度で位置付けられている。
【0036】
本発明の一実施例において、re_in≧90パーセントであり、tr_in≦10パーセントであり、re_se≦30パーセントであり、tr_se≧70パーセントであり、従ってダイクロイックミラーは、入射光の大部分を反射するとともに変化光の大部分を透過する。
【0037】
入射光の大部分がダイクロイックミラーによって反射される実施例において、光ロギング装置は、ダイクロイックミラーの後に位置付けられ、それによって光ロギング装置は、ダイクロイックミラーを透過した入射光の強度の変動を測定する。
【0038】
入射光の大部分を反射するダイクロイックミラーの直後に位置付けられた光ロギング装置を有することの利点は、それによって、ダイクロイックミラーによって透過される入射光のごく一部が、失われずに利用されることである。その結果、入射光の変動を測定するために光を集光するために、光学プローブの内部に追加の光学部品を挿入する必要が無くなる。
【0039】
本発明の一実施例において、re_in≦10パーセントであり、tr_in≧90パーセントであり、re_se≧70パーセントであり、tr_se≦30パーセントであり、従ってダイクロイックミラーは、入射光の大部分を透過するとともに変化光の大部分を反射する。
【0040】
入射光の大部分がダイクロイックミラーによって透過される実施例において、光ロギング装置は、ダイクロイックミラーの後に位置付けられ、それによって光ロギング装置は、ダイクロイックミラーによって反射された入射光の強度の変動を測定する
【0041】
入射光の大部分を透過するダイクロイックミラーの直後にある角度で位置付けられる光ロギング装置を有することの利点は、それによって、ダイクロイックミラーによって反射される入射光の一部が、失われずに利用されることである。その結果、入射光の変動を測定するための光を集光するために光学プローブの内部に追加の光学部品を挿入する必要が無くなる。
【0042】
入射光の大部分がダイクロイックミラーによって反射されるさらに他の実施例において、分光器が、第1光ファイバとダイクロイックミラーとの間に位置付けられ、それによって、光ロギング装置は、分光器によって光ロギング装置上に反射された入射光の強度の変動を測定する
【0043】
分光器は、ダイクロイックミラーが入射光のうちほぼ100パーセントを透過又は反射するために十分な量の入射光が光ロギング装置上に反射又は透過されない場合に有利である。
【0044】
本発明の一実施例において、第1光ファイバ(203)からの光の方向(239)と第2光ファイバ(227)に入射する光の方向(241)との間の角度はほぼα=90度である。この角度は、α=80〜100度とすることができる。
【0045】
本発明の一実施例において、光学プローブは、少なくとも1つの第1アパーチャをさらに備え、第1アパーチャは、サンプル内の焦点からの変化光のみを第2ファイバに入射させることによって共焦点像を確保し、第1アパーチャは、第2ファイバの直前に位置付けられる。このアパーチャは、別体の要素とすることができる。しかし、第2ファイバの狭い開口も、アパーチャとして同じ様に良好に機能することができる。
【0046】
第2ファイバの前に位置付けられた光学アパーチャを使用することの利点は、この光学アパーチャが、共焦領域すなわちサンプルの焦点の外側で発生した光学信号を除去する3Dデプスフィルタとして働くことである。共焦点光学プローブを使用することの利点は、第2ファイバに入射する変化光が、入射光と焦点におけるサンプルとの相互作用からのみ発生するため、焦点の上方及び下方の円錐状領域からの影響を除去することができることである。
【0047】
本発明の他の実施例において、1つ以上のアパーチャを追加的に採用してより鮮明な3D深さ画像を得ることもできる。第2アパーチャは、好ましくは、サンプルと光をサンプル内/上に合焦するレンズとの間に位置付けられる。この第2アパーチャは、別体の要素とすることができるが、レンズによって光が合焦・集光される点における光学プローブの狭い開口も、アパーチャとして同じ様に良好に機能することができる。
【0048】
本発明の一実施例において、光学プローブは、光信号を生体内測定するために適用される。あるいは、光学プローブを例えば血液サンプルに浸漬して光信号を測定することによって体外測定を行うために採用してもよい。
【0049】
通常、本発明に係る光学プローブ内にある光学素子は、カバーによって囲繞されている。光学プローブは、光学プローブへ及び光学プローブから光を案内するための可撓性を有するファイバの使用によって、自由に移動させることが可能である。
【0050】
光学プローブの第一の用途は、腕、指、又は脚等のような異なる身体領域を使用して、患者の血糖値を生体内測定することである。しかし、プローブは、例えば、ヘモグロビン、コレステロール、アルコール及び/又は薬物の血中レベル、又は、血液の温度及び/又は温度変化を測定するために使用することも可能である。あるいは、光学プローブは、子宮頸癌のリスクを診断する際に、子宮頸部に見られる皮膚層、皮膚の変形等からの光信号を生体内測定するために使用することも可能である。
【0051】
サンプルからの光学信号を集光する方法であって、光学プローブを用いて、サンプルに光源からの光を照射する工程と、当該光学プローブを用いて、サンプルからの変化光を集光する工程と、サンプルからの変化光のスペクトル成分を分析する工程とを含む方法が、通常、本発明に係る光学プローブを使用してサンプルからの光学信号を測定するために用いられる。
【0052】
本発明の一実施例において、光学プローブは、例えば、ラマン、蛍光、燐光の吸収、拡散、及び透過に関する研究において光信号をそのスペクトル成分に対して分析する装置と組み合わせて適用される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】光学プローブの適用を示す。
【図2】本発明に係る光学プローブの第1実施例を示す。
【図3】本発明に係る光学プローブの第2実施例を示す。
【図4】本発明に係る光学プローブの第3実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0054】
図1は、光信号を生体内測定するために光学プローブをどのように適用するかを示す。光学プローブ101は、光源103からの光を、第1ファイバ105を介して受光する。本発明の本実施例において、光源103は、レーザである。入射光は、サンプル107に照射され、サンプル107と相互作用する。ここで、サンプルによって変化した変化光は、光学プローブ101によって集光された後、第2ファイバ109を介して分光器111に案内される。分光器111は、その後のスペクトル成分の分析のためのコンピュータ113に接続されている。
【0055】
本発明の本実施例において、サンプルは患者の腕であるが、指やその他の身体部位であってもよい。同様に、測定は生体内で行われるものを示すが、光学プローブ101は、例えば血液サンプルに浸漬して光信号を測定することによって体外測定を行うために採用することもできる。
【0056】
通常、本発明に係る光学プローブ101内にある光学素子は、カバーによって囲繞され、そのカバーは、2つのファイバ105及び109のための少なくとも1つの開口と、サンプルを照射する光のための開口とを有している。後者の開口は、サンプルからの変化光を集光するためにも使用される。光学プローブ101は、光学プローブへ及び光学プローブから光を案内するための可撓性を有するファイバの使用によって、自由に移動させることが可能である。
【0057】
光学プローブ101の第一の用途は、腕、指、又は脚等のような異なる身体領域を使用して、患者の血糖値を生体内測定することである。しかし、プローブは、例えば、ヘモグロビン、コレステロール、アルコール及び/又は薬物の血中レベル、又は、血液の温度及び/又は温度変化を測定するために使用することも可能である。あるいは、光学プローブは、子宮頸癌のリスクを診断する際に、例えば子宮頸部内の皮膚層や皮膚の変形等からの光信号を生体内測定するために使用することも可能である。
【実施例1】
【0058】
図2は、光学プローブ201の第1実施例を示す。光学プローブ201は、光を光学プローブ201内に案内するための第1光ファイバ203を備える。本発明の本実施例によれば、光源は通常レーザである。第1ファイバ203から出射すると、入射光205は、第1レンズ207を用いてコリメートされ、レーザ周波数外の周波数のうち0〜100パーセントを遮蔽する第1フィルタ209を通過することによって、光学的に選別される。レーザ周波数外の周波数を遮蔽することによって、例えば、第1ファイバ203内に発生するラマン散乱を入射光205から確実に除去することができる。第1フィルタ209はまた、レーザ周波数のうち0〜100パーセントを遮蔽するようにしてもよい。これは、入射光205の強度がサンプルに必要なレベルよりも高過ぎる場合に有利である。第1フィルタ209は、好ましくは、バンドパスフィルタ、ノッチフィルタ、エッジフィルタ等である。
【0059】
光学プローブ201は、光の0〜100パーセントを反射又は透過するダイクロイックミラー211をさらに備える。ここで、反射または透過される光の割合は、ダイクロイックミラー211上のコーティング、ダイクロイックミラー211に光が当たる角度、及び光の周波数によって決まる。ダイクロイックミラー211には、例えば、ダイクロイックミラー211を入射光205の方向に対して所定の角度で位置付けた時に反射される入射光205の割合が最も高くなるように、コーティングを施すことができる。従って、ダイクロイックミラー211と入射光205との間の角度を変更することによって、ダイクロイックミラー211によって反射される入射光205の割合が減少する。
【0060】
本発明の本実施例において、入射光205の大部分は、ダイクロイックミラー211によって反射され、第2レンズ215によってサンプル213内に合焦される。入射光205の焦点217は、第2レンズ215の焦点距離218によって決まる。第2レンズ215は、好ましくは凸レンズであるが、平面レンズであってもよい。
【0061】
ダイクロイックミラー211は、この実施例において、入射光205の伝播方向に対して45°の角度で位置付けられている。その結果、入射光205の大部分は90°の角度で反射される。ダイクロイックミラー211はまた、0〜90°の角度で位置付けることができる。
【0062】
本発明の一実施例において、ダイクロイックミラー211によって反射及び透過される入射光205の割合はそれぞれ、re_in≧90及びtr_in≦10であり、ここで、re_in+tr_in=100パーセントである。
【0063】
本発明の他の実施例では、ダイクロイックミラー211によって反射及び透過される入射光205の割合はそれぞれ、re_in≧98及びtr_in≦2であり、ここで、re_in+tr_in=100パーセントである。
【0064】
光学プローブ201は、第2レンズ215とサンプル213との間に位置付けられた細い窓219をさらに備えていてもよい。窓219の厚さは、第2レンズ215の焦点距離218よりも小さい、つまり、第2レンズ215からサンプル213の内部の焦点217への距離よりも小さい。窓219は、第2レンズ215を保護するために適用することができ、これによって、光学プローブ201をサンプル213に接触させた後その光学プローブ201を容易に洗浄できるようになる。厚さの異なる複数の窓219を適用してもよく、これによって、サンプル侵入深さ220を変更できる。一般的なサンプル侵入深さ220は、第2レンズ215の焦点距離218及び窓219の厚さに応じて、1/10〜3mmの範囲内である。より短いサンプル侵入深さ220及びより長いサンプル侵入深さ220の両方を得ることもできる。
【0065】
本発明の他の実施例では、窓219が無く、第2レンズ215はサンプル213に直接接触している。一般的なサンプル侵入深さ220は、第2レンズ215の焦点距離218に応じて、1/10〜3mmの範囲内である。また、より短いサンプル侵入深さ220及びより長いサンプル侵入深さ220の両方を得て、第2レンズ215の明確に規定された焦点距離218を反映させることもできる。
【0066】
入射光205のサンプル213内/上への合焦に加えて、第2レンズ215は、サンプル213の内部の焦点217からの変化光221をコリメートする。この実施例において、ダイクロイックミラー211は、変化光221の大部分を透過するが、入射光205の後方散乱光を反射する。これによって、望ましくない周波数、すなわち、後方反射された入射光205の周波数を、変化光221から、フィルタリングする。後者は、サンプル213との相互作用の結果発生する。
【0067】
本発明の一実施例において、ダイクロイックミラー211によって反射及び透過される変化光221の割合はそれぞれ、re_se≦30及びtr_se≧70であり、ここで、re_se+tr_se=100パーセントである。
【0068】
本発明の他の実施例では、ダイクロイックミラー211によって反射及び透過される変化光221の割合はそれぞれ、re_se≦10及びtr_se≧90であり、ここで、re_se+tr_se=100パーセントである。
【0069】
変化光221は、当該光が第3レンズ225によって第2ファイバ227に合焦される前に、第2フィルタ223を通過することによって光学的にさらに選別される。第2フィルタ223は、好ましくは、バンドパスフィルタ、ノッチフィルタ、エッジフィルタ等であり、第2レンズ215によって集光される変化光221のうち0〜100パーセントを透過するとともに入射光の周波数に近い又は等しい周波数のうち0〜100パーセントを遮断することを特徴とする。これによって、サンプル213から散乱されるほぼ全てのラマン光を通過させると同時に、第2フィルタ223を通過する望ましくないレイリー散乱の割合が無視できる程度になる。
【0070】
蛍光のような発光を測定する場合、検出装置の飽和及び/又は損傷を避けるために、検出装置に達する光の強度を低減することが関心になることがある。これを実現するために、発光のうち100%未満を通過させる第2フィルタ223を採用することができる。
【0071】
本発明のこの実施例において、ダイクロイックミラー211は、入射レーザ光205の全ては反射しない。その代わり、ダイクロイックミラー211は、光のうちごく一部229を、光ロギング装置231上に透過させる。光ロギング装置231は、ダイクロイックミラー211を通過した後の光229の強度及び/又はパワーを検出する。光ロギング装置231は、フォトダイオード、CCD検出器、熱トランジスタ、又はそのような装置に案内するファイバ等とすることができる。
【0072】
光ロギング装置231を使用する1つの利点は、これによって、入射光205の強度のばらつきを常に正確に測定できるようになることである。これによって確実に、変化光221の強度のばらつきを、入射光のばらつきを反映せずサンプルのばらつきのみを反映したものとすることができる。
【0073】
光ロギング装置231を光学プローブ201に組み込み、第1ファイバ203からの入射光205を結合させるプロセスの後段に光ロギング装置231を位置付けることは、明らかな利点である。なぜなら、レーザ光をファイバに結合するプロセスは、レーザ光をファイバに合焦する角度、並びに、レーザをファイバに合焦するレンズの焦点とファイバ自身との間の距離の両方に対して非常に敏感だからである。そのため、ファイバから出射する光の強度のばらつきは、レーザ光がファイバに結合される効率によって変化する。従って、前述の特許/論文にあるようにレーザとファイバとの間に位置付けられた光ロギング装置を使用しても、サンプル内部に合焦された光の強度のばらつきを正確に測定することはできない。変化光の強度のばらつきは、サンプルのばらつきだけではなく、その代わり、これと入射光のばらつきとの組み合わせを反映する。この問題は、本発明に示すような光ロギング構成を使用することによって解決できる。
【0074】
上記光学要素に加えて、光学プローブ201は、第2ファイバ227の前に位置付けられた第1光学アパーチャ233を少なくとも備えていてもよい。第1光学アパーチャ233は、共焦領域すなわち焦点217の外部で発生した光学信号を除去する3Dデプスフィルタとして働く。共焦点光学プローブを使用することの利点は、第2ファイバ227に入射する変化光221が、焦点217における入射光205とサンプル213との相互作用によってのみ発生することである。従って、焦点217の上方及び下方の円錐状領域からの影響を除去できる。
【0075】
本発明のこの第1実施例によれば、第1アパーチャ233は、別体の要素として示されている。しかしながら、第2ファイバ227の狭い開口も、第1アパーチャ233として同じように良好に機能することができる。
【0076】
第1アパーチャ233に加えて、1つ以上のアパーチャを採用してより鮮明な3D深さ画像を得ることもできる。第2アパーチャ235は、好ましくは、第2レンズ215とサンプル213との間に位置付けられる。窓219が無く、第2レンズ215が凸レンズである好適な実施例において、サンプル213と第2レンズ215との間に位置付けられる薄い第2アパーチャ235があってもなお、第2レンズ215は、サンプル213に直接接触する。
【0077】
本発明のこの実施例において、第2アパーチャ235は、別体の要素として示されている。しかしながら、第2レンズ215によって光が合焦・集光される点における光学プローブ201の狭い開口も、第2アパーチャ235として同じように良好に機能することができる。
【0078】
この図に示すように、好ましくは、第3アパーチャ237を、第3レンズ225の直前に位置付けてもよい。これにより、3D深さ画像をさらに向上させることができる。
【0079】
2つのファイバ203及び227は通常、第1ファイバ203から出射する光の方向239と第2ファイバ227に入射する光の方向241とが互いに対して角度α=90°をなすように配置される。角度α≠90°となるような2つのファイバ203及び227の他の配置、及びその結果としてそれら(それぞれ239及び241)から出射する/それらに入射する光の方向も考えられるであろう。
【0080】
2つのファイバ203及び227は、好ましくはマルチモードファイバであるが、シングルモードファイバであってもよい。
【実施例2】
【0081】
図3は、本発明の第2実施例を示す。ここで、光学プローブ301は、光を光学プローブ301内に案内するための第1光ファイバ203と、入射光205をコリメートするための第1レンズ207と、入射光の周波数外の周波数のうち0〜100パーセントを遮断する第1フィルタ209と、入射光205をサンプル213に合焦し、サンプル213からの変化光221を集光するための第2レンズ215と、変化光221を光学的に選別するための第2フィルタ223と、変化光221を第2光ファイバ227に合焦するための第3レンズ225と、入射光の強度のばらつきを検出する光ロギング装置231と、を備える。
【0082】
2つのファイバ203及び227は、好ましくはマルチモードファイバであるが、シングルモードファイバであってもよい。2つのファイバ203及び227は、通常、第1ファイバ203から出射する光の方向239と第2ファイバ227に入射する光の方向241とが互いに対して直角をなすように配置される。2つのファイバ203及び227の配置の代替策、及びその結果としてそれらから出射する/それらに入射する光の方向も考えられるであろう。
【0083】
2つのフィルタ209及び223は、通常、バンドパスフィルタ、ノッチフィルタ、エッジフィルタ等である。第2レンズ215は、好ましくは凸レンズであるが、平面レンズであってもよい。
【0084】
光学プローブ301は、光の0〜100パーセントを反射又は透過するダイクロイックミラー303をさらに備える。ダイクロイックミラー303は、この実施例において、入射光205の伝播方向に対して45°の角度で位置付けられているが、0〜90°のどの角度で位置付けられてもよい。
【0085】
本発明の第2実施例によれば、ダイクロイックミラー303によって、入射光205の大部分はダイクロイックミラー303を透過し、光ロギング装置231によって検出される、入射光のごく一部229のみが反射される。
【0086】
変化光221は、ダイクロイックミラー303によって、約90度の角度で反射される。
【0087】
本発明の一実施例において、ダイクロイックミラー303によって反射及び透過される入射光205の割合はそれぞれ、re_in≦30及びtr_in≧70であり、ダイクロイックミラー303によって反射及び透過される変化光221の割合はそれぞれ、re_se≧70及びtr_se≦30である。ここで、re_in+tr_in=100パーセントであり、re_se+tr_se=100パーセントである。
【0088】
本発明の他の実施例において、ダイクロイックミラー303によって反射及び透過される入射光205の割合はそれぞれ、re_in≦10及びtr_in≧90であり、ダイクロイックミラー303によって反射及び透過される変化光221の割合はそれぞれ、re_se≧90及びtr_se≦10である。ここで、re_in+tr_in=100パーセントであり、re_se+tr_se=100パーセントである。
【0089】
光学プローブ301は、任意ではあるが、第2レンズ215とサンプル213との間に位置付けられる細い窓219と、第1光学アパーチャ233と、第2レンズ215とサンプル213との間に通常位置付けられる第2アパーチャ235と、第3レンズ225の直前に通常位置付けられる第3アパーチャ237とをさらに備えていてもよい。本発明のこの第2実施例によれば、アパーチャ233及び235は別体の要素として示されている。しかしながら、第2ファイバ227の狭い開口も、第1アパーチャ233として同じように良好に機能することができ、第2レンズ215によって光が合焦・集光される点における光学プローブ301の狭い開口も、第1アパーチャ233として同じように良好に機能することができる。
【0090】
一般的なサンプル侵入深さ220は、第2レンズ215の焦点距離218及び、窓219が光学プローブ301の一部である場合にはその窓219の厚さに応じて、1/10〜3mmの範囲内である。より短いサンプル侵入深さ220及びより長いサンプル侵入深さ220の両方を得ることもできる。
【0091】
光学プローブ301による利点は、図2に示した光学プローブ201に関連して説明したものと同様である。
【実施例3】
【0092】
図4は、本発明の第3実施例を示す。ここで、光学プローブ401は、光を光学プローブ301内に案内するための第1光ファイバ203と、入射光205をコリメートするための第1レンズ207と、入射光の周波数外の周波数のうち0〜100パーセントを遮蔽する第1フィルタ209と、入射光205をサンプル213に合焦しサンプル213からの変化光221を集光する第2レンズ215と、変化光221を光学的に選別するための第2フィルタ223と、変化光221を第2光ファイバ227に合焦するための第3レンズ225と、入射光の強度のばらつきを検出する光ロギング装置231と、を備える。
【0093】
2つのファイバ203及び227は、好ましくはマルチモードファイバであるが、シングルモードファイバであってもよい。2つのファイバ203及び227は、通常、第1ファイバ203から出射する光の方向239と第2ファイバ227に入射する光の方向241とが互いに対して直角をなすように配置される。2つのファイバ203及び227の配置の代替策、及びその結果としてそれらから出射する/それらに入射する光の方向も考えられるであろう。
【0094】
2つのフィルタ209及び223は、通常、バンドパスフィルタ、ノッチフィルタ、エッジフィルタ等である。第2レンズ215は、好ましくは凸レンズであるが、平面レンズであってもよい。
【0095】
光学プローブ401は、光の0〜100パーセントを反射又は透過するダイクロイックミラー403をさらに備える。ダイクロイックミラー403は、この実施例において、入射光205の伝播方向に対して45°の角度で位置付けられているが、0〜90°のどの角度で位置付けられてもよい。
【0096】
本発明の第3実施例によれば、ダイクロイックミラー403によって、入射光205の大部分は、90度の角度で、サンプル213上に反射され、変化光221は、ダイクロイックミラー403を透過する。あるいは、ダイクロイックミラー403は、入射光205の大部分を透過するとともに、サンプル213からの変化光221の大部分を反射するようにしてもよい。この場合、サンプル213及びサンプル213の直前に位置付けられた光学要素(215,219,及び235)は、図3に示す光学プローブの第2実施例に図示されるように位置付けられる。
【0097】
第1及び第2実施例とは対照的に、光ロギングに使用される、入射光のごく一部229を、ダイクロイックミラー403を通過又はダイクロイックミラー403によって反射された後に集光しない。その代わり、第1フィルタ209とダイクロイックミラー403との間に位置付けられた光学分光器405を採用して、入射光のごく一部229を光ロギング装置231上に向ける。分光器405は、ビームスプリッタ、入射光のほとんどを透過させるダイクロイックミラー、低密度フィルタ等とすることができる。
【0098】
光学プローブ201は、任意ではあるが、第2レンズ215とサンプル213との間に位置付けられる細い窓219と、第1光学アパーチャ233と、第2レンズ215とサンプル213との間に通常位置付けられる第2アパーチャ235と、第3レンズ225の直前に通常位置付けられる第3アパーチャ237とをさらに備えていてもよい。本発明のこの第2実施例によれば、アパーチャ233及び235は別体の要素として示されている。しかしながら、第2ファイバ227の狭い開口も、第1アパーチャ233として同じように良好に機能することができ、第2レンズ215によって光が合焦・集光される点における光学プローブ201の狭い開口も、第1アパーチャ233として同じように良好に機能することができる。
【0099】
一般的なサンプル侵入深さ220は、第2レンズ215の焦点距離218及び、窓219が光学プローブ401の一部である場合にはその窓219の厚さに応じて、1/10〜3mmの範囲内である。より短いサンプル侵入深さ220及びより長いサンプル侵入深さ220の両方を得ることもできる。
【0100】
光学プローブ401による利点は、図2に示した光学プローブ201に関連して説明したものと同様である。
【0101】
光学プローブ201,301,及び401は全て、内部の光学要素が互いに非常に近接して位置付けられるように構成される。従って、図2〜4は、単に例示目的のものであり、種々の光学要素間の正確な距離を示すものではない。
【0102】
光学プローブの内部に光学要素を可能な限り近接して配置することの利点は、入射光及び/又は変化光の回折による影響が軽減されるため、サンプル上の焦点における入射光の強度と、変化光が集光される効率との両方が、この特徴によって向上することである。
【符号の説明】
【0103】
101 光学プローブ
103 光源、例えば、レーザ
105 第1ファイバ
107 サンプル、すなわち、患者の腕
109 第2ファイバ
111 分光器
113 コンピュータ

201 第1実施例に係る光学プローブ
203 第1ファイバ
205 入射光
207 第1レンズ
209 第1フィルタ
211 ダイクロイックミラー
213 サンプル
215 第2レンズ
217 焦点
218 第1レンズの焦点距離
219 窓
220 侵入深さ
221 変化光
223 第2フィルタ
225 第3レンズ
227 第2ファイバ
229 光ロギングに使用される、入射光のごく一部
231 光ロギング装置
233 第1アパーチャ
235 第2アパーチャ
237 第3アパーチャ
239 第1ファイバから出射する光の方向
241 第2ファイバに入射する光の方向

301 第2実施例に係る光学プローブ
303 ダイクロイックミラー

401 第3実施例に係る光学プローブ
403 ダイクロイックミラー
405 光学分光器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を案内する第1光ファイバ(203)と、
入射光をサンプル(213)に向けて合焦するととともに、前記サンプル(213)からの変化光を集光するレンズ(215)と、
変化光を案内する第2光ファイバ(227)と、
前記入射光の強度の変動を測定する光ロギング装置(231)と
を備える、光信号を測定するための光学プローブにおいて、
前記光ロギング装置(231)は、前記第1光ファイバ(203)の後に位置付けられ、それによって前記光ロギング装置(231)は、前記第1ファイバ(203)からの前記入射光の一部を受光することを特徴とする光プローブ。
【請求項2】
前記レンズ(215)は、測定中前記レンズ(215)が前記サンプル(213)に直接接触するように前記光学プローブの表面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学プローブ。
【請求項3】
前記光学プローブは窓(219)をさらに備え、前記窓(219)は、測定中前記窓(219)が前記サンプル(213)に直接接触するように前記レンズ(215)と前記サンプル(213)との間に位置付けられ、前記窓(219)の厚さが、前記レンズ(218)の焦点距離よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の光学プローブ。
【請求項4】
前記光学プローブは、前記第1光ファイバ(203)の後に位置付けられたダイクロイックミラー(211,303,又は403)をさらに備え、
前記ダイクロイックミラー(211,303,又は403)は、
前記入射光のうち、re_in=0〜100パーセントを反射するとともにtr_in=0〜100パーセントを透過し、ここで、re_in+tr_in=100パーセントであり、
前記変化光のうち、re_se=0〜100パーセントを反射するとともにtr_se=0〜100パーセントを透過し、ここで、re_se+tr_se=100パーセントであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学プローブ。
【請求項5】
前記ダイクロイックミラー(211,303,又は403)は、前記第1光ファイバ(203)からの前記入射光の伝播方向に対して、45°の角度で位置付けられていることを特徴とする請求項4に記載の光学プローブ。
【請求項6】
re_in≧90パーセントであり、tr_in≦10パーセントであり、re_se≦30パーセントであり、tr_se≧70パーセントであることを特徴とする請求項4又は5に記載の光学プローブ。
【請求項7】
前記光ロギング装置(231)は、前記ダイクロイックミラー(211)の後に位置付けられ、それによって前記光ロギング装置(231)は、前記ダイクロイックミラー(211)を透過した前記入射光の強度の変動を測定することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の光学プローブ。
【請求項8】
re_in≦10パーセントであり、tr_in≧90パーセントであり、re_se≧70パーセントであり、tr_se≦30パーセントであることを特徴とする請求項4又は5に記載の光学プローブ。
【請求項9】
前記光ロギング装置(231)は、前記ダイクロイックミラー(303)の後に位置付けられ、それによって前記光ロギング装置(231)は、前記ダイクロイックミラー(303)によって反射された前記入射光の強度の変動を測定することを特徴とする請求項4,5,及び8のいずれか一項に記載の光学プローブ。
【請求項10】
分光器(405)が、前記第1光ファイバ(203)と前記ダイクロイックミラー(403)との間に位置付けられ、それによって、前記光ロギング装置(231)は、前記分光器(405)によって前記光ロギング装置(231)上に反射された前記入射光の強度の変動を測定することを特徴とする請求項4〜9のいずれか一項に記載の光学プローブ。
【請求項11】
前記第1光ファイバ(203)からの光の方向(239)と前記第2光ファイバ(227)に入射する光の方向(241)との間の角度はα=90度であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学プローブ。
【請求項12】
前記光学プローブは、少なくとも1つの第1アパーチャ(235)をさらに備え、前記第1アパーチャ(235)は、前記サンプル(213)内の焦点(217)からの変化光のみを前記第2ファイバ(227)に入射させることによって共焦点像を確保し、前記第1アパーチャ(235)は、前記第2ファイバ(227)の直前に位置付けられていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学プローブ。
【請求項13】
前記光学プローブは、光信号を生体内測定するために適用されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の光学プローブ。
【請求項14】
サンプル(107)からの光学信号を集光する方法であって、
請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学プローブ(101)を用いて、前記サンプル(107)に光源(103)からの光を照射する工程と、
前記光学プローブ(101)を用いて、前記サンプル(107)からの変化光を集光する工程と、
前記サンプルからの前記変化光のスペクトル成分を分析する工程と
を含む方法。
【請求項15】
前記光学プローブ(101)は、例えば、ラマン、蛍光、燐光の吸収、拡散、及び透過に関する研究において光信号をそのスペクトル成分に対して分析する装置(111)と組み合わせて適用されることを特徴とする請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−519862(P2012−519862A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553283(P2011−553283)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/DK2009/000064
【国際公開番号】WO2010/102621
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511220474)アールエスピー システムズ アクティーゼルスカブ (2)
【Fターム(参考)】