光吸収性マスクを有する装置
【課題】透明な基板上に形成された少なくとも1つの光コンポーネントを有する光デバイスを提供すること。
【解決手段】基板(102)と、基板上に形成された第1及び第2の光コンポーネントとを有する光デバイスであって、第1の光コンポーネント(104)は、2つのモードを有し、各モードは、第1の光コンポーネントに入射した光に対する別々の光学的応答を生じ、第2の光コンポーネント(108)は、光を吸収し、第1のコンポーネントが形成される前に基板上に形成される。
【解決手段】基板(102)と、基板上に形成された第1及び第2の光コンポーネントとを有する光デバイスであって、第1の光コンポーネント(104)は、2つのモードを有し、各モードは、第1の光コンポーネントに入射した光に対する別々の光学的応答を生じ、第2の光コンポーネント(108)は、光を吸収し、第1のコンポーネントが形成される前に基板上に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイスに関する。特に、本発明は、微小光電子機械デバイス及びこれを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、多種多様な光デバイス、例えば微小電子機械システム(MEMS)デバイスを微細加工及び微小電子作製法を用いて作製できる。
例えば、或る場合には、MEMSデバイスは、光コンポーネントを有し、特に微小光電子機械システム、即ち“MOEMS”デバイスと呼ばれている。かかるMOEMSデバイスの一例は、米国特許第5,835,255号明細書に記載された分岐干渉変調器(IMOD)デバイスである。米国特許第5,835,255号のIMODデバイスをアレイ状に作製し反射ディスプレイに用いることができ、各IMODは、所望の光学的応答を生じさせる画素として機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
所望の光学的応答を向上させるため、IMODの或る特定の非アクティブ領域からの反射周辺光の影響を減少させることが必要である。かくして、IMODのこれら非アクティブ領域は、光吸収性であるよう作られることが必要であり、このことは、一般に光デバイスを覆い隠し又は光デバイス中に光吸収性非アクティブ領域を作る必要性を示している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一特徴によれば、透明な基板上に形成された少なくとも1つのアクティブな光コンポーネントを有する光デバイスを作製する方法であって、光吸収性を呈すべき基板の領域を決定する工程を有し、決定された領域は、少なくとも1つのアクティブな光コンポーネントから側方にずれており、前記方法は、少なくとも1つのアクティブな光コンポーネントの作製前に光吸収性マスクを決定された領域上に作製する工程を更に有していることを特徴とする方法が提供される。
【0005】
本発明の第2の特徴によれば、光デバイスであって、基板と、基板上に形成された第1及び第2の光コンポーネントとを有し、第1の光コンポーネントは、2つのモードを有し、各モードは、第1の光コンポーネントに入射した光に対する別々の光学的応答を生じ、第2の光コンポーネントは、光を吸収し、第1のコンポーネントが形成される前に基板上に形成されることを特徴とするデバイスが提供される。
【0006】
本発明の第3の特徴によれば、光デバイスを微細加工する方法であって、光を吸収する静的光コンポーネントを基板上に形成する工程と、動的光コンポーネントを静的光コンポーネントに隣接して形成する工程とを有し、動的光コンポーネントは、駆動状態及び非駆動状態を有し、各状態は、入射光に対する特徴的な光学的応答を有することを特徴とする方法が提供される。
【0007】
本発明の別の特徴によれば、光デバイスであって、基板と、基板上に設けられた光を吸収する静的光コンポーネントと、静的光コンポーネントに隣接して設けられた動的光コンポーネントとを有し、動的光コンポーネントは、駆動及び非駆動状態を有し、各状態は、入射光に対して特徴的な光学的応答を有することを特徴とするデバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に従って覆い隠された非アクティブ領域を有するディスプレイの端面図である。
【図2】本発明の一実施形態に従ってブラックマスク又は光吸収性領域を有するMEMSデバイスの断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態に従ってブラックマスク又は光吸収性領域を有するMEMSデバイスの別の実施形態を示す図である。
【図4】図2のMEMSデバイスの光吸収性又はブラックマスク層を構成する種々の層を示す図である。
【図5A】本発明によるMEMSデバイスの作製における一工程を示す図である。
【図5B】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【図5C】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【図5D】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【図5E】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【図5F】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【図5G】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、説明の目的上、本発明の完全な理解を得るために多くの特定の細部が記載されている。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれら特定の細部無しに実施できることは明らかであろう。
本明細書において「一実施形態」又は「実施形態」という場合、これは、当該実施形態と関連して説明する特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。本明細書の種々の箇所で文言「一実施形態では(において)」が見えることは、必ずしも全て同一の実施形態を引き合いに出しているとは限らず、別個の又は変形実施形態が相互に他の実施形態を排除するものではない。さらに、実施形態によっては示され、実施形態によっては示されない種々の特徴が記載される。これと同様に、実施形態によっては必要条件であり、実施形態によってはそうではない種々の必要条件が記載される。
【0010】
本発明は、一実施形態では、静的光コンポーネント及び動的光コンポーネントを有するMOEMSデバイスの形態をしたMEMSデバイスを開示し、静的光コンポーネントは、周辺光又は迷光を吸収し、それにより動的光コンポーネントの光学的応答を向上させる「ブラックマスク」として役立つ。
IMODを含むMEMSデバイスを用いて本発明を説明するが、本発明は、光吸収性であることが必要であるが、IMODを含まない非アクティブ領域を有する他の光デバイス、例えば一般にイメージングディスプレイや光電子デバイスを含むことは理解されるべきである。
【0011】
次に図面のうち図1を参照すると、ディスプレイデバイス100の端面図が示されている。ディスプレイ100の多くのコンポーネントは、本発明を不明瞭にしないよう省かれていることは理解されるべきである。ディスプレイデバイス100は、IMODデバイス104の形態をした2つのアクティブな光コンポーネントを含み、IMODデバイスは代表的には、矢印104で示された方向で基板102に向かって駆動されると、所望の光学的応答を生じさせる反射膜の構成体から成る。IMODデバイス104の動作原理は、米国特許第5,835,255号明細書に記載されており、かかる米国特許明細書の記載内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。参照符号108は、IMODデバイス104の非アクティブ領域を示しており、これら非アクティブ領域は、光吸収性であり又は「ブラックマスク」として機能することが必要とされ、したがって、見る人が矢印110で示された方向からディスプレイ100を見ると、IMODデバイス104により生じた実際の光学的応答が非アクティブ領域108からの周辺光の反射によっては劣化しないようになる。
【0012】
各非アクティブ領域108を、光を吸収し又は減衰させる光学的応答を有するよう選択された材料で作製するのがよい。本発明の実施形態によれば、各非アクティブ領域108を薄膜のスタックとして作製するのがよい。例えば、一実施形態では、薄膜のスタックは、以下に詳細に説明するように、2つの光反射クロム層相互間にサンドイッチされた非光吸収性誘電体層から成るのがよい。他の実施形態では、非アクティブ領域108は、光を減衰させ又は吸収する有機材料又は無機材料の単一の層から成っていてもよい。
【0013】
図面の図2は、本発明の一実施形態のIMODデバイス200の断面図である。IMODデバイス200は、クロム反射層204、酸化シリコン層206、空隙208及び基板202上に作製されたメカニカルメンブレン210から成るアクティブなコンポーネントを有する。メカニカルメンブレン210は、ポリマー支柱212によって支持されている。使用に当たり、機械的メンブレン210を駆動して酸化シリコン層206に接触させ、それにより矢印214で示された方向から見たときに、所望の光学的応答を生じさせる。
ポリマー支柱212が形成された各IMOD200の領域は、IMODのアクティブなコンポーネントの一部ではなく、したがって、アクティブなIMODコンポーネントの所望の光学的応答を妨害する迷光又は周辺光を減少させるために光吸収性である必要がある。これら非アクティブ領域は、円で囲んだ領域216により示された静的コンポーネントを定め、光吸収性である光学的性質を有するように選択された膜のスタックを形成するよう作製される。一実施形態では、本発明は、基板202のうちどの領域が光吸収性であることが必要であるかを決定する工程及びIMODのアクティブな光コンポーネントを形成する前に光吸収性又はブラックマスクを決定された領域上に作製する工程を含む。ブラックマスクは、薄膜のスタックを含むのがよく、この薄膜のスタックは、一実施形態では、クロムベース218、酸化物中間層220及びクロム層204を有するのがよい。
【0014】
次に図面の図3を参照すると、参照符号300は、本発明の一特徴としてのIMODデバイスの別の実施形態を全体的に示している。IMODデバイス300は、IMODデバイス200と類似しており、したがって、同一又は類似の参照符号が同一又は類似のコンポーネントを示すために用いられている。IMOD300とIMOD200の主要な差は、ポリマー支柱212全体が光吸収性又はブラックマスクとして有効に機能する有機材料、例えばフォトデフィニション(photodefinition)又は光規定可能なブラック樹脂、例えばブリューワ・サイエンス・インコーポレイテッド製のDARC100として知られている材料で構成されていることにある。IMOD300の一利点は、支柱212が2つの機能を果たすということにある。第1に、支柱212は、メカニカルメンブレン210の機械的支持体としての役目を果たす。第2に、支柱212は、IMODを覆い隠し又はIMODの光吸収性非アクティブ領域を形成する光マスクとしての役目を果たす。
【0015】
図4は、本発明の一実施形態としての薄膜ブラックマスクを構成する種々の層が示された略図である。
図4を参照すると、薄膜ブラックマスク402が、基板400上に作製された状態で示されている。ブラックマスク402は、3つの膜の層から成り、これら膜の層は、クロム層404、酸化シリコン層406及びアルミニウム層408から成っている。ブラックマスクを作製するために種々の材料を選択することができる。一実施形態では、ブラックマスクを構成する膜は、アクティブなIMODコンポーネントの作製に用いられたものと同一の膜であり、かくして、同一の被着パラメータを用いて非アクティブな及びアクティブなコンポーネントを作製することができる。
【0016】
次に、図面の図5A〜図5Gを参照して薄膜ブラックマスク402の製造の種々の工程を説明する。
図5Aを参照すると、ガラス基板500を作製する初期準備工程後、例えばクリーニングされた反射クロム層502を例えば基板500上にスパッタ被覆することにより被着させる。一実施形態では、クロム層502の厚さは、約60オングストロームであるのがよい。
【0017】
しかる後、従来技術を用いてクロム層502にパターン付けしてこれを現像し、それにより後にクロムの露出部を残し、このクロムの露出部は、ブラックマスクとして役立つ薄膜スタックのためのベース層として役立つことになる(図5B参照)。
次に、代表的には約300〜800オングストロームのブラックマスク酸化物層、例えばSiO2をスパッタ被覆により被着させる。ブラックマスク酸化物層の厚さは、必要とされるブラック(black )状態の品質で決まる。
次に、別の反射クロム層506をブラックマスク酸化物層504上にスパッタ被覆する。層506の厚さは代表的には約60オングストロームであり、その正確な厚さは、最終的に得られるディスプレイの所要のブライトネスで決まり、薄い層は、より明るいディスプレイを生じさせる。
しかる後、層508,510をそれぞれ層506にスパッタ被覆する。層508は、酸化シリコンから成り、厚さが約300〜800オングストロームであり、これに対し、層510は、モリブデンから成る犠牲層であり、厚さは代表的には約0.2〜1.2ミクロンであろう。かくして、層504〜510は、図5Cで理解できるように基板502上の厚い膜スタックを構成する。
【0018】
図5Dを参照すると、パターン付け及びエッチング工程を実施して、薄膜スタックを通ってクロム露出部502まで延びる凹部512を形成する。
図5Eを参照すると、ポリマー支柱514を凹部512内に形成するが、その手段として、ネガ型のフォトレジスト材料、例えばフューチュレックス・インコーポレイテッド製のNR7−350Pと呼ばれている材料を薄膜スタック上に回転塗布し、これを適当なマスクを介して露出させ、そして現像して支柱514を形成する。これら工程は、従前通りであり、したがってこれ以上説明しない。
【0019】
次に図5Fを参照すると、一実施形態では、アルミニウム合金から成るメカニカルメンブレン516を、モリブデン層510にスパッタ被覆することにより被着させる。
しかる後、モリブデン層510をエッチングし、後に図面図5Gに示すように空隙516を残す。
本発明を特定の例示の実施形態に関して説明したが、特許請求の範囲い記載された本発明の最も広い精神から逸脱することなくこれら実施形態について種々の改造例及び変更例を想到できることは明らかである。したがって、明細書及び図面の記載は、本発明を限定するものではなく説明のためであると解される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイスに関する。特に、本発明は、微小光電子機械デバイス及びこれを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、多種多様な光デバイス、例えば微小電子機械システム(MEMS)デバイスを微細加工及び微小電子作製法を用いて作製できる。
例えば、或る場合には、MEMSデバイスは、光コンポーネントを有し、特に微小光電子機械システム、即ち“MOEMS”デバイスと呼ばれている。かかるMOEMSデバイスの一例は、米国特許第5,835,255号明細書に記載された分岐干渉変調器(IMOD)デバイスである。米国特許第5,835,255号のIMODデバイスをアレイ状に作製し反射ディスプレイに用いることができ、各IMODは、所望の光学的応答を生じさせる画素として機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
所望の光学的応答を向上させるため、IMODの或る特定の非アクティブ領域からの反射周辺光の影響を減少させることが必要である。かくして、IMODのこれら非アクティブ領域は、光吸収性であるよう作られることが必要であり、このことは、一般に光デバイスを覆い隠し又は光デバイス中に光吸収性非アクティブ領域を作る必要性を示している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一特徴によれば、透明な基板上に形成された少なくとも1つのアクティブな光コンポーネントを有する光デバイスを作製する方法であって、光吸収性を呈すべき基板の領域を決定する工程を有し、決定された領域は、少なくとも1つのアクティブな光コンポーネントから側方にずれており、前記方法は、少なくとも1つのアクティブな光コンポーネントの作製前に光吸収性マスクを決定された領域上に作製する工程を更に有していることを特徴とする方法が提供される。
【0005】
本発明の第2の特徴によれば、光デバイスであって、基板と、基板上に形成された第1及び第2の光コンポーネントとを有し、第1の光コンポーネントは、2つのモードを有し、各モードは、第1の光コンポーネントに入射した光に対する別々の光学的応答を生じ、第2の光コンポーネントは、光を吸収し、第1のコンポーネントが形成される前に基板上に形成されることを特徴とするデバイスが提供される。
【0006】
本発明の第3の特徴によれば、光デバイスを微細加工する方法であって、光を吸収する静的光コンポーネントを基板上に形成する工程と、動的光コンポーネントを静的光コンポーネントに隣接して形成する工程とを有し、動的光コンポーネントは、駆動状態及び非駆動状態を有し、各状態は、入射光に対する特徴的な光学的応答を有することを特徴とする方法が提供される。
【0007】
本発明の別の特徴によれば、光デバイスであって、基板と、基板上に設けられた光を吸収する静的光コンポーネントと、静的光コンポーネントに隣接して設けられた動的光コンポーネントとを有し、動的光コンポーネントは、駆動及び非駆動状態を有し、各状態は、入射光に対して特徴的な光学的応答を有することを特徴とするデバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に従って覆い隠された非アクティブ領域を有するディスプレイの端面図である。
【図2】本発明の一実施形態に従ってブラックマスク又は光吸収性領域を有するMEMSデバイスの断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態に従ってブラックマスク又は光吸収性領域を有するMEMSデバイスの別の実施形態を示す図である。
【図4】図2のMEMSデバイスの光吸収性又はブラックマスク層を構成する種々の層を示す図である。
【図5A】本発明によるMEMSデバイスの作製における一工程を示す図である。
【図5B】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【図5C】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【図5D】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【図5E】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【図5F】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【図5G】本発明によるMEMSデバイスの作製における別の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、説明の目的上、本発明の完全な理解を得るために多くの特定の細部が記載されている。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれら特定の細部無しに実施できることは明らかであろう。
本明細書において「一実施形態」又は「実施形態」という場合、これは、当該実施形態と関連して説明する特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。本明細書の種々の箇所で文言「一実施形態では(において)」が見えることは、必ずしも全て同一の実施形態を引き合いに出しているとは限らず、別個の又は変形実施形態が相互に他の実施形態を排除するものではない。さらに、実施形態によっては示され、実施形態によっては示されない種々の特徴が記載される。これと同様に、実施形態によっては必要条件であり、実施形態によってはそうではない種々の必要条件が記載される。
【0010】
本発明は、一実施形態では、静的光コンポーネント及び動的光コンポーネントを有するMOEMSデバイスの形態をしたMEMSデバイスを開示し、静的光コンポーネントは、周辺光又は迷光を吸収し、それにより動的光コンポーネントの光学的応答を向上させる「ブラックマスク」として役立つ。
IMODを含むMEMSデバイスを用いて本発明を説明するが、本発明は、光吸収性であることが必要であるが、IMODを含まない非アクティブ領域を有する他の光デバイス、例えば一般にイメージングディスプレイや光電子デバイスを含むことは理解されるべきである。
【0011】
次に図面のうち図1を参照すると、ディスプレイデバイス100の端面図が示されている。ディスプレイ100の多くのコンポーネントは、本発明を不明瞭にしないよう省かれていることは理解されるべきである。ディスプレイデバイス100は、IMODデバイス104の形態をした2つのアクティブな光コンポーネントを含み、IMODデバイスは代表的には、矢印104で示された方向で基板102に向かって駆動されると、所望の光学的応答を生じさせる反射膜の構成体から成る。IMODデバイス104の動作原理は、米国特許第5,835,255号明細書に記載されており、かかる米国特許明細書の記載内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。参照符号108は、IMODデバイス104の非アクティブ領域を示しており、これら非アクティブ領域は、光吸収性であり又は「ブラックマスク」として機能することが必要とされ、したがって、見る人が矢印110で示された方向からディスプレイ100を見ると、IMODデバイス104により生じた実際の光学的応答が非アクティブ領域108からの周辺光の反射によっては劣化しないようになる。
【0012】
各非アクティブ領域108を、光を吸収し又は減衰させる光学的応答を有するよう選択された材料で作製するのがよい。本発明の実施形態によれば、各非アクティブ領域108を薄膜のスタックとして作製するのがよい。例えば、一実施形態では、薄膜のスタックは、以下に詳細に説明するように、2つの光反射クロム層相互間にサンドイッチされた非光吸収性誘電体層から成るのがよい。他の実施形態では、非アクティブ領域108は、光を減衰させ又は吸収する有機材料又は無機材料の単一の層から成っていてもよい。
【0013】
図面の図2は、本発明の一実施形態のIMODデバイス200の断面図である。IMODデバイス200は、クロム反射層204、酸化シリコン層206、空隙208及び基板202上に作製されたメカニカルメンブレン210から成るアクティブなコンポーネントを有する。メカニカルメンブレン210は、ポリマー支柱212によって支持されている。使用に当たり、機械的メンブレン210を駆動して酸化シリコン層206に接触させ、それにより矢印214で示された方向から見たときに、所望の光学的応答を生じさせる。
ポリマー支柱212が形成された各IMOD200の領域は、IMODのアクティブなコンポーネントの一部ではなく、したがって、アクティブなIMODコンポーネントの所望の光学的応答を妨害する迷光又は周辺光を減少させるために光吸収性である必要がある。これら非アクティブ領域は、円で囲んだ領域216により示された静的コンポーネントを定め、光吸収性である光学的性質を有するように選択された膜のスタックを形成するよう作製される。一実施形態では、本発明は、基板202のうちどの領域が光吸収性であることが必要であるかを決定する工程及びIMODのアクティブな光コンポーネントを形成する前に光吸収性又はブラックマスクを決定された領域上に作製する工程を含む。ブラックマスクは、薄膜のスタックを含むのがよく、この薄膜のスタックは、一実施形態では、クロムベース218、酸化物中間層220及びクロム層204を有するのがよい。
【0014】
次に図面の図3を参照すると、参照符号300は、本発明の一特徴としてのIMODデバイスの別の実施形態を全体的に示している。IMODデバイス300は、IMODデバイス200と類似しており、したがって、同一又は類似の参照符号が同一又は類似のコンポーネントを示すために用いられている。IMOD300とIMOD200の主要な差は、ポリマー支柱212全体が光吸収性又はブラックマスクとして有効に機能する有機材料、例えばフォトデフィニション(photodefinition)又は光規定可能なブラック樹脂、例えばブリューワ・サイエンス・インコーポレイテッド製のDARC100として知られている材料で構成されていることにある。IMOD300の一利点は、支柱212が2つの機能を果たすということにある。第1に、支柱212は、メカニカルメンブレン210の機械的支持体としての役目を果たす。第2に、支柱212は、IMODを覆い隠し又はIMODの光吸収性非アクティブ領域を形成する光マスクとしての役目を果たす。
【0015】
図4は、本発明の一実施形態としての薄膜ブラックマスクを構成する種々の層が示された略図である。
図4を参照すると、薄膜ブラックマスク402が、基板400上に作製された状態で示されている。ブラックマスク402は、3つの膜の層から成り、これら膜の層は、クロム層404、酸化シリコン層406及びアルミニウム層408から成っている。ブラックマスクを作製するために種々の材料を選択することができる。一実施形態では、ブラックマスクを構成する膜は、アクティブなIMODコンポーネントの作製に用いられたものと同一の膜であり、かくして、同一の被着パラメータを用いて非アクティブな及びアクティブなコンポーネントを作製することができる。
【0016】
次に、図面の図5A〜図5Gを参照して薄膜ブラックマスク402の製造の種々の工程を説明する。
図5Aを参照すると、ガラス基板500を作製する初期準備工程後、例えばクリーニングされた反射クロム層502を例えば基板500上にスパッタ被覆することにより被着させる。一実施形態では、クロム層502の厚さは、約60オングストロームであるのがよい。
【0017】
しかる後、従来技術を用いてクロム層502にパターン付けしてこれを現像し、それにより後にクロムの露出部を残し、このクロムの露出部は、ブラックマスクとして役立つ薄膜スタックのためのベース層として役立つことになる(図5B参照)。
次に、代表的には約300〜800オングストロームのブラックマスク酸化物層、例えばSiO2をスパッタ被覆により被着させる。ブラックマスク酸化物層の厚さは、必要とされるブラック(black )状態の品質で決まる。
次に、別の反射クロム層506をブラックマスク酸化物層504上にスパッタ被覆する。層506の厚さは代表的には約60オングストロームであり、その正確な厚さは、最終的に得られるディスプレイの所要のブライトネスで決まり、薄い層は、より明るいディスプレイを生じさせる。
しかる後、層508,510をそれぞれ層506にスパッタ被覆する。層508は、酸化シリコンから成り、厚さが約300〜800オングストロームであり、これに対し、層510は、モリブデンから成る犠牲層であり、厚さは代表的には約0.2〜1.2ミクロンであろう。かくして、層504〜510は、図5Cで理解できるように基板502上の厚い膜スタックを構成する。
【0018】
図5Dを参照すると、パターン付け及びエッチング工程を実施して、薄膜スタックを通ってクロム露出部502まで延びる凹部512を形成する。
図5Eを参照すると、ポリマー支柱514を凹部512内に形成するが、その手段として、ネガ型のフォトレジスト材料、例えばフューチュレックス・インコーポレイテッド製のNR7−350Pと呼ばれている材料を薄膜スタック上に回転塗布し、これを適当なマスクを介して露出させ、そして現像して支柱514を形成する。これら工程は、従前通りであり、したがってこれ以上説明しない。
【0019】
次に図5Fを参照すると、一実施形態では、アルミニウム合金から成るメカニカルメンブレン516を、モリブデン層510にスパッタ被覆することにより被着させる。
しかる後、モリブデン層510をエッチングし、後に図面図5Gに示すように空隙516を残す。
本発明を特定の例示の実施形態に関して説明したが、特許請求の範囲い記載された本発明の最も広い精神から逸脱することなくこれら実施形態について種々の改造例及び変更例を想到できることは明らかである。したがって、明細書及び図面の記載は、本発明を限定するものではなく説明のためであると解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光デバイスであって、
基板と、
前記基板上に形成された第1及び第2の光コンポーネントとを有し、前記第1の光コンポーネントは、2つのモードを有し、各モードは、入射した光に対する別々の光学的応答を生じ、前記第2の光コンポーネントは、前記第1の光コンポーネントからの周辺光の反射を減らし、前記光学的応答が周辺光の反射によって劣化しなことを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記第1の光コンポーネントがIMOD を有し、前記第2の光コンポーネントが入射光を減らす光吸収マスクを有することを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
【請求項3】
前記第2の光コンポーネントが、有機材料で構成されていることを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
【請求項4】
前記第2の光コンポーネントが、膜スタックから成ることを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
【請求項5】
前記第1の光コンポーネントが、前記基板及び該基板の上の反射層に近づくように駆動される反射膜を有することを特徴とする請求項1に記載の前記第1の光コンポーネント。
【請求項1】
光デバイスであって、
基板と、
前記基板上に形成された第1及び第2の光コンポーネントとを有し、前記第1の光コンポーネントは、2つのモードを有し、各モードは、入射した光に対する別々の光学的応答を生じ、前記第2の光コンポーネントは、前記第1の光コンポーネントからの周辺光の反射を減らし、前記光学的応答が周辺光の反射によって劣化しなことを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記第1の光コンポーネントがIMOD を有し、前記第2の光コンポーネントが入射光を減らす光吸収マスクを有することを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
【請求項3】
前記第2の光コンポーネントが、有機材料で構成されていることを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
【請求項4】
前記第2の光コンポーネントが、膜スタックから成ることを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
【請求項5】
前記第1の光コンポーネントが、前記基板及び該基板の上の反射層に近づくように駆動される反射膜を有することを特徴とする請求項1に記載の前記第1の光コンポーネント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【公開番号】特開2010−20350(P2010−20350A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246756(P2009−246756)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【分割の表示】特願2004−519675(P2004−519675)の分割
【原出願日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【出願人】(505129404)アイディシー リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【分割の表示】特願2004−519675(P2004−519675)の分割
【原出願日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【出願人】(505129404)アイディシー リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
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