説明

光学シートの製造方法、光学シートの成形型、光学シート

【課題】正面輝度を維持しながら、サイドローブやニュートンリング等の発生を低減でき、視野角が広く、傷つきにくく傷がついた場合にもその傷が見えにくい光学シートの製造方法、これに用いる光学シートの成形型、これにより製造される光学シートを提供する。
【解決手段】複数配列された凸形状の単位光学形状151と、単位光学形状151間に設けられ、その表面の表面粗さの値が単位光学形状151よりも大きい谷底部152とを有する光学形状部を有する光学シートの製造方法であり、樹脂をシート状に押し出す押し出し工程と、シート状の樹脂の片面を、型形状を有する成形ロールである第2ロール54に押し当てて光学形状部を賦形する賦形工程と、光学形状部が賦形されたシート状の樹脂Rを第2ロール54から剥離する剥離工程とを備え、賦形工程において、型形状541の表面に不規則かつ微細な凹凸形状を有する第2ロール54を用いるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シートの製造方法、これに用いられる光学シートの成形型、これにより製造される光学シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ等を背面から照明する面光源として、各種方式の面光源装置が提案され実用化されている。面光源装置には、主として、面光源ではない光源を面光源に変換する方式により、エッジライト型と直下型とに分類される。
例えば、直下型では、発光源として主に並列に配置された複数の冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)が用いられており、この冷陰極管を用いてLCD(Liquid Crystal Display)パネル等の透過型表示部の背面から光を導入する形態となっている。そして、冷陰極管と透過型表示部との距離を適度にあけ、その間に、光拡散効果や集光効果等を有するレンズ形状やプリズム形状が複数配列された光学シートを複数組み合わせて配置することにより、正面輝度の向上や、面光源装置としての輝度の均一性の向上を図っている(例えば、特許文献1)。
また、面光源装置に用いられる光学シートは、エッジライト型や直下型を問わず、視野角を広げる等、所望の光学特性を得るために、様々な工夫がなされている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−337797号公報
【特許文献2】特許第2705868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような光学シートは、そのレンズ形状やプリズム形状によっては、光がレンズ形状等の界面で全反射したり、屈折したりすることにより、ディスプレイの略正面方向にいると想定される観察者の視野角範囲から大きく外れた方向へ出射する光(以下、サイドローブという)が存在する。そして、このようなサイドローブは、長期使用や使用環境等により光学シートに撓みが生じた場合には、著しい輝度ムラを生じさせる原因となる。
また、このような光学シートは、他の光学シートやLCDパネル等と略接するように配置される場合に、ニュートンリング等が観察され、画質が低下する場合がある。
【0005】
さらに、レンズ形状等を有する光学シートでは、組み立て時や運搬時等に、レンズ形状等に傷がついてしまう場合があり、ハンドリングが容易ではない。また、レンズ形状への傷つきを防止するために、通常は、マスキングフィルム等によりレンズ形状を保護しており、作業工程の増加やコストの増加等が生じている。さらに、光学シートを表示装置に用いた場合、光学シートに傷が生じると、その傷の部分が透過型表示部を通して観察される等、画質の劣化を招く場合がある。
加えて、サイドローブやニュートンリング等が低減された好ましい光学特性を有する光学シートを、より容易に製造可能とすることは、常に求められることである。
特許文献1及び特許文献2では、サイドローブの低減とニュートンリング低減とを共に実現することに関して、具体的な対策はなんら開示されておらず、そのような好ましい光学特性を有する光学シートを容易に製造する製造方法に関しても、具体的な説明はない。また、光学シートの傷つきにくさや傷が生じた場合の見え易さ等に関しても、一切考慮されていない。
【0006】
本発明の課題は、正面輝度を維持しながら、サイドローブやニュートンリング等の発生を低減でき、視野角が広く、傷つきにくく傷がついた場合にもその傷が見えにくい光学シートを作製する光学シートの製造方法、これに用いる光学シートの成形型、これにより製造される光学シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、シート面に沿って一方向に複数配列された凸形状の単位光学形状(151,251)と、前記単位光学形状の配列方向において前記単位光学形状の間に所定の幅を有して設けられ、その表面に不規則かつ微細な凹凸形状が形成された粗面であって表面粗さの値が前記単位光学形状よりも大きい谷底部(152,252)とを有する光学形状部を一方の面に有する樹脂製の光学シート(15,25)を製造する光学シートの製造方法であって、樹脂をシート状に押し出す押し出し工程と、押し出されたシート状の樹脂(R)の片面を、前記光学形状部を賦形する型形状を有する成形型(54)に押し当てて前記光学形状部を賦形する賦形工程と、前記光学形状部が賦形された前記シート状の樹脂を前記成形型から剥離する剥離工程と、を備え、前記賦形工程において用いられる成形型は、前記シート状の樹脂と接する前記型形状(541,641)の表面に不規則かつ微細な凹凸形状を有すること、を特徴とする光学シートの製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、前記成形型(54)は、略円柱状であってその外周面に前記光学形状部の前記型形状(541、641)が賦形された成形ロールであり、前記賦形工程は、前記押し出されたシート状の樹脂(R)を、少なくとも一方が前記成形ロールである一対のロール(53,54)の間隙を加圧しながら通過させて前記光学形状部を賦形すること、を特徴とする光学シートの製造方法である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の光学シートの製造方法に用いられる光学シートの成形型であって、該光学シート(15,25)の光学形状部を賦形する型形状(541,641)の表面は、不規則かつ微細な凹凸形状を有する粗面であること、を特徴とする光学シートの成形型(54)である。
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学シートの成形型において、前記不規則かつ微細な凹凸形状は、ブラスト加工によって形成されていること、を特徴とする成形型(541,641)である。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学シートの製造方法により製造される光学シートであって、前記単位光学形状(151,251)及び前記谷底部(152,252)の表面は、不規則かつ微細な凹凸形状を有する粗面であって、前記谷底部の表面粗さの値は、前記単位光学形状の表面粗さの値よりも大きいこと、を特徴とする光学シート(15,25)である。
請求項6の発明は、請求項5項に記載の光学シートにおいて、前記谷底部(152,252)の凹凸形状の算術平均粗さRaを前記単位光学形状(151,251)の頂部(151t,252t)の凹凸形状の算術平均粗さRaで割った値R1は、1<R1<50を満たすこと、を特徴とする光学シート(15,25)である。
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に記載の光学シートにおいて、前記谷底部(152,252)の凹凸形状の最大高さRzを前記単位光学形状(151,251)の頂部(151t,251t)の凹凸形状の最大高さRzで割った値R2は、1<R2<50を満たすこと、を特徴とする光学シート(15,25)である。
【0010】
請求項8の発明は、請求項5から請求項7までの何れか1項に記載の光学シート(15,25)と、光を発する光源部(13)と、を備える面光源装置(10)である。
請求項9の発明は、請求項8に記載の面光源装置(10)と、前記面光源装置によって背面から照明される透過型表示部(11)と、を備える表示装置(1)である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明の光学シートの製造方法は、樹脂をシート状に押し出す押し出し工程と、押し出されたシート状の樹脂の片面を、光学形状部を賦形する型形状を有する成形型に押し当てて光学形状部を賦形する賦形工程と、光学形状部が賦形されたシート状の樹脂を成形型から剥離する剥離工程とを備え、賦形工程において、シート状の樹脂と接する型形状の表面に不規則かつ微細な凹凸形状を有する成形型を用いている。従って、押し出し成形時の光学シートの谷底部と頂部とにかかる型圧の差によって、谷底部の凹凸形状の転写率が、頂部の凹凸形状の転写率より高くなる。これによって、谷底部の表面粗さの値が大きい光学形状部の形状を容易に賦形することができ、光学シートを容易に作成することができる。また、成形型の表面に微細な凹凸形状を有しているので、成形時の離型性が向上し、成形時の巻きつきトラブル等が改善できる。
【0012】
(2)用いる成形型は、略円柱状であってその外周面に光学形状部の型形状が賦形された成形ロールであり、賦形工程は、押し出されたシート状の樹脂を、少なくとも一方が成形ロールである一対のロールの間隙を加圧しながら通過させて光学形状部を賦形する光学シートの製造方法である。従って、光学シートの谷底部と頂部とにかかる型圧の差によって、谷底部の凹凸形状の転写率が、頂部の凹凸形状の転写率より高くなる。これによって、谷底部の表面粗さの値が大きい光学シートを容易に作成することができる。また、大量生産にも適しており、生産コストの低減を図ることができる。
【0013】
(3)光学シートの成形型は、光学シートの光学形状部を賦形する型形状の表面は、不規則かつ微細な凹凸形状を有する粗面である。従って、押し出し成形に用いた場合には、光学シートの谷底部と頂部とにかかる型圧の差によって、谷底部の凹凸形状の転写率が、頂部の凹凸形状の転写率より高くなる。これによって、谷底部の表面粗さの値が大きい光学シートを容易に作成することができる。
【0014】
(4)光学シートの成形型は、不規則かつ微細な凹凸形状がブラスト加工によって形成されているので、凹凸形状の形成が容易である。また、ブラスト圧や粒径を変えることにより、凹凸形状の凹凸の大きさを適宜変更することができる。
【0015】
(5)本発明の光学シートは、単位光学形状及び谷底部の表面は、不規則な凹凸形状を有する粗面であり、谷底部の表面粗さの値は、単位光学形状の表面粗さの値よりも大きいので、正面輝度を維持しながらサイドローブの発生を低減し、光学シートの撓みによってサイドローブ光が観察者の視野角範囲内に出射することによって生じる輝度ムラを低減できる。また、ニュートンリングの発生を抑え、画質の低下を抑制できる。さらに、傷が生じにくく、傷が生じた場合にその傷が見えにくく、傷による画質の低下を抑制できる。
【0016】
(6)光学シートは、谷底部の凹凸形状の算術平均粗さRaを単位光学形状の頂部の凹凸形状の算術平均粗さRaで割った値R1が、1<R1<50を満たすので、サイドローブ低減や輝度ムラ低減等の効果を高めることができる。
【0017】
(7)光学シートは、谷底部の凹凸形状の最大高さRzを単位光学形状の頂部の凹凸形状の最大高さRzで割った値R2が、1<R2<50を満たすので、サイドローブ低減や輝度ムラ低減等の効果を高めることができる。
【0018】
(8)本発明による光学シートと光を発する光源部とを備える面光源装置、及び、この面光源装置と面光源装置によって背面から照明される透過型表示部とを備える表示装置であるので、サイドローブやニュートンリング等の光学不良が低減され、明るさの均一性が高い良好な照明が行え、良好な映像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の光学シートを用いた面光源装置及び表示装置を示す図である。
【図2】第1実施形態の光学シートの一部を拡大して見た斜視図である。
【図3】第1実施形態の光学シートの断面の一部を拡大した図である。
【図4】第1実施形態の光学シートの製造方法を説明する図である。
【図5】第2ロールの型形状の形成方法を説明する図である。
【図6】実施例1,2及び比較例1の光学シートの単位光学形状の配列方向及び配列方向に直交する方向における輝度分布を示すグラフである。
【図7】実施例1,2及び比較例1の光学シートのサイドローブの測定結果を示すグラフである。
【図8】第2実施形態の光学シートの一部を拡大して見た斜視図である
【図9】第2実施形態の光学シートの断面の一部を拡大した図である。
【図10】第2実施形態の光学シートを形成する成形型の型形状の形成方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、特許請求の範囲の記載は、シートという記載で統一して使用した。従って、シート、板、フィルムの文言は、適宜置き換えることができるものとする。例えば、光学シートは、光学フィルムとしてもよいし、光学板としてもよい。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の光学シートを用いた面光源装置及び表示装置を示す図である。
表示装置1は、LCDパネル11,反射板12,発光管13,乳白板14,光学シート15等を備える透過型液晶表示装置である。表示装置1は、LCDパネル11に表示される映像を背面から照明して表示する。なお、LCDパネル11を背面から照明する面光源装置(バックライト)10としては、反射板12,発光管13,乳白板14,光学シート15が該当している。
LCDパネル11は、透過型の液晶表示素子により形成された透過型表示部である。本実施形態のLCDパネル11は、対角32インチ(740mm×420mm)であり、解像度1280×768ドットの表示を行うことができる。
【0022】
発光管13は、面光源装置10の光源部を構成し、光を発する線光源である。本実施形態では、発光管13として冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)を用いている。
図1では、発光管13は、模式的に6本配列されている様子を示しているが、実際には、略20mm間隔で等間隔に18本が並列に並べられている。発光管13の背面には、反射板12が設けられている。
本実施形態では、発光管13の長手方向に平行な方向が、面光源装置10及び表示装置1の使用状態における画面水平方向(画面左右方向)であり、発光管13が並ぶ方向が、面光源装置10及び表示装置1の使用状態における画面垂直方向(画面上下方向)となっている。なお、以下の説明において、特に明記しない限り、画面垂直方向、画面水平方向とは、面光源装置10及び表示装置1の使用状態における画面垂直方向、画面水平方向であるとする。
【0023】
反射板12は、発光管13の背面側(乳白板14とは反対側)の全面にわたって設けられており、背面側へ進む照明光を拡散反射して乳白板14方向(出射方向)へ向かわせ、入射光照度を均一に近付ける働きを持つ。
乳白板14は、無指向性の光拡散特性を有した拡散板であり、発光管13のLCDパネル11側に配置されている。
【0024】
図2は、第1実施形態の光学シート15の一部を拡大して見た斜視図である。この図2は、電子顕微鏡により光学シート15の端部を斜め上方向から観察した様子を示している。
図3は、光学シート15の断面の一部を拡大した図である。図3に示す断面は、光学シート15は、図1における矢印S1−S2での断面であり、シート面に直交し、かつ、単位光学形状151の配列方向(画面垂直方向)に平行な断面である。
光学シート15は、その出射側(LCDパネル11側)に、出射側に凸となる凸形状であってシート面に沿って複数配列された単位光学形状151と、単位光学形状151の間に形成された谷底部152とを有する光学形状部が形成されている。また、光学シート15の光学形状部(単位光学形状151及び谷底部152)が形成された面とは反対側の面であって発光管13が発した光が入射する入射面154は、略平滑面となっている。光学シート15は、光を拡散及び集光する作用を有している。
ここで、シート面とは、各シートにおいて、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであり、本明細書中、及び、特許請求の範囲においても同一の定義として用いている。例えば、光学シート15では、シート面は、光学シート15全体として見たときにおける、光学シート15の平面方向となる面であり、光学シート15の入射面(発光管13側の面)154と平行な面である。
【0025】
単位光学形状151は、略三角柱形状である。図3に示すように、シート面の法線方向に平行であって単位光学形状151の配列方向に平行な断面での断面形状は、底角αである略二等辺三角形形状である。そして、単位光学形状151は、その頂点tを含む頂部151tが曲率半径Rの曲面により形成されており、側面151sと頂部151tとは滑らかに繋げられている。
谷底部152は、配列された単位光学形状151の間に、所定の幅(間隔)dで形成されている。
単位光学形状151の高さ(シート面の法線方向における単位光学形状151の頂点tから谷底部152の底までの寸法)は、hであり、単位光学形状151の幅(配列方向において、単位光学形状151の側面151sの最も谷底部152側となる点v1−v2間の寸法)は、wであり、単位光学形状151の配列ピッチは、Pであり、この配列ピッチPは、P=d+wを満たす。また、光学シート15の総厚は、Tである。
【0026】
単位光学形状151間の間隔(谷底部152の幅)dは、単位光学形状151の幅wに対する割合が0%より大きく15%以下であり、0<d/w≦0.15という関係を満たしている。これは、d/w=0(即ち、d=0)である場合には、谷底部152の凹凸形状による拡散効果が得られないからである。また、d/w>0.15(即ち、dがwに対して15%より大きい)である場合には、シート面内における谷底部152が占める面積の割合が大きくなりすぎ、光学シート15全体としての単位光学形状151の集光作用が低下し、輝度上昇効果が得られないためである。
なお、谷底部152の凹凸形状による拡散効果を得るためには、0<d/w≦0.15という関係を満たすことが好ましいが、谷底部152の凹凸形状による拡散効果をより高め、サイドローブ低減等の光学特性を向上させるためには、0.02≦d/w≦0.15(即ち、dのwに対する割合が2%以上15%以下)を満たすことがより好ましい。
本実施形態の光学シート15は、この好ましい範囲を満たしている。
【0027】
図2及び図3に示すように、谷底部152及び単位光学形状151を含む光学シート15の出射側の表面は、不規則かつ微細な凹凸形状を有する粗面状となっている。そして、この微細な凹凸形状は、単位光学形状151に比べて谷底部152の方が凹凸形状の凹凸が大きく、表面粗さの値が大きい。本実施形態の光学シート15の出射側の表面では、頂部151tの凹凸形状の凹凸が小さく、表面粗さの値も小さく、頂部151tから谷底部152へ向かうにつれて次第に側面151sの表面の凹凸形状の凹凸が大きく、表面粗さの値も大きくなり、谷底部152の凹凸形状の凹凸が最も大きく、その表面粗さの値も一番大きくなっている。
【0028】
そして、谷底部152の凹凸形状の表面粗さと頂部151tの凹凸形状の表面粗さとは、以下のような関係を満たしている。
算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)に関して、谷底部152の凹凸形状の算術平均粗さRaを、単位光学形状151の頂部151tの凹凸形状の算術平均粗さRaで割った値(即ち、頂部151tの凹凸形状の算術平均粗さRaに対する谷底部152の凹凸形状の算術平均粗さRaの比)R1は、1<R1<50を満たす。
また、最大高さRz(JIS B0601−2001)に関して、谷底部152の凹凸形状の最大高さRzを、単位光学形状151の頂部151tの凹凸形状の最大高さRzで割った値(即ち、頂部151tの凹凸形状の最大高さRzに対する谷底部152の凹凸形状の最大高さRzの比)R2は、1<R2<50を満たす。
【0029】
R1≦1又はR2≦1である場合、頂部151tの凹凸形状は、谷底部152の凹凸形状と凹凸が同等の大きさであるか、谷底部152の凹凸形状よりも凹凸が大きくなる。そのため、サイドローブの低減効果が十分得られず、かつ、頂部151tから出射する光が大きく拡散されて正面輝度の低下が生じるためである。また、R1,R2の値は、いずれも大きい方がサイドローブ低減等の効果が大きいため、光学特性上好ましいが、R1,R2の値が50以上のものは、現状では製造が困難であるため、R1<50,R2<50とした。
なお、上述のような正面輝度の維持やサイドローブ低減の効果を高める観点から、R1は、9≦R1≦20を満たすことがより好ましく、R2は、10≦R2≦25を満たすことがより好ましい。R1とR2とで、より好ましい範囲が異なるが、これは、算術平均粗さRaと最大高さRzとの規定の仕方の差異によるものである。
【0030】
(製造方法について)
本実施形態の光学シート15は、PC(ポリカーボネート)樹脂やAS(アクリロニトリル・スチレン)樹脂等の光透過性を有する熱可塑性樹脂を用いて、押し出し成形によって形成される。なお、光学シート15は、上記の例に限らず、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、PMMA(メタクリル酸メチル)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、シクロオレフィン樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂等を用いて形成してもよい。
図4は、本実施形態の光学シートの製造方法を説明する図である。図4(a)は、光学シート15を形成する押出成形装置50の一部を示している。図4(b)は、押出成形装置50の第2ロール54をその中心軸54a方向に対して直交する方向から見た図である。
本実施形態の光学シート15は、押出成形装置50により形成される。光学シート15を作製する押出成形装置50は、図4(a)に示すように、押出機51、ダイ52、第1ロール53、第2ロール54、第3ロール55、不図示の切断部等を有する。
【0031】
押出機51は、不図示のホッパーから供給された熱可塑性樹脂を加熱、溶融する部分である。本実施形態では、光学シート15の材料となる樹脂材料を、そのガラス転移点より高い温度まで加熱する。ダイ52は、押出機51から供給された樹脂材料を吐出する開口部であり、その開口の断面形状が略直線状(フラット状)である。このダイ52は、樹脂材料を所望するシート幅まで広げて吐出する。
第1ロール53、第2ロール54、第3ロール55は、略円柱形状であり、その中心軸を回転軸として回転駆動可能となっている。
第1ロール53は、その表面が金属製であり、その表面は平滑面となっている。なお、第1ロール53は、その表面をゴム製としてもよいし、金属とゴムの複合材を用いて形成してもよい。
【0032】
第2ロール54は、その外周面に光学シート15の光学形状部(単位光学形状151及び谷底部152)の形状を賦形するための型形状541を有する成形ロール(ロール状成形型)である。本実施形態では、図4(b)に示すように、第2ロール54は、単位光学形状151を賦形する凹状の型の配列方向が第2ロール54の中心軸54a方向となるように形成されている例を示しているが、これに限らず、単位光学形状151を賦形する凹状の型の配列方向が、第2ロール54の周方向あるいは斜め方向(周方向に対して角度をなす方向)となるように形成されている形態としてもよい。
この型形状541は、その表面に不規則かつ微細な凹凸形状が形成され、粗面となっている。
【0033】
図5は、第2ロール54の型形状の形成方法を説明する図である。
図5に示すように、本実施形態では、まず、金属製のロール状の母材の表面に硬質銅メッキを施し、その外周面に切削加工等により、単位光学形状151を賦形する型形状を形成する。このとき、型形状は、単位光学形状151に相当する凹状の型が隣接して配列された状態で形成され、凹状の型間には単位光学形状151間の谷底部152に相当する部分は形成されていない。
次に、図5(b)に示すように、第2ロール54の型形状の表面にブラスト加工を行う。本実施形態におけるブラスト加工の条件は、以下の通りである。
ブラスト粒子:砂、番手#600(粒径14〜18μm)
エアー圧:4kg重/cm
パス:3回
ノズル距離:400mm
送り速度:200mm/min
【0034】
このブラスト加工により、図5(c)に示すように、その型形状の表面に微細かつ不規則な凹凸形状が形成され、単位光学形状151間に相当する凸状部分がブラストによって一部削られ、かつ、微細な凹凸形状が形成され、所定の幅dの谷底部152に相当する型形状が形成される。このとき、単位光学形状151の凹状の型間に相当する凸状部分(谷底部152に相当する部分)の表面粗さの値は、単位光学形状151の側面151sや頂部151tに相当する凹状の型部分の表面粗さの値と略等しい。
なお、ブラスト加工には、砂以外にも、鋼球やガラスビーズ等、適宜選択して用いてよい。
【0035】
図4に戻って、第1ロール53,第2ロール54は、これらのロールの間隙に加圧されながら樹脂材料Rが通ることによって、樹脂材料Rに光学形状部(単位光学形状151及び谷底部152)の形状を賦形する一対のロールである。また、第1ロール53,第2ロール54はいずれも不図示の温度調節部を備えており、ロール芯での温度が所定の温度(例えば、第2ロール54は、樹脂材料Rのガラス転移温度よりやや低い温度に設定され、第1ロール53は、樹脂材料Rのガラス転移温度よりかなり低い温度)となるように調整されている。
第3ロール55は、不図示の温度調節部等を備えた温調ロールであり、単位光学形状151の形状が賦形されたシート状の樹脂材料Rを冷却又は加熱する機能を有する。
【0036】
押出機51によってガラス転移点を越える温度にまで加熱され、所定の流動性を有した樹脂材料Rは、ダイ52からシート状に吐出される。シート状に吐出された樹脂材料Rは、所定の速度で第1ロール53と第2ロール54との間隙部分に進み、第1ロール53によって第2ロール54の外周面に形成された型形状541に圧着される。
このとき、第1ロール53と第2ロール54とは、樹脂材料Rを介して略線接触している状態であり、ロールの回転軸に直交する方向の断面では樹脂材料Rを介して略点接触している。
【0037】
シート状の樹脂材料Rは、このように第1ロール53と第2ロール54との間で挟まれて加圧されることにより、樹脂が第2ロール54の型形状541の凹凸形状に流れ込んで充填され、樹脂材料Rの一方の面に単位光学形状151及び谷底部152の形状が賦形される。このとき、谷底部152及び側面151sの谷底部152側端部となる部分には、大きな型圧がかかるが、特に、単位光学形状151の頂部151tとなる部分は、かかる型圧が小さい。
そのため、谷底部152に比べて単位光学形状151の表面の凹凸形状の転写率が低くなる。そのため、型形状の表面に微細な凹凸形状が略全面に付されている第2ロール54を用いて押し出し成形により光学シート15を形成すると、谷底部152の方が単位光学形状151に比べてその表面が粗く、凹凸形状の凹凸が大きく形成される。
また、シート状の樹脂材料Rの他方の面は、第1ロール53の外周面と接触しており、略平面状に形成される。
【0038】
第1ロール53と第2ロール54との間隙通過後、シート状の樹脂材料Rは、第2ロール54に外接したまま移動する。第1ロール53,第2ロール54との接触や外気等によりシート状の樹脂材料Rは、冷却され、表面温度が樹脂材料のガラス転移点以下になり、その表面が僅かに硬化する。そして、シート状の樹脂材料Rは、第2ロール54と第3ロール55との間隙で第3ロール55へ移動し、第3ロール55の回転によって、シート状の樹脂材料Rは、第2ロール54から剥離する。第3ロール55に外接することによりシート状の樹脂材料Rが冷却されてさらに硬化する。
次いで、シート状の樹脂材料Rは、第3ロール55のから不図示の引き取りロールや調整ロール等へ移動して、不図示の切断部等によって所望する大きさや形状に加工され光学シート15が形成される。
【0039】
上述のような製造方法により製造された光学シート15は、図2及び図3等に示すように、その頂部151tの凹凸形状に比べて谷底部152の凹凸形状の方が、凹凸が大きく、頂部151tの表面粗さの値に比べて、谷底部152の表面粗さの値が大きい。
ここで、本実施形態の光学シートに相当する実施例1,2の光学シートを作成し、その頂部151tと谷底部152の表面粗さを測定し、頂部151tの表面粗さの値に対する谷底部152の表面粗さの値の比を求めた。実施例1の光学シートは、実施例2の光学シートに比べて、成形に用いた第2ロール54の型形状541の表面に施されたブラストの強度が強い。従って、実施例1の光学シートの成形に用いる成形型の方が、実施例2の光学シートの成形に用いる成形型よりも、その表面に形成されている凹凸形状が大きい。
【0040】
実施例1の光学シートは、単位光学形状151の配列ピッチP=140μm、谷底部152の幅d=4μm、単位光学形状151の高さh=58μm、頂部151tの曲率半径R=25μm、単位光学形状151の幅w=136μmであり、その総厚T=350μmである。また、実施例1の光学シートは、d/w≒0.0294であり、0<d/w≦0.15及び0.02≦d/w≦0.15を満たしている。
実施例2の光学シートは、単位光学形状151の配列ピッチP=140μm、谷底部152の幅d=3μm、単位光学形状151の高さh=59μm、頂部151tの曲率半径R=25μm、単位光学形状151の幅w=137μmであり、その総厚T=350μmである。また、実施例2の光学シートは、d/w≒0.0219であり、0<d/w≦0.15及び0.02≦d/w≦0.15を満たしている。
【0041】
表面粗さの測定には、非接触3次元表面表情・粗さ測定機(Zygo社製 zygo New View 6300)を用いて、以下に示す(a)〜(d)の手順により測定し、比を算出した。なお、測定した表面粗さは、算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)と最大高さRz(JIS B0601−2001)とである。
(a)実施例1の光学シート及び比較例1の光学シートの試料片を、試料台に固定する。
(b)試料片の1.07mm×1.07mmの視野内に、単位光学形状の頂部と谷底部とが入るように調整し、頂部と谷底部とにそれぞれ焦点を合わせ、スキャン長0.100mmでその表面粗さを測定する。試料片から測定箇所を任意の3箇所選択して、それぞれの頂部と谷底部の算術平均粗さRa及び最大高さRzを測定する。
(c)測定で得られた頂部のRa,Rz値の平均値をそれぞれ求める。同様に、測定で得られた谷底部のRa,Rz値の平均値をそれぞれ求める。
(d)谷底部のRaの平均値を頂部のRaの平均値で割り、頂部のRaに対する谷底部のRaの比R1を求める。同様に、谷底部のRzの平均値を頂部のRzの平均値で割り、頂部のRzに対する谷底部のRzの比R2を求める。
上述のような測定により得られた実施例の光学シート1はR1=8.52,R2=10.06であり、実施例2の光学シートは、R1=4.28,R2=7.53となっており、前述のR1,R2の好ましい範囲又はより好ましい範囲を満たしている。
【0042】
このように製造された本実施形態の光学シートの実施例に相当する実施例1、2の光学シートと、成形型の型形状の表面に凹凸形状を有していない成形型により形成された比較例1の光学シートとを用意し、その光学性能を評価した。この比較例1の光学シートは、その表面が略平滑面からなる成形型により形成されており、ブラスト加工等による凹凸形状を有していないため、頂部と谷底部との表面粗さは略等しいと推察され、R1=1.0、R2=1.0である。また、比較例1の光学シートは、谷底部の幅は略0μmであり、単位光学形状及び谷底部の表面には、微細な凹凸形状が形成されていない。また、比較例1の光学シートは、頂部の曲率半径R=25μm、単位光学形状の高さH=60μm、単位光学形状151の配列ピッチPが単位光学形状151の幅wに等しくP=w=140μmであり、その総厚T=350μmである。また、比較例1の光学シートは、d/w≒0であり、0<d/w≦0.15を満たしていない。
【0043】
まず、実施例1,2の光学シートと比較例1の光学シートの正面輝度を測定した。正面輝度は、実施例1,2及び比較例1の光学シートをそれぞれ用いて形成された面光源装置を用意し、輝度計(株式会社TOPCOM製 BM−9)を用いて、暗室条件下において、面光源装置の画面中央における正面方向の輝度(シート面の法線方向における輝度)を測定した。そして、比較例1の光学シートの正面輝度を基準(100%)とし、比較例1の光学シートの正面輝度に対する実施例1,2の光学シートの正面輝度の割合を算出して、その正面輝度を評価した。
比較例1の光学シートを基準(100%)として、実施例1の光学シートは、その正面輝が99.4%であり、実施例2の光学シートは、その正面輝が99.8%であった。実施例1,2の光学シートは、比較例1の光学シートに比べて、単位光学形状151や谷底部152の表面の凹凸形状により光が拡散されたことにより、正面輝度はわずかに低下しているが、面光源装置や表示装置として使用する正面輝度としては十分な明るさを有している。
【0044】
次に、実施例1,2及び比較例1の光学シートの視野角とサイドローブの有無を測定して評価した。
視野角については、視野角測定装置(株式会社村上色彩技術研究所製 スクリーン光学特性評価装置 GP−500型)を用いて、実施例1,2及び比較例1の光学シートの入射面側からそれぞれ完全拡散光を照射した場合の、単位光学形状の配列方向及び配列方向に直交する方向における輝度分布を暗室条件下で測定した。また、この測定結果から実施例1及び比較例1の光学シートの単位光学形状の配列方向おける半値角αVと、単位光学形状の配列方向に直交する方向における半値角αHとをそれぞれ求めた。
サイドローブについては、実施例1,2及び比較例1の光学シートに入射面側から完全拡散光を照射し、単位光学形状の配列方向において、シート面に対する出射角度50°〜80°の範囲における輝度分布を前述の視野角測定装置を用いて測定し、サイドローブの発生の有無を調べた。
なお、実施例1,2及び比較例1のように単位光学形状が略プリズム形状である場合には、略平行光を照射してもサイドローブが生じないため、本測定においては、完全拡散光を用いた。また、単位光学形状の稜線方向(長手方向)では、サイドローブは生じないため、本測定では、単位光学形状の配列方向のみを測定した。さらに、サイドローブは、シート面に対して比較的大きな出射角度となる領域に生じるため、シート面に対する出射角度の50°〜80°の範囲での測定を行った。
【0045】
図6は、実施例1,2及び比較例1の光学シートの単位光学形状の配列方向及び配列方向に直交する方向における輝度分布を示すグラフである。単位光学形状の配列方向は、図1に示す表示装置1に用いた場合の使用状態における画面垂直方向に相当する。また、単位光学形状の配列方向に直交する方向は、図1に示す表示装置1に用いた場合の使用状態における画面水平方向に相当する。
図6(a)は、実施例1,2及び比較例1の光学シートの単位光学形状の配列方向における輝度分布を示し、図6(b)は、実施例1,2及び比較例1の光学シートの単位光学形状の配列方向に直交する方向(単位光学形状の長手方向)における輝度分布を示している。図6に示す各グラフにおいて、縦軸は、各光学シートにおける輝度のピークを1.0とした場合の相対輝度であり、横軸は、シート面に対する出射角度を示している。
図7は、実施例1,2及び比較例1の光学シートのサイドローブの測定結果を示すグラフである。図7では、実施例1,2及び比較例1の光学シートの単位光学形状の配列方向における出射角度50°〜80°での輝度分布を示している。図7に示すグラフにおいて、縦軸は、ピーク輝度を基準値(1.0)とした場合の相対輝度であり、横軸は、画面垂直方向におけるシート面に対する出射角度である。
【0046】
図6(a),(b)に示すように、実施例1,2の光学シートは、比較例1の光学シートに比べて、単位光学形状の配列方向、単位光学形状の配列方向に直交する方向(単位光学形状の長手方向)のいずれも、出射角度に対する輝度の変化が緩やかである。
また、半値角について、比較例1の光学シートは、単位光学形状の配列方向の半値角αV=35.0°、単位光学形状の配列方向に直交する方向(単位光学形状の長手方向)の半値角αH=51.8°である。これに対して、実施例1の光学シートは、半値角αV=36.7°、半値角αH=54.6°であり、実施例2の光学シートは、半値角αV=36.6°、半値角αH=52.7°であり、いずれも、比較例1の光学シートより各半値角の値が大きい。従って、実施例1,2の光学シートの方が、比較例1の光学シートよりも広い視野角が得られる。また、実施例1と実施例2とを比較して、実施例1の光学シートの方が、実施例2の光学シートよりも出射角度に対する輝度の変化が緩やかであり、各半値角も大きく、広い視野角が得られる。
【0047】
さらに、図7に示すように、比較例1の光学シートでは、出射角度65°〜77°付近でサイドローブが発生しているが、実施例1,2の光学シートでは、比較例1の光学シートに比べてサイドローブが低減されている。この実施例1,2の光学シートのサイドローブ低減効果は、図6(a)からも明らかである。
以上のことから、実施例1,2の光学シートは、サイドローブの低減に有効である。この実施例1,2の光学シートによるサイドローブ低減効果は、谷底部152や側面151sに形成された微細かつ不規則な凹凸形状によりサイドローブの原因となる光が拡散されることや、ブラスト加工を行った成形型を用いて成形されることにより、ブラスト加工無しの成形型によるもの(比較例1)よりも、単位光学形状の高さが僅かに低くなること等によって得られると推察される。
また、このようなサイドローブを低減することにより、サイドローブを形成する光が視野角範囲内へ出射されることとなり、実施例1,2の光学シートでは、輝度分布の変化を緩やかにでき、視野角の向上効果が得られている。
【0048】
サイドローブが発生する光学シートを用いて図1に示すような表示装置1を作製した場合、光学シートに撓みが生じていなければ、サイドローブとして光学シートから出射した光は、表示装置1の筐体内で反射される等するため、LCDパネル11から出射する光量が少なく、画質に与える影響は小さい。しかし、表示装置1の使用環境が高温多湿であったり、光学シートに経年変化が生じたりする等して、その光学シートに撓み等が生じた場合等には、シート面が撓んでサイドローブとなる光束がLCDパネル11から出射し、撓みによる輝度ムラに加えてさらにサイドローブに起因する輝度ムラも発生し、大幅に画質を低下させ、光学シートの撓みも顕著に観察される。従って、サイドローブは、極力低減することが好ましい。
よって、実施例1,2の光学シートは、仮に撓んだとしても、サイドローブに起因した輝度ムラによる画質の低下を極力抑えることができる。
【0049】
次に、実施例1,2及び比較例1の光学シートのニュートンリングについて調べた。
ニュートンリングは、面光源装置等において、単位レンズの頂部が他のレンズシートの表面と接して積層されたり、僅かに隙間を空けて積層されたりした場合に発生しやすく、明暗縞によって映像の劣化を招き、好ましくない。
ニュートンリングの評価は、実施例1及び比較例1の光学シートをそれぞれ組み込んだ表示装置(図1に示す液晶透過型の表示装置1に相当)の観察面から正面方向に50cm離れた位置において、その画面を暗室環境下で観察し、ニュートンリングが観察されるか否か調べた。
ニュートンリングに関して、実施例1,2の光学シートは、ニュートンリングが殆ど認められなかった。しかし、比較例1の光学シートは、ニュートンリングの発生が観察され、画質が低下していた。これは、実施例1,2の光学シートでは、単位光学形状151の頂部151tが微細な凹凸形状が付された粗面となっているため、ニュートンリングの発生の原因であるLCDパネル11等との接触面積が低減されたためであると考えられる。また、ニュートンリングが多少発生した場合にも、谷底部152や単位光学形状151の凹凸形状による光の拡散効果により、ニュートンリングの視認性が低下するためであると考えられる。
従って、実施例1,2の光学シートは、ニュートンリングの低減に有効である。
【0050】
次に、実施例1,2及び比較例1の光学シートの耐傷性及び傷が生じた場合の傷の見えにくさについて調べた。耐傷性に関しては、鉛筆硬度試験により評価した。また、傷が生じた場合の傷の見えにくさについては、テーパー試験機による傷付け試験により評価した。
鉛筆硬度試験は、JIS K5600−5−4に準拠して行い、JIS K5600−5−4に記載の試験機器を用いて測定した。
テーパー試験機による傷付け試験の手順は、以下の通りである。まず、実施例1,2及び比較例1の光学シートの単位光学形状が形成されている面(出射側の面)に、テーパー試験機(東洋精機株式会社製 TABER ABRASION TESTER)を用い、荷重250g、回転数1回の条件にて擦過を行い、傷をつける。次に、評価1として、明室環境下にて実施例1,2及び比較例1の光学シートの外観を目視にて観察し、傷の見えを評価し、評価2として、各光学シートを備える図1に示すような面光源装置をそれぞれ作成し、実際に発光管を点灯させた場合の傷の見えを目視にて評価した。
【0051】
耐傷性に関して、実施例1,2の光学シートは、単位光学形状の配列方向(長手方向に直交する方向)において、いずれも鉛筆硬度がFであった。一方、比較例1の光学シートは、単位光学形状の配列方向における鉛筆硬度がBであり、実施例1,2の光学シートに比べて鉛筆硬度が低かった。これは、実施例1,2の光学シートは、単位光学形状151がその表面に不規則な凹凸形状を有していることにより、得られる効果であると考えられる。
また、傷の見えにくさに関して、比較例1の光学シートでは、評価1において光学シートのみを観察した場合にも、評価2において面光源装置に用いて実際に点灯した場合にも、正面方向に加え、角度を変えて斜めから光学シートを観察しても傷が認められ、使用に適さなかった。
【0052】
一方、実施例1,2の光学シートは、評価1において光学シートのみを観察した場合では、正面方向(シート面の法線方向)から観察すると表面に薄い傷が認められるが、角度を変えて斜め方向等から光学シートを観察すると傷が認められなかった。また、実施例1,2の光学シートは、評価2において、面光源装置に用いて実際に点灯した場合では、あらゆる方向から観察してもその表面に傷が認められなかった。これは、実施例1,2の光学シートは、単位光学形状の表面の微細かつ不規則な凹凸形状により、光学シートのみを観察した場合にはその傷が見え難く、また、面光源装置に用いて実際に点灯した場合には、その視野角が広く、その輝度分布が緩やかであることにより、傷がぼかされ、得られる効果であると考えられる。
以上のことから、実施例1,2の光学シートは、比較例1の光学シートに比べて、傷が付きにくく、また傷付いた場合にもその傷が見えにくい。
【0053】
上述のように、本実施形態の光学シートに相当する実施例1,2の光学シートは、面光源装置や表示装置として使用可能な十分な正面輝度を有している。
また、谷底部152を有しておらず、単位光学形状151の表面が粗面ではない比較例1の光学シートに比べて、実施例1,2の光学シートは、サイドローブが低減されており、シート面に対する出射角度による輝度の変化が緩やかであり、半値角(αV,αH)の値も大きく、垂直方向及び水平方向における視野角も広く、良好な光学特性を示している。
さらに、実施例1,2の光学シートは、ニュートンリングが観察されず、画質も良好である。さらにまた、実施例1,2の光学シートは、傷が付きにくく、ハンドリングが容易であり、仮に傷が生じた場合にもその傷が見え難く、画質の低下を抑えることができる。
【0054】
従って、本実施形態によれば、正面輝度が高く、サイドローブを低減し、視野角が良好であり、ニュートンリングを低減した光学的な性能が良好であって、傷つきにくく、傷がついた場合にもその傷が見えにくい光学シートを、容易に製造することができる。
また、本実施形態によれば、谷底部152及び単位光学形状151を賦形する型形状541の表面に形成される凹凸形状は、ブラスト加工によって容易に得ることができ、谷底部152の凹凸形状を切削加工等により予め形成する必要がなく、作製が容易である。しかも、谷底部152を賦形する型の凹凸形状を、単位光学形状151を賦形する型の凹凸形状よりも粗く形成するために、特別な加工を施さなくてもよい。
さらに、本実施形態の第2ロール54に交換することにより、従来の押出成形装置を用いて光学シートを製造でき、大幅な設備変更が不要である。従って、本実施形態によれば、良好な光学性能とハンドリングとを有する光学シートの生産コストを低減することができる。
【0055】
その上、本実施形態によれば、成形型となる第2ロール54の型形状の表面に微細な凹凸形状が形成されているので、成形時の離型性が向上し、巻きつきトラブル等を解消できる。
加えて、本実施形態によれば、傷つきにくく、傷がついた場合にもその傷が見えにくい光学シートを容易に作成できるので、傷つきを防止するためのマスキング処理等が不要となり、作業工程の短縮や、生産コストの低減を図ることができる。
【0056】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の光学シートの一部を拡大して見た斜視図である。図8では、電子顕微鏡により第2実施形態の光学シート25の端部を電子顕微鏡により斜め上方向から観察した顕微鏡写真を示している。
図9は、第2実施形態の光学シート25の断面の一部を拡大した図である。図9に示す断面は、前述の第1実施形態の光学シート15の矢印S1−S2での断面に相当する断面であり、シート面に直交し、かつ、単位光学形状151の配列方向(画面垂直方向)に平行な断面である。
第2実施形態の光学シート25は、単位光学形状251の形状及び、成形型のブラスト加工前の形状が異なる以外は、前述の第1実施形態と略同様の形状である。従って、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0057】
この第2実施形態の光学シート25は、第1実施形態の光学シート15に替えて、面光源装置10及び表示装置1に用いることができる。
第2実施形態の光学シート25は、LCDパネル11側(出射側)となる面に、凸形状であってシート面に沿って画面垂直方向に複数配列される単位光学形状251と、単位光学形状251間に設けられる谷底部252とを有する光学形状部が形成されており、発光管13側となる入射面254が略平滑面となっている。
単位光学形状251は、単位光学形状251の配列方向に平行であってシート面に直交する断面における断面形状が、図9に示すように、底角β(β>α)であり、その頂部251tが曲面からなる形状である。図9に示す断面形状において、単位光学形状251の頂部251tは、円弧からなり、頂部251tと側面251sとは滑らかに接続されている。
谷底部252は、単位光学形状251間に、所定の幅(間隔)dで設けられている。この谷底部252の幅dは、単位光学形状251の幅wに対して、0<d/w≦0.15という関係を満たしている。なお、谷底部252の凹凸形状による拡散効果をより高める観点から、0.02≦d/w≦0.15を満たすことが、より好ましい。
【0058】
単位光学形状251及び谷底部252は、その表面が不規則かつ微細な凹凸形状を有する粗面となっている。そして、この微細な凹凸形状は、単位光学形状251に比べて谷底部252の方が凹凸形状の凹凸が大きく、その表面粗さの値が粗い。そして、本実施形態では、頂部251tが最も表面粗さの値が小さく、側面251sの表面粗さの値は、頂部251tから谷底部252へ向かうにつれて次第に大きくなり、谷底部252が最も表面粗さの値が大きくなっている。
本実施形態の光学シート25は、算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)に関して、頂部251tの凹凸形状の算術平均粗さRaに対する谷底部252の凹凸形状の算術平均粗さRaの比(即ち、谷底部252の凹凸形状の算術平均粗さRaを単位光学形状251の頂部251tの凹凸形状の算術平均粗さRaで割った値)R1は、1<R1<50を満たしている。また、最大高さRz(JIS B0601−2001)に関しても、頂部151tの凹凸形状の最大高さRzに対する谷底部152の凹凸形状の最大高さRzの比(即ち、谷底部252の凹凸形状の最大高さRzを単位光学形状251の頂部251tの凹凸形状の最大高さRzで割った値)R2は、1<R2<50を満たしている。なお、本実施形態においても、光学特性等の観点から、R1は、9≦R1≦20を満たすことがより好ましく、R2は、10≦R2≦25を満たすことがより好ましい。
【0059】
光学シート25は、前述の第1実施形態の光学シート15と同様に、PC樹脂やAS樹脂等の光透過性を有する熱可塑性樹脂を用いて、前述の図5に示すような押出成形装置50によって形成される。なお、光学シート25は、上記の例に限らず、ABS樹脂、PMMA樹脂、PET樹脂、シクロオレフィン樹脂、MS樹脂、MBS樹脂等を用いて形成してもよい。
光学シート25の光学形状部の賦形工程において、単位光学形状251の形状を賦形する成形型(図5の第2ロール54に相当)の型形状には、その表面にブラスト等によって不規則かつ微細な凹凸形状が付されている。
【0060】
図10は、第2実施形態の光学シートを形成する成形型の型形状の形成方法を示す図である。
光学シート25の単位光学形状251及び谷底部252を成形する第2ロール(不図示)は、前述の第1実施形態の第2ロール54と略同様の形態であるが、型形状641がその外周に設けられている点が異なる。この型形状641は、図10(a)に示すように、ブラスト加工によりその表面に凹凸形状を形成する前の状態で、単位光学形状251を賦形する凹状の型が所定の間隔を空けて配列されており、その単位光学形状251を賦形する型間は、凹凸形状を有しない平面部となっている。そして、図10(b)に示すように、表面に前述のようにブラスト加工を行うことにより、図10(c)に示すように、型形状の表面に不規則かつ微細な凹凸形状が略均一な表面粗さで形成され、谷底部252及び単位光学形状251の型形状641となる。
【0061】
上述の型形状641を備える本実施形態の第2ロールを用いて本実施形態の光学シート25に相当する実施例3の光学シートを作製した。この実施例3の光学シートは、単位光学形状251の底角β=70°、頂部251tの曲率半径R=31μm、配列ピッチP=93μm、配列方向における幅w=85μm、高さh=40μmであり、谷底部252は、単位光学形状251の配列方向における幅d=8μmである。また、実施例3の光学シートの総厚T=450μmである。この実施例3の光学シートは、d/w≒0.0941であり、0<d/w≦0.15及び0.02≦d/w≦0.15を満たしている。
実施例3の光学シートは、R1=18.35,R2=23.26であり、R1,R2の好ましい範囲及びより好ましい範囲を満たしている。
【0062】
この実施例3の光学シートを、ブラスト加工を行わない成形型を用いて作製された比較例2の光学シートと光学性能等を比較した。
この比較例2の光学シートは、単位光学形状251の底角β=70°、頂部の曲率半径R=31μm、配列ピッチP=93μm、配列方向における幅w=86μm、高さh=40μmであり、谷底部252の幅d=7μm、シートの総厚T=450μmである。この比較例2の光学シートは、d/w≒0.0814であり、0<d/w≦0.15及び0.02≦d/w≦0.15を満たしている。なお、この比較例2の光学シートは、その表面が略平滑面からなる成形型により形成されており、ブラスト加工等による凹凸形状を有していないため、頂部と谷底部との表面粗さは略等しいと推察され、R1=1.0、R2=1.0である。
【0063】
実施例3と比較例2の光学シートの正面輝度等の光学性能の測定及び評価方法は、前述の第1実施形態において、実施例1,2及び比較例1の光学シートの光学性能を評価した方法と同様の方法を用いて評価した。
ただし、実施例3及び比較例2の光学シートにおいて、サイドローブの発生の有無の測定に関しては、完全拡散光ではなく、略平行光を入射面側のシート面の法線方向から照射して測定した。これは、実施例3及び比較例2のような単位光学形状では、完全拡散光よりも略平行光を照射した場合の方が、サイドローブの発生が顕著だからである。
【0064】
実施例3の光学シートは、比較例2の光学シートと略同等の正面輝度を維持しながら、比較例2の光学シートに比べてサイドローブの低減やニュートンリングの低減等の効果が得られ、また、耐傷性や傷の見えにくさ等の効果も得られた。さらに、比較例2の光学シートでは、凹凸形状を有しない谷底部から光学制御を受けずに出射する光によって画面の法線方向に対して45〜55°の範囲において、ちらつきが生じていたが、実施例3の光学シートでは、ちらつきは大幅に解消され、観察されなかった。
【0065】
従って、本実施形態においても、谷底部252の表面粗さの値が頂部251tの表面粗さの値に比べて大きく、サイドローブの低減やニュートンリングの低減、ちらつきの低減等の良好な光学特性を有し、傷がつきにくく、傷がついた場合にもその傷が見えにくく画質の低下を抑制できる良好な光学シートを容易に製造することができる。
【0066】
(変形形態)
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0067】
(1)各実施形態において、光学シート15,25は、一対のロール間を加圧されながら通過することにより光学形状部(単位光学形状及び谷底部)の形状が賦形される例を示したが、これに限らず、例えば、シート状に押し出された樹脂が、スリーブロールによって成形ロールに円弧状に圧着されるスリーブロール方式の賦形方法によって賦形されてもよい。
【0068】
(2)第1実施形態において、単位光学形状151は、頂部151tが曲面であり、底角がαである略二等辺三角柱形状である例を示し、第2実施形態において、単位光学形状251は、その断面形状が底角βを有し、頂部251tが曲面からなる形状である例を示したが、これに限らず、単位光学形状は、例えば、略楕円柱形状の一部形状としてもよいし、半円柱形状のような円柱の一部形状としてもよいし、三角柱形状等の多角柱形状としてもよい。また、頂部が曲面ではなく、2つの平面からなる角が形成される形状としてもよい。
また、単位光学形状151,251は、複数の曲率の異なる曲面から形成される形状や、平面と曲面とを組み合わせてなる形状としてもよい。
【0069】
(3)各実施形態において、単位光学形状151,251の側面151s,251sは、谷底部152,252側となるにつれてその凹凸形状の凹凸が大きく、その表面粗さの値が大きくなる例を示したが、これに限らず、単位光学形状151,251の側面151s,251sは、一定の凹凸形状及び表面粗さを有する形態としてもよい。
【0070】
(4)各実施形態において、面光源装置10として光学シート15,25が最も出射側に位置する例を示したが、これに限らず、マイクロレンズシートや、プリズムシートや他のレンズ形状を有するレンズシートや、光透過性を有する樹脂に拡散材等を練り込んで形成する等した拡散シート等を、光学シート15,25の入射側や出射側に適宜配置してもよい。
このようにプリズムシートやレンチキュラーレンズシート等を配置する場合には、プリズム等の配列方向が光学シート15,25の単位レンズの配列方向と直交するように配置すると、視野角向上効果を高めることができる。また、光学シート15,25と同様の形状の第2の光学シートを、単位光学形状の配列方向が光学シート15,25と直交する方向となるように、光学シート15,25の入射側や出射側に配置してもよい。このように、光学シート15,25と組み合わせる他の光学シートは、所望する光学特性等に合せて適宜自由に選択してよい。
【0071】
(5)各実施形態において、光学シート15,25は拡散材を含有していない例を示したが、これに限らず、スチレンビーズ等の拡散材を混錬した樹脂を用いて成形してもよいし、樹脂の屈折率や拡散材の有無等が異なる層が積層された多層構造としてもよい。
【0072】
(6)各実施形態において、単位光学形状151,251は、シート面に沿って表示装置1の画面垂直方向に配列される例を示したが、これに限らず、例えば、画面水平方向に配列してもよく、所望する光学特性等に応じて適宜配列方向を選択してよい。
【0073】
(7)各実施形態において、単位光学形状151,251は、シート面に沿って一方向に配列される例を示したが、これに限らず、例えば、略半球形状や略回転楕円球の一部形状や略四角錐形状とし、シート面に沿って二方向(例えば、垂直方向及び水平方向)に配列してもよい。
【0074】
(8)各実施形態において、面光源装置10の光源部を構成する発光源として、線光源である発光管13を用いる例を示したが、これに限らず、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の点光源を用いてもよいし、有機EL(Electro Luminescence)や無機ELのような面光源を用いてもよい。
【0075】
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0076】
1 表示装置
10 面光源装置
15,25 光学シート
151,251 単位光学形状
151t,251t 頂部
152,252 谷底部
50 押出成形装置
54 第2ロール(成形型)
541,641 型形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート面に沿って一方向に複数配列された凸形状の単位光学形状と、前記単位光学形状の配列方向において前記単位光学形状の間に所定の幅を有して設けられ、その表面に不規則かつ微細な凹凸形状が形成された粗面であって表面粗さの値が前記単位光学形状よりも大きい谷底部とを有する光学形状部を一方の面に有する樹脂製の光学シートを製造する光学シートの製造方法であって、
樹脂をシート状に押し出す押し出し工程と、
押し出されたシート状の樹脂の片面を、前記光学形状部を賦形する型形状を有する成形型に押し当てて前記光学形状部を賦形する賦形工程と、
前記光学形状部が賦形された前記シート状の樹脂を前記成形型から剥離する剥離工程と、
を備え、
前記賦形工程において、前記シート状の樹脂と接する前記型形状の表面に、不規則かつ微細な凹凸形状を有する成形型が用いられること、
を特徴とする光学シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記成形型は、略円柱状であってその外周面に前記光学形状部の前記型形状が賦形された成形ロールであり、
前記賦形工程は、前記押し出されたシート状の樹脂を、少なくとも一方が前記成形ロールである一対のロールの間隙を加圧しながら通過させて前記光学形状部を賦形すること、
を特徴とする光学シートの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の光学シートの製造方法に用いられる光学シートの成形型であって、
該光学シートの光学形状部を賦形する型形状の表面は、不規則かつ微細な凹凸形状を有する粗面であること、
を特徴とする光学シートの成形型。
【請求項4】
請求項3に記載の光学シートの成形型において、
前記不規則かつ微細な凹凸形状は、ブラスト加工によって形成されていること、
を特徴とする光学シートの成形型。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の光学シートの製造方法により製造される光学シートであって、
前記単位光学形状及び前記谷底部の表面は、不規則かつ微細な凹凸形状を有する粗面であって、
前記谷底部の表面粗さの値は、前記単位光学形状の表面粗さの値よりも大きいこと、
を特徴とする光学シート。
【請求項6】
請求項5項に記載の光学シートにおいて、
前記谷底部の凹凸形状の算術平均粗さRaを前記単位光学形状の頂部の凹凸形状の算術平均粗さRaで割った値R1は、
1<R1<50
を満たすこと、
を特徴とする光学シート。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の光学シートにおいて、
前記谷底部の凹凸形状の最大高さRzを前記単位光学形状の頂部の凹凸形状の最大高さRzで割った値R2は、
1<R2<50
を満たすこと、
を特徴とする光学シート。
【請求項8】
請求項5から請求項7までの何れか1項に記載の光学シートと、
光を発する光源部と、
を備える面光源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の面光源装置と、
前記面光源装置によって背面から照明される透過型表示部と、
を備える表示装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−2958(P2012−2958A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136557(P2010−136557)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】