説明

光学シート部材の巻回体および液晶表示装置の連続製造方法

【課題】切断面の糊付着の問題も生じにくく、好ましくは、ロール出荷の際や保管の際に、巻きじわ(ゆず肌)、打痕などが生じにくい光学シート部材の巻回体、並びにこれを用いた液晶表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】光学シート部材の巻回体であって、前記光学シート部材は光学フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を介して離型性のキャリアフィルムを有しており、前記粘着剤層がアクリル系(共)重合体からなり、23℃、周波数10Hzでせん断歪(厚み800μm、動歪0.1%)を加えたときの貯蔵弾性率が0.9〜1.2MPaであり、引っ張り試験における破断伸びが500〜2000%であり、平滑なステンレス(SUS304:広栄工業社製)表面に2Kgローラーを用いて1往復して加圧し、貼り付け後1分後に剥離速度300mm/分で180°に引き剥がしたときの接着力が3〜15N/25mmであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を介して離型性のキャリアフィルムを有する光学シート部材の巻回体、並びに、これを用いた液晶表示装置の連続製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学フィルムの製造メーカでは、光学フィルム部材を有する帯状の製品をロールに巻き取るようにして連続して製造している。そして、光学フィルム部材と光学表示ユニットを組み立てる液晶パネル加工メーカに、光学フィルム部材を納品する際には、所定のサイズにロール状製品を打ち抜いて、打ち抜き後のシート状製品を数枚に重ねて梱包し、納品していた。
【0003】
しかしながら、上記方法では、次のような課題があった。即ち、光学フィルム片の一枚一枚を液晶セルに貼り合せる際に、一枚一枚を装置にセットし、剥離フィルムを剥離する必要があるために、工程時間が長くなり、必要な梱包資材などが多く、またその解体作業も煩雑である。
【0004】
このような課題を解決するために、光学フィルムを有する帯状シート状製品が巻き取られたロールを液晶パネル加工メーカに納品し、ロール供給、欠陥検査、切断加工及び液晶表示装置への貼りあわせを一連の工程で行う製造方法が提案されている(例えば特許文献1等)。また、切断加工については、キャリアフィルムを残したまま光学フィルムと粘着剤層とを切断するハーフカットが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2008−047712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の枚葉タイプでは、ロール状の光学フィルムを打ち抜き加工した後、切断面の糊付着を取り除くために端面を削る等の加工をしていたが、上記のようにロール原反から直接貼り合せる方法では、端面加工ができないため、切断面の糊付着に起因する欠点が増加するという問題があった。更に、上記のような製造方法では、ロールで液晶パネル加工メーカに納入する際や、納入後長期に保管した際などに、ロールの巻き締りにより粘着剤層にしわが発生したり、粘着剤層に含まれる小さな異物によっても、ロールの巻き締まりの影響を受けて打痕と呼ばれる押し跡が発生しやくなり、また表面処理を有する光学部材であれば表面処理の形状が粘着剤層に転写するなど粘着剤層の欠点が多発しやすい。
【0007】
そこで、本発明の目的は、切断面の糊付着の問題も生じにくく、好ましくは、ロール出荷の際や保管の際に、巻きじわ(ゆず肌)、打痕などが生じにくい光学シート部材の巻回体、並びにこれを用いた液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の物性を有する粘着剤層を用いることによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明の光学シート部材の巻回体は、光学シート部材の巻回体であって、前記光学シート部材は光学フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を介して離型性のキャリアフィルムを有しており、前記粘着剤層がアクリル系(共)重合体からなり、23℃、周波数10Hzでせん断歪(厚み800μm、動歪0.1%)を加えたときの貯蔵弾性率が0.9〜1.2MPaであり、引っ張り試験における破断伸びが500〜2000%であり、平滑なステンレス(SUS304:広栄工業社製)表面に2Kgローラーを用いて1往復して加圧し、貼り付け後1分後に剥離速度300mm/分で180°に引き剥がしたときの接着力が3〜15N/25mmであることを特徴とする。
【0010】
本発明の光学シート部材の巻回体において、貯蔵弾性率が低すぎると切断面への糊付着が多くなり保管性が悪くなり、貯蔵弾性率が高すぎると、湿熱試験で剥がれが発生し易くなる。また、破断伸びが小さすぎると湿熱試験で剥がれが発生し易くなり、破断伸びが大きすぎると、切断面への糊付着が多くなって保管性が悪くなる。更に、接着力が大きすぎると、切断面への糊付着が多くなって保管性が悪くなり、接着力が小さすぎると湿熱試験で剥がれが発生し易くなる。その結果、本発明の光学シート部材の巻回体によると、ロール出荷の際や保管の際に、巻きしわ、ゆず肌、打痕などが生じにくく、切断面の糊付着の問題も生じにくい光学シート部材の巻回体を提供できる。
【0011】
上記において、前記粘着剤層は、ゲル分率が70〜90%であり、下記の評価方法で測定される23℃での保持力(H)が200μm以下であることが好ましい。ここで、保持力(H)は、10mm×30mmの光学フィルムの上端部10mm×10mmを無アルカリガラス板(コーニング1737、厚み0.7mm)に粘着剤層を介して2Kgの押し付け力で貼着し、50℃、5気圧の条件下で15分間オートクレーブ処理してから室温で1時間放置した後、光学フィルムの下端部に500gの荷重を負荷して1時間放置したときの、荷重の負荷前後におけるガラス板とのズレ幅を表す。
【0012】
ゲル分率が上記範囲内であると、切断面への糊付着をより低減することができると共に、湿熱試験での剥がれを発生しにくくすることができる。また、保持力(H)が上記範囲内であると、切断面への糊付着をより低減することができ、保管性をより向上させることができる。
【0013】
また、前記離型性のキャリアフィルムが、ポリエステル系の基材からなることが好ましい。ポリエステル系の基材を用いると、他の樹脂フィルムの場合と比較して、粘着剤層にフィルムの欠点が転写して、光学フィルムの欠点判定の妨げとなる、いわゆるフィッシュアイが生じにくくなる。
【0014】
一方、本発明の液晶表示装置の連続製造方法は、上記いずれかに記載の光学シート部材の巻回体から光学シート部材を繰り出す工程と、繰り出された光学シート部材を所定間隔に前記離型性のキャリアフィルムを残したまま前記光学フィルムと前記粘着剤層を切断する工程と、切断された光学フィルム片を粘着剤層を介して液晶セルに貼り合わせる工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の液晶表示装置の連続製造方法によると、上記の如き作用効果を奏する光学シート部材の巻回体を使用するため、ロール出荷の際や保管の際に、巻きしわ、ゆず肌、打痕などが生じにくく、ハーフカット部のキャリアフィルムからの浮きを防止でき、切断面の糊付着の問題も生じにくい液晶表示装置の連続製造方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の液晶表示装置の連続製造方法の一例を示す工程図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の光学シート部材の巻回体は、光学シート部材が巻回された巻回体であり、巻回体における光学シート部材は、光学フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を介して離型性のキャリアフィルムを有している。光学フィルムとしては、液晶セルに貼り合わせるものであれば、何れでもよいが、例えば偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有する偏光板があげられる。また、偏光子又は偏光板に対して、位相差フィルムや、その他の光学補償フィルムを適宜積層したものでもよい。
【0018】
粘着剤層は、アクリル系(共)重合体からなるが、23℃、周波数10Hzでせん断歪(厚み800μm、動歪0.1%)を加えたときの貯蔵弾性率が0.9〜1.2MPaであり、好ましくは0.95〜1.1MPaである。このような範囲とすることで、粘着剤の切断性を良好にしながら、湿熱試験での剥がれを防止することができる。
【0019】
周波数10Hzでの貯蔵弾性率を制御することで、粘着剤の切断性が良好になる理由については定かではないが、粘着剤が切断変形する際の変形速度と周波数10Hzでの変形速度が同程度であるからだと推察される。貯蔵弾性率が低いと打痕発生といった保管性が悪くなると共に、粘着剤の切断性が悪くなって切断面の糊付着状態が生じやすい。貯蔵弾性率が低いと湿熱試験での剥がれが生じやすくなる。
【0020】
本発明において、貯蔵弾性率を制御するには、アクリル系重合体のモノマー種や粘着剤に使用する架橋剤の配合割合や架橋剤の種類を適宜変えることで、貯蔵弾性率を制御できる。例えば、架橋剤の配合割合を多くすると貯蔵弾性率は大きくなり、逆に架橋剤の配合割合を少なくすると貯蔵弾性率は小さくなる。
【0021】
また、粘着剤層の引っ張り試験における破断伸びは、500〜2000%であり、好ましくは、600〜1500%である。破断伸びが小さすぎると湿熱試験で剥がれが発生し易くなり、破断伸びが大きすぎると、切断面への糊付着が多くなり保管性が悪くなる。つまり、破断伸びが一定値を超えると、糊が刃に引っ張られて付着してしまい、切断面への糊付着が多くなる傾向がある。
【0022】
破断伸びの測定方法は、粘着剤層を断面積2mm、長さ30mmの円柱状に成形し、この成形体に対して、23℃で50%RHの条件下、引っ張り試験機により、チャック間距離10mm、引っ張り速度300mm/分にて引っ張り試験を行う。破断伸びは、この引っ張り試験で試験片が破断したときの伸びを表し、「破断伸び」(%)=(「破断時の試験片の長さ」−「初期長さ(10mm)」)/「初期長さ(10mm)」×100で計算される。
【0023】
破断伸びの制御は、粘着剤に使用する架橋剤の配合割合や架橋剤の種類を適宜変えることや、粘着剤に使用するモノマーの配合割合や種類を適宜変える等によって、行うことができる。例えば、架橋剤の配合割合を多くすると破断伸びは小さくなり、逆に架橋剤の配合割合を少なくすると破断伸びは大きくなる。
【0024】
また、粘着剤層の接着力は、3〜15N/25mmであり、好ましくは3〜13N/25mmである。接着力が小さすぎると湿熱試験で剥がれが発生し易くなり、接着力が大きすぎると、切断面への糊付着が多くなり保管性が悪くなる。つまり、切断刃は一般に金属であることが多く、切断刃が進入した際に、接着力が高すぎると、糊と切断刃の密着力が高まって糊が付着し易くなり、ステンレスに対する貼り付け後1分後の接着力を評価して、その値を一定範囲に制御することで、切断面への糊付着の問題を改善することができる。
【0025】
ここで、接着力は、平滑なステンレス(SUS304:広栄工業社製)表面に2Kgローラーを用いて1往復して加圧し、貼り付け後1分後に剥離速度300mm/分で180°に引き剥がしたときの接着力を示す。
【0026】
粘着剤層の接着力の制御は、粘着剤に使用するモノマーの配合割合や種類を適宜変えることや、架橋剤の配合割合や架橋剤の種類を適宜変える等によって、行うことができる。例えば、アクリル酸モノマーの配合割合を多くすると、接着力は大きくなり、アクリル酸モノマーの配合割合を少なくすると、接着力は小さくなる。
【0027】
粘着剤層のゲル分率は、70〜90%が好ましく、73〜87%がより好ましい。ゲル分率がこの範囲より小さくなると、粘着剤層に含まれる小さな異物によっても、ロールの巻き締まりの影響を受けて打痕と呼ばれる押し跡が発生しやくなり、更に巻回体を長期で保存した際に粘着剤層の巻きじわ(ゆず肌)が発生しやすい。またゲル分率がこの範囲より大きくなると、湿熱試験で剥がれが発生しやすい。また、ゲル分率を上記範囲に制御することは、打痕と呼ばれる押し跡が光学フィルム上に発生して外観歩留まりの低下を抑えるうえでも好ましい。本発明において、ゲル分率を制御するには、粘着剤に使用する架橋剤の配合割合や架橋剤の種類を変えればよく、ゲル分率を高めるためには、架橋剤の配合割合を増やすか、架橋剤として重量当たりの官能基数が大きいものを使用するのが好ましい。ゲル分率は下記方法により測定される値である。
【0028】
<ゲル分率>
シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムに、サンプル作成前の各粘着剤組成物を乾燥後の厚さが各例と同じになるように塗工し、塗工後に各例と同じ乾燥条件(温度,時間)で硬化処理して粘着剤層を形成し、さらに温度23℃、湿度65%RHの条件に1時間放置した後に当該粘着剤層についてゲル分率を測定した。ゲル分率は、前記粘着剤層を約0.2gとり、予め重量(Wa)を測定したフッ素樹脂(TEMISH NTF−1122,日東電工(株)製)に包み、粘着剤層が漏れないように縛った後、その重量(Wb)を測定し、これを、約40mlの酢酸エチル中に23℃で、7日間浸漬し可溶分を抽出した。その後、粘着剤層を包んだフッ素樹脂を取り出し、アルミカップ上において130℃で2時間乾燥させて、可溶分が除去された粘着剤層を包んだフッ素樹脂の重量(Wc)を測定した。
【0029】
これらの測定値から、下記の式に従って、粘着剤層のゲル分率(重量%)を求めた。
【0030】
ゲル分率(重量%)={(Wc−Wa)/(Wb−Wa)}×100
また、粘着剤層の23℃での保持力(H)は、保管性を良好にするとともに切断面の糊付着の問題を生じにくくする観点から、200μm以下が好ましく、180μm以下がより好ましい。
【0031】
本発明において、保持力(H)を制御するには、粘着剤に使用する架橋剤の配合割合や架橋剤の種類を変えればよく、保持力(H)の値を小さくするためには、架橋剤の配合割合を増やすか、架橋剤として重量当たりの官能基数が大きいものを使用するのが好ましい。
【0032】
離型性のキャリアフィルムは、必要に応じて離型処理をした高分子フィルムからなり、セパレータとしても機能する。キャリアフィルムの厚みは、保管性、特に巻回体を長期で保存した際に粘着剤層の発生する巻きじわを改善しながら、ロール中における光学フィルムの割合を高めて生産性を確保する観点から、20〜40μmが好ましく、25〜38μmがより好ましい。キャリアフィルムがこの範囲よりも薄いと保管性が悪くなり、厚いと生産性の点から好ましくない。
【0033】
キャリアフィルムの剥離力は、ハーフカットした部分がロール部分を通ったときに、光学フィルムの切断端辺がキャリアフィルムから浮いてしまう現象(浮き)を防止する観点と、ハーフカット後にキャリアフィルムから光学フィルムを剥離して貼り合わせを良好に行う観点から、0.04〜0.2N/50mmが好ましく、0.08〜0.15N/50mmがより好ましい。本発明において、剥離力を制御するには、キャリアフィルムの種類により制御できる。具体的にはキャリアフィルムの離型面にコーティングするシリコーン種や厚みで制御できる。なお、キャリアフィルムの剥離力は、下記方法により測定される値である。
<剥離力>
光学シート部材を50mm幅に裁断したものを、23℃、引き剥がし速度300mm/分で、キャリアフィルムを90°ピールして、初期接着力を測定した。なお、接着力の測定はJIS Z 0237に準じて測定した。
【0034】
粘着剤層を形成する粘着剤としては、アクリル系(共)重合体を用いるが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを80重量%以上含有するアクリル系(共)重合体であることが好ましい。アクリル系粘着剤は、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れる点から、好ましく使用される。
【0035】
アクリル系粘着剤は、アルキル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを主骨格とする(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとする。なお、アルキル(メタ)アクリレートはアルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。(メタ)アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1〜18程度、好ましくは炭素数1〜9のものを例示できる。例えば、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、イソミリスチル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、等を例示できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらアルキル基の平均炭素数は4〜12であるのが好ましい。
【0036】
前記(メタ)アクリル系ポリマー中には、接着性や耐熱性の改善を目的に、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有する、1種類以上の共重合モノマーを共重合により導入することができる。
【0037】
前記官能基を有する共重合モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、窒素含有(例えば、アミノ基、アミド基等)モノマー等があげられる。
【0038】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性(メタ)アクリレート等、があげられる。これらのなかでも、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。水酸基含有モノマーは、イソシアネート系架橋剤との架橋点を構築するための共重合モノマーとして用いるのが好ましい。
【0039】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などがあげられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸、特にアクリル酸が好ましい。カルボキシル基含有モノマーは、耐久性の点から共重合モノマーとして用いるのが好ましい。
【0040】
窒素含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の第3級アミノ基含有モノマーがあげられる。また、窒素含有モノマーとしては、例えば、マレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の第2級アミノ基を有するモノマー、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、ピリジル(メタ)アクリレート、ピロリル(メタ)アクリレート、3−(3−ピリニジル)プロピル(メタ)アクリレート等があげられる。前記窒素含有モノマーとしては、第3級アミノ基含有モノマーが好ましく、特に、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよび/またはN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。窒素含有モノマーは、耐久性の点から共重合モノマーとして用いるのが好ましい。
【0041】
上記以外の官能基含有モノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどがあげられる。
【0042】
さらに、上記以外の共重合モノマーとしては、芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ‐2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(4−メトキシ−1−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、チオフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート等があげられる。
【0043】
さらには、上記以外の共重合モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリレート系モノマーなども使用することができる。
【0044】
(メタ)アクリル系ポリマーは、全構成モノマーの重量比率において、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とする。(メタ)アクリル系ポリマー中の前記共重合モノマーの割合は、特に制限されないが、前記共重合モノマーの割合は、全構成モノマーの重量比率において、0〜50%程度、0.01〜15%程度、さらには0.1〜10%程度であるのが好ましい。
【0045】
これら共重合モノマーの中でも、接着性、耐久性の点から、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。これら共重合モノマーは、粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合に、架橋剤との反応点になる。水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーなどは分子間架橋剤との反応性に富むため、得られる粘着剤層の凝集性や耐熱性の向上のために好ましく用いられる。
【0046】
共重合モノマーとして、水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーを含有する場合、これら共重合モノマーは、前記共重合モノマーの割合で用いられるが、カルボキシル基含有モノマー0.1〜10重量%および水酸基含有モノマー0.01〜2重量%を含有することが好ましい。カルボキシル基含有モノマーは、0.2〜8重量%がより好ましく、さらには0.6〜6重量%が好ましい。水酸基含有モノマーは、0.03〜1.5重量%がより好ましく、さらには0.05〜1重量%が好ましい。
【0047】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、重量平均分子量が100万〜300万の範囲のものが用いられる。耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、重量平均分子量は150万〜250万であるものを用いるのが好ましい。さらに、170万〜250万であることがより好ましく、180万〜250万であることがさらに好ましい。重量平均分子量が100万よりも小さいと、耐熱性の点で好ましくない。また、重量平均分子量が300万よりも大きくなると貼り合せ性、粘着力が低下する点でも好ましくない。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
【0048】
<重量平均分子量の測定>
得られた(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフィー)により測定した。サンプルは、試料をジメチルホルムアミドに溶解して0.1重量%の溶液とし、これを一晩静置した後、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した濾液を用いた。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、Super AWM−H、AW4000、AW2500
・カラムサイズ;各6.0mmφ×150mm
・溶離液:30mM−臭化リチウム、30mM−リン酸のジメチルホルムアミド溶液
・流量:0.4ml/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度:40℃
・注入量:20μl
このような(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0049】
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50〜70℃程度で、5〜30時間程度の反応条件で行われる。
【0050】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
【0051】
本発明の光学フィルム用粘着剤組成物には、シランカップリング剤を使用することが好ましい。上記シランカップリング剤は、適宜、適切な官能基を有するものが選択され得る。官能基としては、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、アクリロキシ基、アセトアセチル基、イソシアネート基、スチリル基、ポリスルフィド基等が挙げられる。
【0052】
上記シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0053】
上記シランカップリング剤は、市販のものをそのまま用いることもできる。あるいは、市販のものに溶剤や添加剤を加えて用いることもできる。市販のシランカップリング剤としては、例えば、信越シリコーン(株)製 KAシリーズ(商品名「KA−1003等」)、同社製 KBMシリーズ(商品名「KBM−303,KBM−403,KBM−503等」、同社製 KBEシリーズ(商品名「KBE−402,KBE−502,KBE−903等」)、東レ(株)製 SHシリーズ(商品名「SH6020,SH6040,SH6062等」、同社製 SZシリーズ(商品名「SZ6030,SZ6032,SZ6300等」が挙げられる。
【0054】
上記シランカップリング剤の配合量は、目的に応じて、適宜、適切な量が選択され得る。上記配合量(重量比)は、アクリル系(共)重合体に対して、好ましくは0.001〜2.0であり、さらに好ましくは0.005〜2.0であり、特に好ましくは0.01〜1.0であり、最も好ましくは0.02〜0.5である。上記シランカップリング剤の配合量を上記の範囲とすることによって、より一層過酷な高温,多湿の環境下でも、剥がれや気泡が発生しない積層フィルムを得ることができる。
【0055】
また前記粘着剤組成物は、架橋剤を含有するのが好ましい。前記架橋剤としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートがあげられる。有機系架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、などがあげられる。これら架橋剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。有機系架橋剤としてはイソシアネート系架橋剤が好ましい。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等があげられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等があげられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等があげられる。
【0056】
ベースポリマーと架橋剤の配合割合は特に限定されないが、通常、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、架橋剤(固形分)10重量部程度以下の割合で配合される。前記架橋剤の配合割合は、0.001〜10重量部が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましく、0.2〜1.0重量部が更に好ましい。
【0057】
前記架橋剤のなかでも、イソシアネート系架橋剤が好ましい。イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどがあげられる。
【0058】
より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合などで多官能化したポリイソシアネートなどをあげることができる。
【0059】
さらに本発明の粘着剤組成物には、必要に応じて、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
【0060】
前記光学フィルム用粘着剤層は基材に塗布した後、熱処理して硬化することにより形成することができる。本発明の粘着型光学フィルムは、光学フィルムの少なくとも片面に、前記粘着剤により粘着剤層を形成したものである。
【0061】
前記粘着剤層を形成する方法としては、例えば、基材として剥離処理したセパレータなどを用いて、前記粘着剤組成物を当該セパレータに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去するとともに硬化させて粘着剤層を形成した後に光学フィルムに転写する方法があげられる。また前記粘着剤層を形成する方法としては、例えば、基材として光学フィルムを用いて、直接、光学フィルムに前記粘着剤組成物を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去するとともに硬化して粘着剤層を光学フィルムに形成する方法があげられる。なお、粘着剤の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0062】
また、本発明の粘着型光学フィルムの作成にあたっては、光学フィルムの表面に、アンカー層を形成したり、コロナ処理、プラズマ処理などの各種易接着処理を施した後に粘着剤層を形成することができる。また、粘着剤層の表面には易接着処理をおこなってもよい。
【0063】
上記アンカー層の形成材としては、好ましくは、ポリウレタン、ポリエステル、分子中にアミノ基を含むポリマー類から選ばれるアンカー剤が用いられ、特に好ましくは、分子中にアミノ基を含んだポリマー類である。分子中にアミノ基を含むポリマー類は、分子中のアミノ基が粘着剤中のカルボキシル基等と反応またはイオン性相互作用などの相互作用を示すため、良好な密着性が確保される。
【0064】
分子中にアミノ基を含むポリマー類としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリジン、ジメチルアミノエチルアクリレート等の含アミノ基含有モノマーの重合体などをあげることができる。
【0065】
粘着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法があげられる。
【0066】
粘着剤層の厚さは、十分な接着力を確保しつつ、加熱試験、湿熱試験の耐久性を維持する目的から、好ましくは、5〜50μmであり、より好ましくは10〜25μmである。
【0067】
本発明において、液晶セルに貼り合わせるまでは、離型性のキャリアフィルム(セパレータとも称する)で粘着剤層が保護されている。
【0068】
セパレータの構成材料としては、例えば、プラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などをあげることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0069】
そのプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。なかでも、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステル系のフィルムが好ましい。
【0070】
前記セパレータには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレータの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。本発明の粘着剤層は、セパレータが離型処理されているものに対して好適であり、特に、シリコーン処理により離型処理されたものに対して好適である。
【0071】
なお、上記の粘着型光学フィルムの作製にあたって用いた、剥離処理したシートは、そのまま粘着型光学フィルムのセパレータとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
【0072】
光学フィルムとしては、液晶表示装置等の画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。例えば、光学フィルムとしては偏光板があげられる。偏光板は偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
【0073】
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
【0074】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
【0075】
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
【0076】
また光学フィルムとしては、例えば反射板や反透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
【0077】
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0078】
本発明の光学シート部材の巻回体は、光学フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を介して離型性のキャリアフィルムを有する光学シート部材が繰り出されて、所定間隔でハーフカットされた後に液晶セルに貼り合わせる用途に好適に使用される。ここで、ハーフカットとは、離型性のキャリアフィルムを残したまま光学フィルムと粘着剤層を切断する切断方式である。その際、粘着剤層は完全に切断されていることが好ましいが、一部残存していてもよい。このような製造工程は、本発明の液晶表示装置の連続製造方法により好適実施することができる。
【0079】
即ち、本発明の液晶表示装置の連続製造方法は、本発明の光学シート部材の巻回体から光学シート部材を繰り出す工程と、繰り出された光学シート部材を所定間隔に前記離型性のキャリアフィルムを残したまま前記光学フィルムと前記粘着剤層を切断する工程と、切断された光学フィルム片を粘着剤層を介して液晶セルに貼り合わせる工程と、を備えている。図1は、本発明液晶表示装置の連続製造方法の一例を示す工程図である。以下、これに基づいて各工程を説明する。
【0080】
(1)第1ロール原反準備工程(図1、S1)。本発明の巻回体を第1ロール原反として準備する。第1ロール原反の幅は、光学表示ユニットの貼り合わせサイズに依存している。
【0081】
(2)搬送工程(図1、S2)。準備され設置された第1ロール原反から第1光学シート部材を繰り出し、下流側に搬送する。第1光学シート部材を搬送する第1搬送装置は、例えば、ニップローラ対、テンションローラ、回転駆動装置、アキュムレート装置、センサー装置、制御装置等で構成されている。第1光学シート部材は第1離型フィルムを有しており、これがキャリアフィルムとして機能する。
【0082】
(3)第1検査工程(図1、S3)。第1光学シート部材の欠点を第1欠点検査装置を用いて検査する。ここでの欠点検査方法としては、第1光学シート部材の両面に対し、透過光、反射光による画像撮影・画像処理する方法、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の偏光軸とクロスニコルとなるように配置(0度クロスと称することがある)して画像撮影・画像処理する方法、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の偏光軸と所定角度(例えば、0度より大きく10度以内の範囲)になるように配置(x度クロスと称することがある)して画像撮影・画像処理する方法が挙げられる。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
【0083】
透過光による画像撮影・画像処理方法では、第1光学シート部材内部の異物が検出できる。反射光による画像撮影・画像処理方法では、第1光学シート部材表面の付着異物が検出できる。0度クロスによる画像撮影・画像処理方法では、主に、表面異物、汚れ、内部の異物等が輝点として検出できる。x度クロスによる画像撮影・画像処理方法では、主に、クニックを検出することができる。
【0084】
第1欠点検査装置で得られた欠点の情報は、その位置情報(例えば、位置座標)とともに紐付けされて、制御装置に送信され、後述する第1切断装置による切断方法に寄与させることができる。
【0085】
(4)第1切断工程(図1、S4)。第1切断装置は、第1離型フィルムを切断せずに、第1光学フィルムおよび第1粘着剤層を所定サイズに切断(ハーフカット)する。切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。第1欠点検査装置で得られた欠点の情報に基づいて、欠点を避けるように切断するように構成される。これにより、第1光学シート部材の歩留まりが大幅に向上する。欠点を含む第1光学シート部材は、後述する第1排除装置によって排除され、光学表示ユニットには貼り付けされないように構成される。
【0086】
(5)第1光学フィルム貼合工程(図1、S5)。第1剥離装置を用いて第1離型フィルムを除去しながら、第1貼合装置を用いて当該第1離型フィルムが除去された第1光学フィルムを第1粘着剤層を介して光学表示ユニットに貼り合せる。貼り合せに際し、後述するように、第1光学フィルムと光学表示ユニットをロール対で挟んで圧着する。
【0087】
(6)洗浄工程(図1、S6)。光学表示ユニットは、研磨洗浄装置および水洗浄装置によって、その表面が洗浄される。洗浄されたパネルは、搬送機構によって、検査装置まで搬送される。搬送機構は、例えば、搬送用ローラ、搬送方向切り替え機構、回転駆動装置、センサー装置、制御装置等で構成される。
【0088】
(7)第2ロール原反準備工程(図1、S11)。本発明の巻回体を第2ロール原反として準備する。第2光学シート部材の積層構造は、第1光学シート部材と同様の構成であるが、これに限定されない。
【0089】
(8)搬送工程(図1、S12)。準備され設置された第2ロール原反から第2光学シート部材を繰り出し、下流側に搬送する。第2光学シート部材を搬送する第2搬送装置は、例えば、ニップローラ対、テンションローラ、回転駆動装置、アキュムレート装置、センサー装置、制御装置等で構成されている。
【0090】
(9)第2検査工程(図1、S13)。第2光学シート部材の欠点を第2欠点検査装置を用いて検査する。ここでの欠点検査方法は、上述した第1欠点検査装置による方法と同様である。
【0091】
(10)第2切断工程(図1、S14)。第2切断装置は、第2離型フィルムを切断せずに、第2光学フィルムおよび第2粘着剤層を所定サイズに切断(ハーフカット)する。切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。第2欠点検査装置で得られた欠点の情報に基づいて、欠点を避けるように切断するように構成される。これにより、第2光学シート部材の歩留まりが大幅に向上する。欠点を含む第2光学シート部材は、後述する第2排除装置によって排除され、光学表示ユニットには貼り付けされないように構成される。
【0092】
(11)第2光学フィルム貼合工程(図1、S15)。次いで、第2切断工程後に、第2剥離装置を用いて第2離型フィルムを除去しながら、第2貼合装置を用いて当該第2離型フィルムが除去された第2光学フィルムを、前記第2粘着剤層を介して、光学表示ユニットの第1光学フィルムが貼り合わされている面と異なる面に貼り合せる。なお、第2光学フィルムを光学表示ユニットに貼り合せる前に、搬送機構の搬送方向切り替え機構によって光学表示ユニットを90度回転させ、第1光学フィルムと第2光学フィルムをクロスニコルの関係にする場合がある。貼り合せに際し、後述するように、第2光学フィルムと光学表示ユニットをロールで挟んで圧着する。
【0093】
(12)光学表示ユニットの検査工程(図1、S16)。検査装置は、光学フィルムを両面に貼着された光学表示ユニットを検査する。検査方法としては、光学表示ユニットの両面に対し、反射光による画像撮影・画像処理する方法が例示される。また他の方法として、検査用偏光フィルムをCCDカメラと検査対象物との間に設置する方法も例示される。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
【0094】
(13)検査装置で得られた欠点の情報に基づいて、光学表示ユニットの良品判定がなされる。良品判定された光学表示ユニットは、次の実装工程に搬送される。不良品判定された場合、リワーク処理が施され、新たに光学フィルムが貼られ、次いで検査され、良品判定の場合、実装工程に移行し、不良品判定の場合、再度リワーク処理に移行するかあるいは廃棄処分される。
【0095】
以上の一連の製造工程において、第1光学フィルムの貼合工程と第2光学フィルム貼合工程とを連続した製造ラインで実行することによって、光学表示ユニットを好適に製造することができる。
【0096】
本発明の液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成される。液晶セルについては、例えばTN型やSTN型、π型、VA型、IPS型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0097】
液晶セルの片側又は両側に粘着型光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
【0098】
さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【実施例】
【0099】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0100】
(保管性)
作製したキャリアフィルム粘着剤層付偏光板ロールを3ケ月間保管した。その後、図1に示す工程で100枚貼りあわせを行い液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置の外観検査(切断端面以外の部分)を行い、下の評価基準に従い評価した。また参考例2、3の枚葉システムは打ち抜き後のシート状製品を20枚重ねて梱包し、同様に3ケ月間保存した。○は100枚中0枚が外観不良、△は100枚中1〜5枚が外観不良、×は100枚中6枚以上が外観不良である。
【0101】
(切断面の糊付着状態)
上記のように、図1に示す工程で100枚貼りあわせを行って得られた液晶表示装置の外観検査(切断端面の糊付着の状態)を行い、下の評価基準に従い評価した。○は100枚中0〜3枚未満が外観不良、×は100枚中3枚以上が外観不良である。なお、ハーフカットの条件は、切断刃としてカッター刃を用いて、20m/分の速度で切断した。
【0102】
(湿熱試験)
粘着剤層付偏光板をガラス板(無アルカリガラス)に貼着し、60℃90%RHの雰囲気中で500時間加熱した後、剥離の有無を目視で観察した。
【0103】
実施例1
ブチルアクリレート(BA)95部、アクリル酸(AA)5部、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、酢酸エチル140部を、窒素導入管と冷却管を備えた4つ口フラスコに投入し、充分に窒素置換した後、窒素気流下で撹拌しながら55℃で8時間重合反応を行い、重量平均分子量170万の高分子量ポリマーAを得た。
【0104】
このポリマー溶液の固形分100部に対して、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物からなるポリイソシアネート系架橋剤(製品名コロネートL:日本ポリウレタン製)0.5部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(製品名KBM403:信越シリコーン製)を配合した。次に、粘着剤組成物を乾燥して厚さが25μmになるようにシリコーン剥離処理した厚み38μmのPET製キャリアフィルム(製品名MRF38:三菱樹脂製)に、ファウンテンコーターにて塗布し、150℃で2分乾燥を行い、粘着剤層を得た。上記粘着剤層を偏光板ロールに貼りあわせ、転写を行い、キャリアフィルム・粘着剤層付偏光板ロールを得た。各層の物性と評価結果を表1に示す。
【0105】
なお、偏光板は次のようにして作製した。厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、速度比の異なるロール間において、30℃、0.3%濃度のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3倍まで延伸した。その後、60℃、4%濃度のホウ酸、10%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍まで延伸した。次いで、30℃、1.5%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に10秒間浸漬することで洗浄した後、50℃で4分間乾燥を行い偏光子を得た。当該偏光子の両面に、けん化処理した厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムをポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せて偏光板を作成した。
<液晶セルへの偏光板貼りあわせ>
図1に示す工程に従って、キャリアフィルム・粘着剤層付偏光板ロールを用いて、液晶セルへの光学フィルムの貼りあわせを行った。液晶セルは、ガラス基板を有する32インチテレビに対応するものであり、光学フィルムのサイズは400mm×700mmであった。
【0106】
実施例2
実施例1において、ポリイソシアネート系架橋剤の添加量を0.3部に変えたこと以外は、実施例1と同じ条件で、キャリアフィルム・粘着剤層付偏光板ロールを得た後、液晶パネルへの貼り合わせを行った。各層の物性と評価結果を表1に示す。
【0107】
実施例3
実施例1において、ポリマーAをポリマーBに代えたこと以外は、実施例1と同じ条件で、キャリアフィルム・粘着剤層付偏光板ロールを得た後、液晶パネルへの貼り合わせを行った。各層の物性と評価結果を表1に示す。なお、ポリマーBは次のようにして重合した。
【0108】
ブチルアクリレート(BA)99部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)1部、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、酢酸エチル140部を、窒素導入管と冷却管を備えた4つ口フラスコに投入し、充分に窒素置換した後、窒素気流下で撹拌しながら55℃で8時間重合反応を行い、重量平均分子量170万の高分子量ポリマーBを得た。
【0109】
比較例1〜2
実施例1において、ポリイソシアネート系架橋剤の添加量を表1に示す量に変えたこと以外は、実施例1と同じ条件で、キャリアフィルム・粘着剤層付偏光板ロールを得た後、液晶パネルへの貼り合わせを行った。各層の物性と評価結果を表1に示す。
【0110】
比較例3
実施例1において、ポリマーAをポリマーBに代えると共に、ポリイソシアネート系架橋剤の添加量を0.1部に変えたこと以外は、実施例1と同じ条件で、キャリアフィルム・粘着剤層付偏光板ロールを得た後、液晶パネルへの貼り合わせを行った。各層の物性と評価結果を表1に示す。
【0111】
比較例4
実施例1において、ポリマーAをポリマーCに代えたこと以外は、実施例1と同じ条件で、キャリアフィルム・粘着剤層付偏光板ロールを得た後、液晶パネルへの貼り合わせを行った。各層の物性と評価結果を表1に示す。なお、ポリマーCは次のようにして重合した。
【0112】
ブチルアクリレート(BA)93部、アクリル酸(AA)7部、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、酢酸エチル140部を、窒素導入管と冷却管を備えた4つ口フラスコに投入し、充分に窒素置換した後、窒素気流下で撹拌しながら55℃で8時間重合反応を行い、重量平均分子量170万の高分子量ポリマーCを得た。
【0113】
比較例5
実施例1において、ポリマーAをポリマーBに代え、架橋剤の添加量を1.5部(表1参照)に変えたこと以外は、実施例1と同じ条件で、キャリアフィルム・粘着剤層付偏光板ロールを得た後、液晶パネルへの貼り合わせを行った。各層の物性と評価結果を表1に示す。
【0114】
比較例6
実施例1において、ポリイソシアネート系架橋剤の添加量を2.0部(表1参照)に変えたこと以外は、実施例1と同じ条件で、キャリアフィルム・粘着剤層付偏光板ロールを得た後、液晶パネルへの貼り合わせを行った。各層の物性と評価結果を表1に示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学シート部材の巻回体であって、
前記光学シート部材は光学フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を介して離型性のキャリアフィルムを有しており、
前記粘着剤層がアクリル系(共)重合体からなり、
23℃、周波数10Hzでせん断歪(厚み800μm、動歪0.1%)を加えたときの貯蔵弾性率が0.9〜1.2MPaであり、
引っ張り試験における破断伸びが500〜2000%であり、
平滑なステンレス(SUS304:広栄工業社製)表面に2Kgローラーを用いて1往復して加圧し、貼り付け後1分後に剥離速度300mm/分で180°に引き剥がしたときの接着力が3〜15N/25mmである光学シート部材の巻回体。
【請求項2】
前記粘着剤層は、ゲル分率が70〜90%であり、
下記の評価方法で測定される23℃での保持力(H)が200μm以下である請求項1記載の光学シート部材の巻回体。
ここで、保持力(H)は、10mm×30mmの光学フィルムの上端部10mm×10mmを無アルカリガラス板(コーニング1737、厚み0.7mm)に粘着剤層を介して2Kgの押し付け力で貼着し、50℃、5気圧の条件下で15分間オートクレーブ処理してから室温で1時間放置した後、光学フィルムの下端部に500gの荷重を負荷して1時間放置したときの、荷重の負荷前後におけるガラス板とのズレ幅を表す。
【請求項3】
前記離型性のキャリアフィルムが、ポリエステル系の基材からなる請求項1又は2に記載の光学シート部材の巻回体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光学シート部材の巻回体から光学シート部材を繰り出す工程と、繰り出された光学シート部材を所定間隔に前記離型性のキャリアフィルムを残したまま前記光学フィルムと前記粘着剤層を切断する工程と、切断された光学フィルム片を粘着剤層を介して液晶セルに貼り合わせる工程と、を備える液晶表示装置の連続製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−8195(P2011−8195A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154218(P2009−154218)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】