説明

光学ドライブ装置、スポット位置ずれ補正方法

【課題】バルク層と、位置案内子がスパイラル状又は同心円状に形成された基準面とを有する光ディスク記録媒体に対し、上記バルク層への記録を行うための第1の光と、上記位置案内子に基づく位置制御を行うための第2の光とを共通の対物レンズを介して照射する光学ドライブ装置において、skewや対物レンズシフトに起因して生じる上記第1,第2の光のスポット位置ずれをより高精度に補正する。
【解決手段】バルク層5内における基準面Refの所定のトラックと同一半径位置となる位置に基準トラックTR−b1を形成しておく。その上で、上記基準トラックを用い、第1の光と第2の光のスポット位置をトラッキング方向において一致させた状態にて光軸調整部14Bによる光軸の補正量を回転角度ごとにサンプリングし、記録時において、それらサンプリングした補正量を回転角度ごとに上記光軸調整部14Bに指示してスポット位置ずれの補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク記録媒体についての少なくとも記録を行う光学ドライブ装置とそのスポット位置ずれ補正方法とに関するものであり、特に、マーク記録を行うための第1の光と、上記光ディスク記録媒体に形成された位置案内子に基づき位置制御を行うための第2の光とを共通の対物レンズを介して照射するように構成された光学ドライブ装置に適用して好適なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2008−135144号公報
【特許文献2】特開2008−176902号公報
【特許文献3】特開2009−9635号公報
【背景技術】
【0003】
光の照射により信号の記録/再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスクが普及している。
【0004】
これらCD、DVD、BDなど現状において普及している光記録媒体の次世代を担うべき光記録媒体に関して、先に本出願人は、上記特許文献1や上記特許文献2に記載されるようないわゆるバルク記録型の光記録媒体を提案している。
【0005】
ここで、バルク記録とは、例えば図12に示すようにして少なくともカバー層101とバルク層(記録層)102とを有する光記録媒体(バルク型記録媒体100)に対し、逐次焦点位置を変えてレーザ光照射を行ってバルク層102内に多層記録を行うことで、大記録容量化を図る技術である。
【0006】
このようなバルク記録に関して、上記特許文献1には、いわゆるマイクロホログラム方式と呼ばれる記録技術が開示されている。
マイクロホログラム方式は、次の図13に示されるように、ポジ型マイクロホログラム方式とネガ型マイクロホログラム方式とに大別される。
マイクロホログラム方式では、バルク層102の記録材料として、いわゆるホログラム記録材料が用いられる。ホログラム記録材料としては、例えば光重合型フォトポリマ等が広く知られている。
【0007】
ポジ型マイクロホログラム方式は、図13(a)に示すように、対向する2つの光束(光束A、光束B)を同位置に集光して微細な干渉縞(ホログラム)を形成し、これを記録マークとする手法である。
【0008】
また、図13(b)に示すネガ型マイクロホログラム方式は、ポジ型マイクロホログラム方式とは逆の発想で、予め形成しておいた干渉縞をレーザ光照射により消去して、当該消去部分を記録マークとする手法である。
【0009】
図14は、ネガ型マイクロホログラム方式について説明するための図である、
ネガ型マイクロホログラム方式では、記録動作を行う前に、図14(a)に示されるようにして予めバルク層102に対して干渉縞を形成するための初期化処理を行うことになる。具体的には、図中に示すように平行光による光束C,Dを対向して照射し、それらの干渉縞をバルク層102の全体に形成しておく。
このように初期化処理により予め干渉縞を形成しておいた上で、図14(b)に示されるようにして消去マークの形成による情報記録を行う。具体的には、任意の層位置にフォーカスを合わせた状態で記録情報に応じたレーザ光照射を行うことで、消去マークによる情報記録を行うものである。
【0010】
また、本出願人は、マイクロホログラム方式とは異なるバルク記録の手法として、例えば特許文献2に開示されるようなボイド(空孔)を記録マークとして形成する記録手法も提案している。
ボイド記録方式は、例えば光重合型フォトポリマなどの記録材料で構成されたバルク層102に対して、比較的高パワーでレーザ光照射を行い、上記バルク層102内に空孔(ボイド)を記録する手法である。特許文献2に記載されるように、このように形成された空孔部分は、バルク層102内における他の部分と屈折率が異なる部分となり、それらの境界部分で光の反射率が高められることになる。従って上記空孔部分は記録マークとして機能し、これによって空孔マークの形成による情報記録が実現される。
【0011】
このようなボイド記録方式は、ホログラムを形成するものではないので、記録にあたっては片側からの光照射を行えば済むものとできる。すなわち、ポジ型マイクロホログラム方式の場合のように2つの光束を同位置に集光して記録マークを形成する必要は無いものとできる。
また、ネガ型マイクロホログラム方式との比較では、初期化処理を不要にできるというメリットがある。
なお、特許文献2には、ボイド記録を行うにあたり記録前のプリキュア光の照射を行う例が示されているが、このようなプリキュア光の照射は省略してもボイドの記録は可能である。
【0012】
ところで、上記のような各種の記録手法が提案されているバルク記録型(単にバルク型とも称する)の光ディスク記録媒体であるが、このようなバルク型の光ディスク記録媒体の記録層(バルク層)は、例えば反射膜が複数形成されるという意味での明示的な多層構造を有するものではない。すなわち、バルク層102においては、通常の多層ディスクが備えているような記録層ごとの反射膜、及び案内溝は設けられていない。
従って、先の図12に示したバルク型記録媒体100の構造のままでは、マークが未形成である記録時において、フォーカスサーボやトラッキングサーボを行うことができないことになる。
【0013】
このため実際において、バルク型記録媒体100に対しては、次の図15に示すような案内溝を有する基準となる反射面(基準面)を設けるようにされている。
具体的には、カバー層101の下面側に例えばピットやグルーブの形成による案内溝(位置案内子)がスパイラル状又は同心円状に形成され、そこに選択反射膜103が成膜される。そして、このように選択反射膜103が成膜されたカバー層102の下層側に対し、図中の中間層104としての、例えばUV硬化樹脂などの接着材料を介してバルク層102が積層される。
ここで、上記のようなピットやグルーブ等による案内溝の形成により、例えば半径位置情報や回転角度情報などの絶対位置情報(アドレス情報)の記録が行われている。以下の説明では、このような案内溝が形成され絶対位置情報の記録が行われた面(この場合は上記選択反射膜103の形成面)のことを、「基準面Ref」と称する。
【0014】
また、上記のような媒体構造とした上で、バルク型記録媒体100に対しては、次の図16に示されるようにマークの記録(又は再生)のためのレーザ光(以下、録再用レーザ光、或いは単に録再光とも称する)とは別途に、位置制御用のレーザ光としてのサーボ用レーザ光(単にサーボ光とも称する)を照射するようにされる。
図示するようにこれら録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とは、共通の対物レンズを介してバルク型記録媒体100に照射される。
【0015】
このとき、仮に、上記サーボ用レーザ光がバルク層102に到達してしまうと、当該バルク層102内におけるマーク記録に悪影響を与える虞がある。このため、従来よりバルク記録方式では、上記サーボ用レーザ光として、録再用レーザ光とは波長帯の異なるレーザ光を用いるものとした上で、基準面Refに形成される反射膜としては、サーボ用レーザ光は反射し、録再用レーザ光は透過するという波長選択性を有する選択反射膜103を設けるものとしている。
【0016】
以上の前提を踏まえた上で、図16を参照し、バルク型記録媒体100に対するマーク記録時の動作について説明する。
先ず、案内溝や反射膜の形成されていないバルク層102に対して多層記録を行うとしたときには、バルク層102内の深さ方向においてマークを記録する層位置を何れの位置とするかを予め定めておくことになる。図中では、バルク層102内においてマークを形成する層位置(マーク形成層位置:情報記録層位置とも呼ぶ)として、第1情報記録層位置L1〜第5情報記録層位置L5の計5つの情報記録層位置Lが設定された場合を例示している。図示するように第1情報記録層位置L1は、案内溝が形成された選択反射膜103(基準面Ref)からフォーカス方向(深さ方向)に第1オフセットof-L1分だけ離間した位置として設定される。また、第2情報記録層位置L2、第3情報記録層位置L3、第4情報記録層位置L4、第5情報記録層位置L5は、それぞれ基準面Refから第2オフセットof-L2分、第3オフセットof-L3分、第4オフセットof-L4分、第5オフセットof-L5分だけ離間した位置として設定される。
【0017】
マークが未だ形成されていない記録時においては、録再用レーザ光の反射光に基づいてバルク層102内の各層位置を対象としたフォーカスサーボ、トラッキングサーボを行うことはできない。従って、記録時における対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御は、サーボ用レーザ光の反射光に基づき、当該サーボ用レーザ光のスポット位置が基準面Refにおいて案内溝に追従するようにして行うことになる。
【0018】
但し、上記録再用レーザ光は、マーク記録のために基準面Refよりも下層側に形成されたバルク層102に到達させる必要がある。このため、この場合の光学系には、対物レンズのフォーカス機構とは別途に、録再用レーザ光の合焦位置を独立して調整するための録再光用フォーカス機構が設けられることになる。
【0019】
ここで、このような録再光用レーザ光の合焦位置を独立して調整するための機構を含めた、バルク型記録媒体100の記録再生を行うための光学系の概要を図17に示しておく。
図17において、図16にも示した対物レンズは、図示するように2軸アクチュエータによりバルク型記録媒体100の半径方向(トラッキング方向)、及びバルク型記録媒体100に接離する方向(フォーカス方向)に変位可能とされている。
【0020】
この図17において、録再用レーザ光の合焦位置を独立して調整するための機構は、図中のフォーカス機構(エキスパンダ)が該当する。具体的に、このエキスパンダとしてのフォーカス機構は、固定レンズと、レンズ駆動部により録再用レーザ光の光軸に平行な方向に変位可能に保持された可動レンズとを備えて構成されており、上記レンズ駆動部により上記可動レンズが駆動されることで、図中の対物レンズに入射する録再用レーザ光のコリメーションが変化し、それにより録再用レーザ光の合焦位置がサーボ用レーザ光とは独立して調整されるようになっている。
【0021】
また、上述のように録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長帯が異なるものとされているので、これに対応しこの場合の光学系では、図中のダイクロイックプリズムにより、録再用レーザ光、サーボ用レーザ光のバルク型記録媒体100からの反射光がそれぞれの系に分離されるように(つまりそれぞれの反射光検出を独立して行えるように)している。
また、往路光で考えた場合、上記ダイクロイックプリズムは、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とを同一軸上に合成して対物レンズに入射させる機能を有する。具体的にこの場合、録再用レーザ光は、図示するように上記エキスパンダを介しミラーで反射された後、上記ダイクロイックプリズムの選択反射面で反射されて対物レンズに対して入射する。一方、サーボ用レーザ光は、上記ダイクロイックプリズムの選択反射面を透過して対物レンズに対して入射する。
【0022】
図18は、バルク型記録媒体100の再生時におけるサーボ制御について説明するための図である。
マーク記録が既に行われたバルク型記録媒体100について再生を行う際は、記録時のように対物レンズの位置をサーボ用レーザ光の反射光に基づいて制御する必要性はない。すなわち、再生時においては、再生対象とする情報記録層位置L(再生時については情報記録層Lとも称する)に形成されたマーク列を対象として、録再用レーザ光の反射光に基づいて対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行えばよい。
【0023】
上記のようにしてバルク記録方式においては、バルク型記録媒体100に対し、マーク記録/再生を行うための録再用レーザ光と位置制御用光としてのサーボ光とを共通の対物レンズを介して(同一光軸上に合成して)照射するようにした上で、記録時においては、サーボ用レーザ光が基準面Refの位置案内子に追従するように対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行い且つ、録再光用フォーカス機構により録再用レーザ光の合焦位置を別途調整することによって、バルク層102内に案内溝が形成されていなくとも、バルク層102内の所要の位置(深さ方向及びトラッキング方向)に対してマーク記録ができるように図られている。
また、再生時には、既に記録されたマーク列に録再用レーザ光の焦点位置が追従するようにして当該録再用レーザ光の反射光に基づく対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行うことで、バルク層102内に記録されたマークの再生を行うことができる。
【0024】
ここで、上記により説明してきたようなバルク記録方式を採用する場合には、いわゆるskew(チルト)の発生や、ディスク偏芯に伴う対物レンズのレンズシフトの発生に伴い、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とに、記録面内方向におけるスポット位置ずれが生じることが知られている。
【0025】
図19は、skewの発生に伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示している。
図19(a)に示すskew無しの状態では、サーボ用レーザ光と録再用レーザ光のスポット位置は記録面内方向において一致している。これに対し、図19(b)に示すようなskewの発生に応じては、サーボ用レーザ光と録再用レーザ光とに光軸のずれが生じ、図中に示すようなスポット位置ずれΔxが生じてしまう。
【0026】
また図20は、レンズシフトに伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示している。
図20(a)に示すレンズシフト無しの状態では、対物レンズが基準位置にあり、対物レンズの中心と該対物レンズに入射する各レーザ光の光軸cとが一致している。光学系は、このように対物レンズが基準位置にある状態において、各レーザ光の記録面内方向におけるスポット位置が一致するように設計されている。
【0027】
これに対し、トラッキングサーボ制御により図20(b)に示すようにディスク偏芯に追従するようにして対物レンズが基準位置からシフトしてしまった場合(この場合は紙面左方向へのシフトとしている)には、図中に示すようなスポット位置ずれΔxが生じる。
このようなレンズシフト起因のスポット位置ずれは、対物レンズに対するサーボ用レーザ光と録再用レーザ光の入射態様の差によって生じるものとなる。具体的には、サーボ用レーザ光は対物レンズに対して略平行光により入射するのに対し、録再用レーザ光は非平行光により入射することに起因するものである。
【0028】
このようなskewやレンズシフトに起因したサーボ用レーザ光と録再用レーザ光のスポット位置ずれが生じることによっては、バルク層102内における情報記録位置のずれが生じてしまう。つまり、先の説明からも理解されるように、記録時における録再用レーザ光のスポット位置は、サーボ用レーザ光の反射光に基づく対物レンズのトラッキングサーボ制御が行われることで制御されるので、上記のようなスポット位置ずれの発生に応じては、バルク層102内の意図した位置に記録を行うことができなくなってしまうものである。
【0029】
このとき、skew・偏芯の発生量やトラックピッチ(位置案内子の形成間隔)の設定によっては、隣接するトラック間で情報記録位置が重なってしまう虞がある。具体的にディスクの偏芯やskewは、スピンドルモータへのディスクのクランプのされかたなどにより、ディスクが装填されるごとに異なる態様で発生することがあるので、例えば或るディスクについてディスク付け替えを伴う追記を行ったとき、前回の記録時に生じていたskew・偏芯の態様と追記時に生じるskew・偏芯の態様とが異なることに起因して、既記録部分のマーク列と追記部分のマーク列とに重なりが生じたり、場合によっては交差してしまうという問題が生じるものである。
このようであると、正しく記録信号を再生することはできなくなる。
【0030】
このようなマーク列の重なりや交差の発生を防止するための一つの手法として、基準面Refにおけるトラックピッチを広めに設定しておくということを挙げることができる。
しかしながら、このように基準面Refのトラックピッチを広げた場合には、当然のことながらバルク層102における記録容量の縮小化を招くものとなってしまう。
【0031】
そこで、情報記録位置のずれ自体を防止するために、skewやレンズシフトを検出した結果から、録再用レーザ光のスポット位置ずれを補正するということが考えられる。
具体的に、図19や図20を参照して理解されるようにskewの発生量とスポット位置ずれ量、及びレンズシフト量とスポット位置ずれ量とは比例関係となるので、skew量の検出結果からskew起因分のスポット位置ずれ補正量を求め、またレンズシフト量の検出結果からレンズシフト起因分のスポット位置ずれ補正量を求めた上で、それらの和をskewとレンズシフトの双方に起因したスポット位置ずれを補正するための補正量として算出する。
このように算出した補正量に基づき、例えば録再用レーザ光の光軸を平行移動させるなどして、サーボ用レーザ光と録再用レーザ光との間のスポット位置ずれを補正する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
しかしながら、上記のようなスポット位置ずれ補正を行うとしたときは、skewやレンズシフトの発生量を検出するための構成が必要となる。すなわちその分、装置のコストアップやサイズの大型化を招くものとなる。
【0033】
また、先の図19や図20を参照すると、スポット位置ずれは、skew量やレンズシフト量に応じて変化するのみでなく、記録対象とする層位置に応じても変化するものであることが分かる。また、経年変化などによっても、検出したskew量・レンズシフト量と実際に必要とされる補正量とに変化が生じる場合もある。
これらの点からも理解されるように、検出したskew量・レンズシフト量に基づきスポット位置ずれを補正する手法では、情報記録位置のずれを適正に補正することができない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0034】
上記のような問題点に鑑み、本発明では光学ドライブ装置として以下のように構成することとした。
すなわち、本発明の光学ドライブ装置は、位置案内子としてのトラックがスパイラル状又は同心円状に形成された反射膜を有する基準面と、光照射に応じたマーク形成により情報記録が行われる記録層とを有すると共に、上記記録層内における、上記基準面上の所定のトラックと同一半径位置に対して基準トラックが形成された光ディスク記録媒体についての少なくとも記録を行う光学ドライブ装置であって、上記記録層に対する情報記録を行うための第1の光と、上記基準面に形成された上記位置案内子に基づく位置制御を行うための第2の光とが入射され、これら第1の光と第2の光の双方を上記光ディスク記録媒体に対して照射する対物レンズを備える。
また、上記対物レンズを上記光ディスク記録媒体の半径方向に平行な方向であるトラッキング方向に駆動するトラッキング機構を備える。
また、上記対物レンズに入射する上記第1の光と上記第2の光の光軸の相対的な位置関係を変化させる光軸調整部を備える。
また、上記第1の光の上記光ディスク記録媒体からの反射光を受光して得られるトラッキングエラー信号から第1のトラッキングサーボ信号を生成する第1のトラッキングサーボ信号生成部を備える。
また、上記第2の光の上記光ディスク記録媒体からの反射光を受光して得られるトラッキングエラー信号から第2のトラッキングサーボ信号を生成する第2のトラッキングサーボ信号生成部を備える。
また、上記光軸調整部による光軸の補正量についての検出を行う補正量検出部を備える。
その上で、上記トラッキング機構による上記第2のトラッキングサーボ信号に基づく上記第2の光についてのトラッキングサーボ制御により、上記第2の光のスポット位置を上記基準面上の上記所定のトラックに追従させつつ、上記光軸調整部により、上記第1のトラッキングサーボ信号に基づく上記第1の光についてのトラッキングサーボ制御を実行させて、上記第1の光のスポット位置を上記記録層内の上記基準トラックに追従させた状態において、上記補正量検出部により検出される上記光軸の補正量を、上記光ディスク記録媒体の回転角度ごとにサンプリングすると共に、
上記回転角度ごとにサンプリングした上記補正量を上記光軸調整部に指示して上記光軸の補正を実行させる制御部を備えるものである。
【0035】
上記のように本発明では、光ディスク記録媒体に形成された基準トラックを用いて、上記第1の光と上記第2の光のスポット位置を半径方向において一致させたいわば理想的な補正状態を作り上げ、その状態において、上記光軸調整部による光軸の補正量を回転角度ごとにサンプリングするものとしている。そして、このように回転角度ごとにサンプリングした補正量を用いてスポット位置ずれの補正を行うものとしている。
これによれば、スポット位置ずれの補正にあたりskew量や対物レンズのレンズシフト量を検出するための構成を省略することができる。
また、上記のように理想的な補正状態を作り出して実際にサンプリングした補正量を用いた補正動作としていることで、経時変化などに応じた適正な補正を行うことができる共に、上記基準トラックの形成層に応じた適正な補正量による補正を行うこともできる。つまりこれらの点より、スポット位置ずれ(第1の光による情報記録位置のずれ)をより高精度に補正することができる。
【発明の効果】
【0036】
上記のようにして本発明によれば、スポット位置ずれの補正にあたりskew量や対物レンズのレンズシフト量を検出するための構成を省略することができると共に、第1の光による情報記録位置の補正を、より高精度に行うことができる。
skew・レンズシフト量を検出するための構成が不要となることで、装置の小型化やコストダウンが図られる。
【0037】
また、情報記録位置の補正をより高精度に行うことができれば、その分、基準面におけるトラックピッチ(半径方向における位置案内子の形成間隔)は狭めることができ、その結果、記録容量の増大化が図られる。
【0038】
また、トラックピッチを狭めることができることで、その分、アクセス時間の短縮化も図られる。つまり、トラックピッチが広い場合は、記録したデータ列の探索に多くの時間を要するものとなるが、本発明ではこれが緩和され、アクセス時間の短縮化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態で記録/再生対象とする光ディスク記録媒体の断面構造図である。
【図2】光ディスク記録媒体に形成される基準トラックについて説明するための図である。
【図3】実施の形態としての光学ドライブ装置が備える光学ピックアップの内部構成を示した図である。
【図4】実施の形態としての光学ドライブ装置の全体的な内部構成を示した図である。
【図5】補正量のサンプリング時の動作について説明するための図である。
【図6】テーブル情報のデータ構造例を示した図である。
【図7】実施の形態としての補正量サンプリング動作を実現するための具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図8】サンプリングした補正量に基づく補正動作時に対応して行われるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図9】基準トラックを複数の層位置に設ける変形例についての説明図である。
【図10】基準トラックを複数の半径位置に設ける変形例についての説明図である。
【図11】多層記録媒体の断面構造図である。
【図12】バルク記録方式について説明するための図である。
【図13】マイクロホログラム方式について説明するための図である。
【図14】ネガ型マイクロホログラム方式について説明するための図である。
【図15】基準面を備える実際のバルク型記録媒体の断面構造を例示した図である。
【図16】バルク型記録媒体に対するマーク記録時の動作について説明するための図である。
【図17】バルク型記録媒体の記録再生を行うための光学系の概要を示した図である。
【図18】バルク型記録媒体の再生時におけるサーボ制御について説明するための図である。
【図19】skewに伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示した図である。
【図20】レンズシフトに伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。

<1.実施の形態で記録/再生対象とする光ディスク記録媒体>
<2.光学ドライブ装置の構成>
<3.実施の形態としての補正動作例>
<4.処理手順>
<5.まとめ>
<6.変形例>
【0041】
<1.実施の形態で記録/再生対象とする光ディスク記録媒体>

図1は、実施の形態で記録/再生対象とする光ディスク記録媒体の断面構造図を示している。
実施の形態で記録/再生対象とする光ディスク記録媒体は、いわゆるバルク記録型の光記録媒体とされ、以下、バルク型記録媒体1と称する。
バルク型記録媒体1は、ディスク状の光記録媒体とされ、回転駆動されるバルク型記録媒体1に対するレーザ光照射が行われてマーク記録(情報記録)が行われる。また、記録情報の再生としても、回転駆動されるバルク型記録媒体1に対してレーザ光を照射して行われる。
なお光記録媒体とは、光の照射により情報の記録/再生が行われる記録媒体を総称したものである。
【0042】
図1に示されるように、バルク型記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、選択反射膜3、中間層4、バルク層5が形成されている。
ここで、本明細書において「上層側」とは、後述する実施の形態としての光学ドライブ装置(記録再生装置10)側からのレーザ光が入射する面を上面としたときの上層側を指す。
【0043】
また、本明細書においては「深さ方向」という語を用いるが、この「深さ方向」とは、上記「上層側」の定義に従った上下方向と一致する方向(すなわち光学ドライブ装置側からのレーザ光の入射方向に平行な方向:フォーカス方向)を指すものである。
【0044】
バルク型記録媒体1において、上記カバー層2は、例えばポリカーボネートやアクリルなどの樹脂で構成され、図示するようにその下面側には、記録/再生位置を案内するための位置案内子として案内溝が形成され、図のように凹凸の断面形状が与えられている。位置案内子は、スパイラル状又は同心円状に形成される。本例の場合において、上記位置案内子はスパイラル状に形成されているものとして以下の説明を続ける。
上記案内溝としては、連続溝(グルーブ)、又はピット列で形成される。例えば案内溝がピット列で形成される場合、ピットとランドの長さの組み合わせにより位置情報(絶対位置情報:ディスク上での回転角度位置を表す情報としての回転角度情報や、半径位置情報など)が記録される。或いは、案内溝がグルーブとされる場合、当該グルーブを周期的に蛇行(ウォブル)させて形成することで、該蛇行の周期情報により位置情報の記録が行われる。
カバー層2は、例えばこのような案内溝(凹凸形状)が形成されたスタンパを用いた射出成形などにより生成される。
【0045】
また、上記案内溝が形成された上記カバー層2の下面側には、選択反射膜3が成膜される。
ここで、前述もした通りバルク記録方式では、記録層としてのバルク層5に対してマーク記録/再生を行うための光(録再用レーザ光)とは別に、上記のような案内溝に基づきトラッキングやフォーカスのエラー信号を得るための光(サーボ用レーザ光)を別途に照射するものとされている。
このとき、仮に、上記サーボ用レーザ光がバルク層5に到達してしまうと、当該バルク層5内におけるマーク記録に悪影響を与える虞がある。このため、サーボ用レーザ光は反射し、録再用レーザ光は透過するという選択性を有する反射膜が必要とされている。
従来よりバルク記録方式では、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長帯の異なるレーザ光を用いるようにされており、これに対応すべく、上記選択反射膜3としては、サーボ用レーザ光と同一の波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するという、波長選択性を有する選択反射膜が用いられる。
【0046】
上記選択反射膜3の下層側には、例えばUV硬化樹脂などの接着材料で構成された中間層4を介して、記録層としてのバルク層5が積層(接着)されている。
バルク層5の形成材料(記録材料)としては、例えば先に説明したポジ型マイクロホログラム方式やネガ型マイクロホログラム方式、ボイド記録方式など、採用するバルク記録の方式に応じて適宜最適なものが採用されればよい。
なお、本発明で対象とする光ディスク記録媒体に対するマーク記録方式は特に限定されるべきものではなく、バルク記録方式の範疇において任意の方式が採用されればよい。以下の説明においては一例として、ボイド記録方式が採用される場合を例示する。
【0047】
ここで、上記のような構成を有するバルク型記録媒体1において、上述の案内溝としての位置案内子が形成された選択反射膜3は、後述もするようにサーボ用レーザ光に基づく録再用レーザ光の位置制御を行うにあたっての基準となる反射面となる。この意味で、選択反射膜3が形成された面を以下、基準面Refと称する。
【0048】
先の図16においても説明したように、バルク型の光記録媒体においては、バルク層内に多層記録を行うために、予め情報記録を行うべき各層位置(情報記録層位置L)が設定される。バルク型記録媒体1においても、情報記録層位置Lについては、先の図16の場合と同様に、基準面Refからそれぞれ深さ方向に第1オフセットof-L1、第2オフセットof-L2、第3オフセットof-L3、第4オフセットof-L4、第5オフセットof-L5分だけ離間した第1情報記録層位置L、第2情報記録層位置L2、第3情報記録層位置L3、第4情報記録層位置L4、第5情報記録層位置L5が設定されているとする。
基準面Refからの各層位置Lへのオフセットof-Lの情報は、後述する記録再生装置10におけるコントローラ40に対して設定される。
【0049】
また、本実施の形態のバルク型記録媒体1には、バルク層5内に図2に示すような基準トラック(バルク層内基準トラック)TR-blが形成される。
このようなバルク層5内における基準トラックTR-blは、基準面Refにおいて形成されたトラックのうちから選出した或る1本のトラック(基準面上基準トラックTR-rf、或いは単に基準トラックTR-rfとも表記する)と同一半径位置となるように形成されている。
一例として、本例の場合における基準トラックTR-blは、図のように基準面Refから深さ方向にオフセットof-L3分だけ離間した位置に形成されているとする。すなわちこの場合における基準トラックTR-blは情報記録層位置L3に形成されている。
【0050】
基準トラックTR-blの形成は、例えば高精度に調整されたライターを用いてマーク列を形成することで行うことができる。具体的には、skewやレンズシフトに起因した録再用レーザ光とサーボ用レーザ光のスポット位置ずれをほぼ完全に補正することができるように高精度に調整されたライターを用いるものである。
なお、基準トラックTR-blを基準面Refにおける基準トラックTR-rfと同一半径位置となるように正確に形成するための手法については上記手法以外にも種々考えられ、ここで特に限定されるべきものではない。
また、基準トラックTR-blはマーク列(断続的に形成されたマーク)ではなくDCマーク(連続的に形成されたマーク)により形成することもできる。
【0051】
<2.光学ドライブ装置の構成>

図3及び図4は、図1及び図2に示したような構造を有するバルク型記録媒体1に対する記録/再生を行う実施の形態としての光学ドライブ装置(記録再生装置10と称する)の内部構成について説明するための図である。
図3は、実施の形態の記録再生装置10が備える光学ピックアップOPの内部構成を主に示し、図4は光学ピックアップOPを含む記録再生装置10の全体的な内部構成を示す。
【0052】
図3において、記録再生装置10に装填されたバルク型記録媒体1は、当該記録再生装置10における所定位置においてそのセンターホールがクランプされるようにしてセットされ、図示は省略したスピンドルモータによる回転駆動が可能な状態に保持される。
光学ピックアップOPは、上記スピンドルモータにより回転駆動されるバルク型記録媒体1に対して録再用レーザ光、サーボ用レーザ光を照射するために設けられる。
【0053】
光学ピックアップOP内には、マークによる情報記録、及びマークにより記録された情報の再生を行うための録再用レーザ光の光源である録再用レーザ11と、基準面Refに形成された案内溝を利用した位置制御を行うための光であるサーボ用レーザ光の光源であるサーボ用レーザ24とが設けられる。
ここで、前述のように録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長が異なる。本例の場合、録再用レーザ光の波長はおよそ405nm程度(いわゆる青紫色レーザ光)、サーボ用レーザ光の波長はおよそ650nm程度(赤色レーザ光)とされる。
【0054】
また、光学ピックアップOP内には、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光のバルク型記録媒体1への出力端となる対物レンズ20が設けられる。
さらには、上記録再用レーザ光のバルク型記録媒体1からの反射光を受光するための録再光用受光部23と、サーボ用レーザ光のバルク型記録媒体1からの反射光を受光するためのサーボ光用受光部29とが設けられる。
【0055】
その上で、光学ピックアップOP内においては、上記録再用レーザ11より出射された録再用レーザ光を上記対物レンズ20に導くと共に、上記対物レンズ20に入射した上記バルク型記録媒体1からの録再用レーザ光の反射光を上記録再光用受光部23に導くための光学系が形成される。
【0056】
具体的に、上記録再用レーザ11より出射された録再用レーザ光は、コリメーションレンズ12を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。偏光ビームスプリッタ13は、このように録再用レーザ11側から入射した録再用レーザ光については透過するように構成されている。
【0057】
上記偏光ビームスプリッタ13を透過した録再用レーザ光は、シフトレンズ14A、可動レンズ15、及びレンズ駆動部16から成るエキスパンダに入射する。このエキスパンダは、光源である録再用レーザ11に近い側がシフトレンズ14Aとされ、録再用レーザ11に遠い側に可動レンズ15が配置され、レンズ駆動部16によって上記可動レンズ15が録再用レーザ光の光軸に平行な方向に駆動されることで、録再用レーザ光について独立したフォーカス制御を行う。このエキスパンダは、前述した録再光用フォーカス機構に相当するものである(図17を参照)。
後述もするように、当該録再光用フォーカス機構(上記レンズ駆動部16)は、図4に示されるコントローラ40によって、対象とする情報記録層位置Lに対応して設定されたオフセットof-Lの値に応じて駆動される。
【0058】
またこの場合は、上記録再光用フォーカス機構におけるシフトレンズ14Aは、図中のレンズ駆動部14Bにより入射光軸に直交する方向に変位可能に保持されている。この場合、レンズ駆動部14Bは、バルク型記録媒体1の半径方向に平行な方向に上記シフトレンズ14Aを変位させるように構成されている。すなわち、当該レンズ駆動部14Bによるシフトレンズ14Aのシフトにより、対物レンズ20を介してバルク型記録媒体1に照射される録再用レーザ光の光軸を、上記半径方向に平行な方向にシフトさせることができるようにされているものである。
ここで、このように録再用レーザ光の光軸をシフトさせるために設けられた上記レンズ駆動部14Bについては、以下、ビームシフタ14Bとも称する。
ビームシフタ14Bは、例えばヴォイスコイルモータ(VCM)により上記シフトレンズ14Aをシフトさせるように構成され、後述するドライバ39からの駆動信号D-bsによって駆動制御される。
【0059】
上記録再光用フォーカス機構を形成するシフトレンズ14A及び可動レンズ15を介した録再用レーザ光は、図のようにミラー17にて反射された後、1/4波長板18を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
ダイクロイックプリズム19は、その選択反射面が、録再用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記のようにして入射した録再用レーザ光は、ダイクロイックプリズム19にて反射される。
【0060】
上記ダイクロイックプリズム19で反射された録再用レーザ光は、図示するようにして対物レンズ20を介してバルク型記録媒体1に対して照射される。
対物レンズ20に対しては、当該対物レンズ20をフォーカス方向(バルク型記録媒体1に対して接離する方向)、及びトラッキング方向(上記フォーカス方向に直交する方向:バルク型記録媒体1の半径方向)に変位可能に保持する2軸アクチュエータ21が設けられる。
2軸アクチュエータ21には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられ、それぞれに駆動信号(後述する駆動信号FD、TD)が与えられることで、対物レンズ20をフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
【0061】
ここで、再生時においては、上記のようにしてバルク型記録媒体1に対して録再用レーザ光が照射されることに応じて、バルク型記録媒体1(バルク層5内の再生対象の情報記録層Lに記録されたマーク列)より上記録再用レーザ光の反射光が得られる。このように得られた録再用レーザ光の反射光は、対物レンズ20を介してダイクロイックプリズム19に導かれ、当該ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射された録再用レーザ光の反射光は、1/4波長板18→ミラー17→録再光用フォーカス機構(可動レンズ15→シフトレンズ14A)を介した後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0062】
ここで、このように偏光ビームスプリッタ13に入射する録再用レーザ光の反射光(復路光)は、1/4波長板18による作用とバルク型記録媒体1での反射時の作用とにより、録再用レーザ光11側から偏光ビームスプリッタ13に入射した録再用レーザ光(往路光)とはその偏光方向が90度異なるようにされる。この結果、上記のようにして入射した録再用レーザ光の反射光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射される。
【0063】
このように偏光ビームスプリッタ13にて反射された録再用レーザ光の反射光は、集光レンズ22を介して録再光用受光部23の受光面上に集光する。
【0064】
また、光学ピックアップOP内には、上記により説明した録再用レーザ光についての光学系の構成に加えて、サーボ用レーザ24より出射されたサーボ用レーザ光を対物レンズ20に導き且つ、上記対物レンズ20に入射したバルク型記録媒体1からのサーボ用レーザ光の反射光をサーボ光用受光部29に導くための光学系が形成される。
図示するように上記サーボ用レーザ24より出射されたサーボ用レーザ光は、コリメーションレンズ25を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ26に入射する。偏光ビームスプリッタ26は、このようにサーボ用レーザ24側から入射したサーボ用レーザ光(往路光)は透過するように構成される。
【0065】
上記偏光ビームスプリッタ26を透過したサーボ用レーザ光は、1/4波長板27を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
先に述べたように、ダイクロイックプリズム19は、録再用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されているため、上記サーボ用レーザ光はダイクロイックプリズム19を透過し、対物レンズ20を介してバルク型記録媒体1に照射される。
【0066】
また、このようにバルク型記録媒体1にサーボ用レーザ光が照射されたことに応じて得られる当該サーボ用レーザ光の反射光(基準面Refからの反射光)は、対物レンズ20を介した後ダイクロイックプリズム19を透過し、1/4波長板27を介して偏光ビームスプリッタ26に入射する。
先の録再用レーザ光の場合と同様にして、このようにバルク型記録媒体1側から入射したサーボ用レーザ光の反射光(復路光)は、1/4波長板27の作用とバルク型記録媒体1での反射時の作用とにより、往路光とはその偏光方向が90度異なるものとされ、従って復路光としてのサーボ用レーザ光の反射光は偏光ビームスプリッタ26にて反射される。
【0067】
偏光ビームスプリッタ26にて反射されたサーボ用レーザ光の反射光は、集光レンズ28を介してサーボ光用受光部29の受光面上に集光する。
【0068】
ここで、図示による説明は省略するが、実際において記録再生装置10には、上記により説明した光学ピックアップOP全体をトラッキング方向にスライド駆動するスライド駆動部が設けられ、当該スライド駆動部による光学ピックアップOPの駆動により、レーザ光の照射位置を広範囲に変位させることができるようにされている。
【0069】
また、この場合の光学ピックアップOP内においては、位置センサ31が設けられている。
位置センサ31は、シフトレンズ14Aの近傍に設けられ、当該シフトレンズ14Aのトラッキング方向における位置(基準位置からの変位量)を検出する。位置センサ31によるシフトレンズ14Aについての位置検出信号ps-shは、コントローラ40に対して供給される。
【0070】
なお、確認のために述べておくと、当該位置センサ31による位置検出信号ps-shは、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを補正する際の、光軸の補正量を表す信号として機能するものである。
【0071】
記録再生装置10の全体的な内部構成は、図4に示すものとなる。
なお、この図4においては、光学ピックアップOPの内部構成については一部のみを抽出して示している。
【0072】
図4において、記録再生装置10には、バルク層5を対象とした記録/再生や、マーク記録/再生時における対物レンズ20のフォーカス/トラッキング制御を行うための信号処理系の構成として、図中の記録処理部32、録再光用マトリクス回路33、再生処理部34、録再光用サーボ回路35、サーボ光用マトリクス回路36、位置情報検出部37、及びサーボ光用サーボ回路38が設けられている。
【0073】
記録処理部32には、バルク型記録媒体1に対して記録すべきデータ(記録データ)が入力される。記録処理部32は、入力された記録データに対してエラー訂正符号の付加や所定の記録変調符号化を施すなどして、バルク型記録媒体1に実際に記録される例えば「0」「1」の2値データ列である記録変調データ列を得る。
記録処理部32は、このように生成した記録変調データ列に基づく記録パルスRCPにより、光学ピックアップOP内の録再用レーザ11の発光駆動を行う。
【0074】
録再光用マトリクス回路33は、図3に示した録再光用受光部23としての複数の受光素子からの受光信号DT-rp(出力電流)に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
具体的には、上述した記録変調データ列を再生した再生信号に相当する高周波信号(以降、再生信号RFと称する)、フォーカスサーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE-rp、トラッキングサーボ制御のためのトラッキングエラー信号TE-rpを生成する。
【0075】
録再光用マトリクス回路33にて生成された上記再生信号RFは、再生処理部34に供給される。
また、上記フォーカスエラー信号FE-rp、上記トラッキングエラー信号TE-rpは、録再光用サーボ回路35に対して供給される。
【0076】
再生処理部34は、上記再生信号RFについて、2値化処理や記録変調符号の復号化・エラー訂正処理など、上述した記録データを復元するための再生処理を行い、上記記録データを再生した再生データを得る。
【0077】
また、録再光用サーボ回路35は、マトリクス回路33から供給されるフォーカスエラー信号FE-rp、トラッキングエラー信号TE-rpに基づきフォーカスサーボ信号FS-rp、トラッキングサーボ信号TS-rpをそれぞれ生成し、これらフォーカスサーボ信号FS-rp、トラッキングサーボ信号TS-rpに基づくフォーカス駆動信号FD-rp、トラッキング駆動信号TD-rpに基づき、2軸アクチュエータ21のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することで、録再用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を実現する。
なお先の説明からも理解されるように、このような録再用レーザ光の反射光に基づく2軸アクチュエータ21(対物レンズ20)のサーボ制御は、再生時において行われるものである。
【0078】
また、録再光用サーボ回路35は、再生時に対応してコントローラ40から為される指示に応じて、トラッキングサーボループをオフとして上記トラッキングコイルにジャンプパルスを与えることでトラックジャンプ動作を実現したり、トラッキングサーボの引き込み制御等も行う。また、フォーカスサーボの引き込み制御等も行う。
【0079】
なお、録再光用サーボ回路35は、後述する補正量のサンプリング動作時に対応してコントローラ40から為される指示に応じ、上記トラッキングサーボ信号TS-rpに基づき生成したトラッキング駆動信号TD-rpをドライバ39に対して出力することになるが、これについては後述する。
【0080】
また、サーボ用レーザ光の反射光についての信号処理系において、サーボ光用マトリクス回路36は、図3に示したサーボ光用受光部29における複数の受光素子からの受光信号DT-svに基づき、必要な信号を生成する。
具体的にサーボ光用マトリクス回路36は、フォーカス/トラッキングの各サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svを生成する。
また、基準面Refにおいて記録された絶対位置情報(アドレス情報)の検出を行うための位置情報検出用信号Dpsを生成する。例えば絶対位置情報がピット列により記録される場合、位置情報検出用信号Dpsとしては和信号を生成する。或いは、ウォブリンググルーブにより絶対位置情報が記録される場合、位置情報検出用信号Dpsとしてはプッシュプル信号を生成する。
【0081】
上記位置情報検出用信号Dpsは、位置情報検出部37に供給される。位置情報検出部37は、上記位置情報検出用信号Dpsに基づき基準面Refに記録された絶対位置情報を検出する。検出された絶対位置情報はコントローラ40に対して供給される。
【0082】
また、サーボ光用マトリクス回路36にて生成されたフォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svは、サーボ光用サーボ回路38に対して供給される。
サーボ光用サーボ回路38は、フォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svに基づきフォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svをそれぞれ生成する。
そして、記録時には、コントローラ40からの指示に応じて、上記フォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svに基づき生成したフォーカス駆動信号FD-sv、トラッキング駆動信号TD-svに基づいて、2軸アクチュエータ21のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することで、サーボ用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を実現する。
【0083】
また、サーボ光用サーボ回路38は、記録時に対応してコントローラ40から為される指示に応じて、トラッキングサーボループをオフとして2軸アクチュエータ21のトラッキングコイルにジャンプパルスを与えることでトラックジャンプ動作を実現したり、トラッキングサーボの引き込み制御等も行う。また、基準面Refに対するフォーカスサーボの引き込み制御等も行う。
【0084】
コントローラ40は、例えばCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ(記憶装置)を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に記憶されたプログラムに従った制御・処理を実行することで、記録再生装置10の全体制御を行う。
具体的にコントローラ40は、前述のようにして予め各層位置に対応して設定されたオフセットof-Lの値に基づいて、録再用レーザ光の合焦位置の制御(設定)を行う。より具体的に、コントローラ40は、記録対象とする情報記録層位置Lに対応して設定されたオフセットof-Lの値に基づき、光学ピックアップOP内のレンズ駆動部16を駆動することで、深さ方向における記録位置の選択を行う。
【0085】
また、コントローラ40は、先の図16〜図18にて説明したような記録/再生時の対物レンズ20のサーボ制御切り替えを実現するための制御も行う。具体的にコントローラ40は、記録時には、サーボ光用サーボ回路38に対してフォーカス駆動信号FD-sv、トラッキング駆動信号TD-svの出力を指示し、また録再光用サーボ回路35にはフォーカス駆動信号FD-rp、トラッキング駆動信号TD-rpの出力を停止するように指示を行う。
一方、再生時には、録再光用サーボ回路35に対してフォーカス駆動信号FD-rp、トラッキング駆動信号TD-rpの出力を指示し、サーボ光用サーボ回路38に対しては、フォーカス駆動信号FD-sv、トラッキング駆動信号TD-svの出力を停止するように指示を行う。
【0086】
またコントローラ40は、サーボ光用サーボ回路38に対するシーク動作制御を行う。すなわち、サーボ用レーザ光のスポット位置を基準面Ref上における所定のアドレスに移動させるようにサーボ回路38に対する指示を行う。
【0087】
また、この場合のコントローラ40は、後の図7や図8にて説明する処理動作を実行することで、実施の形態としての補正動作を実現するものとなるが、これについては後述する。
【0088】
ドライバ39は、後述する補正動作時に対応してコントローラ40から指示される補正量の値に基づく駆動信号D-bsを生成し、該駆動信号D-bsに基づき光学ピックアップOP内のビームシフタ14Bを駆動制御する。これにより、skewや対物レンズ20のレンズシフトに起因した録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを補正するようにされている。
またドライバ39は、後述する補正量のサンプリング時には、上述した録再光用サーボ回路35より供給されるトラッキング駆動信号TD-rpに基づきビームシフタ14Bを駆動制御することで、録再用レーザ光についてのトラッキングサーボ制御を実現するようにされる。
【0089】
<3.実施の形態としての補正動作例>

ここで、上記により説明したように、本実施の形態の記録再生装置10としても、位置案内子としてのトラックがスパイラル状又は同心円状に形成された反射膜を有する基準面と、光照射に応じたマーク形成により情報記録が行われる記録層とを有する光ディスク記録媒体について記録を行う場合において、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とを共通の対物レンズを介して光ディスク記録媒体に照射する共に、上記録再用レーザ光による情報記録位置を、上記基準面に形成された位置案内子を対象とした上記サーボ用レーザ光による対物レンズのトラッキングサーボ制御を行うことによって制御するようにされている。
このような構成が採られる場合には、先の図19や図20にて説明したように、skewや対物レンズのレンズシフトに起因して、サーボ用レーザ光と録再用レーザ光とのスポット位置ずれ(つまり情報記録位置のずれ)が生じるものとなる。
本実施の形態は、このような情報記録位置のずれを、skewやレンズシフトの検出部を不要としながら、より高精度に補正する手法を提案するものである。
【0090】
具体的に、本実施の形態では、先の図2に示したように予め記録層(バルク層5)に形成された基準トラックTR-blを用いて、録再用レーザ光のスポット位置をトラッキング方向においてサーボ用レーザ光のスポット位置と強制的に一致させた状態とし、その状態において、回転角度ごとに必要とされる補正量をサンプリングする。そして、このようにサンプリングした補正量を回転角度ごとに逐次設定してスポット位置ずれの補正を行う。
【0091】
図5は、本実施の形態としての補正量のサンプリング動作について説明するための図である。
なおこの図5においては、バルク型記録媒体1と、先の図2に示した光学ピックアップOP内におけるシフトレンズ14A、ビームシフタ14B、可動レンズ15、レンズ駆動部16、ダイクロイックミラー19、対物レンズ20、及び2軸アクチュエータ21を抽出して示している。
【0092】
補正量のサンプリングを行うにあたっては、先ず、サーボ用レーザ光の反射光に基づき、サーボ用レーザ光が基準面Refにおける基準トラックTR-rfを追従するように対物レンズ20のトラッキングサーボ制御を行う。
そして、その状態において、ビームシフタ14Bの駆動により、録再用レーザ光の反射光に基づき録再用レーザ光がバルク層5内の基準トラックTR-blを追従するようにトラッキングサーボ制御を行う。
なおこのとき、録再光用フォーカス機構(レンズ駆動部16)によっては、基準トラックTR-blの形成層を選択させる。具体的にこの場合は、情報記録層位置L3を選択させるものとなる。
【0093】
このようにして、基準トラックTR-blを利用して録再用レーザ光とサーボ用レーザ光のスポット位置をトラッキング方向において強制的に一致させる。すなわち、各スポットのトラッキング方向における位置が一致した、いわば理想的な補正状態を得るものである。
【0094】
このように各スポット位置を一致させた状態において、コントローラ40は、位置情報検出部37により検出される絶対位置情報に基づき、位置センサ31による位置検出信号ps-shの値(つまりシフトレンズ14Aの補正量)を、バルク型記録媒体1の回転角度ごと(つまり絶対位置情報として検出される回転角度の値ごと)にサンプリングする。
【0095】
コントローラ40は、このようにして回転角度ごとにサンプリングした補正量の値に基づき、次の図6に示されるようなテーブル情報を作成する。
図6に示されるように、該テーブル情報としては、回転角度ごとにサンプリングした補正量の値を格納した情報となる。具体的にこの場合は、回転角度1°ごとに、サンプリングした補正量の値を対応づけるものとしている。
テーブル情報の作成は、例えばコントローラ40の内部に備えられるメモリにおいて行う。
【0096】
バルク層5への情報記録を行う際には、このように作成したテーブル情報を用いて情報記録位置のずれを補正する。具体的にコントローラ40は、バルク層5への記録を開始すべき状態となったことに応じて、位置情報検出部37から供給される絶対位置情報(回転角度情報)と上記テーブル情報の内容とに基づき、ドライバ39に対する、バルク型記録媒体1の回転角度に対応する補正量の値の指示を開始する。すなわち、バルク型記録媒体1の回転角度ごとに、予めサンプリングした補正量の値を用いた補正動作が実行されるようにするものである。
【0097】
ここで、上記により説明したような補正量のサンプリング動作は、例えばディスク装填後のスタートアップ動作時や、記録動作開始の直前などに予め行っておくことを挙げることができる。或いは、所定時間おきに実行するといったことも考えられる。何れにしても補正量のサンプリング動作は、バルク層5に対する記録動作の開始前において予め行われるようにしておく。
【0098】
<4.処理手順>

図7、図8は、上記により説明した実施の形態としての補正動作を実現するための具体的な処理の手順について説明するためのフローチャートである。
図7は、補正量のサンプリング時に対応して実行されるべき処理の手順について示し、図8は、サンプリングした補正量に基づく補正動作時に対応して実行されるべき処理の手順を示している。
なお、これら図7、図8では、実施の形態としての補正動作を実現するための具体的な処理手順を、コントローラ40が内部のROM等の所定のメモリに格納されたプログラムに基づき実行する処理の手順として示している。
【0099】
先ず図7において、ステップS101においては、サーボ用レーザ光で基準トラックTR-rf付近にシークするための処理を実行する。すなわち、サーボ光用サーボ回路38に対するシーク動作制御として、基準面Refにおける予め定められた基準トラックTR-rf付近のアドレスを目標としたシーク動作制御を行う。
【0100】
続くステップS102では、録再用レーザ光の基準トラックTR-blへのトラッキングサーボ引き込みを行うための処理を実行する。つまり、録再光用サーボ回路35に対する指示により、トラッキング駆動信号TD-rpの出力先をドライバ39側に選択させる(ビームシフタ14Bを録再用レーザ光の反射光に基づき駆動可能な状態とする)と共に、トラッキングサーボループをオンとするように指示を行うものである。
ここで、サーボ用レーザ光(対物レンズ20)が基準トラックTR-rf付近にシークしていることに応じては、録再用レーザ光のスポット位置としても基準トラックTR-bl付近に位置していることになる。従ってステップS102において上記のような録再用レーザ光についてのトラッキングサーボ引き込み指示を行うことで、(数回のリトライを要する可能性があるが)録再用レーザ光のスポット位置を基準トラックTR-blに引き込むことができる。
なお、サーボ用レーザ光が基準トラックTR-rfに到達した後に、基準トラックTR-blに対する録再用レーザ光のトラッキングサーボ引き込み指示を行うようにすることもできる。
【0101】
次のステップS103では、サーボ用レーザ光が基準トラックTR-rfに到達するまで待機する。
そして、該ステップS103において、サーボ用レーザ光が基準トラックTR-rfに到達したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS104において、ビームシフタ移動量を回転角度ごとにサンプリングし、テーブル情報を作成する。
すなわち、位置情報検出部37より供給される回転角度情報に基づき、バルク型記録媒体1の回転角度ごとに位置センサ31による位置検出信号ps-shの値をサンプリングし、それら回転角度の値と位置検出信号ps-sh(補正量)の値とを対応づけて先の図6に示したようなテーブル情報を作成するものである。
当該ステップS104の処理の実行を以て、この図に示す補正量のサンプリング時に対応した一連の処理は終了となる。
【0102】
続いて、図7により、サンプリングした補正量に基づく補正動作時に対応して実行されるべき処理の手順について説明する。
図7において、先ずステップS201では、記録開始位置に到達するまで待機するようにされる。そして、記録開始位置に到達した場合には、ステップS202において、回転角度に応じた補正量の出力を開始する。すなわち、位置情報検出部37より供給される回転角度情報と先のステップS104にて予め作成したテーブル情報の内容とに基づき、ドライバ39に対する、バルク型記録媒体1の回転角度に対応する補正量の値の指示を開始するものである。
【0103】
続くステップS203では、記録を終了すべき状態となるまで待機する。記録を終了すべき状態となった場合は、この図に示す補正動作時の対応処理は終了となる。
【0104】
<5.まとめ>

上記により説明したように、本実施の形態では、バルク型記録媒体1に形成されたバルク層内基準トラックTR-blを用いて、上記録再用レーザ光とサーボ用レーザ光のスポット位置をトラッキング方向において強制的に一致させた状態にて、バルク型記録媒体1の回転角度ごとに必要とされる光軸補正量(位置センサ31による位置検出信号ps-shの値)をサンプリングするものとしている。そして、記録時には、このようにサンプリングした回転角度ごとの必要補正量の情報に基づきビームシフタ14Bを駆動制御することで、スポット位置ずれの補正を行うものとしている。
このような補正動作とすることで、スポット位置ずれの補正にあたりskew量や対物レンズのレンズシフト量を検出するための構成を省略することができると共に、録再用レーザ光による情報記録位置の補正を、実際にサンプリングした補正量に基づいてより高精度に行うことができる。
skew・レンズシフト量を検出するための構成が不要となることで、装置の小型化やコストダウンが図られる。
【0105】
また、情報記録位置の補正をより高精度に行うことができれば、その分、基準面Refにおけるトラックピッチ(半径方向における位置案内子の形成間隔)は狭めることができ、その結果、記録容量の増大化が図られる。
【0106】
また、トラックピッチを狭めることができることで、その分、アクセス時間の短縮化も図られる。つまり、トラックピッチが広い場合は、記録したデータ列の探索に多くの時間を要するものとなるが、本実施の形態によればこれが緩和され、アクセス時間の短縮化が図られる。
【0107】
<6.変形例>

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、バルク層5内における基準トラックTR-blが1つの層位置に対してのみ形成される場合を例示したが、次の図9に示されるように、基準トラックTR-blは複数の層位置に対して設けることもできる。
この図9の例では、基準トラックTR-blは各情報記録層位置Lごとに設けるものとしている。図のように情報記録層位置L1に形成される基準トラックTR-blは基準トラックTR-bl_L1としている。他の基準トラックTR-blについても同様に、形成される層位置Lに応じて基準トラックTR-bl_L2、基準トラックTR-bl_L3、基準トラックTR-bl_L4、基準トラックTR-bl_L5とする。
【0108】
この場合、補正量のサンプリング動作としては、各情報記録層位置Lごとに行う。具体的には、記録対象とする情報記録層位置Lnに形成された基準トラックTR-bl_Lnを用いて、先の図7に示したものと同様の処理を行うことで、各層位置Lごとの補正量のサンプリング(テーブル情報の作成)を行う。
これにより、バルク層5への多層記録を行う場合において、各情報記録層位置Lに応じた適正な補正量に基づく情報記録位置ずれの補正を行うことができる。
【0109】
なお、このように各情報記録層位置Lに応じた適正な補正量を用いた情報記録位置の補正を行うにあたっては、必ずしも各情報記録層位置Lに基準トラックTR-blを設けておく必要性はない。例えばバルク層5に対し3層以上の多層記録を行う場合において、少なくとも最上層となる情報記録層位置(L1)と最下層となる情報記録層位置(L5)に対してのみ基準トラックTR-blを形成しておいた上で、上記最上層でのサンプリング動作で取得した回転角度ごとの補正量と上記最下層でのサンプリング動作で取得した回転角度ごとの補正量とを線形補間して残りの各情報記録層位置Lで使用する回転角度ごとの補正量を求めるといった手法を採ることもできる。つまりこの場合、基準トラックTR-blが非形成とされる情報記録層位置Lへの記録時には、このように線形補間により求めた回転角度ごとの補正量の情報を用いてスポット位置ずれの補正を行うものである。
【0110】
或いは、バルク層5を、深さ方向において複数の情報記録層位置Lごとのエリア(層方向エリアとする)に分割し、各層方向エリア内の所定の情報記録層位置Lに対してのみ基準トラックTR-blを形成しておくといった手法を採ることもできる。つまり、或る層方向エリア内の所定の情報記録層位置Lに形成された基準トラックTR-blを用いたサンプリング動作で取得した回転角度ごとの補正量を、その層方向エリア内の他の情報記録層位置Lにおいて共用するというものである。
【0111】
また、基準トラックTR-blは、図10に示されるようにして半径方向に複数設けることもできる。
この図10では、内周、中周、外周の3箇所に基準トラックTR-blを形成(基準トラックTR-rfを設定)した場合を例示している。図のように内周側から順に基準トラックTR-bl1(TR-rf1)、基準トラックTR-bl2(TR-rf2)、基準トラックTR-bl3(TR-rf3)とする。
ここで、半径位置が異なると、最適とされる補正量(offset,gain)が異なる場合がある。そこで、半径方向のエリアごとに補正量のサンプリングを行うものとすれば、このように半径位置に応じて最適とされる補正量が異なる場合にも、エリアごとに最適とされる補正量を用いたスポット位置ずれ補正を実現することができ、補正精度を向上できる。
具体的な手法としては、この場合も図9にて説明した深さ方向の場合と同様の考え方に基づき、1つの半径方向エリアにつき1つの基準トラックTR-blが含まれるように半径方向エリアを分割し(図の例では内周/中周/外周の各エリアに分割し)、各半径方向エリアごとに、そのエリア内の基準トラックTR-blを用いたサンプリング動作で取得した回転角度ごとの補正量を使用するといった手法を採ることができる。
或いは、例えば最内周位置と最外周位置など内周側の所定半径位置と外周側の所定半径位置との2箇所のみに基準トラックTR-blを形成しておき、それら2箇所でのサンプリング動作を行って取得した回転角度ごとの補正量を線形補間して各半径位置での回転角度ごとの補正量を算出・使用するといった手法を採ることもできる。
【0112】
また、これまでの説明では、補正量のサンプリングを回転角度1°ごとに行う場合を例示したが、例えば2°や5°などといった他の所定の回転角度ごとに行うこともできる。
【0113】
またこれまでの説明では、補正量を回転角度ごとにサンプリングするにあたり、光ディスク記録媒体(基準面)に記録された回転角度情報を利用する場合を例示したが、例えば光ディスク記録媒体を回転駆動するスピンドルモータの回転角度を検出する回転角度検出部を設け、該回転角度検出部により検出される回転角度情報に基づいて回転角度ごとの補正量のサンプリングを行うようにするといったこともできる。
【0114】
また、これまでの説明では、ビームシフタ14Bによりシフトレンズ14Aをシフトさせてスポット位置ずれの補正(光軸の調整)を行う場合を例示したが、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれは、例えばガルバノミラーなどの他の手段で補正することもできる。
【0115】
また、これまでの説明では、スポット位置ずれの補正は、録再用レーザ光側の光軸を調整することで行う場合を例示したが、サーボ用レーザ光側の光軸を調整することによってもスポット位置ずれの補正を行うことができる。つまりこの場合は、サーボ用レーザ光の光軸をずらした分、対物レンズ20が動き、それによって録再用レーザ光のスポット位置が補正されるようになるものである。
なお、このようにサーボ用レーザ光側の光軸を調整する光軸調整部によりスポット位置ずれの補正を行う構成とする場合、サンプリング動作時に各スポット位置を強制的に一致させるためには、サーボ用レーザ光の反射光に基づく対物レンズ20のトラッキングサーボ制御によってサーボ用レーザ光を基準トラックTR-rfに追従させつつ、録再用レーザ光の反射光に基づく上記サーボ用レーザ光側の光軸調整部のトラッキングサーボ制御を行うことにより、録再用レーザ光を基準トラックTR-blに追従させることになる。
なお上記説明からも理解されるように、本発明において、スポット位置ずれを補正するための光軸調整部は、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光の光軸の相対的な位置関係を変化させることができるように構成されたものであればよい。
【0116】
また、これまでの説明では、シフトレンズ14Aの移動量(スポット位置ずれの補正量)の検出を位置センサ31を用いて行う場合を例示したが、シフトレンズ14Aの移動量の検出は例えばビームシフタ14Bの駆動信号に基づき検出する手法なども採ることができ、特に一手法に限定されるべきものではない。
【0117】
また、これまでの説明では、バルク型記録媒体1を対象として情報記録を行う場合に本発明を適用する場合を例示したが、本発明は、図11に示されるような多層記録媒体50に対する記録を行う場合にも好適に適用することができる。
図11において、多層記録媒体50は、上層側から順にカバー層2、選択反射膜3、及び中間層4が形成される点は図1に示したバルク型記録媒体1と同様となるが、この場合はバルク層5に代えて、図のように半透明記録膜51と中間層4とが所定回数繰り返し積層された層構造を有する記録層が積層される。図のように最下層に形成された半透明記録膜51は、基板52上に積層されている。なお、最下層に形成される記録膜については全反射記録膜を用いることができる。
ここで、注意すべきは、上記半透明記録膜51には、グルーブやピット列の形成に伴う位置案内子が形成されていないという点である。つまりこの多層記録媒体50としても、スパイラル状又は同心円状の位置案内子は、基準面Refとしての1つの層位置に対してのみ形成されているものである。
そこでこの場合には、記録層内の所要の半透明記録膜51に対し、基準面Ref上に設定した所定のトラックと同一半径位置となる位置においてマーク形成による基準トラックを予め形成しておき、該基準トラックを用いて、補正量のサンプリングを行う。
【0118】
なお、このような多層記録媒体50の記録層においては、反射膜として機能する半透明記録膜51が形成されているため、記録時においても録再用レーザ光の反射光を用いたフォーカス制御を行うことができる。
すなわち、この場合の記録時において、録再用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御は、当該録再光用レーザ光の反射光に基づいて対物レンズ20を駆動することで、記録対象とする半透明記録膜51に合焦させるようにして行うことになる。
一方、記録時における録再用レーザ光のトラッキングサーボ制御に関しては、この場合もサーボ用レーザ光を用いて行うことになる。すなわち、この場合としても、記録時におけるトラッキングサーボ制御は、サーボ用レーザ光の基準面Refからの反射光に基づき対物レンズ20を駆動することで、当該サーボ用レーザ光の焦点位置が基準面Refの案内溝に追従するようにして行う。
【0119】
また、再生時には、この場合も既に記録されたマーク列に基づいて録再用レーザ光のトラッキングサーボ制御を行うことができる。また、上記説明からも理解されるように、再生時においても、録再用レーザ光のフォーカスサーボ制御は、対象とする半透明記録膜51(情報記録層L)からの反射光を利用して行うことができる。
つまりこの場合、再生時におけるサーボ制御は、実施の形態の場合と同様の手法で行うことになる。すなわち、再生時における録再用レーザ光のフォーカスサーボ制御は、録再用レーザ光の反射光に基づき、当該録再光用サーボ光が対象とする情報記録層Lに合焦するように対物レンズ20を駆動することで行い、また録再用レーザ光のトラッキングサーボ制御は、録再用レーザ光の反射光に基づき、当該録再光用サーボ光の焦点位置が記録済みマーク列を追従するように対物レンズ20を駆動することで行う。
【0120】
なお確認のために述べておくと、このような多層記録媒体50を対象とする場合も、スポット位置ずれの補正手法や補正量のサンプリング手法自体はこれまでで説明したものと同様となる。
【0121】
またこれまでの説明では、光ディスク記録媒体に対する位置案内子の形成が、グルーブやピット列などの凹凸断面形状パターンの付与により行われる場合を例示したが、本発明における光ディスク記録媒体が有する位置案内子は、例えばマーク列の記録などの他の手法により形成されたものであってもよい。
【0122】
またこれまでの説明では、位置案内子が形成された基準面Refが、記録層よりも上層側に形成される場合を例示したが、基準面Refが記録層よりも下層側に形成される場合にも本発明は好適に適用できる。
【0123】
また、これまでの説明では、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光のそれぞれの反射光を装置側で独立して受光するにあたり、ダイクロイックプリズム19を設けて、それぞれの光の波長の違いを利用して分光を行う手法を例示したが、これに代えて、例えばp偏光/s偏光などの偏光方向の違いを利用した分光を行う構成を採るなど、他の手法により分光を行うようにすることもできる。
【0124】
またこれまでの説明では、本発明が光ディスク記録媒体に対する記録及び再生の双方を行う記録再生装置に適用される場合を例示したが、本発明は光ディスク記録媒体に対する記録のみが可能とされた記録専用装置(記録装置)にも好適に適用できる。
【符号の説明】
【0125】
1 バルク型記録媒体、2 カバー層、3 選択反射膜、Ref 基準面、4 中間層、5 バルク層、L マーク形成層位置(情報記録層位置)、TR-rf 基準面上基準トラック、TR-bl バルク層内基準トラック、10 記録再生装置、11 録再用レーザ、12,25 コリメーションレンズ、13,26 偏光ビームスプリッタ、14A シフトレンズ、14B ビームシフタ(レンズ駆動部)、15 可動レンズ、16 レンズ駆動部、17 ミラー、18,27 1/4波長板、19 ダイクロイックプリズム、20 対物レンズ、21 2軸アクチュエータ、22,28 集光レンズ、23 録再光用受光部、24 サーボ用レーザ、29 サーボ光用受光部、31 位置センサ、32 記録処理部、33 録再光用マトリクス回路、34 再生処理部、35 録再光用サーボ回路、36 サーボ光用マトリクス回路、37 位置情報検出部、38 サーボ光用サーボ回路、39 ドライバ、40 コントローラ、50 多層記録媒体、51 半透明記録膜、52 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置案内子としてのトラックがスパイラル状又は同心円状に形成された反射膜を有する基準面と、光照射に応じたマーク形成により情報記録が行われる記録層とを有すると共に、上記記録層内における、上記基準面上の所定のトラックと同一半径位置に対して基準トラックが形成された光ディスク記録媒体についての少なくとも記録を行う光学ドライブ装置であって、
上記記録層に対する情報記録を行うための第1の光と、上記基準面に形成された上記位置案内子に基づく位置制御を行うための第2の光とが入射され、これら第1の光と第2の光の双方を上記光ディスク記録媒体に対して照射する対物レンズと、
上記対物レンズを上記光ディスク記録媒体の半径方向に平行な方向であるトラッキング方向に駆動するトラッキング機構と、
上記対物レンズに入射する上記第1の光と上記第2の光の光軸の相対的な位置関係を変化させる光軸調整部と、
上記第1の光の上記光ディスク記録媒体からの反射光を受光して得られるトラッキングエラー信号から第1のトラッキングサーボ信号を生成する第1のトラッキングサーボ信号生成部と、
上記第2の光の上記光ディスク記録媒体からの反射光を受光して得られるトラッキングエラー信号から第2のトラッキングサーボ信号を生成する第2のトラッキングサーボ信号生成部と、
上記光軸調整部による光軸の補正量についての検出を行う補正量検出部と、
制御部とを備え、
上記制御部は、
上記トラッキング機構による上記第2のトラッキングサーボ信号に基づく上記第2の光についてのトラッキングサーボ制御により、上記第2の光のスポット位置を上記基準面上の上記所定のトラックに追従させつつ、上記光軸調整部により、上記第1のトラッキングサーボ信号に基づく上記第1の光についてのトラッキングサーボ制御を実行させて、上記第1の光のスポット位置を上記記録層内の上記基準トラックに追従させた状態において、上記補正量検出部により検出される上記光軸の補正量を、上記光ディスク記録媒体の回転角度ごとにサンプリングすると共に、
上記回転角度ごとにサンプリングした上記補正量を上記光軸調整部に指示して上記光軸の補正を実行させる
光学ドライブ装置。
【請求項2】
上記光ディスク記録媒体において、上記位置案内子は、少なくとも上記光ディスク記録媒体上の回転角度位置を表す情報を含む絶対位置情報の記録に伴い形成されたものであり、
上記光ディスク記録媒体に記録された上記絶対位置情報を検出する位置情報検出部をさらに備えると共に、
上記制御部は、上記位置情報検出部により検出される絶対位置情報に基づき上記補正量を上記回転角度ごとにサンプリングする
請求項1に記載の光学ドライブ装置。
【請求項3】
上記光軸調整部は、
上記対物レンズに入射する上記第1の光の光軸をシフトレンズの駆動によって平行移動させるビームシフタで構成され、
上記補正量検出部は、上記ビームシフタによる上記シフトレンズの移動量を検出する
請求項1に記載の光学ドライブ装置。
【請求項4】
上記補正量検出部は、上記シフトレンズの位置を検出する位置センサを有して構成される
請求項3に記載の光学ドライブ装置。
【請求項5】
反射膜を有さず深さ方向の所要の層位置に対して選択的にマーク記録が行われるバルク状の上記記録層を有する上記光ディスク記録媒体を対象として記録を行う
請求項1に記載の光学ドライブ装置。
【請求項6】
上記光ディスク記録媒体において、上記基準トラックは、上記記録層内における複数の層位置に形成されており、
上記制御部は、上記補正量のサンプリングを上記複数の層位置に形成された基準トラックに基づき上記層位置ごとに行う
請求項1に記載の光学ドライブ装置。
【請求項7】
上記記録層には、マーク記録を行うべき層位置として3以上の層位置が設定されており、且つ、上記基準トラックは、少なくとも最上層と最下層の2つの層位置に対して形成されており、
上記制御部は、
少なくとも上記最上層と上記最下層の2つの層位置に対して形成された上記基準トラックに基づいて上記補正量のサンプリングを行うと共に、それらの層位置でサンプリングした上記補正量を線形補間して生成した補正量を用いて、上記基準トラックが非形成とされる層位置におけるスポット位置ずれ補正が実行されるように上記光軸調整部を制御する
請求項6に記載の光学ドライブ装置。
【請求項8】
上記記録層には、マーク記録を行うべき層位置として3以上の層位置が設定されており、且つ、それらの各層位置に対して上記基準トラックが形成されており、
上記制御部は、
上記補正量のサンプリングを、それぞれの上記層位置に形成された基準トラックに基づき上記層位置ごとに行う
請求項6に記載の光学ドライブ装置。
【請求項9】
上記光ディスク記録媒体において、上記基準トラックは、上記記録層内における複数の半径位置に形成されており、
上記制御部は、上記補正量のサンプリングを、上記複数の半径位置に形成された基準トラックに基づき上記複数の半径位置ごとに行う
請求項1に記載の光学ドライブ装置。
【請求項10】
位置案内子としてのトラックがスパイラル状又は同心円状に形成された反射膜を有する基準面と、光照射に応じたマーク形成により情報記録が行われる記録層とを有すると共に、上記記録層内における、上記基準面上の所定のトラックと同一半径位置に対して基準トラックが形成された光ディスク記録媒体についての少なくとも記録を行う光学ドライブ装置であり、上記記録層に対する情報記録を行うための第1の光と、上記基準面に形成された上記位置案内子に基づく位置制御を行うための第2の光とが入射され、これら第1の光と第2の光の双方を上記光ディスク記録媒体に対して照射する対物レンズと、上記対物レンズを上記光ディスク記録媒体の半径方向に平行な方向であるトラッキング方向に駆動するトラッキング機構と、上記対物レンズに入射する上記第1の光と上記第2の光の光軸の相対的な位置関係を変化させる光軸調整部と、上記第1の光の上記光ディスク記録媒体からの反射光を受光して得られるトラッキングエラー信号から第1のトラッキングサーボ信号を生成する第1のトラッキングサーボ信号生成部と、上記第2の光の上記光ディスク記録媒体からの反射光を受光して得られるトラッキングエラー信号から第2のトラッキングサーボ信号を生成する第2のトラッキングサーボ信号生成部と、上記光軸調整部による光軸の補正量についての検出を行う補正量検出部とを備えた光学ドライブ装置におけるスポット位置ずれ補正方法であって、
上記トラッキング機構による上記第2のトラッキングサーボ信号に基づく上記第2の光についてのトラッキングサーボ制御により、上記第2の光のスポット位置を上記基準面上の上記所定のトラックに追従させつつ、上記光軸調整部により、上記第1のトラッキングサーボ信号に基づく上記第1の光についてのトラッキングサーボ制御を実行させて、上記第1の光のスポット位置を上記記録層内の上記基準トラックに追従させた状態において、上記補正量検出部により検出される上記光軸の補正量を、上記光ディスク記録媒体の回転角度ごとにサンプリングするサンプリング手順と、
上記回転角度ごとにサンプリングした上記補正量を上記光軸調整部に指示して上記光軸の補正を実行させる補正制御手順と
を有するスポット位置ずれ補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−198424(P2011−198424A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66150(P2010−66150)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】