説明

光学ヘッドおよび光ディスク装置

【課題】対物レンズを搭載したヘッドホルダに受発光素子を一体に設けた一体駆動型の光学ヘッドにおいて、光ディスク半径方向の小型化を図ること。
【解決手段】対物レンズを搭載した可動部の光ディスク半径方向の位置を検出して、縦置き姿勢時の自重垂れの補正、および、トラバース送り量を高精度に制御することにより、可動部のX方向の可動範囲を狭めて小型化を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光によって情報の読出し、あるいは書込み、消去を行なう光ディスク装置に用いられる光学ヘッドにおいて、特に光源および信号検出手段を対物レンズと一体に駆動する構成とした光学ヘッドおよびそれを用いた光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクの面振れおよび偏心に応じて、光スポットを光ディスク上の所定の情報トラックに追従させる光学ヘッドでは、光ディスクからの反射光から得られる、フォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号に基づき対物レンズを駆動している。
【0003】
従来から、この対物レンズが搭載された可動部に半導体レーザおよび信号検出手段を一体に構成することにより光学ヘッドの小型化を図っているものがあり、その例として特許文献1に示すもの等がある。
【0004】
図10(a)(b)は従来の一体駆動型光学ヘッドの構成を示す側面図、および下面図であり、同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0005】
図10(a)(b)において、41は半導体レーザ、42は複数の受光領域を有する受光基板、43はホログラム、44はミラー、45は対物レンズ、46はこれらの光学部品を搭載したヘッドホルダ、48はヘッドベース、49はY方向にトラック溝を有する光ディスク、50は往路光の光路、51は復路光の光路である。
【0006】
ここで、ホログラム43はX方向、つまりトラック溝直行方向に対して領域を2分割するホログラムパターンを有し、それぞれの分割領域には曲線回折格子が形成されており、光ディスク49で反射された光を分離回折するとともに、顕著な非点収差を発生するよう構成されている。
【0007】
また、ヘッドホルダ46はヘッドベース48に対してワイヤ52で支持されており、X方向、およびZ方向に駆動可能な2軸アクチュエータの可動部を構成している。実際には駆動力を発生させるマグネットおよびコイルが必要であるが、図示は省略している。
【0008】
また、図示していないが、ヘッドベース48は光学ヘッド全体をディスク半径方向(X方向)に移動させるトラバース機構に連結されている。
【0009】
以上のように構成された光学ヘッドにおいて、半導体レーザ41から出射された往路光50は、ミラー44で反射され、対物レンズ45に入射し、光ディスク49上に焦点を結ぶ。光ディスク49で反射された光は対物レンズ45、ミラー44を経て、ホログラム43に入射し、ホログラム43で回折した復路光51が受光基板42に入射し信号検出が行われる。
【0010】
詳しい検出原理は省略するが、この復路光51を受光基板42上の多分割受光領域で受光し、演算することにより、非点収差法によるフォーカスエラー信号、および、プッシュプル法によるトラッキングエラー信号が得られ、この出力信号に応じて光ディスク49の面振れ方向へ焦点が常に合うように、また、偏心方向へ1つのトラックを常に追従するようにヘッドホルダ46が駆動される。この時、受光基板42における受光信号の和をとることによって光ディスク49に記録された情報信号も検出することができる。
【0011】
一般に光源と対物レンズが別体の有限系構成の光学ヘッドでは、対物レンズのトラッキング方向への移動により軸外収差が発生する。この時の収差量は、対物レンズの移動量が同じであれば、光源と対物レンズの位置が近いほど大きくなるため、光学ヘッドを小型化する上で課題となる。
【0012】
一方、前述した一体駆動型光ヘッドでは、対物レンズと半導体レーザ光源の位置を常に一定に固定することが出来るため、対物レンズを駆動しても収差は変化しない。このため、軸外収差の課題を気にすることなく小型化が可能である。
【0013】
また、簡単な構成でトラッキング検出が可能な1ビーム方式のプッシュプル法では、光源と対物レンズの相対的な移動に伴うオフセット課題を有しているが、一体駆動型光ヘッドではこの課題も発生しない。
【特許文献1】特開平9−161309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記従来の構成では光源と対物レンズを近づけて構成することができるため、光学部品の配置面積の縮小により、光学ヘッドのY方向のサイズを小型化することが可能である。
【0015】
しかしながら、光学ヘッドのX方向のサイズについては、ヘッドホルダ等のサイズだけでなく、ヘッドホルダのX方向の可動範囲にも左右されるため、光学部品の配置面積の縮小だけではさらなる小型化はできない。
【0016】
特に携帯型の機器等は、X軸方向が上下方向となる縦置き姿勢で使用される場合もあり、この時、ヘッドホルダの初期位置が自重によりX方向にずれる(以降、縦置き姿勢時の自重垂れ)ため、このずれ量だけヘッドホルダの可動範囲を広く設計する必要があり、光学ヘッドX方向のさらなる小型化が困難であった。
【0017】
以上のような課題に対し、本発明では、携帯型の機器においてもX方向のサイズが小型化可能な光学ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記従来の課題を解決するために、本発明の光学ヘッドおよび光ディスク装置は、光源と、前記光源からの光を光ディスク上に集光する対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を分岐する光分岐素子と、前記光分岐素子からの光を受光する受光素子1と、前記光源と前記対物レンズと前記光分岐素子と前記受光素子1を搭載した可動体と、ヘッド基台と、前記ヘッド基台に対して前記可動体を光ディスク半径方向、および垂直方向に駆動する駆動手段と、前記光源から出射する光の一部を受光する受光素子2とを有し、前記受光素子2の出力信号によりヘッド基台に対する可動体の相対位置を検出する。
【0019】
このとき、受光素子2はヘッド基台上に設けられていることが望ましい。
【0020】
あるいは、受光素子2は可動体と一体に設けられ、ヘッド基台上に設けられた光源からの光の一部を反射する反射素子からの光を受光するように構成されていることが望ましい。
【0021】
あるいは、受光素子2は可動体と一体に設けられ、可動体内に設けられた光源からの光の一部を反射する反射素子からの光を受光するように構成され、前記反射素子に入射あるいは反射する光は、ヘッド基台上に設けられた遮光素子により一部が遮蔽されるように構成されていることが望ましい。
【0022】
あるいは、受光素子2は可動体と一体に設けられ、光ディスクからの光を分岐する光分岐素子からの光を受光するように構成され、対物レンズと光分岐素子の間の光路上にヘッド基台に固定されたシリンドリカルレンズが配置されていることが望ましい。
【0023】
あるいは、受光素子2は可動体と一体に設けられ、光ディスクからの光を分岐する光分岐素子からの光を受光するように構成され、対物レンズと光分岐素子の間の光路上にヘッド基台に固定された、溝間隔が連続的に変化する回折素子が配置されていることが望ましい。
【0024】
あるいは、トラッキング制御を開始する前に、ヘッド基台と可動体の光ディスク半径方向の相対位置ずれを検出して、可動体を駆動し、ヘッド基台との位置ずれを補正することが望ましい。
【0025】
あるいは、ヘッド基台を光ディスク半径方向に移送する移送手段を有し、トラッキング制御中のヘッド基台と可動体の光ディスク半径方向の相対位置ずれを検出して、ヘッド基台の移送量を制御することが望ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の光学ヘッドによれば、対物レンズの可動範囲を小さくでき、光学ヘッドの光ディスク半径方向のサイズを小型化できる。
【0027】
また、光磁気記録ヘッドでは、光スポットの移動範囲が小さくなるため、磁気ヘッドのコア面積を小さくでき、省電力化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1(a)(b)は本発明の実施の形態1における光学ヘッド構成を示す側面図、および下面図であり、同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0030】
図1(a)(b)において、1は半導体レーザ、2は複数の受光領域を有する受光基板、3はホログラム、4は入射光の10%程度が透過し、残りは反射するように構成されたミラー、5は対物レンズ、6はこれらの光学部品を搭載したヘッドホルダ、7は2分割受光素子、8はヘッドベース、9はY方向にトラック溝を有する光ディスク、10は往路光の光路、11は復路光の光路である。
【0031】
ここで、ホログラム3はX方向、つまりトラック溝直行方向に対して領域を2分割するホログラムパターンを有し、それぞれの分割領域には曲線回折格子が形成されており、光ディスク9で反射された光を分離回折するとともに、顕著な非点収差を発生するよう構成されている。
【0032】
また、ヘッドホルダ6はヘッドベース8に対してワイヤ12で支持されており、X方向、およびZ方向に駆動可能な2軸アクチュエータの可動部を構成している。実際には駆動力を発生させるマグネットおよびコイルが必要であるが、図示は省略している。
【0033】
また、2分割受光素子7はヘッドベース8に固定されていて、X方向に光束を分割する受光領域7a、7bを持つ。
【0034】
また、図示していないが、ヘッドベース8は光学ヘッド全体をディスク半径方向(X方向)に移動させるトラバース機構に連結されている。
【0035】
以上のように構成された光学ヘッドにおいて、半導体レーザ1から出射された往路光10は、ホログラム3を透過後、ミラー4で10%程度が透過し、残りは反射する。
【0036】
ミラー4で反射した光は対物レンズ5に入射し、光ディスク9上に焦点を結ぶ。光ディスク9で反射された光は対物レンズ5、ミラー4を経て、ホログラム3に入射し、ホログラム3で回折した復路光11が受光基板2に入射し信号検出が行われる。
【0037】
詳しい検出原理は省略するが、この復路光11を受光基板2上の多分割受光領域で受光し、演算することにより、非点収差法によるフォーカスエラー信号、および、プッシュプル法によるトラッキングエラー信号が得られ、この出力信号に応じて光ディスク9の面振れ方向へ焦点が常に合うように、また、偏心方向へ1つのトラックを常に追従するようにヘッドホルダ6が駆動される。この時、受光基板2における受光信号の和をとることによって光ディスク9に記録された情報信号を検出することができる。
【0038】
また、ミラー4を透過した光は2分割受光素子7の受光領域7aおよび7bに入射し、この検出信号からヘッドホルダ6のX方向の位置信号が得られる。検出された位置信号により縦置き姿勢時の自重垂れ等のトラッキング制御前のX方向の初期ずれを補正し、また、トラッキング制御中にこの相対ずれが一定の範囲を越えないように高精度にヘッドベース8のトラバース送り量が制御される。
【0039】
図2(a)(b)はヘッドホルダ6の位置信号の検出方法を説明する説明図である。図2(a)はヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向のずれが無い場合、図2(b)はX方向にヘッドホルダ6がずれた場合の下面図を示している。10aは往路光の光束を示している。
【0040】
図2(a)のようにヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向のずれが無い場合は、半導体レーザ1から出射した光束10aは受光領域7a、7bに均等に入射するため、受光領域7aおよび7bで検出される信号はほぼ等しい。一方、図2(b)に示すようにX方向にヘッドホルダ6がずれた場合には、受光領域7aで検出される信号と受光領域7bで検出される信号には差が生じる。
【0041】
したがって、例えば受光領域7a、7bから得られる信号の差を演算すると、ヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向の相対ずれ量に対応した位置信号が得られる。
【0042】
以上のように構成された本発明の光学ヘッドでは、縦置き姿勢によりヘッドホルダ6の自重垂れが発生するような場合においても、ヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向の位置ずれは一定範囲を越えないように補正されるため、ヘッドホルダ6のX方向の可動範囲を小さくできる。これにより光学ヘッドの光ディスク半径方向(X方向)のサイズを小型化できる。
【0043】
また、対物レンズ5の可動範囲が小さくなり、光スポットの移動量が小さくなるため、光磁気記録ヘッドでは、磁気ヘッドのコア面積を小さくでき、省電力化が図れる。
【0044】
図3(a)(b)は本発明の実施の形態1の別形態を示す側面図である。図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0045】
図3(a)において13は入射光の一部を透過、一部を反射する分岐プリズムであり、14はヘッドベース8に固定され紙面垂直方向(X方向)に2分割された受光領域を持つ2分割受光素子である。
【0046】
また、図3(b)において15は入射光の一部を透過、一部を反射する分岐プリズムであり、16はヘッドベース8に固定され紙面垂直方向(X方向)に2分割された受光領域を持つ2分割受光素子である。図3(a)(b)において破線は光路を示している。
【0047】
図3(a)(b)のように構成しても実施の形態1と同じ効果が得られることは言うまでも無い。
【0048】
なお、分岐プリズム13あるいは15の代わりに回折素子等で光を分岐し、2分割受光素子で受光する構成としても同様の効果が得られる。
【0049】
本発明の実施の形態では、ヘッドベース8の位置検出を2分割受光素子で行っているが、ヘッドベース8の位置に応じて受光量が変化するように配置されていれば、受光領域は1つでも多数でもよい。
【0050】
(実施の形態2)
図4(a)(b)は本発明の実施の形態2における光学ヘッド構成を示す側面図、および下面図である。図4(a)(b)において図1(a)(b)と異なる構成要素は反射素子21a、21b、および、受光基板22のみであり、その他の構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0051】
図4(a)(b)において、反射素子21a、21bはヘッドベース8に固定されており、図中X方向に曲率を有する反射面を有し、半導体レーザ1から出射した光のうち、光ディスクに到達する有効光束の外側の外領域光30を反射およびX方向に収束させて受光基板22に導くように構成されている。また、受光基板22上には反射素子21a、21bで反射された光をそれぞれ受光する受光領域22a、22bが設けられている。
【0052】
以上のように構成された本発明の実施の形態2では、半導体レーザ1から出射された往路光10は、ホログラム3、ミラー4、対物レンズ5を経由し、光ディスク9上に焦点を結ぶ。光ディスク9で反射された光は対物レンズ5、ミラー4を経て、ホログラム3に入射し、ホログラム3で回折した光が受光基板22に入射し信号検出が行われる。
【0053】
詳しい検出原理は省略するが、この信号を演算することによりフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等が得られる。
【0054】
一方、半導体レーザ1から出射した有効光束外の外領域光30はそれぞれホログラム3のホログラムパターンの無い部分を透過し、反射素子21a、21bで反射し、再びホログラム3のホログラムパターンの無い部分を透過して受光基板22上の受光領域22a、22bに入射し、この検出信号からヘッドホルダ6のX方向の位置信号が得られる。検出された位置信号により縦置き姿勢時の自重垂れ等のトラッキング制御前のX方向の初期ずれを補正し、また、トラッキング制御中にこの相対ずれが一定の範囲を越えないように高精度にヘッドベース8のトラバース送り量が制御される。
【0055】
図5(a)(b)はヘッドホルダ6の位置信号の検出方法を説明する説明図である。図5(a)はヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向のずれが無い場合、図5(b)はX方向にヘッドホルダ6がずれた場合の下面図を示している。30aおよび30bは外領域光の光束を示している。
【0056】
図5(a)のようにヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向のずれが無い場合は、半導体レーザ1から出射し、反射素子21a、21bで反射し、受光基板22上の受光領域22a、22bで受光される外領域光30a、30bの検出光量はほぼ等しい。
【0057】
しかし図5(b)のように、ヘッドホルダ6に対して反射素子21a、21bが相対的にX方向ずれると反射素子21a、21bへ到達する外領域光30a、30bに差が生じ、この結果、受光領域22a、および22bで受光される検出光量に差が生じる。
【0058】
したがって、例えば、受光領域22a、22bから得られる信号の差を演算すると、ヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向の相対ずれ量に対応した位置信号が得られる。
【0059】
以上のように構成することにより、ヘッドホルダ6のX方向の可動範囲を小さくできるため、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0060】
本実施の形態では、実施の形態1の効果に加え、2分割受光素子が不要になるため、小型化、低コスト化が図れる。また、有効領域の光を使わないため光利用効率の損失もない。
【0061】
なお、反射素子21a、21bはレンズ効果を持つように構成された反射型回折素子であってもよい。
【0062】
(実施の形態3)
図6(a)(b)は本発明の実施の形態3における光学ヘッド構成を示す側面図、および下面図である。図6(a)(b)において図1(a)(b)と異なる構成要素は反射素子23a、23b、遮光板24a、24b、および、受光基板25のみであり、その他の構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0063】
図6(a)(b)において、反射素子23a、23bはヘッドホルダ6に固定されており、略球面の反射面を有し、半導体レーザ1から出射した光のうち、光ディスクに到達する有効光束の外側の外領域光31を反射および収束させて受光基板25に導くように構成されている。
【0064】
また、遮光板24a、24bはヘッドベース8に固定され、反射素子23a、23bで反射され受光基板25へ向かう光の一部を遮光するように配置されており、受光基板25上には反射素子23a、23bで反射された光をそれぞれ受光する受光領域25a、25bが設けられている。
【0065】
以上のように構成された本発明の実施の形態3では、半導体レーザ1から出射された往路光10は、ホログラム3、ミラー4、対物レンズ5を経由し、光ディスク9上に焦点を結ぶ。光ディスク9で反射された光は対物レンズ5、ミラー4を経て、ホログラム3に入射し、ホログラム3で回折した光が受光基板25に入射し信号検出が行われる。
【0066】
詳しい検出原理は省略するが、この信号を演算することによりフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等が得られる。
【0067】
一方、半導体レーザ1から出射した外領域光31はそれぞれホログラム3のホログラムパターンの無い部分を透過し、反射素子23a、23bで反射し、一部が遮光板24a、24bで遮光され、残りは再びホログラム3のホログラムパターンの無い部分を透過して受光基板25上の受光領域25a、25bに入射し、この検出信号からヘッドホルダ6のX方向の位置信号が得られる。検出された位置信号により縦置き姿勢時の自重垂れ等のトラッキング制御前のX方向の初期ずれを補正し、また、トラッキング制御中にこの相対ずれが一定の範囲を越えないように高精度にヘッドベース8のトラバース送り量が制御される。
【0068】
図7(a)(b)はヘッドホルダ6の位置信号の検出方法を説明する説明図である。図7(a)はヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向のずれが無い場合、図7(b)はX方向にヘッドホルダ6がずれた場合の下面図を示している。31aおよび31bは外領域光の光束を示している。
【0069】
図7(a)のようにヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向のずれが無い場合は、半導体レーザ1から出射し、反射素子23a、23bで反射し、受光基板25上の受光領域25a、25bで受光される検出光量はほぼ等しい。
【0070】
しかし図3(b)のように、ヘッドホルダ6に対して遮光板24a、24bが相対的にX方向ずれると、遮光板24a、24bで遮光される光束に差が生じるため、受光領域25a、および25bで受光される検出光量に差が生じ、例えば、この検出光量差の演算により、ヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向の相対ずれ量に対応した位置信号が得られる。
【0071】
以上のように構成することにより、ヘッドホルダ6のX方向の可動範囲を小さくできるため、これまでの実施の形態と同様の効果が得られる。
【0072】
(実施の形態4)
図8(a)(b)は本発明の実施の形態4における光学ヘッド構成を示す側面図、および下面図である。図8(a)(b)において図1(a)(b)と異なる構成要素はシリンドリカルレンズ27、ホログラム素子26および受光基板28のみであり、その他の構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。また、図8(c)はホログラム26をY方向から見た拡大図であり、26a〜26fはホログラムパターンで分割された分割領域、32aはホログラムパターン上の光束、光束32a内の斜線部は光ディスク9で反射および回折した光の干渉領域を示している。
【0073】
図8(a)(b)において、シリンドリカルレンズ27はヘッドベース8に固定され、図中X方向に曲率をもつように構成されており、ホログラム26は図8(c)に示すようにX方向に光束を2分割するとともに、それと直交する方向に3分割する6分割ホログラムパターンが形成されており、受光基板28上には分割領域26aと26eで回折された光を受光する受光領域28aと分割領域26bと26fで回折された光を受光する受光領域28bが設けられている。
【0074】
以上のように構成された本発明の実施の形態4では、半導体レーザ1から出射した光は、ホログラム26、シリンドリカルレンズ27、ミラー4、対物レンズ5を経由して光ディスク9上に集光され、光ディスク9にて反射された光は、対物レンズ5、ミラー4、シリンドリカルレンズ27を経由し、ホログラム26入射し、ホログラム26で光束が分割され、分割領域26c、26dで回折された光を受光基板28上の受光領域で受光して信号が検出される。
【0075】
詳しい検出原理は省略するが、この信号を演算することによりフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等が得られる。
【0076】
一方、光ディスク9にて反射され、ホログラム26で光束が分割され、分割領域26aと26e、26bと26fで回折された光は受光基板28上の受光領域28a、28bに導かれ、この検出信号からヘッドホルダ6のX方向の位置信号が得られる。検出された位置信号により縦置き姿勢時の自重垂れ等のトラッキング制御前のX方向の初期ずれを補正し、また、トラッキング制御中にこの相対ずれが一定の範囲を越えないように高精度にヘッドベース8のトラバース送り量が制御される。
【0077】
図9(a)(b)(c)(d)はヘッドホルダ6の位置信号の検出方法を説明する説明図である。図9(a)(c)はヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向のずれが無い場合の下面図、および、その時のY方向から見たホログラム26の拡大図、図9(b)(d)はX方向にヘッドホルダ6がずれた場合の下面図、および、その時のY方向から見たホログラム26の拡大図を示している。
【0078】
図9(a)(c)に示すようにヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向のずれが無い場合は、光束32aは、ホログラムパターンの中央を通過するため、分割領域26aと26eで回折されて受光領域28aで検出される光量と、分割領域26bと26fで回折されて受光領域28bで検出される光量は等しい。
【0079】
しかし図9(b)(d)に示すように、ヘッドホルダ6に対してシリンドリカルレンズ27が相対的にX方向ずれると、シリンドリカルレンズ27を通過する際に光軸がずれるため、対物レンズを通過する光束のホログラム26上の位置はX方向にずれる。この時、分割領域26aと26eで回折されて受光領域28aで検出される光量と、分割領域26bと26fで回折されて受光領域28bで検出される光量に差が生じ、この検出光量差の演算により、ヘッドホルダ6とヘッドベース8のX方向の相対ずれ量に対応した位置信号が得られる。
【0080】
以上のように構成することにより、ヘッドホルダ6のX方向の可動範囲を小さくできるため、これまでの実施の形態と同様の効果が得られる。
【0081】
なお、本実施の形態のシリンドリカルレンズは、たとえば、溝間隔が連続的に変化する回折溝を有する回折素子であっても同様の効果が得られる。
【0082】
なお、分割領域26c、26dで回折され、受光基板28で検出される光量の差からトラッキングエラー信号が得られるが、ヘッドホルダ6の移動に伴いホログラムパターン上で光束32aが移動するためオフセットが発生してしまう。しかし、このオフセット量はヘッドホルダ6の移動量に対応しているため、位置検出信号を用いて補正することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明にかかる光学ヘッドは、対物レンズを搭載したヘッドホルダに受発光素子を一体に設けた一体駆動型構成において、さらに、姿勢差によらずヘッドホルダのX方向の可動範囲を狭めることが可能であり、光ディスクの半径方向にも円周方向にも小型化が可能である。したがって携帯型の小型機器に搭載される光学ヘッドに適している。また、スポット位置の移動範囲が小さいため、光磁気記録のヘッドに用いれば磁気ヘッドのコア面積を小さくでき省電力化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態1における光学ヘッドの側面図、および下面図
【図2】本発明の実施の形態1の動作を示す説明図
【図3】本発明の実施の形態1の別形態を示す側面図
【図4】本発明の実施の形態2における光学ヘッドの側面図、および下面図
【図5】本発明の実施の形態2の動作を示す説明図
【図6】本発明の実施の形態3における光学ヘッドの側面図、および下面図
【図7】本発明の実施の形態3の動作を示す説明図
【図8】本発明の実施の形態4における光学ヘッドの側面図、および下面図
【図9】本発明の実施の形態4の動作を示す説明図
【図10】従来の光学ヘッドの側面図、および下面図
【符号の説明】
【0085】
1 半導体レーザ
2 受光基板
3 ホログラム
4 ミラー
5 対物レンズ
6 ヘッドホルダ
7 2分割受光素子
7a 受光領域
7b 受光領域
8 ヘッドベース
9 光ディスク
10 往路光の光路
10a 往路光の光束
11 復路光の光路
12 ワイヤ
13 分岐プリズム
14 2分割受光素子
15 分岐プリズム
16 2分割受光素子
21a 反射素子
21b 反射素子
22 受光基板
22a 受光領域
22b 受光領域
23a 反射素子
23b 反射素子
24a 遮光板
24b 遮光板
25 受光基板
25a 受光領域
25b 受光領域
26 ホログラム
26a〜f 分割領域
27 シリンドリカルレンズ
28 受光基板
30 外領域光
30a 外領域光の光束
30b 外領域光の光束
31 外領域光
31a 外領域光の光束
31b 外領域光の光束
32 光路
32a 光束
41 半導体レーザ
42 受光基板
43 ホログラム
44 ミラー
45 対物レンズ
46 ヘッドホルダ
48 ヘッドベース
49 光ディスク
50 往路光の光路
51 復路光の光路
52 ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源からの光を光ディスク上に集光する対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を分岐する光分岐素子と、前記光分岐素子からの光を受光する受光素子1と、前記光源と前記対物レンズと前記光分岐素子と前記受光素子1を搭載した可動体と、ヘッド基台と、前記ヘッド基台に対して前記可動体を光ディスク半径方向、および垂直方向に駆動する駆動手段と、前記光源から出射する光の一部を受光する受光素子2と、を有し、
前記受光素子2の出力信号によりヘッド基台に対する可動体の相対位置を検出することを特徴とする光学ヘッド。
【請求項2】
受光素子2はヘッド基台上に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
【請求項3】
受光素子2は可動体と一体に設けられ、ヘッド基台上に設けられた光源からの光の一部を反射する反射素子からの光を受光するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
【請求項4】
受光素子2は可動体と一体に設けられ、可動体内に設けられた光源からの光の一部を反射する反射素子からの光を受光するように構成され、前記反射素子に入射あるいは反射する光は、ヘッド基台上に設けられた遮光素子により一部が遮蔽されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
【請求項5】
受光素子2は可動体と一体に設けられ、光ディスクからの光を分岐する光分岐素子からの光を受光するように構成され、対物レンズと光分岐素子の間の光路上にヘッド基台に固定されたシリンドリカルレンズが配置されていることを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
【請求項6】
トラッキング制御を開始する前に、ヘッド基台と可動体の光ディスク半径方向の相対位置ずれを検出して、可動体を駆動し、ヘッド基台との位置ずれを補正することを特徴とする請求項1〜5記載の光学ヘッド。
【請求項7】
請求項1〜6記載の光ヘッドを用いた光ディスク装置。
【請求項8】
ヘッド基台を光ディスク半径方向に移送する移送手段を有し、トラッキング制御中のヘッド基台と可動体の光ディスク半径方向の相対位置ずれを検出して、ヘッド基台の移送量を制御することを特徴とする請求項7記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−139877(P2006−139877A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330213(P2004−330213)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】