説明

光学レンズの塗布装置およびニードルセンタリング方法

【課題】シリンジ交換部においてシリンジの先端に設けられているニードルを回転台の回転中心に正確に一致させることができるようにした光学レンズの塗布装置およびニードルセンタリング方法を提供する。
【解決手段】シリンジ交換部9にシリンジホルダー23の各シリンジ支持体23B、23Cに対応してマークテーブル80A、80Bを配置する。各マークテーブル80A、80Bに、各シリンジ支持体23B、23Cのシリンジ装着部34A、34Bに装着されるシリンジに対応してスピンコーティング装置の回転台25A、25Bの回転中心O1 、O2 を示すニードル位置決め用マークM1 、N1 、M2 、N2 をそれぞれ表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズの塗布装置およびニードルセンタリング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学レンズ、特に眼鏡レンズの製造においては、遮光性、調光性、耐擦傷性、撥水性等を向上させるために、レンズ表面にその目的に応じた材質のコーティング被膜を形成することが行われている(例えば、非特許文献1参照)。また、このようなコーティング被膜を自動的に形成する塗布装置も従来から種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
さらに、スピンコート法によってコーティング溶液を被処理物の表面に塗布する場合は、コーティング溶液を被処理物の回転中心に滴下する必要があるため、コーティング溶液を滴下するノズルの先端を被処理物の回転中心の上方に正確に位置させるための位置調整装置も知られている(例えば、特許文献3、4参照)。すなわち、スピンコート法は、回転する被処理物の表面に滴下したコーティング溶液を遠心力を利用して被処理物の表面全体に拡散させて均一な膜厚を得る方法であるため、滴下手段(ノズル)の先端部が変形して被処理物の回転中心からずれていると、コーティング溶液が被処理物の径方向に均等に拡散せず、コーティング溶液が斑に塗布されてしまう。特に、粘度の高いコーティング溶液をスピンコート法によって塗布する場合は、ノズルの先端位置が回転台の回転中心から僅かでもずれていると、塗布斑の発生率が高くなり均一な膜厚が得られなくなる。
【0004】
このため、前記特許文献3に記載されている位置調整装置は、ガラス基板やシリコンウエハ等の被処理物に処理を施すノズルと、このノズルのホーム位置を検出する位置検出手段と、この検出手段によって検出されたホーム位置によって前記被処理物に処理を施すためのノズルの目標位置を算出する演算手段と、この演算手段が算出した目標位置に前記ノズルを搬送する搬送手段と、予め設定されたホーム位置の座標データを原点とする前記目標位置の座標データを格納するメモリとを備えたものである。そして、前記演算手段によって前記設定されたホーム位置の座標データと前記検出されたホーム位置の座標データとの差異を算出し、当該差異に基づいて前記メモリに格納された前記目標位置の座標データを補正し、この補正した座標データを前記搬送手段に供給することにより、ノズルの位置ずれを自動的に補正している。
【0005】
特許文献4に記載されている位置合わせ方法は、ノズルの吐出位置をアライメントするための位置合わせ用治具を備えている。この位置合わせ用治具は、回転軸に装着される垂直シャフトと、このシャフトの上端に設けられた円板とを一体に備え、この円板上にノズルを検出する光電センサを直交する二方向に同数ずつ並べて配置することにより、碁盤の目状の光線格子を形成し、これによりノズルの位置を検出してノズルを自動的に位置合わせするようにしている。
【0006】
【非特許文献1】「眼鏡」メディカル葵出版、1986年5月22日発行 p.81〜83
【特許文献1】特開2002−177852号公報
【特許文献2】特開2006−263495号公報
【特許文献3】特開平9−148230号公報
【特許文献4】特開2004−22559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献3に記載されている位置調整装置は、位置検出手段、演算手段、メモリ等を備え、ノズルの位置ずれを電気的に補正するようにしているため、装置自体が複雑化し、また予めホーム位置と目標位置の座標データを算出してメモリに格納する必要があるため、そのための作業が繁雑で、ノズルの先端部が大きく変形している場合は、ノズルの位置を検出することができず、位置ずれを補正することができないという問題があった。
【0008】
上記した特許文献4に記載されている位置合わせ方法は、多数個の光電センサを並設した特殊な位置合わせ用治具を必要とし、またノズルの位置合わせ時にはスピンチャックの代わりに位置合わせ用治具を回転軸に装着して位置合わせ作業を行なう必要があるため、スピンチャックと位置合わせ治具の交換作業が煩わしいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、シリンジ交換部においてシリンジの先端に設けられているニードルを回転台の回転中心に容易かつ正確に一致させることができるようにした光学レンズの塗布装置およびニードルセンタリング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、光学レンズにコーティング溶液を塗布する塗布装置において、前記コーティング溶液を収容し下端にニードルを有するシリンジが着脱可能に装着され、このシリンジをシリンジ交換部と塗布部に交互に移動させるシリンジホルダーと、前記塗布部に設けられ前記光学レンズが被コーティング面を上にして設置される回転台を内部に有する塗布容器を備えたスピンコーティング装置と、前記シリンジ交換部に設けられたマークテーブルとを備え、前記マークテーブルに前記回転台の回転中心を示すニードル位置決め用マークを表示したものである。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記シリンジホルダーが、軸に回動自在に軸支された本体と、それぞれ少なくとも1つのシリンジ装着部を有して前記本体に昇降自在に取付けられ、前記本体の回動によってシリンジ交換部と塗布部に交互に移動される少なくとも2つのシリンジ支持体とを備えているものである。
【0012】
さらに、本発明は、コーティング溶液を光学レンズの被コーティング面に滴下するシリンジのニードル先端を前記光学レンズを回転させる回転台の回転中心に一致させる塗布装置のニードルセンタリング方法であって、前記シリンジをシリンジ交換部と塗布部に交互に移動させるシリンジホルダーと、前記シリンジ交換部に配設されたマークテーブルとを備え、前記シリンジホルダーのシリンジ装着部に芯出し棒を装着する工程と、前記芯出し棒を前記回転台の上方に移動させる工程と、前記芯出し棒を下降させて芯出し棒の先端を前記回転台に近づけ、芯出し棒の中心が回転台の回転中心と一致するように芯出し棒を調整する工程と、前記芯出し棒を前記マークテーブルの上方に移動させる工程と、前記芯出し棒を下降させて芯出し棒の先端を前記マークテーブルに表示する工程と、前記芯出し棒を前記シリンジ装着部から取り外し、コーティング溶液が充填されたシリンジを前記シリンジ装着部に装着する工程と、前記シリンジの下端に取付けられているニードルの先端を前記マークテーブルに表示されたマークと一致するように調整する工程とを備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、シリンジ交換部においてニードル先端をマークテーブルに表示されたニードル位置決め用マークに一致させておくと、塗布部にシリンジを移動させたとき、ニードル先端を回転台の回転中心に一致させることができる。したがって、コーティング溶液を光学レンズの被コーティング面の回転中心に滴下することができ、全面にわたって均一な膜厚が得られ、塗布斑の発生を防止できる。
【0014】
また、本発明は、マークにニードル先端を一致させるだけでよいから、構造が簡単で、ニードルのセンタリング作業を熟練を要さず容易に行なうことができる。
【0015】
また、本発明においては、シリンジホルダーにそれぞれ2つのシリンジ装着部を有する2つのシリンジ支持体を設け、これらのシリンジ支持体をシリンジ交換部と塗布部に交互に移動させるようにしているので、コーティング溶液の塗布と、シリンジの交換およびニードル先端のセンタリング作業を並行して行うことができ、装置の稼働率および生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る光学レンズの塗布装置の内部構造を示す概略平面図、図2はシリンジホルダーの平面図、図3は同シリンジホルダーの側面図、図4は眼鏡レンズの被コーティング面に塗布されるコーティング溶液の軌跡を示す図、図5は塗布部とシリンジ交換部の平面図、図6(a)〜(c)〜図9はニードルのセンタリング方法を説明するための図、図10はニードルセンタリング方法のフローチャートである。
【0017】
先ず、本発明に係る塗布装置1の全体構造を概略説明すると、この塗布装置1は、プラスチック製の眼鏡レンズ2の被コーティング面(凸側の光学面)に、シリンジ3内のコーティング溶液4(図3)を滴下し、スピンコート法によってコーティング溶液を拡散させ、自然乾燥によって硬化させることによりコーティング被膜を形成する一連の作業を筐体6のクリーンルーム5内において自動的に行う装置である。また、この塗布装置1は、左右一対を一組とする2組の眼鏡レンズ2、すなわち合計4枚の眼鏡レンズ2に対して同時にコーティング溶液4を塗布し硬化させる作業を連続的に行うことができるように構成されている。
【0018】
前記眼鏡レンズ2としては、種々の眼鏡用プラスチックレンズ基材を用いることができる。プラスチックレンズ基材としては、例えばメチルメタクリレートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリウレタンとポリウレアの共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステルとポリウレアの共重合体、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エン−チオール反応を利用したスルフィド樹脂、硫黄を含むビニル重合体等が挙げられる。
【0019】
前記眼鏡レンズ2は、少なくとも一方の面が凸面であればよく、両面が凸レンズであってもよい。また、一方が凸面で他方が凹面のメニスカスレンズであってもよい。また、眼鏡レンズ2は、直径が50〜100mm程度の円形レンズで、表面カーブが−8〜+8の曲面であることが好ましい。なお、左右一対からなる一組の眼鏡レンズ2を、左眼用と右眼用を区別して説明する場合は、左眼用レンズには数字の「2」に添え字「L」を付し、右眼用レンズには数字「2」に添え字「R」を付して示す。
【0020】
前記コーティング溶液4としては、樹脂成分および水系溶媒を含有する調光用水系塗布液が用いられる。水系塗布液の樹脂成分としては、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル、エチレンビニル共重合体であるオレフィン系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系のエマルジョン等が挙げられる。水系塗布液は、例えば上述の樹脂成分を水系溶媒(例えば、水、または水とアルコール、ケトン、セロソルブ等との混合溶媒)に分散させたエマルジョンであることが好ましい。中でも、レンズ基材の表面との密着性発現に有利な極性官能基を有するウレタン系エマルジョンを使用することが好ましい。このようなエマルジョンは、樹脂層上にさらに他の機能性塗布層(例えば、フォトクロミック層、ハードコート層など)を形成する場合に接着剤として機能する。
【0021】
調光用水系塗布液は、加熱やUV照射等により硬化重合するモノマー溶液のような非水系の塗布液と異なり、塗布した後、水分を飛ばすことによって短時間に硬化し塗布膜を形成するため、加熱手段やUV光源を必要とせず成膜することができる利点がある。ただし、調光用水系塗布液は、遮光用、耐擦傷用、撥水用等の機能性コーティング溶液に比べて粘性が高く、例えば、10〜200CPSという特性を有している。また、調光用水系塗布液の固形分濃度は、液安定性および膜厚確保の点から20〜50質量%の範囲であることが好ましい。
【0022】
このような調光用水系塗布液を眼鏡レンズ2に塗布する際には、前工程として、眼鏡レンズ2の被コーティング面に対し、酸、アルカリ、各種有機溶媒等による化学的処理、プラズマ、紫外線、オゾン等による物理的処理、各種洗浄剤による洗浄処理を行なうことにより、レンズ基材と樹脂層との密着性を向上させることが望ましい。
【0023】
前記塗布装置1の筐体6は、平面視L字形の箱体に形成されて床面に設置されており、内部が前記クリーンルーム5を形成し、前面6aに眼鏡レンズ2の供給口7が設けられ、左側面6bの手前側に排出口8が設けられ、右側面6cの後端部には右方に突出し筐体外部に開放するシリンジ交換部9が設けられている。また、このシリンジ交換部9は、仕切板10aによって第1、第2のシリンジ交換部9A、9Bに仕切られている。
【0024】
前記クリーンルーム5は、清浄な空気が供給されることにより内圧が大気圧より若干高く設定されており、前記第1、第2のシリンジ交換部9A、9Bと仕切壁10bによって仕切られている。また、クリーンルーム5の内部は、大きく分けて3つの領域、すなわちレンズ供給部12と、塗布部13(13A、13B)およびレンズ排出部14とで構成されている。
【0025】
前記レンズ供給部12は、前記供給口7から筐体6の内部中央付近までの間の部分で、供給口7から第1のレンズ受け渡し位置T1 に供給された眼鏡レンズ2を筐体6の内部中央付近の第2のレンズ受け渡し位置T2 に搬送する供給コンベア16が配設されている。第1のレンズ受け渡し位置T1 には、供給口7から供給された左眼用レンズ2Lと右眼用レンズ2Rが載置される置台17が配設され、第2のレンズ受け渡し位置T2 には、同じく供給コンベア16によって搬送された眼鏡レンズ2L、2Rを受け取る受台18が配設されている。
【0026】
供給コンベア16は、置台17に載置された眼鏡レンズ2L、2Rをそれぞれ受け取ると、第2のレンズ受け渡し位置T2 に搬送する2つのベルトコンベア19A、19Bと、これらのベルトコンベア19A、19Bを同期させて走行させる駆動機構(図示せず)等を備えている。
【0027】
置台17は、ベルトコンベア19A、19Bの前端付近に昇降自在に配設されており、供給口7から挿入された眼鏡レンズ2L、2Rが載置されるときは、ベルトコンベア19A、19Bより上方に位置しており、ベルトコンベア19A、19Bに眼鏡レンズ2L、2Rを受け渡すときは、ベルトコンベア19A、19Bより下方に下降し、これによって置台17に載置されている眼鏡レンズ2L、2Rをベルトコンベア19A、19Bが下から受け取って前記第2のレンズ受け渡し位置T2 の受台18に搬送するように構成されている。
【0028】
前記受台18は、前記置台17と同様な構造であって、前記第2のレンズ受け渡し位置T2 に昇降動自在に配設されており、通常はベルトコンベア19A、19Bよりも下方に位置しており、眼鏡レンズ2L、2Rの受け取り時に上昇して眼鏡レンズ2L、2Rをベルトコンベア19A、19Bから受け取るように構成されている。なお、第2のレンズ受け渡し位置T2 は、供給コンベア16の終端近傍位置である。
【0029】
前記塗布部13は、前記仕切壁10bの内側に第1、第2のシリンジ交換部9A、9Bに対応して設けられた第1、第2の塗布部13A、13Bからなり、これらの塗布部13A、13Bにスピンコーティング装置20がそれぞれ配設されている。なお、第1、第2のシリンジ交換部9A、9B、第1、第2の塗布部13A、13Bを区別して呼ばないときは、単にシリンジ交換部9、塗布部13と称する。
【0030】
前記スピンコーティング装置20は、2枚一組の眼鏡レンズ2L、2Rを収容する塗布容器21と、この塗布容器21を一対のレール22に沿って第3のレンズ受け渡し位置(待機位置)T3 と塗布終了位置Pとの間を往復移動させる塗布容器駆動機構(図示せず)と、シリンジホルダー23等を備えている。第3のレンズ受け渡し位置T3 と塗布終了位置Pは、第1、第2の塗布部13A、13Bにそれぞれ設けられている。
【0031】
塗布容器21は、筐体6の前後方向に長い直方体の容器からなり、内部がそれぞれ上方に開放する左眼レンズ用塗布室24Aと右眼レンズ用塗布室24B(図3)を形成している。各レンズ用塗布室24A、24Bの内部中央には、眼鏡レンズ2L、2Rが被コーティング面である凸面を上にして載置される回転台25A、25Bがそれぞれ配設されている。回転台25A、25Bは、眼鏡レンズ2L、2Rがそれぞれ載置されると、これを真空吸着によって保持し、コーティング溶液4の塗布時にモータによって回転させるように構成されている。眼鏡レンズ2L、2Rは、後述する第1のトランスファー50によって回転台25A、25Bに対して幾何学中心が回転台25A、25Bの回転中心O1 、O2 (図5(b))にそれぞれ一致するように載置される。
【0032】
前記シリンジホルダー23は、シリンジ交換部9と塗布部13との間に設けられるもので、垂直な軸30に回動自在に配設された本体23Aと、この本体23Aを180°の角度で往復回動させる本体駆動用モータ31と、前記本体23Aに昇降自在に配設されたそれぞれ一対からなる合計4つのシリンジ支持体23B、23B、23C、23Cと、これらのシリンジ支持体23B、23Cをそれぞれ個々独立に昇降させる4つの支持体駆動用モータ32等で構成されている。軸30は、シリンジ交換部9と塗布部13との境に位置して設けられている。本体23Aは、直方体のブロックからなり、中心が前記軸30によって回動自在に軸支され、この軸30を挟んで対向する2つの側面に前記シリンジ支持体23B、23Cがそれぞれ昇降自在に配設されている。なお、図2、図3においては一方のシリンジ支持体23Bのみを示し、他方のシリンジ支持体23Cについては図示を省略している。
【0033】
各シリンジ支持体23B、23Cには、前記シリンジ3がそれぞれ装着される第1、第2のシリンジ装着部34A、34Bが設けられている。これらのシリンジ装着部34A、34Bは、シリンジ3が嵌挿される貫通孔からなり、シリンジ支持体23B、23Cの両端部にそれぞれ前記軸30からの距離C、D(図5)が等距離(C=D)になるように配設されている。シリンジ3は、下端に取付けられた直径1〜2mm程度の細いニードル35(図3)を有して内部にコーティング溶液4を収容しており、シリンジ交換部9において各シリンジ支持体23B、23Cのシリンジ装着部34A、34Bにそれぞれ装着される。シリンジ3の装着に際しては、本体23Aを略180°回動させてシリンジ支持体23Bと23Cの各シリンジ装着部34A、34Bに順次装着し、ニードル35のセンタリングを行なう。ニードル35のセンタリングについてはさらに後述する。各シリンジ支持体23B、23Cの各シリンジ装着部34A、34Bにそれぞれ装着されたシリンジ3は、本体23Aの回動によって塗布部13内に導かれると、前記塗布終了位置Pの上方で、かつ各回転台24A、24Bの略真上に位置する。
【0034】
前記第1のトランスファー50は、前記供給コンベア16の後方で、塗布部13の左側に配設されている。この第1のトランスファー50は、前後方向に延在する左右一対のレール51に沿って進退するトランスファー本体50Aと、このトランスファー本体50Aに昇降自在にかつ水平面内において略180°の角度範囲で回動自在に配設された左右一対からなるハンド50Bとで構成され、前記第2のレンズ受け渡し位置T2 の置台18上に受け渡された一組の眼鏡レンズ2L、2Rを保持すると第1、第2の塗布部13A、13Bのスピンコーティング装置20に交互に搬送し、塗布容器21内の各回転台25A、25B上に幾何学中心を回転台25A、25Bの回転中心O1 、O2 に一致させて載置するように構成されている。
【0035】
このため、トランスファー本体50Aは、レール51に沿って第4のレンズ受け渡し位置T4 と第5のレンズ受け渡し位置T5 との間を往復移動し、第1の塗布部13Aのスピンコーティング装置20に眼鏡レンズ2L、2Rを搬送するときは、前進して第4のレンズ受け渡し位置T4 に停止する。トランスファー本体50Aが第4のレンズ受け渡し位置T4 に停止すると、ハンド50Bは下降して受台18上の眼鏡レンズ2L、2Rを保持し、上昇復帰すると塗布部13側に90°回動して下降し、保持している眼鏡レンズ2L、2Rを第1の塗布部13Aのスピンコーティング装置20の塗布容器21内に搬送し、各回転台25A、25Bの上に載置する。一方、第2の塗布部13Bのスピンコーティング装置20に搬送するときは、ハンド50Bが受台18上の眼鏡レンズ2L、2Rを保持した後、トランスファー本体50Aは第5のレンズ受け渡し位置T5 まで後退して停止する。そして、ハンド50Bが塗布部13側に90°回動して下降し、保持しているレンズ2L、2Rを第2の塗布部13Bのスピンコーティング装置20の塗布容器21内に搬送し、各回転台25A、25Bの上に載置する。
【0036】
スピンコーティング装置20の各回転台25A、25Bは、眼鏡レンズ2L、2Rが載置されると、これらを真空吸着し、例えば800〜3000rpm程度で回転する。回転台25A、25Bが回転すると、塗布容器21はレール22に沿って塗布終了位置Pまで移動して停止し、この移動期間中においてシリンジ支持体23B(または23C)の各シリンジ装着部34A、34Bに装着されているシリンジ3内のコーティング溶液4がニードル35から各眼鏡レンズ2L、2Rの被コーティング面に滴下される。このコーティング溶液4の滴下は、パイプ54(図3)によってシリンジ3内に空気を供給し、コーティング溶液4を加圧することにより行われる。
【0037】
コーティング溶液4の滴下は、シリンジ3のレンズカーブに沿った上下運動に加えて、回転台25A、25Bが回転運動と直線運動をしている状態で行われるため、図4に示すように眼鏡レンズ2の外周から中心に向かって螺旋状になり、塗布容器21が塗布終了位置Pまで移動して停止すると、眼鏡レンズ2の回転中心とニードル35の下端が一致する。眼鏡レンズ2の被コーティング面に滴下されたコーティング溶液4は、眼鏡レンズ2が回転台25A(25B)とともに回転していることにより、その遠心力で被コーティング面全体に拡散し、均一な膜厚、例えば0.5〜50μm程度の厚さの樹脂層を被コーティング面上に形成する。
【0038】
眼鏡レンズ2L、2Rへのコーティング溶液4の塗布が終了すると、塗布容器21は、第3のレンズ受け渡し位置T3 に移動復帰する。塗布容器21が第3のレンズ受け渡し位置T3 に移動復帰すると、第1のトランスファー50が駆動し、塗布容器21内の眼鏡レンズ2L、2Rをハンド50Bによって取り出して第6のレンズ受け渡し位置T6 に搬送する。この第6のレンズ受け渡し位置T6 は、第1のトランスファー50を挟んで第2の塗布部13Bの第3のレンズ受け渡し位置T3 とは反対側で、眼鏡レンズ2L、2Rが載置される載置台55と、第2のトランスファー56が配設されている。第1のトランスファー50のハンド50Bは、塗布容器21から取り出した眼鏡レンズ2L、2Rを前記載置台55上に載置した後、引き続き第4の受け渡し位置T4 に移動すると受台18上に載置されている眼鏡レンズ2L、2Rを上記したと同様に保持して第1塗布部13Aまたは第2の塗布部13Bのスピンコーティング装置20に搬送し、塗布容器21内の回転台25A、25Bに載置するように駆動されることにより、眼鏡レンズ2に対するコーティング溶液4の塗布が連続して自動的に行われる。
【0039】
前記第6の受け渡し位置T6 の載置台55上に載置された眼鏡レンズ2L、2Rは、載置台55により供給口7への供給時の間隔S1 よりも狭い間隔S2 に(S1 >S2 )に変更された後、第2のトランスファー56のハンド56Aによって保持され、第7の受け渡し位置T7 に配設されている昇降自在なレンズ受台58上に載置される。この第7の受け渡し位置T7 は、前記第2のトランスファー56の左側で、かつ前記レンズ排出部14の後端に位置している。
【0040】
前記第2のトランスファー56は、直線移動する前記ハンド56Aを備え、このハンド56Aは前記載置台55上の眼鏡レンズ2L、2Rを保持すると図1において矢印方向に移動し、前記レンズ受台58上に眼鏡レンズ2L、2Rを縦一列に載置するように構成されている。また、第2のトランスファー56は、前述した通り眼鏡レンズ2L、2Rを供給口7への供給時の間隔S1 よりも狭い間隔S2 でレンズ受台58上に載置する。これは、バッファコンベア60の長さを短くするためである。眼鏡レンズ2Lと2Rの供給時の間隔S1 は、塗布容器21内の2つの回転台25A、25Bの間隔と等しく設定されている。これらの回転台25A、25Bの間隔は、各眼鏡レンズ2L、2Rを回転させたとき遠心力によって飛散するコーティング溶液4が隣の眼鏡レンズに付着しないようにするためにある程度大きく設定されている。
【0041】
前記レンズ排出部14には、前記レンズ受台58上に載置された眼鏡レンズ2L、2Rを受け取ると、排出位置Wに配置されている置台61に搬送するバッファーコンベア60が配設されている。前記レンズ受台58は、前記置台17、受台18と同様に、昇降自在に配設されており、第2のトランスファー56から眼鏡レンズ2L、2Rを受け取るときは、バッファーコンベア60より上方に位置し、受け取った眼鏡レンズ2L、2Rをバッファーコンベア60に受け渡すときは下降することにより載置されている眼鏡レンズ2L、2Rをバッファーコンベア60に受け渡すように構成されている。
【0042】
前記バッファーコンベア60は、一本のベルトコンベアからなり、前記レンズ受台58上に載置されている一対の眼鏡レンズ2L、2Rを受け取って前記置台61に搬送する。置台61は、眼鏡レンズ2Lが載置される上下および前後方向に移動自在な間隔変更用置台61Aと、眼鏡レンズ2Rが載置される昇降自在な基準置台61Bとで構成されている。間隔変更用置台61Aは、通常基準置台61Bの前方に間隔S2 を保って位置し、眼鏡レンズ2Lを受け取ると前方へ移動して基準置台61Bとの間隔S2 をS1 に拡大するように構成されている。このため、眼鏡レンズ2Lと2Rは、置台61に受け渡されると間隔S2 がS1 に拡大されて排出口8から排出され、次工程で被コーティング面に他の機能性被膜層(例えば、フォトクロミック層、ハードコート層など)が同じくスピンコート法によって形成される。なお、スピンコーティング装置20によって眼鏡レンズ2に塗布されたコーティング溶液4は、前述した調光用水系塗布液の場合、眼鏡レンズ2がクリーンルーム5内を移動している間に硬化し(5分程度で硬化)、次工程に引き渡される。
【0043】
次に、ニードル35のセンタリング方法を図5〜図10に基づいて説明する。
上記した通りスピンコート法によってコーティング溶液4を眼鏡レンズ2の被コーティング面に塗布する場合は、コーティング溶液4を眼鏡レンズ2の回転中心に正確に滴下する必要がある。このため、図5に示すように、シリンジ交換部9には、2つのマークテーブル80A、80Bが配設されている。これらのマークテーブル80A、80Bは、シリンジ交換部9内における第1、第2のシリンジ支持体23B、22Cの各シリンジ装着部34A、34Bの真下に位置するように配設されている。また、一方のマークテーブル80Aは、塗布部13における各シリンジ支持体23B、23Cのシリンジ装着部25Aと軸30を挟んで点対称な位置に配置され、他方のマークテーブル80Bは、塗布部13における各シリンジ支持体23B、23Cのシリンジ装着部25Bと軸30を挟んで点対称な位置に配置されている。そして、これらのマークテーブル80A、80Bには、各回転台25A、25Bの回転中心O1 、O2 を示すニードル位置決め用マークM1 、N1 、M2 、N2 が各シリンジ装着部34A、34Bに装着されるシリンジ3に対応してそれぞれ表示されている。すなわち、一方のマークテーブル80Aには、一方のシリンジ支持体23Bのシリンジ装着部34Aに装着されるシリンジ3のニードル35を回転台25Aの回転中心O1 に一致させるために前記回転中心O1 を示すニードル位置決め用マークM1 と、他方のシリンジ支持体23Cのシリンジ装着部34Aに装着されるシリンジ3のニードル35を回転台25Aの回転中心O1 に一致させるために前記回転中心O1 を示すニードル位置決め用マークN1 とが表示されている。また、他方のマークテーブル80Bには、一方のシリンジ支持体23Bのシリンジ装着部34Bに装着されるシリンジ3のニードル35を回転軸25Bの回転中心O2 に一致させるために前記回転中心O2 を示すニードル位置決め用マークM2 と、他方のシリンジ支持体23Cのシリンジ装着部34Bに装着されるシリンジ3のニードル35を回転台25Bの回転中心O2 に一致させるために前記回転中心O2 を示すニードル位置決め用マークN2 とが表示されている。
【0044】
この場合、ニードル位置決め用マークM1 とN1 、M2 とN2 は、シリンジ支持体23B、23Cの製造誤差、本体23Aに対する取付誤差、シリンジ装着部34A、34Bの製造誤差等がそれぞれ異なるため、各シリンジ支持体23B、23C毎に測定し、各マークテーブル80A、80Bにそれぞれ表示する必要がある。また、例えば図6(a)〜(c)に示すように、シリンジホルダー23の本体23Aの回動角度が175°の場合は、各シリンジ支持体23B、23Cの停止位置が異なるため、2つのニードル位置決め用マークM1 、N1 は必然的にマークテーブル80Aの異なった位置に表示される。なお、マークテーブル80Bについても同様である。また、図6においては、図5とシリンジ支持体23Bと23C、マークテーブル8A、80Bの位置を左右逆にして示している。
【0045】
このようなニードル位置決め用マークM1 、N1 、M2 、N2 のマークテーブル80A、80Bへの表示は、シリンジ3をシリンジ支持体23B、23Cの各シリンジ装着部34A、34Bにそれぞれ装着する以前に行われる。以下、ニードル位置決め用マークM1 のマーキング手順について説明する。
【0046】
先ず、図7に示すように先端90aが尖った芯出し棒90を用意し、この芯出し棒90を先端90aを下にしてシリンジ支持体23Bの一方のシリンジ装着部34Aに装着する(図9のステップ100)。
【0047】
次に、シリンジホルダー23の本体23Aを180°回動させてシリンジ支持体23Bをシリンジ交換部9から塗布部13に移動させ、スピンコーティング装置20の回転台25Aの上方に停止させる(ステップ101)。
【0048】
次に、シリンジホルダー23のシリンジ支持体23Bを下降させて芯出し棒90の先端90aを回転台25Aに近づける(ステップ102)。そして、芯出し棒90の先端90aが回転台25Aの回転中心O1 と一致しているか否かを作業者が目視によって確認する。一致していない場合は、芯出し棒90を回転させたり、固定ねじ91でシリンジ支持体23Bを左右前後方向に移動調整し、回転台25Aの回転中心O1 に一致させる。一致したら固定ねじ91によって芯出し棒90をシリンジ支持体23Bにしっかり固定する(ステップ103)。なお、回転台25A(25Bも同様)の上面に回転中心O1 を示す微小な穴またはマークを設けておくことにより、芯出し棒90の先端90aを回転中心O1 に一致させることは容易である。
【0049】
次に、シリンジ支持体23Bを上昇させ(ステップ104)、本体23Aを180°回動させることによりシリンジ支持体23Bをシリンジ交換部9に戻す(ステップ105)。シリンジ支持体23Bは、シリンジ交換部9に戻されるとマークテーブル80Aの上方に位置する。そこで、図8に示すようにシリンジ支持体23Bを下降させて芯出し棒90の先端90aをマークテーブル80Aの表面に近づけ(ステップ106)、マークテーブル80Aの表面で芯出し棒90の先端90aと一致する位置にニードル位置決め用マークM1 を表示する(ステップ107)。
【0050】
このようなマーキング作業を、シリンジ支持体23Bのシリンジ装着部34B、シリンジ支持体23Cのシリンジ装着部34A、34Bについても前記芯出し棒90を用いて同様に順次行うことにより、各マークテーブル80A、80Bに前述したニードル位置決め用マークN1 、M2 、N2 をそれぞれ表示することができる。
【0051】
各マークテーブル80A、80Bに対してニードル位置決め用マークM1 、N1 、M2 、N2 をそれぞれ表示し終わると、図10に示すように芯出し棒90をシリンジ支持体23Cから取り外し(ステップ108)、各シリンジ支持体23B、23Cのシリンジ装着部34A、34Bにコーティング溶液4が収容されているシリンジ3をそれぞれ装着する(ステップ109)。そして、シリンジ支持体23B、23Cを下降させて各シリンジ装着部34A、34Bに装着されたシリンジ3を各マークテーブル80A、80Bに近づけ、シリンジ3の下端に取付けられているニードル35の下端が各マークテーブル80A、80Bに表示されたニードル位置決め用マークM1 、N1 、M2 、N2 と一致するか否かを目視によって順次確認し、一致していない場合は、シリンジ3を回転させたりニードル35を手で曲げて一致させる(ステップ110)。
【0052】
このようにして、各シリンジ支持体23B、23Cに装着された各シリンジ3のニードル35をニードル位置決め用マークM1 、N1 、M2 、N2 に一致させておくと、塗布時に本体23Aの回動によってシリンジ支持体23B、23Cを塗布部13に移動させたとき、ニードル35の下端を回転台25A、25Bの回転中心O1 、O2 に正確に一致させることができるので、コーティング溶液4を眼鏡レンズ2の回転中心に確実に滴下することができ、塗布班の発生を防止することができる。
【0053】
また、ニードル35のセンタリング作業は、芯出し棒90をシリンジ支持体23B、23Cのシリンジ装着部34A、34Bに順次装着して回転台25A、25Bの回転中心O1 、O2 に一致するように調整した後、この芯出し棒90の先端90aをマークテーブル80A、80Bにニードル位置決め用マークM1 、N1 、M2 、N2 として表示しておき、シリンジ3をシリンジ装着部34A、34Bに装着したとき、ニードル35の下端を対応するニードル位置決め用マークM1 、N1 、M2 またはN2 に一致するように調整するだけでよいので、センタリング作業をきわめて容易に行なうことができる。
【0054】
また、本発明に係る塗布装置1は、1つのシリンジホルダー23に2つのシリンジ支持体23B、23Cを取付け、これらのシリンジ支持体23B、23Cに設けた2つのシリンジ装着部34A、34Bにそれぞれシリンジ3を装着し、一方のシリンジ支持体23Bが塗布部13内に位置してシリンジ3が眼鏡レンズ2にコーティング溶液4を滴下、塗布している間、他方のシリンジ支持体23Cをシリンジ交換部9に待機させておき、シリンジ支持体23Bに装着されているシリンジ3のコーティング溶液4がなくなると、本体23Aを180°回動させてシリンジ支持体23Bをシリンジ交換部9に移動させ、代わりにシリンジ支持体23Cを塗布部13に移動させ、このシリンジ支持体23Cに装着されているシリンジ3によってコーティング溶液4の滴下、塗布を行なうように構成したので、シリンジ3を交換するに際して、装置を一時停止させる必要がなく、装置の稼働率を向上させることができる。
【0055】
また、シリンジ3の交換作業は、シリンジ交換部9で行い、コーティング溶液4の滴下、塗布は清浄度の高いクリーンルーム5内で行なうようにしているので、コーティング処理の品質、信頼性を高めることができる。
【0056】
なお、上記した実施の形態は、眼鏡レンズ2に調光用の水系塗布液を塗布する例について説明したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、遮光性、防眩性、耐擦傷性等のコーティング被膜を形成する場合にも適用することが可能である。
また、シリンジホルダー23に2つのシリンジ支持体23B、23Cを設けたが、2つ以上設けることも可能である。また、各シリンジ支持体に対して1つのシリンジ装着部を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は眼鏡レンズに限らずカメラ等の光学レンズにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る光学レンズの塗布装置の内部構造を示す概略平面図である。
【図2】シリンジホルダーの平面図である。
【図3】同シリンジホルダーの側面図である。
【図4】眼鏡レンズの被コーティング面に塗布されるコーティング溶液の軌跡を示す図である。
【図5】塗布部とシリンジ交換部の平面図である。
【図6】(a)〜(c)はニードルのセンタリング方法を説明するための図である。
【図7】ニードルのセンタリング方法を説明するための図である。
【図8】ニードルのセンタリング方法を説明するための図である。
【図9】ニードルのセンタリング方法を説明するための図である。
【図10】ニードルセンタリング方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1…塗布装置、2…眼鏡レンズ、5…クリーンルーム、6…筐体、9、…シリンジ交換部、13…塗布部、20…スピンコーティング装置、21…塗布容器、23…シリンジホルダー、23A…本体、23B、23C…シリンジ支持体、25A、25B…回転台、30…軸、34A、34B…シリンジ装着部、35…ニードル、80A、80B…マークテーブル、90…芯出し棒、M1 、N1 、M2 、N2 …ニードル位置決め用マーク、O1 、O2 …回転中心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズにコーティング溶液を塗布する塗布装置において、
前記コーティング溶液を収容し下端にニードルを有するシリンジが着脱可能に装着され、このシリンジをシリンジ交換部と塗布部に交互に移動させるシリンジホルダーと、
前記塗布部に設けられ前記光学レンズが被コーティング面を上にして設置される回転台を内部に有する塗布容器を備えたスピンコーティング装置と、
前記シリンジ交換部に設けられたマークテーブルとを備え、
前記マークテーブルに前記回転台の回転中心を示すニードル位置決め用マークを表示したことを特徴とする光学レンズの塗布装置。
【請求項2】
請求項1記載の光学レンズの塗布装置において、
前記シリンジホルダーは、軸に回動自在に軸支された本体と、それぞれ少なくとも1つのシリンジ装着部を有して前記本体に昇降自在に取付けられ、前記本体の回動によってシリンジ交換部と塗布部に交互に移動される少なくとも2つのシリンジ支持体とを備えていることを特徴とする光学レンズの塗布装置。
【請求項3】
コーティング溶液を光学レンズの被コーティング面に滴下するシリンジのニードル先端を前記光学レンズを回転させる回転台の回転中心に一致させる塗布装置のニードルセンタリング方法であって、
前記シリンジをシリンジ交換部と塗布部に交互に移動させるシリンジホルダーと、
前記シリンジ交換部に配設されたマークテーブルとを備え、
前記シリンジホルダーのシリンジ装着部に芯出し棒を装着する工程と、
前記芯出し棒を前記回転台の上方に移動させる工程と、
前記芯出し棒を下降させて芯出し棒の先端を前記回転台に近づけ、芯出し棒の中心が回転台の回転中心と一致するように芯出し棒を調整する工程と、
前記芯出し棒を前記マークテーブルの上方に移動させる工程と、
前記芯出し棒を前記マークテーブルの上方に移動させた後、降下させて芯出し棒の先端を前記マークテーブルに表示する工程と、
前記芯出し棒を前記シリンジ装着部から取り外し、コーティング溶液が充填されたシリンジを前記シリンジ装着部に装着する工程と、
前記シリンジの下端に取付けられているニードルの先端を前記マークテーブルに表示されたマークと一致するように調整する工程と、
を備えたことを特徴とする塗布装置のニードルセンタリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−202140(P2009−202140A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49913(P2008−49913)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】