説明

光学材料用樹脂組成物、光学材料用樹脂フィルム及び光導波路

【課題】耐熱性と透明性に優れ、かつアルカリ性水溶液に可溶な光学材料用樹脂組成物、それからなる光学材料用樹脂フィルム及びこれらを用いた光導波路を提供する。
【解決手段】(A)主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマ、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤を含有してなる光学材料用樹脂組成物、この光学材料用樹脂組成物からなる光学材料用樹脂フィルム、並びに、前記光学材料用樹脂組成物又は前記光学材料用樹脂フィルムを用いて形成されたコア部及び/又はクラッド層を有する光導波路である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料用樹脂組成物、光学材料用樹脂フィルム及びそれらを用いた光導波路に関し、特に、耐熱性と透明性に優れ、かつアルカリ性水溶液に可溶な光学樹脂組成物、この樹脂組成物からなる光学材料用樹脂フィルム及びそれらを用いた光導波路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子素子間や配線基板間の高速・高密度信号伝送において、従来の電気配線による伝送では、信号の相互干渉や減衰が障壁となり、高速・高密度化の限界が見え始めている。これを打ち破るため電子素子間や配線基板間を光で接続する技術、いわゆる光インタコネクションが検討されている。光の伝送路としては加工の容易さ、低コスト、配線の自由度が高く、かつ高密度化が可能な点からポリマ光導波路が注目を集めている。
ポリマ光導波路の形態としては、光電気混載基板への適用を想定したガラスエポキシ樹脂基板上に作製するタイプやボード同士の接続を想定した硬い支持基板を持たないフレキシブルタイプが好適と考えられる。
【0003】
ポリマ光導波路には、適用される機器の使用環境や部品実装などの観点から、高透明性(低光伝搬損失)と共に高耐熱性も要求されるが、このような光導波路材として、(メタ)アクリル重合体(例えば、特許文献1及び2参照)が知られている。
しかしながら、これらの特許文献に記載の(メタ)アクリル重合体は波長850nmにおいて0.3dB/cmの高透明性を有するものの、耐熱性の評価、例えば、はんだリフロー試験後の光伝搬損失などの具体的な試験結果に関する具体的な記述はなく、明らかではない。
【特許文献1】特開平06−258537号公報
【特許文献2】特開2003−195079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、耐熱性と透明性に優れ、かつアルカリ性水溶液に可溶な光学材料用樹脂組成物、それからなる光学材料用樹脂フィルム及びこれらを用いた光導波路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、(A)成分として主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマを含有し、(B)重合性化合物と(C)重合開始剤と組み合わせて含有する光学材料用樹脂組成物、それからなる光学材料用樹脂フィルムを用いて光導波路を製造することにより上記問題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマ、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤を含有してなる光学材料用樹脂組成物、該光学材料用樹脂組成物からなる光学材料用樹脂フィルム、並びに、下部クラッド層、コア部、上部クラッド層の少なくとも1つを該光学材料用樹脂組成物又は該光学材料用樹脂フィルムを用いて形成した光導波路を提供するものである。
なお、(メタ)アクリルポリマは、アクリルポリマ及び/又はメタクリルポリマを意味する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の光学材料用樹脂組成物及びそれからなる光学材料用樹脂フィルムは、アルカリ性水溶液に可溶であり、これらを用いて製造した光導波路は耐熱性と透明性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、(A)主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマ、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤を含有してなり、加熱又は活性光線の照射によって硬化する樹脂組成物であることが好ましい。
以下、本発明に用いられる(A)成分について説明する。
(A)成分の主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマとしては、アルカリ性水溶液からなる現像液に溶解し、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有するものであれば特に制限はないが、透明性、耐熱性、アルカリ性水溶液への溶解性の観点から、主鎖に下記一般式(1)、(2)で表される繰り返し単位(A−1)及び(A―2)を含み、さらに下記一般式(3)、(4)で表される繰り返し単位(A−3)及び(A−4)の少なくとも一方を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマを用いることが好ましい。
【0008】
【化1】

(式中、R1〜R3は、各々独立に水素原子、炭素数1〜20の有機基のいずれかを示す。)
【0009】
【化2】

(式中、R4〜R6は、各々独立に水素原子、炭素数1〜20の有機基のいずれかを示す。R7は炭素数1〜20の有機基を示す。)
【0010】
【化3】

(式中、R7〜R9は、各々独立に水素原子、炭素数1〜20の有機基のいずれかを示す。)
【0011】
【化4】

(式中、R10〜R12及びX1は、各々独立に水素原子、炭素数1〜20の有機基のいずれかを示す。)
【0012】
一般式(1)〜(4)における有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基などの1価又は2価の基が挙げられ、それらは、さらに、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シリル基などで置換されていてもよい。
【0013】
(A)成分の主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマにおいて、マレイミド由来の繰り返し単位(A−1)の含有率は、3〜50質量%であることが好ましい。3質量%以上であるとマレイミドに由来する耐熱性が得られ、50質量%以下であれば透明性が十分で、得られる樹脂パターンが脆くなることがない。以上の観点から、5〜40質量%がさらに好ましく、10〜30質量%であることが特に好ましい。
マレイミド由来の繰り返し単位(A−1)の構造は、一般式(1)で表されるものであれば特に制限はない。
【0014】
繰り返し単位(A−1)の原料となるマレイミドとしては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−2−メチル−2−プロピルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−2−ペンチルマレイミド、N−3−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−2−ヘキシルマレイミド、N−3−ヘキシルマレイミド、N−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2,2−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−ヒドロキシメチルマレイミド、N−1−ヒドロキシエチルマレイミド、N−2−ヒドロキシエチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−3―ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−2−メチル−3−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−2−メチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−2−メチル−2−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−5−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−5−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−プロピルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−エチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−2−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−3−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−4−ブチルマレイミドなどのアルキルマレイミド;N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−エチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−クロロシクロヘキシルマレイミドなどのシクロアルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミドなどのアリールマレイミドなどが挙げられる。
【0015】
これらの中で、透明性及び溶解性の観点から、シクロアルキルマレイミドを用いることが好ましく、N−シクロヘキシルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミドを用いることがさらに好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
(A)成分の主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマにおいて、(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位(A−2)の含有率は、20〜90質量%であることが好ましい。20質量%以上であると(メタ)アクリレートに由来する透明性が得られ、90質量%以下であれば耐熱性が十分である。以上の観点から、25〜85質量%がさらに好ましく、30〜80質量%であることが特に好ましい。
(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位(A−2)の構造は、一般式(2)で表されるものであれば特に制限はない。
【0017】
繰り返し単位(A−2)の原料となる(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−N−カルバゾールなどの複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体などが挙げられる。
これらの中でも透明性及び耐熱性の観点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;上記脂環式(メタ)アクリレート;上記芳香族(メタ)アクリレート;上記複素環式(メタ)アクリレートであることが好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
(A)成分の主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマにおいて、カルボキシル基と不飽和エチレン性二重結合を有する化合物由来の繰り返し単位(A−3)及び(A−4)の含有率は3〜60質量%であることが好ましい。3質量%以上であるとアルカリ性水溶液などからなる現像液に溶解し易く、60質量%以下であれば後述する現像により感光性樹脂組成物の層を選択的に除去してパターンを形成する現像工程において、耐現像液性(現像により除去されずにパターンとなる部分が、現像液によって侵されない性質)が良好である。以上の観点から、5〜50質量%であることがさらに好ましく、10〜40質量%であることが特に好ましい。
【0019】
カルボキシル基とエチレン性不飽和基を有する化合物由来の繰り返し単位(A−3)及び(A−4)の構造は、一般式(3)、(4)で表されるものであれば特に制限はない。
繰り返し単位(A−3)の原料となるカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸などが挙げられ、これらの中で、透明性、アルカリ可溶性の観点から(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸であることが好ましい。
また、無水マレイン酸を原料として用いて、重合後にメタノール、エタノール、プロパノールなどの適当なアルコールによって開環し、繰り返し単位(A−3)の構造に変換してもよい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
繰り返し単位(A−4)の原料となるカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)フタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)イソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テレフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロイソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロテレフタレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などが挙げられる。
これらの中で、透明性、アルカリ可溶性の観点から、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロイソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロテレフタレートであることが好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
また、(A)成分の主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマは、必要に応じて繰り返し構造(A−1)〜(A−4)以外の繰り返し構造を含んでもよい。
このような繰り返し構造の原料となるエチレン性不飽和基を有する化合物としては特に制限はなく、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどが挙げられる。これらの中で、耐熱性、透明性の観点からスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、N−ビニルカルバゾールを用いることがさらに好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
(A)成分の主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマは、その合成方法に特に制限はないが、例えば、繰り返し単位(A−1)の原料となるマレイミド、繰り返し単位(A−2)の原料となる(メタ)アクリレート、及び繰り返し単位(A−3)及び/又は(A−4)の原料となるカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有する化合物、さらには必要に応じてその他のエチレン性不飽和基を有する化合物と適切な熱ラジカル重合開始剤を用いて加熱しながら共重合させることにより得ることができる。このとき、必要に応じて有機溶剤を反応溶媒として用いることができる。
【0023】
熱ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパーオキシド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;p−メンタンヒドロパーオキシドなどのヒドロパーオキシド;α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシドなどのジアルキルパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシカーボネートなどのパーオキシカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2’−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。
【0024】
反応溶媒として用いる有機溶剤としては、(A)成分の主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマを溶解しえるものであれば、特に制限はなく、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどの多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミドなどが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
さらに(A)成分の主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマは、必要に応じて側鎖にエチレン性不飽和基を含んでいてもよい。その組成や合成方法に特に制限はないが、例えば上記の(A)(メタ)アクリルポリマに、少なくとも1つのエチレン性不飽和基とエポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などの1つの官能基を有する化合物を付加反応させて側鎖にエチレン性不飽和基を導入することができる。
【0026】
これらの化合物としては特に制限はなく、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物;(2−エチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−メチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−エチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(2−メチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和基とオキセタニル基を有する化合物;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのエチレン性不飽和基とイソシアネート基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和基とヒドロキシル基を有する化合物;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−フタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−ヘキサヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する化合物などが挙げられる。
これらの中でも透明性及び反応性の観点から、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソシアン酸エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2−ヘキサヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
(A)成分の主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマの重量平均分子量は、1,000〜3,000,000であることが好ましい。1,000以上であると分子量が大きいため樹脂組成物とした場合の硬化物の強度が十分で、3,000,000以下であれば、アルカリ性水溶液からなる現像液に対する溶解性や(B)重合性化合物との相溶性が良好である。以上の観点から3,000〜2,000,000とすることがさらに好ましく、5,000〜1,000,000であることが特に好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算した値である。
【0028】
(A)成分の主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマは、後述する現像により感光性樹脂組成物の層を選択的に除去してパターンを形成する工程において、公知の各種現像液により現像可能となるように酸価を規定することができる。例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミンなどのアルカリ性水溶液を用い現像する場合には、酸価が20〜300mgKOH/gであることが好ましい。20mgKOH/g以上であると現像が容易で、300mgKOH/g以下であると耐現像液性が低下することがない。以上の観点から、30〜250mgKOH/gであることがさらに好ましく、40〜200mgKOH/gであることが特に好ましい。
水又はアルカリ性水溶液と1種以上の界面活性剤とからなるアルカリ性水溶液を用いて現像する場合には、酸価が10〜260mgKOH/gであることが好ましい。酸価が10mgKOH/g以上であると現像が容易で、260mgKOH/g以下であると耐現像液性が低下することがない。以上の観点から、20〜250mgKOH/gであることがさらに好ましく、30〜200mgKOH/gであることが特に好ましい。
【0029】
(A)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して、10〜85質量%であることが好ましい。10質量%以上であると、光学材料用樹脂組成物の硬化物の強度や可撓性が十分で、85質量%以下であれば、露光時に(B)成分によって絡め込まれて容易に硬化し、耐現像液性が不足することがない。以上の観点から、20〜80質量%であることがさらに好ましく、25〜75質量%であることが特に好ましい。
【0030】
以下、本発明に用いられる(B)成分について説明する。
(B)成分の重合性化合物としては、加熱又は紫外線などの照射によって重合するものであれば特に制限はなく、例えばエチレン性不飽和基などの重合性置換基を有する化合物が好適に挙げられる。
具体的には、(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルピリジン、ビニルアミド、アリール化ビニルなどが挙げられるが、これらのうち透明性の観点から、(メタ)アクリレートやアリール化ビニルであることが好ましい。(メタ)アクリレートとしては、1官能のもの、2官能のもの又は多官能のもののいずれも用いることができる。
【0031】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−N−カルバゾールなどの複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体などが挙げられる。
これらの中でも透明性及び耐熱性の観点から、上記脂環式(メタ)アクリレート;上記芳香族(メタ)アクリレート;上記複素環式(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0032】
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;ネオペンチルグリコール型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂環式エポキシ(メタ)アクリレート;レゾルシノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAF型エポキシ(メタ)アクリレート、フルオレン型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも透明性及び耐熱性の観点から、上記脂環式(メタ)アクリレート;上記芳香族(メタ)アクリレート;上記複素環式(メタ)アクリレート;上記脂環式エポキシ(メタ)アクリレート;上記芳香族エポキシ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0033】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも透明性及び耐熱性の観点から、複素環式(メタ)アクリレート;芳香族エポキシ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
これらの化合物は、単独または2種類以上組み合わせて使用することができ、さらにその他の重合性化合物と組み合わせて使用することもできる。
【0034】
また、(B)成分の重合性化合物として、耐熱性の観点から、分子中に脂環構造、アリール基、アリールオキシ基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種、並びにエチレン性不飽和基を含む化合物の1種類以上を用いることが好ましい。具体的には、脂環構造、アリール基、アリールオキシ基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む(メタ)アクリレート又はN−ビニルカルバゾールなどが挙げられる。なお、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの芳香族炭素水素基、カルバゾール基などの芳香族複素環式基を表す。
【0035】
より具体的には、(B)成分の重合性化合物として、下記一般式(5)〜(8)で表される化合物のうちの少なくとも1つを用いることが好ましい。あるいは、(B)成分の重合性化合物として、下記一般式(5)〜(8)で表されるアリール基及びエチレン性不飽和基を含む化合物のうちの少なくとも1つを用いることがより好ましい。
【化5】

(式中、Arは、
【0036】
【化6】

のいずれかの基を示す。
2は、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、OCH2、SCH2、O(CH2CH2O)a、O[CH2CH(CH3)O]b、OCH2CH(OH)CH2Oのいずれかの2価の基を示す。
【0037】
1は、
【化7】

のいずれかの2価の基を示す。R13は水素原子、メチル基のいずれかを示す。R14〜R30は、各々独立して水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の有機基、炭素数1〜20の含フッ素有機基のいずれかを示す。a及びbは各々独立して1〜20の整数、cは2〜10の整数を示す。)
【0038】
【化8】

【0039】
(式中、R31は、
【化9】

のいずれかの基を示す。R32〜R34は、各々独立して水素原子、メチル基のいずれかを示す。dは1〜10の整数を示す。)
【0040】
【化10】

(式中、X3及びX4は、各々独立にO、S、O(CH2CH2O)e、O[CH2CH(CH3)O]fのいずれかの2価の基を示す。
【0041】
2は、
【化11】

のいずれかの2価の基を示す。
35及びR40は、各々独立して水素原子、メチル基のいずれかを示す。R36〜R39は、各々独立して水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の有機基、炭素数1〜20の含フッ素有機基のいずれかを示す。e及びfは各々独立して1〜20の整数、gは2〜10の整数を示す。)
【0042】
【化12】

【0043】
(式中、Y3は、
【化13】

のいずれかの2価の基を示す。R41及びR46は、各々独立して水素原子、メチル基のいずれかを示す。R42〜R45は、各々独立して水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の有機基、炭素数1〜20の含フッ素有機基のいずれかを示す。hは1〜5の整数、iは2〜10の整数を示す。)
なお、一般式(5)〜(8)における有機基としては、一般式(1)〜(4)で説明したものと同様の例が挙げられる。
【0044】
また、(メタ)アクリレート以外に好ましい(B)重合性化合物としては、(A)主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマとの相溶性の観点から、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物を含むものも挙げられる。
【0045】
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂などの2官能フェノールグリシジルエーテル;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添2,2’−ビフェノール型エポキシ樹脂、水添4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂などの水添2官能フェノールグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂などの多官能フェノールグリシジルエーテル;ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂などの2官能脂肪族アルコールグリシジルエーテル;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリシクロデカンジメタノール型エポキシ樹脂などの2官能脂環式アルコールグリシジルエーテル;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、グリセリン型エポキシ樹脂などの多官能脂肪族アルコールグリシジルエーテル;フタル酸ジグリシジルエステルなどの2官能芳香族グリシジルエステル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルなどの2官能脂環式グリシジルエステル;N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトリフルオロメチルアニリンなどの2官能芳香族グリシジルアミン;N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノールなどの多官能芳香族グリシジルアミン;アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシドなどの2官能脂環式エポキシ樹脂;2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加体などの多官能脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレートなどの多官能複素環式エポキシ樹脂;オルガノポリシロキサン型エポキシ樹脂などの2官能又は多官能ケイ素含有エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0046】
これらの中で、透明性及び耐熱性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂などの2官能フェノールグリシジルエーテル;上記水添2官能フェノールグリシジルエーテル;上記多官能フェノールグリシジルエーテル;上記2官能脂環式アルコールグリシジルエーテル;上記2官能芳香族グリシジルエステル;上記2官能脂環式グリシジルエステル;上記2官能脂環式エポキシ樹脂;上記多官能脂環式エポキシ樹脂;上記多官能複素環式エポキシ樹脂;上記2官能又は多官能ケイ素含有エポキシ樹脂であることが好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができ、さらにその他の重合性化合物と組み合わせて使用することもできる。
【0047】
(B)成分の重合性化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して、15〜90質量%であることが好ましい。15質量%以上であると、(A)主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマを絡みこんで硬化することが容易で、耐現像液性が不足することがない。また、90質量%以下であれば、硬化フィルムのフィルム強度や可撓性が十分である。以上の観点から、30〜80質量%であることがさらに好ましい。
【0048】
以下、本発明に用いられる(C)成分について説明する。
(C)成分の重合開始剤としては、加熱又は紫外線などの照射によって重合を開始させるものであれば特に制限はなく、例えば(B)成分の重合性化合物としてエチレン性不飽和基を有する化合物を用いる場合、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などが挙げられるが、硬化速度が速く常温硬化が可能なことから、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0049】
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパーオキシド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;p−メンタンヒドロパーオキシドなどのヒドロパーオキシド;α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシドなどのジアルキルパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシカーボネートなどのパーオキシカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2’−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。
これらの中で、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点から、上記ジアシルパーオキシド;上記パーオキシエステル;上記アゾ化合物であることが好ましい。
【0050】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンなどのα−ヒドロキシケトン;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどのα−アミノケトン;1−[(4−フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタジオン−2−(ベンゾイル)オキシムなどのオキシムエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体などの2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノンなどのキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタールなどのベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニルヘプタン)などのアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリンなどが挙げられる。
【0051】
また、前記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また。ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン化合物と3級アミンとを組み合わせてもよい。
【0052】
これらの中で、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点から、上記α−ヒドロキシケトン;上記ホスフィンオキシドであることが好ましい。これらの熱及び光ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに、適切な増感剤と組み合わせて用いることもできる。
【0053】
また、(B)成分の重合性化合物としてエポキシ樹脂を用いる場合、(C)成分の重合開始剤としては、熱カチオン重合開始剤や光カチオン重合開始剤などが挙げられるが、硬化速度が速く常温硬化が可能なことから、光カチオン重合開始剤であることが好ましい。
【0054】
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、p−アルコキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのベンジルスルホニウム塩;ベンジル−p−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ナフチルメチル−o−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、シンナミル−o−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのピリジニウム塩;ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのベンジルアンモニウム塩などが挙げられる。
これらの中で、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点から、上記ベンジルスルホニウム塩であることが好ましい。
【0055】
光カチオン重合開始剤としては、例えばp−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのアリールジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのジアリールヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムペンタフルオロヒドロキシアンチモネートなどのトリアリールスルホニウム塩;トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルセレノニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのトリアリールセレノニウム塩;ジメチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジエチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのジアルキルフェナシルスルホニウム塩;4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのジアルキル−4−ヒドロキシ塩;α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステル、N−ヒドロキシイミドスルホネート、α−スルホニロキシケトン、β−スルホニロキシケトンなどのスルホン酸エステルなどが挙げられる。
これらの中で、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点から、上記トリアリールスルホニウム塩であることが好ましい。これらの熱及び光カチオン重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。さらに、適切な増感剤と組み合わせて用いることもできる。
【0056】
(C)成分の重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。0.1質量部以上であると、硬化が十分であり、10質量部以下であると十分な光透過性が得られる。以上の観点から、0.3〜7質量部であることがさらに好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。
【0057】
また、この他に必要に応じて、本発明の光学材料用樹脂組成物中には、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤などのいわゆる添加剤を本発明の効果に悪影響を与えない割合で添加してもよい。
【0058】
以下、本発明の光学材料用樹脂組成物について説明する。
本発明の光学材料用樹脂組成物は、好適な有機溶剤を用いて希釈し、光学材料用樹脂ワニスとして使用してもよい。ここで用いる有機溶剤としては、該樹脂組成物を溶解しえるものであれば特に制限はなく、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどの多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミドなどが挙げられる。
これらの中で、溶解性及び沸点の観点から、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミドであることが好ましい。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、樹脂ワニス中の固形分濃度は、通常20〜80質量%であることが好ましい。
【0059】
光学材料用樹脂ワニスを調合する際は、撹拌により混合することが好ましい。撹拌方法には特に制限はないが、撹拌効率の観点からプロペラを用いた撹拌が好ましい。撹拌する際のプロペラの回転速度には特に制限はないが、10〜1,000rpmであることが好ましい。10rpm以上であると、(A)〜(C)成分、および有機溶剤のそれぞれの成分が十分に混合され、1,000rpm以下であるとプロペラの回転による気泡の巻き込みが少なくなる。以上の観点から50〜800rpmであることがより好ましく、100〜500rpmであることが特に好ましい。撹拌時間には特に制限はないが、1〜24時間であることが好ましい。1時間であると、(A)〜(C)成分、および有機溶剤のそれぞれの成分が十分に混合され、24時間以下であると、ワニス調合時間を短縮することができる。
【0060】
調合した光学材料用樹脂ワニスは、孔径50μm以下のフィルタを用いて濾過するのが好ましい。孔径50μm以下であると、大きな異物などが除去されて、ワニス塗布時にはじきなどを生じることがなく、またコア部を伝搬する光の散乱が抑制される。以上の観点から、孔径30μm以下のフィルタを用いて濾過するのがより好ましく、孔径10μm以下のフィルタを用いて濾過するのが特に好ましい。
【0061】
調合した光学材料用樹脂ワニスは、減圧下で脱泡することが好ましい。脱泡方法には、特に制限はなく、具体例としては真空ポンプとベルジャー、真空装置付き脱泡装置を用いることができる。減圧時の圧力には特に制限はないが、樹脂ワニスに含まれる有機溶剤が沸騰しない圧力が好ましい。減圧脱泡時間には特に制限はないが、3〜60分であることが好ましい。3分以上であると、樹脂ワニス内に溶解した気泡を取り除くことができる。60分以下であると、樹脂ワニスに含まれる有機溶剤が揮発することがない。
【0062】
本発明の(A)主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマ、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤からなる光学材料用樹脂組成物を重合、硬化してなる硬化フィルムの、温度25℃における波長830nmでの屈折率は1.400〜1.700であることが好ましい。1.400〜1.700であれば、通常の光学樹脂との屈折率が大きく異ならないため、光学材料としての汎用性が損なわれることがない。以上の観点から、1.425〜1.675以下であることがさらに好ましく、1.450〜1.650であることが特に好ましい。
【0063】
本発明の(A)主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマ、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤からなる光学材料用樹脂組成物を重合、硬化してなる厚み50μmの硬化フィルムの波長400nmでの透過率は80%以上であることが好ましい。80%以上であると、光の透過量が十分である。以上の観点から85%以上であることがさらに好ましい。なお、透過率の上限については特に制限されない。
【0064】
以下、本発明の光学材料用樹脂フィルムについて説明する。
本発明の光学材料用樹脂フィルムは、前記光学材料用樹脂組成物からなり、前記(A)〜(C)成分を含有する光学材料用樹脂ワニスを好適な基材フィルムに塗布し、溶媒を除去することにより容易に製造することができる。また、光学材料用樹脂組成物を直接基材フィルムに塗布して製造してもよい。
【0065】
基材フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、液晶ポリマなどが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホンであることが好ましい。
【0066】
基材フィルムの厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、3〜250μmであることが好ましい。3μm以上であるとフィルム強度が十分であり、250μm以下であると十分な柔軟性が得られる。以上の観点から、5〜200μmであることがさらに好ましく、7〜150μmであることが特に好ましい。なお、樹脂層との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。
【0067】
基材フィルム上に光学材料用樹脂ワニス又は光学材料用樹脂組成物を塗布して製造した光学材料用樹脂フィルムは、必要に応じて保護フィルムを樹脂層上に貼り付け、基材フィルム、樹脂層及び保護フィルムからなる3層構造としてもよい。
【0068】
保護フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンであることが好ましい。なお、樹脂層との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。カバーフィルムの厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、10〜250μmであることが好ましい。10μm以上であるとフィルム強度が十分であり、250μm以下であると十分な柔軟性が得られる。以上の観点から、15〜200μmであることがさらに好ましく、20〜150μmであることが特に好ましい。
【0069】
本発明の光学材料用樹脂フィルムの樹脂層の厚みについては特に限定されないが、乾燥後の厚みで、通常は5〜500μmであることが好ましい。5μm以上であると、厚みが十分であるため樹脂フィルム又は該フィルムの硬化物の強度が十分であり、500μm以下であると、乾燥が十分に行えるため樹脂フィルム中の残留溶媒量が増えることなく、該フィルムの硬化物を加熱したときに発泡することがない。
【0070】
このようにして得られた光学材料用樹脂フィルムは、例えばロール状に巻き取ることによって容易に保存することができる。または、ロール状のフィルムを好適なサイズに切り出して、シート状にして保存することもできる。
【0071】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、光導波路形成用樹脂組成物として好適であり、同様に本発明の光学材料用樹脂フィルムは、光導波路形成用樹脂フィルムとして好適である。
【0072】
以下、本発明の光導波路について説明する。
図1の(a)に光導波路の断面図を示す。光導波路1は基板5上に形成され、高屈折率であるコア部形成用樹脂組成物からなるコア部2、並びに、低屈折率であるクラッド層形成用樹脂組成物からなる下部クラッド層4及び上部クラッド層3で構成されている。
本発明の光学材料用樹脂組成物及び光学材料用樹脂フィルムは、光導波路1の下部クラッド層4、コア部2及び上部クラッド層3のうち、少なくとも1つに用いることが好ましい。その中で、アルカリ性水溶液からなる現像液によりパターン形成可能の観点から、これらのうち少なくともコア部2に用いることがさらに好ましい。
【0073】
光学材料用樹脂フィルムを用いることによって、クラッドとコアの層間密着性や光導波路コアパターン形成時のパターン形成性(細線又は狭線間対応性)をより向上させることができ、線幅や線間の小さい微細パターン形成が可能となる。また、大面積の光導波路を一度に製造できるという生産性に優れたプロセスを提供することが可能となる。
【0074】
光導波路1において、基板5としてはシリコン基板、ガラス基板又はFR−4などのガラスエポキシ樹脂基板のような硬い基板を用いることができる。光導波路1は、上記基板の代わりに、柔軟性及び強靭性のある前記基材フィルムを用いて、フレキシブル光導波路としてもよい。
【0075】
また、基板5として柔軟性及び強靭性のある基材フィルムを用いた場合、基板5は光導波路1のカバーフィルムとして機能させてもよい。カバーフィルム5を配置することにより、カバーフィルム5の柔軟性や強靭性を光導波路1に付与することが可能となる。また、光導波路1が汚れや傷を受けなくなるため、取り扱いやすさが向上する。
以上の観点から、図1の(b)のように上部クラッド層3の外側にカバーフィルム5が配置されていたり、図1の(c)のように下部クラッド層4及び上部クラッド層3の両方の外側にカバーフィルム5が配置されていたりしてもよい。
光導波路1に柔軟性や強靭性が十分に備わっているならば、図1の(d)のように、カバーフィルム5が配置されていなくてもよい。
【0076】
下部クラッド層4の厚みは、特に制限はないが、2〜200μmであることが好ましい。2μm以上であると伝搬光をコア内部に閉じ込めるのが容易となり、200μm以下であると、光導波路1全体の厚みが大きすぎることがない。なお、下部クラッド層4の厚みとは、コア部2と下部クラッド層4との境界から下部クラッド層4の下面までの値である。
下部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚みについては特に制限はなく、硬化後の下部クラッド層4の厚みが上記の範囲となるように厚みが調整される。
【0077】
コア部2の高さは、特に制限はないが、10〜100μmであることが好ましい。コア部の高さが10μm以上であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバとの結合において位置合わせトレランスが小さくなることがなく、100μm以下であれば、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバとの結合において、結合効率が小さくなることがない。以上の観点から、コア部の高さは、15〜80μmであることがさらに好ましく、20〜70μmであることが特に好ましい。なお、コア部形成用樹脂フィルムの厚みについては特に制限はなく、硬化後のコア部の高さが上記の範囲となるように厚みが調整される。
【0078】
上部クラッド層3の厚みは、コア部2を埋め込むことができる範囲であれば、特に制限はないが、乾燥後の厚みで、12〜500μmであることが好ましい。上部クラッド層3の厚みとしては、最初に形成される下部クラッド層4の厚みと同一であっても異なってもよいが、コア部2を埋め込むという観点から、下部クラッド層4の厚みよりも厚くすることが好ましい。なお、上部クラッド層3の厚みとは、コア部2と下部クラッド層4との境界から上部クラッド層3の上面までの値である。
【0079】
本発明の光導波路において、光伝搬損失は0.3dB/cm以下であることが好ましい。0.3dB/cm以下であると、光の損失が小さくなり、伝送信号の強度が十分である。以上の観点から0.2dB/cm以下であることがさらに好ましい。
【0080】
また、本発明の光導波路において、最高温度265℃のリフロー試験を3回実施後の光伝搬損失は、0.3dB/cm以下であることが好ましい。0.3dB/cm以下であると、光の損失が小さくなり、伝送信号の強度が十分であると同時に、リフロープロセスによる部品実装が行えるために、適用範囲が広くなる。なお、最高温度265℃のリフロー試験とはJEDEC規格(JEDEC JESD22A113E)に準じた条件で実施する鉛フリーはんだリフロー試験のことを意味する。
【0081】
以下、本発明の光学材料用樹脂フィルムを最も好適な用途である光導波路形成用樹脂フィルムとして用いた場合の適用例について説明する。
光導波路形成用樹脂フィルムも、前記光学材料用樹脂フィルムと同様の方法によって製造することができる。なお、コア部形成用樹脂フィルムの製造過程で用いる基材としては、後述のコアパターン形成に用いる露光用活性光線が透過するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレートなどが挙げられる。
これらの中で、露光用活性光線の透過率、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリプロピレンなどのポリオレフィンであることが好ましい。さらに、露光用活性光線の透過率向上及びコアパターンの側壁荒れ低減の観点から、高透明タイプな基材フィルムを用いることがさらに好ましい。このような高透明タイプな基材フィルムとしては、東洋紡績株式会社製コスモシャインA1517、コスモシャインA4100が挙げられる。なお、樹脂層との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。
【0082】
コア部形成用樹脂フィルムの基材フィルムの厚みは、5〜50μmであることが好ましい。5μm以上であると、支持体としての強度が十分であり、50μm以下であると、コアパターン形成時にフォトマスクとコア部形成用樹脂組成物層のギャップが大きくならず、パターン形成性が良好である。以上の観点から、基材フィルムの厚みは10〜40μmであることがさらに好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。
【0083】
上記基材フィルム上に光導波路形成用樹脂ワニス又は光導波路形成用樹脂組成物を塗布して製造した光導波路形成用樹脂フィルムは、必要に応じて前記保護フィルムを樹脂層上に貼り付け、基材フィルム、樹脂層及び保護フィルムからなる3層構造としてもよい。
【0084】
このようにして得られた光導波路形成用樹脂フィルムは、例えばロール状に巻き取ることによって容易に保存することができる。または、ロール状のフィルムを好適なサイズに切り出して、シート状にして保存することもできる。
【0085】
以下、光導波路形成用樹脂ワニス及び/又は光導波路形成用樹脂フィルムを用いて光導波路1を形成するための製造方法について説明する。
本発明の光導波路1を製造する方法としては、特に制限はないが、コア部形成用樹脂ワニス及びクラッド層形成用樹脂ワニスを用いてスピンコート法などにより製造する方法、又はコア部形成用樹脂フィルム及びクラッド層形成用樹脂フィルムを用いて積層法により製造する方法などが挙げられる。また、これらの方法を組み合わせて製造することもできる。これらの中では、生産性に優れた光導波路製造プロセスが提供可能という観点から、光導波路形成用樹脂フィルムを用いて積層法により製造する方法が好ましい。
【0086】
以下、光導波路形成用樹脂フィルムを下部クラッド層、コア部及び上部クラッド層に用いて光導波路1を形成するための製造方法について説明する。
まず、第1の工程として下部クラッド層形成用樹脂フィルムを基板5上に積層して下部クラッド層4を形成する。 第1の工程における積層方式としては、ロールラミネータ、または平板型ラミネータを用いて加熱しながら圧着することにより積層する方法が挙げられるが、密着性および追従性の観点から、平板型ラミネータを用いて減圧下で下部クラッド層形成用樹脂フィルムを積層することが好ましい。なお、本発明において平板型ラミネータとは、積層材料を一対の平板の間に挟み、平板を加圧することにより圧着させるラミネータのことを指し、例えば、真空加圧式ラミネータを好適に用いることができる。ここでの加熱温度は、40〜130℃であることが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPaであることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。下部クラッド層形成用樹脂フィルムに保護フィルムが存在する場合には、保護フィルムを除去した後に積層する。
なお、真空加圧式ラミネータによる積層の前に、ロールラミネータを用いて、あらかじめ下部クラッド層形成用樹脂フィルムを基板5上に仮貼りしておいてもよい。ここで、密着性および追従性向上の観点から、圧着しながら仮貼りすることが好ましく、圧着する際、ヒートロールを有するラミネータを用いて加熱しながら行っても良い。ラミネート温度は、20〜130℃であることが好ましい。20℃以上であると下部クラッド層形成用樹脂フィルムと基板5との密着性が向上し、130℃以下であると樹脂層がロールラミネート時に流動しすぎることがなく、必要とする膜厚が得られる。以上の観点から、40〜100℃であることがより好ましい。圧力は0.2〜0.9MPaであることが好ましく、ラミネート速度は0.1〜3m/minであることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
【0087】
続いて、基材5上に積層された下部クラッド層形成用樹脂フィルムを光及び/又は加熱により硬化し、下部クラッド層形成用樹脂フィルムの基材フィルムを除去し、下部クラッド層4を形成する。
下部クラッド層4を形成する際の活性光線の照射量は、0.1〜5J/cm2とすることが好ましく、加熱温度は50〜200℃とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
【0088】
次いで、第2の工程としてコア部形成用樹脂フィルムを第1の工程と同様な方法で積層する。ここで、コア部形成用樹脂フィルムは下部クラッド層形成用樹脂フィルムより高屈折率であるように設計され、活性光線によりコアパターンを形成し得る感光性樹脂組成物からなることが好ましい。
【0089】
次に、第3の工程としてコア部を露光し、光導波路のコアパターン(コア部2)を形成する。具体的には、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線が画像状に照射される。また、レーザ直接描画を用いてフォトマスクを通さずに直接活性光線を画像上に照射してもよい。活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプなどの紫外線を有効に放射する公知の光源が挙げられる。また、他にも写真用フラッド電球、太陽ランプなどの可視光を有効に放射するものが挙げられる。
ここでの活性光線の照射量は、0.01〜10J/cm2であることが好ましい。0.01J/cm2以上であると、硬化反応が十分に進行し、後述する現像工程によりコア部2が流失することがなく、10J/cm2以下であると露光量過多によりコア部2が太ることがなく、微細なパターンが形成でき好適である。以上の観点から、0.05〜5J/cm2であることがより好ましく、0.1〜3J/cm2であることが特に好ましい。
なお、露光後に、コア部2の解像度及び密着性向上の観点から、露光後加熱を行ってもよい。紫外線照射から露光後加熱までの時間は、10分以内であることが好ましい。10分以内であると紫外線照射により発生した活性種が失活することがない。露光後加熱の温度は40〜160℃であることが好ましく、時間は30秒〜10分であることが好ましい。
【0090】
露光後、コア部形成用樹脂フィルムの基材フィルムを除去し、アルカリ性水溶液、水系現像液などの前記コア部形成用樹脂フィルムの組成に対応した現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング、ディップ及びパドルなどの公知の方法により現像する。また、必要に応じて2種類以上の現像方法を併用してもよい。
【0091】
上記アルカリ性水溶液の塩基としては、特に制限はないが、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物などの水酸化アルカリ;リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩などの炭酸アルカリ;リン酸カリウム、リン酸ナトリウムなどのアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウムなどのアルカリ金属ピロリン酸塩;ホウ砂、メタケイ酸ナトリウムなどのナトリウム塩;水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2−モルホリンなどの有機塩基などが挙げられる。現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜11であることが好ましく、その温度はコア部形成用樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤などを混入させてもよい。
【0092】
前記水系現像液としては、水又はアルカリ性水溶液と1種類以上の有機溶剤からなるものであれば特に制限はない。水系現像液のpHは、前記コア部形成用樹脂フィルムの現像が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12であることが好ましく、pH9〜10であることが特に好ましい。
上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール;アセトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールアルキルエーテルなどが挙げられる。
これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%であることが好ましく、その温度はコア部形成用樹脂組成物の現像性に合わせて調節される。また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤などを少量混入させてもよい。
【0093】
現像後の処理として、必要に応じて水と上記有機溶剤からなる洗浄液を用いて光導波路のコア部2を洗浄してもよい。有機溶剤は単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。有機溶剤の濃度は通常、2〜90質量%とすることが好ましく、その温度はコア部形成用樹脂組成物の現像性に合わせて調節される。
【0094】
現像又は洗浄後の処理として、必要に応じて、60〜250℃程度の加熱又は0.1〜1000mJ/cm2程度の露光を行うことによりコア部2さらに硬化して用いてもよい。
【0095】
続いて、第4の工程として上部クラッド層形成用樹脂フィルムを第1及び第2の工程と同様の方法で積層して上部クラッド層3を形成する。ここで、上部クラッド層形成用樹脂フィルムは、コア部形成用樹脂フィルムよりも低屈折率になるように設計されている。また、上部クラッド層3の厚みは、コア部2の高さより大きくすることが好ましい。
次いで、第1の工程と同様な方法で上部クラッド層形成用樹脂フィルムを光及び/又は熱によって硬化し、上部クラッド層3を形成する。
上記クラッド層形成用樹脂フィルムの基材フィルムがPETの場合、活性光線の照射量は、0.1〜5J/cm2であることが好ましい。一方、基材フィルムがポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなどの場合、PETに比べて紫外線などの短波長の活性光線を通しにくいことから、活性光線の照射量は、0.5〜30J/cm2であることが好ましい。0.5J/cm2以上であると硬化反応が十分に進行し、30J/cm2以下であると光照射の時間が長くかかりすぎることがない。以上の観点から、3〜27J/cm2であることがより好ましく、5〜25J/cm2であることが特に好ましい。
なお、より硬化させるために、両面から同時に活性光線を照射することが可能な両面露光機を使用することができる。また、加熱をしながら活性光線を照射してもよい。活性光線照射中及び/又は照射後の加熱温度は50〜200℃であることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
上部クラッド層3を形成後、必要であれば基材フィルムを除去して、光導波路1を作製することができる。
【0096】
本発明の光導波路は、耐熱性、および透明性に優れているために光モジュールの光伝送路として用いてもよい。光モジュールの形態としては、例えば光導波路の両端に光ファイバを接続した光ファイバ付き光導波路、光導波路の両端にコネクタを接続したコネクタ付き光導波路、光導波路とプリント配線板と複合化した光電気複合基板、光導波路と光信号と電気信号を相互に変換する光/電気変換素子を組み合わせた光電気変換モジュール、光導波路と波長分割フィルタを組み合わせた波長合分波器などが挙げられる。なお、光電気複合基板において、複合化するプリント配線板としては、特に制限はなくガラスエポキシ基板などのリジッド基板、ポリイミド基板などのフレキシブル基板のどちらを用いてもよい。
【実施例】
【0097】
以下、本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限するものではない。
製造例1
[主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−1の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部及び乳酸メチル30質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を始めた。液温を80℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド20質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート40質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート25質量部、メタクリル酸15質量部及び2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)3質量部を滴下後、80℃で6時間撹拌を続け、(メタ)アクリルポリマP−1溶液(固形分36質量%)を得た。
【0098】
[酸価の測定]
P−1の酸価を測定した結果、98mgKOH/gであった。なお、酸価はP−1溶液を中和するのに要した0.1mol/L水酸化カリウム水溶液量から算出した。このとき、指示薬として添加したフェノールフタレインが無色からピンク色に変色した点を中和点とした。
【0099】
[重量平均分子量の測定]
P−1の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)をGPC(東ソー株式会社製SD−8022/DP−8020/RI−8020)を使用して測定した結果、27,000であった。なお、カラムは日立化成工業株式会社製Gelpack GL−A150−S/GL−A160−Sを使用した。
【0100】
製造例2
[主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−2の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、上記P−1溶液(固形分36質量%)168質量部(固形分60質量部)、ジブチルスズジラウリレート0.03質量部及びp−メトキシフェノール0.1質量部を秤量し、空気を導入しながら撹拌を始めた。液温を60℃に上昇させた後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート7質量部を30分かけて滴下後、60℃で4時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマP−2溶液(固形分38質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−2の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ53mgKOH/g、27,000であった。
【0101】
製造例3
[主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−3の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート97質量部及び乳酸エチル24質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を始めた。液温を90℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド18質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート43質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート53質量部、メタクリル酸20質量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート65質量部及び乳酸エチル16質量部の混合物を3時間かけて滴下後、90℃で3時間撹拌し、さらに120℃で1時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマP−3溶液(固形分40質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−3の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ96mgKOH/g、25,000であった。
【0102】
製造例4
[主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−4の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、上記P−3溶液(固形分40質量%)150質量部(固形分60質量部)、ジブチルスズジラウリレート0.04質量部、p−メトキシフェノール0.1質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート21質量部を秤量し、空気を導入しながら撹拌を始めた。液温を60℃に上昇させた後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート14質量部を30分かけて滴下後、60℃で4時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマ(−4溶液(固形分40質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−4の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ57mgKOH/g、25,000であった。
【0103】
製造例5
[主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−5の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート94質量部及び乳酸エチル24質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を始めた。液温を90℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド33質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート26質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート51質量部、メタクリル酸19質量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート63質量部及び乳酸エチル16質量部の混合物を3時間かけて滴下後、90℃で3時間撹拌し、さらに120℃で1時間撹拌を続けて、室温まで冷却した。
続いて、ジブチルスズジラウリレート0.08質量部、p−メトキシフェノール0.2質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45質量部を加え、空気を導入しながら撹拌を始めた。液温を60℃に上昇させた後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート30質量部を30分かけて滴下後、60℃で4時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマP−5溶液(固形分40質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−5の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ54mgKOH/g、23,000であった。
【0104】
製造例6
[主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−6の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート97質量部及び乳酸エチル24質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を始めた。液温を90℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド18質量部、ベンジルメタクリレート43質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート53質量部、メタクリル酸20質量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート65質量部及び乳酸エチル16質量部の混合物を3時間かけて滴下後、90℃で3時間撹拌し、さらに120℃で1時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマP−6溶液(固形分40質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−6の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ96mgKOH/g、24,000であった。
製造例7
[主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−7の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、上記P−6溶液(固形分40質量%)150質量部(固形分60質量部)、ジブチルスズジラウリレート0.04質量部、p−メトキシフェノール0.1質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート21質量部を秤量し、空気を導入しながら撹拌を始めた。液温を60℃に上昇させた後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート14質量部を30分かけて滴下後、60℃で4時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマP−)溶液(固形分40質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−7の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ58mgKOH/g、24,000であった。
【0105】
製造例8
[主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−8の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60質量部及び乳酸メチル60質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を始めた。液温を90℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド18質量部、ベンジルメタクリレート61質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート18質量部、メタクリル酸37質量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部及び乳酸メチル40質量部の混合物を3時間かけて滴下後、90℃で3時間撹拌し、さらに120℃で1時間撹拌を続けて、室温まで冷却した。
続いて、グリシジルメタクリレート28質量部、p−メトキシフェノール0.2質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート43質量部を加え、空気を導入しながら撹拌を始めた。液温を80℃に上昇させ、トリフェニルホスフィン0.7質量部を加えた後、80℃で1時間撹拌し、さらに110℃で8時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマP−8溶液(固形分40質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−8の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ78mgKOH/g、25,000であった。
【0106】
製造例9
[主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−9の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60質量部及び乳酸メチル60質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を始めた。液温を90℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド18質量部、ベンジルメタクリレート79質量部、メタクリル酸37質量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部及び乳酸メチル40質量部の混合物を3時間かけて滴下後、90℃で3時間撹拌し、さらに120℃で1時間撹拌を続けて、室温まで冷却した。
続いて、グリシジルメタクリレート28質量部、p−メトキシフェノール0.2質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート43質量部を加え、空気を導入しながら撹拌を始めた。液温を80℃に上昇させ、トリフェニルホスフィン0.6質量部を加えた後、80℃で1時間撹拌し、さらに110℃で8時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマP−9溶液(固形分40質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−9の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ78mgKOH/g、25,000であった。
【0107】
製造例10
[主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−10の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60質量部及び乳酸メチル60質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を始めた。液温を90℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド18質量部、ベンジルメタクリレート53質量部、メタクリル酸37質量部、スチレン25質量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部及び乳酸メチル40質量部の混合物を3時間かけて滴下後、90℃で3時間撹拌し、さらに120℃で1時間撹拌を続けて、室温まで冷却した。
続いて、グリシジルメタクリレート19質量部、p−メトキシフェノール0.2質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28質量部を加え、空気を導入しながら撹拌を始めた。液温を80℃に上昇させ、トリフェニルホスフィン0.6質量部を加えた後、80℃で1時間撹拌し、さらに110℃で8時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマP−10溶液(固形分40質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−10の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ108mgKOH/g、22,000であった。
【0108】
製造例11
[主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−11の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート96質量部及び乳酸メチル24質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を始めた。液温を90℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド18質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート69質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23質量部、メタクリル酸24質量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート64質量部及び乳酸メチル16質量部の混合物を3時間かけて滴下後、90℃で3時間撹拌し、さらに120℃で1時間撹拌を続けて、室温まで冷却した。
続いて、グリシジルメタクリレート19質量部、p−メトキシフェノール0.2質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28質量部を加え、空気を導入しながら撹拌を始めた。液温を80℃に上昇させ、トリフェニルホスフィン0.6質量部を加えた後、80℃で1時間撹拌し、さらに110℃で8時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマP−11溶液(固形分40質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−11の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ54mgKOH/g、26,000であった。
【0109】
製造例12
[主鎖にマレイミド骨格を含まないアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−12の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60質量部及び乳酸メチル60質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を始めた。液温を90℃に上昇させ、シクロヘキシルメタクリレート18質量部、ベンジルメタクリレート79質量部、メタクリル酸37質量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部及び乳酸メチル40質量部の混合物を3時間かけて滴下後、90℃で3時間撹拌し、さらに120℃で1時間撹拌を続けて、室温まで冷却した。
続いて、グリシジルメタクリレート28質量部、p−メトキシフェノール0.2質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート43質量部を加え、空気を導入しながら撹拌を始めた。液温を80℃に上昇させ、トリフェニルホスフィン0.6質量部を加えた後、80℃で1時間撹拌し、さらに110℃で8時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマP−12溶液(固形分40質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−12の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ78mgKOH/g、27,000であった。
【0110】
製造例13
[主鎖にマレイミド骨格を含まないアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマP−13の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート96質量部及び乳酸メチル24質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を始めた。液温を90℃に上昇させ、シクロヘキシルメタクリレート18質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート69質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23質量部、メタクリル酸24質量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート64質量部及び乳酸メチル16質量部の混合物を3時間かけて滴下後、90℃で3時間撹拌し、さらに120℃で1時間撹拌を続けて、室温まで冷却した。
続いて、グリシジルメタクリレート19質量部、p−メトキシフェノール0.2質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28質量部を加え、空気を導入しながら撹拌を始めた。液温を80℃に上昇させ、トリフェニルホスフィン0.6質量部を加えた後、80℃で1時間撹拌し、さらに110℃で8時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマP−13溶液(固形分40質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、P−13の酸価及び重量平均分子量を測定した結果、それぞれ54mgKOH/g、25,000であった。
【0111】
実施例1
[コア部形成用樹脂ワニスCOV-1の調合]
(A)主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性(メタ)アクリルポリマとして、前記P−1溶液(固形分36質量%)168質量部(固形分60質量部)、(B)重合性化合物として、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−BPE−6)20質量部、p−クミルフェノキシエチルアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−CMP−1E)20質量部及び(C)重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)1質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)1質量部を広口のポリ瓶に秤量し、撹拌機を用いて、温度25℃、回転数400rpmの条件で、6時間撹拌して、コア部形成用樹脂ワニスを調合した。その後、孔径2μmのポリフロンフィルタ(アドバンテック東洋株式会社製PF020)及び孔径0.5μmのメンブレンフィルタ(アドバンテック東洋株式会社製J050A)を用いて、温度25℃、圧力0.4MPaの条件で加圧濾過した。続いて、真空ポンプ及びベルジャーを用いて減圧度50mmHgの条件で15分間減圧脱泡し、コア部形成用樹脂ワニスCOV-1を得た。
【0112】
[コア部形成用樹脂フィルムCOF-1の作製]
上記コア部形成用樹脂ワニスCOV-1を、PETフィルム(東洋紡績株式会社製A1517、厚み16μm)の非処理面上に塗工機(株式会社ヒラノテクシード製マルチコーターTM−MC)を用いて塗布し、100℃で20分乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製A31、厚み25μm)を貼付け、コア部形成用樹脂フィルムCOF-1を得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であるが、本実施例では硬化後の膜厚が、50μmとなるように調節した。
【0113】
[クラッド層形成用樹脂ワニスCLV-1の調合]
バインダポリマとして、分子量約85万のアクリルゴム(株式会社ナガセケムテックス製HTR−860P−3)のメチルエチルケトン溶液(固形分17質量%)303質量部(固形分50質量部)、(B)重合性化合物として、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート(株式会社ADEKA製KRM−2110)50質量部及び(C)重合開始剤としてトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩(株式会社ADEKA製SP−170)溶液(固形分50質量%)4質量部(固形分2質量部)を広口のポリ瓶に秤量し、撹拌機を用いて、温度25℃、回転数400rpmの条件で、6時間撹拌して、クラッド層形成用樹脂ワニスを調合した。その後、孔径6μmのポリフロンフィルタ(アドバンテック東洋株式会社製PF060)を用いて、温度25℃、圧力0.4MPaの条件で加圧濾過した。続いて、真空ポンプ及びベルジャーを用いて減圧度50mmHgの条件で15分間減圧脱泡し、クラッド層形成用樹脂ワニスCLV-1を得た。
【0114】
[クラッド層形成用樹脂フィルムCLF-1の作製]
上記クラッド層形成用樹脂ワニスCLV-1を、PETフィルム(東洋紡績株式会社製A1517、厚み16μm)の非処理面上に、コア層形成用樹脂フィルムと同様な方法で塗布乾燥し、クラッド層形成用樹脂フィルムCLF-1を得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であるが、本実施例では硬化後の膜厚が、下部クラッド層形成用樹脂フィルムでは30μm、上部クラッド形成用樹脂フィルムでは80μm、並びに屈折率及び透過率測定用硬化フィルムでは50μmとなるように調節した。
【0115】
[屈折率及び透過率測定用硬化フィルムの作製]
前記コア部形成用樹脂フィルム及びクラッド層形成用樹脂フィルムに、紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を1000mJ/cm2照射した。続いて、保護フィルム(A31)を除去し、130℃で1時間乾燥を行った後、基材フィルム(A1517)を除去して厚み50μmの硬化フィルムを得た。
【0116】
[屈折率の測定]
得られた硬化フィルムの温度25℃における波長830nmでの屈折率をプリズムカプラ(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA−4000)を用いて測定した結果、1.524であった。
【0117】
[透過率の測定]
得られた硬化フィルムの温度25℃における波長400nmでの透過率を分光光度計(株式会社日立製作所製U−3410 Spectrophotometer)を用いて測定した結果、87%であった。
【0118】
[光導波路の作製]
ロールラミネータ(日立化成テクノプラント株式会社製HLM−1500)を用い、保護フィルム(A31)を除去した下部クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1を、FR−4基板(日立化成工業株式会社製E−679FB)上に、圧力0.4MPa、温度80℃、速度0.4m/minの条件で積層した。さらに、真空加圧式ラミネータ(株式会社名機製作所製MVLP−500/600)を用い、圧力0.5MPa、温度50℃及び加圧時間30秒の条件で圧着した。
次に、紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を1000mJ/cm2照射後、基材フィルム(A1517)を除去し、120℃で1時間加熱処理することによって、下部クラッド層4を形成した。
【0119】
続いて、上記ロールラミネータを用い、保護フィルム(A31)を除去したコア部形成用樹脂フィルムCOF−1を、下部クラッド層4上に、圧力0.4MPa、温度80℃、速度0.4m/minの条件で積層した。さらに、上記真空加圧式ラミネータを用い、圧力0.5MPa、温度50℃及び加圧時間30秒の条件で圧着した。
次いで、幅50μmのネガ型フォトマスクを介し、上記紫外線露光機で紫外線(波長365nm)を500mJ/cm2照射し、次いで80℃で5分間露光後加熱を行った。基材フィルム(A1517)を除去し、現像液(2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)を用い、コア部2を現像した後、純水を用いて洗浄し、100℃で1時間加熱乾燥した。
【0120】
次に、上記真空加圧式ラミネータを用い、保護フィルム(A31)を除去した上部クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1を、コア部2及び下部クラッド層4上に、圧力0.5MPa、温度50℃及び加圧時間30秒の条件で積層した。紫外線(波長365nm)を2000mJ/cm2照射し、基材フィルム(A1517)を除去した後、120℃で1時間加熱処理することによって、上部クラッド層3を形成し、図1(a)に示す基板5付き光導波路1を得た。その後、ダイシングソー(株式会社ディスコ製DAD−341)を用いて導波路長5cmの光導波路を切り出した。
【0121】
[光伝搬損失の測定]
切り出した光導波路の光伝搬損失を、光源に波長850nmの光を中心波長とするVCSEL(EXFO社製FLS−300−01−VCL)、受光センサ(株式会社アドバンテスト製Q82214)、入射ファイバ(GI−50/125マルチモードファイバ、NA=0.20)及び出射ファイバ(SI−114/125、NA=0.22)を用い、カットバック法(測定導波路長5、3、2cm)により測定した結果、0.18dB/cmであった。
【0122】
[リフロー試験]
切り出した光導波路(導波路長5cm)を、リフロー試験機(古河電気工業株式会社サラマンダXNA−645PC)を用いて、IPC/JEDEC J−STD−020Bに準じた条件で最高温度265℃のリフロー試験を3回行った。詳細なリフロー条件を表1、リフロー炉内の温度プロファイルを図2に示す。
【0123】
【表1】

【0124】
リフロー試験実施後のフレキシブル光導波路の挿入損失値を上記と同様の光源、受光素子入射ファイバ及び出射ファイバを用いて測定した結果、0.28dB/cmであった。
【0125】
実施例2〜10及び比較例1
表2に示す配合比に従ってコア部形成用樹脂ワニスCOV−2〜9を調合した。同様に、表3に示す配合比に従ってクラッド層形成用樹脂ワニスCLV−2〜8を調合した。実施例1と同様な方法で、コア部形成用樹脂フィルムCOF−2〜9及びクラッド層形成用樹脂フィルムCLF−2〜8を作製し、光導波路1を作製した。光導波路1の作製に用いたコア部形成用樹脂フィルム及びクラッド層形成用樹脂フィルムの組合せを表4に示す。また、得られた硬化フィルムの屈折率及び透過率、並びに光導波路1のリフロー試験前後の伝搬損失を測定した結果を表5に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
*1 製造例1で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*2 製造例3で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*3 製造例4で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*4 製造例6で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*5 製造例7で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*6 製造例8で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*7 製造例9で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*8 製造例10で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*9 製造例12で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*10 エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
*11 エトキシ化フルオレン型ジアクリレート(大阪ガスケミカル株式会社製)
*12 p−クミルフェノキシエチルアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
*13 2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピルアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
*14 1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
*15 ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
【0128】
【表3】

【0129】
*1 製造例2で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*2 製造例4で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*3 製造例5で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*4 製造例11で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*5 製造例13で作製した(メタ)アクリルポリマ溶液
*6 エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
*7 水添ビスフェノールA型エポキシアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
*8 エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
*9 エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート(東亞合成株式会社製)
*10 アリサイクリックジエポキシカルボキシレート(株式会社ADEKA製)
*11 1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
*12 ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
*13 トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩(株式会社ADEKA製)
*14 アクリルゴム(株式会社ナガセケムテックス製)
【0130】
【表4】

【0131】
【表5】

【0132】
*1 波長830nm、25℃、フィルム厚み50μm
*2 波長400nm、25℃、フィルム厚み50μm
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の光導波路の形態を説明する断面図である。
【図2】本発明で実施したリフロー試験におけるリフロー炉内の温度プロファイルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0134】
1 光導波路
2 コア部
3 上部クラッド層
4 下部クラッド層
5 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部クラッド層、コア部、上部クラッド層の少なくとも1つを、(A)主鎖にマレイミド骨格を含むアルカリ可溶性のアクリルポリマ及び/又はメタクリルポリマ、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤を含有してなる光学材料用樹脂組成物を用いて形成した光導波路。
【請求項2】
(A)成分の配合量が(A)成分及び(B)成分の総量に対して10〜85質量%であり、(B)成分の配合量が(A)成分及び(B)成分の総量に対して15〜90質量%であり、(C)成分の配合量が(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部である請求項1記載の光導波路。
【請求項3】
(B)重合性化合物が、その分子中にエチレン性不飽和基、及び2つ以上のエポキシ基のうち少なくとも1種を含む化合物である請求項1に記載の光導波路。
【請求項4】
(B)重合性化合物が、その分子中に脂環構造、アリール基、アリールオキシ基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種、並びにエチレン性不飽和基を含む化合物である請求項1に記載の光導波路。
【請求項5】
(B)重合性化合物が、下記一般式(5)〜(8)で表される化合物のうちの少なくとも1つである請求項1に記載の光導波路。
【化1】

(式中、Arは、
【化2】

のいずれかの基を示す。
2は、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、OCH2、SCH2、O(CH2CH2O)a、O[CH2CH(CH3)O]b、OCH2CH(OH)CH2Oのいずれかの2価の基を示す。
1は、
【化3】

のいずれかの2価の基を示す。R13は水素原子、メチル基のいずれかを示す。R14〜R30は、各々独立して水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の有機基、炭素数1〜20の含フッ素有機基のいずれかを示す。a及びbは各々独立して1〜20の整数、cは2〜10の整数を示す。)
【化4】

(式中、R31は、
【化5】

のいずれかの基を示す。R32〜R34は、各々独立して水素原子、メチル基のいずれかを示す。dは1〜10の整数を示す。)
【化6】

(式中、X3及びX4は、各々独立にO、S、O(CH2CH2O)e、O[CH2CH(CH3)O]fのいずれかの2価の基を示す。
2は、
【化7】

のいずれかの2価の基を示す。
35及びR40は、各々独立して水素原子、メチル基のいずれかを示す。R36〜R39は、各々独立して水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の有機基、炭素数1〜20の含フッ素有機基のいずれかを示す。e及びfは各々独立して1〜20の整数、gは2〜10の整数を示す。)
【化8】

(式中、Y3は、
【化9】

のいずれかの2価の基を示す。R41及びR46は、各々独立して水素原子、メチル基のいずれかを示す。R42〜R45は、各々独立して水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の有機基、炭素数1〜20の含フッ素有機基のいずれかを示す。hは1〜5の整数、iは2〜10の整数を示す。)
【請求項6】
(C)重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤である請求項1に記載の光導波路。
【請求項7】
前記光学材料用樹脂組成物を重合、硬化してなる硬化フィルムの、温度25℃における波長830nmでの屈折率が、1.400〜1.700である請求項1に記載の光導波路。
【請求項8】
前記光学材料用樹脂組成物を重合、硬化してなる厚み50μmの硬化フィルムの、温度25℃における波長400nmでの透過率が、80%以上である請求項1に記載の光導波路。
【請求項9】
コア部を請求項1に記載の光学材料用樹脂組成物を用いて形成した光導波路。
【請求項10】
光伝搬損失が、0.3dB/cm以下である請求項1に記載の光導波路。
【請求項11】
最高温度265℃のリフロー試験を3回実施後の光伝搬損失が、0.3dB/cm以下である請求項1に記載の光導波路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−231425(P2008−231425A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65671(P2008−65671)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【分割の表示】特願2008−502168(P2008−502168)の分割
【原出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】