説明

光学特性測定装置、及び、測定方法

【課題】材料の損失や劣化を伴うことなく、溶融状態での相変化膜の光学特性を正確に測定可能な光学特性測定装置を提供する。
【解決手段】薄膜試料107は、固体相から溶融相に相変化する相変化膜と、相変化膜に積層された保護膜とを有している。ヒーター108は、薄膜試料107を、中心部分と周辺部分とに温度差を与えるように加熱する。薄膜試料107内の相変化膜は、測定用ビーム113の光の径よりも大きな領域が溶融相に相変化し、周辺部分は固定相に保たれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相変化膜の光学特性測定装置、及び、測定方法に関し、更に詳しくは、相変化膜が高温で固体相から溶融相に相転移したときの相変化膜の光学特性を測定する光学特性測定装置、及び、測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルコゲナイト系半導体をはじめとする相変化材料は、結晶層からアモルファス層への可逆的な相転移を起こし、書き換え可能な光ディスクの記録層に、頻繁に用いられている。近年、ブルーレイディスクやHD DVDなど、従来の光ディスク記録再生装置よりも更に大容量な次世代光ディスクの開発が進んでいる。その次世代光ディスクの1つの候補として、媒体超解像ディスクがある。媒体超解像ディスクについては、例えば非特許文献1に記載されている。
【0003】
媒体超解像ディスクには、光ディスクの記録面に、光学定数が温度によって変化するマスク層が追加で成膜される。記録面に集光ビームを照射すると、マスク層の光学定数が局所的に変化し、微小開口が形成される。その微小開口を透過する光を利用することで、光の回折限界を超える微小ビットの再生が可能となり、光ディスクの記録容量を大容量化することを期待できる。上記相変化材料は、高温で、固体相から融解相への相変化に伴って光学定数が著しく変化するため、媒体超解像ディスクのマスク層としても適している。
【0004】
相変化薄膜をマスク層とした媒体超解像ディスクの設計では、相変化材料の高温状態、特に溶融状態での光学定数を正確に測定することが必須である。これに関し、非特許文献2に、相変化材料の1つであるGeSbTeの溶融状態での反射率を測定することが記載されている。非特許文献2では、試料であるGeSbTeを石英セルに充填し、これを電気炉で過熱する。試料を加熱しながら、電気炉の外部から試料にレーザ光を照射し、試料からの反射光を検出する。試料が溶融状態になると、光学定数が変化し、それに伴って反射率が変化する。
【0005】
特許文献1には、相変化材料の1つであるGe−Sb−Te薄膜の透過率と反射率の温度変化を測定し、結晶化温度を特定する旨が記載されている。特許文献1では、試料である相変化膜を半導体基板上に直接成膜し、加熱ヒーターで過熱する。試料を加熱しながら、外部からレーザ光を照射し、試料の透過光と反射光とを検出する。特許文献2には、相変化記録媒体の反射率と透過率とから、相変化薄膜の結晶化温度と活性化エネルギーとを特定する旨が記載されている。特許文献2では、試料を、基板の上に、相変化材料をSeやTeを含む誘電体層で挟んで成膜した構成としている。
【0006】
【非特許文献1】電子情報通信学会誌 Vol.89, No.11, 2006, pp. 1000-1008
【非特許文献2】Japanese Journal of Applied Physics, Vol.46, No.36, 2007, pp. L868-L870
【特許文献1】特開平09−166561号公報
【特許文献2】特開平08−224961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献2では、試料を石英セルに充填しているため、石英セルに充填された相変化材料の反射率は測定できても、透過率を測定することはできない。このため、非特許文献2だけでは、必要な光学定数を導出することができない。また、加熱中に、相変化材料の蒸発や昇華、酸化などによる劣化が発生するため、測定結果の精度が低いという問題もある。
【0008】
特許文献1及び特許文献2では、反射率と透過率の双方を測定可能である。しかし、特許文献1及び特許文献2が適用可能なのは、温度領域が、相変化材料の結晶化温度(200℃前後)までであり、相変化材料の溶融温度(500℃前後)での測定には不十分である。これは、特許文献1に記載されている薄膜試料を溶融温度まで上げると、相変化膜の蒸発や昇華が発生し、試料の表面や縁から材料そのものが失われるためである。一方、特許文献2に記載の薄膜試料は、相変化膜が誘電層で挟まれた構成であるため、蒸発や昇華は抑制できる。しかし、薄膜試料を溶融温度まで上げると、相変化膜と誘電体層材料の一部、特にSeやTeなどとが相互拡散し、やはり、正確な測定ができないという問題がある。
【0009】
本発明は、溶融状態での相変化膜の光学特性を正確に測定可能な光学特性測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の光学特性測定装置は、固体相から溶融相に相変化する相変化膜に保護層を積層した薄膜試料に測定用の光を照射し、前記薄膜試料からの反射光及び前記薄膜試料の透過光の少なくとも一方を検出する光学特性測定装置であって、前記薄膜試料を前記薄膜試料の中心部分と周辺部分とに温度差を与えるように加熱し、前記相変化膜の前記測定用の光の径よりも大きな領域を溶融相に相変化させると共に、前記周辺部分を固定相に保つ加熱部を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の光学特性測定方法は、固体相から溶融相に相変化する相変化膜に保護層を積層した薄膜試料に測定用の光を照射し、前記薄膜試料からの反射光及び前記薄膜試料の透過光の少なくとも一方を検出する光学特性測定方法であって、前記薄膜試料を前記薄膜試料の中心部分と周辺部分とに温度差を与えるように加熱し、前記相変化膜の前記測定用の光の径よりも大きな領域を溶融相に相変化させると共に、前記周辺部分を固定相に保つ工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光学特性測定装置及び測定方法は、溶融状態での相変化膜の光学特性を正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、測定対象の試料の断面を示している。薄膜試料107は、基板114、保護膜115a、115b、及び、相変化膜116を有する。相変化膜116は、固体相から溶融相に相転移する相変化膜である。相変化膜116は、保護膜115a、115bによって挟まれており、基板114上に成膜されている。基板114は、透明で、かつ、高温下で組成が変わらない材質で形成される。基板114の材質は、薄膜試料107の中心部分と周辺部分との温度差を大きくするために、ガラスなどの熱伝導率が低い材質が好ましい。
【0014】
保護膜115a、115bは、高温下でも組成変化を起こさない材質で形成される。つまり、保護膜115a、115bは、相変化膜116が固体相から溶融相へ変化する温度より高い温度においても、組成変化を起こさない材質で形成される。また、保護膜115a、115bは、相変化膜116と相互反応を起こさない材質で形成される。保護膜115a、115bには、Ga、Cr、Alなどの金属酸化物や、窒化物の混合体を用いることができる。薄膜試料107は、例えばスパッタ法にて、基板114上に成膜して形成される。
【0015】
図2に、本発明の一実施形態の光学特性測定装置(光学定数評価装置)を示す。光学定数評価装置101は、光源102、コリメータレンズ103、ピンホール104、偏光ビームスプリッタ105、1/4波長板106、ヒーター108、加熱チャンバー109、集光レンズ110a、110b、フォトダイオード111a、111b、及び、モニタ用フォトダイオード112を有する。光源102は、発散光を出射する。コリメータレンズ103は、光源102の出射光を平行光化する。
【0016】
ピンホール104は、コリメータレンズ103を出射した平行光の一部を通過させ、ピンホール104への入射光よりも径が縮小した測定用ビーム113を出射する。ピンホール104の内径は、測定用ビーム113の照射範囲での相変化膜116(図1)の溶解ばらつきを抑制するため、後述する相変化膜116の溶解領域よりも小さくする。また、光源102の出射パワーについては、測定用ビーム113が薄膜試料107に照射されたときの薄膜試料の昇温量が無視できるほど、低く設定されている。
【0017】
測定用ビーム113は、偏光ビームスプリッタ105を透過し、1/4波長板106を介して、加熱チャンバー109に入射する。加熱チャンバー109は、測定用ビーム113を透過させるための窓を有する。加熱チャンバー109は、内部にヒーター108を有しており、薄膜試料107は、ヒーター108上に設置されている。測定用ビーム113は、薄膜試料107に入射して一部が透過し、一部が反射する。加熱チャンバー109及びヒーター108には、測定用ビーム113の径よりも大きな径の穴が形成されており、薄膜試料107を透過した光は、その穴を通って、加熱チャンバー109の外部に出射する。
【0018】
ここで、ヒーター108の熱源の外径は、薄膜試料107を安定して設置できる範囲で、薄膜試料107よりも小さく設定されている。このようにすることで、薄膜試料107の中心部分と周辺部分とに温度差を与えることができる。ヒーター108は、図2では図示を省略しているが、温度コントローラーに接続されており、図示しない制御部により、薄膜試料107の温度が目標の温度まで上昇又は下降するように制御される。薄膜試料107の劣化を抑制するためには、その温度変化率は、できるだけ大きいことが好ましい。
【0019】
薄膜試料107を透過した光は、加熱チャンバー109を出射し、集光レンズ110aに入射する。集光レンズ110aは、薄膜試料107を透過した光を、フォトダイオード111a上に集光する。フォトダイオード111aは、薄膜試料107を透過した光を検出する。フォトダイオード111aは、薄膜試料107の透過光強度に応じた電気信号を出力する。
【0020】
薄膜試料107で反射した光は、1/4波長板106を測定用ビーム113とは逆向きに通過し、偏光ビームスプリッタ105で反射する。集光レンズ110bは、偏光ビームスプリッタ105で反射した、薄膜試料107からの反射光を、フォトダイオード111b上に集光する。フォトダイオード111bは、薄膜試料107の反射光強度に応じた電気信号を出力する。
【0021】
モニタ用フォトダイオード112は、モニタ光強度に応じた電気信号を出力する。薄膜試料107の透過率は、透過光強度とモニタ光強度との比から得られる。また、薄膜試料107の反射率は、反射光強度とモニタ光強度との比から得られる。あらかじめ、透過率及び反射率が確定している薄膜ミラー等を用いて、透過光強度・モニタ光強度の比と透過率との相関の校正、及び、反射光強度・モニタ光強度の比と反射率との相関の校正を実施しておく。測定した透過率と反射率とから、公知の薄膜解析理論を用いることで、相変化膜の光学定数の解析を行うことができる。
【0022】
図3に、薄膜試料107の断面、及び、加熱時の薄膜試料107の温度分布を示す。ヒーター108により、薄膜試料107を過熱する。薄膜試料107の中心部部分と周辺部分とに温度差が設けられているので、相変化膜116は、温度が融点を超える溶融部117aと、温度が融点より低い非溶融部117bとに分かれる。薄膜試料107に入射する測定用ビーム113(図2)は、溶融部117aの径よりも小さい径とする。逆に言えば、ヒーター108は、測定用ビーム113の径よりも大きな領域を加熱し、測定用ビーム113の径よりも大きな領域を溶融させる。
【0023】
本実施形態では、ヒーター108により、相変化膜116の中心部分と周辺部分とに温度差を与えるように薄膜試料107を加熱し、相変化膜116の測定用ビーム113の径よりも大きな領域を溶融部117aとすると共に、周辺部分を非溶融部117bとする。溶融部117aは、拡散性が高いため、その表面で蒸発や昇華が発生しやすい。本実施形態では、溶融部117aの周辺を非溶融部117bとすることで、図3のXY方向における溶融部117aの蒸発や拡散を抑制できる。従って、本実施形態では、蒸発や昇華に伴う試料の縁からの相変化膜の損失を抑制できる。また、薄膜試料107は、溶融部117aが保護膜115a、115bで挟み込まれているので、この保護膜115a、115bにより、Z方向における溶融部117aの蒸発や昇華を抑制できる。つまり、試料の表面からの相変化膜の損失を抑制できる。その結果、相変化膜の膜厚変化がなくなり、正確な光学特性の測定が可能となる。
【0024】
本実施形態では、ヒーター108による加熱部分を、薄膜試料107よりも小さくして、試料の中心部分と周辺部分とに温度勾配を与えて加熱する。このようにすることで、試料の中心部分を効率的に溶融させることができると共に、溶融部117aの範囲を必要な範囲に狭めることができ、溶融状態に置くことによる相変化膜116の劣化を抑えることができる。また、本実施形態では、保護膜115a、115bを、高温下でも組成が変わらず、かつ、相変化膜116と相互反応を起こさない材質で形成している。このため、溶融部117aと保護膜115a、115bとが相互拡散することがなく、相変化膜116の正確な光学特性の測定が可能である。
【0025】
ここで、ヒーター108を用いずに、レーザ光を相変化膜116に集光して相変化膜116の中心部分を加熱し、中心部分のみを溶融状態とする手法も考えられる。しかし、その場合は、集光レーザーによる加熱のため、加熱範囲が狭められ、温度ばらつき、すなわち、溶融のばらつきが発生し、正確な光学特性の測定は困難である。本実施形態では、熱源であるヒーター108を用いて、測定に用いる測定用ビーム113の径よりも大きな領域を溶融状態にする。このようにすることで、測定用ビーム113を、溶融のばらつきがない状態の溶融部117aに照射することができ、光学特性を正確に測定することができる。
【0026】
なお、薄膜試料107の中心部分と周辺部分とに設定する温度差の最小値は、薄膜試料107の溶融点に対して、約50℃とする。100℃以上の温度差であれば、より好ましい。薄膜試料107を一定速度で加熱する過程において、相変化膜116の融解熱の影響により、相変化膜116の融点と、完全に溶融するまでの温度とには差がある。実測によると、その温度差は約50℃である。薄膜試料107の中心部分が完全に溶融状態に達したとき、周辺部分の温度は融点以下である必要があるので、薄膜試料107の中心部分と周辺部分とに、50℃以上の温度差を設定する。
【0027】
上記温度差を設定するために、薄膜試料107とヒーター108の熱源の径との比を調整する。図4に、熱解析によって得た、ヒーター108の熱源半径と、薄膜試料107の中心部分と周辺部分との温度差との相関の一例を示す。薄膜試料107は円形であり、半径25mm、厚み1mmとする。薄膜試料107の基板としては、ガラス、石英、サファイアの3つを考える。各基板材料について、複数のヒーター108の熱源半径にて、薄膜試料107を室温から加熱していき、中心温度が500℃に到達したときの中心部分と周辺部分との温度差を求めると、図4に示すグラフが得られる。図4に示す熱解析の結果より、50℃以上の温度差を設定するためには、ヒーター108の熱源の半径を、ガラス基板を用いた場合は約24mm以下、石英基板を用いた場合は18mm以下、サファイア基板を用いた場合は15mm以下とすればよいことがわかる。
【0028】
なお、上記実施形態では、図1に示すように、薄膜試料107は、相変化膜116を保護膜115a、115bで挟む構成としたが、相変化膜116に保護膜を積層する構成であれば、その他の構成も可能である。図5に、薄膜試料の別の構成を示す。この薄膜試料118aでは、相変化膜116を基板114の上に直接成膜し、相変化膜116を保護膜115で覆っている。図6に、薄膜試料の更に別の構成を示す。この薄膜試料118bでは、相変化膜116を保護膜115a、115bで挟み、その更に外側に誘電体膜121a、121bを追加している。薄膜試料には、図5に示す薄膜試料118aや、図6に示す薄膜試料118bを用いることもできる。
【0029】
上記実施形態では、ヒーター108の熱源の大きさを薄膜試料107よりも小さくして薄膜試料107の中心部分と周辺部分とに温度差を与えたが、温度差の与え方は、これには限定されない。図7に、試料を加熱する部分の別の構成を示す。図7に示す構成では、ヒーター108と薄膜試料107との間に、中心部分が空洞になった輻射防止板119が追加されている。この場合、輻射防止板119が熱を遮断することで、ヒーター108が発する輻射熱は、空洞となっている薄膜試料107の中心部分だけに到達し、周辺部分には到達しない。これにより、薄膜試料107の中心部分と周辺部分とに温度差を設定できる。輻射防止板119には、例えばTaなどを用いることができる。
【0030】
図8に、薄膜試料107の中心部分と周辺部分とに温度差を与える別の構成を示す。この構成は、薄膜試料107の縁の部分に、リング状のヒートシンク120が取り付けられた構成である。ヒートシンク120の他端は、外部の冷却器と接触している。ヒートシンク120は、熱伝導性の高い材質、例えばCuやAlなどの金属で形成されている。ヒーター108により薄膜試料107を加熱すると、薄膜試料107の周辺部分の熱はヒートシンク120により外部に吸い出される形となるため、このような構成でも、薄膜試料107の中心部分と周辺部分とに温度差を与えることができる。
【0031】
以下、実施例を説明する。図9に、InSb薄膜の透過率と反射率の温度変化を測定したデータを示す図である。また、下記表1に、測定条件を示す。
【表1】

図9に示す測定結果を参照すると、反射率は480℃近傍で階段状に変化し、この近傍がInSbの融点であると推測される。また、溶融前の加熱時の反射率及び透過率と、溶融後の冷却時の反射率及び透過率とは、それぞれほぼ一致している。このことは、相変化膜116の光学定数が、材料の蒸発や昇華による損失を生じることなく、また、相変化膜と保護膜材料とが相互拡散を起こすことなく、正確に測定できていることを示す。
【0032】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の光学特性測定装置及び測定方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の光学特性測定装置に用いる試料を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態の光学特性測定装置を示すブロック図。
【図3】薄膜試料の断面、及び、加熱時の薄膜試料の温度分布を示す図。
【図4】ヒーターの熱源半径と温度差との関係を示すグラフ。
【図5】試料の変形例を示す断面図。
【図6】試料の別の変形例を示す断面図。
【図7】試料を加熱する部分の別の構成を示す断面図。
【図8】試料を加熱する部分の更に別の構成を示す断面図。
【図9】温度と、反射率、透過率との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0034】
101:光学定数評価装置
102:光源
103:コリメータレンズ
104:ピンホール
105:偏光ビームスプリッタ
106:1/4波長板
107:薄膜試料
108:ヒーター
109:加熱チャンバー
110a、110b:集光レンズ
111a、111b:フォトダイオード
112:モニタ用フォトダイオード
113:測定用ビーム
114:基板
115a、115b:保護膜
116:相変化膜
117a:溶融部
117b:非溶融部
118a、118b:薄膜試料
119:輻射防止板
120:ヒートシンク
121a、121b:誘電体膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体相から溶融相に相変化する相変化膜に保護層を積層した薄膜試料に測定用の光を照射し、前記薄膜試料からの反射光及び前記薄膜試料の透過光の少なくとも一方を検出する光学特性測定装置であって、
前記薄膜試料を前記薄膜試料の中心部分と周辺部分とに温度差を与えるように加熱し、前記相変化膜の前記測定用の光の径よりも大きな領域を溶融相に相変化させると共に、前記周辺部分を固定相に保つ加熱部を有する光学特性測定装置。
【請求項2】
前記加熱部は、前記中心部分と周辺部分との温度差が50℃以上となるように、前記薄膜試料を加熱する、請求項1に記載の光学特性測定装置。
【請求項3】
前記加熱部における熱源が、前記薄膜試料よりも小さい、請求項1又は2に記載の光学特性測定装置。
【請求項4】
前記加熱部が、熱源と前記薄膜試料との間に、前記薄膜試料よりも小さい開口を有する輻射防止部を有する、請求項1乃至3の何れか一に記載の光学特性測定装置。
【請求項5】
前記薄膜試料の周辺部分にヒートシンクを更に有する、請求項1乃至4の何れか一に記載の光学特性測定装置。
【請求項6】
固体相から溶融相に相変化する相変化膜に保護層を積層した薄膜試料に測定用の光を照射し、前記薄膜試料からの反射光及び前記薄膜試料の透過光の少なくとも一方を検出する光学特性測定方法であって、
前記薄膜試料を前記薄膜試料の中心部分と周辺部分とに温度差を与えるように加熱し、前記相変化膜の前記測定用の光の径よりも大きな領域を溶融相に相変化させると共に、前記周辺部分を固定相に保つ工程を有する光学特性測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−250915(P2009−250915A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102204(P2008−102204)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】