説明

光学的立体造形用樹脂組成物

【課題】光造形時の収縮が小さく、反りが発生せず、且つ硬化感度、寸法精度、力学的特性、外観に優れる立体造形物を生産性良く製造できる光学的立体造形用樹脂組成物の提供。
【解決手段】(Ia)または(Ib)のジ(メタ)アクリレート化合物を5〜60質量%含有する樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学的立体造形用樹脂組成物、立体造形物およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、光造形時(硬化時)の収縮が小さくて、光造形時に造形物に反りが発生せず、それによって良好な操作性で立体造形物を円滑に製造することができ、しかも活性エネルギー線による硬化感度が高くて短縮された造形時間で、造形精度、寸法精度、力学的特性、外観に優れる光学的立体造形物を円滑に生産性良く製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物、それからなる立体造形物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、三次元CADに入力されたデータに基づいて液状の光硬化性樹脂組成物を立体的に光学造形する方法が、金型などを作製することなく目的とする立体造形物を良好な寸法精度で製造し得ることから、広く採用されるようになっている。
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂の液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御された紫外線レーザーを選択的に照射して所定厚みを硬化させ、ついで該硬化層の上に1層分の液状樹脂を供給し、同様に紫外線レーザーで前記と同様に照射硬化させ、連続した硬化層を得る積層操作を繰り返すことによって最終的に立体造形物を得る方法を挙げることができる。この光学的立体造形方法は、形状のかなり複雑な造形物をも容易に且つ比較的短時間に得ることが出来る。
【0003】
また、近年、スポット状の紫外線レーザー光を用いる上記した従来法に代えて、光源と光硬化性樹脂組成物の表面との間に、微小ドットエリアでの遮光および透光が可能な微小液晶シャッターを多数面状に配置した液晶描画マスク、または複数のデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置したいわゆるDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)よりなる面状描画マスクを経て光硬化性樹脂の液面に光を照射して所定の断面形状パターンの光硬化樹脂層を順次形成する立体造形技術が提案されている。描画マスクを用いる光学的立体造形技術は、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に光を面状で一度に照射して光硬化した断面形状パターンを面状で一度に形成することができるため、スポット状の紫外線レーザーを用いる点描方式に比べて光造形速度を大幅に向上させることが可能である。
【0004】
光学的造形に用いる樹脂組成物に対しては、低粘度で造形時の取り扱い性が良好であり、保存安定性に優れ、活性エネルギー線による硬化感度が高く、硬化物の力学的特性に優れることが求められ、それと共に、硬化時の体積収縮率が小さくて、寸法精度および寸法安定性に優れる立体造形物を良好な操作性で製造し得ることが求められている。
光学的造形用の樹脂組成物としては、従来、アクリレート系光硬化性樹脂組成物、ウレタンアクリレート系光硬化性樹脂組成物、エポキシ系光硬化性樹脂組成物、エポキシアクリレート系光硬化性樹脂組成物、ビニルエーテル系光硬化性樹脂組成物が提案され用いられてきた。
【0005】
上記した光硬化性樹脂組成物の中で、アクリレート系光硬化性樹脂組成物は、光造形物の用途に応じた様々な分子構造のデザインが可能であり、反応性が高く、硬化後の色相も良好なため光学的立体造形に広く用いられている。しかしながら、一般的にアクリレート系光硬化性樹脂組成物は、光硬化による収縮率が7〜10%と高いため、光造形中に硬化物に“反り”が発生し易い。光造形時に造形途中の造形物に反りが発生すると、例えば、造形物の反り部分が光硬化性樹脂組成物よりなる液状の造形表面から外方に突出してしまい、液状の光硬化性樹脂組成物の表面上を移動して造形表面を平坦化するための装置(リコーターなど)がその突出した部分に衝突して当該装置が停止し、以後の光造形操作が行えなくなるなどのトラブルが発生し易くなる。また、造形物における収縮率の大きな光硬化性樹脂組成物を用いて光造形を行うと、得られる立体造形物の寸法精度、造形精度、外観が不良になり、目的どおりの立体造形物が得られなくなる。
アクリレート系光硬化性樹脂組成物を光造形に用いた場合に生ずる前記した問題を解消して、造形時の収縮率の低減や反りの発生防止などを図った従来技術としては、立体障害を持ったジオール化合物のウレタンアクリレートを含有する光硬化性樹脂組成物が知られている(特許文献1を参照)。
しかしながら、当該従来技術による場合は、光造形時の収縮の低減および反りの発生防止効果が未だ不十分であった。
【0006】
【特許文献1】特開平8−27236号公報
【特許文献2】特許第3789974号公報
【非特許文献1】ポール・エフ・ヤコブ(Paul F. Jacobs)著、「Rapid Prototyping & Manufacturing, Fundamentals of Stereo-Lithography」,“Society of Manufacturing Engineers”,1992年,p28−39
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、光造形時の収縮率(硬化時の体積収縮率)が小さくて、光造形中に造形物に反りが発生せず、それによって、光造形操作を、装置の停止などを生ずることなく円滑に生産性良く実施することができ、しかも寸法精度、造形精度に優れる立体造形物を円滑に製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物を提供することである。
さらに、本発明の目的は、上記した特性と併せて、活性エネルギー線による硬化感度が高くて短縮された活性エネルギー線照射時間で立体造形物を製造することができ、粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れ、貯蔵時の経時安定性に優れ、しかも力学的特性、耐水性などに優れる立体造形物を製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物を提供することである。
そして、本発明の目的は、そのような光学的立体造形用樹脂組成物よりなる立体造形物およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、p−メンタンにシクロヘキシレン基を介して2個の(メタ)アクリロイルオキシ基が結合した特定のジ(メタ)アクリレート化合物を光学的立体造形用樹脂組成物中に所定の量で含有させると、光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率(光造形時の体積収縮率)が小さくなり、それによって造形途中の造形物に反りが発生しなくなって、造形操作が中断されるなどのトラブルがなくなり、寸法安定性および造形精度に優れる造形物を良好な光造形操作性で円滑に生産性良く製造できることを見出した。
また、本発明者らは、p−メンタンにシクロヘキシレン基を介して2個の(メタ)アクリロイルオキシ基が結合した前記特定のジ(メタ)アクリレート化合物を含有する光学的立体造形用樹脂組成物は、活性エネルギー線による硬化感度が高くて、短縮された活性エネルギー線照射時間で立体造形物を製造できること、粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れること、貯蔵時の経時安定性に優れていて長期間保存できること、しかも当該光学的立体造形用樹脂組成物を用いて形成した光造形物は力学的特性、耐水性などにも優れることを見出した。
【0009】
また、本発明者らは、p−メンタンにシクロヘキシレン基を介して2個の(メタ)アクリロイルオキシ基が結合した前記特定のジ(メタ)アクリレート化合物を含有する光学的立体造形用樹脂組成物では、当該ジ(メタ)アクリレート化合物と共に他のラジカル重合性有機化合物を含有させるか、または他のラジカル重合性有機化合物とカチオン重合性有機化合物を含有させると、光硬化時の収縮を低減しながら、光学的立体造形用樹脂組成物の硬化感度、解像度、造形精度、寸法精度、硬化物の力学的特性などの向上、光造形物の用途などに応じた各種物性の調整が可能であることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1) 下記の一般式(Ia)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)および下記の一般式(Ib)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)から選ばれる少なくとも1種のジ(メタ)アクリレート化合物(I)を、5〜60質量%の割合で含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物である。
【0011】
【化3】


(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
【0012】
そして、本発明は、
(2) 上記のジ(メタ)アクリレート化合物(I)、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物およびエネルギー線感受性ラジカル重合開始剤を含有する前記(1)の光学的立体造形用樹脂組成物;
(3) 上記のジ(メタ)アクリレート化合物(I)、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤および活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有する前記(1)または(2)の光学的立体造形用樹脂組成物;および、
(4) 上記のジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)が、下記の一般式(Ia−1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ia−1)であり、ジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)が下記の一般式(Ib−1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ib−1)である前記(1)〜(3)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物である。
【0013】
【化4】


(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
【0014】
さらに、本発明は、
(5) 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、上記のジ(メタ)アクリレート化合物(I)の含有量が5〜60質量%、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物の含有量が40〜94質量%および活性エネルギー線ラジカル重合開始剤の含有量が1〜10質量%である前記(1)、(2)および(4)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
(6) 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、上記のジ(メタ)アクリレート化合物(I)の含有量が5〜40質量%、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物の含有量が5〜40質量%、カチオン重合性有機化合物の含有量が10〜60質量%、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤の含有量が1〜10質量%および活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の含有量が1〜10質量%である前記(1)、(3)および(4)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
(7) ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物が、主にエチレン性不飽和化合物である前記(2)〜(6)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;および、
(8) カチオン重合性有機化合物が、主にエポキシ化合物および/またはオキセタン化合物である前記(3)、(4)、(6)および(7)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
である。
【0015】
そして、本発明は、
(9) 前記(1)〜(8)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物を用いて形成した立体造形物;および、
(10) 前記(1)〜(8)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物を用いて造形面を形成し、該造形面に活性エネルギー線を照射して所定の形状パターンを有する硬化樹脂層を形成させた後、該硬化樹脂層の上に前記光学的立体造形用樹脂組成物を施して造形面を形成し、その造形面に活性エネルギー線を照射して所定の形状パターンを有する硬化樹脂層を形成する造形操作を繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法;
である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光硬化時の収縮率(光造形時の体積収縮率)が小さいため、光造形中に造形物の反りが発生せず、それによって装置の不意の停止などのトラブルを生ずることなく、良好な光造形操作で立体造形物を円滑に生産性良く製造することができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物から得られる光造形物は、硬化時の体積収縮率が小さいために、寸法精度および外観に優れている。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、活性エネルギー線による硬化感度が高くて、短縮された活性エネルギー線照射時間で立体造形物を製造でき、粘度が低くて光造形時の取り扱い性に優れており、貯蔵時の経時安定性に優れていて長期間保存することができ、しかも本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて形成した光造形物は力学的特性、耐水性などに優れている。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物のうちでも、上記のジ(メタ)アクリレート化合物(I)と共に他のラジカル重合性有機化合物および活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物、および上記のジ(メタ)アクリレート化合物(I)と共に他のラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤および活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物は、光造形時の体積収縮率の低減を図りながら、硬化感度、解像度、造形精度、寸法精度、硬化物の力学的特性などの向上、光造形物の用途などに応じた各種物性の調整が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、下記の一般式(Ia)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)および下記の一般式(Ib)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)から選ばれる少なくとも1種のジ(メタ)アクリレート化合物(I)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、5〜60質量%の割合で含有している。
【0018】
【化5】


(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
【0019】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、ジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)およびジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)から選ばれる少なくとも1種のジ(メタ)アクリレート化合物(I)を、前記した5〜60質量%の割合で含有していることにより、光硬化時(光造形時)の体積収縮率が小さく、造形物における反り、変形などの発生を防止して、光造形操作の停止などを生ずることなく、造形物を生産性良く製造することができ、しかも得られる造形物の寸法精度、外観などが良好になる。
ジ(メタ)アクリレート化合物(I)の含有量が前記範囲よりも少ないと、光硬化時(光造形時)の体積収縮率が小さくならず、光造形時に反り、変形などが生じ易くなり、それによって光造形操作の停止による生産性の低下、得られる造形物の寸法精度、外観の不良などが生じ易くなる。一方、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)の含有量が前記範囲よりも多いと、光学的立体造形用樹脂組成物の粘度が高くなり、造形速度の低下、造形時の取り扱い性の低下などを生ずる。
ジ(メタ)アクリレート化合物(I)の含有量は、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、5〜40質量%であることが好ましい。
【0020】
上記の一般式(Ia)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)および上記の一般式(Ib)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)は、p−メンタンにp−シクロヘキシレン基を介して2個の(メタ)アクリレート基が結合した化合物であり、一般的には、(p−メンタジイル)ジシクロヘキシルジ(メタ)アクリレートと称されている。ここで、“(p−メンタジイル)”とは、p−メンタンにシクロヘキサン環が2個結合していることを意味する慣用名である。
上記の一般式(Ia)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)および上記の一般式(Ib)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)において、Rは水素原子またはメチル基である。そのうちでも、2個のRが共に水素原子であることが、ジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)およびジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)の反応性が高く、光造形速度を高くできる点から好ましい。
【0021】
ジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)では、2個の(メタ)アクリロイルオキシ基[CH2=C(R)−COO−]のそれぞれが、p−シクロヘキシレン基を介して、p−メンタンのシクロヘキサン環を形成している6個の炭素原子のうちのいずれか2個の炭素原子に結合している。
そのうちでも、ジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)としては、2個の(メタ)アクリロイルオキシ基が、それぞれp−シクロヘキシレン基を介して、p−メンタンにおける1位と3位の炭素原子に結合している下記の一般式(Ia−1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ia−1)が、合成の容易性、入手容易性、貯蔵安定性などの点から好ましく用いられる。
【0022】
【化6】


(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
【0023】
また、ジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)では、2個の(メタ)アクリロイルオキシ基のうちの、1個の(メタ)アクリロイルオキシ基[CH2=C(R)−COO−]が、p−シクロヘキシレン基を介して、p−メンタンのシクロヘキサン環を形成している6個の炭素原子のうちのいずれか1個の炭素原子に結合し、もう一方の(メタ)アクリロイルオキシ基[CH2=C(R)−COO−]が、p−シクロヘキシレン基を介して、p−メンタン中のイソプロピル基の炭素原子(8位の炭素原子)に結合している。
そのうちでも、ジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)としては、1個の(メタ)アクリロイルオキシ基が、p−シクロヘキシレン基を介して、p−メンタンの2位の炭素原子に結合し、もう一方の(メタ)アクリロイルオキシ基が、p−シクロヘキシレン基を介して、p−メンタンにおける8位の炭素原子に結合している、下記の一般式(Ib−1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ib−1)であることが、合成の容易性、入手容易性、貯蔵安定性などの点から好ましい。
【0024】
【化7】


(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
【0025】
特に、本発明では、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)として、前記したジ(メタ)アクリレート化合物(Ia−1)とジ(メタ)アクリレート化合物(Ib−1)の混合物、そのうちでも[ジ(メタ)アクリレート化合物(Ia−1)]:[ジ(メタ)アクリレート化合物(Ib−1)]の質量比が65:35〜75:25である混合物が、製造の容易性、入手容易性、貯蔵安定性などの点から好ましく用いられる。
【0026】
本発明で使用するジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)およびジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)の製法は特に制限されない。
ジ(メタ)アクリレート化合物(Ia−1)は、例えば、原料である下記の一般式(IIa)で表される化合物(IIa)、すなわちp−メンタン中のシクロヘキサン環を形成する6個の炭素原子のうちの2個の炭素原子にp−ヒドロキシシクロヘキシル基がそれぞれ結合した化合物(IIa)に、有機溶媒(例えばp−キシレン、トルエンなど)中で、(メタ)アクリル酸を添加してエステル化するか、または(メタ)アクリル酸メチルを添加してエステル交換して、化合物(IIa)中の2個の水酸基を(メタ)アクリロイルオキシ基に変換することによって製造することができる。
また、ジ(メタ)アクリレート化合物(Ib−1)は、例えば、原料である下記の一般式(IIb)で表される化合物(IIb)、すなわちp−メンタン中のシクロヘキサン環を形成する6個の炭素原子のうちの1個の炭素原子にp−ヒドロキシシクロヘキシル基が結合し、p−メンタンの8位の炭素原子に1個のp−ヒドロキシシクロヘキシル基が結合し化合物(IIb)に、有機溶媒(例えばp−キシレン、トルエンなど)中で、(メタ)アクリル酸を添加してエステル化するか、または(メタ)アクリル酸メチルを添加してエステル交換して、化合物(IIb)中の2個の水酸基を(メタ)アクリロイルオキシ基に変換することによって製造することができる。
【0027】
【化8】

【0028】
化合物(IIa)、化合物(IIb)に(メタ)アクリル酸を添加してエステル化反応させてジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)、ジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)を製造するに当たっては、化合物(IIa)および化合物(IIb)1モルに対して、酸触媒(p−トルエンスルホン酸など)を0〜0.1モルの割合で用い、(メタ)アクリル酸を2〜3モルの割合で添加して80〜120℃で反応を行うことが好ましい。
また、化合物(IIa)、化合物(IIb)に(メタ)アクリル酸メチルを添加してエステル交換反応させてジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)、ジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)を製造するに当たっては、化合物(IIa)、化合物(IIb)1モルに対して、アルカリ触媒(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)を0〜0.1モルの割合で用い、(メタ)アクリル酸メチルを2〜3モルの割合で添加して60〜100℃で反応を行うことが好ましい。
【0029】
原料化合物である化合物(IIa)および化合物(IIb)は、下記の一般式(IIIa)および(IIIb)で表される、p−メンタンに2個のフェノール基が結合した化合物を、水素化することによって製造することができる。
【0030】
【化9】

【0031】
化合物(IIa)および化合物(IIb)、並びにジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)およびジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)は、いずれも公知の化合物であり(特許文献2を参照)、実際の製造に当たっては、特許文献2に記載されている方法などに準じて製造することができる。
特許文献2中の試験例2には、2,8−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−p−メンタンにメタクリル酸メチルを反応させて得られたジメタクリレート体[ジ(メタ)アクリレート化合物(Ib−1)に相当する化合物]を用いたレジスト用の光硬化性樹脂組成物が記載されているが、特許文献2には、当該ジメタクリレート体を含有する光硬化性樹脂組成物を立体造形物を製造するための光学的立体造形用樹脂組成物として用いることは記載されておらず、そのため当該ジメタクリレート体が、光学的立体造形用樹脂組成物における体積収縮率を小さくする作用を有することは全く記載されていない。
【0032】
ジ(メタ)アクリレート化合物(I)は、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(以下単に「ラジカル重合開始剤」という)の存在下に活性エネルギー線を照射したときに、重合反応および/または架橋反応を生ずるので、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物には、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)と共にラジカル重合開始剤を含有させる。
なお、本明細書でいう「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などのような光学的立体造形用樹脂組成物を硬化させ得るエネルギー線をいう。
【0033】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)を5〜60質量%の割合で含有し且つラジカル重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物であればいずれでもよく、他の成分の種類や含有量は特に制限されず、製造しようとする立体造形物の種類や用途などに応じて、他の成分を選択して組み合わせて使用することができる。
そのうちでも、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物およびエネルギー線感受性ラジカル重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物[以下これを「光学的立体造形用樹脂組成物(A)」ということがある]であるか、またはジ(メタ)アクリレート化合物(I)、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤および活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物[以下これを「光学的立体造形用樹脂組成物(B)」ということがある]であることが好ましい。
そのような組成にすることによって、光硬化時(光造形時)の体積収縮率を低く抑えることができると共に、硬化感度、解像度、造形精度、力学的特性などの向上、光造形物の用途などに応じた各種物性の調整などを円滑に行うことが可能になる。
【0034】
上記した本発明の光学的立体造形用樹脂組成物(A)および光学的立体造形用樹脂組成物(B)で用いるジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物としては、ラジカル重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外の他のラジカル重合性有機化合物のいずれもが使用できる。
他のラジカル重合性有機化合物の代表例としては、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外の(メタ)アクリレート系化合物、不飽和ポリエステル化合物などを挙げることができ、これらのエチレン性不飽和化合物の1種または2種以上を用いることができる。
そのうちでも、他のラジカル重合性有機化合物としては、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外の、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリル基を有する化合物が好ましく用いられ、具体例としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0035】
他のラジカル重合性有機化合物として用い得る上記したエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物および/または脂肪族エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート系反応生成物を挙げることができる。そのうちでも、芳香族エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート系反応生成物が好ましく用いられ、具体例としては、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノール化合物またはそのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリンなどのエポキシ化剤との反応によって得られるグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート系反応生成物などを挙げることができる。
【0036】
また、他のラジカル重合性有機化合物として用い得る上記したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子中に少なくとも1個の水酸基をもつ芳香族アルコール、脂肪族アルコール、上記した化合物(IIa)および(IIb)以外の脂環族アルコールおよび/またはそれらのアルキレンオキサイド付加体と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0037】
より具体的には、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートやその他のジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、前記したジオール、トリオール、テトラオール、ヘキサオールなどの多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレートなどを挙げることができる。
そのうちでも、アルコール類の(メタ)アクリレートとしては、上記した化合物(IIa)および(IIb)以外の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応により得られる1分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレート、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートなどが好ましく用いられる。
また、前記した(メタ)アクリレート化合物のうちで、メタクリレート化合物よりも、アクリレート化合物が重合速度の点から好ましく用いられる。
【0038】
さらに、ラジカル重合性有機化合物として用い得る上記したポリエステル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸との反応により得られるポリエステル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、上記したポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエーテルとアクリル酸との反応により得られるポリエーテルアクリレートを挙げることができる。
【0039】
上記したうちでも、本発明では、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外の他のラジカル重合性有機化合物として、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート(例えば、昭和高分子社製「VR−77」)、イソボルニルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレートが、反応性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられる
【0040】
また、上記した本発明の光学的立体造形用樹脂組成物(B)で用いるカチオン重合性有機化合物としては、カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状エーテル化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。本発明の光学的立体造形用樹脂組成物(B)はこれらのカチオン重合性有機化合物のうちの1種または2種以上を含有することができる。
【0041】
より具体的には、光学的立体造形用樹脂組成物(B)が含有し得るカチオン重合性有機化合物の例としては、
(1)脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂などのエポキシ化合物;
(2)オキセタン化合物、テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフランのようなオキソラン化合物、トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタンのような環状エーテルまたは環状アセタール化合物;
(3)β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトンなどの環状ラクトン化合物;
(4)エチレンスルフィド、チオエピクロロヒドリンなどのチイラン化合物;
(5)1,3−プロピンスルフィド、3,3−ジメチルチエタンなどのチエタン化合物;
(6)エチレングリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、3,4−ジヒドロピラン−2−メチル(3,4−ジヒドロピラン−2−カルボキシレート)、トリエチレングリコールジビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;
(7)エポキシ化合物とラクトンの反応によって得られるスピロオルソエステル化合物;
(8)ビニルシクロヘキサン、イソブチレン、ポリブタジエンのようなエチレン性不飽和化合物;
などを挙げることができる。
【0042】
上記した中でも、本発明では、カチオン重合性有機化合物として、エポキシ化合物およびオキセタン化合物のうちの1種または2種以上が好ましく用いられ、エポキシ化合物としては特に1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物がより好ましく用いられる。
カチオン重合性有機化合物として好ましく用いられるエポキシ化合物としては、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物などを挙げることができる。
【0043】
前記した脂環族エポキシ化合物としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールZジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルまたはトリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル、少なくとも1個の脂環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、シクロヘキセン環またはシクロペンテン環含有化合物を過酸化水素や過酸などの適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどを挙げることができる。
【0044】
また、上記した脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステルなどを挙げることができる。より具体的には、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。
【0045】
また、上記した芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができ、具体的には、例えばビスフェノールAやビスフェノールFまたはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
本発明では、カチオン重合性有機化合物として、上記した脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物および芳香族エポキシ化合物の1種または2種以上を用いることができる。
【0046】
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物(B)においてカチオン重合性有機化合物として好ましく用いられるオキセタン化合物は、モノオキセタン化合物およびポリオキセタン化合物のいずれであってもよい。
モノオキセタン化合物としては、例えばトリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−メチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、下記の一般式(IV);
【0047】
【化10】


(式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基およびR2はエーテル結合を有していてもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示す。)
で表されるオキセタンモノアルコール化合物[具体例としては、3−エチル−3−(4−ヒドロキシブチル)オキシメチル−オキセタン、3−エチル−3−(5−ヒドロキシペンチル)オキシメチル−オキセタン、3−エチル−3−(3−ヒドロキシn−プロピル)オキシメチル−オキセタンなど]、下記の一般式(V);
【0048】
【化11】


(式中、R3はアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、nは1〜6の整数を示す。)
で表されるオキセタンモノアルコール化合物[具体例としては3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタンなど]などを挙げることができる。
【0049】
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物で用い得るポリオキセタン化合物としては、下記の一般式(VI);
【0050】
【化12】


(式中、2個のR4は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R5は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基、pは0または1を示す。)
で表されるジオキセタン化合物、具体的には、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]シクロヘキサン、ビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−プロピル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−ブチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどを挙げることができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物(B)は、前記したモノオキセタン化合物およびポリオキセタン化合物の1種または2種以上を含有することができる。
【0051】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物では、ラジカル重合開始剤として、活性エネルギー線を照射したときにラジカル重合性有機化合物のラジカル重合を開始させ得る重合開始剤のいずれもが使用でき、例えば、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物、フェニルケトン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインまたはそのアルキルエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物などを挙げることができる。
【0052】
ラジカル重合開始剤として用い得るベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物の具体例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを挙げることができる。
フェニルケトン系化合物としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができる。
また、アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノンなどを挙げることができる。
【0053】
そして、ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどを挙げることができる。
また、ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノンなどを挙げることができる。
そして、チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。
【0054】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物では、上記したラジカル重合開始剤の1種または2種以上を使用することができる。そのうちでも、ラジカル重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア184」など)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(同社製「イルガキュア651」など)が、得られる硬化物の色相が良好(黄色度が小さいなど)である点から好ましく用いられる。
【0055】
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物(B)で用いるカチオン重合開始剤としては、活性エネルギー線を照射したときにカチオン重合性有機化合物のカチオン重合を開始させ得る重合開始剤であればいずれでもよく、活性エネルギー線を照射したときにルイス酸を放出するオニウム塩が好ましく用いられる。そのようなオニウム塩の例としては、第VIIa族元素の芳香族スルホニウム塩、VIa族元素の芳香族オニウム塩、第Va族元素の芳香族オニウム塩などを挙げることができる。具体的には、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロホウ酸トリフェニルフェナシルホスホニウム、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジ4’−ヒドロキシエトキシフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロホウ酸ジフェニルヨードニウムなどを挙げることができる。
本発明では、上記したようなカチオン重合開始剤のうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、本発明では芳香族スルホニウム塩がより好ましく用いられる。
また、本発明では、反応速度を向上させる目的で、カチオン重合開始剤と共に必要に応じて光増感剤、例えばベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、チオキサントンなどを用いてもよい。
【0056】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)、他のラジカル重合性有機化合物およびラジカル重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物(A)である場合には、各成分の含有量は、成分の種類、光造形物の用途などに応じて異なり得るが、一般的には、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)の含有量が5〜60質量%、そのうちでも8〜55質量%、特に10〜50質量%、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物の含有量が40〜94質量%、そのうちでも45〜90質量%、特に50〜87質量%、およびラジカル重合開始剤の含有量が1〜10質量%、そのうちでも2〜8質量%、特に3〜5質量%であることが好ましい。
また、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物が、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)、他のラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、ラジカル重合開始剤およびカチオン重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物(B)である場合には、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)の含有量が5〜40質量%、そのうちでも8〜35質量%、特に10〜30質量%、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物の含有量が5〜40質量%、そのうちでも8〜35質量%、特に10〜30質量%、カチオン重合性有機化合物の含有量が10〜60質量%、そのうちでも20〜60質量%、特に30〜60質量%、ラジカル重合開始剤の含有量が1〜10質量%、そのうちでも2〜8質量%、特に3〜5質量%、およびカチオン重合開始剤の含有量が1〜10質量%、そのうちでも2〜8質量%、特に3〜5質量%であることが好ましい。
【0057】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、顔料や染料等の着色剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤(架橋ポリマー粒子、シリカ、ガラス粉、セラミックス粉、金属粉等)、改質用樹脂などの1種または2種以上を適量含有していてもよい。
【0058】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光学的に立体造形を行うに当たっては、従来既知の光学的立体造形方法および装置のいずれもが使用できる。好ましく採用され得る光学的立体造形法の代表例としては、液状をなす本発明の光学的立体造形用樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように活性エネルギー線を選択的に照射して硬化層を形成し、次いでこの硬化層に未硬化の液状光学的立体造形用樹脂組成物を供給し、同様に活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する積層操作を繰り返すことによって最終的に目的とする立体的造形物を得る方法を挙げることができる。
その際の活性エネルギー線としては、上述のように、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができる。そのうちでも、300〜400nmの波長を有する紫外線が経済的な観点から好ましく用いられ、その際の光源としては、紫外線レーザー(例えば半導体励起固体レーザー、Arレーザー、He−Cdレーザーなど)、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED(発光ダイオード)、紫外線蛍光灯などを使用することができる。
【0059】
光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面に活性エネルギー線を照射して所定の形状パターンを有する各硬化樹脂層を形成するに当たっては、レーザー光などのような点状に絞られた活性エネルギー線を使用して点描または線描方式で硬化樹脂層を形成してもよいし、または液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッター(DMD)などのような微小光シャッターを複数配列して形成した面状描画マスクを通して造形面に活性エネルギー線を面状に照射して硬化樹脂層を形成させる造形方式を採用してもよい。
【0060】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光学的立体造形分野に幅広く用いることができ、何ら限定されるものではないが、代表的な応用分野としては、設計の途中で外観デザインを検証するための形状確認モデル、部品の機能性をチェックするための機能試験モデル、鋳型を制作するためのマスターモデル、金型を制作するためのマスターモデル、試作金型用の直接型などを挙げることできる。特に、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、精密な部品などの形状確認モデルや機能試験モデルの作製に威力を発揮する。より具体的には、例えば、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物などのモデル、母型、加工用などの用途に有効に用いることができる。
【実施例】
【0061】
以下に本発明を実施例などによって具体的に説明するが、本発明は例に何ら限定されるものではない。以下の例中、「部」は質量部を意味する。
また、以下の例中、光学的立体造形用樹脂組成物(以下「光造形用樹脂組成物」ということがある)の粘度、硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)、収縮率(体積収縮率)の測定、並びに光造形して得られた光造形物の力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、降伏強度、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)]、表面硬度および熱変形温度の測定または算出は、次のようにして行なった。
【0062】
(1)光造形用樹脂組成物の粘度:
光造形用樹脂組成物を25℃の恒温槽に入れて、光造形用樹脂組成物の温度を25℃に調節した後、B型粘度計(株式会社東京計器製)を使用して測定した。
【0063】
(2)光造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)及び作業硬化エネルギー(E10):
実施例1〜6および比較例1〜3の光造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)及び作業硬化エネルギー(E10)は、以下の(2−i)の方法で測定し、実施例7および比較例4の光造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)及び作業硬化エネルギー(E10)は以下の(2−ii)の方法で測定した。
(2−i) 非特許文献1に記載されている理論にしたがって測定した。具体的には、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面(液面)に、超高圧水銀ランプ(波長域340〜380nmの紫外光、エネルギー強度2mW/cm2)からの光を照射して1層分の光硬化膜を形成させた。この操作を、硬化膜の形成時の光照射時間を1〜5秒の間で、例えば、1秒、2秒、3秒、4秒よび5秒と5段階に変化させることによって造形面への照射エネルギー量を変え、各照射エネルギー量により生成した光硬化膜を光硬化性樹脂組成物液から取り出して、未硬化樹脂を取り除き、各硬化膜の厚さを定圧ノギスで測定し、光硬化膜の厚さをY軸、照射エネルギー量をX軸としてプロットし、プロットして得られた直線の傾きから硬化深度を求めると共にX軸の切片を臨界硬化エネルギー[Ec(mJ/cm2)]とし、0.25mmの厚さに硬化させるのに必要な露光エネルギー量を作業硬化エネルギー(E10/mJ/cm2)とした。
(2−ii) 非特許文献1に記載されている理論にしたがって測定した。具体的には、光造形用樹脂組成物よりなる造形面(液面)に、半導体励起固体レーザのレーザ光(波長355nmの紫外光、液面レーザ強度100mW)を、照射スピードを6段階変化(照射エネルギー量を6段階変化)させて照射して光硬化膜を形成させた。生成した光硬化膜を光硬化性樹脂組成物液から取り出して、未硬化樹脂を取り除き、6段階のエネルギーに対応する部分の硬化膜の厚さを定圧のノギスで測定した。光硬化膜の厚さをY軸、照射エネルギー量をX軸(対数軸)としてプロットし、プロットして得られた直線の傾きから硬化深度[Dp(mm)]を求めると共に、X軸の切片を臨界硬化エネルギー[Ec(mJ/cm2)]とし、0.25mmの厚さに硬化させるのに必要な露光エネルギー量を作業硬化エネルギー[(E10/(mJ/cm2)]とした。
【0064】
(3)収縮率:
光硬化させる前の光造形用樹脂組成物(液体)の比重(d0)と、光硬化して得られた光硬化物の比重(d1)から、下記の数式により収縮率を求めた。

収縮率(%)={(d1−d0)/d1}×100

その際に、光硬化させる前の光造形用樹脂組成物(液体)の比重(d0)は温度25℃で比重ビンを使用して測定した。また、光硬化して得られた光硬化物(造形物)の比重(d1)は温度25℃で、JIS Z8807に従って、液中で秤量する方法を採用し、ミラージュ貿易株式会社の「電子比重計SD−120L」を使用して測定した。
【0065】
(4)光造形物の引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を用いて、JIS K−7113にしたがって、試験片の引張破断強度(引張強度)、引張破断伸度(引張伸度)および引張弾性率を測定した。
【0066】
(5)光造形物の降伏強度:
上記(3)の引張り特性の試験において、光造形物が弾性から塑性に移る点における強度を降伏強度とした。
【0067】
(6)光造形物の曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を用いて、JIS K−7171にしたがって、試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
【0068】
(7)造形後の表面硬度:
以下の実施例および比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を用いて、高分子計器社製の「アスカーD型硬度計」を使用して、JIS K−6253に準拠して、デュロメーター法により試験片(光造形物を製造して4日後)の表面硬度を測定した。
【0069】
(8)光造形物の熱変形温度:
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を使用し、東洋精機社製「HDTテスタ6M−2」を使用して、試験片に1.81MPaの荷重を加えて、JIS K−7207(A法)に準拠して、試験片の熱変形温度を測定した。
【0070】
《実施例1》
(1) (p−メンタジイル)ジシクロヘキシルジアクリレート[上記の一般式(Ia−1)でRが水素原子であるジアクリレート化合物(Ia−1)と一般式(Ib−1)でRが水素原子であるジアクリレート化合物(Ib−1)の70:30(モル比)の混合物](ヤスハラケミカル株式会社製「A−HYP」]50部、トリシクロデカンジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−DCP」)50部およびラジカル重合開始剤(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)5部を室温下でよく混合して光造形用樹脂組成物を調製した。
この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表1に示すとおりであった。
【0071】
(2) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法[上記(2−i)の方法]で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 光源として超高圧水銀ランプ(120W、岩崎電気株式会社製)を備え、面状描画マスクとしてエプソン社製のTFT方式VGA(640×480画素)の液晶を備える光造形装置(シーメット株式会社製「LE3000」)を使用し、上記(1)で得られた光硬化性樹脂組成物を用いて、造形面(光硬化性樹脂組成物の表面)への投影サイズ=35mm(装置の進行方向)×47mm(進行方向と直角の方向)(方形)、造形面での光エネルギー強度2mW/cm2の条件下に、光源、集光レンズ、面状描画マスクおよび投影レンズを一体にして約7mm/秒の速度で造形面に対して平行に進行方向に連続移動させ、その際に液晶よりなる面状描画マスクのマスク画像を形成しようとする断面形状パターンに応じて面状描画マスクの画像パターンを動画的に連続的に変えながら、積層厚み0.1mmで光照射して光造形を行なって、引張り特性測定のためのJIS K−7113に準拠したダンベル形状の立体造形物および曲げ特性測定のためのJIS K−7171に準拠したバー形状の立体造形物を作製した。この光造形操作において、光硬化層各部での照射時間は5秒、該各部での光照射量は8〜15mJであった。得られた試験片を用いて、JIS K−7113およびJIS K−7171に準拠して、その引張り特性、曲げ特性、表面硬度および熱変形温度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0072】
《実施例2〜4および比較例1》
(1) 実施例1の(1)において、(p−メンタジイル)ジシクロヘキシルジアクリレートおよびトリシクロデカンジアクリレートの使用量を下記の表1に量に変えた以外は実施例1の(1)と同じように行って、実施例2〜4および比較例1の光造形用樹脂組成物をそれぞれ調製した。これらの光造形用樹脂組成物の粘度上記した方法で測定したところ下記の表1に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られたそれぞれの光造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法[上記(2−i)の方法]で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られたそれぞれの光造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
上記表1にみるように、実施例1〜4の光学的立体造形用樹脂組成物は、(p−メンタンジイル)シクロヘキシルジアクリレートを、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて5〜60質量%の割合で含有することにより、(p−メンタンジイル)シクロヘキシルジアクリレートを含有しない比較例1の光学的立体造形用樹脂組成物に比べて、収縮率が小さく、光硬化による体積収縮が少ない。
【0075】
《実施例5》
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じ(p−メンタジイル)ジシクロヘキシルジアクリレート15部、トリシクロデカンジアクリレート15部、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド4モル付加物のテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製「ATM−4E」)50部、ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物のジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−BPE−4」)20部およびラジカル重合開始剤(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)5部を室温下でよく混合して光造形用樹脂組成物を調製した。
この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表2に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法[上記(2−i)の方法]で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表2に示す。
【0076】
《比較例2》
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じトリシクロデカンジアクリレート30部、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド4モル付加物のテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製「ATM−4E」)50部、ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物のジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−BPE−4」)20部およびラジカル重合開始剤(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)5部を室温下でよく混合して光造形用樹脂組成物を調製した。
この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表2に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法[上記(2−i)の方法]で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表2に示す。
【0077】
【表2】

【0078】
上記表2にみるように、実施例5の光学的立体造形用樹脂組成物は、(p−メンタンジイル)シクロヘキシルジアクリレートを、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて5〜60質量%の範囲で含有することにより、(p−メンタンジイル)シクロヘキシルジアクリレートを含有しない比較例2の光学的立体造形用樹脂組成物に比べて、収縮率が小さく、光硬化による体積収縮が少ない。
【0079】
《実施例6》
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じ(p−メンタジイル)ジシクロヘキシルジアクリレート10部、トリシクロデカンジアクリレート10部、ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物のジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−BPE−4」)20部、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製「IBXA」)30部、アクリロイルモルフォリン(新中村化学工業株式会社製「A−Mo」)15部、ウレタンアクリレート化合物(新中村化学工業株式会社製「U8−231」)35部およびラジカル重合開始剤(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)5部を室温下でよく混合して光造形用樹脂組成物を調製した。
この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表3に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法[上記(2−i)の方法]で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表3に示す。
【0080】
《比較例3》
(1) トリシクロデカンジアクリレート20部、ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物のジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−BPE−4」)20部、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製「IBXA」)30部、アクリロイルモルフォリン(新中村化学工業株式会社製「A−Mo」)15部、ウレタンアクリレート化合物(新中村化学工業株式会社製「U8−231」)35部およびラジカル重合開始剤(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)5部を室温下でよく混合して光造形用樹脂組成物を調製した。
この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表3に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法[上記(2−i)の方法]で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表3に示す。
【0081】
【表3】

【0082】
上記表3にみるように、実施例6の光学的立体造形用樹脂組成物は、(p−メンタンジイル)シクロヘキシルジアクリレートを、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて5〜60質量%の範囲で含有することにより、(p−メンタンジイル)シクロヘキシルジアクリレートを含有しない比較例3の光学的立体造形用樹脂組成物に比べて、収縮率が小さく、光硬化による体積収縮が少ない。
【0083】
《実施例7》
(1) (p−メンタジイル)ジシクロヘキシルジアクリレート[上記の一般式(Ia−1)でRが水素原子であるジアクリレート化合物(Ia−1)と一般式(Ib−1)でRが水素原子であるジアクリレート化合物(Ib−1)の70:30(モル比)の混合物](ヤスハラケミカル株式会社製「A−HYP」]5部、トリシクロデカンジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−DCP」)5部、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド4モル付加物のテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製「ATM−4E」)5部、ビスフェノールAエチレンオキサイド4モル付加物のジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−BPE−2」)5部、エポキシアクリレート(昭和高分子株式会社製「VR−77」)6部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−9530」)6部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウケミカル社製「UVR−6105」)43部、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「テナコールEX−321」)10部、脂環式固形エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製「EHPE3150」)2.5部、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化工業株式会社製「HBE−100」)10部、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン(東亞合成株式会社製「OXT221」)5部、ラジカル重合開始剤[1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)]2.5部およびカチオン重合開始剤[トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(サンアプロ株式会社製「CPI 101A」)]5部を室温下でよく混合して光造形用樹脂組成物を調製した。
この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表4に示すとおりであった。
【0084】
(2) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法[上記(2−ii)の方法]で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物を用いて、超高速光造形システム(ナブテスコ株式会社製「SOLIFORM500B」)を使用して、半導体レーザー(定格出力1000mW;波長355nm;スペクトラフィジックス社製「半導体励起固体レーザーBL6型)で、液面500mW、液面照射エネルギー80mJ/cm2の条件下に、スライスピッチ(積層厚み)0.10mm、1層当たりの平均造形時間2分で光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片および長方形の紐状造形物を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表4に示す。
【0085】
《比較例4》
(1) (p−メンタジイル)ジシクロヘキシルジアクリレートを用いなかった以外は、実施例7の(1)と同じ配合を採用して光造形用樹脂組成物を調製した。
この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ下記の表4に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法[上記(2−ii)の方法]で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
また、上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物の光硬化時の収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光造形用樹脂組成物を用いて、実施例7の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表4に示す。
【0086】
【表4】

【0087】
上記表4にみるように、実施例7の光学的立体造形用樹脂組成物は、(p−メンタンジイル)シクロヘキシルジアクリレートを、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて5〜60質量%の範囲で含有することにより、(p−メンタンジイル)シクロヘキシルジアクリレートを含有しない比較例4の光学的立体造形用樹脂組成物に比べて、収縮率が小さく、光硬化による体積収縮が少ない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光造形時(硬化時)の収縮が小さくて、光造形時に反りが発生せず、良好な操作性で立体造形物を円滑に製造することができ、しかも活性エネルギー線による硬化感度が高くて短縮された造形時間で、造形精度、寸法精度、力学的特性、外観に優れる光学的立体造形物を円滑に得ることができる。
そのため、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型などのためのモデルや加工用モデル、複雑な熱媒回路の設計用の部品、複雑な構造の熱媒挙動の解析企画用の部品、その他の複雑な形状や構造を有する各種の立体造形物を、光造形時に装置の停止などのトラブルを生ずることなく、生産性良く製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(Ia)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)および下記の一般式(Ib)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)から選ばれる少なくとも1種のジ(メタ)アクリレート化合物(I)を、5〜60質量%の割合で含有することを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物。
【化1】


(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
【請求項2】
上記のジ(メタ)アクリレート化合物(I)、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物およびエネルギー線感受性ラジカル重合開始剤を含有する請求項1に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項3】
上記のジ(メタ)アクリレート化合物(I)、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤および活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有する請求項1または2に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項4】
上記のジ(メタ)アクリレート化合物(Ia)が、下記の一般式(Ia−1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ia−1)であり、ジ(メタ)アクリレート化合物(Ib)が下記の一般式(Ib−1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(Ib−1)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【化2】


(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
【請求項5】
光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、上記のジ(メタ)アクリレート化合物(I)の含有量が5〜60質量%、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物の含有量が40〜94質量%および活性エネルギー線ラジカル重合開始剤の含有量が1〜10質量%である請求項1、2および4のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項6】
光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、上記のジ(メタ)アクリレート化合物(I)の含有量が5〜40質量%、ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物の含有量が5〜40質量%、カチオン重合性有機化合物の含有量が10〜60質量%、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤の含有量が1〜10質量%および活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の含有量が1〜10質量%である請求項1、3および4のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項7】
ジ(メタ)アクリレート化合物(I)以外のラジカル重合性有機化合物が、主にエチレン性不飽和化合物である請求項2〜6のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項8】
カチオン重合性有機化合物が、主にエポキシ化合物および/またはオキセタン化合物である請求項3、4、6および7のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて形成した立体造形物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて造形面を形成し、該造形面に活性エネルギー線を照射して所定の形状パターンを有する硬化樹脂層を形成させた後、該硬化樹脂層の上に前記光学的立体造形用樹脂組成物を施して造形面を形成し、その造形面に活性エネルギー線を照射して所定の形状パターンを有する硬化樹脂層を形成する造形操作を繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。

【公開番号】特開2008−63514(P2008−63514A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245090(P2006−245090)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(391064429)シーメット株式会社 (38)
【Fターム(参考)】