説明

光学積層体およびその製造方法

【課題】リオトロピック液晶化合物と溶媒を含むコーティング液を、基材に塗布し、該化合物の配向方向を、塗布方向に平行(平行配向)する製造方法を提供する。
【解決手段】工程Aと工程Bを含む、光学積層体の製造方法を用いる。工程A:ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーを含む高分子基材10の表面10aを、一方向にラビング処理する。工程B:工程Aで得られた高分子基材10のラビング処理面10aに、リオトロピック液晶化合物11を含む溶液を塗布して、リオトロピック液晶層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リオトロピック液晶化合物を基材上に塗布して作製される光学積層体と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リオトロピック液晶化合物と溶媒を含むコーティング液を、基材上に塗布し、塗膜を形成する方法が知られている。この塗膜において、リオトロピック液晶化合物の配向方向は、塗布方向に直交する(例えば、特許文献1)。この塗膜は偏光機能を示す。
【0003】
図5を用いて、リオトロピック液晶化合物11の配向方向16が、塗布方向15に直交する理由を説明する。コーティング液中では、複数のリオトロピック液晶化合物11が積み重なって、円筒状の会合体12を形成している。コーティング液を従来の基材17に塗布すると、塗布時の剪断応力により、会合体12は塗布方向15に配列する。リオトロピック液晶化合物11の配向方向16は、会合体12の配列方向に直交する。そのため、リオトロピック液晶化合物11の配向方向16は、塗布方向15に直交する。
【0004】
従来の基材17を用いたとき、リオトロピック液晶化合物11の配向方向16は、塗布方向15に直交する。このため従来の基材17を用いる限り、リオトロピック液晶化合物11の配向方向を、塗布方向15に平行にすることは難しい。なお、塗布方向15に平行な配向を平行配向という。
【0005】
平行配向の利点として、例えば、次の例がある。本発明の光学積層体(配向方向14と塗布方向15が平行)と、従来の光学積層体(配向方向16と塗布方向15が直交)を組み合わせると、吸収軸が直交する液晶表示装置を効率良く製造することができる。
【0006】
そのため、リオトロピック液晶化合物11が平行配向した光学積層体、およびその製造方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−192734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
リオトロピック液晶化合物11と溶媒を含むコーティング液を、基材17に塗布し、塗膜を形成する方法が知られている。この塗膜において、リオトロピック液晶化合物11の配向方向16は、塗布方向15に直交する。このため従来の基材17を用いる限り、リオトロピック液晶化合物11の配向方向を、塗布方向15に平行にすること(平行配向)は困難である。
【0009】
平行配向には上述の利点があるため、リオトロピック液晶化合物11が平行配向した光学積層体、およびその製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の光学積層体は、ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーを含む高分子基材と、高分子基材のラビング処理面に塗布形成されたリオトロピック液晶層とを含む。本発明の光学積層体においては、リオトロピック液晶層内のリオトロピック液晶化合物が、ラビング処理の方向に配向する。
(2)本発明の光学積層体においては、高分子基材のラビング処理方向と、リオトロピック液晶層の塗布方向とが同方向である。これにより、塗布方向に平行配向したリオトロピック液晶化合物が得られる。
(3)本発明の光学積層体においては、ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーが、イソボニルアクリレートモノマーを用いて得られる重合体である。
(4)本発明の光学積層体においては、リオトロピック液晶化合物が、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、ペリレン系化合物、キノフタロン系化合物、ナフトキノン系化合物、メタロシアニン系化合物、ビスアゾ系化合物のいずれかである。
(5)本発明の光学積層体の製造方法は、工程Aと工程Bを含む。工程Aでは、ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーを含む高分子基材の表面を、一方向にラビング処理する。工程Bでは、工程Aで得られた高分子基材のラビング処理面に、リオトロピック液晶化合物を含む溶液を塗布して、リオトロピック液晶層を形成する。
(6)本発明の光学積層体の製造方法においては、溶液内のリオトロピック液晶化合物が等方相状態である。
(7)本発明の光学積層体の製造方法においては、高分子基材のラビング処理方向と、リオトロピック液晶化合物を含む溶液の塗布方向とが同方向である。これにより、塗布方向に平行配向したリオトロピック液晶化合物が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光学積層体においては、リオトロピック液晶化合物の配向方向が、コーティング液の塗布方向に平行である。すなわち、リオトロピック液晶化合物は、コーティング液の塗布方向に平行配向している。しかも、リオトロピック液晶化合物の配向の方向のばらつきが少ない。このため、本発明の光学積層体は、偏光板や位相差板に好適に用いられる。
【0012】
また、本発明の光学積層体の製造方法によれば、リオトロピック液晶化合物が、コーティング液の塗布方向に平行配向した光学積層体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の光学積層体の模式的平面図
【図2】イソボニルアクリレートポリマーの立体安定化構造
【図3】本発明の光学積層体の模式的断面図
【図4】本発明の光学積層体の製造方法を示す工程図
【図5】従来の光学積層体の模式的平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、リオトロピック液晶化合物11の配向方向に、基材が及ぼす影響について、鋭意検討した。その結果、ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーを含む高分子基材を用いると、リオトロピック液晶化合物11を、塗布方向に平行配向させられることを見出した。
【0015】
リオトロピック液晶化合物11はコーティング液中で、複数のリオトロピック液晶化合物11が積み重なって、円筒状の会合体12を形成している。
【0016】
リオトロピック液晶化合物11を含むコーティング液を、従来の基材17に塗布すると、図5に示すように、会合体12は塗布方向15に配列する。従来の基材17とは、例えば、メチルアクリレートポリマーを含む高分子基材17である。リオトロピック液晶化合物11の配向方向16は、会合体12の配列方向に直交する。そのため、従来の基材17上では、リオトロピック液晶化合物11の配向方向16は、塗布方向15の直交方向になる。
【0017】
通常、基材17のラビング処理方向と、コーティング液の塗布方向15は、同方向である。メチルアクリレートポリマーを含む高分子基材17をラビング処理して用いた場合、リオトロピック液晶化合物11の会合体12は、ラビング処理方向に平行に配列する。この理由は、メチルアクリレートポリマーが、側鎖に嵩高い置換基を有しないためであると考えられる。
【0018】
メチルアクリレートポリマーに限らず、側鎖に嵩高い置換基を有しないポリマーを含む高分子基材17を用いた場合、リオトロピック液晶化合物11の会合体12は、ラビング処理方向に平行に配列する。この場合、図5に示すように、リオトロピック液晶化合物11の配向方向16は、ラビング処理方向、従って、塗布方向15に直交する。
【0019】
本発明においては、図1に示すように、ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーを含む高分子基材10を用いる。ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーを含む高分子基材10をラビング処理し、ラビング処理面10aに、リオトロピック液晶化合物11を含むコーティング液を塗布する。リオトロピック液晶化合物11の会合体12は、ラビング処理方向13の直交方向に配列する。リオトロピック液晶化合物11の配向方向14は、会合体12の配列方向に直交する。従って、各リオトロピック液晶化合物11の配向方向14は、ラビング処理方向13および塗布方向15に平行になる。このようにして、リオトロピック液晶化合物11の平行配向が実現される。
【0020】
本発明において、ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーを含む高分子基材10を用いたとき、リオトロピック液晶化合物11が平行配向する理由は、次のように考えられる。
【0021】
ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーの例として、図2に示すイソボニルアクリレートポリマー20がある。図2はイソボニルアクリレートポリマー20の立体安定化構造を示す。矢印21はアクリレートポリマーの主鎖の配列方向21を示す。
【0022】
高分子基材10のラビング処理を行なうと、図2に示すように、アクリレートポリマーの側鎖に結合した嵩高いボルナン環22が、ラビング処理方向13に対して直交する方向23に配列する。
【0023】
次に、イソボニルアクリレートポリマー20を含む高分子基材10に、リオトロピック液晶化合物11を含むコーティング液を塗布する。すると、ボルナン環22の配列方向23に沿って、リオトロピック液晶化合物11の会合体12が配列する。リオトロピック液晶化合物11の配向方向14は、会合体12の配列方向に直交している。その結果、各リオトロピック液晶化合物11は、ラビング処理方向13に平行配向する。
【0024】
[光学積層体]
図3に示すように、本発明の光学積層体30は、ラビング処理した高分子基材10と、高分子基材10のラビング処理面10aに形成されたリオトロピック液晶層31を有する。本発明に用いられる高分子基材10は、ボルナン環22を側鎖に有するアクリレートポリマー20を含む。
【0025】
本発明の光学積層体30の厚みt1は、好ましくは、5.1μm〜190μmである。本発明の光学積層体30内のリオトロピック液晶化合物11は、ラビング処理方向13に対し平行配向している。
【0026】
[高分子基材]
本発明に用いられる高分子基材10は、ボルナン環22を側鎖に有するアクリレートポリマー20を含む。ボルナン環22を側鎖に有するアクリレートポリマー20は、例えば、イソボニルアクリレートモノマーを用いて得られる重合体である。
【0027】
イソボニルアクリレートモノマー(化学式2)は、例えば、特開昭54−126293号公報の合成例1に記載されているように、ボルナンにアクリル酸を反応させて得ることができる。
【0028】
【化2】

【0029】
高分子基材10中の、ボルナン環22を側鎖に有するアクリレートポリマー20の含有量は、高分子基材10の総重量の、好ましくは、30重量%以上であり、さらに好ましくは、50重量%以上である。
【0030】
高分子基材10は、リオトロピック液晶層31が形成される主面に、ボルナン環22を側鎖に有するアクリレートポリマー20を含んでいれば、単層体でも積層体でもよい。
【0031】
高分子基材10は、例えば、ボルナン環22を側鎖に有するアクリレートポリマー20を含む高分子溶液を、流延し成膜して作製される。高分子基材10の厚みt3は、好ましくは、5μm〜180μmである。高分子基材10の一方の主面(ラビング処理面10a)には、ラビング処理(後述)が施される。
【0032】
[リオトロピック液晶層]
本発明に用いられるリオトロピック液晶層31は、リオトロピック液晶化合物11が固化または硬化したものである。リオトロピック液晶層31の厚みt2は、好ましくは、0.1μm〜10μmである。
【0033】
本明細書において「リオトロピック液晶化合物11」とは、溶媒に溶解させた溶液状態で、温度や濃度を変化させることにより、等方相−液晶相の相転移を起こす性質をもつ液晶化合物をいう。発現する液晶相は、好ましくは、ネマチック液晶相である。
【0034】
「固化」とは、液体状のリオトロピック液晶化合物11が、冷却または乾燥されて、固体になることをいう。「硬化」とは、リオトロピック液晶化合物11が熱、触媒、光、放射線などの作用により架橋され、難溶・難融の安定した状態に変化することをいう。
【0035】
本発明に用いられるリオトロピック液晶化合物11は、好ましくは、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、ペリレン系化合物、キノフタロン系化合物、ナフトキノン系化合物、またはメタロシアニン系化合物であり、さらに好ましくは、ビスアゾ系化合物である。このようなリオトロピック液晶化合物11は、溶液状態で会合体12を形成し、ラビング処理された高分子基材10上で配向する。
【0036】
リオトロピック液晶化合物11が配向してできたリオトロピック液晶層31は、吸収二色性や屈折率異方性を示すため、偏光板や位相差板に好適に用いられる。
【0037】
[光学積層体の製造方法]
本発明の光学積層体30の製造方法は、図4に示す工程Aと工程Bを含む。工程Aでは、高分子基材10のラビング処理面10aを、ラビング布32を用いて、ラビング処理方向13に、ラビング処理する。本発明に用いられる高分子基材10は、ボルナン環22を側鎖に有するアクリレートポリマー20を含む。
【0038】
工程Bでは、工程Aで得られた高分子基材10のラビング処理面10aに、リオトロピック液晶化合物11を含むコーティング液を塗布して、リオトロピック液晶層31を形成する。
【0039】
[工程A]
本発明に用いられる工程Aでは、ボルナン環22を側鎖に有するアクリレートポリマー20を含む高分子基材10の表面を、ラビング処理方向13にラビング処理する。
【0040】
ラビング処理においては、リオトロピック液晶化合物11の配向を誘起するため、高分子基材10の表面を、ラビング布32で擦る。ラビング処理の際は、ラビングローラ33を一方向に回転させながら、高分子基材10に押し付け、その状態で高分子基材10を移動させる。ラビングローラ33には、例えば、起毛パイルを有するラビング布32が巻き付けられている。ラビング布32の材質には特に制限はなく、例えば、コットンやレーヨンを用いる。
【0041】
ラビング処理の方向13は、一般には、コーティング液の塗布方向15と同一である。高分子基材10が長尺状である場合、ラビング処理方向13は、好ましくは、高分子基材10の長手方向である。
【0042】
ラビング処理の方法は、特に制限はなく、例えば「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)226〜229ページ「配向方法−ラビング法」に記載の方法で行なうことができる。
【0043】
[工程B]
本発明に用いられる工程Bでは、工程Aで得られた高分子基材10のラビング処理面10aに、リオトロピック液晶化合物11を含むコーティング液を塗布して、リオトロピック液晶層31を形成する。
【0044】
リオトロピック液晶化合物11を含む溶液は、リオトロピック液晶化合物11を溶媒に溶解して調製される。コーティング液は、好ましくは、リオトロピック液晶化合物11が等方相状態になるまで、溶液を希釈してつくられる。リオトロピック液晶化合物11が等方相状態であると、塗布される際に剪断応力の影響を受けにくいため、ラビング処理面10a上で均一に配向しやすい。
【0045】
リオトロピック液晶化合物11を溶解する溶媒には、特に制限はないが、親水性溶媒が好ましく用いられる。親水性溶媒は、好ましくは、水、アルコール類、セロソルブ類である。コーティング液内のリオトロピック液晶化合物11の濃度は、好ましくは、0.1重量%〜10重量%である。
【0046】
コーティング液の塗布方法には、特に制限はなく、任意のコータを用いる方法が用いられる。コータとしては、スライド式コータ、スロットダイコータ、バーコータなどが好ましい。
【0047】
リオトロピック液晶層31内の溶媒量を適切な重量%とするため、本発明には、塗膜(リオトロピック液晶層31)の乾燥工程が含まれてもよい。塗膜の乾燥方法には、特に制限はなく、自然乾燥、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが用いられる。加熱乾燥の場合の乾燥温度は、好ましくは、40℃以上、100℃未満である。
【実施例】
【0048】
[実施例1]
リオトロピック液晶化合物11を含む溶液を、次のようにして得た。4−ニトロアニリンと8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸を、常法によりジアゾ化およびカップリング反応させて、モノアゾ化合物を得た。常法は、細田豊著「理論製造 染料化学 第5版」昭和43年7月15日技法堂発行、135〜152ページに記載されている。
【0049】
得られたモノアゾ化合物を、同様に常法によりジアゾ化し、さらに、1−アミノ−8−ナフトール−2,4−ジスルホン酸(リチウム塩)とカップリング反応させて粗生成物を得た。粗生成物を塩化リチウムで塩析して、構造式(1)(化1)のビスアゾ化合物を得た。
【0050】
【化1】

【0051】
構造式(1)のビスアゾ化合物をイオン交換水に溶解し、2枚のスライドガラスの間に挟みこんで、室温(23℃)にて、偏光顕微鏡で観察した。ビスアゾ化合物は、濃度が20重量%でネマチック液晶相を示した。ビスアゾ化合物の濃度を5重量%に薄めて、コーティング液を調製した。コーティング液は等方相を示した。
【0052】
コーティング液を塗布するための基材10を次のようにして得た。イソボニルアクリレートモノマー(IBXA)とブチルアクリレートモノマー(BA)の共重合体(モノマー比率50:50)からなる高分子基材10(厚み100μm)を成膜した。
【0053】
高分子基材10のラビング処理面10aを、レーヨンのラビング布32(吉川化工社製YA−20−R)で一方向に5回擦って、ラビング処理を施した。ラビング処理装置は市販のものを使用した。市販のラビング処理装置は、例えば、常陽工学社製が入手できる。
【0054】
ラビング処理済みの高分子基材10のラビング処理面10aに、上記のコーティング液をバーコータ(BUSHMAN社製Mayerrot HS4)を用いて塗布した。塗布方向15はラビング処理方向13と同方向である。これを23℃の恒温室内で自然乾燥させて、厚みt2=0.4μmのリオトロピック液晶層31を形成した。
【0055】
リオトロピック液晶層31は吸収二色性を示し、吸収軸の方向はラビング処理方向13と同方向であった。すなわちリオトロピック液晶化合物11は、ラビング処理方向13に、平行配向していた。リオトロピック液晶化合物11の配向方向のばらつきは少なかった。
【0056】
[比較例1]
高分子基材をメチルアクリレートポリマーに代えた以外は、実施例1と同様にして、高分子基材上にリオトロピック液晶層を形成した。得られたリオトロピック液晶層は吸収二色性を示し、その吸収軸の方向はラビング処理方向と直交していた。すなわちリオトロピック液晶化合物は、ラビング処理方向に対して直交方向に配向していた。
【0057】
[リオトロピック液晶層31の厚みの測定方法]
リオトロピック液晶層31の厚みは、リオトロピック液晶層31(偏光膜)の一部を剥離し、三次元非接触表面形状計測システム(菱化システム社製Micromap MM520)により、剥離部分の段差を測定して求めた。
【0058】
[液晶相の観察方法]
リオトロピック液晶化合物11の各種濃度の水溶液のサンプルを準備した。2枚のスライドガラスの間に、リオトロピック液晶化合物11の水溶液を少量挟みこみ、偏光顕微鏡(オリンパス社製OPTIPHOT−POL)により、液晶相を観察した。
【0059】
[吸収軸の方向の決定方法]
吸収軸が既知の偏光子を備えた偏光顕微鏡(オリンパス社製OPTIPHOT−POL)により、作製したリオトロピック液晶層11を観察した。透過光量が最小となる位置の角度を測定して、リオトロピック液晶化合物11の吸収軸の方向を決定した。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の光学積層体30は、偏光板や位相差板に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0061】
10 基材
10a ラビング処理面
11 リオトロピック液晶化合物
12 会合体
13 ラビング処理方向
14 リオトロピック液晶化合物の配向方向
15 塗布方向
16 リオトロピック液晶化合物の配向方向
17 基材
20 イソボニルアクリレートポリマー
21 アクリレートポリマーの主鎖の配列方向
22 ボルナン環
23 ボルナン環の配列方向
30 光学積層体
31 リオトロピック液晶層
32 ラビング布
33 ラビングローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーを含む高分子基材と、
前記高分子基材のラビング処理面に塗布形成されたリオトロピック液晶層とを含み、
前記リオトロピック液晶層内のリオトロピック液晶化合物が、前記ラビング処理の方向に配向した光学積層体。
【請求項2】
前記高分子基材のラビング処理方向と、前記リオトロピック液晶層の塗布方向とが同方向である、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーが、イソボニルアクリレートモノマーを用いて得られる重合体である、請求項1または2に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記リオトロピック液晶化合物が、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、ペリレン系化合物、キノフタロン系化合物、ナフトキノン系化合物、メタロシアニン系化合物、ビスアゾ系化合物のいずれかである、請求項1から3のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項5】
ボルナン環を側鎖に有するアクリレートポリマーを含む高分子基材の表面を、一方向にラビング処理する工程Aと、
前記工程Aで得られた前記高分子基材のラビング処理面に、リオトロピック液晶化合物を含む溶液を塗布して、リオトロピック液晶層を形成する工程Bを含む、光学積層体の製造方法。
【請求項6】
前記溶液内のリオトロピック液晶化合物が等方相状態である、請求項5に記載の光学積層体の製造方法。
【請求項7】
前記高分子基材のラビング処理方向と、前記リオトロピック液晶化合物を含む溶液の塗布方向とが同方向である、請求項5または6に記載の光学積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−232508(P2011−232508A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102014(P2010−102014)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】