光導波路付き配線基板
【課題】コア基板およびビルドアップ層を備え、これらをその厚み方向に沿って断面ほぼ真円形で貫通する光導波路を備えた光導波路付き配線基板、および該配線基板を確実に製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁材からなり、表面3および裏面4を有するコア基板2と、該コア基板2の表面3および裏面に形成され、複数の絶縁層r1〜r6,s1,s2およびこれらの間に位置する配線層14〜21を含むビルドアップ層u1,u2と、上記コア基板2およびビルドアップ層u1,u2を厚み方向に沿って貫通し、クラッド11およびコア12からなる光導波路Lと、を備え、該光導波路Lは、上記コア基板2内に形成され、該コア基板2よりも被削性に優れた穴埋め材9を貫通している、光導波路付き配線基板1。
【解決手段】絶縁材からなり、表面3および裏面4を有するコア基板2と、該コア基板2の表面3および裏面に形成され、複数の絶縁層r1〜r6,s1,s2およびこれらの間に位置する配線層14〜21を含むビルドアップ層u1,u2と、上記コア基板2およびビルドアップ層u1,u2を厚み方向に沿って貫通し、クラッド11およびコア12からなる光導波路Lと、を備え、該光導波路Lは、上記コア基板2内に形成され、該コア基板2よりも被削性に優れた穴埋め材9を貫通している、光導波路付き配線基板1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア基板、ビルドアップ層、およびこれらの厚み方向に沿って貫通する光導波路を備えた光導波路付き配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに離れた2つの配線基板間で信号を伝送するに際し、該2つの配線基板の裏面側の間に光ファイバを配線し、該光ファイバを伝送された光信号を、それぞれの配線基板の表面側に伝送するため、該配線基板の表面と裏面との間を厚み方向に沿って貫通する光導波路を形成する構造が種々提案されている。
例えば、基板の表・裏面を貫通する貫通孔内に感光性ポリマを充填し、これを加熱・硬化した後、フォトマスクを介して紫外線を照射し、その照射部分の屈折率を低下または上昇させることで、内外二重のクラッドとコアとからなる光配線層を形成する光電気集積配線基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記光電気集積配線基板では、前記感光性ポリマに対し、紫外線を高照度により基板の厚み方向に沿って十分に照射するには、長時間を要しないと、所望の屈折率の差が得られにくい。しかも、前記フォトマスクの位置ずれにより光結合効率が低下し易く、且つ貫通孔のドリル加工と上記マスクの位置合わせとの2回の位置合わせにより、位置ずれを生じるおそれがある、という問題があった。
【特許文献1】特開2007−148087号公報(第1〜14頁、図1〜5)
【0003】
また、樹脂基板の表・裏面間を貫通するスルーホール内に、GIファイバを挿通し、該GIファイバを上記樹脂基板の裏面側に形成した絶縁性樹脂層により固定させた光結合機能付配線基板およびその製造方法などが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、上記結合機能付光配線基板では、樹脂基板に設けるスルーホールとGIファイバとのクリアランスが適正化が必須であり、該クリアランスが適正でないと、前記ファイバがスルーホールの軸心に対して傾斜するなどの位置ずれが生じ易いと共に、前記絶縁性樹脂層などによる固定や、接着手段などが必要となり、構成部品や製造工程の数が多くなる、という問題があった。
【特許文献2】特開2005−338704号公報(第1〜11頁、図1〜5)
【0004】
更に、基板に大径の貫通孔を開け、該貫通孔内に低屈折率のエポキシ樹脂を充填し且つ硬化させてクラッドを形成した後、該クラッドの中央部にドリルで小径の貫通孔を開け、該貫通孔内に高屈折率のエポキシ樹脂を充填して、コアを形成することで、基板を貫通する光ビアを作成する三次元配線用光ビアの開発が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、上記光ビアの作成方法では、クラッド用の貫通孔とコア用の貫通孔との2回の孔開け加工が必要となり、2つの貫通孔の軸心が位置ずれするおそれが生じ易い。しかも、クラッドの中心部をドリル加工するので、形成される貫通孔の内壁面が粗くなって凹凸を生じ易いため、該凹凸がコアの周面に残ることによって、光信号の伝送ロスが大きくなる、という問題があった。
【非特許文献1】2007年電子情報通信学会総合大会、予稿集、C−3−77、第233頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、コア基板およびビルドアップ層を含み、これらをその厚み方向に沿って断面ほぼ真円形で貫通する光導波路を備えた光導波路付き配線基板、および該配線基板を確実に製造できる製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、少なくともコア基板を貫通する通し孔に該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を充填し、該穴埋め材をコア基板およびビルドアップ層の厚み方向に沿って貫通する貫通孔内に、クラッドおよびコアからなる光導波路を配設する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の光導波路付き配線基板(請求項1)は、絶縁材からなり、表面および裏面を有するコア基板と、かかるコア基板の表面および裏面の少なくとも一方に形成され、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層と、上記コア基板およびビルドアップを厚み方向に沿って貫通し、クラッドおよびコアからなる光導波路と、を備え、かかる光導波路は、少なくとも上記コア基板内に形成され、該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を貫通している、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記光導波路は、少なくとも前記コア基板内に貫通して形成され、該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を貫通しており、かかる穴埋め材に液状の有機系材料またはペースト状の無機系材料を負圧を用いて均一に充填・硬化されているので、外周面が平滑なほぼ円筒形で且つ均一な厚みのクラッドと、その中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形のコアとからなる光導波路(光伝送媒体)を有している。そのため、クラッドの外周面や、該クラッドとコアとの境界面には、不用意な凹凸が皆無となる。従って、外部の配線基板などとの間に配線された光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくして、正確に送信ないし受信することが可能となる。
【0008】
尚、前記コア基板は、例えば、無機繊維や無機繊布、あるいは、シリカフィラ、アルミナ、溶融シリカ、窒化ケイ素、結晶性シリカなどの無機フィラ(強化材)を含有する樹脂、あるいは、アルミナなどの高温焼成セラミック、またはガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックからなる。
また、前記ビルドアップ層は、エポキシ系などの樹脂からなる絶縁層、それらの間に配置される配線層、および、これらの間を導通するビア導体を含み、最外側の絶縁層は、別のエポキシ系などの樹脂からなるソルダーレジスト層である。
更に、前記穴埋め材は、コア基板を構成する無機フィラを含有した樹脂などよりも、ドリルによる孔明けが容易な金属粉末含有樹脂、あるいは、コア基板を構成するセラミックよりも軟質の樹脂からなる。
また、前記「被削性に優れた」とは、穴埋め材の方が、コア基板よりも、ドリル加工による孔明けに際し、抵抗が少なく且つ容易に穿孔できることを意味する。
更に、前記光導波路は、円筒形のクラッドと、その中心部を軸方向に沿って貫通して配置される円柱形のコアとからなる光伝送媒体であり、その両端面は、軸方向と直交する平面に沿って研磨されている。
加えて、前記クラッドおよびコアには、感光性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂のような有機系材料のほか、石英ガラスなどの無機系材料からなり、互いに屈折率が相違するものが選定される。このうち、クラッドには、透明または半透明の上記材料が、コアには、透明な上記材料が適用される。
【0009】
更に、本発明には、前記光導波路は、前記コア基板および前記ビルドアップ層を貫通する通し孔内に形成された前記穴埋め材を貫通している、光導波路付き配線基板(請求項2)も含まれる。
これによれば、前記光導波路は、前記コア基板およびビルドアップ層を貫通する通し孔内に形成され、且つコア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を貫通しているので、外周面が平滑なほぼ円筒形で且つ均一な厚みのクラッドと、その中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形のコアとなっている。従って、前記光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくして、一層正確に送信ないし受信することが可能となる。
【0010】
一方、本発明による第1の光導波路付き配線基板の製造方法(請求項3)は、絶縁材からなるコア基板に設けられた表面と裏面との間を貫通する通し孔に、該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を充填する工程と、前記コア基板の表面および裏面の少なくとも一方に、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層を形成する工程と、上記コア基板に充填された穴埋め材およびビルドアップ層を厚み方向に沿って貫通する貫通孔を形成する工程と、該貫通孔の内壁面に対し、一方の開口部から有機系または無機系材料を負圧を用いて塗布し、ほぼ円筒形のクラッドを形成する工程と、該クラッドの中心部を軸方向に貫通する中空部に、透明で且つ上記クラッドを形成する材料よりも高い屈折率の有機系または無機系材料を充填して、ほぼ円柱形のコアを形成することで、光導波路を形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0011】
これによれば、前記貫通孔のうち、コア基板の貫通部は、該コア基板を構成する材料よりも被削性に優れた穴埋め材を貫通し、且つ該貫通孔内に対し負圧を用いて前記有機系または無機系材料を充填するため、外周面が平滑で全体がほぼ円筒形であり、且つ均一な厚みのクラッドを確実に形成できる。更に、該クラッドの中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形の中空部に、これと相似形のコアを埋め込んで形成することにより、上記クラッドおよび該コアが内外2重の同心円で、且つ全体が円柱形を呈する光導波路を確実に形成できる。従って、前記光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくし、正確に送信ないし受信できる光導波路付き配線基板を確実に提供することが可能となる。
【0012】
尚、前記クラッドおよびコアを形成する有機系材料には、例えば、エポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ樹脂、フッ素化ポリイミドなどのポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオレフィン系樹脂などが、液状で適用される。更には、上述した樹脂が、重水素化、フッ素化、重水素フッ素化された樹脂であっても良い。
一方、クラッドおよびコアを形成する無機系材料としては、例えば、石英ガラスの粉末をバインダ樹脂に混入させたペースト材が使用される。
また、コア基板を貫通する前記通し孔は、断面が任意の形状で良く、その内壁面の表面粗さも何ら限定されない。
更に、前記穴埋め材は、ビルドアップ層の絶縁層を構成する樹脂と同等か、あるいは該樹脂よりも被削性に優れたものであれば良い。
加えて、前記光導波路を形成する工程の後に、該光導波路の両端面を平坦面に研磨する工程が施される。その際、光導波路の両端面は、前記ビルドアップ層の最外に位置するソルダーレジスト層、あるいは剥離可能な仮保護層と同時に同じレベルで研磨される。
【0013】
更に、本発明による第2の光導波路付き配線基板の製造方法(請求項4)は、絶縁材からなるコア基板に設けられた表面および裏面における少なくとも一方に、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層を形成する工程と、上記コア基板およびビルドアップ層の厚み方向に沿って、通し孔を形成する工程と、該通し孔に上記コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を充填する工程と、該穴埋め材に上記コア基板およびビルドアップ層の厚み方向に沿った貫通孔を形成する工程と、該貫通孔の内壁面に対し、一方の開口部から有機系または無機系材料を負圧を用いて塗布し、ほぼ円筒形のクラッドを形成する工程と、該クラッドの中心部を軸方向に貫通する中空部に、透明で且つ上記クラッドを形成する材料よりも高い屈折率の有機系または無機系材料を充填して、ほぼ円柱形のコアを形成することで、光導波路を形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。
これによれば、前記貫通孔は、コア基板およびビルドアップ層を貫通する通し孔内に充填された前記穴埋め材を全長に沿って貫通しているため、外周面が平滑で全体がほぼ円筒形であり且つ均一な厚みの前記クラッドを一層確実に形成できる。更に、該クラッドの中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形の中空部に、これと相似形のコアを形成することで、クラッドおよびコアが内外2重の同心円で、且つ全体が円柱形である光導波路を確実に形成できる。従って、前記光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくし、一層正確に送信ないし受信できる配線基板を確実に提供することが可能となる。
尚、前記光導波路を形成する工程の後に、該光導波路の両端面を平坦面に研磨する工程が施される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による一形態の光導波路付き配線基板の要部を示す断面図。
【図2】図1中の一点鎖線部分Xの模式的な部分拡大図。
【図3】図2中のY−Y線の矢視に沿った断面図。
【図4】異なる形態の光導波路付き配線基板の要部を示す断面図。
【図5】更に異なる形態の光導波路付き配線基板の要部を示す断面図。
【図6】本発明による第1の製造方法の一工程を示す概略の断面図。
【図7】図6に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図8】図7に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図9】図8に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図10】図9に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図11】図10に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図12】図11に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図13】図12に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図14】図13に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図15】図14に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図16】異なる形態の第1の製造方法における一工程を示す概略の断面図。
【図17】図16に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図18】図17に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図19】図18に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図20】図19に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図21】図20に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図22】図21に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図23】図22に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図24】本発明による第2の製造方法の一工程を示す概略の断面図。
【図25】図24に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図26】図25に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図27】図26に続く製造工程を示す概略の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明による一形態の光導波路付き配線基板1の要部を示す部分断面図、図2は、図1中の一点鎖線部分Xの模式的な拡大図、図3は、図2中のY−Y線の矢視に沿った模式的な断面図である。
光導波路付き配線基板1は、図1に示すように、表面3および裏面4を有するコア基板2と、該コア基板2の表面3および裏面4に形成されたビルドアップ層u1,u2と、該ビルドアップ層u1,u2および上記コア基板2を、これらの厚み方向に沿って貫通し、外側のクラッド11および内側のコア12からなる光導波路10と、を備えている。
上記コア基板2は、例えば、ビスマレイミド・トリアジン樹脂(以下、BT樹脂と称する:絶縁材)にシリカフィラなどの無機フィラを含有したものである。尚、コア基板2は、アルミナなどの高温焼成セラミック、あるいはガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックからなるものでも良い。
【0016】
前記コア基板2には、表面3と裏面4との間を貫通する複数のスルーホール5が形成され、該スルーホール5内には、Cuなどからなり且つほぼ円筒形を呈するスルーホール導体6と、その内側に充填された埋め込み樹脂7とが形成されている。該埋め込み樹脂7は、後述する穴埋め材8と同様な複合樹脂からなる。
また、上記コア基板2の表面3と裏面4とには、スルーホール導体6に接続され、Cuなどからなる配線層14,15が所定パターンで形成されている。
更に、前記ビルドアップ層u1,u2は、図1に示すように、例えば、エポキシ系樹脂からなる絶縁層r1〜r3、絶縁層r4〜r6と、これらの間に形成され、且つCuなどからなる配線層16〜21が所定パターンで形成されている。該配線層16〜21間および上記配線層14,15との間は、フィルドビア導体(以下、単にビア導体と称する)vによって、接続されている。
前記ビルドアップ層u1,u2の最外側には、前記とは異なるエポキシ系樹脂からなるソルダーレジスト層s1,s2が形成され、これらを貫通する凹部22,23には、前記配線層20,21の一部がパッドとして露出し、該パッド上には、外か世話面23,27よりも外側に突出するハンダバンプ24,25が形成されている。尚、スルーホール導体6、配線層14など、およびビア導体vは、Agでも良い。また、ハンダバンプ24,25は、Sn−Ag、Sn−Ag−Cu、Zn−Ag−Bi、Sn−Ag−Bi−Cu、Sn−Zn、Sn−Zn−Bi系などの低融点合金からなる。
【0017】
図1に示すように、コア基板2において、その表面3と裏面4との間を貫通する通し孔8には、図2,図3に示すように、エポキシ系樹脂jなどに粒径が0.1μm以上のCu(金属)粉末mを含有した導電性樹脂からなり、コア基板2を構成する前記複合材料よりも被削性に優れた穴埋め材9が充填されている。
上記Cu粉末mの粒径を0.1μm以上としたので、図2,図3に示すように、次述する貫通孔10を穿孔する際のドリル加工において、ドリルの外周面に当たるCu粉末mがその中間で容易に剪断されるため、内周面に凹凸のない貫通孔10が形成されている。尚、上記Cu粉末mの粒径が0.1μm未満になると、ドリルの外周面に当たった際に、Cu粉末mの全体が上記樹脂jから剥離し、貫通孔10の内周面に凹みを生じるおそれがあるので、好ましくない。
また、コア基板2内に位置する上記穴埋め材9と、ビルドアップ層u1,u2との厚み方向に沿って、これらを貫通する断面ほぼ円形の貫通孔10内には、外側のほぼ円筒形を呈するクラッド11と、その中心部を軸方向に沿って貫通し、且つほぼ円柱形を呈するコア12とが同心円状に配置された光導波路Lが形成されている。因みに、クラッド11の直径は、0.1mm以下(例えば、50μm)であり、長さは、0.2mm以上(例えば、0.4mm)である。
更に、図1に示すように、上方のビルドアップu1の外側面26上には、ハンダバンプ24と接続される光素子Cが実装可能とされ、該光素子C中の発光点cは、図1中の一点鎖線の矢印で示すように、光導波路Lにおけるコア12の中心部に光を発光可能としている。
【0018】
図4は、前記光導波路付き配線基板1の応用形態である光導波路付き配線基板1aの要部を示す部分断面図である。
光導波路付き配線基板1aは、図4に示すように、前記同様のコア基板2、ビルドアップ層u1,u2、および穴埋め材9などを有すると共に、クラッド11およびコア12からなる光導波路Lは、コア基板2内の穴埋め材9と、ビルドアップ層u1,u2の絶縁層r1〜r3、絶縁層r4〜r6とを、これらの厚み方向に沿って貫通する貫通孔10内に形成されている。
光導波路付き配線基板1aが前記光導波路付き配線基板1と相違するのは、光導波路10の軸方向の両端面が、ソルダーレジスト層s1,s2の外側面26,27よりもコア基板2側で且つ最外側の絶縁層r3,r6の中間に位置し、且つ凹部g1,g2の底面に露出している構造である。
【0019】
図5は、本発明による異なる形態の光導波路付き配線基板1bの要部を示す部分断面図である。
光導波路付き配線基板1bは、図5に示すように、前記同様のコア基板2、およびビルドアップ層u1,u2などを有すると共に、コア基板2およびビルドアップ層u1,u2の厚み方向に沿って貫通する通し孔8内に、前記同様の穴埋め材9が充填され、該穴埋め材9の内側に設けた貫通孔10内を、クラッド11およびコア12からなる光導波路Lが貫通している。
かかる光導波路付き配線基板1bでは、図5に示すように、通し孔8、穴埋め材9の両端面、貫通孔10、および光導波路Lの両端面が、ビルドアップ層u1,u2の最外側に位置するソルダーレジスト層s1,s2の外側面26,27に、それぞれ面一で露出している。
【0020】
以上のような光導波路付き配線基板1,1a,1bによれば、前記光導波路Lは、少なくとも前記コア基板2内に貫通して形成され、該コア基板2よりも被削性に優れた穴埋め材9を貫通しているので、外周面が平滑であり全体がほぼ円筒形で且つ均一な厚みのクラッド11と、その中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形のコア12となっている。特に、光導波路付き配線基板1bでは、コア基板2およびビルドアップ層u1,u2の厚み方向に沿って貫通する通し孔8内に充填された穴埋め材9の内側を、光導波路10が貫通しているため、その形状が高い精度により作成されている。そのため、クラッド11の外周面や、該クラッド11とコア12との境界面には、不用意な凹凸が皆無となる。従って、外部の配線基板などとの間に配線された光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくして、正確に受信したり、逆に送信することが可能となる。
【0021】
ここで、前記光導波路付き配線基板1を得る第1の製造方法について説明する。
先ず、図6に示すように、シリカフィラなどの無機フィラを含有するBT樹脂(絶縁材)からなるコア基板2に設けられた表面3と裏面4との間の厚み方向に沿って、ドリル加工あるいはレーザ加工によって、複数のスルーホール5と、これよりも大きな内径の通し孔8とを貫通させた。
次に、所要の位置にマスキングを被覆するか、あるいはメッキ用レジストを形成した後、上記スルーホール5の内壁面およびコア基板2の表面3および裏面4におけるスルーホール5の開口部の周辺部に対し、Pdを含むメッキ触媒を塗布し、更に無電解銅メッキおよび電解銅メッキを施した。その後、上記マスキングなどを除去した。
その結果、図7に示すように、スルーホール5の内壁面に沿って、Cuからなり且つほぼ円筒形のスルーホール導体6が形成され、且つ表面3および裏面4には、スルーホール導体6の両端と接続された導体部14a,15aが形成された。
【0022】
更に、図8に示すように、スルーホール導体6に囲まれた中空部7aと、通し孔8とに対し、粒径が0.1μm以上のCu粉末を約40〜50体積%含有した樹脂からなり、コア基板2よりも被削性に優れた埋め込み樹脂7と、穴埋め材9とを個別に充填した。尚、埋め込み樹脂7と穴埋め材9とには、異なる樹脂を用いても良いし、一方または双方に導電性を有する樹脂を適用しても良い。
次いで、所要の位置にマスキングなどを被覆した後、図9に示すように、コア基板2の表・裏面3,4に位置する導体部14a,15aと、これらに囲まれた埋め込み樹脂7の端面とに対し、前記同様の電解銅メッキによる蓋メッキを施すことによって、コア基板2の表・裏面3,4に配線層14,15を形成した。
尚、以上の各工程は、予め、表・裏面3,4の全面に銅箔が貼り付けられたコア基板2に対し、前記同様にスルーホール5および通し孔8を穿孔し、表・裏面3,4の銅箔上と、スルーホール5および通し孔8の内壁面とに対し、前記同様の電解銅メッキなどを施して、上記銅箔を含む表・裏面導体層、スルーホール導体7、および通し孔8の内壁面に沿った筒形導体を形成し、更に、前記同様に埋め込み樹脂7および穴埋め材9を充填した後、所定パターンのエッチングにより配線層14,15を形成する方法で行っても良い。
【0023】
次に、前記スルーホール導体7、埋め込み材9、配線層14,15などが形成されたコア基板2の表面3および裏面4の上方に、エポキシ系樹脂からなるドライフイルムの圧着および加熱・硬化による絶縁層r1〜r3およびソルダーレジスト層s1、絶縁層r4〜r6およびソルダーレジスト層s2を順次形成した。更に、これらに対し、公知のフォトリソグラフィ技術(フルアディティブ法、セミアディティブ法、サブトラクティブ法など)を施して、絶縁層r1〜r3,ソルダーレジスト層s1間に位置する所定パターンの配線層16,18,20と、絶縁層r4〜r6,ソルダーレジスト層s2間に位置する所定パターンの配線層17,19,21と、これらの間および前記配線層との間を接続するビア導体vとを形成した。尚、上記ソルダーレジスト層s1,s2の厚みは、目標とする設計値よりも若干厚い約40μmとした。
その結果、図10に示すように、コア基板2の表面3に、絶縁層r1〜r3,ソルダーレジスト層s1と、配線層16,18,20とを備えたビルドアップ層u1が形成され、コア基板2の裏面4に、絶縁層r4〜r6,ソルダーレジスト層s2と、配線層16,18,20とを備えたビルドアップ層u2が形成された。
尚、前記工程では、最外層のソルダーレジスト層s1,s2に、最外側の配線層20,21の一部を底面に露出させる凹部22,23が併せて形成された。
【0024】
次いで、図11に示すように、コア基板2内の通し孔8に充填された穴埋め材9のほぼ中央部と、該穴埋め材9の上下に位置するビルドアップ層u1,u2とを、厚み方向に沿って貫通するように、ドリル加工によって、断面円形の貫通孔10を形成した。この際、貫通孔10の内壁面は、コア基板2よりも被削性に優れた穴埋め材9を貫通しているため、該穴埋め材9を貫通する部分では、断面がほぼ真円形となっていた。
即ち、穴埋め材9は、前記樹脂j中に粒径が0.1μm以上のCu粉末mを含有しているため、シリカフィラを含有するコア基板2よりも、ドリルによる孔明け加工に際し、抵抗が少ないと共に、ドリルの外周面に当たるCu粉末mを中間で容易に剪断できた故である。尚、ビルドアップ層u1,u2の絶縁層r1〜r6,ソルダーレジスト層s1,s2は、コア基板2に比べて被削性に優れているため、これらを貫通する貫通孔10の内壁面も、上記と同様であった。
【0025】
更に、図12に示すように、ビルドアップ層u1,u2上に、メタルマスク30,31を個別に配置した。この際、前記貫通孔10の両端の開口部を囲むような位置に、貫通孔10の内径よりも大きな内径のガイド孔hが位置するように、メタルマスク30,31を配置した。引き続き、ビルドアップ層u1およびメタルマスク30の上方の圧力P1に対し、ビルドアップ層u2およびメタルマスク31の下方の圧力P2を小さくし、図12中の白抜きの矢印で示すように、後者側を負圧雰囲気の状態(真空、あるいは大気圧よりも低い圧力の雰囲気:約20kPa)とした。
かかる状態で、図12に示すように、メタルマスク30の上面に、液状で透明あるいは半透明のエポキシ系樹脂(有機系材料)11aを配置し、メタルマスク30の上面にスキージ32をスライドさせて、上記樹脂11aを貫通孔10内に吸引しつつ充填した後、更に加熱して硬化させた。その結果、図示のように、貫通孔10の内壁面に沿って、外周面が平滑なほぼ円柱形で且つ均一な厚みを有し、全体がほぼ円筒形を呈するクラッド11が形成された。尚、クラッド11を貫通孔10内に均一な厚みで形成するには、その直径、前記樹脂11aの粘度、および前記負圧となる圧力差(P1−P2)を、制御することにより可能である。
【0026】
更に、前記メタルマスク30,31を除去した結果、図13に示すように、クラッド11の軸方向の両端には、前記ガイド孔hに倣った上下一対のフランジ11bが残留していた。
次に、前記同様の一対のメタルマスクを、そのガイド孔がクラッド11の上記各フランジ11bを囲むように配置し、クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通する中空部に、前記同様のスキージなどを用いて、透明で且つクラッド11を形成した前記樹脂11aよりも高い屈折率を有し、且つ液状のエポキシ系樹脂(有機系材料)を充填し後、更に加熱して硬化させた。
その結果、図14に示すように、クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形のコア12が形成された。尚、該コア12の両端部には、クラッド11の各フランジ11bに囲まれた太径部12aが外側に若干突出していた。また、前記エポキシ系液状の樹脂を充填する際に、かかる樹脂液が各フランジ11bを乗り越えて外側に流れ出さないように留意することが肝要である。
【0027】
次いで、図14中に示す上下一対の波線に沿ったレベルまで、ソルダーレジスト層s1,s2と、クラッド11およびコア12の両端部とを、ベルトサンダーあるいはグラインダなどを用いる研磨して除去した。
その結果、図15に示すように、両端の前記フランジ11bおよび太径部12aが除去され、円筒形のクラッド11と円柱形のコア12とが平面視で同心円状に配置され、且つ両端面が平坦に研磨された光導波路Lが形成された。同時に、ソルダーレジスト層s1,s2は、目標値の約20μmの厚みとなった。
その後、図15に示すように、ソルダーレジスト層s1,s2に開設された凹部22,23の底面に露出する配線層20,21の表面の一部であるパッド20a,21a上に、前記ハンダバンプ24,25を形成することで、前記図1に示した光導波路付き配線基板1を製造することができた。
更に、かかる光導波路付き配線基板1の外側面26上に前記光素子Cを配置し、その外部接続端子をハンダバンプ24,25と接続すると共に、光導波路Lの上端面に光素子C側の発光点cを対向させつつ実装することで、光導波路Lを通じて外部との光信号による正確な送・受信が可能となった。
【0028】
次に、前記光導波路付き配線基板1aを得るための異なる形態の第1の製造方法を、以下において説明する。
予め、図16に示すように、前記同様に通し孔8に穴埋め材9が充填され、且つスルーホール5にスルーホール導体6が形成されたコア基板2の表・裏面3,4に、前記同様の絶縁層r1,r2、絶縁層r4,r5と、配線層16,18、配線層17,19と、これらの間に位置するビア導体vとを形成した。更に、最外層の絶縁層r2,r5の上に、例えば、感光性のアクリル系、あるいはエポキシ系樹脂からなり、且つ剥離可能な仮保護層p1,p2を形成した。
次に、図17に示すように、コア基板2内の通し孔8に充填された穴埋め材9のほぼ中央部と、該穴埋め材9の上下に位置するビルドアップ層u1,u2の絶縁層r1〜r4および仮保護層p1,p2とを、厚み方向に沿って貫通するようにドリル加工によって、断面円形の貫通孔10を形成した。この際、貫通孔10の内壁面のうち、少なくとも穴埋め材9を貫通する部分では、断面がほぼ真円形となっており、ビルドアップ層u1,u2の内壁面でも同様となっていた。
【0029】
次いで、前記同様に、ビルドアップ層u1の上方の圧力に対し、ビルドアップ層u2の下方の圧力を小さくして、後者側を負圧とし、且つ前記同様の一対のメタルマスクおよびスキージを用いて、液状で透明あるいは半透明のエポキシ系の樹脂(11a)を、吸引しつつ貫通孔10の内壁面に沿って充填し、更に加熱して硬化させた。その後、一対の上記メタルマスクを除去した。
その結果、図18に示すように、貫通孔10の内壁面に沿って、外周面が平滑なほぼ円柱形で且つ均一な厚みを有し、全体がほぼ円筒形を呈するクラッド11が形成され、且つその軸方向の両端には、上下一対のフランジ11bが残った。
更に、クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通する中空部に、前記同様のスキージなどを用いて、透明で且つクラッド11を形成した前記樹脂(11a)よりも高い屈折率を有し、且つ液状のエポキシ系樹脂を充填し、更に加熱して硬化させた。その結果、図19に示すように、クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形のコア12と、その両端に位置する太径部12aとが形成された。
【0030】
次に、図19中に示す上下一対の波線に沿ったレベルまで、仮保護層p1,p2と、クラッド11およびコア12の両端部とを、ベルトサンダーなどを用いて研磨して除去した。その結果、図20に示すように、両端の前記フランジ11bおよび太径部12aが除去され、円筒形のクラッド11と円柱形のコア12とが平面視で同心円状に配置され、且つ両端面が平坦に研磨された光導波路Lが形成された。同時に、残った仮保護層p1,p2は、当初の厚みよりも薄肉となった。
次いで、上記仮保護層p1,p2に対し、アミン系溶液からなるエッチング(現像)液を接触させて、図21に示すように、仮保護層p1,p2を剥離した。
更に、光導波路Lの両端面をマスキングした状態で、図22に示すように、絶縁層r2,r5の上に絶縁層r3,r5を形成し、前記同様にしてこれらを貫通するビア導体vと、これらの上方に接続する配線層20,21と、を形成した。
【0031】
そして、図23に示すように、絶縁層r3,r5の上に前期同様のソルダーレジスト層s1,s2を形成した後、該ソルダーレジスト層s1,s2に凹部22,23を形成して、その底面に配線層20,21の一部であるパッド20a,21。aを露出させた。尚、光導波路Lの両端面をマスキングを除去すると、光導波路Lの両端面は、ソルダーレジスト層s1,s2の外側面26,27よりも、コア基板2側である凹部g1,g2の底面に位置していた。
その後、上記パッド20a,21a上に、前記ハンダバンプ24,25を形成することで、前記図4に示した光導波路付き配線基板1aを製造できた。
更に、光導波路付き配線基板1aの外側面26上に前記光素子Cを配置し、光導波路Lの上端面に該光素子C側の発光点cを対向させつつ実装することで、光導波路Lを通じて外部への伝送が可能となった。
【0032】
以上のような光導波路付き配線基板1,1aを得るための第1の製造方法によれば、前記貫通孔10のうち、コア基板2の貫通部は、該コア基板2を構成する材料よりも被削性に優れた穴埋め材9を貫通し、且つ該貫通孔9内に対し負圧を用いて前記樹脂11aを充填しているため、外周面が平滑であり全体がほぼ円筒形であり且つ均一な厚みのクラッド11を確実に形成できた。更に、該クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形の中空部に、これと相似形のコア12を充填することで、クラッド11およびコア12が内外2重の同心円で配置され、全体が円柱形を呈する光導波路Lを確実に形成できた。従って、外部の光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくし、正確に受信したり、逆に送信できる光導波路付き配線基板1,1aを確実に提供することが可能となった。
更に、前記仮保護層p1,p2を用いた後、これを剥離する異なる形態の製造方法では、ビルドアップ層u1,u2の最外側に位置するソルダーレジスト層s1の表面(外側面)26が研磨されていないため、該表面26と前記ハンダバンプ24,25の上方に追って実装される光素子Cの底面との間に、充填するアンダーフィル材の充填を容易に行うことも可能となった。
【0033】
次いで、光導波路付き配線基板1bを得るための本発明による第2の製造方法を、以下に説明する。
先ず、前記同様にして、図24に示すように、コア基板2にスルーホール5、およびスルーホール導体6を形成し、該コア基板2の表面3および裏面4に、前記同様の配線層14,15、絶縁層r1〜r3,ソルダーレジスト層s1、あるいは絶縁層r4〜r6,ソルダーレジスト層s2を形成し、これらの間および内部に配線層16,18,20、ビア導体v、あるいは配線層17,19,21、ビア導体vを形成して、ビルドアップ層u1,u2を形成した。ソルダーレジスト層s1,s2には、凹部22,23を形成し、その底面に配線層20,21の一部であるパッド20a,21aを露出させた。尚、ソルダーレジスト層s1,s2は、目標値よりも厚く形成しても良い。
次いで、図24に示すように、コア基板2およびビルドアップ層u1,u2に対し、これらの厚み方向に沿って、ドリル加工による通し孔8を形成した。
次に、図25に示すように、上記通し孔8内に、前記同様の穴埋め材9を充填した。
【0034】
更に、図26に示すように、穴埋め材9のほぼ中央部を、厚み方向に沿って貫通するように、ドリル加工によって、断面円形の貫通孔10を形成した。この際、貫通孔10の内壁面は、コア基板2よりも被削性に優れた穴埋め材9を貫通しているため、断面がほぼ真円形となっていた。
次いで、ビルドアップ層u1の上方の圧力に対し、ビルドアップ層u2の下方の圧力を小さくして、後者側を負圧とし、且つ前記同様の一対のメタルマスクおよびスキージを用い、液状で透明あるいは半透明のエポキシ系の樹脂(11a)を、吸引しつつ貫通孔10の内壁面に沿って充填し、更に加熱・硬化した。
【0035】
その結果、図27に示すように、貫通孔10の内壁面に沿って、外周面が平滑であり、ほぼ円柱形で且つ均一な厚みを有し、全体がほぼ円筒形を呈するクラッド11が形成された。
次に、該クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通する中空部に、前記同様のスキージなどを用いて、透明で且つクラッド11を形成した前記樹脂(11a)よりも高い屈折率を有し、且つ液状のエポキシ系樹脂を充填し、更に加熱して硬化させた。
その結果、図27に示すように、クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通する円柱形のコア12が形成されると共に、クラッド11およびコア12が内外2重の同心円で配置され、且つ全体が円柱形の光導波路Lが形成された。
次いで、ソルダーレジスト層s1,s2の表層を研磨すると同時に、光導波路Lの両端面をも平坦面に研磨できた。
【0036】
更に、前記パッド20a,21a上に、前記ハンダバンプ24,25を形成することによって、前記図6で示した光導波路付き配線基板1bが得られた。
そして、光導波路付き配線基板1bの外側面26上に前記光素子Cを配置し、光導波路Lの上端面に該光素子C内の発光点cを対向させつつ実装することで、光導波路Lを通じて外部への伝送が可能となった。
以上のような光導波路付き配線基板1bを得るための第2の製造方法によれば、前記貫通孔10は、コア基板2およびビルドアップ層u1,u2を貫通する通し孔8に充填された前記穴埋め材9を、その全長に沿って断面ほぼ真円形にて貫通しているため、外周面が平滑であり、全体がほぼ円筒形であり且つ均一な厚みの前記クラッド11を一層確実に形成できた。更に、該クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形の中空部に、これと相似形のコア12を形成することで、クラッド11およびコア12が内外2重の同心円で且つ全体が円柱形の光導波路Lを確実に形成できた。従って、外部との間に配線された光ファイバとの光信号を送信ロスを少なくし、一層正確に送信ないし受信できる光導波路付き配線基板1bを確実に提供することが可能となった。
【0037】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記コア基板は、エポキシ系樹脂、ポリイミド樹脂、あるいはフッ素系樹脂などに、ガラス繊維、ガラス織布、あるいはポリイミド繊維を混入した有機系の複合材料からなるものとしても良い。
また、前記コア基板は、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどの高温焼成セラミック、あるいは、ガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックのような無機系材料からなるものとしても良い。
更に、本発明の光導波路付き配線基板は、ビルドアップ層を、コア基板の表面または裏面の何れか一方のみに形成した形態としても良い。
【0038】
また、前記光導波路Lは、前記有機系材料からなるものに限らず、透明な石英ガラスなどの無機系材料からなるものとしたり、これらが互いに屈折率が異なる無機系材料からなるものの組み合わせを用いても良い。
更に、前記コア基板2内に形成した1個の穴埋め材9に対し、2つの以上の貫通孔10および光導波路Lを並列に形成しても良い。
また、前記パッド20a,21a上には、導体からなるボールをハンダ付けしたり、あるいは裏面側のパッド21a上には、導体ピンの太径部をハンダ付けしても良い。
加えて、前記光導波路付き配線基板の製造方法は、多数個取りによって行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、コア基板およびビルドアップ層を含み、これらをその厚み方向に沿って断面ほぼ真円形で貫通する光導波路を備えた光導波路付き配線基板、および該配線基板を確実に製造できる製造方法を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1,1a,1b…光導波路付き配線基板
2…………………コア基板
3…………………表面
4…………………裏面
8…………………通し孔
9…………………穴埋め材
10………………貫通孔
11………………クラッド
11a……………エポキシ系樹脂(有機系材料)
12………………コア
16〜21………配線層
r1〜r6………絶縁層
s1,s2………ソルダーレジスト層(絶縁層)
u1,u2………ビルドアップ層
L…………………光導波路
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア基板、ビルドアップ層、およびこれらの厚み方向に沿って貫通する光導波路を備えた光導波路付き配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに離れた2つの配線基板間で信号を伝送するに際し、該2つの配線基板の裏面側の間に光ファイバを配線し、該光ファイバを伝送された光信号を、それぞれの配線基板の表面側に伝送するため、該配線基板の表面と裏面との間を厚み方向に沿って貫通する光導波路を形成する構造が種々提案されている。
例えば、基板の表・裏面を貫通する貫通孔内に感光性ポリマを充填し、これを加熱・硬化した後、フォトマスクを介して紫外線を照射し、その照射部分の屈折率を低下または上昇させることで、内外二重のクラッドとコアとからなる光配線層を形成する光電気集積配線基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記光電気集積配線基板では、前記感光性ポリマに対し、紫外線を高照度により基板の厚み方向に沿って十分に照射するには、長時間を要しないと、所望の屈折率の差が得られにくい。しかも、前記フォトマスクの位置ずれにより光結合効率が低下し易く、且つ貫通孔のドリル加工と上記マスクの位置合わせとの2回の位置合わせにより、位置ずれを生じるおそれがある、という問題があった。
【特許文献1】特開2007−148087号公報(第1〜14頁、図1〜5)
【0003】
また、樹脂基板の表・裏面間を貫通するスルーホール内に、GIファイバを挿通し、該GIファイバを上記樹脂基板の裏面側に形成した絶縁性樹脂層により固定させた光結合機能付配線基板およびその製造方法などが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、上記結合機能付光配線基板では、樹脂基板に設けるスルーホールとGIファイバとのクリアランスが適正化が必須であり、該クリアランスが適正でないと、前記ファイバがスルーホールの軸心に対して傾斜するなどの位置ずれが生じ易いと共に、前記絶縁性樹脂層などによる固定や、接着手段などが必要となり、構成部品や製造工程の数が多くなる、という問題があった。
【特許文献2】特開2005−338704号公報(第1〜11頁、図1〜5)
【0004】
更に、基板に大径の貫通孔を開け、該貫通孔内に低屈折率のエポキシ樹脂を充填し且つ硬化させてクラッドを形成した後、該クラッドの中央部にドリルで小径の貫通孔を開け、該貫通孔内に高屈折率のエポキシ樹脂を充填して、コアを形成することで、基板を貫通する光ビアを作成する三次元配線用光ビアの開発が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、上記光ビアの作成方法では、クラッド用の貫通孔とコア用の貫通孔との2回の孔開け加工が必要となり、2つの貫通孔の軸心が位置ずれするおそれが生じ易い。しかも、クラッドの中心部をドリル加工するので、形成される貫通孔の内壁面が粗くなって凹凸を生じ易いため、該凹凸がコアの周面に残ることによって、光信号の伝送ロスが大きくなる、という問題があった。
【非特許文献1】2007年電子情報通信学会総合大会、予稿集、C−3−77、第233頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、コア基板およびビルドアップ層を含み、これらをその厚み方向に沿って断面ほぼ真円形で貫通する光導波路を備えた光導波路付き配線基板、および該配線基板を確実に製造できる製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、少なくともコア基板を貫通する通し孔に該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を充填し、該穴埋め材をコア基板およびビルドアップ層の厚み方向に沿って貫通する貫通孔内に、クラッドおよびコアからなる光導波路を配設する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の光導波路付き配線基板(請求項1)は、絶縁材からなり、表面および裏面を有するコア基板と、かかるコア基板の表面および裏面の少なくとも一方に形成され、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層と、上記コア基板およびビルドアップを厚み方向に沿って貫通し、クラッドおよびコアからなる光導波路と、を備え、かかる光導波路は、少なくとも上記コア基板内に形成され、該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を貫通している、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記光導波路は、少なくとも前記コア基板内に貫通して形成され、該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を貫通しており、かかる穴埋め材に液状の有機系材料またはペースト状の無機系材料を負圧を用いて均一に充填・硬化されているので、外周面が平滑なほぼ円筒形で且つ均一な厚みのクラッドと、その中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形のコアとからなる光導波路(光伝送媒体)を有している。そのため、クラッドの外周面や、該クラッドとコアとの境界面には、不用意な凹凸が皆無となる。従って、外部の配線基板などとの間に配線された光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくして、正確に送信ないし受信することが可能となる。
【0008】
尚、前記コア基板は、例えば、無機繊維や無機繊布、あるいは、シリカフィラ、アルミナ、溶融シリカ、窒化ケイ素、結晶性シリカなどの無機フィラ(強化材)を含有する樹脂、あるいは、アルミナなどの高温焼成セラミック、またはガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックからなる。
また、前記ビルドアップ層は、エポキシ系などの樹脂からなる絶縁層、それらの間に配置される配線層、および、これらの間を導通するビア導体を含み、最外側の絶縁層は、別のエポキシ系などの樹脂からなるソルダーレジスト層である。
更に、前記穴埋め材は、コア基板を構成する無機フィラを含有した樹脂などよりも、ドリルによる孔明けが容易な金属粉末含有樹脂、あるいは、コア基板を構成するセラミックよりも軟質の樹脂からなる。
また、前記「被削性に優れた」とは、穴埋め材の方が、コア基板よりも、ドリル加工による孔明けに際し、抵抗が少なく且つ容易に穿孔できることを意味する。
更に、前記光導波路は、円筒形のクラッドと、その中心部を軸方向に沿って貫通して配置される円柱形のコアとからなる光伝送媒体であり、その両端面は、軸方向と直交する平面に沿って研磨されている。
加えて、前記クラッドおよびコアには、感光性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂のような有機系材料のほか、石英ガラスなどの無機系材料からなり、互いに屈折率が相違するものが選定される。このうち、クラッドには、透明または半透明の上記材料が、コアには、透明な上記材料が適用される。
【0009】
更に、本発明には、前記光導波路は、前記コア基板および前記ビルドアップ層を貫通する通し孔内に形成された前記穴埋め材を貫通している、光導波路付き配線基板(請求項2)も含まれる。
これによれば、前記光導波路は、前記コア基板およびビルドアップ層を貫通する通し孔内に形成され、且つコア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を貫通しているので、外周面が平滑なほぼ円筒形で且つ均一な厚みのクラッドと、その中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形のコアとなっている。従って、前記光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくして、一層正確に送信ないし受信することが可能となる。
【0010】
一方、本発明による第1の光導波路付き配線基板の製造方法(請求項3)は、絶縁材からなるコア基板に設けられた表面と裏面との間を貫通する通し孔に、該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を充填する工程と、前記コア基板の表面および裏面の少なくとも一方に、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層を形成する工程と、上記コア基板に充填された穴埋め材およびビルドアップ層を厚み方向に沿って貫通する貫通孔を形成する工程と、該貫通孔の内壁面に対し、一方の開口部から有機系または無機系材料を負圧を用いて塗布し、ほぼ円筒形のクラッドを形成する工程と、該クラッドの中心部を軸方向に貫通する中空部に、透明で且つ上記クラッドを形成する材料よりも高い屈折率の有機系または無機系材料を充填して、ほぼ円柱形のコアを形成することで、光導波路を形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0011】
これによれば、前記貫通孔のうち、コア基板の貫通部は、該コア基板を構成する材料よりも被削性に優れた穴埋め材を貫通し、且つ該貫通孔内に対し負圧を用いて前記有機系または無機系材料を充填するため、外周面が平滑で全体がほぼ円筒形であり、且つ均一な厚みのクラッドを確実に形成できる。更に、該クラッドの中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形の中空部に、これと相似形のコアを埋め込んで形成することにより、上記クラッドおよび該コアが内外2重の同心円で、且つ全体が円柱形を呈する光導波路を確実に形成できる。従って、前記光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくし、正確に送信ないし受信できる光導波路付き配線基板を確実に提供することが可能となる。
【0012】
尚、前記クラッドおよびコアを形成する有機系材料には、例えば、エポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ樹脂、フッ素化ポリイミドなどのポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオレフィン系樹脂などが、液状で適用される。更には、上述した樹脂が、重水素化、フッ素化、重水素フッ素化された樹脂であっても良い。
一方、クラッドおよびコアを形成する無機系材料としては、例えば、石英ガラスの粉末をバインダ樹脂に混入させたペースト材が使用される。
また、コア基板を貫通する前記通し孔は、断面が任意の形状で良く、その内壁面の表面粗さも何ら限定されない。
更に、前記穴埋め材は、ビルドアップ層の絶縁層を構成する樹脂と同等か、あるいは該樹脂よりも被削性に優れたものであれば良い。
加えて、前記光導波路を形成する工程の後に、該光導波路の両端面を平坦面に研磨する工程が施される。その際、光導波路の両端面は、前記ビルドアップ層の最外に位置するソルダーレジスト層、あるいは剥離可能な仮保護層と同時に同じレベルで研磨される。
【0013】
更に、本発明による第2の光導波路付き配線基板の製造方法(請求項4)は、絶縁材からなるコア基板に設けられた表面および裏面における少なくとも一方に、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層を形成する工程と、上記コア基板およびビルドアップ層の厚み方向に沿って、通し孔を形成する工程と、該通し孔に上記コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を充填する工程と、該穴埋め材に上記コア基板およびビルドアップ層の厚み方向に沿った貫通孔を形成する工程と、該貫通孔の内壁面に対し、一方の開口部から有機系または無機系材料を負圧を用いて塗布し、ほぼ円筒形のクラッドを形成する工程と、該クラッドの中心部を軸方向に貫通する中空部に、透明で且つ上記クラッドを形成する材料よりも高い屈折率の有機系または無機系材料を充填して、ほぼ円柱形のコアを形成することで、光導波路を形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。
これによれば、前記貫通孔は、コア基板およびビルドアップ層を貫通する通し孔内に充填された前記穴埋め材を全長に沿って貫通しているため、外周面が平滑で全体がほぼ円筒形であり且つ均一な厚みの前記クラッドを一層確実に形成できる。更に、該クラッドの中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形の中空部に、これと相似形のコアを形成することで、クラッドおよびコアが内外2重の同心円で、且つ全体が円柱形である光導波路を確実に形成できる。従って、前記光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくし、一層正確に送信ないし受信できる配線基板を確実に提供することが可能となる。
尚、前記光導波路を形成する工程の後に、該光導波路の両端面を平坦面に研磨する工程が施される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による一形態の光導波路付き配線基板の要部を示す断面図。
【図2】図1中の一点鎖線部分Xの模式的な部分拡大図。
【図3】図2中のY−Y線の矢視に沿った断面図。
【図4】異なる形態の光導波路付き配線基板の要部を示す断面図。
【図5】更に異なる形態の光導波路付き配線基板の要部を示す断面図。
【図6】本発明による第1の製造方法の一工程を示す概略の断面図。
【図7】図6に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図8】図7に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図9】図8に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図10】図9に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図11】図10に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図12】図11に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図13】図12に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図14】図13に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図15】図14に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図16】異なる形態の第1の製造方法における一工程を示す概略の断面図。
【図17】図16に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図18】図17に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図19】図18に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図20】図19に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図21】図20に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図22】図21に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図23】図22に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図24】本発明による第2の製造方法の一工程を示す概略の断面図。
【図25】図24に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図26】図25に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図27】図26に続く製造工程を示す概略の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明による一形態の光導波路付き配線基板1の要部を示す部分断面図、図2は、図1中の一点鎖線部分Xの模式的な拡大図、図3は、図2中のY−Y線の矢視に沿った模式的な断面図である。
光導波路付き配線基板1は、図1に示すように、表面3および裏面4を有するコア基板2と、該コア基板2の表面3および裏面4に形成されたビルドアップ層u1,u2と、該ビルドアップ層u1,u2および上記コア基板2を、これらの厚み方向に沿って貫通し、外側のクラッド11および内側のコア12からなる光導波路10と、を備えている。
上記コア基板2は、例えば、ビスマレイミド・トリアジン樹脂(以下、BT樹脂と称する:絶縁材)にシリカフィラなどの無機フィラを含有したものである。尚、コア基板2は、アルミナなどの高温焼成セラミック、あるいはガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックからなるものでも良い。
【0016】
前記コア基板2には、表面3と裏面4との間を貫通する複数のスルーホール5が形成され、該スルーホール5内には、Cuなどからなり且つほぼ円筒形を呈するスルーホール導体6と、その内側に充填された埋め込み樹脂7とが形成されている。該埋め込み樹脂7は、後述する穴埋め材8と同様な複合樹脂からなる。
また、上記コア基板2の表面3と裏面4とには、スルーホール導体6に接続され、Cuなどからなる配線層14,15が所定パターンで形成されている。
更に、前記ビルドアップ層u1,u2は、図1に示すように、例えば、エポキシ系樹脂からなる絶縁層r1〜r3、絶縁層r4〜r6と、これらの間に形成され、且つCuなどからなる配線層16〜21が所定パターンで形成されている。該配線層16〜21間および上記配線層14,15との間は、フィルドビア導体(以下、単にビア導体と称する)vによって、接続されている。
前記ビルドアップ層u1,u2の最外側には、前記とは異なるエポキシ系樹脂からなるソルダーレジスト層s1,s2が形成され、これらを貫通する凹部22,23には、前記配線層20,21の一部がパッドとして露出し、該パッド上には、外か世話面23,27よりも外側に突出するハンダバンプ24,25が形成されている。尚、スルーホール導体6、配線層14など、およびビア導体vは、Agでも良い。また、ハンダバンプ24,25は、Sn−Ag、Sn−Ag−Cu、Zn−Ag−Bi、Sn−Ag−Bi−Cu、Sn−Zn、Sn−Zn−Bi系などの低融点合金からなる。
【0017】
図1に示すように、コア基板2において、その表面3と裏面4との間を貫通する通し孔8には、図2,図3に示すように、エポキシ系樹脂jなどに粒径が0.1μm以上のCu(金属)粉末mを含有した導電性樹脂からなり、コア基板2を構成する前記複合材料よりも被削性に優れた穴埋め材9が充填されている。
上記Cu粉末mの粒径を0.1μm以上としたので、図2,図3に示すように、次述する貫通孔10を穿孔する際のドリル加工において、ドリルの外周面に当たるCu粉末mがその中間で容易に剪断されるため、内周面に凹凸のない貫通孔10が形成されている。尚、上記Cu粉末mの粒径が0.1μm未満になると、ドリルの外周面に当たった際に、Cu粉末mの全体が上記樹脂jから剥離し、貫通孔10の内周面に凹みを生じるおそれがあるので、好ましくない。
また、コア基板2内に位置する上記穴埋め材9と、ビルドアップ層u1,u2との厚み方向に沿って、これらを貫通する断面ほぼ円形の貫通孔10内には、外側のほぼ円筒形を呈するクラッド11と、その中心部を軸方向に沿って貫通し、且つほぼ円柱形を呈するコア12とが同心円状に配置された光導波路Lが形成されている。因みに、クラッド11の直径は、0.1mm以下(例えば、50μm)であり、長さは、0.2mm以上(例えば、0.4mm)である。
更に、図1に示すように、上方のビルドアップu1の外側面26上には、ハンダバンプ24と接続される光素子Cが実装可能とされ、該光素子C中の発光点cは、図1中の一点鎖線の矢印で示すように、光導波路Lにおけるコア12の中心部に光を発光可能としている。
【0018】
図4は、前記光導波路付き配線基板1の応用形態である光導波路付き配線基板1aの要部を示す部分断面図である。
光導波路付き配線基板1aは、図4に示すように、前記同様のコア基板2、ビルドアップ層u1,u2、および穴埋め材9などを有すると共に、クラッド11およびコア12からなる光導波路Lは、コア基板2内の穴埋め材9と、ビルドアップ層u1,u2の絶縁層r1〜r3、絶縁層r4〜r6とを、これらの厚み方向に沿って貫通する貫通孔10内に形成されている。
光導波路付き配線基板1aが前記光導波路付き配線基板1と相違するのは、光導波路10の軸方向の両端面が、ソルダーレジスト層s1,s2の外側面26,27よりもコア基板2側で且つ最外側の絶縁層r3,r6の中間に位置し、且つ凹部g1,g2の底面に露出している構造である。
【0019】
図5は、本発明による異なる形態の光導波路付き配線基板1bの要部を示す部分断面図である。
光導波路付き配線基板1bは、図5に示すように、前記同様のコア基板2、およびビルドアップ層u1,u2などを有すると共に、コア基板2およびビルドアップ層u1,u2の厚み方向に沿って貫通する通し孔8内に、前記同様の穴埋め材9が充填され、該穴埋め材9の内側に設けた貫通孔10内を、クラッド11およびコア12からなる光導波路Lが貫通している。
かかる光導波路付き配線基板1bでは、図5に示すように、通し孔8、穴埋め材9の両端面、貫通孔10、および光導波路Lの両端面が、ビルドアップ層u1,u2の最外側に位置するソルダーレジスト層s1,s2の外側面26,27に、それぞれ面一で露出している。
【0020】
以上のような光導波路付き配線基板1,1a,1bによれば、前記光導波路Lは、少なくとも前記コア基板2内に貫通して形成され、該コア基板2よりも被削性に優れた穴埋め材9を貫通しているので、外周面が平滑であり全体がほぼ円筒形で且つ均一な厚みのクラッド11と、その中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形のコア12となっている。特に、光導波路付き配線基板1bでは、コア基板2およびビルドアップ層u1,u2の厚み方向に沿って貫通する通し孔8内に充填された穴埋め材9の内側を、光導波路10が貫通しているため、その形状が高い精度により作成されている。そのため、クラッド11の外周面や、該クラッド11とコア12との境界面には、不用意な凹凸が皆無となる。従って、外部の配線基板などとの間に配線された光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくして、正確に受信したり、逆に送信することが可能となる。
【0021】
ここで、前記光導波路付き配線基板1を得る第1の製造方法について説明する。
先ず、図6に示すように、シリカフィラなどの無機フィラを含有するBT樹脂(絶縁材)からなるコア基板2に設けられた表面3と裏面4との間の厚み方向に沿って、ドリル加工あるいはレーザ加工によって、複数のスルーホール5と、これよりも大きな内径の通し孔8とを貫通させた。
次に、所要の位置にマスキングを被覆するか、あるいはメッキ用レジストを形成した後、上記スルーホール5の内壁面およびコア基板2の表面3および裏面4におけるスルーホール5の開口部の周辺部に対し、Pdを含むメッキ触媒を塗布し、更に無電解銅メッキおよび電解銅メッキを施した。その後、上記マスキングなどを除去した。
その結果、図7に示すように、スルーホール5の内壁面に沿って、Cuからなり且つほぼ円筒形のスルーホール導体6が形成され、且つ表面3および裏面4には、スルーホール導体6の両端と接続された導体部14a,15aが形成された。
【0022】
更に、図8に示すように、スルーホール導体6に囲まれた中空部7aと、通し孔8とに対し、粒径が0.1μm以上のCu粉末を約40〜50体積%含有した樹脂からなり、コア基板2よりも被削性に優れた埋め込み樹脂7と、穴埋め材9とを個別に充填した。尚、埋め込み樹脂7と穴埋め材9とには、異なる樹脂を用いても良いし、一方または双方に導電性を有する樹脂を適用しても良い。
次いで、所要の位置にマスキングなどを被覆した後、図9に示すように、コア基板2の表・裏面3,4に位置する導体部14a,15aと、これらに囲まれた埋め込み樹脂7の端面とに対し、前記同様の電解銅メッキによる蓋メッキを施すことによって、コア基板2の表・裏面3,4に配線層14,15を形成した。
尚、以上の各工程は、予め、表・裏面3,4の全面に銅箔が貼り付けられたコア基板2に対し、前記同様にスルーホール5および通し孔8を穿孔し、表・裏面3,4の銅箔上と、スルーホール5および通し孔8の内壁面とに対し、前記同様の電解銅メッキなどを施して、上記銅箔を含む表・裏面導体層、スルーホール導体7、および通し孔8の内壁面に沿った筒形導体を形成し、更に、前記同様に埋め込み樹脂7および穴埋め材9を充填した後、所定パターンのエッチングにより配線層14,15を形成する方法で行っても良い。
【0023】
次に、前記スルーホール導体7、埋め込み材9、配線層14,15などが形成されたコア基板2の表面3および裏面4の上方に、エポキシ系樹脂からなるドライフイルムの圧着および加熱・硬化による絶縁層r1〜r3およびソルダーレジスト層s1、絶縁層r4〜r6およびソルダーレジスト層s2を順次形成した。更に、これらに対し、公知のフォトリソグラフィ技術(フルアディティブ法、セミアディティブ法、サブトラクティブ法など)を施して、絶縁層r1〜r3,ソルダーレジスト層s1間に位置する所定パターンの配線層16,18,20と、絶縁層r4〜r6,ソルダーレジスト層s2間に位置する所定パターンの配線層17,19,21と、これらの間および前記配線層との間を接続するビア導体vとを形成した。尚、上記ソルダーレジスト層s1,s2の厚みは、目標とする設計値よりも若干厚い約40μmとした。
その結果、図10に示すように、コア基板2の表面3に、絶縁層r1〜r3,ソルダーレジスト層s1と、配線層16,18,20とを備えたビルドアップ層u1が形成され、コア基板2の裏面4に、絶縁層r4〜r6,ソルダーレジスト層s2と、配線層16,18,20とを備えたビルドアップ層u2が形成された。
尚、前記工程では、最外層のソルダーレジスト層s1,s2に、最外側の配線層20,21の一部を底面に露出させる凹部22,23が併せて形成された。
【0024】
次いで、図11に示すように、コア基板2内の通し孔8に充填された穴埋め材9のほぼ中央部と、該穴埋め材9の上下に位置するビルドアップ層u1,u2とを、厚み方向に沿って貫通するように、ドリル加工によって、断面円形の貫通孔10を形成した。この際、貫通孔10の内壁面は、コア基板2よりも被削性に優れた穴埋め材9を貫通しているため、該穴埋め材9を貫通する部分では、断面がほぼ真円形となっていた。
即ち、穴埋め材9は、前記樹脂j中に粒径が0.1μm以上のCu粉末mを含有しているため、シリカフィラを含有するコア基板2よりも、ドリルによる孔明け加工に際し、抵抗が少ないと共に、ドリルの外周面に当たるCu粉末mを中間で容易に剪断できた故である。尚、ビルドアップ層u1,u2の絶縁層r1〜r6,ソルダーレジスト層s1,s2は、コア基板2に比べて被削性に優れているため、これらを貫通する貫通孔10の内壁面も、上記と同様であった。
【0025】
更に、図12に示すように、ビルドアップ層u1,u2上に、メタルマスク30,31を個別に配置した。この際、前記貫通孔10の両端の開口部を囲むような位置に、貫通孔10の内径よりも大きな内径のガイド孔hが位置するように、メタルマスク30,31を配置した。引き続き、ビルドアップ層u1およびメタルマスク30の上方の圧力P1に対し、ビルドアップ層u2およびメタルマスク31の下方の圧力P2を小さくし、図12中の白抜きの矢印で示すように、後者側を負圧雰囲気の状態(真空、あるいは大気圧よりも低い圧力の雰囲気:約20kPa)とした。
かかる状態で、図12に示すように、メタルマスク30の上面に、液状で透明あるいは半透明のエポキシ系樹脂(有機系材料)11aを配置し、メタルマスク30の上面にスキージ32をスライドさせて、上記樹脂11aを貫通孔10内に吸引しつつ充填した後、更に加熱して硬化させた。その結果、図示のように、貫通孔10の内壁面に沿って、外周面が平滑なほぼ円柱形で且つ均一な厚みを有し、全体がほぼ円筒形を呈するクラッド11が形成された。尚、クラッド11を貫通孔10内に均一な厚みで形成するには、その直径、前記樹脂11aの粘度、および前記負圧となる圧力差(P1−P2)を、制御することにより可能である。
【0026】
更に、前記メタルマスク30,31を除去した結果、図13に示すように、クラッド11の軸方向の両端には、前記ガイド孔hに倣った上下一対のフランジ11bが残留していた。
次に、前記同様の一対のメタルマスクを、そのガイド孔がクラッド11の上記各フランジ11bを囲むように配置し、クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通する中空部に、前記同様のスキージなどを用いて、透明で且つクラッド11を形成した前記樹脂11aよりも高い屈折率を有し、且つ液状のエポキシ系樹脂(有機系材料)を充填し後、更に加熱して硬化させた。
その結果、図14に示すように、クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形のコア12が形成された。尚、該コア12の両端部には、クラッド11の各フランジ11bに囲まれた太径部12aが外側に若干突出していた。また、前記エポキシ系液状の樹脂を充填する際に、かかる樹脂液が各フランジ11bを乗り越えて外側に流れ出さないように留意することが肝要である。
【0027】
次いで、図14中に示す上下一対の波線に沿ったレベルまで、ソルダーレジスト層s1,s2と、クラッド11およびコア12の両端部とを、ベルトサンダーあるいはグラインダなどを用いる研磨して除去した。
その結果、図15に示すように、両端の前記フランジ11bおよび太径部12aが除去され、円筒形のクラッド11と円柱形のコア12とが平面視で同心円状に配置され、且つ両端面が平坦に研磨された光導波路Lが形成された。同時に、ソルダーレジスト層s1,s2は、目標値の約20μmの厚みとなった。
その後、図15に示すように、ソルダーレジスト層s1,s2に開設された凹部22,23の底面に露出する配線層20,21の表面の一部であるパッド20a,21a上に、前記ハンダバンプ24,25を形成することで、前記図1に示した光導波路付き配線基板1を製造することができた。
更に、かかる光導波路付き配線基板1の外側面26上に前記光素子Cを配置し、その外部接続端子をハンダバンプ24,25と接続すると共に、光導波路Lの上端面に光素子C側の発光点cを対向させつつ実装することで、光導波路Lを通じて外部との光信号による正確な送・受信が可能となった。
【0028】
次に、前記光導波路付き配線基板1aを得るための異なる形態の第1の製造方法を、以下において説明する。
予め、図16に示すように、前記同様に通し孔8に穴埋め材9が充填され、且つスルーホール5にスルーホール導体6が形成されたコア基板2の表・裏面3,4に、前記同様の絶縁層r1,r2、絶縁層r4,r5と、配線層16,18、配線層17,19と、これらの間に位置するビア導体vとを形成した。更に、最外層の絶縁層r2,r5の上に、例えば、感光性のアクリル系、あるいはエポキシ系樹脂からなり、且つ剥離可能な仮保護層p1,p2を形成した。
次に、図17に示すように、コア基板2内の通し孔8に充填された穴埋め材9のほぼ中央部と、該穴埋め材9の上下に位置するビルドアップ層u1,u2の絶縁層r1〜r4および仮保護層p1,p2とを、厚み方向に沿って貫通するようにドリル加工によって、断面円形の貫通孔10を形成した。この際、貫通孔10の内壁面のうち、少なくとも穴埋め材9を貫通する部分では、断面がほぼ真円形となっており、ビルドアップ層u1,u2の内壁面でも同様となっていた。
【0029】
次いで、前記同様に、ビルドアップ層u1の上方の圧力に対し、ビルドアップ層u2の下方の圧力を小さくして、後者側を負圧とし、且つ前記同様の一対のメタルマスクおよびスキージを用いて、液状で透明あるいは半透明のエポキシ系の樹脂(11a)を、吸引しつつ貫通孔10の内壁面に沿って充填し、更に加熱して硬化させた。その後、一対の上記メタルマスクを除去した。
その結果、図18に示すように、貫通孔10の内壁面に沿って、外周面が平滑なほぼ円柱形で且つ均一な厚みを有し、全体がほぼ円筒形を呈するクラッド11が形成され、且つその軸方向の両端には、上下一対のフランジ11bが残った。
更に、クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通する中空部に、前記同様のスキージなどを用いて、透明で且つクラッド11を形成した前記樹脂(11a)よりも高い屈折率を有し、且つ液状のエポキシ系樹脂を充填し、更に加熱して硬化させた。その結果、図19に示すように、クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形のコア12と、その両端に位置する太径部12aとが形成された。
【0030】
次に、図19中に示す上下一対の波線に沿ったレベルまで、仮保護層p1,p2と、クラッド11およびコア12の両端部とを、ベルトサンダーなどを用いて研磨して除去した。その結果、図20に示すように、両端の前記フランジ11bおよび太径部12aが除去され、円筒形のクラッド11と円柱形のコア12とが平面視で同心円状に配置され、且つ両端面が平坦に研磨された光導波路Lが形成された。同時に、残った仮保護層p1,p2は、当初の厚みよりも薄肉となった。
次いで、上記仮保護層p1,p2に対し、アミン系溶液からなるエッチング(現像)液を接触させて、図21に示すように、仮保護層p1,p2を剥離した。
更に、光導波路Lの両端面をマスキングした状態で、図22に示すように、絶縁層r2,r5の上に絶縁層r3,r5を形成し、前記同様にしてこれらを貫通するビア導体vと、これらの上方に接続する配線層20,21と、を形成した。
【0031】
そして、図23に示すように、絶縁層r3,r5の上に前期同様のソルダーレジスト層s1,s2を形成した後、該ソルダーレジスト層s1,s2に凹部22,23を形成して、その底面に配線層20,21の一部であるパッド20a,21。aを露出させた。尚、光導波路Lの両端面をマスキングを除去すると、光導波路Lの両端面は、ソルダーレジスト層s1,s2の外側面26,27よりも、コア基板2側である凹部g1,g2の底面に位置していた。
その後、上記パッド20a,21a上に、前記ハンダバンプ24,25を形成することで、前記図4に示した光導波路付き配線基板1aを製造できた。
更に、光導波路付き配線基板1aの外側面26上に前記光素子Cを配置し、光導波路Lの上端面に該光素子C側の発光点cを対向させつつ実装することで、光導波路Lを通じて外部への伝送が可能となった。
【0032】
以上のような光導波路付き配線基板1,1aを得るための第1の製造方法によれば、前記貫通孔10のうち、コア基板2の貫通部は、該コア基板2を構成する材料よりも被削性に優れた穴埋め材9を貫通し、且つ該貫通孔9内に対し負圧を用いて前記樹脂11aを充填しているため、外周面が平滑であり全体がほぼ円筒形であり且つ均一な厚みのクラッド11を確実に形成できた。更に、該クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形の中空部に、これと相似形のコア12を充填することで、クラッド11およびコア12が内外2重の同心円で配置され、全体が円柱形を呈する光導波路Lを確実に形成できた。従って、外部の光ファイバからの光信号を送信ロスを少なくし、正確に受信したり、逆に送信できる光導波路付き配線基板1,1aを確実に提供することが可能となった。
更に、前記仮保護層p1,p2を用いた後、これを剥離する異なる形態の製造方法では、ビルドアップ層u1,u2の最外側に位置するソルダーレジスト層s1の表面(外側面)26が研磨されていないため、該表面26と前記ハンダバンプ24,25の上方に追って実装される光素子Cの底面との間に、充填するアンダーフィル材の充填を容易に行うことも可能となった。
【0033】
次いで、光導波路付き配線基板1bを得るための本発明による第2の製造方法を、以下に説明する。
先ず、前記同様にして、図24に示すように、コア基板2にスルーホール5、およびスルーホール導体6を形成し、該コア基板2の表面3および裏面4に、前記同様の配線層14,15、絶縁層r1〜r3,ソルダーレジスト層s1、あるいは絶縁層r4〜r6,ソルダーレジスト層s2を形成し、これらの間および内部に配線層16,18,20、ビア導体v、あるいは配線層17,19,21、ビア導体vを形成して、ビルドアップ層u1,u2を形成した。ソルダーレジスト層s1,s2には、凹部22,23を形成し、その底面に配線層20,21の一部であるパッド20a,21aを露出させた。尚、ソルダーレジスト層s1,s2は、目標値よりも厚く形成しても良い。
次いで、図24に示すように、コア基板2およびビルドアップ層u1,u2に対し、これらの厚み方向に沿って、ドリル加工による通し孔8を形成した。
次に、図25に示すように、上記通し孔8内に、前記同様の穴埋め材9を充填した。
【0034】
更に、図26に示すように、穴埋め材9のほぼ中央部を、厚み方向に沿って貫通するように、ドリル加工によって、断面円形の貫通孔10を形成した。この際、貫通孔10の内壁面は、コア基板2よりも被削性に優れた穴埋め材9を貫通しているため、断面がほぼ真円形となっていた。
次いで、ビルドアップ層u1の上方の圧力に対し、ビルドアップ層u2の下方の圧力を小さくして、後者側を負圧とし、且つ前記同様の一対のメタルマスクおよびスキージを用い、液状で透明あるいは半透明のエポキシ系の樹脂(11a)を、吸引しつつ貫通孔10の内壁面に沿って充填し、更に加熱・硬化した。
【0035】
その結果、図27に示すように、貫通孔10の内壁面に沿って、外周面が平滑であり、ほぼ円柱形で且つ均一な厚みを有し、全体がほぼ円筒形を呈するクラッド11が形成された。
次に、該クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通する中空部に、前記同様のスキージなどを用いて、透明で且つクラッド11を形成した前記樹脂(11a)よりも高い屈折率を有し、且つ液状のエポキシ系樹脂を充填し、更に加熱して硬化させた。
その結果、図27に示すように、クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通する円柱形のコア12が形成されると共に、クラッド11およびコア12が内外2重の同心円で配置され、且つ全体が円柱形の光導波路Lが形成された。
次いで、ソルダーレジスト層s1,s2の表層を研磨すると同時に、光導波路Lの両端面をも平坦面に研磨できた。
【0036】
更に、前記パッド20a,21a上に、前記ハンダバンプ24,25を形成することによって、前記図6で示した光導波路付き配線基板1bが得られた。
そして、光導波路付き配線基板1bの外側面26上に前記光素子Cを配置し、光導波路Lの上端面に該光素子C内の発光点cを対向させつつ実装することで、光導波路Lを通じて外部への伝送が可能となった。
以上のような光導波路付き配線基板1bを得るための第2の製造方法によれば、前記貫通孔10は、コア基板2およびビルドアップ層u1,u2を貫通する通し孔8に充填された前記穴埋め材9を、その全長に沿って断面ほぼ真円形にて貫通しているため、外周面が平滑であり、全体がほぼ円筒形であり且つ均一な厚みの前記クラッド11を一層確実に形成できた。更に、該クラッド11の中心部を軸方向に沿って貫通するほぼ円柱形の中空部に、これと相似形のコア12を形成することで、クラッド11およびコア12が内外2重の同心円で且つ全体が円柱形の光導波路Lを確実に形成できた。従って、外部との間に配線された光ファイバとの光信号を送信ロスを少なくし、一層正確に送信ないし受信できる光導波路付き配線基板1bを確実に提供することが可能となった。
【0037】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記コア基板は、エポキシ系樹脂、ポリイミド樹脂、あるいはフッ素系樹脂などに、ガラス繊維、ガラス織布、あるいはポリイミド繊維を混入した有機系の複合材料からなるものとしても良い。
また、前記コア基板は、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどの高温焼成セラミック、あるいは、ガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックのような無機系材料からなるものとしても良い。
更に、本発明の光導波路付き配線基板は、ビルドアップ層を、コア基板の表面または裏面の何れか一方のみに形成した形態としても良い。
【0038】
また、前記光導波路Lは、前記有機系材料からなるものに限らず、透明な石英ガラスなどの無機系材料からなるものとしたり、これらが互いに屈折率が異なる無機系材料からなるものの組み合わせを用いても良い。
更に、前記コア基板2内に形成した1個の穴埋め材9に対し、2つの以上の貫通孔10および光導波路Lを並列に形成しても良い。
また、前記パッド20a,21a上には、導体からなるボールをハンダ付けしたり、あるいは裏面側のパッド21a上には、導体ピンの太径部をハンダ付けしても良い。
加えて、前記光導波路付き配線基板の製造方法は、多数個取りによって行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、コア基板およびビルドアップ層を含み、これらをその厚み方向に沿って断面ほぼ真円形で貫通する光導波路を備えた光導波路付き配線基板、および該配線基板を確実に製造できる製造方法を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1,1a,1b…光導波路付き配線基板
2…………………コア基板
3…………………表面
4…………………裏面
8…………………通し孔
9…………………穴埋め材
10………………貫通孔
11………………クラッド
11a……………エポキシ系樹脂(有機系材料)
12………………コア
16〜21………配線層
r1〜r6………絶縁層
s1,s2………ソルダーレジスト層(絶縁層)
u1,u2………ビルドアップ層
L…………………光導波路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材からなり、表面および裏面を有するコア基板と、
上記コア基板の表面および裏面の少なくとも一方に形成され、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層と、
上記コア基板およびビルドアップを厚み方向に沿って貫通し、クラッドおよびコアからなる光導波路と、を備え、
上記光導波路は、少なくとも上記コア基板内に形成され、該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を貫通している、
ことを特徴とする光導波路付き配線基板。
【請求項2】
前記光導波路は、前記コア基板および前記ビルドアップ層を貫通する通し孔内に形成された前記穴埋め材を貫通している、
ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路付き配線基板。
【請求項3】
絶縁材からなるコア基板に設けられた表面と裏面との間を貫通する通し孔に、該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を充填する工程と、
上記コア基板の表面および裏面の少なくとも一方に、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層を形成する工程と、
上記コア基板に充填された穴埋め材およびビルドアップ層を厚み方向に沿って貫通する貫通孔を形成する工程と、
上記貫通孔の内壁面に対し、一方の開口部から有機系または無機系材料を負圧を用いて塗布し、ほぼ円筒形のクラッドを形成する工程と、
上記クラッドの中心部を軸方向に貫通する中空部に、透明で且つ上記クラッドを形成する材料よりも高い屈折率の有機系または無機系材料を充填して、ほぼ円柱形のコアを形成することで、光導波路を形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする光導波路付き配線基板の製造方法。
【請求項4】
絶縁材からなるコア基板に設けられた表面および裏面における少なくとも一方に、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層を形成する工程と、
上記コア基板およびビルドアップ層の厚み方向に沿って、通し孔を形成する工程と、
上記通し孔に上記コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を充填する工程と、
上記穴埋め材に上記コア基板およびビルドアップ層の厚み方向に沿った貫通孔を形成する工程と、
上記貫通孔の内壁面に対し、一方の開口部から有機系または無機系材料を負圧を用いて塗布し、ほぼ円筒形のクラッドを形成する工程と、
上記クラッドの中心部を軸方向に貫通する中空部に、透明で且つ上記クラッドを形成する材料よりも高い屈折率の有機系または無機系材料を充填して、ほぼ円柱形のコアを形成することで、光導波路を形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする光導波路付き配線基板の製造方法。
【請求項1】
絶縁材からなり、表面および裏面を有するコア基板と、
上記コア基板の表面および裏面の少なくとも一方に形成され、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層と、
上記コア基板およびビルドアップを厚み方向に沿って貫通し、クラッドおよびコアからなる光導波路と、を備え、
上記光導波路は、少なくとも上記コア基板内に形成され、該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を貫通している、
ことを特徴とする光導波路付き配線基板。
【請求項2】
前記光導波路は、前記コア基板および前記ビルドアップ層を貫通する通し孔内に形成された前記穴埋め材を貫通している、
ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路付き配線基板。
【請求項3】
絶縁材からなるコア基板に設けられた表面と裏面との間を貫通する通し孔に、該コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を充填する工程と、
上記コア基板の表面および裏面の少なくとも一方に、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層を形成する工程と、
上記コア基板に充填された穴埋め材およびビルドアップ層を厚み方向に沿って貫通する貫通孔を形成する工程と、
上記貫通孔の内壁面に対し、一方の開口部から有機系または無機系材料を負圧を用いて塗布し、ほぼ円筒形のクラッドを形成する工程と、
上記クラッドの中心部を軸方向に貫通する中空部に、透明で且つ上記クラッドを形成する材料よりも高い屈折率の有機系または無機系材料を充填して、ほぼ円柱形のコアを形成することで、光導波路を形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする光導波路付き配線基板の製造方法。
【請求項4】
絶縁材からなるコア基板に設けられた表面および裏面における少なくとも一方に、複数の絶縁層およびこれらの間に位置する配線層を含むビルドアップ層を形成する工程と、
上記コア基板およびビルドアップ層の厚み方向に沿って、通し孔を形成する工程と、
上記通し孔に上記コア基板よりも被削性に優れた穴埋め材を充填する工程と、
上記穴埋め材に上記コア基板およびビルドアップ層の厚み方向に沿った貫通孔を形成する工程と、
上記貫通孔の内壁面に対し、一方の開口部から有機系または無機系材料を負圧を用いて塗布し、ほぼ円筒形のクラッドを形成する工程と、
上記クラッドの中心部を軸方向に貫通する中空部に、透明で且つ上記クラッドを形成する材料よりも高い屈折率の有機系または無機系材料を充填して、ほぼ円柱形のコアを形成することで、光導波路を形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする光導波路付き配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2013−54369(P2013−54369A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−233350(P2012−233350)
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【分割の表示】特願2008−256250(P2008−256250)の分割
【原出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【分割の表示】特願2008−256250(P2008−256250)の分割
【原出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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