説明

光導波路素子

【課題】リッジ型の光導波路を有する光導波路(SHG)素子の生産性を高める。
【解決手段】SHG素子6は、主面にリッジ型の光導波路7を有する導波路基板8と、導波路基板8の主面と反対側の対向面に接合された支持基板9とからなる光導波路素子であり、光導波路7の入射面15と出射面16を導波路基板8の主面に設けた構成とした。入射面15或いは出射面16には研削加工やポッティングによりレンズを一体成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッジ型の光導波路を有する光導波路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光導波路素子は、図5に示すように、光導波路素子1の上面1aにリッジ型の光導波路2が形成され、この光導波路2の端面となる側面1bに入射面3と出射面4が形成されている。また、入射面3および出射面4には光導波路の透過効率の劣化を抑制するため、それらの表面に反射防止膜5が形成される。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−232826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような光導波路素子1は、通常、ウエハレベルで多数個一括成形するため、光導波路素子1の側面1bに入射面3および出射面4が設けられていると、ウエハの個片分割後に反射防止膜5を形成しなければならず、生産工数の掛かる製造方法となっていた。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題を解決し、リッジ型の光導波路素子の生産性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するため本発明は、主面にリッジ型の光導波路を有する導波路基板と、導波路基板の主面と反対側の対向面に接合された支持基板とからなる光導波路素子において、光導波路の入射面と出射面を導波路基板の主面に設けた構造としたのである。
【発明の効果】
【0008】
この構成により、リッジ型の光導波路素子の生産性を向上させることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態のSHG素子を示す斜視図
【図2】同SHG素子のX−X断面図
【図3】同SHG素子のY−Y断面図
【図4】同SHG素子の製造方法を示す模式図
【図5】従来の光導波路素子を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図を用いて説明する。
【0011】
図1〜3はリッジ型の光導波路素子の一例であるSHG素子6を示したもので、図1はSHG素子の斜視図、図2は図1におけるX−X断面図、図3は図1におけるY−Y断面図を示したものである。
【0012】
そして、このSHG素子6は、上面8aにリッジ型の光導波路7を有する導波路基板8の下面8bに支持基板9を貼り合わせ、光導波路7の延伸方向に後述する分極反転領域10を周期的に配置した構造であり、この光導波路7を透過する光線を2倍波に変換するものである。
【0013】
なお、導波路基板8はマグネシウムをドープした5°Y−Cutニオブ酸リチウム基板を使用し、支持基板9はY−Cutニオブ酸リチウム基板を使用している。
【0014】
また、リッジ型の光導波路7には、図2、図3に示すように、光の散乱を抑制するため、酸化ケイ素からなるグラッド層11を設けるとともに、支持基板9とグラッド層11との間にギャップ12を設け樹脂13を充填した構成としている。
【0015】
なお、導波路基板8の上面8aに設けられたリッジ型の光導波路7の入射端部分7aおよび出射端部分7bには、それぞれ酸化ケイ素や酸化タンタルなどからなる反射ミラー14が設けてあり、この反射ミラー14の反射作用により光導波路7の入射面15および出射面16を、光導波路7の延出方向(図1におけるX−X方向)とは異なるSHG素子6の上面8aに配置した構成としている。なお、入射面15および出射面16には反射による透過効率の劣化を防止するため反射防止膜17を設けている。
【0016】
次に、このSHG素子6の製造方法について図4を用いて説明する。なお、図4において製造方法を分かり易く示すため、SHG素子6の内部に設けたグラッド層11は敢えて表示していない。
【0017】
先ず、導波路基板8を形成するウエハを用意し、このウエハの上面に櫛型アルミ電極18を設けるとともに、ウエハの下面の略全面にアルミ電極19を形成し、櫛型アルミ電極18とアルミ電極19の間にパルス電界を印加して分極反転領域10を形成する。
【0018】
次に、アルカリ性のエッチング液に浸漬して櫛型アルミ電極18とアルミ電極19を除去し、ドライエッチングで分極反転領域10に沿うギャップ12を形成し、このギャップ12の表面にグラッド層11(図示せず)を形成する。
【0019】
次に、図2に示す光導波路7の入射端部分7aおよび出射端部分7bに相当する部分を含むようにV字状の溝20をダイシングにより形成し、その表面に反射ミラー14を構成する膜を形成する。
【0020】
そして、導波路基板8のギャップ12を設けた面に支持基板9を形成するウエハを接合し、導波路基板8と支持基板9に挟まれたギャップ12および溝20に樹脂13を充填し、その後、導波路基板8を形成するウエハの表面を所定の厚みとなるよう鏡面研磨する。
【0021】
次に、鏡面研磨したウエハの表面にドライエッチングによりリッジ21を形成し、このリッジ21における光導波路7の入射面15および出射面16に反射防止膜17を形成するとともに、残りの光導波路7の表面にグラッド層11を設け、その後、二点鎖線で示す部分でダイシングして個片分割する。
【0022】
以上のように、この製造方法によれば、SHG素子6の入射面15および出射面16をSHG素子6の主面に配置したことで、従来、個片分割後に行っていた反射防止膜17の成形工程を個片分割前のウエハレベルで行えるので生産工数を短縮できる。
【0023】
また、入射面15および出射面16を導波路基板8の主面に配置するにあたり、光導波路7の入射部分および出射部分に反射ミラー14を設ける構成は、上述したようにSHG素子6を成形する中で、導波路基板8の裏面にV字状の溝20を形成してその表面に反射膜を形成するという一般的な工程で容易に実現することができる。
【0024】
なお、この一実施形態では、光導波路素子の一例としてSHG素子6を挙げて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、リッジ型の光導波路7を有する光導波路素子において同様の効果を奏する。
【0025】
また、このような光導波路素子は、光源となる半導体レーザが楕円光束の発散光であることから、光源と入射面15との間に発散光を平行光に変化変換するコリメータレンズが配置され、出射面16の側には楕円形状を円形状に変換するビーム整形レンズが配置されることが多く、入射面15および出射面16がいずれも光導波路素子6の主面に設けられていることから、特に図示していないがウエハレベルでの成形段階で、入射面15或いは出射面16に研削加工やポッティングによりレンズを一体成形することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る光導波路素子の生産性を高めることができ、特に低価格化が求められる携帯機器に用いられる光導波路素子に有用となる。
【符号の説明】
【0027】
6 SHG素子(光導波路素子)
7 光導波路
8 導波路基板
9 支持基板
14 反射ミラー
15 入射面
16 出射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面にリッジ型の光導波路を有する導波路基板と、前記導波路基板の前記主面と反対側の対向面に接合された支持基板とからなり、前記光導波路の入射面と出射面を前記導波路基板の前記主面に設けたことを特徴とする光導波路素子。
【請求項2】
光導波路の入射端部分および前記光導波路の出射端部分に反射ミラーを設けた事を特徴とする請求項1に記載の光導波路素子。
【請求項3】
入射面にコリメータレンズを設けたことを特徴とする請求項1に記載の光導波路素子。
【請求項4】
出射面にビーム整形レンズを設けたことを特徴とする請求項1に記載の光導波路素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−141338(P2012−141338A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291937(P2010−291937)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】