光情報記録再生装置、光情報記録装置、光情報記録再生方法、光情報記録媒体
【課題】
ホログラムの記録時の環境により変化する最適なキュア時間を見積もり、リアルタイムでキュア時間を調整し、適切なプリキュアあるいはポストキュアを可能にする技術を提供する。
【解決手段】
光情報記録媒体にキュア光を照射する際に、光情報記録媒体からの透過光を検出器により検出し、検出される透過光の強度が所定の基準値を超えるまで照射し続けることで照射時間を調整する。
ホログラムの記録時の環境により変化する最適なキュア時間を見積もり、リアルタイムでキュア時間を調整し、適切なプリキュアあるいはポストキュアを可能にする技術を提供する。
【解決手段】
光情報記録媒体にキュア光を照射する際に、光情報記録媒体からの透過光を検出器により検出し、検出される透過光の強度が所定の基準値を超えるまで照射し続けることで照射時間を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを用いて光情報記録媒体に情報を記録あるいは再生する装置、方法、及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザを用いたBlu−ray Disc(TM)規格により、民生用においても100GB程度の記録密度を持つ光ディスクの商品化が可能となっている。今後は、光ディスクにおいても500GBを超える大容量化が望まれる。しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、従来の短波長化と対物レンズ高NA化による高密度化技術とは異なる新しい方式による高密度化技術が必要である。
【0003】
次世代のストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。ホログラム記録技術として、例えば特開2004−272268号公報(特許文献1)がある。本公報には、参照光の光情報記録媒体への入射角度を変えながら異なるページデータを空間光変調器に表示して多重記録を行う、いわゆる角度多重記録方式が記載されている。さらに本公報には、信号光をレンズで集光してそのビームウエストに開口(空間フィルタ)を配することにより、隣接するホログラムの間隔を短くする技術が記載されている。また、ホログラム記録技術として、例えばWO2004−102542号公報(特許文献2)がある。本公報には、1つの空間光変調器において内側の画素からの光を信号光、外側の輪帯状の画素からの光を参照光として、両光束を同じレンズで光情報記録媒体に集光し、レンズの焦点面付近で信号光と参照光を干渉させてホログラムを記録するシフト多重方式を用いた例が記述されている。
【0004】
また、例えば特開平6−84762号公報(特許文献3)には、「ホログラム記録時において、参照光18、物体光28とは波長の異なるモニタ光40をプリズム16に対して斜めから入射させホログラム記録媒体17に照射する。ホログラム記録媒体17内面で反射されたモニタ光40の一部は形成されたホログラムで回折され、回折されなかったモニタ光40はホログラム記録媒体17を透過してプリズム16の反対側の斜面から射出されて検出器31で検出される。モニタ光40の回折光又は非回折光の少なくとも一方を検出することにより、ホログラムの記録状態が検知され、これに基づいて露光条件を最適化できる」と記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−272268号公報
【特許文献2】WO2004−102542号公報
【特許文献3】特開平6−84762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ホログラムの情報記録時はキュアと呼ばれる前露光処理あるいは後露光処理が必要であるが、最適なキュア時間は情報記録時の環境により変化するため最適なキュアを行うことは難しく、ホログラフィックメモリの実用化の課題となっている。
【0007】
特許文献3では、情報をホログラフィックメモリに記憶する装置におけるキュア処理については何ら考慮されておらず、特に前露光処理については何ら考慮されていない。
【0008】
本発明の目的は、情報記録時にキュア時間をリアルタイムで調整し、最適なキュアを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記発明が解決しようとする課題は、特許請求の範囲に記載の発明により解決することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前露光処理時はキュア時間をリアルタイムで調整することにより、記録時の環境によらず適切なキュアを行うことが可能となる。あるいは、後露光処理時には、余分なキュア時間を削減すること、及び不十分なキュアを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】動作の実施例を示すフローチャート(実施例1)
【図2】光情報記録再生装置の実施例を表す構成図
【図3】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す図(記録時)
【図4】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す図(再生時)
【図5】光情報記録再生装置の動作フローの実施例を表す図
【図6】光情報記録媒体での累積露光エネルギーと累積再生光量の例を表す概略図(実施例1)
【図7】光情報記録再生装置内のディスクキュア光学系の実施例を表す図(実施例1)
【図8】光情報記録再生装置内のディスクキュア光学系の実施例を表す図(実施例2)
【図9】キュア露光時間と透過光量の関係の例を表す概略図(実施例3)
【図10】動作の実施例を示すフローチャート(実施例3)
【図11】光情報記録媒体の実施例を表す図(実施例4)
【図12】光情報記録再生装置の実施例を表す構成図(実施例4)
【図13】光情報記録再生装置内の情報再生回路の実施例を表す構成図(実施例4)
【図14】光情報記録媒体の実施例を表す図(実施例5)
【図15】動作の実施例を示すフローチャート(実施例6)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。
【0013】
図2は、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録及び/または再生する光情報記録媒体の記録再生装置の構成例を示すブロック図である。
【0014】
光情報記録再生装置10は、ピックアップ11、位相共役光学系12、ディスクキュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及び回転モータ50を備えており、光情報記録媒体1は回転モータ50によって回転可能な構成となっている。
【0015】
ピックアップ11は、参照光と信号光を光情報記録媒体1に出射してホログラフィを利用してデジタル情報を光情報記録媒体に記録する役割を果たす。この際、記録する情報信号はコントローラ89によって信号生成回路86を介してピックアップ11内の空間光変調器に送り込まれ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0016】
光情報記録媒体1に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光の位相共役光を位相共役光学系12にて生成する。ここで位相共役光とは、入力光と同一の波面を保ちながら逆方向に進む光波のことである。位相共役光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出し、信号処理回路85によって信号を再生する。
【0017】
光情報記録媒体1に照射する参照光と信号光の照射時間は、ピックアップ11内のシャッタの開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0018】
ディスクキュア光学系13は、光情報記録媒体1のプリキュア及びポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前露光処理である。ポストキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後露光処理である。
【0019】
ディスク回転角度検出用光学系14は、光情報記録媒体1の回転角度を検出するために用いられる。光情報記録媒体1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介して光情報記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
【0020】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、ディスクキュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0021】
また、ピックアップ11、そして、ディスクキュア光学系13は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0022】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0023】
従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置10内に備えることが必要となる。
【0024】
また、ピックアップ11、ディスクキュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0025】
図3は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。光源201を出射した光ビームはコリメートレンズ202を透過し、シャッタ203に入射する。シャッタ203が開いている時は、光ビームはシャッタ203を通過した後、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子204によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(Polarization Beam Splitter)プリズム205に入射する。
【0026】
PBSプリズム205を透過した光ビームは、信号光206として働き、ビームエキスパンダ208によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク209、リレーレンズ210、PBSプリズム211を透過して空間光変調器212に入射する。
【0027】
空間光変調器212によって情報が付加された信号光は、PBSプリズム211を反射し、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、信号光は対物レンズ215によって光情報記録媒体1に集光する。
【0028】
一方、PBSプリズム205を反射した光ビームは参照光207として働き、偏光方向変換素子216によって記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー217ならびにミラー218を経由してガルバノミラー219に入射する。ガルバノミラー219はアクチュエータ220によって角度を調整可能のため、レンズ221とレンズ222を通過した後に光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
【0029】
このように信号光と参照光とを光情報記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、光情報記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを光情報記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー219によって光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0030】
以降、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
【0031】
図4は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ223によって角度調整可能なガルバノミラー224にて反射させることで、その位相共役光を生成する。
【0032】
この位相共役光によって再生された信号光は、対物レンズ215、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、信号光はPBSプリズム211を透過して光検出器225に入射し、記録した信号を再生することができる。
【0033】
図5は、光情報記録再生装置10における記録、再生の動作フローを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した記録再生に関するフローを説明する。
【0034】
図5(a)は、光情報記録再生装置10に光情報記録媒体1を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、図5(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、図5(c)は準備完了状態から光情報記録媒体1に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
【0035】
図5(a)に示すように媒体を挿入すると(401)、光情報記録再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別を行う(402)。
【0036】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する光情報記録媒体であると判断されると、光情報記録再生装置10は光情報記録媒体に設けられたコントロールデータを再生し(403)、例えば光情報記録媒体に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0037】
コントロールデータを再生した後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理(404)を行い、光情報記録再生装置10は、記録または再生の準備が完了する(405)。
【0038】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは図5(b)に示すように、まず記録するデータを受信して(411)、該データに応じた情報をピックアップ11内の空間光変調器に送り込む。
【0039】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて各種学習処理を事前に行い(412)、シーク動作(413)によりピックアップ11ならびにディスクキュア光学系13の位置を光情報記録媒体の所定の位置に配置する。
【0040】
その後、ディスクキュア光学系13から出射する光ビームを用いて所定の領域をプリキュアし(414)、ピックアップ11から出射する参照光と信号光を用いてデータを記録する(415)。
【0041】
データを記録した後は、必要に応じてデータをベリファイし(416)、ディスクキュア光学系13から出射する光ビームを用いてポストキュアを行う(417)。
【0042】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは図5(c)に示すように、光情報記録媒体から高品質の情報を再生できるように、必要に応じて各種学習処理を事前に行う(421)。その後、シーク動作(422)によりピックアップ11ならびに位相共役光学系12の位置を光情報記録媒体の所定の位置に配置する。
【0043】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を再生する(423)。
【0044】
以下の実施例の記述において、上述の動作と重複する部分については説明を省略する。また、キュアと記述した場合、プリキュアとポストキュアの両方を表現しているものとする。
【実施例1】
【0045】
本発明における第1の実施例について図1、図6、図7を用いて説明する。
【0046】
図6は、光情報記録媒体での累積露光エネルギーと累積再生光量の例を表す概略図である。縦軸は同一ブック中での各ページからの再生光量を合算した値、すなわち累積再生光量を表しており、横軸は光情報記録媒体への記録時の露光エネルギーの合算値、すなわち累積露光エネルギーを表している。本図においては、一例として異なる2つの光情報記録媒体での累積再生光量と累積露光エネルギーの結果を模式的に示している。一般的にホログラフィックメモリで使用されているフォトポリマーを用いた光情報記録媒体では、ある一定時間、光情報記録媒体に光を照射しなくては記録を行っても再生光が発生しない。ゆえに、ページ記録時には前処理として、ある一定時間光を光情報記録媒体に露光するプリキュアと呼ばれる処理を行う必要がある。このプリキュアに必要なエネルギーは光情報記録媒体により異なる。例えば、図6の場合には、媒体1ではE1のエネルギーのプリキュアが必要であり、媒体2ではE2のエネルギーのプリキュアが必要である。さらに、同一媒体であっても、記録時の温度や湿度等の環境の違いによってもプリキュアに必要なエネルギーは変化する。これらの違いに対処するために、プリキュア時には媒体の違いや温度等の環境の違いによりプリキュア時間を変える必要があるが、様々な環境の違いまで考慮したプリキュア時間を光情報記録再生装置に組み込むことは現実的に難しい。そこで、リアルタイムでプリキュア時間を調整する技術が必要であり、本発明はこのリアルタイムでのキュア時間の調整に関するものである。
【0047】
図7は、光情報記録再生装置内のディスクキュア光学系の実施例を表している。ディスクキュア光学系15は、キュア用光源301、コリメートレンズ302、開口303、レンズ304、レンズ305、光検出器306で構成されている。キュア用光源301から出射したレーザをコリメートレンズ302により並行光とし、その後開口303により所望の形状、大きさに規定する。その後、レンズ304及びレンズ305により形成した4f系により開口で規定された形状及び大きさの光が光情報記録媒体1に照射する。光情報記録媒体1から透過したキュア光を光検出器306により検出する。光検出器306で検出される透過光の強度は、時間と共に増加していく傾向がある。これは、露光を続けるにつれて、光情報記録媒体内のモノマーや感光剤が反応を続けて、モノマーや感光剤の数が減るため、光の吸収が減少するからである。本発明では、この透過光量の変化を利用し、プリキュア時間をリアルタイムで調整する。すなわち、光検出器306で検出される透過光の強度がある基準値になるまでキュア光の照射を続け、基準値を超えた際にレーザの照射を終了する。こうすることで、リアルタイムでプリキュアの状況を確認し、プリキュア時間を調整することが可能となる。なお、媒体毎の透過光強度の基準値は予め、ドライブに保存しておいても良いし、ドライブを制御する機器や光情報記録媒体自身に記録しておいても良い。
【0048】
図1は、本発明におけるプリキュア時の動作の実施例を示すフローチャートを示している。まず501によりプリキュア光を光情報記録媒体に照射する。その後、502により光情報記録媒体からの透過光を光検出器で検出する。その後、503により検出した透過光の強度が基準値以上かの判断を行う。透過光の強度が基準値以下の場合は、505によりプリキュア光の照射を継続し、502の動作に戻る。透過光の強度が基準値以上の場合は、504により光情報記録媒体へのプリキュア光の照射を終了する。
【0049】
本実施例では、光検出器としては2次元データの検出能力の有無は必須ではない為、Blu−ray Disc(TM)等で使用されているOEIC(Opto−Electronic Integrated Circuit)等の高速デバイスを使用できる。このため、高精度なプリキュア時間の調整が可能という利点がある。また、光情報記録再生装置がホログラフィックメモリとBlu−ray Disc(TM)等の従来型光ディスクの両方を記録再生可能な構成の場合は、従来型光ディスクの再生時に利用するOEICをキュア光の透過光の検出にも利用することが可能である。
【0050】
実施例中では特にプリキュアについて記述したが、本発明はポストキュアにおいても利用できるものでありプリキュアに限定されるものではない。プリキュアで実施した場合は、メディア毎のプリキュア時間の違いに対応可能なため記録品質を向上可能である。ポストキュアで実施した場合は、ポストキュアでの無駄な照射を削減可能な為、記録の高速化が可能になるという利点がある。また、不完全なポストキュアを防ぐことが可能なため、記録後のノイズ源となるモノマーの残留を防ぐことできるという利点がある。
【0051】
以降の実施例の説明において、本実施例と共通の部分は説明を省略する。
【実施例2】
【0052】
本発明における第2の実施例について図8を用いて説明する。
図8は、光情報記録再生装置内のディスクキュア光学系の実施例を表している。ディスクキュア光学系16は、キュア用光源301、コリメートレンズ302、開口303、レンズ304、レンズ305、ミラー307、ピックアップ11内の光検出器225で構成されている。キュア用光源301から出射したレーザをコリメートレンズ302により並行光とし、その後開口303により所望の形状、大きさに規定する。その後、レンズ304及びレンズ305により形成した4f系により開口で規定された形状及び大きさの光が光情報記録媒体1に照射する。光情報記録媒体1から透過したキュア光をミラー307により反射し、ピックアップ11内にある光検出器225に照射する。光検出器225で検出される透過光の強度は、時間と共に増加していく傾向がある。これは、露光を続けるにつれて、光情報記録媒体内のモノマーや感光剤が反応を続けて、モノマーや感光剤の数が減るため、光の吸収が減少するからである。本発明では、この透過光量の変化を利用し、プリキュア時間をリアルタイムで調整する。すなわち、光検出器225で検出される透過光の強度がある基準値になるまでキュア光の照射を続け、基準値を超えた際にレーザの照射を終了する。こうすることで、リアルタイムでプリキュアの状況を確認し、プリキュア時間を調整することが可能となる。なお、媒体毎の透過光強度の基準値は予め、ドライブに保存しておいても良いし、ドライブを制御する機器や光情報記録媒体自身に記録しておいても良い。
【0053】
本実施例では、ピックアップとディスクキュア光学系において光検出器を共有するため、部品数の削減及び装置の小型化が可能であるという利点がある。
【0054】
以降の実施例の説明において、本実施例と共通の部分は説明を省略する。
【実施例3】
【0055】
本発明における第3の実施例について図9、図10を用いて説明する。本実施例では、プリキュア終了の目安となる透過光強度の基準値をディスク記録前あるいは定期的に学習する技術について記述する。
【0056】
図9は、キュア露光時間と透過光量の関係の例を表す概略図である。例えば、プリキュア終了を示す透過光強度の基準値を学習する場合は、予めディスク上に学習用の記録領域を設けて置き、まずはこの学習用記録領域に移動する。その後、学習用記録領域においてキュア光を当てた場合の透過光の初期値I1及び、当て続けた場合の飽和値I2を検出する。飽和値I2の決定方法としては、例えば、透過光量Iのある時間dTでの変位量dI/dTが一定量以下となったときの光量IをI2とすれば良い。このとき、透過光量の基準値I‘は例えば下記の式(1)により決定することができる。
【0057】
I‘=(1−x/100)×I1+x/100×I2・・・(1)
ここで、xは全体の透過光量の変位に対する、透過光量Iの初期値I1から基準値I‘までの変位の割合を指定するものであり、光情報記録再生装置や光情報記録再生装置を制御する機器あるいは光情報記録媒体に予め保存していても良いし、記録時にユーザに入力させても良い。なお、透過量の基準値の決定方法は、上記の方法に限定されるものでは無く、例えば初期値I1からの透過光量Iの変位量dI/dTが一定量以上になった際の光量を基準値I’とする等の別の方法で算出しても構わない。
【0058】
図10は、本発明におけるプリキュア時の動作の実施例を示すフローチャートを示している。まず601によりプリキュア終了を示す透過光強度の基準値学習かの判断を行う。透過光強度の基準値学習では無い場合は、602により通常の記録再生を実行し、再び601の透過光強度の基準値学習かの判断に戻る。透過光強度の基準値学習の場合は、603により学習用領域にディスクを移動する。その後、604によりプリキュア光を光情報記録媒体に照射し、605により光情報記録媒体からの透過光を光検出器で検出する。606により、十分な時間プリキュア光を照射した後プリキュア光の照射を終了する。607により前述した方法で、最適な透過光強度の基準値を計算する。
【0059】
本実施例では、温度や湿度等の環境の違いによる媒体の透過率、吸収率の違いに対応することが可能であり、より環境変化への耐性を高められるという利点がある。
【0060】
以降の実施例の説明において、本実施例と共通の部分は説明を省略する。
【実施例4】
【0061】
本発明における第4の実施例について図11、図12を用いて説明する。
【0062】
図11は、光情報記録媒体の実施例を示している。本実施例では、光情報記録媒体1の例えば、内周部に情報記録領域2が設けられていることを特徴とする。情報記録領域2には、透過光強度の初期値や飽和値、キュア終了の目安となる基準値が保存されており、キュア実行時には後述の情報再生回路により、これらの値を参照することでキュア時間を調整する。キュア時間の調整方法については、前述の実施例1から3の方法を利用する。なお、情報記録領域の位置は、光情報記録媒体の内周部に限定されるものではなく、光情報記録媒体中に位置すれば任意の場所で構わない。また、実際のキュアの目安となる時間を情報記録領域2に記録しておいても構わない。情報記録領域2に透過光強度情報を保存する方法としては、Blu−ray Disc(TM)に代表される従来の光ディスクと同様にピットあるいは結晶性の違いにより保存しても良いし、ホログラフィを利用して保存しても良いし、バーコード等を利用して保存しても良い。
【0063】
図12は、光情報記録再生装置の実施例を表す構成図を、図13は光情報記録再生装置内の情報再生回路の実施例を示している。図2との構成の違いは、情報再生回路90が追加されている点である。キュア実行時は、コントローラ89からの指令を受けた情報再生回路90内のピックアップ92が光情報記録媒体1内に記録されている透過光強度情報の読み込みを行う。情報再生回路90は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる半径位置制御機構91が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。情報再生回路90はピックアップ92で再生した信号を信号処理回路93で処理した後、光源駆動信号生成回路で光源駆動回路82を制御する信号を生成し光源駆動回路82に本信号を送る。光源駆動回路82は本信号に基づいて、ディスクキュア光学系13内の光源の駆動時間を調整する。なお、その他の動作については、前述した図2の説明と同様であるので、説明を省略する。
【0064】
本実施例では、光情報記録媒体毎に透過光強度情報を持たせることが可能なため、な光情報記録媒体毎のキュア条件の違いに詳細に対応可能という利点がある。
【0065】
以降の実施例の説明において、本実施例と共通の部分は説明を省略する。
【実施例5】
【0066】
本発明における第5の実施例について図14を用いて説明する。
図14は、光情報記録媒体の実施例を示している。本実施例では、光情報記録媒体1を不必要な露光から防ぐための光情報記録媒体カートリッジ3内に情報記録回路4が設けられていることを特徴とする。
情報記録回路4には、透過光強度の初期値や飽和値、キュア終了の目安となる基準値が保存されており、キュア実行時には前述の情報再生回路により、これらの値を参照することでキュア時間を調整する。キュア時間の調整方法については、例えば前述の実施例1から3の方法を利用する。なお、情報記録領域の位置は、図中の位置に限定されるものではなく、光情報記録媒体カートリッジ内に位置すれば任意の場所で構わない。情報記録領域2に透過光強度情報を保存する方法としては、例えばRFID(Radio Frequency Identification)タグなどの無線通信可能なチップや、接触型の読み込みを行うICチップを利用する方法が考えられる。
【0067】
光情報記録再生装置としては、図12と同様の構成で実現できる。本実施例の場合は、情報再生回路90の位置調整は省略できるため、アクセス制御回路81と情報再生回路90との通信は省略できる。なお、RFIDを利用する場合、情報再生回路90はRFIDタグを読み取り可能なRFIDリーダで構成される必要があり、接触型ICチップを利用する場合、情報再生回路90は接触型ICチップを読み取り可能な機器であり、カートリッジ挿入時にICチップと接触する位置に配置する必要がある。
【0068】
本実施例では、光情報記録媒体の領域を透過光強度情報保存のためには使用しないため、記録領域を減少させる必要が無いという利点がある。また、透過光強度情報を読み取る際に、光情報記録媒体や情報再生回路の位置合わせ等の処理を行わなくても良いという利点がある。
【0069】
以降の実施例の説明において、本実施例と共通の部分は説明を省略する。
【0070】
なお、上記実施例で説明した実施形態は、以下のようにも表現できる。すなわち、ホログラフィックメモリに情報を記録する記録装置は、信号光と参照光を生成する光源と、この光源が生成する信号光に情報を付加する空間光変調器と、ホログラフィックメモリに前露光処理を施す露光処理用光源と、この露光処理用光源からの光であって、ホログラフィックメモリを透過する光を検出する検出器とを有しており、前露光処理は、検出器の検出結果に応じて制御することであっても良い。
【実施例6】
【0071】
本発明における第6の実施例について図15を用いて説明する。本実施例では、ポストキュアの際にもキュア光の透過光量を用いてキュア時間を調整する技術について記述する。
【0072】
図15は、本発明におけるポストキュア時の動作の実施例を示すフローチャートを示している。まず701によりプリキュア光を光情報記録媒体に照射する。その後、702により光情報記録媒体からの透過光を光検出器で検出する。その後、703により検出した透過光の強度が基準値以上かの判断を行う。透過光の強度が基準値以下の場合は、705によりポストキュア光の照射を継続し、702の動作に戻る。透過光の強度が基準値以上の場合は、704により光情報記録媒体へのポストキュア光の照射を終了する。
【0073】
本実施例では、ポストキュアでの無駄な照射を削減可能な為、記録の高速化が可能になるという利点がある。また、不完全なポストキュアを防ぐことが可能なため、記録後のノイズ源となるモノマーの残留を防ぐことできるという利点がある。
【符号の説明】
【0074】
1・・・光情報記録媒体、2・・・情報記録領域、
3・・・光情報記録媒体カートリッジ、4・・・情報記録回路、
10・・・光情報記録再生装置、11・・・ピックアップ、
12・・・位相共役光学系、13・・・ディスクキュア光学系、
14・・・ディスク回転角度検出用光学系、15・・・ディスクキュア光学系、
16・・・ディスクキュア光学系、17・・・光情報記録再生装置、
50・・・回転モータ、
81・・・アクセス制御回路、82・・・光源駆動回路、
83・・・サーボ信号生成回路、84・・・サーボ制御回路、
85・・・信号処理回路、86・・・信号生成回路、
87・・・シャッタ制御回路、88・・・ディスク回転モータ制御回路、
89・・・コントローラ、90・・・情報再生回路、
91・・・半径位置制御機構、92・・・ピックアップ、
93・・・信号処理回路、94・・・光源駆動信号生成回路、
201・・・光源、202・・・コリメートレンズ、203・・・シャッタ、
204・・・1/2波長板、205・・・偏光ビームスプリッタ、
206・・・信号光、207・・・参照光、
208・・・ビームエキスパンダ、209・・フェーズ(位相)マスク、
210・・・リレーレンズ、211・・・偏光ビームスプリッタ、
212・・・空間光変調器、213・・・リレーレンズ、
214・・・空間フィルタ、215・・・対物レンズ、
216・・・偏光方向変換素子、217・・・ミラー、
218・・・ミラー、219・・・ミラー、220・・・アクチュエータ、
221・・・レンズ、222・・・レンズ、223・・・アクチュエータ、
224・・・ミラー、225・・・光検出器、301・・・キュア用光源、
302・・・コリメートレンズ、303・・・開口、304・・・レンズ、
305・・・レンズ、306・・・光検出器、307・・・ミラー
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを用いて光情報記録媒体に情報を記録あるいは再生する装置、方法、及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザを用いたBlu−ray Disc(TM)規格により、民生用においても100GB程度の記録密度を持つ光ディスクの商品化が可能となっている。今後は、光ディスクにおいても500GBを超える大容量化が望まれる。しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、従来の短波長化と対物レンズ高NA化による高密度化技術とは異なる新しい方式による高密度化技術が必要である。
【0003】
次世代のストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。ホログラム記録技術として、例えば特開2004−272268号公報(特許文献1)がある。本公報には、参照光の光情報記録媒体への入射角度を変えながら異なるページデータを空間光変調器に表示して多重記録を行う、いわゆる角度多重記録方式が記載されている。さらに本公報には、信号光をレンズで集光してそのビームウエストに開口(空間フィルタ)を配することにより、隣接するホログラムの間隔を短くする技術が記載されている。また、ホログラム記録技術として、例えばWO2004−102542号公報(特許文献2)がある。本公報には、1つの空間光変調器において内側の画素からの光を信号光、外側の輪帯状の画素からの光を参照光として、両光束を同じレンズで光情報記録媒体に集光し、レンズの焦点面付近で信号光と参照光を干渉させてホログラムを記録するシフト多重方式を用いた例が記述されている。
【0004】
また、例えば特開平6−84762号公報(特許文献3)には、「ホログラム記録時において、参照光18、物体光28とは波長の異なるモニタ光40をプリズム16に対して斜めから入射させホログラム記録媒体17に照射する。ホログラム記録媒体17内面で反射されたモニタ光40の一部は形成されたホログラムで回折され、回折されなかったモニタ光40はホログラム記録媒体17を透過してプリズム16の反対側の斜面から射出されて検出器31で検出される。モニタ光40の回折光又は非回折光の少なくとも一方を検出することにより、ホログラムの記録状態が検知され、これに基づいて露光条件を最適化できる」と記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−272268号公報
【特許文献2】WO2004−102542号公報
【特許文献3】特開平6−84762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ホログラムの情報記録時はキュアと呼ばれる前露光処理あるいは後露光処理が必要であるが、最適なキュア時間は情報記録時の環境により変化するため最適なキュアを行うことは難しく、ホログラフィックメモリの実用化の課題となっている。
【0007】
特許文献3では、情報をホログラフィックメモリに記憶する装置におけるキュア処理については何ら考慮されておらず、特に前露光処理については何ら考慮されていない。
【0008】
本発明の目的は、情報記録時にキュア時間をリアルタイムで調整し、最適なキュアを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記発明が解決しようとする課題は、特許請求の範囲に記載の発明により解決することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前露光処理時はキュア時間をリアルタイムで調整することにより、記録時の環境によらず適切なキュアを行うことが可能となる。あるいは、後露光処理時には、余分なキュア時間を削減すること、及び不十分なキュアを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】動作の実施例を示すフローチャート(実施例1)
【図2】光情報記録再生装置の実施例を表す構成図
【図3】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す図(記録時)
【図4】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す図(再生時)
【図5】光情報記録再生装置の動作フローの実施例を表す図
【図6】光情報記録媒体での累積露光エネルギーと累積再生光量の例を表す概略図(実施例1)
【図7】光情報記録再生装置内のディスクキュア光学系の実施例を表す図(実施例1)
【図8】光情報記録再生装置内のディスクキュア光学系の実施例を表す図(実施例2)
【図9】キュア露光時間と透過光量の関係の例を表す概略図(実施例3)
【図10】動作の実施例を示すフローチャート(実施例3)
【図11】光情報記録媒体の実施例を表す図(実施例4)
【図12】光情報記録再生装置の実施例を表す構成図(実施例4)
【図13】光情報記録再生装置内の情報再生回路の実施例を表す構成図(実施例4)
【図14】光情報記録媒体の実施例を表す図(実施例5)
【図15】動作の実施例を示すフローチャート(実施例6)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。
【0013】
図2は、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録及び/または再生する光情報記録媒体の記録再生装置の構成例を示すブロック図である。
【0014】
光情報記録再生装置10は、ピックアップ11、位相共役光学系12、ディスクキュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及び回転モータ50を備えており、光情報記録媒体1は回転モータ50によって回転可能な構成となっている。
【0015】
ピックアップ11は、参照光と信号光を光情報記録媒体1に出射してホログラフィを利用してデジタル情報を光情報記録媒体に記録する役割を果たす。この際、記録する情報信号はコントローラ89によって信号生成回路86を介してピックアップ11内の空間光変調器に送り込まれ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0016】
光情報記録媒体1に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光の位相共役光を位相共役光学系12にて生成する。ここで位相共役光とは、入力光と同一の波面を保ちながら逆方向に進む光波のことである。位相共役光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出し、信号処理回路85によって信号を再生する。
【0017】
光情報記録媒体1に照射する参照光と信号光の照射時間は、ピックアップ11内のシャッタの開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0018】
ディスクキュア光学系13は、光情報記録媒体1のプリキュア及びポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前露光処理である。ポストキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後露光処理である。
【0019】
ディスク回転角度検出用光学系14は、光情報記録媒体1の回転角度を検出するために用いられる。光情報記録媒体1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介して光情報記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
【0020】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、ディスクキュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0021】
また、ピックアップ11、そして、ディスクキュア光学系13は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0022】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0023】
従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置10内に備えることが必要となる。
【0024】
また、ピックアップ11、ディスクキュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0025】
図3は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。光源201を出射した光ビームはコリメートレンズ202を透過し、シャッタ203に入射する。シャッタ203が開いている時は、光ビームはシャッタ203を通過した後、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子204によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(Polarization Beam Splitter)プリズム205に入射する。
【0026】
PBSプリズム205を透過した光ビームは、信号光206として働き、ビームエキスパンダ208によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク209、リレーレンズ210、PBSプリズム211を透過して空間光変調器212に入射する。
【0027】
空間光変調器212によって情報が付加された信号光は、PBSプリズム211を反射し、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、信号光は対物レンズ215によって光情報記録媒体1に集光する。
【0028】
一方、PBSプリズム205を反射した光ビームは参照光207として働き、偏光方向変換素子216によって記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー217ならびにミラー218を経由してガルバノミラー219に入射する。ガルバノミラー219はアクチュエータ220によって角度を調整可能のため、レンズ221とレンズ222を通過した後に光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
【0029】
このように信号光と参照光とを光情報記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、光情報記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを光情報記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー219によって光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0030】
以降、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
【0031】
図4は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ223によって角度調整可能なガルバノミラー224にて反射させることで、その位相共役光を生成する。
【0032】
この位相共役光によって再生された信号光は、対物レンズ215、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、信号光はPBSプリズム211を透過して光検出器225に入射し、記録した信号を再生することができる。
【0033】
図5は、光情報記録再生装置10における記録、再生の動作フローを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した記録再生に関するフローを説明する。
【0034】
図5(a)は、光情報記録再生装置10に光情報記録媒体1を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、図5(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、図5(c)は準備完了状態から光情報記録媒体1に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
【0035】
図5(a)に示すように媒体を挿入すると(401)、光情報記録再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別を行う(402)。
【0036】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する光情報記録媒体であると判断されると、光情報記録再生装置10は光情報記録媒体に設けられたコントロールデータを再生し(403)、例えば光情報記録媒体に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0037】
コントロールデータを再生した後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理(404)を行い、光情報記録再生装置10は、記録または再生の準備が完了する(405)。
【0038】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは図5(b)に示すように、まず記録するデータを受信して(411)、該データに応じた情報をピックアップ11内の空間光変調器に送り込む。
【0039】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて各種学習処理を事前に行い(412)、シーク動作(413)によりピックアップ11ならびにディスクキュア光学系13の位置を光情報記録媒体の所定の位置に配置する。
【0040】
その後、ディスクキュア光学系13から出射する光ビームを用いて所定の領域をプリキュアし(414)、ピックアップ11から出射する参照光と信号光を用いてデータを記録する(415)。
【0041】
データを記録した後は、必要に応じてデータをベリファイし(416)、ディスクキュア光学系13から出射する光ビームを用いてポストキュアを行う(417)。
【0042】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは図5(c)に示すように、光情報記録媒体から高品質の情報を再生できるように、必要に応じて各種学習処理を事前に行う(421)。その後、シーク動作(422)によりピックアップ11ならびに位相共役光学系12の位置を光情報記録媒体の所定の位置に配置する。
【0043】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を再生する(423)。
【0044】
以下の実施例の記述において、上述の動作と重複する部分については説明を省略する。また、キュアと記述した場合、プリキュアとポストキュアの両方を表現しているものとする。
【実施例1】
【0045】
本発明における第1の実施例について図1、図6、図7を用いて説明する。
【0046】
図6は、光情報記録媒体での累積露光エネルギーと累積再生光量の例を表す概略図である。縦軸は同一ブック中での各ページからの再生光量を合算した値、すなわち累積再生光量を表しており、横軸は光情報記録媒体への記録時の露光エネルギーの合算値、すなわち累積露光エネルギーを表している。本図においては、一例として異なる2つの光情報記録媒体での累積再生光量と累積露光エネルギーの結果を模式的に示している。一般的にホログラフィックメモリで使用されているフォトポリマーを用いた光情報記録媒体では、ある一定時間、光情報記録媒体に光を照射しなくては記録を行っても再生光が発生しない。ゆえに、ページ記録時には前処理として、ある一定時間光を光情報記録媒体に露光するプリキュアと呼ばれる処理を行う必要がある。このプリキュアに必要なエネルギーは光情報記録媒体により異なる。例えば、図6の場合には、媒体1ではE1のエネルギーのプリキュアが必要であり、媒体2ではE2のエネルギーのプリキュアが必要である。さらに、同一媒体であっても、記録時の温度や湿度等の環境の違いによってもプリキュアに必要なエネルギーは変化する。これらの違いに対処するために、プリキュア時には媒体の違いや温度等の環境の違いによりプリキュア時間を変える必要があるが、様々な環境の違いまで考慮したプリキュア時間を光情報記録再生装置に組み込むことは現実的に難しい。そこで、リアルタイムでプリキュア時間を調整する技術が必要であり、本発明はこのリアルタイムでのキュア時間の調整に関するものである。
【0047】
図7は、光情報記録再生装置内のディスクキュア光学系の実施例を表している。ディスクキュア光学系15は、キュア用光源301、コリメートレンズ302、開口303、レンズ304、レンズ305、光検出器306で構成されている。キュア用光源301から出射したレーザをコリメートレンズ302により並行光とし、その後開口303により所望の形状、大きさに規定する。その後、レンズ304及びレンズ305により形成した4f系により開口で規定された形状及び大きさの光が光情報記録媒体1に照射する。光情報記録媒体1から透過したキュア光を光検出器306により検出する。光検出器306で検出される透過光の強度は、時間と共に増加していく傾向がある。これは、露光を続けるにつれて、光情報記録媒体内のモノマーや感光剤が反応を続けて、モノマーや感光剤の数が減るため、光の吸収が減少するからである。本発明では、この透過光量の変化を利用し、プリキュア時間をリアルタイムで調整する。すなわち、光検出器306で検出される透過光の強度がある基準値になるまでキュア光の照射を続け、基準値を超えた際にレーザの照射を終了する。こうすることで、リアルタイムでプリキュアの状況を確認し、プリキュア時間を調整することが可能となる。なお、媒体毎の透過光強度の基準値は予め、ドライブに保存しておいても良いし、ドライブを制御する機器や光情報記録媒体自身に記録しておいても良い。
【0048】
図1は、本発明におけるプリキュア時の動作の実施例を示すフローチャートを示している。まず501によりプリキュア光を光情報記録媒体に照射する。その後、502により光情報記録媒体からの透過光を光検出器で検出する。その後、503により検出した透過光の強度が基準値以上かの判断を行う。透過光の強度が基準値以下の場合は、505によりプリキュア光の照射を継続し、502の動作に戻る。透過光の強度が基準値以上の場合は、504により光情報記録媒体へのプリキュア光の照射を終了する。
【0049】
本実施例では、光検出器としては2次元データの検出能力の有無は必須ではない為、Blu−ray Disc(TM)等で使用されているOEIC(Opto−Electronic Integrated Circuit)等の高速デバイスを使用できる。このため、高精度なプリキュア時間の調整が可能という利点がある。また、光情報記録再生装置がホログラフィックメモリとBlu−ray Disc(TM)等の従来型光ディスクの両方を記録再生可能な構成の場合は、従来型光ディスクの再生時に利用するOEICをキュア光の透過光の検出にも利用することが可能である。
【0050】
実施例中では特にプリキュアについて記述したが、本発明はポストキュアにおいても利用できるものでありプリキュアに限定されるものではない。プリキュアで実施した場合は、メディア毎のプリキュア時間の違いに対応可能なため記録品質を向上可能である。ポストキュアで実施した場合は、ポストキュアでの無駄な照射を削減可能な為、記録の高速化が可能になるという利点がある。また、不完全なポストキュアを防ぐことが可能なため、記録後のノイズ源となるモノマーの残留を防ぐことできるという利点がある。
【0051】
以降の実施例の説明において、本実施例と共通の部分は説明を省略する。
【実施例2】
【0052】
本発明における第2の実施例について図8を用いて説明する。
図8は、光情報記録再生装置内のディスクキュア光学系の実施例を表している。ディスクキュア光学系16は、キュア用光源301、コリメートレンズ302、開口303、レンズ304、レンズ305、ミラー307、ピックアップ11内の光検出器225で構成されている。キュア用光源301から出射したレーザをコリメートレンズ302により並行光とし、その後開口303により所望の形状、大きさに規定する。その後、レンズ304及びレンズ305により形成した4f系により開口で規定された形状及び大きさの光が光情報記録媒体1に照射する。光情報記録媒体1から透過したキュア光をミラー307により反射し、ピックアップ11内にある光検出器225に照射する。光検出器225で検出される透過光の強度は、時間と共に増加していく傾向がある。これは、露光を続けるにつれて、光情報記録媒体内のモノマーや感光剤が反応を続けて、モノマーや感光剤の数が減るため、光の吸収が減少するからである。本発明では、この透過光量の変化を利用し、プリキュア時間をリアルタイムで調整する。すなわち、光検出器225で検出される透過光の強度がある基準値になるまでキュア光の照射を続け、基準値を超えた際にレーザの照射を終了する。こうすることで、リアルタイムでプリキュアの状況を確認し、プリキュア時間を調整することが可能となる。なお、媒体毎の透過光強度の基準値は予め、ドライブに保存しておいても良いし、ドライブを制御する機器や光情報記録媒体自身に記録しておいても良い。
【0053】
本実施例では、ピックアップとディスクキュア光学系において光検出器を共有するため、部品数の削減及び装置の小型化が可能であるという利点がある。
【0054】
以降の実施例の説明において、本実施例と共通の部分は説明を省略する。
【実施例3】
【0055】
本発明における第3の実施例について図9、図10を用いて説明する。本実施例では、プリキュア終了の目安となる透過光強度の基準値をディスク記録前あるいは定期的に学習する技術について記述する。
【0056】
図9は、キュア露光時間と透過光量の関係の例を表す概略図である。例えば、プリキュア終了を示す透過光強度の基準値を学習する場合は、予めディスク上に学習用の記録領域を設けて置き、まずはこの学習用記録領域に移動する。その後、学習用記録領域においてキュア光を当てた場合の透過光の初期値I1及び、当て続けた場合の飽和値I2を検出する。飽和値I2の決定方法としては、例えば、透過光量Iのある時間dTでの変位量dI/dTが一定量以下となったときの光量IをI2とすれば良い。このとき、透過光量の基準値I‘は例えば下記の式(1)により決定することができる。
【0057】
I‘=(1−x/100)×I1+x/100×I2・・・(1)
ここで、xは全体の透過光量の変位に対する、透過光量Iの初期値I1から基準値I‘までの変位の割合を指定するものであり、光情報記録再生装置や光情報記録再生装置を制御する機器あるいは光情報記録媒体に予め保存していても良いし、記録時にユーザに入力させても良い。なお、透過量の基準値の決定方法は、上記の方法に限定されるものでは無く、例えば初期値I1からの透過光量Iの変位量dI/dTが一定量以上になった際の光量を基準値I’とする等の別の方法で算出しても構わない。
【0058】
図10は、本発明におけるプリキュア時の動作の実施例を示すフローチャートを示している。まず601によりプリキュア終了を示す透過光強度の基準値学習かの判断を行う。透過光強度の基準値学習では無い場合は、602により通常の記録再生を実行し、再び601の透過光強度の基準値学習かの判断に戻る。透過光強度の基準値学習の場合は、603により学習用領域にディスクを移動する。その後、604によりプリキュア光を光情報記録媒体に照射し、605により光情報記録媒体からの透過光を光検出器で検出する。606により、十分な時間プリキュア光を照射した後プリキュア光の照射を終了する。607により前述した方法で、最適な透過光強度の基準値を計算する。
【0059】
本実施例では、温度や湿度等の環境の違いによる媒体の透過率、吸収率の違いに対応することが可能であり、より環境変化への耐性を高められるという利点がある。
【0060】
以降の実施例の説明において、本実施例と共通の部分は説明を省略する。
【実施例4】
【0061】
本発明における第4の実施例について図11、図12を用いて説明する。
【0062】
図11は、光情報記録媒体の実施例を示している。本実施例では、光情報記録媒体1の例えば、内周部に情報記録領域2が設けられていることを特徴とする。情報記録領域2には、透過光強度の初期値や飽和値、キュア終了の目安となる基準値が保存されており、キュア実行時には後述の情報再生回路により、これらの値を参照することでキュア時間を調整する。キュア時間の調整方法については、前述の実施例1から3の方法を利用する。なお、情報記録領域の位置は、光情報記録媒体の内周部に限定されるものではなく、光情報記録媒体中に位置すれば任意の場所で構わない。また、実際のキュアの目安となる時間を情報記録領域2に記録しておいても構わない。情報記録領域2に透過光強度情報を保存する方法としては、Blu−ray Disc(TM)に代表される従来の光ディスクと同様にピットあるいは結晶性の違いにより保存しても良いし、ホログラフィを利用して保存しても良いし、バーコード等を利用して保存しても良い。
【0063】
図12は、光情報記録再生装置の実施例を表す構成図を、図13は光情報記録再生装置内の情報再生回路の実施例を示している。図2との構成の違いは、情報再生回路90が追加されている点である。キュア実行時は、コントローラ89からの指令を受けた情報再生回路90内のピックアップ92が光情報記録媒体1内に記録されている透過光強度情報の読み込みを行う。情報再生回路90は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる半径位置制御機構91が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。情報再生回路90はピックアップ92で再生した信号を信号処理回路93で処理した後、光源駆動信号生成回路で光源駆動回路82を制御する信号を生成し光源駆動回路82に本信号を送る。光源駆動回路82は本信号に基づいて、ディスクキュア光学系13内の光源の駆動時間を調整する。なお、その他の動作については、前述した図2の説明と同様であるので、説明を省略する。
【0064】
本実施例では、光情報記録媒体毎に透過光強度情報を持たせることが可能なため、な光情報記録媒体毎のキュア条件の違いに詳細に対応可能という利点がある。
【0065】
以降の実施例の説明において、本実施例と共通の部分は説明を省略する。
【実施例5】
【0066】
本発明における第5の実施例について図14を用いて説明する。
図14は、光情報記録媒体の実施例を示している。本実施例では、光情報記録媒体1を不必要な露光から防ぐための光情報記録媒体カートリッジ3内に情報記録回路4が設けられていることを特徴とする。
情報記録回路4には、透過光強度の初期値や飽和値、キュア終了の目安となる基準値が保存されており、キュア実行時には前述の情報再生回路により、これらの値を参照することでキュア時間を調整する。キュア時間の調整方法については、例えば前述の実施例1から3の方法を利用する。なお、情報記録領域の位置は、図中の位置に限定されるものではなく、光情報記録媒体カートリッジ内に位置すれば任意の場所で構わない。情報記録領域2に透過光強度情報を保存する方法としては、例えばRFID(Radio Frequency Identification)タグなどの無線通信可能なチップや、接触型の読み込みを行うICチップを利用する方法が考えられる。
【0067】
光情報記録再生装置としては、図12と同様の構成で実現できる。本実施例の場合は、情報再生回路90の位置調整は省略できるため、アクセス制御回路81と情報再生回路90との通信は省略できる。なお、RFIDを利用する場合、情報再生回路90はRFIDタグを読み取り可能なRFIDリーダで構成される必要があり、接触型ICチップを利用する場合、情報再生回路90は接触型ICチップを読み取り可能な機器であり、カートリッジ挿入時にICチップと接触する位置に配置する必要がある。
【0068】
本実施例では、光情報記録媒体の領域を透過光強度情報保存のためには使用しないため、記録領域を減少させる必要が無いという利点がある。また、透過光強度情報を読み取る際に、光情報記録媒体や情報再生回路の位置合わせ等の処理を行わなくても良いという利点がある。
【0069】
以降の実施例の説明において、本実施例と共通の部分は説明を省略する。
【0070】
なお、上記実施例で説明した実施形態は、以下のようにも表現できる。すなわち、ホログラフィックメモリに情報を記録する記録装置は、信号光と参照光を生成する光源と、この光源が生成する信号光に情報を付加する空間光変調器と、ホログラフィックメモリに前露光処理を施す露光処理用光源と、この露光処理用光源からの光であって、ホログラフィックメモリを透過する光を検出する検出器とを有しており、前露光処理は、検出器の検出結果に応じて制御することであっても良い。
【実施例6】
【0071】
本発明における第6の実施例について図15を用いて説明する。本実施例では、ポストキュアの際にもキュア光の透過光量を用いてキュア時間を調整する技術について記述する。
【0072】
図15は、本発明におけるポストキュア時の動作の実施例を示すフローチャートを示している。まず701によりプリキュア光を光情報記録媒体に照射する。その後、702により光情報記録媒体からの透過光を光検出器で検出する。その後、703により検出した透過光の強度が基準値以上かの判断を行う。透過光の強度が基準値以下の場合は、705によりポストキュア光の照射を継続し、702の動作に戻る。透過光の強度が基準値以上の場合は、704により光情報記録媒体へのポストキュア光の照射を終了する。
【0073】
本実施例では、ポストキュアでの無駄な照射を削減可能な為、記録の高速化が可能になるという利点がある。また、不完全なポストキュアを防ぐことが可能なため、記録後のノイズ源となるモノマーの残留を防ぐことできるという利点がある。
【符号の説明】
【0074】
1・・・光情報記録媒体、2・・・情報記録領域、
3・・・光情報記録媒体カートリッジ、4・・・情報記録回路、
10・・・光情報記録再生装置、11・・・ピックアップ、
12・・・位相共役光学系、13・・・ディスクキュア光学系、
14・・・ディスク回転角度検出用光学系、15・・・ディスクキュア光学系、
16・・・ディスクキュア光学系、17・・・光情報記録再生装置、
50・・・回転モータ、
81・・・アクセス制御回路、82・・・光源駆動回路、
83・・・サーボ信号生成回路、84・・・サーボ制御回路、
85・・・信号処理回路、86・・・信号生成回路、
87・・・シャッタ制御回路、88・・・ディスク回転モータ制御回路、
89・・・コントローラ、90・・・情報再生回路、
91・・・半径位置制御機構、92・・・ピックアップ、
93・・・信号処理回路、94・・・光源駆動信号生成回路、
201・・・光源、202・・・コリメートレンズ、203・・・シャッタ、
204・・・1/2波長板、205・・・偏光ビームスプリッタ、
206・・・信号光、207・・・参照光、
208・・・ビームエキスパンダ、209・・フェーズ(位相)マスク、
210・・・リレーレンズ、211・・・偏光ビームスプリッタ、
212・・・空間光変調器、213・・・リレーレンズ、
214・・・空間フィルタ、215・・・対物レンズ、
216・・・偏光方向変換素子、217・・・ミラー、
218・・・ミラー、219・・・ミラー、220・・・アクチュエータ、
221・・・レンズ、222・・・レンズ、223・・・アクチュエータ、
224・・・ミラー、225・・・光検出器、301・・・キュア用光源、
302・・・コリメートレンズ、303・・・開口、304・・・レンズ、
305・・・レンズ、306・・・光検出器、307・・・ミラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィックメモリに情報を記録する光情報記録装置であって、信号光と参照光を生成する光源と、前記光源が生成する信号光に情報を付加する空間光変調器と、ホログラフィックメモリに前露光処理を施す露光処理用光源と、前記露光処理用光源からの光であって、前記ホログラフィックメモリを透過する光を検出する検出器と、を有し、前記前露光処理は、前記検出器の検出結果に応じて制御する、光情報記録装置。
【請求項2】
ホログラフィを利用して情報を記録及び再生する光情報記録再生装置であって、第1の光源と、前記第1の光源から参照光を形成する機構と、前記第1の光源から信号光を形成する機構と、前記信号光に情報を付加する空間光変調器と、情報を付加した前記信号光を光情報記録媒体に照射する機構と、前記参照光を光情報記録媒体に照射する機構と、前記光情報記録媒体に参照光を照射することにより再生された信号光を検出する第1の検出機構と、前記第1の検出機構で受光した情報を処理して情報を再生する信号処理を行う機構と、第2の光源と、前記第2の光源からキュア光を形成する機構と、前記キュア光を記録媒体に照射するキュア光照射機構と、前記記録媒体から透過したキュア光を検出する第2の検出機構と、を具備し、前記キュア光照射機構は、前記第2の検出機構で検出される透過光の強度が所定の基準値に達した際に照射を終了するように照射時間を調整することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項3】
前記第2の検出機構は、情報再生時の前記第1の検出機構を兼ねることを特徴とする請求項2に記載の光情報記録再生装置。
【請求項4】
請求項2に記載の光情報記録再生装置であって、前記基準値は光情報記録再生装置に予め保存されており、キュア時に当該基準値を参照することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項5】
請求項2に記載の光情報記録再生装置であって、前記基準値は光情報記録再生装置を制御する機器に予め保存されており、キュア時に当該基準値を参照することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項6】
請求項2に記載の光情報記録再生装置であって、前記基準値は光情報記録媒体に予め保存されており、キュア時に当該基準値を参照することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項7】
請求項2に記載の光情報記録再生装置であって、前記第2の検出機構で検出される透過光の強度の初期値及び飽和値から、キュア光照射終了の目安となる透過光の強度の基準値を情報記録前に予め算出しておき、情報記録時には前記第2の検出機構で検出されるキュア光の透過光の強度が前記基準値に達した際に照射を終了するように照射時間を調整することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項8】
ホログラフィを利用して情報を記録する光情報記録媒体であって、前記光情報記録媒体内にキュア露光時間を調整するために利用する透過光強度情報が保存されていることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項9】
ホログラフィを利用して情報を記録する光情報記録媒体であって、前記光情報記録媒体は記録再生以外の不必要な露光を防ぐためのカートリッジを有しており前記カートリッジ内にキュア露光時間を調整するために利用する透過光強度情報が保存されていることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項10】
ホログラフィを利用して情報を記録及び再生する光情報記録再生方法であって、
第1の光源から参照光を形成する工程と、第1の光源から信号光を形成する工程と、前記信号光に情報を付加する工程と、情報を付加した前記信号光を光情報記録媒体に照射する工程と、前記参照光を光情報記録媒体に照射する工程と、前記光情報記録媒体に参照光を照射することにより再生された信号光を検出する第1の検出工程と、前記第1の検出工程で受光した情報を処理して情報を再生する信号処理を行う工程と、第2の光源からキュア光を形成する工程と、前記キュア光を記録媒体に照射するキュア光照射工程と、前記記録媒体から透過したキュア光を検出する第2の検出工程と、を具備し、前記キュア光照射工程は、前記第2の検出工程で検出される透過光の強度が所定の基準値に達した際に照射を終了するように照射時間を調整することを特徴とする光情報記録再生方法。
【請求項11】
前記第2の検出工程は、情報再生時の前記第1の検出工程を兼ねることを特徴とする請求項10に記載の光情報記録再生方法。
【請求項12】
請求項10に記載の光情報記録再生方法であって、前記第2の検出工程で検出される透過光の強度の初期値及び飽和値から、キュア光照射終了の目安となる透過光の強度の基準値を情報記録前に予め算出しておき、情報記録時には前記第2の検出工程で検出されるキュア光の透過光の強度が前記基準値に達した際に照射を終了するように照射時間を調整することを特徴とする光情報記録再生方法。
【請求項1】
ホログラフィックメモリに情報を記録する光情報記録装置であって、信号光と参照光を生成する光源と、前記光源が生成する信号光に情報を付加する空間光変調器と、ホログラフィックメモリに前露光処理を施す露光処理用光源と、前記露光処理用光源からの光であって、前記ホログラフィックメモリを透過する光を検出する検出器と、を有し、前記前露光処理は、前記検出器の検出結果に応じて制御する、光情報記録装置。
【請求項2】
ホログラフィを利用して情報を記録及び再生する光情報記録再生装置であって、第1の光源と、前記第1の光源から参照光を形成する機構と、前記第1の光源から信号光を形成する機構と、前記信号光に情報を付加する空間光変調器と、情報を付加した前記信号光を光情報記録媒体に照射する機構と、前記参照光を光情報記録媒体に照射する機構と、前記光情報記録媒体に参照光を照射することにより再生された信号光を検出する第1の検出機構と、前記第1の検出機構で受光した情報を処理して情報を再生する信号処理を行う機構と、第2の光源と、前記第2の光源からキュア光を形成する機構と、前記キュア光を記録媒体に照射するキュア光照射機構と、前記記録媒体から透過したキュア光を検出する第2の検出機構と、を具備し、前記キュア光照射機構は、前記第2の検出機構で検出される透過光の強度が所定の基準値に達した際に照射を終了するように照射時間を調整することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項3】
前記第2の検出機構は、情報再生時の前記第1の検出機構を兼ねることを特徴とする請求項2に記載の光情報記録再生装置。
【請求項4】
請求項2に記載の光情報記録再生装置であって、前記基準値は光情報記録再生装置に予め保存されており、キュア時に当該基準値を参照することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項5】
請求項2に記載の光情報記録再生装置であって、前記基準値は光情報記録再生装置を制御する機器に予め保存されており、キュア時に当該基準値を参照することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項6】
請求項2に記載の光情報記録再生装置であって、前記基準値は光情報記録媒体に予め保存されており、キュア時に当該基準値を参照することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項7】
請求項2に記載の光情報記録再生装置であって、前記第2の検出機構で検出される透過光の強度の初期値及び飽和値から、キュア光照射終了の目安となる透過光の強度の基準値を情報記録前に予め算出しておき、情報記録時には前記第2の検出機構で検出されるキュア光の透過光の強度が前記基準値に達した際に照射を終了するように照射時間を調整することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項8】
ホログラフィを利用して情報を記録する光情報記録媒体であって、前記光情報記録媒体内にキュア露光時間を調整するために利用する透過光強度情報が保存されていることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項9】
ホログラフィを利用して情報を記録する光情報記録媒体であって、前記光情報記録媒体は記録再生以外の不必要な露光を防ぐためのカートリッジを有しており前記カートリッジ内にキュア露光時間を調整するために利用する透過光強度情報が保存されていることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項10】
ホログラフィを利用して情報を記録及び再生する光情報記録再生方法であって、
第1の光源から参照光を形成する工程と、第1の光源から信号光を形成する工程と、前記信号光に情報を付加する工程と、情報を付加した前記信号光を光情報記録媒体に照射する工程と、前記参照光を光情報記録媒体に照射する工程と、前記光情報記録媒体に参照光を照射することにより再生された信号光を検出する第1の検出工程と、前記第1の検出工程で受光した情報を処理して情報を再生する信号処理を行う工程と、第2の光源からキュア光を形成する工程と、前記キュア光を記録媒体に照射するキュア光照射工程と、前記記録媒体から透過したキュア光を検出する第2の検出工程と、を具備し、前記キュア光照射工程は、前記第2の検出工程で検出される透過光の強度が所定の基準値に達した際に照射を終了するように照射時間を調整することを特徴とする光情報記録再生方法。
【請求項11】
前記第2の検出工程は、情報再生時の前記第1の検出工程を兼ねることを特徴とする請求項10に記載の光情報記録再生方法。
【請求項12】
請求項10に記載の光情報記録再生方法であって、前記第2の検出工程で検出される透過光の強度の初期値及び飽和値から、キュア光照射終了の目安となる透過光の強度の基準値を情報記録前に予め算出しておき、情報記録時には前記第2の検出工程で検出されるキュア光の透過光の強度が前記基準値に達した際に照射を終了するように照射時間を調整することを特徴とする光情報記録再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−77347(P2013−77347A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216004(P2011−216004)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
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