説明

光感応性酸発生剤およびそれらを含むフォトレジスト

【課題】ポジ型、ネガ型のいずれのフォトレジスト組成物においても使用することができる新規な光感応性酸発生剤化合物、およびそれらの化合物を含むフォトレジスト組成物を提供する。
【解決手段】組成物の露光されたコーティング層を現像させるのに充分な量で樹脂バインダおよび光感応性酸発生剤化合物を含み、その光感応性酸発生剤が放射線で露光されることによりα,α−ジフルオロアルキルスルホン酸を発生させる、フォトレジスト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
1.技術分野
本発明は、新規な光感応性酸発生剤化合物(PAGs)およびそれらの化合物を含むフォトレジスト組成物に関する。詳しくは、本発明は、放射線で露光されることによりα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸を発生させる光感応性酸発生剤化合物に関する。ポジ型およびネガ型の化学的に増幅されたレジストは、このようなPAGsを含み、たとえばサブ300nmおよびサブ200nmのような短い波長の放射線で像を形成するものが特に好まれている。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
フォトレジストは、基板に像を転写するための感光性の膜である。それらはネガまたはポジの像を形成する。基板の上にフォトレジストを塗布してから、その塗膜を紫外光線のような活性化エネルギー源にパターンを有するフォトマスクを介して露光すると、フォトレジスト塗膜に潜像が形成される。このフォトマスクには放射線を透過しない領域と透過する領域があり、それによって下層の基板に所望の像が転写される。このレジスト塗膜の潜像パターンを現像すると、レリーフ像が得られる。フォトレジストの使用に関しては、たとえば、デフォレスト(Deforest)による『フォトレジスト材料および製造工程(Photoresist Materials and Processes)』(ニューヨーク、マグローヒルブック社(McGraw Hill Book Company、New York)、1975)、および、モロー(Moreau)による『半導体リソグラフィー、原理、動作および材料(Semiconductor Lithography、Principals、Practices and Materials)』(ニューヨーク、プレナム・プレス社(Plenum Press、New York)、1988)に概説的に記載されている。
【0003】
公知のフォトレジストは、現在の多くの商業的用途には充分な解像度とサイズ特性を与えることができる。しかしながら、サブミクロンの単位でより高い解像度を与えうる新規なフォトレジストを必要としている用途も多い。
【0004】
機能性を向上させる目的で、フォトレジスト組成物の構成を変更する各種の試みがなされてきた。とりわけ、フォトレジスト組成物で使用するための、光活性を有する化合物が数多く報告されている。例えば、米国特許第4,450,360号および欧州特許出願第615163号を参照されたい。
【0005】
最近になって、ある種の「化学的に増幅された」フォトレジスト組成物が報告されるようになってきた。そのようなフォトレジストはネガ型でもポジ型でもよく、光で生成した酸の単位あたりで、複数の架橋反応(ネガ型レジストの場合)または脱保護反応(ポジ型レジストの場合)を起こす原理によっている。言い換えれば、光で生成した酸が触媒的にはたらくのである。ポジ型の化学増幅レジストの場合、ある種のカチオン性光開始剤を用いて、フォトレジストバインダーに懸垂しているある種の「ブロック」基を脱離させたり、フォトレジストバインダーの主鎖を構成するある種の基を脱離させている。たとえば、米国特許第5,075,199号、同第4,968,581号、同第4,883,740号、同第4,810,613号、同第4,491,628号、および、カナダ国特許出願第2,001,384号を参照されたい。そのようなレジストの塗膜層を露光させてブロック基を選択的に脱離させることで、極性官能基、たとえばカルボキシル、フェノールまたはイミド基を生成させると、その結果、レジストの塗膜層中の露光された領域と露光されない領域の間で溶解特性に差が生じることになる。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、新規な光感応性酸発生剤化合物(PAGs)を発見したが、これらはポジ型、ネガ型のいずれのフォトレジスト組成物においても使用することができる。特に、放射線に露光されることにより任意に置換されるα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸を生成する光感応性酸発生剤が得られる。
【0007】
ここで述べられるα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸とは、そのアルキル基部分がすべての置換可能な位置で、フッソ原子により完全には置換されていない、すなわちそのアルキル基はパーフルオロ基ではないが、スルフォン酸基に連接する炭素原子(即ち、α)で2つのフッ素原子が置換されている(即ち−CF−基)を有するアルキルスルホン酸のことである。たとえば、好適なα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸は化学式RCFSOHで表されるものを含んでおり、この式において、Rはフッ素以外、たとえば水素、置換されていてもよいC1−18アルキル基であって、フッ素原子や他のハロのような他の電子吸引基によって完全には置換されていないものであり、置換されていてもよいアリール基、たとえば置換されていてもよい炭素環式芳香族基とくにフェニル、ナフチルまたはアントラセニル、または置換されていてもよいヘテロ脂環式基またはヘテロ芳香族基であって、好ましくは1から3個の多環または縮合環を有し、環の構成員は1〜3のヘテロ原子(N、OまたはS)である、たとえば置換されていてもよいチエニル基などである。
【0008】
一般に好ましいα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸は化学式R(CR)CFSOHで表されるものを含み、この式において、Rは比較的大きな容積の基、たとえば置換されていてもよいC4−20アルキルであり、好ましくは脂環式基、たとえばシクロヘキシル、アダマンチルなど;置換されていてもよい炭素環式芳香族基、たとえば置換されていてもよいフェニル、ナフチルまたはアントラセニル;または置換されていてもよいヘテロ脂環式基またはヘテロ芳香族基であって、好ましくは1から3個の多環または縮合環を有し、環の構成員は1〜3のヘテロ原子(N、OまたはS)である、たとえば置換されていてもよいチエニル基などであり;そしてRとRはそれぞれ独立して水素または水素以外の置換基であり、好ましくはRとRはそれぞれ水素である。
【0009】
我々は、本願のPAGを含むフォトレジストが優れたリソグラフィックの結果を示すことができることを発見した。とりわけ、光発生するα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸は強い酸であるが、相分離やパーフルオロアルキル酸によって示されうる他の移動をする傾向がない。さらに、大きな容積の基、たとえば炭素、ヘテロ脂環式基やアリール基などを含むことにより、リソグラフィック効果に好ましい影響を与えうるレジスト形成のさらに進んだ技術を可能とする。
【0010】
α, α−ジフルオロアルキルスルホン酸は、様々な光反応分子から光発生し得るものであり、非イオン化合物だけでなく、たとえばオニウム塩のようなイオン化合物も含んでいる。一般に好ましい本願のPAG化合物は、光活性化することによりα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸を発生することができ、次のようなオニウム化合物を含む;スルホニウムおよびヨードニウム化合物;およびスルホネート化合物、たとえばN−オキシイミドスルホネート、N−オキシイミノスルホネート、フェノリックスルホネート、アリールアルキルスルホネート、特にベンジリックスルホネート;ジスルホン;ジアゾスルホン;α,α−メチレンジスルホン、ジスルホニルヒドラジンなどである。
【0011】
本発明の好ましい光酸発生剤化合物は、次の置換基を1または複数有するものを含む;シクロペンチル、シクロヘキシル、置換されていてもよいフェニル、ペンタフルオロフェニル、置換されていてもよいチエニル、置換されていてもよいナフチル、置換されていてもよいアダマンチル、または置換されていてもよいイソボニルなどであり、とくにこのような置換基は、その化合物を光活性化することによりスルホン酸を合成する光酸発生剤化合物の部分である。
【0012】
さらに本発明のPAGsの新規な合成方法が提供される。本発明の好適なPAG合成は、カルボニル化合物の反応、すなわちジフルオロアルケンがスルホン化しα,α−ジフルオロアルキルスルフォン基を提供することを含む。
【0013】
本発明のPAGsは、ポジ型またはネガ型の化学増幅フォトレジストに好適に使用される。すなわち、ネガ型レジスト組成物では、光感応性酸により促進される架橋反応が起こり、レジストの塗膜層で露光された部分が非露光部分よりも現像剤に溶解しにくくなるし、またポジ型レジスト組成物では、1または複数の組成物成分の酸に不安定な基で光感応性酸により促進される脱保護反応が起こり、レジストの塗膜層で露光された部分が非露光部分よりも水性現像剤に溶解しやすくなるのである。像を形成するのに好ましい波長は、サブ300nmおよびサブ200nm、たとえば248nm、193nmおよび157nmである。I線(365nm)のようなより長い波長も使用でき、特にその場合は増感剤が追加のレジスト成分として使用される。
【0014】
本発明の特に好ましいフォトレジストは、本願で開示されるように像を形成するのに効果的な量である1または複数のPAGsおよび以下のグループより選ばれる樹脂を含んでいる;
【0015】
1)248nmで像を形成するのに特に適した化学増幅されたポジ型レジストを与えることが可能な、酸に不安定な基を含むフェノール樹脂。このタイプの樹脂として特に好ましい樹脂は、次のようなものである:i)ビニルフェノールとアルキルアクリレートの重合単位を有するポリマーであり、重合させたアルキルアクリレート(これにはメタクリレートも含む)単位が光感応性酸の存在下で脱ブロック反応できるもの。光感応性酸誘導脱ブロック反応することが可能なアルキルアクリレート(これにはメタクリレートも含む)を例示すれば、たとえば、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、および光感応性酸誘導反応が可能なその他の非環状アルキルアクリレートおよび脂環式アクリレート(これにはメタクリレートも含む)があり;そのようなポリマーについては、米国特許第6,042,997号および同第5,492,793号(ここに引用することにより、本明細書に取入れたものとする)に記載されている;ii)ビニルフェノール、置換されていてもよいビニルフェニル(たとえばスチレン)でヒドロキシ基またはカルボキシ基を置換基として含まないもの、および上記のポリマーi)に記載した脱ブロック基を有するアルキルアクリレート(これにはメタクリレートも含む)の重合単位を有するポリマーであり、たとえば米国特許第6,042,997号(ここに引用することにより、本明細書に取入れたものとする)に記載されているようなもの;およびiii)光感応性酸と反応するアセタールまたはケタール部分を含む繰返し単位、および随意にフェニルまたはフェノール性基のような芳香族基繰返し単位を有するポリマーで、たとえば米国特許第5,929,176号および同第6,090,526号(ここに引用することにより、本明細書に取入れたものとする)に記載されているようなポリマー。
【0016】
2)サブ200nm波長、たとえば193nmで像を形成するのに特に適した化学増幅されたポジ型レジストを与えることが可能で、フェニルまたはその他の芳香族基を実質的または完全に含まない樹脂。このタイプの樹脂として特に好ましいのは、次のようなものである:i)たとえば置換されていてもよいノルボルネンのような、非芳香族基の環式オレフィン(環内二重結合)の重合単位を有するポリマーで、たとえば米国特許第5,843,624号および同6,048,664号(ここに引用することにより、本明細書に取入れたものとする)に記載されているようなポリマー;ii)たとえばt−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレートおよびその他の非環状アルキルアクリレートおよび脂環式アクリレートのようなアルキルアクリレート単位を含むポリマー;たとえば米国特許第6,057,083号、欧州特許出願公開EP第01008913A1号、同EP第00930542A1号、および米国の出願番号第09/143,462号(1998年8月28日出願、米国特許6,136,501号)(これら全てが、ここに引用することにより、本明細書に取入れたものとする)に記載されているようなポリマー;および、iii)重合させた無水物単位、特に重合させた無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を有するポリマーで、たとえば、欧州特許出願公開EP第01008913A1号および米国特許第6,048,662号(これらいずれも、ここに引用することにより、本明細書に取入れたものとする)に開示されているようなポリマー;および/または、タイプi)、ii)またはiii)の樹脂の1種または複数を組み合わせたもの、すなわち、非芳香族環式オレフィン単位を重合させたポリマー、アルキルアクリレート(これにはメタクリレートも含む)を含むポリマー;および/または、重合させた無水物単位を有するポリマーの1種または複数を組み合わせたものである。
【0017】
本発明のレジストにはまた、種類の異なるPAGsの混合物、典型的には2種または3種の異なったPAGsの混合物、より典型的には全部で2種の異なったPAGsからなる混合物を含んでいてもよい。この混合物のうち少なくとも1種のPAGは、放射線で露光されることによりα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸を発生し、PAGs化合物は、好ましくは本願で開示されるように化学式I、IA、II、IIA、III、IIIA、IV、IVA、V、VA、VI、VIA,VIIおよびVIIAで表される。他のPAG(s)の混合物もまたα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸または他の光感応性酸を発生させるかもしれない。このようなPAG混合物を含むフォトレジストでは、そのリソグラフィー性能が一段と向上することもある。
【0018】
本発明ではまた、本発明のフォトレジストレリーフ像を形成させるための方法も提供し、それには、サブクォーターミクロンレベルまたはそれより小さい、たとえばサブ0.2ミクロンまたはサブ0.1ミクロンレベルでの高解像度パターン化フォトレジスト像(例えば、本質的に垂直な側壁を有するパターンライン)を形成させるための方法が含まれる。
【0019】
本発明はさらに、本発明のフォトレジストおよびレリーフ像をその上にコーティングしたマイクロエレクトロニクスウェーハやフラットパネルディスプレイ基板のような、基板を含む製造物品を提供する。本発明のその他の態様については以下に記す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第一の側面として、α, α−ジフルオロアルキルスルホン酸を発生できるヨードニウムPAGsが提供される。このヨードニウムPAGsは好ましくは次のような置換基を有していてもよい;置換されていてもよいC1−18アルキル、たとえばシクロヘキシル、アダマンチル、イソボルニルなどのようなシクロアルキルだけでなく、t−ブチル、ペンチルなど;置換されていてもよい炭素環式芳香族基、たとえば置換されていてもよいフェニル、ナフチルまたはアントラセニル;および置換されていてもよいヘテロ脂環式基またはヘテロ芳香族基であって、好ましくは1から3個の多環または縮合環を有し、環の構成員は1〜3のヘテロ原子(N、OまたはS、好ましくはOまたはS)であり、たとえばチエニル基である。
【0021】
多くの用途では、サブ200nmとくに193nmのような短い波長で像を形成するのに、とくに好ましいのはヨードニウム塩であり、そのヨードニウム塩はα, α−ジフルオロアルキルスルホネート対アニオンを有し、また置換されていてもよいフェニル(ペンタフルオロフェニルを含む)、置換されていてもよいナフチルおよび置換されていてもよいチエニルのカチオン置換基を1または複数含むものである。
【0022】
とくに、本発明の好ましいヨードニウムPAGsは下記の化学式Iで表されるものを含み、
【0023】
【化1】

【0024】
ここで、RおよびRは同一または異なっており、好ましくは置換されていてもよいアルキル基(カーボン脂環式基を含む);置換されていてもよい炭素環式芳香族基;および置換されていてもよいヘテロ脂環式基またはヘテロ芳香族基(置換されていてもよいチエニルを含む);および好ましくはRおよびRは独立して置換されていてもよいフェニル(ペンタフルオロフェニルを含む)、置換されていてもよいナフチルおよび置換されていてもよいチエニルであり;そして、
【0025】
は、フルオロ以外または他のハロであり、好ましくは水素であり、置換されていてもよいC1−18アルキル、ただしフルオロによってまたは他のハロのような他の電子吸引基によって完全には置換されていないものであり、置換されていてもよいアリール、たとえば置換されていてもよい炭素環式芳香族基、特にフェニル、ナフチルまたはアントラセニル、または置換されていてもよいヘテロ脂環式基またはヘテロ芳香族基であって、好ましくは1から3個の多環または縮合環を有し、環の構成員は1〜3のヘテロ原子(N、OまたはS、好ましくはOまたはS)である、たとえば置換されていてもよいチエニル基である。
【0026】
化学式Iの一般に好ましい化合物は、スルホネートのカウンターアニオンが、空間的に“バルキー”であるか、比較的大きな容積である置換基を有するもの、たとえば下記の化学式IAで表されるPAGsである。
【0027】
【化2】

【0028】
ここで、RおよびRはそれぞれ前記の化学式Iで定義されるものと同一であり;Rは少なくとも4つの炭素原子を有する置換されていてもよいアルキルであり、好ましくは置換されていてもよいC4−20アルキルであり、好ましくは脂環式基、たとえば置換されていてもよいシクロヘキシル、置換されていてもよいアダマンチル、置換されていてもよいイソボルニルなど;たとえば置換されていてもよい炭素環式芳香族基、たとえば置換されていてもよいフェニル、ナフチルまたはアントラセニル;または置換されていてもよいヘテロ脂環式基またはヘテロ芳香族基であって、好ましくは1から3個の多環または縮合環を有し、環の構成員は1〜3のヘテロ原子(N、OまたはS)である、たとえば置換されていてもよいチエニル基などであり;そして、
【0029】
およびRはそれぞれ独立して水素、または置換されていてもよいC1−20アルキル、置換されていてもよいC1−20アルコキシ、置換されていてもよい炭素環式芳香族基、たとえば置換されていもよいフェニルであり;そして好ましくはRおよびRのうち1つまたは両方が水素である。
【0030】
本願のさらなる側面として、α, α−ジフルオロアルキルスルホン酸を発生できるスルホニウムPAGsが提供される。このスルホニウムPAGsは好ましくは次のような置換基を有していてもよい;置換されていてもよいC1−18アルキル、たとえばシクロヘキシル、アダマンチル、イソボルニルなどのようなシクロアルキルだけでなく、t−ブチル、ペンチルなど;置換されていてもよい炭素環式芳香族基、たとえば置換されていてもよいフェニル、ナフチルまたはアントラセニル;そして、置換されていてもよいヘテロ脂環式基またはヘテロ芳香族基であって、好ましくは1から3個の多環または縮合環を有し、環の構成員は1〜3のヘテロ原子(N、OまたはS、好ましくはOまたはS)である、たとえばチエニル基である。
【0031】
多くの用途では、とくに好ましいのはスルホニウム塩であり、そのスルホニウム塩はα, α−ジフルオロアルキルスルホネート対アニオン、および置換されていてもよいフェニル(ペンタフルオロフェニルを含む)、置換されていてもよいナフチルおよび置換されていてもよいチエニルのカチオン置換基を1または複数含むものである。
【0032】
とくに、本発明の好ましいスルホニウムPAGsは下記の化学式IIのものを含み、
【0033】
【化3】

【0034】
ここで、R、RおよびR1’は同一または異なっており、前記の化学式IにおいてRおよびRで定義されるものと好ましくは同一であり;そしてRは化学式Iで定義されるものと同一である。
【0035】
化学式IIの一般に好ましい化合物は、スルホネートのカウンターアニオンが、空間的に“バルキー”であるか、比較的大きな容積である置換基を有するもの、たとえば下記の化学式IIAで表されるPAGsである。
【0036】
【化4】

【0037】
ここで、R、RおよびR’はそれぞれ前記の化学式IIで定義されるものと同一であり;そしてR、RおよびRは、それぞれ上記化学式IAで定義されるものと同一である。
【0038】
本願の別の側面として、置換されていてもよいN−オキシイミドスルホネートPAGs(非イオン化合物)であって、α, α−ジフルオロアルキルスルホネート置換基を有し、光活性化されることによりα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸を発生できるものが提供される。とくに、本願の好適なN−オキシイミドスルホネートPAGsは下記の化学式IIIで表されるものを含む。
【0039】
【化5】

【0040】
ここで、Rは、フルオロ以外または他のハロであり、好ましくは、水素であり、置換されていてもよいC1−18アルキル、ただしフルオロによってまたは他のハロのような他の電子吸引基によって完全には置換されていないものであり、置換されていてもよいアリール、たとえば置換されていてもよい炭素環式芳香族基、特にフェニル、ナフチルまたはアントラセニル、または置換されていてもよいヘテロ脂環式基またはヘテロ芳香族基であって、好ましくは1から3個の多環または縮合環を有し、環の構成員は1〜3のヘテロ原子(N、OまたはS、好ましくはOまたはS)である、たとえば置換されていてもよいチエニル基であり;そして、
【0041】
およびRは、独立して置換されていてもよいアルキルであって、好ましくは炭素原子を1から約10有し;置換されていてもよいアルコキシであって、好ましくは炭素原子を1から約10有し;または、置換されていてもよいアルキルチオであって、好ましくは炭素原子を1から約10有するものである。
【0042】
または、より好ましくはRおよびRが一緒になって、置換されていてもよいアルキレン、または好ましくは炭素原子を2から5有し、NおよびC=O基と共に環を形成しうるアルケニレン鎖を形成する。このような化合物は、鎖状および環状のN−ヒドロキシイミド、たとえばN−ヒドロキシ−サクシンイミド、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、HON(COCH などから容易に調製することができる。N−スルホニロキシイミドPAGsの調製に関しては国際出願WO94/10608を参照されたい。
【0043】
化学式IIIの一般に好ましいPAGsは、下記の化学式IIIAで表されるものを含む:
【0044】
【化6】

【0045】
ここで、R、RおよびRはそれぞれ前記の化学式IAで定義されるものと同一であり;そしてRおよびRは前記の化学式IIIで定義されるものと同一である。
【0046】
本願のさらなる側面として、置換されていてもよいN−オキシイミノスルホネートPAGsであって、α, α−ジフルオロアルキルスルホネート置換基を有し、光活性化されることによりα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸を発生できるものが提供される。とくに好ましい本願のN−オキシイミノスルホネートPAGsは、下記の化学式IVで表されるものを含む。
【0047】
【化7】

【0048】
、RおよびRは前記の化学式IIIで定義されるものと同一である。このような化合物は、鎖状のオキシムおよび環状ケトン、たとえばシクロヘキサノン、α−テトラロン、ペンタノンなどから容易に調製することができる。
【0049】
化学式IVの一般に好ましいPAGsは、下記の化学式IVAで表されるものを含む:
【0050】
【化8】

【0051】
ここで、R、RおよびRはそれぞれ前記の化学式IAで定義されるものと同一であり;そしてRおよびRは前記の化学式IVで定義されるものと同一である。
【0052】
一つの好ましいN−オキシイミノスルホネートPAGsは、α−シアノ化合物であり、たとえば下記の化学式Vで表されるものである。
【0053】
【化9】

【0054】
ここで、RおよびRは前記の化学式IVで定義されるものと同一であるか、またはRは置換されていてもよい炭素環式芳香族基または置換されていてもよいヘテロアリール、とくに置換されていてもよいフェニルたとえばペンタフルオロフェニル、置換されていてもよいナフチル、または置換されていてもよいチエニルであり;そしてEWは電子吸引基、たとえばシアノ基であり;ハロアルキルとくにハロ(C1−8アルキル)、たとえばフルオロ(C1−8アルキル)、好ましくはパーフルオロアルキルのようなパーハロアルキル、たとえばパーフルオロ(C1−8アルキル)であり;エステルたとえばアルキルエステル、たとえば−C(=O)OC1−8アルキルなどである。シアノ基は好ましいEW基である。このような化合物は、鎖状および環状アセトニトリル誘導体、たとえば4−メトキシベンゼンアセトニトリル(CHOCCHCN)および1−シクロヘキセニルアセトニルから調製できる。
【0055】
化学式Vの一般に好ましい化合物は、下記の化学式VAで表されるものを含む:
【0056】
【化10】

【0057】
ここで、R、R、RおよびRは前記の化学式IVAで定義されるものと同一であるか、またはRは置換されていてもよい炭素環式芳香族基または置換されていてもよいヘテロアリール、とくに置換されていてもよいフェニルたとえばペンタフルオロフェニル、置換されていてもよいナフチル、または置換されていてもよいチエニルであり;そしてEWは前記の化学式Vで定義されるものと同一であり、CNは好ましいEW基である。
【0058】
本発明のさらなる側面では、置換されていてもよいフェノールスルホネートPAGsであって、1または複数のα, α−ジフルオロアルキルスルホネート置換基を有し、光活性化されることによりα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸を発生できるものが提供される。このような化合物は、1または複数のフェノール性−OH部分に置換されるα, α−ジフルオロアルキルスルホネート基、好ましくは一つのフェニル基に2または3のα, α−ジフルオロアルキルスルホネート基、を有する。とくに好ましい本願のフェノールα, α−ジフルオロアルキルスルホネート化合物は、下記の化学式VIのPAGsを含む:
【0059】
【化11】

【0060】
ここで、Rは前記の化学式Iで定義されるものと同一であり;Rは水素以外の基、たとえばハロ;ヒドロキシ;ニトロ;シアノ;スルホニル;置換されていてもよいアルキルであって、好ましくは1から約20の炭素原子、より好ましくは1から約8の炭素原子を有し;置換されていてもよいアルコキシであって、好ましくは1から約20の炭素原子、より好ましくは1から約8の炭素原子を有し
;置換されていてもよいアミノアルキルであって、好ましくは1から約20の炭素原子、より好ましくは1から約8の炭素原子を有し;置換されていてもよいアルキルチオであって、好ましくは1から約20の炭素原子、より好ましくは1から約8の炭素原子を有し;置換されていてもよいアルキルスルフィニルであって、好ましくは1から約20の炭素原子、より好ましくは1から約8の炭素原子を有し;置換されていてもよいアルキルスルホニルであって、好ましくは1から約20の炭素原子、より好ましくは1から約8の炭素原子を有し;置換されていてもよいアリロキシ、たとえばフェノキシ;置換されていてもよいアラルキル、たとえばベンジール;置換されていてもよいアルカノイルであって、好ましくは1から約20の炭素原子を有し、アセチルが好ましい基であり;置換されていてもよい炭素環式芳香族基、たとえばフェニル、ナフチル、ビフェニルなどであり;置換されていてもよいヘテロ脂環式基またはヘテロ芳香族基であって、3から8員からなり、チエニルのようなヘテロ原子を1から3個有する環を1から3個有するものである。
mは0(すなわちR基が無い)から4の整数;
zは1から6の整数、zは好ましくは1、2、3または4であり、mおよびzの合計は6を越えない。
【0061】
化学式VIの好ましい化合物は、下記の化学式VIAで表されるものを含む。
【0062】
【化12】

【0063】
ここで、R、RおよびRは、前記の化学式VAで定義されるものと同一であり;そしてR、zおよびmは前記の化学式VIで定義されるものと同一である。
【0064】
化学式VIおよびVIAの化合物は、たとえばフェノール化合物とα, α−ジフルオロアルキルスルホネート試薬(たとえばα, α−ジフルオロアルキルスルホニルクロライド)を反応させ、所望のα, α−ジフルオロアルキル部分を塩基性のフェノール化合物に置換することのより容易に調製できる。
【0065】
さらなる側面では、置換されていてもよいアラルキルスルホネートPAGsであって、1または複数のα, α−ジフルオロアルキルスルホネート基を有す
るものが提供される。このタイプの好ましいPAGsはベンジール化合物である。このような化合物は、1または複数のベンジール位のカーボンに置換される1または複数のα, α−ジフルオロアルキルスルホネート基、好ましくは一つの塩基性のフェニル基に1または2のα, α−ジフルオロアルキルスルホネート基を有するものである。好ましいベンジールα、α−ジフルオロアルキルスルホネート化合物は下記の化学式VIIのPAGsを含む。
【0066】
【化13】

【0067】
ここで、Rは前記の化学式Iで定義されるものと同一であり;そしてR、mおよびzは前記の化学式VIで定義されるものと同一である。
【0068】
化学式VIIの好ましい化合物は、下記の化学式VIIAのものを含む:
【0069】
【化14】

【0070】
ここで、R、RおよびRは前記の化学式VIAで定義されるものと同一であり;そしてR、zおよびmは前記の化学式VIIで定義されるものと同一である。
【0071】
前述したように、本願のPAGsのさまざまな置換基群は置換されていてもよい。置換される基(置換されたRからRを含む)は、好ましくは1または複数の可能な位置で、たとえば次のようなものによって好適に置換される;ハロゲン、たとえばF、Cl Brおよび/またはI、C1−16アルキルを含みC1−8アルキルであるのが好ましいアルキル、C1−16アルコキシを含み1または複数の酸素連鎖を有しC1−8アルコキシであるのが好ましいアルコキシ、C2−12アルケニルを含みC2−8アルケニルであるのが好ましいアルケニル、C2−12アルキニルを含みC2−8アルキニルであるのが好ましいアルキニル、アリールたとえばフェニルまたはナフチル、および置換されていてもよいアリールたとえばハロ、アルコキシ、アルケニル、アルキニルおよび/またはアルキル、置換されていてもよいアリールであって、好ましくは対応する基が前記の炭素数を有するものである。好適な置換されたアリール基は置換されたフェニル、アントラセニルおよびナフチルを含む。
【0072】
ここで使用されるアルキルの用語は、修正していなければ、環式(脂環式)および非環式基の両方について述べているが、もちろん環式基は少なくとも3つの炭素環員を含むであろう。好ましい脂環式基は、たとえばシクロペンチル、シクロヘキシル、架橋した基たとえばアダマンチルなどを含む。好ましい本発明のPAGsのヘテロ脂環式基およびヘテロ芳香族基は、たとえばクマリニル、キノリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペジニル、モルホリノおよびピロリジニルを含む。
【0073】
前述したように、新規な合成方法はα, α−ジフルオロアルキルスルホネート化合物を生成するために提供される。本願の好ましい合成方法は下記のスキームにより例示される。
(スキーム)
【0074】

【0075】
上記の例示のスキームで示されるように、1,1−ジフルオロアルケン2は、硫黄を含む試薬と、好ましくはフリーラジカルメカニズムにより反応し、α, α−ジフルオロアルキルスルホネート化合物3を提供する。ここで1,1−ジフルオロアルケンについて述べることは、2個のフルオロ原子が、前記化合物2で例示されるように、直接1つのアルケンカーボンに共有的に結合することを意味する。
【0076】
好ましくはジフルオロ基で置換されたアルケンカーボンは、炭素原子に炭素−炭素二重結合を有し、その炭素は上記の化合物2のRで示されるように“バルキー”な置換基で置換されていて、たとえば置換されていてもよいC4−20アルキル、好ましくは脂環式基たとえばシクロヘキシル、アダマンチルなどであり;置換されていてもよい炭素環式芳香族基、たとえば置換されていてもよいフェニル、ナフチルまたはアントラセニル;または置換されていてもよいヘテロ脂環式基またはヘテロ芳香族基であって、好ましくは1から3個の多環または縮合環を有し、環の構成員は1〜3のヘテロ原子(N、OまたはS)である、たとえば置換されていてもよいチエニル基などである。前記のスキームの化合物で示される置換基Rは、好ましくは水素または水素以外の置換基、たとえばC1−8アルキル、または前記のRを定義する基である。
【0077】
硫黄試薬は、1,1−ジフルオロアルケン2と反応し、好ましくは亜硫酸塩または亜硫酸水素塩であり、直接的に、たとえば活性試薬を用いなくてもジフルオロスルホン酸3を提供することができる。そのスキームでは、置換基RはRまたはRと同一または異なっていてもよい。好ましくは、Rは水素であり、Rは好ましくは水素(アルデヒドを提供する)、または他の基、たとえばC1−8アルキル(ケトンを提供する)であってもよい。他の好適な硫黄試薬は、チオール酸またはチオール化合物、たとえばHSまたはCHC(=O)SHを含んでいて、1,1−ジフルオロアルケン試薬と、過酸化物たとえば過酸化水素のような酸化剤との組み合わせにより好適に反応する。たとえば、1,1−ジフルオロアルケン化合物を溶解してチオール酸またはチオール試薬で処理し、その反応液に酸化剤を添加する。好ましい反応状態の例は後記の実施例2を参照されたい。
【0078】
1,1−ジフルオロアルケン2は、ホスフィンの存在下、たとえば前記のスキームで一般的に示されるようなトリフェニルホスフィンの存在下でジフルオロアセティック酸と反応させることにより、対応するケトン(すなわちRはC1−8アルキルまたは他の水素以外の置換基)またはアルデヒド化合物(すなわちRは水素)1から容易に調製することができる。ケトン化合物1、ジフルオロアセティック酸およびトリフェニルホスフィンを好適な溶媒、たとえばエチレングリコールジメチルエチル、クロロフォルムなどで適切に混合し、長時間、たとえば少なくとも約20、30、50、60、70または90時間、好ましくは高温、たとえば低くとも40℃または50℃、または環流でかき混ぜる。好ましい反応状態の例は後記の実施例1を参照されたい
【0079】
本願の合成はまた、“ワンポット”手法、すなわちケトン化合物1または1,1−ジフルオロアルケン化合物2の開始試薬からの合成で行われ、中間反応生成物を分離することなく一つの反応槽でジフルオロスルホン酸3を提供することができる。
【0080】
合成された1,1−ジフルオロアルキルスルホン酸は合成されたヨードニウムカチオンまたはスルホニウムカチオンと反応し本願のオニウム塩を提供することができる。オニウムカチオン化合物は好適にアニオン交換反応が起こり本願のPAGを提供する。たとえば、オニウム化合物および1,1−ジフルオロスルホン酸は、好ましくは室温で長時間、たとえば少なくとも約5、10、15または20時間、二相のシステムで反応することができる。好ましい反応状態の例は後記の実施例3を参照されたい。
【0081】
先に論じたように、本発明のPAGsは、フォトレジスト組成物における放射線感受性成分として有用であり、これにはポジ型およびネガ型両方の化学増幅レジスト組成物が含まれる。
【0082】
典型的には本発明のフォトレジストには、樹脂バインダーおよび先に述べた本発明の光活性成分が含まれる。この樹脂バインダーには、レジスト組成物に対してアルカリ水溶液による現像が可能な性質を付与するような官能基が含まれているのが好ましい。たとえば、ヒドロキシルまたはカルボキシレートのような極性の官能基を含む樹脂バインダーが好ましい。レジスト組成物中では、レジストが水性アルカリ溶液で現像できるようにするのに充分な量の樹脂バインダーを使用するのが好ましい。
【0083】
200nm以上の波長、たとえば248nmで像を形成するには通常、フェノール樹脂が好ましい。好適なフェノール樹脂は、ポリ(ビニルフェノール)であり、これは、対応するモノマーを触媒の存在下で塊状重合、乳化重合または溶液重合させることにより合成される。ポリビニルフェノール樹脂を製造するのに有用なビニルフェノールは、たとえば、市販されているクマリンまたは置換クマリンを加水分解し、次いで得られたヒドロキシケイヒ酸の脱カルボキシル化をすることによって調製できる。有用なビニルフェノールはまた、対応するヒドロキシアルキルフェノールの脱水や、置換または非置換のヒドロキシベンズアルデヒドとマロン酸との反応で得られるヒドロキシケイヒ酸を脱カルボキシル化させることによっても調製することができる。そのようなビニルフェノールから得られるポリビニルフェノール樹脂で好適なものは、その分子量が約2,000から約60,000ダルトンの範囲にある。
【0084】
フェノールおよび非芳香族系環式アルコール単位を含むコポリマーもまた、本発明のレジスト用の樹脂バインダーとしては好ましく、ノボラック樹脂またはポリ(ビニルフェノール)樹脂の部分水素化によって好適に調製することができる。そのようなコポリマーおよびフォトレジスト組成物へのその利用については、サッカレイ(Thackeray)らによる米国特許第5,128,232号に開示されている。
【0085】
好ましい樹脂としてはさらに、ビスヒドロキシメチル化化合物およびブロック・ノボラック樹脂から形成される樹脂がある。米国特許第5,130,410号および同第5,128,230号に、そのような樹脂とそのフォトレジスト組成物への使用が開示されているので、参照されたい。さらに、類似または異なった組成を持つ2種以上の樹脂バインダーをブレンドまたは併用することで、フォトレジスト組成物のリソグラフィックな性質をさらに調節することもできる。たとえば、樹脂をブレンドすることで、感光速度や熱的性質を調整したり、現像液中でのレジストの溶解挙動を調節することができる。
【0086】
本発明の光感応性酸発生剤化合物は、化学増幅ポジ型レジストで使用するのが好ましい。多くのそのようなレジスト組成物がたとえば、米国特許第4,968,581号、同第4,883,740号、同第4,810,613号および同第4,491,628号、およびカナダ特許出願第2,001,384号に記載されている(化学増幅ポジ型レジストの製造および使用に関するこれら特許の教示は、ここに引用することにより、本明細書に取入れたものとする)。本発明に関しては、これらの先行技術のレジスト組成物を本発明の光活性成分で置換えることによって、放射線感受性成分として変成してある。
【0087】
200nm以上の波長、たとえば248nmにおいて像を形成するためには、本発明の化学増幅フォトレジストに、本発明の光活性成分と、フェノール性単位および非フェノール性単位の両方を含むコポリマーを含む樹脂バインダーとを混合したものが含まれていれば特に好ましい。たとえば、そのようなコポリマーに好適な基の一つとしては、実質的、本質的または完全に、コポリマーの非フェノール性単位の上だけに酸不安定基、特にアルキルアクリレート酸不安定基を有するものをあげることができ、これはすなわち、フェノール・アルキルアクリレートコポリマーである。特に好適なコポリマーバインダーは、次式のような繰返し単位xおよびyを有している:
【0088】
【化15】

【0089】
ここで、コポリマー全体にわたってヒドロキシル基がオルト、メタ、パラ位のいずれかに存在し、またR’は1から約18の炭素原子、より典型的には1から約6〜8の炭素原子を持つ置換または非置換のアルキルである。t−ブチルが一般的には好ましいR’基である。R’基は、任意に置換されていてもよく、たとえばその置換基は1つまたは複数のハロゲン(特にF、ClまたはBr)、C1−8アルコキシ、C2−8アルケニルなどである。xおよびyの単位は通常、コポリマーの中で交互になっているか、あるいはポリマー全体にわたってランダムに散らばっていてもよい。そのようなコポリマーは簡単に合成できる。たとえば、上の化学式の樹脂ならば、ビニルフェノールと、置換または非置換のアルキルアクリレートたとえばt−ブチルアクリレートなどを、当業者公知のフリーラジカル条件で縮合させればよい。置換エステル部分、すなわちR’−O−C(=O)−であるアクリレート単位の部分が、樹脂の酸不安定基としてはたらき、この樹脂を含むフォトレジストの塗膜層を照射すると、光感応性酸により誘起される切断反応が起きる。コポリマーのMが約8,000から約50,000、より好ましくは約15,000から約30,000で、分子量分散度が約3以下、より好ましくは約2以下である。本発明の組成物における樹脂バインダーとしては、非フェノール性樹脂、たとえば、t−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレートのようなアルキルアクリレートと、ビニルノルボルナニルまたはビニルシクロヘキサノール化合物のようなビニル脂環式基とからのコポリマーもまた、使用することができる。このようなコポリマーもまた、フリーラジカル重合やその他の公知の方法によって調製することができ、そのMが約8,000から約50,000,分子量分散度が約3以下であれば好適である。
【0090】
本発明のポジ型化学増幅レジストのために好適なまた別の樹脂バインダーとしては、フェノールおよび非芳香族系環式アルコール単位を含むものがあり、ここではコポリマーのヒドロキシル基の少なくとも一部は、酸に不安定な基に結合している。酸不安定部分として好ましいのは、アセテート基であって、これには、式(CHCOC(O)CH−であらわされるt−ブチルアセテート基;式(CHCC(O)O−であらわされるt−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)基のようなオキシカルボニル基;およびアセタールおよびケタールが含まれる。そのようなコポリマーを含む化学増幅ポジ型フォトレジストについては、シンタ(Sinta)らの米国特許第5,258,257号に開示されている。
【0091】
これらとは別の、本発明のポジ型化学増幅フォトレジストにおいて使用できる酸に不安定な脱ブロック性の基を有する好ましい樹脂は、シップレー社(Shipley Company)による欧州特許出願第0829766A2号(アセタールおよびケタール樹脂を含む樹脂)、およびシップレー社による欧州特許出願EP第0783136A2号(単位として、1)スチレン;2)ヒドロキシスチレン;および、3)酸不安定基、特にt−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレートのようなアルキルアクリレートである酸に不安定な基、を含むターポリマーおよびその他のコポリマー)に開示されている。一般的に言って、各種の酸不安定基を含む樹脂が適していて、たとえばそれらは、酸に感受性のあるエステル、カーボネート、エーテル、イミドなどである。酸に不安定な基はポリマー主鎖にペンダントさせているのがより典型的であるが、酸に不安定な基をポリマーの主鎖に組込んであるような樹脂もまた使用できる。
【0092】
本発明のPAGs(先に定義した化学式I、IA、II、IIA、III、IIIA、IV、IVA、V、VA、VI、VIA,VIIおよびVIIAのPAGsを含む)はまた、1または複数の光感応性酸に不安定な基を含むポリマーおよび、実質的、本質的あるいは完全にフェノールやその他の芳香族基を含まないポリマーと共に使用するのが好ましい。このようなフォトレジスト組成物は、サブ200nm照射、たとえば193nm照射で像を形成するのに特に有用である。
【0093】
たとえば、好適なポリマーに含まれるのは、芳香族基が5モル%未満、より好ましくは芳香族基が約1または2モル%未満、より好ましくは芳香族基が約0.1、0.02、0.04および0.08モル%未満、そしてさらにより好ましくは芳香族基が約0.01モル%未満で含まれているのが好ましい。芳香族基を全く含まないポリマーが特に好ましい。芳香族基によりサブ200nmの照射の吸収性が非常に高くなる可能性があり、そのために、そのような短波長照射で像を形成するフォトレジストにおいて使用するポリマーにとっては好ましくないのである。
【0094】
芳香族基を実質的または完全に含まず、本発明のPAGと組合せてサブ200nmで像を形成するためのフォトレジストを製造するのに適したポリマーについては、シップレー社(Shipley Company)による欧州出願EP第930542A1号に開示されている。
【0095】
芳香族基を実質的または完全に含まない好適なポリマーとしては、アクリレート単位、たとえば、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、エチルフェンキルアクリレート、エチルフェンキルメタクリレートなどを重合させて得られる、光感応性酸に不安定なアクリレート単位;縮合環を持つ非芳香族性脂環式基、たとえば、ノルボルネン化合物または、その他の環内炭素−炭素二重結合を有する脂環式化合物を重合させることにより得られるもの;無水物、たとえば、無水マレイン酸を重合させることによって得られるもの;などを含むものをあげることができる。
【0096】
本発明によるネガ型組成物として好ましいものには、酸との接触で硬化、架橋あるは固化する物質と、本発明の光活性成分とが含まれる。
【0097】
特に好適なネガ型組成物に含まれるのは、フェノール樹脂のような樹脂バインダー、架橋剤成分、および本発明の光活性成分である。これらの成分およびその使用については、欧州特許出願第0164248号、同第0232972号、およびサッカレイ(Thackeray)らによる米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂バインダー成分として使用するのに好適なフェノール樹脂としては、先に論じたような、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)がある。架橋剤として好ましいのは、アミン系の物質で、たとえば、メラミン、グリコルリル、ベンゾグアナミン系物質および尿素系物質がある。一般的にはメラミン・ホルムアルデヒド樹脂が最も好ましい。このような架橋剤は市場で入手可能であり、たとえば、メラミン樹脂はアメリカン・サイアナミド社(American Cyanamid)からサイメル(Cymel)300、301および303の商品名で販売されている。グリコルリル樹脂はアメリカン・サイアナミド社(American Cyanamid)からサイメル(Cymel)1170,1171、1172の商品名で販売されているし、尿素系樹脂はビートル(Beetle)60、65および80の商品名で、ベンゾグアナミン樹脂はサイメル(Cymel)1123および1125の商品名で販売されている。
【0098】
本発明のフォトレジストには、その他の物質も含めることができる。たとえば、その他の任意添加剤に含まれるものとしては、光化学色素(actinic dye)およびコントラスト色素、アンチストリエーション剤(anti−striation agent)、可塑剤、加速剤、増感剤(たとえば、i線のような、より長い波長で本発明のPAGを使用するため)などがある。このような任意添加剤は通常フォトレジスト組成物中には少濃度でしか加えないが、ただし、フィラーおよび色素は比較的高濃度で使用され、これらはレジスト成分の全乾燥重量の5から30重量%の量で存在させてもよい。
【0099】
本発明のレジストの任意添加物として好ましいものの一つは、添加塩基、特に水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)で、これは現像したレジストのレリーフ像の解像度を上げることができる。この添加塩基は比較的少量を使用するのがよく、たとえばPAGの約1から10重量%、より典型的には1から約5重量%の量で用いられる。その他の好適な塩基性添加物としては、アンモニウムスルホネート、たとえばピペリジニウムp−トルエンスルホネートおよびジシクロヘキシルアンモニウムp−トルエンスルホネート;アルキルアミン、たとえばトリプロピルアミンおよびドデシルアミン;アリールアミン、たとえばジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどがある。
【0100】
本発明のレジストの樹脂バインダー成分は、レジストの露光された塗膜層がたとえば水性アルカリ溶液を使用して現像されるのに充分な量で通常使用される。さらに詳しくは、樹脂バインダーがレジストの全固形分の50から約90重量%を占めるのが好ましい。光活性成分は、レジストの塗膜層に潜像を発生させるのに充分な量で存在させるべきである。さらに詳しくは、光活性成分がレジストの全固形分の約1から40重量%までの量で存在するのが好ましい。化学増幅レジストの場合には通常、光活性成分の使用量はこれより少ない方がよい。
【0101】
本発明のフォトレジストは一般的に、以下のような公知の方法によって調製されるが、ただし、そのようなフォトレジストの配合で使用されていた先行技術の光活性化合物に代えて、本発明のPAGを用いる。たとえば、本発明のレジストはフォトレジストの成分を好適な溶媒に溶解させることによって塗料組成物として調製することができるが、それらの溶媒の例をあげれば、グリコールエーテル、たとえば2−メトキシエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;乳酸エステル、たとえば乳酸エチルまたは乳酸メチル、(乳酸エチルが好ましい);プロピオン酸エステル、特にプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルおよびプロピオン酸エチルエトキシ;または、ケトン、たとえばメチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンなどである。フォトレジストの固形分含量は典型的には、フォトレジスト組成物の全重量の5から35重量%までの間である。
【0102】
本発明のフォトレジストは、公知の方法にしたがって使用することができる。本発明のフォトレジストは、ドライフィルムとして塗布してもよいが、好ましくは基板上に液状塗料組成物として塗布し、加熱して溶媒を除去・乾燥させて好ましくは塗膜層をタックフリーの状態とし、フォトマスクを介して放射線で露光させ、任意に露光後ベークをおこなってレジストの塗膜層上の露光領域と非露光領域の間の溶解性の差を発生または拡大させ、そして次いで好ましくは水性アルカリ現像剤で現像してレリーフ像を得る。
【0103】
その上に本発明のレジストを塗布し好適に加工するための基板としては、フォトレジストを含むプロセスで使用される基板ならどのようなものでもよいが、たとえばマイクロエレクトロニクスウェーハなどがある。たとえば基板は、シリコン、二酸化シリコンまたはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロエレクトロニクスウェーハなどであってよい。ヒ化ガリウム、セラミック、石英あるいは銅基板も使用できる。銅クラッド積層板のようなプリント回路基板もまた好適な基板である。液晶ディスプレイやその他のフラットパネルディスプレイ用途で使用される基板もまた好適に使用されるが、それらの例としては、ガラス基板、インジウム酸化錫を塗布した基板などがある。
【0104】
液状の塗料レジスト組成物を塗布するには、スピンコート法、ディッピング法、ローラーコーティング法などどのような標準的な手段を用いてもよい。本発明のフォトレジストは、特にプリント回路板の製造に用いる場合には、ドライフィルムレジストとして塗布してもよい。露光エネルギーは、放射線感受性システムの光活性成分を有効に活性化させ、レジストの塗膜層にパターン像を作るのに充分な大きさでなければならない。好適な露光エネルギーは通常、約1から300mJ/cmの範囲である。好適な露光波長は、サブ300nmたとえば248nm、またはサブ200nmたとえば193nmおよび157nmのもの、またはたとえば365nmのようなより長い波長が含まれる。より高エネルギーの露光源も使用することができ、そのようなものとしては、EUV、電子ビーム、イオンビームおよびX線の照射や、その他のイオン化放射線などがある。露光後ベーク温度として好適なのは約50℃以上であるが、さらに詳しくは約50から150℃である。酸硬化性のネガ型レジストの場合には、所望により現像後ベークを約100から150℃で数分以上かけておこない、現像により形成されたレリーフ像をさらに硬化させる。現像およびなんらかの現像後の硬化がすむと、次いで、現像により露出された基板表面を選択的に加工することになるが、それにはたとえば、業界公知の方法を用いて、フォトレジストから露出させた基板の部分に化学的なエッチングやめっきをおこなう。好適なエッチング剤には、フッ化水素酸エッチング溶液や、酸素プラズマエッチングのようなプラズマガスエッチングがある。
【0105】
全ての文献は、ここに引用することにより、本明細書に取入れたものとする。以下の実施例で本発明を説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0106】
実施例1−3:PAGの合成
実施例1:1,1−ジフルオロ−2−(1−ナフチル)エチニレン(前記のスキームで、Rがナフチルである化合物2)
オーブンで乾燥した250mLの一口フラスコにマグネティックスターラー、環流冷却器および窒素注入口を取り付けた。そのフラスコに蒸留したての1−ナフトアルデヒド(17.1g、109mmol)、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム(25g、164mmol)およびトリフェニルホスフィン(31.4g、120mmol)を仕込んだ。エチレングリコールジメチルエーテル(75mL)を添加し、その混合物を96時間還流し、その間に沈殿物が作られ、その反応液は暗褐色に変化した。冷却した混合物を濾過し、濾液を濃縮すると黒っぽい半固体のものを生じた。蒸留(62−67℃、1mm)すると無色の液体(14.1g、68%)として目的の化合物が得られた。
NMR(CDCl):δ7.3-8.0 (m, 7H), 5.83(dd, J1=18Hz), J=3Hz); MS:M=190.
【0107】
実施例2:1,1−ジフルオロ−1−スルホン酸−2−(1−ナフチル)エチレン(前記のスキームで、Rがナフチルである化合物3)の合成
実施例1の化合物、すなわち1,1−ジフルオロ−2−(1−ナフチル)エチニレン(8.4g、44.2mmol)、亜硫酸ナトリウム(28g、222mmol)および水(200mL)中のベンゾイルパーオキサイド(1.1g、4.5mmol)からなる二相の混合物を、85℃で67時間加熱した。淡黄色の反応混合物を濾過し、その固形物をテトラヒドロフラン(950mL)で懸濁し、懸濁液を30分間還流した。冷却した懸濁液を濾過し、濾液を濃縮すると淡黄褐色の固体を生じた。その固体をクロロフォルム(500mL)で粉砕し、濾過して得られた無色の固体を乾燥させると所望の生成物(2.85g、22%)が得られた。
NMR(DMSO-d):δ7.3-8.0 (m, 7H), 5.83(dd, J1=18Hz), J=3Hz); MS:M=190.
【0108】
実施例3:ジ(4−t−ブチルフェニル)−ヨードニウム1,1−ジフルオロ−1−スルホネート−2−(1−ナフチル)エチレン(化学式IAで、R=R=4−t−ブチルフェニル;R=ナフチル;R=R=Hである化合物)の合成
実施例2の生成物の溶液、すなわちジクロロメタン(250mL)に1,1−ジフルオロ−1−スルホン酸−2−(1−ナフチル)エチレン(8.3g、21.4mmol)を入れ、水(150mL)中のジ(4−t−ブチルフェニル)−ヨードニウム硫酸塩(9.04g、20mmol)の溶液で処理した。二相の混合物を室温で17時間勢いよくかき混ぜ、濃アンモニア水を用いて水相のpHを7から8に調製した。層を分離し、有機層を水(1×200mL)で洗浄した。合わさった水性抽出物を、前に得ていた有機相と合わせたジクロロメタン(1×200mL)で抽出した。合わさった有機抽出物を濃縮すると黄褐色の固体が生じた。ベンゼン/ヘキサンそしてエチルアセテート/ヘキサンから再結晶することにより、淡黄色粉(9.7g、73%)として所望の化合物が得られた。
【0109】
実施例4:フォトレジストの調製とリソグラフ加工
以下の成分を混合することで本発明のフォトレジストを調製するが、ここでの量はレジスト組成物の全重量に対する重量%として表されている:
【0110】
レジスト成分 量(重量%)
樹脂バインダー 15
光感応性酸発生剤 3
乳酸エチル 81
【0111】
この樹脂バインダーは、ビニルフェノール単位、スチレン単位およびt−ブチルアクリレートを重合させたものからなるターポリマーである。ここでの光感応性酸発生剤は、上記の実施例3により調製した化合物であった。これらの樹脂とPAG成分は乳酸エチル溶媒中で混合しておく。
【0112】
こうして配合したレジスト組成物をARCでコートした6インチのシリコンウェーハ上にスピンコートし、真空ホットプレート上で130℃で60秒間ソフトベークする。このレジスト塗膜層をフォトマスクを介して248nmで露光させ、この露光した塗膜層を130℃で90秒間露光後ベークをする。次いでこの塗装ウェーハを0.26N水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液で処理して、像形成させたレジスト層を現像し、レリーフ像を得る。
【0113】
以上本発明について述べてきたが、それらは単に本発明を説明しているだけであって、特許請求項に記載される本発明の本質と範囲を逸脱することなく、変更や修正が可能であることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の露光されたコーティング層を現像させるのに充分な量で樹脂バインダおよび光感応性酸発生剤化合物を含み、その光感応性酸発生剤が放射線で露光されることによりα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸を発生させる、フォトレジスト組成物。
【請求項2】
スルホン酸が化学式RCFSOHで表されるものであり、この式において、Rが炭素原子を1から約20有する置換されていてもよいアルキルであり、またはRが炭素原子を約5から約20有するアルキル脂環式基であり、およびRがパーハロアルキルでない、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
スルホン酸が化学式R(CR)CFSOHで表されるものであり、この式において、Rが炭素原子を4から約20有する置換されていてもよいアルキルであり、そしてRとRがそれぞれ独立して水素または水素以外の置換基である、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
Rが置換されていてもよい脂環式基、置換されていてもよい炭素環式芳香族基、置換されていてもよいヘテロ脂環式基または置換されていてもよいヘテロ芳香族基である、請求項3に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
光感応性酸発生剤がイオン化合物である請求項1から4のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
光感応性酸発生剤がオニウム化合物である請求項1から5のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
光感応性酸発生剤がヨードニウム化合物またはスルホニウム化合物である請求項1から5のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
光感応性酸発生剤が非イオン化合物である請求項1から5のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
光感応性酸発生剤がスルホネート化合物である請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
光感応性酸発生剤が後記の化学式I、IA、II、IIA、III、IIIA、IV、IVA、V、VA、VI、VIA、VIIまたはVIIAで表される請求項1から9のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
光感応性酸発生剤がオニウム化合物、スルホネート化合物、ジスルホン、ジアゾスルホン、α, α−メチレンジスルホンまたはジスルホニルヒドラジンである請求項1から9のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項12】
組成物がポジ型フォトレジストである請求項1から11のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項13】
組成物が化学的に増幅されたポジ型フォトレジストである請求項1から11のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項14】
組成物がネガ型フォトレジストである請求項1から11のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項15】
組成物がネガ型の化学的に増幅されたフォトレジストである請求項1から11のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項16】
光感応性酸発生剤化合物が、シクロペンチル、シクロヘキシル、置換されていてもよいフェニル、ペンタフルオロフェニル、置換されていてもよいチエニル、置換されていてもよいナフチル、置換されていてもよいアダマンチルまたは置換されていてもよいイソボルニルの置換基を1または複数含む、請求項1から15のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項17】
置換基が光感応性酸発生剤化合物のスルフォネート基の置換基である請求項16に記載のフォトレジスト。
【請求項18】
基板の上にフォトレジストレリーフ像を形成させるための方法であって:
(a)基板上に請求項1から17のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物のコーティング層を塗布し;
そして、
(b)フォトレジスト塗膜層をパターンを有する放射線で露光させ、その露光されたフォトレジスト層を現像してレリーフ像を得る;
ことを含む方法。
【請求項19】
フォトレジスト塗膜層を、波長が約300nm未満の放射線で露光させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
フォトレジスト塗膜層を、波長が約200nm未満の放射線で露光させる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
フォトレジスト塗膜層を、波長が約248nm、193nm、157nmまたは365nmの放射線で露光させる、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
請求項1から17のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物の塗布層を少なくとも1つの表面に有する製造物品。
【請求項23】
物品がマイクロエレクトロニクスウェーハ基板またはフラットパネルディスプレイ基板である請求項22に記載の製造物品。
【請求項24】
放射線で露光されることによりα, α−ジフルオロアルキルスルホン酸を発生させることができる光感応性酸発生剤化合物。
【請求項25】
スルホン酸が化学式RCFSOHで表されるものであり、この式において、Rが炭素原子を1から約20有する置換されていてもよいアルキルであり、またはRが炭素原子を約5から約20有するアルキル脂環式基であり、およびRがパーハロアルキルでない、請求項24に記載の光感応性酸発生剤化合物。
【請求項26】
スルホン酸が化学式R(CR)CFSOHで表されるものであり、この式において、Rが炭素原子を4から約20有する置換されていてもよいアルキルであり、そしてRとRがそれぞれ独立して水素または水素以外の置換基である、請求項24に記載の光感応性酸発生剤化合物。
【請求項27】
Rが置換されていてもよい脂環式基、置換されていてもよい炭素環式芳香族基、置換されていてもよいヘテロ脂環式基または置換されていてもよいヘテロ芳香族基である、請求項26に記載の光感応性酸発生剤化合物。
【請求項28】
光感応性酸発生剤がイオン化合物である請求項24から27のいずれか1項に記載の光感応性酸発生剤化合物。
【請求項29】
光感応性酸発生剤がオニウム化合物である請求項24から27のいずれか1項に記載の光感応性酸発生剤化合物。
【請求項30】
光感応性酸発生剤がヨードニウム化合物またはスルホニウム化合物である請求項24から27のいずれか1項に記載の光感応性酸発生剤化合物。
【請求項31】
光感応性酸発生剤が非イオン化合物である請求項24から27のいずれか1項に記載の光感応性酸発生剤化合物。
【請求項32】
光感応性酸発生剤がスルホネート化合物である請求項31に記載の光感応性酸発生剤化合物。
【請求項33】
光感応性酸発生剤がオニウム化合物、スルホネート化合物、ジスルホン、ジアゾスルホン、α, α−メチレンジスルホンまたはジスルホニルヒドラジンである請求項24から32のいずれか1項に記載の光感応性酸発生剤化合物。
【請求項34】
光感応性酸発生剤が、後記の化学式I、IA、II、IIA、III、IIIA、IV、IVA、V、VA、VI、VIA、VIIまたはVIIAで表される化合物である、請求項22から31のいずれか1項に記載の光感応性酸発生剤化合物。
【請求項35】
1,1−ジフルオロアルケンを硫黄化合物と反応させ1,1−ジフルオロ−1−スルホン酸を発生させることを含む、α,α−ジフルオロアルキルスルホン酸を調製する方法。
【請求項36】
硫黄化合物が亜硫酸塩または亜硫酸水素塩である請求項35に記載の方法。
【請求項37】
硫黄化合物がチオール化合物である請求項35に記載の方法。
【請求項38】
硫黄試薬を添加してアルケンを酸化剤と反応させる、請求項35から37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
ジフルオロ酢酸とカルボニル化合物を反応させることにより1,1−ジフルロアルケンを調製する、請求項35から38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
ジフルオロ酢酸を添加してカルボニル化合物をホスフィンと反応させる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
1,1−ジフルオロ−1−スルホン酸を遊離基反応で生じさる請求項35から38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
スルホン酸が化学式RCFSOHで表されるものであり、この式において、Rが炭素原子を1から約20有する置換されていてもよいアルキルであり、またはRが炭素原子を約5から約20有するアルキル脂環式基であり、およびRがパーハロアルキルでない、請求項35から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
スルホン酸が化学式R(CR)CFSOHで表されるものであり、この式において、Rが炭素原子を4から約20有する置換されていてもよいアルキルであり、そしてRとRがそれぞれ独立して水素または水素以外の置換基である、請求項35から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
Rが置換されていてもよい脂環式基、置換されていてもよい炭素環式芳香族基、置換されていてもよいヘテロ脂環式基または置換されていてもよいヘテロ芳香族基である、請求項43に記載の方法。

【公開番号】特開2013−80234(P2013−80234A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−255880(P2012−255880)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2008−32677(P2008−32677)の分割
【原出願日】平成13年11月3日(2001.11.3)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】