説明

光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置

【課題】波長変換素子全体の温度を均一化させ、高い効率で安定した光量のレーザ光を供給可能な光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置及び画像表示装置を提供すること。
【解決手段】レーザ光を供給する光源部である励起用レーザ11及びレーザ結晶13と、光源部からのレーザ光の波長を変換させる波長変換素子であるSHG素子14と、波長変換素子の温度を調節する温度調節部と、を有し、温度調節部は、電磁波を用いて波長変換素子を加熱する電磁波発生部であるマイクロ波発生部18を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置、特に、レーザ光を供給する光源装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モニタ装置や画像表示装置の光源装置として、レーザ光を供給するレーザ光源を用いる技術が提案されている。モニタ装置や画像表示装置の光源装置として従来用いられている超高圧水銀ランプ(UHPランプ)と比較すると、レーザ光源を用いる光源装置は、高い色再現性、瞬時点灯が可能、長寿命である等の利点がある。レーザ光源を用いる光源装置としては、レーザ光源からの基本波レーザを直接供給するものの他、基本波レーザの波長を変換して供給するものが知られている。基本波レーザの波長を変換する波長変換素子として、例えば第二高調波発生(Second−Harmonic Generation;SHG)素子が用いられている。SHG素子を用いることで、例えば、容易に入手可能な汎用のレーザを用いて、所望の波長のレーザ光を供給することが可能となる。SHG素子は、温度変化によって屈折率分布が変化する場合、位相整合条件が崩れ、波長を変換する効率が低下することが知られている。高い効率で安定した光量のレーザ光を供給するためには、波長変換素子の温度変化を低減させることが望まれる。例えば、特許文献1に提案されている技術では、波長変換素子の導波路に形成された薄膜ヒータを用いて温度の制御を行っている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−53163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波長変換素子の表面に設けられた薄膜ヒータによって波長変換素子を加熱する場合、特に波長変換素子の厚み方向について温度分布を減少させることが困難である。また、薄膜ヒータの発熱量は、薄膜ヒータの抵抗に応じて設定される。薄膜ヒータの抵抗は、薄膜ヒータの膜厚に応じて変化する。薄膜ヒータは、製造時における膜厚の調整により発熱量をコントロールすることが困難である。これらのことから、従来の技術によると、波長変換素子全体の温度を均一化することが困難であるという問題が生じる。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、波長変換素子全体の温度を均一化させ、高い効率で安定した光量のレーザ光を供給可能な光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の光源装置は、レーザ光を供給する光源部と、光源部からのレーザ光の波長を変換させる波長変換素子と、波長変換素子の温度を調節する温度調節部と、を有し、温度調節部は、電磁波を用いて波長変換素子を加熱する電磁波発生部を備えることを特徴とする。
【0006】
波長変換素子は、電磁波発生部からの電磁波によって直接加熱される。波長変換素子に略平行に電磁波発生部を配置する場合、電磁波発生部からの電磁波を波長変換素子に向けて直進させることで、波長変換素子全体を均一に加熱することができる。また、波長変換素子に温度に応じて電磁波の放射量をコントロールすることで、波長変換素子の温度を一定に調節することができる。これにより、波長変換素子全体の温度を均一化させ、高い効率で安定した光量のレーザ光を供給可能な光源装置を得られる。
【0007】
また、本発明の好ましい態様としては、光源部及び波長変換素子を収納する筐体を有し、電磁波発生部は、筐体の内部に設けられることが望ましい。これにより、電磁波発生部から直接入射する電磁波によって波長変換素子を加熱できる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様としては、光源部及び波長変換素子を収納する筐体を有し、筐体は、電磁波発生部からの電磁波を透過させ、電磁波発生部は、筐体の外部に設けられることが望ましい。これにより、筐体を透過した電磁波によって波長変換素子を加熱できる。また、筐体を備える本体部が電磁波発生部から引き離されると、波長変換素子の温度調節が停止されることで、波長変換効率が低下することとなる。波長変換効率を低下させることで、本体部からのレーザ光の射出を抑制させることが可能となる。よって、本体部のみを取り出すことによる転用を防止し高い安全性を確保できる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、波長変換素子で波長が変換されたレーザ光以外のレーザ光の射出を低減させる低減部材を有することが望ましい。これにより、本体部が電磁波発生部から引き離され波長変換効率が低下した場合であっても、波長変換がなされていないレーザ光の射出を抑制させることができる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様としては、電磁波発生部は、強度分布が設定された電磁波を発生させることが望ましい。電磁波の強度分布を適宜設定することで、波長変換素子の放熱の度合いに応じた加熱が可能となる。これにより、波長変換素子の温度をさらに均一化させることができる。
【0011】
さらに、本発明の照明装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする。上記の光源装置を用いることで、高い効率で安定した光量のレーザ光を供給できる。これにより、高い効率で安定した光量のレーザ光を供給可能な照明装置を得られる。
【0012】
さらに、本発明のモニタ装置は、上記の照明装置と、照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とする。上記の照明装置を用いることで、高い効率で安定した光量のレーザ光を供給することができる。これにより、明るい像を安定してモニタすることが可能なモニタ装置を得られる。
【0013】
さらに、本発明の画像表示装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする。上記の光源装置を用いることで、高い効率で安定した光量のレーザ光を供給することができる。これにより、明るい画像を安定して表示することが可能な画像表示装置を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1に係る光源装置10の概略構成を示す。光源装置10は、半導体レーザ励起固体(Diode Pumped Solid State;DPSS)レーザ発振器である。励起用レーザ11は、例えば、808nmの波長を持つレーザ光を供給する半導体レーザである。励起用レーザ11は、端面発光型レーザ、面発光型レーザのいずれであっても良い。励起用レーザ11の射出側には、第1共振ミラー12が設けられている。励起用レーザ11からのレーザ光は、第1共振ミラー12を透過した後、レーザ結晶13へ入射する。レーザ結晶13は、励起されることによりレーザ発振し、例えば1064nmのレーザ光を供給する。レーザ結晶13としては、例えばNd:YVO4結晶やNd:YAG(Y3Al512)結晶を用いることができる。励起用レーザ11及びレーザ結晶13は、レーザ光を供給する光源部である。
【0016】
SHG素子14は、レーザ結晶13からのレーザ光を、2分の1の波長のレーザ光に変換して射出させる。SHG素子14は、例えば1064nmのレーザ光を、532nmのレーザ光に変換させる。SHG素子14としては、例えば、非線形光学結晶を用いることができる。非線形光学結晶としては、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)の分極反転結晶(Periodically Poled Lithium Niobate;PPLN)を用いることができる。
【0017】
第2共振ミラー15は、SHG素子14に対してレーザ結晶13とは反対側に設けられている。第2共振ミラー15は、例えば1064nmのレーザ光を選択的に反射させ、他の波長のレーザ光を透過させる機能を有する。SHG素子14で特定波長、例えば532nmに変換されたレーザ光は、第2共振ミラー15を透過する。第2共振ミラー15の射出側には、射出部16が設けられている。射出部16は、筐体17の外部へレーザ光を射出させる。射出部16は、筐体17に形成された開口をガラス等の透明部材により覆うことで構成される。筐体17は、励起用レーザ11から第2共振ミラー15までの光路中に配置された各構成を収納する。
【0018】
第2共振ミラー15からのレーザ光は、射出部16を透過することにより光源装置10から射出する。第1共振ミラー12は、第2共振ミラー15と同様に、例えば1064nmのレーザ光を選択的に反射させ、他の波長のレーザ光を透過させる。共振器構造により、特定波長のレーザ光を効率良く射出させることができる。
【0019】
レーザ結晶13及びSHG素子14は、マウント20、21上に配置されている。マウント20、21は、平板状の部材である。レーザ結晶13及びSHG素子14は、マウント20、21の高さに応じて位置を適宜決定することができる。SHG素子14が設けられたマウント21には、サーミスタ19が設けられている。サーミスタ19は、SHG素子14の温度を計測する温度計測部である。
【0020】
マイクロ波発生部18は、マイクロ波を発生させる電磁波発生部であって、マイクロ波を用いてSHG素子14を加熱する。マイクロ波発生部18は、1m〜1cm程度の波長を持つ電磁波であるマイクロ波を発生させる。マイクロ波発生部18は、SHG素子14を加熱することでSHG素子14の温度を調節する温度調節部に含まれている。マイクロ波発生部18は、筐体17の内部であって、SHG素子14に対向する位置に設けられている。マイクロ波発生部18からのマイクロ波は、直接SHG素子14へ入射する。なお、マウント21及びSHG素子14の間に、マイクロ波を吸収するためのマイクロ波吸収部材を設けても良い。マイクロ波吸収部材を設けることで、SHG素子14以外の他の構成へのマイクロ波の入射を低減させることができる。また、サーミスタ19へのマイクロ波の直接入射を防止することで、サーミスタ19による正確な温度計測が可能となる。
【0021】
図2は、SHG素子14の温度を調節するためのブロック構成を示す。サーミスタ19は、温度の変化を抵抗値の変化として制御部23へ出力する。制御部23は、サーミスタ19により計測された温度とSHG素子14の設定温度との温度差からマイクロ波発生部18へ供給する電力量を計算し、計算された電力量に応じた電力をマイクロ波発生部18へ供給する。制御部23は、サーミスタ19による計測結果に基づいてマイクロ波発生部18のフィードバック制御を行う。マイクロ波発生部18は、サーミスタ19による計測結果に基づいてSHG素子14の温度を調節する。SHG素子14の設定温度は通常環境温度より高い温度とされることから、SHG素子14を加熱する構成であるマイクロ波発生部18のみによってSHG素子14の温度を調節することができる。
【0022】
図1に戻って、SHG素子14は、マイクロ波発生部18からのマイクロ波によって直接加熱される。マイクロ波発生部18は、SHG素子14に略平行に配置されている。このため、マイクロ波発生部18からのマイクロ波をSHG素子14に向けて直進させることで、SHG素子14全体を均一に加熱することができる。マイクロ波の入射によって加熱されたSHG素子14からの熱は、マウント21へ伝播する。マウント21にサーミスタ19を設けることで、SHG素子14の温度を正確に計測することができる。正確に計測されたSHG素子14の温度に応じてマイクロ波の放射量をコントロールすることで、SHG素子14の温度を一定に調節することができる。これにより、SHG素子14全体の温度を均一化させ、高い効率で安定した光量のレーザ光を供給できるという効果を奏する。
【0023】
図3は、マイクロ波発生部18から発生させるマイクロ波の強度分布について説明するものである。SHG素子14は、中心部から離れた位置ほど放熱が容易となる。SHG素子14に対して均等にマイクロ波を入射させると、中心部に近づくほど高い温度を示すこととなる。これに対して、マイクロ波発生部18は、SHG素子14の中心部に近いほど強度を小さくするような強度分布が設定されたマイクロ波を発生させる。SHG素子14の放熱の度合いに応じた加熱により、SHG素子14の中心部と周辺部との温度差を低減させることができる。これにより、SHG素子14の温度を均一化させることができる。マイクロ波は良好な直進性を持つことから、SHG素子14に対してマイクロ波の強度分布を自由に制御できる。マイクロ波の強度分布は、SHG素子14の構成等に応じて適宜設定することができる。
【0024】
図4は、本実施例の変形例1に係る光源装置30の概略構成を示す。光源装置30は、半導体レーザ31からのレーザ光をSHG素子14へ入射させる。半導体レーザ31は、レーザ光を供給する光源部である。例えば、半導体レーザ31により1064nmのレーザ光を供給する場合、SHG素子14は、532nmのレーザ光を射出させる。外部共振器32は、SHG素子14に対して半導体レーザ31とは反対側に設けられている。
【0025】
外部共振器32は、例えば1064nmのレーザ光を選択的に反射させ、他の波長のレーザ光を透過させる機能を有する。SHG素子14で特定波長、例えば532nmに変換されたレーザ光は、外部共振器32を透過する。外部共振器32で反射したレーザ光は、半導体レーザ31の方向へ進行する。半導体レーザ31へ入射したレーザ光は、半導体レーザ31に設けられた不図示のミラー層で反射する。半導体レーザ31及び外部共振器32により反射されたレーザ光は、半導体レーザ31から新たに射出されるレーザ光と共振して増幅される。本変形例の場合も、SHG素子14全体の温度を均一化させ、高い効率で安定した光量のレーザ光を供給できる。光源部としては半導体レーザ31を用いる他、固体レーザ、液体レーザ、ガスレーザ等を用いても良い。
【0026】
図5は、本実施例の変形例2に係る光源装置である光源ユニット40の概略構成を示す。光源ユニット40は、本体部41及びマイクロ波発生部18を備える。本体部41は、励起用レーザ11から第2共振ミラー15までの光路中に配置された各構成、及びそれらを収納する筐体42を備える。マイクロ波発生部18は、筐体42の外部であって、例えば、光源ユニット40が組み込まれた装置に取り付けられている。
【0027】
第2共振ミラー15の射出側には、IRカットガラス43が設けられている。IRカットガラス43は、可視光、例えば532nmのレーザ光を透過させ、赤外光、例えば1064nmのレーザ光を吸収する。IRカットガラス43は、SHG素子14で波長が変換されたレーザ光以外のレーザ光の射出を低減させる低減部材である。IRカットガラス43は、SiO2を含有するガラス部材を用いて構成された基板であって、ガラス平板にIRカット膜をコーティングして構成されている。筐体42の開口にIRカットガラス43を設けることで、赤外光であるレーザ光の射出を低減させることができる。IRカットガラス43は、IRカット膜を設ける構成とする他、ガラス組成に赤外光を吸収する素材を添加することとしても良い。なお、上記の各光源装置にもIRカットガラス43を設けることとしても良い。
【0028】
筐体42は、マイクロ波発生部18からのマイクロ波を透過させる。筐体42は、マイクロ波を透過させる部材、例えばセラミック部材を用いて構成することができる。これにより、筐体42を透過したマイクロ波によってSHG素子14を加熱できる。光源ユニット40から本体部41のみを抜き取ると、マイクロ波発生部18から本体部41が引き離されることにより、SHG素子14の温度調節が停止される。SHG素子14の温度調節が停止されることで、SHG素子14の温度変化を生じ、波長変換効率が低下することになる。
【0029】
波長変換効率を低下させることで、SHG素子14からの第2高調波の射出を防ぐことができる。また、IRカットガラス43を設けることで、SHG素子14を透過した基本波の射出も防ぐことができる。このようにして、光源ユニット40が組み込まれた装置から本体部41のみを取り出した場合に、本体部41からのレーザ光の射出を抑制させることが可能となる。これにより、本体部41のみを取り出すことによる転用を防止し高い安全性を確保できる。
【実施例2】
【0030】
図6は、本発明の実施例2に係るモニタ装置50の概略構成を示す。モニタ装置50は、装置本体51と、光伝送部52とを有する。装置本体51は、上記実施例1に係る光源装置10(図1参照)を備える。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0031】
光伝送部52は、2つのライトガイド54、55を有する。光伝送部52のうち被写体(不図示)側の端部には、拡散板56及び結像レンズ57が設けられている。第1ライトガイド54は、光源装置10からの光を被写体へ伝送する。拡散板56は、第1ライトガイド54の射出側に設けられている。第1ライトガイド54内を伝播した光は、拡散板56を透過することにより、被写体側にて拡散される。光源装置10から拡散板56までの光路中の各部は、被写体を照明する照明装置を構成する。
【0032】
第2ライトガイド55は、被写体からの光をカメラ53へ伝送する。結像レンズ57は、第2ライトガイド55の入射側に設けられている。結像レンズ57は、被写体からの光を第2ライトガイド55の入射面へ集光させる。被写体からの光は、結像レンズ57により第2ライトガイド55へ入射した後、第2ライトガイド55内を伝播してカメラ53へ入射する。
【0033】
第1ライトガイド54、第2ライトガイド55としては、多数の光ファイバを束ねたものを用いることができる。光ファイバを用いることで、レーザ光を遠方へ伝送させることができる。カメラ53は、装置本体51内に設けられている。カメラ53は、光源装置10から拡散板56までの光路中の各部により照明された被写体を撮像する撮像部である。第2ライトガイド55から入射した光をカメラ53へ入射させることで、カメラ53による被写体の撮像ができる。上記の光源装置10を用いることで、高い効率で安定した光量のレーザ光を供給することができる。これにより、明るい像を安定してモニタすることができるという効果を奏する。
【実施例3】
【0034】
図7は、本発明の実施例3に係る画像表示装置であるプロジェクタ70の概略構成を示す。プロジェクタ70は、スクリーン88に光を供給し、スクリーン88で反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクタである。プロジェクタ70は、赤色(R)光用光源装置80R、緑色(G)光用光源装置80G、青色(B)光用光源装置80Bを有する。各色光用光源装置80R、80G、80Bは、いずれも上記実施例1の光源装置10(図1参照)と同様の構成を有する。上記実施例1と重複する説明は省略する。プロジェクタ70は、各色光用光源装置80R、80G、80Bからの光を用いて画像を表示する。
【0035】
R光用光源装置80Rは、R光を供給する光源装置である。拡散素子81は、照明領域の整形、拡大、照明領域におけるレーザ光の光量分布の均一化を行う。拡散素子81としては、例えば、回折光学素子である計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram;CGH)を用いることができる。フィールドレンズ82は、拡散素子81からのレーザ光を平行化させ、R光用空間光変調装置83Rへ入射させる。R光用光源装置80R、拡散素子81及びフィールドレンズ82は、R光用空間光変調装置83Rを照明する照明装置を構成する。R光用空間光変調装置83Rは、照明装置からのR光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。R光用空間光変調装置83Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム84へ入射する。
【0036】
G光用光源装置80Gは、G光を供給する光源装置である。拡散素子81及びフィールドレンズ82を経たレーザ光は、G光用空間光変調装置83Gへ入射する。G光用光源装置80G、拡散素子81及びフィールドレンズ82は、G光用空間光変調装置83Gを照明する照明装置を構成する。G光用空間光変調装置83Gは、照明装置からのG光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用空間光変調装置83Gで変調されたG光は、R光とは異なる側からクロスダイクロイックプリズム84へ入射する。
【0037】
B光用光源装置80Bは、B光を供給する光源装置である。拡散素子81及びフィールドレンズ82を経たレーザ光は、B光用空間光変調装置83Bへ入射する。B光用光源装置80B、拡散素子81及びフィールドレンズ82は、B光用空間光変調装置83Bを照明する照明装置を構成する。B光用空間光変調装置83Bは、照明装置からのB光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用空間光変調装置83Bで変調されたB光は、R光、G光とは異なる側からクロスダイクロイックプリズム84へ入射する。透過型液晶表示装置としては、例えば高温ポリシリコンTFT液晶パネル(High Temperature Polysilicon;HTPS)を用いることができる。
【0038】
クロスダイクロイックプリズム84は、互いに略直交させて配置された2つのダイクロイック膜85、86を有する。第1ダイクロイック膜85は、R光を反射し、G光及びB光を透過させる。第2ダイクロイック膜86は、B光を反射し、R光及びG光を透過させる。クロスダイクロイックプリズム84は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光及びB光を合成し、投写レンズ87の方向へ射出させる。投写レンズ87は、クロスダイクロイックプリズム84で合成された光をスクリーン88の方向へ投写する。
【0039】
上記の光源装置10と同様の構成を有する各色光用光源装置80R、80G、80Bを用いることにより、高い効率で安定した光量のレーザ光を供給できる。これにより、明るい画像を安定して表示できるという効果を奏する。プロジェクタ70は、空間光変調装置として透過型液晶表示装置を用いる場合に限られない。空間光変調装置としては、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light Valve)等を用いても良い。
【0040】
プロジェクタ70は、色光ごとに空間光変調装置を備える構成に限られない。プロジェクタ70は、一の空間光変調装置により2つ又は3つ以上の色光を変調する構成としても良い。プロジェクタ70は、空間光変調装置を用いる場合に限られない。プロジェクタ70は、ガルバノミラー等の走査手段により光源装置からのレーザ光を走査することで被投写面へ画像を投写する、レーザスキャン型のプロジェクタとしても良い。画像表示装置は、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から射出される光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。さらに、本発明の光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に適用する場合に限られない。例えば、レーザ光を用いて露光を行う露光装置等に用いることとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明に係る光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に用いる場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施例1に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図2】SHG素子の温度を調節するためのブロック構成を示す図。
【図3】マイクロ波の強度分布について説明する図。
【図4】実施例1の変形例1に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図5】実施例1の変形例2に係る光源ユニットの概略構成を示す図。
【図6】本発明の実施例2に係るモニタ装置の概略構成を示す図。
【図7】本発明の実施例3に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0043】
10 光源装置、11 励起用レーザ、12 第1共振ミラー、13 レーザ結晶、14 SHG素子、15 第2共振ミラー、16 射出部、17 筐体、18 マイクロ波発生部、19 サーミスタ、20、21 マウント、23 制御部、30 光源装置、31 半導体レーザ、32 外部共振器、40 光源ユニット、41 本体部、42 筐体、43 IRカットガラス、50 モニタ装置、51 装置本体、52 光伝送部、53 カメラ、54 第1ライトガイド、55 第2ライトガイド、56 拡散板、57 結像レンズ、70 プロジェクタ、80R R光用光源装置、80G G光用光源装置、80B B光用光源装置、81 拡散素子、82 フィールドレンズ、83R R光用空間光変調装置、83G G光用空間光変調装置、83B B光用空間光変調装置、84 クロスダイクロイックプリズム、85 第1ダイクロイック膜、86 第2ダイクロイック膜、87 投写レンズ、88 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を供給する光源部と、
前記光源部からの前記レーザ光の波長を変換させる波長変換素子と、
前記波長変換素子の温度を調節する温度調節部と、を有し、
前記温度調節部は、電磁波を用いて前記波長変換素子を加熱する電磁波発生部を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記光源部及び前記波長変換素子を収納する筐体を有し、
前記電磁波発生部は、前記筐体の内部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記光源部及び前記波長変換素子を収納する筐体を有し、
前記筐体は、前記電磁波発生部からの前記電磁波を透過させ、
前記電磁波発生部は、前記筐体の外部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記波長変換素子で波長が変換されたレーザ光以外のレーザ光の射出を低減させる低減部材を有することを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記電磁波発生部は、強度分布が設定された前記電磁波を発生させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項6に記載の照明装置と、
前記照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とするモニタ装置。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−198824(P2008−198824A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33117(P2007−33117)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】