説明

光源装置及びプロジェクタ

【課題】光学系にカラーホイールを含む光源装置の、信頼性の低下を防ぎ、高輝度化を実現する。
【解決手段】青色光源とカラーホイール20との間に配置された投影形状調整手段24により、青色光源1から発光されカラーホイール20の蛍光体層22に照射される青色光(B)の投影形状を、カラーホイール20における円周方向に比して径方向の投影範囲が広くなるように調整する。カラーホイール20が回転駆動された状態で、青色光(B)が投影される円環状の範囲も径方向に分散し、発熱範囲も径方向へと分散されて熱引きが良好となる。その結果、蛍光体層22における、青色光源からの青色光(B)の波長変換効率の低下が、回避される。又、蛍光体層22を構成するバインダーの熱的負荷が軽減され、バインダーの変質(黒化)を回避することでカラーホイール20の劣化を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画像を投写光学系により拡大投影し、大画面の表示画像を得るプロジェクタ用の光源装置と、それを用いたプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホームシアター、プレゼンテーション等で使用される、表示画像を投写光学系により拡大投影し、大画面の表示画像を得るプロジェクタ(照射型画像表示装置)が商品化されている。このようなプロジェクタには、光源から出射された光を照明光として、デジタルマイクロミラーデバイス、液晶表示素子等の空間光変調器を使用する電気光学装置を介してスクリーンに画像を表示するものがある。上記プロジェクタには、光源として、高圧水銀ランプやキセノンランプを用いたものもあるが、それらは水銀の含有や、発熱量の問題から好ましくない。そのため近年では、発光ダイオード(LED)やレーザーを使用したプロジェクタが考案されている。
【0003】
本発明者らも、光源にLEDとレーザーを使用するいわゆる「ハイブリッド型」のプロジェクタを開発している。かかるハイブリッド型のプロジェクタは、例えば、赤色光源としてLED、青色光源として青色レーザー、緑色光源として青色レーザーの位相と波長を変換したものを用いている。そして、このようなプロジェクタでは、一般的に、時分割型のフィルタ素子として、高速で回転するカラーホイールが用いられる(例えば、特願2010−038748号)。
【0004】
上記ハイブリッド型プロジェクタの色合成の方式について、その一例を図3に模式図で示す。図3において、プロジェクタ100は、照射光学系の構成要素として、青色光源1、赤色光源2、カラーホイール5、ダイクロイックミラー3,8、レンズ4,9、ミラー6,7、空間光変調器としてのデジタルマイクロミラーデバイス10、投影光学系11、スクリーン12を備えている。青色レーザー発光器が用いられた青色光源1から出射される青色光(B)は、青色光を透過するダイクロイックミラー3、レンズ4を通過し、カラーホイール5に照射される。カラーホイール5は本体が金属製あるいはガラス製の円盤であって、その基板表面には、樹脂等のバインダーに緑色光(G)を発する蛍光体が混入されてなる蛍光体層が、円周方向の一部に、より具体的には、円周方向に沿った所定の中心角度の範囲(図2の符号θ参照)に、カラーホイール5の径方向に対して一定の幅を有して、設けられている。従って、カラーホイール5の蛍光体層が設けられていない部分を通過した青色光は、ダイクロイックミラー8を透過し、レンズ9により集光されてデジタルマイクロミラーデバイス10に達し、カラーホイール5から反射された一部の青色光は、青色光源1側に戻る。
【0005】
一方、青色光源1から青色光が上記蛍光体層に照射されると緑色光が発光され、この緑色光は、レンズ4を通って緑色光を反射するダイクロイックミラー3により反射され、更にミラー6,7と、ダイクロイックミラー8で反射され、レンズ9により集光されてデジタルマイクロミラーデバイス10に達する。
また、赤色LEDが用いられた赤色光源2からの赤色光(R)は、ダイクロイックミラー3を通過し、ミラー6,7に反射されてダイクロイックミラー8に反射され、レンズ9により集光されてデジタルマイクロミラーデバイス10に達する。
デジタルマイクロミラーデバイス10に入射する青色光(B)、緑色光(G)、赤色光(R)の3原色は、入射光の切り替えを同期させて、それぞれの色の画像として時系列的に処理され、投影光学系11を介して、スクリーン12に画像が投写される。なお、カラーホイール5の回転制御や、デジタルマイクロミラーデバイス10、投影光学系11における光の制御については、周知の技術であることから、説明を省略する。
【0006】
以上の如く、図3に例示されたプロジェクタ100においては、青色光(B)の発光は青色光源1により得られ、赤色光(R)の発光は赤色光源2により得られるものであるのに対し、緑色光については、青色光源1からの青色光を、カラーホイール5の蛍光体層により波長変換することにより得られるものである(例えば、特許文献1、2参照)。このため、以下の説明では、青色光源1のごとく単色光を発光する光源を「励起光源」と、青色光(B)を「励起光」ともいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−277516号公報
【特許文献2】特開2008−52070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図3に例示されたプロジェクタ100の光学系については、青色光源1から出射される青色光(B)は、カラーホイール5の円環状の表面の一点に収束して照射されるように構成されていることから、カラーホイール5が高速で回転駆動されるものであるにもかかわらず、青色光(B)が投影される特定半径の円環状の範囲が集中的に発熱し、蛍光体の変換効率が低下することとなる。その結果、表示画像が暗くなってしまうという問題がある。更に、青色光(B)が投影される特定半径の円環状の範囲の、蛍光体層を構成するバインダーが変質(黒化)し、カラーホイール5の信頼性(品質)、ひいては光源装置及びそれを用いたプロジェクタ100の信頼性の低下を来たすこととなる。
一方、表示画像の明るさを向上させるために、青色光源1のレーザー出力を高めると、上述の問題を助長させてしまうという欠点がある。
【0009】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、光学系にカラーホイールを含む光源装置の、信頼性の低下を防ぎ、高輝度化を実現することにある。又、当該光源装置を用いたプロジェクタの、信頼性の低下を防ぎ、高輝度化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0011】
(1)プロジェクタ用の光源装置であって、単色光を発光する励起光源と、円周方向に沿った所定の中心角度の範囲に、前記励起光源から発光された励起光を受ける蛍光体層が形成されたカラーホイールと、前記励起光源と前記カラーホイールとの間に配置され、前記励起光源から前記カラーホイールの蛍光体層に照射される励起光の投影形状を、前記カラーホイールにおける円周方向に比して径方向の投影範囲が広くなるように調整する、投影形状調整手段とを備える光源装置(請求項1)。
本項に記載の光源装置は、前記励起光源と前記カラーホイールとの間に配置された投影形状調整手段により、励起光源から発光されカラーホイールの蛍光体層に照射される励起光の投影形状を、カラーホイールにおける円周方向に比して径方向の投影範囲が広くなるように調整することで、カラーホイールの蛍光体層に励起光が投影される範囲が、径方向に分散する。その結果、カラーホイールが回転駆動された状態で、励起光が投影される円環状の範囲も径方向に分散し、発熱範囲も径方向へと分散されて熱引きが良好となり、蛍光体における、励起光源からの励起光の波長変換効率の低下が回避されるものである。又、蛍光体層を構成するバインダーの熱的負荷が軽減され、カラーホイールの劣化を防ぐものである。
【0012】
(2)上記(1)項において、前記投影形状調整手段により調整されて前記カラーホイールの蛍光体層に照射される励起光の投影形状は、前記カラーホイールの径方向に多ビーム化された態様をなす光源装置(請求項2)。
本項に記載の光源装置は、投影形状調整手段により調整されてカラーホイールの蛍光体層に照射される励起光の投影形状が、カラーホイールの径方向に多ビーム化された態様をなすことにより、カラーホイールの蛍光体層に励起光が投影される範囲が、径方向に多点状に分散するものである。その結果、カラーホイールが回転駆動された状態で、励起光が投影される円環状の範囲も、同心円の複数の帯状に分散し、発熱範囲も径方向へ分散されて熱引きが良好となり、蛍光体における、励起光源からの励起光の波長変換効率の低下が回避されるものである。又、蛍光体層を構成するバインダーの熱的負荷が軽減され、カラーホイールの劣化を防ぐものである。
【0013】
(3)上記(1)、(2)項において、前記投影形状調整手段は回折格子により構成されている光源装置(請求項3)。
本項に記載の光源装置は、回折格子による単色光の回折作用により、励起光源から発光されカラーホイールの蛍光体層に照射される励起光の投影形状を、カラーホイールにおける円周方向に比して径方向の投影範囲が広くなるように調整するものである。なお、回折格子による回折作用(回折角)が十分得られる場合には、投影形状調整手段により調整されてカラーホイールの蛍光体層に照射される励起光の投影形状は、カラーホイールの径方向に多ビーム化された態様となる。一方、回折格子による回折作用が小さい場合には、同投影形状は、明確に多ビーム化されることなく、カラーホイールの径方向に連なって広がる態様となる。しかしながら、いずれの場合であっても、カラーホイールの蛍光体層に励起光が投影される範囲が、径方向に分散することとなり、カラーホイールが回転駆動された状態で、励起光が投影される円環状の範囲も径方向に分散し、発熱範囲も径方向へと分散されて熱引きが良好となり、蛍光体における、励起光源からの励起光の波長変換効率の低下が回避されるものである。又、蛍光体層を構成するバインダーの熱的負荷が軽減され、カラーホイールの劣化を防ぐものである。
【0014】
(4)上記(1)、(2)項において、前記投影形状調整手段はシリンドリカルレンズにより構成されている光源装置。
本項に記載の光源装置は、シリンドリカルレンズによる一方向の回折作用により、励起光源から発光されカラーホイールの蛍光体層に照射される励起光の投影形状を、カラーホイールにおける円周方向に比して径方向の投影範囲が広くなるように調整するものである。従って、投影形状調整手段により調整されてカラーホイールの蛍光体層に照射される励起光の投影形状は、カラーホイールの径方向に、楕円状ないし長円状に広がる態様となり、カラーホイールの蛍光体層に励起光が投影される範囲が、径方向に分散する。その結果、カラーホイールが回転駆動された状態で、励起光が投影される円環状の範囲も径方向に分散し、発熱範囲も径方向へと分散されて熱引きが良好となり、蛍光体における、励起光源からの励起光の波長変換効率の低下が回避されるものである。又、蛍光体層を構成するバインダーの熱的負荷が軽減され、カラーホイールの劣化を防ぐものである。
【0015】
(5)上記(1)から(3)項において、前記投影形状調整手段と前記カラーホイールとの間に集光レンズが配置されている光源装置。
本項に記載の光源装置は、投影形状調整手段と前記カラーホイールとの間に配置された集光レンズにより、励起光の焦点距離が適切に調整されるものである。
(6)上記(5)項において、前記集光レンズがシリンドリカルレンズである光源装置。
本項に記載の光源装置は、投影形状調整手段と前記カラーホイールとの間に配置された集光レンズにより、励起光の焦点距離が適切に調整されるものである。しかも、集光レンズがシリンドリカルレンズであることにより、投影形状調整手段によって、カラーホイールの蛍光体層に照射される励起光の投影形状が、更に強調して調整されるものとなる。
【0016】
(7)上記(1)から(6)項において、前記蛍光体層は、少なくとも、照射される前記励起光の投影形状に対応する、前記カラーホイールの径方向の位置に形成されている光源装置(請求項4)。
本項に記載の光源装置は、蛍光体層を、カラーホイールの径方向の全範囲のうち、励起光源からの励起光の波長変換に供する範囲である、照射される前記励起光の投影形状に対応する径方向の位置に設けることで、上記(1)から(5)記載の作用を得るものである。又、カラーホイールの径方向の全範囲のうち、励起光源からの励起光の波長変換に供する範囲以外の範囲については、蛍光体層を設置しないことで、その使用量を削減するものである。
【0017】
(8)なお、上記(1)から(7)項記載の光源装置を備えるプロジェクタを構成することが可能である(請求項5)。
本項に記載のプロジェクタは、その構成要素である光源装置において、上記(1)から(6)項記載の作用を奏するものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明はこのように構成したので、光学系にカラーホイールを含む光源装置の、信頼性の低下を防ぎ、高輝度化を実現することが可能となる。又、当該光源装置を用いたプロジェクタの、信頼性の低下を防ぎ、高輝度化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る、光源装置の要部を示す模式図である。
【図2】図1に示される光源装置の、光学系の構成態様を例示するものであり、(a)は透過型、(b)は反射型を示す模式図である。
【図3】従来のハイブリッド型のプロジェクタの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。なお、本発明の実施の形態に係る光源装置は、図3に例示されるような、ハイブリッド型のプロジェクタに適用可能なものである。よって、光源装置の全体構成については、図3のプロジェクタ図3を適宜参照することとし、又、本光源装置を用いたプロジェクタについても同様とする。
【0021】
図1には、本発明の実施の形態に係る光源装置の要部が示されている。本光源装置は、励起光源である青色光源1と、カラーホイール20との間に、投影形状調整手段24が配置されているものである。この投影形状調整手段24は、青色光源1からカラーホイール20の蛍光体層22に照射される励起光としての青色光(B)の投影形状を、カラーホイール20における円周方向に比して径方向の投影範囲が広くなるように調整するものである。図示の例では、投影形状調整手段24には回折格子が用いられていることから、投影形状調整手段24により調整されてカラーホイール20の蛍光体層22に照射される青色光(b)の投影形状は、カラーホイール20の径方向に多ビーム化され、異なる半径位置に対して3点(BA、BB、BC)に照射される態様をなしている。
【0022】
なお、投影形状調整手段24を構成する回折格子による多ビーム化は、図示の例では異なる半径位置に対して3点照射される態様であるが、更なる多ビーム化も可能である。
又、回折格子による回折作用(回折角)が十分得られる場合には、投影形状調整手段24により調整されてカラーホイール20の蛍光体層22に照射される青色光(B)の投影形状は、図1の如く、カラーホイール20の径方向に多ビーム化された態様となる。一方、回折格子による回折作用が小さい場合には、同投影形状は、明確に多ビーム化されることなく、カラーホイール20の径方向に連なって広がる態様となる。
【0023】
一方、カラーホイール20は、基板(カラーホイール基板)202の表面に蛍光体層22が形成されたものであるが、この蛍光体層22は、照射される青色光(B)の投影形状に対応する、カラーホイール20の径方向の位置に形成されている。図1の例では、カラーホイール20の径方向に多ビーム化され、異なる半径位置に対して3点照射される青色光(b)の投影形状に対応するように、同心円状に蛍光体層22A、22B、22Cが形成されている。
なお、蛍光体層22は、バインダー内に蛍光体を分散したものである。具体例としては、バインダーにはシリコーン樹脂が用いられ、蛍光体にはガーネットが用いられる。又、カラーホイール基板202上に蛍光体層22を形成する具体的手法については、適宜選択可能であるが、例えば、スクリーン印刷により形成することが可能である。
【0024】
参考までに、カラーホイール5を構成するカラーホイール基板202は、従来技術でも説明したように、金属製又はガラス製である。
又、蛍光体層22の蛍光体材料としては、ガーネットの他にも、以下のようなものが用いられる。例えば緑色発光用蛍光体としては、Zn2SiO4:Mn,BaAl1219:Mn,BaMgAl1423:Mn,SrAl1219:Mn,ZnAl1219:Mn,CaAl1219:Mn,YBO3:Tb,LuBO3:Tb,GdBO3:Tb,ScBO3:Tb,Sr4Si38Cl4:Eu,等が挙げられる。又、例えば赤色発光用蛍光体としては、Y23:Eu,Y2SiO5:Eu,Y3Al512:Eu,Zn3(P042:Mn,YBO3:Eu,(Y,Gd)BO3:Eu,GdBO3:Eu,ScBO3:Eu,LuBO3:Eu,等が挙げられる。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態に係る光源装置の、光学系の構成態様を例示するものである。図2(a)は透過型の光源装置であり、投影形状調整手段24により3分割された青色光(B)は、集光レンズ(図3の、符号4参照)によって焦点距離が調整されて、カラーホイール20に照射される。そして、カラーホイール20を透過した青色光(B)、及び、蛍光体層22により波長変換されて得られた緑色光(G)は、カラーホイール20に対して投影形状調整手段24と反対側に配置されたライトパイプ26に各々入射され、ライトパイプ26内で均一な光となって、ライトパイプ26の先端面から出射される。このライトパイプ26から出射された青色光(B)については、図3に例示されるように、ダイクロイックミラー8を通過し、レンズ9により集光されてデジタルマイクロミラーデバイス10に達するものである。又、この場合には、緑色光(G)も青色光(B)と同様の光路をたどることとなる。
【0026】
一方、図2(b)は反射型を示す模式図である。この場合には、投影形状調整手段24により3分割された青色光(B)は、ダイクロイックミラー3を透過した後、集光レンズ(図3の、符号4参照)によって焦点距離が調整され、カラーホイール20に照射される。そして、カラーホイール20を透過した青色光(B)は、カラーホイール20に対して投影形状調整手段24と反対側に配置されたライトパイプ26に入射され、ライトパイプ26内で均一な光となって、ライトパイプ26の先端面から出射される。又、蛍光体層22により波長変換されて、カラーホイール20に反射された緑色光(G)は、図3にも示されるように、ダイクロイックミラー3により直角方向へと屈折され、ライトパイプ28に入射され、ライトパイプ28内で均一な光となって、ライトパイプ28の先端面から出射される。このライトパイプ28から出射された緑色光(G)については、図3に例示されるように、ミラー6,7に反射されてダイクロイックミラー8に反射され、レンズ9により集光されてデジタルマイクロミラーデバイス10に達する。
【0027】
なお、ここで用いられるライトパイプ26、28については、その内部で光の反射を繰り返す公知のもので良い。
又、図示は省略するが、投影形状調整手段24を構成する回折格子に換えて、シリンドリカルレンズを用いることとしても良い。この場合には、回折格子による回折作用が小さい場合と同様に、投影形状調整手段24により調整されてカラーホイール20の蛍光体層22に照射される青色光(B)の投影形状は、多ビーム化されることなく、カラーホイール20の径方向に、楕円状ないし長円状に広がる態様となる。
【0028】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。まず、青色光源1(図3)とカラーホイール20との間に配置された投影形状調整手段24により、青色光源1から発光されカラーホイール20の蛍光体層22に照射される青色光(B)の投影形状を、カラーホイール20における円周方向に比して径方向の投影範囲が広くなるように調整することで、カラーホイール20の蛍光体層22に青色光(B)が投影される範囲が、カラーホイール20の径方向に分散することとなる。その結果、カラーホイール20が回転駆動された状態で、青色光(B)が投影される円環状の範囲も径方向に分散し、発熱範囲も径方向へと分散されて熱引きが良好となり、蛍光体層22における、青色光源1からの青色光(B)の波長変換効率の低下が、回避されることとなる。又、蛍光体層22を構成するバインダーの熱的負荷が軽減され、バインダーの変質(黒化)を回避することでカラーホイール20の劣化を防ぐことができる。そして、青色光源1の出力を高めることが可能となり、高輝度の光源装置を構成することが可能となる。
しかも、投影形状調整手段24による投影形状の調整は、回折格子や、シリンドリカルレンズにより行うことが可能である。
【0029】
又、投影形状調整手段24により調整されてカラーホイール20の蛍光体層22に照射される青色光(B)の投影形状が、カラーホイール20の径方向に多ビーム化された態様をなすことにより、カラーホイール20の蛍光体層22に青色光(B)が投影される範囲が、径方向に多点状(BA、BB、BC)に分散するものである。その結果、カラーホイール20が回転駆動された状態で、青色光(B)が投影される円環状の範囲も、同心円の複数の帯状に分散し、発熱範囲も径方向へ分散されて、蛍光体層22における、青色光源1からの青色光(B)の波長変換効率の低下が、回避されるものである。
【0030】
更に、本発明の実施の形態によれば、カラーホイール20の蛍光体層22を、カラーホイール20の径方向の全範囲のうち、青色光源1からの青色光(B)の波長変換に供する範囲である、照射される青色光(B)の投影形状に対応する径方向の位置に設けることで、上記作用効果を得ることができる。しかも、この場合には、カラーホイール20の径方向の全範囲のうち、青色光源1からの青色光(B)の波長変換に供する範囲以外の範囲については、蛍光体層22を設置しないことでその使用量を削減し、比較的高価格の蛍光体の使用量削減による、カラーホイール20の製造コストの低減を図ることが可能となる。
又、本発明の実施の形態に係る光源装置を備えるプロジェクタは、その構成要素である光源装置において、上記作用効果を奏するものとなる。
【符号の説明】
【0031】
1:励起光源、20:カラーホイール、 22、22A、22B、22C:蛍光体層、24:投影形状調整手段、B:励起光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタ用の光源装置であって、
単色光を発光する励起光源と、
円周方向に沿った所定の中心角度の範囲に、前記励起光源から発光された励起光を受ける蛍光体層が形成されたカラーホイールと、
前記励起光源と前記カラーホイールとの間に配置され、前記励起光源から前記カラーホイールの蛍光体層に照射される励起光の投影形状を、前記カラーホイールにおける円周方向に比して径方向の投影範囲が広くなるように調整する、投影形状調整手段とを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記投影形状調整手段により調整されて前記カラーホイールの蛍光体層に照射される励起光の投影形状は、前記カラーホイールの径方向に多ビーム化された態様をなすことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記投影形状調整手段は回折格子により構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光源装置。
【請求項4】
前記蛍光体層は、少なくとも、照射される前記励起光の投影形状に対応する、前記カラーホイールの径方向の位置に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の光源装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の光源装置を備えるプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−159603(P2012−159603A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18094(P2011−18094)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】