説明

光硬化可能な組成物

【課題】本発明は、光重合性・リソグラフィー性を有し、さらには、絶縁性に優れるポリシロキサン系の光硬化性組成物を提供すること。薄膜トランジスタのパッシベーション膜、ゲート絶縁膜として有用である。
【解決手段】同一分子中に光重合性官能基およびSiH基を有し、かつ、6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造を含有するポリシロキサン系化合物、アルケニル基を有する化合物、光重合開始剤、ヒドロシリル化触媒を含む光硬化可能な組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化可能な耐熱性、耐光性に優れる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ基含有シロキサンやメタクリロイル基含有シロキサン化合物は光重合性ポリシロキサンとして古くより知られており、コーティング剤、接着剤など様々な電子デバイス用部材として適用されている。またポリシロキサン構造体の中で、特に耐熱分解性、絶縁性などに優れる素材として多面体構造を有するシルセスキオキサン系化合物が知られており、各種重合性官能基を有するものについても既に知られている。
【0003】
例えば、エポキシ基を含有するもの(特許文献1)、(メタ)アクリロイル基を有するもの(特許文献2)、加水分解性シリル基を有するもの(特許文献3)、オキセタニル基を有するもの(特許文献4)等、各種化合物が報告されており、これらの化合物は、各種硬化開始剤の存在下、熱や光により架橋し硬化物を与える。しかしエポキシ架橋体やゾルゲル架橋体ではその硬化物において、架橋点が弱く電子デバイスの信頼性試験時などに、熱分解の起点になったり絶縁性の低下を招く要因なるため、シルセスキオキサン構造体の優れた特性を落とさないような架橋方式の提案、組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−359933号公報
【特許文献2】特開2004−143449号公報
【特許文献3】特開2006−269402号公報
【特許文献4】特開2005−23256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題が解決された、光硬化性・リソグラフィー性を有し、さらには、絶縁性に優れるポリシロキサン系化合物および該化合物を用いた組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明は以下の構成を有するものである。
【0007】
1). 同一分子中に光重合性官能基およびSiH基を有し、かつ、6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造を含有するポリシロキサン系化合物、アルケニル基を有する化合物、光重合開始剤、ヒドロシリル化触媒を含む光硬化可能な組成物。
【0008】
2). 同一分子中にアルケニル基と光重合性官能基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有し、かつ6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン化合物を含有していることを特徴とする1)に記載の組成物。
【0009】
3). ポリシロキサン系化合物の光重合性官能基が脂環式エポキシ基、グリシジル基
、加水分解性ケイ素基から選ばれることを特徴とする1)または2)に記載の組成物。
【0010】
4). ポリシロキサン系化合物がSiH基を有する環状シロキサン化合物とアルケニル基を有する6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン化合物とをヒドロシリル化反応させて得られる反応物を含むことを特徴とする1)〜3)のいずれか一項に記載の組成物。
【0011】
5). ポリシロキサン系化合物が、下記一般式
【0012】
【化1】

【0013】
(式中R〜R32は、炭素数1〜10の非架橋性有機基であり、これらR〜R32のうち、少なくとも1つはアルケニル基もしくは水素原子(SiH基)である)で表される、多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物と下記一般式、
【0014】
【化2】

【0015】
(式中R、Rは炭素数1〜6の非架橋性有機基、Xは水素原子(SiH基)または、アルケニル基であり、nは1〜10、mは0〜10の数を表す)で表される環状シロキサン化合物、および光重合官能基とアルケニル基とをそれぞれ同一分子中に少なくとも1つ以上有する化合物とのヒドロシリル化反応により得られることを特徴とする1)〜4)のいずれか一項に記載の組成物。
【0016】
6). 光重合開始剤が、オニウム塩類である、1)〜5)のいずれか一項に記載の組成物。
【0017】
7). 増感剤を含有することを特徴とする6)に記載の組成物。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光硬化性を有し、さらには、絶縁性、耐熱耐光性に優れるポリシロキサン系化合物および該化合物を用いた組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の組成物は、6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造を含有する組成物であり、光重合反応およびヒドロシリル化反応の2つの架橋反応が進行しうる光硬化が可能な組成物であれば特に限定されるものではない。一般の光硬化性の材料と比較して本発明の組成物は、架橋反応として光重合反応と反応後に構造的に安定なSi−C結合を形成するヒドロシリル化反応とを進行させる組成物であるため光で硬化し、かつ優れた絶縁信頼性、耐熱性を有する硬化物を与え得る。
【0020】
本発明の組成物で得られる硬化物は、光硬化性、フォトリソグラフィー性を必要とし、かつ高い絶縁性が要求される電子部品に好適であり、例えば、微細なパターニングが必要でかつ薄膜で高い絶縁性が求められるTFT用絶縁膜などのゲート絶縁膜、パッシベーション膜などに適用することができる。薄膜トランジスタ等の電気デバイスを形成させた際、絶縁層にリーク電流等があると信号の応答遅延、誤作動、デバイス不良につながるためその絶縁膜には高い絶縁性を有することが求められる。
【0021】
ただし一般に溶液塗布により形成できるような感光性樹脂組成物から形成される絶縁膜については、その薄膜に電圧を印加した場合のリーク電流量が大きすぎるため使用できないのに対し、本発明の組成物より得られる薄膜はリーク電流量が小さく、当該用途で好適に用いることができる。
【0022】
(多面体骨格を有するポリシロキサン構造)
本発明の組成物は、耐熱分解性、絶縁性などに優れる構造である多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物を含有することを特徴としている。ここで言う6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造とは、具体的に、例えば、以下の構造で示される多面体構造を有するシルセスキオキサンが例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。
【0023】
【化3】

【0024】
上記式中R〜Rはビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の非置換又は置換の1価の炭化水素基である。
【0025】
ただし、R〜Rのうちの少なくとも1つは、本組成物の架橋反応である光重合反応もしくはヒドロシリル化反応のいずれかに関与する反応基を含む有機基である。
【0026】
上記、多面体構造を有するシルセスキオキサンは、例えば、RSiX(式中Rは、上述のR〜Rを表し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって、得られる。または、RSiXの加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより、閉環し、多面体骨格を有するシルセスキオキサンを合成する方法も知られている。
【0027】
さらに好ましい例としては、以下の構造で示されるような多面体構造を有するシリル化ケイ酸が例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。該化合物においては、多面体骨格を形成するSi原子と本組成物の架橋反応である光重合反応もしくはヒドロシリル化反応のいずれかに関与する反応基を含む有機基とが、シロキサン結合を介して結合していることから、得られる硬化物の剛直になり過ぎず、良好な成形体を得ることができる。
【0028】
【化4】

【0029】
上記、構造中、R〜R32は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の有機基である。ただし、これらR〜R32のうち、少なくとも1つは本組成物の架橋反応である光重合反応もしくはヒドロシリル化反応のいずれかに関与する反応基を含む有機基である。
【0030】
多面体構造を有するケイ酸塩の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成できる。前記合成方法としては、具体的には、テトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。テトラアルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等が例示できる。4級アンモニウムヒドロキシドとしては、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが例示できる。また、本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカ含有する物質からも、同様の多面体構造を有するケイ酸塩を得ることが可能である。
【0031】
本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をアルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子と架橋反応基を有する有機基とが、シロキサン結合を介して結合したポリシロキサンを得ることが可能となる。
【0032】
本発明においては、多面体骨格に含有されるSi原子の数として、6〜24、さらに好ましくは、6〜10のものを好適に用いることが可能である。また、Si原子数の異なる多面体骨格を有するポリシロキサンの混合物であってもよい。
【0033】
(光重合反応、光重合性官能基)
次に本発明で言う光重合反応、光重合性官能基について説明する。
【0034】
ここで言う光重合反応とは、光エネルギーが外部より加わった際に光重合開始剤より発生するラジカルもしくはカチオン種によって重合、架橋する官能基を示し、特に反応・架橋形式は限定されるものではない。特に光エネルギーによる感度が高いという観点より、(メタ)アクリロイル基の光ラジカル重合反応、エポキシ基、オキセタニル基、ビニロキシ基の光カチオン重合反応、加水分解性ケイ素基の光酸縮合反応などが好ましい。
【0035】
また光重合反応を利用し、フォトリソグラフィー性を発現させることもできる。本組成物を用いる薄膜において、フォトマスク越しに露光し現像することで微細なパターニングを形成することが可能である。ドライエッチング等よって得られるパターニング工程と比較してプロセスが簡略化できる観点より優位である。ここで用いられる現像液については、組成物が溶解するような溶剤種であれば特に限定されず使用することができ、一般に用いられるケトン系、アルコール系、芳香族系、炭化水素系、エーテル系などの有機溶剤が挙げられる。
【0036】
また光重合性官能基としては、特に反応性・化合物の安定性の観点より、エポキシ基、加水分解性ケイ素基、(メタ)アクリロイル基、ビニロキシ基が好ましい。エポキシ基の中でも安定性の観点より、脂環式エポキシ基やグリシジル基が好ましく、特に光および熱によるカチオン重合性に優れる点では、脂環式エポキシ基が好ましい。
【0037】
また、加水分解性ケイ素基としては、アルコキシシリル基、アセトキシシリル基、フェノキシシリル基、シラノール基、クロロシリル基等の加水分解性を有するケイ素基が挙げることができ、特に入手性、化合物の安定性の点から、特にアルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基としては、ケイ素に結合する官能基が、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基のものが挙げられ、硬化後の残留成分が残りにくいという観点から、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0038】
これらの中でもポリシロキサンの安定性が高い点で、エポキシ基、アルコキシシリル基が好ましく、厚膜の硬化物が形成できるという点で、エポキシ基がさらに好ましい。光重合性官能基を少なくとも1個有すればよく、各光重合性官能基は同一であってもよく、2種以上の異なる官能基を有しても良い。また光重合性官能基を一分子中に少なくとも1個有すればよいが、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上である。3個以上であれば、架橋密度の高い硬化物が得られ耐熱性に優れるという利点がある。
【0039】
(光重合開始剤)
本発明において光重合開始剤を添加することにより光重合反応を開始させることができ得る。光重合開始剤とは、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、i線等の活性エネルギー線を照射することにより、重合活性種を発生させる化合物であり、用いるポリシロキサン化合物中に含有される光重合性官能基の種類によって選択し適宜用いる。
【0040】
重合性官能基がエポキシ基や加水分解性シリル基等の場合、重合開始剤として光酸発生剤を用いるが、特に限定せず使用することができる。光酸発生剤により発生する酸のpKaは、限定はされないが、好ましくは、3未満、さらに好ましくは1未満である。
【0041】
本発明の組成物に使用できる光酸発生剤としては、公知の光酸発生剤を使用することができる。例えば、特開2000−1648号公報、特表2001−515533号公報、WO2002−83764において好適とされている各種の化合物を挙げることができるが、本発明は特にこれらに限定されるわけではない。本発明において好ましく使用できる光酸発生剤としては、スルホネートエステル類、カルボン酸エステル類、オニウム塩類が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類が用いられる。
【0042】
本発明においては、スルホネートエステル類の光酸発生剤として、種々のスルホン酸誘導体を使用することができる。例えば、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、トリフルオロメチルスルホネート類などのイミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類を挙げることができる。
【0043】
具体的には、ジフェニルジスルホン、ジトシルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(クロルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドメチルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドトシルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドカンファースルホネート、コハク酸イミドフェニルスルホネート、コハク酸イミドトシルスルホネート、コハク酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、コハク酸イミドカンファースルフォネート、フタル酸イミドトリフルオロスルホネート、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、ベンゾイントシラート、1、2−ジフェニル−2−ヒドロキシプロピルトシラート、1、2−ジ(4−メチルメルカプトフェニル)−2−ヒドロキシプロピルトシラート、ピロガロールメチルスルホネート、ピロガロールエチルスルホネート、2,6−ジニトロフェニルメチルトシラート、オルト−ニトロフェニルメチルトシラート、パラ−ニトロフェニルトシラートなどを挙げることができる。
【0044】
これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、カルボン酸エステル類も同様に使用することができる。
【0045】
一般に、スルホン酸エステルおよびカルボン酸エステルは、酸を遊離するために、加熱ステップ(50℃〜100℃)を必要とする場合がある。
【0046】
本発明で使用できるオニウム塩としては、テトラフルオロボレート(BF−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF−)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl−)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、過塩素酸イオン(ClO−)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CFSO−)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO−)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等のアニオンを有するスルホニウム塩またはヨードニウム塩を使用することができる。
【0047】
スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアシルネート、トリフェニルスルホニウムヘキサヘキサフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオベンジル)ボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリトイルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、アニシルジフェニルスルホニウムヘキサヘキサフルオルアンチモネート、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、トリス(4−チオメトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4−オクチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(ドデシルフェニル)スルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、フェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、10−メチルフェノキサチイニウムヘキサフルオロホスフェート、5−メチルチアントレニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムキサンテニウムテトラフルオロボレート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、5−メチル−10−オキソチアトレニウムテトラフルオロボレート、5−メチル−10−オキソチアトレニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、および5−メチル−10,10−ジオキソチアトレニウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
本発明において使用できるヨードニウム塩としては、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフラート、ジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジブロモジフェニルヨードニウムビスルフェート、3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ビススクシンイミドジフェニルヨードニウムビスルフェート、3−ニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウムビスルフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、米国特許第5,554,664号に開示されている(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(CHI−(SOCF、米国特許第5,514,728号に開示されている(C)2I−B(C、および米国特許第5,340,898号に開示されているものなどが挙げられる。これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
その他のオニウム塩としては、芳香族ジアゾニウム塩を使用することができ、例えばp−メトキシベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロアンチモネートなどを使用することができる。
【0050】
本発明において使用できる、商業的に入手できるオニウム塩としては、サンエイドSI−60、SI−80、SI−100、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−L145、SI−L150、SI−L160、SI−L110、SI−L147(以上、三新化学工業(株)製)、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(以上、旭電化工業(株)製)、Irgacure261(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DS−100、DS−101、DAM−101、DAM−102、DAM−105、DAM−201、DSM−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、SI−100、SI−101、SI−105、SI−106、PI−105、NDI−105、BENZOIN TOSYLATE、MBZ−101、MBZ−301、PYR−100、PYR−200、DNB−101、NB−101、NB−201、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、ミドリ化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、IBPF、IBCF(三和ケミカル(株)製)CD1012(サートマー社製)、IBPF、IBCF(以上、三和ケミカル(株)製)、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、ミドリ化学(株)製)、UVE1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、RHODORSIL−PI2074(ローディア社製)等を挙げることができる。
【0051】
また、J.Polymer Science:Part A:polymer Chemistry,Vol.31,1473−1482(1993),J.Polymer Science:Part A:polymer Chemistry,Vol.31,1483−1491(1993)において記述されている方法により製造できるジアリールヨードニウム塩を使用することもできる。
【0052】
本発明の組成物における光酸発生剤の含有量は、特に制限はないが、硬化性の点から、ポリシロキサン系化合物100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましく、また、硬化物の物性バランスの点からさらには0.1〜10.0重量部が、また特には0.2〜8重量部であることが好ましい。光酸発生剤の量が少ないと硬化に長時間を要したり、十分に硬化した硬化物が得られない場合がある。また、光酸発生剤が多いと、色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色や、耐熱性や耐光性を損なう恐れがあるため、好ましくない。
【0053】
また光重合性官能基が(メタ)アクリロイル基の場合、重合開始剤としてラジカル重合開始剤を用いることが好ましいが、特に限定せず使用することができる。
【0054】
ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、ビイミダゾール系化合物、α−ジケトン系化合物、チタノセン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、ケタール系化合物、アゾ系化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン系化合物、ジスルフィド系化合物、チウラム化合物類、フルオロアミン系化合物等が用いることができる。
【0055】
アセトフェノン系化合物の具体例としては、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4'−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2'−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4'−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4'−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシー1−〔4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]フェニル〕−2−メチループロパンー1−オン等が挙げられる。
【0056】
アシルフォスフィンオキサイド系化合物の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0057】
オキシムエステル系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0058】
ベンゾイン系化合物の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
【0059】
ベンゾフェノン系化合物の具体例としては、ベンジルジメチルケトン、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0060】
α−ジケトン系化合物の具体例としては、ジアセチル、ジベンゾイル、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
【0061】
ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等が挙げられる。
【0062】
多核キノン系化合物の具体例としては、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン等が挙げられる。
【0063】
キサントン系化合物の具体例としては、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン等が挙げられる。
【0064】
トリアジン系化合物の具体例としては、1,3,5−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2'−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4'−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2'−メトキシフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4'−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(2'−フリルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4'−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3',4'−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4'−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2'−ブロモ−4'−メチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2'−チオフェニルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0065】
特に薄膜硬化性に優れるという観点より、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシー1−〔4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]フェニル〕−2−メチループロパンー1−オン、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
【0066】
特に硬化物が透明性に優れるという観点より、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4'−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2'−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシアセトフェノンが好ましい。
【0067】
(ヒドロシリル化反応)
本発明の組成物において光重合反応と別にもう一つの架橋反応としてヒドロシリル化反応が進行することを特長としている。このヒドロシリル化反応は、一般に公知であるSiH基とアルケニル基との付加反応であり、ヒドロシリル化触媒存在下、組成物に熱もしくは光エネルギーが加わった時に進行する架橋反応で特に限定されるものではない。またヒドロシリル化反応は、上記光重合反応と同時に進行、もしくは光重合反応の先にまたは後に反応が進行してもよい。
【0068】
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、50〜160℃である。
【0069】
(ヒドロシリル化触媒)
また本発明で用いるヒドロシリル化触媒としては、通常ヒドロシリル化触媒として用いられるものを用いることができ特に制限はなく、任意のものが使用できる。具体的には例示すれば、白金−オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt〔(MeViSiO)4m;白金−ホスフィン錯体、例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34;白金−ホスファイト錯体、例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
【0070】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
【0071】
ヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、上記化合物中のアルケニル基1molに対して10-1〜10-10molの範囲で用いるのがよい。好ましくは10-3〜10-8molの範囲で用いるのがよい。また、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性であり、また、水素ガスを大量に発生して硬化物が発泡してしまう場合があるので10-1mol以上用いない方がよい。
【0072】
(好適なポリシロキサン化合物)
SiH基および光重合性官能基含有ポリシロキサン化合物
本発明において用いることのできる好適なポリシロキサン系化合物として、分子中にSiH基と光重合性官能基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有し、かつ6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物が挙げられる。
【0073】
同一分子中に上記光重合性官能基とSiH基とを1つ以上有し、かつ6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造を含有していることを特徴とするポリシロキサン系化合物を得る合成法は特に限定されるものではないが、制御しやすい反応で、かつ反応後安定なSi−C結合が形成されるヒドロシリル化による合成法が挙げられる。
【0074】
合成法として、1)SiH基を2個以上有する6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物と同一分子中にアルケニル基と光重合性官能基とを1個以上有する化合物とのヒドロシリル化反応により得る方法 2)SiH基を2個以上有するポリシロキサン化合物とアルケニル基を1個以上有し6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物と同一分子中にアルケニル基と光重合性官能基とを1個以上有する化合物とのヒドロシリル化反応により得る方法が挙げられる。
【0075】
まず1)の方法で用いるSiH基を含有する多面体構造のポリシロキサンとしては、多面体骨格に含有されるSi原子の数は6〜24であることが好ましく、具体的に、例えば、以下の構造で示される多面体構造を有するシルセスキオキサンが例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。
【0076】
【化5】

【0077】
上記式中R〜Rはビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の非置換又は置換の1価の炭化水素基である。ただし、R〜Rのうちの少なくとも2つは、ヒドロシリル化反応の反応性基であるSiH基である。
【0078】
上記、多面体構造を有するシルセスキオキサンは、例えば、RSiX(式中Rは、上述のR〜Rを表し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって、得られる。または、RSiXの加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより、閉環し、多面体骨格を有するシルセスキオキサンを合成する方法も知られている。
【0079】
さらに好ましい例としては、以下の構造で示されるような多面体構造を有するシリル化ケイ酸が例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。該化合物においては、多面体骨格を形成するSi原子と反応性基とが、シロキサン結合を介して結合していることから、得られる硬化物は剛直になり過ぎず、良好な成形体を得ることができる。
【0080】
【化6】

【0081】
上記、構造中、R〜R32は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の有機基である。ただし、これらR〜R32のうち、少なくとも2つはヒドロシリル化反応の反応性基であるSiH基である。
【0082】
多面体構造を有するケイ酸塩の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成できる。前記合成方法としては、具体的には、テトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。テトラアルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等が例示できる。4級アンモニウムヒドロキシドとしては、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが例示できる。また、本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカ含有する物質からも、同様の多面体構造を有するケイ酸塩を得ることが可能である。
【0083】
本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をSiH基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子と反応性基であるSiH基とが、シロキサン結合を介して結合したポリシロキサンを得ることが可能となる。
【0084】
本発明においては、多面体骨格に含有されるSi原子の数として、6〜24、さらに好ましくは、6〜10のものを好適に用いることが可能である。また、Si原子数の異なる多面体骨格を有するポリシロキサンの混合物であってもよい。また、本発明においては、1分子中に含まれるSiH基の数は、少なくとも2つ、より好ましくは、少なくとも3つ、さらに好ましくは、少なくとも4つ含有することが望ましい。本発明においては、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、水素原子およびメチル基から構成されることが好ましい。
【0085】
次に1)の方法で用いるアルケニル基と光重合性官能基とを1個以上同一分子中に有する化合物を説明する。
【0086】
ここで言う化合物としては、上記にあるエポキシ基、架橋性ケイ素基、(メタ)アクリロイル基、ビニロキシ基等から選ばれる光重合性官能基とアルケニル基とを同分子中に少なくとも1つずつ以上有している化合物であれば特に限定なく使用することができる。
【0087】
入手性の観点より、エポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビニルシクロヘキセンオキシド、アリルグリシジルエーテル、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等が挙げられ、光重合反応性に優れている観点より、脂環式エポキシ基を有する化合物であるビニルシクロヘキセンオキシドが特に好ましい。
【0088】
またアルコキシ基を有する化合物としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基が挙げられ、硬化後の残留成分が残りにくいという観点から、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。化合物の具体例としては、入手性容易性及び耐熱性の観点からは、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシランが好ましい。
【0089】
アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸変性アリルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製、商品名:デナコールアクリレートDA111)が挙げられる。さらにヒドロシリル化の選択性が高いという観点より、メタクリロイル基とアリルまたはビニル基とが同一分子内に共存する化合物であることが好ましく、入手性の面より特にメタクリル酸アリル、メタクリル酸ビニルなどが好ましい。
【0090】
またヒドロシリル化反応の際、光重合性官能基の種類を問わず、2種以上の化合物を併用することもできる。
【0091】
次に2)の方法で用いるSiH基を2個以上有するポリシロキサン化合物について説明する。
【0092】
ここで言う化合物については、例えば、直鎖構造を有するSiH基含有ポリシロキサン、分子末端にSiH基を有するポリシロキサン、SiH基を含有する環状シロキサン化合物を使用することが可能であり、特に構造によって限定されるものではないが、耐熱性、耐光性、化学的安定性などを考慮すると、SiH基を含有する多面体骨格を有するポリシロキサンであることが好ましい。また、用いるポリシロキサンは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0093】
直鎖構造を有するSiH基含有ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、などが例示される。
【0094】
分子末端にSiH基を有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位(H(CHSiO1/2単位)とSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
【0095】
SiH基を含有する環状シロキサン化合物としては、下記一般式
【0096】
【化7】

【0097】
(式中R、Rは炭素数1〜6の非架橋性有機基、Xは水素原子(SiH基)であり、nは1〜10、mは0〜10の数を表す)であらわされる環状シロキサンがあげられる。環状構造中にケイ素原子が3〜12個、さらには3〜6個有する化合物が好ましい。
【0098】
具体的には1,3,5,7−ハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
【0099】
これらSiH基を有するシロキサン化合物をヒドロシリル化させる場合において、特に得られる硬化物の強度が向上するという観点より環状シロキサン化合物を用いたものが好ましく、特に入手性の観点より、1,3,5,7−ハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンを用いることが好ましい。さらにヒドロシリル化反応後、未反応のシロキサン化合物を減圧脱揮により除去しやすく得られる硬化物の強度が向上する観点より、1,3,5,7−ハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを用いると事が好ましい。
【0100】
(アルケニル基含有成分)
本発明において上記SiH基と光重合性官能基とを有するポリシロキサン系化合物と併せ、分子中に1つ以上のアルケニル基を有する化合物を使用することでヒドロシリル化反応による架橋反応が進行する。
【0101】
また一分子中に少なくともアルケニル基を少なくとも1個以上有する化合物であれば特に限定されるものではなく、ポリシロキサン化合物、有機化合物にかかわらず特に限定なく使用することができる。
【0102】
特に硬化物の透明性および硬化性の観点より、アルケニル基を有するポリシロキサンが好ましく適用できる。またその中でも化合物入手性の観点より、ケイ素基に結合したビニル基(Si−CH=CH基)を有するポリシロキサン化合物であることが好ましい。
【0103】
具体例としては、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリもしくはオリゴシロキサン、側鎖にビニル基を有するポリもしくはオリゴシロキサン、テトラメチルジビニルジシロキサン、ヘキサメチルトリビニルトリシロキサン、SiH基を含有する環状シロキサンの例示でSiH基の水素原子をビニル基、アリル基等のアルケニル基に置換したものなどが例示される。
【0104】
具体的に1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサン等の化合物が挙げられる。
【0105】
また特に耐熱性に優れる硬化物が得られるという観点より、アルケニル基を有する多面体構造のポリシロキサンを好適に使用することができる。多面体骨格に含有されるSi原子の数は6〜24であることが好ましく、具体的に、例えば、以下の構造で示される多面体構造を有するシルセスキオキサンが例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。
【0106】
【化8】

【0107】
上記式中R〜Rはビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の非置換又は置換の1価の炭化水素基である。
【0108】
ただし、R〜Rのうちの少なくとも1つはアルケニル基である。前記アルケニル基においては、耐熱性の観点からビニル基が好ましい。
【0109】
上記、多面体構造を有するシルセスキオキサンは、例えば、RSiX(式中Rは、上述のR〜Rを表し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって、得られる。または、RSiXの加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより、閉環し、多面体骨格を有するシルセスキオキサンを合成する方法も知られている。
【0110】
さらに好ましい例としては、以下の構造で示されるような多面体構造を有するシリル化ケイ酸が例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。該化合物においては、多面体骨格を形成するSi原子と反応性基であるアルケニル基とが、シロキサン結合を介して結合していることから、得られる硬化物の剛直になり過ぎず、良好な成形体を得ることができる。
【0111】
【化9】

【0112】
上記、構造中、R〜R32は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の有機基である。ただし、これらR〜R32のうち、少なくとも1つはアルケニル基である。前記アルケニル基においては、耐熱性の観点からビニル基が好ましい。
【0113】
多面体構造を有するケイ酸塩の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成できる。前記合成方法としては、具体的には、テトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。テトラアルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等が例示できる。4級アンモニウムヒドロキシドとしては、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが例示できる。また、本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカ含有する物質からも、同様の多面体構造を有するケイ酸塩を得ることが可能である。
【0114】
本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をアルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子と反応性基であるアルケニル基とが、シロキサン結合を介して結合したポリシロキサンを得ることが可能となる。
【0115】
本発明においては、多面体骨格に含有されるSi原子の数として、6〜24、さらに好ましくは、6〜10のものを好適に用いることが可能である。また、Si原子数の異なる多面体骨格を有するポリシロキサンの混合物であってもよい。また、本発明においては、1分子中に含まれるアルケニル基の数は、少なくとも1つ、より好ましくは、少なくとも2つ、さらに好ましくは、少なくとも3つ含有することが望ましい。
【0116】
本発明においては、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、ビニルおよびメチル基から構成されることが好ましい。
【0117】
また基材との密着性や靭性が高い硬化物を得るという観点からは、アルケニル基含有する有機化合物を適用することが好ましい。
【0118】
この有機化合物においては、アルケニル基を含有しているものであれば特に限定されず有機重合体系の化合物や有機単量体系化合物を適用することができる。
【0119】
有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
【0120】
また有機単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0121】
化合物の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,4−ブタンジオールジアリルエーテル、ノナンジオールジアリルエーテル、1,4−シクロへキサンジメタノールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,5−ジアリルフェノールアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、その他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
【0122】
また化合物としては、骨格部分とアルケニル基(SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合)とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
【0123】
特に、透明性および耐熱性、耐光性が高いという観点から下記一般式(I)で表されるトリアリルイソシアヌレート及びその誘導体が特に好ましい。
【0124】
【化10】

【0125】
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよく、少なくとも1個のRはSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される化合物が好ましい。
【0126】
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
【0127】
これら化合物の具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、ジアリルモノプロピルイソシアヌレートが挙げられ、特に入手性の観点よりトリアリルイソシアヌレートが挙げられる。
【0128】
アルケニル基および光重合性官能基含有ポリシロキサン化合物
また本発明において用いることのできる好適なポリシロキサン系化合物として、一分子中にアルケニル基と光重合性官能基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有し、かつ6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物が挙げられる。
【0129】
同一分子中に上記光重合性官能基とアルケニル基とを1つ以上有し、かつ6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造を含有していることを特徴とするポリシロキサン系化合物を得る合成法は特に限定されるものではないが、制御しやすい反応で、かつ反応後安定なSi−C結合が形成されるヒドロシリル化による合成法が挙げられる。
【0130】
合成法として、1)アルケニル基を2個以上有する6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物と同一分子中にSiH基と光重合性官能基とを1個以上有する化合物とのヒドロシリル化反応により得る方法 2)SiH基を2個以上有し6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物とアルケニル基を2個以上有する化合物および同一分子中にアルケニル基と光重合性官能基とを1個以上有する化合物とのヒドロシリル化反応により得る方法が挙げられる。
【0131】
1)の方法で用いることのできる同一分子中にSiH基と光重合性官能基とを1個以上有する化合物については、特に限定無く使用することができる。具体的には、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシランのようなハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシランのようなアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシランのようなアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランのようなケトキシメートシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちでは特に、アルコキシシラン類を好適に使用することができる。
【0132】
またその他、アルケニル基を2個以上有する6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物、SiH基を2個以上有し6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物、アルケニル基を2個以上有する化合物、同一分子中にアルケニル基と光重合性官能基とを1個以上有する化合物に関しては、上記、一分子中にSiH基と光重合性官能基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有し、かつ6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物を得る場合に用いる化合物と同様のものを特に限定無く使用することができる。
【0133】
<増感剤>
本発明における組成物は、増感剤を配合することで、所望の感光感度を達成することができる。
【0134】
前記増感剤は、特に限定されず、公知の増感剤から適宜選択して用いることができる。具体的に、例えば、アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、2,4−ジエチルチオキサントン、ミヒラケトン、ビス−4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、ベンジル、4 ,4 ’−ジメチルアミノベンジル、3 ,5 −ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジメチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−エチル−4−ピペリドン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、リボフラビンテトラブチレート、2−メチル−1 −[4 −(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、3,5−ジメチルチオキサントン、3,5−ジイソプロピルチオキサントン、1−フェニル−2−(エトキシカルボニル)オキシイミノプロパン−1−オン、ベンゾインエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンズアントロン、5−ニトロアセナフテン、2 −ニトロフルオレン、アントロン、1,2−ベンズアントラキノン、1−フェニル−5−メルカプト−1H −テトラゾール、チオキサンテン−9−オン、10−チオキサンテノン、3−アセチルインドール、2,6−ジ(p−ジメチルアミノベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジメチルアミノベンザル)−4 −ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジエチルアミノベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジエチルアミノベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、7 −ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−3−(1−メチルベンゾイミダゾリル)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2 −ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ゼンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3,3−ジメチル−3H−インドール等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これら増感剤は、単独で用いても良いし、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0135】
本発明の組成物における増感剤の含有量は、増感効果を発揮できる量であれば、特に限定されないが、光重合開始剤1モルに対して、増感剤0.01〜300モル加えることが好ましく、0.1モル〜100モルであることがさらに好ましい。増感剤の量が少ないと、増感効果が得られず、硬化に長時間を要したり、現像性に好ましくない影響を及ぼす場合があり、多いと、色が硬化物に残ったり、急硬化のための着色や、耐熱性や耐光性を損なう恐れがあるため、好ましくない。
【0136】
<溶剤>
本発明における組成物は、任意の溶媒で希釈して用いてもよい。任意の溶媒としては、特に制限はなく、一般的な有機溶剤を用いることができる。
ポリシロキサン系組成物を希釈するのに用いる溶剤としては、具体的に例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2 −ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2 −メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、イソプロパノール、エチレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N ,N −ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N −メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられ、これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いても良い。
【0137】
<充填剤>
本発明に用いる組成物には、上記必須成分に加え、任意成分として本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ増量剤としてシリカ、粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンなどの充填剤を添加してもよい。
【0138】
また、本発明の組成物には、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。また、本発明の組成物に二酸化チタン、炭酸マンガン、Fe、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークを添加して難燃性、耐火性を向上することができる。なお、これらの成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
【0139】
本発明に用いる組成物は、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりすることにより得ることができる。
【0140】
本発明における硬化物および基板上の積層体は、上記組成物を硬化させることにより得ることができる。
【0141】
本発明における硬化物は、具体的に例えば、上記組成物を所定の容器、または膜状にした後、活性化エネルギー線を照射することにより作成できる。前記活性エネルギー線源としては、紫外線、電子線等が例示される。光源としてはキセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源、及びアルゴンイオンレーザー、エキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源を用いることができる。活性エネルギー線の強度、照射時間は、用途や生産工程に合わせて、任意に設定することが可能である。また、本発明においては、硬化速度が非常に速く、熱履歴を抑えることができる。活性エネルギー線照射のみで硬化が不十分な場合は、その後のアニールにより、さらに硬化を進行させてもよい。
【0142】
本発明の基材上への積層体は、具体的に例えば、以下の方法で作成することができる。
上記ポリシロキサン系組成物を、基材上に、スピンコート法、ロールコート法、印刷法、バーコート法等の方法で、膜厚が通常0.05〜100μm、好ましくは、0.1〜50μm、より好ましくは、0.5〜20μmになるように塗布する。基材としては、例えば、ガラス類、ポリカーボネート類、フィルム類、撮像素子の形成されたシリコンウェハー、LCD 又はCCD 用カラーフィルターのパターン化された着色樹脂膜、印刷用紙、印刷用繊維、金属板等が挙げられる。次に上記、活性エネルギー線により露光を行うことで積層体を得ることができる。
【0143】
(用途)
本発明の組成物から得られる硬化物および積層体は、光学材料用組成物として用いることができる。ここで言う光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
【0144】
具体的には、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、カラーフィルター、偏光子保護フィルム、パッシベーション膜などの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料が例示される。また、PDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜。
【0145】
またLED表示装置に使用されるLED素子のモールド材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、カラーフィルター、偏光子保護フィルム、パッシベーション膜。また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、カラーフィルター、接着剤、パッシベーション膜。
【0146】
またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜が例示される。
【0147】
中でも、本発明の組成物はパターニング性を有するため、特に、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、カラーフィルター用バインダー樹脂、カラーフィルター用透明平坦化材料、ブラックマトリクス用バインダー樹脂、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料などが挙げられる。
【0148】
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤が例示される。
【0149】
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部が例示される。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーが例示される。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤などが例示される。光センシング機器のレンズ用材料、封止剤、接着剤、フィルムなどが例示される。
【0150】
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止剤、接着剤などが例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止剤、接着剤などが例示される。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LED素子の封止剤、接着剤などが例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
【0151】
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーが例示される。
【0152】
半導体集積回路周辺材料では、層間絶縁膜、パッシベーション膜、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料が例示される。
【0153】
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品が例示される。
【0154】
また、鉄道車輌用の複層ガラスが例示される。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートが例示される。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料が例示される。農業用では、ハウス被覆用フィルムが例示される。
【0155】
次世代の光・電子機能有機材料としては、次世代DVD、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
【実施例】
【0156】
以下、実施例および比較例で得られた組成物の特性評価を行った結果を表1に示す。
【0157】
【表1】

【0158】
この結果からもわかるように、本発明によりリソグラフィー性を有し、電気特性的に信頼性の高い薄膜が得られている事がわかる。
【0159】
(リソグラフィー性評価)
実施例および比較例で得られた組成物を得られた組成物をガラス板(50×100×0.7mm)にスピンコートにより塗布し、塗布面中央部をアルミ板でマスクしてコンベア型露光装置(高圧水銀ランプ、フュージョン製LH6)にて積算光量200mJ/cm露光した。
露光サンプルをアセトン(有機現像液)に10秒浸漬後、現像コントラストがついている(露光部樹脂が残存し、マスク部の露光されていない部分が除去されている)ものを○、現像コントラストがついていないものを×としてアルカリ現像性の評価とした。
【0160】
(膜厚測定)
ガラス/AL基板上に形成した薄膜についてUV−visスペクトルを測定して算出した。本発明の樹脂組成物を用いて作成した薄膜は優れた絶縁性を有し、溶液塗布により成膜できる薄膜絶縁材料として適用できる。
【0161】
(電気特性評価)
絶縁破壊電圧評価およびリーク電流測定評価のため、下記のような電気特性評価サンプルを作成した。下部電極としてスパッタでMo膜を2000Å成膜したガラス基板に、実施例・比較例で得られた樹脂組成物をスピンコーティング(回転数2000rpm、30秒)し、ホットプレート上にて1時間150℃にてベイクし薄膜を形成した。さらに薄膜上へ上部電極としてAL電極(3mmΦ)を形成してサンプルを作成した。
【0162】
(リーク電流測定)
リーク電流量は、上記電気特性評価サンプルの電極間(AL−Mo)に0〜50Vまで0.5Vずつステップで印加し、30V印加時の電極単位面積当たりのリーク電流量を測定し評価を行った。測定には、半導体パラメータ測定装置(Agilent製4156C)を用いた。
【0163】
(実施例1)
500mL四つ口フラスコにトルエン100g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン40gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。ビニルジメチルシロキシ基を含有する多面体構造ポリシロキサンであるオクタ(ビニルジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン10.0g、トルエン10.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)2mgの混合液を滴下した。
【0164】
滴下終了から6時間後にH−NMRでビニル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物A」を得た。
【0165】
100mL四つ口フラスコにトルエン20g、「反応物A」10gを入れ、気相部を窒素置換した後内温105℃で加熱し、ここにビニルシクロヘキセンオキシド3.0gおよびトルエン3.0gの混合液を加え、H−NMRでビニル基の反応率が95%以上であることを確認した。反応液を冷却しポリシロキサン系化合物を得た。
【0166】
上記ポリシロキサン系化合物1gに、MQV7(ビニル基含有シロキサン、クラリアントジャパン製)2g、白金ビニルシロキサン錯体(Pt−VTSC−3.0x、エヌイーエムキャット製)1.5mg、RHODORSIL−PI2074(光カチオン開始剤、ローディア製)0.06g、アントラセン0.005g、MIBK7gを加え樹脂組成物とした。
【0167】
(比較例1)
500mL四つ口フラスコにトルエン10g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン4gを入れ、内温80℃で加熱し攪拌した。ビニルシクロヘキセンオキシド8.2g、トルエン5g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.21mgの混合液を滴下した。
【0168】
H−NMRでビニル基の反応率が95%以上であることを確認してトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物B」(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンにビニルシクロヘキセンオキシドを反応させたもの、Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry,Vol.28,479−503(1990)参照)を得た。
【0169】
上記「反応物B」1gに、RHODORSIL−PI2074(光カチオン開始剤、ローディア製)0.01g、MIBK7gを加え樹脂組成物とした。
【0170】
(比較例2)
オキセタニル基含有シルセスキオキサンOX−SQ(東亞合成株式会社製)0.5gに、メチルイソブチルケトン4g、アデカオプトンCP−77(オニウム塩である光酸発生剤、アデカ製)0.005gを加え樹脂組成物とした。
【0171】
(比較例3)
エチルシリケート40(コルコート株式会社製)1gに、メチルイソブチルケトン8g、RHODORSIL−PI2074(光カチオン開始剤、ローディア製)0.01gを加え樹脂組成物とした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一分子中に光重合性官能基およびSiH基を有し、かつ、6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造を含有するポリシロキサン系化合物、アルケニル基を有する化合物、光重合開始剤、ヒドロシリル化触媒を含む光硬化可能な組成物。
【請求項2】
同一分子中にアルケニル基と光重合性官能基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有し、かつ6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン化合物を含有していることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリシロキサン系化合物の光重合性官能基が脂環式エポキシ基、グリシジル基、加水分解性ケイ素基から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリシロキサン系化合物がSiH基を有する環状シロキサン化合物とアルケニル基を有する6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン化合物とをヒドロシリル化反応させて得られる反応物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ポリシロキサン系化合物が、下記一般式
【化1】

(式中R〜R32は、炭素数1〜10の非架橋性有機基であり、これらR〜R32のうち、少なくとも1つはアルケニル基もしくは水素原子(SiH基)である)で表される、多面体骨格を有するポリシロキサン系化合物と下記一般式、
【化2】

(式中R、Rは炭素数1〜6の非架橋性有機基、Xは水素原子(SiH基)または、アルケニル基であり、nは1〜10、mは0〜10の数を表す)で表される環状シロキサン化合物、および光重合官能基とアルケニル基とをそれぞれ同一分子中に少なくとも1つ以上有する化合物とのヒドロシリル化反応により得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
光重合開始剤が、オニウム塩類である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
増感剤を含有することを特徴とする請求項6に記載の組成物。


【公開番号】特開2010−254927(P2010−254927A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109904(P2009−109904)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】