光結合デバイス
【課題】部材が発熱しても、部材が外れることを防止できる光結合デバイスを提供すること。
【解決手段】光結合デバイス10は、光を導光する例えば光ファイバ21と、光ファイバ21によって導光された光を照射されることで機能する光学素子41と、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するように光ファイバ21と光学素子41とを内部で保持する保持部材51とを有している。また光結合デバイス10は、光学素子41の周囲に位置するように保持部材51に配設され、保持部材51の剛性を低減する低減部71をさらに有している。
【解決手段】光結合デバイス10は、光を導光する例えば光ファイバ21と、光ファイバ21によって導光された光を照射されることで機能する光学素子41と、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するように光ファイバ21と光学素子41とを内部で保持する保持部材51とを有している。また光結合デバイス10は、光学素子41の周囲に位置するように保持部材51に配設され、保持部材51の剛性を低減する低減部71をさらに有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバと光学素子とを光結合する光結合デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、光ファイバ保持部材の端部に取り付け可能な新たな光部品及びこの光部品を用いる発光装置が開示されている。この光部品において、キャップは、光変換部材と光ファイバ保持部材とが挿入可能な内孔と、光変換部材と光ファイバ保持部材とを係止可能な係止部とを有している。光変換部材は、光ファイバ保持部材と係止部とに挟まれて配設されている。光ファイバ保持部材が係止部に向かって押圧されることで、光変換部材はキャップからの抜けを防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−76798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1において、光変換部材と光ファイバ保持部材とはキャップに対して密着して固定されている。また光変換部材と光ファイバ保持部材とキャップとにおいて、それぞれの線膨張係数が異なり、これに伴いそれぞれの膨縮量も異なる。
【0005】
よって例えば照明のオンオフに伴いそれぞれが発熱すると、それぞれはそれぞれの線膨張係数に応じて膨縮する。このとき、それぞれの線膨張係数が異なることと、それぞれが密着固定されていることとにより、それぞれの膨縮量の調整は難しい。これにより、それぞれが膨縮すると、それぞれががたつき、キャップが光変換部材と光ファイバ保持部材とから外れ、光学素子である光変換部材が外れてしまう。
【0006】
このため本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、部材が発熱しても、部材が外れることを防止できる光結合デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は目的を達成するために、光を導光する導光部材と、前記導光部材によって導光された前記光を照射されることで機能する光学素子と、前記導光部材と前記光学素子とが光結合するように前記導光部材と前記光学素子とを内部で保持する保持部材と、前記光学素子の周囲に位置するように前記保持部材に配設され、前記保持部材の剛性を低減する低減部と、を具備することを特徴とする光結合デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部材が発熱しても、部材が外れることを防止できる光結合デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図1C】図1Cは、図1Bに示す光結合デバイスの断面図である。
【図2A】図2Aは、第1の実施形態の第1の変形例に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図2C】図2Cは、図2Bに示す光結合デバイスの断面図である。
【図3A】図3Aは、第1の実施形態の第2の変形例に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図3C】図3Cは、スリット部の底面が光学素子の外周面に対して平行となっている場合の図3Bに示す光結合デバイスの断面図である。
【図3D】図3Dは、スリット部の底面が保持部材の外周面に対して平行となっている場合の図3Dに示す光結合デバイスの断面図である。
【図4A】図4Aは、第1の実施形態の第3の変形例に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図5A】図5Aは、第2の実施形態に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図5C】図5Cは、図5Bに示す光結合デバイスの断面図である。
【図6】図6は、第2の実施形態の第1の変形例に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図7A】図7Aは、第2の実施形態の第2の変形例に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図7C】図7Cは、図7Bに示す光結合デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1Aと図1Bと図1Cとを参照して第1の実施形態について説明する。
なお一部の図面では、図示の明瞭化のために、部材の一部の図示を省略している。
【0011】
図1Aに示すように、光結合デバイス10は、光を導光する例えば光ファイバ21などの導光部材と、光ファイバ21によって導光された光を照射されることで機能する光学素子41と、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するように光ファイバ21と光学素子41とを内部で保持する保持部材51とを有している。
【0012】
図1Cに示すように、光ファイバ21は、光を出射する平面状の出射端面23aを光ファイバ21の一端部に有している。この光は、例えばレーザ光である。光ファイバ21の他端部側は、光ファイバ21を保護する例えば樹脂製の図示しない被覆層によって覆われている。光ファイバ21は、例えばガラスとプラスチックとの少なくとも一方によって形成されている。
【0013】
図1Aに示すような光学素子41は、例えばセラミックとガラスとの少なくとも一方によって形成されている。光学素子41は、例えば蛍光体を有している。光学素子41は、光学素子41の外周面41cを図示しない反射膜よって覆われている。光学素子41は、例えば円錐台形状を有している。なお光学素子41は、円錐台形状を有することに限定することはなく、例えば円柱形状や半球形状や放物形状を有していても良い。光学素子41は、例えば平面状の一端面41aを有している。一端面41aは、出射端面23aから出射された光が入射する入射端面である。この一端面41aは、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するために、出射端面23aと当接する。一端面41aは、出射端面23aよりも大きい。
【0014】
図1Aに示すような保持部材51は、例えばジルコニアとガラスと金属との少なくとも1つによって形成されているフェルールである。この金属は、例えばニッケルとSUSと真鍮との少なくとも1つによって構成されている。保持部材51は、例えば円筒形状を有している。保持部材51の外径は、例えば1mm以下となっている。
【0015】
また図1Aと図1Cとに示すように、保持部材51は、光ファイバ21が嵌合または接着する貫通孔51cと、光学素子41を収容する収容部51dとを、保持部材51の内部に有している。図1Cに示すように、保持部材51は、光ファイバ21と光学素子41とが保持部材51の内部で光結合するように、貫通孔51cと収容部51dとによって光ファイバ21と光学素子41と保持部材51の内部で直接保持している。図1Cに示すように、貫通孔51cに嵌合または接着される光ファイバ21と、収容部51dに収容される光学素子41とは、保持部材51の内部にて互いに直接当接している。より詳細には、光ファイバ21の出射端面23aと、光学素子41の一端面41aとが、互いに当接している。
【0016】
図1Cに示すように、貫通孔51cと収容部51dとは、光ファイバ21(出射端面23a)から出射した光が光学素子41(一端面41a)に入射するように、保持部材51の軸方向において保持部材51の内部にて連通している。また貫通孔51cの中心軸と収容部51dの中心軸とは、光ファイバ21(出射端面23a)から出射した光が光学素子41(一端面41a)に入射するように、同軸上に配設されている。このため貫通孔51cと収容部51dとは、例えば保持部材51の中心軸上に配設されている。貫通孔51cは保持部材51の一端面51a側に配設され、収容部51dは保持部材51の他端面51b側に配設されている。
【0017】
図1Cに示すように、貫通孔51cは、保持部材51が光ファイバ21を保持するために配設されており、保持孔として機能する。また貫通孔51cは、光ファイバ21が保持部材51に挿入される挿入孔として機能する。貫通孔51cは、例えば円柱形状を有しており、例えば切削などによって形成される。貫通孔51cは、保持部材51の軸方向において、保持部材51を貫通している。貫通孔51cは、光ファイバ21が収容される収容部でもある。
【0018】
なお保持部材51は、図1Cに示すように、光ファイバ21が貫通孔51cに挿入されるように、光ファイバ21の一端部を貫通孔51cにガイドするガイド口51eを保持部材51の一端面51aに有している。ガイド口51eは、貫通孔51cと連通している。ガイド口51eは、保持部材51の一端面51aから保持部材51の他端面51b側に向かって縮径している円錐台形状を有しており、傾斜しているテーパとなっている。なお前述した被覆層は、保持部材51の一端面51a側、詳細にはガイド口51e付近にまで配設されているのみであり、貫通孔51cには挿入されない。このため光ファイバ21の一端部は、被覆層から露出している。
【0019】
収容部51dは、保持部材51が光学素子41を保持するために配設されており、保持孔として機能する。また収容部51dは、光学素子41が保持部材51に挿入される挿入孔として機能する。図1Cに示すように、収容部51dは、光学素子41と同形状、例えば円錐台形状を有している。よって、収容部51dは、他端面51bから一端面51aに向かって縮径している。収容部51dは、光学素子41と略同一の大きさ、且つ光学素子41が収容部51dと接着する大きさを有している。なお収容部51dは、光学素子41が収容部51dと嵌合する大きさを有していてもよい。収容部51dは、保持部材51の軸方向において、保持部材51の他端面51bを貫通している。
【0020】
図1Cに示すように、ガイド口51eを含む一端面51aには、接着部材61が配設される。接着部材61は、被覆層を含む光ファイバ21の他端部側を保持部材51に接着する。また図示はしないが、接着部材61は、光学素子41の外周面41cと、収容部51dにおける保持部材51の内周面との少なくとも一方にも塗布され、光学素子41を保持部材51に接着する。
【0021】
このような接着部材61は、例えば、光学用の接着材や、シリコンやエポキシ等の接着材などである。接着部材61は、熱によって硬化する樹脂、または紫外線を照射されることによって硬化する樹脂などである。接着部材61は、硬化することによって、光ファイバ21と光学素子41とを保持部材51に固定する。
【0022】
また図1Aと図1Bと図1Cとに示すように、光結合デバイス10は、光学素子41の周囲に位置するように保持部材51に配設されている低減部71をさらに有している。低減部71は、例えば収容部51dの周囲に位置するように保持部材51に配設されている。詳細には、低減部71は、少なくとも光学素子41の側方に配設されていればよい。言い換えると、低減部71は、保持部材の径方向において、光学素子41(収容部51d)と同一直線上に配設される。本実施形態では、低減部71は、例えば、保持部材51の他端面51bから保持部材51の軸方向に沿って保持部材51の一端面51aに向かって切り込まれているスリット部71aを有している。スリット部71aは、他端面51b側において開口しており、他端面51b側において保持部材51を貫通している。なおスリット部71aは、保持部材51の軸方向において一端面51a側を必ずしも貫通する必要は無い。また図1Aと図1Bと図1Cとに示すように、スリット部71aは、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通している。低減部71は、例えば4個配設されており、保持部材51の周方向において、互いに等間隔離れている。
【0023】
低減部71(スリット部71a)は、保持部材51の剛性を低減するために配設されている。これに伴い低減部71(スリット部71a)は、光学素子41(収容部51d)の周囲において、熱によって生じる応力を緩衝する。
【0024】
光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とにおいて、それぞれの線膨張係数は異なっており、それぞれはそれぞれの線膨張係数に応じて膨縮する。よって例えば光の出射のオンオフに伴いそれぞれが発熱すると、それぞれはそれぞれの線膨張係数に応じて膨縮する。このとき、それぞれの膨縮量は、それぞれの線膨張係数に応じて異なる。
【0025】
本実施形態では、低減部71が配設されるため、光学素子41の周囲、つまり保持部材51の他端面51b側において保持部材51の剛性は低下する。よって、それぞれの線膨張係数が異なっていても、低減部71は膨張量と収縮量との差を抑制する。
【0026】
次に図1Aと図1Bと図1Cとを参照して本実施形態における光結合デバイス10の組立方法について説明する。
光ファイバ21は、ガイド口51eによって貫通孔51cにガイドされ、貫通孔51cに嵌合する。接着部材61は、ガイド口51eを含む一端面51aと、収容部51dにおける保持部材51の内周面とに塗布される。光学素子41は、光学素子41が接着部材61によって収容部51dにおける保持部材51の内周面に接着し、出射端面23aが一端面41aに当接するように、収容部51dに収容される。
【0027】
接着部材61は、熱によってまたは紫外線を照射されることによって硬化する。これにより、光ファイバ21と光学素子41とは、接着部材61によって保持部材51に固定される。
【0028】
そして図1Bと図1Cとに示すように、光結合デバイス10が組み立てられる。
【0029】
なお接着部材61は、光学素子41と保持部材51の内周面との間に流し込まれても良い。また一端面41aには、空気が出射端面23aと一端面41aとの間に介在することを防止するために、マッチングオイル等が塗布されても良い。
【0030】
図示しない光源装置が光を出射すると、光ファイバ21はこの光を導光する。そして出射端面23aは、一端面41aに向けて光を出射する。これによって、光ファイバ21は発熱し、熱は光ファイバ21から光学素子41と保持部材51とに伝わる。そして光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とは、熱によって膨縮する。
【0031】
光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とにおいて、それぞれの線膨張係数は異なっており、それぞれはそれぞれの線膨張係数に応じて膨縮する。このとき、それぞれの膨縮量は、それぞれの線膨張係数に応じて異なる。
【0032】
本実施形態では、低減部71が配設されることで、光学素子41の周囲、つまり保持部材51の他端面51b側において、保持部材51の剛性は低下する。よって、それぞれの線膨張係数が異なっていても、膨張量と収縮量との差は低減部71によって抑制される。これにより光ファイバ21と光学素子41とが発熱しても、光ファイバ21と光学素子41とは、保持部材51から外れることが防止され、保持部材51に固定され状態を維持する。
【0033】
また低減部71は、保持部材51の剛性を低下させるため、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とに熱ストレスが溜まることを防止し、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とに対する熱ストレスの耐性を向上させる。これにより低減部71は、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とが熱によって損傷することを防止し、熱によって所望の光学特性が得られないことを防止する。
【0034】
このように本実施形態では、低減部71が配設されることで、保持部材51の剛性を低減することができる。これにより本実施形態では、それぞれの線膨張係数が異なっていても、膨張量と収縮量との差を低減部71によって抑制できる。よって本実施形態では、光ファイバ21と光学素子41とが発熱しても、光ファイバ21と光学素子41とが保持部材51から外れることを防止できる。
【0035】
また本実施形態では、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とに熱ストレスが溜まることを防止でき、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とに対する熱ストレスの耐性を向上できる。また本実施形態では、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とが熱によって損傷することを防止でき、熱が生じても所望の光学特性が得ることができ。
【0036】
このように本実施形態では、部材ごとの線膨張係数と部材の固定に影響されることなく熱ストレスに対する耐性を向上でき、熱が生じても所望の光学特性を得ることができる。
【0037】
また本実施形態では、前記によって、接着部材61の剥離を防止でき、熱衝撃が生じても光ファイバ21と光学素子41とを接着部材61によって保持部材51に固定できる。
【0038】
また本実施形態では、スリット部71aが保持部材51の軸方向に沿って配設されることで、軸方向において膨張量と収縮量との差を抑制することができる。
【0039】
また本実施形態では、スリット部71aが保持部材51の周方向において互いに等間隔離れて配設されることで、膨縮する際の応力を、周方向において保持部材51に均一に伝えることができる。よって本実施形態では、応力が所望する部位に集中することを防止でき、保持部材51の局所的な破壊を低減でき、応力の歪を低減できる。
【0040】
次に図2Aと図2Bと図2Cとを参照して本実施形態の第1の変形例について説明する。
本変形例では、低減部71は、長穴である開口部71bを有している。開口部71bは、他端面51bから離れて配設されている。開口部71bは、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通している。開口部71bは、例えば4個配設されており、保持部材51の周方向において、互いに等間隔離れている。なお開口部71bの形状と大きさと数とは、特に限定されない。また複数の開口部71bは、図2Aに示すように保持部材51の軸方向に沿って配設されていても良いし、図示はしないが保持部材51の周方向に沿って配設されていてもよい。
【0041】
これにより本変形例では、他端面51bを加工する手間を省くことができ、他端面51bの形状を維持することができ、他端面51bを他の部材に容易に配設することができる。
【0042】
なお本変形例は、第1の実施形態と組み合わせることもできる。よって、低減部71は、スリット部71aと、開口部71bとの少なくとも1つを有していればよい。このため、スリット部71aと開口部71bとが、保持部材51の軸方向と保持部材51の周方向との少なくとも一方に沿って配設されていてもよい。
【0043】
次に図3Aと図3Bと図3Cとを参照して本実施形態の第2の変形例について説明する。
スリット部71aは、保持部材51の外周面から内周面に向けて凹設されている凹部として形成されている。つまりスリット部71aは、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通していない。
【0044】
図3Cに示すように、スリット部71aは、例えば、スリット部71aの底面711aが光学素子41の外周面41cに対して平行となるように、凹設されている。光学素子41が円錐台形状を有しているため、光学素子41の外周面41cは保持部材51の中心軸に対して傾斜している。よってスリット部71aの底面711aは、外周面41cに対して平行となるように、保持部材51の中心軸に対して傾斜している。
【0045】
このようなスリット部71aは、例えば四角錐台形状や四角錐形状を有している。スリット部71aは、例えば4個配設されており、保持部材51の周方向において、互いに等間隔離れている。
【0046】
本変形例では、スリット部71aが保持部材51を貫通していないため、収容部51dにおける保持部材51の内周面を加工する必要が無い。よって本実施形態では、収容部51dにおける保持部材51の内周面に、反射膜を容易に配設することができる。また本実施形態では、収容部51dにおける保持部材51の内周面全面に接着部材61を塗布することもでき、光学素子41における接着強度を高めることができる。
【0047】
なお前記に限定される必要は無く、図3Dに示すように、スリット部71aは、スリット部71aの底面711aが保持部材51の外周面に対して平行となるように凹設されていてもよい。よってスリット部71aは、光学素子41の外周面41cと保持部材51の外周面との少なくとも一方に対して、スリット部71aの底面711aが平行となるように、凹設されていればよい。
【0048】
なお本変形例では、スリット部71aについて説明したが、これに限定する必要は無く、開口部71bに対しても適用できる。
【0049】
例えば開口部71bは、保持部材51の外周面から内周面に向けて凹設されている。つまり開口部71bは、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通していない。そして、開口部71bは、光学素子41の外周面41cと保持部材51の外周面との少なくとも一方に対して、開口部71bの底面が平行となるように、凹設されていればよい。
【0050】
また本変形例では、開口部71bとスリット部71aとが組み合わされて配設されていてもよい。よって、凹設されているスリット部71aと開口部71bとにおいて、それぞれの底面は、光学素子41の外周面41cと保持部材51の外周面との少なくとも一方に対して、平行となっていればよい。
【0051】
また本変形例は、第1の実施形態と第1の変形例とに組み合わせることもできる。よって、スリット部71aと開口部71bとの少なくとも一方は、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通している、または保持部材51の外周面から内周面に向けて凹設されていればよい。
【0052】
次に図4Aと図4Bとを参照して本実施形態の第3の変形例について説明する。
低減部71は、保持部材51の軸方向に沿って配設されているスリット部71aと、保持部材51の周方向に沿って配設されているスリット部72aとを有している。このスリット部72aは、他端面51b側に配設されている。スリット部72aは、他端面51b側に配設されているスリット部71aの基端部と連通している。これらスリット部71a,72aは、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通している。
【0053】
光学素子41は、スリット部71aを介して保持部材51を貫通しているスリット部72aと係止する係止部41eを有している。図4Aに示すように光学素子41が収容部51dに収納され、係止部41eはスリット部71aを摺動した際、光学素子41が保持部材51の軸回りに回動することで、図4Bに示すように係止部41eはスリット部72aと係合する。係止部41eは、光学素子41の他端面から光学素子41の径方向において外側に突出している。係止部41eは、光学素子41が形成される際、形成される。
【0054】
本変形例では、係止部41eがスリット部72aと係合することで、光学素子41が保持部材51から外れることを確実に防止することができる。
【0055】
次に図5Aと図5Bと図5Cとを参照して第2の実施形態について説明する。
低減部71は、保持部材51の外周面から内周面に向けて凹設され、保持部材51の周方向に沿って配設されている凹部71cを有している。凹部71cは、溝部でありスリット部である。
【0056】
これにより本実施形態では、保持部材51の周方向において、保持部材51の膨張量と収縮量との差を抑制できる。
【0057】
なお凹部71cの形状と、大きさと、数とは、特に限定されない。よって例えば、凹部71cは、図5Aと図5Bとに示すように周方向に連続して全周状に配設されていてもよいし、図示はしないが周方向に不連続で配設されていてもよい。凹部71cは、例えば、図5Aと図5Bとに示すように保持部材51の軸方向に沿って等間隔に複数配設されている。この場合、各凹部71cの深さは、均一である。または凹部71cの深さは、他端面51b側の凹部71cから一端面51a側の凹部71cに向かって徐々に深くなっていてもよい。また、凹部71cの底面は、例えば平面である。なお凹部71cの底面は、傾斜していてもよい。
【0058】
次に図6を参照して本実施形態の第1の変形例について説明する。
凹部71cは、保持部材51の軸方向に沿ってさらに配設されている。これにより本変形例では、保持部材51の周方向と保持部材51の軸方向とにおいて、保持部材51の膨張量と収縮量との差を抑制できる。なお軸方向に沿って配設される凹部71cは、図6に示すように保持部材51の径方向において保持部材51を貫通していてもよい。この場合、凹部71cは、図1Aに示すスリット部71aと同様の構成を有している。
【0059】
なお凹部71cは、保持部材51の軸方向に対して螺旋方向に沿って配設されていてもよい。この場合、螺旋方向において、保持部材51の膨張量と収縮量との差を抑制できる。また螺旋方向に沿って配設される凹部71cは、光学素子41が収容部51dに収容された際、光学素子41を巻回するように配設される。なお螺旋方向に沿って配設される凹部71cは、保持部材51の径方向において保持部材51を貫通していてもよい。
【0060】
このように凹部71cは、保持部材51の軸方向と、保持部材51の周方向と、保持部材51の軸方向に対する螺旋方向と、の少なくとも一方に沿って配設されていればよい。そして、軸方向と螺旋方向との少なくも一方に沿って配設されている凹部71cは、保持部材51の径方向において保持部材51を貫通していてもよい。
【0061】
次に図7Aと図7Bと図7Cとを参照して本実施形態の第2の変形例について説明する。
光結合デバイス10は、保持部材51からの光学素子41の抜けを防止するように、螺旋方向に沿って配設されている凹部71cと係止して保持部材51をキャップする防止部81をさらに有している。
【0062】
防止部81は、光学素子41から出射される光を遮光しないように、光が通過する開口部81aを有している。
【0063】
これにより、本実施形態では、保持部材51からの光学素子41の抜けを確実に防止することができる。また本実施形態では、凹部71cは、保持部材51の剛性を低減させる機能と、保持部材51と係合する機能とを兼有することができる。
【0064】
なお防止部81は、凹部71cに係止する必要は無く、保持部材51と係合できればよい。防止部81は、保持部材51に接着されてもよい。
【0065】
また本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0066】
10…光結合デバイス、21…光ファイバ、41…光学素子、51…保持部材、51d…収容部、61…接着部材、71…低減部、71a,72a…スリット部、71b…開口部、71c…凹部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバと光学素子とを光結合する光結合デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、光ファイバ保持部材の端部に取り付け可能な新たな光部品及びこの光部品を用いる発光装置が開示されている。この光部品において、キャップは、光変換部材と光ファイバ保持部材とが挿入可能な内孔と、光変換部材と光ファイバ保持部材とを係止可能な係止部とを有している。光変換部材は、光ファイバ保持部材と係止部とに挟まれて配設されている。光ファイバ保持部材が係止部に向かって押圧されることで、光変換部材はキャップからの抜けを防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−76798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1において、光変換部材と光ファイバ保持部材とはキャップに対して密着して固定されている。また光変換部材と光ファイバ保持部材とキャップとにおいて、それぞれの線膨張係数が異なり、これに伴いそれぞれの膨縮量も異なる。
【0005】
よって例えば照明のオンオフに伴いそれぞれが発熱すると、それぞれはそれぞれの線膨張係数に応じて膨縮する。このとき、それぞれの線膨張係数が異なることと、それぞれが密着固定されていることとにより、それぞれの膨縮量の調整は難しい。これにより、それぞれが膨縮すると、それぞれががたつき、キャップが光変換部材と光ファイバ保持部材とから外れ、光学素子である光変換部材が外れてしまう。
【0006】
このため本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、部材が発熱しても、部材が外れることを防止できる光結合デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は目的を達成するために、光を導光する導光部材と、前記導光部材によって導光された前記光を照射されることで機能する光学素子と、前記導光部材と前記光学素子とが光結合するように前記導光部材と前記光学素子とを内部で保持する保持部材と、前記光学素子の周囲に位置するように前記保持部材に配設され、前記保持部材の剛性を低減する低減部と、を具備することを特徴とする光結合デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部材が発熱しても、部材が外れることを防止できる光結合デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図1C】図1Cは、図1Bに示す光結合デバイスの断面図である。
【図2A】図2Aは、第1の実施形態の第1の変形例に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図2C】図2Cは、図2Bに示す光結合デバイスの断面図である。
【図3A】図3Aは、第1の実施形態の第2の変形例に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図3C】図3Cは、スリット部の底面が光学素子の外周面に対して平行となっている場合の図3Bに示す光結合デバイスの断面図である。
【図3D】図3Dは、スリット部の底面が保持部材の外周面に対して平行となっている場合の図3Dに示す光結合デバイスの断面図である。
【図4A】図4Aは、第1の実施形態の第3の変形例に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図5A】図5Aは、第2の実施形態に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図5C】図5Cは、図5Bに示す光結合デバイスの断面図である。
【図6】図6は、第2の実施形態の第1の変形例に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図7A】図7Aは、第2の実施形態の第2の変形例に係る光結合デバイスの分解斜視図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示す状態から組み立てられた光結合デバイスの斜視図である。
【図7C】図7Cは、図7Bに示す光結合デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1Aと図1Bと図1Cとを参照して第1の実施形態について説明する。
なお一部の図面では、図示の明瞭化のために、部材の一部の図示を省略している。
【0011】
図1Aに示すように、光結合デバイス10は、光を導光する例えば光ファイバ21などの導光部材と、光ファイバ21によって導光された光を照射されることで機能する光学素子41と、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するように光ファイバ21と光学素子41とを内部で保持する保持部材51とを有している。
【0012】
図1Cに示すように、光ファイバ21は、光を出射する平面状の出射端面23aを光ファイバ21の一端部に有している。この光は、例えばレーザ光である。光ファイバ21の他端部側は、光ファイバ21を保護する例えば樹脂製の図示しない被覆層によって覆われている。光ファイバ21は、例えばガラスとプラスチックとの少なくとも一方によって形成されている。
【0013】
図1Aに示すような光学素子41は、例えばセラミックとガラスとの少なくとも一方によって形成されている。光学素子41は、例えば蛍光体を有している。光学素子41は、光学素子41の外周面41cを図示しない反射膜よって覆われている。光学素子41は、例えば円錐台形状を有している。なお光学素子41は、円錐台形状を有することに限定することはなく、例えば円柱形状や半球形状や放物形状を有していても良い。光学素子41は、例えば平面状の一端面41aを有している。一端面41aは、出射端面23aから出射された光が入射する入射端面である。この一端面41aは、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するために、出射端面23aと当接する。一端面41aは、出射端面23aよりも大きい。
【0014】
図1Aに示すような保持部材51は、例えばジルコニアとガラスと金属との少なくとも1つによって形成されているフェルールである。この金属は、例えばニッケルとSUSと真鍮との少なくとも1つによって構成されている。保持部材51は、例えば円筒形状を有している。保持部材51の外径は、例えば1mm以下となっている。
【0015】
また図1Aと図1Cとに示すように、保持部材51は、光ファイバ21が嵌合または接着する貫通孔51cと、光学素子41を収容する収容部51dとを、保持部材51の内部に有している。図1Cに示すように、保持部材51は、光ファイバ21と光学素子41とが保持部材51の内部で光結合するように、貫通孔51cと収容部51dとによって光ファイバ21と光学素子41と保持部材51の内部で直接保持している。図1Cに示すように、貫通孔51cに嵌合または接着される光ファイバ21と、収容部51dに収容される光学素子41とは、保持部材51の内部にて互いに直接当接している。より詳細には、光ファイバ21の出射端面23aと、光学素子41の一端面41aとが、互いに当接している。
【0016】
図1Cに示すように、貫通孔51cと収容部51dとは、光ファイバ21(出射端面23a)から出射した光が光学素子41(一端面41a)に入射するように、保持部材51の軸方向において保持部材51の内部にて連通している。また貫通孔51cの中心軸と収容部51dの中心軸とは、光ファイバ21(出射端面23a)から出射した光が光学素子41(一端面41a)に入射するように、同軸上に配設されている。このため貫通孔51cと収容部51dとは、例えば保持部材51の中心軸上に配設されている。貫通孔51cは保持部材51の一端面51a側に配設され、収容部51dは保持部材51の他端面51b側に配設されている。
【0017】
図1Cに示すように、貫通孔51cは、保持部材51が光ファイバ21を保持するために配設されており、保持孔として機能する。また貫通孔51cは、光ファイバ21が保持部材51に挿入される挿入孔として機能する。貫通孔51cは、例えば円柱形状を有しており、例えば切削などによって形成される。貫通孔51cは、保持部材51の軸方向において、保持部材51を貫通している。貫通孔51cは、光ファイバ21が収容される収容部でもある。
【0018】
なお保持部材51は、図1Cに示すように、光ファイバ21が貫通孔51cに挿入されるように、光ファイバ21の一端部を貫通孔51cにガイドするガイド口51eを保持部材51の一端面51aに有している。ガイド口51eは、貫通孔51cと連通している。ガイド口51eは、保持部材51の一端面51aから保持部材51の他端面51b側に向かって縮径している円錐台形状を有しており、傾斜しているテーパとなっている。なお前述した被覆層は、保持部材51の一端面51a側、詳細にはガイド口51e付近にまで配設されているのみであり、貫通孔51cには挿入されない。このため光ファイバ21の一端部は、被覆層から露出している。
【0019】
収容部51dは、保持部材51が光学素子41を保持するために配設されており、保持孔として機能する。また収容部51dは、光学素子41が保持部材51に挿入される挿入孔として機能する。図1Cに示すように、収容部51dは、光学素子41と同形状、例えば円錐台形状を有している。よって、収容部51dは、他端面51bから一端面51aに向かって縮径している。収容部51dは、光学素子41と略同一の大きさ、且つ光学素子41が収容部51dと接着する大きさを有している。なお収容部51dは、光学素子41が収容部51dと嵌合する大きさを有していてもよい。収容部51dは、保持部材51の軸方向において、保持部材51の他端面51bを貫通している。
【0020】
図1Cに示すように、ガイド口51eを含む一端面51aには、接着部材61が配設される。接着部材61は、被覆層を含む光ファイバ21の他端部側を保持部材51に接着する。また図示はしないが、接着部材61は、光学素子41の外周面41cと、収容部51dにおける保持部材51の内周面との少なくとも一方にも塗布され、光学素子41を保持部材51に接着する。
【0021】
このような接着部材61は、例えば、光学用の接着材や、シリコンやエポキシ等の接着材などである。接着部材61は、熱によって硬化する樹脂、または紫外線を照射されることによって硬化する樹脂などである。接着部材61は、硬化することによって、光ファイバ21と光学素子41とを保持部材51に固定する。
【0022】
また図1Aと図1Bと図1Cとに示すように、光結合デバイス10は、光学素子41の周囲に位置するように保持部材51に配設されている低減部71をさらに有している。低減部71は、例えば収容部51dの周囲に位置するように保持部材51に配設されている。詳細には、低減部71は、少なくとも光学素子41の側方に配設されていればよい。言い換えると、低減部71は、保持部材の径方向において、光学素子41(収容部51d)と同一直線上に配設される。本実施形態では、低減部71は、例えば、保持部材51の他端面51bから保持部材51の軸方向に沿って保持部材51の一端面51aに向かって切り込まれているスリット部71aを有している。スリット部71aは、他端面51b側において開口しており、他端面51b側において保持部材51を貫通している。なおスリット部71aは、保持部材51の軸方向において一端面51a側を必ずしも貫通する必要は無い。また図1Aと図1Bと図1Cとに示すように、スリット部71aは、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通している。低減部71は、例えば4個配設されており、保持部材51の周方向において、互いに等間隔離れている。
【0023】
低減部71(スリット部71a)は、保持部材51の剛性を低減するために配設されている。これに伴い低減部71(スリット部71a)は、光学素子41(収容部51d)の周囲において、熱によって生じる応力を緩衝する。
【0024】
光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とにおいて、それぞれの線膨張係数は異なっており、それぞれはそれぞれの線膨張係数に応じて膨縮する。よって例えば光の出射のオンオフに伴いそれぞれが発熱すると、それぞれはそれぞれの線膨張係数に応じて膨縮する。このとき、それぞれの膨縮量は、それぞれの線膨張係数に応じて異なる。
【0025】
本実施形態では、低減部71が配設されるため、光学素子41の周囲、つまり保持部材51の他端面51b側において保持部材51の剛性は低下する。よって、それぞれの線膨張係数が異なっていても、低減部71は膨張量と収縮量との差を抑制する。
【0026】
次に図1Aと図1Bと図1Cとを参照して本実施形態における光結合デバイス10の組立方法について説明する。
光ファイバ21は、ガイド口51eによって貫通孔51cにガイドされ、貫通孔51cに嵌合する。接着部材61は、ガイド口51eを含む一端面51aと、収容部51dにおける保持部材51の内周面とに塗布される。光学素子41は、光学素子41が接着部材61によって収容部51dにおける保持部材51の内周面に接着し、出射端面23aが一端面41aに当接するように、収容部51dに収容される。
【0027】
接着部材61は、熱によってまたは紫外線を照射されることによって硬化する。これにより、光ファイバ21と光学素子41とは、接着部材61によって保持部材51に固定される。
【0028】
そして図1Bと図1Cとに示すように、光結合デバイス10が組み立てられる。
【0029】
なお接着部材61は、光学素子41と保持部材51の内周面との間に流し込まれても良い。また一端面41aには、空気が出射端面23aと一端面41aとの間に介在することを防止するために、マッチングオイル等が塗布されても良い。
【0030】
図示しない光源装置が光を出射すると、光ファイバ21はこの光を導光する。そして出射端面23aは、一端面41aに向けて光を出射する。これによって、光ファイバ21は発熱し、熱は光ファイバ21から光学素子41と保持部材51とに伝わる。そして光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とは、熱によって膨縮する。
【0031】
光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とにおいて、それぞれの線膨張係数は異なっており、それぞれはそれぞれの線膨張係数に応じて膨縮する。このとき、それぞれの膨縮量は、それぞれの線膨張係数に応じて異なる。
【0032】
本実施形態では、低減部71が配設されることで、光学素子41の周囲、つまり保持部材51の他端面51b側において、保持部材51の剛性は低下する。よって、それぞれの線膨張係数が異なっていても、膨張量と収縮量との差は低減部71によって抑制される。これにより光ファイバ21と光学素子41とが発熱しても、光ファイバ21と光学素子41とは、保持部材51から外れることが防止され、保持部材51に固定され状態を維持する。
【0033】
また低減部71は、保持部材51の剛性を低下させるため、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とに熱ストレスが溜まることを防止し、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とに対する熱ストレスの耐性を向上させる。これにより低減部71は、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とが熱によって損傷することを防止し、熱によって所望の光学特性が得られないことを防止する。
【0034】
このように本実施形態では、低減部71が配設されることで、保持部材51の剛性を低減することができる。これにより本実施形態では、それぞれの線膨張係数が異なっていても、膨張量と収縮量との差を低減部71によって抑制できる。よって本実施形態では、光ファイバ21と光学素子41とが発熱しても、光ファイバ21と光学素子41とが保持部材51から外れることを防止できる。
【0035】
また本実施形態では、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とに熱ストレスが溜まることを防止でき、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とに対する熱ストレスの耐性を向上できる。また本実施形態では、光ファイバ21と光学素子41と保持部材51とが熱によって損傷することを防止でき、熱が生じても所望の光学特性が得ることができ。
【0036】
このように本実施形態では、部材ごとの線膨張係数と部材の固定に影響されることなく熱ストレスに対する耐性を向上でき、熱が生じても所望の光学特性を得ることができる。
【0037】
また本実施形態では、前記によって、接着部材61の剥離を防止でき、熱衝撃が生じても光ファイバ21と光学素子41とを接着部材61によって保持部材51に固定できる。
【0038】
また本実施形態では、スリット部71aが保持部材51の軸方向に沿って配設されることで、軸方向において膨張量と収縮量との差を抑制することができる。
【0039】
また本実施形態では、スリット部71aが保持部材51の周方向において互いに等間隔離れて配設されることで、膨縮する際の応力を、周方向において保持部材51に均一に伝えることができる。よって本実施形態では、応力が所望する部位に集中することを防止でき、保持部材51の局所的な破壊を低減でき、応力の歪を低減できる。
【0040】
次に図2Aと図2Bと図2Cとを参照して本実施形態の第1の変形例について説明する。
本変形例では、低減部71は、長穴である開口部71bを有している。開口部71bは、他端面51bから離れて配設されている。開口部71bは、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通している。開口部71bは、例えば4個配設されており、保持部材51の周方向において、互いに等間隔離れている。なお開口部71bの形状と大きさと数とは、特に限定されない。また複数の開口部71bは、図2Aに示すように保持部材51の軸方向に沿って配設されていても良いし、図示はしないが保持部材51の周方向に沿って配設されていてもよい。
【0041】
これにより本変形例では、他端面51bを加工する手間を省くことができ、他端面51bの形状を維持することができ、他端面51bを他の部材に容易に配設することができる。
【0042】
なお本変形例は、第1の実施形態と組み合わせることもできる。よって、低減部71は、スリット部71aと、開口部71bとの少なくとも1つを有していればよい。このため、スリット部71aと開口部71bとが、保持部材51の軸方向と保持部材51の周方向との少なくとも一方に沿って配設されていてもよい。
【0043】
次に図3Aと図3Bと図3Cとを参照して本実施形態の第2の変形例について説明する。
スリット部71aは、保持部材51の外周面から内周面に向けて凹設されている凹部として形成されている。つまりスリット部71aは、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通していない。
【0044】
図3Cに示すように、スリット部71aは、例えば、スリット部71aの底面711aが光学素子41の外周面41cに対して平行となるように、凹設されている。光学素子41が円錐台形状を有しているため、光学素子41の外周面41cは保持部材51の中心軸に対して傾斜している。よってスリット部71aの底面711aは、外周面41cに対して平行となるように、保持部材51の中心軸に対して傾斜している。
【0045】
このようなスリット部71aは、例えば四角錐台形状や四角錐形状を有している。スリット部71aは、例えば4個配設されており、保持部材51の周方向において、互いに等間隔離れている。
【0046】
本変形例では、スリット部71aが保持部材51を貫通していないため、収容部51dにおける保持部材51の内周面を加工する必要が無い。よって本実施形態では、収容部51dにおける保持部材51の内周面に、反射膜を容易に配設することができる。また本実施形態では、収容部51dにおける保持部材51の内周面全面に接着部材61を塗布することもでき、光学素子41における接着強度を高めることができる。
【0047】
なお前記に限定される必要は無く、図3Dに示すように、スリット部71aは、スリット部71aの底面711aが保持部材51の外周面に対して平行となるように凹設されていてもよい。よってスリット部71aは、光学素子41の外周面41cと保持部材51の外周面との少なくとも一方に対して、スリット部71aの底面711aが平行となるように、凹設されていればよい。
【0048】
なお本変形例では、スリット部71aについて説明したが、これに限定する必要は無く、開口部71bに対しても適用できる。
【0049】
例えば開口部71bは、保持部材51の外周面から内周面に向けて凹設されている。つまり開口部71bは、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通していない。そして、開口部71bは、光学素子41の外周面41cと保持部材51の外周面との少なくとも一方に対して、開口部71bの底面が平行となるように、凹設されていればよい。
【0050】
また本変形例では、開口部71bとスリット部71aとが組み合わされて配設されていてもよい。よって、凹設されているスリット部71aと開口部71bとにおいて、それぞれの底面は、光学素子41の外周面41cと保持部材51の外周面との少なくとも一方に対して、平行となっていればよい。
【0051】
また本変形例は、第1の実施形態と第1の変形例とに組み合わせることもできる。よって、スリット部71aと開口部71bとの少なくとも一方は、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通している、または保持部材51の外周面から内周面に向けて凹設されていればよい。
【0052】
次に図4Aと図4Bとを参照して本実施形態の第3の変形例について説明する。
低減部71は、保持部材51の軸方向に沿って配設されているスリット部71aと、保持部材51の周方向に沿って配設されているスリット部72aとを有している。このスリット部72aは、他端面51b側に配設されている。スリット部72aは、他端面51b側に配設されているスリット部71aの基端部と連通している。これらスリット部71a,72aは、保持部材51の径方向において、保持部材51を貫通している。
【0053】
光学素子41は、スリット部71aを介して保持部材51を貫通しているスリット部72aと係止する係止部41eを有している。図4Aに示すように光学素子41が収容部51dに収納され、係止部41eはスリット部71aを摺動した際、光学素子41が保持部材51の軸回りに回動することで、図4Bに示すように係止部41eはスリット部72aと係合する。係止部41eは、光学素子41の他端面から光学素子41の径方向において外側に突出している。係止部41eは、光学素子41が形成される際、形成される。
【0054】
本変形例では、係止部41eがスリット部72aと係合することで、光学素子41が保持部材51から外れることを確実に防止することができる。
【0055】
次に図5Aと図5Bと図5Cとを参照して第2の実施形態について説明する。
低減部71は、保持部材51の外周面から内周面に向けて凹設され、保持部材51の周方向に沿って配設されている凹部71cを有している。凹部71cは、溝部でありスリット部である。
【0056】
これにより本実施形態では、保持部材51の周方向において、保持部材51の膨張量と収縮量との差を抑制できる。
【0057】
なお凹部71cの形状と、大きさと、数とは、特に限定されない。よって例えば、凹部71cは、図5Aと図5Bとに示すように周方向に連続して全周状に配設されていてもよいし、図示はしないが周方向に不連続で配設されていてもよい。凹部71cは、例えば、図5Aと図5Bとに示すように保持部材51の軸方向に沿って等間隔に複数配設されている。この場合、各凹部71cの深さは、均一である。または凹部71cの深さは、他端面51b側の凹部71cから一端面51a側の凹部71cに向かって徐々に深くなっていてもよい。また、凹部71cの底面は、例えば平面である。なお凹部71cの底面は、傾斜していてもよい。
【0058】
次に図6を参照して本実施形態の第1の変形例について説明する。
凹部71cは、保持部材51の軸方向に沿ってさらに配設されている。これにより本変形例では、保持部材51の周方向と保持部材51の軸方向とにおいて、保持部材51の膨張量と収縮量との差を抑制できる。なお軸方向に沿って配設される凹部71cは、図6に示すように保持部材51の径方向において保持部材51を貫通していてもよい。この場合、凹部71cは、図1Aに示すスリット部71aと同様の構成を有している。
【0059】
なお凹部71cは、保持部材51の軸方向に対して螺旋方向に沿って配設されていてもよい。この場合、螺旋方向において、保持部材51の膨張量と収縮量との差を抑制できる。また螺旋方向に沿って配設される凹部71cは、光学素子41が収容部51dに収容された際、光学素子41を巻回するように配設される。なお螺旋方向に沿って配設される凹部71cは、保持部材51の径方向において保持部材51を貫通していてもよい。
【0060】
このように凹部71cは、保持部材51の軸方向と、保持部材51の周方向と、保持部材51の軸方向に対する螺旋方向と、の少なくとも一方に沿って配設されていればよい。そして、軸方向と螺旋方向との少なくも一方に沿って配設されている凹部71cは、保持部材51の径方向において保持部材51を貫通していてもよい。
【0061】
次に図7Aと図7Bと図7Cとを参照して本実施形態の第2の変形例について説明する。
光結合デバイス10は、保持部材51からの光学素子41の抜けを防止するように、螺旋方向に沿って配設されている凹部71cと係止して保持部材51をキャップする防止部81をさらに有している。
【0062】
防止部81は、光学素子41から出射される光を遮光しないように、光が通過する開口部81aを有している。
【0063】
これにより、本実施形態では、保持部材51からの光学素子41の抜けを確実に防止することができる。また本実施形態では、凹部71cは、保持部材51の剛性を低減させる機能と、保持部材51と係合する機能とを兼有することができる。
【0064】
なお防止部81は、凹部71cに係止する必要は無く、保持部材51と係合できればよい。防止部81は、保持部材51に接着されてもよい。
【0065】
また本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0066】
10…光結合デバイス、21…光ファイバ、41…光学素子、51…保持部材、51d…収容部、61…接着部材、71…低減部、71a,72a…スリット部、71b…開口部、71c…凹部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を導光する導光部材と、
前記導光部材によって導光された前記光を照射されることで機能する光学素子と、
前記導光部材と前記光学素子とが光結合するように前記導光部材と前記光学素子とを内部で保持する保持部材と、
前記光学素子の周囲に位置するように前記保持部材に配設され、前記保持部材の剛性を低減する低減部と、
を具備することを特徴とする光結合デバイス。
【請求項2】
前記低減部は、前記保持部材の端面から少なくとも前記保持部材の軸方向に沿って切り込まれているスリット部と、開口部との少なくとも一方を有していることを特徴とする請求項1に記載の光結合デバイス。
【請求項3】
前記スリット部と前記開口部との少なくとも一方は、前記保持部材の径方向において、前記保持部材を貫通している、または前記保持部材の外周面から内周面に向けて凹設されていることを特徴とする請求項2に記載の光結合デバイス。
【請求項4】
凹設されている前記スリット部と前記開口部とにおいて、それぞれの底面は、前記光学素子の外周面と、前記保持部材の前記外周面との少なくとも一方に対して平行となっていることを特徴とする請求項3に記載の光結合デバイス。
【請求項5】
前記保持部材を貫通している前記スリット部は、前記保持部材を貫通し、前記保持部材の軸方向に沿って配設されている第1のスリット部と、前記保持部材を貫通し、前記保持部材の周方向に沿って配設され、前記第1のスリット部と連通している第2のスリット部とを有し、
前記光学素子は、前記第1のスリット部を介して前記第2のスリット部と係止する係止部を有していることを特徴とする請求項3に記載の光結合デバイス。
【請求項6】
前記低減部は、前記保持部材の外周面から内周面に向けて凹設され、前記保持部材の軸方向と、前記保持部材の周方向と、前記保持部材の軸方向に対する螺旋方向と、の少なくとも一方に沿って配設されている凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の光結合デバイス。
【請求項7】
前記軸方向と前記螺旋方向との少なくも一方に沿って配設されている前記凹部は、前記保持部材の径方向において前記保持部材を貫通していることを特徴とする請求項6に記載の光結合デバイス。
【請求項8】
前記保持部材からの前記光学素子の抜けを防止するように、前記螺旋方向に沿って配設されている前記凹部と係止して前記保持部材をキャップする防止部をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の光結合デバイス。
【請求項1】
光を導光する導光部材と、
前記導光部材によって導光された前記光を照射されることで機能する光学素子と、
前記導光部材と前記光学素子とが光結合するように前記導光部材と前記光学素子とを内部で保持する保持部材と、
前記光学素子の周囲に位置するように前記保持部材に配設され、前記保持部材の剛性を低減する低減部と、
を具備することを特徴とする光結合デバイス。
【請求項2】
前記低減部は、前記保持部材の端面から少なくとも前記保持部材の軸方向に沿って切り込まれているスリット部と、開口部との少なくとも一方を有していることを特徴とする請求項1に記載の光結合デバイス。
【請求項3】
前記スリット部と前記開口部との少なくとも一方は、前記保持部材の径方向において、前記保持部材を貫通している、または前記保持部材の外周面から内周面に向けて凹設されていることを特徴とする請求項2に記載の光結合デバイス。
【請求項4】
凹設されている前記スリット部と前記開口部とにおいて、それぞれの底面は、前記光学素子の外周面と、前記保持部材の前記外周面との少なくとも一方に対して平行となっていることを特徴とする請求項3に記載の光結合デバイス。
【請求項5】
前記保持部材を貫通している前記スリット部は、前記保持部材を貫通し、前記保持部材の軸方向に沿って配設されている第1のスリット部と、前記保持部材を貫通し、前記保持部材の周方向に沿って配設され、前記第1のスリット部と連通している第2のスリット部とを有し、
前記光学素子は、前記第1のスリット部を介して前記第2のスリット部と係止する係止部を有していることを特徴とする請求項3に記載の光結合デバイス。
【請求項6】
前記低減部は、前記保持部材の外周面から内周面に向けて凹設され、前記保持部材の軸方向と、前記保持部材の周方向と、前記保持部材の軸方向に対する螺旋方向と、の少なくとも一方に沿って配設されている凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の光結合デバイス。
【請求項7】
前記軸方向と前記螺旋方向との少なくも一方に沿って配設されている前記凹部は、前記保持部材の径方向において前記保持部材を貫通していることを特徴とする請求項6に記載の光結合デバイス。
【請求項8】
前記保持部材からの前記光学素子の抜けを防止するように、前記螺旋方向に沿って配設されている前記凹部と係止して前記保持部材をキャップする防止部をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の光結合デバイス。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【公開番号】特開2013−88720(P2013−88720A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230928(P2011−230928)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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