説明

光記録方法、光記録装置、光記録装置の制御方法、および光記録装置の制御装置

【課題】スペースに対応する期間における光記録媒体からの反射光量の変動を抑制し、記録時のサーボを安定させる。
【解決手段】光記録方法は、光ディスクにマークを形成するための記録パワーのレーザ光と、マーク間のスペースに対応するスペースパワーのレーザ光とを含む2値以上のパワーのレーザ光を照射することにより、光ディスクに情報を記録する工程(S23)と、光ディスクに対する情報の記録の中断期間において、当該中断期間の前に記録された光ディスクの領域を再生し、再生された信号の再生特性を取得する工程(S25)と、取得された再生特性に基づき上記2値以上のパワーのうち少なくとも記録パワーを補正する工程であって、記録パワーとスペースパワーとの比率を一定とする場合と比較して、記録パワーが補正された場合におけるスペースパワーの変動が小さくなるように、パワーの制御を行う工程(S27)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録方法、光記録装置、光記録装置の制御方法、および光記録装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクにレーザ光を照射して情報を記録および再生する光ディスク装置において、光ディスクからの反射光に基づいてサーボ信号を生成し、当該サーボ信号に基づいてトラッキングサーボやフォーカスサーボなどのサーボを行う技術がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1には、隣接トラックの影響によるトラッキング制御の不安定化を抑制するために、走査中のトラックとその両隣のトラックの記録状態(記録済みか未記録か)に基づいて、トラッキングエラー信号にオフセットを印加することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、半導体レーザの周辺温度が高くなるほど半導体レーザのレーザパワーを低くする光ディスク装置において、半導体レーザの周辺温度が上昇してもサーボ制御を安定して行うことができるように、半導体レーザの周辺温度が高くなるほどサーボ制御ゲインを大きくすることが記載されている。
【0005】
ところで、一般的に、光記録装置は、光ディスクに対して情報の記録を行う場合、レーザ光をパルス状に発光し、光ディスクにマーク(記録部)とスペース(未記録部)を生成する。マークを生成するときには、高いパワー(記録パワー)のレーザ光が照射され、マーク間のスペースに対応する期間には、記録パワーより低いパワー(スペースパワー)のレーザ光が照射される。また、記録中において、温度変化等による光ディスクの記録感度の変化に対応するために、記録パワーの補正が行われる。記録パワーとスペースパワーとの比率が記録パラメータの一つとして設定され、記録パワーの補正に応じてスペースパワーも変更される。記録時のサーボを動作させるためのサーボ信号は、スペースに対応する期間における光ディスクからの反射光(すなわちスペースパワーのレーザ光の反射光)に基づいて生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−288855号公報
【特許文献2】特開2001−236649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の光記録装置では、記録パワーが補正により変動した場合、スペースパワーも変動するため、サーボ信号の基となる光ディスクからの反射光量も変動する。これにより、サーボ信号のレベルが変動し、記録時のサーボが不安定となる場合がある。
【0008】
本発明は、スペースに対応する期間における光記録媒体からの反射光量の変動を抑制し、記録時のサーボを安定させることができる光記録方法、光記録装置、光記録装置の制御方法、および光記録装置の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光記録方法は、
光記録媒体にマークを形成するための第1のパワーの光と、前記第1のパワーの光により形成されるマーク間に位置するスペースに対応する第2のパワーの光とを含む2値以上のパワーの光を前記光記録媒体に照射することにより、前記光記録媒体に情報を記録する記録工程と、
前記光記録媒体に対する情報の記録の中断期間において、当該中断期間の前に記録された前記光記録媒体の領域を再生し、再生された信号の再生特性を取得する再生特性取得工程と、
前記取得された再生特性に基づき前記2値以上のパワーのうち少なくとも第1のパワーを補正するパワー補正工程であって、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率が一定である場合と比較して、前記第1のパワーが補正された場合における前記第2のパワーの変動が小さくなるように、パワーの制御を行うパワー補正工程と、
を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光記録装置は、
光記録媒体にマークを形成するための第1のパワーの光と、前記第1のパワーの光により形成されるマーク間に位置するスペースに対応する第2のパワーの光とを含む2値以上のパワーの光を前記光記録媒体に照射することにより、前記光記録媒体に情報を記録する記録手段と、
前記光記録媒体に対する情報の記録の中断期間において、当該中断期間の前に記録された前記光記録媒体の領域を再生し、再生された信号の再生特性を取得する再生特性取得手段と、
前記取得された再生特性に基づき前記2値以上のパワーのうち少なくとも第1のパワーを補正するパワー補正手段であって、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率が一定である場合と比較して、前記第1のパワーが補正された場合における前記第2のパワーの変動が小さくなるように、パワーの制御を行うパワー補正手段と、
を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光記録装置の制御方法は、
光記録媒体にマークを形成するための第1のパワーの光と、前記第1のパワーの光により形成されるマーク間に位置するスペースに対応する第2のパワーの光とを含む2値以上のパワーの光を前記光記録媒体に照射することにより、前記光記録媒体に情報を記録する光記録装置の制御方法であって、
前記光記録媒体に対する情報の記録の中断期間において、当該中断期間の前に記録された前記光記録媒体の領域を再生して得られる信号の再生特性を取得する再生特性取得工程と、
前記取得された再生特性に基づき前記2値以上のパワーのうち少なくとも第1のパワーを補正するパワー補正工程であって、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率が一定である場合と比較して、前記第1のパワーが補正された場合における前記第2のパワーの変動が小さくなるように、パワーの制御を行うパワー補正工程と、
を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光記録装置の制御装置は、
光記録媒体にマークを形成するための第1のパワーの光と、前記第1のパワーの光により形成されるマーク間に位置するスペースに対応する第2のパワーの光とを含む2値以上のパワーの光を前記光記録媒体に照射することにより、前記光記録媒体に情報を記録する光記録装置の制御装置であって、
前記光記録媒体に対する情報の記録の中断期間において、当該中断期間の前に記録された前記光記録媒体の領域を再生して得られる信号の再生特性を取得する再生特性取得手段と、
前記取得された再生特性に基づき前記2値以上のパワーのうち少なくとも第1のパワーを補正するパワー補正手段であって、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率が一定である場合と比較して、前記第1のパワーが補正された場合における前記第2のパワーの変動が小さくなるように、パワーの制御を行うパワー補正手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スペースに対応する期間における光記録媒体からの反射光量の変動を抑制し、記録時のサーボを安定させることができる光記録方法、光記録装置、光記録装置の制御方法、および光記録装置の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1における光記録装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】アシンメトリ値の測定を説明するための図である。
【図3】変調度の測定を説明するための図である。
【図4】ライトストラテジ信号を説明するための図である。
【図5】実施の形態1における中央制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】記録パラメータのテーブルの一例を示す図である。
【図7】光ディスクの記録済領域と未記録領域との境界における記録動作の一例を説明するための図である。
【図8】スペースパワー比率と最適アシンメトリ値との関係を示す図である。
【図9】光ディスクの構成の一例を示す概略図である。
【図10】実施の形態1における光記録装置の動作の手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態1における光記録装置の動作の手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】記録パワー、スペースパワー比率、およびスペースパワーの変化の一例を示す図である。
【図13】記録パワーと記録性能との関係の一例を示す図である。
【図14】アシンメトリ値と記録性能との関係の一例を示す図である。
【図15】変調度と記録性能との関係の一例を示す図である。
【図16】実施の形態2における中央制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図17】実施の形態2における光記録装置の動作の手順の一例を示すフローチャートである。
【図18】ライトストラテジの補正の一例を説明するための図である。
【図19】立ち上がりのシフト量と最適記録パワーとの関係を示す図である。
【図20】立ち上がりのシフト量と変調度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態における光記録装置100の構成の一例を示す概略図である。この光記録装置100は、光記録媒体(ここでは光ディスク500)に対して光を照射して情報の記録を行う装置である。光記録装置100は、光ディスク500に対して情報の記録および再生を行う光記録再生装置であってもよい。光記録装置100は、具体的には、マークエッジ記録(PWM記録)を行うものである。そして、光記録装置100は、光ディスク上に記録すべきデータに応じて、半導体レーザをライトストラテジ(記録に用いられるレーザ発光波形規則)に従い発光させて、光ディスク500にマークを形成することにより情報の記録を行う。光ディスク500は、例えば、BD(Blu-ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、CD(Compact Disc)である。
【0016】
光記録装置100は、光ヘッド300、プリアンプ110、再生信号処理部120、記録品質測定部130、データデコーダ140、再生特性測定部150、データエンコーダ160、ライトストラテジ制御部170、スピンドルモータ181、スレッドモータ182、サーボ制御部183、バッファメモリ190、および中央制御部200を有する。
【0017】
光ヘッド300は、光ディスク500にレーザ光を照射してデータの記録および再生を行うものであり、光ピックアップとも呼ばれる。光ヘッド300は、半導体レーザ310、レーザ駆動部320、コリメートレンズ330、ビームスプリッタ340、対物レンズ350、検出レンズ360、受光素子370、および対物レンズアクチュエータ(図示しない)を有する。これらのうち、半導体レーザ310、コリメートレンズ330、ビームスプリッタ340、対物レンズ350、および検出レンズ360は、光学系を構成する。
【0018】
半導体レーザ310は、レーザ駆動部320により駆動され、レーザ光を出射する。半導体レーザ310から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ330、ビームスプリッタ340、および対物レンズ350を介して光ディスク500に集光、照射される。光ディスク500からの反射光は、対物レンズ350を通った後にビームスプリッタ340で検出レンズ360に向かう方向に反射し、検出レンズ360を介して受光素子370で受光される。受光素子370は、検出レンズ360からの光信号を電気信号に変換する。
【0019】
なお、光ヘッド300の光学系には、光ディスク500の種類に応じて最適にレーザ光の照射を制御することができるように、球面収差を補正する素子やレンズ等が配置されてもよい。
【0020】
プリアンプ110は、光ヘッド300からの再生信号(具体的には受光素子370により得られた電気信号)を増幅し、増幅後の再生信号を中央制御部200および再生信号処理部120に供給する。また、プリアンプ110は、光ヘッド300からの再生信号からサーボ信号を生成し、当該サーボ信号をサーボ制御部183に供給する。
【0021】
再生信号処理部120は、プリアンプ110からの再生信号をイコライズ処理(波形整形)し、イコライズ処理後の再生信号を記録品質測定部130およびデータデコーダ140に供給する。また、再生信号処理部120は、イコライズ処理される前の再生信号(すなわちプリアンプ110からの再生信号)を再生特性測定部150に供給する。
【0022】
記録品質測定部130は、再生信号処理部120からの信号に基づき、再生信号の信号品質を測定する。再生信号の信号品質としては、例えば、ジッター値やエラーレートがある。
【0023】
データデコーダ140は、再生信号処理部120からの再生信号を2値化し、復調やエラー訂正などの処理を行うことにより、光ディスク500に記録されたデータを生成(再生)し、再生されたデータを中央制御部200に供給する。
【0024】
再生特性測定部150は、再生信号処理部120からの信号に基づき、再生信号の再生特性を測定する。再生信号の再生特性としては、例えば、アシンメトリ値や変調度がある。
【0025】
具体的には、再生特性測定部150は、アシンメトリ値を求める場合、供給された信号(プリアンプ110から出力された信号)をAC(交流)カップリングし、ACカップリングされた信号に基づいてアシンメトリ値を算出する。図2(a)〜(c)には、ACカップリングされた信号の例が示されている。図2(a)〜(c)を参照して説明すると、再生特性測定部150は、ACカップリングされた信号のピークレベルA1とボトムレベルA2を検出し、これらから、以下の式(1)を用いて、再生信号のアシンメトリ値βを算出する。図2(a)、(b)、(c)には、それぞれ、β<0の場合、β=0の場合、β>0の場合が示されている。
β=(A1+A2)/(A1−A2) ・・・(1)
【0026】
ここで、ピークレベルA1およびボトムレベルA2は、それぞれ最長スペースおよび最長マークからの反射光のレベルに対応する。また、ACカップリングされた信号において、最短スペースと最短マークが交互に形成された部分に対応する信号の振幅の平均値は、ゼロレベルとなっている。すなわち、ピークレベルA1およびボトムレベルA2は、最短スペースと最短マークが交互に形成された部分に対応する信号の振幅の平均値を基準(ゼロレベル)として表したものである。
【0027】
なお、アシンメトリ値の求め方は、上記に限定されるものではなく、再生信号の非対称性を表す値、具体的には、記録された最長マークの信号(BDの場合は8T信号)と記録された最短マークの信号(BDの場合は2T信号)の非対称度を求めることができれば、上記以外の方法で求められてもよい。
【0028】
また、再生特性測定部150は、変調度を求める場合、アシンメトリ値を求める場合とは異なり、ACカップリングをせずにそのまま(DCカップリングで)、供給された信号に基づいて変調度を算出する。図3には、DCカップリングで得られた信号の一例が示されている。図3を参照して説明すると、再生特性測定部150は、供給された信号のピークレベルPKとボトムレベルBTを検出し、これらから、以下の式(2)を用いて、再生信号の変調度を算出する。
変調度=(PK−BT)/PK ・・・(2)
【0029】
ここで、ピークレベルPKおよびボトムレベルBTは、それぞれ最長スペースおよび最長マークからの反射光のレベルに対応する。また、DCカップリングで得られた信号では、受光素子370への入力がない(光ディスク500からの反射光の入力がない)ときのプリアンプ110の出力値が、ゼロレベルとなっている。すなわち、ピークレベルPKおよびボトムレベルBTは、受光素子370への反射光の入力がないときのプリアンプ110の出力レベルを基準(ゼロレベル)として表したものである。
【0030】
再び図1を参照すると、データエンコーダ160は、中央制御部200からのデータに誤り訂正符号を付加し、誤り訂正符号が付加されたデータを変調規則に従って変調し、光ディスク500のフォーマットに従って記録データを生成する。
【0031】
ライトストラテジ制御部170は、データエンコーダ160により生成された記録データに基づき、ライトストラテジ信号を生成する。具体的には、ライトストラテジ制御部170は、中央制御部200からライトストラテジの設定を受けた後、データエンコーダ160から、マークの長さを表す周期数nを指定する記録データを受けると、ライトストラテジに従って、記録データに対応するライトストラテジ信号(発光パルス列の波形と略同一の波形を有する信号)を生成し、レーザ駆動部320に出力する。これにより、ライトストラテジ信号に応じた駆動電流がレーザ駆動部320から半導体レーザ310に供給され、ライトストラテジ信号に応じた波形のレーザ光が半導体レーザ310から出射される。
【0032】
図4は、ライトストラテジ制御部170により生成されるライトストラテジ信号を説明するための図である。図4(a)は、データエンコーダ160により生成される記録データの一例を示す。記録データは、マーク部MAとスペース部SAとを含む。図4(b)は、図4(a)の記録データを光ディスク500に記録した場合に形成される光ディスク上のマークMKと、マークMK相互間に位置するスペースSPとを示す。記録データは、1−7変調されたデータ(長さ2T〜8T)と、同期用に付加される同期パターン(長さ9Tを含むパターン)とで構成される。すなわち、記録データに含まれるマーク部MAは、最短マークを記録するための2T(周期数n=2)から、最長マークを記録するための9T(周期数n=9)までの長さを取り得る。また、記録データに含まれるスペース部SAは、最短スペースに対応する2T(周期数n=2)から、最長スペースに対応する9T(周期数n=9)までの長さを取り得る。図4は、最短マーク(すなわち2Tのマーク)、2番目に短いマーク(すなわち3Tのマーク)、および4番目に短いマーク(すなわち5Tのマーク)を順に記録する場合を示している。
【0033】
図4(c)は、ライトストラテジ制御部170で生成されるライトストラテジ信号の一例を示す。このライトストラテジ信号は、例えば、書き換え可能な光ディスク(例えばBD−RE)にデータを記録する場合や、追記可能な光ディスク(例えばBD−R)に低倍速(例えば1倍速〜2倍速)でデータを記録する場合に使用されるものである。図4(c)において、ライトストラテジ信号は、記録パワーPW、スペースパワーPS、クーリングパワーPC、バイアスパワーPBの4値のレーザパワーから構成されている。なお、書き換え可能な光ディスクにおいては、スペースパワーPSの代わりに消去パワーPEが用いられる。
【0034】
図4(d)は、ライトストラテジ制御部170で生成されるライトストラテジ信号の別の一例を示す。このライトストラテジ信号は、例えば、追記可能な光ディスク(例えばBD−R)に高倍速(例えば2倍速以上)でデータを記録する場合に使用されるものである。図4(d)において、ライトストラテジ信号は、記録パワーPW、ミドルパワーPM、スペースパワーPS、クーリングパワーPCの4値のレーザパワーから構成されている。
【0035】
また、図4(e)は、図4(c)または(d)のスペースパワーPSが出力されている区間において反射光(または再生信号)をサンプリングするためのサンプルホールド用信号の例を示している。記録中においては、このサンプルホールド用信号がハイ(High)になっている区間(すなわちレーザがスペースパワーPSで出力されている区間)における光ディスク500からの反射光(具体的には受光素子370の出力信号)がサンプリングされることにより、サーボ信号が生成される。
【0036】
なお、ライトストラテジ信号は、図4に示されるものに限られず、図4に示されるものと異なっていてもよい。例えば、クーリングパワーPCとバイアスパワーPBとは、図4では互いに異なるレベルを有するが、互いに同一のレベルであってもよい。また、各マークに対応する発光パルスの本数は、適宜変更されてもよい。
【0037】
再び図1を参照すると、スピンドルモータ181は、光ディスク500を回転させる。スレッドモータ182は、光ヘッド300の位置(例えば光ディスク500の半径方向の位置)を移動させる。
【0038】
サーボ制御部183は、スピンドルモータ181、スレッドモータ182、および対物レンズアクチュエータ(不図示)を制御する。
【0039】
具体的には、サーボ制御部183は、中央制御部200からの指示に基づき、スレッドモータ182を制御し、光ヘッド300をアクセス対象位置へ移動させる。具体的には、中央制御部200は、プリアンプ110からの再生信号に基づきアドレス情報の復号を行い、光ヘッド300の現在位置のアドレス情報を得る。そして、中央制御部200は、得られた現在位置のアドレス情報と、アクセスすべき位置(アクセス対象位置)のアドレス情報との差分を、サーボ制御部183に与える。サーボ制御部183は、当該差分に基づき、光ヘッド300をアクセス対象位置へ移動させる。
【0040】
また、サーボ制御部183は、光ディスク500からの反射光に基づいて生成されるサーボ信号に基づいてサーボを行う。具体的には、サーボ制御部183は、プリアンプ110からのサーボ信号(またはサーボエラー信号)に基づき、対物レンズアクチュエータを制御して、フォーカス制御およびトラッキング制御を行う。
【0041】
バッファメモリ190は、光ディスク500に記録されるデータや、光ディスク500から再生されたデータを一時的に記憶する。
【0042】
中央制御部200は、光記録装置100の制御装置であり、光記録装置100による光ディスク500へのデータの書き込み(記録)や読み出し(再生)の際に、装置の全体を制御するものである。
【0043】
再生時において、中央制御部200は、レーザ駆動部320を制御して、データの再生に必要な出力値(再生パワー)を有するレーザ光を半導体レーザ310から出射させる。半導体レーザ310から出射された再生パワーのレーザ光は、光ディスク500に照射され、光ディスク500からの反射光が受光素子370に受光され、反射光に応じた再生信号が生成される。この再生信号は、プリアンプ110により増幅される。そして、プリアンプ110から出力される再生信号に基づき、記録品質測定部130によりジッター等の記録品質が測定され、再生特性測定部150によりアシンメトリ値や変調度等の再生特性が測定され、データデコーダ140により再生データが生成される。プリアンプ110により増幅された再生信号、記録品質測定部130により測定された記録品質、再生特性測定部150により測定された再生特性、およびデータデコーダ140により生成された再生データは、中央制御部200に供給される。中央制御部200は、生成された再生データを、バッファメモリ190に格納した後、光記録装置100と接続されている上位コントローラ400へ送る。
【0044】
中央制御部200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)210と、当該CPU210の動作のためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)220と、データを記憶するRAM(Random Access Memory)230とを備える。中央制御部200の機能または動作は、ROM220に格納されたプログラムがRAM230に読み出されてCPU210により実行されることによって実現される。上記プログラムは、後に説明される、記録パワーの補正、スペースパワー比率の補正、アシンメトリ目標値の補正、およびライトストラテジの補正を定義する部分を含む。なお、上記プログラムは、光ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の通信回線を介して提供されてもよい。また、中央制御部200の機能は、ハードウェア回路のみにより実現されてもよい。
【0045】
図5は、中央制御部200の機能構成の一例を示すブロック図である。中央制御部200は、記録部251、再生特性取得部252、パワー補正部253、および再生特性目標値補正部254を有する。
【0046】
記録部251は、光ディスク500にマークを形成するための記録パワーのレーザ光(第1のパワーの光)と、記録パワーのレーザ光により形成されるマーク間に位置するスペースに対応するスペースパワーのレーザ光(第2のパワーの光)とを含む2値以上のパワーのレーザ光を光ディスク500に照射することにより、光ディスク500に情報を記録する。具体的には、記録部251は、データエンコーダ160、ライトストラテジ制御部170、サーボ制御部183等を制御することにより、記録パワーおよびスペースパワーを含む少なくとも2値の出力パワーのレーザ光を光ディスク500に照射し、光ディスク500に対する情報の記録を行う。
【0047】
本例では、スペースパワーは、記録パワーと、記録パワーとスペースパワーとの比率の設定とにより決定される。すなわち、記録部251は、記録パワーの光と、記録パワーとスペースパワーとの比率の設定により決定されるスペースパワーの光とを用いて、光ディスク500に対する記録を行う。
【0048】
具体的には、記録部251は、データの記録に先立って、ライトストラテジ制御部170にライトストラテジを設定する。ライトストラテジは、図4(c)、(d)のようなライトストラテジ信号をライトストラテジ制御部170で生成するための情報であり、発光波形を規定する複数のパラメータ(ライトストラテジパラメータ)を含む。ライトストラテジパラメータとしては、例えば、記録パワーPWと記録パワー以外の各パワー(ミドルパワーPM、スペースパワーPS、クーリングパワーPC、バイアスパワーPBなど)との比率などがある。これらのパワー比率は、一般的には一定に維持され、記録パワーPWの変更に応じて、他のパワーが変更される。なお、ライトストラテジ信号の形が複雑になるほど、ライトストラテジパラメータの種類は増加する。
【0049】
ライトストラテジの設定について、一つの態様では、光記録装置100は、中央制御部200内(例えばROM220内)に、記録パラメータのテーブル(ライトストラテジのリストともいう)を保持している。記録パラメータのテーブルは、光ディスクのID毎に、当該IDを持つ光ディスク用の記録パラメータ(具体的には当該光ディスクに最適な記録パラメータ)が記録されているテーブルである。このテーブルには、記録パラメータとして、少なくともライトストラテジが記録される。また、このテーブルには、記録パラメータとして、ライトストラテジとともに、後述するパワー調整(OPC)用の再生特性目標値(例えばアシンメトリ値や変調度の目標値)が記録されてもよい。図6には、記録パラメータのテーブルの一例が示されている。図6のテーブルには、k個のID(Maker1,Maker2,・・・,Makerk)について、IDと当該IDに対応するn個の記録パラメータWS1,WS2,WS3,・・・,WSnの最適値とが対応付けて記録されている。
【0050】
記録部251は、光ヘッド300やデータデコーダ140等を制御して、光記録装置100に挿入された光ディスク500からIDを読み取り、当該IDと対応付けられているライトストラテジを記録パラメータのテーブルから読み出し、当該ライトストラテジを光ディスク500に対する記録に用いる。ここで、光ディスク500のIDは、光ディスク500を作成するメーカが予め設定したものであり、光ディスク500に(例えばリードインエリア等に)固有情報として記録されている。
【0051】
なお、光記録装置100は、記録パラメータのテーブルを保持していなくてもよい。この場合、記録部251は、例えば、光ディスク500の固有情報に含まれるライトストラテジの推奨値(光ディスクメーカが予め設定し、光ディスク500に記録している値)を用いてもよいし、ライトストラテジの推奨値から予め設定された計算式により計算した値を用いてもよい。
【0052】
本例では、記録部251は、データの記録に先立って、OPC(Optimum Power Control)と呼ばれる記録パワーの最適化、すなわち最適記録パワーの決定を行う。
【0053】
具体的には、記録部251は、ランダムな記録データパターンを用いて、記録パワーを変化させて光ディスク500への試し書きを行い、次に、このテストパターンが記録された光ディスク500上の領域を再生し、再生特性測定部150によりアシンメトリ値を検出し、検出されたアシンメトリ値を、アシンメトリ値の目標値であるアシンメトリ目標値と比較して最適な記録パワーを求める。例えば、記録部251は、互いに異なる複数の記録パワーに対応するアシンメトリ値の検出値をアシンメトリ目標値と比較して、アシンメトリ目標値に最も近い検出値を生じさせた記録パワーを最適な記録パワーとして設定する。一般に、記録パワーを大きくすればアシンメトリ値は大きくなり、記録パワーを小さくすればアシンメトリ値は小さくなる。
【0054】
なお、記録部251は、1つの記録パワーで光ディスク500への試し書きを行い、試し書きされた領域を再生し、再生結果からアシンメトリ値を検出し、検出されたアシンメトリ値をアシンメトリ目標値と比較して、比較結果に応じて記録パワーを増減して最適な記録パワーを決定してもよい。
【0055】
また、最適な記録パワーの決定において、アシンメトリ値以外の再生特性が利用されてもよく、例えばアシンメトリ値の代わりに変調度が用いられてもよい。追記型の光ディスク(BD−RやDVD−R等)では、一般的にアシンメトリ値が用いられ、書き換え型の光ディスク(BD−REやDVD−RW等)では、変調度が用いられる場合が多い。
【0056】
また、記録部251は、最適記録パワーに対応する変調度を目標値とするのではなく、記録パワーの変化に対する変調度の変化が大きい記録パワーの領域(最適記録パワーよりも小さい記録パワーの領域)における変調度を目標値として、当該目標値と検出値との比較により求まった記録パワーに予め設定された係数を掛けることで、最適記録パワーを算出する方法を用いてもよい。このような方法は、書き換え型の光ディスクの場合に一般的に用いられる。
【0057】
光ディスク500への情報の記録について説明すると、記録部251は、上位コントローラ400からの記録対象のデータをバッファメモリ190に格納した後、データエンコーダ160を用いて当該データから記録データを生成する。この記録データに基づき、予め設定されたライトストラテジに従って、ライトストラテジ制御部170によりライトストラテジ信号が生成される。このライトストラテジ信号に基づき、レーザ駆動部320により半導体レーザ310が駆動され、半導体レーザ310からレーザ光が出射される。このとき、記録部251は、レーザ光の記録パワーが上記最適記録パワーとなるように、例えばレーザ駆動部320またはライトストラテジ制御部170を制御する。半導体レーザ310から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ330等を介して光ディスク500に照射され、これにより、光ディスク500上にマークが形成され、マークとマーク相互間に位置するスペースとからなる記録済領域が形成される。
【0058】
ここで、光ディスク500にデータを記録する場合としては、放送番組のデータのように所定の伝送レートで供給されるデータを光ディスク500に記録する場合や、例えばハードディスクドライブ等の他の記録媒体に記憶されたデータを光ディスク500に一気にコピーする場合などがある。
【0059】
放送番組のように所定の伝送レートで供給されるデータを記録する場合には、録画レートに従って、上位コントローラ400から一定間隔で順次データが光記録装置100に送付される。記録部251は、当該上位コントローラ400からのデータをバッファメモリ190に格納する。記録部251は、バッファメモリ190でオーバーフローやアンダーフローが起きないように、バッファメモリ190に蓄えられているデータの量を管理する。具体的には、記録部251は、バッファメモリ190に格納されているデータの量がバッファメモリ190の容量よりも大きくならないように、適時データをバッファメモリ190から吸い出して記録を行う。また、記録部251は、バッファメモリ190に格納されているデータの量が少ない場合には、記録動作を一時停止し、バッファメモリ190に所定量以上のデータが格納されるまで待機する。すなわち、所定量のデータをバッファメモリ190から読み出して光ディスク500に書き込む記録期間と、光ディスク500への記録を中断してバッファメモリ190に所定量以上のデータが蓄積されるのを待つ(バッファメモリ190内のデータ量が所定量以上になるのを待つ)待機期間(中断期間)とが交互に繰り返される。
【0060】
他の記録媒体に記憶されたデータを一気にコピーする場合にも、記録部251は、コピー元の記録媒体からコピーすべきデータをバッファメモリ190に蓄え、バッファメモリ190に蓄えられたデータを、所定量ずつ読み出して光ディスク500に書き込む。このため、コピーするデータの量、バッファメモリ190の容量、バッファメモリ190へのデータの転送レート、および光ディスク500への記録レートによっては、記録期間と待機期間とが交互に繰り返されることになる。
【0061】
このように、記録部251は、光ディスク500への記録と、記録状態にない待機(すなわち光ディスク500への記録の中断)とを繰り返して、光ディスク500への情報の記録を行う。すなわち、記録部251は、光ディスク500に対して間欠的な記録を行う。
【0062】
再び図5を参照すると、再生特性取得部252は、光ディスク500に対する情報の記録の中断期間(または待機期間)において、当該中断期間の前に記録された光ディスク500の領域を再生し、再生された信号の再生特性を取得する。具体的には、再生特性取得部252は、光ヘッド300等を制御して中断期間の直前に記録された領域を再生し、再生された信号から測定されたアシンメトリ値や変調度などの再生特性を再生特性測定部150から取得する。
【0063】
パワー補正部253は、再生特性取得部252により取得された再生特性に基づき、記録パワー(第1のパワー)およびスペースパワー(第2のパワー)を含む2値以上のパワーのうち少なくとも記録パワーの補正を行う。この処理は、例えばROPC(Running Optimum Power Control)と呼ばれるものである。光ディスク500に記録を行う場合、記録位置(光ディスク500の半径位置)の変化や、記録中に生じる温度変化などにより、光ディスク500の記録感度が変わり、必要な(最適な)記録パワーが変動することがある。ROPCは、この記録感度の変化を検出し、検出結果に応じて記録パワーを適切に補正することにより、ディスク全面にわたり安定した記録を行うことを可能にするものである。本例では、記録済領域の再生信号の再生特性(例えばアシンメトリ値)を検出することにより、記録感度の変化が検出される。
【0064】
具体的には、パワー補正部253は、取得された再生特性と、予め定められた再生特性の目標値である再生特性目標値とに基づき、記録パワーの補正を行う。例えば、パワー補正部253は、取得された再生特性と再生特性目標値との差に基づいて、記録パワーを補正する。
【0065】
パワー補正部253により記録パワーが補正された場合には、他のパワー(ミドルパワーPM、スペースパワーPS、クーリングパワーPC、バイアスパワーPB)は、記録パワーと各パワーとの比率の設定(ライトストラテジパラメータ)に従って変動することになる。
【0066】
上述した通り、記録中においては、サーボ信号は、スペースパワーPSのレーザ光の光ディスク500からの反射光に基づいて生成される。したがって、記録パワーとスペースパワーとの比率を一定とした場合、記録パワーの補正に応じてスペースパワーが変動し、これにより、サーボ信号の基となる反射光量が変動し、記録時のサーボが不安定となる場合がある。
【0067】
また、記録パワーとスペースパワーとの比率を一定とした場合、記録中における記録パワーの上昇に応じてスペースパワーが上昇し、これにより、記録済領域と未記録領域との境界における反射光量の差が大きくなり、サーボが不安定となる場合がある。以下、このことについて、図7を参照して説明する。
【0068】
図7は、光ディスク500の記録済領域と未記録領域との境界における記録動作の一例を説明するための図である。図7(a)は、光ディスク500の記録領域を示し、記録済領域701と、これに続く未記録領域702と、両領域の境界である記録未記録境界703とを示している。光記録装置100は、光ディスク500へ情報を追加で記録する場合や、間欠記録において記録待機後に再び記録を行う場合には、記録済領域701の終了位置(記録未記録境界703)の続きから追加記録を行う。
【0069】
この追加記録を行う場合、光記録装置100(例えば記録部251)は、記録開始対象となる位置(アドレス)よりも前(例えば内周側)に光ヘッド300を移動(シーク)し、記録済領域701の再生を行う。その後、記録開始対象となる位置を書き込みタイミングとして検出し、図7(c)に示されるように、記録ゲート信号をハイ(High)にすることで、光ディスク500への記録を開始する。このとき、光記録装置100は、光ヘッド300の受光素子370の光信号を電気信号に変換する際のゲインを、比較的高い再生用のゲインから、比較的低い記録用のゲインに切り替える。これは、再生時に用いられる再生パワーと比較して、記録時に用いられる記録パワーが高いため、再生用のゲインのままでは、受光素子370の信号出力が飽和し、受光素子370の応答性が悪くなり、記録時にサンプリングされて検出されるサーボ信号にも悪影響が及ぶためである。
【0070】
上記追加記録の動作開始時には、ゲインが変わること、サーボ信号を生成するためのレーザパワーが再生時の再生パワーから記録時のスペースパワーに変わること、記録済領域と未記録領域とでは反射率が異なること(具体的には記録済領域からの反射光量は未記録領域と比べて少ないこと)により、図7(b)に示されるように、サーボ信号のレベルが変動することになる。
【0071】
特に、記録パワーが高く設定され、信号の記録度合が高い状態(変調度が大きい状態)で記録された場合、記録済領域の反射光量は小さくなる。一方、記録パワーが高くなることに伴いスペースパワーが高くなると、記録時の反射光量は大きくなる。この結果、記録未記録境界703の直前の記録済領域701のサーボ信号のレベルと、記録未記録境界703の直後の未記録領域702のサーボ信号のレベルとの差が大きくなり、この影響により、記録済領域701の再生から未記録領域702への記録へ切り替わる時点で、サーボが外れ易くなる。
【0072】
本実施の形態では、記録時のサーボの安定化や、記録済領域の再生から未記録領域の記録への切り替わりにおけるサーボの安定化などの観点より、パワー補正部253は、記録パワーとスペースパワーとの比率が一定である場合と比較して、記録パワーが補正された場合におけるスペースパワーの変動が小さくなるように、パワーの補正を行う。
【0073】
本例では、パワー補正部253は、記録パワーとスペースパワーとの比率の設定であるスペースパワー比率ESを一定とする場合と比較して、記録パワーが補正された場合におけるスペースパワーの変動が小さくなるように、スペースパワー比率ESを補正する。
【0074】
例えば、パワー補正部253は、記録パワーの補正を行う場合、補正前の(最初の)スペースパワー比率を維持する場合と比べて、補正後のスペースパワーと補正前の(最初の)スペースパワーとの差の絶対値が小さくなるように、スペースパワー比率ESを補正する。すなわち、n回目(nは1以上の整数)の補正後の記録パワーおよびスペースパワーをそれぞれPW(n)およびPS(n)とし、補正前の(最初の)記録パワーおよびスペースパワーをそれぞれPW0およびPS0とした場合、パワー補正部253は、以下の式(3)が満たされるように、スペースパワー比率ESを補正する。
|PS(n)−PS0|<|PW(n)×PS0/PW0−PS0| ・・・(3)
【0075】
一つの態様では、パワー補正部253は、スペースパワーが一定または略一定となるように制御を行う。例えば、パワー補正部253は、スペースパワーが一定または略一定となるように、スペースパワー比率ESを補正する。
【0076】
図8は、スペースパワー比率ESと、記録品質が最良となるアシンメトリ値である最適アシンメトリ値との関係を示す。図8に示されるように、スペースパワー比率ESが変化すると、最適アシンメトリ値も変化する。例えば、スペースパワー比率ESを小さくすると、最適アシンメトリ値も若干小さくなる。
【0077】
そこで、再生特性目標値補正部254は、スペースパワー比率ESの補正に応じて、再生特性目標値(例えばアシンメトリ目標値)を補正する。具体的には、再生特性目標値補正部254は、スペースパワー比率ESの補正が行われた場合には、スペースパワー比率ESの補正量に応じて、再生特性目標値を補正する。例えば、スペースパワー比率ESと記録品質が最良となる再生特性目標値との関係を示す情報が予め光記録装置100(例えばROM220)に記憶されており、再生特性目標値補正部254は、当該記憶されている情報を用いて再生特性目標値の補正を行う。例えば、スペースパワー比率ESと、記録品質が最良となるアシンメトリ目標値との関係は図8に示されるように略線形となることから、スペースパワー比率ESの変化に対するアシンメトリ目標値の変化の割合(例えば、両者の関係を線形近似した場合の傾き係数)をROM220に記憶しておき、再生特性目標値補正部254は、当該変化の割合を読み出して用いてもよい。また例えば、スペースパワー比率ESの取り得る範囲はあまり広くないことなどから、各スペースパワー比率ESに対応するアシンメトリ目標値をテーブルとしてROM220に記憶しておき、再生特性目標値補正部254は、当該テーブルを読み出して用いてもよい。
【0078】
なお、パワー補正部253により補正された記録パワーおよびスペースパワー比率ESは、中断期間終了後の次の記録で用いられる。すなわち、次の記録期間において、記録部251は、補正後の記録パワーと、補正後のスペースパワー比率ESにより決定されるスペースパワーとを用いて、光ディスク500に対する記録を行う。また、再生特性目標値補正部254により補正された再生特性目標値は、中断期間終了後の次の記録以降に実施されるパワー補正部253の処理に用いられる。すなわち、次の記録以降に実施される補正処理において、パワー補正部253は、補正後の再生特性目標値を用いて出力パワーの補正を行う。
【0079】
図9は、光ディスク500の構成の一例を示す概略図である。光ディスク500は、内周側から順に、バーストカッティングエリア(Burst Cutting Area)BCA、リードイン領域IA、データ記録領域DA、およびリードアウト領域OAを有する。リードイン領域IAには、光ディスク500の固有情報や、記録動作および再生動作を制御するための制御情報などが記録されている。また、OPCを行う領域もリードイン領域IA内に配置される。これらの情報および領域は、リードアウト領域OAにも配置される場合がある。
【0080】
図10および図11は、本実施の形態における光記録装置100の動作の手順(光記録方法の手順)の一例を示すフローチャートである。以下、図10および図11を参照して、光記録装置100の動作の手順を説明する。
【0081】
まず、図10のステップS10において、光記録装置100は、当該装置への光ディスク500の挿入を、図示しないセンサにより検出したか否かを判断し、光ディスク500の挿入を検出すると(ステップS10:YES)、ステップS11において、光ヘッド300を駆動し、挿入された光ディスク500の種別(CD、DVD、BD等の種別)や、光ディスク500が何層のディスクか等を判別する。
【0082】
次に、ステップS12において、光記録装置100は、光ディスク500とのチルト角度や、サーボ条件等を調整した後、ステップS13において、光ディスク500から、光ディスクの固有情報や、記録動作および再生動作を制御するための制御情報等を読み出す。
【0083】
次に、ステップS14において、光記録装置100は、読み出された光ディスクの固有情報(ID等の情報)に基づき、記録パラメータを決定する。具体的には、光記録装置100は、ROM220に予め格納されている記録パラメータのテーブルから、上記ステップS13で読み出されたIDに対応する記録パラメータを読み出し、記録に用いる記録パラメータとして設定する。記録パラメータとしては、発光パルスの形を決めるためのパラメータであるライトストラテジや、記録パワー調整(OPC)用のパラメータ(ここではアシンメトリ目標値TB)等がある。また、同テーブルには、後述の補正処理に必要な情報も格納されており、光記録装置100は、当該情報も読み出しておく。
【0084】
なお、光記録装置100は、上記のように予め格納されたテーブルから記録パラメータを決定する代わりに、光ディスク500に予め記録されている記録パラメータの推奨値を読み出して使用してもよいし、あるいは、読み出した推奨値に対して所定の計算等を行い、修正された記録パラメータを用いてもよい。
【0085】
次に、ステップS15において、光記録装置100は、上位コントローラ400から記録開始の指示を受けたか否かを判断する。そして、光記録装置100は、記録開始の指示を受けるまで待機し(ステップS15:NO)、記録開始の指示を受けると(ステップS15:YES)、ステップS16に進む。
【0086】
ステップS16において、光記録装置100は、記録パワーの調整を行う。具体的には、光記録装置100は、ステップS14で設定された記録パラメータを用いて、光ディスク500への試し書きを行う。すなわち、光記録装置100は、ステップS14で中央制御部200内に設定された記録パラメータのライトストラテジをライトストラテジ制御部170に設定することにより、ライトストラテジ制御部170でテストパターンに基づいたライトストラテジ信号を生成し、当該ライトストラテジ信号により光ヘッド300を用いて光ディスク500への試し書きを行う。そして、光記録装置100は、テストパターンが記録された光ディスク500上の領域を光ヘッド300で再生し、再生特性測定部150により検出された再生特性(アシンメトリ値または変調度)と再生特性目標値(OPCパラメータ)とを比較して、再生特性目標値と一致する再生特性を生じさせる記録パワーを、最適な記録パワーPWOとして決定する。
【0087】
また、光記録装置100は、上記決定された最適記録パワーPWOと、ステップS14で決定されたパワー比率値の1つであるスペースパワー比率ES(=スペースパワーPS/記録パワーPW)とから、基準スペースパワーPSR(=PWO×ES)を求めておく。この基準スペースパワーPSRは、補正前の(最初の)スペースパワーであり、後述のスペースパワー比率ESの補正に使用される。
【0088】
次に、ステップS17において、光記録装置100は、ステップS14で設定された記録パラメータと、ステップS16で決定された記録パワーとにより、光ディスク500への本来のデータの書き込み(本書き込み)を開始する。
【0089】
以下、図11を参照して、図10のステップS17の後の処理を説明する。図11には、情報の記録と、記録の待機とが繰り返される場合、すなわち間欠記録が行われる場合における手順が示されている。そして、以下に詳しく述べるように、このような間欠記録における記録の中断期間を利用して、記録パワー、スペースパワー比率、およびアシンメトリ目標値の補正処理が行われる。
【0090】
ステップS20において、光記録装置100は、記録停止を指示する手段(例えば上位コントローラ400)から記録停止の指示を受けたか否かを判断する。そして、光記録装置100は、記録停止の指示を受けたと判断された場合(ステップS20:YES)、データの記録処理を終了する(ステップS21)。一方、記録停止の指示を受けていないと判断された場合には(ステップS20:NO)、ステップS22に進む。
【0091】
ステップS22において、光記録装置100は、バッファメモリ190に蓄積されているデータの量に基づき、記録を開始するか否かを判断する。具体的には、光記録装置100は、バッファメモリ190に蓄積されているデータの量が、空または予め設定された下限量未満にならないように、かつバッファメモリ190の容量以上または予め設定された上限量よりも多くならないように、記録するデータ量および記録を開始するタイミングを制御する。光記録装置100は、記録を開始すると判断するまで待機し(ステップS22:NO)、記録を開始すると判断した場合(ステップS22:YES)、ステップS23に進む。
【0092】
ステップS23において、光記録装置100は、ステップS22で決定された量のデータを、光ディスク500に記録する。
【0093】
記録完了後、ステップS24において、光記録装置100は、補正処理(記録パワー、スペースパワー比率、アシンメトリ目標値の補正)を実施するか否かを判断する。具体的には、光記録装置100は、記録開始時点または補正処理を実施すると判断された直近の時点から、予め設定された補正間隔が経過した場合には、補正処理を実施すると判断し、経過していない場合には、補正処理を実施しないと判断する。すなわち、記録開始後未だ一度も補正処理を実施すると判断されていない場合には、記録開始時点から補正間隔が経過したか否かを判断し、記録開始後一度でも補正処理を実施すると判断された場合(ステップS24でYESと判断された場合)には、補正処理を実施すると判断された直近の時点から補正間隔が経過したか否かを判断する。上記補正間隔は、例えば、光ディスクに書き込まれるデータの量で定められる。この場合、光記録装置100は、記録開始時点または補正処理を実施すると判断された直近の時点から、現時点までに記録されたデータの量と、補正間隔として設定されたデータ量とを比較し、記録されたデータ量が補正間隔のデータ量を超えている場合、補正処理を実施すると判断する。
【0094】
補正処理を実施しないと判断された場合(ステップS24:NO)、光記録装置100は、ステップS20に戻り、補正処理を実施すると判断された場合には(ステップS24:YES)、ステップS25に進む。
【0095】
ステップS25において、光記録装置100は、ステップS23において直前に記録された光ディスク500の信号を再生し、再生された信号の再生特性(アシンメトリ値や変調度)を測定する。ここで、信号を再生する領域は、少なくとも再生特性の測定に必要なサイズ以上であり、光ディスク500面内のバラツキ(変動)の影響を少なくする観点より、できれば光ディスク500の概略1周分であることが望ましい。なお、信号を再生する領域は、1周分でなくてもよく、n周分(nは1より大きい正数)でもよい。
【0096】
次に、ステップS26において、光記録装置100は、ステップS25で測定された再生特性に基づき、記録パワーの補正が必要かどうかを判定する。例えば、光記録装置100は、測定されたアシンメトリ値βとアシンメトリ目標値TBとの差の大きさが所定値より大きい場合に、補正が必要であると判定し、そうでなければ補正は不要であると判定する。
【0097】
補正が不要と判定された場合(ステップS26:NO)、光記録装置100は、ステップS20に戻り、補正が必要と判定された場合には(ステップS26:YES)、ステップS27に進む。
【0098】
ステップS27において、光記録装置100は、記録パワー、スペースパワー比率、およびアシンメトリ目標値の補正を行う。当該ステップS27で補正された記録パワーPWおよびスペースパワー比率ESは、次回以降の記録(次回以降のステップS23)で用いられる。また、当該ステップS27で補正されたアシンメトリ目標値TBは、次回以降の補正要否判定(次回以降のステップS26)や次回以降の補正処理(次回以降のステップS27)で用いられる。ステップS27の補正処理が行われた後、光記録装置100は、ステップS20に戻る。ここで、ステップS27の補正処理のうち、記録パワーの補正は、例えば前述のROPCと略同等のものである。
【0099】
以下、ステップS27における補正処理について説明する。
【0100】
ステップS27における各パラメータの補正量の計算には、アシンメトリ目標値TB、スペースパワー比率ES、記録パワーPW、およびステップS16で算出された基準スペースパワーPSRが用いられる。ここで、アシンメトリ目標値TBおよびスペースパワー比率ESとしては、記録開始後一度も補正が行われていない場合には、ステップS14で決定された値が用いられ、記録開始後一度でも補正が行われた場合には、補正後の値(前回のステップS27で補正された値)が用いられる。また、記録パワーPWとしては、記録開始後一度も補正が行われていない場合には、ステップS16の記録パワー調整により決定された値が用いられ、記録開始後一度でも補正が行われた場合には、補正後の値(前回のステップS27で補正された値)が用いられる。
【0101】
まず、光記録装置100は、ステップS25で測定されたアシンメトリ値βと、アシンメトリ目標値TBとの差に基づき、記録パワーの補正量を算出し、当該補正量により記録パワーを補正する。例えば、光記録装置100は、予め求められた記録パワーとアシンメトリ値との関係(例えばアシンメトリ値の変化に対する記録パワーの変化の割合)を用いて、測定されたアシンメトリ値βからアシンメトリ目標値TBまでの変化量に対応する記録パワーの変化量を補正量として算出し、当該補正量を現在の記録パワーPWに加算して補正後の記録パワーPWを算出する。また、例えば、光記録装置100は、測定されたアシンメトリ値βとアシンメトリ目標値TBとの差分の絶対値が所定値より大きい場合に、記録パワーPWを予め定められた補正量だけ補正してもよい。
【0102】
記録パワーの補正が行われた場合、光記録装置100は、スペースパワー比率の補正を行う。具体的には、光記録装置100は、補正後の記録パワーPWと、基準スペースパワーPSRとに基づき、補正後のスペースパワー比率ESを求める。例えば、光記録装置100は、基準スペースパワーPSRを補正後の記録パワーPWで除して、補正後のスペースパワーES(=PSR/PW)を算出する。このとき、補正後のスペースパワー比率ESは、例えば、ライトストラテジ制御部170に設定可能な値に丸められる。
【0103】
図12は、記録パワー、スペースパワー比率、およびスペースパワーの変化の一例を示す。図12において、横軸は光ディスクの半径方向の記録位置(記録半径位置)を示し、横軸の左側が内周側に対応し、右側が外周側に対応する。丸印は記録パワーPW、バツ印はスペースパワー比率を補正しない場合の(すなわちスペースパワー比率を一定とした場合の)スペースパワーPS0、四角印は補正後のスペースパワー比率ES、三角印は補正後のスペースパワー比率ESによるスペースパワーPS1を示す。図12は、光ディスク500の内周側から外周側に向けて記録した場合に、必要な(最適な)記録パワーPWが上昇した場合を示している。この記録パワーPWの上昇に伴い、スペースパワー比率ESが補正により下げられ、スペースパワーPS1が略一定に保たれている。
【0104】
スペースパワー比率ESの補正が行われた場合、光記録装置100は、アシンメトリ目標値TBの補正を行う。具体的には、光記録装置100は、スペースパワー比率ESの補正量に応じて、アシンメトリ目標値TBを補正する。例えば、光記録装置100は、先述したように、スペースパワー比率と記録品質が最良となる再生特性目標値との関係を示す予め記憶された情報を用いて、スペースパワー比率の補正量に基づき、アシンメトリ目標値の補正を行う。
【0105】
なお、図10および図11に示される各ステップの処理は、例えば、主として以下の部分により行われる。ステップS10の処理は、光ディスクの挿入を検出する図示しないセンサと、中央制御部200とにより行われる。ステップS11およびS12の処理は、光ヘッド300、プリアンプ110、サーボ制御部180、および中央制御部200により行われる。ステップS13の処理は、光ヘッド300、サーボ制御部180、プリアンプ110、再生信号処理部120、データデコーダ140、および中央制御部200により行われる。ステップS14およびS15の処理は、中央制御部200により行われる。ステップS16の処理は、サーボ制御部180、プリアンプ110、再生信号処理部120、再生特性測定部150、中央制御部200、ライトストラテジ制御部170、および光ヘッド300により行われる。ステップS17以降のデータ記録処理は、中央制御部200、データエンコーダ160、ライトストラテジ制御部170、サーボ制御部180、光ヘッド300、プリアンプ110、再生信号処理部120、および再生特性測定部150により行われる。
【0106】
以上説明した本実施の形態によれば、下記(1)〜(4)の効果が得られ得る。
(1)本実施の形態では、光記録装置は、記録パワーとスペースパワーとの比率を一定とする場合と比較して、記録パワーが補正された場合におけるスペースパワーの変動が小さくなるように、パワーの制御を行う。このため、本実施の形態によれば、スペースに対応する期間における光ディスクからの反射光量の変動を抑制することができ、記録時のサーボ(特にトラッキングサーボ)を安定させることができる。
【0107】
具体的には、記録パワーの変動に伴うスペースパワーの変動を抑えることができ、これにより、記録時において、スペースパワーによる反射光量の変動を抑えることができ、サーボを安定させることができる。
【0108】
また、記録パワーの上昇に伴うスペースパワーの上昇を抑えることができ、これにより、情報の追記時において、記録済領域の再生時の反射光量と未記録領域への記録時の反射光量との差の拡大を抑えることができ、サーボを安定させることができる。
【0109】
また、記録パワーの変動に伴うスペースパワーの変動を抑えることができ、これにより、情報の追記時において、記録済領域の再生時の反射光量と未記録領域への記録時の反射光量との差の変動を抑えることができ、サーボを安定させることができる。
【0110】
(2)記録パワーとスペースパワーとの比率の設定によりスペースパワーが決定される構成において、光記録装置は、上記比率の設定を一定とする場合と比較して、記録パワーが補正された場合におけるスペースパワーの変動が小さくなるように、上記比率の設定を補正する。本態様によれば、記録パワーとスペースパワーとの比率の設定によりスペースパワーが決定される構成において、構成を大きく変更することなく(例えばプログラムの変更だけにより)、サーボの安定化を図ることができる。
【0111】
(3)光記録装置は、スペースパワーが一定または略一定となるように制御を行う。本態様によれば、スペースに対応する期間における光ディスクからの反射光量の変動を殆ど無くすことができ、記録時のサーボを良好に安定させることができる。
【0112】
例えば、記録パワーの上昇に応じてスペースパワー比率を補正し、スペースパワーを略一定に保つことにより、情報の追記時において、記録済領域の再生動作から、未記録領域の記録動作へ移る際の反射光量(またはサーボ信号)のレベル差が大きくならないようにすることができ、記録時のサーボを安定に動作させることができる。
【0113】
(4)光記録装置は、記録パワーとスペースパワーとの比率の変化(例えば比率の設定の補正)に応じて、再生特性目標値を補正する。本態様によれば、記録パワーとスペースパワーとの比率の変化による記録品質の劣化を回避または軽減することができる。
【0114】
なお、本実施の形態において、予め求めることとしている、記録パワーPWとアシンメトリ値βの関係、スペースパワー比率ESと最適アシンメトリ値の関係については、光ディスクの固有情報(例えばID)毎に求められるのが望ましいが、光ディスクのタイプ毎(例えば、追記型光ディスク、書き換え型光ディスク等)や、使用するライトストラテジのタイプ毎(例えば、図4(c)のマルチパルス型、図4(d)のブロック型等)に求められてもよい。また、上記関係が予め求められていない光ディスクに対しては、光ディスクのタイプ、ライトストラテジのタイプ、あるいは記録倍速などの条件が当該光ディスクと同じであり、かつ上記関係が予め求められている光ディスクについて求められた関係を用いるようにしてもよい。
【0115】
また、予め求めることとしている、記録パワーPWとアシンメトリ値βとの関係、スペースパワー比率ESと最適アシンメトリ値との関係については、各型式の光記録装置に対して一度測定すれば良く、同じ型式の多数の光記録装置に対して同じ関係を用いることができる。すなわち、ある型式の光記録装置に関して、記録パワーPWとアシンメトリ値βの関係、スペースパワー比率ESと最適アシンメトリ値の関係を求めたら、求められた関係を同じ型式の他の光記録装置に設定することができる。
【0116】
また、上記の説明では、スペースパワー比率を補正することでスペースパワーを略一定に保つ場合を示したが、スペースパワー比率を補正するのではなく、スペースパワー自体を一定または略一定に制御してもよい。この場合、例えば、光記録装置100は、記録パワーとスペースパワーとからスペースパワー比率を求め、当該スペースパワー比率に基づいて再生特性目標値(例えばアシンメトリ目標値TB)の補正量を決定する。
【0117】
また、上記の説明では、スペースパワー比率の変化に応じて再生特性目標値(例えばアシンメトリ目標値TB)を補正する場合を示したが、この再生特性目標値の補正は、例えば記録品質を十分に確保できる場合には省略されてもよい。
【0118】
また、上記の説明では、スペースに対応する第2のパワーとしてスペースパワーPSを用いて説明したが、第2のパワーは、例えば書き換え可能な光ディスクにおける消去パワーPEなど、他の種類のパワーであってもよい。
また、パワー補正部253は、記録中の光ディスク500からの反射光を利用して記録パワーを補正してもよい。
【0119】
実施の形態2.
次に、実施の形態2における光記録装置について説明する。本実施の形態における光記録装置は、実施の形態1における光記録装置100と略同様であり、以下の説明では、実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0120】
光ディスク500への記録において、ROPCによる制御でアシンメトリ値が略一定になる様に記録パワーを制御した場合、記録される信号のアシンメトリ値が略一定になるため、変調度の変化もあまり生じない。しかし、光ディスク500によっては、アシンメトリ値が略同じであっても、変調度が大きく変化する場合がある。
【0121】
図13は、記録パワーと記録性能との関係の一例を示す図である。図13において、横軸は記録パワーPWを示し、縦軸は記録性能を示す。実線は常温環境下で光ディスク500へ記録した場合の特性の一例を示し、破線は高温環境下で光ディスク500へ記録した場合の特性の一例を示している。また、記録性能とは、信号が記録された領域を再生した時の再生性能のことであり、例えば、ジッター値や、MLSE(Maximum Likelihood Sequence Error)、i−MLSE(Integrated-Maximum Likelihood Sequence Error Estimation)、エラーレート等である。具体的には、図13では、記録性能はi−MLSE(単位は%)であり、数値が小さいほど記録性能が良いことを示す。また、図13は、BDの3層ディスクの第1層(Layer 0)へ2倍速記録を行ったときの結果である。
図13に示されるように、温度が高い方が、大きい記録パワーで記録性能が最良となる。
【0122】
図14は、アシンメトリ値と記録性能との関係の一例を示す図である。図14において、横軸はアシンメトリ値βを示し、縦軸は記録性能(i−MLSE)を示す。実線は常温環境下で光ディスク500へ記録した場合の特性の一例を示し、破線は高温環境下で光ディスク500へ記録した場合の特性の一例を示している。
図14に示されるように、アシンメトリ値については、温度が変わっても、ほぼ同じアシンメトリ値で記録性能が最良となる。
【0123】
図15は、変調度と記録性能との関係の一例を示す図である。図15において、横軸は変調度を示し、縦軸は記録性能(i−MLSE)を示す。実線は常温環境下で光ディスク500へ記録した場合の特性の一例を示し、破線は高温環境下で光ディスク500へ記録した場合の特性の一例を示している。
図15に示されるように、この例では、温度が高い方が、高い変調度で記録性能が最良となる。
【0124】
なお、図13〜図15に示される特性は一例であり、特性は光ディスク500によって異なる。特に、記録パワーと記録性能との関係、および変調度と記録性能との関係に関しては、光ディスク500によっては、温度による変化が少ない、もしくは殆どない場合もある。
【0125】
ROPCでは、アシンメトリ値βを一定に保つように、記録パワーが制御される。図13〜図15に示される特性を持つ光ディスク500への記録においては、最良の記録性能が得られるアシンメトリ値β=約0.05になるように、ROPCにより、記録パワーが制御される。記録時の温度条件が常温から高温へ変化した場合には、記録パワーは、約13.8mWから、14.5mWへ補正される。これに伴い、変調度が大きくなることになる。
【0126】
ここで、変調度が変動すると、記録済領域の再生時の反射光量が変動し、これにより、追記時において、記録済領域の再生時の反射光量と未記録領域への記録時の反射光量とのレベル差が変動し、サーボが不安定になる場合がある。特に、変調度が増加すると、記録済領域の再生時の反射光量が低下し、これにより、記録済領域の再生時の反射光量と未記録領域への記録時の反射光量とのレベル差が拡大し、サーボが外れ易くなる。
【0127】
本実施の形態2は、上記のような記録された信号の変調度の変化に対応するものである。
図16は、本実施の形態における中央制御部200の機能構成の一例を示すブロック図である。図16に示されるように、中央制御部200は、ライトストラテジ補正部255をさらに有する。
【0128】
本実施の形態では、再生特性取得部252は、ライトストラテジ補正部255の処理のために、再生特性として変調度を取得する。
【0129】
ライトストラテジ補正部255は、再生特性取得部252により取得された変調度と、予め定められた変調度の基準値である変調度基準値との差に基づき、光ディスク500への記録に用いられるライトストラテジのうち変調度と関連するパラメータを補正する。変調度と関連するパラメータとは、具体的には、当該パラメータを変更することにより変調度が変化するパラメータである。
【0130】
本例では、ライトストラテジ補正部255は、取得された変調度が変調度基準値よりも大きい場合に、変調度が小さくなるようにライトストラテジパラメータを補正する。
【0131】
具体的には、ライトストラテジ補正部255は、変調度が小さくなるように補正を行う場合、1つのマークを形成するための記録パワーの光の出力時間(パルスの長さ)と関連するパラメータを、当該出力時間が長くなるように補正する。例えば、ライトストラテジ補正部255は、マークを形成するための発光パルスの立ち上がり(記録パワーへの立ち上がり)のタイミングをシフトさせるためのパラメータを、当該立ち上がりのタイミングが早くなるように補正する。
【0132】
ライトストラテジ補正部255は、取得された変調度が変調度基準値よりも小さい場合に、変調度が大きくなるようにライトストラテジパラメータを補正してもよい。この場合、ライトストラテジ補正部255は、マークを形成するための記録パワーの光の出力時間と関連するパラメータを、当該出力時間が短くなるように補正してもよい。例えば、ライトストラテジ補正部255は、マークを形成するための発光パルスの立ち上がり(記録パワーへの立ち上がり)のタイミングをシフトさせるためのパラメータを、当該立ち上がりのタイミングが遅くなるように補正してもよい。
【0133】
また、ライトストラテジ補正部255は、再生特性取得部252により取得された変調度と、予め定められた変調度基準値との差に基づき、変調度が変調度基準値に近づくように、ライトストラテジパラメータを補正してもよい。
【0134】
図17は、本実施の形態における光記録装置の動作の手順(光記録方法の手順)の一例を示すフローチャートである。以下、図17を参照して、光記録装置の動作の手順を説明する。なお、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、図10のステップS10からステップS17までの処理が行われる。図17には、図10のステップS17の後の処理が示されている。
【0135】
図17において、ステップS20からステップS27までの処理は、実施の形態1の図11の処理と同様である。ただし、ステップS25において、後述するステップS28およびS29の処理のために、再生特性として変調度が測定される。
【0136】
本実施の形態では、ステップS26で補正が不要と判断された場合(ステップS26:NO)、およびステップS27の補正処理が行われた後に、光記録装置は、処理をステップS28に進める。
【0137】
ステップS28において、光記録装置は、ステップS25で測定された変調度と、予め設定された変調度基準値との差に基づき、変調度の補正が必要か否かを判断する。具体的には、光記録装置は、両者の差が予め設定された許容量以下である場合には、補正は不要と判断し、両者の差が許容量より大きい場合には、補正が必要であると判断する。
【0138】
補正は不要であると判断された場合(ステップS28:NO)、光記録装置は、ステップS20に戻り、補正が必要であると判断された場合には(ステップS28:YES)、ステップS29に進む。
【0139】
なお、上記の変調度基準値は、例えば次のように設定される。光記録装置は、図10のステップS16での記録パワー調整において、アシンメトリ値だけでなく、変調度も測定しておき、アシンメトリ値がアシンメトリ目標値TBとなる信号の変調度を変調度基準値として設定する。このとき、光記録装置は、当該装置の温度条件を温度センサ(例えばサーミスタ)で取得し、温度条件が常温付近である場合に、変調度基準値として設定するのが望ましい。温度センサを有しない光記録装置については、予め常温で調べられた変調度が変調度基準値として当該装置に設定されてもよい。例えば、光ディスクの固有情報(例えばID)毎に、予め常温で変調度基準値が調べられ、光記録装置の記憶部(例えばROM220)に、光ディスクの固有情報毎に変調度基準値が記録されてもよい。
【0140】
ステップS29において、光記録装置は、ライトストラテジのパルスパラメータを、ステップS25で測定された変調度と、予め設定された変調度基準値との差に応じて補正する。ここで補正されるパラメータは、ライトストラテジパラメータのうち、変調度に影響するパラメータである。
【0141】
具体的には、光記録装置は、測定された変調度と変調度基準値との差が正の場合(測定された変調度が変調度基準値よりも大きい場合)に、ライトストラテジ信号の各パルスの立ち上がり(記録パワーへの立ち上がり)が前方にシフトするように(立ち上がりのタイミングが早くなるように)、ライトストラテジのパルスパラメータを補正する。このとき、光記録装置は、測定された変調度と変調度基準値との差の大きさに基づいてシフト量を決定してもよく、例えば、差が大きいほどシフト量を大きくしてもよい。
【0142】
図18は、ライトストラテジの補正の一例を説明するための図である。図18(a)〜(d)は、それぞれ図4(a)〜(d)に対応する。図18(c)、(d)の破線は、ライトストラテジの補正後のライトストラテジ信号の波形の一例を示す。図18(c)、(d)の例では、各マークに対応するパルスにおいて、スペースパワーPSから記録パワーPWへの立ち上がりと、クーリングパワーPCからスペースパワーPSへの立ち上がりとが前方にシフトしている。具体的には、記録部251によるマークを形成する際のパワーの波形は、当該マークの長さに応じたパターンを有し、当該パターン中に、スペースパワーPS(第2のパワー)から記録パワーPW(第1のパワー)に変わる第1のタイミングと、クーリングパワーPC(第3のパワー)からスペースパワーPSに変わる第2のタイミングとを有する。そして、ライトストラテジ補正部255は、変調度が小さくなるように補正を行う場合、上記第1のタイミングをシフトさせるためのパラメータおよび上記第2のタイミングをシフトさせるためのパラメータを、それぞれ第1のタイミングおよび第2のタイミングが前方にシフトするように補正する。この場合、上記波形に関する他のタイミングについては変更されない。したがって、第1のタイミングが前方にシフトすることにより、そのシフト量だけ、第1のタイミングからクーリングパワーPCの出力タイミングまでの区間が長くなる。図18(c)の例では、上記区間に含まれる記録パワーPWの1以上のパルスのうち、先頭のパルスがシフト量だけ長くなり、他のパルスの長さは変化しない。また、第2のタイミングが前方にシフトすることにより、そのシフト量だけクーリングパワーPCの区間が短くなる。
【0143】
図19は、記録パワーPWへの立ち上がりおよびスペースパワーPSへの立ち上がりを同じシフト量だけシフトさせた場合における、立ち上がりのシフト量と最適記録パワーとの関係を示す図である。図19において、横軸はシフト量を示し、縦軸は最適記録パワーを示す。シフト量について、調整可能な最小単位は1であり、正の数値は前方へのシフトを表し、負の数値は後方へのシフトを表す。図19に示されるように、立ち上がりをシフトさせた場合、最適記録パワー(すなわちアシンメトリ目標値と同等のアシンメトリ値が得られるときの記録パワー)が変化する。
【0144】
一つの態様では、光記録装置は、ステップS29で立ち上がりをシフトさせた場合、当該ステップS29において、立ち上がりのシフト量に応じて、アシンメトリ目標値と同等のアシンメトリ値が得られるように、記録パワーの補正を行う。例えば、光記録装置は、図19に示されるような立ち上がりのシフト量と最適記録パワーとの関係を用いて、記録パワーを補正する。この場合、当該関係は略線形に近似できることから、光記録装置は、当該関係の近似式の傾き係数を用いて、記録パワーの補正量を決定してもよい。
【0145】
別の態様では、光記録装置は、ステップS29では記録パワーの補正を行わず、次回のステップS27において、アシンメトリ目標値と同等のアシンメトリ値が得られるように、記録パワーの補正を行う。
【0146】
上記いずれの態様においても、立ち上がりのシフトに応じて記録パワーが補正され、例えば、立ち上がりを前方にシフトさせた場合には、記録パワーが小さくなる。
【0147】
図20は、記録パワーPWへの立ち上がりおよびスペースパワーPSへの立ち上がりを同じシフト量だけシフトさせた場合における、立ち上がりのシフト量と変調度との関係を示す図である。各々のシフト量において、記録パワーは、アシンメトリ目標値と同等のアシンメトリ値が得られるように最適化されている。具体的には、図20の各シフト量に対応する変調度は、図19に示される最適記録パワーにより得られたものである。図20に示されるように、立ち上がりをシフトさせることにより、変調度が変化する。例えば、立ち上がりを前方にシフトさせた場合には、変調度が小さくなる。光記録装置は、図20に示されるような立ち上がりのシフト量と変調度との関係を用いて、立ち上がりのシフト量(補正量)を決定してもよい。この場合、当該関係は略線形に近似できることから、光記録装置は、当該関係の近似式の傾き係数を用いて、シフト量を決定してもよい。
【0148】
図19および図20に示されるように、立ち上がりを前方にシフトさせる補正を行うことにより、ステップS29または次回のステップS27での記録パワーの補正によって、記録パワーが小さくなり、変調度が小さくなる。
【0149】
なお、一般的に、変調度を大きくした方が、再生信号のSN比は良くなり、良好な記録品質となりやすいことから、光記録装置は、記録された信号の変調度が変調度基準値よりも小さい場合には、変調度が大きくなるようにライトストラテジの補正を行ってもよい。
【0150】
以上説明した本実施の形態2によれば、下記(5)〜(7)の効果が得られ得る。
(5)本実施の形態では、光記録装置は、取得された変調度と、予め定められた変調度基準値との差に基づき、光ディスクへの記録に用いられるライトストラテジのうち変調度と関連するパラメータを補正する。このため、本実施の形態によれば、変調度の変動や増加を抑制し、変調度の変動や増加による記録済領域からの反射光量の変動や低下を抑制することが可能となり、追記時のサーボを安定させることができる。
【0151】
(6)光記録装置は、取得された変調度が変調度基準値よりも大きい場合に、変調度が小さくなるようにライトストラテジパラメータを補正する。本態様によれば、変調度の増加による反射光量の低下を抑えることができ、追記時のサーボを安定させることができる。具体的には、記録される信号の変調度が大きくならないように制御することができ、情報の追記時の記録済領域の再生時における反射光量のレベルが小さくなることを防ぎ、記録済領域の再生動作から未記録領域の記録動作へ移る際の反射光量のレベル差が大きくならないようにすることができ、追記時のサーボを安定に動作させることができる。
【0152】
(7)光記録装置は、変調度が小さくなるように補正を行う場合、マークを形成するための記録パワーの光の出力時間と関連するパラメータを、当該出力時間が長くなるように補正する。本態様によれば、変調度を下げるための補正を簡易に実現することができる。
【0153】
なお、上記の説明では、立ち上がりをシフトさせるためのパラメータを例示したが、ライトストラテジの補正における補正対象のパラメータは、当該パラメータが変更されることにより変調度が変化するようなパラメータであれば、他のパラメータでもよい。この場合、できるかぎり記録品質(ジッターやエラーレート等)への影響が小さいものを選定することが望ましい。
【0154】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0155】
100 光記録装置、 110 プリアンプ、 120 再生信号処理部、 130 記録品質測定部、 140 データデコーダ、 150 再生特性測定部、 160 データエンコーダ、 170 ライトストラテジ制御部、 181 スピンドルモータ、 182 スレッドモータ、 183 サーボ制御部、 190 バッファメモリ、 200 中央制御部、 210 CPU、 220 ROM、 230 RAM、 251 記録部、 252 再生特性取得部、 253 パワー補正部、 254 再生特性目標値補正部、 255 ライトストラテジ補正部、 300 光ヘッド、 310 半導体レーザ、 320 レーザ駆動部、 330 コリメートレンズ、 340 ビームスプリッタ、 350 対物レンズ、 360 検出レンズ、 370 受光素子、 400 上位コントローラ、 500 光ディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光記録媒体にマークを形成するための第1のパワーの光と、前記第1のパワーの光により形成されるマーク間に位置するスペースに対応する第2のパワーの光とを含む2値以上のパワーの光を前記光記録媒体に照射することにより、前記光記録媒体に情報を記録する記録工程と、
前記光記録媒体に対する情報の記録の中断期間において、当該中断期間の前に記録された前記光記録媒体の領域を再生し、再生された信号の再生特性を取得する再生特性取得工程と、
前記取得された再生特性に基づき前記2値以上のパワーのうち少なくとも第1のパワーを補正するパワー補正工程であって、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率が一定である場合と比較して、前記第1のパワーが補正された場合における前記第2のパワーの変動が小さくなるように、パワーの制御を行うパワー補正工程と、
を有することを特徴とする光記録方法。
【請求項2】
前記記録工程では、前記第1のパワーの光と、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率の設定により決定される第2のパワーの光とを照射することにより前記記録を行い、
前記パワー補正工程では、前記比率の設定を一定とする場合と比較して、前記第1のパワーが補正された場合における前記第2のパワーの変動が小さくなるように、前記比率の設定を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光記録方法。
【請求項3】
前記パワー補正工程では、前記第2のパワーが一定または略一定となるように制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の光記録方法。
【請求項4】
前記パワー補正工程では、前記取得された再生特性と、予め定められた再生特性目標値とに基づき、前記第1のパワーの補正を行い、
前記光記録方法は、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率の変化に応じて、前記再生特性目標値を補正する再生特性目標値補正工程をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光記録方法。
【請求項5】
前記再生特性取得工程では、前記再生特性としてアシンメトリ値を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光記録方法。
【請求項6】
前記再生特性取得工程では、前記再生特性として変調度を取得し、
前記光記録方法は、前記取得された変調度と、予め定められた変調度基準値との差に基づき、前記記録に用いられるライトストラテジのうち変調度と関連するパラメータを補正するライトストラテジ補正工程をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光記録方法。
【請求項7】
前記ライトストラテジ補正工程では、前記取得された変調度が前記変調度基準値よりも大きい場合に、前記変調度が小さくなるように前記パラメータを補正することを特徴とする請求項6に記載の光記録方法。
【請求項8】
前記ライトストラテジ補正工程では、前記変調度が小さくなるように補正を行う場合、前記マークを形成するための第1のパワーの光の出力時間と関連するパラメータを、前記出力時間が長くなるように補正することを特徴とする請求項6または7に記載の光記録方法。
【請求項9】
前記2値以上のパワーは、前記第2のパワーよりも低く、前記第2のパワーが出力される直前に出力される第3のパワーをさらに含み、
前記記録工程における前記マークを形成する際のパワーの波形は、前記マークの長さに応じたパターンを有し、
前記パターン中に、前記第2のパワーから前記第1のパワーに変わる第1のタイミングと、前記第3のパワーから前記第2のパワーに変わる第2のタイミングとを有し、
前記ライトストラテジ補正工程では、前記変調度が小さくなるように補正を行う場合、前記第1のタイミングと、前記第2のタイミングが前方にシフトするように補正する、
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の光記録方法。
【請求項10】
光記録媒体にマークを形成するための第1のパワーの光と、前記第1のパワーの光により形成されるマーク間に位置するスペースに対応する第2のパワーの光とを含む2値以上のパワーの光を前記光記録媒体に照射することにより、前記光記録媒体に情報を記録する記録手段と、
前記光記録媒体に対する情報の記録の中断期間において、当該中断期間の前に記録された前記光記録媒体の領域を再生し、再生された信号の再生特性を取得する再生特性取得手段と、
前記取得された再生特性に基づき前記2値以上のパワーのうち少なくとも第1のパワーを補正するパワー補正手段であって、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率が一定である場合と比較して、前記第1のパワーが補正された場合における前記第2のパワーの変動が小さくなるように、パワーの制御を行うパワー補正手段と、
を有することを特徴とする光記録装置。
【請求項11】
前記記録手段は、前記第1のパワーの光と、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率の設定により決定される第2のパワーの光とを照射することにより前記記録を行い、
前記パワー補正手段は、前記比率の設定を一定とする場合と比較して、前記第1のパワーが補正された場合における前記第2のパワーの変動が小さくなるように、前記比率の設定を補正する、
ことを特徴とする請求項10に記載の光記録装置。
【請求項12】
前記パワー補正手段は、前記第2のパワーが一定または略一定となるように制御を行うことを特徴とする請求項10または11に記載の光記録装置。
【請求項13】
前記パワー補正手段は、前記取得された再生特性と、予め定められた再生特性目標値とに基づき、前記第1のパワーの補正を行い、
前記光記録装置は、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率の変化に応じて、前記再生特性目標値を補正する再生特性目標値補正手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の光記録装置。
【請求項14】
前記再生特性取得手段は、前記再生特性としてアシンメトリ値を取得することを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の光記録装置。
【請求項15】
前記再生特性取得手段は、前記再生特性として変調度を取得し、
前記光記録装置は、前記取得された変調度と、予め定められた変調度基準値との差に基づき、前記記録に用いられるライトストラテジのうち変調度と関連するパラメータを補正するライトストラテジ補正手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の光記録装置。
【請求項16】
前記ライトストラテジ補正手段は、前記取得された変調度が前記変調度基準値よりも大きい場合に、前記変調度が小さくなるように前記パラメータを補正することを特徴とする請求項15に記載の光記録装置。
【請求項17】
前記ライトストラテジ補正手段は、前記変調度が小さくなるように補正を行う場合、前記マークを形成するための第1のパワーの光の出力時間と関連するパラメータを、前記出力時間が長くなるように補正することを特徴とする請求項15または16に記載の光記録装置。
【請求項18】
前記2値以上のパワーは、前記第2のパワーよりも低く、前記第2のパワーが出力される直前に出力される第3のパワーをさらに含み、
前記記録手段により前記マークを形成する際のパワーの波形は、前記マークの長さに応じたパターンを有し、
前記パターン中に、前記第2のパワーから前記第1のパワーに変わる第1のタイミングと、前記第3のパワーから前記第2のパワーに変わる第2のタイミングとを有し、
前記ライトストラテジ補正手段は、前記変調度が小さくなるように補正を行う場合、前記第1のタイミングと、前記第2のタイミングが前方にシフトするように補正する、
ことを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載の光記録装置。
【請求項19】
光記録媒体にマークを形成するための第1のパワーの光と、前記第1のパワーの光により形成されるマーク間に位置するスペースに対応する第2のパワーの光とを含む2値以上のパワーの光を前記光記録媒体に照射することにより、前記光記録媒体に情報を記録する光記録装置の制御方法であって、
前記光記録媒体に対する情報の記録の中断期間において、当該中断期間の前に記録された前記光記録媒体の領域を再生して得られる信号の再生特性を取得する再生特性取得工程と、
前記取得された再生特性に基づき前記2値以上のパワーのうち少なくとも第1のパワーを補正するパワー補正工程であって、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率が一定である場合と比較して、前記第1のパワーが補正された場合における前記第2のパワーの変動が小さくなるように、パワーの制御を行うパワー補正工程と、
を有することを特徴とする光記録装置の制御方法。
【請求項20】
光記録媒体にマークを形成するための第1のパワーの光と、前記第1のパワーの光により形成されるマーク間に位置するスペースに対応する第2のパワーの光とを含む2値以上のパワーの光を前記光記録媒体に照射することにより、前記光記録媒体に情報を記録する光記録装置の制御装置であって、
前記光記録媒体に対する情報の記録の中断期間において、当該中断期間の前に記録された前記光記録媒体の領域を再生して得られる信号の再生特性を取得する再生特性取得手段と、
前記取得された再生特性に基づき前記2値以上のパワーのうち少なくとも第1のパワーを補正するパワー補正手段であって、前記第1のパワーと前記第2のパワーとの比率が一定である場合と比較して、前記第1のパワーが補正された場合における前記第2のパワーの変動が小さくなるように、パワーの制御を行うパワー補正手段と、
を有することを特徴とする光記録装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−8413(P2013−8413A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140239(P2011−140239)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】