説明

光通信モジュール

【課題】本体部の上面に受光部又は発光部が設けられた光電変換素子を搭載して、部品数の削減による低価格化及び製造の容易化等を実現することができる光通信モジュールを提供する。
【解決手段】光通信モジュール1は、折り曲げ可能な導電板3に、その一部分を埋め込んで収容体2を樹脂成型し、収容体2から所定距離を隔てて、導電板3の他の部分を埋め込んで蓋体4を樹脂成型すると共に、収容体2内の導電板3に光電変換素子5を実装し、蓋体4にレンズ部42を設け、収容体2及び蓋体4の間の導電板3を折り曲げて、光電変換素子5の発光部又は受光部がレンズ部42に対向するように収容体2及び蓋体4を位置決めして固定する。蓋体4を透光性の合成樹脂で成型し、レンズ部42を一体成型する。蓋体4に筒部43を一体成型し、筒部43に光通信線を嵌合して接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信を行うためのレーザダイオード及び/又はフォトダイオード等の変換素子をパッケージ化した光通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバなどを利用した光通信が広く普及している。光通信は、電気信号をレーザダイオードなどの変換素子にて光信号に変換し、光ファイバを介して光信号を送受信し、受信した光信号をフォトダイオードなどの変換素子が電気信号に変換することによって行われる。このため、レーザダイオード及び/又はフォトダイオード等の変換素子を、場合によっては変換素子を動作させるための周辺回路素子と共に、1つのパッケージとして構成した光通信モジュールが広く用いられている。この光通信モジュールは、OSA(Optical Sub-Assembly)と呼ばれている。近年では、光通信装置及び光通信モジュールに関する種々の発明がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、光信号を送信又は受信する光電素子と、これを固定するためのステムと、光電素子をカバーするためのキャップと、光電素子に電気信号を印加又は光電素子からの電気信号を伝送する複数本のリードとを備え、ステム及びキャップにて構成されるパッケージ内に位置する所定のリードの一端に平面部を設け、この平面部に、一端が光電素子に接続され他端がリードに接続される電気回路部品を設けた構成とすることにより、高周波特性が優れ、小型化できる光−電気変換モジュールが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−167189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、以下の構成の光通信モジュールを発明し、既に出願している(この光通信モジュールを、従来の光通信モジュールという)。図7は、従来の光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。図において101は、従来の光通信モジュールであり、光電変換素子105及びこれが接続される導電板103が透光性の収容体102に収容された構成をなしている。収容体102は、透光性の合成樹脂(透明樹脂)にて樹脂成型されたものであり、平面視が略正方形をなす底部21、この底部21の上面に設けられた周壁22、底部21の下面に突設された筒部123、及び底部21の下面の略中央に設けられたレンズ部124が、一体成形されている。収容体102には、底部21及び周壁22により、光電変換素子105を収容する凹所25が構成される。
【0006】
光通信モジュール101の収容体102には、底部21の上面(凹所25の底面)に、複数の導電板103がその上面を凹所25内に露出させて埋設されており、一の導電板103上に光電変換素子105が実装されている。導電板103には、底部21の下面に設けられたレンズ部124に対応する位置に開口131が形成されており、光電変換素子105は導電板103の開口131上に配される。
【0007】
光電変換素子105は、平面視が略正方形をなす直方体状の本体部151、この本体部151の下面の略中央に設けられた受光部又は発光部(図示は省略する)、本体部151の下面に受光部又は発光部の周囲に設けられた第1端子152、及び、本体部151の上面に設けられた第2端子153を有している。第1端子152及び第2端子153は、光電変換素子105と導電板103との間で電気信号の授受を行うためのものであり、例えばフォトダイオード又はレーザダイオードのアノード端子及びカソード端子などである。光電変換素子105は、第1端子152が半田付けにより導電板103に接続され、第2端子153がワイヤ35を介して接続(ワイヤボンディング)される。なお収容体102の周壁22の上端部には、略正方形の板状をなす蓋体126が固定され、凹所25内が封止される。
【0008】
このような構成の従来の光通信モジュール101は、部品数の削減による低価格化及び製造の容易化等を実現することができる。ただし、この従来の光通信モジュール101は、光電変換素子105として、本体部151の下面(導電板103との接続を行う端子が設けられた面)に受光部又は発光部を設けた構成のものを用いる必要がある。しかし、光電変換素子には上面に受光部又は発光部を設けた構成のものもあり、従来の光通信モジュール101は、このような光電変換素子を用いることはできなかった。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、本体部の上面(導電板との接続端子が設けられた面の反対面)に受光部又は発光部が設けられた光電変換素子を搭載して、部品数の削減による低価格化及び製造の容易化等を実現することができる光通信モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光通信モジュールは、光信号から電気信号へ又は電気信号から光信号への変換を行う変換素子を備える光通信モジュールにおいて、前記変換素子が実装される折り曲げ可能な導電板と、前記導電板の一部分を埋め込んで成型された第1の樹脂成型体と、該第1の樹脂成型体から所定距離を隔てて、前記導電板の他の部分を埋め込んで成型された第2の樹脂成型体と、該第2の樹脂成型体に設けられたレンズ部とを備え、前記変換素子は、前記第1の樹脂成型体に埋め込まれた前記導電板の一部分に実装され、前記第1の樹脂成型体及び前記第2の樹脂成型体は、前記変換素子が前記レンズ部に対向するように、前記導電板を折り曲げて固定されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光通信モジュールは、前記第2の樹脂成型体が、透光性の合成樹脂で成型されており、前記レンズ部は、前記第2の樹脂成型体と一体成型されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光通信モジュールは、前記第1の樹脂成型体が、底部及び該底部を囲む周壁を有し、前記導電板の一部分は、表面の一部又は全部が前記底部に露出するように、前記第1の樹脂成型体に埋め込まれ、前記第2の樹脂成型体は、前記周壁の端部の全周に亘って固定されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光通信モジュールは、前記第1の樹脂成型体が、透光性の合成樹脂で成型されており、前記変換素子は、前記第1の樹脂成型体に埋め込まれていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光通信モジュールは、前記第2の樹脂成型体に一体成型され、光通信線が嵌合される筒部を備え、前記変換素子は、前記レンズ部を通して、前記筒部に嵌合された光通信線との間で光信号の授受を行うようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、折り曲げ可能な導電板に、その一部分を埋め込んで第1の樹脂成型体を設けると共に、所定距離を隔てて、導電板の他の部分を埋め込んで第2の樹脂成型体を設ける。電気信号及び光信号の変換を行う変換素子は、第1の樹脂成型体に埋め込まれた導電板の一部分に実装する。また第2の樹脂成型体には、レンズ部を設ける。
これにより第1の樹脂成型体及び第2の樹脂成型体は、導電板を介して接続された状態となるため、導電板を折り曲げて第1の樹脂成型体及び第2の樹脂成型体を固定する。この際に、第1の樹脂成型体に埋め込まれた導電体に実装された変換素子が、第2の樹脂成型体に設けられたレンズ部に対向するように、第1の樹脂成型体及び第2の樹脂成型体の位置決めを行う。
このように変換素子が設けられる部分とレンズ部が設けられる部分とを別の樹脂成型体とすることによって、受光部又は発光部が下面に設けられた変換素子のみでなく、受光部又は発光部が上面に設けられた変換素子であっても、光通信モジュールに搭載することができる。また2つの樹脂成型体は導電板を介して接続されているため、導電板を折り曲げて2つの樹脂成型体を接着又は溶着等の方法で容易に固定することができる。
【0016】
また、本発明においては、第2の樹脂成型体を透光性の合成樹脂で成型し、これにレンズ部を一体成型する。これにより、光通信モジュールの部品点数を削減でき、光通信モジュールの製造を容易化することができる。
【0017】
また、本発明においては、第1の樹脂成型体は底部及びこれを囲む周壁を有する構成とし、底部に表面の一部又は全部が露出するように導電板の一部分を埋め込む。これにより、第1の樹脂成型体に底部及び周壁で囲まれた凹所を設け、この凹所内に変換素子を収容することができる。また第2の樹脂成型体は、周壁の端部の全周に亘って固定する。これにより、変換素子が収容された凹所が封止される。
【0018】
また、本発明においては、第1の樹脂成型体を透光性の合成樹脂で成型すると共に、導電板及びこれに実装された変換素子を第1の樹脂成型体に埋め込む。これにより、変換素子の封止を容易に行うことができ、変換素子は透光性の合成樹脂を通して光信号の授受を行うことができる。
【0019】
また、本発明においては、第2の樹脂成型体に筒部を一体成型し、この筒部に光ファイバなどの光通信線を嵌合して接続する構成とする。変換素子は、第2の樹脂成型体に設けられたレンズ部を通して、筒部に嵌合された光通信線との間で光信号の授受を行う。これにより、光通信モジュールに対する光通信線の位置決めが容易化されると共に、光通信モジュールの部品点数を削減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による場合は、導電板を介して第1の樹脂成型体及び第2の樹脂成型体が導電板を介して接続される。第1の樹脂成型体に埋め込まれた導電板の一部分に光電変換素子を実装し、第2の樹脂成型体に設けられたレンズ部が光電変換素子に対向するように、導電板を折り曲げて第1の樹脂成型体及び第2の樹脂成型体を位置決めして固定する。この構成によって、受光部又は発光部が上面に設けられた変換素子を搭載することができると共に、部品点数が少なく製造が容易な光通信モジュールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。
【図3】光電変換素子の構成を示す平面図である。
【図4】光通信モジュールの導電板の構成を示す模式的平面図である。
【図5】変形例1に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。
【図6】変形例2に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。
【図7】従来の光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1及び図2は、本発明に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。図において1は、フォトダイオード又はレーザダイオード等の光電変換素子5をパッケージ化した光通信モジュールである。光通信モジュール1は、光ファイバなどの光通信線(図示は省略する)が連結され、この光通信線を介して他の光通信装置との間で光信号の送受信を行い、光信号と電気信号との間の変換を行うための部品である。
【0023】
光通信モジュール1は、透光性の収容体2に光電変換素子5が収容され、蓋体4によって封止された構成をなしている。収容体2は、平面視が略正方形をなす底部21と、この底部21の一側の面(図1において上面)の周囲に設けられた周壁22とを有しており、底部21及び周壁22によって光電変換素子5などを収容するための凹所25が構成されている。収容体2は、透光性の合成樹脂により、底部21及び周壁22を一体成型したものであり、一体成型を行う際に複数の金属製の導電板3が埋め込まれる。導電板3は、その上面が凹所25内に露出するように、収容体2の底部21に埋設されており、導電板3の露出部分に光電変換素子5が実装されている。導電板3は、光電変換素子5と外部との間で電気信号の送受信を行うためのものであり、換言すれば、光通信モジュール1を用いた光通信の回路において、回路の構成要素をなす電気部品を接続する配線に相当するものである。
【0024】
図3は、光電変換素子5の構成を示す平面図である。なお、図3Aには光電変換素子5の上面の構成を示し、図3Bには下面の構成を示してある。光電変換素子5は、平面視が略正方形をなす扁平な直方体状の本体部51を有している。本体部51の下面には、その四隅に第1端子52がそれぞれ設けられている。4つの第1端子52は、導電板3に半田付けされる。また本体部51の上面には、略中央に発光部又は受光部54が設けられると共に、1つの第2端子53が設けられている。第2端子53は、ワイヤボンディングによりワイヤ35を介して導電板3に接続される。第1端子52及び第2端子53は、光電変換に係る電気信号の授受を行うための端子であり、例えばフォトダイオード又はレーザダイオードのアノード端子及びカソード端子などである。
【0025】
また、光通信モジュール1の蓋体4は、平面視が底部21と略同じ略正方形をなすベース部41を有している。ベース部41の一側の面(図1において下側の面、図2において上側の面であるが、以下では下面という)の略中央に、レンズ部42が設けられている。またベース部41の反対側の面(以下では上面という)には、光通信線を連結するための円筒状の筒部43が上方へ突設されている。蓋体4は、透光性の合成樹脂により、ベース部41、レンズ部42及び筒部43を一体成型したものであり、一体成型を行う際に複数の導電板3が埋め込まれる。
【0026】
蓋体4に埋め込まれる導電板3は、収容体2に埋め込まれる導電板3と同じものである。詳しくは、導電板3は収容体2及び蓋体4の一辺の長さの2倍以上の長さを有する板体(複数の板の集合体)であり、導電板3の長手方向の一端部分が収容体2内に埋め込まれ、収容体2から所定距離を隔てて導電板3の中途部分が蓋体4に埋め込まれている。即ち、収容体2及び蓋体4は、導電板3を介して連なっている。
【0027】
図4は、光通信モジュール1の導電板3の構成を示す模式的平面図であり、導電板3の上面視の形状に収容体2、蓋体4及びレンズ部42の外形を一点鎖線で重ねて示したものである。図示の例では、光通信モジュールは3つの導電板3a〜3cを有している。第1の導電板3aは、一端に設けられた略正方形の部分と、この部分から延出する細長の略長方形の部分とを有しており、略長方形の部分にはその途中をU字状に屈曲させた部分を設けてある。第2の導電板3bは、細長の略長方形をなしており、その途中をU字状に屈曲させた部分を設けてある。また第3の導電板3cは、その一端を第1の導電板3aの略正方形の部分を囲むように屈曲させた部分と、この部分から延出する細長の略長方形の部分とを有しており、略長方形の部分にはその途中をU字状に屈曲させた部分を設けてある。
【0028】
光通信モジュール1の収容体2には、第1の導電板3aの略正方形の部分及びこれから延出する略長方形の部分の一部と、第2の導電板3bの一端部分と、第3の導電板3cの一端の屈曲させた部分及びこれから延出する略長方形の部分の一部とが埋め込まれている。収容体2の一側面からは第1〜第3の導電板3a〜3cの略長方形の部分がそれぞれ延出して外部に露出し、収容体2及び蓋体4の間には第1〜第3の導電板3a〜3cが略平行に配される。
【0029】
また光通信モジュール1の蓋体4には、第1〜第3の導電板3a〜3cのU字状に屈曲させた部分を含む細長の略長方形の部分の中途部分が埋め込まれている。第1〜第3の導電板3a〜3cのU字状に屈曲させた部分は、(平面視において)蓋体4に設けられたレンズ部42に重ならないように、レンズ部42の配設位置を迂回させた迂回部分31である。蓋体4は、一側面から第1〜第3の導電板3a〜3cが延出して収容体2と接続されており、この反対側の側面からも第1〜第3の導電板3a〜3cの他端部が略平行に延出している。
【0030】
第1の導電板3aは、一端の略正方形の部分に第1端子52が半田付けされることによって、光電変換素子5が実装される。第2の導電板3aは、その一端部分に、光電変換素子5の上面に設けられた第2端子53がワイヤ35を介して接続される。第3の導電板3cは、例えば接地電位に接続されて、光通信モジュール1をシールドするために用いられる。また第1〜第3の導電板3a〜3cの蓋体4の反対面から延出した部分は、光通信モジュール1を例えば通信装置の回路基板に接続するための端子として用いられる。
【0031】
導電板3(第1〜第3の導電板3a〜3c)は、例えば薄い金属板であり、折り曲げることが可能である。光通信モジュール1の製造工程においては、折り曲げられていない導電板3の一端を、収容体2を成型するための金型内に配置すると共に、導電板3の中途部分を、蓋体4を成型するための金型内に配置し、各金型に透光性の合成樹脂を流し込んで硬化させることにより、収容体2及び蓋体4の成型を行う。この状態では、図2に示すように、収容体2及び蓋体4が所定距離を隔てて導電板3を介して接続されている。
【0032】
次いで、収容体2及び蓋体4の間の導電板3を折り曲げ、収容体2の凹所25内に実装された光電変換素子5と蓋体4に設けられたレンズ部42とが対向するように、収容体2の周壁22の上端面と蓋体4の下面とを当接させた状態で、例えば接着又は溶着等の方法により収容体2及び蓋体4を固定する。このときに、光電変換素子5の発光部又は受光部54の中心と、レンズ部42の中心とが略一致するように、収容体2及び蓋体4の位置決めを行う。
【0033】
その後、光通信モジュール1は、蓋体4の側面から延出する導電板3の端部を接続端子として、光通信装置の回路基板などに接続して固定される。また光通信モジュール1の蓋体4に突設された筒部43には、光ファイバなどの光通信線が挿入して嵌合される。これにより光通信モジュール1は、収容体2に収容された光電変換素子5が、レンズ部42を通して、筒部43に嵌合された光通信線との間で光信号の授受を行うことができると共に、導電板3を介して光通信装置の回路基板などに構成された通信回路との間で電気信号の授受を行うことができる。
【0034】
以上の構成の光通信モジュール1は、折り曲げ可能な導電板3に、その一部分を埋め込んで収容体2を樹脂成型し、収容体2から所定距離を隔てて、導電板3の他の部分を埋め込んで蓋体4を樹脂成型すると共に、収容体2内の導電板3に光電変換素子5を実装し、蓋体4にレンズ部42を設け、収容体2及び蓋体4の間の導電板3を折り曲げて、光電変換素子4の発光部又は受光部54がレンズ部42に対向するように収容体2及び蓋体4を位置決めして固定する構成である。このように、光電変換素子5が設けられる収容体2と、レンズ部42が設けられる蓋体4とを別の樹脂成型体とすることによって、発光部又は受光部54が上面(導電板3との接続を行う第1端子52が設けられた面の反対面)に設けられた光電変換素子5を用いた光通信モジュール1を実現することができる。またこの構成では、2つの樹脂成型体である収容体2及び蓋体4が導電板3を介して接続されているため、導電板3を折り曲げて2つの樹脂成型体を接着又は溶着等の方法で固定することで、容易に光通信モジュールの製造を行うことができる。
【0035】
また、蓋体4を透光性の合成樹脂で成型し、レンズ部42を一体成型する構成とすることにより、光通信モジュール1の部品点数を削減でき、光通信モジュール1の製造を容易化することができる。また、蓋体4に筒部43を一体成型し、筒部43に光通信線を嵌合して接続する構成とすることにより、光通信モジュール1に対する光通信線の位置決めが容易化されると共に、光通信モジュール1の部品点数を削減することができる。
【0036】
また、収容体2の底部21及び周壁22で囲まれた凹所25に光電変換素子5を収容し、底部21に露出した導電板3に光電変換素子5を実装すると共に、周壁22の上端面の全周に亘って蓋体4を固定する構成とすることにより、光電変換素子5を容易且つ確実に封止することができる。
【0037】
なお本実施の形態において図示した収容体2、導電板3、蓋体4及び光電変換素子5の形状及び構成等は一例であって、これに限るものではない。また光通信モジュール1は、収容体2を透光性の合成樹脂にて成型する構成としたが、これに限るものではなく、収容体2を非透光性の合成樹脂にて成型してもよい。また蓋体4に筒部43を一体成型する構成としたが、これに限るものではなく、筒部43を別体で製造して接着又は溶着などの方法で蓋体4に固定する構成であってもよく、光通信モジュール1が筒部43を備えない構成であってもよい。また光通信モジュール1は、導電板3として3つの導電板3a〜3cを有する構成としたが、これに限るものではなく、2つ以下又は4つ以上の導電板を有する構成であってもよい。また光電変換素子5の第1端子52の個数及び配置等は図3Bに示したものに限らない。光電変換素子5が1つの第2端子53を有する構成としたが、これに限るものではなく、2つ以上の第2端子を有する構成であってもよい。また第2端子53の配置は、図3Aに示したものに限らない。
【0038】
(変形例1)
図5は、変形例1に係る光通信モジュール201の構成を示す模式的断面図である。変形例1に係る光通信モジュール201は、収容体202及び蓋体204を非透光性の合成樹脂で成型した構成である。このため、レンズ部260は蓋体204とは別体で製造され、光通信モジュール201の製造工程にてレンズ部260が蓋体204に取り付けられる。
【0039】
レンズ部260は合成樹脂又はガラス等にて製造され、略円柱形をなし、その一端面又は両端面にレンズ面が形成されている。蓋体204のベース部41には、平面視の略中央に、略円形の貫通孔242が形成されており、この貫通孔242を囲むようにベース部41の上面に筒部43が突設されている。レンズ部260は、ベース部41の貫通孔242に挿入され、接着又は溶着等の方法で固定される。
【0040】
このように、光通信モジュール201のレンズ部260は蓋体204と別体であってよく、また蓋体204を非透光性の合成樹脂で成型してもよい。
【0041】
(変形例2)
図6は、変形例2に係る光通信モジュール301の構成を示す模式的断面図である。変形例2に係る光通信モジュール301は、蓋体4の構成は図1に示したものと同じであるが、収容体302の構成が図1に示した収容体2とは異なる。変形例2に係る光通信モジュール301の収容体302は、平面視が略正方形をなす扁平な直方体形のベース部321内に、導電板3の端部及びこれに実装された光電変換素子5が埋め込まれている(樹脂封止されている)。またベース部321の上面には周壁322が設けられており、周壁322の上端面に蓋体4が接着又は溶着などの方法で固定される。
【0042】
変形例2に係る光通信モジュール301の製造工程では、導電板3に対する光電変換素子5の実装を行った後、導電板3及び光電変換素子5を金型内に収容して収容体302及び蓋体4の樹脂成型を行う。その後、収容体302及び蓋体4の間の導電板3を折り曲げ、収容体302内の光電変換素子5と蓋体4に設けられたレンズ部42とが対向するように、収容体302の周壁322の上端面と蓋体4の下面とを当接させた状態で、例えば接着又は溶着等の方法により収容体302及び蓋体4を固定する。光電変換素子5は、透光性のベース部321及びレンズ部42を通して、筒部43に嵌合された光通信線との間で光信号の授受を行うことができる。
【0043】
このように、光通信モジュール301の光電変換素子5を、収容体302の樹脂成型の際に封止する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 光通信モジュール
2 収容体(第1の樹脂成型体)
3、3a、3b、3c 導電板
4 蓋体(第2の樹脂成型体)
5 光電変換素子(変換素子)
21 底部
22 周壁
25 凹所
35 ワイヤ
41 ベース部
42 レンズ部
43 筒部
51 本体部
52 第1端子
53 第2端子
54 発光部又は受光部
201 光通信モジュール
202 収容体
204 蓋体
242 貫通孔
260 レンズ部
301 光通信モジュール
302 収容体
321 ベース部
322 周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号から電気信号へ又は電気信号から光信号への変換を行う変換素子を備える光通信モジュールにおいて、
前記変換素子が実装される折り曲げ可能な導電板と、
前記導電板の一部分を埋め込んで成型された第1の樹脂成型体と、
該第1の樹脂成型体から所定距離を隔てて、前記導電板の他の部分を埋め込んで成型された第2の樹脂成型体と、
該第2の樹脂成型体に設けられたレンズ部と
を備え、
前記変換素子は、前記第1の樹脂成型体に埋め込まれた前記導電板の一部分に実装され、
前記第1の樹脂成型体及び前記第2の樹脂成型体は、前記変換素子が前記レンズ部に対向するように、前記導電板を折り曲げて固定されていること
を特徴とする光通信モジュール。
【請求項2】
前記第2の樹脂成型体は、透光性の合成樹脂で成型されており、
前記レンズ部は、前記第2の樹脂成型体と一体成型されていること
を特徴とする請求項1に記載の光通信モジュール。
【請求項3】
前記第1の樹脂成型体は、底部及び該底部を囲む周壁を有し、
前記導電板の一部分は、表面の一部又は全部が前記底部に露出するように、前記第1の樹脂成型体に埋め込まれ、
前記第2の樹脂成型体は、前記周壁の端部の全周に亘って固定されていること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光通信モジュール。
【請求項4】
前記第1の樹脂成型体は、透光性の合成樹脂で成型されており、
前記変換素子は、前記第1の樹脂成型体に埋め込まれていること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光通信モジュール。
【請求項5】
前記第2の樹脂成型体に一体成型され、光通信線が嵌合される筒部を備え、
前記変換素子は、前記レンズ部を通して、前記筒部に嵌合された光通信線との間で光信号の授受を行うようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の光通信モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−98431(P2013−98431A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241622(P2011−241622)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】