説明

光重合性平版印刷版の製版方法

【課題】 レーザーダイレクト製版において、フレアー等を生じず、鮮明な画像を得ることができ、かつ高い耐刷性を有する光重合性印刷版の製版方法を提供する。
【解決手段】 (a)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物と、(b)光重合開始剤系と、(c)光重合開始基を有するポリマー、及び(d)バインダーとを、含有する感光層を有する光重合性平版印刷版をレーザー露光装置により一定の露光量で画像露光し、現像を行った後、前記露光量の少なくとも100倍の露光量で全面露光を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光重合性平版印刷版の製版方法に関する。特に、Ar+ 、YAG−SHG等のレーザー光を用いて画像露光を行なう光重合性平版印刷版の製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ネガ型平版印刷版は広く知られており、このようなネガ型平版印刷版にはジアゾ樹脂含有型、光重合型、光架橋型等種々の感光層が使用されている。このような平版印刷版を作成するには、これらの平版印刷版上に透明のネガフィルム原稿( リスフィルム) をのせ、紫外線を用いて画像露光するのが一般的であるが、作業に非常に手間暇がかかっていた。近年、画像形成技術の発展に伴い、可視領域の光線に対し高い感光性を有するフォトポリマーが要請されている。それは、例えば非接触型の投影露光製版や可視光レーザー製版等に適合した感光材料であり、光重合系が最も高感度である。該可視光レーザーとしてはArレーザーの488、514.5nm光、半導体レーザーの第2高調波光(SHG−LD、350〜600nm)、SHG−YAGレーザーの532nm光などが使用されている。
【0003】そこで感光層にある種の高感度な光重合性感光層を用いることで、細くビームを絞ったレーザー光をその版面上に走査させ、文字原稿、画像原稿などを直接版画上に形成させ、フィルム原稿を用いず直接製版が可能となる。例えば、特公昭61−9621号、特開昭63−178105号、特開平2−244050号公報等に記載の感光性組成物の使用により、フィルム原稿を用いず直接製版が可能である。しかしながら、従来の光重合性印刷版では硬化度が不十分なため、高速で大部数の印刷に使用すると、ベタ画像が抜けたり、細線やハイライト部が細ったり、飛んだりするという不具合が生じる。また、十分な硬化度を得るためにレーザー光の強度をあげるといわゆるフレアーと呼ばれる現象が起こり面像が不鮮明になる。これはレーザー光の強度をあげたことにより空気中のゴミ等によるレーザー光の散乱が起こるためと考えられる。従って、鮮明な画像露光を行うことができると共に、十分な硬化度が得られる光重合性平版印刷版またはその製版方法の開発が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、レーザーダイレクト製版において、フレアー等を生じず、鮮明な画像を得ることができ、かつ高い耐刷性を有する光重合性印刷版の製版方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成すべく、鋭意研究の結果、以下の感材と製版方法により光重合性平版印刷版を製造することにより、鮮明な画像を得ることができ、かつ高い耐刷性を有する光重合性平版印刷版が得られることを見出した。すなわち、上記目的は下記の手段により達成できる。
(1)(a)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物と、(b)光重合開始剤系と、(c)光重合開始基を有するポリマー、及び(d)バインダーとを、含有する感光層を有する光重合性平版印刷版をレーザー露光装置により一定の露光量で画像露光し、現像を行った後、前記露光量の少なくとも100倍の露光量で全面露光を行うことを特徴とする光重合性平版印刷版の製版方法。
(2)前記全面露光時、版面温度を30〜150℃に加熱することを特徴とする前記(1)記載の製版方法である。
【0006】本発明の方法によると、光重合性平版印刷版をレーザー露光装置により画像露光する際に低露光量で行うことができ、フレアー等の散乱による解像度低下を防いで鮮明な画像を得ることができる。次にこのようにして得られた平版印刷版を現像して非画像部を除去した後、前記画像露光量に対して少なくとも100倍の露光量で全面露光を行うことにより、前記画像露光量では不十分であった画像部の硬化度を高めることができる。このような製版方法により、鮮明な画像を得ることができ、かつ高い耐刷性を有する光重合性平版印刷版を得ることができる。また、上記現像後の全面露光時にさらに加熱を行うことにより、より高い耐刷性を有する光重合性平版印刷版が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明の方法について詳細に説明する。支持体の表面上に、(a)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、(b)光重合開始剤系、(c)光重合開始基を有するポリマー、及び(d)バインダーを含む感光層を設け、レーザー露光装置により一定の露光量で画像露光し、現像を行なった後、任意に不感脂化処理等の後処理を行う。前記後処理の後又は前に前記画像露光量の少なくとも100倍の露光量で全面露光を行うことにより、驚くべきことに鮮明な画像を有し、かつ高い耐刷力を有する光重合性平版印刷版を得ることができた。このような結果が得られた理由は次のように推定している。すなわち、レーザー画像露光(及び加熱)した画像部は、必ずしも完全に硬化したわけではなく、現像液の浸透により、開始剤等の成分の一部が溶出する。このため、現像後の全面露光の際の効果を減じる恐れがある。これに対し、(c)のようなポリマーは、現像の際、現像液中に溶出しにくいため、感光層に含有させることにより、現像後の画像中にその多くが残存すると考えられる。このため、このようなポリマーを添加することは現像後の全面露光による画像強度向上の効果が大きい。
【0008】全面露光時の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、各種レーザー光などが挙げられる。現像前の画像露光時の露光量と全面露光時の露光量との比は、少なくとも1;100であり、より好ましくは1:500である。さらに、十分な耐刷性を得るためには全面露光量としては少なくとも100mJ/cm2以上が好ましく、より好ましくは150mJ/cm2以上であり、更に好ましくは、200mJ/cm2以上である。上記全面露光時に同時に加熱を行ってもよく、加熱を行うことによりさらに耐刷性の向上が認められる。加熱装置としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。このとき版面温度は30℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは、35〜130℃であり、更に好ましくは、40〜120℃である。
【0009】画像露光時の光源としては、前記光重合開始系に対して活性な電磁波であり、具体的には、可視領域もしくは紫外〜可視領域の波長の光源、即ち波長が310〜700nm、より好ましくは350〜550nmの範囲の紫外−可視光線を発する光源が用いられる。例えば、アルゴンレーザー光、FD−YAGレーザー光、へリウム−ネオンレーザー光が挙げられる。画像露光時の露光量は、フレアーが生じず高い解像度を与える範囲の露光量を、用いる光重合性組成物の成分及びその他の条件等により、適宜還択して用いることができる。適する画像露光量としては、0.01mJ/cm2〜1mJ/cm2であり、より好ましくは0.02mJ/cm2〜0.5mJ/cm2である。
【0010】〔(a)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物〕光重合性平版印刷版の感光層に含まれる成分のうち、(a)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができる。例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはこれらの混合物ならびにこれらの共重合体などの化学的形態をもつものである。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等があげられる。
【0011】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0012】メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
【0013】クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある、さらに、前述のエステルモノマーの混合物もあげることができる。
【0014】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(a−a)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等があげられる。
CH2 =C(Q1)COOCH3CH(Q2)OH (a−a)
(ただし、Q1 およびQ2 は独立してHあるいはCH3 を示す。)
【0015】また、特開昭51−37193号に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。さらに曰本接着協会誌Vol .20、No. 7、300〜308ぺージ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。なお、これらの使用量は、全成分に対して5〜70重量%(以下%と略称する。)、好ましくは10〜50%である。
【0016】〔(B)光重合開始剤系〕成分(B)光重合開始剤系としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光開始剤、あるいは2種以上の光開始剤の併用系(光開始系)を適宣選択して使用することができる。例えば400nm付近の光を光源として用いる場合、ベンジル、ベンゾインエーテル、ミヒラーズケトン、アントラキノン、チオキサントン、アクリジン、フェナジン、ベンゾフェノン等が広く使用されている。また、400nm以上の可視光線、Arレーザー、半導体レーザーの第2高調波、SHG−YAGレーザーを光源とする場合にも、種々の光開始系が提案されており、例えば、米国特許第2,850,445号に記載の、ある種の光還元性染料、例えばローズベンガル、エオシン、エリスロシンなど、あるいは、染料と関始剤との組み合わせによる系、例えば、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−1504号、特開昭59−140203号、特開昭59−189340号、特開昭62−174203号、特公昭62−1041号、米国特許第4,766,055号)、染料と活性ハロゲン化合物の系(特開昭63−178105号、特開昭63−258903号、特開平2−63054号など)、染料とボレート化合物の系(特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開昭64−13140号、特開昭64−13141号、特開昭64−13142号、特開昭64−13143号、特開昭64−13144号、特開昭64−17048号、特開平1 −229003号、特開平1−298348号、特開平1−138204号など)、ローダニン環を有する色素とラジカル発生剤の系(特開平2−179643号、特開平2−244050号)、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63−221110号)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(特開平4−221958号、特開平4−219756号)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6−295061号)、チタノセンとベンゾピラン環を有する色素の系(特願平7−164583号)等をあげることができる。
【0017】好ましい光重合開始剤系としては、トリハロメチルトリアジン化合物及びチタノセン化合物からなる群から選択される少なくとも一層の化合物を含む光重合開始剤系、及び一般式(I)、(II)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む光重合開始剤系が挙げられる。より好ましい光重合開始剤系としては一般式(I)、(II)で示される色素とトリハロメチルトリアジン化合物および/またはチタノセン化合物の組み合わせを含むものが挙げられる。更に、増感剤として式(A)、(B)、(C)の化合物を含んでもよい。トリハロメチルトリアジン化合物の例としては、下記一般式(III )で示される化合物を挙げることができる。
【0018】
【化1】


【0019】(式中、Hal はハロゲン原子を表わす。Y2 は−C(Hal)3 、−NH2 、−NHR 21、−NR212 、−OR21を表わす。ここでR21はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表わす。またR20は−C(Hal)3 、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基を表わす。)で表わされる化合物。具体的には、若林ら著、Bull. Chem. Soc. Japan, 42、2924(1969)記載の化合物、たとえば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2′,4′−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許第1388492号明細書記載の化合物、たとえば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、たとえば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル〕−4,6 −ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号明細書記載の化合物、たとえば下記の化合物を挙げることができる。
【0020】
【化2】


【0021】
【化3】


【0022】また、F. C. Schaefer等によるJ. Org. Chem.; 29、1527(1964)記載の化合物、たとえば2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,8−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。さらに特開昭62−58241号記載の化合物、たとえば下記の化合物を挙げることができる。
【0023】
【化4】


【0024】
【化5】


【0025】更に特開平5−281728号記載の化合物、例えば
【0026】
【化6】


【0027】等をあげることができる。チタノセン化合物としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号公報に記載されている公知の化合物を適宜に選択して用いることができる。
【0028】更に具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル(以下A−1と記す)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル(以下A−2と記す)、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム(以下A−3と記す)等を挙げることができる。
【0029】(b)光重合開始剤系において使用される−般式(I)又は(II)で表される化合物は以下の化合物である。
【0030】
【化7】


【0031】(式中R1 およびR2 は各々独立して水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アルコキシカルボニル基、アリール基、置換アリール基またはアラルキル基を表わす。Aは酸素原子、イオウ原子、セレン原子、テルル原子、アルキルないしはアリール置換された窒素原子、またはジアルキル置換された炭素原子を表わす。Xは含窒素ヘテロ五員環を形成するのに必要な非金属原子群を表わす。Yは置換フェニル基、無置換ないしは置換された多核芳香環、または無置換ないしは置換されたヘテロ芳香環を表わす。Zは水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、置換アミノ基、アシル基、またはアルコキシカルボニル基を表わし、Yと互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0032】
【化8】


【0033】(式中、R3 〜R5 はお互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基またはアミノ基を表す。また、R3 〜R5はそれらが各々結合できる炭素原子と共に非金属原子から成る環を形成していても良い。R7 は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ芳香族基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシ基またはアルケニル基を表す。R5 は、R7 で表される基または−Z−R7 であり、Zはカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基またはアリーレンジカルボニル基を表す。またR7 およびR8 は共に非金属原子から成る環を形成しても良い。AはO、S、NHまたは置換基を有する窒素原子を表す。Bは、基
【0034】
【化9】


【0035】であり、G1 、G2 は同一でも異なっていても良く、水素原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはフルオロスルホニル基を表す。但しG1 とG2 は同時に水素原子となることはない。またG1 およびG2 は炭素原子と共に非金属原子から成る還を形成していても良い。)
一般式(I)又は(II)で表される化合物としては、例えば、特開平8−129257号公報、特開平8−334897号公報に記載される化合物が挙げられる。一般式(I)で表される化合物としては、例えば下記の化学式の化合物が挙げられる。
【0036】
【化10】


【0037】上記R1 の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、トリデシル基、へキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、フェノキシエチル基、アリロキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、モルフォリノエチル基、モルフォリノプロピル基、スルホプロピル基、スルホナトプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルプロピル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−エチルアミノカルバモイルメチル基、N−フェニルカルバモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルブチル基、p−トルエンスルホニルアミノプロピル基、ベンゾイルアミノヘキシル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、p−ホスホノベンジルアミノカルボニルエチル基、ホスファナトメチル基、ホスファナトプロピル基、ホスファナトブチル基、p−ホスファナトベンジルアミノカルボニルエチル基を挙げることができる。
【0038】次に上記R2 の例を以下に示す。R2 は−R23−C(R24)=C(R25)(R26)、ならびに−R27−C≡C−R28で表される、置換又は無置換のアルケニルアルキル基、アルキニルアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基である。ここでR23ならびにR27は共有結合もしくは、炭素原子数1〜20までの直鎖状、分岐状ならびに環状のアルキレン基を表し、より好ましくは共有結合、もしくは炭素原子数1〜6までの直鎖状、炭素原子数2〜8までの分岐状、ならびに炭素原子数5〜10までの環状のアルキレン基を表す。R23、R24、R25、R26としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基ならびに置換アリール基を表す。R23、R24、R25、R26のより好ましい置換基としては、水素原子、ハロゲン原子ならびに炭素原子数1〜10までの直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を挙げることができる。Ra の好ましい具体例としては、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、2−オクテニル基、7−オクテニル基、1−メチルプロペニル基、1,1−ジメチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基、2−エチルプロペニル基、3,3−ジメチルプロペニル基、2−シクロヘキセニル基、ゲラニル基(7,7,3,3−テトラメチル−2,6−ヘプタジエニル基)、シトロネニル基(7,7,3−トリメチル−5−ヘプテニル基)、2−クロロ−2−プロペニル基、3−クロロ−2−プロペニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基、1,1−ジメチルプロピニル基、1,1−ジエチルプロピニル基、4,4−ジメチル−2−ブチニル基、ビニル基、クロロエチニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、スチリル基、エチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。Ra の最も好ましい例としては、アリル基、2−プロピニル基、ビニル基、エチニル基をあげることができる。次にR9 、R10、R11及びR12の好ましい具体例を以下に示す。
【0039】
【表1】


【0040】
【表2】


【0041】
【化11】


【0042】次にR13、R14、R15、R16、R17及びR18の好ましい具体例を以下に示す。
【0043】
【表3】


【0044】
【表4】


【0045】
【表5】


【0046】上記(a−1)〜(а−65)で示される部分骨格(a)と上記(b−1)〜(b−72)で示される部分骨格(b)とを順次組み合わせて一般式(I)で表される化合物を構成することができる(R1 及びR2 は上述した基から任意に選択することができる。)。さらに一般式(I)で表される化合物として好ましい具体例を以下に挙げる。
【0047】
【表6】


【0048】
【表7】


【0049】
【表8】


【0050】
【表9】


【0051】
【化12】


【0052】一般式(II)で表される化合物としては以下の化合物が挙げられる。なお、本発明の組成物中のこれらの光重合開始剤系の含有濃度は通常わずかなものである。また、不適当に多い場合には有効光線の遮断等好ましくない結果を生じる。本発明における光重合開始剤系の量は、光重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と必要に応じて添加される線状有機高分子重合体との合計に対して0.01重量%から70重量%の範囲で使用するのが好ましい。より好ましくは、1重量%から50重量%で良好な結果を得る。
【0053】
【化13】


【0054】
【化14】


【0055】
【化15】


【0056】
【化16】


【0057】
【化17】


【0058】
【化18】


【0059】
【化19】


【0060】
【化20】


【0061】
【化21】


【0062】本発明に用いる前記光重合開始剤系の増感剤である式(A)〜(C)の化合物の具体例としては、下記のものを挙げることができる。
【0063】
【化22】


【0064】ここでArは下記の一般式の一つから選ばれた芳香族基を示し、R3 、R4 は水素原子またはアルキル基を表し、また、R3 、R4 は互いに結合してアルキレン基を表してもよい。
【0065】
【化23】


【0066】ただし式中、R5 〜R9 は互いに同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、置換アリール基、水酸基、アルコキシ基、−S−R11基、−SO−R11基、−SO2 −R11基を表すが、但しR5 〜R9 の少なくとも一つは−S−R11基または−SO−R11基を表し、R11はアルキル基、アルケニル基、R10は水素原子、アルキル基またはアシル基を表す。
【0067】
【化24】


【0068】(ハ)下記一般式(B)で示されるケトオキシム化合物
【0069】
【化25】


【0070】式中、R12、R13は同一または異なり、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、或いは、ヘテロ環基を表す。R14、R15は同一または異なり、水素原子、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基を表わす。また、R14、R15は互いに結合して環を形成し、−O−、−NR16−、−O−CO−、−NH−CO−、−S−、及び/又は、−SO2 −を環の連結主鎖に含んでいても良い炭素数2から8のアルキレン基を表す。R16、R17は水素原子、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、或いは置換カルボニル基を表す。次に本発明で使用する一般式(A)で示されるケトン化合物について説明する。ここで、R3 、R4 は水素原子もしくは炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。またR3 、R4 は結合してアルキレン基を表してもよい。R5 〜R9 は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜12のアルケニル基、アリール基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、水酸基、−S−R11基、−SO−R11基、−SO2 −R11基を表し、R11はアルキル基またはアルケニル基、R10は水素原子、または炭素原子数1〜12のアルキル基、または炭素原子数2〜13のアシル基を示す。これらのアルキル基、アリール基、アルケニル基、アシル基は更に炭素原子数1〜6の置換基で置換されていても良い。具体的な例としては、米国特許4,318,791号、欧州特許0284561A号に記載の下記化合物を挙げることができる。
【0071】
【化26】


【0072】
【化27】


【0073】次に本発明で使用される下記一般式(B)で示されるケトオキシム化合物について説明する。式中、R12、R13は同一または異なり、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、或いは、ヘテロ環基を表す。R14、R15は同一または異なり、水素原子、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基を表す。また、R14、R15は互いに結合して環を形成し、−O−、−NR16−、−O−CO−、−NH−CO−、−S−、及び/又は、−SO2 −を環の連結主鎖に含んでいても良い炭素数2から8のアルキレン基を表す。R16、R17は水素原子、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、或いは置換カルボニル基を表す。具体的な化合物として、以下のものを挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0074】
【化28】


【0075】
【化29】


【0076】
【化30】


【0077】
【化31】


【0078】次に本発明で使用される下記一般式(C)で示されるオキシムエーテル化合物について説明する。
【0079】
【化32】


【0080】式中、R1 〜R4 はアルキル基又はアリール基を表し、Arはアリール基を表す。またR1 とR2 又はR3 とR4 が互いに結合して環を形成していてもよい。Zは2価の置換基を有していてもよい炭化水素含有連結基を表す。
【0081】
【化33】


【0082】で表される基を少なくとも1つ以上含む2価の連結基又は単結合を表す。ここで、R5 は水素原子、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、カルボニル基或いはスルホニル基を表す。また、R5 〜R8は互いに同一または異なり、置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基を表す。T- はハロゲン原子からなる1価のアニオン又は1価のスルホン酸アニオンを表す。Xは、次の式(C−a)で表される付加重合性の基を有する基である。
【0083】
【化34】


【0084】を示し、r1 〜r3 は互いに同一または異なり、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、ハロゲン原子、シアノ基又は一C(=O)−OR3 を表す。nは0又は1を表す。但し、nが0の時r1 〜r3 全てが水素原子となることはない。r4 、r5 は互いに同一または異なり、水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基を表す。R9 はアルキル基又はアリール基を表す。
【0085】本発明に使用される上記−般式(C)で表されるオキシムエーテル化合物について詳述する。一般式〔C〕中のR1 〜R4 におけるアルキル基、又はアリール基としては例えば次の基があげられる。アルキル基としては炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基をあげることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基をあげることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0086】これらのアルキル基は置換基とアルキレン基との結合により置換アルキル基を構成し得る。置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′, N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′, N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′, N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′, N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′, N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′, N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基(以下、カルボキシラートと称す)、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3 H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリ−ロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2 NHSO2 (alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2 NHSO2 (aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2 (alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2 (aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3 )、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3 )、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3 )及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO3 2 )及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO3 (alkyl)2 )、ジアリールホスホノ基(−PO3 (aryl)2 )、アルキルアリールホスホノ基(−PO3 (alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3 H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−PO3 H(aryl ))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO3 2 )及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3 (alkyl)2 )、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3 (aryl)2 )、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3 (alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3 H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3 H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基があげられる、
【0087】これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基があげられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基などをあげることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等があげられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基、フェニルエチニル基等があげられる。上述のアシル基(R10CO−)としては、R10が水素原子及び上記のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基をあげることができる。
【0088】−方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものをあげることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基をあげることができる。好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルフェニルメチル基、トリクロロメチルカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、
【0089】
【化35】


【0090】ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等をあげることができる。
【0091】アリール基としては1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものをあげることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、をあげることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0092】これらのアリール基は、置換基がアリール基に結合した置換アリール基を構成し得る。置換アリール基は、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものをあげることができる。これらの、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等をあげることができる。
【0093】次にR1 とR2 が互いに結合して環を形成している場合について述べる。R1 とR2 が互いに結合している環としては−O−、−O−C(=O)−、−S−、−NH−C(=O)−を連結主鎖に含んでいてもよい炭素数2〜8のアルキレン基があげられる。次にR3 とR4 が互いに結合して環を形成している場合について述べる。R3 とR4 が互いに結合している環としては−O−、−O−C(=O)−、−S−、−NH−C(=O)−を連結主鎖に含んでいてもよい炭素数2〜8のアルキレン基があげられる。次に一般式〔C〕中のArについて述べる。Arで示されるアリール基はR1 〜R4 で述べたものと同義であり、R1 〜R4 と同様の置換アリール基を構成し得る。
【0094】次に一般式(C)中のZについて詳述する。一般式(C)中のZにおける2価の置換基を有していてもよい炭化水素含有連結基としては、アルキル基またはアリール基のいづれかの炭素上から水素を1つ除いた2価の連結基があげられる。これらのアルキル基またはアリール基は上述のR1 〜R4 のものと同義であり、置換アルキル基、または置換アリール基を形成し得る。次にYについて詳述する。Yにおける2価の連結基としては、アルキル基或いはアリール基のいづれかの炭素上から水素を1つ除いた2価の連結基があげられる。ここで、アルキル基、アリール基は上述のR1 〜R4 で示したものと同義である。次にY中のR5 〜R8 について詳述する。R5 〜R8 の置換基を有していても良く不飽和結合を含んでいてもよい炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。ここでアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基としては上述のR1 〜R4 で示したものと同義である。また、置換基がアルケニル基の水素原子と置き換わり結合した置換アルケニル基において、置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルケニル基は上述のアルケニル基を用いることができる。好ましい置換アルケニル基の例としては、
【0095】
【化36】


【0096】等を挙げることができる。
【0097】また、置換基がアルキニル基の水素原子と置き換わり結合した置換アルキニル基において、置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルキニル基は上述のアルキニル基を用いることができる。
【0098】次にR5 のカルボニル基、及びスルホニル基について説明する。カルボニル基(R11−CO−)としてR11が一価の非金属原子団のものを使用できる。カルボニル基の好ましい例としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基があげられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基ならびにアリール基として示したものをあげることができる。これらの内、より好ましい置換基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、があげられ、更により好ましいものとしては、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基ならびにアリーロキシカルボニル基があげられる。好ましい置換基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基等があげられる。
【0099】スルホニル基(R12−SO2 −)としては、R12が一価の非金属原子団のものを使用できる。より好ましい例としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基をあげることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基ならびにアリール基として示したものをあげることができる。このような、スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基等があげられる。
【0100】次にT- について詳述する。T- のハロゲン原子としてはF、Cl、Br、I等が挙げられ、スルホン酸アニオンとしては上述のR1 〜R7 で示したアルキル基、アリール基、のいづれかにスルホナト基(−SO3 - )が連結したイオン基があげられる。好ましくは、メチルスルホン酸アニオン、トリフルオロメチルスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン等を挙げることができる。
【0101】次にXについて詳述する。X中のR9 におけるアルキル基又はアリール基は上述のR1 〜R5 で示したものと同義であり、置換アルキル基又は置換アリール基を形成し得る。以下化合物例を示すが、これに制約を受けるものではない。
【0102】
【化37】


【0103】
【化38】


【0104】
【化39】


【0105】
【化40】


【0106】
【化41】


【0107】
【化42】


【0108】
【化43】


【0109】
【化44】


【0110】
【化45】


【0111】
【化46】


【0112】
【化47】


【0113】
【化48】


【0114】等を挙げることができる。
【0115】〔光重合開始基を有するポリマー〕次に、本発明の特徴である、主鎖又は側鎖に光重合開始成分を有するポリマーについて説明する。光重合開始基としては通常の光重合開始基を用いることができる。例としては、ベンジル、ベンゾインエーテル、ミヒラーズケトン、アントラキノン、チオキサントン、アクリジン、フェナジン、ベンゾフェノン、ハロメチルトリアジン化合物、チタノセン化合物、フェロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、有機過酸化物等を挙げることができる。これらの化合物の光重合開始部をポリマーの主鎖又は側鎖に導入することは、既知の方法、例えば、米国特許第5585416号、特登2573963号、特開平1−96145、特開平2−160803、特開平4−213304、特開平1−319504、特公昭45−34705、特開昭60−210604等に記載の方法により、行なうことができる。このようなポリマーの例としては、以下のようなものを挙げることができる。
【0116】(1)下記一般式(イ)で示されるポリマー、
【0117】
【化49】


【0118】(式中、nは2〜50の数であり、Arはフェニレン基であり、XはOH基またはCl原子であり、R及びR1 は等しいか又は異なる基で、それぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R2 は水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R3 、R4 、A及びBは水素原子である)
具体例としては、ポリ〔2−ヒドロキシ−2−メチル(p−ビニルプロピオフェノン)〕、ポリ〔2−ヒドロキシ−2−メチル(p−(1−メチルビニル)プロピオフェノン)〕、ポリ〔2−ヒドロキシ−2−n−ブチル〔p−(1−メチルビニル)−n−ブチロフェノン)〕等があげられる。
【0119】(2)下記一般式(ロ)で示される構造を有するポリマー、
【0120】
【化50】


【0121】ここで、Aはモノ−、ジ−およびトリハロメチル基からなる群から選択される基であり、Yは−A、−L−、−NH2 、−NHR、−NR2 、−ORおよび−R′(ここで、Rは、それぞれ独立して、置換または無置換アルキル基、置換または無置換アリール基であり、R′は置換または無置換アルキル基、置換または無置換アリール基、置換アルケニル基または置換ポリアルケニル基、置換アルキニル基または置換ポリアルキニル基、および置換または無置換ヘテロ芳香族基である)からなる群から選択される基であり、そしてLはトリアジン核をポリマー部分に結合させる基または共有結合である。多くの場合、Lは、ハロメチル−1,3,5−トリアジン部分を含有するポリマーを調製するための重合反応に有用である反応性基または重合性基を含有するように選択される。Lに含有され、重合反応に有用な典型的な反応基には、ヒドロキシル;イソシアネート;アミン;カルボン酸;アクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、およびスチレンのようなビニルモノマー;ビニルエステル;および環状エーテルが包含されるがこれらに限定されない。他の場合には、Lは、予め形成されたポリマーに結合している官能基と結合することが可能な反応性基を含むように選択される。このような反応性基の例としては、イソシアネート;ヒドロキシル;アミン;カルボキシル;酸無水物;およびエポキシが包含されるがこれらに限定されない。以下に、一般式(ロ)で示される構造を有する化合物の具体例を示す。ただし、これらは本発明の内容を限定するものではない。
【0122】
【表10】


【0123】
【表11】


【0124】しかしながら、上記の表より本発明の化合物に適するハロメチル基が−CCl3 に限定されると考えるべきではない。上記の光重合開始基を有するポリマーの中で、上記表10に示す具体例1、3および5を使用するのが好ましい。
【0125】ハロメチル−1,3,5−トリアジン置換モノマーとの共重合反応に有用なコモノマーには、アクリル酸およびメタクリル酸;アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル(例えば、メチル、エチル、ブチル、オクチル、2−ジメチルアミノエチル、2−メトキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−クロロエチル、ベンジル、グリシジル、2−シアノエチル、テトラヒドロフルフラル):アクリルアミドおよびその誘導体(例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、およびメタクリルアミド);スチレン、無水マレイン酸、4−ビニルピリジン、2−メタクリロイルオキシエタン−1−スルホン酸およびその塩、アクリロニトリル、エチルビニルエーテルのようなビニルエーテル、が包含されるがこれらに限定されない。アクリル系モノマーおよびアクリルアミドモノマーの他の例は、ポリマー科学事典(Encyclopedia of Polymer Science )、第2版、第1巻、第182、204、237、242 、および243頁に列挙されている。
【0126】合成の容易性および多様性に優れる有用なポリマーの他のクラスには、通常は、ジオール、ジイソシアネート、および連鎖伸長剤から形成されるポリウレタンが挙げられる。ジヒドロキシルまたはジイソシアネート基を有するハロメチル−1,3,5−トリアジン誘導体は特に有用な反応物である。このジヒドロキシル誘導体は直接、またはトリレン−2,4−ジイソシアネートとの反応によりジイソシアネートプレポリマーに転換されて用いられる。ヒドロキシル末端直鎖脂肪族ポリエステルおよび脂肪族ポリエーテルのような他のジオール、および、芳香族、脂肪族、脂環式または多環式のような他のポリ環状ジイソシアネートが、組み合わせて用いられる。このような、反応物を選択する際の多様性により、広範囲の分子量および物理特性が許容される。ポリウレタンエラストマーに関する技術、化学的性質、基本構造、および合成経路は、C.ヘッブパーン(C.Hepburn)、ポリウレタンエラストマー(Polyurethane Elastmers)、応用化学出版(Applied Science Publishers)(ニューヨーク:1982年);および、ポリマー科学工業事典、第2版、第13巻、第243〜303頁に概説されている。
【0127】(3)下記−般式(1)、(2)よりなるポリマー、
【0128】
【化51】


【0129】〔式中、Ra およびRb は、互に独立して、それぞれ、H、Cl、CN、C1-4−アルキルまたはフェニルであり、Xは、CO−、COO−、O−CO−、(CH2 n Y、COO(CH2 nY、CO(OCH2 CH2 n Y(式中、n=1〜10でありそしてYは、単一結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NH−または−N(C1-4 −アルキル)−である)であり、mは0または1であり、INは、光開始剤の基本構造、
【0130】
【化52】


【0131】(式中、Rは、−CR3 4 5 または−P(=O)(R6 2 であり、R1 およびR2 は、H、ハロゲン、C1-12−アルキルまたはC1-12−アルコキシであり、R3 およびR4 は、互に独立して、それぞれ、H,C1-12−アルキル、C1-12−アルケニル、C1-12−アルコキシであるかまたは一緒になってC2-6 −アルキレンであり、R5 は、−OH,C1-6 −アルコキシ、C1-6 −アルカノイルオキシ、−N(C1 -6−アルキル)2
【0132】
【化53】


【0133】−SO2 7 または−OSO2 7 であり、R6 は、C1-6 −アルキル、C1-6 −アルカノイル、フェニルまたはベンゾイルであり、これらの基は、いずれも場合により、ハロゲン、C1-6 −アルキルまたはC1-6 −アルコキシによって置換されていてもよく、R7 は、C1-4 −アルキルまたはフェニルである)の1つであり、Aは、前述の光開始剤の基本構造INの1つであるか、または、H、C1-12−アルキル、C1-12−アルケニル、フェニル、スチリル、ハロゲン、NCO、NCS、N3 、SO3 H、SO2 Cl、CRc =CRd e または
【0134】
【化54】


【0135】(式中、Rc 、Rd およびRe は、それぞれ、HであるかまたはCl またはCH3 である)であるかまたはSiRf g h (式中、Rf 、Rg およびRh は、それぞれ、Cl 、C1-12−アルキル、C1-12−アルコキシまたはC1-12−アルカノイルオキシである)である〕で表わされる少なくとも2種の異なる単量体単位を共重合することによって得ることのできる、光開始剤共重合体。
【0136】以下に、一般式(1)で示される構造を有する化合物の具体例を示す。ただし、これらは本発明の内容を限定するものではない。
4−ビニルフェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン (1a) 4−アリルオキシフェニル2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン (1b) 4−2−アリルオキシエトキシフェニル2−ヒドロキシ−2−プロピル ケトン (1c) ビニル4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェノキシ アセテート (1d) 4−アクリロイルオキシフェニル2−ヒドロキシ−2−プロピル ケトン (1e) 4−メタクリロイルオキシフェニル2−ヒドロキシ−2−プロピル ケトン (1f) 4−2−アクリロイルオキシエトキシフェニル2−ヒドロキシ− 2−プロピルケトン (1g) 4−2−メタクリロイルオキシエトキシフェニル2−ヒドロキシ− 2−プロピルケトン (1h) 4−2−アクリロイルオキシジエトキシフェニル2−ヒドロキシ− 2−プロピルケトン (1i) 4−2−アクリロイルオキシエチルチオフェニルル2−ヒドロキシ− 2−プロピルケトン (1j) 4−2−アクリロイルオキシエチルチオフェニル2−N−モルホリノ− 2−プロピルケトン (1k) 2−〔2−(アクリロイルオキシ)エチルチオ〕チオキサントン (1l) 2−〔2−(アクリロイルアミノ)エチルチオ〕チオキサントン (1m) 2−〔2−(アリルオキシ)エチルチオ〕チオキサントン (1n) 2−[2−(アリルアミノ)エチルチオ〕チオキサントン (1o) 4−〔2−(メタクリロイルオキシ)エトキシカルボニル〕チオ キサントン (1q)
【0137】(4)側鎖に下記一般式(ハ)で示される構造を含有するポリマー、
【0138】
【化55】


【0139】(ただし、R1 は炭素数1〜10の2価の炭化水素基で鎖中にエステル、エーテル、及びウレタン結合から選ばれる少なくとも1つを含んでいても良い。X、Yはそれぞれ水素原子、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びシアノ基から選ばれる少なくとも1つを示す。)
本発明に用いられる高分子光増感剤としては、側鎖に一般式(ハ)で表わされる構造を含有する高分子化合物であればどのようなものでもよい。例えば、下記式のような構造を持つものが挙げられる。
【0140】
【化56】


【0141】R2 、R3 は主鎖の構造で、R2 としては、
【0142】
【化57】


【0143】などが挙げられる。R3 としては、
【0144】
【化58】


【0145】などが挙げられる。(ここで、R4 、R5 、R7 は水素原子、ハロゲン、水酸基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミノアルキル基、メルカプトアルキル基、ハロァルキル基、ヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のカルボキシアルキル基、シアノアルキル基、炭素数6〜10の置換されていてもよいアリール基、またはアラルキル基であり、それぞれ、同一もしくは、異なっていてもよい。R6 は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)
【0146】主鎖の構造の具体例としては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどが挙げられ、特にポリスチレン、ポリアクリレート、及びポリメタクリレートが好ましい。具体例としては、下記の■〜■のものが挙げられる。
【0147】
【化59】


【0148】で表わされる化合物の重合体または他のスチレン系モノマや(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体。
【0149】
【化60】


【0150】で表わされる化合物の開環重合体または他のエポキシ化合物との共開環重合体。
【0151】
【化61】


【0152】(R8 は水素原子またはメチル基である。)で表わされる化合物の重合体または他の(メタ)アクリル酸エステルやスチレン系モノマとの共重合体。
【0153】
【化62】


【0154】(R8 は前述のものと同一である。)で表わされる化合物の重合体または他のスチレン系モノマや(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体。
【0155】
【化63】


(R8 は前述のものと同一である。)で表わされる化合物の重合体または他の(メタ)アクリル酸エステルやスチレン系モノマとの共重合体。
【0156】
【化64】


【0157】で表わされる化合物とジカルボン酸とからなるポリエステルやジイソシアネート化合物とからなるポリウレタン。
【0158】(5)下記一般式(ニ)で表されるポリマー
【0159】
【化65】


【0160】(式中、Xは基:R1 またはHO−R−を表わし、Yは次式:−OHまたは次式
【0161】
【化66】


【0162】で表される基を表し、nは1ないし30の値を表し、Ar1 およびAr2 は各々独立にフェニル基または炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルコキシ基もしくはハロゲン原子で置換されたフェニル基を表し、Rは2価の基であり、a)−O−、−S−、−SO−、−SO2 −、−CO−、−CONH −、−N(R2 )−、−O−Si(R3 )(R4 )−O−により、または1もしくはそれ以上の炭素環またに複素環により1回もしくは数回中断されることができ、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数3ないし5のアルケニル基、炭素原子数5ないし6のシクロアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、炭素原子数1ないし12のアルコキシ基、炭素原子数1ないし12のアルキルチオ基、フェノキシ基、炭素原子数2ないし12のアルカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、炭素原子数2ないし5のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2ないし8のジアルキルアミノ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、トリメチルシロキシ基もしくは次式:〔−O−C(Ar1 )(−CO−Ar2 〕−O−R〕n ′−Y、−(炭素原子数1ないし4のアルキレン)−Rb 、−O−CH2 CH2 −Rb 、−O−CH2 −CH(CH3 )−Rb または−S−CH2 CH2 −R
【0163】(式中、n′はnより小さい0ないし29の値を表わす〕で表わされる基の一つによりモノもしくはポリ置換されていることができる炭素原子数4ないし50のポリメチレン基を表すか、またはb)炭素原子数4ないし8のアルケニレン基またはアルキニレン基を表わすか、またはc)6ないし20個の炭素原子を有する2価の脂環式基を表すか、またはd)次式:−CH2 −Z−CH2 −(式中、Zは2価の炭素原子数4ないし15の脂環式、芳香族もしくは複素環式基を表わす)で表わされる基を表わし、R1 は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、R2 は水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ベンジル基、炭素原子数2ないし5のアルカノイル基、ベンゾイル基、トルイル基または次式:−SO2 −Rb 、−CH2 CH2 −Rb もしくは−CH2 CH(CH2 )−Rbで表わされる基を表し、R3 及びR4 は各々独立にメチル基またはフェニル基を表わし、R5 は炭素原子数1ないし16のアルキル基、フェニル基または炭素原子数7ないし20のアルキルフェニル基を表わし、R6 は水酸基、炭素原子数1ないし4のアルコキシ基、炭素原子数2ないし4のアルカノイルオキシ基または次式:−〔O−C(Ar1 )(−CO−Ar2 〕−O−R−)n ′−Yで表わされる基を表わす〕
【0164】以下に、一般式(ニ)で示される構造を有する化合物の具体例を示す。ただし、これらは本発明の内容を限定するものではない。出発原料として使用する下記式(ニ−II)で表わされるジアルキルケタールは公知化合物であり、例えば米国特許出願第3,715,293号、西ドイツ特許出願第2,232,365号及び同第2,337,813号に記載されている。ベンジルジメチルケタール及びベンジルジエチルケタールは市販されている。
【0165】
【化67】


【0166】出発原料として要求される下記式(ニ−III )のジオールも公知化合物である。それらの多くは市販されている。それら、テクニカルグレードの混合物でもありうる。
【0167】
【化68】


【0168】本発明により使用されうる式(ニ−III )のジオールの例を下記に示す:ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘプタン−1,7−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、ノナン−1,9−ジオール、デカン−1,10−ジオール、ドデカン−1,12−ジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−1,4−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、2−トランス−ブテン−1,4−ジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキシン−2,5−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロペンタン−1,3−ジオール、シクロオクタン−1,5−ジオール、シクロオクタン−1,4−ジオール、デカヒドロナフタレン−1,4−ジオール及びデカヒドロナフタレン−1,5−ジオール、ジシクロヘキシル−4,4′−ジオール、1,2−及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−及び1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル〕−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)フラン、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール及び分子量が200、300、400、500、l000または1500であるポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、及び分子量400、750または1200であるポリプロピレングリコール、分子量が650また1000であるポリ(テトラメチレン)グリコール、3,8−ジオキサデカン−1,10−ジオール、4,10−ジオキサデカン−2,11−ジオール、5−オキサノナン−3,7−ジオール、イソプロピリデン−4,4′−ジシクロヘキサノール、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−プロパン、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタルアミド、3−チアペンタン−1,5−ジオール、4−チアヘプタン−1,7−ジオール、3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−テトラブチルジエタノールアミン、N−シクロヘキシルジエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−n−クロロアニリン、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ビス(2−ヒドロキシプロピル)メチルアミン、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)−トリメチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アセトアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)トルエンスルホンアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンスルホンアミドまたはN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)メタンスルホンアミド、
【0169】いくつかのジオールまたはジオールの混合物をこれらのトリオールもしくは環状ケタールを形成しないポリオールとともに使用することもできる。使用しうるトリオール及びテトロールの例を下記に示す;1,3,5−トリス(ヒドロキシアルキル)ベンゼン、例えば1,3,5−トリス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシブチル)ベンゼン;1,3,5−トリス(ヒドロキシアルキル)シクロヘキサン、例えば1,3,5−トリス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス(8−ヒドロキシオクチル)シクロヘキサン、3−(2−ヒドロキシエチル)ペンタン−1,5−ジオール;3−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチルペンタン−1,5−ジオール、3,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ペンタン−1,5−ジオール;4,4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ヘプタン−1,5−ジオール;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート;トリエタノールアミン;トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミンまたはN,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、
【0170】(6)下記一般式(ホ)で示されるポリマー、
【0171】
【化69】


【0172】これらのポリマーは重量平均分子量1000〜100万の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは2000〜50万の範囲である。
【0173】(7)下記一般式(ヘ)で示されるポリマー
【0174】
【化70】


【0175】(式中、Ra 、Rb 、Rc およびRd は、各々約18以下の炭素原子を含む脂肪族、芳香族、置換芳香族、芳香脂肪族、およびシクロ脂肪族基からそれぞれ選ばれ、yおよびxは約1から19,000までの数であるが、ただし、yとxとの合計が約2から20,000までであることを条件とする)
【0176】以下に、一般式(ヘ)で示される構造を有するポリマーの具体例を示す。ただし、これらは本発明の内容を限定するものではない。
(具体例)
重合体 ポリシラン(a) 重合体 ポリシラン(a) A (PhC2H4SiMe) H (p-トリルSiMe)/ B (PhC2H4SiMe)/ (Me2Si) 0.91 (Me2Si) 0.79 I (PhMeSi) C (PhC2H4SiMe)/ J (PhMeSi) (d) (PhMeSi) 0.56 K (Ph2Si)/ D (シクロヘキシルSiMe)/ (Me2Si) 0.89 (PhMeSi) 0.63 L (Ph2Si) E (PhC2H4SiMe) / (PhC2H4SiMe) 1.65 (シクロヘキシルMeSi) 0.67 M (PhC2H4SiMe)/ F (シクロヘキシルSiMe)/ (p-トリルSiMe) 0.5 (Me2Si) 0.66 N (Ph2Si)(PhMeSi) G (シクロヘキシルSiMe) O (イソオクチルアクリレート)/ (PhMeSi) 19 P (PhMeSi)(Me2Si) (註)数値はポリシラン(a)の中の最初の( )内の種に対する2番目の ( )内の種のモル比を示す。
【0177】〔(d)バインダー〕次に本発明に用いられる前記成分(d)バインダーについて説明する。成分(d)のバインダーとしては、有機高分子重合体が挙げられるが、このような有機高分子重合体としては、光重合可能なエチレン性不飽和化合物と相溶性を有している有機高分子重合体である限り、どれを使用してもよい。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性又は膨潤性である有機高分子重合体が選択される。有機高分子重合体は、該組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或は有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。この様な有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。
【0178】また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この外に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。この他に水溶性有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ポリアミドや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。これらの有機高分子重合体は全組成中に任意な量を混和させることができる。しかし90重量%を超える場合には、形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは10〜90%、より好ましくは30〜80%である。また光重合可能なエチレン性不飽和化合物と有機高分子重合体は、重量比で1/9〜9/1の範囲とするのが好ましい。より好ましい範囲は2/8〜8/2であり、更に好ましくは3/7〜7/3である。
【0179】また、本発明においては以上の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2.2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等があげられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01%〜約5%が好ましい。また必要に応じで、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5%〜約10%が好ましい。
【0180】更に感光層の着色を目的として、着色剤を添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料(C.I.Pigment Blue 5:3,15:4、15:6など)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料がある、染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5%〜約5%が好ましい。加えて、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全組成物の10%以下が好ましい。本発明における光重合性組成物には、塗布面質を向上するために界面活性剤を添加することができる。
【0181】本発明の光重合性組成物を支持体上に塗布する際には種々の有樹溶剤に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテー卜、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。塗布溶液中の固形分の濃度は、1〜50重量%が適当である。 本発明において光重合性組成物の被覆量は乾燥後の重量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.3〜5g/m2であり、更に好ましくは0.5〜3g/m2である。
【0182】本発明に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物が用いられる。該寸度的に安定な板状物としでは、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む。)、亜鉛、銅などのような金属の板、さらに、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどがあげられる。これらの支持体のうち、アルミニウム板は寸度的に著しく安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。更に、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
【0183】また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、砂目立て処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。さらに、砂目立てしたのちに珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板が好ましく使用できる。特公昭47−5125号に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用される。上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、若しくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはそれらの塩の水溶液又は非水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。また、米国特許第3,658,662号に記載されているようなシリケート電着も有効である。更に、特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体に、上記陽極酸化処理および珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理をしたものも有用である。また、特開昭56−28893号に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理、さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
【0184】更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、たとえばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平7−159983号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる光重合性組成物の有害な反応を防ぐため、且つ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
【0185】上記支持体上に、先に述べた感光層を塗布して得られた感光材料(例えば、感光性平版印刷版)は、Arレーザー、YAG−SHGレーザー等により上述したように直接露光される。画像露光を行った後、現像処理を行う。かかる現像処理に使用される現像液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第三リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いられる。
【0186】上記のアルカリ水溶液の内、本発明による効果が一段と発揮される現像液はアルカリ金属ケイ酸塩を含有するpH12以上の水溶液である。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2 とアルカリ金属酸化物M2 Oの比率(一般に〔SiO2 〕/〔M2 O〕のモル比で表す)と濃度によって現像性の調節が可能であり、例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような、SiO2 /Ma2 Oのモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO2 〕/〔Ma2 O〕が1.0〜1.5であって、SiO2 の含有量が1〜4重量%のケイ酸ナトリウムの水溶液や、特公昭57−7427号公報に記載されているような、〔SiO2 〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち〔SiO2 〕/〔M2 O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2 の濃度が1〜4重量%であり、かつ該現像液がその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有している、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が好適に用いられる。
【0187】更に、自動現像機を用いて、該感光材料(例えば、感光性平版印刷版)を現像する場合に、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量の感光材料を処理することができることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような現像液のSiO2 /Na2 Oモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO2〕/〔Na2 O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2 の含有量が1〜4重量%のケイ酸ナトリウムの水溶液を使用し、しかもポジ型感光性平版印刷版の処理量に応じて連続的または断続的にSiO2 /Na2 Oのモル比が0.5〜1.5(即ち〔SiO2 〕/〔Na2 O〕が0.5〜1.5)のケイ酸ナトリウム水溶液(補充液)を現像液に加える方法、更には、特公昭57−7427号公報に開示されている、〔SiO2 〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち、〔SiO2 〕/〔M2 O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2 の濃度が1〜4重量%であるアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を現像液として用い、補充液として用いるアルカリ金属ケイ酸塩の〔SiO2 〕/〔M〕が0.25〜0.75(即ち、〔SiO2 〕/〔M2 O〕が0.5〜1.5)であり、かつ該現像液および該補充液のいずれもがその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20%のカリゥムを含有していることを特徴とする現像方法が好適に用いられる。
【0188】このようにして現像処理された感光性平版印刷版は特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で処理される。本発明の感光性平版印刷版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0189】現像後またはさらに任意に上記の不感脂化処理等の後処理を行った後、先に述べた方法により全面露光を行い、このようにして得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL−1、CL−2、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム株式会社製)等があげられる。好ましくは、CP、CN−4があげられる。
【0190】
【実施例】以下実施例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例こ限定されるものではない。
(感材1の作成)厚さ0.30mmのアルミニウム板をナイロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁液とを用いその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウム水溶液に70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20%硝酸水溶液で中和洗浄し、次いで水洗した。これをVA =12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液で160クーロン/dm2 の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.6μ(Ra表示)であった。引き続いて30%の硫酸水溶液中に浸漬し55℃で2分間デスマットした後、20%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2 において陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように2分間陽極酸化処理した。次に下記の手順によりSG法の液状組成物(ゾル液)を調整した。
【0191】
〔ゾル液〕
ユニケミカル(株):ホスマーPE 24重量部 メタノール 130重量部 水 20重量部 85%リン酸 16重量部 テトラエトキシシラン 50重量部 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 48重量部を混合し攪拌した。約5分で発熱が認められた。60分間反応させた後、内容物を別の容器へ移し、メタノール3000重量部加えることにより、ゾル液を得た。このゾル液をメタノール/エチレングリコール=9/1(重量比)で希釈して、基板上のSiの量が3mg/m2 となるようにホイラー塗布し、100℃1分乾燥させた。このように処理された基板上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布重量が1.4g/m2となるように塗布し、80℃で2分間乾燥させ、光重合性感光層を形成した。
【0192】
感光液(感材1の作成)
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.5g アリルメタアクリレート/メタクリル酸 2.0g (80/20重量比)光重合体、分子量3万(A)
化合物1(下記式参照) 0.15g 化合物2(下記式参照) 0.20g 化合物3(下記式参照) 0.50g ポリマー開始剤(表12および下記式参照) X g 銅フタロシアニンPigment Blue 15.6/(A) =3/2分散物 0.5g メガファックF−177(大日本インキ化学工業 0.02g (株)製フッ素界面活性剤)
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン 0.015g アルミニウム塩(和光純薬製)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 27.5g メチルエチルケトン 19.0g この光重合性感光層の上に下記組成からなる水溶性保護層を乾燥塗布重量が2.5g/m2となるように塗布し、100℃/3分間乾燥させた。
ポリビニルアルコール(ケン化度99.5モル%、 重合度550) 22g ノニオン界面活性剤(BMALBX NP-10 0.5g (株)日本エマルジョン社製)
蒸留水 450g
【0193】(感材2の作成)感光液を下記組成に変えた他は感材1と同様にして、感材2を作成した。
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.7g アリルメタアクリレート/メタクリル酸 1.8g (80/20重量比)光重合体、分子量3万(A)
化合物4(下記式参照) 0.15g 化合物5(下記式参照) 0.20g 化合物3(下記式参照) 0.50g ポリマー開始剤(表12および下記式参照) X g 銅フタロシアニンPigment Blue 15:3 /(A) =3/2分散物 0.5g メガファックF−177(大日本インキ化学工業(株)製 0.02g フッ素界面活性剤)
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン 0.015g アルミニウム塩(和光純薬製)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 27.5g メチルエチルケトン 19.0g
【0194】
【化71】


【0195】
【化72】


【0196】
【化73】


【0197】
【化74】


【0198】(実施例1〜10)上記感材1はオプトロニクス社製XLP4000プレートセッター(空冷Ar+ レーザー、488nm)を用い、画像露光量を0.15mJ/cm2とし、線数を175lpi、解像度は4000dpiとして画像露光を行なった。更に膜硬化度を高める目的でその後110℃に12秒間の後加熱処理を施した。また、上記感材2はライノタイプヘル社製Gutenberg プレートセッター(SHG−YAG、532nm)を用い、画像露光量を0.15mJ/cm2とし、線数を175lPi、解像度は2540dpiとして画像露光を行なった。更に膜硬化度を高める目的でその後110℃に12秒間の後加熱処理を施した。
【0199】現像は、富士写真フイルム(株)DP−4現像液を水で18倍に希釈した液を用いて、同社製850NX自動現像機により30℃で、15秒間浸漬して行った。富士フィルム(株)FP−2Wガム液を水で1:1に希釈した液でガムびきしたのち、全面露光及び加熱を行なった。全面露光及び加熱の条件を表1に示した。このようにして得られた印刷版の評価を以下のように行った。耐刷性評価には、印刷機としてハイデルベルク社製SOR−KZを使用し、湿し水は、アンカー社エメラルドプレミアムMXE2%希釈液を用い、インキとしては大日本インキ社製GEOS−G(N)を使用した。ベタ耐刷性とは、ベタ印刷部に素抜け等が起こることなく正常に印刷できる枚数を示す。ハイライト耐刷性は175lpiの3%の網点が印刷物上で再現する印刷枚数を示すものである。結果を表1に示した。
【0200】(比較例1〜10)実施例1〜10と同様にして、感材1及び2について画像露光を行い、現像を行った。得られた平版印刷版について実施例1〜10と同じ条件で印刷を行い、耐刷性を評価した。結果を表12に示した。
【0201】
【表12】


【0202】上記の結果より、感材は現像後の全面露光を行うことにより、耐刷性が大きく向上することが、ポリマー開始剤の添加により、更にその効果が向上することが明らかである。
【0203】
【本発明の効果】以上のように、本発明の製版方法により、フレアー等を生じずに鮮明な画像を得ることができ、かつ耐刷性が大きく向上した光重合性平版印刷版が得られる。ポリマー開始剤は現像により、除かれにくいため、全面露光による効果が、添加しない場合に比べて大きく、極めて実用性の高い光重合性平版印刷版の製版方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物と、(b)光重合開始剤系と、(c)光重合開始基を有するポリマー、及び(d)バインダーとを、含有する感光層を有する光重合性平版印刷版をレーザー露光装置により一定の露光量で画像露光し、現像を行った後、前記露光量の少なくとも100倍の露光量で全面露光を行うことを特徴とする光重合性平版印刷版の製版方法。
【請求項2】 前記全面露光時、版面温度を30〜150℃に加熱することを特徴とする請求項1に記載の製版方法。

【公開番号】特開2000−89478(P2000−89478A)
【公開日】平成12年3月31日(2000.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−260396
【出願日】平成10年9月14日(1998.9.14)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】