説明

光量調整装置及び撮像装置

【課題】各部の加工精度を高めることなくベース体に対するコアのガタツキを防止する。
【解決手段】所定の方向へ動作されてレンズ群を透過された光の量を調整する光量調整部材59、60と、円板状に形成された回転可能なマグネット68と、マグネットの回転に伴って回転され光量調整部材を動作させる駆動アーム69と、マグネットを外周方向から挟んで位置する一対の対峙部66a、66bと該一対の対峙部の各一端部を連結する連結部66cとを有するコア66と、コアの一方の対峙部が貫通されたコイル67と、コアが取り付けられると共にマグネットが回転自在に支持されたベース体51とを設け、ベース体に少なくとも2箇所においてコアを取り付ける複数の取付突部51a、51b、51cを設け、取付突部にコアと嵌合する小突起51d、51d、51d、51eを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光量調整装置及び撮像装置についての技術分野に関する。詳しくは、コアが取り付けられるベース体の取付突部に小突起を設けて各部の加工精度を高めることなくベース体に対するコアのガタツキを防止する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラやスチルカメラ等の撮像装置には、レンズ群を介して取り込まれた光の量を調整する光量調整装置が設けられている。
【0003】
このような光量調整装置には、光量調整部材としてシャッター羽根やフィルター羽根等がベース体に回動自在に支持され、これらの光量調整部材がマグネット、コイル及び一対の対峙部を有するコアを備えた電磁石(アクチュエーター)によって回動されて光量が調整されるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載された電磁石にあっては、コアの一対の対峙部がベース体に設けられた位置決め突起によって押し広げられた状態でベース体に取り付けられている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−95703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載された光量調整装置にあっては、コアの一対の対峙部が位置決め突起によって押し広げられた状態でベース体に取り付けられているため、コアが塑性変形したりコアに過大な復元力が生じるおそれがあり、ベース体に対するコアのガタツキを防止しマグネットとコアとの適正な位置を保持するために各部の加工精度を極めて高くする必要があった。
【0007】
そこで、本発明光量調整装置及び撮像装置は、上記した問題点を克服し、各部の加工精度を高めることなくベース体に対するコアのガタツキを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明光量調整装置及び撮像装置は、上記した課題を解決するために、所定の方向へ動作されてレンズ群を透過された光の量を調整する光量調整部材と、円板状に形成された回転可能なマグネットと、マグネットの回転に伴って回転され光量調整部材を動作させる駆動アームと、マグネットを外周方向から挟んで位置する一対の対峙部と該一対の対峙部の各一端部を連結する連結部とを有するコアと、コアの一方の対峙部が貫通されたコイルと、コアが取り付けられると共にマグネットが回転自在に支持されたベース体とを設け、ベース体に少なくとも2箇所においてコアを取り付ける複数の取付突部を設け、取付突部にコアと嵌合する小突起を設けたものである。
【0009】
従って、本発明光量調整装置及び撮像装置にあっては、取付突部の小突起が押し当てられて圧入された状態でコアがベース体に取り付けられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明光量調整装置は、所定の方向へ動作されてレンズ群を透過された光の量を調整する光量調整部材と、円板状に形成された回転可能なマグネットと、マグネットの回転に伴って回転され光量調整部材を動作させる駆動アームと、マグネットを外周方向から挟んで位置する一対の対峙部と該一対の対峙部の各一端部を連結する連結部とを有するコアと、コアの一方の対峙部が貫通されたコイルと、コアが取り付けられると共にマグネットが回転自在に支持されたベース体とを備え、ベース体には少なくとも2箇所においてコアを取り付ける複数の取付突部が設けられ、取付突部にコアと嵌合する小突起を設けたことを特徴とする。
【0011】
従って、コアのベース体への取付に関する各部の加工精度を高めることなくベース体に対するコアのガタツキを防止することができる。
【0012】
請求項2に記載した発明にあっては、コアに円形の被取付孔を形成し、被取付孔に挿入される取付突部を略円柱状に形成し該取付突部の外周面に少なくとも二つの小突起を周方向に離隔して設けたので、コアのベース体に対する取付状態の安定化を図ることができる。
【0013】
請求項3に記載した発明にあっては、取付突部としてコアを挟持する第1の挟持部と第2の挟持部を設け、第1の挟持部に小突起を設け、第2の挟持部にコアが面接触された状態で押し当てられる被押し当て面を形成したので、コアが被押し当て面に面接触された状態でベース体に取り付けられ、コアの安定した取付状態を確保することができる。
【0014】
請求項4に記載した発明にあっては、マグネットの近傍に取付突部を設けたので、マグネットとコアとの間の位置精度が向上し、光量調整部材の動作の信頼性を確保することができる。
【0015】
請求項5に記載した発明にあっては、コイルを軸方向において挟んだ反対側に少なくとも二つの取付突部を設けたので、一方の取付突部と他方の取付突部との距離が長く、コアのベース体に対する取付状態の安定化を図ることができる。
【0016】
本発明撮像装置は、内部に所定のレンズ群が配置されたレンズ鏡筒と該レンズ鏡筒を支持する装置本体とを備え、レンズ鏡筒にレンズ群を介して取り込まれる光の量を調整する光量調整装置が組み込まれた撮像装置であって、所定の方向へ動作されてレンズ群を透過された光の量を調整する光量調整部材と、円板状に形成された回転可能なマグネットと、マグネットの回転に伴って回転され光量調整部材を動作させる駆動アームと、マグネットを外周方向から挟んで位置する一対の対峙部と該一対の対峙部の各一端部を連結する連結部とを有するコアと、コアの一方の対峙部が貫通されたコイルと、コアが取り付けられると共にマグネットが回転自在に支持されたベース体とを備え、ベース体には少なくとも2箇所においてコアを取り付ける複数の取付突部が設けられ、取付突部にコアを嵌合する小突起を設けたことを特徴とする。
【0017】
従って、コアのベース体への取付に関する各部の加工精度を高めることなくベース体に対するコアのガタツキを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に従って説明する。
【0019】
以下に示した最良の形態は、本発明をスチルカメラに適用したものである。尚、本発明の適用範囲はスチルカメラに限られることはなく、例えば、ビデオカメラや他の機器に組み込まれた各種の撮像装置に広く適用することができる。
【0020】
以下の説明にあっては、スチルカメラの撮影時において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、被写体側が前方となり、撮影者側が後方となる。
【0021】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0022】
撮像装置1は、図1及び図2に示すように、装置本体2と該装置本体2に前後方向(光軸方向)へ移動自在に支持されたレンズ鏡筒3とを備え、非撮影時等にレンズ鏡筒3が装置本体2に収納され(図1参照)、撮影時等にレンズ鏡筒3が装置本体2から前方へ突出される(図2参照)所謂沈胴式のレンズ鏡筒3を備えた撮像装置である。
【0023】
このような沈胴式のレンズ鏡筒3を備えることにより、非撮影時における小型化(薄型化)と撮影時における良好な光学性能の確保とを両立させることができる。
【0024】
装置本体2は、例えば、横長の扁平な筐体4の内外に所要の各部が配置されて成る(図1乃至図3参照)。
【0025】
装置本体2の前面にはフラッシュ5とファインダー窓6が設けられている。装置本体2の上面にはシャッター釦7、モード切替ダイヤル8及び電源釦9が設けられている。装置本体2の側面(右側面)にはバッテリーカバー10が設けられ、該バッテリーカバー10を開閉することにより装置本体2に対する図示しないバッテリーの出し入れが可能とされる。装置本体2の後面にはファインダー11、ズームスイッチ12、表示画面13、操作釦14、14、・・・及び端子カバー15が設けられている。端子カバー15の内側には図示しない電源端子や入出力端子等が設けられている。
【0026】
レンズ鏡筒3は、図4乃至図6に示すように、固定部材16と該固定部材16に固定された固定環17と該固定環17に回転自在に支持されたカム筒18と該カム筒18に前後方向(光軸方向)へ移動自在に支持された第1の可動ユニット19とを備えている。
【0027】
固定部材16は、前後方向を向く略板状に形成された基板部20と、該基板部20の下端部から前方へ突出された取付用突部21とを有している。
【0028】
基板部20には案内軸22が取り付けられる。
【0029】
取付用突部21にはフォーカスモーターユニット23が取り付けられる。フォーカスモーターユニット23によってフォーカス移動ユニット24が前後方向、即ち、光軸方向へ移動される。フォーカス移動ユニット24は保持アーム25にフォーカスレンズ群26が取り付けられて成る。
【0030】
フォーカスモーターユニット23の駆動によりフォーカス移動ユニット24が案内軸22に案内されて光軸方向へ移動される。
【0031】
固定部材16には後方から撮像ユニット27が取り付けられる(図4参照)。撮像ユニット27は保持枠部材28と該保持枠部材28に保持された撮像素子29、例えば、CCD(Charge Coupled Device)とを有している。撮像ユニット27は保持枠部材28が固定部材16に取り付けられる。
【0032】
固定部材16には前側から固定環17が取り付けられる(図4及び図5参照)。固定環17は略円筒状に形成された円筒状基部30と該円筒状基部30の右端側の下端部から突出されたユニット押さえ部31と円筒状基部30の左端側の下端部から突出されたケース取付部32とを有している。
【0033】
円筒状基部30にはケース取付部32に対応する位置に図示しないギヤ配置孔が形成されている。
【0034】
固定環17が固定部材16に取り付けられた状態において、ユニット押さえ部31によって案内軸22及びフォーカスモーターユニット23が前方から押さえられる。
【0035】
固定環17が固定部材16に取り付けられた状態において、ケース取付部32と固定部材16の間で軸方向に長い伝達ギヤ33が回転自在に支持される。伝達ギヤ33は円筒状基部30に形成されたギヤ配置孔に配置される。
【0036】
固定環17のケース取付部32にはケース体34が取り付けられる。
【0037】
ケース体34の内部にはモーター35が取り付けられている(図4参照)。ケース体34の内部には図示しない伝達ギヤ群が配置され、該伝達ギヤ群は伝達ギヤ33に噛合されている。モーター35が起動されると、伝達ギヤ群を介して駆動力が伝達ギヤ33に伝達される。
【0038】
ケース体34は取付用板バネ36によって固定環17と固定部材16に取り付けられる。
【0039】
カム筒18は固定環17に前後方向へ移動自在かつ周方向に回転自在に支持される(図4及び図6参照)。
【0040】
カム筒18は略円環状に形成され、外周面における後端部の一部にラックギヤ18aを有している。
【0041】
カム筒18は固定環17に前後方向へ移動自在かつ周方向へ回転自在に支持される。
【0042】
カム筒18が固定環17に支持された状態においては、ラックギヤ18aが固定部材16と固定環17の間で回転自在に支持された伝達ギヤ33に噛合される。従って、ケース体34に保持されたモーター35が回転されると、その駆動力が伝達ギヤ群及び伝達ギヤ33を介してラックギヤ18aに伝達され、モーター35の回転方向に応じた方向へカム筒18が回転され、固定環17に対して回転しながら前後方向へ移動又は回転される。
【0043】
固定環17には直進ガイド37が前後方向へ移動自在に支持される。直進ガイド37は環状部38と該環状部38から前方へ突出されたガイド突部39、39、39とが一体に形成されて成る。
【0044】
直進ガイド37は固定環17に前後方向へ移動自在に支持されると共にカム筒18に対して回転可能とされる。
【0045】
固定環17の前半部には飾りリング40が取り付けられる(図4及び図6参照)。
【0046】
カム筒18には第2の可動ユニット41が支持される(図6参照)。第2の可動ユニット41は中間可動ユニット42と該中間可動ユニット42に取り付けられた光量調整装置43とから成る(図7参照)。
【0047】
中間可動ユニット42はベース枠44に所要の各部材が支持又は取り付けられて成る。
【0048】
ベース枠44は円板部45と該円板部45の外周部に設けられた被支持面部46とを有している。
【0049】
円板部45の中央部には前後に貫通された透過用開口45aが形成されている。
【0050】
ベース枠44の前面側には第1の補正用移動枠47が左右方向へ移動自在に支持され、該第1の補正用移動枠47には第2の補正用移動枠48が上下方向へ移動自在に支持されている。第2の補正用移動枠48にはレンズ群48aが取り付けられている。
【0051】
第2の補正用移動枠48の前面には回路基板49が取り付けられている。
【0052】
上記したように、ベース枠44に第1の補正用移動枠47が支持され、該第1の補正用移動枠47に第2の補正用移動枠48が支持され、該第2の補正用移動枠48に回路基板49が取り付けられた状態において、ベース枠44の前面に外コア50が取り付けられて中間可動ユニット42が構成される。
【0053】
中間可動ユニット42の後面側には光量調整装置43が取り付けられ、両者によって第2の可動ユニット41が構成される(図7及び図8参照)。
【0054】
第2の可動ユニット41は、直進ガイド37のガイド突部39、39、39に前後方向へ移動自在に支持されると共にカム筒18に摺動自在に支持される。従って、第2の可動ユニット41はカム筒18の回転により直進ガイド37に案内されて前後方向(光軸方向)へ移動される。
【0055】
光量調整装置43はベース枠44の後面側に取り付けられる(図7及び図8参照)。
【0056】
光量調整装置43はベース体51に所要の各部材が支持又は取り付けられて成る(図7乃至図10参照)。
【0057】
ベース体51は略円環状に形成され、図11に示すように、前面側の外周部52を除いた部分に前方に開口された浅い装着用凹部53を有している。ベース体51は装着用凹部53が形成された部分の厚みが外周部52の厚みより薄く形成されている。
【0058】
装着用凹部53には大きな透孔53aが形成されている。装着用凹部53には、透孔53aの周囲の位置に、前方へ突出されたフィルター用回動中心軸53b、それぞれ前方へ突出されたシャッター用回動中心軸53c、53dが設けられている。装着用凹部53にはそれぞれ前後に貫通された円弧状の挿通孔53e、53fが形成されている。
【0059】
フィルター用回動中心軸53bとシャッター用回動中心軸53c、53dは、透孔53aを挟んだ略反対側に位置され、シャッター用回動中心軸53c、53dは周方向において離隔して位置され、挿通孔53eはフィルター用回動中心軸53bの近傍に位置され、挿通孔53fはシャッター用回動中心軸53c、53dの間に位置されている。
【0060】
ベース体51の後面には後方へ突出された3つの取付突部51a、51b、51cが2組設けられている。1組の取付突部51a、51b、51cは後述する第1のアクチュエーターをベース体51に取り付けるためのものであり、別の1組の取付突部51a、51b、51cは後述する第2のアクチュエーターをベース体51に取り付けるためのものである。
【0061】
取付突部51aは略円柱状に形成され、外周面に周方向に離隔して、例えば、3つの小突起51d、51d、51dを有している。
【0062】
取付突部51bと取付突部51cは対向した状態で設けられている。外側に位置する取付突部51bには、取付突部51cと対向する面に、小突起51eが設けられている。内側に位置する取付突部51cは、取付突部51bと対向する面が被押し当て面51fとして形成されている。
【0063】
ベース体51の前面側にはカバー板54、第1のセパレーター55及び第2のセパレーター56が取り付けられる(図9及び図10参照)。
【0064】
カバー板54は、例えば、金属材料によって形成され、前後方向を向く覆い部57と該覆い部57の外周部からそれぞれ後方へ突出された被取付用突片58、58、58とから成る。
【0065】
覆い部57の中央部にはベース体51の透孔53aより小さな光透過孔57aが形成されている。覆い部57には後方へ打ち出されることにより形成された第1の摺動突部57b、57bと第2の摺動突部57c、57cが設けられている(図9及び図13参照)。
【0066】
覆い部57の外周部には、軸挿入孔57d、57e、57fとそれぞれ円弧状に形成された挿通孔57g、57hが形成されている。軸挿入孔57dと軸挿入孔57e、57fは、光透過孔57aを挟んだ略反対側に位置され、軸挿入孔57e、57fは周方向において離隔して位置され、挿通孔57gは軸挿入孔57dの近傍に位置され、挿通孔57hは軸挿入孔57e、57f間に位置されている。
【0067】
第1のセパレーター55は、図9に示すように、中央部にカバー板54の光透過孔57aと略同じ大きさに形成された透過孔55aを有している。第1のセパレーター55の外周部には、軸挿入孔55b、55c、55dとそれぞれ円弧状に形成された挿通孔55e、55fが形成されている。軸挿入孔55bと軸挿入孔55c、55dは、透過孔55aを挟んだ略反対側に位置され、軸挿入孔55c、55dは周方向において離隔して位置され、挿通孔55eは軸挿入孔55bの近傍に位置され、挿通孔55fは軸挿入孔55c、55d間に位置されている。
【0068】
第2のセパレーター56は、中央部にカバー板54の光透過孔57aと略同じ大きさに形成された透過孔56aを有している。第2のセパレーター56の外周部には、軸挿入孔56b、56cとそれぞれ円弧状に形成された挿通孔56d、56eが形成されている。軸挿入孔56bと軸挿入孔56cは透過孔56aを挟んだ略反対側に位置され、挿通孔56d、56eはそれぞれ軸挿入孔56b、56cの近傍に位置されている。
【0069】
ベース体51にはシャッター羽根59、60とフィルター羽根61が回動自在に支持される(図9及び図13参照)。シャッター羽根59、60とフィルター羽根61はベース体51の透孔53aを介して撮像装置1の内部に取り込まれる光の量を調整する光量調整部材として機能する。
【0070】
シャッター羽根59、60はそれぞれシート状の材料によって形成され、一端部にそれぞれ軸挿入孔59a、60aと一方向に長い作用孔59b、60bとを有している。
【0071】
フィルター羽根61は、図14及び図15に示すように、減光用フィルター62の両面にシート部材63、63が積層状に結合されて形成され、該シート部材63、63には第1のセパレーター55の透過孔55aより径の大きな円形孔63a、63aが形成されている。従って、フィルター羽根61は円形孔63a、63aに対応する位置に減光用フィルター62が露出され、この露出された部分が光の量を制御して調整する制御部62aとして設けられている。減光用フィルター62としては、ND(Neutral Density)フィルターが用いられている。
【0072】
フィルター羽根61には一端部に軸挿入孔61aと一方向に長い作用孔61bとが形成されている。
【0073】
第2のセパレーター56はベース体51の装着用凹部53に配置されて取り付けられ、軸挿入孔56b、56cにそれぞれベース体51のフィルター用回動中心軸53b、シャッター用回動中心軸53cが挿入される。シャッター用回動中心軸53dは第2のセパレーター56の直ぐ外側に位置される。
【0074】
第2のセパレーター56の前面側にフィルター羽根61が支持される(図9参照)。フィルター羽根61は軸挿入孔61aにベース体51のフィルター用回動中心軸53bが挿入され、該フィルター用回動中心軸53bを支点としてベース体51に回動自在に支持される。
【0075】
フィルター羽根61は上記のように減光用フィルター62の両面にシート部材63、63が積層状に結合されて形成された3枚構成とされており、第1のセパレーター55と第2のセパレーター56の間での回動時における減光用フィルター62の傷付きや損傷の防止を図ることができる。
【0076】
第1のセパレーター55がベース体51に取り付けられた状態において、シャッター羽根59、60がベース体51に回動自在に支持される(図13参照)。シャッター羽根59、60はそれぞれ軸挿入孔59a、60aにベース体51のシャッター用回動中心軸53c、53dが挿入され、該シャッター用回動中心軸53c、53dを支点として一部が重ねられた状態でベース体51に回動自在に支持される。
【0077】
シャッター羽根59、60がベース体51に支持された状態において、カバー板54がベース体51に取り付けられる(図9及び図10参照)。カバー板54は被取付用突片58、58、58に外周部52が係合されることによりベース体51に取り付けられる。従って、シャッター羽根59、60はカバー板54と第1のセパレーター55の間で回動可能とされる。
【0078】
ベース体51の後面には第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65が取り付けられる(図9及び図12参照)。
【0079】
第1のアクチュエーター64は、コア66、該コア66に保持されたコイル67、マグネット68及び駆動アーム69を有し、該駆動アーム69はベース部69aと該ベース部69aから前方へ突出されたアーム部69bとから成る。アーム部69bの先端部には駆動ピン69cが設けられている。
【0080】
コア66はマグネット68を外周方向から挟んで位置する一対の対峙部66a、66bと該一対の対峙部66a、66bの各一端部を連結する連結部66cとを有し、対峙部66a、66bの先端部はマグネット68の外周面に沿う円弧状に形成されている。
【0081】
第2のアクチュエーター65はコア70、該コア70に保持されたコイル71、マグネット72及び駆動アーム73を有し、該駆動アーム73はベース部73aと該ベース部73aから前方へ突出されたアーム部73bとから成る。アーム部73bの先端部には駆動ピン73cが設けられている。
【0082】
コア70はマグネット72を外周方向から挟んで位置する一対の対峙部70a、70bと該一対の対峙部70a、70bの各一端部を連結する連結部70cとを有し、対峙部70a、70bの先端部はそれぞれマグネット68の外周面に沿う円弧状に形成されている。
【0083】
コア66、70の連結部66c、70cには、それぞれ円形の被取付孔66d、70dが形成されている。
【0084】
第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65は、それぞれコイル67、71に流れる電流に応じてコア66、70とマグネット68、72との間に回転力が発生し、この回転力によって駆動アーム69、73がコイル67、71に流れる電流の向きに応じた方向へ回動される。
【0085】
第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65は、ベース体51の周方向に離隔した位置に押さえ板74によって後方から押さえられて取り付けられる(図7乃至図9参照)。
【0086】
第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65は、それぞれベース体51に被取付部51a、51b、51cによって取り付けられる(図12参照)。
【0087】
第1のアクチュエーター64は、コア66の被取付孔66dに取付突部51aが挿入されて嵌合され、コア66の対峙部66aにおける先端側の部分が取付突部51b、51c間に挿入されて嵌合されベース体51に取り付けられる。
【0088】
第1のアクチュエーター64がベース体51に取り付けられた状態においては、小突起51d、51d、51dによって取付突部51aが被取付孔66dに圧入され、小突起51eによって取付突部51b、51c間にコア66の対峙部66aにおける先端側の部分が圧入され、取付突部51cの被押し当て面51fにコア66が面接触された状態で押し当てられる。従って、第1のアクチュエーター64はベース体51に固定される。
【0089】
上記のように、コア66の対峙部66aにおける先端側の部分は取付突部51b、51c間に圧入されて挟持されるため、取付突部51b、51cはそれぞれ第1の挟持部と第2の挟持部として機能する。
【0090】
第2のアクチュエーター65のベース体51への取付も第1のアクチュエーター64と同様であり、コア66の被取付孔66dに取付突部51aが挿入されて嵌合され、コア66の対峙部66aにおける先端側の部分が取付突部51b、51c間に挿入されて嵌合されベース体51に取り付けられて固定される。
【0091】
以上に記載した通り、撮像装置1にあっては、ベース体51の2箇所において小突起51d、51d、51d、51eを有する取付突部51a、51bを設けて第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65を固定しているため、第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65のベース体51への取付に関する各部の加工精度を高めることなくベース体51に対する第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65のガタツキを防止することができる。
【0092】
また、コア66、70に円形の被取付孔66d、70dを形成し、取付突部51aの外周面に周方向に離隔した3つの小突起51d、51d、51dを設けているため、第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65のベース体51に対する取付状態の安定化を図ることができる。
【0093】
さらに、取付突部51bに小突起51eを設け、取付突部51cに被押し当て面51fを形成しているため、コア66の対峙部66aにおける先端側の部分が被押し当て面51fに面接触された状態でベース体51に取り付けられ、第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65の安定した取付状態を確保することができる。
【0094】
さらにまた、取付突部51bと取付突部51cはマグネット68、72の近傍に位置されているため、マグネット68、72の外周面とコア66、70の対向する面との間の位置精度が向上し、第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65の動作の信頼性を確保することができる。
【0095】
加えて、取付突部51aと取付突部51b、51cとがコイル67、71を挟んで反対側に位置されるため、取付突部51aと取付突部51b、51cとの距離が長く、第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65のベース体51に対する取付状態の安定化を図ることができる。
【0096】
尚、上記には、取付突部51aに三つの小突起51d、51d、51dを設けた例を示したが、取付突部51aに設けられる小突起51dは三つに限られることはなく、二つ以上であれば任意である。
【0097】
また、上記には、取付突部51bに小突起51eを設け、取付突部51cに被押し当て面51fを形成した例を示したが、逆に、取付突部51bに被押し当て面を形成し、取付突部51cに小突起を設けてもよい。
【0098】
第1のアクチュエーター64と第2のアクチュエーター65がベース体51に取り付けられた状態において、駆動アーム69の駆動ピン69cはベース体51の挿通孔53f、第2のセパレーター56の挿通孔56e、シャッター羽根59、60の作用孔59b、60b、第1のセパレーター55の挿通孔55f及びカバー板54の挿通孔57hを順に挿通され、また、駆動アーム73の駆動ピン73cはベース体51の挿通孔53e、第2のセパレーター56の挿通孔56d、フィルター羽根61の作用孔61b、第1のセパレーター55の挿通孔55e及びカバー板54の挿通孔57gを順に挿通される。
【0099】
シャッター羽根59、60の駆動に関しては、駆動アーム69の回動によりシャッター羽根59、60が互いに反対方向へ回動されて透孔53aが開閉される。
【0100】
フィルター羽根61の駆動に関しては、駆動アーム73の回動によりフィルター羽根61が回動されて透孔53aが開閉される。
【0101】
押さえ板74の後面には配線板75が取り付けられる(図4参照)。配線板75はコイル67、71に接続され、該コイル67、71に電源を供給する機能を有する。
【0102】
上記のようにして構成された光量調整装置43は、ベース体51がベース枠44に係合されて中間可動ユニット42に取り付けられ、該中間可動ユニット42と光量調整装置43によって第2の可動ユニット41が構成される。
【0103】
第1の可動ユニット19は移動枠76にレンズ群77が保持されて成る(図4及び図6参照)。移動枠76の中心部には、レンズホルダー78を介してレンズ群77が取り付けられる。
【0104】
第1の可動ユニット19は、移動枠76が直進ガイド37のガイド突部39、39、39に摺動自在に支持されると共にカム筒18に摺動自在に支持される。従って、第1の可動ユニット19はカム筒18の回転により直進ガイド37に案内されて前後方向(光軸方向)へ移動される。
【0105】
第1の可動ユニット19の前面側にはレンズバリヤー79が取り付けられる(図4及び図6参照)。
【0106】
第1の可動ユニット19にレンズバリヤー79が取り付けられた状態において、移動枠76とレンズバリヤー79の外面側に飾りリング80が取り付けられる。
【0107】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図2乃至図15と共に本発明の最良の形態を示すものであり、本図は、レンズ鏡筒が装置本体に収納されている状態で示す撮像装置の斜視図である。
【図2】レンズ鏡筒が装置本体から突出されている状態で示す撮像装置の斜視図である。
【図3】撮像装置を図1及び図2とは反対側から見た状態で示す斜視図である。
【図4】レンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図5】レンズ鏡筒の拡大斜視図である。
【図6】沈胴位置にある状態を示すレンズ鏡筒の拡大断面図である。
【図7】中間可動ユニットと光量調整装置を分離して示す拡大斜視図である。
【図8】第2の可動ユニットの拡大斜視図である。
【図9】光量調整装置の分解斜視図である。
【図10】光量調整装置の拡大斜視図である。
【図11】ベース体の拡大斜視図である。
【図12】第1のアクチュエーターと第2のアクチュエーターのベース体に対する取付状態を示す拡大正面図である。
【図13】カバー板とシャッター羽根を示す拡大分解斜視図である。
【図14】フィルター羽根の拡大分解斜視図である。
【図15】フィルター羽根の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0109】
1…撮像装置、2…装置本体、3…レンズ鏡筒、43…光量調整装置、51…ベース体、51a…取付突部、51b…取付突部、51c…取付突部、51d…小突起、51e…小突起、51f…被押し当て面、59…シャッター羽根(光量調整部材)、60…シャッター羽根(光量調整部材)、61…フィルター羽根(光量調整部材)、66…コア、66a…対峙部、66b…対峙部、66c…連結部、66d…被取付孔、67…コイル、68…マグネット、69…駆動アーム、70…コア、70a…対峙部、70b…対峙部、70c…連結部、70d…被取付孔、71…コイル、72…マグネット、73…駆動アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向へ動作されてレンズ群を透過された光の量を調整する光量調整部材と、
円板状に形成された回転可能なマグネットと、
マグネットの回転に伴って回転され光量調整部材を動作させる駆動アームと、
マグネットを外周方向から挟んで位置する一対の対峙部と該一対の対峙部の各一端部を連結する連結部とを有するコアと、
コアの一方の対峙部が貫通されたコイルと、
コアが取り付けられると共にマグネットが回転自在に支持されたベース体とを備え、
ベース体には少なくとも2箇所においてコアを取り付ける複数の取付突部が設けられ、
取付突部にコアと嵌合する小突起を設けた
ことを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
コアに円形の被取付孔を形成し、
被取付孔に挿入される取付突部を略円柱状に形成し該取付突部の外周面に少なくとも二つの小突起を周方向に離隔して設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項3】
取付突部としてコアを挟持する第1の挟持部と第2の挟持部を設け、
第1の挟持部に小突起を設け、
第2の挟持部にコアが面接触された状態で押し当てられる被押し当て面を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項4】
マグネットの近傍に取付突部を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項5】
コイルを軸方向において挟んだ反対側に少なくとも二つの取付突部を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項6】
内部に所定のレンズ群が配置されたレンズ鏡筒と該レンズ鏡筒を支持する装置本体とを備え、レンズ鏡筒にレンズ群を介して取り込まれる光の量を調整する光量調整装置が組み込まれた撮像装置であって、
所定の方向へ動作されてレンズ群を透過された光の量を調整する光量調整部材と、
円板状に形成された回転可能なマグネットと、
マグネットの回転に伴って回転され光量調整部材を動作させる駆動アームと、
マグネットを外周方向から挟んで位置する一対の対峙部と該一対の対峙部の各一端部を連結する連結部とを有するコアと、
コアの一方の対峙部が貫通されたコイルと、
コアが取り付けられると共にマグネットが回転自在に支持されたベース体とを備え、
ベース体には少なくとも2箇所においてコアを取り付ける複数の取付突部が設けられ、
取付突部にコアを嵌合する小突起を設けた
ことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−176061(P2008−176061A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9442(P2007−9442)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】