光量調整装置
【課題】径方向及び軸方向の寸法を小さくすることができると共に、モータ出力を高くすることができるモータ機構部を備える光量調整装置を提供する。
【解決手段】光量調整装置は、モータ機構部11のステータ1が絞り羽根A〜G及び絞り羽根A〜Gを駆動する回転部材Hを間に挟んでカム部材Iに固定される押え部材Jに一体に形成される。ステータ1は、ロータの回転軸を回転可能に支持する支持部、第1の磁極部1b、及び第2の磁極部1cを有する。第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cは、それぞれロータの回転軸線に対して直交する方向にロータの外周部に向かって延出し、延出端からコイル3及びコイル4の内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、延出端がロータの外周部に対向配置される。第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cは、第1の磁極部1bの延出方向に延びる線と第2の磁極部1cの延出方向に延びる線とが互いに交差するようにロータの周方向に角度をもって配置される。
【解決手段】光量調整装置は、モータ機構部11のステータ1が絞り羽根A〜G及び絞り羽根A〜Gを駆動する回転部材Hを間に挟んでカム部材Iに固定される押え部材Jに一体に形成される。ステータ1は、ロータの回転軸を回転可能に支持する支持部、第1の磁極部1b、及び第2の磁極部1cを有する。第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cは、それぞれロータの回転軸線に対して直交する方向にロータの外周部に向かって延出し、延出端からコイル3及びコイル4の内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、延出端がロータの外周部に対向配置される。第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cは、第1の磁極部1bの延出方向に延びる線と第2の磁極部1cの延出方向に延びる線とが互いに交差するようにロータの周方向に角度をもって配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等に設けられる光量調整装置に関し、特にモータ機構部を備える光量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光量調整装置の従来の駆動源としては、例えば図9及び図10に示すステッピングモータが知られている(特許文献1)。図9は従来のステッピングモータの一例を模式的に示す縦断面図、図10は図9に示すステッピングモータのステータから流れる磁束の状態を模式的に示す部分断面図である。
【0003】
図9に示すステッピングモータは、ステータコイル105が同心状に巻回されたボビン101が、軸方向に並んで2つ配置され、これらの2つのボビン101は、それぞれ別のステータヨーク106に挟持固定されている。ステータヨーク106の内径面には、円周方向に沿って交互に配置されるステータ歯106a,106bが形成されている。ステータ歯106a又は106bと一体のステータヨーク106が、2つのケース103それぞれに固定されている。これにより、励磁用の2つのステータコイル105のそれぞれに対応する2つのステータ102が形成されている。
【0004】
2つのケース103の一方のケースには、フランジ115と軸受108が固定され、他方のケース103には、軸受108が固定されている。ロータ109は、ロータ軸110にロータマグネット111が固定され、ロータマグネット111は、2つのステータ102のステータヨーク106と放射状の空隙部を形成している。
【0005】
そして、ロータ軸110は、2つの軸受108によって回転可能に支持されている。ステータコイル105への通電により発生する磁束は、図10に示すように、主にステータ歯106aの端面106a1とステータ歯106bの端面106b1 とを通過する。
【0006】
また、光量調整装置の従来の駆動源としては、例えば図11及び図12に示すステッピングモータが知られている(特許文献2)。図11は従来のステッピングモータの分解斜視図であり、図12は図11に示すステッピングモータの組み立て状態での軸方向に沿う断面図である。
【0007】
図11及び図12において、ロータ21は、永久磁石からなる円筒形状のマグネット部と、マグネット部の両端部に設けられる軸部21t,21sとを備える。マグネット部は、円周方向にS極とN極とが交互に着磁され、軸部21t,21sとマグネット部を成形あるいは接着等により一体的に形成することで径方向の寸法を短くしている。
【0008】
ロータ21の軸部21t,21sは、それぞれステータ22の嵌合穴22h及びカバー25の嵌合穴25aに回転可能に嵌合される。ステータ22は、軟磁性材料からなり、内部磁極部を成す円筒部22gを有するとともに、内筒部22gの外周側で内筒部22gの軸線と平行に延びる櫛歯形状の第1の外側磁極部22a,22b,22c及び第2の外側磁極部22d,22e,22fを有する。
【0009】
この第1及び第2の外側磁極部22a〜22c,22d〜22fには、それぞれ第1及び第2のコイル23,24が巻回され、該コイル23,24に通電することにより励磁されて発生する磁束がロータ21のマグネット部に作用する。
【0010】
更に、光量調整装置の従来の駆動源として、例えば図13に示すステッピングモータが知られている(特許文献3)。図13は、従来のステッピングモータの軸方向に沿う断面図である。
【0011】
図13に示すステッピングモータについても、上記特許文献2と同様、コイル38がロータ37の回転軸36と平行に縦置きされ、更に非磁性部材30が介されている。
【0012】
更に、光量調整装置の従来の駆動源として、例えば図14に示すステッピングモータが知られている(特許文献4)。図14は、従来のステッピングモータの要部を示す斜視図である。
【0013】
図14において、ロータ47は、回転軸47eを回転中心として回転可能に鏡筒地板41に取り付けられ、半径方向に2つの部分47a,47bに分割着磁されている。また、ロータ47には、軸方向に2層に分けられた着磁層が設けられている。
【0014】
第1ステータ48は、磁極部48a,48bを有し、これらの磁極部48a,48bがロータ47に隣接するように鏡筒地板41に固定されている。第2ステータ49も、磁極部49a,49bがロータ47に隣接するようにかつ第1ステータ48とは反対側位置で鏡筒地板41に固定されている。また、両ステータ48,49には、それぞれの磁極部を励磁するためのコイル45,46が巻回されている。
【0015】
図15は、上記特許文献1〜4のステッピングモータを駆動源とした従来の光量調整装置の分解斜視図である(特許文献5)。
【0016】
図15において、絞り羽根51〜57は、合成樹脂等で形成されており、遮光性を有し開口量を調整する薄板状の第1基部51a〜57a、及び第2基部51b〜57bを有する。第1基部51a〜57aの一方の面には、第1軸部51c〜57cが一体に形成され、他方の面には、第2軸部51d〜57d(一部不図示)が一体に形成されている。
【0017】
回転部材58は、絞り羽根51〜57を駆動する部材であり、中央に開口部58aを有するリング状に形成されている。回転部材58には、穴部58b〜58h、回転嵌合突起部58i、ギヤ部58j、及び遮光部58kが設けられている。
【0018】
カム部材59は、中央に開口部59aを有するリング状の部材であり、開口部9aが絞り羽根51〜57により調整される開口量の最大開口量を規定する。また、カム部材59には、カム溝部59b〜59hが設けられている。
【0019】
押え部材60は、中央に開口部60aを有するリング状の押え部材であり、押え部材60には、穴部60b及びモータ取付部60cが設けられている。
【0020】
ステッピングモータ61は、回転部材58を駆動するためのものであり、押え部材60のモータ取付部60cに取り付けられる。その際、ステッピングモータ61のモータ軸に固定されたピニオン62は、押え部材60の穴部60bを貫通して回転部材58のギヤ部58jと噛み合う。ステッピングモータ61は、一般的な2つのコイルを備える2相のPM型ステッピングモータである。
【0021】
つまり、ステッピングモータ61のモータ軸に固定されたピニオン62と回転部材58のギヤ部58jとが噛み合うことで回転部材58とステッピングモータ61がギヤ連結されている事になる。
【0022】
初期位置センサ63は、回転部材58の遮光部58kの初期位置センサ63への挿入、退避状態を検知することで、回転部材58が初期位置状態にあるか否かを検知する。
【0023】
押え部材60は、回転部材58と絞り羽根51〜57を間に挟んでカム部材59に固定され、回転部材58と絞り羽根51〜57の光軸方向の抜け止めの役割を果たす。その際、回転部材58の回転嵌合突起部58iは、押え部材60の開口部60aに嵌合して回転可能に支持される。また、絞り羽根51〜57の第1軸部51c〜57cは、回転部材58の穴部58b〜58hにそれぞれ回動可能に嵌合しており、第2軸部51d〜57dは、カム部材59のカム溝部59b〜59hにそれぞれ摺動可能に嵌合している。
【0024】
絞り羽根51〜57は、光軸を中心に円周方向に均等配置されて、遮光性を有する第1基部51a〜57a及び第2基部51b〜57bが重ね合わされることで絞り開口を制御可能となり、重ね合わせ面積が大きいほど絞り開口量は小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2005−143207号公報
【特許文献2】特開2004−064876号公報
【特許文献3】特開2000−032721号公報
【特許文献4】特開平05−336729号公報
【特許文献5】特開2009−180921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
ところで、図16において、モータMの直径をD1、光量調整装置300の最大開口量を規定する開口部301の直径をD2とすると、光量調整装置300の直径D3は、少なくとも(2×D1+D2)になる。
【0027】
しかし、上記特許文献1( 図9)のステッピングプモータでは、ロータ109の外周側に、ケース103、ボビン101、ステータコイル105及びステータヨーク106が同心状に配置されているため、モータの外形寸法が大きくなってしまう。このため、光量調節装置300の直径D3が大径になり、大型化を招いてしまう。
【0028】
また、上記特許文献1のステッピングモータでは、ステータコイル105への通電により発生する磁束は、図10に示すように、主にステータ歯106aの端面106a1とステータ歯106bの端面106b1 とを通過する。このため、ステータコイル105への通電により発生する磁束がロータマグネット111に効果的に作用せず、モータ出力を高くすることが難しい。
【0029】
上記特許文献2(図11及び図12)のステッピングモータでは、コイル23,24がロータ21の回転軸と平行に縦置きされているため、径方向の寸法は小さくできるが、モータ出力を高くするには高さ方向(軸方向)の寸法が大きくなるという問題がある。
【0030】
上記特許文献3(図13)のステッピングモータでは、上記特許文献2と同様、コイル38がロータ37の回転軸36と平行に縦置きされ、更に非磁性部材30が介されているため、径方向の寸法は小さくできるが、高さ方向(軸方向)の寸法は大きくなる。
【0031】
上記特許文献4(図14)のステッピングモータでは、径方向の寸法は小さくなるが、ロータ47を支持するための鏡筒地板41、ステータ48,49、及びコイル45,46の高さが必要になる。このため、ステッピングモータの高さ方向(軸方向)の寸法が大きくなり、また、ステータ磁極により発生する磁束がロータ47の永久磁石に有効に作用しないため、モータ出力を高くすることが難しい。
【0032】
そこで、本発明は、径方向及び軸方向の寸法を小さくして小型化を図ることができると共に、モータ出力を高くすることができるモータ機構部を備える光量調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記目的を達成するために、本発明の光量調整装置は、開口部の開口量を調整する複数の絞り羽根と、前記絞り羽根を駆動する駆動部材と、前記駆動部材により駆動される前記絞り羽根の前記開口部への進入量を規制するカム部材と、前記駆動部材と前記絞り羽根とを間に挟んで前記カム部材に固定される押え部材と、前記駆動部材にギヤ連結され、前記駆動部材に駆動力を伝達するモータ機構部と、を備え、前記モータ機構部は、円周方向に多分割されて異なる極が交互に着磁されたロータ、筒状に巻回された第1のコイル、筒状に巻回された第2のコイル、及び軟磁性材料からなるステータを有し、前記ステータは、前記押え部材又は前記カム部材に一体に形成されて、前記ロータの回転軸を回転可能に支持する支持部、第1の磁極部、及び第2の磁極部を有し、前記第1の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第1のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、前記第2の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第2のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部は、前記第1の磁極部の延出方向に延びる線と前記第2の磁極部の延出方向に延びる線とが互いに交差するように前記ロータの周方向に角度をもって配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、径方向及び軸方向の寸法を小さくして小型化を図ることができると共に、モータ出力を高くすることができるモータ機構部を備える光量調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態の一例である光量調整装置を説明するための分解斜視図である。
【図2】モータ機構部の分解斜視図である。
【図3】モータ機構部の組立後の斜視図である。
【図4】モータ機構部の軸方向に沿う断面図である。
【図5】モータ機構部の動作例を説明するための平面図である。
【図6】図1の光量調整装置における回転部材Hの回転位置と絞り開口面積との関係を示すグラフ図である。
【図7】回転部材とピニオンとの噛合状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態である光量調整装置を説明するための分解斜視図である。
【図9】従来のステッピングモータの一例を模式的に示す縦断面図である。
【図10】図9に示すステッピングモータのステータから流れる磁束の状態を模式的に示す部分断面図である。
【図11】従来の他のステッピングモータを示す分解斜視図である。
【図12】図11に示すステッピングモータの組み立て状態での軸方向に沿う断面図である。
【図13】従来の他のステッピングモータの軸方向に沿う断面図である。
【図14】従来の他のステッピングモータの要部を示す斜視図である。
【図15】従来の光量調整装置の分解斜視図である。
【図16】モータの直径と光量調整装置の直径との関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施形態の一例である光量調整装置を説明するための分解斜視図である。
【0038】
図1において、絞り羽根A〜Gは、遮光性を有し開口量を調整する第1基部A1〜G1及び第2基部A2〜G2からなる薄板状の羽根基部を有する。また、絞り羽根A〜Gは、第1基部A1〜G1の一方の面に設けられる第1軸部A3〜G3と、他方の面に設けられる第2軸部A4〜G4(一部不図示)とを有する。羽根基部、第1軸部A3〜G3、及び第2軸部A4〜G4は、合成樹脂により一体成形される。
【0039】
回転部材Hは、絞り羽根A〜Gの駆動部材であり、中央に開口部H1を有するリング状に形成されている。回転部材Hには、穴部H2〜H7、突起部H8、円弧状のギヤ部H9、及び遮光部H10が設けられている。
【0040】
カム部材Iは、中央に開口部I1を有するリング状の部材であり、カム部材Iの基板I9には、回転部材Hにより駆動される絞り羽根A〜Gの開口部11への進入量を規制するカム溝部I2〜I8が設けられている。
【0041】
この開口部I1が絞り羽根A〜Gにより調整される開口量の最大開口量を規定しており、従って、カム部材Iは、最大開口量を規定する開口地板(基部)も兼ねている。なお、カム部材Iとは別の部材で絞り羽根A〜Gにより調整される開口量の最大開口量を規定しても良い。
【0042】
押え部材Jは、中央に開口部J1を有するリング状の部材である。押え部材Jの一部には、軟磁性材料から成るモータ取付部が設けられ、後述するモータ機構部11のステータ1として兼用される。このため、ステータ1には、ロータ6の回転軸8を回転可能に支持する支持穴が形成された支持部1a、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cが設けられている。
【0043】
モータ機構部11は、回転部材Hを駆動するためのもので、ステッピングモータで構成されて、押え部材Jのモータ取付部に取り付けられる。モータ機構部11が押え部材Jに取り付けられた状態で、ロータ6の回転軸8(図2参照)に固定されたピニオン12は、押え部材Jの穴部(不図示)を貫通して回転部材Hのギヤ部H9に噛み合う。これにより、回転部材Hとモータ機構部11とがギヤ連結されて、回転部材Hにモータ機構部11の駆動力が伝達される。なお、モータ機構部11の詳細については、図2〜図5を用いて後述する。
【0044】
初期位置センサLは、モータ機構部11に取り付けられ、回転部材Hの遮光部H10の初期位置センサLに対する挿入状態や退避状態を検知することで、回転部材Hが初期位置にあるか否かを判定する。
【0045】
押え部材Jは、回転部材Hと絞り羽根A〜Gを間に挟んでカム部材Iに固定され、これにより、回転部材Hと絞り羽根A〜Gの光軸方向の抜け止めの役割を果たしている。ここで、回転部材Hの突起部H8は、押え部材Jの開口部J1に回転可能に嵌合する。また、絞り羽根A〜Gの第1軸部A3〜G3は、回転部材Hの穴部8b〜8hにそれぞれ回動可能に嵌合し、第2軸部A4〜G4は、カム部材Iのカム溝部I2〜I8にそれぞれ摺動可能に嵌合する。
【0046】
絞り羽根A〜Gは、光軸を中心に円周方向に均等に配置され、遮光性を有する第1基部A1〜G1及び第2基部A2〜G2が重ね合わされることで、絞り開口面積が可変となり、重ね合わせ面積が大きいほど絞り開口面積は小さくなる。
【0047】
[モータ機構部]
次に、図2〜図5を参照して、モータ機構部11について詳述する。図2はモータ機構部11の分解斜視図、図3はモータ機構部11の組立後の斜視図、図4はモータ機構部11の軸方向に沿う断面図、図5はモータ機構部11の動作例を説明するための平面図である。
【0048】
図2〜図5において、ロータ6は、磁性体からなる回転軸8、コア9、及び永久磁石7を備える。回転軸8は、コア9の内周部に圧入若しくは接着等により嵌合され、コア9は、永久磁石7の内周部に圧入もしくは接着等により嵌合されている。なお、永久磁石7を樹脂成形品として、回転軸8とコア9を一体成形しても構わない。
【0049】
ステータ1は、押え部材Jの一部を軟磁性材料で形成することで、押え部材Jと一体に形成されている。ステータ1は、中央部位に嵌合穴が形成された支持部1aと、支持部1aと一体若しくは磁気的に連結され、コイル3が巻回された第1の磁極部1bと、支持部1aと一体若しくは磁気的に連結され、コイル4が巻回された第2の磁極部1cとを備える。支持部1aの嵌合穴には、磁性体からなる軸受2が圧入される。ここで、コイル3は、本発明の第1のコイルの一例に相当し、コイル4は、本発明の第2のコイルの一例に相当する。
【0050】
ロータ6の回転軸8の下端8bは、軸受2の穴2aに、上端8aは、カバー10の軸穴10aにそれぞれ回転可能に支持される。軸受2とロータ6のコア9との間には、磁気吸引力が発生して回転負荷が大きくなるのを避けるため、非磁性体からなるワッシャ5が介在する。カバー10は、ステータ1に固定され、これにより、モータ機構部11が構成される。
【0051】
次に、上述のモータ機構部11の構成部品について詳述する。
【0052】
[ステータ]
ステータ1(ヨーク)は、押え部材Jの一部を軟磁性材料の板材(例えば、板厚t=0.5mm±0.03mm)で形成することで、押え部材Jと一体に形成される。ステータ1は、中央部位に嵌合穴が形成された支持部1aと、支持部1aと一体若しくは磁気的に連結され、コイル3が巻回された第1の磁極部1bと、支持部1aと一体若しくは磁気的に連結され、コイル4が巻回された第2の磁極部1cとを備える。本実施形態では、支持部1aの嵌合穴、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cをプレス加工により形成している。
【0053】
第1の磁極部1bは、ロータ6の回転軸線に対して直交する方向にロータ6の外周部に向かって延出し、延出端からコイル3の内周部が延出方向に沿って挿入される。かかる挿入状態では、第1の磁極部1bの延出端は、コイル3から突出して永久磁石7の外周部に接近して対向配置される。
【0054】
第2の磁極部1cも同様に、ロータ6の回転軸線に対して直交する方向にロータ6の外周部に向かって延出し、延出端からコイル4の内周部が延出方向に沿って挿入される。かかる挿入状態では、第2の磁極部1cの延出端は、コイル4から突出して永久磁石7の外周部に接近して対向配置される。
【0055】
ここで、本実施形態では、第1の磁極部1bの延出方向に延びる線と第2の磁極部1cの延出方向に延びる線とが互いに交差するように、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cを配置している。
【0056】
具体的には、図5に示すように、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cは、ロータ6の回転軸線に対してθ=(180/NA+A×360/NA)°、すなわち(30+60×A)°の角度をもって周方向に互いに離間配置されている。式中のAは整数であり、本実施形態では、NA=6、A=2とし、θ=150°としている。
【0057】
[軸受]
軸受2は、磁性体からなり、回転軸8の下端8bが貫通する嵌合穴2aを有する。
【0058】
[コイル]
コイル3は、筒状に巻回され、内周部が第1の磁極部1bの延出端から挿入されて、中心軸がロータ6の回転軸線に対して直交して配置される。コイル4は、筒状に巻回され、内周部が第2の磁極部1cの延出端から挿入されて、中心軸がロータ6の回転軸線に対して直交して配置される。
【0059】
[ワッシャ]
ワッシャ5は、非磁性材料からなり、ステータ1の支持部1aとロータ6との間に配置されている。これにより、支持部1aとロータ6との間に僅かな磁性ギヤップを形成して、ステータ1とロータ6との軸方向の磁気力による吸着を防ぐ。
【0060】
[永久磁石]
永久磁石7は、円周方向に多分割(本実施形態では、6分割:図5参照)されて、N極とS極とが交互に着磁されている。永久磁石7は、プラスチックマグネット材料を射出成形等して形成することで、径方向の厚さを非常に薄くすることができる。
【0061】
永久磁石7の内周面は、外周面に比べて弱い着磁分布を持つか、あるいは全く着磁されていないか、あるいは外周面と逆の極、すなわち外周面がS極の場合はその範囲の内周面はN極に着磁されているもののいずれかである。
【0062】
[回転軸]
回転軸8は、軟磁性材料からなり、永久磁石7の内周部に固着される。回転軸8の上端8aは、カバー10の軸穴10aに回転可能に嵌合され、下端8bは、ステータ1の支持部1aの嵌合穴に嵌合された軸受2の嵌合穴2aに回転可能に嵌合される。軸受2の嵌合穴2aから突出する回転軸8の下端8bには、ピニオン12が固定される。
【0063】
[コア]
コア9は、軟磁性材料からなり、ステータ1の第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cにより構成される外ヨークに対し、内ヨークを構成して、第1の磁極部1bと第2の磁極部1cと共に磁気回路を形成する。
【0064】
[カバー]
カバー10は、ステータ1に例えば接着やビス止め等により固定されて、ロータ6を覆う。
【0065】
[モータ機構部の動作]
次に、図5を参照して、モータ機構部11の動作例について説明する。
【0066】
図5において、コイル4に通電が行われると、ステータ1の第2の磁極部1cが励磁され、ロータ6の永久磁石7の円周方向に多分割された磁極のうちの一つの磁極が第2の磁極部1cに対向する位置でロータ6が静止する(イニシャル通電)。
【0067】
例えば、コイル4に正方向の通電が行われると、第2の磁極部1cがS極に励磁され、永久磁石7のN極が第2の磁極部1cに対向する位置でロータ6が静止する。
【0068】
磁路としては、コイル4への通電により発生した磁束は、ステータ1の第2の磁極部1c、第2の磁極部1cと永久磁石7との間のエアギヤップ、永久磁石7、及びコア9を通って支持部1aに至る。
【0069】
コイル4に正方向通電した状態でコイル3に正方向通電をすると、第1の磁極部1bもS極に励磁され、ロータ6は、回転軸8中心に図5の時計回り方向に回転し、第1及び第2の磁極部1b,1cのそれぞれに永久磁石7のN極が均等に対向する位置に移動する。
【0070】
このように、コイル4に正方向通電→コイル3に正方向通電→コイル3の通電を絶つ、というように1相励磁と2相励磁を繰り返すことで、一定角度ずつロータ6を回転させることができる(1−2相励磁によるステッピングモータの駆動)。
【0071】
[回転部材とピニオンとの関係]
図6は図1の光量調整装置における回転部材Hの回転位置と絞り開口面積との関係を示すグラフ図、図7は回転部材Hとピニオン12との噛合状態を示す斜視図である。
【0072】
図6において、初期位置センサLが回転部材Hの遮光部H10の挿入状態を検知しているとき、絞り羽根A〜Gは、カム部材Iのカム溝部I2〜I8に沿って開口部I1より外側に退避し、最大開口を遮蔽しない退避位置にある。
【0073】
この退避位置からモータ機構部11が所定ステップ(本例では、3ステップ)だけピニオン12を図7の矢印CCW方向に駆動し、回転部材Hを矢印CW方向に駆動する。回転部材Hが矢印CW方向に駆動されると、絞り羽根A〜Gは、カム部材Iのカム溝部I2〜I8に沿って開口部I1を遮蔽して所定の開口面積を形成する(遮蔽位置)。
【0074】
ここで、第1のカム領域とは、初期位置センサLが回転部材Hの遮光部H10の挿入状態を検知している初期位置から3ステップ以内であって、絞り羽根A〜Gが上記退避位置にある範囲を意味する。また、第2のカム領域とは、上記初期位置から3ステップを超えた絞り羽根A〜Gが上記遮蔽位置にある範囲を意味する。
【0075】
図7において、回転部材Hのギヤ部H9は、軸方向の厚さが異なる(その他の歯数やピッチ等は同一)第1ギヤ部H9−1及び第2ギヤ部H9−2を有する。軸方向厚さが薄い方の第1ギヤ部(以下、薄ギヤ部という)H9−1は、絞り羽根A〜Gが第1のカム領域にあるときにピニオン12と噛み合う。一方、軸方向厚さが厚い方の第2ギヤ部(以下、厚ギヤ部という)H9−2は、絞り羽根A〜Gが第2のカム領域にあるときにピニオン12と噛み合う。
【0076】
ここで、ピニオン12は先端側に向けて小径となる円錐形状のため、ピニオン12が薄ギヤ部H9−1と噛み合う場合には、先端部の小径部位での噛み合いとなり、バックラッシが大きくなる。一方、ピニオン12が厚ギヤ部H9−2と噛み合う場合には、根元の大径部位での噛み合いとなり、小径部位での噛み合いに比べてバックラッシが小さくなる。即ち、ピニオン12が薄ギヤ部H9−1と噛み合う場合のバックラッシ量をY1、厚ギヤ部H9−2と噛み合う場合のバックラッシ量をY2とすると、Y1>Y2となるように構成されている。
【0077】
[光量調整動作]
次に、本実施形態の光量調整装置をデジタルカメラに適用した場合の動作例について説明する。
【0078】
以下の説明では、初期位置センサLが回転部材Hの遮光部H10の挿入を検知している状態を初期位置とする。
【0079】
静止画撮影の場合、この初期位置が常にスタート位置として設定される。この初期位置から所定の絞り値になるように任意の絞り位置までモータ機構部11を駆動する。モータ機構部11を図1の反時計方向(図7のCCW方向)に回転させることでピニオン12が回転し、ピニオン12は回転部材Hのギヤ部H9に噛み合っているので回転部材Hは図1の時計方向(図7のCW方向)に回転する。
【0080】
従って、絞り羽根A〜Gが退避位置であってカム部材Iの第1のカム領域にあるとき、ピニオン12の先端部の小径部位が回転部材Hの薄ギヤ部H9−1部と噛み合うのでバックラッシが大きくなる。これにより、各部品の部品形状精度にバラツキがあっても駆動負荷が増大することがなく、スムーズな起動が行え、それ以降の所定の絞り値まで高速に絞込み動作を行うことができる。
【0081】
尚、本実施形態では、ピニオン12が初期位置から3ステップ以内においてピニオン12が回転部材Hの薄ギヤ部H9−1と噛み合うように設定しているが、3ステップに限定する必要はなく、例えば2ステップでも良い。また、第1のカム領域の全域においてバックラッシを大きくする必要はない。即ち、少なくとも動き出しの範囲(初期位置近傍の所定範囲のみ)において大きいバックラッシを確保すればスムーズな起動が行え、それ以降の所定の絞り値まで高速な絞込み動作を行うことができる。
【0082】
そして、スムーズに起動を行った後、更にモータ機構部11を同方向に駆動して回転部材Hを図1の時計方向(図7のCW方向)に回転させていく。すると、回転部材Hの穴部H2〜H7には、絞り羽根A〜Gの第1軸部A3〜G3が嵌合しているので、絞り羽根A〜Gは、それぞれ第1軸部A3〜G3の作動に伴い、第2軸部A4〜G4がカム部材Iのカム溝部I2〜I8に沿って移動して遮蔽位置に移動する。これが所定の開口値を形成する第2のカム領域での動きとなる。
【0083】
第2のカム領域では、ピニオン12の軸方向の根元の大径部位が回転部材Hの厚ギヤ部H9−2と噛み合い、小径部位での噛み合いに比べてラジアル方向への押圧力が大きくなるためバックラッシが小さくなる。バックラッシが小さいと各部品の部品形状精度にバラツキがある場合には、駆動負荷が増大することが考えられるが、第2のカム領域では既に回転部材Hの回転は十分に加速されているので問題とはならない。この結果、静止画撮影時には、レリーズタイムラグが少ない高速な絞込み動作を行うことができる。
【0084】
静止画撮影終了後、絞り羽根A〜Gを初期位置に戻す場合には、モータ機構部11の回転量を制御する不図示の制御部により、モータ機構部11を絞り方向(遮蔽位置)とは反対方向に駆動する。この場合には、第2のカム領域から駆動開始となるが、撮影終了後であるので高速での駆動は不要である。このため、ピニオン12の大径部位と回転部材Hの厚ギヤ部H9−2とのバックラッシが小さく、仮に各部品の部品形状精度にバラツキがあって駆動負荷が増大していても、高速駆動は行わないので、動作が不安定になることはない。
【0085】
次に、動画撮影時には、常に第2のカム領域での駆動となり、刻々と変化していく被写界輝度に応じて連続で絞り開口値を変化させる必要がある。被写界輝度が急激に変化することは稀であるため、絞り値の変更に高速性は望まれないものの絞り値の高精度化及び微細化は必要となる。ここで、第2のカム領域では、ピニオン12は回転部材Hの厚ギヤ部H9−2と噛み合うためバックラッシが小さくなる。よって、高精度で微細な絞り調整動作が可能となる。
【0086】
また、回転部材Hのギヤ部H9に軸方向の厚さが異なる第1ギヤ部H9−1と第2ギヤ部H9−2とを形成することで、第1のカム領域におけるバックラッシ量A1>第2のカム領域におけるバックラッシ量A2となるように構成している。
【0087】
他に、第2のカム領域にあるときの回転部材Hのギヤ部H9の軸方向の厚さを一定にしつつ、ギヤ部H9の転位量を変えてバックラッシ量を可変とすることも考えられる。つまり、[第1のカム領域にあるときの回転部材Hのギヤ部の転位量]<[第2のカム領域にあるときの回転部材Hのギヤ部の転位量]とすることによっても実現可能である。
【0088】
以上説明したように、本実施形態では、光量調整装置を構成する押え部材Jの一部にモータ機構部11のステータ1を形成し、ステータ1の第1及び第2の磁極部1b,1cにコイル3,4をその中心軸がロータ6の回転軸線に対して直交するように取り付けている。このため、大きなトルクが必要な場合に、モータ機構部11の軸方向寸法を大きくすることなく、コイルスペースを増やすことができる。これにより、モータ機構部11を含む光量調整装置の軸方向寸法を小さくすることができると共に、モータ機構部11のモータ出力を高くすることができる。
【0089】
また、本実施形態では、ステータ1を押え部材の一部で形成しているので、モータ機構部11を含む光量調整装置の軸方向寸法をより小さくすることができるとともに、低コストを実現することができる。
【0090】
更に、本実施形態では、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cは、単一のステータ1に形成されているため、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cの位置精度を高めることができる。
【0091】
更に、本実施形態では、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cは、ロータ6の回転軸線に対してθ=(30+60×A)°の角度をもって配置されているので、第1の磁極部1bと第2の磁極部1cとを同一平面内に配置することができる。このため、ロータ6は軸方向の寸法を小さくすることができる。
【0092】
更に、コイル3及びコイル4はコイル3の中心軸及びコイル4の中心軸がロータ6の回転軸線に対してそれぞれ直交するように配置されるので、ロータ6の軸方向にモータを小型化することが可能となる。
【0093】
更に、本実施形態では、第1の磁極部1bと第2の磁極部1cとが、ロータ6の回転軸線に直交する同一の平面上に配置されている。従って、2つの磁極部1b,1cが回転するロータ6の永久磁石7の同じ箇所に対して磁束を作用させるので、着磁のバラツキなどによる悪影響を受けず、安定した回転を確保することができる。
【0094】
更に、本実施形態では、コイル4への通電により発生した磁束が、ステータ1の第2の磁極部1c、第2の磁極部1cと永久磁石7との間のエアギヤップ、永久磁石7、及びコア9を通って支持部1aに至るように磁路を形成している。これにより、コイル励磁による磁束を効率よく永久磁石7に作用させることができ、モータ機構部11のモータ出力を高くすることができる。
【0095】
また、本実施形態では、モータ機構部11の最大径を決定するのが永久磁石7のマグネット径であるので、同じ永久磁石7の径であれば馬蹄形ヨークタイプに比べてモータ機構部11の径方向の寸法を小さくすることができる。尚、永久磁石7のマグネット径は、トルク確保の大きな要因であり、基本的には永久磁石7のマグネット径の二乗にトルクは比例すると考えられる(円周面積、半径の2つの要因)。
【0096】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0097】
例えば、上記実施形態では、押え部材Jの一部にステータ1を形成した場合を例示したが、これに代えて、図8に示すように、カム部材Iの基板I9の一部にステータ1を形成して、モータ機構部11を取り付けてもよい。
【0098】
この場合、基板I9に、支持部1a、第1の磁極部1b、第2の磁極部1c、開口部I1及びカム溝部I2〜I8をプレス加工で同時に形成することで、複数の絞り羽根A〜Gで規制する絞り開口の開口精度が向上する。
【符号の説明】
【0099】
1 ステータ
1b 第1の磁極部
1c 第2の磁極部
3,4 コイル
6 ロータ
11 モータ機構部
A〜G 絞り羽根
H 回転部材
I カム部材
J 押え部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等に設けられる光量調整装置に関し、特にモータ機構部を備える光量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光量調整装置の従来の駆動源としては、例えば図9及び図10に示すステッピングモータが知られている(特許文献1)。図9は従来のステッピングモータの一例を模式的に示す縦断面図、図10は図9に示すステッピングモータのステータから流れる磁束の状態を模式的に示す部分断面図である。
【0003】
図9に示すステッピングモータは、ステータコイル105が同心状に巻回されたボビン101が、軸方向に並んで2つ配置され、これらの2つのボビン101は、それぞれ別のステータヨーク106に挟持固定されている。ステータヨーク106の内径面には、円周方向に沿って交互に配置されるステータ歯106a,106bが形成されている。ステータ歯106a又は106bと一体のステータヨーク106が、2つのケース103それぞれに固定されている。これにより、励磁用の2つのステータコイル105のそれぞれに対応する2つのステータ102が形成されている。
【0004】
2つのケース103の一方のケースには、フランジ115と軸受108が固定され、他方のケース103には、軸受108が固定されている。ロータ109は、ロータ軸110にロータマグネット111が固定され、ロータマグネット111は、2つのステータ102のステータヨーク106と放射状の空隙部を形成している。
【0005】
そして、ロータ軸110は、2つの軸受108によって回転可能に支持されている。ステータコイル105への通電により発生する磁束は、図10に示すように、主にステータ歯106aの端面106a1とステータ歯106bの端面106b1 とを通過する。
【0006】
また、光量調整装置の従来の駆動源としては、例えば図11及び図12に示すステッピングモータが知られている(特許文献2)。図11は従来のステッピングモータの分解斜視図であり、図12は図11に示すステッピングモータの組み立て状態での軸方向に沿う断面図である。
【0007】
図11及び図12において、ロータ21は、永久磁石からなる円筒形状のマグネット部と、マグネット部の両端部に設けられる軸部21t,21sとを備える。マグネット部は、円周方向にS極とN極とが交互に着磁され、軸部21t,21sとマグネット部を成形あるいは接着等により一体的に形成することで径方向の寸法を短くしている。
【0008】
ロータ21の軸部21t,21sは、それぞれステータ22の嵌合穴22h及びカバー25の嵌合穴25aに回転可能に嵌合される。ステータ22は、軟磁性材料からなり、内部磁極部を成す円筒部22gを有するとともに、内筒部22gの外周側で内筒部22gの軸線と平行に延びる櫛歯形状の第1の外側磁極部22a,22b,22c及び第2の外側磁極部22d,22e,22fを有する。
【0009】
この第1及び第2の外側磁極部22a〜22c,22d〜22fには、それぞれ第1及び第2のコイル23,24が巻回され、該コイル23,24に通電することにより励磁されて発生する磁束がロータ21のマグネット部に作用する。
【0010】
更に、光量調整装置の従来の駆動源として、例えば図13に示すステッピングモータが知られている(特許文献3)。図13は、従来のステッピングモータの軸方向に沿う断面図である。
【0011】
図13に示すステッピングモータについても、上記特許文献2と同様、コイル38がロータ37の回転軸36と平行に縦置きされ、更に非磁性部材30が介されている。
【0012】
更に、光量調整装置の従来の駆動源として、例えば図14に示すステッピングモータが知られている(特許文献4)。図14は、従来のステッピングモータの要部を示す斜視図である。
【0013】
図14において、ロータ47は、回転軸47eを回転中心として回転可能に鏡筒地板41に取り付けられ、半径方向に2つの部分47a,47bに分割着磁されている。また、ロータ47には、軸方向に2層に分けられた着磁層が設けられている。
【0014】
第1ステータ48は、磁極部48a,48bを有し、これらの磁極部48a,48bがロータ47に隣接するように鏡筒地板41に固定されている。第2ステータ49も、磁極部49a,49bがロータ47に隣接するようにかつ第1ステータ48とは反対側位置で鏡筒地板41に固定されている。また、両ステータ48,49には、それぞれの磁極部を励磁するためのコイル45,46が巻回されている。
【0015】
図15は、上記特許文献1〜4のステッピングモータを駆動源とした従来の光量調整装置の分解斜視図である(特許文献5)。
【0016】
図15において、絞り羽根51〜57は、合成樹脂等で形成されており、遮光性を有し開口量を調整する薄板状の第1基部51a〜57a、及び第2基部51b〜57bを有する。第1基部51a〜57aの一方の面には、第1軸部51c〜57cが一体に形成され、他方の面には、第2軸部51d〜57d(一部不図示)が一体に形成されている。
【0017】
回転部材58は、絞り羽根51〜57を駆動する部材であり、中央に開口部58aを有するリング状に形成されている。回転部材58には、穴部58b〜58h、回転嵌合突起部58i、ギヤ部58j、及び遮光部58kが設けられている。
【0018】
カム部材59は、中央に開口部59aを有するリング状の部材であり、開口部9aが絞り羽根51〜57により調整される開口量の最大開口量を規定する。また、カム部材59には、カム溝部59b〜59hが設けられている。
【0019】
押え部材60は、中央に開口部60aを有するリング状の押え部材であり、押え部材60には、穴部60b及びモータ取付部60cが設けられている。
【0020】
ステッピングモータ61は、回転部材58を駆動するためのものであり、押え部材60のモータ取付部60cに取り付けられる。その際、ステッピングモータ61のモータ軸に固定されたピニオン62は、押え部材60の穴部60bを貫通して回転部材58のギヤ部58jと噛み合う。ステッピングモータ61は、一般的な2つのコイルを備える2相のPM型ステッピングモータである。
【0021】
つまり、ステッピングモータ61のモータ軸に固定されたピニオン62と回転部材58のギヤ部58jとが噛み合うことで回転部材58とステッピングモータ61がギヤ連結されている事になる。
【0022】
初期位置センサ63は、回転部材58の遮光部58kの初期位置センサ63への挿入、退避状態を検知することで、回転部材58が初期位置状態にあるか否かを検知する。
【0023】
押え部材60は、回転部材58と絞り羽根51〜57を間に挟んでカム部材59に固定され、回転部材58と絞り羽根51〜57の光軸方向の抜け止めの役割を果たす。その際、回転部材58の回転嵌合突起部58iは、押え部材60の開口部60aに嵌合して回転可能に支持される。また、絞り羽根51〜57の第1軸部51c〜57cは、回転部材58の穴部58b〜58hにそれぞれ回動可能に嵌合しており、第2軸部51d〜57dは、カム部材59のカム溝部59b〜59hにそれぞれ摺動可能に嵌合している。
【0024】
絞り羽根51〜57は、光軸を中心に円周方向に均等配置されて、遮光性を有する第1基部51a〜57a及び第2基部51b〜57bが重ね合わされることで絞り開口を制御可能となり、重ね合わせ面積が大きいほど絞り開口量は小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2005−143207号公報
【特許文献2】特開2004−064876号公報
【特許文献3】特開2000−032721号公報
【特許文献4】特開平05−336729号公報
【特許文献5】特開2009−180921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
ところで、図16において、モータMの直径をD1、光量調整装置300の最大開口量を規定する開口部301の直径をD2とすると、光量調整装置300の直径D3は、少なくとも(2×D1+D2)になる。
【0027】
しかし、上記特許文献1( 図9)のステッピングプモータでは、ロータ109の外周側に、ケース103、ボビン101、ステータコイル105及びステータヨーク106が同心状に配置されているため、モータの外形寸法が大きくなってしまう。このため、光量調節装置300の直径D3が大径になり、大型化を招いてしまう。
【0028】
また、上記特許文献1のステッピングモータでは、ステータコイル105への通電により発生する磁束は、図10に示すように、主にステータ歯106aの端面106a1とステータ歯106bの端面106b1 とを通過する。このため、ステータコイル105への通電により発生する磁束がロータマグネット111に効果的に作用せず、モータ出力を高くすることが難しい。
【0029】
上記特許文献2(図11及び図12)のステッピングモータでは、コイル23,24がロータ21の回転軸と平行に縦置きされているため、径方向の寸法は小さくできるが、モータ出力を高くするには高さ方向(軸方向)の寸法が大きくなるという問題がある。
【0030】
上記特許文献3(図13)のステッピングモータでは、上記特許文献2と同様、コイル38がロータ37の回転軸36と平行に縦置きされ、更に非磁性部材30が介されているため、径方向の寸法は小さくできるが、高さ方向(軸方向)の寸法は大きくなる。
【0031】
上記特許文献4(図14)のステッピングモータでは、径方向の寸法は小さくなるが、ロータ47を支持するための鏡筒地板41、ステータ48,49、及びコイル45,46の高さが必要になる。このため、ステッピングモータの高さ方向(軸方向)の寸法が大きくなり、また、ステータ磁極により発生する磁束がロータ47の永久磁石に有効に作用しないため、モータ出力を高くすることが難しい。
【0032】
そこで、本発明は、径方向及び軸方向の寸法を小さくして小型化を図ることができると共に、モータ出力を高くすることができるモータ機構部を備える光量調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記目的を達成するために、本発明の光量調整装置は、開口部の開口量を調整する複数の絞り羽根と、前記絞り羽根を駆動する駆動部材と、前記駆動部材により駆動される前記絞り羽根の前記開口部への進入量を規制するカム部材と、前記駆動部材と前記絞り羽根とを間に挟んで前記カム部材に固定される押え部材と、前記駆動部材にギヤ連結され、前記駆動部材に駆動力を伝達するモータ機構部と、を備え、前記モータ機構部は、円周方向に多分割されて異なる極が交互に着磁されたロータ、筒状に巻回された第1のコイル、筒状に巻回された第2のコイル、及び軟磁性材料からなるステータを有し、前記ステータは、前記押え部材又は前記カム部材に一体に形成されて、前記ロータの回転軸を回転可能に支持する支持部、第1の磁極部、及び第2の磁極部を有し、前記第1の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第1のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、前記第2の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第2のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部は、前記第1の磁極部の延出方向に延びる線と前記第2の磁極部の延出方向に延びる線とが互いに交差するように前記ロータの周方向に角度をもって配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、径方向及び軸方向の寸法を小さくして小型化を図ることができると共に、モータ出力を高くすることができるモータ機構部を備える光量調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態の一例である光量調整装置を説明するための分解斜視図である。
【図2】モータ機構部の分解斜視図である。
【図3】モータ機構部の組立後の斜視図である。
【図4】モータ機構部の軸方向に沿う断面図である。
【図5】モータ機構部の動作例を説明するための平面図である。
【図6】図1の光量調整装置における回転部材Hの回転位置と絞り開口面積との関係を示すグラフ図である。
【図7】回転部材とピニオンとの噛合状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態である光量調整装置を説明するための分解斜視図である。
【図9】従来のステッピングモータの一例を模式的に示す縦断面図である。
【図10】図9に示すステッピングモータのステータから流れる磁束の状態を模式的に示す部分断面図である。
【図11】従来の他のステッピングモータを示す分解斜視図である。
【図12】図11に示すステッピングモータの組み立て状態での軸方向に沿う断面図である。
【図13】従来の他のステッピングモータの軸方向に沿う断面図である。
【図14】従来の他のステッピングモータの要部を示す斜視図である。
【図15】従来の光量調整装置の分解斜視図である。
【図16】モータの直径と光量調整装置の直径との関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施形態の一例である光量調整装置を説明するための分解斜視図である。
【0038】
図1において、絞り羽根A〜Gは、遮光性を有し開口量を調整する第1基部A1〜G1及び第2基部A2〜G2からなる薄板状の羽根基部を有する。また、絞り羽根A〜Gは、第1基部A1〜G1の一方の面に設けられる第1軸部A3〜G3と、他方の面に設けられる第2軸部A4〜G4(一部不図示)とを有する。羽根基部、第1軸部A3〜G3、及び第2軸部A4〜G4は、合成樹脂により一体成形される。
【0039】
回転部材Hは、絞り羽根A〜Gの駆動部材であり、中央に開口部H1を有するリング状に形成されている。回転部材Hには、穴部H2〜H7、突起部H8、円弧状のギヤ部H9、及び遮光部H10が設けられている。
【0040】
カム部材Iは、中央に開口部I1を有するリング状の部材であり、カム部材Iの基板I9には、回転部材Hにより駆動される絞り羽根A〜Gの開口部11への進入量を規制するカム溝部I2〜I8が設けられている。
【0041】
この開口部I1が絞り羽根A〜Gにより調整される開口量の最大開口量を規定しており、従って、カム部材Iは、最大開口量を規定する開口地板(基部)も兼ねている。なお、カム部材Iとは別の部材で絞り羽根A〜Gにより調整される開口量の最大開口量を規定しても良い。
【0042】
押え部材Jは、中央に開口部J1を有するリング状の部材である。押え部材Jの一部には、軟磁性材料から成るモータ取付部が設けられ、後述するモータ機構部11のステータ1として兼用される。このため、ステータ1には、ロータ6の回転軸8を回転可能に支持する支持穴が形成された支持部1a、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cが設けられている。
【0043】
モータ機構部11は、回転部材Hを駆動するためのもので、ステッピングモータで構成されて、押え部材Jのモータ取付部に取り付けられる。モータ機構部11が押え部材Jに取り付けられた状態で、ロータ6の回転軸8(図2参照)に固定されたピニオン12は、押え部材Jの穴部(不図示)を貫通して回転部材Hのギヤ部H9に噛み合う。これにより、回転部材Hとモータ機構部11とがギヤ連結されて、回転部材Hにモータ機構部11の駆動力が伝達される。なお、モータ機構部11の詳細については、図2〜図5を用いて後述する。
【0044】
初期位置センサLは、モータ機構部11に取り付けられ、回転部材Hの遮光部H10の初期位置センサLに対する挿入状態や退避状態を検知することで、回転部材Hが初期位置にあるか否かを判定する。
【0045】
押え部材Jは、回転部材Hと絞り羽根A〜Gを間に挟んでカム部材Iに固定され、これにより、回転部材Hと絞り羽根A〜Gの光軸方向の抜け止めの役割を果たしている。ここで、回転部材Hの突起部H8は、押え部材Jの開口部J1に回転可能に嵌合する。また、絞り羽根A〜Gの第1軸部A3〜G3は、回転部材Hの穴部8b〜8hにそれぞれ回動可能に嵌合し、第2軸部A4〜G4は、カム部材Iのカム溝部I2〜I8にそれぞれ摺動可能に嵌合する。
【0046】
絞り羽根A〜Gは、光軸を中心に円周方向に均等に配置され、遮光性を有する第1基部A1〜G1及び第2基部A2〜G2が重ね合わされることで、絞り開口面積が可変となり、重ね合わせ面積が大きいほど絞り開口面積は小さくなる。
【0047】
[モータ機構部]
次に、図2〜図5を参照して、モータ機構部11について詳述する。図2はモータ機構部11の分解斜視図、図3はモータ機構部11の組立後の斜視図、図4はモータ機構部11の軸方向に沿う断面図、図5はモータ機構部11の動作例を説明するための平面図である。
【0048】
図2〜図5において、ロータ6は、磁性体からなる回転軸8、コア9、及び永久磁石7を備える。回転軸8は、コア9の内周部に圧入若しくは接着等により嵌合され、コア9は、永久磁石7の内周部に圧入もしくは接着等により嵌合されている。なお、永久磁石7を樹脂成形品として、回転軸8とコア9を一体成形しても構わない。
【0049】
ステータ1は、押え部材Jの一部を軟磁性材料で形成することで、押え部材Jと一体に形成されている。ステータ1は、中央部位に嵌合穴が形成された支持部1aと、支持部1aと一体若しくは磁気的に連結され、コイル3が巻回された第1の磁極部1bと、支持部1aと一体若しくは磁気的に連結され、コイル4が巻回された第2の磁極部1cとを備える。支持部1aの嵌合穴には、磁性体からなる軸受2が圧入される。ここで、コイル3は、本発明の第1のコイルの一例に相当し、コイル4は、本発明の第2のコイルの一例に相当する。
【0050】
ロータ6の回転軸8の下端8bは、軸受2の穴2aに、上端8aは、カバー10の軸穴10aにそれぞれ回転可能に支持される。軸受2とロータ6のコア9との間には、磁気吸引力が発生して回転負荷が大きくなるのを避けるため、非磁性体からなるワッシャ5が介在する。カバー10は、ステータ1に固定され、これにより、モータ機構部11が構成される。
【0051】
次に、上述のモータ機構部11の構成部品について詳述する。
【0052】
[ステータ]
ステータ1(ヨーク)は、押え部材Jの一部を軟磁性材料の板材(例えば、板厚t=0.5mm±0.03mm)で形成することで、押え部材Jと一体に形成される。ステータ1は、中央部位に嵌合穴が形成された支持部1aと、支持部1aと一体若しくは磁気的に連結され、コイル3が巻回された第1の磁極部1bと、支持部1aと一体若しくは磁気的に連結され、コイル4が巻回された第2の磁極部1cとを備える。本実施形態では、支持部1aの嵌合穴、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cをプレス加工により形成している。
【0053】
第1の磁極部1bは、ロータ6の回転軸線に対して直交する方向にロータ6の外周部に向かって延出し、延出端からコイル3の内周部が延出方向に沿って挿入される。かかる挿入状態では、第1の磁極部1bの延出端は、コイル3から突出して永久磁石7の外周部に接近して対向配置される。
【0054】
第2の磁極部1cも同様に、ロータ6の回転軸線に対して直交する方向にロータ6の外周部に向かって延出し、延出端からコイル4の内周部が延出方向に沿って挿入される。かかる挿入状態では、第2の磁極部1cの延出端は、コイル4から突出して永久磁石7の外周部に接近して対向配置される。
【0055】
ここで、本実施形態では、第1の磁極部1bの延出方向に延びる線と第2の磁極部1cの延出方向に延びる線とが互いに交差するように、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cを配置している。
【0056】
具体的には、図5に示すように、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cは、ロータ6の回転軸線に対してθ=(180/NA+A×360/NA)°、すなわち(30+60×A)°の角度をもって周方向に互いに離間配置されている。式中のAは整数であり、本実施形態では、NA=6、A=2とし、θ=150°としている。
【0057】
[軸受]
軸受2は、磁性体からなり、回転軸8の下端8bが貫通する嵌合穴2aを有する。
【0058】
[コイル]
コイル3は、筒状に巻回され、内周部が第1の磁極部1bの延出端から挿入されて、中心軸がロータ6の回転軸線に対して直交して配置される。コイル4は、筒状に巻回され、内周部が第2の磁極部1cの延出端から挿入されて、中心軸がロータ6の回転軸線に対して直交して配置される。
【0059】
[ワッシャ]
ワッシャ5は、非磁性材料からなり、ステータ1の支持部1aとロータ6との間に配置されている。これにより、支持部1aとロータ6との間に僅かな磁性ギヤップを形成して、ステータ1とロータ6との軸方向の磁気力による吸着を防ぐ。
【0060】
[永久磁石]
永久磁石7は、円周方向に多分割(本実施形態では、6分割:図5参照)されて、N極とS極とが交互に着磁されている。永久磁石7は、プラスチックマグネット材料を射出成形等して形成することで、径方向の厚さを非常に薄くすることができる。
【0061】
永久磁石7の内周面は、外周面に比べて弱い着磁分布を持つか、あるいは全く着磁されていないか、あるいは外周面と逆の極、すなわち外周面がS極の場合はその範囲の内周面はN極に着磁されているもののいずれかである。
【0062】
[回転軸]
回転軸8は、軟磁性材料からなり、永久磁石7の内周部に固着される。回転軸8の上端8aは、カバー10の軸穴10aに回転可能に嵌合され、下端8bは、ステータ1の支持部1aの嵌合穴に嵌合された軸受2の嵌合穴2aに回転可能に嵌合される。軸受2の嵌合穴2aから突出する回転軸8の下端8bには、ピニオン12が固定される。
【0063】
[コア]
コア9は、軟磁性材料からなり、ステータ1の第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cにより構成される外ヨークに対し、内ヨークを構成して、第1の磁極部1bと第2の磁極部1cと共に磁気回路を形成する。
【0064】
[カバー]
カバー10は、ステータ1に例えば接着やビス止め等により固定されて、ロータ6を覆う。
【0065】
[モータ機構部の動作]
次に、図5を参照して、モータ機構部11の動作例について説明する。
【0066】
図5において、コイル4に通電が行われると、ステータ1の第2の磁極部1cが励磁され、ロータ6の永久磁石7の円周方向に多分割された磁極のうちの一つの磁極が第2の磁極部1cに対向する位置でロータ6が静止する(イニシャル通電)。
【0067】
例えば、コイル4に正方向の通電が行われると、第2の磁極部1cがS極に励磁され、永久磁石7のN極が第2の磁極部1cに対向する位置でロータ6が静止する。
【0068】
磁路としては、コイル4への通電により発生した磁束は、ステータ1の第2の磁極部1c、第2の磁極部1cと永久磁石7との間のエアギヤップ、永久磁石7、及びコア9を通って支持部1aに至る。
【0069】
コイル4に正方向通電した状態でコイル3に正方向通電をすると、第1の磁極部1bもS極に励磁され、ロータ6は、回転軸8中心に図5の時計回り方向に回転し、第1及び第2の磁極部1b,1cのそれぞれに永久磁石7のN極が均等に対向する位置に移動する。
【0070】
このように、コイル4に正方向通電→コイル3に正方向通電→コイル3の通電を絶つ、というように1相励磁と2相励磁を繰り返すことで、一定角度ずつロータ6を回転させることができる(1−2相励磁によるステッピングモータの駆動)。
【0071】
[回転部材とピニオンとの関係]
図6は図1の光量調整装置における回転部材Hの回転位置と絞り開口面積との関係を示すグラフ図、図7は回転部材Hとピニオン12との噛合状態を示す斜視図である。
【0072】
図6において、初期位置センサLが回転部材Hの遮光部H10の挿入状態を検知しているとき、絞り羽根A〜Gは、カム部材Iのカム溝部I2〜I8に沿って開口部I1より外側に退避し、最大開口を遮蔽しない退避位置にある。
【0073】
この退避位置からモータ機構部11が所定ステップ(本例では、3ステップ)だけピニオン12を図7の矢印CCW方向に駆動し、回転部材Hを矢印CW方向に駆動する。回転部材Hが矢印CW方向に駆動されると、絞り羽根A〜Gは、カム部材Iのカム溝部I2〜I8に沿って開口部I1を遮蔽して所定の開口面積を形成する(遮蔽位置)。
【0074】
ここで、第1のカム領域とは、初期位置センサLが回転部材Hの遮光部H10の挿入状態を検知している初期位置から3ステップ以内であって、絞り羽根A〜Gが上記退避位置にある範囲を意味する。また、第2のカム領域とは、上記初期位置から3ステップを超えた絞り羽根A〜Gが上記遮蔽位置にある範囲を意味する。
【0075】
図7において、回転部材Hのギヤ部H9は、軸方向の厚さが異なる(その他の歯数やピッチ等は同一)第1ギヤ部H9−1及び第2ギヤ部H9−2を有する。軸方向厚さが薄い方の第1ギヤ部(以下、薄ギヤ部という)H9−1は、絞り羽根A〜Gが第1のカム領域にあるときにピニオン12と噛み合う。一方、軸方向厚さが厚い方の第2ギヤ部(以下、厚ギヤ部という)H9−2は、絞り羽根A〜Gが第2のカム領域にあるときにピニオン12と噛み合う。
【0076】
ここで、ピニオン12は先端側に向けて小径となる円錐形状のため、ピニオン12が薄ギヤ部H9−1と噛み合う場合には、先端部の小径部位での噛み合いとなり、バックラッシが大きくなる。一方、ピニオン12が厚ギヤ部H9−2と噛み合う場合には、根元の大径部位での噛み合いとなり、小径部位での噛み合いに比べてバックラッシが小さくなる。即ち、ピニオン12が薄ギヤ部H9−1と噛み合う場合のバックラッシ量をY1、厚ギヤ部H9−2と噛み合う場合のバックラッシ量をY2とすると、Y1>Y2となるように構成されている。
【0077】
[光量調整動作]
次に、本実施形態の光量調整装置をデジタルカメラに適用した場合の動作例について説明する。
【0078】
以下の説明では、初期位置センサLが回転部材Hの遮光部H10の挿入を検知している状態を初期位置とする。
【0079】
静止画撮影の場合、この初期位置が常にスタート位置として設定される。この初期位置から所定の絞り値になるように任意の絞り位置までモータ機構部11を駆動する。モータ機構部11を図1の反時計方向(図7のCCW方向)に回転させることでピニオン12が回転し、ピニオン12は回転部材Hのギヤ部H9に噛み合っているので回転部材Hは図1の時計方向(図7のCW方向)に回転する。
【0080】
従って、絞り羽根A〜Gが退避位置であってカム部材Iの第1のカム領域にあるとき、ピニオン12の先端部の小径部位が回転部材Hの薄ギヤ部H9−1部と噛み合うのでバックラッシが大きくなる。これにより、各部品の部品形状精度にバラツキがあっても駆動負荷が増大することがなく、スムーズな起動が行え、それ以降の所定の絞り値まで高速に絞込み動作を行うことができる。
【0081】
尚、本実施形態では、ピニオン12が初期位置から3ステップ以内においてピニオン12が回転部材Hの薄ギヤ部H9−1と噛み合うように設定しているが、3ステップに限定する必要はなく、例えば2ステップでも良い。また、第1のカム領域の全域においてバックラッシを大きくする必要はない。即ち、少なくとも動き出しの範囲(初期位置近傍の所定範囲のみ)において大きいバックラッシを確保すればスムーズな起動が行え、それ以降の所定の絞り値まで高速な絞込み動作を行うことができる。
【0082】
そして、スムーズに起動を行った後、更にモータ機構部11を同方向に駆動して回転部材Hを図1の時計方向(図7のCW方向)に回転させていく。すると、回転部材Hの穴部H2〜H7には、絞り羽根A〜Gの第1軸部A3〜G3が嵌合しているので、絞り羽根A〜Gは、それぞれ第1軸部A3〜G3の作動に伴い、第2軸部A4〜G4がカム部材Iのカム溝部I2〜I8に沿って移動して遮蔽位置に移動する。これが所定の開口値を形成する第2のカム領域での動きとなる。
【0083】
第2のカム領域では、ピニオン12の軸方向の根元の大径部位が回転部材Hの厚ギヤ部H9−2と噛み合い、小径部位での噛み合いに比べてラジアル方向への押圧力が大きくなるためバックラッシが小さくなる。バックラッシが小さいと各部品の部品形状精度にバラツキがある場合には、駆動負荷が増大することが考えられるが、第2のカム領域では既に回転部材Hの回転は十分に加速されているので問題とはならない。この結果、静止画撮影時には、レリーズタイムラグが少ない高速な絞込み動作を行うことができる。
【0084】
静止画撮影終了後、絞り羽根A〜Gを初期位置に戻す場合には、モータ機構部11の回転量を制御する不図示の制御部により、モータ機構部11を絞り方向(遮蔽位置)とは反対方向に駆動する。この場合には、第2のカム領域から駆動開始となるが、撮影終了後であるので高速での駆動は不要である。このため、ピニオン12の大径部位と回転部材Hの厚ギヤ部H9−2とのバックラッシが小さく、仮に各部品の部品形状精度にバラツキがあって駆動負荷が増大していても、高速駆動は行わないので、動作が不安定になることはない。
【0085】
次に、動画撮影時には、常に第2のカム領域での駆動となり、刻々と変化していく被写界輝度に応じて連続で絞り開口値を変化させる必要がある。被写界輝度が急激に変化することは稀であるため、絞り値の変更に高速性は望まれないものの絞り値の高精度化及び微細化は必要となる。ここで、第2のカム領域では、ピニオン12は回転部材Hの厚ギヤ部H9−2と噛み合うためバックラッシが小さくなる。よって、高精度で微細な絞り調整動作が可能となる。
【0086】
また、回転部材Hのギヤ部H9に軸方向の厚さが異なる第1ギヤ部H9−1と第2ギヤ部H9−2とを形成することで、第1のカム領域におけるバックラッシ量A1>第2のカム領域におけるバックラッシ量A2となるように構成している。
【0087】
他に、第2のカム領域にあるときの回転部材Hのギヤ部H9の軸方向の厚さを一定にしつつ、ギヤ部H9の転位量を変えてバックラッシ量を可変とすることも考えられる。つまり、[第1のカム領域にあるときの回転部材Hのギヤ部の転位量]<[第2のカム領域にあるときの回転部材Hのギヤ部の転位量]とすることによっても実現可能である。
【0088】
以上説明したように、本実施形態では、光量調整装置を構成する押え部材Jの一部にモータ機構部11のステータ1を形成し、ステータ1の第1及び第2の磁極部1b,1cにコイル3,4をその中心軸がロータ6の回転軸線に対して直交するように取り付けている。このため、大きなトルクが必要な場合に、モータ機構部11の軸方向寸法を大きくすることなく、コイルスペースを増やすことができる。これにより、モータ機構部11を含む光量調整装置の軸方向寸法を小さくすることができると共に、モータ機構部11のモータ出力を高くすることができる。
【0089】
また、本実施形態では、ステータ1を押え部材の一部で形成しているので、モータ機構部11を含む光量調整装置の軸方向寸法をより小さくすることができるとともに、低コストを実現することができる。
【0090】
更に、本実施形態では、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cは、単一のステータ1に形成されているため、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cの位置精度を高めることができる。
【0091】
更に、本実施形態では、第1の磁極部1b及び第2の磁極部1cは、ロータ6の回転軸線に対してθ=(30+60×A)°の角度をもって配置されているので、第1の磁極部1bと第2の磁極部1cとを同一平面内に配置することができる。このため、ロータ6は軸方向の寸法を小さくすることができる。
【0092】
更に、コイル3及びコイル4はコイル3の中心軸及びコイル4の中心軸がロータ6の回転軸線に対してそれぞれ直交するように配置されるので、ロータ6の軸方向にモータを小型化することが可能となる。
【0093】
更に、本実施形態では、第1の磁極部1bと第2の磁極部1cとが、ロータ6の回転軸線に直交する同一の平面上に配置されている。従って、2つの磁極部1b,1cが回転するロータ6の永久磁石7の同じ箇所に対して磁束を作用させるので、着磁のバラツキなどによる悪影響を受けず、安定した回転を確保することができる。
【0094】
更に、本実施形態では、コイル4への通電により発生した磁束が、ステータ1の第2の磁極部1c、第2の磁極部1cと永久磁石7との間のエアギヤップ、永久磁石7、及びコア9を通って支持部1aに至るように磁路を形成している。これにより、コイル励磁による磁束を効率よく永久磁石7に作用させることができ、モータ機構部11のモータ出力を高くすることができる。
【0095】
また、本実施形態では、モータ機構部11の最大径を決定するのが永久磁石7のマグネット径であるので、同じ永久磁石7の径であれば馬蹄形ヨークタイプに比べてモータ機構部11の径方向の寸法を小さくすることができる。尚、永久磁石7のマグネット径は、トルク確保の大きな要因であり、基本的には永久磁石7のマグネット径の二乗にトルクは比例すると考えられる(円周面積、半径の2つの要因)。
【0096】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0097】
例えば、上記実施形態では、押え部材Jの一部にステータ1を形成した場合を例示したが、これに代えて、図8に示すように、カム部材Iの基板I9の一部にステータ1を形成して、モータ機構部11を取り付けてもよい。
【0098】
この場合、基板I9に、支持部1a、第1の磁極部1b、第2の磁極部1c、開口部I1及びカム溝部I2〜I8をプレス加工で同時に形成することで、複数の絞り羽根A〜Gで規制する絞り開口の開口精度が向上する。
【符号の説明】
【0099】
1 ステータ
1b 第1の磁極部
1c 第2の磁極部
3,4 コイル
6 ロータ
11 モータ機構部
A〜G 絞り羽根
H 回転部材
I カム部材
J 押え部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の開口量を調整する複数の絞り羽根と、
前記絞り羽根を駆動する駆動部材と、
前記駆動部材により駆動される前記絞り羽根の前記開口部への進入量を規制するカム部材と、
前記駆動部材と前記絞り羽根とを間に挟んで前記カム部材に固定される押え部材と、
前記駆動部材にギヤ連結され、前記駆動部材に駆動力を伝達するモータ機構部と、を備え、
前記モータ機構部は、円周方向に多分割されて異なる極が交互に着磁されたロータ、筒状に巻回された第1のコイル、筒状に巻回された第2のコイル、及び軟磁性材料からなるステータを有し、
前記ステータは、前記押え部材に一体に形成されて、前記ロータの回転軸を回転可能に支持する支持部、第1の磁極部、及び第2の磁極部を有し、
前記第1の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第1のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、
前記第2の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第2のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、
前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部は、前記第1の磁極部の延出方向に延びる線と前記第2の磁極部の延出方向に延びる線とが互いに交差するように前記ロータの周方向に角度をもって配置されることを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
開口部の開口量を調整する複数の絞り羽根と、
前記絞り羽根を駆動する駆動部材と、
前記駆動部材により駆動される前記絞り羽根の前記開口部への進入量を規制するカム部材と、
前記駆動部材と前記絞り羽根とを間に挟んで前記カム部材に固定される押え部材と、
前記駆動部材にギヤ連結され、前記駆動部材に駆動力を伝達するモータ機構部と、を備え、
前記モータ機構部は、円周方向に多分割されて異なる極が交互に着磁されたロータ、筒状に巻回された第1のコイル、筒状に巻回された第2のコイル、及び軟磁性材料からなるステータを有し、
前記ステータは、前記カム部材に一体に形成されて、前記ロータの回転軸を回転可能に支持する支持部、第1の磁極部、及び第2の磁極部を有し、
前記第1の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第1のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、
前記第2の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第2のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、
前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部は、前記第1の磁極部の延出方向に延びる線と前記第2の磁極部の延出方向に延びる線とが互いに交差するように前記ロータの周方向に角度をもって配置されることを特徴とする光量調整装置。
【請求項3】
前記カム部材には、前記開口部と、前記絞り羽根の前記開口部への進入量を規制するカム溝とが一体に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光量調整装置。
【請求項1】
開口部の開口量を調整する複数の絞り羽根と、
前記絞り羽根を駆動する駆動部材と、
前記駆動部材により駆動される前記絞り羽根の前記開口部への進入量を規制するカム部材と、
前記駆動部材と前記絞り羽根とを間に挟んで前記カム部材に固定される押え部材と、
前記駆動部材にギヤ連結され、前記駆動部材に駆動力を伝達するモータ機構部と、を備え、
前記モータ機構部は、円周方向に多分割されて異なる極が交互に着磁されたロータ、筒状に巻回された第1のコイル、筒状に巻回された第2のコイル、及び軟磁性材料からなるステータを有し、
前記ステータは、前記押え部材に一体に形成されて、前記ロータの回転軸を回転可能に支持する支持部、第1の磁極部、及び第2の磁極部を有し、
前記第1の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第1のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、
前記第2の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第2のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、
前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部は、前記第1の磁極部の延出方向に延びる線と前記第2の磁極部の延出方向に延びる線とが互いに交差するように前記ロータの周方向に角度をもって配置されることを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
開口部の開口量を調整する複数の絞り羽根と、
前記絞り羽根を駆動する駆動部材と、
前記駆動部材により駆動される前記絞り羽根の前記開口部への進入量を規制するカム部材と、
前記駆動部材と前記絞り羽根とを間に挟んで前記カム部材に固定される押え部材と、
前記駆動部材にギヤ連結され、前記駆動部材に駆動力を伝達するモータ機構部と、を備え、
前記モータ機構部は、円周方向に多分割されて異なる極が交互に着磁されたロータ、筒状に巻回された第1のコイル、筒状に巻回された第2のコイル、及び軟磁性材料からなるステータを有し、
前記ステータは、前記カム部材に一体に形成されて、前記ロータの回転軸を回転可能に支持する支持部、第1の磁極部、及び第2の磁極部を有し、
前記第1の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第1のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、
前記第2の磁極部は、前記ロータの回転軸線に対して直交する方向に前記ロータの外周部に向かって延出し、延出端から前記第2のコイルの内周部が延出方向に沿って挿入されるとともに、前記延出端が前記ロータの外周部に対向配置され、
前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部は、前記第1の磁極部の延出方向に延びる線と前記第2の磁極部の延出方向に延びる線とが互いに交差するように前記ロータの周方向に角度をもって配置されることを特徴とする光量調整装置。
【請求項3】
前記カム部材には、前記開口部と、前記絞り羽根の前記開口部への進入量を規制するカム溝とが一体に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光量調整装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−58585(P2012−58585A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203149(P2010−203149)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】
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