説明

光量調節装置及び撮像装置

【課題】ステッピングモータを駆動制御する絞りシャッター装置でシャッター閉じ動作時の羽根バウンドを抑えて、全開時の羽根残りを防ぎ、シャッタースピードの高速化と羽根の衝撃緩和や再露光を止める装置を提供する。
【解決手段】ステッピングモータ6を駆動制御する絞りシャッター装置で、シャッターの開閉動作で地板1に当接するそれぞれの羽根3,4の斜めに配置された第一の長孔3b、4bの両端に羽根駆動レバーの旋回軌跡の接線方向に平行な第二の長孔3e、4e、3f、4fを設け、またモータの通電制御を併用してより確実にバウンドを止め、羽根残りを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の光学機器に用いられる光量調節装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等に用いられる光学機器等の光量調節装置には、いわゆるガルバノメータを駆動源とするタイプのものが多く使用されてきた。この絞り機構では、ガルバノメータの永久磁石であるロータについてホール素子を用いて位置検出し、その検出結果をフィードバック制御することにより、ロータを目的の位置に作動させて、絞り制御が行われる。
【0003】
さらに、デジタルスチルカメラ等に搭載されてシャッター機構を必要とする光量調節装置は、上記の絞り制御位置からガルバノメータの永久磁石とコイルで発生する励磁磁界を加えて反発、吸引動作でロータを回転させて絞り制御を行い絞りシャッター羽根を開閉させてシャッター動作を行わせている。
【0004】
しかし、このように絞り機構にガルバノメータを駆動源として用いる場合には、ロータの位置検出を行うための検出手段が必要となり、また、位置検出手段の出力結果をフィードバック制御する制御手段が必要となるので、駆動回路が大型化し、部品数が多くなってしまうという問題があった。
【0005】
さらに、ガルバノメータを駆動源として用いる場合には、シャッター動作を行ってもスピードが遅くて高速秒時化には不向きであった。
【0006】
そこで、駆動源としてガルバノメータの代わりにステッピングモータを用いた絞り機構が考えられる。ステッピングモータを用いた絞り機構は、例えば、特許文献1のように、ステッピングモータの回転軸に直線状の駆動レバーが圧入されており、駆動レバーには、駆動ピンが設けられている。この駆動ピンは、それぞれ2枚の絞りシャッター羽根の長孔を介して係合されている。このような絞り機構において、ステッピングモータを回転させて、2枚の絞りシャッター羽根を相反する方向へ直進運動させる。2枚の絞りシャッター羽根がそれぞれの位置関係によって、開口の大きさを変化させることにより、光量調節が行われ、羽根が閉じる方向にステッピングモータを高速で回転させることにより、シャッター動作を行わせる。
【0007】
さらに、ステッピングモータを用いた絞り、シャッター機構では、絞りの口径を保証するために、閉じ位置(初期位置)を検出する手段が必要になり、例えば特許文献2のように、絞り制御で初期位置の検出のためにホームポジション検出手段を備えたものがある。
【特許文献1】特開2004−109531号公報
【特許文献2】特開平6−59309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の駆動部を用いた光量調節装置では、絞りの位置が初期位置に位置しているか否か、シャッターの高速動作時にステッピングモータが脱調状態にあるか否かを検出する例えばホームポジション検出手段等の検出手段が必要になる。
【0009】
この検出手段を駆動するための回路も必要となるので、やはり、装置の大型化やコスト増を招いてしまうという問題があった。
【0010】
また、上述のステッピングモータを用いた光量調節装置を備えた撮像装置、特にデジタルスチルカメラではシャッタースピードの高速秒時制御が要求されている。
【0011】
しかし、絞り制御位置からシャッター閉じ動作を行う時は、羽根が高速スピードで全閉位置まで移動するため、シャッター羽根のバウンドが発生し、再露光するおそれがある為、撮像素子からの信号転送のタイミングを遅らせる必要がある場合がある。また、全閉位置から全開位置まで移動した場合にもバウンドすることがある為、絞り切り替え時間が長くなってしまうという問題も発生する。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は駆動部を用いてシャッターの高速スピード化と安定した羽根の停止を実現することができる光量調節装置および撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的を実現する光量調節装置の第1の構成は、請求項1に記載のように、光を通過させる開口部を有する地板と、前記地板にガイドされて直線往復運動し前記開口部を開閉する遮光羽根と、前記遮光羽根の係合孔部と係合する駆動ピンを旋回させる駆動源と、を有する光量調節装置において、前記遮光羽根に形成された前記係合孔部は、前記駆動ピンの旋回に伴い前記遮光羽根を直線往復運動させる第一の長孔部と、該第一の長孔部の少なくとも一端に連設され、前記駆動ピンの旋回運動と前記遮光羽根の直進往復運動との間に運動の変換動作が行われない不感帯を形成し、または前記第一の長孔部より直線往復運動させる量が少ない第二の長孔部と、により構成したことを特徴とする。
【0014】
本発明の目的を実現する光量調節装置の第2の構成は、請求項2に記載のように、上記した第1の構成において、前記第二の長孔部は、前記第一の長孔部の両端に位置し、前記駆動ピンの旋回軌跡に対する接線方向に沿って設けられたことを特徴とする。
【0015】
本発明の目的を実現する光量調節装置の第3の構成は、請求項3に記載のように、上記したいずれかの構成において、前記第一の長孔部の一端は、全閉位置であることを特徴とする。
【0016】
本発明の目的を実現する光量調節装置の第4の構成は、請求項4に記載のように、上記したいずれかの構成において、前記駆動源をステッピングモータにより構成し、前記駆動ピンが前記第2の長孔部に係合する位置まで該ステッピングモータを駆動させることを特徴とする。
【0017】
本発明の目的を実現する撮像装置の構成は、請求項5に記載のように、上記したいずれかの構成の光量調節装置と、前記光量調節装置を通して被写体像が結像される撮像素子と、を有し、前記撮像素子の電荷を転送して映像を記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、絞りシャッター羽根等の遮光羽根のバウンドを防ぎ、シャッター動作の高速化と二度開きの防止が図れる。また、遮光羽根の全閉位置を保証できるため、羽根位置の検出手段を省略でき、装置の小型化と低コスト化が図れる。
【0019】
また、全開時の羽根残りを防ぎ、全開動作後の羽根の素早いバウンド収束も実現することができる。
【0020】
更に、ステッピングモータの制御では、絞りシャッター羽根が閉じ側の停止位置に全開状態から全閉状態までの駆動を例えば2相駆動の3パルス、54°位置の励磁相、あるいは全閉状態から全開状態で保持し、モータの減衰バウンドを確実に第一の長孔部の端にある第二の長孔部で駆動ピンの旋回力を逃し、シャッター全閉動作後と全開動作後の羽根のバウンドを防ぐ事が可能になり、更に羽根の耐久も向上させることができる。
【0021】
また、この光量調節装置を組込んだ撮像装置は、撮像素子からの素早い電荷の転送が可能となり、軽快な静止画の撮影及び連写速度の向上が可能となり、高速シャッター機能を実現した撮像装置を提供することができる。
【0022】
また、連続撮影時においても、被写体が急激な輝度変化しても絞りシャッター羽根の安定時間が短縮できるため、安定した制御が可能な撮像装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、図1、2、3を用いて本実施例について詳細に説明する。以下に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施の形態に係る光量調節装置の構成を示す分解斜視図、図2は図1に示した光量調節装置が備える絞りシャッター羽根についての開口の全開状態および全閉状態の様子を表したもので、図2(a)は開口が全開した状態を表しており、図2(b)は開口が全閉した状態を表している。図3は各絞りシャッター羽根の上面図である。
【0025】
この光量調節装置は、駆動源としてのステッピングモータ6と、このステッピングモータ6のモータ軸6aに固定されて旋回される羽根駆動レバー2と、この羽根駆動レバー2の一端に突設された駆動ピン2aと、駆動ピン2aに係合される一対の絞りシャッター羽根3,4と、一対の絞りシャッター羽根3,4の光軸方向の動きを規制して、収納するカバー板金である羽根カバー5と、開口9が形成された地板1を備えている。
【0026】
このステッピングモータ6は、地板1に固定ネジ7によって締結されている。また、羽根カバー5は地板1に羽根カバー固定ねじ8によって締結されている。
【0027】
地板1には、光軸方向に重なった一対のシャッター羽根3、4の直進往復移動をガイドするガイドピン1a、1bが突設されている。
【0028】
結像面側に位置する一方の絞りシャッター羽根3は、先端部側に円形形状に形成した孔部からなる絞り部3aを有し、被写体側に位置する他方の絞りシャッター羽根4は、先端部側に半円形状に形成された切り欠き部からなる絞り部4aを有し、またこれら一対の絞りシャッター羽根3、4の幅方向両側には、
地板1に突設されたガイドピン1aに係合している横長孔部3d、4dと、地板1に突設されたガイドピン1bに係合している横長孔部3c、4cとがそれぞれ形成されている。
【0029】
また、本実施例においては、羽根駆動レバー2の片側に突設した駆動ピン2aに、一対の絞りシャッター羽根3、4の後端部にそれぞれ形成した絞りシャッター羽根の移動方向に対して斜めに配置された長孔からなる駆動用カム溝部3b、4bを係合させている。そして、図2(a)に示す位置からステッピングモータ6を正方向回転させて羽根駆動レバー2を正方向に旋回させると、第1の絞りシャッター羽根3が後端側に向かい且つ第2の絞りシャッター羽根4が先端側に互い相反する方向に直進移動し、図2(b)に示す位置からテッピングモータ6を逆方向回転させて羽根駆動レバー2を逆方向に旋回させると、第1の絞りシャッター羽根3が先端側に向かって、また第2の絞りシャッター羽根4が後端側に互い相反する方向に直進移動する。
【0030】
その際、一対の絞りシャッター羽根3、4は、その幅方向両側にそれぞれ形成された
長孔3c、4cおよび3d、4dがガイドピン1a、1bにガイドされることにより、直線往復運動がガイドされる。
【0031】
本実施例において、第1の絞りシャッター羽根3の駆動用カム溝部3bと、第2の絞りシャッター羽根4の駆動用カム溝部の両側に連設して逃げ溝部3e、4e、3f、4fをそれぞれ形成している。
【0032】
羽根駆動レバー2の片側に突設した駆動ピン2aは、モータ軸6aを中心とする半径rの弧を描いて正逆方向に回動し、駆動ピン2aに係合している駆動用カム溝部3b、4bは、この駆動ピン2aの描く軌跡と干渉することにより、一対の絞りシャッター羽根3、4を直進往復運動させる。これに対し、駆動用カム溝部3b、4bの両端にそれぞれ連設されている逃げ溝部3e、4e、3f、4fは、駆動用カム溝部3b、4bの両端において、駆動ピン2aの描く円弧の法線方向に沿って形成している。したがって、駆動ピン2aが駆動用カム溝部3b、4bとの係合を外れて逃げ溝部3e、4e、3f、4fに入り込むと、駆動ピン2aは逃げ溝部3e、4e、3f、4fに対して絞りシャッター羽根3、4の往復直進運動方向に対して分力を発生させる当接状態がない不感状態となる。この不感状態は、逆に絞りシャッター羽根からのバウンド力に対して駆動ピン2aを回動させる力を発生させないため、絞りシャッター羽根はバウンドによる移動が阻止される。
【0033】
したがって、駆動ピン2aが駆動用カム溝部3b、4bとの係合を外れて逃げ溝部3e、4e、3f、4fと係合している回動範囲では、駆動ピン2aが一対の絞りシャッター羽根3、4に直進往復運動を行わせることがない。また、逆に一対の絞りシャッター羽根3、4に駆動される方向と逆方向の力が加わっても、駆動ピン2aに回動方向の力が与えられないので、一対の絞りシャッター羽根3、4の駆動方向と逆方向への移動が阻止される。
【0034】
なお、地板1に突設した一方のガイドピン1aに係合する絞りシャッター羽根3、4の横長孔3d、4dの位置は、斜めに配置されたカム溝部3b、4bとその両端に設けられた逃げ溝部3e、4eとの変曲点より内側に配置するのが望ましい。
【0035】
上記した構成の光量調節装置において、羽根駆動レバー2に突設された駆動ピン2aが、一対の絞りシャッター羽根3,4を相反する方向に直線往復運動させる方向に係合されているので、一対の絞りシャッター羽根3,4はそれぞれ逆方向に直線往復運動し、絞りシャッター羽根3,4の絞り部3a、4aにより開口9が絞り形成される。
【0036】
そして、絞り部3a、4aのそれぞれの位置関係に基づき開口9の面積が変化することにより、開口9を通過する光量が変化して、光量調節が行われる。
【0037】
シャッターの閉じ動作は、一対の絞りシャッター羽根3、4を閉じ方向に作動させるステッピングモータ6の励磁駆動で行っている。一対の絞りシャッター羽根3,4には、図3のように1本の駆動ピン2aに係合する斜めに配置された長孔からなる駆動用カム溝部3b、4bが形成され、さらに、この駆動用カム溝部3b、4bの一端に連設して逃げ溝部3e、4eが形成されている。
【0038】
このため、一対の絞りシャッター羽根3,4は、駆動レバー2の駆動ピン2aが干渉状態にある駆動用カム溝部3b,4bに係合して回動している時は高速で閉じ動作を行い、非干渉状態にある逃げ溝部3e,4eに沿って回転している時は、羽根は移動せず全閉位置を維持することができる。
【0039】
絞りシャッター羽根3、4が駆動用カム溝部に連設して逃げ溝部3e(3f)、4e(4f)を形成した全体として長孔形状の溝部を有することにより、高速で開口9を遮蔽するシャッター動作が可能で、且つ羽根駆動レバー2または絞りシャッター羽根3,4が地板1に当接することによりはね返る、いわゆるバウンドが発生しても、再露光(二度開き)を防止できる。
【0040】
さらに、駆動源であるステッピングモータの停止位置が、前記バウンドにより多少ずれても、絞りシャッター羽根3、4の停止位置には影響を及ぼさない。
【0041】
なお、逃げ溝部3e、4e
を、駆動ピン2aの描く軌跡に合わせた曲率にて形成した円弧形状としても良い。
【0042】
また、本実施例では駆動ピン2aが逃げ溝部3e,4eと係合している時は、絞りシャッター羽根3、4は動かないような不感状態を作り出す設定としたが、図3に示すように、斜めに配置した長孔3b,4bからの角度(θ)を適宜選択し、わずかな移動を許容した形状としても良い。この場合は駆動ピン2aが停止位置から再び開放方向に移動を開始する時の不感帯を無くすことができる。
【0043】
尚、駆動用カム溝部3b、4bの傾きは、羽根の移動方向に対して45°以下にすると、駆動レバー2の回転角に対して羽根の走行距離が長くなり、駆動源の駆動力が大きければシャッター速度は速くなるが、摩擦も大きくなるので駆動用カム溝部3b、4bの磨耗が起きる。また駆動力が小さい場合は、負荷が大きくなる分シャッタースピードが遅くなる。絞りシャッター羽根の移動方向に対して60°以上にすると走行距離が短くなり、開口が大きくなるとストローク不足で絞りシャッター羽根で覆えなくなる。
【0044】
本実施例では、48°としたが、設計的に45°から60°が最も望ましい範囲である。
【0045】
次に、全閉状態もしくは所定の絞り位置から全開位置に移動する場合について説明する。
【0046】
この場合においても、羽根駆動レバー2または絞りシャッター羽根3,4が地板1に当接することによりはね返る、いわゆるバウンドが発生し、羽根の位置が数十ms以上に渡って安定しないため、次の画像取り込みに切り替わる時間が遅れる。また、バウンドした状態で停止した場合、地板1の開口9から絞りシャッター羽根3、4が完全に退避しない、いわゆる羽根残りが起きる場合もある。
【0047】
しかし、シャッター動作時と同様に、絞りシャッター羽根の一端に羽根駆動レバー2の駆動ピン2aの回動方向に平行(法線方向)な逃げ溝部3f、4fが設けられているため、バウンドを早期に収束することができると共に羽根残りも防止できる。
【0048】
尚、逃げ溝部3f,4fの形状は、絞りシャッター羽根の全閉側の逃げ溝部3e,4eと同様の形状でも良い。
【0049】
第2の実施例
本第2の実施例であるステッピングモータ6の駆動制御について以下に説明する。
【0050】
本実施例においてステッピングモータ6に対する駆動は、羽根駆動レバー2について、開口9の全開状態から全閉状態まで1‐2相励磁において6パルスに相当する54°回転する。
【0051】
また、ステッピングモータ6について、例えば、sin−cos波によるマイクロステップ駆動を行うことにより、任意の位置に停止させることが可能となり、開口9の面積を連続的に変化させることが可能となる。
【0052】
次に、図4は本実施例のステッピングモータ6の2つの相であるA相、B相の通電状態と羽根駆動レバー2の回転角度と羽根作動の関係を表している。
【0053】
図2(a)に示すような開口9の全開状態から、図2(b)に示すような開口9の全閉状態まで連続的に開口9の面積を変化させて絞りを変化させるには、開口9が全開状態となる通電状態0°から全閉メカ端状態(例えば羽根駆動レバー2が地板1の側面に当接して回動が機械的に阻止される状態)になる通電状態54°へとステッピングモータ6のA相、B相の励磁通電を行う。
【0054】
例えば、上記の実施例では、絞りの制御は1―2相駆動により連続的に変化させる。
制御される光量調節装置では、ステッピングモータ6の回転制御範囲内でいかなる位置に停止していても、上述した通電動作を行うことにより、開口の全開状態から全閉状態までをステッピングモータ6の電気角を360°以内で駆動するように設定してある。これはステッピングモータの1−2相駆動時における通電パターンで同じ励磁相を繰り返さない通電制御を行うことで、ステッピングモータ6または羽根駆動レバー2の位置検出手段を省略することが可能になる。また、この位置検出手段を駆動する回路も不要となる。このため、光量調節装置の小型化、低コスト化も実現できる。
【0055】
第3の実施例
本第3の実施例である上述した各実施例に示す光量調節装置を組込んだ撮像装置について説明する。
【0056】
図5は上述した各実施例の光量調節装置を組込んだCCD等からなる撮像素子10の電荷を転送して映像を記録する撮像装置の一例である。
【0057】
ステッピングモータ6が不図示の制御回路により、撮像装置10に適正光量が入射する位置に絞りシャッター羽根3,4を駆動している。
【0058】
この状態で静止画を撮影するためにレリーズボタン11が押されると、撮像素子10に所定量の電荷が蓄積され、所定時間経過後ステッピングモータ6が高速回転し、絞りシャッター羽根3,4は地板1の開口9を遮蔽する。完全に遮蔽された後、撮像素子10は不図示の映像記録処理回路に蓄積された電荷を転送する。
【0059】
この際、本発明による光量調節装置により、絞りシャッター羽根全閉時の羽根のバウンドは最小限に抑えられているため、羽根が開口9の全閉位置に到達後速やかに撮像素子10は電荷の転送を開始できる。
【0060】
これにより撮像装置の撮影速度の向上が実現出来、連写速度が向上する。さらに、絞りシャッター羽根3,4の停止位置の検知手段無しでも確実に開口9の全閉を保証できるので、撮像装置の小型化、低コスト化が実現できる。
【0061】
また、撮像装置が連続撮影していて被写体の輝度が急激に変化した時、特に明状態から暗状態に変化した時、光量調節装置の絞りシャッター羽根3,4は小絞り位置から急速にステッピングモータ6により全開位置に移動させられる。この時、絞りシャッター羽根3,4は、全閉時と同様に全開した後バウンドするため、その後の制御は羽根が安定してからでないと出来ない。
【0062】
しかし、本実施例によると、全開時も絞りシャッター羽根3,4のバウンドを速やかに収束させられるため、撮像装置は全開後速やかに次の光量制御が可能になっている。これにより、急激な被写体の輝度変化があっても、速やかに光量調整が可能な撮像装置が実現できる。
【0063】
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の制御が可能である。例えば、上記実施例の形態では、ステッピングモータ6の駆動方式を1―2相励磁や2相励磁駆動を用いたが、マイクロステップ駆動等の駆動方式であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る光量調節装置の第1の実施例を示す分解斜視図。
【図2】図1の上面図を示し、(a)は光量調節装置が備える絞りシャッター羽根の全開状態を表し、(b)は同じく全閉状態を表す。
【図3】(a)(b)は図2の羽根のカム溝の構成を表す図。
【図4】本発明の第2の実施例を示すステッピングモータのA相、B相の通電状態と羽根駆動レバーの回転角度と羽根作動の関係を表す図。
【図5】本発明に係る第3の実施例を示す撮像装置の概略図。
【符号の説明】
【0065】
1…地板
1a,1b…ガイドピン
2…羽根駆動レバー
2a…駆動ピン
3,4…絞りシャッター羽根
3a,4a…絞り部
3b,4b…駆動用カム溝部
3c,4c,3d,4d…横長孔
3e,4e, 3f,4f…逃げ溝部
5…羽根カバー
6…ステッピングモータ
7…モータ固定ネジ
8…羽根カバー固定ネジ
9…開口
10…撮像素子
11…レリーズボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を通過させる開口部を有する地板と、前記地板にガイドされて直線往復運動し前記開口部を開閉する遮光羽根と、前記遮光羽根の係合孔部と係合する駆動ピンを旋回させる駆動源と、を有する光量調節装置において、
前記遮光羽根に形成された前記係合孔部は、前記駆動ピンの旋回に伴い前記遮光羽根を直線往復運動させる第一の長孔部と、該第一の長孔部の少なくとも一端に連設され、前記駆動ピンの旋回運動と前記遮光羽根の直進往復運動との間に運動の変換動作が行われない不感帯を形成し、または前記第一の長孔部より直線往復運動させる量が少ない第二の長孔部と、により構成したことを特徴とする光量調節装置。
【請求項2】
前記第二の長孔部は、前記第一の長孔部の両端に位置し、前記駆動ピンの旋回軌跡に対する接線方向に沿って設けられたことを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
【請求項3】
前記第一の長孔部の一端は、全閉位置であることを特徴とする請求項1または2に記載の光量調節装置。
【請求項4】
前記駆動源をステッピングモータにより構成し、前記駆動ピンが前記第2の長孔部に係合する位置まで該ステッピングモータを駆動させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光量調節装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の光量調節装置と、前記光量調節装置を通して被写体像が結像される撮像素子と、を有し、前記撮像素子の電荷を転送して映像を記録することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−233054(P2007−233054A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54808(P2006−54808)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】