説明

光電変換素子

【課題】光電変換効率が高い光電変換素子を提供することを目的とする。
【解決手段】一対の電極と、該電極の間に式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含む有機層を有する光電変換素子。


(I)
式中、Arは、アリーレン基を表す。Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。2個あるRは、同一でも相異なってもよい。式(I)で表される繰り返し単位は、式(A−1)〜式(A−4)で表される繰り返し単位であることが好まし。Rはフッ素原子であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
π共役系構造を含む高分子化合物は、可視光領域及び可視光の周辺領域の光を吸収し、導電特性を有することから、光電変換素子への適用が検討されている。
【0003】
π共役系構造を含む高分子化合物からなる有機層を有する光電変換素子としては、式(A)で表される繰り返し単位と式(B)で表される繰り返し単位のみからなる高分子化合物からなる有機層を有する光電変換素子が提案されている(特許文献1)。

(A) (B)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−506519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記光電変換素子は、光電変換効率が低いという課題がある。
【0006】
本発明は、光電変換効率が高い光電変換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は第一に、一対の電極と、該電極の間に式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含む有機層を有する光電変換素子を提供する。

(I)
〔式中、Arは、アリーレン基を表す。Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。2個あるRは、同一でも相異なってもよい。〕
【0008】
本発明は第二に、高分子化合物が、式(I)で表される繰り返し単位の他に、式(II)で表される繰り返し単位及び式(III)で表される繰り返し単位を含む前記光電変換素子を提供する。

(II)
〔式中、Xは、硫黄原子又は酸素原子を表す。Zは、=CH−、=C(R)−又は窒素原子を表す。2個あるZは、同一でも相異なってもよい。Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。〕

(III)
〔式中、Eは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−NH−又は−N(R)−を表わす。2個あるEは同一でも相異なってもよい。Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。Yは、2価の基を表す。〕
【0009】
本発明は第三に、式(I)で表される繰り返し単位が、式(A−1)〜式(A−4)で表される繰り返し単位である前記光電変換素子を提供する。

〔式中、Rは、前述と同じ意味を表す。〕
【0010】
本発明は第四に、Rがフッ素原子である前記光電変換素子を提供する。
【0011】
本発明は第五に、式(I)で表される繰り返し単位、式(II)で表される繰り返し単位、及び、式(III)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を提供する。

(I)
〔式中、Arは、アリーレン基を表す。Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。2個あるRは、同一でも相異なってもよい。〕

(II)
〔式中、Xは、硫黄原子又は酸素原子を表す。Zは、=CH−、=C(R)−又は窒素原子を表す。2個あるZは、同一でも相異なってもよい。Rは、前述と同じ意味を表す。〕

(III)
〔式中、Eは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−NH−又は−N(R)−を表わす。2個あるEは同一でも相異なってもよい。Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。Yは、2価の基を表す。〕
【0012】
本発明は第六に、式(I)で表される繰り返し単位が、式(A−1)〜式(A−4)で表される繰り返し単位である前記高分子化合物を提供する。

〔式中、Rは、前述と同じ意味を表す。〕
【0013】
本発明は第七に、Rがフッ素原子である前記高分子化合物を提供する。
【0014】
本発明は第八に、ポリスチレン換算の数平均分子量が3,000以上である前記高分子化合物を提供する。
【0015】
本発明は第九に、前記高分子化合物を含む薄膜を提供する。
【0016】
本発明は第十に、前記高分子化合物と電子受容性化合物とを含む組成物を提供する。
【0017】
本発明は第十一に、電子受容性化合物が、フラーレン誘導体である前記組成物を提供する。
【0018】
本発明は第十二に、前記組成物を含む薄膜を提供する。
【0019】
本発明は第十三に、前記薄膜を用いた、電子素子を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の光電変換素子は、光電変換効率が高いため、本発明は、極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明の光電変換素子は、一対の電極と、該電極の間に式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含む有機層を有する。

(I)
【0023】
式(I)中、Arは、アリーレン基を表す。Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。2個あるRは同一でも相異なってもよい。
【0024】
式(I)中、Arで表されるアリーレン基とは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子2個を除いた基である。置換基としては、例えば、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子及び炭素数1〜20のアルコキシ基が挙げられる。アリーレン基の炭素数は、通常、6〜60であり、6〜16が好ましく、6〜10がより好ましい。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、テトラセンジイル基、ペンタセンジイル基及びピレンジイル基が挙げられる。
【0025】
式(I)中、Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。フッ素原子を有する1価の有機基としては、例えば、フッ素原子で置換されたアルキル基、フッ素原子で置換されたアルコキシ基、フッ素原子で置換されたアリール基及びフッ素原子で置換されたヘテロアリール基が挙げられる。
フッ素原子で置換されたアルキル基、フッ素原子で置換されたアルコキシ基、フッ素原子で置換されたアリール基、及びフッ素原子で置換されたヘテロアリール基は、フッ素原子以外の置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、臭素原子、塩素原子、及び炭素数1〜12のアルコキシ基が挙げられる。
【0026】
ここで、アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状アルキル基であってもよい。アルキル基の炭素数は、通常1〜30である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2一メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基及びエイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びアダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0027】
アルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状アルコキシ基であってもよい。アルコキシ基の炭素数は、通常1〜20であり、アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基及びラウリルオキシ基が挙げられる。フッ素原子以外の置換基で置換されたアルコキシ基としては、例えば、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
【0028】
アリール基は、芳香族炭化水素化合物から芳香環上の水素1個を除いた基である。アリール基の炭素数は、通常6〜60である。アリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられる。フッ素原子以外の置換基で置換されていてもよいアリール基の具体例としては、C1〜C12アルコキシフェニル基が挙げられる。
【0029】
ヘテロアリール基は、芳香族複素環式化合物から芳香環上の水素1個を除いた基である。ヘテロアリール基の炭素数は、通常2〜60である。ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基及びトリアジニル基が挙げられる。
【0030】
Rの具体例としては、フッ素原子(式(R−1))及び式(R−2)〜式(R−11)で表される基が挙げられる。
【0031】

【0032】
光電変換素子の光電変換効率を高める観点からは、Rは、フッ素原子、式(R−2)、式(R−5)、式(R−8)及び式(R−10)で表される基が好ましく、フッ素原子及び式(R−2)で表される基がより好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0033】
光電変換素子の光電変換効率を高める観点からは、式(I)で表される繰り返し単位は、式(A−1)〜式(A−4)で表される繰り返し単位が好ましい。

(式(A−1)〜(A−4)中、Rは前述と同じ意味を表す。)
【0034】
式(A−1)〜式(A−4)で表される繰り返し単位としては、式(B−1)〜式(B−18)で表される繰り返し単位が例示される。
【0035】

【0036】

【0037】

【0038】

(式(B−1)〜(B−18)中、Rは、前述と同じ意味を表す。)
【0039】
光電変換素子の光電変換効率を高める観点からは、式(B−1)〜式(B−18)で表される繰り返し単位の中でも、式(B−1)、式(B−2)、式(B−3)、式(B−4)、式(B−5)、式(B−8)、式(B−10)、式(B−11)、式(B−12)、式(B−13)、式(B−15)、式(B−16)及び式(B−18)で表される繰り返し単位が好ましく、式(B−1)、式(B−4)、式(B−5)、式(B−11)、式(B−12)及び式(B−15)で表される繰り返し単位がより好ましく、式(B−1)、式(B−5)、式(B−12)及び式(B−15)で表される繰り返し単位がさらに好ましく、式(B−1)で表される繰り返し単位が特に好ましい。
【0040】
本発明の光電変換素子に用いられる高分子化合物は、式(I)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していることが好ましい。該繰り返し単位としては、式(I)で表される繰り返し単位とは異なる芳香族の繰り返し単位が挙げられ、式(II)で表される繰り返し単位及び式(III)で表される繰り返し単位が好ましい。

(II)
〔式(II)中、Xは、硫黄原子又は酸素原子を表す。Zは、=CH−、=C(R)−又は窒素原子を表す。2個あるZは、同一でも相異なってもよい。Rは、前述と同じ意味を表す。〕

(III)
〔式(III)中、Eは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−NH−又は−N(R)−を表わす。2個あるEは同一でも相異なってもよい。Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。Yは、2価の基を表す。〕
【0041】
式(II)で表される繰り返し単位としては、式(C−1)〜式(C−12)で表される繰り返し単位が例示される。
【0042】

【0043】
光電変換素子の光電変換効率を高める観点からは、式(C−1)〜式(C−12)で表される繰り返し単位の中でも、式(C−1)、式(C−2)、式(C−6)、式(C−7)、式(C−8)及び式(C−12)で表される繰り返し単位が好ましく、式(C−1)、式(C−6)、式(C−7)及び式(C−12)で表される繰り返し単位がより好ましく、式(C−1)及び式(C−6)で表される繰り返し単位が特に好ましい。
【0044】
式(III)中、Yで表される2価の基としては、例えば、式(Y−1)〜式(Y−4)で表される基が挙げられる。

(式(Y−1)〜式(Y−4)中、Rは、前述と同じ意味を表す。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。)
【0045】
で表されるアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状アルキル基であってもよい。アルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。アルキル基の炭素数は、通常1〜30である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2一メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基及びエイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びアダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0046】
で表されるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状アルコキシ基であってもよい。アルコキシ基の炭素数は、通常1〜20である。アルコキシ基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及び炭素数1〜20のアルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基及びラウリルオキシ基が挙げられる。置換基で置換されたアルコキシ基としては、例えば、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
【0047】
で表されるアリール基は、芳香族炭化水素化合物から芳香環上の水素1個を除いた基である。アリール基の炭素数は、通常6〜60である。アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及び炭素数1〜20のアルコキシ基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられる。置換基で置換されたアリール基の具体例としては、C1〜C12アルコキシフェニル基が挙げられる。
【0048】
で表されるヘテロアリール基は、芳香族複素環式化合物から芳香環上の水素1個を除いた基である。ヘテロアリール基の炭素数は、通常2〜60である。ヘテロアリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数6〜60のアリール基が挙げられる。ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基及びトリアジニル基が挙げられる。
【0049】
式(III)で表される繰り返し単位としては、例えば、式(E−1)〜(E−16)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0050】

【0051】

【0052】

【0053】

(式(E−1)〜式(E−16)中、Rは前述と同じ意味を表す。)
【0054】
光電変換素子の光電変換効率を高める観点からは、式(E−1)〜式(E−16)で表される繰り返し単位の中でも、式(E−1)、式(E−4)、式(E−5)、式(E−9)、式(E−12)及び式(E−13)で表される繰り返し単位が好ましく、式(E−1)、式(E−5)及び式(E−9)で表される繰り返し単位がより好ましく、式(E−1)及び式(E−9)で表される繰り返し単位が特に好ましい。
【0055】
本発明に用いられる高分子化合物は、式(I)で表される繰り返し単位、式(II)で表される繰り返し単位及び式(III)で表される繰り返し単位を有し、式(I)で表される繰り返し単位が式(A−1)〜式(A−4)で表される繰り返し単位であり、式(II)で表される繰り返し単位が式(C−1)〜式(C−12)で表される繰り返し単位であり、式(III)で表される繰り返し単位が、式(E−1)〜(E−16)で表される繰り返し単位である高分子化合物が好ましい。式(A−1)〜式(A−4)で表される繰り返し単位中のRがフッ素原子であり、かつ、式(E−1)〜(E−16)で表される繰り返し単位中のRが炭素数1〜30のアルキル基である高分子化合物がより好ましい。
【0056】
本発明に用いられる式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を光電変換素子に用いる場合、該高分子化合物は、光電変換効率を高める観点からは、式(I)で表される繰り返し単位の分率を0.02〜0.80とすることが好ましく、0.05〜0.50とすることがより好ましく、0.10〜0.30有することが特に好ましい。
【0057】
本発明に用いられる式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を、光電変換素子に用いる場合、式(I)で表される繰り返し単位、式(II)で表される繰り返し単位、及び、式(III)で表される繰り返し単位を有することが、光電変換効率を高める観点から好ましい。この時、式(I)で表される繰り返し単位の分率は、光電変換効率を高める観点から0.02〜0.80とすることが好ましく、0.05〜0.50とすることがより好ましく、0.10〜0.30とすることが特に好ましい。
【0058】
式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物は、数平均分子量が3,000以上の高分子化合物が好ましく、数平均分子量が3,000〜10,000,000の高分子化合物がより好ましく、数平均分子量が8,000〜5,000,000の高分子化合物がさらに好ましく、数平均分子量が10,000〜1,000,000の高分子化合物が特に好ましい。数平均分子量が3,000より低いと素子作製時の膜形成に欠陥が生じることがあり、10,000,000より大きいと溶媒への溶解性や素子作製時の塗布性が低下することがある。
なお、本発明における数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、ポリスチレンの標準試料を用いて算出したポリスチレン換算の数平均分子量を指す。
【0059】
式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物は、素子作製の容易性の観点からは、溶媒への溶解度が高いことが望ましい。具体的には、本発明の光電変換素子に用いられる高分子化合物が、該高分子化合物を0.01wt%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することが好ましく、0.1wt%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することがより好ましく、0.4wt%以上含む溶液を作製し得る溶解性を有することがさらに好ましい。
【0060】
式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物は、高い電子及び/又はホール輸送性を発揮し得ることから、該高分子化合物を含む有機薄膜を素子に用いた場合、電極から注入された電子やホール、或いは、光吸収によって発生した電荷を輸送することができる。これらの特性を活かして光電変換素子、有機薄膜トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子等の種々の電子素子に好適に用いることができる。以下、これらの素子について個々に説明する。尚、本発明の高分子化合物を含む薄膜の厚さは、通常、1nm〜100μm、好ましくは2nm〜1000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmであり、さらに好ましくは20nm〜200nmである。
【0061】
<光電変換素子>
本発明の光電変換素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含む1層以上の活性層を有する。
本発明の光電変換素子の好ましい形態としては、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極と、p型の有機半導体とn型の有機半導体との有機組成物から形成される活性層を有する。式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物は、p型の有機半導体として用いることが好ましい。
式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を用いて製造される光電変換素子は、通常、基板上に形成される。この基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に化学的に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
【0062】
本発明の光電変換素子の他の態様は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含む第1の活性層と、該第1の活性層に隣接して、フラーレン誘導体等の電子受容性化合物を含む第2の活性層を含む光電変換素子である。
【0063】
透明又は半透明の電極材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性材料、NESA、金、白金、銀、銅が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。
電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0064】
一方の電極は透明でなくてもよく、該電極の電極材料としては、金属、導電性高分子等を用いることができる。電極材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、又は、1種以上の前記金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
【0065】
光電変換効率を向上させるための手段として活性層以外の付加的な中間層を使用してもよい。中間層として用いられる材料としては、フッ化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化チタン等の酸化物、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが挙げられる。
【0066】
<活性層>
活性層は、式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を一種単独で含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。活性層のホール輸送性を高めるため、電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物として、式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物以外の化合物を活性層中に混合して用いることもできる。なお、電子供与性化合物、電子受容性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位のエネルギーレベルから相対的に決定される。
【0067】
電子供与性化合物としては、式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物のほか、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体が挙げられる。
【0068】
電子受容性化合物としては、式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物のほか、例えば、炭素材料、酸化チタン等の金属酸化物、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(バソクプロイン)等のフェナントロリン誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、カーボンナノチューブ、フラーレン、フラーレン誘導体であり、特に好ましくはフラーレン、フラーレン誘導体である。
フラーレン、フラーレン誘導体としてはC60、C70、C76、C78、C84及びその誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体は、フラーレンの少なくとも一部が修飾された化合物を表す。
【0069】
フラーレン誘導体としては、例えば、式(15)で表される化合物、式(16)で表される化合物、式(17)で表される化合物、式(18)で表される化合物が挙げられる。

(15) (16) (17) (18)

(式(15)〜(18)中、Rは、置換若しくは非置換のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はエステル構造を有する基である。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。Rは置換若しくは非置換のアルキル基又はアリール基を表す。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。)
【0070】
及びRで表される置換若しくは非置換のアルキル基、アリール基の定義、具体例は、Rで表される置換若しくは非置換のアルキル基、アリール基の定義、具体例と同じである。
【0071】
で表されるヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい芳香族性を有する複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいう。ヘテロアリール基としては、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。
【0072】
で表されるエステル構造を有する基は、例えば、式(19)で表される基が挙げられる。

(19)
(式中、u1は、1〜6の整数を表す、u2は、0〜6の整数を表す、Rは、置換若しくは非置換のアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。)
【0073】
で表される置換若しくは非置換のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基の定義、具体例は、Rで表される置換若しくは非置換のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基の定義、具体例と同じである。
【0074】
60フラーレンの誘導体の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。

【0075】
70フラーレンの誘導体の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。

【0076】
また、フラーレン誘導体の例としては、[6,6]フェニル−C61酪酸メチルエステル(C60PCBM、[6,6]-Phenyl C61 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C71酪酸メチルエステル(C70PCBM、[6,6]-Phenyl C71 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]-Phenyl C85 butyric acid methyl ester)、[6,6]チエニル−C61酪酸メチルエステル([6,6]-Thienyl C61 butyric acid methyl ester)が挙げられる。
【0077】
活性層中に本発明の高分子化合物とフラーレン誘導体とが含まれる場合、フラーレン誘導体の量は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、20〜500重量部であることがより好ましい。
【0078】
活性層は式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物と電子受容性化合物とを含む組成物の薄膜であり、その厚さは、通常、1nm〜100μmが好ましく、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。
【0079】
前記活性層の製造方法は、如何なる方法で製造してもよく、例えば、高分子化合物を含む溶液からの成膜や、真空蒸着法による成膜方法が挙げられる。
【0080】
<光電変換素子の製造方法>
光電変換素子の好ましい製造方法は、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に本発明の高分子化合物と溶媒とを含む溶液(インク)を塗布法により塗布して活性層を形成する工程、該活性層上に第2の電極を形成する工程を有する素子の製造方法である。
【0081】
溶液からの成膜に用いる溶媒は、本発明の高分子化合物を溶解させるものであればよい。該溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒が挙げられる。本発明の高分子化合物は、通常、前記溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0082】
溶液を用いて成膜する場合、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコート法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができ、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェットコート法、スピンコート法が好ましい。
成膜性の観点からは、25℃における溶媒の表面張力が15mN/mより大きいことが好ましく、15mN/mより大きく100mN/mよりも小さいことがより好ましく、25mN/mより大きく60mN/mよりも小さいことがさらに好ましい。
【0083】
<有機トランジスタ>
本発明の高分子化合物は、有機薄膜トランジスタにも用いることができる。有機薄膜トランジスタとしては、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となる有機半導体層(活性層)と、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられ、有機半導体層が上述した有機薄膜によって構成されるものである。このような有機薄膜トランジスタとしては、電界効果型、静電誘導型等が挙げられる。
【0084】
電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極、並びに、有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層を備えることが好ましい。
特に、ソース電極及びドレイン電極が、有機半導体層(活性層)に接して設けられており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていることが好ましい。電界効果型有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層が、本発明の高分子化合物を含む有機薄膜によって構成される。
【0085】
静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、並びに電流経路を通る電流量を制御するゲート電極を有し、このゲート電極が有機半導体層中に設けられていることが好ましい。特に、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層中に設けられたゲート電極が、有機半導体層に接して設けられていることが好ましい。ここで、ゲート電極の構造としては、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成され、且つゲート電極に印加した電圧で電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし形電極が挙げられる。静電誘導型有機薄膜トランジスタにおいても、有機半導体層が、本発明の高分子化合物を含む有機薄膜によって構成される。
【0086】
<有機エレクトロルミネッセンス素子>
本発明の高分子化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に用いることもできる。有機EL素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に発光層を有する。有機EL素子は、発光層の他にも、正孔輸送層、電子輸送層を含んでいてもよい。該発光層、正孔輸送層、電子輸送層のいずれかの層中に本発明の高分子化合物が含まれる。発光層中には、本発明の高分子化合物の他にも、電荷輸送材料(電子輸送材料と正孔輸送材料の総称を意味する)を含んでいてもよい。有機EL素子としては、陽極と発光層と陰極とを有する素子、さらに陰極と発光層の間に、該発光層に隣接して電子輸送材料を含有する電子輸送層を有する陽極と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子、さらに陽極と発光層の間に、該発光層に隣接して正孔輸送材料を含む正孔輸送層を有する陽極と正孔輸送層と発光層と陰極とを有する素子、陽極と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子等が挙げられる。
【0087】
<素子の用途>
本発明の高分子化合物を用いた光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
【0088】
また、電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明又は半透明の電極から光を照射することにより、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
上述の有機薄膜トランジスタは、例えば電気泳動ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画素の制御や、画面輝度の均一性や画面書き換え速度を制御のために用いられる画素駆動素子等として用いることができる。
【0089】
<太陽電池モジュール>
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の高分子化合物を用いて製造される有機薄膜太陽電池も使用目的や使用場所及び環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0090】
代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュールは、片側又は両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード又はフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム又は充填樹脂の形で用いてもよい。
また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、セルそのものや支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
【実施例】
【0091】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
合成例1
(化合物2の合成)

四つ口フラスコに、化合物1を2.674g(15.00mmol)、ブロモオクタンを6.083g(31.50mmol)、ヨウ化カリウムを62.25mg(2.5mol%)、ジメチルスルホキシドを50mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。アイスバスを用いて0℃まで冷却後、水酸化カリウムを2.525g(45.00mmol)加え、6日間反応させた。反応溶液を液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、原料の消失を確認した。
その後、反応溶液に純水を加え、ヘキサンを用いて有機層の抽出を行った。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の分離を行い、分離して得られた成分を乾燥させることで、化合物2を4.11g得た。
【0093】
合成例2
(化合物3の合成)

四つ口フラスコに、化合物2を4.11g(10.2mmol)、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)を200mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。−20℃まで冷却後、N−ブロモスクシンイミド(NBS)を1.91g(10.71mmol)加え、6時間かけて室温(25℃)まで昇温した。昇温中、さらに182mgのNBS(1.02mmol)を2回加えた。
その後、反応溶液に純水を加え、ジエチルエーテルを用いて有機層の抽出を行った。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の分離を行い、分離して得られた成分を乾燥させることで、化合物3を3.17g得た。
【0094】
合成例3
(化合物5の合成)

四つ口フラスコに、化合物4(4,7−bis(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−yl)−2,1,3−benzothiadiazole)(アルドリッチ社製)を1.173g(3.021mmol)、化合物3を3.178g(6.042mmol)、トルエンを90mL、及び、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)を606mg(1.50mmol)加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。90℃に昇温後、酢酸パラジウムを6.7mg(化合物4に対して1mol%)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィンを37.0mg(化合物4に対して3.5mol%)加えた。その後、100℃で攪拌しながら、16.7wt%の炭酸ナトリウム水溶液を19.0g(30.0mmol)30分かけて反応液に滴下した。2時間後、応溶液をHPLCで分析し、化合物3の消失を確認した。なお反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、反応液に純水を加え、トルエン層を分離後乾燥し、反応生成物を得た。その後、ヘキサンを展開溶媒に用いたカラムで反応生成物の分離を行うことで、化合物5を1.196g得た。
【0095】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.822(t, 12H), 1.055(m, 8H), 1.167(m, 40H),1.919(t, 8H), 6.981(d, 2H), 7.234(d, 2H), 7.852(s, 2H), 8.046(s, 2H)
【0096】
合成例4
(化合物6の合成)

四つ口フラスコに、化合物5を1.190g(1.269mmol)、DMFを15mL、及び、テトラヒドロフラン(THF)を15mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。−60℃まで冷却後、NBSを474.3mg(2.665mmol)加え、6時間かけて0℃まで昇温した。昇温中、さらに22.6mgのNBS(0.127mmol)を2回加えた。
その後、反応溶液に純水を加え、ヘキサンを用いて有機層の抽出を行った。その後、展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の分離を行い、分離して得られた成分を乾燥させることで、化合物6を1.612g得た。
【0097】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.829(t, 12H), 1.026(m, 8H), 1.169(m, 40H), 1.876(t, 8H), 6.990(s, 2H), 7.837(s, 2H), 8.009(s, 2H)
【0098】
実施例1
(高分子化合物Aの合成)

四つ口フラスコ内に、化合物7を64.8mg(0.177mmol)、化合物6を203.9mg(0.186mmol)、テトラヒドロフランを10mL入れ、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、フラスコ内に、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを5.49mg(0.006mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを6.96mg(0.024mmol)加えた。反応液を80℃で攪拌しながら、27.6wt%の炭酸カリウム水溶液1.50g(3.00mmol)を30分かけて反応液に滴下した。15分後、フェニルホウ酸を3.66mg(0.03mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを1g及び純水を10mL加え、反応液を1時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水10mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、その後、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、高分子化合物Aを150mg得た。
GPCで測定した高分子化合物Aのポリスチレン換算の分子量は、重量平均分子量(Mw)が8,000であり、数平均分子量(Mn)が6,000であった。
【0099】
合成例5
(化合物8の合成)


フラスコ内の空気をアルゴンで置換した1000mLの4つ口フラスコに、3−ブロモチオフェンを13.0g(80.0mmol)、ジエチルエーテルを80mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−78℃に保ったまま、2.6Mのn−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液を31mL(n−BuLiは80.6mmol)滴下した。−78℃で2時間反応させた後、3−チオフェンアルデヒド8.96g(80.0mmol)をジエチルエーテル20mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下後、−78℃で30分攪拌し、さらに室温(25℃)で30分攪拌した。反応液を再度−78℃に冷却し、2.6Mのn−BuLiのヘキサン溶液62mL(n−BuLiは161mmol)を15分かけて滴下した。滴下後、反応液を−25℃で2時間攪拌し、さらに室温(25℃)で1時間攪拌した。その後、反応液を−25℃に冷却し、ヨウ素60g(236mmol)をジエチルエーテル1000mLに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下後、室温(25℃)で2時間攪拌し、1規定のチオ硫酸ナトリウム水溶液50mLを加えて反応を停止させた。ジエチルエーテルで反応生成物を抽出した後、硫酸マグネシウムで反応生成物を乾燥し、ろ過後、ろ液を濃縮して35gの粗生成物を得た。クロロホルムを用いて粗生成物を再結晶することにより精製し、化合物8を28g得た。
【0100】
合成例6
(化合物9の合成)

300mLの4つ口フラスコに、ビスヨードチエニルメタノール(化合物8)を10.5g(23.4mmol)、塩化メチレンを150mL加えて均一な溶液とした。該溶液にクロロクロム酸ピリジニウムを7.50g(34.8mmol)加え、室温(25℃)で10時間攪拌した。反応液をろ過して不溶物を除去後、ろ液を濃縮し、化合物9を10.0g(22.4mmol)得た。
【0101】
合成例7
(化合物10の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した300mLフラスコに、化合物9を10.0g(22.4mmol)、銅粉末を6.0g(94.5mmol)、脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと呼称することもある)を120mL加えて、120℃で4時間攪拌した。反応後、フラスコを室温(25℃)まで冷却し、反応液をシリカゲルカラムに通して不溶成分を除去した。その後、水500mLを加え、クロロホルムで反応生成物を抽出した。クロロホルム溶液である油層を硫酸マグネシウムで乾燥し、油層をろ過し、ろ液を濃縮して粗製物を得た。組成物をシリカゲルカラム(展開液:クロロホルム)で精製し、化合物10を3.26g得た。ここまでの操作を複数回行った。
【0102】
合成例8
(化合物11の合成)

メカニカルスターラーを備え、フラスコ内の空気をアルゴンで置換した300mL4つ口フラスコに、化合物10を3.85g(20.0mmol)、クロロホルムを50mL、トリフルオロ酢酸を50mL入れて均一な溶液とした。該溶液に過ホウ酸ナトリウム1水和物を5.99g(60mmol)加え、室温(25℃)で45分間攪拌した。その後、水200mLを加え、クロロホルムで反応生成物を抽出し、クロロホルム溶液である有機層をシリカゲルカラムに通し、エバポレーターでろ液の溶媒を留去した。メタノールを用いて残渣を再結晶し、化合物11を534mg得た。
【0103】
H NMR(CDCl(ppm)):7.64(d、1H)、7.43(d、1H)、7.27(d、1H)、7.10(d、1H)
【0104】
合成例9
(化合物12の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した100mL四つ口フラスコに、化合物11を1.00g(4.80mmol)、脱水THFを30ml入れて均一な溶液とした。フラスコを−20℃に保ちながら、1Mの3,7−ジメチルオクチルマグネシウムブロミドのエーテル溶液を12.7mL加えた。その後、30分かけて温度を−5℃まで上げ、そのまま30分攪拌した。その後、10分かけて温度を0℃に上げ、そのまま1.5時間攪拌を行った。その後、水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで反応生成物を抽出した。酢酸エチル溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、酢酸エチル溶液をシリカゲルカラムに通し、ろ液の溶媒を留去し、化合物12を1.50g得た。
【0105】
H NMR(CDCl(ppm)):8.42(b、1H)、7.25(d、1H)、7.20(d、1H)、6.99(d、1H)、6.76(d、1H)、2.73(b、1H)、1.90(m、4H)、1.58‐1.02(b、20H)、0.92(s、6H)、0.88(s、12H)
【0106】
合成例10
(化合物13の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物12を1.50g、トルエンを30mL入れて均一な溶液とした。該溶液にp−トルエンスルホン酸ナトリウム1水和物を100mg入れ、100℃で1.5時間攪拌を行った。反応液を室温(25℃)まで冷却後、水50mLを加え、トルエンで反応生成物を抽出した。トルエン溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた粗生成物を、ヘキサンを溶媒に用いたシリカゲルカラムで精製し、化合物13を1.33g得た。ここまでの操作を複数回行った。
【0107】
H NMR(CDCl(ppm)):6.98(d、1H)、6.93(d、1H)、6.68(d、1H)、6.59(d、1H)、1.89(m、4H)、1.58‐1.00(b、20H)、0.87(s、6H)、0.86(s、12H)
【0108】
合成例11
(化合物14の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した300mLフラスコに、化合物13を3.52g(7.41mmol)、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)を100mL入れて均一な溶液とした。25℃で30分間アルゴンバブリングを行った後、−50℃まで冷却し、NBSを1.20g(6.74mmol)加え、5.5時間かけて25℃まで昇温した。反応液に水50mLを加え、ジエチルエーテルで反応生成物を抽出した。ジエチルエーテル溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し、溶媒を留去した。得られた粗生成物を、ヘキサンを溶媒としたシリカゲルカラムで精製して、化合物14を3.30g得た。
【0109】
H NMR(CDCl(ppm)): 0.826(m, 18H), 1.08-1.47(m, 20H), 1.95(m, 4H), 6.65(d, 1H), 6.66(s, 1H), 6.98(s, 1H)
【0110】
合成例12
(化合物15の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した300mLフラスコに、化合物4(4,7−bis(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−yl)−2,1,3−benzothiadiazole)(アルドリッチ社製)を1.11g(2.85mmol)、化合物14を3.16g(5.70mmol)、トルエンを90mL、及び、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)を606mg(1.50mmol)入れて均一溶液とし、25℃で30分間アルゴンバブリングを行った。90℃に昇温後、酢酸パラジウムを6.7mg(化合物4に対して1mol%)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィンを37.0mg(化合物4に対して3.5mol%)加えた。
その後、100℃で攪拌しながら、16.7wt%の炭酸ナトリウム水溶液19.0g(30.0mmol)を30分かけて滴下した。滴下後、100℃で2時間攪拌を行った。その後、反応液に純水を加え、トルエン層を分離後、トルエン層を硫酸ナトリウムで乾燥し、粗生成物を得た。ヘキサンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムで粗生成物の精製を行い、化合物15を2.25g得た。
【0111】
1H NMR(CDCl(ppm)) : 0.826(m, 36H), 1.08-1.47(m, 40H), 1.95(m, 8H), 6.71(d, 2H), 7.04(d, 2H), 7.77(s, 2H), 7.79(s, 2H)
【0112】
合成例13
(化合物16の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物15を2.25g(2.08mmol)、DMFを40mL、及び、テトラヒドロフラン(THF)を40mL入れて均一溶液とした。−50℃まで冷却後、NBSを814mg(4.58mmol)加え、2.5時間かけて0℃まで昇温した。
その後、反応溶液に純水を加え、ヘキサンを用いて有機層の抽出を行った。溶媒を乾燥後、ヘキサンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムで粗生成物の精製を行い、化合物16を2.11g得た。
【0113】
1H-NMR(CDCl(ppm)) : 0.826(m, 36H), 1.08-1.47(m, 40H), 1.95(m, 8H), 6.72(s, 2H), 7.75(s, 2H), 7.77(s, 2H)
【0114】
実施例2
(高分子化合物Bの合成)

四つ口フラスコ内に、化合物7を102.5mg(0.280mmol)、化合物16を365.9mg(0.295mmol)、及び、テトラヒドロフランを10mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。その後、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムを5.49mg(0.006mmol)、[トリ(ターシャリーブチル)ホスホニウム]テトラフルオロボレートを6.96mg(0.024mmol)加えた。反応液を80℃で攪拌しながら、27.6wt%の炭酸カリウム水溶液1.50g(3.00mmol)を30分かけて反応液に滴下した。15分後、フェニルホウ酸を3.66mg(0.03mmol)加え、さらに1時間攪拌した後、反応を停止した。なお、反応はアルゴン雰囲気下で行った。
その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを1g及び純水を10mL加え、反応液を1時間還流しながら攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水10mlで2回、3重量(wt)%の酢酸水溶液10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、その後、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをトルエンに溶解させた。トルエン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーろ過後、乾燥し、高分子化合物Bを291mg得た。
GPCで測定した高分子化合物Bの分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)が32,000、数平均分子量(Mn)が16,000であった。
【0115】
合成例14
(化合物18の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物17を1.78g(10.0mmol)、2−エチルヘキシルブロミドを5.83g(25.0mmol)、ヨウ化カリウムを41.5mg(0.25mmol)、水酸化カリウムを1.68g(30.0mmol)入れ、ジメチルスルホキシド35mLに溶解させて、室温(25℃)で24時間攪拌した。反応後、水100mLを加え、ヘキサンで生成物を抽出し、ヘキサンを展開溶媒に用いたシリカゲルカラムで精製を行い、化合物18を2.61g得た。
【0116】
合成例15
(化合物19の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物18を1.31g(3.25mmol)、及び、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を25mL加えた。その後、フラスコを0℃に冷却して、N−ブロモスクシンイミド(NBS)(1.21g)を加え、12時間攪拌した。反応液中に水100mLを入れて反応を停止し、エーテルで生成物を抽出した。シリカゲルカラム(展開溶媒はヘキサン)で精製を行い、化合物19を1.70g得た。
【0117】
合成例16
(高分子化合物Cの合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物19を561mg(1.00mmol)、化合物4(4,7−bis(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−yl)−2,1,3−benzothiadiazole)(アルドリッチ社製)を388.1mg(1.00mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)を202mg加え、トルエン20mlに溶解させ、得られたトルエン溶液をアルゴンで30分バブリングした。その後、酢酸パラジウムを2.25mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(Tris(2−methoxyphenyl)phosphine)を12.3mg、16.7wt%の炭酸ナトリウム水溶液を6.5mL加え、100℃で5時間攪拌を行った。その後、フェニルホウ酸を50mg加え、さらに70℃で2時間反応させた。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム2gと水20mLを加え、2時間還流下で攪拌を行った。反応液中の水層を除去後、有機層を水20mlで2回、3wt%の酢酸水溶液20mLで2回、さらに水20mLで2回洗浄し、メタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン30mLに再度溶解した。o−ジクロロベンゼン溶液をアルミナ/シリカゲルカラムに通し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、精製した高分子化合物280mgを得た。以下、この高分子化合物を高分子化合物Cと呼称する。GPCで測定した高分子化合物Cの分子量(ポリスチレン換算)はMwが30,000、Mnが14,000であった。
【0118】
実施例3
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板を、オゾンUV処理して表面処理を行った。次に、高分子化合物B及びフラーレンC60PCBM(フェニルC61−酪酸メチルエステル)(phenyl C61-butyric acid methyl ester、フロンティアカーボン社製)を、高分子化合物Bの重量に対するC60PCBMの重量の比が3となるようにオルトジクロロベンゼンに溶解し、インク1を製造した。インク1の重量に対して、高分子化合物Bの重量とC60PCBMの重量の合計は2.0重量%であった。該インク1をスピンコートによりガラス基板上に塗布し、高分子化合物Bを含む有機膜を作製した。膜厚は約100nmであった。このようにして作製した有機膜の光吸収端波長は750nmであった。その後、有機膜上に真空蒸着機によりフッ化リチウムを厚さ2nmで蒸着し、次いでAlを厚さ100nmで蒸着し、有機薄膜太陽電池を製造した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた有機薄膜太陽電池にソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO-SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定して光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。Jsc(短絡電流密度)は9.63mA/cm2であり、Voc(開放端電圧)は0.67Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.62であり、光電変換効率(η)は4.03%であった。結果を表1に表す。
【0119】
実施例4
高分子化合物Bにかえて高分子化合物Aを用いた以外は、実施例3と同様の方法でインク及び有機薄膜太陽電池を作製し、評価した。Jsc(短絡電流密度)は9.90mA/cm2であり、Voc(開放端電圧)は0.61Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.44であり、光電変換効率(η)は2.62%であった。結果を表1に表す。
【0120】
比較例1
高分子化合物Bにかえて高分子化合物Cを用いた以外は、実施例3と同様の方法でインク及び有機薄膜太陽電池を作製し、評価した。Jsc(短絡電流密度)は4.61mA/cm2であり、Voc(開放端電圧)は0.60Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.33であり、光電変換効率(η)は0.91%であった。結果を表1に表す。
【0121】
表1 光電変換素子評価結果

【0122】
合成例17
(化合物21の合成)

500mlフラスコに、4,5−ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼン(化合物20)(東京化成工業製)を10.2g(70.8mmol)、ピリジンを150mL入れて均一溶液とした。フラスコを0℃に保ったまま、フラスコ内に塩化チオニルを16.0g(134mmol)滴下した。滴下後、フラスコを25℃に温めて、6時間反応を行った。その後、反応液に水250mlを加え、さらにクロロホルムを加えて反応生成物を含む有機層を抽出した。クロロホルム溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をエバポレーターで濃縮し、析出した固体を再結晶で精製した。再結晶の溶媒には、メタノールを用いた。精製後、化合物21を10.5g(61.0mmol)得た。
【0123】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 7.75(s, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -128.3(s, 2F)
【0124】
合成例18
(化合物22の合成)

100mLフラスコに、化合物21を2.00g(11.6mmol)、鉄粉を0.20g(3.58mmol)入れ、フラスコを90℃に加熱した。このフラスコに、臭素31g(194mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後、反応液を90℃で38時間攪拌した。その後、フラスコを室温(25℃)まで冷却し、クロロホルム100mLを入れて希釈した。得られた溶液を、5wt%の亜硫酸ナトリウム水溶液300mLに注ぎ込み、1時間攪拌した。得られた混合液の有機層を分液ロートで分離し、水層をクロロホルムで3回抽出した。得られた抽出液を有機層に混合し、混合した溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後、ろ液をエバポレーターで濃縮し、溶媒を留去した。得られた黄色の固体を、55℃に熱したメタノール90mLに溶解させ、その後、25℃まで冷却した。析出した結晶をろ過して回収し、その後、室温(25℃)で減圧乾燥して化合物22を1.50g得た。
【0125】
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -118.9(s, 2F)
【0126】
合成例19
(化合物23の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した200mLフラスコに、化合物13を2.16g(4.55 mmol)、脱水THFを100mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−78℃に保ち、該溶液に2.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液4.37mL(11.4mmol)を10分かけて滴下した。滴下後、−78℃で30分攪拌し、次いで、室温(25℃)で2時間攪拌した。その後、フラスコを−78℃に冷却し、トリブチルスズクロリドを4.07g(12.5mmol)加えた。添加後、−78℃で30分攪拌し、次いで、室温(25℃)で3時間攪拌した。その後、水200mlを加えて反応を停止し、酢酸エチルで反応生成物を抽出した。酢酸エチル溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過後、ろ液をエバポレーターで濃縮し、溶媒を留去した。得られたオイル状の物質をシリカゲルカラムで精製した(展開溶媒:ヘキサン)。シリカゲルカラムのシリカゲルには、あらかじめ5wt%のトリエチルアミンを含むヘキサンに5分間浸し、その後、ヘキサンで濯いだシリカゲルを用いた。精製後、化合物23を3.52g(3.34mmol)得た。
【0127】
実施例5
(高分子化合物Dの合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した100mLフラスコに、化合物23を500mg(0.475mmol)、化合物22を123mg(0.373mmol)、化合物24を24mg(0.088mmol)、トルエンを32ml入れて均一溶液とした。得られたトルエン溶液を、アルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを6.33mg(0.007mmol)、トリス(2−トルイル)ホスフィンを12.6mg加え、100℃で6時間攪拌した。その後、反応液にフェニルブロミドを500mg加え、さらに5時間攪拌した。その後、フラスコを25℃に冷却し、反応液をメタノール300mLに注いだ。析出したポリマーをろ過して回収し、得られたポリマーを、円筒ろ紙に入れ、ソックスレー抽出器を用いて、メタノール、アセトン及びヘキサンでそれぞれ5時間抽出した。円筒ろ紙内に残ったポリマーを、o−ジクロロベンゼン100mLに溶解させ、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム2gと水40mLを加え、8時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水50mlで2回洗浄し、次いで、3wt%の酢酸水溶液50mLで2回洗浄し、次いで、水50mLで2回洗浄し、次いで、水50mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン30mLに再度溶解し、アルミナ/シリカゲルカラムに通した。得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーをろ過後、乾燥し、精製された重合体40mgを得た。以下、この重合体を高分子化合物Dと呼称する。
【0128】
実施例6
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
高分子化合物Bにかえて高分子化合物Dを用いた以外は、実施例3と同様の方法でインク及び有機薄膜太陽電池を作製し、評価した。Jsc(短絡電流密度)は12.64mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は0.75Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.61であり、光電変換効率(η)は5.74%であった。結果を表2に表す。
【0129】
表2 光電変換素子評価結果

【0130】
合成例20
(化合物25の合成)

四つ口フラスコに、化合物11を10.00g(48.02mmol)、テトラヒドロフランを400mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応液を−40℃に冷却後、n−ドデシルマグネシウムブロミドを1.0mol/L含むジエチルエーテル溶液を144mL加え、0℃まで昇温しながら攪拌した。3時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。
反応液に水及びクロロホルムを加え、有機層の抽出を行い、展開溶媒にクロロホルムを用いたカラムで有機層の精製を行った後、精製した有機層を乾燥させることで、化合物25を含む混合オイルを得た。
【0131】
合成例21
(化合物26の合成)

四つ口フラスコに、化合物25を含む混合オイルを全量、トルエンを200mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。次に、反応液にパラ−トルエンスルホン酸1水和物を1000mg加えた後、120℃に昇温して攪拌を行い、1時間後に、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応液に水及び酢酸エチルを加え、有機層の抽出を行った。展開溶媒にヘキサンを用いたカラムで有機層の精製、乾燥を行うことで、化合物26を21.1g得た。
【0132】
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 0.83(t, 6H), 1.21(m, 36H), 1.43(m, 4H), 1.96(t, 4H),
6.67 (d, 1H), 6.69 (d, 1H), 6.96 (d, 1H), 7.03 (d, 1H)
【0133】
合成例22
(化合物27の合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した300mLフラスコに、化合物26を5.00g(9.42 mmol)、脱水THFを150mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−78℃に保ち、該溶液に2.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液9.04mL(23.5mmol)を10分かけて滴下した。滴下後、−78℃で30分攪拌し、次いで、室温(25℃)で2時間攪拌した。その後、フラスコを−78℃に冷却し、トリブチルスズクロリドを8.43g(25.9mmol)加えた。添加後、−78℃で30分攪拌し、次いで、室温(25℃)で3時間攪拌した。その後、水200mlを加えて反応を停止し、酢酸エチルで反応生成物を抽出した。酢酸エチル溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過後、濾液をエバポレーターで濃縮し、溶媒を留去した。得られたオイル状の物質をシリカゲルカラムで精製した(展開溶媒:ヘキサン)。シリカゲルカラムのシリカゲルには、あらかじめ5wt%のトリエチルアミンを含むヘキサンに5分間浸し、その後、ヘキサンで濯いだシリカゲルを用いた。精製後、化合物27を9.80g(8.84mmol)得た。
【0134】
実施例7
(高分子化合物Eの合成)

フラスコ内の空気をアルゴンで置換した100mLフラスコに、化合物23を200mg(0.190mmol)、化合物27を211mg(0.190mmol)、化合物22を96mg(0.291mmol)、化合物24を20mg(0.074mmol)、トルエンを32ml入れて均一溶液とした。得られたトルエン溶液を、アルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを5.01mg(0.0055mmol)、トリス(2−トルイル)ホスフィンを10.0mg加え、100℃で6時間攪拌した。その後、反応液にフェニルブロミドを113mg加え、さらに5時間攪拌した。その後、フラスコを25℃に冷却し、反応液をメタノール300mLに注いだ。析出したポリマーをろ過して回収し、得られたポリマーを、円筒ろ紙に入れ、ソックスレー抽出器を用いて、メタノール、アセトン及びヘキサンでそれぞれ5時間抽出した。円筒ろ紙内に残ったポリマーを、o−ジクロロベンゼン100mLに溶解させ、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム2gと水40mLを加え、8時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水50mlで2回洗浄し、次いで、3wt%の酢酸水溶液50mLで2回洗浄し、次いで、水50mLで2回洗浄し、次いで、水50mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーをろ過後、乾燥し、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン30mLに再度溶解し、アルミナ/シリカゲルカラムに通した。得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーをろ過後、乾燥し、精製された重合体118mgを得た。以下、この重合体を高分子化合物Eと呼称する。
【0135】
実施例8
(インク及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
高分子化合物Bにかえて高分子化合物Eを用いた以外は、実施例3と同様の方法でインク及び有機薄膜太陽電池を作製し、評価した。Jsc(短絡電流密度)は13.25mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は0.73Vであり、ff(フィルファクター(曲線因子))は0.66であり、光電変換効率(η)は6.39%であった。結果を表3に表す。
【0136】
表3 光電変換素子評価結果


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極と、該電極の間に式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含む有機層を有する光電変換素子。

(I)
〔式中、Arは、アリーレン基を表す。Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。2個あるRは、同一でも相異なってもよい。〕
【請求項2】
高分子化合物が、式(I)で表される繰り返し単位の他に、式(II)で表される繰り返し単位及び式(III)で表される繰り返し単位を含む請求項1に記載の光電変換素子。

(II)
〔式中、Xは、硫黄原子又は酸素原子を表す。Zは、=CH−、=C(R)−又は窒素原子を表す。2個あるZは、同一でも相異なってもよい。Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。〕

(III)
〔式中、Eは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−NH−又は−N(R)−を表わす。2個あるEは同一でも相異なってもよい。Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。Yは、2価の基を表す。〕
【請求項3】
式(I)で表される繰り返し単位が、式(A−1)〜式(A−4)で表される繰り返し単位である請求項1又は2に記載の光電変換素子。

〔式中、Rは、前述と同じ意味を表す。〕
【請求項4】
Rが、フッ素原子又は式(R−2)〜式(R−11)で表される基のいずれかである請求項1〜3のいずれか一項に記載の光電変換素子。

【請求項5】
Rがフッ素原子である請求項4に記載の光電変換素子。
【請求項6】
式(I)で表される繰り返し単位が式(A−1)〜式(A−4)で表される繰り返し単位であり、式(II)で表される繰り返し単位が式(C−1)〜式(C−12)で表される繰り返し単位であり、式(III)で表される繰り返し単位が、式(E−1)〜(E−16)で表される繰り返し単位である請求項2に記載の光電変換素子。

〔式中、Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。2個あるRは、同一でも相異なってもよい。〕









〔式中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。複数個あるRは、同一であっても相異なってもよい。〕
【請求項7】
Rがフッ素原子であり、Rが炭素数1〜30のアルキル基である請求項6に記載の光電変換素子。
【請求項8】
式(I)で表される繰り返し単位、式(II)で表される繰り返し単位、及び、式(III)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物。

(I)
〔式中、Arは、アリーレン基を表す。Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。2個あるRは、同一でも相異なってもよい。〕

(II)
〔式中、Xは、硫黄原子又は酸素原子を表す。Zは、=CH−、=C(R)−又は窒素原子を表す。2個あるZは、同一でも相異なってもよい。Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。〕

(III)
〔式中、Eは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−NH−又は−N(R)−を表わす。2個あるEは同一でも相異なってもよい。Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。Yは、2価の基を表す。〕
【請求項9】
式(I)で表される繰り返し単位が式(A−1)〜式(A−4)で表される繰り返し単位であり、式(II)で表される繰り返し単位が式(C−1)〜式(C−12)で表される繰り返し単位であり、式(III)で表される繰り返し単位が、式(E−1)〜(E−16)で表される繰り返し単位である請求項8に記載の高分子化合物。


〔式中、Rは、フッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基を表す。2個あるRは、同一でも相異なってもよい。〕









〔式中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。複数個あるR1は、同一であっても相異なってもよい。〕
【請求項10】
Rがフッ素原子又は式(R−2)〜式(R−11)で表される基のいずれかであり、Rが炭素数1〜30のアルキル基である請求項9に記載の高分子化合物。

【請求項11】
高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量が3,000以上である請求項8〜10のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む薄膜。
【請求項13】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物と電子受容性化合物とを含む組成物。
【請求項14】
電子受容性化合物が、フラーレン誘導体である請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の組成物の薄膜。
【請求項16】
請求項12又は15に記載の薄膜を用いた電子素子。

【公開番号】特開2012−235076(P2012−235076A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155570(P2011−155570)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】