説明

入力装置、携帯電子機器

【課題】キーボタンに複数の機能が割り付けされる場合に、そのキーボタンにどのような機能が割り付けられているかを、キーボタンの操作前に認識することが可能な入力装置、及びこれを備える携帯電子機器を提案する。
【解決手段】入力装置1は、複数のキーボタン12〜16を備えるキー操作部10と、複数の機能情報を記憶する記憶部と、記憶部から機能情報を選択し、キーボタン16に複数の機能を割り付けるキー割付部と、キーボタン16のキー割り付け状態を操作者に刺激を与えて伝達する情報伝達部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、及びこれを備えた携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末のような電子機器では、使用者が入力部を介して入力動作を行う際に、表示画面における画像の変化や或いはスピーカー等から音の変化により、使用者に対してその入力操作に対応するフィードバックを行うものがある。
特に、騒音や暗がりなどの環境下においても使用者に対して充分なフィードバックを伝えるために、例えばタッチパネル等の入力部を振動可能な構成とし、使用者が入力部を押圧して情報の入力操作を行う際に、入力した情報の種類に応じて入力部を振動させることで、操作に対するフィードバックを使用者の触覚に伝達するものが提案されている。
【特許文献1】特開2004−94389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した技術では、入力部を介して入力した情報の種類に応じてその入力部を振動させるものであるので、その入力部がどのような機能を有するかを、入力部を操作する前に認識することはできないという問題がある。具体的には、入力部に複数の機能が割り付けされる場合に、騒音や暗がりなどの環境下において、その入力部がどのような機能が割り付けられているかを入力部の操作前に認識することは困難であるという問題がある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、入力部に複数の機能が割り付けされる場合に、その入力部がどのような機能が割り付けられているかを入力部の操作前に認識することが可能な入力装置等を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る入力装置、携帯電子機器では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第一の発明に係る入力装置は、複数のキーボタン(を備えるキー操作部)と、複数の機能情報を記憶する記憶部と、前記記憶部から前記機能情報を選択し、前記キーボタンに複数の機能を割り付けるキー割付部と、前記キーボタンのキー割り付け状態を操作者に刺激を与えて伝達する情報伝達部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、前記情報伝達部は、複数の振動モードを有する振動発生部であることを特徴とする。また、前記情報伝達部は、複数の点字表示が可能な点字表示装置であることを特徴とする。また、前記キーボタンと前記情報伝達部とは、同一の筐体における一対の背向面にそれぞれ配置されることを特徴とする。また、前記振動発生部は、前記キーボタンを振動させることを特徴とする。
【0007】
第二の発明に係る携帯電子機器は、第一の発明に係る入力装置を入力部として備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば以下の効果を得ることができる。
キーボタンに複数の機能が割り付けされる場合に、そのキーボタンにどのような機能が割り付けられているかを、そのキーボタン或いはその他のキーボタンの操作前に認識することが可能となる。
特に、振動や点字により操作者の指を刺激するので、確実にキーボタンに割り付けられた機能が操作者に伝達できる。また、キーボタンと情報伝達部が離間しているので、例えば親指でキーボタン等を操作しながら、人差し指でキーボタンに割り付けられた機能を認識することができるので、キーボタン等の操作に支障を与えることなく円滑な入力操作を実現できる。
したがって、騒音や暗がりなどの環境下であっても、そのキーボタンがどのような機能が割り付けられているかを確実に認識することができる。
また、振動発生部がキーボタンを振動させるので、キーボタンを押圧操作する前にキーボタンに軽く触れることでキーボタンに割り付けられた機能を認識することが可能となる。そして、その指でキーボタンを押圧操作できるので、操作性に優れた入力装置、携帯電子機器が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の入力装置、携帯電子機器の実施形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機1の概略構成を示す斜視図である。
携帯電話機(入力装置、携帯電子機器)1は、第一筐体2と、この第一筐体2の厚さ方向に重ね合わせ可能な第二筐体3と、これら2つの筐体2,3を相互に折り畳み自在に連結するヒンジ部5と、を備えている。
なお、ヒンジ部5は、2つの筐体2,3の各端部2a,3a(以下、基端部2a,3aと呼ぶ。)同士を連結するように配されている。
【0010】
第二筐体3の内部には、各種情報を表示する表示面6aを有するLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ或いは無機ELディスプレイ等からなる表示部6及び通話用のスピーカー7が設けられている。表示部6の表示面6aは、2つの筐体2,3を相互に重ね合わせた状態において第一筐体2に対向する第二筐体3の表面3c側に露出している。スピーカー7は、基端部3aとは反対側に位置する第二筐体3の先端部3bに配されており、第二筐体3の表面3cから第二筐体3の内部空間に貫通する開口部3dを介して外方に露出している。
【0011】
第一筐体2の内部には、通話キー、終話キー等の各種の押下操作可能な複数の操作キー11を備えたキー操作部10及び通話用のマイクロフォン8が設けられている。
キー操作部10(操作キー11)は、2つの筐体2,3を相互に重ね合わせた状態において第二筐体3に対向する第一筐体2の表面2cから外方に露出している。
マイクロフォン8は、基端部2aとは反対側に位置する第一筐体2の先端部2bに配されており、第一筐体2の表面2cから第一筐体2の内部空間に貫通する開口部2dを介して外方に露出している。
【0012】
この第一筐体2は、第一筐体2の表面2c側を構成するフロントケース2f及び外面2e側を構成するリアケース2rを備えている。これらフロントケース2f及びリアケース2rは、互いに第一筐体2の厚さ方向に結合可能となっている。
この第一筐体2の内部には、キースイッチ、シールドケース、回路基板(いずれも不図示)及びバッテリー33(図3参照)等が重ねて配されている。また、第一筐体2内部の先端部2b側には、無線通信用のアンテナ31(図3参照)が収容されている。
【0013】
図2は、点字表示装置50の概略構成を示す斜視図である。
第一筐体2の外面2eには、点字表示装置50が設けられている。点字表示装置50は、点字を6つのピン54により表示するものであって、上面が接触面51とされた筐体部52を備え、この接触面51に3つの長孔53が縦列にかつ互い平行に延びるように形成されている。そして、この長孔53からそれぞれ2つのピン54が突出可能され、接触面51に指等を載置することで、突出したピン54を感知することができる構成となっている。
点字表示装置50は、第一筐体2の外面2eにおける基端部2a側に、長孔53が第一筐体2の長手方向に対して略垂直に延びるように実装されている。点字表示装置50をこのように配置することで、携帯電話機1の筐体2,3を開いて使用する際には、図2(c)に示すように、親指で第一筐体2の表面3cに配置された操作キー11を操作しながら、人差し指等を外面2eに配置された点字表示装置50の接触面51に載置して点字を読み取ることができるようになっている。
なお、点字表示装置50としては、例えば、特開2005−49365号公報、特開2000−206873号公報に開示されている。
【0014】
図3は、携帯電話機1の機能を示すブロック図である。
携帯電話機1は、スピーカー7、マイクロフォン8、キー操作部10、アンテナ31、無線通信部32、バッテリー33、電源制御部34、メモリ35、点字表示装置50及びこれらを統括的に制御する制御部36等を有している。
ここで、無線通信部32は、アンテナ31を介して、他の携帯電話機等との間で通話を行ったり、インターネット網を介して各種サーバと接続して電子メールやホームページ等の各種情報を送受信したりするものである。
また、電源制御部34は、バッテリー33の充電及び放電等を制御するものである。
メモリ35は、文字、記号、画像等の各種情報や携帯電話機1の各種機能を記憶するものである。更に、メモリ35は、後述するソフトキー16に割り付けられる複数の機能情報も記憶する。機能情報とは、例えば、入力モードに関する情報、メニュー操作に関する情報等である。入力モードとしては、具体的には、「漢字」、「仮名」、「英字」、「数字」がある。メニュー操作に関する情報としては、具体的には、「進む」、「戻る」、「決定」、「詳細」、「機能」、「編集」、「選択」、「検索」、「消去」、「中止」等がある。
なお、ソフトキー16に対する複数の機能を割り付けは、制御部36により制御される。
【0015】
図4は、キー割り付けについて説明するための図である。
上述したように、第一筐体2の表面2cには、複数の操作キー11が備えられている。操作キー11としては、具体的には、電話番号等を入力するテンキー12、各種機能のメニューについてカーソルを移動する多方向キー13、着信時に押下操作することによって通話を開始する通話開始キー14、通話中に押下操作することによって通話を終了する終話キー15、ソフトキー16等がある。
ソフトキー16は、携帯電話機1の多機能化に伴って多種類の入力操作が必要とされることから、特定のキーに複数の機能を割り付け、携帯電話機1の動作状態によりその特定のキーの機能をソフトウエア的に切り替えて使用するためのキーである。ソフトキー16に割り付けられた機能は、表示部6の一部に表示されたアイコン26により認識することが可能となっている。すなわち、携帯電話機1の操作者は、表示部6に表示されたソフトキー用のアイコン26を目視して、ソフトキー16に割り付けられている機能を確認した上で、ソフトキー16を押圧操作するようになっている。
なお、制御部36は、ソフトキー16に対する複数の機能を割り付けと共に、表示部6へのアイコン26の表示も行う。
ソフトキーに複数の機能を割り付け、更に表示部にその機能に応じたアイコン等を表示する技術は、例えば、特開2000−259304号公報等に開示されている。
【0016】
また、ソフトキー16に対する複数の機能を割り付け状態は、第一筐体2の外面2eに設けた点字表示装置50によっても識別可能となっている。すなわち、ソフトキー16にある機能が割り付けられた場合には、その割り付けられた機能を意味する点字が点字表示装置50により表現される。これにより、携帯電話機1の操作者は、暗がりなどの環境下であるために表示部6に表示されたソフトキー用のアイコン26を目視することができない場合であっても、点字表示装置50の接触面51に突出したピン54を指で触って感知することで、ソフトキー16に割り付けられた機能を認識することが可能となっている。
例えば、ソフトキー16が電子メールの入力時に入力モード(漢字入力、仮名入力、英字入力、数字入力)を切り替えるためのキーである場合には、4つの入力モードに対応して、点字表示装置50のピン54の突出状態が変化する。ソフトキー16に漢字入力モードが割り付けられた場合には、点字表示装置50により、例えば「かんじ」と繰り返して表示したり、単に「か」と表示したりする。仮名入力モードが割り付けられた場合には、例えば「かな」と繰り返して表示したり、単に「な」と表示したりする。英字入力モードが割り付けられた場合には、例えば「えいじ」或いは「abc」と繰り返して表示してもよい。数字入力モードが割り付けられた場合には、例えば「すうじ」或いは「123」と繰り返して表示してもよい。
【0017】
これにより、携帯電話機1の操作者は、表示部6に表示されたソフトキー用のアイコン26(「漢」、「カナ」、「英」、「数」等の文字や図形)を目視することなく、ソフトキー16に割り付けられている現在の機能、すなわち電子メールの入力モードを認識することができる。
したがって、テンキー12を用いて漢字入力を行う場合には、ソフトキー16を繰り返し押下して、ソフトキー16に「漢字入力」が割り付けられるように操作する。そして、ソフトキー16に「漢字入力」が割り付けられた後に、テンキー12を用いて漢字入力を行うことができる。
【0018】
また、携帯電話機1の操作者は、メニュー操作の際に、ソフトキー16に「進む」、「戻る」、「決定」、「詳細」、「機能」、「編集」、「選択」、「検索」、「消去」、「中止」等の機能が割り当てられた場合には、必要に応じてソフトキー16を押下操作して、携帯電話機1に所望の動作(機能)を実行させることができる。
【0019】
なお、ソフトキー16は、電子メールの入力モード、メニュー操作に関する情報には限らない。
また、メニュー操作に関する情報としては、例えば、「電話帳検索キー」、「発/着信履歴キー」、「受信メール表示キー」、「インターネット接続キー」等も含む。ソフトキー16にこれらの機能を割り付け、この機能に応じて点字表示装置50を適宜制御してもよい。
【0020】
また、上述した実施形態においては、携帯電話機1のキー操作部10に一つのソフトキー16が存在する場合について説明したが、複数のソフトキーが存在してもよい。この場合には、ソフトキーの数と同数の点字表示装置50が設けられるようにしてもよし、或いは複数のソフトキーに割り付けられた機能を、一つの点字表示装置50が一定間隔で順次表示するようにしてもよい。
また、キー操作部10は、タッチパネル式入力部であってもよいし、フレームレスキーであってもよい。
【0021】
また、携帯電話機1の第一筐体2の外面2eに、点字表示装置50を設ける場合に代えて、複数の振動モードを有する振動発生部を設けてもよい。すなわち、点字に代えて振動を操作者の指に伝えることで、ソフトキーに割り付けられた機能を操作者に認識させるようにしてもよい。なお、振動を発生させるために圧電素子を用いることが好ましい。
また、点字表示装置50及び振動発生部は、第一筐体2の外面2eに限らず、第一筐体2の表面2cであってもよいし、第二筐体3の表面3cや外面であってもよい。いずれにしても、操作者が点字表示装置50及び振動発生部とキー操作部10とを同時に指で触ることができることが好ましい。
【0022】
また、振動発生部を設けた場合には、キー操作部10とは別個に振動発生部を設けてもよいし、キー操作部10に振動発生源を組み込むことでキー操作部10と振動発生部とを一体に構成してもよい。キー操作部10と振動発生部とを一体に構成した場合には、キー操作部10のソフトキー16に指を触れることで、直接その指に振動が伝わるので、ソフトキー16の押圧操作の前に、ソフトキー16のキー割り付け状態を認識することが可能となる。
なお、キー操作部10としては、タッチパネル式入力部であってもよい。
【0023】
また、上述した実施形態においては、携帯電話機1について説明したが、例えばPDA(Personal Digital Assistants)などの携帯電子機器であってもよい
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機1の概略構成を示す斜視図である。
【図2】点字表示装置50の概略構成を示す斜視図である。
【図3】携帯電話機1の機能を示すブロック図である。
【図4】キー割り付けについて説明するための図である。
【符号の説明】
【0025】
1…携帯電話機(入力装置、携帯電子機器)
2…第一筐体
2c…表面(背向面)
2e…外面(背向面)
3…第二筐体
6…表示部
10…キー操作部
11…操作キー
16…ソフトキー(キーボタン)
26…アイコン
35…メモリ(記憶部)
36…制御部(キー割付部)
50…点字表示装置(情報伝達部)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキーボタンを備えるキー操作部と、
複数の機能情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記機能情報を選択し、前記キーボタンに複数の機能を割り付けるキー割付部と、
前記キーボタンのキー割り付け状態を操作者に刺激を与えて伝達する情報伝達部と、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記情報伝達部は、複数の振動モードを有する振動発生部であることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記情報伝達部は、複数の点字表示が可能な点字表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記キーボタンと前記情報伝達部とは、同一の筐体における一対の背向面にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の入力装置。
【請求項5】
前記振動発生部は、前記キーボタンを振動させることを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項6】
前記請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の入力装置を入力部として備えることを特徴とする携帯電子機器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−264920(P2007−264920A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87592(P2006−87592)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】