説明

入力装置

【課題】押圧力を軽減できると共に操作性に優れた入力装置を提供すること。
【解決手段】基板20と、当該基板20の上方に配置されるキートップ部材10とを備える入力装置100の操作パネル13の裏面に形成された導電性弾性体からなる凸状体16とを有し、キートップ部材10は、少なくとも、操作面を有する操作パネル13と、凸状体16と対向するように、第1センサ部30を少なくとも備え、凸状体16は、空洞を有する外殻部材である入力装置100とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、PDA等の電子機器に搭載される入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オーディオ機器、携帯電話機等の操作部には、数字を入力するため、あるいは方向を指示するための入力装置が設置されている。この種の入力装置では、例えば、特許文献1等に開示されているように、「方向キー」の左右方向は、表示部画面の左右方向に対応付けられている。即ち、表示画面の左または右側を示すアイコンで代表される処理には、左右方向に並んで配置された操作キー(操作部)が割り当てられている。
【0003】
しかしながら、多機能の電子機器であればあるほど多くの操作項目が設けられ、その各種の操作項目を確実に実現する必要がある。このため、近年の技術の進歩と伴い、タッチパネル式の入力装置が開発されている。タッチパネル式の入力装置は、タッチパネル上に軽く触れた指の動きを読み取り、当該動きを信号に変換するため、押釦スイッチと異なり、強く押圧する必要がない。
【0004】
さらに、携帯電子機器の高機能化を実現するために、指を連続的にタッチパネルに沿って触れることで楽に画面移動等ができる入力装置が求められている。このような要求を満足するものとしては、スライドキーの内面側に配置され、スライドキーの中心軸回りにスライドキーに向って拡径するさら形の傾斜面を構成する操作板と、その操作板が搭載保持されるさら穴状の凹部を上面に有し、その凹部のさら形内周面の位置と対応して下面に断面円筒面状をなす凸部が環状に形成された弾性材よりなるシートとを具備し、スライドキーの操作により、その操作方向の傾斜面がスライドキーによって押圧され、その押圧によりシートのさら形内周面が操作板を介して押圧されて、当該凸部がその凸部の下方に配置されている感圧部材を押圧する構造とされている入力装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2の入力装置は、感圧部材を使用しているため、押圧によって操作方向および操作量を検出できる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−174495号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2003−99188号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、長年、「方向キー」を有する入力装置を使用してきたユーザは、タッチパネル式の入力装置を使用する際にクリック感が得られないため、電子機器の操作に違和感を感じるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示される入力装置の場合にも、ゴム等の弾性材よりなる押圧凸部は、押圧でその押圧凸部の下方に配置されている感圧部材に接触し、入力操作が行われる。このため、上述したタッチパネル式の入力装置と同様に、操作者に入力操作が行われる際に押圧凸部を変形させるための押圧が大きく、操作性が良くないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、押圧力を軽減できると共に操作性に優れた入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、基板と、当該基板の上方に配置されるキートップ部材とを備える入力装置であって、キートップ部材は、少なくとも、操作面を有する操作パネルと、当該操作パネルの裏面に形成された導電性弾性体からなる凸状体とを有し、基板上に当該凸状体と対向するように、第1センサ部を少なくとも備え、凸状体は、空洞を有する外殻部材である入力装置としている。
【0010】
このような入力装置とすることで、多方向検出機能を備えた入力装置として機能すると共に、多方向検出を行う際に押圧力を軽減できる入力装置となる。すなわち、入力装置を操作する際に、操作パネルを軽く押すと、押された部分の裏側にある1つまたは複数の凸状体が押し下げられて、凸状体が第1センサ部を構成する導電パターンに接触する。すると、第1センサ部の電極間は、凸状体により短絡する。さらに、強く押し下げると、凸状体は大きく変形し、第1センサ部への接触面積を増加する。この一連の操作により得られた1つまたは複数の第1センサ部の接触面積の変化に応じて生じる電流量あるいは抵抗値の変化を入力装置の中央処理装置が測定することによって、指が押されているキーの方向と押圧力を検出することができる。また、凸状体は、空洞を有する外殻部材で形成されることで、中実の状態の構造と比べて、その凸状体を変形する場合に大きな荷重を必要としない。このため、操作性をより良くすることができる。
【0011】
また、別の発明は、上述の発明に加え、操作パネルは、円状若しくは環状とされ、凸状体が上記操作パネルの中心から同一円状に複数配置される入力装置としている。環状の操作パネルとは、操作パネルの真中に中心キートップを配置したものをいう。円状の操作パネルとは、操作パネルの真中に中心キートップを配置していないものをいう。
【0012】
このような入力装置とすることで、多方向検出機能を有する入力装置として操作しやすいものとなる。
【0013】
また、別の発明では、上述の発明に加え、導電性弾性体は、導電性ゴムである入力装置としている。このため、押圧によって効率良く多方向検出機能を果たすことができる。
【0014】
本明細書において、「キートップ部材」とは、入力装置を構成する基板の上方に配置され、中心キートップおよび操作パネルのみではなく、中心キートップおよび操作パネルの下方に形成された押圧子および凸状体を含む押圧するための集合体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、押圧力を軽減できると共に操作性に優れた入力装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明に係る入力装置の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に説明する好適な各実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る入力装置100を備える電子機器1を操作面側から見た斜視図である。図2は、図1の一点鎖線で示される領域Aについて、表側より基板20を見たときの平面図である。また、図3は、図1の一点鎖線で示される領域Aについて、キートップ部材10を構成する操作パネル13の裏側部分を下方より見た平面図である。
【0018】
電子機器1には、入力装置100に加え、押釦スイッチが設けられている。したがって、電子機器1の操作面には、押釦スイッチを構成している複数のキートップ2およびキートップ部材10を構成する操作パネル13が配置されている。操作パネル13は環状であり、環状の操作パネル13で囲まれた内側部分には、中心キートップ12(図4参照)が配置されている。
【0019】
図2に示すように、入力装置100を構成する基板20には、第1センサ部30、第2センサ部40および中心操作部50が設けられている。中心操作部50は固定接点52と導電性の皿バネ部材55とからなる。当該皿バネ部材55は、ドーム形状とされ、固定接点52を覆うように形成されている。また、第2センサ部40は、固定接点41と導電性の皿バネ部材42とからなる。当該皿バネ部材42は、ドーム形状とされ、固定接点41を覆うように形成されている。第1センサ部30は、櫛歯状の一対の電極が互いに接触することなく噛み合った形態を有する導電パターン45で構成されている。第1センサ部30は、中心操作部50を中心として、直径がXである円上18に円周方向に所定角度毎に設けられる。例えば、所定角度を90度の角度として円上18の4箇所に等角度に第1センサ部30を設けても良い。また、第2センサ部40は、同じ直径がXである円上18に円周方向に隣り合う第1センサ部30の間に第1センサ部30とそれぞれ重ならないように配置される。特に、中心操作部50の中心を基準として、隣接する第1センサ部30から、円周方向に角度として45度の角度をなすように設けるのがより好ましい。上述の位置に第1センサ部30および第2センサ部40を配置することにより、誤操作が生じにくく、効率良く多方向検出機能を果たす入力装置100となる。ただし、上述した配置位置に限定せず、他の形態に配置しても良い。
【0020】
図3に示すように、キートップ部材10を構成する操作パネル13の裏側には、導電部材14、押圧子15および中心キートップ12の裏側に設けられる中心押圧子11が設けられている。導電部材14、押圧子15および中心押圧子11は、重ならないように、基板20に配置された第1センサ部30、第2センサ部40および中心操作部50とそれぞれ対向して配置されている。
【0021】
図4は、図1の一点鎖線で示す領域AのB−B線の断面を拡大して示す拡大断面図である。図5は、図1の一点鎖線で示す領域AのC−C線の断面を拡大して示す拡大断面図である。
【0022】
図4に示すように、中心キートップ12および操作パネル13の裏側には、樹脂からなる弾性シート25が貼り付けられている。また、弾性シート25の裏面であって、中心キートップ12の裏側の位置には、中心押圧子11が形成されている。一方、操作パネル13と対応する弾性シート25の裏側の位置には、導電部材14が設けられている。導電部材14は、弾性シート25と一体化した導電性弾性体からなる凸状体16により形成されている。凸状体16は、導電性ゴムの外殻を半球状とした形態を有する部材である。ただし、凸状体16の形態は、半球状に限らない。操作パネル13を強く押し下げることにより、凸状体16は大きく変形し、皿バネ部材55への接触面積が増加することができれば、円錐、角錐あるいはこれらの先端を切断した形態等、どのような形態でも良い。
【0023】
また、弾性シート25に対向して、基板20が設けられている。基板20の弾性シート25に対向する面には、第1センサ部30および中心操作部50が設けられている。第1センサ部30は、櫛歯状の一対の電極が互いに接触することなく噛み合った形態を有する導電パターン45に構成されている。また、中心操作部50は、固定接点52と導電性の皿バネ部材55とからなり、当該導電性の皿バネ部材55は、ドーム形状とされ、固定接点52を覆うように形成されている。また、導電部材14と第1センサ部30とは、対向して設けられ、中心押圧子11と中心操作部50とは、対向して設けられている。
【0024】
また、図5に示すように、操作パネル13と対応する弾性シート25の裏側には、押圧子15が設けられている。また、基板20の弾性シート25に対向する面には、第2センサ部40が設けられている。第2センサ部40は、固定接点41と導電性の皿バネ部材42とからなる。当該皿バネ部材42は、ドーム形状とされ、固定接点41を覆うように形成されている。また、押圧子15と第2センサ部40とは、対向して設けられている。
【0025】
中心キートップ12および操作パネル13は、樹脂、金属あるいはそれらのコンポジット等からなる部材であり、単一成形体であるか複数の層から成る成形体であるかを問わない。複数の層から成る中心キートップ12および操作パネル13を採用する場合、中心キートップ12および操作パネル13は、表面が樹脂シートで被覆されているのが好ましく、被覆領域が一部であっても全部であっても良い。本実施の形態に係る樹脂製の中心キートップ12および操作パネル13の材料には、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂あるいはポリアミド樹脂等の各樹脂を使用できるが、特に好ましい樹脂は、ポリカーボネート樹脂あるいはアクリル樹脂である。
【0026】
本実施の形態において、操作パネル13としては、例えば、厚さが約1mm、外周円の直径が約20mm、内周円の直径が約7mmの環状パネルを好適に用いることができる。また、操作パネル13に指を沿わせて環状になぞることを容易にする目的で、例えば、約0.2mm間隔で同心円状の溝を形成しても良い。また、操作パネル13の位置が指触にてわかるように、操作パネル13の外周部分の厚さを外周以外の部分よりも厚くすることで、円輪状の縁を形成しても良い。
【0027】
弾性シート25は、中心キートップ12および操作パネル13を所定の位置に固定されている。具体的には、弾性シート25は、中心キートップ12および操作パネル13の裏面部分に設けられた接着層(図示せず)を介して接着されている。弾性シート25の材料としては、上方から押した際に変形することのできる柔らかい材料が好ましい。具体的には、厚さが10〜200μmであり、かつショアーA硬度が20〜90である弾性シート25が特に好適である。そのような弾性シート25として、例えば、ウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴムあるいは天然ゴム等から成るシートが挙げられる。さらに、弾性シート25は、加飾されていても良い。また、弾性シート25は、光透過率が高いものとしても良い。光透過率が高い弾性シート25を採用した場合には、弾性シート25の裏側より照光することにより、中心キートップ12および操作パネル13の外周を照光できるため、暗所でも中心キートップ12および操作パネル13の位置がわかりやすくなる。
【0028】
本実施の形態において、図5に示す押圧子15は、弾性シート25に接着剤等で固定されても良いし、あるいは弾性シート25が押圧子15を有する形状に一体成型されていても良い。なお、押圧子15の材料については、操作の押圧力を確実に第2センサ部40へ伝達させるために、比較的高硬度のものを用いることが好ましい。
【0029】
中心操作部50を構成する固定接点52は、基板20の上に設けられた導電部分であり、具体的には、絶縁性の樹脂を含浸した基板20の上において、銅箔等の導電体にて形成される。また、本実施形態における導電性の皿バネ部材55としては、金属製の皿バネ部材55を好適に用いることができる。しかし、導電性の皿バネ部材55は、金属製に限らず、導電性樹脂等により形成されていても良い。なお、導電性の皿バネ部材55を金属製とする場合には、クリック感が良く良好な操作感触を得ることができる。
【0030】
また、入力装置100を構成する導電部材14に用いられる導電性弾性体としては、操作パネル13の表面に指が触れることにより容易に変形するような弾性体であって、例えば、導電性フィラーであるカーボンブラック等を分散させたゴム若しくはエラストマーが好ましい。
【0031】
次に、入力装置100の使用方法とその作用について説明する。
【0032】
図6は、図4の点線で示される領域Dの部分を拡大した拡大断面図である。
【0033】
本実施の形態では、図6に示すように、目的とする入力装置100の操作パネル13の押圧位置Eに指を置き圧力を軽く加えると、押された部分の裏側にある1つまたは複数の導電部材14を構成する凸状体16が押し下げられて、凸状体16が第1センサ部30を構成する導電パターン45に接触する。すると、第1センサ部30の電極間は、凸状体16により短絡する。さらに、強く押し下げると、凸状体16は大きく変形し、第1センサ部30への接触面積を増加する。この一連の操作による得られた1つまたは複数の第1センサ部30の接触面積の変化に応じて生じる電流量あるいは抵抗値の変化を入力装置の中央処理装置(図示せず)が測定することによって、入力装置100は、指が触れているキーの方向と押圧力を把握することができる。すなわち、操作パネル13に指を沿わせて環状になぞることでその軌跡を容易に検知できる。その結果、指が周回することにより、電子機器1の操作面をスクロールさせることが可能となり、また、操作面内のカーソルを多方向キーとして動かすことも可能となる。一方、図5に示すように、本実施形態における第2センサ部40は、押圧子15と組み合わせて4方向キーとして使われている。押圧子15で導電性の皿バネ部材42を押圧することにより、皿バネ部材42が座屈し、明確なクリック感触がユーザに伝わると共に、皿バネ部材42が固定接点41に接触し、固定接点41の電極間を皿バネ部材42による導通させることで、ボタンが押されたことが認識される。その結果、全ての動作方法を操作モードに応じてソフトで制御すれば、入力装置100を構成する第1センサ部30および第2センサ部40を用途に応じて使い分けることによって、多彩な操作が可能となる。
【0034】
以上に説明したように、入力装置100では、接触した位置で効率良く多方向検出機能を実現すると共に、薄い外殻形態を有する凸状体16を設けることにより、凸状体16は容易に変形できる。このため、操作性をより良くすることができる。
【0035】
次に、入力装置100の製造方法について説明する。図7は、入力装置100の製造工程を説明するためのフローチャートである。図8は、入力装置100の製造工程の一部を段階的に示す図である。
【0036】
まず、第1センサ部30、第2センサ部40および中心操作部50が配置される基板20を形成する(ステップS101)。この実施の形態では、第1センサ部30は、櫛歯状の一対の電極が互いに接触することなく噛み合った状態を有する導電パターン45に構成されている。基板20上に導電パターン45を配置したことによって、第1センサ部30が形成される。また、第2センサ部40は、固定接点41と導電性の皿バネ部材42とからなる。当該皿バネ部材42は、ドーム形状とされ、固定接点41を覆うような形態で形成されている。また、中心操作部50は、固定接点52と導電性の皿バネ部材55とからなり、基板20上に固定接点52を配置した後、当該ドーム形状の導電性の皿バネ部材55は、固定接点52を覆うように形成される。基板20としては、所定の配線パターンが形成されたプリント基板を好適に用いることができる。また、導電性の皿バネ部材55は、ステンレスにより好適に形成できる。ただし、ステンレスに限らず、他の金属または導電性樹脂等により形成されていても良い。なお、導電性の皿バネ部材55をステンレスとする場合には、クリック感が良く、良好な操作感触を得ることができる。導電性の皿バネ部材55の配置方法としては、例えば、導電性の皿バネ部材42,55を粘着シートの粘着面に配置したものを基板20に貼り付けることにより、導電性の皿バネ部材42,55が固定される。
【0037】
ステップS101の後に、導電部材14および中心押圧子11が配置される弾性シート25を形成する。この実施の形態では、図8(A)に示すように、所定の直径を有する導電性ゴムシート65を成形用金型60にセットする(ステップS102)。次に、図8(B)に示すように、さらに、導電性ゴムシート65を覆うように成形用金型60の上に弾性シート25を形成するためのシリコーンゴムシートを配置する(ステップS103)。続いて、図8(C)に示すように、凸状体16を形成すると共に中心押圧子11、押圧子15(図示せず)を形成するための一体成形を行う(ステップS104)。具体的には、加熱された凸金型61と加熱された凹金型62との間に、導電性弾性体シート65およびシリコーンゴムシート64を挟んで型閉めする。これによって、凸状体16と、中心押圧子11および押圧子15を備える弾性シート25とを一体化する。弾性シート25は、シリコーンゴムシート64を好適に用いることができる。ただし、これに限定されず、シリコーンゴムシート64の他、ウレタンシートを用いても良い。そして、弾性シート25の表面に、操作パネル13および中心キートップ12を、接着剤にて貼り付け、キートップ部材10を形成する(ステップS105)。最後に、ステップS101にて用意した基板20と重ね合わせて、電子機器1の箱体に設置する(ステップS106)。上記の製造工程において、凸状体16と、中心押圧子11および押圧子15を備える弾性シート25とを一体成形するのが好ましいが、凸状体16と弾性シート25とを一体成形した後、弾性シート25の所定位置に別の工程で中心押圧子11および押圧子15を形成しても良い。
【0038】
なお、操作パネル13および中心キートップ12は、接着剤により弾性シート25に接着することもできるし、両面テープ等の接着層を介在させ、あるいは熱融着等により接着しても良い。また、凸状体16と弾性シート25とがそれぞれ形成された後に、接着剤にて貼り付けて一体化しても良い。これにより、ステップS102〜S107は、上述した順序ではなく、適宜変更されても良い。
【0039】
以上、本発明の実施の形態に係る入力装置100の好適な形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に何ら限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
【0040】
例えば、入力装置100の形状に関わる直径または角度等の記載は、必要に応じて適宜変更されても良い。例えば、操作パネル13の大きさを変化させることで、各パラメータは変化しうるものである。また、導電部材14、押圧子15、第1センサ部30および第2センサ部40は、必ずしも等間隔に配置されていなくても良い。
【0041】
また、本実施の形態において、導電部材14および押圧子15を、それぞれ4箇所、合計8箇所に設け、第1センサ部30および第2センサ部40を、それぞれ4箇所、合計8箇所に設けたが、操作パネル13、導電部材14、押圧子15、第1センサ部30および第2センサ部40の大きさ等により、合計7箇所以下としても良いし、9箇所以上としても良い。8箇所よりも少なく設ける際には、第1センサ部30および対応する導電部材14をそれぞれ3箇所以上設けることにより、タッチパネルとして十分機能させることができる。
【0042】
また、図9および図10に示すように、直径がXである円上18に円周方向に第2センサ40を配置せず、第1センサ部30のみを設け、直径がXである円上18より外側または内側の円周方向に第2センサ40を設けても良い。また、操作パネル13の中心に位置する中心キートップ12は、配置されなくても良く、また、1つではなく複数としても良い。
【0043】
また、本実施の形態において、第1センサ部30を構成する導電パターン45は、櫛歯型の電極パターンを有するものとしているが、そのような形状に限らない。たとえば、同心円状のパターンを有するものとしても良いし、他の形状でも良い。また、静電容量により導電性弾性体の圧縮量が測定されるようなセンサを用いても良い。また、圧縮されることにより導電率が向上するような導電性弾性体または圧縮されることにより電流抵抗値が変化するような導電性弾性体を用いることにより、その導電性弾性体に加わる圧力を測定するようなシステムにしても良い。
【0044】
また、本実施の形態では、環状の操作パネル13としているが、環状に限らない。例えば、環の一部分のみを用いても良い。あるいは、円、十字、直線、三角、四角以上の多角形、曲線、あるいは楕円等、どのような形態でも良い。しかし、環状の場合には、指の動きを止めることなく、動かし続けて操作するような入力装置100とすることができる。
【実施例】
【0045】
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下に例示する実施例によって限定されるものではない。
【0046】
まず、導電性カーボンブラックであるケッチェンブラックを配合した導電性マスターバッチ87C40P(信越ポリマー株式会社製)とシリコーンゴムコンパウンドKE961TU(信越化学工業株式会社製)を50重量部/50重量部で配合して、さらに加硫剤C−8を2重量部混練した。次に、上記混練したものを150tプレス機にて180℃で4分間、加圧加熱して成型し、導電性ゴムシートを得た。その後、得られた導電性ゴムシートを精密プレス機械、またはレーザー加工装置を使用することにより、直径3mmの導電性ゴムシートを得た。
【0047】
次に、凸状体を形成するための半球形状の凹部および押圧子、中心押圧子を形成するための凹部を有する成型用金型を用意した。そして、直径3mmの導電性ゴムシートを成形用金型に配置した。次に、シリコーンゴムコンパウンドKE961TU(信越化学工業株式会社製)100重量部と架橋剤G8(信越化学工業株式会社製)2重量部を配合した材料を、導電性ゴムシートを覆うように成形用金型上に配置した。続いて、加熱された凸金型および凹金型との間に、導電性弾性体シートおよびシリコーンゴムシートを挟んで型閉めた。これによって、凸状体と、中心押圧子および押圧子を備える弾性シートとを一体化した。その後、150℃で180秒、加熱加圧処理を行い、導電部材、中心押圧子および押圧子が配置される弾性シートの半製品が得られた。さらに、2次加硫処理として、150℃で30分、オープンで過熱処理を行い、最終製品の弾性シートを得た。
【0048】
そして、弾性シートの表面に、所定の大きさの操作パネルおよび中心キートップを、シリコーン用両面テープ(日東電工製)にて貼り付けた。
【0049】
次に、第1センサ部、第2センサ部および中心操作部が配置されるプリント基板を用意した。なお、第1センサ部は、櫛歯状の一対の電極が互いに接触することなく噛み合った状態を有するセンサに構成された。そして、第2センサ部は、固定接点と導電性の皿バネ部材とからなり、当該皿バネ部材は、ドーム形状とされ、固定接点を覆うように形成された。また、中心操作部は、固定接点とステンレス製の皿バネ部材とからなり、基板上に固定接点を配置した後、当該ドーム形状のステンレス製の皿バネ部材は、固定接点を覆うように形成された。ステンレス製の皿バネ部材の固定には、導電性粘着シートがステンレス製の皿バネ部材の外縁を覆うように基板と密着して固定させた。最後に、操作パネルおよび中心キートップが貼り付けられた弾性シートにおける導電部材、押圧子および中心押圧子と、基板における第1センサ部、第2センサ部および中心操作部とがそれぞれ向かい合うように設置し、入力装置の作製を完了した。
【0050】
本実施例の条件により得られた入力装置は、押圧力を軽減できると共に操作性に優れたものとなった。すなわち、操作者が軽く押圧することにより多方向検出機能を実現させることが可能で、確実な操作性が得られる。また、薄い導電性弾性体からなる凸状体を形成することで、その凸状体を変形する場合に大きな荷重を必要としない。このため、操作性を良好にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、各種の入力装置に利用できる。特に、電子機器の入力装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係る入力装置を操作面側から見た斜視図である。
【図2】図1の一点鎖線で示される領域Aについて、表側より基板を見たときの平面図である。
【図3】図3は、図1の一点鎖線で示される領域Aについて、操作パネルの裏側部分を下方より見た平面図である。
【図4】図1の一点鎖線で示す領域AのB−B線の断面を拡大して示す拡大断面図である。
【図5】図1の一点鎖線で示す領域AのC−C線の断面を拡大して示す拡大断面図である。
【図6】図4の点線で示される領域Dについて、拡大した拡大断面図である。
【図7】本実施の形態に係る入力装置の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る入力装置の製造工程の一部を段階的に示す図である。
【図9】図1の一点鎖線で示される領域Aについて、別の実施の形態を有する表側より基板を見たときの平面図である。
【図10】図1の一点鎖線で示される領域Aについて、別の実施の形態を有する表側より基板を見たときの平面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 電子機器
10 キートップ部材
11 中心押圧子
12 中心キートップ
13 操作パネル
14 導電部材
15 押圧子
16 凸状体
20 基板
25 弾性シート
30 第1センサ部
40 第2センサ部
45 導電パターン
50 中心操作部
52 固定接点
55 皿バネ部材
100 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、当該基板の上方に配置されるキートップ部材とを備える入力装置であって、
上記キートップ部材は、少なくとも、操作面を有する操作パネルと、当該操作パネルの裏面に形成された導電性弾性体からなる凸状体とを有し、
上記基板上に上記凸状体と対向するように、第1センサ部を少なくとも備え、
上記凸状体は、空洞を有する外殻部材であることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記操作パネルは、円状若しくは環状とされ、
前記凸状体は、上記操作パネルの中心から同一円状に複数配置されることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記導電性弾性体は、導電性ゴムであることを特徴とする請求項1または2に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−50029(P2010−50029A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215299(P2008−215299)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】