説明

入力補助装置

【課題】タッチパネルを操作した場合にクリック感を得ることができる入力補助装置を提供する。
【解決手段】静電容量式のタッチパネル4の操作者の指に装着可能な指サック1内部の指先部分に、クリック機構としてマイクロスイッチ21が備えられており、操作者がタッチパネル4に触れて、かつ所定のストロークSt1だけ押下した場合に、マイクロスイッチ21の通電部21Aが通電部21Bに接触して通電可能なオン状態となり、操作者の指先から通電部21Aおよび21Bを介してタッチパネル4に微弱電流iが流れて、入力操作が行われる。即ち、入力補助装置10において、タッチパネル4に触れていてもクリックしない場合には入力操作は行われず、クリックした場合にのみ入力操作が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルの画面は硬質であるため、入力操作のためにその画面に触れてもキーボードや押しボタン等のようにクリック感を得ることができない。従って、入力操作したという実感が不明瞭であるため、操作が確実に行われているという安心感が得られず、操作の快適性や確実性に乏しいという問題があった。
【0003】
これに対し、特許文献1では、タッチパネル上に膨出部のあるクリックシートを設けることで、操作時に良好な感触が得られるディスプレイ用スイッチに関する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、正確なポインティングを実現するために、タッチパネル上に配置されるクリックシートを薄くする必要がある。従って、十分なクリック感は得られず、操作の快適性に乏しいという課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タッチパネルを操作した場合にクリック感を得ることができる入力補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の入力補助装置は、電気的変化を捉えて操作位置を検出するタッチ式入力装置を操作する操作者の指に装着可能な本体と、前記本体に設けられ、当該本体を装着した操作者による前記タッチ式入力装置に対する入力操作に従って、前記操作者の指に対して反発力を与えながら押下されて、所定のストロークだけ押下された場合には、前記タッチ式入力装置に対して前記電気的変化を生じさせるクリック機構と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作者の指に対して反発力を与えながら押下されて、所定のストロークだけ押下された場合には、タッチ式入力装置に対して電気的変化を生じさせるクリック機構を備えたので、所定のストロークだけ押下した場合にタッチ式入力装置に対して入力操作を行うことが可能となり、タッチパネルを操作した場合にクリック感を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施の形態の入力補助装置を示す概略図である。
【図2】図2は、非通電時の入力補助装置を説明する概略断面図である。
【図3】図3は、通電時の入力補助装置を説明する概略断面図である。
【図4】図4は、第2の実施の形態における、非通電時の入力補助装置を説明する概略断面図である。
【図5】図5は、通電時の入力補助装置を説明する概略断面図である。
【図6】図6は、第3の実施の形態における、非通電時の入力補助装置を説明する概略断面図である。
【図7】図7は、通電時の入力補助装置を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる入力補助装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる入力補助装置10を示す概略図である。図1に示すように、入力補助装置10は、キャップ型の指サック1(本体)の内部の指先部分に、クリック機構としてマイクロスイッチ21を備えている。指サック1は従来市販されているシリコンゴムや天然ゴムなどのゴム製の指サックであり、これを指に装着することによって、紙幣が数え易い、ビニール袋を開き易い等、従来の指サックが有する滑り止め機能を兼ね備えている。操作者は、この指サック1を操作に使う指に装着して静電容量式のタッチパネル4の操作を行う。一般的に、静電容量式のタッチパネル4は、操作者の指から放電された微弱電流を検出することにより操作位置を検出するものであって、指サックや手袋等をした場合には指先からタッチパネル4へ電流が流れないため、入力操作を受付けることはできない。
【0011】
次に、マイクロスイッチ21の構成および動作について図2および図3を参照して説明する。図2および図3は、入力補助装置10の先端部の構成を示す概略断面図である。図示するように、指サック1の指先部分のゴム部分にはマイクロスイッチ21が嵌入されている。また、マイクロスイッチ21は、金属板からなる通電部21Aと、絶縁部21Cに埋め込まれた導線等からなる通電部21Bを備えている。
【0012】
ここで、図2は、指でマイクロスイッチ21を押下(クリック)していない状態を示し、図3は、指でマイクロスイッチ21を押下(クリック)している状態を示す。
【0013】
図2に示すように、指でマイクロスイッチ21を押下していない場合には、通電部21Aは、通電部21Aを構成する金属板の弾性のために上方へ付勢され、通電部21Bは接触しないため、指先はタッチパネル4に対して絶縁されている。従って、入力補助装置10がタッチパネル4に接触していても、指先からタッチパネル4に微弱電流が流れることはないので、タッチパネル4が入力操作を受付けることはない。
【0014】
一方、通電部21Aを指で押下すると、通電部21Aは、上述のように上方へ付勢されているため、指に対して反発力を与えながら押下される。そして、図3に示すように、通電部21AがストロークSt1(図2参照)だけ押下されて通電部21Bに接触すると、マイクロスイッチ21はオン(通電状態)となる。すると、指先とタッチパネル4の電位差によって、微弱電流iが通電部21Aおよび21Bを介してタッチパネル4へ流れる。そして、タッチパネル4は微弱電流iによるタッチパネル表面の静電容量の変化を検出して、入力補助装置10を装着した指から入力操作を受付けることができる。
【0015】
このように、第1の実施の形態の入力補助装置10においては、タッチパネル4に触れていても所定のストロークだけ押下(クリック)しない場合には入力操作は行われず、所定のストロークだけ押下(クリック)した場合にのみ入力操作を行うので、クリック感を伴ってタッチパネル4に対する入力操作を行うことが可能となり、タッチパネル4の操作感が向上するという効果を奏する。
【0016】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の入力補助装置20は、図4および図5に示すように、クリック機構として、圧縮コイルバネ22Cを用いた押しボタンスイッチ22を用いる。
【0017】
図4および図5は、入力補助装置20の先端部の構成を示す概略断面図である。図示するように、入力補助装置20は、指サック1の指先部分のゴム部分に、押しボタンスイッチ22が嵌入されている。押しボタンスイッチ22は、導電性を有する金属等から成る通電部22A、22Bと、圧縮コイルバネ22Cとを備えている。
【0018】
図4に示すように、指で押しボタンスイッチ22を押下していない場合、通電部22Aは、圧縮コイルバネ22Cの弾性によって上方に付勢され、通電部22Bとは接触しない。従って、指先はタッチパネル4に対して絶縁されるため、入力補助装置20がタッチパネル4に触れていても、指先からタッチパネル4にかけては通電不可能であり、タッチパネル4は入力操作を受付けない。
【0019】
一方、通電部22Aを指で押下すると、通電部22Aは、上述のように上方へ付勢されているため、指に対して反発力を与えながら押下される。そして、図5に示すように、通電部22AがストロークSt2(図4参照)だけ押下されて通電部22Bに接触すると、押しボタンスイッチ22はオン(通電状態)となる。すると、指先とタッチパネル4の電位差によって、微弱電流iが通電部22Aおよび22Bを介してタッチパネル4へ流れる。そして、タッチパネル4は微弱電流iによるタッチパネル表面の静電容量の変化を検出して、入力補助装置20を装着した指から入力操作を受付けることができる。
【0020】
このように、第2の実施の形態の入力補助装置20では、第1の実施の形態に係るマイクロスイッチ21に比べて、通電部22A、22Bの形状の対称性が向上するので、指サック1内の指先の向きに関わらず安定してクリックすることが可能となり、入力操作の安定性が向上するという効果を奏する。
【0021】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態の入力補助装置30は、図6および図7に示すように、クリック機構としてメンブレンスイッチ23を用いる。
【0022】
図6および図7は、入力補助装置30の先端部の構成を示す概略断面図である。図示するように、入力補助装置30は、指サック1の指先部分にメンブレンスイッチ23を備えている。図6に示すように、メンブレンスイッチ23の中央部には、指で押下したときにクリック感が出るように、ドーム状にゴムを盛り上げるエンボス加工が施されている。或いは、ドーム状にエンボス加工を施したポリマーシートを指サック1の先端部に接着して上記の代用としても良い。そして、このドーム中央部のゴム部分と、ドーム部分に対向する指サック1の先端部には、導電性を有する金属箔などの通電部23Aおよび23Bがそれぞれ嵌入されている。
【0023】
図6に示すように、指でメンブレンスイッチ23を押下していない場合には、ドーム部分はドームを構成するゴムの弾性によって上方に付勢されるため、通電部23Aは通電部23Bに接触しない。この場合、指先はタッチパネル4に対して絶縁されており、入力補助装置30がタッチパネル4に触れても、指先からタッチパネル4にかけて導通は取れないため、タッチパネル4は入力操作を受付けない。
【0024】
一方、通電部23Aを指で押下すると、ドーム部分は図7に示すようにたわみ、通電部23Aは、上述のように上方に付勢されているため、指に対して反発力を与えながら押下される。そして、通電部23AがストロークSt3(図6参照)だけ押下されて、通電部23Bに接触すると、メンブレンスイッチ23はオン(通電状態)となる。すると、指先とタッチパネル4の電位差によって、微弱電流iが通電部23Aおよび23Bを介してタッチパネル4へ流れる。そして、タッチパネル4は微弱電流iによるタッチパネル表面の静電容量の変化を検出して、入力補助装置30を装着した指から入力操作を受付けることができる。
【0025】
このように、第3の実施の形態の入力補助装置30では、第1および第2の実施の形態に係るマイクロスイッチ21、押しボタンスイッチ22より薄くすることができるメンブレンスイッチ23を用いるため、装着感が向上するという効果を奏する。
【0026】
尚、上述では、入力補助装置10、20、30は、静電容量式のタッチパネル4に対して入力操作を行う場合に用いるとしたが、これに限定されず、感圧式のタッチパネルに対して入力操作を行う場合にも用いるとしてもよい。一般的に、感圧式のタッチパネルにおいては、当該感圧式のタッチパネルのフィルム面をタッチした場合に、タッチした圧力によってフィルム面がたわんで内部に備えられた電極同士が接触して電流が流れることにより、操作位置が検出される。従って、入力操作する際に指先と感圧式のタッチパネルとの間で導通を取る必要は無く、指先の押圧を感圧式のタッチパネルに伝播できる機構であればよい。
【0027】
即ち、入力補助装置10、20、30において、各クリック機構(21、22、23)は、指に対して反発力を与えながら押下されて、所定のストロークだけ指を押下した場合に、指先の押圧を感圧式のタッチパネルに伝播して、上述したフィルム面をたわませることができる押圧伝播部を備えた機構であればよい。押圧伝播部としては、例えば、上述の各形態における各通電部(21A、21B、22A、22B、23A、23B)を用いれば良く、導電性を持たない材料で構成されても良い。
【0028】
このような構成によれば、各実施の形態の入力補助装置10、20、30は、所定のストロークだけ押し込む場合には上述と同様に、操作者の指に対して反発力を与えながら押下されて、所定のストロークだけ押下された場合には、押圧伝播部によって感圧式のタッチパネルに指先の押圧を伝播することができるため、感圧式のタッチパネルに対して入力操作を行う際にもクリック感を伴わせることが可能となり、快適な操作感を提供することが可能となる。
【0029】
また、図1ないし図7では、マイクロスイッチ21、押しボタンスイッチ22や通電部23A、23Bの指サック1に対する嵌入部分の詳細や、ハウジング等を省略して示したが、各形態に必要な構造は適宜設けられるものとする。また、クリック機構に用いられる弾性体としては、上述した板バネや圧縮コイルバネ、エンボス加工されたゴムまたはポリマーに限られるものではない。クリック機構において上記以外の弾性体を用いてもよいし、皿バネ、板バネ、円錐バネ等のその他のバネ機構を用いても良いものとする。
【0030】
尚、上述では、入力補助装置10、20、30は、静電容量式のタッチパネル4または感圧式のタッチパネルに対して入力操作を行う際に用いるものとしたが、これに限定されるものではない。その他の例として、タッチパッドやタブレット等に対して入力操作を行う際に用いるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明にかかる入力補助装置は、POS(Point Of Sales:販売時点情報管理)端末や、PC(Personal Computer)、PDA(Portable Digital Assistants)、ゲーム機等のタッチパネルを操作する場合に有用であり、特に、スーパーマーケット等の店舗において、店員がPOS端末のタッチパネルから連続的に入力操作を行う場合の入力補助装置として適している。
【符号の説明】
【0032】
10、20、30 入力補助装置
1 指サック
21 マイクロスイッチ
22 押しボタンスイッチ
23 メンブレンスイッチ
21A、21B、22A、22B、23A、23B 通電部
21C 絶縁部
22C 圧縮コイルバネ
4 タッチパネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開平10−134671号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的変化を捉えて操作位置を検出するタッチ式入力装置を操作する操作者の指に装着可能な本体と、
前記本体に設けられ、当該本体を装着した操作者による前記タッチ式入力装置に対する入力操作に従って、前記操作者の指に対して反発力を与えながら押下されて、所定のストロークだけ押下された場合には、前記タッチ式入力装置に対して前記電気的変化を生じさせるクリック機構と、
を備えたことを特徴とする入力補助装置。
【請求項2】
前記タッチ式入力装置は、当該タッチ式入力装置に対して前記指から放電された微弱電流を検出することにより、前記操作位置を検出する静電容量式タッチパネルであって、
前記クリック機構は、前記所定のストロークだけ指を押下した場合に、前記操作者の指先から前記静電容量式タッチパネルにかけて通電可能として、前記静電容量式タッチパネルに前記微弱電流を流す通電部を備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力補助装置。
【請求項3】
前記タッチ式入力装置は、当該タッチ式入力装置のフィルム面をタッチした場合に、タッチした圧力によって前記フィルム面がたわんで内部に備えられた電極同士が接触して電流が流れることにより、前記操作位置を検出する感圧式タッチパネルであって、
前記クリック機構は、前記所定のストロークだけ指を押下した場合に、前記操作者の指先の押圧を前記感圧式タッチパネルに伝播して、前記フィルム面をたわませることにより、前記感圧式タッチパネルに対して前記電気的変化を生じさせる押圧伝播部を備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力補助装置。
【請求項4】
前記本体は、指サックであって、
前記クリック機構は、マイクロスイッチから成ることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の入力補助装置。
【請求項5】
前記本体は、指サックであって、
前記クリック機構は、押しボタンスイッチから成ることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の入力補助装置。
【請求項6】
前記本体は、指サックであって、
前記クリック機構は、メンブレンスイッチから成ることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の入力補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−39761(P2011−39761A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186384(P2009−186384)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】