説明

入退室管理システム

【課題】アンチパスバック機能を、入退室の際の入力操作に制約が少なく、簡単な操作により実現する入退室管理システムを提供する。
【解決手段】コンピュータを設けた入退室管理装置20が利用者の携帯電話器TELから公衆網30を介して入力される解錠ドア指定情報を伴う解錠要求に従って指定されたドアを解錠する入退室管理システムにおいて、アンチパスバック機能を持たせるために、利用者所在記憶手段24に入退室による利用者の所在を逐次記憶すると共に、利用者検出手段SN2IN、SN2OUTで利用者が実際には指定したドアが設けられた部屋の外にいるのか中にいるのかを検出し、記憶されている該利用者の所在と検出された該利用者の所在が一致した時に解錠信号発生手段21からの解錠信号OPINS、OPOUTSにより該ドアの電気錠EKN2が解錠されるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入退室管理システム、特に携帯電話器を使用したアンチパスバック機能を実現するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブルートゥース技術等による近距離無線による通信を利用して、携帯電話器からの個人識別情報の無線送信を送受信手段が受信して、この個人識別情報の無線送信に基づいて暗証番号発生手段がランダムな暗証番号を発生し、この発生された暗証番号を送受信手段を介して携帯電話器へ無線送信し、この無線送信された暗証番号を携帯電話器の表示手段で表示し、通行者は表示された暗証番号をテンキー等を備えた入力手段で入力し、この入力された暗証番号と上記生成された暗証番号とが一致するか否かによってゲートの開閉を制御する入退室管理システムがあった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−213126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の入退室管理システムでは、携帯電話器の表示画面に表示された暗証番号を建物側に据え付けられているテンキー等を備えた入力装置により入力しなければならず、操作に大きな制約がありかつ煩雑であった。また、通行履歴を記憶しているものの、入室と退室を交互に繰り返さないとエラーとなるいわゆるアンチパスバック機能を備えておらず、セキュリティの向上が望まれる。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、アンチパスバック機能を、入退室の際の入力操作に制約が少なく、簡単な操作により実現する入退室管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、コンピュータを設けた入退室管理装置が利用者の携帯電話器から公衆網を介して入力される解錠ドア指定情報を伴う解錠要求に従って指定されたドアを解錠する入退室管理システムにおいて、アンチパスバック機能を持たせるために、利用者所在記憶手段に入退室による利用者の所在を逐次記憶すると共に、利用者検出手段で利用者が実際には指定したドアが設けられた部屋の外にいるのか中にいるのかを検出し、記憶されている該利用者の所在と検出された該利用者の所在が一致した時に解錠信号発生手段からの解錠信号により該ドアの電気錠が解錠されることを特徴とする入退室管理システムにある。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、アンチパスバック機能を、入退室の際の入力操作に制約が少なく、簡単な操作により実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の入退室管理システムを設置した建物内の構成の一例を示すもので、例えばN階部分の構成を示す。通路14の右手には2つの部屋N1、N2がある(例えばN1はN階の1号室の意味)。これらの部屋N1、N2のドアDN1、DN2には電気錠EKN1、EKN2が設けられている。そして特に部屋N2はアンチパスバック(以下APB機能と略す)機能によるより厳重なセキュリティが掛けられた部屋であり、ドアDN2付近の部屋の外側と内側には、入室又は退室する利用者が操作する入室側スイッチSN2IN、退室側スイッチSN2OUTがそれぞれ取り付けられている。通路14の左手には階段11、エレベータ12、トイレ13等があるが、これらはこの発明には直接関係ない。またその他の階床の部屋も、ここでは部屋N1に示すような電気錠だけを備えたドアが設けられているものとする(APB機能付きの部屋にする場合には、部屋N2と同様の構造にする)。
【0009】
図2はこの発明の一実施の形態による入退室管理システムの構成を示す図である。入退室管理装置20は、例えば図1に示す建物の所望の場所(この建物内に限定されないが)に設けられシステムの制御を行う装置である。制御手段21は、コンピュータ機能21a、電話機能21bを備えたコンピュータ等で構成されたもので、システム全体の制御を行う。入退室管理情報記憶手段24は後述する各入退室管理のための情報を記憶するメモリからなる。
【0010】
入出力インターフェース22は、制御手段21と建物内の各ドアD11〜DN2の電気錠EK11〜EKN2との間のインターフェースである。部屋N2以外のAPB機能のない部屋11〜N1のドアD11〜DN1の電気錠EK11〜EKN1には信号線SLが接続され、解錠の際、解錠信号OPSが出力される。部屋N2の場合は、これのドアDN2の電気錠EKN2には例えば入室用信号線SLINと退室用信号線SLOUTが接続され、利用者の所在すなわち利用者が解錠前に部屋N2内にいるか否かを判定し、部屋N2内にいない場合には入室用信号線SLINから入室用解錠信号OPINSが出力され、部屋N2内にいる場合には退室用信号線SLOUTから退室用解錠信号OPOUTSが出力される。そして入室用信号線SLIN、退室用信号線SLOUTには図1の入室側スイッチSN2IN、退室側スイッチSN2OUTがそれぞれ挿入されていて、例えば利用者の操作によりこれらのスイッチがONされると、電気錠EKN2に解錠信号が送られる。
【0011】
公衆網インターフェース23は制御手段21と無線電話回線やインターネットを含む公衆網30との間のインターフェースであり、利用者の携帯電話器TEL1〜TELnからの入退室の要求を受ける。なお携帯電話器TEL1〜TELnは無線電話回線を使用する携帯可能な電話器で、簡易型携帯電話器(PHS:Personal Handyphon System)も含む。なお、制御手段21のインターネット機能21cおよびWWWサーバ25については後述する。
【0012】
図3には、入退室管理情報記憶手段24に格納された各種入退室管理用の情報の例を示す。図3の(a)は個人認証・入退室許可情報、(b)はドア指定情報、(c)は利用者所在情報、(d)はドア/部屋対応情報である。
【0013】
なお、解錠ドア判定手段、解錠信号発生手段、利用者所在記憶書換手段、解錠ドア指定情報入力要求手段は制御手段21で構成され、利用者所在記憶手段、ドア/部屋対応情報記憶手段は入退室管理情報記憶手段24で構成され、利用者検出手段は入室側スイッチSN2IN、退室側スイッチSN2OUTで構成される。
【0014】
次に上記のように構成されたこの実施の形態に係わる入退室管理システムの動作について図4に示すフローチャートを用いて説明する。利用者の携帯電話器TEL1〜TELnから入退室管理装置20に電話があると(ステップS1)、掛かってきた携帯電話番号さらには利用者により該携帯電話器に入力されたパスワードに従って個人認証を行う(ステップS2)。入退室管理情報記憶手段24には、例えば図3の(a)に示すようなこのシステム利用者の携帯電話番号やパスワードが個人認証情報として予め登録されており、これとの照合を行う。なお個人認証情報は、図3の(a)に示すように、システム利用者の各ドアの解錠許可ひいては該ドアのある部屋への入退室許可の情報(○×で示された部分)を含んでいてもよい。
【0015】
ステップS2で個人認証がOKであれば、次にどのドアの解錠要求かを判定する。ここでは、各ドアを電話番号で指定する場合を示す。入退室管理情報記憶手段24には、例えば図3の(b)に示すような各ドアのドア番号(電気錠番号も含む)に設定された電話番号および例えばAで示されている該ドアがAPB機能付きのものか否かのデータが予め記憶されている。そして図3の(b)の情報を参照して携帯電話器から掛けられた電話番号がどのドアの解錠を要求しているのかを判定し(ステップS3)、さらに該ドアがAPB機能付きのものか否かを判定する(ステップS3a)。
【0016】
ステップS3aで、解錠要求のあったドアがAPB機能付きのものでなければ、制御手段21から入出力インターフェース22を介して該当するドアの電気錠(EK11〜EKN1)に解錠信号OPSを所定期間(T)出力して(ステップS4)、その間該ドア(D11〜DN1)を解錠する(ステップS5)。
【0017】
一方ステップS3aで、解錠要求のあったドアが例えば部屋N2のようなAPB機能付きの部屋のドアであれば、まず該利用者が該部屋内にいるか否かを判定する(ステップS6)。入退室管理情報記憶手段24は、例えば図3の(c)に示すような、携帯電話番号で特定されている利用者がいる部屋の部屋番号に”1”としてビットを立てておく、利用者の所在を示す情報を含む。なお、ドア番号を部屋番号も判定可能なように設定しておけば携帯電話番号とドア番号のテーブルとしてもよい。さらに後述するように1つの部屋に複数のドアがある場合には、図3の(d)に示すように部屋番号とドア番号との対応関係を示すテーブルを設けておく。
【0018】
そしてステップS6で、図3の(c)を参照して該利用者の該部屋の部分にフラグ”1”が立っていなければ該部屋の外にいて入室のための解錠要求であると判定し、制御手段21から該当するドアの電気錠、例えば電気錠EKN2のために、入室用信号線SLINを介して入室用解錠信号OPINSを所定期間(T)出力する(ステップS7)。そして所定期間(T)内に、部屋N2の入室側スイッチSN2INが利用者により操作されてONされれば、スイッチSN2INはON状態を所定期間(T)保持し、これにより電気錠EKN2が入室用解錠信号OPINSが入力されて解錠状態になる(ステップS8)。なお、電気錠EKN2の解錠状態は入室用解錠信号OPINSがなくなる(OFF)時点で実質的には終了する。
【0019】
電気錠のうち少なくともAPB機能付きの部屋の電気錠EKN2には、ドアDN2が戸開されたことを検出する例えば接点やセンサ等からなる戸開検出素子(図示省略)が設けられている(電気錠EKN2とは別に設けられていてもよい)。そして所定期間(T)の間に戸開検出素子でドアDN2の戸開が検出され、入出力インターフェース22を介して戸開検出素子から制御手段21へ戸開検出信号があれば(ステップS9,S10)、図3の(c)の該当する利用者の該当する部屋のフラグを”1”(在室を意味する)にする(ステップS11)。
【0020】
一方ステップS6で、図3の(c)を参照して該利用者の該部屋の部分にフラグ”1”が立っていれば該部屋内にいて退室のための解錠要求であると判定し、制御手段21から該当するドアの電気錠、例えば電気錠EKN2のために、退室用信号線SLOUTを介して退室用解錠信号OPOUTSを所定期間(T)出力する(ステップS12)。そして入室側と同様に、所定期間(T)内に、部屋N2の退室側スイッチSN2OUTが利用者により操作されてONされれば、スイッチSN2OUTはON状態を所定期間(T)保持し、これにより電気錠EKN2が退室用解錠信号OPOUTSが入力されて解錠状態になる(ステップS13)。そして所定期間(T)の間に戸開検出素子でドアDN2の戸開が検出され、入出力インターフェース22を介して戸開検出素子から制御手段21へ戸開検出信号があれば(ステップS14,S15)、図3の(c)の該当する利用者の該当する部屋のフラグを”0”(室内に不在を意味する)にする(ステップS16)。
【0021】
なお、上記各所定期間(T,T,T,T)は、解錠されたドアを開いて利用者が入室または退室したことが正確に検出可能なように、各装置の設置状況に合わせてそれぞれ適当な値を設定すればよい。また、スイッチSN2IN、SN2OUTは例えば、操作されてON状態になると、入室用解錠信号OPINSあるいは退室用解錠信号OPOUTSがなくなるまではこれらの信号でON状態が保持される保持機能を備えたスイッチとしてもよいし、あるいは、スイッチSN2IN、SN2OUTは利用者の操作に従った長さでONするものとし、電気錠EKN2が解錠信号が入力されると例えば所定期間(T)の間、解錠状態を保持するものとしてもよい。
【0022】
また、実際に部屋の外にいるのか中にいるのかを検出する利用者検出手段であるスイッチSN2IN、SN2OUTは、利用者により操作されるものであったが、図5に示すドア付近の部屋の外側に設けられて入室しようとるす人を検出する入室側人検知センサSEINと、ドア付近の部屋の内側に設けられて退室しようとるす人を検出する退室側人検知センサSEOUTと、これらが人を検出した時にそれぞれ、上述のスイッチSN2IN、SN2OUTと同等の動作をする、入室用信号線SLIN、退室用信号線SLOUTに挿入された入室側リレーREIN、退室側リレーREOUTを設けて、利用者の実際の所在をセンサで検出するようにしてもよい。
【0023】
さらに、図5の人検知センサSEIN、SEOUTの代わりに、図6に示すようなドアDの入室側ノブDNINと退室側ノブDNOUTを分離させて独立に動くように構成し、これらのノブが利用者により操作されたことを、それぞれのノブに設けられた突起部NTの動きから検出する入室側ドア操作センサSEDIN、退室側ドア操作センサSEDOUTを設けて、これらがノブの操作を検出した時に、入室側リレーREIN、退室側リレーREOUTをそれぞれ上記と同様にしてONさせるようにしてもよい。
【0024】
なお図示は省略したがいずれの場合においても、戸開されたことを検出する例えば接点やセンサ等からなる戸開検出素子(図示省略)を設け、戸開検出素子でドアの戸開が検出された場合に、入出力インターフェース22を介して戸開検出素子から制御手段21へ戸開検出信号を確認のための信号として送る。
【0025】
また、図3の(a)を参照して行う個人認証はセキュリティの向上のためのもので、必須のものではなく、図3の(b)の各ドアに割り振られた電話番号を知っている事実から、該利用者を正当な利用者とみなしてもよい。また各利用者の各部屋への在室、不在は必ずしも図3の(c)のようなテーブルにする必要はなく、利用者が電話を掛けたことにより得られる利用者の携帯電話番号と該利用者がどの部屋に居ることが入退室管理情報記憶手段24に入退室に従って逐次、記憶されていればよい。
【0026】
また、説明を分かり易くするために上記実施の形態ではAPB機能を設けた部屋を部屋N2の1部屋だけで説明したが、部屋N2と同様な構成(入室側スイッチSN2IN、退室側スイッチSN2OUT、電気錠EKN2、入室用信号線SLIN、退室用信号線SLOUT、入室用解錠信号OPINS、退室用解錠信号OPOUTS、戸開検出素子、戸開検出信号等)をそれぞれに設ければ、所望の数の部屋をAPB機能付きのものとして入退室管理が行える。
【0027】
さらに例えば部屋N2が併設して2つ以上のドアを備えていた場合のAPB機能であるグローバルAPB機能を持たせるには、それぞれのドアに上述の入室側スイッチ、退室側スイッチ、電気錠、入室用信号線、退室用信号線、入室用解錠信号、退室用解錠信号、戸開検出素子、戸開検出信号等を設け、かつ図3の(d)に示すドア/部屋対応情報において、部屋番号に対して該部屋に設けられた全てのドア番号を記憶させておく。そして、図3の(c)に示す利用者所在情報を書き換える際に、(d)に示すドア/部屋対応情報を参照して、ドアと部屋との対応を考慮して利用者の居る部屋を判定して書き換えを行うようにすればよい。以上のことは、以下の実施の形態でも同様である。
【0028】
実施の形態2.
また、上記の実施の形態では解錠要求の解錠ドア指定情報を、各ドアに異なる電話番号が割り振られていて解錠要求をするドアの電話番号に電話をするようにしたが、利用者が本システムの共通の電話番号に電話した後、解錠を要求するドア番号を携帯電話器から入力するようにしてもよい。この場合、図3の(b)に示すドア指定情報は、右側の電話番号のない図7に示すものとなる。そして動作においては、図4のステップS3の解錠するドアの判定において、利用者の携帯電話器TEL1〜TELnからドア番号が入力されるとこれを図7で確認して解錠するドアを判定する。その他の動作は基本的に上記実施の形態と同様である。
【0029】
また、利用者の携帯電話器TEL1〜TELnからドア番号の代わりに該ドアの設けられた部屋番号を入力するようにしてもよい。これは部屋とドアが1対1で対応している場合にのみ成立する。この場合には例えば、入力された部屋番号を図3の(d)に示すドア/部屋対応情報でドア番号に置き換えればよい。また、部屋とドアが1対1で対応しているという条件から、上記実施の形態のドア番号を全て部屋番号として上記と同様の制御を行えばよい。このようにすることにより、各ドアに電話番号を割り振る必要がなくなる。
【0030】
実施の形態3.
また、上記各実施の形態では解錠要求を利用者が携帯電話器から入退室管理装置へ電話をして行っていたが、これを電話番号の代わりにURLを使用してインターネット上で行うようにしてもよい。この場合には図の解錠ドア指定情報を、各ドアに異なる電話番号が割り振られていて解錠要求をするドアの電話番号に電話をするようにしたが、利用者が本システムの共通の電話番号に電話した後、解錠を要求するドア番号を携帯電話器から入力するようにしてもよい。この場合、図3の入退室管理装置20は電話機能21bの代わりにインターネット機能21cを備え、公衆網インターフェース23もインターネットインターフェースの機能を備えたものとする。そして各ドアには異なるURLが割り振られ、利用者は携帯電話器TEL1〜TELnから解錠要求を行うドアに割り振られたURLにアクセスする。
【0031】
図8には、この場合の入退室管理情報記憶手段24に格納された各種入退室管理用の情報の例を示す。(a)の個人認証・入退室許可情報は、携帯電話番号が各利用者の携帯電話器TEL1〜TELnのインターネット上のアドレス(IPアドレス)となっており、(b)のドア指定情報は電話番号が各ドアに割り振られURLとなっており、(c)の利用者所在情報は各利用者がURLで特定されている。また各ドアに割り振られURLのためのWWWサーバ25を入退室管理装置20に設けた。なおWWWサーバ25はインターネット上すなわち公衆網30のどこあってもよい。
【0032】
そして動作においては、図4のステップS1〜S3aが以下のようになる。利用者の携帯電話器TEL1〜TELnからいずれかのURLにアクセスがあると、アクセスをした利用者の携帯電話器のアドレスさらには利用者により該携帯電話器に入力されたパスワードに従って個人認証を行う。入退室管理情報記憶手段24には、例えば図8の(a)に示すようなこのシステム利用者のアドレスやパスワードが個人認証情報として予め登録されており、これとの照合を行う。
【0033】
そして個人認証がOKであれば、次にどのドアの解錠要求かを判定する。ここでは、各ドアをURLで指定する場合を示す。入退室管理情報記憶手段24には、例えば図8の(b)に示すような各ドアのドア番号(電気錠番号も含む)に設定されたURLおよび例えばAで示されている該ドアがAPB機能付きのものか否かのデータが予め記憶されている。そして図8の(b)の情報を参照して携帯電話器からアクセスされたURLがどのドアの解錠を要求しているのかを判定し、さらに該ドアがAPB機能付きのものか否かを判定する。以降は基本的に図4のフローチャートに従って動作が行われる(電話番号はURLに置き換わる)。これによりインターネット上でも同様に実現可能となる。
【0034】
実施の形態4.
また、上記の実施の形態では解錠要求の解錠ドア指定情報を、各ドアに異なるURLが割り振られていて解錠要求をするドアのURLにアクセスするようにしたが、入退室管理装置20がインターネット上に本システムのためのホームページを設け(WWWサーバ25に設けてもよい)、利用者はこのホームページのURLに共通にアクセスするようにし、例えば上述の利用者の個人認証処理の後に、ホームページ上で、携帯電話器にイラストマップが表示されるようにして、該イラストマップ上に解錠するドアの指定の入力を利用者に促す(解錠ドア指定情報入力要求手段)ようにしてもよい。この場合、図8の(b)に示すドア指定情報は、右側のURLのないものとなる。
【0035】
そして動作においては、利用者の個人認証処理の後(図4のステップS3の解錠ドア判定)において、ホームページ上で、アクセスしてきた携帯電話器TEL1〜TELnに例えば建物内の部屋やドアの配置が示された絵地図等からなるイラストマップが表示されるようにし、これに解錠するドアの指定の入力を行うことを利用者に促すし、利用者からの入力に従って、解錠するドアを判定する。なお、ホームページ上の解錠するドアの指定入力は図8の(b)のドア番号(電気錠番号)に対応させるようにする。その他の動作は基本的に上記実施の形態と同様である。このようにすることにより、各ドアにURLを割り振る必要がなくなる。
【0036】
実施の形態5.
また、部屋の中に部屋がある等の複雑な構造の建物においてグローバルAPB機能を持たせる場合について説明する。図9はグローバルAPB機能を持たせる場合の部屋の構成の一例を示す。部屋N2は部屋N1内にあり、部屋N1にはドアDN11、DN12、部屋N2にはドアDN21、DN22が設けられている。そして各ドアには、電気錠EKN11〜EKN22、入室側スイッチSN11IN〜SN22IN、退室側スイッチSN11OUT〜SN22OUTがそれぞれ設けられている。このような構成の部屋の入退室管理の場合には、入退室管理情報記憶手段24に図3や図8の(d)のドア/部屋対応情報の代わりに図10に示すようなドア/部屋対応情報を格納しておく。図10は各ドアの入室側と退室側の両側の部屋の情報がドア番号と部屋番号とで示されている。従って、部屋N2のドアDN12、DN22のいずれかから退室した場合には、部屋N1内にいると判定され、図3や図8の(c)の利用者所在情報はこのドア/部屋対応情報に基づいて書き換えられる。なお図10のドア/部屋対応情報により、同一の部屋にある複数のドアがそれぞれ異なる部屋または場所へいくためのドアである構造の建物にも対応可能である。
【0037】
実施の形態6.
また、上記各実施の形態では、ドアの電気錠の制御を行う場合について説明したが、各ドアが電動等の自動開閉ドアである場合には、例えば図2の部屋N2の電気錠EKN2を図11に示すように自動開閉ドア(図示せず)の自動ドア制御部EDCに換える。そして自動ドア制御部EDCへ、入室用信号線SLINから入室用戸開(解錠)信号OPDINS、退室用信号線SLOUTから退室用戸開(解錠)信号OPDOUTSがそれぞれ入室側スイッチSN2IN、退室側スイッチSN2OUTがON状態の間出力されるようにする。自動ドア制御部EDCは戸開(解錠)信号がある間、電動自動ドアを戸開する。なお図示は省略したが、戸開されたことを検出する例えば接点やセンサ等からなる戸開検出素子(図示省略)を設け、戸開検出素子でドアの戸開が検出された場合に、入出力インターフェース22を介して戸開検出素子から制御手段21へ戸開検出信号を確認のための信号として送る。これにより自動開閉ドアが設けられた部屋の入退室管理も行える。
【0038】
実施の形態7.
また、上記各実施の形態では携帯電話器を使用して公衆網を介して通信が行われていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、携帯電話器の代わりに無線端末を使用し、これらの無線端末と入退室管理装置との間で無線通信を行うようにして実施することも可能である。この場合のこの発明による入退室管理システムの構成を図12に示す。図12において図2と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。制御手段210は、コンピュータ機能210a、無線機能210dを備えたコンピュータ等で構成されたもので、システム全体の制御を行う。無線送受信器27は制御手段210の制御下で利用者が携帯する無線端末WLT1〜WLTnと無線通信を行う。
【0039】
そして動作においては、図4のステップS3の解錠するドアの判定において、利用者の無線端末WLT1〜WLTnからドア番号が入力されるとこれを例えば図7に示すドア指定情報で確認して解錠するドアを判定する。その他の動作は基本的に上記各実施の形態と同様である。なお、図4のステップS2の利用者の個人認証処理については、無線端末WLT1〜WLTnと入退室管理装置20との間の無線通信システムに携帯電話番号やアドレス等に相当するものがなければ、例えば図3や図8の(a)の個人認証・入退室許可情報のパスワードを使用する。これにより一般的な無線通信システムを利用しても実施することができる。
【0040】
実施の形態8.
さらに上記各実施の形態では、例えば制御手段21から入室用信号線SLINに入室用解錠信号OPINSが出力され、入室用信号線SLINに挿入された入室側スイッチSN2IN(図2、図11、図12)、入室側リレーREIN(図5)がONされた時に電気錠EKN2に解錠信号OPINSが送られるようにしているが、入室側スイッチSN2IN、入室側人検知センサSEIN(図5)、入室側ドア操作センサSEDIN(図6)等からの利用者の検出信号を入出力インターフェース22を介して制御手段21に送り、制御手段21がこの検出信号を受けた時に、図3の(c)や図8の(c)の利用者所在情報との一致を確認して解錠信号OPSを電気錠EKN2に送るようにしてもよい(退室側も同様)。
【0041】
このような場合の構成を図13に示す。アンチパスバック機能による厳重なセキュリティが掛けられた部屋N2のドアDN2の電気錠EKN2には他の部屋と同様に解錠信号OPSを供給する信号線SLが接続されている。そして例えば入室側スイッチSN2IN、退室側スイッチSN2OUTからは利用者の検出信号が送られてくる。その他の部分は基本的に上記実施の形態のものと同じである。
【0042】
次に動作について図14に示すフローチャートを用いて簡単に説明する。ステップS1〜ステップS5までは上記実施の形態のものと同じである。ステップS3aで、解錠要求のあったドアが例えば部屋N2のようなAPB機能付きの部屋のドアであれば、まず該利用者が該部屋内にいるか否かを判定する(ステップS6)。ここでは利用者の操作による入室側スイッチSN2IN又は退室側スイッチSN2OUTから制御手段21に送られてくる検出信号により判断する。そして該利用者が該部屋内におらず入室側スイッチSN2INが操作されてこれから検出信号を受けた場合には、図3の(c)を参照して該利用者の該部屋の部分のフラグが”0”であることを確認し(ステップS21)、検出された利用者の所在と記憶されている所在が一致した時には、該当するドアの電気錠すなわち電気錠EKN2のために、信号線SLを介して解錠信号OPSを出力する(ステップS22)。これにより電気錠EKN2が解錠状態になり、さらに例えば所定期間(T)の間に戸開検出素子でドアDN2の戸開が検出され、入出力インターフェース22を介して戸開検出素子から制御手段21へ戸開検出信号があれば(ステップS23,S24)、該利用者が該部屋に入ったと認識し、図3の(c)の該当する利用者の該当する部屋のフラグを”1”(在室を意味する)にする(ステップS25)。
【0043】
一方、ステップS6で、該利用者が該部屋内に在室しており退室側スイッチSN2OUTが操作されてこれから検出信号を受けた場合には、図3の(c)を参照して該利用者の該部屋の部分のフラグが”1”であることを確認し(ステップS26)、検出された利用者の所在と記憶されている所在が一致した時には、該当するドアの電気錠すなわち電気錠EKN2のために、信号線SLを介して解錠信号OPSを出力する(ステップS27)。これにより電気錠EKN2が解錠状態になり、さらに所定期間(T)の間に戸開検出素子でドアDN2の戸開が検出され、入出力インターフェース22を介して戸開検出素子から制御手段21へ戸開検出信号があれば(ステップS28,S29)、図3の(c)の該当する利用者の該当する部屋のフラグを”0”(室内に不在を意味する)にする(ステップS30)。なお、ステップS21とS26で、検出された利用者の所在と記憶されている所在が一致しない場合には、解錠信号は出力されない。このようにしても、同様な効果が得られる。
【0044】
また、入室側スイッチSN2IN、退室側スイッチSN2OUTは、図5の入室側と退室側の人検知センサSE、図6の入室側と退室側のドア操作センサSEDであってもよい。さらに、実施の形態2〜8を本実施の形態のようにして実施してもよく、この発明は上記実施の形態の可能な組合せを含むことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の入退室管理システムを設置した建物内の構成の一例を示す図である。
【図2】この発明の一実施の形態による入退室管理システムの構成を示す図である。
【図3】この発明による入退室管理システムの入退室管理情報記憶手段に格納された各種入退室管理用の情報の一例を示す図である。
【図4】この発明の一実施の形態による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明による実際の利用者の所在を検出するための利用者検出手段の他の例を示す図である。
【図6】この発明による実際の利用者の所在を検出するための利用者検出手段のさらに別の例を示す図である。
【図7】この発明の別の実施の形態による入退室管理システムにける入退室管理情報記憶手段に記憶されたドア指定情報の一例を示す図である。
【図8】この発明の別の実施の形態による入退室管理システムにおける入退室管理情報記憶手段に格納された各種入退室管理用の情報の一例を示す図である。
【図9】この発明の別の実施の形態による入退室管理システムを設置する建物内の構成の一例を示す図である。
【図10】図9の入退室管理システムにおける入退室管理情報記憶手段に記憶されたドア/部屋対応情報の一例を示す図である。
【図11】この発明の自動開閉ドアを対象とした実施の形態による入退室管理システムにける変更される構成の一例を示す図である。
【図12】この発明のさらに別の一実施の形態による入退室管理システムの構成を示す図である。
【図13】この発明のさらに別の一実施の形態による入退室管理システムの構成を示す図である。
【図14】図13の実施の形態による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
11 階段、12 エレベータ、13 トイレ、14 通路、20 入退室管理装置、21,210 制御手段、21a,210a コンピュータ機能、21b 電話機能、21c インターネット機能、22 入出力インターフェース、23 公衆網インターフェース、24 入退室管理情報記憶手段、25 WWWサーバ、27 無線送受信器、30 公衆網、210d 無線機能、D,D11〜DN2,DN11〜DN22 ドア、DNIN 入室側ノブ、DNOUT 退室側ノブ、EDC 自動ドア制御部、EK11〜EKN2,EKN11〜KN22 電気錠、N1,N2 部屋、NT 突起部、OPDINS 入室用戸開(解錠)信号、OPDOUTS 退室用戸開(解錠)信号、OPINS 入室用解錠信号、OPOUTS 退室用解錠信号、OPS 解錠信号、REIN 入室側リレー、REOUT 退室側リレー、SEDIN 入室側ドア操作センサ、SEDOUT 退室側ドア操作センサ、SEIN 入室側人検知センサ、SEOUT 退室側人検知センサ、SL 信号線、SLIN 入室用信号線、SLOUT 退室用信号線、SN2IN,SN11IN〜SN22IN 入室側スイッチ、SN2OUT,SN11OUT〜SN22OUT 退室側スイッチ、TEL1〜TELn 携帯電話器、WLT1〜WLTn 無線端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを設けた入退室管理装置が利用者の携帯電話器から公衆網を介して入力される解錠ドア指定情報を伴う解錠要求に従って指定されたドアを解錠する入退室管理システムにおいて、アンチパスバック機能を持たせるために、利用者所在記憶手段に入退室による利用者の所在を逐次記憶すると共に、利用者検出手段で利用者が実際には指定したドアが設けられた部屋の外にいるのか中にいるのかを検出し、記憶されている該利用者の所在と検出された該利用者の所在が一致した時に解錠信号発生手段からの解錠信号により該ドアの電気錠が解錠されることを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
上記解錠要求が入力された時にこれに伴う上記解錠ドア指定情報に従って解錠するドアを判定する解錠ドア判定手段と、
入退室による利用者の所在を逐次記憶する上記利用者所在記憶手段と、
上記解錠ドア判定手段で判定されたドアの電気錠の解錠のために、上記利用者所在記憶手段の記憶に基づき、該利用者が指定したドアが設けられた部屋の外にいる時に入室用解錠信号を発生し、上記部屋の中にいる時に退室用解錠信号を発生する上記解錠信号発生手段と、
上記入室用解錠信号または退室用解錠信号発生時に、該利用者が実際に指定したドアが設けられた部屋の外にいるのか中にいるのかを検出し、部屋の外にいる時に上記入室用解錠信号を、部屋の中にいる時に上記退室用解錠信号をそれぞれ該ドアの電気錠に入力する上記利用者検出手段と、
上記入室用解錠信号または退室用解錠信号を発生した後にこれらが電気錠に入力され該電気錠が解錠されてそのドアが戸開したことを示す戸開検出信号を得たことで、該利用者の所在の変更を認知して上記利用者所在記憶手段の記憶内容を書き換える利用者所在記憶書換手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
上記解錠要求が入力された時にこれに伴う上記解錠ドア指定情報に従って解錠するドアを判定する解錠ドア判定手段と、
入退室による利用者の所在を逐次記憶する上記利用者所在記憶手段と、
上記解錠要求を入力した利用者が実際に指定したドアが設けられた部屋の外にいるのか中にいるのかを検出する上記利用者検出手段と、
上記解錠ドア判定手段で判定されたドアの電気錠の解錠のために、上記利用者検出手段で検出された利用者の所在と上記利用者所在記憶手段の記憶が一致した時に、該ドアの電気錠に対して解錠信号を発生する上記解錠信号発生手段と、
上記解錠信号を発生した後にこれらが電気錠に入力され該電気錠が解錠されてそのドアが戸開したことを示す戸開検出信号を得たことで、該利用者の所在の変更を認知して上記利用者所在記憶手段の記憶内容を書き換える利用者所在記憶書換手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項4】
上記入退室管理装置が電話機能を有し、各ドアに異なる電話番号がそれぞれに割り振られており、上記解錠ドア判定手段が上記携帯電話器から掛けられた電話番号から解錠するドアを判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の入退室管理システム。
【請求項5】
上記入退室管理装置が電話機能を有し、各ドアに異なるドア番号がそれぞれに割り振られており、上記解錠ドア判定手段が上記携帯電話器から入力されるドア番号から解錠するドアを判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の入退室管理システム。
【請求項6】
上記入退室管理装置がインターネット機能を有し、各ドアに異なるURLがそれぞれに割り振られており、上記解錠ドア判定手段が上記携帯電話器からアクセスされるURLから解錠するドアを判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の入退室管理システム。
【請求項7】
上記入退室管理装置がインターネット機能を有すると共にインターネット上に本システムのためのホームページを設け、解錠要求のために上記公衆網を介して上記ホームページにアクセスしてきた上記携帯電話器にイラストマップを表示して該イラストマップ上に解錠するドアの指定の入力をさせる解錠ドア指定情報入力要求手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の入退室管理システム。
【請求項8】
上記利用者検出手段が、ドア付近の部屋の外側と内側のそれぞれに設けられて利用者に操作されるスイッチを含むことを特徴とする請求項2ないし7のいずれか1項に記載の入退室管理システム。
【請求項9】
上記利用者検出手段が、ドア付近の部屋の外側と内側のそれぞれに設けられた人検知センサを含むことを特徴とする請求項2ないし7のいずれか1項に記載の入退室管理システム。
【請求項10】
部屋に複数のドアが設けられ、各部屋に設けられたドアを記憶するドア/部屋対応情報記憶手段をさらに備え、上記利用者所在記憶書換手段が上記ドア/部屋対応情報記憶手段のドアと部屋との対応に基づき利用者が居る部屋を判定して上記利用者所在記憶手段の記憶内容を書き換えることを特徴とする請求項2又は3に記載の入退室管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−161473(P2006−161473A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−356730(P2004−356730)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】