入退室管理システム
【課題】 UHF帯RFIDを用いた入退室管理システムにおいて、アンテナから出力されるリーダライタの電波が、入退者が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナの設置位置の制約がない入退室管理システムを提供する。
【解決手段】 入退者5とアンテナ4との距離を測距センサ1により測定し、アンテナ4からの距離が第一の閾値未満である第一のエリアに入退者5がいる場合は、リーダライタ9の電波の出力を停止する。
【解決手段】 入退者5とアンテナ4との距離を測距センサ1により測定し、アンテナ4からの距離が第一の閾値未満である第一のエリアに入退者5がいる場合は、リーダライタ9の電波の出力を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退室者を管理する入退室管理システムに関するものであり、特にRFID(Radio Frequency Identification)を用いて入退室者を管理するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のRFIDを用いた入退室管理システムでは、タグを所持する人が人感センサの検知範囲に入ると、RFIDリーダライタ(以下、リーダライタと記す)がアンテナを介して電波を出力し、タグの情報を読み取る(認証する)ことによって、人の出入りの許可および入退室を管理している。ドアを挟んだ両側にアンテナおよびセンサをそれぞれ設置して入退室管理を実施しており、アンテナおよびセンサは天井に設置してある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、リーダライタの電波出力レベルを調節する入退室管理システムもある。赤外センサ等のセンサが人を検知した場合に、リーダライタの電波出力レベルを最小値から段階的に上げていきタグの認証を行い、タグの認証処理が終了するとリーダライタの電波出力レベルを最小値に戻すのである(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、ドアから少し離れた位置にセンサを設置して通過した数を検知しておき、その数によってリーダライタの電波出力レベルを調整するものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−17491
【特許文献2】特開2008−197781
【特許文献3】特開平6−68329
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、入退室管理システムにUHF帯RFIDを用いた場合、リーダライタが高出力であるため、入退者が所持する電子機器に影響を及ぼす可能性がある。電子機器への影響を避けるためには、人体からアンテナの設置位置を所定の距離(例えば、1m)以上離す必要があり、天井に設置するなどアンテナの設置位置が限られていた。しかし、特許文献1のようにアンテナを天井に設置する場合は、次のような問題が発生する。アンテナを天井に設置して高出力な電波を送信すると、電波のマルチパスの影響が大きいため、入退室の意思がない人を誤認証してしまう確率が高くなってしまう。また、アンテナの設置角度の調整や入退者を認証する位置の調整が複雑であり、さらに、認証の意思がある入退者がどこにタグを向けて良いか分かりづらいことや、入退者の身長やタグの保持位置によって認証の精度が大きく変動するといった問題点もある。
【0007】
また、特許文献2に記載のリーダライタの電波出力レベルを調節する入退室管理システムでは、入退者のタグの所持・不所持に関わらず、センサが人を検知後はタグ認証が終了するまでの間リーダライタの電波出力レベルを上げる。このため、入退者がタグを不所持等でタグを認証できない場合などは、リーダライタの電波出力レベルが最大まで上がるため、入退者が所持する電子機器に影響を与える場合がある。さらに、リーダライタの電波の大出力および壁などによる電波のマルチパスによって、入退室の意思がない人を誤認証してしまう確率が高くなるという問題点もある。
【0008】
また、特許文献3に記載の入退室管理システムは、複数の人が連続に並んだ場合の混信を防ぐことができる。しかし、タグの所持または不所持に関わらず入退者がアンテナから所定の範囲に接近した場合、リーダライタは電波を出力する。特に、入退者が少人数である場合は交信エリアが広い(即ち、リーダライタが高出力となる)ため、入退者が所持する電子機器に影響を与える場合があるという問題がある。
【0009】
このように、従来の入退室管理システムにおいては、入退者が所持する電子機器に影響を与えないようにするためには、特許文献1に記載の入退室管理システムのように、物理的にアンテナの設置位置を人体から所定の距離以上離すしかない。このため、アンテナの設置位置に制約が設けられてしまうという問題点がある。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、入退者が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナの設置位置の制約を無くすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る入退室管理システムは、アンテナ付近のエリアに入退者が存在することを検知するセンサ部と、前記エリアで入退者が検知された場合はリーダライタの電波出力を停止もしくは所定値以下に設定する制御コントローラとを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アンテナ付近に入退者が存在する場合は、リーダライタは電波出力を停止するか、もしくは入退者が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度に低い電波出力レベル(所定値以下)で送信する。このため、入退者が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナの設置位置の制約を無くすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1による入退室を説明する正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1による入退室を説明する側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1による入退室管理システムを示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態3による入退室を説明する側面図である。
【図7】本発明の実施の形態3による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態4による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態5によるアンテナ4から入退者5までの距離とリーダライタ9の電波出力レベルとの関係を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態5による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態6による入退室を説明する正面図である。
【図12】本発明の実施の形態6よる入退室を説明する側面図である。
【図13】本発明の実施の形態6による入退室管理システムを示す構成図である。
【図14】本発明の実施の形態7による入退室を説明する正面図である。
【図15】本発明の実施の形態7による入退室を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る入退室管理システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の各図において、同一符号は、同一または相当の構成を示す。また、各フローチャートにおいて、同一符号は、同一または相当の処理・判断を示す。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による入退室を説明する正面図である。図2は、本発明の実施の形態1による入退室を説明する側面図である。手動または自動の扉2を通って入退室する人を管理するため、センサ部である測距センサ1、表示部3、およびアンテナ4が設置されており、入退者5は、入退室の許可/禁止を認証識別するためのタグ6を所持している。測距センサ1は、当該センサと人との距離を測定する。表示部3は、リーダライタからの電波出力ON/OFF、および入室の許可/禁止(認証OK/NG)などを入退者5に通知する。アンテナ4はリーダライタからの電波を送信し、タグ6からの電波を受信する。
【0016】
アンテナ4の設置位置は、入退者5が何処にタグ6をかざせば良いか直感的にわかる位置にする。アンテナ4の設置位置は、例えば、入退者5の進行方向に垂直な面で、入退者5が所持しているタグ6の位置(胸部など)の高さにする。測距センサ1は、アンテナ4と同じ面に設置し、アンテナ4と入退者5との距離が測定可能な場所に設置する。測距センサ1は、当該センサと入退者5との距離を測定するものであるが、アンテナ4と測距センサ1とが近くに設置されていれば、測距センサ1において、アンテナ4と入退者5との距離を測定できる。表示部3の設置位置は、例えば、アンテナ4の上方など、入退者5が確認しやすい場所にする。
【0017】
図2に示すように、アンテナ4からの距離が第一の閾値(例えば、1m)未満である領域を第一のエリアとする。第一の閾値は任意に設定可能である。例えば、リーダライタが最大出力レベルで電波を送信した場合に、入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさないアンテナ4と入退者5との距離を算出し、第一の閾値とする。
【0018】
図3は、本発明の実施の形態1による入退室管理システムを示す構成図である。扉2の一方の側(入室側)に、測距センサ1A、表示部3A、およびアンテナ4Aを設置し、扉2の他方の側(退室側)に、測距センサ1B、表示部3B、およびアンテナ4Bを設置する。制御コントローラ10は、扉2、測距センサ1A、1B、表示部3A、3B、アンテナ4A、4B、およびリーダライタ9に接続している。図3では、制御コントローラ10が単数の扉2を制御する構成を例にしているが、制御コントローラ10が複数の扉2を制御する構成も可能である。
【0019】
制御コントローラ10は、測距センサ1A、1Bからの出力信号に基づき、リーダライタ9に対して電波出力のON/OFF、および電波出力レベルを指示し、表示部3A、3Bに対して電波出力ON/OFFの表示を指示する。また、リーダライタ9がタグ6との無線通信から得た情報に基づき、制御コントローラ10は入退者5の入退室の許可/禁止を判断し、扉2の開閉(または開錠・施錠)を指示し、表示部3A、3Bに対して入退室の許可/禁止(認証OK/NG)の表示を指示する。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態1による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。図2、図3および図4を用いて、実施の形態1による入退室管理システムの動作を説明する。まず、入退者5が測距センサ1の検知可能範囲におらず測距センサ1が入退者5を検知できない待機状態から開始する(ステップS10)。待機状態では、リーダライタ9は送信を停止しており、表示部3は表示灯を消灯して送信停止状態を示しており、また測距センサ1は稼動中(但し、非検知状態)である。
【0021】
次に、入退者5を検知可能か否かを判断し(ステップS20)、測距センサ1において入退者5を検知できればステップS30に移行し、入退者5を検知できなければ引き続き入退者5の検知動作を繰り返す(ステップS20を繰り返す)。ステップS30では、測距センサ1においてアンテナ4と入退者5との距離を算出する測距処理を行う。測距センサ1が測定した距離に基づき、入退者5が第一のエリアに存在するか否かを判断する(ステップS40)。入退者5が第一のエリアに存在しなければ、ステップS50へ移行してリーダライタ9の送信を開始する。入退者5が第一のエリアに存在する場合は、リーダライタ9の送信は行わず、ステップS30へ戻って測距処理を繰り返す。
【0022】
ステップS40において入退者5が第一のエリアに存在しないと判断した場合(即ち、入退者5がアンテナ4から1m以上離れていると判断した場合)は、リーダライタ9の送信処理を行う(ステップS50)。制御コントローラ10は、リーダライタ9に対して電波出力ONおよび電波出力レベルを指示し、表示部3に対して電波出力ONの表示を指示する。制御コントローラ10からの指示により、リーダライタ9は送信を開始し、表示部3は表示灯を黄色点灯させてリーダライタ9が送信中であることを入退者5へ知らせる。
【0023】
リーダライタ9の電波出力レベルは、認証したい位置(例えば、アンテナ4から1.3m〜2m離れた場所)に入退者5が存在するときに、リーダライタ9とタグ6との間で無線通信可能なレベルに設定しておく。リーダライタ9からの電波出力レベルが大きすぎると、マルチパスによる影響等で、入退室の意思がない通りすがりの人や、後ろで待機している入退者のタグ6を誤認証してしまう。このため、リーダライタ9の電波出力レベルは、極力小さなレベルで、認証したい位置にいる一人のみと無線通信可能なレベルに設定することが望ましい。なお、ここでは制御コントローラ10からリーダライタ9に対して電波出力レベルを指示しているが、予めリーダライタ9において当該電波出力レベルを記憶しておいてもよい。
【0024】
次に、入退者5を検知できるか否か判断し(ステップS60)、ここで、入退者5を検知できなくなった場合は、リーダライタ9の送信停止処理(ステップS80)を実行後、待機状態へ戻る(ステップS20へ戻る)。ステップS80において、制御コントローラ10はリーダライタ9に対して電波出力OFFを指示し、また表示部3に対して電波出力OFFの表示を指示する。制御コントローラ10からの指示により、リーダライタ9は送信を停止し、表示部3は表示灯を消灯してリーダライタ9が送信停止中であることを表示する。
【0025】
ステップS60において入退者5を検知した場合は、測距センサ1においてアンテナ4と入退者5との距離を算出し(ステップS70)、制御コントローラ10において入退者5が第一のエリアに存在するか否かを判断する(ステップS90)。入退者5が第一のエリアに存在すると判断した場合は、ステップS140へ移行し、リーダライタ9の送信停止処理を実行する。入退者5が第一のエリアに存在しないと判断した場合は、タグ6の認証処理を行う(ステップS100)。アンテナ4を介してリーダライタ9とタグ6間で無線通信を行い、リーダライタ9から得たタグ6の情報に基づき、制御コントローラ10が認証を行い、入退者5の入退室の許可/禁止を判断する(ステップS110)。
【0026】
入室が許可された場合はステップS120へ移行して許可処理を行い、入室が禁止された場合はステップS130へ移行して禁止処理を行う。ステップS120では、制御コントローラ10は表示部3に対して入退室の許可(認証OK)の表示を指示し、扉2を開く(または開錠する)。制御コントローラ10から指示を受けた表示部3は、表示灯を緑色点灯させ入退者5へ入室を許可したことを通知する。また、ステップS130では、制御コントローラ10は表示部3に対して入退室の禁止(認証NG)の表示を指示し、扉2を閉じる(または施錠する)。制御コントローラ10から指示を受けた表示部3は、表示灯を赤色点灯させ入退者5へ入室を禁止したことを通知する。
【0027】
その後、ステップS140においてリーダライタ9の送信停止処理を実行し、待機状態へ戻る。ステップS140ではステップS80と同様の処理を行う。なお、ステップS10の待機状態からステップS140までの動作を繰り返すことにより、入退室の連続認証は可能である。但し、連続認証は一人ずつ認証をすることを前提とする。
【0028】
上述の表示部3は、表示灯を用いて状態を表示しているが、文字表示等を用いてもよい。ステップS40およびステップS90において第一のエリアに入退者5が存在すると判断した場合に、”1m以上離れてください。”等のメッセージを表示し、認証の意思がある入退者5に対して第一のエリア外へ出るよう促すことができる。認証の意思がある入退者5が第一のエリア内に留まっているため、リーダライタ9が送信できず、いつまでも入退室の許可が出ないという状態が発生すること防止できる。
【0029】
本実施の形態1による入退室管理システムによれば、リーダライタ9が送信する電波が、入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度に、入退者5がアンテナ4から離れた場所(第一のエリア外)にいる場合にのみ、リーダライタ9からの電波を出力する。このため、入退者5が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナ4の設置位置の制約を無くすことができる。
【0030】
実施の形態2.
実施の形態1では、第一のエリアに入退者5が存在する場合はリーダライタ9の送信を停止していたが、本実施の形態2ではリーダライタ9は通常よりも低レベルで送信する。図5は本発明の実施の形態2による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。なお、入退室管理システムの構成については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0031】
図5を用いて、実施の形態2による入退室管理システムの動作について説明する。以下では、特に実施の形態1との相違点について詳細に説明する。ステップS40において、入退者5が第一のエリアに存在すると判断した場合、リーダライタ9の送信を開始せずに測距処理を継続するのではなく、ステップS55へ移行する。ステップS55では、第一のエリアに入退者5がいない場合(入退者5がアンテナ4から1m以上離れている場合)に送信するレベルよりも低いレベルでリーダライタ9から電波を出力する。この送信出力レベルは任意に設定可能であるが、例えば、入退者5がアンテナ4に接しても入退者5が所持する電子機器にリーダライタ9の電波が影響を及ぼさない程度に低いレベル(所定値以下)に設定するとよい。
【0032】
次に、ステップS90について説明する。ステップS90において、入退者5が第一のエリアに存在すると判断した場合、リーダライタ9の送信を停止するのではなく、ステップS96へ移行して、リーダライタ9の送信出力レベルを所定値以下に設定して送信する。ステップS96の処理はステップS55の処理と同様である。入退者5が第一のエリア内にいる場合でもリーダライタ9の送信を停止しないため、認証の意思がある入退者5が第一のエリア内に進入しても、リーダライタ9とタグ6との間で無線通信が行え、タグ認証が可能となる。認証の意思がある入退者5が入退室の許可を得る前に第一のエリア内に進入してしまっても、アンテナ4から一旦離れる必要なくタグ認証が可能であるため、利便性が向上する。
【0033】
本実施の形態2による入退室管理システムによれば、入退者5が第一のエリア内にいる場合は、リーダライタ9の電波出力レベルを入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度に低いレベルに設定して送信する。このため、入退者5が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナ4の設置位置の制約を無くすことができる。また、認証の意思がある入退者5が入退室の許可を得る前に第一のエリア内に進入してしまっても、アンテナ4から一旦離れる必要なくタグ認証が可能であるため、利便性が向上する。
【0034】
実施の形態3.
実施の形態1では、第一のエリア外に入退者5が存在する場合にリーダライタ9から電波を送信していたが、本実施の形態3では、第一のエリア外で更に範囲を限定した第二のエリアに入退者5が存在する場合のみ、リーダライタ9から電波を送信する。図6は本発明の実施の形態3による入退室を説明する側面図である。図7は本発明の実施の形態3による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。なお、入退室管理システムの構成については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0035】
図6に示すように、アンテナ4からの距離が第一の閾値(例えば、1m)未満である領域を第一のエリアとし、アンテナ4からの距離が第一の閾値以上でかつ第二の閾値未満(例えば、1m〜2m)である領域を第二のエリアとする。第一および第二の閾値は、任意に設定可能である。第一の閾値については、実施の形態1で説明したように、例えば、リーダライタ9が最大出力レベルで電波を送信した場合に入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさないアンテナ4と入退者5との距離にすればよい。また、第二の閾値については、例えば、入退者5を認証したい位置に応じて設定すればよい。
【0036】
本実施の形態3による入退室管理システムでは、入退者5が第一のエリアにいる場合はリーダライタ9の送信を停止し、入退者5が第二のエリアにいる場合はリーダライタ9を送信し、入退者5が第二のエリアよりも外側にいる場合はリーダライタ9の送信を停止する。図6および図7を用いて、本実施の形態3による入退室管理システムの動作について説明する。以下では、特に実施の形態1との相違点について詳細に説明する。
【0037】
ステップS40において入退者5が第一のエリアにいないと判断した場合、ステップS45において入退者5が第二のエリアに存在するか否かを判断する。入退者5が第一および第二のエリアにいない場合(即ち、第二のエリアよりも離れた場所で入退者5を検知した場合)は、待機状態へ戻る。ステップS45において入退者5が第二のエリアに存在すると判断した場合に、リーダライタ9の送信処理を行う(ステップS50)。
【0038】
ステップS90では、入退者5が第一のエリアにいないと判断した場合、ステップS95へ移行して更に第二のエリアに存在するか否かを判断する。ここで、入退者5が第二のエリアにいると判断した場合に認証処理を行う(ステップS100)。ステップS90において入退者5が第一のエリアにいると判断した場合や、ステップS90およびS95において入退者5が第一および第二のエリアにいないと判断した場合は、ステップS140へ移行してリーダライタ9の送信停止処理を行う。
【0039】
本実施の形態3による入退室管理システムによれば、実施の形態1と同様に、リーダライタ9が送信する電波が、入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度に、入退者5がアンテナ4から離れた場所(第一のエリア外)にいる場合にのみ、リーダライタ9からの電波を出力する。このため、入退者5が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナ4の設置位置の制約を無くすことができる。
【0040】
また、入退者5が第二のエリアにいるときのみリーダライタ9から電波を送信するため、入退室の意思がない通りすがりの人の誤認証を抑制することができる。
【0041】
実施の形態4.
実施の形態3では、第一のエリアに入退者5が存在する場合はリーダライタ9の送信を停止していたが、本実施の形態4ではリーダライタ9を通常よりも低レベルで送信する。図8は本発明の実施の形態4による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。なお、入退室管理システムの構成については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、実施の形態4においても実施の形態3と同様に、アンテナ4からの距離が第一の閾値(例えば、1m)未満である領域を第一のエリアとし、アンテナ4からの距離が第一の閾値以上でかつ第二の閾値未満(例えば、1m〜2m)である領域を第二のエリアとする。
【0043】
本実施の形態4による入退室管理システムでは、入退者5が第一のエリアにいる場合はリーダライタ9の電波出力レベルを所定値以下(低レベル)に設定し、入退者5が第二のエリアにいる場合はリーダライタ9の電波出力レベルを入退者5が第一のエリアにいる場合よりも高い値(高レベル)に設定し、入退者5が第二のエリアよりも外側にいる場合はリーダライタ9の送信を停止する。図6および図8を用いて、本実施の形態4による入退室管理システムの動作について説明する。以下では、特に実施の形態3との相違点について詳細に説明する。
【0044】
ステップS40において入退者5が第一のエリアにいないと判断した場合、ステップS45において入退者5が第二のエリアに存在するか否かを判断する。入退者5が第一および第二のエリアにいない場合(即ち、第二のエリアよりも離れた場所で入退者5を検知した場合)は、待機状態へ戻る。ステップS45において入退者5が第二のエリアに存在すると判断した場合に、リーダライタ9の送信処理を行う(ステップS50)。
【0045】
ステップS40において、入退者5が第一のエリアに存在すると判断した場合、リーダライタ9の送信を開始せずに測距処理を継続するのではなく、ステップS55へ移行する。ステップS55では、第二のエリアに入退者5がいる場合に送信するレベルよりも低いレベルである所定値以下でリーダライタ9から電波を出力する。この電波出力レベルは任意に設定可能であるが、例えば、入退者5がアンテナ4に接しても入退者5が所持する電子機器にリーダライタ9の電波が影響を及ぼさない程度に低いレベルに設定するとよい。
【0046】
次に、ステップS90について説明する。ステップS90において、入退者5が第一のエリアに存在すると判断した場合、リーダライタ9の送信を停止するのではなく、ステップS96へ移行して、リーダライタ9の電波出力レベルを所定値以下に設定して送信する。ステップS96の処理はステップS55の処理と同様である。入退者5が第一のエリア内にいる場合でもリーダライタ9の送信を停止しないため、認証の意思がある入退者5が第一のエリア内に進入しても、リーダライタ9とタグ6との間で無線通信が行え、タグ認証が可能となる。認証の意思がある入退者5が入退室の許可を得る前に第一のエリア内に進入してしまっても、アンテナ4から一旦離れる必要なくタグ認証が可能であるため、利便性が向上する。
【0047】
本実施の形態4による入退室管理システムによれば、入退者5が第一のエリア内にいる場合は、リーダライタ9の電波出力レベルを入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度に低いレベルに設定して送信する。このため、入退者5が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナ4の設置位置の制約を無くすことができる。
【0048】
また、入退者5が第一および第二のエリアにいないときはリーダライタ9からの電波の送信を停止するため、入退室の意思がない通りすがりの人の誤認証を抑制することができる。さらに、認証の意思がある入退者5が入退室の許可を得る前に第一のエリア内に進入してしまっても、アンテナ4から一旦離れる必要なくタグ認証が可能であるため、利便性が向上する。
【0049】
実施の形態5.
実施の形態2,4では、第一または第二のエリアに入退者5が存在するか否かで、リーダライタ9の電波出力レベルを決定していたが、入退者5がアンテナ4に近づくにつれて、リーダライタ9の電波出力レベルを下げてもよい。なお、入退室管理システムの構成については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0050】
図9は、本発明の実施の形態5において、アンテナ4から入退者5までの距離とリーダライタ9の電波出力レベルとの関係を示すグラフである。アンテナ4から入退者5までの電波の伝搬損を考慮して、入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度のリーダライタ9の電波出力レベルを算出しておき、図9に示すようなテーブルを予め制御コントローラ10に保持しておく。なお、入退者5がアンテナ4に接する場合(距離=0mの場合)には、リーダライタ9の送信を停止したいのであれば、距離=0[m]のときは電波出力レベル=0[W]となるようなグラフを準備しておけばよい。距離と電波出力レベルとの関係は、図9に示すものに限られたものではなく、使用条件等に応じて適宜決定すればよい。
【0051】
図10は、本発明の実施の形態5による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。図9および図10を用いて、本実施の形態5による入退室管理システムの動作について説明する。まず、待機状態であるステップS10から開始する。ステップS20において、入退者5を検知可能か否かを判断し、測距センサ1において入退者5を検知できればステップS30に移行し、入退者5を検知できなければ引き続き入退者5の検知動作を繰り返す(ステップS20を繰り返す)。ステップS30では、測距センサ1においてアンテナ4と入退者5との距離を算出する測距処理を行う。
【0052】
次に、測距センサ1で測定した距離が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS45)。この閾値は実施の形態2,4における第二の閾値に相当するものであり、入退者5を認証したい位置に応じて設定される。入退者5が閾値よりも離れた場所にいる場合は、入退者5の検知動作へ戻る(ステップS20へ戻る)。入退者5が閾値よりも内側へ進入している場合はステップS46へ移行する。
【0053】
次に、制御コントローラ10は、図9に示すグラフを用いて、測距センサ1が測定した距離に対応するリーダライタ9の電波出力レベルを算出する(ステップS46)。ステップS50において、制御コントローラ10は、リーダライタ9に対して電波出力ONおよびステップS46で算出した電波出力レベルを指示し、表示部3に対して電波出力ONの表示を指示する。制御コントローラ10からの指示により、リーダライタ9は当該電波出力レベルで送信を開始し、表示部3は表示灯を黄色点灯させてリーダライタ9が送信中であることを入退者5へ知らせる。
【0054】
次に、アンテナ4を介してリーダライタ9とタグ6間で無線通信を行い、リーダライタ9から得たタグ6の情報に基づき、制御コントローラ10が認証を行い(ステップS100)、入退者5の入退室の許可/禁止を判断する(ステップS110)。
【0055】
入室が許可された場合はステップS120へ移行して許可処理を行い、入室が禁止された場合はステップS130へ移行して禁止処理を行う。ステップS120では、制御コントローラ10は表示部3に対して入退室の許可(認証OK)の表示を指示し、扉2を開く(または開錠する)。制御コントローラ10から指示を受けた表示部3は、表示灯を緑色点灯させ入退者5へ入室を許可したことを通知する。また、ステップS130では、制御コントローラ10は表示部3に対して入退室の禁止(認証NG)の表示を指示し、扉2を閉じる(または施錠する)。制御コントローラ10から指示を受けた表示部3は、表示灯を赤色点灯させ入退者5へ入室を禁止したことを通知する。
【0056】
その後、ステップS140においてリーダライタ9の送信停止処理を実行し、待機状態へ戻る。なお、ステップS10の待機状態からステップS140までの動作を繰り返すことにより、入退室の連続認証は可能である。但し、連続認証は一人ずつ認証をすることを前提とする。
【0057】
本実施の形態5による入退室管理システムによれば、入退者5がアンテナ4に近づくに伴い、リーダライタ9の電波出力レベルを下げるため、入退者5が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナ4の設置位置の制約を無くすことができる。
【0058】
実施の形態6.
実施の形態1乃至実施の形態4において、センサ部として使用していた測距センサ1の換わりに、本実施の形態6では人感センサを用いる。図11は、本発明の実施の形態6による入退室を説明する正面図であり、図12は、本発明の実施の形態6による入退室を説明する側面図である。図13は、本発明の実施の形態6による入退室管理システムを示す構成図である。
【0059】
人感センサ11は、第一および第二のエリアそれぞれに入退者5が存在するか否かを検知可能なセンサである。図13に示す本実施の形態6による入退室管理システムは、実施の形態1において説明した構成において、測距センサ1A、1Bを人感センサ11A、11Bに置き換えたものである。なお、本実施の形態6による入退室管理システムの動作は、実施の形態1乃至実施の形態4で説明した動作と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
本実施の形態6による入退室管理システムによれば、実施の形態1乃至実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
【0061】
実施の形態7.
実施の形態1乃至実施の形態4において、センサ部として使用していた測距センサ1の換わりに、本実施の形態7では人感センサ11および加重センサを用いる。図14は、本発明の実施の形態7による入退室を説明する正面図であり、図15は、本発明の実施の形態7による入退室を説明する側面図である。
【0062】
加重センサ7は第一のエリアに入退者5が進入したことを検知するためのセンサである。本実施の形態7では、人感センサ11で第二のエリアに入退者5がいることを検知し、加重センサ7で第一のエリアに入退者5がいることを検知する。加重センサ7が反応した場合は、リーダライタ9の電波送信を停止するか、もしくは第二のエリアに入退者5がいる場合(入退者5がアンテナ4から1m以上離れている場合)に送信するレベルよりも低いレベルである所定値以下でリーダライタ9から電波を出力する。なお、本実施の形態7による入退室管理システムの動作は、実施の形態1乃至実施の形態4で説明した動作と同様であるため、説明を省略する。
【0063】
本実施の形態7による入退室管理システムによれば、実施の形態1乃至実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 測距センサ
4 アンテナ
5 入退者
6 タグ
7 加重センサ
9 リーダライタ
10 制御コントローラ
11 人感センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退室者を管理する入退室管理システムに関するものであり、特にRFID(Radio Frequency Identification)を用いて入退室者を管理するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のRFIDを用いた入退室管理システムでは、タグを所持する人が人感センサの検知範囲に入ると、RFIDリーダライタ(以下、リーダライタと記す)がアンテナを介して電波を出力し、タグの情報を読み取る(認証する)ことによって、人の出入りの許可および入退室を管理している。ドアを挟んだ両側にアンテナおよびセンサをそれぞれ設置して入退室管理を実施しており、アンテナおよびセンサは天井に設置してある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、リーダライタの電波出力レベルを調節する入退室管理システムもある。赤外センサ等のセンサが人を検知した場合に、リーダライタの電波出力レベルを最小値から段階的に上げていきタグの認証を行い、タグの認証処理が終了するとリーダライタの電波出力レベルを最小値に戻すのである(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、ドアから少し離れた位置にセンサを設置して通過した数を検知しておき、その数によってリーダライタの電波出力レベルを調整するものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−17491
【特許文献2】特開2008−197781
【特許文献3】特開平6−68329
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、入退室管理システムにUHF帯RFIDを用いた場合、リーダライタが高出力であるため、入退者が所持する電子機器に影響を及ぼす可能性がある。電子機器への影響を避けるためには、人体からアンテナの設置位置を所定の距離(例えば、1m)以上離す必要があり、天井に設置するなどアンテナの設置位置が限られていた。しかし、特許文献1のようにアンテナを天井に設置する場合は、次のような問題が発生する。アンテナを天井に設置して高出力な電波を送信すると、電波のマルチパスの影響が大きいため、入退室の意思がない人を誤認証してしまう確率が高くなってしまう。また、アンテナの設置角度の調整や入退者を認証する位置の調整が複雑であり、さらに、認証の意思がある入退者がどこにタグを向けて良いか分かりづらいことや、入退者の身長やタグの保持位置によって認証の精度が大きく変動するといった問題点もある。
【0007】
また、特許文献2に記載のリーダライタの電波出力レベルを調節する入退室管理システムでは、入退者のタグの所持・不所持に関わらず、センサが人を検知後はタグ認証が終了するまでの間リーダライタの電波出力レベルを上げる。このため、入退者がタグを不所持等でタグを認証できない場合などは、リーダライタの電波出力レベルが最大まで上がるため、入退者が所持する電子機器に影響を与える場合がある。さらに、リーダライタの電波の大出力および壁などによる電波のマルチパスによって、入退室の意思がない人を誤認証してしまう確率が高くなるという問題点もある。
【0008】
また、特許文献3に記載の入退室管理システムは、複数の人が連続に並んだ場合の混信を防ぐことができる。しかし、タグの所持または不所持に関わらず入退者がアンテナから所定の範囲に接近した場合、リーダライタは電波を出力する。特に、入退者が少人数である場合は交信エリアが広い(即ち、リーダライタが高出力となる)ため、入退者が所持する電子機器に影響を与える場合があるという問題がある。
【0009】
このように、従来の入退室管理システムにおいては、入退者が所持する電子機器に影響を与えないようにするためには、特許文献1に記載の入退室管理システムのように、物理的にアンテナの設置位置を人体から所定の距離以上離すしかない。このため、アンテナの設置位置に制約が設けられてしまうという問題点がある。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、入退者が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナの設置位置の制約を無くすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る入退室管理システムは、アンテナ付近のエリアに入退者が存在することを検知するセンサ部と、前記エリアで入退者が検知された場合はリーダライタの電波出力を停止もしくは所定値以下に設定する制御コントローラとを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アンテナ付近に入退者が存在する場合は、リーダライタは電波出力を停止するか、もしくは入退者が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度に低い電波出力レベル(所定値以下)で送信する。このため、入退者が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナの設置位置の制約を無くすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1による入退室を説明する正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1による入退室を説明する側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1による入退室管理システムを示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態3による入退室を説明する側面図である。
【図7】本発明の実施の形態3による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態4による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態5によるアンテナ4から入退者5までの距離とリーダライタ9の電波出力レベルとの関係を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態5による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態6による入退室を説明する正面図である。
【図12】本発明の実施の形態6よる入退室を説明する側面図である。
【図13】本発明の実施の形態6による入退室管理システムを示す構成図である。
【図14】本発明の実施の形態7による入退室を説明する正面図である。
【図15】本発明の実施の形態7による入退室を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る入退室管理システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の各図において、同一符号は、同一または相当の構成を示す。また、各フローチャートにおいて、同一符号は、同一または相当の処理・判断を示す。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による入退室を説明する正面図である。図2は、本発明の実施の形態1による入退室を説明する側面図である。手動または自動の扉2を通って入退室する人を管理するため、センサ部である測距センサ1、表示部3、およびアンテナ4が設置されており、入退者5は、入退室の許可/禁止を認証識別するためのタグ6を所持している。測距センサ1は、当該センサと人との距離を測定する。表示部3は、リーダライタからの電波出力ON/OFF、および入室の許可/禁止(認証OK/NG)などを入退者5に通知する。アンテナ4はリーダライタからの電波を送信し、タグ6からの電波を受信する。
【0016】
アンテナ4の設置位置は、入退者5が何処にタグ6をかざせば良いか直感的にわかる位置にする。アンテナ4の設置位置は、例えば、入退者5の進行方向に垂直な面で、入退者5が所持しているタグ6の位置(胸部など)の高さにする。測距センサ1は、アンテナ4と同じ面に設置し、アンテナ4と入退者5との距離が測定可能な場所に設置する。測距センサ1は、当該センサと入退者5との距離を測定するものであるが、アンテナ4と測距センサ1とが近くに設置されていれば、測距センサ1において、アンテナ4と入退者5との距離を測定できる。表示部3の設置位置は、例えば、アンテナ4の上方など、入退者5が確認しやすい場所にする。
【0017】
図2に示すように、アンテナ4からの距離が第一の閾値(例えば、1m)未満である領域を第一のエリアとする。第一の閾値は任意に設定可能である。例えば、リーダライタが最大出力レベルで電波を送信した場合に、入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさないアンテナ4と入退者5との距離を算出し、第一の閾値とする。
【0018】
図3は、本発明の実施の形態1による入退室管理システムを示す構成図である。扉2の一方の側(入室側)に、測距センサ1A、表示部3A、およびアンテナ4Aを設置し、扉2の他方の側(退室側)に、測距センサ1B、表示部3B、およびアンテナ4Bを設置する。制御コントローラ10は、扉2、測距センサ1A、1B、表示部3A、3B、アンテナ4A、4B、およびリーダライタ9に接続している。図3では、制御コントローラ10が単数の扉2を制御する構成を例にしているが、制御コントローラ10が複数の扉2を制御する構成も可能である。
【0019】
制御コントローラ10は、測距センサ1A、1Bからの出力信号に基づき、リーダライタ9に対して電波出力のON/OFF、および電波出力レベルを指示し、表示部3A、3Bに対して電波出力ON/OFFの表示を指示する。また、リーダライタ9がタグ6との無線通信から得た情報に基づき、制御コントローラ10は入退者5の入退室の許可/禁止を判断し、扉2の開閉(または開錠・施錠)を指示し、表示部3A、3Bに対して入退室の許可/禁止(認証OK/NG)の表示を指示する。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態1による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。図2、図3および図4を用いて、実施の形態1による入退室管理システムの動作を説明する。まず、入退者5が測距センサ1の検知可能範囲におらず測距センサ1が入退者5を検知できない待機状態から開始する(ステップS10)。待機状態では、リーダライタ9は送信を停止しており、表示部3は表示灯を消灯して送信停止状態を示しており、また測距センサ1は稼動中(但し、非検知状態)である。
【0021】
次に、入退者5を検知可能か否かを判断し(ステップS20)、測距センサ1において入退者5を検知できればステップS30に移行し、入退者5を検知できなければ引き続き入退者5の検知動作を繰り返す(ステップS20を繰り返す)。ステップS30では、測距センサ1においてアンテナ4と入退者5との距離を算出する測距処理を行う。測距センサ1が測定した距離に基づき、入退者5が第一のエリアに存在するか否かを判断する(ステップS40)。入退者5が第一のエリアに存在しなければ、ステップS50へ移行してリーダライタ9の送信を開始する。入退者5が第一のエリアに存在する場合は、リーダライタ9の送信は行わず、ステップS30へ戻って測距処理を繰り返す。
【0022】
ステップS40において入退者5が第一のエリアに存在しないと判断した場合(即ち、入退者5がアンテナ4から1m以上離れていると判断した場合)は、リーダライタ9の送信処理を行う(ステップS50)。制御コントローラ10は、リーダライタ9に対して電波出力ONおよび電波出力レベルを指示し、表示部3に対して電波出力ONの表示を指示する。制御コントローラ10からの指示により、リーダライタ9は送信を開始し、表示部3は表示灯を黄色点灯させてリーダライタ9が送信中であることを入退者5へ知らせる。
【0023】
リーダライタ9の電波出力レベルは、認証したい位置(例えば、アンテナ4から1.3m〜2m離れた場所)に入退者5が存在するときに、リーダライタ9とタグ6との間で無線通信可能なレベルに設定しておく。リーダライタ9からの電波出力レベルが大きすぎると、マルチパスによる影響等で、入退室の意思がない通りすがりの人や、後ろで待機している入退者のタグ6を誤認証してしまう。このため、リーダライタ9の電波出力レベルは、極力小さなレベルで、認証したい位置にいる一人のみと無線通信可能なレベルに設定することが望ましい。なお、ここでは制御コントローラ10からリーダライタ9に対して電波出力レベルを指示しているが、予めリーダライタ9において当該電波出力レベルを記憶しておいてもよい。
【0024】
次に、入退者5を検知できるか否か判断し(ステップS60)、ここで、入退者5を検知できなくなった場合は、リーダライタ9の送信停止処理(ステップS80)を実行後、待機状態へ戻る(ステップS20へ戻る)。ステップS80において、制御コントローラ10はリーダライタ9に対して電波出力OFFを指示し、また表示部3に対して電波出力OFFの表示を指示する。制御コントローラ10からの指示により、リーダライタ9は送信を停止し、表示部3は表示灯を消灯してリーダライタ9が送信停止中であることを表示する。
【0025】
ステップS60において入退者5を検知した場合は、測距センサ1においてアンテナ4と入退者5との距離を算出し(ステップS70)、制御コントローラ10において入退者5が第一のエリアに存在するか否かを判断する(ステップS90)。入退者5が第一のエリアに存在すると判断した場合は、ステップS140へ移行し、リーダライタ9の送信停止処理を実行する。入退者5が第一のエリアに存在しないと判断した場合は、タグ6の認証処理を行う(ステップS100)。アンテナ4を介してリーダライタ9とタグ6間で無線通信を行い、リーダライタ9から得たタグ6の情報に基づき、制御コントローラ10が認証を行い、入退者5の入退室の許可/禁止を判断する(ステップS110)。
【0026】
入室が許可された場合はステップS120へ移行して許可処理を行い、入室が禁止された場合はステップS130へ移行して禁止処理を行う。ステップS120では、制御コントローラ10は表示部3に対して入退室の許可(認証OK)の表示を指示し、扉2を開く(または開錠する)。制御コントローラ10から指示を受けた表示部3は、表示灯を緑色点灯させ入退者5へ入室を許可したことを通知する。また、ステップS130では、制御コントローラ10は表示部3に対して入退室の禁止(認証NG)の表示を指示し、扉2を閉じる(または施錠する)。制御コントローラ10から指示を受けた表示部3は、表示灯を赤色点灯させ入退者5へ入室を禁止したことを通知する。
【0027】
その後、ステップS140においてリーダライタ9の送信停止処理を実行し、待機状態へ戻る。ステップS140ではステップS80と同様の処理を行う。なお、ステップS10の待機状態からステップS140までの動作を繰り返すことにより、入退室の連続認証は可能である。但し、連続認証は一人ずつ認証をすることを前提とする。
【0028】
上述の表示部3は、表示灯を用いて状態を表示しているが、文字表示等を用いてもよい。ステップS40およびステップS90において第一のエリアに入退者5が存在すると判断した場合に、”1m以上離れてください。”等のメッセージを表示し、認証の意思がある入退者5に対して第一のエリア外へ出るよう促すことができる。認証の意思がある入退者5が第一のエリア内に留まっているため、リーダライタ9が送信できず、いつまでも入退室の許可が出ないという状態が発生すること防止できる。
【0029】
本実施の形態1による入退室管理システムによれば、リーダライタ9が送信する電波が、入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度に、入退者5がアンテナ4から離れた場所(第一のエリア外)にいる場合にのみ、リーダライタ9からの電波を出力する。このため、入退者5が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナ4の設置位置の制約を無くすことができる。
【0030】
実施の形態2.
実施の形態1では、第一のエリアに入退者5が存在する場合はリーダライタ9の送信を停止していたが、本実施の形態2ではリーダライタ9は通常よりも低レベルで送信する。図5は本発明の実施の形態2による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。なお、入退室管理システムの構成については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0031】
図5を用いて、実施の形態2による入退室管理システムの動作について説明する。以下では、特に実施の形態1との相違点について詳細に説明する。ステップS40において、入退者5が第一のエリアに存在すると判断した場合、リーダライタ9の送信を開始せずに測距処理を継続するのではなく、ステップS55へ移行する。ステップS55では、第一のエリアに入退者5がいない場合(入退者5がアンテナ4から1m以上離れている場合)に送信するレベルよりも低いレベルでリーダライタ9から電波を出力する。この送信出力レベルは任意に設定可能であるが、例えば、入退者5がアンテナ4に接しても入退者5が所持する電子機器にリーダライタ9の電波が影響を及ぼさない程度に低いレベル(所定値以下)に設定するとよい。
【0032】
次に、ステップS90について説明する。ステップS90において、入退者5が第一のエリアに存在すると判断した場合、リーダライタ9の送信を停止するのではなく、ステップS96へ移行して、リーダライタ9の送信出力レベルを所定値以下に設定して送信する。ステップS96の処理はステップS55の処理と同様である。入退者5が第一のエリア内にいる場合でもリーダライタ9の送信を停止しないため、認証の意思がある入退者5が第一のエリア内に進入しても、リーダライタ9とタグ6との間で無線通信が行え、タグ認証が可能となる。認証の意思がある入退者5が入退室の許可を得る前に第一のエリア内に進入してしまっても、アンテナ4から一旦離れる必要なくタグ認証が可能であるため、利便性が向上する。
【0033】
本実施の形態2による入退室管理システムによれば、入退者5が第一のエリア内にいる場合は、リーダライタ9の電波出力レベルを入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度に低いレベルに設定して送信する。このため、入退者5が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナ4の設置位置の制約を無くすことができる。また、認証の意思がある入退者5が入退室の許可を得る前に第一のエリア内に進入してしまっても、アンテナ4から一旦離れる必要なくタグ認証が可能であるため、利便性が向上する。
【0034】
実施の形態3.
実施の形態1では、第一のエリア外に入退者5が存在する場合にリーダライタ9から電波を送信していたが、本実施の形態3では、第一のエリア外で更に範囲を限定した第二のエリアに入退者5が存在する場合のみ、リーダライタ9から電波を送信する。図6は本発明の実施の形態3による入退室を説明する側面図である。図7は本発明の実施の形態3による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。なお、入退室管理システムの構成については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0035】
図6に示すように、アンテナ4からの距離が第一の閾値(例えば、1m)未満である領域を第一のエリアとし、アンテナ4からの距離が第一の閾値以上でかつ第二の閾値未満(例えば、1m〜2m)である領域を第二のエリアとする。第一および第二の閾値は、任意に設定可能である。第一の閾値については、実施の形態1で説明したように、例えば、リーダライタ9が最大出力レベルで電波を送信した場合に入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさないアンテナ4と入退者5との距離にすればよい。また、第二の閾値については、例えば、入退者5を認証したい位置に応じて設定すればよい。
【0036】
本実施の形態3による入退室管理システムでは、入退者5が第一のエリアにいる場合はリーダライタ9の送信を停止し、入退者5が第二のエリアにいる場合はリーダライタ9を送信し、入退者5が第二のエリアよりも外側にいる場合はリーダライタ9の送信を停止する。図6および図7を用いて、本実施の形態3による入退室管理システムの動作について説明する。以下では、特に実施の形態1との相違点について詳細に説明する。
【0037】
ステップS40において入退者5が第一のエリアにいないと判断した場合、ステップS45において入退者5が第二のエリアに存在するか否かを判断する。入退者5が第一および第二のエリアにいない場合(即ち、第二のエリアよりも離れた場所で入退者5を検知した場合)は、待機状態へ戻る。ステップS45において入退者5が第二のエリアに存在すると判断した場合に、リーダライタ9の送信処理を行う(ステップS50)。
【0038】
ステップS90では、入退者5が第一のエリアにいないと判断した場合、ステップS95へ移行して更に第二のエリアに存在するか否かを判断する。ここで、入退者5が第二のエリアにいると判断した場合に認証処理を行う(ステップS100)。ステップS90において入退者5が第一のエリアにいると判断した場合や、ステップS90およびS95において入退者5が第一および第二のエリアにいないと判断した場合は、ステップS140へ移行してリーダライタ9の送信停止処理を行う。
【0039】
本実施の形態3による入退室管理システムによれば、実施の形態1と同様に、リーダライタ9が送信する電波が、入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度に、入退者5がアンテナ4から離れた場所(第一のエリア外)にいる場合にのみ、リーダライタ9からの電波を出力する。このため、入退者5が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナ4の設置位置の制約を無くすことができる。
【0040】
また、入退者5が第二のエリアにいるときのみリーダライタ9から電波を送信するため、入退室の意思がない通りすがりの人の誤認証を抑制することができる。
【0041】
実施の形態4.
実施の形態3では、第一のエリアに入退者5が存在する場合はリーダライタ9の送信を停止していたが、本実施の形態4ではリーダライタ9を通常よりも低レベルで送信する。図8は本発明の実施の形態4による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。なお、入退室管理システムの構成については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、実施の形態4においても実施の形態3と同様に、アンテナ4からの距離が第一の閾値(例えば、1m)未満である領域を第一のエリアとし、アンテナ4からの距離が第一の閾値以上でかつ第二の閾値未満(例えば、1m〜2m)である領域を第二のエリアとする。
【0043】
本実施の形態4による入退室管理システムでは、入退者5が第一のエリアにいる場合はリーダライタ9の電波出力レベルを所定値以下(低レベル)に設定し、入退者5が第二のエリアにいる場合はリーダライタ9の電波出力レベルを入退者5が第一のエリアにいる場合よりも高い値(高レベル)に設定し、入退者5が第二のエリアよりも外側にいる場合はリーダライタ9の送信を停止する。図6および図8を用いて、本実施の形態4による入退室管理システムの動作について説明する。以下では、特に実施の形態3との相違点について詳細に説明する。
【0044】
ステップS40において入退者5が第一のエリアにいないと判断した場合、ステップS45において入退者5が第二のエリアに存在するか否かを判断する。入退者5が第一および第二のエリアにいない場合(即ち、第二のエリアよりも離れた場所で入退者5を検知した場合)は、待機状態へ戻る。ステップS45において入退者5が第二のエリアに存在すると判断した場合に、リーダライタ9の送信処理を行う(ステップS50)。
【0045】
ステップS40において、入退者5が第一のエリアに存在すると判断した場合、リーダライタ9の送信を開始せずに測距処理を継続するのではなく、ステップS55へ移行する。ステップS55では、第二のエリアに入退者5がいる場合に送信するレベルよりも低いレベルである所定値以下でリーダライタ9から電波を出力する。この電波出力レベルは任意に設定可能であるが、例えば、入退者5がアンテナ4に接しても入退者5が所持する電子機器にリーダライタ9の電波が影響を及ぼさない程度に低いレベルに設定するとよい。
【0046】
次に、ステップS90について説明する。ステップS90において、入退者5が第一のエリアに存在すると判断した場合、リーダライタ9の送信を停止するのではなく、ステップS96へ移行して、リーダライタ9の電波出力レベルを所定値以下に設定して送信する。ステップS96の処理はステップS55の処理と同様である。入退者5が第一のエリア内にいる場合でもリーダライタ9の送信を停止しないため、認証の意思がある入退者5が第一のエリア内に進入しても、リーダライタ9とタグ6との間で無線通信が行え、タグ認証が可能となる。認証の意思がある入退者5が入退室の許可を得る前に第一のエリア内に進入してしまっても、アンテナ4から一旦離れる必要なくタグ認証が可能であるため、利便性が向上する。
【0047】
本実施の形態4による入退室管理システムによれば、入退者5が第一のエリア内にいる場合は、リーダライタ9の電波出力レベルを入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度に低いレベルに設定して送信する。このため、入退者5が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナ4の設置位置の制約を無くすことができる。
【0048】
また、入退者5が第一および第二のエリアにいないときはリーダライタ9からの電波の送信を停止するため、入退室の意思がない通りすがりの人の誤認証を抑制することができる。さらに、認証の意思がある入退者5が入退室の許可を得る前に第一のエリア内に進入してしまっても、アンテナ4から一旦離れる必要なくタグ認証が可能であるため、利便性が向上する。
【0049】
実施の形態5.
実施の形態2,4では、第一または第二のエリアに入退者5が存在するか否かで、リーダライタ9の電波出力レベルを決定していたが、入退者5がアンテナ4に近づくにつれて、リーダライタ9の電波出力レベルを下げてもよい。なお、入退室管理システムの構成については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0050】
図9は、本発明の実施の形態5において、アンテナ4から入退者5までの距離とリーダライタ9の電波出力レベルとの関係を示すグラフである。アンテナ4から入退者5までの電波の伝搬損を考慮して、入退者5が所持する電子機器に影響を及ぼさない程度のリーダライタ9の電波出力レベルを算出しておき、図9に示すようなテーブルを予め制御コントローラ10に保持しておく。なお、入退者5がアンテナ4に接する場合(距離=0mの場合)には、リーダライタ9の送信を停止したいのであれば、距離=0[m]のときは電波出力レベル=0[W]となるようなグラフを準備しておけばよい。距離と電波出力レベルとの関係は、図9に示すものに限られたものではなく、使用条件等に応じて適宜決定すればよい。
【0051】
図10は、本発明の実施の形態5による入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。図9および図10を用いて、本実施の形態5による入退室管理システムの動作について説明する。まず、待機状態であるステップS10から開始する。ステップS20において、入退者5を検知可能か否かを判断し、測距センサ1において入退者5を検知できればステップS30に移行し、入退者5を検知できなければ引き続き入退者5の検知動作を繰り返す(ステップS20を繰り返す)。ステップS30では、測距センサ1においてアンテナ4と入退者5との距離を算出する測距処理を行う。
【0052】
次に、測距センサ1で測定した距離が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS45)。この閾値は実施の形態2,4における第二の閾値に相当するものであり、入退者5を認証したい位置に応じて設定される。入退者5が閾値よりも離れた場所にいる場合は、入退者5の検知動作へ戻る(ステップS20へ戻る)。入退者5が閾値よりも内側へ進入している場合はステップS46へ移行する。
【0053】
次に、制御コントローラ10は、図9に示すグラフを用いて、測距センサ1が測定した距離に対応するリーダライタ9の電波出力レベルを算出する(ステップS46)。ステップS50において、制御コントローラ10は、リーダライタ9に対して電波出力ONおよびステップS46で算出した電波出力レベルを指示し、表示部3に対して電波出力ONの表示を指示する。制御コントローラ10からの指示により、リーダライタ9は当該電波出力レベルで送信を開始し、表示部3は表示灯を黄色点灯させてリーダライタ9が送信中であることを入退者5へ知らせる。
【0054】
次に、アンテナ4を介してリーダライタ9とタグ6間で無線通信を行い、リーダライタ9から得たタグ6の情報に基づき、制御コントローラ10が認証を行い(ステップS100)、入退者5の入退室の許可/禁止を判断する(ステップS110)。
【0055】
入室が許可された場合はステップS120へ移行して許可処理を行い、入室が禁止された場合はステップS130へ移行して禁止処理を行う。ステップS120では、制御コントローラ10は表示部3に対して入退室の許可(認証OK)の表示を指示し、扉2を開く(または開錠する)。制御コントローラ10から指示を受けた表示部3は、表示灯を緑色点灯させ入退者5へ入室を許可したことを通知する。また、ステップS130では、制御コントローラ10は表示部3に対して入退室の禁止(認証NG)の表示を指示し、扉2を閉じる(または施錠する)。制御コントローラ10から指示を受けた表示部3は、表示灯を赤色点灯させ入退者5へ入室を禁止したことを通知する。
【0056】
その後、ステップS140においてリーダライタ9の送信停止処理を実行し、待機状態へ戻る。なお、ステップS10の待機状態からステップS140までの動作を繰り返すことにより、入退室の連続認証は可能である。但し、連続認証は一人ずつ認証をすることを前提とする。
【0057】
本実施の形態5による入退室管理システムによれば、入退者5がアンテナ4に近づくに伴い、リーダライタ9の電波出力レベルを下げるため、入退者5が所持する電子機器に影響を与えず、且つアンテナ4の設置位置の制約を無くすことができる。
【0058】
実施の形態6.
実施の形態1乃至実施の形態4において、センサ部として使用していた測距センサ1の換わりに、本実施の形態6では人感センサを用いる。図11は、本発明の実施の形態6による入退室を説明する正面図であり、図12は、本発明の実施の形態6による入退室を説明する側面図である。図13は、本発明の実施の形態6による入退室管理システムを示す構成図である。
【0059】
人感センサ11は、第一および第二のエリアそれぞれに入退者5が存在するか否かを検知可能なセンサである。図13に示す本実施の形態6による入退室管理システムは、実施の形態1において説明した構成において、測距センサ1A、1Bを人感センサ11A、11Bに置き換えたものである。なお、本実施の形態6による入退室管理システムの動作は、実施の形態1乃至実施の形態4で説明した動作と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
本実施の形態6による入退室管理システムによれば、実施の形態1乃至実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
【0061】
実施の形態7.
実施の形態1乃至実施の形態4において、センサ部として使用していた測距センサ1の換わりに、本実施の形態7では人感センサ11および加重センサを用いる。図14は、本発明の実施の形態7による入退室を説明する正面図であり、図15は、本発明の実施の形態7による入退室を説明する側面図である。
【0062】
加重センサ7は第一のエリアに入退者5が進入したことを検知するためのセンサである。本実施の形態7では、人感センサ11で第二のエリアに入退者5がいることを検知し、加重センサ7で第一のエリアに入退者5がいることを検知する。加重センサ7が反応した場合は、リーダライタ9の電波送信を停止するか、もしくは第二のエリアに入退者5がいる場合(入退者5がアンテナ4から1m以上離れている場合)に送信するレベルよりも低いレベルである所定値以下でリーダライタ9から電波を出力する。なお、本実施の形態7による入退室管理システムの動作は、実施の形態1乃至実施の形態4で説明した動作と同様であるため、説明を省略する。
【0063】
本実施の形態7による入退室管理システムによれば、実施の形態1乃至実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 測距センサ
4 アンテナ
5 入退者
6 タグ
7 加重センサ
9 リーダライタ
10 制御コントローラ
11 人感センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入退者が所持するタグの情報をリーダライタで読み取って入退室を管理する入退室管理システムにおいて、
アンテナからの距離が第一の閾値未満である第一のエリアに前記入退者が存在することを検知するセンサ部と、
前記第一のエリアで前記入退者が検知された場合は前記リーダライタの電波出力を停止もしくは所定値以下に設定する制御コントローラと、
を備えた入退室管理システム。
【請求項2】
前記センサ部は、前記アンテナからの距離が前記第一の閾値以上でかつ第二の閾値未満である第二のエリアに前記入退者が存在することを検知し、
前記制御コントローラは、前記第一のエリアに入退者が存在するときよりも前記第二のエリアに入退者が存在するときの方が前記リーダライタの電波出力レベルを高い値に設定することを特徴とする請求項1記載の入退室管理システム。
【請求項3】
入退者が所持するタグの情報をリーダライタで読み取って入退室を管理する入退室管理システムにおいて、
アンテナと前記入退者との距離を測定するセンサ部と、
前記入退者が前記アンテナに近づくに伴い、前記リーダライタの電波出力レベルを下げる制御コントローラと、
を備えた入退室管理システム。
【請求項4】
前記センサ部は、前記入退者との距離を測定する測距センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の入退室管理システム。
【請求項5】
前記センサ部は、人感センサで構成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の入退室管理システム。
【請求項6】
前記センサ部は、前記第一のエリアに前記入退者が存在することを検知する加重センサを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の入退室管理システム。
【請求項1】
入退者が所持するタグの情報をリーダライタで読み取って入退室を管理する入退室管理システムにおいて、
アンテナからの距離が第一の閾値未満である第一のエリアに前記入退者が存在することを検知するセンサ部と、
前記第一のエリアで前記入退者が検知された場合は前記リーダライタの電波出力を停止もしくは所定値以下に設定する制御コントローラと、
を備えた入退室管理システム。
【請求項2】
前記センサ部は、前記アンテナからの距離が前記第一の閾値以上でかつ第二の閾値未満である第二のエリアに前記入退者が存在することを検知し、
前記制御コントローラは、前記第一のエリアに入退者が存在するときよりも前記第二のエリアに入退者が存在するときの方が前記リーダライタの電波出力レベルを高い値に設定することを特徴とする請求項1記載の入退室管理システム。
【請求項3】
入退者が所持するタグの情報をリーダライタで読み取って入退室を管理する入退室管理システムにおいて、
アンテナと前記入退者との距離を測定するセンサ部と、
前記入退者が前記アンテナに近づくに伴い、前記リーダライタの電波出力レベルを下げる制御コントローラと、
を備えた入退室管理システム。
【請求項4】
前記センサ部は、前記入退者との距離を測定する測距センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の入退室管理システム。
【請求項5】
前記センサ部は、人感センサで構成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の入退室管理システム。
【請求項6】
前記センサ部は、前記第一のエリアに前記入退者が存在することを検知する加重センサを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の入退室管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−210333(P2010−210333A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55146(P2009−55146)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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