全反射蛍光X線分析方法
【課題】 試料の種類および試料の表面状態によらず高い感度を得ることを可能にする。
【解決手段】 半導体基板2を酸蒸気に暴露する工程と、酸蒸気に暴露された半導体基板の表面の不純物を酸溶液で走査回収する工程と、走査回収した酸溶液6を表面が鏡面状態の基板上で濃縮乾燥させ濃縮乾燥物8に変える工程と、濃縮乾燥物を酸を用いて粒子状の濃縮物8aに変える工程と、粒子状の濃縮物を全反射蛍光X線分析装置40にて分析する工程とを備えている。
【解決手段】 半導体基板2を酸蒸気に暴露する工程と、酸蒸気に暴露された半導体基板の表面の不純物を酸溶液で走査回収する工程と、走査回収した酸溶液6を表面が鏡面状態の基板上で濃縮乾燥させ濃縮乾燥物8に変える工程と、濃縮乾燥物を酸を用いて粒子状の濃縮物8aに変える工程と、粒子状の濃縮物を全反射蛍光X線分析装置40にて分析する工程とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全反射蛍光X線分析方法に関するものであって、具体的には高感度全反射蛍光X線分析に使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
全反射蛍光X線分析は、励起X線を被検体表面に全反射条件で入射し、被検体表面の不純物より発せられた蛍光X線を被検体の上方に設けられた半導体検出器で検知することにより、励起X線の散乱や被検体バルクからの蛍光X線の影響を最小限にとどめ、半導体基板表面の微量不純物元素を高感度で分析できる手法である。
【0003】
一方、半導体基板表面の高感度不純物分析にはWSA(Wafer Surface Analysis)と呼ばれる化学分析も広く普及している。WSAでは、半導体基板表面を酸蒸気に暴露して酸化膜を溶解した後、少量の酸溶液で基板表面を走査、表面及び酸化膜中の不純物を溶液中に取り込む。この溶液中の不純物濃度を原子吸光分析法や誘導結合プラズマ質量分析法等により測定することにより、基板表面不純物を求める。
【0004】
近年、特許文献1や特許文献2などが提唱するような全反射蛍光X線分析とWSAを組み合わせて、不純物を取り込んだ溶液を鏡面基板上で乾燥させた痕を全反射蛍光X線分析で測定する超高感度不純物分析手法が用いられ始めている。この超高感度不純物分析手法を用いれば、熟練を必要とせずに誘導結合プラズマ質量分析を採用した時のWSA並みの超高感度分析が可能となる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、全反射条件を満たす条件で不純物回収液を半導体検出器の検出範囲内に濃縮乾固させる必要がある上に、回収溶液中に含まれるSiマトリックスによる蛍光X線の吸収や散乱の影響を受けて減感しやすく、実際には測定可能な検体が非常に限られているのが現状である。また、特許文献2に記載の技術においては、酸蒸気暴露だけで前処理を終了し全反射蛍光X線分析を行う場合は、前処理が基板の表面状態に大きく依存して測定結果がばらつく上に、分析面積が小さいため暴露後の酸溶液で走査回収を行う場合に比べて一桁から二桁感度が悪いという問題がある。
【特許文献1】特許第2604037号公報
【特許文献2】特許第3249316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、試料の種類および試料の表面状態によらず感度の高い全反射蛍光X線分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による全反射蛍光X線分析方法は、半導体基板を酸蒸気に暴露する工程と、前記酸蒸気に暴露された前記半導体基板の表面の不純物を酸溶液で走査回収する工程と、前記走査回収した酸溶液を表面が鏡面状態の基板上で濃縮乾燥させ濃縮乾燥物に変える工程と、前記濃縮乾燥物を酸を用いて粒子状の濃縮物に変える工程と、前記粒子状の濃縮物を全反射蛍光X線分析装置にて分析する工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、試料の種類および試料の表面状態によらず感度の高い全反射蛍光X線分析方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による全反射蛍光X線分析方法を、図1(a)乃至図7を参照して説明する。図1(a)乃至図4は本実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順の概略を示す図、図5乃至図6は乾燥痕に含まれる不純物の特性X線の入射角依存特性を示す図、図7は付着形態による特性X線の入射角依存特性を示す図である。
【0010】
まず、図1(a)に示すようにフッ素系樹脂製密閉容器20内に、自然酸化膜4が形成された半導体基板2を収納する。そして導入管22からHFガス25を導入し、半導体基板2の表面をHFガス雰囲気に1時間暴露する。なお、HFガスは常に流れており、排出管24から排出される。このように、半導体基板2の表面をHFガス雰囲気に1時間暴露することにより、半導体基板2上の自然酸化膜が溶解され、溶解された自然酸化膜4aとなる(図1(b)参照)。
【0011】
次に、溶解された自然酸化膜4aを有する半導体基板2をフッ素系樹脂製密閉容器20から取りだす。そして、半導体基板2上に、濃度が2%wtのHFと濃度が2%wtのH2O2からなる200μLの回収液を滴下し、回収液滴6を半導体基板2上に形成する(図2(a)参照)。この回収液滴6で半導体基板2の表面を走査し、半導体基板2の表面及び自然酸化膜4a中の不純物を回収液滴106中に取り込む(図2(b)参照)。走査回収終了後、図2(c)に示すように、赤外線ランプ30を回収液滴6に照射し、回収液滴6を半導体基板2上で加熱して乾燥させ、乾燥痕8を形成する。
【0012】
次に、図3に示すように、乾燥痕8が形成された半導体基板2を密閉容器20に再度収納し、HFガス25を流し、HFガス雰囲気に10分間暴露する。その後、図4に示すように、乾燥痕8に全反射蛍光X線45を照射し、乾燥痕8の不純物濃度を全反射蛍光X線分析装置を用いて測定する。
【0013】
図5に示す特性曲線g1は、赤外線ランプ30で加熱して乾燥した後の乾燥痕8に含まれるNi−Ka強度の入射角度依存特性である。X線強度は低入射角側で低く、臨界角Φcrit付近で急激に大きくなっている。これは、図7の特性曲線g3、g4からわかるようにNiの付着形態がプレート状であることを意味している。なお、図7において、特性曲線g3は半導体基板2に不純物の付着形態がプレート状である場合の特性X線の入射角依存特性を示し、特性曲線g4は半導体基板2に不純物の付着形態が粒子状である場合の特性X線の入射角依存特性を示す。不純物の付着形態がプレート状の場合は、入射角が臨界角Φcrit付近で最大となる特性曲線g3となり、不純物の付着形態が粒子状の場合は、臨界角Φcritの付近では入射角が増大するにつれて急に減少するが、その他の入射角の領域では入射角が増大してもX線強度が緩やかに減少する特性曲線g4となっている。
【0014】
一方、図5に示す特性曲線g2は、乾燥痕8をHFガス雰囲気に暴露した後のNi−Ka強度の入射角度依存特性である。乾燥痕8を乾燥させた場合の特性曲線g1よりもピークが低入射角側にシフトしピーク部のNi−Ka強度も小さくなっている。これはNiの付着形態が図7の特性曲線g4に示すような粒子状に近くなったことを示す。
【0015】
同様にNaについて入射角依存特性を測定した結果を図6に示す。図6の特性曲線g5は、赤外線ランプ30で乾燥した後の乾燥痕8に含まれるNa強度の入射角度依存特性であり、グラフg7はこのときのノイズ(背景のX線強度)を示す。また、特性曲線g6はHFガス雰囲気に暴露した後のNa強度の入射角度依存特性であり、グラフg8は、このときのノイズ(背景のX線強度)を示す。図6に示す特性曲線g5、g6から不純物のHFガス暴露後の付着形態が粒子化していることがはっきりと分る。
【0016】
付着形態の粒子化の利点は2つあげられる。
【0017】
1)分析精度の向上で、特性X線強度の角度依存性を小さくすることで測定系の揺らぎによるX線入射角度の変動を受けにくい。
【0018】
2)S/N比の向上による分析感度の向上である。
【0019】
全反射蛍光X線分析においては、低入射角度でX線が入射するほどノイズが低減し分析感度が向上する。図6の特性曲線g5で示す乾燥後のデータで計算すると、入射角α1と入射角α2のS/N比はそれぞれ、25、7であり、入射角が低い(入射角=α1)の感度の方が一桁良い。しかしながら低入射角にすると、シグナルの強度も同時に下がってしまうデメリットが存在する。付着形態の粒子化は低入射角側のシグナル強度を大きくするため、HFガス中に暴露することによって付着形態を最適化することで、S/N比は87と飛躍的に向上する(図6中の入射角がα1の場合)。
【0020】
以上説明したように、本実施形態によれば、乾燥痕をHFガス中に暴露することによって、不純物の半導体基板への付着形態を粒子化し、X線が低入射角で入射する場合におけるS/N比を向上させることができる。このS/N比の向上は、試料の種類および試料の表面状態によらないため、感度の高い全反射蛍光X線分析方法を得ることができる。
【0021】
本実施形態では、半導体基板をHFガス雰囲気に1時間暴露したが、暴露時間は基板表面上の薄膜の種類及び膜厚により決定されることはいうまでもない。
【0022】
また、本実施形態においては、回収液はHF(弗酸)および過酸化水素水を含んでいたが、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含んでいてもよい。
【0023】
また、本実施形態においては、乾燥痕はHFガス雰囲気に1回暴露したが、2回以上暴露してもよい。
【0024】
また、本実施形態においては、乾燥痕の暴露雰囲気としてHFガス(弗酸ガス)を用いたが、酸蒸気、例えば、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含む酸蒸気に暴露すれば同様の効果を得ることができる。
【0025】
また、本実施形態においては、走査回収後に乾燥を行い、HFガス暴露を行ったが、乾燥後、酸溶液を添加して再度乾燥を行ってもよい。なお、酸溶液の添加および乾燥は複数回行ってもよい。このように、酸添加と乾燥を繰り返すことによって、Si等のマトリックス元素を除去し、マトリックスに起因するX線の散乱が抑制されるので、分析感度の向上および精度のよい測定が可能になる。この場合の酸溶液は、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含んでいてもよい。
【0026】
また、本実施形態においては、HFガスは常に流したが、半導体基板がHFガスに暴露されれば良く、HFガスを導入後に容器を密閉しても良い。
【0027】
また、本実施形態では、分析対象となる基板上で回収液を滴下し、回収液滴を走査し、その後に回収液滴を乾燥したが、表面が鏡面状態の他の基板上において、乾燥・HFガス雰囲気に暴露・全反射蛍光X線分析を行っても良い。この場合、複数の回収液滴を同一基板上で乾燥可能となるので、分析のスル−プットが大きく向上する。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法を、図8(a)乃至図13(c)を参照して説明する。図8(a)乃至図12は本実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順の概略を示す図、図13(a)乃至図13(b)は乾燥痕の付着形態を模式的に説明する図である。
【0029】
まず、図8(a)、(b)に示すように、表面に酸窒化膜3が形成された半導体基板2と、HF溶液54が入った容器52とをフッ素系樹脂製密閉容器50内に1時間収納し、容器52から発生したHFガス56の雰囲気に暴露することにより、半導体体基板2の表層の酸窒化膜3が溶解され、溶解された酸窒化膜3aとなる。なお、半導体基板2は、フッ素系樹脂製密閉容器50内の載置台60上に載置される。
【0030】
次に、酸窒化膜3が溶解された半導体基板2上をフッ素系樹脂製密閉容器50から取り出す。そして、半導体基板2上に、濃度が2%wtのHFと濃度が2%wtのH2O2からなる100μLの回収液を滴下し、回収液滴7を半導体基板2上に形成する(図9(a)参照)。この回収液滴7を半導体基板2の表面を走査し、半導体基板2の表面および酸窒化膜中の不純物を回収液滴7中に取り込む(図9(b)参照)。
【0031】
走査回収終了後、図10に示すように、不純物を取り込んだ回収液滴7を、鏡面加工を施した分析用アモルファル基板72に移し、このアモルファス基板72を減圧乾燥装置70内に載置して回収液滴7を減圧乾燥させる。これにより、回収液滴7は乾燥痕9となる。
【0032】
乾燥後、図11に示すように、乾燥痕9を有するアモルファス基板72を密閉容器50に再度収納し、HFガス雰囲気56に10分間暴露する。その後、図12に示すように、乾燥痕9の不純物濃度を全反射蛍光X線分析装置40にて測定する。
【0033】
なお、本実施形態と異なり、減圧乾燥後に全反射蛍光X線分析を行うと、乾燥痕による散乱が大きく測定不可能であった。しかし、本実施形態のように乾燥痕をHFガス雰囲気に暴露した後に、全反射蛍光X線分析を行うと、散乱が小さくなって全反射蛍光X線分析を行えるようになった。これは減圧乾燥時では除去しきれなかったSiマトリックスが、再度HFガス雰囲気に暴露することによりフッ化珪素として揮散したためであると考えられる。これを、図13(a)、(b)、(c)を参照して説明する。図13(a)に示すように乾燥痕80がプレート状に付着している基板72を、密閉容器50内のHFガス雰囲気に暴露すると、乾燥痕80に含まれているSiマトリックスがフッ化珪素として揮散し(図13(b)参照)、基板72上に粒子状の付着した形態の不純物82となる。なお、図8(b)に示すHFガス雰囲気に暴露しているときも、Siマトリックスがフッ化珪素として揮散する。
【0034】
本実施形態では、一度不純物を回収した溶液を乾燥させてから酸蒸気に暴露することにより、試料の表面状態に依存せずに乾燥痕に含まれる不純物の付着形態を膜状から粒子状に変え、また回収液中に多量に含まれるSiマトリックスを2段階で除去するので、低入射角側の特性X線強度が増大し、かつSiマトリックスに起因する励起X線の散乱と不純物元素、特にNa等軽元素の蛍光X線吸収が抑制される。
【0035】
このため、本実施形態の全反射蛍光X線分析を用いることにより、表面状態に依存せずに高いS/N(シグナル/ノイズ)比を得られるので、多様な試料についての高感度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0036】
なお、本実施形態では、半導体基板をHFガス雰囲気に1時間暴露したが、暴露時間は基板表面上の薄膜の種類及び膜厚により決定されることはいうまでもない。
【0037】
また、本実施形態においては、回収液はHF(弗酸)および過酸化水素水を含んでいたが、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含んでいてもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、乾燥痕は、HFガス雰囲気に1回暴露したが、2回以上暴露してもよい。
【0039】
また、本実施形態においては、乾燥痕の暴露雰囲気としてHFガス(弗酸ガス)を用いたが、酸蒸気、例えば、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含む酸蒸気に暴露すれば同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、本実施形態においては、走査回収後に乾燥を行い、HFガス暴露を行ったが、乾燥後、酸溶液を添加して再度乾燥を行ってもよい。なお、酸溶液の添加および乾燥は複数回行ってもよい。このように、酸添加と乾燥を繰り返すことによって、Si等のマトリックス元素を除去し、マトリックスに起因するX線の散乱が抑制されるので、分析感度の向上および精度のよい測定が可能になる。この場合の酸溶液は、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含んでいてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、表面が鏡面状態のアモルファス基板上において、乾燥・HFガス雰囲気に暴露・全反射蛍光X線分析を行っているので、複数の回収液滴を同一基板上で乾燥可能となり、分析のスル−プットが大きく向上する。
【0042】
なお、第1実施形態では回収液滴を加熱乾燥し、第2実施形態では減圧乾燥したが、減圧乾燥と加熱乾燥とを組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図3】本発明の第1実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図4】本発明の第1実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図5】第1実施形態における乾燥痕に含まれる不純物の特性X線の入射角依存特性を示す図。
【図6】第1実施形態における乾燥痕に含まれる不純物の特性X線の入射角依存特性を示す図。
【図7】不純物の付着形態による特性X線の入射角依存特性を示す図。
【図8】本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図9】本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図10】本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図11】本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図12】本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図13】第2実施形態における乾燥痕の付着形態を説明する模式図。
【符号の説明】
【0044】
2 半導体基板
4 自然酸化膜
4a 溶解された自然酸化膜
6 回収液滴
8 乾燥痕
20 密閉容器
25 HFガス雰囲気
40 全反射蛍光X線分析方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、全反射蛍光X線分析方法に関するものであって、具体的には高感度全反射蛍光X線分析に使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
全反射蛍光X線分析は、励起X線を被検体表面に全反射条件で入射し、被検体表面の不純物より発せられた蛍光X線を被検体の上方に設けられた半導体検出器で検知することにより、励起X線の散乱や被検体バルクからの蛍光X線の影響を最小限にとどめ、半導体基板表面の微量不純物元素を高感度で分析できる手法である。
【0003】
一方、半導体基板表面の高感度不純物分析にはWSA(Wafer Surface Analysis)と呼ばれる化学分析も広く普及している。WSAでは、半導体基板表面を酸蒸気に暴露して酸化膜を溶解した後、少量の酸溶液で基板表面を走査、表面及び酸化膜中の不純物を溶液中に取り込む。この溶液中の不純物濃度を原子吸光分析法や誘導結合プラズマ質量分析法等により測定することにより、基板表面不純物を求める。
【0004】
近年、特許文献1や特許文献2などが提唱するような全反射蛍光X線分析とWSAを組み合わせて、不純物を取り込んだ溶液を鏡面基板上で乾燥させた痕を全反射蛍光X線分析で測定する超高感度不純物分析手法が用いられ始めている。この超高感度不純物分析手法を用いれば、熟練を必要とせずに誘導結合プラズマ質量分析を採用した時のWSA並みの超高感度分析が可能となる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、全反射条件を満たす条件で不純物回収液を半導体検出器の検出範囲内に濃縮乾固させる必要がある上に、回収溶液中に含まれるSiマトリックスによる蛍光X線の吸収や散乱の影響を受けて減感しやすく、実際には測定可能な検体が非常に限られているのが現状である。また、特許文献2に記載の技術においては、酸蒸気暴露だけで前処理を終了し全反射蛍光X線分析を行う場合は、前処理が基板の表面状態に大きく依存して測定結果がばらつく上に、分析面積が小さいため暴露後の酸溶液で走査回収を行う場合に比べて一桁から二桁感度が悪いという問題がある。
【特許文献1】特許第2604037号公報
【特許文献2】特許第3249316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、試料の種類および試料の表面状態によらず感度の高い全反射蛍光X線分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による全反射蛍光X線分析方法は、半導体基板を酸蒸気に暴露する工程と、前記酸蒸気に暴露された前記半導体基板の表面の不純物を酸溶液で走査回収する工程と、前記走査回収した酸溶液を表面が鏡面状態の基板上で濃縮乾燥させ濃縮乾燥物に変える工程と、前記濃縮乾燥物を酸を用いて粒子状の濃縮物に変える工程と、前記粒子状の濃縮物を全反射蛍光X線分析装置にて分析する工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、試料の種類および試料の表面状態によらず感度の高い全反射蛍光X線分析方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による全反射蛍光X線分析方法を、図1(a)乃至図7を参照して説明する。図1(a)乃至図4は本実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順の概略を示す図、図5乃至図6は乾燥痕に含まれる不純物の特性X線の入射角依存特性を示す図、図7は付着形態による特性X線の入射角依存特性を示す図である。
【0010】
まず、図1(a)に示すようにフッ素系樹脂製密閉容器20内に、自然酸化膜4が形成された半導体基板2を収納する。そして導入管22からHFガス25を導入し、半導体基板2の表面をHFガス雰囲気に1時間暴露する。なお、HFガスは常に流れており、排出管24から排出される。このように、半導体基板2の表面をHFガス雰囲気に1時間暴露することにより、半導体基板2上の自然酸化膜が溶解され、溶解された自然酸化膜4aとなる(図1(b)参照)。
【0011】
次に、溶解された自然酸化膜4aを有する半導体基板2をフッ素系樹脂製密閉容器20から取りだす。そして、半導体基板2上に、濃度が2%wtのHFと濃度が2%wtのH2O2からなる200μLの回収液を滴下し、回収液滴6を半導体基板2上に形成する(図2(a)参照)。この回収液滴6で半導体基板2の表面を走査し、半導体基板2の表面及び自然酸化膜4a中の不純物を回収液滴106中に取り込む(図2(b)参照)。走査回収終了後、図2(c)に示すように、赤外線ランプ30を回収液滴6に照射し、回収液滴6を半導体基板2上で加熱して乾燥させ、乾燥痕8を形成する。
【0012】
次に、図3に示すように、乾燥痕8が形成された半導体基板2を密閉容器20に再度収納し、HFガス25を流し、HFガス雰囲気に10分間暴露する。その後、図4に示すように、乾燥痕8に全反射蛍光X線45を照射し、乾燥痕8の不純物濃度を全反射蛍光X線分析装置を用いて測定する。
【0013】
図5に示す特性曲線g1は、赤外線ランプ30で加熱して乾燥した後の乾燥痕8に含まれるNi−Ka強度の入射角度依存特性である。X線強度は低入射角側で低く、臨界角Φcrit付近で急激に大きくなっている。これは、図7の特性曲線g3、g4からわかるようにNiの付着形態がプレート状であることを意味している。なお、図7において、特性曲線g3は半導体基板2に不純物の付着形態がプレート状である場合の特性X線の入射角依存特性を示し、特性曲線g4は半導体基板2に不純物の付着形態が粒子状である場合の特性X線の入射角依存特性を示す。不純物の付着形態がプレート状の場合は、入射角が臨界角Φcrit付近で最大となる特性曲線g3となり、不純物の付着形態が粒子状の場合は、臨界角Φcritの付近では入射角が増大するにつれて急に減少するが、その他の入射角の領域では入射角が増大してもX線強度が緩やかに減少する特性曲線g4となっている。
【0014】
一方、図5に示す特性曲線g2は、乾燥痕8をHFガス雰囲気に暴露した後のNi−Ka強度の入射角度依存特性である。乾燥痕8を乾燥させた場合の特性曲線g1よりもピークが低入射角側にシフトしピーク部のNi−Ka強度も小さくなっている。これはNiの付着形態が図7の特性曲線g4に示すような粒子状に近くなったことを示す。
【0015】
同様にNaについて入射角依存特性を測定した結果を図6に示す。図6の特性曲線g5は、赤外線ランプ30で乾燥した後の乾燥痕8に含まれるNa強度の入射角度依存特性であり、グラフg7はこのときのノイズ(背景のX線強度)を示す。また、特性曲線g6はHFガス雰囲気に暴露した後のNa強度の入射角度依存特性であり、グラフg8は、このときのノイズ(背景のX線強度)を示す。図6に示す特性曲線g5、g6から不純物のHFガス暴露後の付着形態が粒子化していることがはっきりと分る。
【0016】
付着形態の粒子化の利点は2つあげられる。
【0017】
1)分析精度の向上で、特性X線強度の角度依存性を小さくすることで測定系の揺らぎによるX線入射角度の変動を受けにくい。
【0018】
2)S/N比の向上による分析感度の向上である。
【0019】
全反射蛍光X線分析においては、低入射角度でX線が入射するほどノイズが低減し分析感度が向上する。図6の特性曲線g5で示す乾燥後のデータで計算すると、入射角α1と入射角α2のS/N比はそれぞれ、25、7であり、入射角が低い(入射角=α1)の感度の方が一桁良い。しかしながら低入射角にすると、シグナルの強度も同時に下がってしまうデメリットが存在する。付着形態の粒子化は低入射角側のシグナル強度を大きくするため、HFガス中に暴露することによって付着形態を最適化することで、S/N比は87と飛躍的に向上する(図6中の入射角がα1の場合)。
【0020】
以上説明したように、本実施形態によれば、乾燥痕をHFガス中に暴露することによって、不純物の半導体基板への付着形態を粒子化し、X線が低入射角で入射する場合におけるS/N比を向上させることができる。このS/N比の向上は、試料の種類および試料の表面状態によらないため、感度の高い全反射蛍光X線分析方法を得ることができる。
【0021】
本実施形態では、半導体基板をHFガス雰囲気に1時間暴露したが、暴露時間は基板表面上の薄膜の種類及び膜厚により決定されることはいうまでもない。
【0022】
また、本実施形態においては、回収液はHF(弗酸)および過酸化水素水を含んでいたが、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含んでいてもよい。
【0023】
また、本実施形態においては、乾燥痕はHFガス雰囲気に1回暴露したが、2回以上暴露してもよい。
【0024】
また、本実施形態においては、乾燥痕の暴露雰囲気としてHFガス(弗酸ガス)を用いたが、酸蒸気、例えば、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含む酸蒸気に暴露すれば同様の効果を得ることができる。
【0025】
また、本実施形態においては、走査回収後に乾燥を行い、HFガス暴露を行ったが、乾燥後、酸溶液を添加して再度乾燥を行ってもよい。なお、酸溶液の添加および乾燥は複数回行ってもよい。このように、酸添加と乾燥を繰り返すことによって、Si等のマトリックス元素を除去し、マトリックスに起因するX線の散乱が抑制されるので、分析感度の向上および精度のよい測定が可能になる。この場合の酸溶液は、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含んでいてもよい。
【0026】
また、本実施形態においては、HFガスは常に流したが、半導体基板がHFガスに暴露されれば良く、HFガスを導入後に容器を密閉しても良い。
【0027】
また、本実施形態では、分析対象となる基板上で回収液を滴下し、回収液滴を走査し、その後に回収液滴を乾燥したが、表面が鏡面状態の他の基板上において、乾燥・HFガス雰囲気に暴露・全反射蛍光X線分析を行っても良い。この場合、複数の回収液滴を同一基板上で乾燥可能となるので、分析のスル−プットが大きく向上する。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法を、図8(a)乃至図13(c)を参照して説明する。図8(a)乃至図12は本実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順の概略を示す図、図13(a)乃至図13(b)は乾燥痕の付着形態を模式的に説明する図である。
【0029】
まず、図8(a)、(b)に示すように、表面に酸窒化膜3が形成された半導体基板2と、HF溶液54が入った容器52とをフッ素系樹脂製密閉容器50内に1時間収納し、容器52から発生したHFガス56の雰囲気に暴露することにより、半導体体基板2の表層の酸窒化膜3が溶解され、溶解された酸窒化膜3aとなる。なお、半導体基板2は、フッ素系樹脂製密閉容器50内の載置台60上に載置される。
【0030】
次に、酸窒化膜3が溶解された半導体基板2上をフッ素系樹脂製密閉容器50から取り出す。そして、半導体基板2上に、濃度が2%wtのHFと濃度が2%wtのH2O2からなる100μLの回収液を滴下し、回収液滴7を半導体基板2上に形成する(図9(a)参照)。この回収液滴7を半導体基板2の表面を走査し、半導体基板2の表面および酸窒化膜中の不純物を回収液滴7中に取り込む(図9(b)参照)。
【0031】
走査回収終了後、図10に示すように、不純物を取り込んだ回収液滴7を、鏡面加工を施した分析用アモルファル基板72に移し、このアモルファス基板72を減圧乾燥装置70内に載置して回収液滴7を減圧乾燥させる。これにより、回収液滴7は乾燥痕9となる。
【0032】
乾燥後、図11に示すように、乾燥痕9を有するアモルファス基板72を密閉容器50に再度収納し、HFガス雰囲気56に10分間暴露する。その後、図12に示すように、乾燥痕9の不純物濃度を全反射蛍光X線分析装置40にて測定する。
【0033】
なお、本実施形態と異なり、減圧乾燥後に全反射蛍光X線分析を行うと、乾燥痕による散乱が大きく測定不可能であった。しかし、本実施形態のように乾燥痕をHFガス雰囲気に暴露した後に、全反射蛍光X線分析を行うと、散乱が小さくなって全反射蛍光X線分析を行えるようになった。これは減圧乾燥時では除去しきれなかったSiマトリックスが、再度HFガス雰囲気に暴露することによりフッ化珪素として揮散したためであると考えられる。これを、図13(a)、(b)、(c)を参照して説明する。図13(a)に示すように乾燥痕80がプレート状に付着している基板72を、密閉容器50内のHFガス雰囲気に暴露すると、乾燥痕80に含まれているSiマトリックスがフッ化珪素として揮散し(図13(b)参照)、基板72上に粒子状の付着した形態の不純物82となる。なお、図8(b)に示すHFガス雰囲気に暴露しているときも、Siマトリックスがフッ化珪素として揮散する。
【0034】
本実施形態では、一度不純物を回収した溶液を乾燥させてから酸蒸気に暴露することにより、試料の表面状態に依存せずに乾燥痕に含まれる不純物の付着形態を膜状から粒子状に変え、また回収液中に多量に含まれるSiマトリックスを2段階で除去するので、低入射角側の特性X線強度が増大し、かつSiマトリックスに起因する励起X線の散乱と不純物元素、特にNa等軽元素の蛍光X線吸収が抑制される。
【0035】
このため、本実施形態の全反射蛍光X線分析を用いることにより、表面状態に依存せずに高いS/N(シグナル/ノイズ)比を得られるので、多様な試料についての高感度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0036】
なお、本実施形態では、半導体基板をHFガス雰囲気に1時間暴露したが、暴露時間は基板表面上の薄膜の種類及び膜厚により決定されることはいうまでもない。
【0037】
また、本実施形態においては、回収液はHF(弗酸)および過酸化水素水を含んでいたが、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含んでいてもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、乾燥痕は、HFガス雰囲気に1回暴露したが、2回以上暴露してもよい。
【0039】
また、本実施形態においては、乾燥痕の暴露雰囲気としてHFガス(弗酸ガス)を用いたが、酸蒸気、例えば、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含む酸蒸気に暴露すれば同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、本実施形態においては、走査回収後に乾燥を行い、HFガス暴露を行ったが、乾燥後、酸溶液を添加して再度乾燥を行ってもよい。なお、酸溶液の添加および乾燥は複数回行ってもよい。このように、酸添加と乾燥を繰り返すことによって、Si等のマトリックス元素を除去し、マトリックスに起因するX線の散乱が抑制されるので、分析感度の向上および精度のよい測定が可能になる。この場合の酸溶液は、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含んでいてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、表面が鏡面状態のアモルファス基板上において、乾燥・HFガス雰囲気に暴露・全反射蛍光X線分析を行っているので、複数の回収液滴を同一基板上で乾燥可能となり、分析のスル−プットが大きく向上する。
【0042】
なお、第1実施形態では回収液滴を加熱乾燥し、第2実施形態では減圧乾燥したが、減圧乾燥と加熱乾燥とを組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図3】本発明の第1実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図4】本発明の第1実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図5】第1実施形態における乾燥痕に含まれる不純物の特性X線の入射角依存特性を示す図。
【図6】第1実施形態における乾燥痕に含まれる不純物の特性X線の入射角依存特性を示す図。
【図7】不純物の付着形態による特性X線の入射角依存特性を示す図。
【図8】本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図9】本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図10】本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図11】本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図12】本発明の第2実施形態による全反射蛍光X線分析方法の分析手順を示す図。
【図13】第2実施形態における乾燥痕の付着形態を説明する模式図。
【符号の説明】
【0044】
2 半導体基板
4 自然酸化膜
4a 溶解された自然酸化膜
6 回収液滴
8 乾燥痕
20 密閉容器
25 HFガス雰囲気
40 全反射蛍光X線分析方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を酸蒸気に暴露する工程と、前記酸蒸気に暴露された前記半導体基板の表面の不純物を酸溶液で走査回収する工程と、前記走査回収した酸溶液を表面が鏡面状態の基板上で濃縮乾燥させ濃縮乾燥物に変える工程と、前記濃縮乾燥物を酸を用いて粒子状の濃縮物に変える工程と、前記粒子状の濃縮物を全反射蛍光X線分析装置にて分析する工程とを備えたことを特徴とする全反射蛍光X線分析方法。
【請求項2】
前記粒子状の濃縮物に変えるのに用いられる酸は、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含むことを特徴とする特許請求項1記載の全反射蛍光X線分析方法。
【請求項3】
前記半導体基板の表面上の前記不純物を走査回収する前記酸溶液は、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含むことを特徴とする特許請求項1または2記載の全反射蛍光X線分析方法。
【請求項4】
前記酸蒸気に暴露される前の半導体基板の表面には膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の全反射蛍光X線分析方法。
【請求項5】
前記濃縮乾燥物に変える工程は、走査回収した酸溶液を加熱乾燥、減圧乾燥、および減圧加熱乾燥のいずれかの乾燥方法を用いて行うことを特徴とする特許請求項1乃至4のいずれかに記載の全反射蛍光X線分析方法。
【請求項1】
半導体基板を酸蒸気に暴露する工程と、前記酸蒸気に暴露された前記半導体基板の表面の不純物を酸溶液で走査回収する工程と、前記走査回収した酸溶液を表面が鏡面状態の基板上で濃縮乾燥させ濃縮乾燥物に変える工程と、前記濃縮乾燥物を酸を用いて粒子状の濃縮物に変える工程と、前記粒子状の濃縮物を全反射蛍光X線分析装置にて分析する工程とを備えたことを特徴とする全反射蛍光X線分析方法。
【請求項2】
前記粒子状の濃縮物に変えるのに用いられる酸は、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含むことを特徴とする特許請求項1記載の全反射蛍光X線分析方法。
【請求項3】
前記半導体基板の表面上の前記不純物を走査回収する前記酸溶液は、弗酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、硫酸、リン酸、オゾンおよびこれらの群から選択された少なくとも一種類からなる物質を含むことを特徴とする特許請求項1または2記載の全反射蛍光X線分析方法。
【請求項4】
前記酸蒸気に暴露される前の半導体基板の表面には膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の全反射蛍光X線分析方法。
【請求項5】
前記濃縮乾燥物に変える工程は、走査回収した酸溶液を加熱乾燥、減圧乾燥、および減圧加熱乾燥のいずれかの乾燥方法を用いて行うことを特徴とする特許請求項1乃至4のいずれかに記載の全反射蛍光X線分析方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−3120(P2006−3120A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177270(P2004−177270)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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